従来の典型的な遊技機のように、下流側の媒体検出センサによる遊技媒体の検出が終了した後に、上流側の媒体検出センサによる後続の遊技媒体の検出が開始されるように構成されていたとしても、遊技媒体は、投入通路に沿って一定の間隔や速度で流下しないために、下流側の媒体検出センサによる遊技媒体の検出が終了する前に、上流側の媒体検出センサによる後続の遊技媒体の検出が開始される場合が発生してしまう。なお、このような場合を接近流下状態と称す。具体的には、近接流下状態が発生した場合には、主に、正常な投入の場合と同様に第1状態から第2状態、第3状態及び第4状態をこの順序で経た後に、通常な正常な投入の場合と異なり更に第3状態、第2状態、第3状態及び第4状態をこの順序で経て、その後に第1状態へ戻ることとなる。特に、接近流下状態は、所定数の遊技媒体を高速で投入しようとした場合に発生し易くなる。これは、遊技媒体の投入間隔を小さくする必要が生じるからである。具体的には、フリッカ等の規制部材の先端の抜き差しによる投入通路の入口の幅の一往復の変化によって連続的に遊技媒体を投入する構成の場合には、遊技媒体を投入通路へ転送する回転体等の駆動により遊技媒体を1つずつ送り出して遊技媒体の投入を行う場合に比べて通常時の遊技媒体の流下間隔が小さくなるために、所定数の遊技媒体の投入を高速で行えるが、接近流下状態が発生し易くなる。
従来の典型的な遊技機においては、接近投入状態が発生した場合には、上述のような不正行為を抑制するための制御によって投入異常と判定され、その結果、遊技進行が停止されてしまう。近接流下状態が発生したとしても遊技進行を停止させない構成としては、接近流下状態が発生することが推測できた場合、具体的には、正常な投入の場合と同様に第1状態から第2状態、第3状態及び第4状態をこの順序で経た後に、通常な正常な投入の場合の移行先である第1状態ではなく第3状態に移行した場合には投入異常と判定せずに、遊技媒体の投入を即時に中止する構成や、遊技媒体の投入を即時に一旦中断して2つの遊技媒体が投入通路を通過するまで待ち、その後、残りの遊技媒体の投入を自動的に再開させる構成が考えられる。従来の典型的な遊技機に比べて円滑な遊技進行が実現できることとなるが、遊技媒体の投入の中断を経て所定数の遊技媒体の投入が完了するために、遊技媒体の投入の円滑性の観点からは改良の余地がある。また、投入異常とは判定しないが2つの遊技媒体が正常に投入されるわけではないために、接近流下状態を構成した2つの遊技媒体は、投入された遊技媒体の個数として計数されないため、投入個数の計数方法についても改良の余地がある。また、遊技媒体の投入を終了させる場合と同一の条件で遊技媒体の投入を中断させることができないために、遊技媒体の投入制御の簡素化の観点からは更なる改良の余地があった。また、上流側及び下流側の媒体検出センサの検出状態の変化が接近流下状態での投入の場合と正常な投入の場合とで異なるために、接近流下状態を伴う投入における上流側及び下流側の媒体検出センサの検出状態の変化を判定するための情報が更に必要であった。更に、上流側及び下流側の媒体検出センサの検出状態の変化を確認するために2種類の情報を切り替えて又は重複して参照しなければならないので、その制御に関する処理負担が大きくなる。したがって、制御処理の観点からもプログラムの簡素化や処理負担の軽減等の点で改良の余地があった。
そこで、本発明の遊技機では、接近流下状態が発生した場合の遊技進行の円滑性を向上させる。
本発明に係る遊技機は、以下の構成をとる。
手段1.
投入待機通路(例えば、セレクタの貯留通路)から前記投入待機通路(例えば、セレクタの投入通路)と連通する投入通路への遊技媒体の流入を投入禁止状態と投入許可状態との間の状態移行により規制する投入規制手段(例えば、投入フリッカ及び投入ソレノイド)と、
前記投入通路を流下する遊技媒体を検出する上流側検出手段(例えば、通過センサの上流側素子)と、前記投入通路を流下する遊技媒体を前記上流側検出手段より流下方向に沿って遊技媒体の1個分未満だけ下流側において検出する下流側検出手段(例えば、通過センサの下流側素子)とを含む媒体検出手段(例えば、通過センサ)と、
前記上流側検出手段による遊技媒体の検出状態と前記下流側検出手段による遊技媒体の検出状態との組合せで指定される前記媒体検出手段の検出状態に実質的に対応する検出位相を検知する位相検知手段(例えば、主制御基板のスイッチ読込処理)と、
前記位相検知手段による検出位相の検知に応じて、今回検出位相を前回検出位相に更新し、前記今回検出位相を前記位相検知手段により検知された前記検出位相に更新する検出位相更新手段と、
投入指示を入力する投入指示入力手段(例えば、最大ベットボタンスイッチ及び最小ベットボタンスイッチ)と、
前記投入指示の入力に応じて遊技媒体の投入許可数を決定する投入許可数決定手段(例えば、主制御基板の投入許可数決定処理)と、
前記位相検知手段による前記検出位相の検知に基づいて投入数を計測する投入数計測手段(例えば、主制御基板の総投入済数更新処理又は総投入許可残数更新処理)と、
前記投入規制手段を制御して、前記投入許可数の遊技媒体を投入させる投入規制制御手段(例えば、主制御基板の投入ソレノイド駆動制御処理及び通過規制情報変更処理)と、
を含む遊技機であって、
前記媒体検出手段における前記上流側検出手段及び前記下流側検出手段の双方により遊技媒体が検出されていない状態に実質的に対応する位相を非通過位相とし、前記上流側検出手段により遊技媒体が検出されて前記下流側検出手段により遊技媒体が検出されていない状態に実質的に対応する位相を第1通過位相とし、前記上流側検出手段及び前記下流側検出手段の双方により遊技媒体が実質的に検出されている状態に実質的に対応する位相を第2通過位相とし、前記上流側検出手段により遊技媒体が検出されておらず前記下流側検出手段により遊技媒体が検出されている状態に実質的に対応する位相を第3通過位相とし、
前記非通過位相から、前記第1通過位相、前記第2通過位相及び前記第3通過位相をこの順序で経た後に、前記非通過位相へ戻る位相移行の推移を正規位相移行推移とし、
前記非通過位相から、前記第1通過位相、前記第2通過位相及び前記第3通過位相をこの順序で経て、更に、少なくとも一度だけ前記第2通過位相、前記第1通過位相、前記第2通過位相及び前記第3通過位相をこの順序で経た後に、前記非通過位相へ戻る位相移行の推移を許容位相移行推移とし、
前記第1通過位相、前記第2通過位相及び前記第3通過位相のうちの所定の1つの位相を投入禁止移行位相として、
前記正規位相移行推移における通過位相の順序列に対応する正規位相推移情報を記憶している正規位相推移情報記憶手段と、
前記検出位相更新手段において更新される前記前回検出位相と前記今回検出位相との相違に基づいて検出位相の位相移行を検知する位相移行検知手段と、
を更に含み、
前記投入数計測手段は、前記位相移行検知手段による前記位相移行の検知に応じて前記正規位相推移情報記憶手段における前記正規位相推移情報に基づいて、前記検出位相が前記正規位相移行推移に従って位相移行し、かつ前記位相移行検知手段による複数回の前記位相移行の検知に基づいて前記検出位相が前記正規位相移行推移を一巡したことを検知した場合及び前記位相移行検知手段による前記位相移行の検知に応じて前記正規位相推移情報に基づいて、前記検出位相が前記許容位相移行推移に従って位相移行し、かつ前記位相移行検知手段による複数回の前記位相移行の検知に基づいて前記検出位相が前記許容位相移行推移を一巡した場合に、1つの遊技媒体の投入完了として前記投入数に計上し、
前記投入規制制御手段が、前記投入許可数の決定に応じて前記投入規制手段を投入禁止状態から投入許可状態へ移行させて投入を開始させ、前記投入数と前記投入許可数とが実質的に1だけ異なる場合の前記正規位相移行推移に従う位相移行の推移過程において前記検出位相が前記投入禁止移行位相へ位相移行した場合に、前記投入規制手段を前記投入許可状態から前記投入禁止状態へ移行させて投入を終了させ、
前記遊技機は、前記正規位相移行推移及び前記許容位相移行推移の少なくとも一方に従わない前記検出位相の位相移行に応じて、遊技進行を停止させる遊技進行停止手段を更に含む、
ことを特徴としている。
「位相」は、上流側検出手段の検出状態及び下流側検出手段の検出状態の順列を〔上流側検出手段の検出状態,下流側検出手段の検出状態〕で表記すれば、〔オン状態,オフ状態〕、〔オン状態,オフ状態〕、〔オン状態,オン状態〕、〔オフ状態,オン状態〕の4種類のいずれかの状態である。なお、オン状態は遊技媒体が検出されている状態を意味し、一方、オフ状態は遊技媒体が検出されていない状態を意味している。また、この表記に従えば、「非通過位相」は〔オフ状態,オフ状態〕、「第1通過位相」は〔オフ状態,オフ状態〕、「第2通過位相」は〔オン状態,オン状態〕、「第3通過位相」は〔オフ状態,オン状態〕である。
「上流側検出手段による遊技媒体の検出状態と下流側検出手段による遊技媒体の検出状態との順列で指定される検出状態に実質的に対応する検出位相」とは、上流側検出手段による遊技媒体の検出状態及び下流側検出手段の遊技媒体の検出状態と厳密に対応する場合に限らず、上流側検出手段の実質的な検出状態及び下流側検出手段の実質的な検出状態の順列である場合を含意することを意味する。例えば実質的な検出状態としては、遊技媒体を検出していない状態から連続して複数回の検出又は所定期間に渡って遊技媒体が検出されている状態が継続した場合に遊技媒体を検出していると認定する状態や、逆に、遊技媒体を検出している状態から連続して複数回の検出又は所定期間に渡って遊技媒体が検出されない状態が継続した場合に遊技媒体が検出されていないと認定する状態が挙げられる。
「正規位相移行推移」は、「非通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相→非通過位相」と変化していく位相移行の推移を意味する。また、「許容位相移行推移」は、「許容通過位相推移」は、「非通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相→(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)n→非通過位相」と変化する位相推移を意味する。ただし、「(・・・)n」は丸括弧内に記載された移行群の繰り返し回数を表す正数である。例えば、n=2の場合の許容通過位相推移は、「非通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相→(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)→(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)→非通過位相」と変化する位相推移を意味する。また、「位相移行」とは、ある通過位相から他の異なる通過位相への移行を意味する。したがって、媒体検出手段により検出される検出位相は、例えば正規位相移行推移に従った遊技媒体の投入の場合には、「(非通過位相)s→(第1通過位相)t→(第2通過位相)u→(第3通過位相)v→非通過位相」と変化する。ここで、「s」、「t」、「u」、「v」の各々は正数を表している。(非通過位相)sは、非通過位相がs回検出されることを意味する。同様に、(第1通過位相)t、(第2通過位相)u、(第3通過位相)vは、それぞれ、第1通過位相がt回、第2通過位相がu回、第3通過位相がv回検出されることを意味する。なお、媒体検出手段においてハードウェア的又はソフトウェア的に位相移行の判断がなされて通過位相に対応する情報が出力される場合にあっては、「s」、「t」、「u」、「v」の各々は「1」である。
「遊技進行を停止させる」とは、投入を中止させ、その後の遊技進行が続行できないようにすることを意味する。なお、遊技進行停止手段は、更に投入が中止されたことを報知する構成とすることもでき、この場合、遊技進行は停止されていてもその報知は続行される。
上記の構成であれば、検出位相が正規位相移行推移には従って移行しないが許容位相移行推移に従って移行する場合、つまり、接近流下状態が発生した場合であっても遊技進行が停止されないために、投入すべき個数(通過許可数)の遊技媒体を円滑に投入できる。また、検出位相が正規位相移行推移と異なる場合であって遊技進行が停止されない通過位相移行推移を許容通過位相移行推移に限定することによって、不正行為に対する対策を疎かにすることなく、遊技媒体を投入できる。また、接近流下状態が発生した場合には、1つの遊技媒体の投入と見なすことによって、投入規制手段を投入許可状態から投入禁止状態へ移行させるタイミングを投入禁止移行位相への移行時に限定でき、投入制御の処理プログラムを簡素化できると共にその処理負荷を低減できる。また、接近流下状態が発生した場合に1つの遊技媒体の投入と見なすことによって、接近流下状態で投入された全ての遊技媒体に対して遊技媒体の投入と見なさない場合よりも遊技媒体の飲み込みを低減できる。ここで、遊技媒体の飲み込みとは実際には投入されているにも関わらず投入されたとして投入数に計上されないことを意味する。更に、検出位相の位相移行を今回検出位相と前回検出位相に基づいて判定できるために、投入数の計数において正規位相移行情報のみを参照して位相移行に伴う位相移行推移を確認できる。これによって、正規位相移行推移と異なる許容位相移行推移に対する通過位相の順序列に対応する情報を保持する必要がなく、また、位相移行推移の確認に必要な処理負担を軽減できる。また、2つの遊技媒体が接近流下状態で投入される場合に限らず、3つ以上の遊技媒体が互いに近接流下状態で投入される場合が発生しても接近流下状態の発生に伴い遊技進行が停止されることを防止できる。
手段2.
上記の手段1に記載の遊技機において、
前記投入通路が、互いに独立して遊技媒体を誘導する複数の振分投入通路で構成され、
前記投入規制手段が、前記複数の振分投入通路への遊技媒体の流入規制を振分投入通路別に行い、
前記上流検出手段及び前記下流検出手段が、前記複数の振分投入通路を通過する遊技媒体を振分投入通路別に検出し、
前記検出位相が、前記上流側検出手段による前記複数の振分投入通路の各々における遊技媒体の検出状態と前記下流側検出手段による同一振分投入通路に対応する遊技媒体の検出状態との組合せで指定される前記媒体検出手段の検出状態に実質的に対応する振分投入通路別の振分検出位相を含み、
前記遊技機が、前記投入許可数を前記複数の振分投入通路に振り分けて振分投入通路別の振分投入許可数を決定する振分制御手段(例えば、投入制御基板の投入数振分処理)を更に含み、
前記検出位相更新手段が、振分投入通路別に、前記位相検知手段による振分検出位相の検知に応じて、今回振分検出位相を前回振分検出位相に更新し、前記今回振分検出位相を前記位相検知手段により検知された前記振分検出位相に更新し、
前記今回検出位相が、振分投入通路別の今回振分検出位相を含み、
前記前回検出位相が、振分投入通路別の前回振分検出位相を含み、
位相移行検知手段が、振分投入通路別に、前記検出位相更新手段において更新される前回検出位相と今回振分検出位相との相違に基づいて検出位相の位相移行を検知し、
前記投入数計測手段は、前記複数の振分投入通路のいずれかに対応する前記振分検出位相が前記正規位相推移に従って位相移行して前記正規位相移行推移を一巡した場合及び前記許容位相移行推移に従って位相移行して前記許容位相移行推移を一巡した場合に、1つの遊技媒体の投入完了として前記投入数に計上し、前記複数の振分投入通路の各々に対応する前記振分検出位相が前記正規位相移行推移に従って移行して前記正規位相移行推移を一巡した場合及び前記許容位相移行推移に従って移行して前記許容位相移行推移を一巡した場合に、同一振分投入通路における1つの遊技媒体の投入完了として振分投入通路別の振分投入数に計上し、
前記投入規制制御手段が、前記複数の振分投入通路の各々に対応する前記流入規制を、前記振分投入許可数の決定に応じて投入禁止状態から投入許可状態へ移行させ、前記複数の振分投入通路の各々に対応する前記流入規制を、前記振分投入数と前記振分投入許可数とが実質的に1だけ異なる場合の前記正規位相移行推移に従う移行過程において前記振分検出位相が前記投入禁止移行位相へ移行した場合に、投入許可状態から投入禁止状態へ移行させ、
遊技進行停止手段が、前記正規位相移行推移及び前記許容位相移行推移の少なくとも一方に従わない前記複数の振分投入通路のいずれかに対応する前記振分検出位相の移行に応じて、遊技進行を停止させる構成としている。
上記の構成であれば、複数の振分投入通路の各々における遊技媒体の投入を個別に制御して、複数の振分投入通路で協同して遊技媒体の投入を行うために、投入すべき個数(投入許可数)の遊技媒体を高速で投入できる。なお、複数の振分投入通路の各々における投入に対して、上述のように、不正行為の対策を疎かにすることのない円滑な投入や、投入制御の簡素化や、遊技媒体の飲み込みの低減が実現される。
手段3.
上記の手段2に記載の遊技機において、
前記投入数計測手段が、
前記位相移行検知手段により前記複数の振分投入通路のいずれかに対応する前記振分検出位相の位相移行であると検知された場合に、前記複数の振分投入通路のうち前記振分検出位相の位相移行と検知された振分投入通路に対応する前記振分検出位相の移行が、前記正規位相移行推移及び前記許容位相移行推移の少なくとも一方に従う正常位相移行であるかを検知する正常位相移行検知手段と、
前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行であると検知された場合に、前記振分投入通路に対応する前記振分検出位相の位相移行が、前記第1通過位相への回帰位相移行であるかを検知する回帰位相移行検知手段と、
前記回帰位相移行検知手段により前記回帰位相移行であると検知された場合に、1つの遊技媒体の投入完了として、前記投入数を更新し、かつ、前記振分投入通路に対応する前記振分投入数を更新する投入数更新処理と、
を含み、
遊技進行停止手段が、前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行でないと検知された場合に、前記遊技進行を停止させる構成としている。
上記の構成であれば、振分検出位相が移行したことが検知された場合に、その移行が検知された振分投入通路に対する振分検出位相の移行が正規位相推移及び許容位相推移の少なくとも一方に従う正常位相移行であるかを検知することによって、振分検出位相の変化を投入通路別に簡便に監視できる。また、正常位相移行検知手段によって正常位相移行でないと判定されていない場合に、位相移行検知手段により移行が検知された振分投入通路に対応する振分検出位相の移行が非通過位相への回帰移行であるかを検知することによって、振分検出位相の変化を投入通路別に簡便に監視できる。また、非通過位相への回帰移行の検知された場合に1つの遊技媒体の投入完了と見なして振分投入数に計上することによって、正規位相推移に従った通常の投入の場合と許容位相推移に従った接近流下状態での投入の場合とで共通して投入数及び振分投入数の計測ができる。
手段4.
上記の手段3に記載の遊技機において、
前記投入規制制御手段が、
前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行であると検知された場合に、前記振分投入通路に対応する前記振分検出位相の位相移行が、前記投入禁止移行位相への位相移行であるかを検知する投入禁止移行検知手段と、
前記投入禁止移行検知手段により前記投入禁止移行位相への位相移行であると検知された場合に、前記振分投入通路に対応する前記投入数と、前記振分投入通路に対応する前記振分投入許可数とが実質的に1だけ異なる最終媒体投入状態であるか否かを判定する最終媒体投入判定手段と、
前記最終媒体投入判定手段により前記最終媒体投入状態であると判定された場合に、前記振分投入通路に対応する前記流入規制を投入許可状態から投入禁止状態へ移行させる禁止移行制御手段と、
を含む構成としている。
上記の構成であれば、各振分投入通路において投入すべき個数の遊技媒体を確実かつ高速に投入できる。
手段5.
上記の手段3又は4に記載の遊技機において、
前記正常位相移行検知手段が、
前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行でないと検知された場合に、前記振分投入通路に対応する前記振分通過位相の移行が前記第2通過位相へ位相移行する接近流状態の発生であるかを検知する接近流下検知手段と、
前記接近流下検知手段により前記接近流下状態の発生が検知されていないときに前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行であると検知された場合に、前記正規位相推移情報を参照して、前記正規位相移行推移に従って前記非通過位相、前記第1通過位相、前記第2通過位相及び前記第3通過位相のいずれか1つを参照位相として選択し、前記近接流下検知手段により前記接近流下状態の発生が検知された場合に、前記正規位相推移情報における第1通過位相を参照位相として強制的に設定し、前記近接流下検知手段により前記接近流下状態の発生の検知後に前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行であると検知された場合に、前記正規位相推移情報を参照して、前記正規位相移行推移に従って前記第1通過位相、前記第2通過位相及び前記第3通過位相のいずれか1つを参照位相として選択し、前記回帰位相移行検知手段により前記回帰位相移行であると検知された場合に、前記参照位相を前記正規位相移行推移における前記非通過位相を強制的に設定する参照位相選択手段と、
を更に含む構成としている。
上記の構成であれば、正規位相推移情報及び部分許容位相推移情報を参照することによって、各位相移行が正常な位相移行であるかを簡便かつ確実に検知できる。
手段6.
上記の手段5に記載の遊技機において、
前記正常位相移行検知手段が、
前記接近流下検知手段による前記接近流下状態の発生の検知に応じて、前記接近流下状態の発生中であるか否かを識別する接近流下識別情報を接近流下中を表す値に変更し、前期前記回帰位相移行検知手段による前記回帰位相移行の検知に応じて、前記接近流下識別情報を非接近流下中を表す値に変更する接近流下中識別手段を更に含み、
前記参照位相選択手段が、前記接近流下識別情報が前記接近流下中を表す値でないときに前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行であると検知された場合に、前記正規位相推移情報を参照して前記参照位相を選択し、前記接近流下識別情報が前記非接近流下中を表す値でないときに前記正常位相移行検知手段により前記正常位相移行であると検知された場合に、前記部分許容位相推移情報を参照して前記参照位相を選択する構成としている。
上記の構成であれば、接近流下中であるか否かを含む手段を各位相移行が正常な位相移行であるかを簡便かつ確実に検知できる。
手段7.
上記の手段3〜6に記載の遊技機において、
前記位相移行検知手段が、前記位相検知手段により検知される前記検出位相と前記参照位相選択手段によって選択される前記参照位相とを比較して、前記検出位相の位相移行を検知する構成としている。
上記の構成であれば、位相移行の検知と正常な位相移行の検知とを検出位相と参照位相とに基づいて簡便に行える。
手段8.
上記の手段1〜6に記載の遊技機において、
前記投入通路を流下する遊技媒体を検出する補助媒体検出手段と、
前記補助媒体検出手段による遊技媒体の検出に基づいて、補助投入数を計測する補助投入数計測手段と、
前記補助投入数が前記投入数計測手段により計測される前記投入数以上であるかを検知する投入数比較手段と、
を更に含み、
前記遊技進行停止手段が、前記投入数比較手段により前記補助投入数が前記投入数以上でないと判定された場合に、前記遊技進行を停止させる構成としている。
上記の構成であれば、2種類の媒体検出手段によって計数される投入個数(投入数及び補助投入数)を比較して正常な投入か否かを判断するために、不正具を用いた不正行為に対する対策を更に強化できる。
手段9.
上記の手段8に記載の遊技機において、
前記投入数比較手段は、更に、前記補助投入数計測手段で計測される前記補助投入数が前記投入数計測手段により計測される前記投入数に所定数を加算した許容数以下であるかを検知し、
前記遊技進行停止手段が、前記投入数比較手段により前記補助投入数が前記投入数以上でないと検知された場合と共に前記補助投入数が前記許容数以下でないと検知された場合に、前記遊技進行を停止させる構成としている。
上記の構成であれば、2種類の媒体検出手段によって計数される投入個数(投入数及び補助投入数)による正常な投入か否かの判定を厳しく行えるために、不正具を用いた不正行為に対する対策を更に強化できる。
手段10.
上記の手段8〜9に記載の遊技機において、
前記補助投入数計測手段が、前記検出位相が前記許容位相移行推移に従って位相移行して前記許容位相移行推移を一巡した場合に前記前記補助投入数を補正する構成としている。
上記の構成であれば、接近流下状態の発生に伴い投入数が補助投入数とずれること抑制できる。これによって、不正具を用いた不正行為に対する対策を更に強化できる。
本発明に係る遊技機の最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、遊技機が遊技球体を遊技媒体とする回胴式遊技機(以下、「球式回胴遊技機」と称す)である場合を挙げるが、遊技球体やコイン等を遊技媒体とする遊技機一般に適用できる。また、回胴式遊技機であっても、以下で説明する具体的な形態には限定されず、本発明の主旨から逸脱しない限りにおいて、その設計を適宜に変更してもよい。
〔第1実施形態〕
第1実施形態の球式回胴遊技機の構成について説明する。図1は球式回胴遊技機の一例を表す正面図であり、図2は球式回胴遊技機の内部構成をブロック単位で開放した状態で示す斜視図である。
図1又は図2に示すように、球式回胴遊技機1010は、球式回胴遊技機1010の外殻を形成する外枠1011と、この外枠1011の一側部に開閉可能に支持されたドアブロック1012とを備えている。ドアブロック1012は、ヒンジ1013によって外枠1011に対して開閉可能に取り付けられている。球式回胴遊技機1010の正面から見て左側で上下に延びる開閉軸線を軸心にして、ドアブロック1012を前方側に十分に開放できる。ドアブロック1012は、図2に示すように、球式回胴遊技機1010の前面を構成する前面ブロック1020と、前面ブロック1020に対して後方側へ開閉可能に取着された払出ブロック1030と、前面ブロック1020に対して後方側へ開閉可能に取着され、前面ブロック1020及び払出ブロック1030にて被包される遊技ブロック1040とからなる。
(前面ブロックの構成)
前面ブロック1020は、図2に示されたように、前面パネル1100、前面ブロック枠1200、回胴表示パネル1022、表示パネル押え枠1024、上皿ユニット1300(図1参照)、及び、セレクタ1400(遊技球投入装置)を備える。
前面パネル1100は、図1に示されたように、遊技ブロック1040(図2参照)の前面に設けられた遊技領域を露出するための窓部1102と、窓部1102の上方に設けられた上効果発光部1104と、上効果発光部1104の左右端に設けられた一対の上音響部1106と、一対の上音響部1106の下方に設けられた右中効果発光部1108及び左中効果発光部1110と、中央パネル部1112と、操作パネル部1122が配設されている。
上効果発光部1104、右中効果発光部1108及び左中効果発光部1110は、それぞれ、光を散乱させる散乱カバーで覆われた発光ダイオード(LED)等の発光装置を備えている。上効果発光部1104、右中効果発光部1108及び左中効果発光部1110は、発光装置を遊技の進行に伴い点灯させたり、点滅させたりして、遊技の視覚的な演出や異常発生の視覚的な報知を行う。一対の上音響部1106から遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らすことによって、遊技の聴覚的な演出や遊技状態の聴覚的な報知や異常発生の聴覚的な報知を行う。
中央パネル部1112は、所定の入賞条件や入賞に応じた遊技球の払出個数(賞球数)や遊技方法を表示する情報掲載パネル(図示せず)と、情報掲載パネルの奥側に設けられ、その表示内容を見やすくする蛍光灯1041k(図12参照)と、中央パネル部1112の左側端部に設けられた最小ベットボタンスイッチ1114と、中央パネル部1112の右側端部に設けられた汎用ボタンスイッチ1116,1118とを備えている。汎用ボタン1116,1118の操作に応じて、例えば遊技モードの切替えや液晶画面における表示モードの切替え等が行える。汎用ボタンスイッチ1116等よりもさらに右側方には、前面ブロック開閉用のドアキーシリンダ1202の前面(鍵穴)を露出させるキーシリンダ挿通孔1120が設けられている。
操作パネル部1122は、中央パネル部1112の下方において前方側へ突出するように設けられている。操作パネル部1122には、図1の左側から順に、後述する回胴L,M,R(図13参照)の回転を開始させるための始動レバースイッチ1124と、左回胴Lの回転を停止させるための左回胴停止ボタンスイッチ1126Lと、中回胴Mの回転を停止させるための中回胴停止ボタンスイッチ1126Mと、右回胴Rの回転を停止させるための右回胴停止ボタンスイッチ1126Rと、上皿1302から下皿1128へ遊技球を移動させるための上皿球返却レバー1386を露出させるための小窓孔1130とが設けられている。始動レバースイッチ1124は、遊技者がゲームを開始するときに操作するレバーと、遊技者によるレバーの操作を検出する検出スイッチと、操作後に元の位置に自動復帰させる付勢部とを備える。所定数の遊技球がベットされているときに始動レバースイッチ1124が操作されると、各回胴L,M,Rが一斉に回転を始める。始動レバースイッチ1124の基端部上方には、各回胴L,M,Rの回転準備が整った状態、つまり所定数の遊技球がセレクタ1400(図2参照)にて取り込まれ、始動レバースイッチ1124の操作受付可能な状態を報知するための始動許可表示部が設けられている。また、各回胴停止ボタンスイッチ1126L,1126M,1126Rの周囲には、それらの操作受付可能な状態を報知するための回胴停止ボタンスイッチLED1134L,1134M,1134Rを埋設してある。各回胴停止ボタンスイッチLED1134L,1134M,1134Rは、それぞれ対応する回胴L,M,Rが等速回転しているときに点灯し、対応する回胴L,M,Rの回転が停止すると消灯する。操作パネル部1122の下方には、遊技球を貯留するための下皿1128が配設されている。
下皿1128の奥面には、前面ブロック枠1200に設けた下スピーカ部1204(図2参照)を覆う下スピーカカバー部1136と、上皿1302から下皿1128へ流れてくる遊技球の出口となり、かつ、後述する払出装置1033(図9参照)から直接遊技球が払い出されてくることもある下皿払出口1138とを設けてある。また、下皿1128の前面下部には、下皿1128から下皿1128の下方に配置した図示しない遊技球収容ケース(いわゆるドル箱)に遊技球を落とす操作をするための下皿球抜きレバー1140を設けてある。下皿球抜きレバー1140にて閉塞板1144をスライド操作して開口部1142を開口させることによって、下皿1128から遊技球を落下させることができる。また、下皿1128の左側方には灰皿1146を設けてある。操作パネル部1122及び下皿1128の両側には、それぞれ左下効果LEDカバー部1148及び右下効果LEDカバー部1150を設けてある。左下効果LEDカバー部1148及び右下効果LEDカバー部1150は、それぞれ前面パネル1100の裏側から取り付けられた図示しない発光ダイオード等の発光装置を覆っている。
前面ブロック枠1200は、図2に示すように、前面パネル1100よりも若干小さい矩形状の枠体で、前面パネル1100の裏側にネジ止めされる。前面ブロック枠1200の下部には聴覚的演出用の下スピーカ部1204を取り付けてある。上下にスピーカ部1106(図1参照)及びスピーカ部1204を設けることで臨場感あふれる聴覚的演出を行うことができる。また、前面ブロック枠1200にはドア開閉機構1208を設けてある。ドア開閉機構1208を構成するドアキーシリンダ1202(図1参照)に図示しない鍵を挿入して右側へ回転させると、外枠1011に対して係止する係止爪1210,1210が下方向に回動し、外枠1011に対する係止が解除される。逆に、ドアキーシリンダ1202に図示しない鍵を挿入して左側へ回転させると、払出ブロック1030に対して係止する係止爪1212,1212が下方向に回動し、払出ブロック1030に対する係止が解除される。また、前面ブロック枠1200には、下皿払出口1138に連なる誘導通路1214が設けられている。
回胴表示パネル1022は、無色透明のガラス板で、前面パネル1100の窓孔1102の形状に対応した形状の略台形状とされる。表示パネル押え枠1024は、前面パネル1100との間に回胴表示パネル1022を介在させて前面ブロック枠1200にネジ止めされる。表示パネル押え枠1024は、回胴表示パネル1022の形状に対応した略台形状とされ、所定の奥行きをもって形成される。つまり、前面パネル1100の窓孔1102が中央パネル部1112よりも前方に張り出しており、この張り出し長さに対応した奥行きをもって形成される。
上皿ユニット1300は、図1に示されたように、遊技球を貯留する上皿1302を有する部材で、中央パネル部1112と操作パネル部1122の間の開口を閉塞するように、操作パネル部1122の裏側に取り付けられる。上皿ユニット1300は、上皿ユニット本体1320と、CR操作部1350と、上皿球止め部1360(図5参照)と、上皿球抜き操作部1380から構成される。
上皿ユニット本体1320は、上記の如く上皿1302を有する部材で、所望の深さでかつ図示上左側から右側へと下る傾斜をもって形成される。上皿1302の下流側部分(CR操作部350の下方)には、複数(例えば3つ)に分岐した遊技球案内路1322(図5参照)を設けてある。遊技球案内路1322は、遊技球を整列状態にしてセレクタ1400(図5参照)へ順次案内する。
CR操作部1350は、度数表示部1352、球貸出ボタン1306、球貸出ボタンLED(図示せず)、球貸出スイッチ(図示せず)、カード返却ボタン1308及びカード返却スイッチ(図示せず)を備える。度数表示部1352は、球式回胴遊技機1010に隣接して配置される図示しないCRユニットにカードを挿入することで当該カードの残額に相当する度数を表示する。球貸出ボタン1306、遊技球の貸し出し操作を行うためのボタンである。球貸出スイッチ1356は、球貸出ボタン1306による貸し出し操作を検出するスイッチである。球貸出ボタンLED1354は、遊技球の貸し出しを行える状態であることを点灯により遊技者に報知し、また、遊技球の貸し出しを行っているときには、球貸出ボタンLED1354を点滅させて、遊技球の貸し出しを行っている最中であることを報知する。球貸出ボタンLED1354の点灯中に球貸出ボタン1306が操作されると、所定数の遊技球が上皿1302に貸し出されることとなる。なお、球貸出ボタンLED1354点滅状態のときには球貸出ボタン1306の操作を受け付けない構成とされる。カード返却ボタン1308は、CRユニットに挿入されているカードの返却操作を行うためのボタンである。カード返却スイッチは、カード返却ボタン1308による返却操作を検出するスイッチである。カード返却ボタン1308が操作されると、CRユニットからカードが返却される。
上皿球抜き操作部1380は、球式回胴遊技機1010の前面側に露出された球抜きレバー1386(図6参照)と、球式回胴遊技機1010の内部側に設けられたレバー操作伝達機構とを備える。球抜きレバー1386の操作に応じて、レバー操作伝達機構がセレクタ1400の返却シャッタ1420(図6参照)を移動させる。これにより、上皿1302に貯留された遊技球が下皿1128に払い戻されることとなる。
上皿球止め部1360は、遊技球案内路1322の下側に取り付けられ、遊技球案内路1322からセレクタ1400への入口を開閉するものである。詳しくは、上皿球止め部1360は、故障等によりセレクタ1400を取り替える必要が生じたときに、セレクタ1400を取り外しても、上皿1302から遊技球が毀れ落ちないようにする。
セレクタ1400は、上皿1302及びセレクタ1400の上面に貯留されている遊技球を、最小ベットボタンスイッチ1114(図1参照)及び最大ベットボタンスイッチ1304(図1参照)の操作に応じて所定数だけ球式回胴遊技機1010の内部に取り込んだり、上皿球抜き操作部1380の操作に応じて下皿1128(図1参照)に払い戻したりする。図3は、セレクタの一例を表す斜視図であり、図4は、セレクタの一例を表す部分分解斜視図である。具体的には、セレクタ1400は、図3及び図4に示されたように、上皿1302の複数の遊技球案内路1322(図5参照)に1つずつ対応した複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cと、上皿1302から下皿1128への遊技球の流下を規制する返却シャッタ1420と、返却シャッタ1420の基準位置からの並進移動を検知する返却スイッチ1441が設けられた返却スイッチ基板1440と、中空突出部1408を含み返却シャッタ1420の一端及び返却スイッチ基板1440を被覆する基板カバー1450と、中空突出部1480の内部に配置され返却シャッタ1420を基準位置に戻すコイルバネ(図示せず)と、主制御基板1045aと複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cとの間の電気信号の伝達を中継するセレクタ中継端子板1462及びセレクタ中継端子板1462を被覆する中継端子板カバー1464を含むセレクタ中継装置1460とを備えている。このセレクタ1400は、ベット操作に応じた所定数の遊技球を複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cに分散させて同時に投入することによって、単一の遊技球投入部のみを備える場合に比べて投入動作(ベット動作)を迅速に行える。
ここで、上皿球抜き操作部1380、上皿球止め部1360及びセレクタ1400について詳細に説明する。図5は、セレクタ1400及び上皿球止め部1360の一例を後方側から見た縦断面図である。図6は、セレクタ1400及び上皿球抜き操作部1380の一例の一部横断面図である。図7は、セレクタ1400及び上皿球止め部1360の一例を後方側から見た縦断面図である。図8は、セレクタ1400及び上皿球抜き操作部1380の一例の一部横断面図である。図5及び図6には、投入フリッカが投入禁止状態であり、返却シャッタが返却禁止状態である場合が示されており、図7及び図8には、投入フリッカが投入禁止状態であり、返却シャッタが返却許可状態である場合が示されている。なお、以下において、遊技球投入部1410b,1410cは、遊技球投入部410aと略同一の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
上皿球止め部1360は、図5及び図7に示されたように、ケーシング1361と、ケーシング1361に90度の回転範囲内で回動自在に設けられた軸部材1362と、軸部材1362の端に設けられた図示しない操作ハンドルと、軸部材1362の回動に応じて移動自在な開閉部材1363とを備えている。軸部材1362は、操作ハンドルと反対側の先端に、周方向に概ね90度の間隔を隔てて形成された押圧部1375a,1375bを備える。各押圧部1375a,1375bは舌片状に形成され、それぞれ軸部材1362の半径方向に突出している。開閉部材1363は、複数の貯留通路1402の各々を閉じるための複数の閉塞部1376と、開閉部材を移動させる応力を受ける被押圧部1378a、1378bとを備える。
図5及び図7に示された状態は、押圧部1375aが被押圧部1378aを押圧して開閉部材1363が右側に移動させられている状態であり、この状態において、複数の貯留通路1402の各々への遊技球の流入が許可される。図5及び図7に示された状態から操作ハンドルの操作により軸部材1362が図5及び図7の紙面上方から見て時計回りに回転させられると、押圧部1375bが略水平方向を向いて開閉部材1363の被押圧部1378bを押圧する。これにより、開閉部材1363が左側に移動して、閉塞部1376が貯留通路1402の入口の大きさが狭まる。この状態において、複数の貯留通路1402の各々への遊技球の流入が禁止される。なお、この状態においては、上皿1302及び遊技球案内路1322に遊技球が貯留された状態でセレクタ1400を取り外してもそれらの遊技球は毀れ落ちない。逆に、この状態から操作ハンドルの操作により軸部材1362が反時計回りに回転させられると、複数の貯留通路1402の各々への遊技球の流入が許可される。
上皿球抜き部1380は、図6及び図8に示されたように、CR操作表示部1350(図1参照)を介して上皿ユニット本体1320(図1参照)の下側に取り付けられるベース部1381と、ベース部1381に立設した支軸1382,1383を中心に回動する回動片1384及び押圧片1385と、ベース部1381の前面に沿ってスライドする上皿球返却レバー1386とを有する。回動片1384の基部1384aには上皿球返却レバー1386に枢着される連結部1384bを設けてある。また、回動片1384の基部1384aは、コイルバネ1387を介してベース部1381に連結される。回動片1384の先端部には二又状の把持部1384cを設けてある。把持部1384cは、押圧片1385の基部1385aに設けた凸部1385bを摺動自在に把持する部位である。押圧片1385の先端部には、セレクタ1400の返却シャッタ1420を押圧する押圧部1385cを設けてある。セレクタ1400の中空突出部1408には、返却シャッタ1420を押圧片1385側へ押圧するコイルバネを格納してある。
図6に示された状態は、上皿球返却レバー1386が操作されていない状態である。つまり、コイルバネ1387にて回動片1384が反時計回りに引っ張られると共に、回動片1384にて押圧片1385が時計回りに引っ張られて、押圧部1385cが返却シャッタ1420の片端部から離れている状態である。この状態では、返却シャッタ1420は中空突出部1408の内部に配置されたコイルバネ1430の付勢力により基準位置にある。この状態から上皿球返却レバー1386を摘んで図の下向き(実際には球式回胴遊技機1010の正面から見て右側から左側)に動かすと、図8に示されたように、上皿球返却レバー1386に随伴して回動片1384が時計回りに回転すると共に、回動片1384にて押圧片1385が反時計回りに回転させられ、押圧部1385cが返却シャッタ1420を押圧する。これによって返却シャッタ1420が移動する。この状態で上皿球返却レバー1386から手を離すと、中空突出部1408に配置されたコイルバネの付勢力によって返却シャッタ1420が前方側へ押圧され、図6に示された状態に戻る。
セレクタ1400は、上記で図3及び図4を参照して説明したように、複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cと、返却シャッタ1420と、返却スイッチ基板1440と、基板カバー1450と、返却シャッタ1420を基準位置に戻すコイルバネ(図示せず)と、セレクタ中継装置1460とを備えている。
セレクタ1400の遊技球投入部1410aは、図3及び図4に示されたように、ケーシング1411とカバー1412からなる樹脂製の筐体を備える。ケーシング1411の外表面は、隣接する遊技球投入部1410bのカバー1412に対する取付面になっており、遊技球投入部1410aのカバー1412の外表面は、基板カバー1450に対する取付面になっている。ケーシング1411とカバー1412とを組み付けると、貯留通路1402を構成する樋状部1417が形成される。遊技球投入部1410aは、この筐体の内部に、図5及び図7に示されたように、投入フリッカ1413a(投入規制手段の一種)と、投入ソレノイド1414a(投入規制手段の一種)と、通過センサ1415aと、カウントセンサ1416aとを備える。また、遊技球投入部1410aの内部には、貯留通路1402aの下流側には、斜め下方へ延びる返却通路1404aと、ほぼ鉛直下向きに延びる投入通路1406aとが形成されている。
投入フリッカ1413aは、貯留通路1402aから投入通路1406aへの遊技球の流入を規制する。投入フリッカ1413aは、基端側部分1413a1と先端側部分1413a2が支軸1413a3にて回転可能に連結されている。投入フリッカ1413aの基端側部分1413a1及び先端側部分1413a2は、それぞれケーシング1411aの支軸1411a1,1411a2にて回転可能に支持される。投入フリッカ1413aの基端部には、投入ソレノイド1414aの舌片1414a1を把持する把持部1413a4を設けてある。また、投入フリッカ1413aの先端部には、投入通路1406aを開閉するための開閉部1413a5を設けてある。
投入ソレノイド1414aは、ベットボタンスイッチ1114,1304の操作により通電されて作動し、ピストン(プランジャ)1414a2を上方へ縮まらせるものである。ピストン1414a2の先端には、つまみ部1414a3を装着してある。つまみ部1414a3はピストン1414a2の半径方向に延びる上記舌片1414a1を有する。また、ピストン1414a2には、コイルバネ1414a4を外装してある。コイルバネ1414a4は、投入ソレノイド1414aの本体部分1414a5とつまみ部1414a3とを離間させる方向に付勢している。つまり、投入ソレノイド1414aへの通電を切ったときに、コイルバネ1414a4の付勢力により、ピストン1414a2が下方へ伸びるようになっている。
ベットボタンスイッチ1114,1304を押すと投入ソレノイド1414aに通電され、ピストン1414a2が縮まって投入フリッカ1413aの基端側部分1413a1を図示上反時計回りに回転させる。これと同時に投入フリッカ1413aの先端側部分1413a2は図示上時計回りに回転して投入通路1406aを開き、貯留通路1402aに待機している遊技球が自然落下可能な状態(投入許可状態)となる。逆に、投入ソレノイド1414aの通電を切ると、コイルバネ1414a4の付勢力によりピストン141a2が伸びて投入フリッカ1413aの基端側部分1413a1を図示上時計回りに回転させる。これと同時に投入フリッカ1413aの先端側部分1413a2は図示上反時計回りに回転して開閉部1413a5にて投入通路1406aを閉じ、遊技球が自然落下不可能な状態(投入禁止状態)となる。
通過センサ1415aは、投入通路1406aであって投入フリッカ1413aの開閉部1413a5のすぐ下流側に配置され、遊技球が正常に取り込まれたか否かを検知するためのものである。通過センサ1415aは、投入フリッカ1413aの先端側部分1413a2を取り囲むように横断面略コ字形状とされ、投入フリッカ1413aよりも前面側又は背面側のいずれか一方側に発光素子を設け、他方側に受光素子を設けた構成とされる。また、発光素子及び受光素子はそれぞれ上下一対でかつ遊技球1個分の径よりも短い間隔で設けてある。上流側素子1415a1にて遊技球を検知したのち上側及び下流側素子1415a1,1415a2にて同時に遊技球を検知し、次いで下流側素子1415a2のみ遊技球を検知することが所定時間内に行われたときは、遊技球が正規に取り込まれたと判定される。逆に、上流側素子1415a1にて遊技球を検知したのち所定時間経過しても下流側素子1415a2が遊技球を検知しないときや、下流側素子1415a2にて遊技球を検知した後に上流側素子1415a1及び下流側素子1415a2にて同時に遊技球を検知し、次いで上流側素子1415a1のみ遊技球を検知したときは、遊技球が不正な手段にて投入されたと判定し、球式回胴遊技機1010にエラーが発生した旨を報知すると共に遊技が禁止されるようになっている。故に、例えば、不正具を用いてあたかも遊技球が取り込まれたようにするなどの不正行為が防止できるようになっている。通過センサ1415aにて正常な通過を検知した遊技球の個数が遊技球投入部1410aにて投入される投入許可数よりも1つ少ない状態(例えば4個、9個又は14個)で上流側素子1415a1が最終の遊技球を検知した場合に、投入ソレノイド1414aの通電が切られ、投入フリッカ1413aの開閉部1413a5が投入通路1406に突出し、貯留通路1402から投入通路1406への遊技球の構成になっている。
カウントセンサ1416aは、遊技球投入部1410aにて投入された遊技球を通過センサ1415aとは別個に計数する。カウントセンサ1416aは、通過センサ1415aとは異なる作用によって遊技球の通過を検出する。カウントセンサ1416aによって計数された遊技球の個数が通過センサ1415aによって正常な通過と判定された遊技球の個数未満である場合には、ベットエラーとされることとなる。これにより不正行為を更に防止できるようになっている。具体的には、通過センサ1415aは光学センサであるが、カウントセンサ1416aは磁気センサである。カウントセンサ1416aとして磁気センサを用いた場合、通過したものが鉄材料であるか否かを判定できる。これにより、正常な遊技球と異なる安価な樹脂製の遊技球等が投入することによって遊技を行う不正行為を更に良好に防止できる。
返却シャッタ1420は、複数の遊技球案内路1322の各々に1つずつ対応した複数の窓孔1422を有し、各窓孔1422の側方に各貯留通路1402と返却通路1404a,1404b,1404cを遮断する遮断壁1424a,1424b,1424cを有する。また、各窓孔1422a,1422b,1422cの下部には貯留通路1402a,1402b,1402c側へ延在する舌片1426a,1426b,1426cを設けてある。各舌片1426a,1426b,1426cは、貯留通路1402a,1402b,1402cから各窓孔1422a,1422b,1422cに遊技球を案内する部位である。上皿球返却レバー1386が操作されていない場合には、返却シャッタ1420は基準位置にあり、返却シャッタ1420の遮断壁1424にて複数の貯留通路1402の各々から複数の返却通路1404への遊技球の流入が禁止されている。一方、上皿球返却レバー1386が操作されて返却シャッタ1420の押圧部1385cが押圧されると、返却シャッタ1420が基準位置から移動し、返却シャッタ1420の各窓孔1422a,1422b,1422cを介しての貯留通路1402から返却通路1404への遊技球の流入が許可される。これによって、遊技球が上皿1302から返却通路1404a,1404b,1404cを経て下皿1128へ流れる。このとき、返却シャッタ1420の基準位置からの移動が返却スイッチ基板1440の返却スイッチ1441(図4参照)にて検知され、この検知結果に基づき、最小ベットボタンスイッチ1114及び最大ベットボタンスイッチ1304の操作受付を不能にする状態が発生する。
セレクタ中継端子板1462は、通過センサ1415aやカウントセンサ1416aの検出結果を後述する主制御装置1045に送信するものである。
(払出ブロックの構成)
払出ブロック1030は、図2に示されたように、前面ブロック1020に対して開閉自在に取り付けられている。払出ブロック1030の開閉軸線は球式回胴遊技機1010の正面からみて左側で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして払出ブロック1030が後方側に十分に開放できるようになっている。払出ブロック1030は、ドア開閉機構1208にて前面ブロック1020とロックされる。詳しくは、ドア開閉機構1208の係止爪1212,1212が払出ブロック1030の係合部1031a,1031aに係止しており、図示しないドアキーをドアキーシリンダ1202に差し込んで左に回転させることで係止爪1212,1212の係止を解除する構成とされる。また、払出ブロック1030は、ワンタッチ式の止め具1031bを有し、この止め具1031bによっても前面ブロック1020と連結される。
図9は払出ブロック1030の一例を表す部分分解斜視図である。払出ブロック1030は、図9に示されたように、払出ブロック本体1031に、貸出用及び賞球用としての遊技球を貯留する遊技球タンク1032と、遊技球を払い出す払出装置1033と、遊技球タンク1032から払出装置1033へと遊技球を案内するタンクレール1034及びケースレール1035と、払出中継端子板1036と、遊技球の払出動作を制御する払出制御装置1037と、遊技球の電源を制御する電源制御装置1038と、球式回胴遊技機1010を前記CRユニットに接続するためのCRユニット接続端子板1039と、を取り付けた構成とされる。
払出ブロック本体1031は、その中央に後方側へ張り出して遊技ブロック1040(図2参照)を被包する保護カバー部1031cと、この保護カバー部1031cを取り囲むように、遊技球タンク1032、タンクレール1034、ケースレール1035、払出装置1033、払出中継端子板1036、CRユニット接続端子板1039、払出制御装置1037及び電源制御装置1038が装着されている。払出ブロック本体1031には、払出装置1033から遊技球を上皿1302へ案内する上皿誘導通路1031dと、払出装置1033から遊技球を下皿1128へ案内する下皿誘導通路1031eと、払出装置1033から遊技球を球式回胴遊技機1010の外部へ排出する排出通路1031fが形成されている。下皿誘導通路1031eは、上皿誘導通路1031dが遊技球で溢れたときに、払出装置1033から遊技球が導入される。上皿誘導通路1031d及び下皿誘導通路1031eは、それぞれ、上皿払出口1312及び下皿払出口1138に連通している。
払出ブロック本体1031には、回転軸部1031gは上下一対で設けてある。各回転軸部1031gは、払出ブロック本体1031からブラケット1031hが略水平方向に延び出しており、このブラケット1031hから下方に突出している。前面ブロック1020には、この回転軸部1031gを落とし込む環状の軸受部(図示せず)を設けてあり、前面ブロック1020と払出ブロック1030の着脱が容易な構成となっている。
遊技球タンク1032は、上方に開口した横長の箱型容器で、遊技機設置島内の遊技球循環設備から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク1032の底部は緩やかに傾斜している。遊技球タンク1032の底部の下流側端部はタンクレール1034へ遊技球を送るために開口している。
タンクレール1034は、遊技球タンク1032の下方に取り付けられ、横方向4列の樋状通路(図示せず)を有する。樋状通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜している。タンクレール1034には、遊技球が積み重なって流れないように整流する4つの振り子1034a,1034bが2行2列で取り付けられている。振り子1034a,1034bの下流側には、タンクレール1034からケースレール1035へ遊技球が流れるのを阻止するための球止めレバー1034cを取り付けてある。
ケースレール1035は、タンクレール1034の下流側に縦向きに配置されている。ケースレール1035は、遊技球が勢いよく流れないように波状のうねりをもって左右に湾曲した球通路1035aを有し、その上部には、球切れ検出装置1035bを組み付けてある。球切れ検出装置1035bは、ケースレール1035の内部に遊技球が十分にないこと、つまりケースレール1035よりも上流側で球詰りが発生してケースレール1035に遊技球が十分に補給されていないことを検出する。この球切れ検出装置1035bの検出結果に基づき、球詰りエラーが報知される。なお、ケースレール1035は、タンクレール1034の樋状通路の個数に対応して前後方向に複数(例えば4つ)連結させた状態で配設してある。
払出装置1033は、所定の入賞条件を満たすことで、或いは図示しないCRユニットにカードを挿入した状態で球貸出ボタン1306を押すことで、所定数の遊技球を払い出すためのものである。この実施形態では、パチンコ機の最大の賞球数が15球であるのに対し、球式回胴遊技機1010の最大の賞球数は75球であり、パチンコ機に比べて球式回胴遊技機10の最大の賞球数が多いという観点から、パチンコ機よりも払出装置1033を多く設け、賞球の払い出しを迅速に行えるようにしている。つまり、パチンコ機は2つの払出装置1033を備えていれば遊技を迅速に進行できたが、球式回胴遊技機1010の場合は賞球数が多くかつ賞球が全て払い出されなければ次のゲームを開始できないという制約があるので、本実施形態では、4つの払出装置1033を前後方向に併設して賞球の払い出しの迅速化を図り、遊技を遅滞なく進行できるようにしてある。
取付台1036a,1036bは、2つ割りの構成とされ、上皿誘導通路1031d及び下皿誘導通路1031eに連なる球通路1036a1,1036b1を有し、右側に排出通路1031fに連なる球通路1036a2,1036b2を有する。一方の球通路1036a1,1036b1の上部は、それぞれ上皿誘導通路1031d側にやや傾いて下皿誘導通路1031eよりも上皿誘導通路1031dに遊技球を導きやすくなっている。また、一方の球通路1036a1,1036b1の下部は、上皿誘導通路1031d及び下皿誘導通路1031eを跨ぐように、テーパー状に末広がりとなっている。他方の球通路1036a2,1036b2は、背面側の球通路1036a2が前面側の球通路1036b2に合流し、前面側で排出通路1031fに連なるよう構成されている。
図10(A)〜(C)は払出装置の構成の一例を示す縦断面図である。図10(A)が払出中でない場合、図10(B)が上皿へ遊技球を払出中である場合、図10(C)が遊技機の外部へ遊技球を排出中である場合を表している。
払出装置1033は、図10(A)に示されたように、ケーシング1033aと図示しないカバーからなる樹脂製の筐体を有し、この筐体の内部に、払出フリッカ1033bと、払出ソレノイド1033cと、切換片1033gとを備える。ケーシング1033aの内部には、球通路1033dと、球通路1033dの下流側でほぼ鉛直下向きに延びる払出通路1033eと、払出通路1033eの途中から分岐して斜め下方へ延びる排出通路1033fとが形成されている。切替片1033gは、払出通路1033eから排出通路1033fへの分岐部に配設されている。通常は切替片1033gはほぼ鉛直上向きに維持されているために、遊技球は排出通路1033fには流入しない。
払出フリッカ1033bは、球通路1033dを開閉するための部材である。払出フリッカ1033bは、基端側部分1033b1と先端側部分1033b2が支軸1033b3にて回転可能に連結されている。払出フリッカ1033bの基端側部分1033b1及び先端側部分1033b2は、それぞれケーシング1033aの支軸1033a1,1033a2にて回転可能に支持される。払出フリッカ1033bの基端部には、払出ソレノイド1033cの舌片1033c1を把持する把持部1033b4を設けてある。また、払出フリッカ1033bの先端部には、球通路1033dを開閉するための開閉部1033b5を設けてある。
払出ソレノイド1033cは、所定の入賞条件を満たすことにより、或いは図示しないCRユニットにカードを挿入した状態で球貸出ボタン1306を押すことにより通電されて作動し、ピストン(プランジャ)1033c2を上方へ縮まらせるものである。ピストン1033c2の先端には、つまみ部1033c3を装着してある。つまみ部1033c3はピストン1033c2の半径方向に延びる上記舌片1033c1を有する。また、ピストン1033c2には、コイルバネ1033c4を外装してある。コイルバネ1033c4は、払出ソレノイド1033cの本体部分1033c5とつまみ部1033c3とを離間させる方向に付勢している。つまり、払出ソレノイド1033cへの通電を切ったときには、ピストン1033c2は、コイルバネ1033c4の付勢力により下方へ移動する。
図10(A)に示すように、球通路1033dが払出フリッカ1033bの開閉部1033b5にて閉鎖された状態で、所定の入賞条件が成立したり、或いは度数表示部1352に残度数がある状態で球貸出ボタン1306が押されたりすると、払出ソレノイド1033cに通電される。そうすると、図10(B)に示すように、ピストン1033c2が縮まって払出フリッカ1033bの基端側部分1033b1を図示上反時計回りに回転させる。これと同時に払出フリッカ1033bの先端側部分1033b2は図示上時計回りに回転して球通路1033dを開き、遊技球が自然落下可能な状態となる。逆に、払出ソレノイド1033cの通電を切ると、コイルバネ1033c4の付勢力によりピストン1033c2が伸びて払出フリッカ1033bの基端側部分1033b1を図示上時計回りに回転させる。これと同時に払出フリッカ1033bの先端側部分1033b2は図示上反時計回りに回転して球通路1033dを閉じ、遊技球が自然落下不可能な状態、つまり図10(A)に示す状態に戻る。
また、払出装置1033には、横断面略コ字形状のカウントセンサ1033hを装着してある。カウントセンサ1033hは、払出フリッカ1033bの開閉部1033b5のすぐ下流側に配置され、球通路1033dを落下する遊技球を計数するためのものである。カウントセンサ1033hにて検知した遊技球の個数が所定値(例えば35個、75個、125個又は250個)に達すると、払出ソレノイド1033cの通電が切られ、払出フリッカ1033bにて球通路33dを閉鎖する構成になっている。
また、払出ソレノイド1033cの下方には、つまみ部1033c3を上下動させるための略L字形状の押圧片1033iを設けてある。押圧片1033iは、ケーシング1033aの支軸1033a3に回転自在に取り付けられており、先端部1033i1にてつまみ部1033c3を上方へ押圧するものである。
ケーシング1033aの外部には、略扇形状の操作レバー1033j(図9参照)を配設してある。図10(A)〜図10(C)において、操作レバー1033jは回転軸1033a4を中心に回転可能である。操作レバー1033jには、切替片1033gの中間部に設けた突起部1033g1と、押圧片1033iの基端部に設けた突起部1033i2とを連結してある。つまり、操作レバー1033jを回転操作すると、切替片1033gと押圧片1033iが連動する構成になっている。操作レバー1033jを図示上反時計回りに操作すると、図10(C)に示すように、切替片1033gにて払出通路1033eが閉鎖されると共に球通路1033dと排出通路1033fが連通する。一方で、押圧片1033iにて払出ソレノイド1033cのつまみ部1033c3が押し上げられ、払出フリッカ1033bが球通路1033dを開く。タンクレール1034に設けた球止めレバー1034cにて遊技球が流れるのを阻止しつつ操作レバー1033jを上記の如く操作すると、球止めレバー1034cから下流側の遊技球が球式回胴遊技機1010の外部に排出される。払出装置1033やケースレール1035が故障した場合には、上記のように球止めレバー1034cから下流側の遊技球を球式回胴遊技機1010の外部に排出した状態で払出装置1033やケースレール1035(図9参照)を取り替えることができる。
払出制御装置1037は、図9に示されたように、賞球や貸出球の払い出しを制御するもので、周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む払出制御基板1037a(図15参照)を具備している。
電源制御装置1038は、各種制御装置等で要する所定の電源電圧を生成し出力するものである。また、電源制御装置1038には、電源制御基板1038’と、電源スイッチ1038aと、RAM消去用のリセットスイッチ1038b、打止切替スイッチ1038c、及び、設定変更キーシリンダ(図示せず)が設けられている。電源スイッチ1038aは、オンされるとCPUを始めとする各部に電源を供給する。リセットスイッチ1038bはこれを押しながら同時に電源スイッチ1038aをオンするとRAMの内容がリセットされ、電源スイッチ1038aがオンされている状態で押されるとエラー状態がリセットされる。打止切替スイッチ1038cは、ビッグボーナスの終了時点で遊技を一時停止するか否かを切り替えるためのものである。設定変更キーシリンダ1038dは、設定変更装置を構成するものである。前記設定変更装置は、球式回胴遊技機1010の出球率が予め複数段階(例えば6段階)に定められており、出球率をいずれかの段階に設定するものである。設定変更の手順は次の通りである。まず、電源スイッチ1038aをオフにした状態で、設定変更キーシリンダに図示しない設定変更キーを挿入して時計回りに90度回転させる。この状態で、電源スイッチ1038aをオンにすると、後述する遊技ブロック1040の前面の7セグメントLED表示部1041g(図12参照)に現在の出球率(設定)が数値「1」〜「6」のいずれかで表示される。次いで、リセットスイッチ1038bを押していくと、7セグメントLED表示部1041gに表示される数字が変化して1ずつ増加していく(但し、「6」の場合には「1」に戻る。)。7セグメントLED表示部1041gに「1」〜「6」のいずれかの数字を表示させた状態で、始動レバースイッチ1124(図1参照)を押下すると、出球率(設定)が確定される。
CRユニット接続端子板1039は、球式回胴遊技機1010の前面の球貸出ボタン1306(図1参照)及び図示しないCRユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置1037に出力するものである。なお、CRユニットを介さずに球貸し装置等から上皿1302(図1参照)に遊技球が直接貸し出される現金機では、CRユニット接続端子板39は不要である。
払出制御装置1037及び電源制御装置1038は、透明樹脂材料等よりなる基板ケースにそれぞれ制御基板を収容した構成とされる。
(遊技ブロックの構成)
遊技ブロック1040は、図2に示されたように、前面ブロック1020に対して開閉自在に取り付けられている。遊技ブロック1040の開閉軸線は払出ブロック1030の開閉軸線と同じで、払出ブロック1030と同様に、落とし込み構造にて開閉自在及び着脱自在に取り付けてある。また、遊技ブロック1040は、ワンタッチ式の止め具1040aを有し、この止め具1040aによって払出ブロック1030と連結固定される。なお、払出ブロック1030側には、止め具1040aを引っ掛けるための止め金具1031iを固着してある。つまり、遊技ブロック1040は、払出ブロック1030と一体になって前面ブロック1020に対して開閉され、払出ブロック1030との連結を解除してから払出ブロック1030に対して前方側へ回動する構成とされる。遊技ブロック1040は、球式回胴遊技機1010の中核をなす主要なブロックで、このような遊技ブロック1040を上記の如く着脱容易な構成とすることで、遊技ブロック1040の取り替えが可能となる。遊技ブロック1040を取り替えることで、全く別の遊技性をもった遊技機に変えることができ、遊技機の新台入替えの低コスト化を図ることができる。
図11は、遊技ブロックの一例を表す部分分解斜視図である。遊技ブロック1040は、図11に示されたように、前面パネル1100の窓孔1102(図1参照)を介して視認される遊技パネル1041を有する。遊技パネル1041は、上下一対の窓孔1041a,1041bを含む。上側の窓孔1041aに対応して遊技パネル1041の裏側に液晶表示装置1042が取り付けられており、液晶表示装置1042の表示画面は上側の窓孔1041aを介して視認できる。また、下側の窓孔1041bに対応して遊技パネル1041の裏側に回胴ユニット1043が取り付けられており、回胴ユニット1043による図柄表示が下側の窓孔1041bを介して視認できる。また、遊技パネル1041の裏側には、回胴ユニット1043の一側方に主取付台1044を介して主制御装置1045が取り付けられ、液晶表示装置1042の後方に副取付台1046を介して副制御装置1047が取り付けられている。主制御装置1045は、遊技パネル1041と直交するように縦長状に配置される。
図12は遊技ブロック1040の正面図である。なお、図12では便宜上回胴ユニット1043から複数(例えば21個)の図柄を一列に付した、帯状の図柄シール1043L,1043M,1043R(図13参照)を取り外した状態を示している。
遊技パネル1041の下側の窓孔1041bからは、各回胴L,M,Rに貼り付けられる図柄シール1043L,1043M,1043Rの図柄のうちそれぞれ3つずつ下側の窓孔1041bから露出される。なお、図12においては、左右一対の9組のLED1043L1,1043M1,1043R1が3行3列で露出している。
遊技パネル1041の下側の窓孔1041bの左側方には、有効ライン表示部1041cを設けてある。有効ライン表示部1041cは、1ベット表示部1041c1と、その上下に配置された2ベット表示部1041c2,1041c2と、最上段と最下段に配置された3ベット表示部1041c3,1041c3とを含む。遊技球のベット数に応じて、所定のベット表示部1041c1〜1041c3が点灯する。
遊技パネル1041の上側の窓孔1041aの両側には、電動役物1041d,1041eが配設されている。また、下側の窓孔1041bの右側方には、上から順に、電動役物1041f、7セグメントLED表示部1041g、LED表示部1041hが配設されている。これらの電動役物1041d,1041e,1041fは、遊技上の演出やビッグボーナス又はレギュラーボーナスの確定報知などに使用される。7セグメントLED表示部1041gは、遊技球のベット数や払出数、エラーコード、ボーナス中の総払出数、設定変更時の6段階の設定などを表示する部位である。LED表示部1041hには、4つのLEDが配設されている。そのうち上3つのLEDはベット数表示部1041h1を構成する。ベット数表示部1041h1は、セレクタ1400に投入された遊技球数に対応する個数のLEDを点灯させてベット数を1〜3の範囲内で表示するものである。残る1つのLEDは、再遊技表示部1041h2である。再遊技表示部1041h2は、図14に示す図柄シール1043L,1043M,1043Rの図柄のうちリプレイ図柄(略扇形の枠内に「再」と表示した図柄)が有効ライン上に揃ったときに点灯し、次の単位遊技を遊技球のベットなしで遊技できることを報知するものである。なお、リプレイ図柄が有効ライン上に揃ったのち所定時間経過後に始動レバースイッチ1124を押下すると回胴L,M,Rの回転に伴って、再遊技表示部1041h2は消灯する。
また、下側の窓孔1041bの下方には、中央パネル部1112から露出される情報掲載パネル(図示せず)が取り付けられる。この情報掲載パネルの片端には、証紙1041iと型式名シール1041jが貼付される。また、この情報掲載パネルの内側には、破線で示すように、前記情報掲載パネルを後方側から照らすための蛍光灯1041kが配設される。
液晶表示装置1042は、通常遊技中の小役当選の報知演出や遊技状態が通常遊技状態からボーナス状態に遷移することを示唆するための示唆演出、ビッグボーナス又はレギュラーボーナス中の演出、ボーナス中の小役ゲーム数やJACゲーム数の表示、特定の遊技状態(例えば、リプレイが当選しやすいRT状態)であることを報知する演出、回胴停止ボタンスイッチ1126L,1126M,1126Rの押下のタイミングや押下順を報知する演出などを行う。
図13は、回胴ユニット1043の一例の部分解斜視図である。回胴ユニット1043は、図13に示されたように、3つの回胴(いわゆるリール)L,M,Rを有し、各回胴L,M,Rを回胴ユニット枠1043aに収納したものである。各回胴L,M,Rは、実質的に同一の構成であるために、右回胴Rを例に挙げて説明する。
右回胴Rは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材1043R2の外周面に21個の図柄(識別要素)が等間隔で描かれた図柄シール1043Rを巻き付けたものであり、円筒骨格部材1043R2を円盤状の補強板1043R3を介して右回胴用ステッピングモータ1043R4の回転軸1043R5に取り付けてある。
右回胴用ステッピングモータ1043R4は、回胴ユニット枠1043aの内部に垂設されるモータプレート1043R6にネジ止めされており、このモータプレート1043R6には発光素子と受光素子とが一対となった回胴位置検出センサ1043R7が設置されている。回胴位置検出センサ1043R7を構成する一対のフォトセンサ素子(図示はしない)は、所定の間隔を保持してセンサ筐体内に配される。
円筒骨格部材1043R2の5つの車輻1043R8のうちの1つには、軸方向に延び出したセンサカットバン1043R9を取り付けてある。このセンサカットバン1043R9は、回胴位置検出センサ1043R7の両素子の間隙を通過できるように位置合わせがなされている。そして、右回胴Rが1回転するごとにセンサカットバン1043R9の先端部の通過を回胴位置検出センサ1043R7が検出し、検出ごとに主制御装置1045に検出信号を出力する。主制御装置1045はこの検出信号に基づいて右回胴Rの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
ステッピングモータ1043R4は、504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)により右回胴Rが1周するように設定されており、この励磁パルスによって回転位置が制御される。すなわち、右回胴Rが1周すると21図柄が順々に遊技パネル1041の下側の窓孔1041bから露出するため、ある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、回胴位置検出センサ1043R7の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が窓孔1041bから露出しているかを認識したり、任意の図柄を窓孔1041bから露出させたりする制御を行うことができる。ステッピングモータ1043R4として、この実施形態では、1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータを使用している。ステッピングモータ1043R4はハイブリッド型や2相に限らず、3相のステッピングモータや5相のステッピングモータなど、種々のステッピングモータを使用することができる。ステッピングモータ1043R4に対する駆動信号(駆動信号用データ)は、励磁データとしてモータドライバ1070(図15参照)に与えられる。
主制御装置1045は、球式回胴遊技機1010の主たる制御を司るもので、具体的には、始動レバースイッチ1124からの信号を受信して成立役(ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役、リプレイ)の抽選を行い、当該抽選結果に基づき副制御装置1047及び払出制御装置1037に指令信号を発する。主制御装置1045の構成は、図15に示すように、主たる制御を司るCPU1045a1、遊技プログラムを記憶したROM1045a2、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM1045a3、各種機器との連絡をとる入出力ポート1045a4、各種抽選の際に用いられる乱数発生回路1045a5、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路1045a6等を含む主制御基板1045aと、この主制御基板1045aを収容する透明樹脂材料等よりなる基板ケース1045b(1045b1,1045b2)(図11参照)とからなる。
副制御装置1047は、主制御装置1045から発せられる指令信号(コマンド)に基づき、LEDカバー部1104(図1参照)等の各種LEDカバー部にて被覆される図示しない遊技演出用の発光装置(LED)の点灯・点滅や上下スピーカ1106,1204(図1参照)から発せられる効果音、液晶表示装置1042にて表示される表示態様などの制御を行う。副制御装置1047の構成は、主制御装置1045と同様、上記の各種LED、上下スピーカ1106,1204及び液晶表示装置1042の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、入出力ポート等を含む副制御基板1047aと、この副制御基板1047aを収容する透明樹脂材料等よりなる基板ケース1047b(1047b1,1047b2)とからなる。
(球式回胴遊技機の制御系)
球式回胴遊技機1010の制御系について説明する。図15は球式回胴遊技機の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
主制御基板1045aは、図15に示すように、演算処理手段であるCPU1045a1を中心とするマイクロコンピュータとして構成された制御手段として機能し、処理プログラムを記憶するROM(あるいはフラッシュメモリ)1045a2、一時的にデータを記憶する作業用(ワーキング用)のRAM1045a3、入出力ポート1045a4などが内部バスを介してこのCPU1045a1に接続されている。
主制御基板1045aの入出力ポート1045a4には、リセットスイッチ1038bからのリセット信号、設定キースイッチ1038d1からの設定信号、ベットボタンスイッチ1114からの最小ベット信号、最大ベットボタンスイッチ1304からの最大ベット信号、セレクタ1400に取り込まれた遊技球を検出するカウントセンサ1416a1,1416b1,1416c1からの補助通過検出信号、セレクタ1400に取り込まれた遊技球を検出する通過センサ1415a,1415b,1415cにおける上流側素子1415a1,1415b1,1415c1からの上流通過検出信号及び通過センサ1415a,1415b,1415cにおける下流側素子1415a2,1415b2,1415c2からの下流通過検出信号、始動レバースイッチ1124からの変動開始信号、各回胴停止ボタンスイッチ1126L,1126M,1126Rからの停止信号、回胴位置検出センサ1043L7,1043M7,1043R7からの検出信号、払出装置1033から払い出される遊技球を検出するカウントセンサ1033hからのカウントスイッチ信号に基づくカウント信号、ケースレール1035内の遊技球を検出する球切れ検出装置1035bからの遊技球検出信号、払出期間中を表す払出中信号などが入力される。
また、主制御基板1045aの入出力ポート1045a4からは、ベットボタンスイッチ1114,1304からのベット信号に基づく投入ソレノイド1414a,1414b,1414cの駆動信号、通過センサ1415a,1415b,1415cの計数値に基づく投入ソレノイド1414a,1414b,1414cの駆動停止信号、始動レバースイッチ1124からの変動開始信号及び回胴停止ボタンスイッチ1126L,1126M,1126Rからの停止指令信号に基づく回胴用ステッピングモータ1043L4,1043M4,1043R4の駆動信号などが出力される。また、液晶表示装置1042にて表示される演出内容やスピーカ1106,1204から発せられる効果音、上LEDカバー部1104等で被覆された各種発光装置(LED)の点灯・点滅などを制御する制御信号が副制御基板1047aに出力される。
上述したCPU1045a1は、このCPU1045a1によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM1045a2と、このROM1045a2内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのワーキング用のRAM1045a3の他に、図示はしないが周知のように割り込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路など球式回胴遊技機1010において必要な各種の処理回路が内蔵されている。
ROM1045a2とRAM1045a3とによってメインメモリが構成され、各種の処理を実行するための処理プログラム(出力制御情報生成用処理プログラムを含む)は、処理プログラムの一部として上述したROM1045a2に記憶されている。RAM1045a3内は、機能的には複数の作業エリアが確保されている。周知のようにCPU1045a1内に設けられたプログラムカウンタの値を保存するためのスタックメモリ(スタックメモリ用のエリア)の他に、この例では停電フラグを記憶する停電フラグメモリ、スタックポインタを保存するスタックポインタ保存用メモリ、RAM1045a3に保存されているデータのチェックサムに関連した補正値を保存するチェックサム補正値用メモリ、更には復電時に使用される復電コマンドバッファや復電コマンドカウンタなどのメモリエリアが確保されている。
入出力ポート1045a4には、副制御基板1047aなどのI/O装置の他に、ホール管理者用のコンピュータ等の遊技機管理装置(図示せず)や外部情報表示装置などに情報を送信できる外部集中端子板や、電源制御基板1038’に設けられた停電監視回路1038f、さらには投入ソレノイド1414a,1414b,1414cや払出制御基板1037aなどが電気的に接続されている。
電源制御基板1038’には、主制御基板1045aを始めとして球式回胴遊技機1010の各電子機器に駆動電力を供給する電源部1038eや、上述した停電監視回路1038fなどが搭載されている。停電監視回路1038fは電源の切断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ1038aによる電源切断時に停電信号を生成する。そのため停電監視回路1038fは、電源部1038eから出力される直流24ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば22ボルト未満まで低下したときに電源が切断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU1045a1と入出力ポート1045a4のそれぞれに供給され、CPU1045a1ではこの停電信号を認識することで、停電時処理が実行される。電源部1038eからは出力電圧が22ボルト未満まで低下した場合でも、主制御基板1045aなどの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間として、主制御基板1045aによる停電時処理を実行するのに十分な時間が確保されている。
また、主制御基板1045aは、電源部1038eから安定化駆動電圧が供給されるのと同時にリセットスイッチ1038bからリセット信号が送信されると、RAM1045a3に書き込まれた情報を消去し、電源部1038eから安定化駆動電圧が供給されている状態でリセットスイッチ1038bからリセット信号が送信されると、エラー状態をリセットする。
さらに、電源オフ時に設定キースイッチ1038d1をオンにしてから電源オンにした状態、つまり電源オフ時に設定変更キーシリンダ1038dに設定キーを差し込んで回転させてから電源オンにした状態にすると、球式回胴遊技機10の出球率を変更可能な状態が発生する。この状態で、リセットスイッチ1038bからリセット信号が送信されると、球式回胴遊技機1010のボーナス確率や小役確率を変更し、当該変更結果を設定値「1」〜「6」の数字で7セグLED表示部1041g(図12参照)に出力する。そして、7セグメントLED表示部1041gに「1」〜「6」のいずれかの数字を表示させた状態で、始動レバースイッチ1124から設定確定信号を受信すると、球式回胴遊技機1010の出球率(設定)を確定する。
払出制御基板1037aは、概ね主制御基板1045aと同様の構成であり、CPUを備え、処理プログラムを記憶するROM(あるいはフラッシュメモリ)、一時的にデータを記憶する作業用(ワーキング用)のRAM、入出力ポートなどが内部バスを介してこのCPUに接続されている。
主制御基板1045aにおいて実行される制御処理について説明する。主制御基板1045aの制御処理は、外部電力の供給再開や電源スイッチ1038aのオン操作等による復電に伴って起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。なお、割込み処理としては、NMI端子における停電信号の受信に応じて割込みをかける停電割込み処理と、タイマによる時間計測によって定期的に割込みをかけるタイマ割込み処理とがある。
まず、停電割込み処理について説明する。停電状態が発生した場合、電源制御基板1038’の停電監視回路1038fで停電信号が生成され、主制御基板1045aに対して出力される。主制御基板1045aにおいては、CPU1045a1のNMI端子が停電信号を受信し、停電信号の受信に応じて停電フラグを設定する図示しない割込み処理(以下、「停電割込み処理」と称する)が実行される。停電割込み処理においては、まず、現在使用しているレジスタのデータをRAM1045a3内のバックアップ領域に退避させる(「レジスタ退避処理」)。レジスタ退避処理の後に、停電フラグが設定される(「停電フラグ設定処理」)。停電フラグは、RAM1045a3内の特定の領域に保持される停電状態の発生を表す情報である。停電フラグ設定処理の後に、自身の割込みにおける処理の終了がCPU1045a1に知らせられる(「割込み終了宣言処理」)。割込み終了宣言処理の後に、レジスタ退避処理においてRAM1045a3のバックアップ領域に退避させたレジスタのデータをCPU1045a1のレジスタに復帰させる(「レジスタ復帰処理」)。レジスタ復帰処理の後に、新たな割込みが許可される(「割込み許可処理」)。割込み許可処理の完了によって停電割込み処理が終了する。なお、使用中のレジスタのデータを破壊せずに停電フラグ設定処理が行える場合には、レジスタ退避処理及びレジスタ復帰処理を省くことができる。
次に、タイマ割込み処理について説明する。図16は、主制御基板1045aにおけるタイマ割り込み処理の一例を表すフローチャートである。主制御基板1045aにおいては、定期的にタイマ割込み処理が行われる。本形態においては、タイマ割込み処理は、実質的に1.49ms[ミリ秒]の周期で行われる。
タイマ割込み処理において、まず、後述するメイン処理における通常処理で使用している全てのレジスタの情報が、RAM1045a3のバックアップ領域に格納される(「割込み開始処理」S1101)。割込み開始処理S1101の後に、停電フラグが設定されているか否かが確認される(S1102)。停電フラグが設定されている場合には、バックアップ処理S1103が実行される。
バックアップ処理S1103では、まず、リングバッファに蓄積されている各種のコマンドの送信が終了しているか否かが判定される。それらのコマンドの送信が終了していない場合には、バックアップ処理S1103が一旦終了されて、制御がタイマ割込み処理に復帰する。なお、これは、バックアップ処理S1103の開始前に、コマンドの送信を完了させるための制御である。一方、それらのコマンドの送信が完了している場合には、CPU1045a1のスタックポインタの値が、RAM1045a3内のバックアップ領域に保存される(「スタックポインタ保存処理」)。スタックポインタ保存処理の後に、後述するRAM判定値がクリアされると共に、入出力ポート1045a4における出力ポートの出力状態がクリアされて図示しない全てのアクチュエータがオフ状態になる(「停止処理」)。停止処理の後に、RAM判定値が新たに算出されてバックアップ領域に保存される(「RAM判定値保存処理」)。RAM判定値は、RAM1045a3のワーク領域におけるチェックサム値の2の補数である。ここで、チックサム値の2の補数とは、2進数表現においてチェックサム値の各桁(ビット)を反転した場合に生成される値である。この場合、RAM1045a3のチェックサム値とRAM判定値との排他的論理和(「FFFF」)に1加算した値は「0」である。本形態では、RAM判定値としてチェックサム値の補数を用いたが、本発明においては、RAM判定値としてチェックサム値そのものを用いてもよい。RAM判定値保存処理の後に、RAM1045a3へのアクセスが禁止される(「RAMアクセス禁止処理」)。その後は、内部電力の完全な遮断によって処理が実行できなくなるのに備えて、無限ループに入る。なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤って設定される場合等を考慮して、図示しないが、無限ループに入る前には停電信号がまだ入力されているか否かが確認される。停電信号が出力されていなければ、内部電源が復旧していることになるために、RAM1045a3の書き込みが許可されると共に停電フラグが解除され、タイマ割込み処理に復帰する。一方、停電信号が継続して入力されていれば、そのまま無限ループに入る(図示せず)。
上記のように、バックアップ処理S1103の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かが判断され、それらの送信が未完であるときには送信処理を優先させている。コマンドの送信処理終了後にバックアップ処理S1103を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中でバックアップ処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果、停電時の処理に関するプログラムを簡略化してROM1045a2の小容量化を図ることができる。電源制御基板1038’の電源部1038eは、停電状態が発生した後においても、停電割込み処理及びバックアップ処理を完了するために十分な時間にわたって、制御系の駆動電力として使用されるバックアップ電力を出力する。このバックアップ電力によって、停電割込み処理及びタイマ割込み処理のバックアップ処理が行われる。本形態では、停電発生後の30ms[ミリ秒]の間、バックアップ電力が出力され続けるようになっている。
判定処理S1102において停電フラグが設定されていないと判定された場合には、誤動作の発生を監視するためのウォッチドッグタイマが初期化され、CPU1045a1自身に対して割込み許可が出される(「割込み終了宣言処理」S1104)。
割込み終了宣言処理S1104の後に、左回胴Lを回転させるための左回胴用ステッピングモータ1043L4、中回胴Mを回転させるための中回胴用ステッピングモータ1043M4及び右回胴Rを回転させるための右回胴用ステッピングモータ1043R4の駆動が制御される(「左回胴モータ制御処理」S1105、「中回胴モータ制御処理」S1106、「右回胴モータ制御処理」S1107)。
各種の回胴モータ制御処理S1105〜S1107の後に、入出力ポート1045a4に接続された各種のスイッチやセンサにおける状態が監視される(「スイッチ読込処理」S1108)。RAM1045a3には、今回のタイマ割込みによって検知されたオン・オフ状態の情報と共に、前回のタイマ割込みによって検知されたオン・オフ状態の情報や、前々回のタイマ割込みによって検知されたオン・オフ状態の情報や、前回と今回のタイマ割込みによって検知されたオン・オフ状態に基づく状態変化(立上りや立下り)の情報や、今回と前回と前々回のタイマ割込みによって検知されたオン・オフ状態に基づく状態変化の情報等も保持されており、スイッチ読込処理S1108ではタイマ割込みごとにそれらの情報が更新される。
スイッチ読込処理S1108の後に入出力ポート1045a4に接続された各種の装置におけるセンサの状態が監視される(「センサ監視処理」S1109)。センサ監視処理S1109では、カウントセンサを通過する遊技球の個数の計測が行われる。また、センサ監視処理S1109では、各種のセンサの状態や他の関連する情報に応じてエラーの発生の検知が行われる。なお、具体的なエラー制御及びエラー報知制御は、後述する通常遊技処理の変動待機処理中(例えば、投入エラー処理、払出エラー処理)において行われる。なお、センサ監視処理S1109において、主制御基板1045aに接続されたセンサが監視されるばかりでなく、払出制御基板1037aを介して接続された一部のセンサの基づく情報(例えば、払出カウントセンサに基づく払出カウント信号や払出期間を表す払出中信号)も実質的に監視される。
ここで、センサ監視処理S1109について説明する。図17は、センサ監視処理の一例を表すフローチャートである。センサ監視処理S1109では、図17に示されたように、まず、払出動作中であるか否かが判定され(S801)、また、払出制御基板1037aからの払出カウント信号の受信が検知されているか否かが判定される(S802)。払出動作中であるか否かは、具体的には、払出制御基板1037aからの払出中信号の受信が検知されている場合には払出動作中と判定し、検知されていない場合には払出動作中でないと判定する。払出動作中でないにも関わらず払出カウント信号が受信されている場合には、正常な払出による遊技球の通過ではないと判定して、期間外払出エラーフラグが設定される(「期間外払出エラーフラグ設定処理」S803)。なお、期間外払出エラーフラグが設定されると、後述する払出エラー処理において、エラー処理が実行されると共にエラー発生が報知されることとなる。
その後に、投入動作中であるか否かが判定され(S804)、また、通過センサ信号が検知されているかが判定される(S805)。投入動作中であるか否かは、具体的には、投入動作期間フラグが設定されている場合には投入動作中と判定し、投入動作期間フラグが設定されていない場合には投入動作中でないと判定する。投入動作中でないにも関わらず通過センサ1415a〜1415cからの上流通過検出信号又は下流通過検出信号が受信されている場合には、正常な投入による遊技球の通過ではないと判定して、期間外投入エラーフラグが設定される(「期間外投入エラーフラグ設定処理」S808)。なお、期間外投入エラーフラグが設定されると、後述する投入エラー処理(図21のS1403参照)において、エラー処理が実行されると共に個数エラー発生が報知される。次に、各種のセンサからの信号状態が変化している場合には、センサ検知情報を更新する(「センサ検知情報更新処理」S809)。
センサ検知情報更新処理S809の後に、カウントセンサ1416a〜1416cを正常に通過する遊技球の個数(補助投入済数)が計数される(「補助投入数計数処理」S810)。ここで、補助投入数計数処理S810について詳細に説明する。図18は、補助投入数計数処理の一例を表すフローチャートである。補助投入数計数処理S810では、まず、いずれかの条からの補助通過検出信号の立下りが検知されていれば、補助投入済数の値が立下りを検知した条の数だけ加算された値に更新される(「補助投入数加算処理」S901)。補助投入数加算処理S901の後に、投入済数の値と補助投入済数の値とを比較するタイミングを決定するための個数比較タイマが設定されているか否かが判定される(S902)。具体的には、個数比較タイマの値が、「0」を超えて大きい場合に個数比較タイマが設定されていると判定され、「0」である場合には個数比較タイマが解除されていると判定される。個数比較タイマは、遊技者による始動レバースイッチ1124の操作に応じて所定の値(本形態では、約300msに相当する「203」)に設定されるソフトウェアタイマである。個数比較タイマが設定されていない場合には、補助投入数計数処理S810が終了する。一方、個数比較タイマが設定されていない場合には、個数比較タイマの値が現在値から「1」だけ減算した値に更新される(「個数比較タイマ更新処理」S903)。個数比較タイマ更新処理S903の後に、個数比較タイマが解除されたか否かが判定される(S904)。個数比較タイマが解除された場合には、補助投入数計数処理S810が終了する。一方、個数比較タイマが解除されていない場合には、再遊技状態であるか否かが判定されて(S905)、再遊技状態である場合には補助投入数計数処理S810が終了する。判定処理S905において再遊技状態でないと判定された場合には補助投入済数が投入済数以上であるか否かが判定される(個数エラー判定処理:S906)。補助投入済数が投入済数以上である場合には補助投入数計数処理S810が終了し、投入済数未満である場合には個数エラーフラグが設定され(「個数エラーフラグ設定処理」S907)、その後に補助投入数計数処理S810が終了する。上述のように、補助投入数計数処理S810は、補助投入数加算処理S901〜個数エラーフラグ設定処理S907で構成されている。
補助投入数計数処理S810の後に、図17に示されたように、報知すべき状態が発生したり、変更されたりしたかが判定され(S811)、報知すべき状態に変化がなければ、センサ監視処理S1109が終了する。一方、肯定判定の場合には、報知すべき状態に応じたセンサ検知コマンドが設定され(「センサ検知コマンド設定処理」S812)、センサ監視処理S1109が終了する。なお、設定されたセンサ検知コマンドは、後述するコマンド出力処理(図16のS1112)において出力される。上述のように、センサ監視処理S1109は、判定処理S801〜センサ検知コマンド設定処理S812で構成されている。
センサ監視処理S1109の後に、各種のカウンタの値や各種のタイマの値が減算される(「タイマ減算処理」S1110)。タイマ減算処理S1110の後に、差球数(ベット総数と獲得総数との差分)を集計するためにベット数や獲得球数が、外部集中端子板(図示せず)へ出力される(「差球カウント処理」S1111)。差球カウント処理S1111の後に、リングバッファに蓄積された各種のコマンドが、副制御基板1047aに送信される(「コマンド出力処理」S1112)。コマンド出力処理S1112の後に、7セグメントLED表示部1041g等に表示されるセグメントデータが設定される(「セグメントデータ設定処理」S1113)。セグメントデータ設定処理S1113で設定されたセグメントデータが7セグメントLED表示部1041g等のうち所定のセグメントデータ表示装置に送信される(「セグメントデータ表示処理」S1114)。これにより、7セグメントLED表示部1041g等は、受信したセグメントデータに対応する数字、文字、記号などを表示する。入出力ポート1045a4からI/O装置へのデータが出力される(「ポート出力処理」S1115)。ポート出力処理S1115の後に、割込み開始処理S1101においてバックアップ領域に退避させた各レジスタのデータがそれぞれCPU1045a1内の所定のレジスタに復帰され、次回のタイマ割込みが許可される(「割込み終了処理」S1116)。以上の処理を経て一連のタイマ割込み処理が終了する。
主制御基板1045aにおけるメイン処理について説明する。図19は、主制御基板1045aのメイン処理を表すフローチャートである。主制御基板1045aのメイン処理は、停電状態から復帰した場合に実行される。
主制御基板1045aのメイン処理では、まず、スタックポインタの初期値が設定され、割込み処理を許可する割込みモードが設定され、CPU1045a1内のレジスタ群やI/O装置等に対する各種の設定等が行われる(「立上げ処理」S1201)。レジスタ設定処理S1201の後に、設定キーが設定キースイッチ1038d1に挿入され、所定の操作(右回転操作等)がなされているか否か(オン状態かオフ状態か)が判定される(S1202)。設定キースイッチ1038d1の操作がされていると判定された場合には、所定の複数種類の確率設定(本形態では「設定1」〜「設定6」の6段階設定)のうちから選択される1つの確率設定の設定値を保持する所定の領域を除くRAM1045a3の全領域のデータが、強制的にクリアされる(「強制的RAMクリア処理」S1203)。強制的RAMクリア処理S1203の後に、現在の設定値の再設定(設定の打ち直し)を行うことができる(「確率設定選択処理」S1204)。なお、設定値の変更においては、リセットスイッチ1038bの操作及び始動レバースイッチ1124の操作が援用される。確率設定選択処理S1204の後に、通常遊技処理へ移行する。
判定処理S1202において設定キースイッチ1038d1が操作されていないと判定された場合には、選択されている確率設定の設定値が所定の範囲(「1」〜「6」)内の値であるか否かが判定される(S1205)。なお、停電状態の発生時から停電状態からの復帰時までの間に、RAM1045a3が機械的又は電気的に破壊される等の異常事態が発生しない限り、設定値は所定の範囲内の値しかとらない。設定値が所定の範囲内の値である場合には、停電フラグが設定されているか否かが判定される(S1206)。停電フラグが設定されている場合には、RAM1045a3のワーク領域のチェックサム値が新たに算出され、新たなチェックサム値が正常であるか否かが判定される(S1207)。新たなチェックサム値が正常とは、新たなチェックサム値と停電状態の発生前のチェックサム値が同一であること、つまり、新たなチェックサム値とRAM1045a3のバックアップ領域に保持されているRAM判定値との排他的論理和に1加算した値が「0」であることを意味する。この値は、新たなチェックサム値と停電状態の発生前のチェックサム値とが同一である場合には「0」となり、異なる場合には「0」以外となる。停電状態の発生時から停電状態からの復帰時までの間に、RAM1045a3が機械的又は電気的に破壊される等の異常事態が発生しない限り、この値は「0」以外にはならない。判定処理S1205において確率設定の設定値が所定の範囲内の値でないと判定された場合、判定処理S1206において停電フラグが設定されていないと判定された場合、又は、判定処理S1207において新たなチェックサム値とRAM判定値との排他的論理和に1加算した値が「0」以外であると判定された場合には、割込みが禁止され、入出力ポート1045a4の全ての出力ポートがクリアされて、入出力ポート1045a4に接続された全てのアクチュエータがオフ状態にされると共に、エラー処理及びエラーの発生を報知させるためのエラー報知処理が行われる(「復電エラー処理」S1208)。なお、このエラー状態及びエラー報知状態は、リセットスイッチ1038bが操作されるまで継続する。
判定処理S1207において新たなチェックサム値が正常であると判定された場合には、バックアップ領域に保存されたスタックポインタの値がCPU1045a1のスタックポインタに書き込まれ、スタックポインタの値が停電状態の発生前の値に復帰する(「プログラム復帰処理」S1209)。これによって、停電状態からの復帰後において、停電状態の発生により中断された処理から再開できるようになる。プログラム復帰処理S1208の後に、停電状態からの復帰を表す復電コマンドが設定される(「復電コマンド設定処理」S1210)。これにより、復電コマンドが払出制御基板1037a及び副制御基板1047aに送信されることとなる。復電コマンド設定処理S1210の後に、打止切換スイッチ1038cの状態が、RAM1045a3の所定の領域に格納される(「遊技形態設定処理」S1211)。遊技形態設定処理S1212の後に、各種の装置のセンサの状態が初期化される(「センサ初期化処理」S1212)。センサ初期化処理S1212の後に、停電フラグが解除される(「停電フラグ解除処理」S1213)。停電フラグ解除処理S1213の後に、払出中に停電が発生した場合のように払い出すべき遊技球が残っている場合には、中途で終了した払出を再開させるために払出コマンドが設定される(「中途払出完遂処理」S1214)。中途払出完遂処理S1214の後に、スタックポインタの示す停電状態の発生前の番地における処理から再開される。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理におけるバックアップ処理S1103(図16参照)後の割込み終了宣言処理S1104(図16参照)が実行される。
通常時の遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について説明する。図20は、主制御基板1045aで実行される通常遊技処理の一例を表すフローチャートである。主制御基板1045aの通常遊技処理は、メイン処理における確率設定処理S1204(図19参照)の終了後に実行される。また、中途払出完遂処理S1214(図19参照)の終了後に、通常遊技処理の中途から実行される。
通常遊技処理では、図20に示されたように、まず、割込み許可を設定する(「割込み許可設定処理」S1301)。割込み許可設定処理S1301の後に、遊技形態を決定する打止切換スイッチ1038cの状態がRAM1045a3の所定の領域に格納される(「遊技形態設定処理」S1302)。なお、遊技形態設定処理S1302は、メイン処理における遊技形態設定処理S1211(図19参照)と同一の処理である。遊技形態設定処理S1302の後には、下述のループ処理に移行する。なお、以下においては、連続遊技中である場合について説明する。
ループ処理においては、まず、RAM1045a3において一回の遊技ごとに変化する情報を保持する領域のデータをクリアする(「遊技情報クリア処理」S1303)。具体的には、前回の遊技に関連する情報をクリアする。クリアされる情報としては、例えば、乱数に関連する情報、回胴L,M,Rの制御に関連する情報、入賞に関連する情報及びエラーに関連する情報が挙げられる。入賞に関連する情報には、入賞図柄、入賞ライン及び獲得遊技球数等の情報が含まれる。
遊技情報クリア処理S1303の後に、変動開始信号が入力されるまで、所定の処理を行いながら待機する(「変動待機処理」S1304)。ここで、変動待機処理S1304について詳細に説明する。図21は、変動待機処理の一例を表すフローチャートである。
変動待機処理S1304では、まず、遊技監視タイマが設定される(「遊技監視タイマ設定処理」S1401)。ここで、遊技監視タイマが設定されるとは、そのタイマの値がリセットされ、かつそのタイマによる新たな時間計測がスタートすることを意味する。遊技監視タイマは、遊技間隔を測定するソフトウェアタイマであって、遊技者によって遊技されていない時間が所定の時間を経過した場合に、液晶表示装置1042の画像を所定の画像(デモンストレーション画像)に移行させるために用いられる。
遊技監視タイマ設定処理S1401の後に、前回の単位遊技で再遊技役が入賞したか否かが判定され、再遊技役に入賞していた場合には、自動的に、前回の単位遊技のベット数と同数のベット数に変更される(「自動ベット処理」S1402)。
自動ベット処理S1402の後に、セレクタ1400においてエラーが発生しているか否かが確認され、エラーが発生している場合には、エラー処理が実行されると共に、スピーカ1106、1204、発光装置1132、1134L1、各種のLEDカバー部で被覆されるLED、液晶表示装置1042等にエラーを報知させるための投入エラーコマンドがリングバッファに格納される(「投入エラー処理」S1403)。例えば、遊技球の投入期間外において通過センサ1415a、1415b,1415cから上流通過検出信号や下流通過検出信号を受信した場合が挙げられる。なお、具体的には、それらの検知はタイマ割込み処理におけるセンサ監視処理S1109(図16参照)において行われ、その検知に基づいて各種の処理が実行される。リングバッファに格納された投入エラーコマンドは、その格納後に実行されるタイマ割込み処理のコマンド出力処理S1112において副制御基板1047aに出力される。また、以下において、リングバッファに格納される各種のコマンドは、投入エラーコマンドの場合と同様に、それらの格納後に実行されるタイマ割込み処理のコマンド出力処理S1112において払出制御基板1037aや副制御基板1047aに出力される。
投入エラー処理S1403の後に、払出装置1033でエラーが発生しているか否かが判定され、払出装置1033でエラーが発生している場合には、エラー処理が実行されると共に、スピーカ1106,1204発光装置1132、1134L1等、液晶表示装置42等にエラーを報知させるための払出エラーコマンドがリングバッファに格納される(「払出エラー処理」S1404)。例えば、払出基板1037aからの払出中信号がオン状態であるか否か、及び、オン状態であるか否かが判定される。払出中信号がオン状態(払出期間中)でないにも関わらず、各種のカウントセンサ1033hからのカウントスイッチ信号に基づく払出基板1037aからのカウント信号がオン状態である場合が挙げられる。なお、同様の払出エラー処理は、他の処理中においても遊技者からの何らかの入力を待っている状態、例えば、回胴回転中における回胴停止待ち状態においても実行される。
払出エラー処理S1404の後に、上皿球返却レバー1386の操作が行われているか否かが判定されて、返却中であれば他のボタン等の操作による入力が禁止され、既に投入済みの遊技球がある場合には、上皿球返却レバー1386の操作の終了を待って投入済みの遊技球と同数(投入済数)の遊技球が返却される(「返却処理」S1405)。
ここで、返却処理S1405について詳細に説明する。図22は、返却処理の一例を表すフローチャートである。返却処理S1404では、まず、返却状態であるか否かが判定される(S101)。具体的には、返却レバー1386の操作による返却シャッタ1420の基準位置からの移動を検出する返却スイッチ1441がオン状態であるか否かを表す情報によって判定する。なお、返却スイッチがオン状態であるか否かの実際的な検知はタイマ割込み処理のスイッチ読込処理S1108で実行される。返却状態中でない場合には、実質的な処理は行われずに返却処理S1404が終了する。一方、返却状態中である場合には、吊球の下流捕捉が発生しているか否かが判定され(S102)、吊球の下流捕捉が発生している場合には、吊球の解除方法を報知する吊球関連報知を停止させるための吊球関連報知停止コマンドをリングバッファに格納し(「吊球関連報知停止処理」S103)、吊球の下流捕捉の発生が検知されているか否かを表す下流捕捉検知情報が解除される(「吊球検知情報解除処理」S104)。具体的には、下流捕捉検知情報としては、例えば、吊球の下流捕捉の発生を検知している場合に「1」であり、検知していない場合に「0」である下流捕捉フラグが挙げられる。
吊球に関する処理S102〜S104の後に、返却状態から脱したことを検知すると共に、返却状態の終了から所定の時間(例えば、248割込みに相当する約370ms)が経過するまで待機する(「上皿貯留球返却完了待機処理」S105)。
上皿貯留球返却完了待機処理S105の後に、再遊技状態であるか否かが判定される。なお、具体的には、再遊技フラグ(内部状態フラグの一種)が設定されているか否かが判定される(S106)。なお、再遊技フラグは、前回の単位遊技において再遊技役に入賞した場合に後述する通常遊技処理の再遊技処理S1312(図18参照)において設定され、今回の単位遊技における遊技情報クリア処理S1303においては解除されない。
判定処理S106において再遊技状態でないと判定された場合には、既に遊技球の投入が行われていることがあるために、投入された遊技球が有るか否かが判定され(S107)、投入された遊技球が有る場合には、最大ベットボタンスイッチ1304や始動レバースイッチ1124等の操作可否を表すスイッチ点灯フラグが初期化され(「スイッチ点灯フラグ初期化処理」S108)、投入された遊技球と同数の遊技球を払出装置1033から払い出させるための制御が実行され(「投入球払出処理」S109)、カウントセンサ1033hで計数される通過数(補助投入数)が初期値「0」に設定されて(「補助投入数初期化処理」S110)、本返却処理S1405が完了する。一方、投入された遊技球がない場合には、スイッチ点灯フラグ初期化処理S108及び投入球払出処理S109をスキップして補助投入数初期化処理S110が実行されて、本返却処理S1405が終了する。
判定処理S106において再遊技状態であると判定された場合には、今回の単位遊技において遊技者の操作による遊技球の投入はできないことにより投入球を返却する必要がないために、投入球の返却及びそれに付随する判定処理S107〜補助投入数初期化処理S110がスキップされて、本返却処理S1405が終了する。上記のように返却処理S1405は、判定処理S101〜補助投入数初期化処理S110を含んでいる。
返却処理S1405の後に、最小ベットボタンスイッチ1114又は最大ベットボタンスイッチ1304の操作に応じて遊技球をベットする処理及びベットに付随する処理が実行される(「遊技球ベット処理」S1406)。
ここで、遊技球ベット処理S1406について詳細に説明する。図23は、遊技球ベット処理の一例を表すフローチャートである。遊技球ベット処理S1406では、まず、最大ベットボタンスイッチ1304の操作可否を報知する発光装置(図示せず)や始動レバースイッチ1124の操作可否を報知する発光装置1132の発光を制御する(「スイッチLED発光制御処理」S201)。具体的には、スイッチ点灯フラグの設定に応じて発光を制御する。
スイッチLED発光制御処理S201の後に、投入操作許可状態であるか否かが判定される(S202)。具体的には、最大ベットボタンスイッチ1304の操作可否を表す発光装置の点灯フラグが設定されているか否かが判定される。投入操作許可状態でない場合(投入操作禁止状態)には、本遊技球ベット処理S1406が終了する。一方、投入操作許可状態である場合には、投入開始か否かが判定される(S203)。具体的には、最小ベットボタンスイッチ1114又は最大ベットボタンスイッチ1304の操作に応じた最小ベット信号又は最大ベット信号が立上り状態(オフ状態からオン状態への移行)であるか否かが判定される。なお、実際的な最小ベット信号又は最大ベット信号のオン・オフ状態は、タイマ割込み処理のスイッチ読込処理S1108(図16)で監視されており、判定処理S203では、スイッチ読込処理S1108で取得された情報を参照している。最小ベット信号又は最大ベット信号が立上り状態でない場合には、本遊技球ベット処理S1406が終了する。
最小ベット信号又は最大ベット信号が立上り状態である場合には、吊球の下流捕捉が発生しているか否かが判定され(S204)、吊球が発生している場合には、吊球の解除方法を報知するための吊球関連報知を液晶表示装置1042で開始させるために、吊球関連報知開始コマンドがリングバッファに格納される(「吊球関連報知開始処理」S205)、一方、吊球の下流捕捉が発生していない場合には、吊球関連報知を実行する必要がないために吊球関連報知開始処理S205がスキップされる。
その後に、ベットが完了しているか否かが判定される。具体的には、特別遊技状態におけるJACゲーム状態である場合には1ベット(5球の投入)が完了しているか否かが判定され、その他の遊技状態である場合には3ベット(15球の投入)が完了しているか否かが判定される(S206)。ベットが完了していない場合には、投入すべき遊技球の個数(投入許可数)が決定される(「投入許可数決定処理」S207)。具体的には、既に投入が完了している遊技球の個数(投入済数)と、ベット信号の種類と、遊技状態の種類(JACゲーム状態か否か)とを参照して、投入許可数が決定される。例えば、投入済数が「0」であり、最大ベット信号の立上りが検知されている場合には、JACゲーム状態においては投入許可数が「5」に設定され、JACゲーム状態以外においては投入許可数が「15」に設定される。また、最小ベットボタンスイッチ1114が操作されて5球が投入されたときや最大ベットボタンスイッチ1304が操作されたにも関わらず球切れ等によって前回の投入動作で5球しか投入できなかったときに、最大ベット信号の立上りが検知された場合には、「15」から投入済数「5」を減じた「10」が投入許可数に設定される。投入許可数決定処理S207の後に、遊技球の投入を実質的に管理する処理が実行される(「投入監視処理」S208)。
ここで、投入監視処理S208について詳細に説明する。図24は、投入監視処理の一例を表すフローチャートである。投入監視処理S208では、まず、今回の投入制御動作で投入すべき遊技球の総個数である総投入許可数を投入残数(〔投入許可数〕の一種)として設定し(「総投入残数決定処理」S301)、第1条の遊技球投入部1410a(以下、「第1条」と略記する)、第2条の遊技球投入部1410b(以下、「第2条」と略記する)及び第3条の遊技球投入部1410c(以下、「第3条」と略記する)の全てにおける投入動作の許可設定が行われる(「全条投入動作許可設定処理」S302)。具体的には、全条投入許可設定処理S302においては、各条の投入動作許可フラグが設定される。第1条の投入動作許可フラグが「1」(設定されている場合)の場合は第1条において投入動作を行ってもよい投入動作許可状態であり、「0」の場合(解除されている場合)は第1条における投入動作を行ってはいけない投入動作禁止状態である。なお、以下においては、投入動作許可状態にある条を投入動作許可条とも称す。
全条投入許可設定処理S302の後に、投入監視情報が初期化される(「投入監視情報初期化処理」S303)。投入監視情報初期化処理S303では、全条の投入許可数(〔振分投入許可数〕)が「0」に設定され、全条の流入規制フラグ(投入規制情報の一種)が設定される。第1条の流入規制フラグが「0」の場合(解除されている場合)は実質的に投入フリッカ1413aが投入禁止状態であり、「1」の場合(設定されている場合)は実質的に投入フリッカ1413aが投入許可状態であることを表している。なお、具体的な投入フリッカ1413aによる流入規制状態の状態移行は、後述する全条の投入ソレノイド駆動処理S321による第1条の投入ソレノイド1414aの駆動状態の変更によって行われる。第2条及び第3条についても同様である。また、投入監視情報初期化処理S303では、各条の通過許可期間の残り時間に相当する通過許可残時間(〔振分通過許可時間〕)を表す通過許可時間情報が「0」に設定される。第1条の通過許可残時間情報が「0」である場合は第1条の通過許可期間外を意味し、第1条の通過許可残時間情報が「0」でない場合(「1」以上である場合)は第1条の通過許可期間中を意味する。なお、第2条及び第3条についても同様である。
投入監視情報初期化処理S303の後に、初回の投入動作である初投入動作時に実行されると共に、必要に応じて初投入動作に引き続き行われる再投入動作時に実行されるループ処理(S304〜S322)に移行する。
ループ処理では、まず、投入制御動作(初投入動作や再投入動作を含む一連の動作)を終了するか否かを、総投入許可数の遊技球の投入が完了しているか否かの判定(S304)と、投入許可条が存在するか否かの判定(S305)とによって判断する。具体的には、総投入残数が「0」である場合に総投入許可数の遊技球の投入が完了したと判定し、総投入残数が「0」以外である場合に総投入許可数の遊技球の投入が完了していないと判定する。また、いずれかの条の投入動作許可フラグが設定されている場合に投入許可条が存在すると判定し、全条の投入動作許可フラグが解除されている場合に投入許可条が存在しないと判定する。投入許可数の遊技球の投入が完了しておらず、かつ、投入許可条がある場合には、投入制御動作を続行する。一方、それ以外の場合、つまり、投入許可数の遊技球の投入が完了している場合には、正常に投入が完了したこととなるために本投入監視処理S208が終了し、また、投入許可数の遊技球の投入は完了していないが、投入許可条が存在しない場合には、投入動作が続行できないために本投入監視処理S208が終了して、投入制御動作が終了こととなる。
判定処理S305の後に、初投入動作であるか否かが判定される(S306)。初投入動作である場合には、後述する投入許可数振分処理S310に移行する。一方、初投入動作でない場合(再投入動作である場合)には、所定の待機時間(本形態では、54回のタイマ割込みに相当する約80ms)だけ待機する(「再投入開始待機処理」S307)。再投入開始待機処理S307の後に、いずれかの条で吊球の下流捕捉が発生しているか否かが判定される(S308)。吊球の下流捕捉が発生している場合には、下流捕捉フラグ(媒体捕捉情報の一種)が設定されて(S311)、投入監視処理S208が終了する。ここで、吊球とは、投入フリッカ1413a〜1413cによって投入通路1406a〜1406cにおいて捕捉されている遊技球を意味する。また、吊球の下流捕捉とは、各条別に、下流側素子1415a2,1415b2,1415c2によって吊球が検出されている状態を意味する。一方、吊球の下流捕捉が発生していない場合には、吊球の上流捕捉が発生しているか否かが判定される(S309)。吊球の上流捕捉が発生していない場合には、投入許可数振分処理S310に移行する。ここで、上流捕捉とは、各条別に、上流側素子1415a1,1415b1,1415c1が吊球を検出し、同一上の下流側素子1415a2,1415b2,1415c2が吊球を検出していない状態を意味する。
投入許可数振分処理S310(〔振分制御処理〕の一種)では、各投入許可条で個数が2個以上異ならないように投入許可数が実質的に均等に振り分けられて、各投入許可条で投入すべき遊技球の個数(〔振分投入許可数〕)が決定されると共に、他の投入監視情報の各々が所定の投入開始時用の情報に設定される。具体的には、振分許可予定数の決定においては、上皿1302に流入する遊技球は、構造的に、第3条の遊技球投入部1410cに最も流入し易く、第1条の遊技球投入部1410aに最も流入し難くなっているために、第3条に振り分けられる遊技球の個数が第1条及び第2条に振り分けられる遊技球の個数以上であり、かつ、第2条に振り分けられる遊技球の個数が第1条に振り分けられる遊技球の個数以上となるように優先順位を付けて振り分けている。また、振分投入許可数が「0」であるすべての条の流入規制フラグが解除される。また、振分投入許可数が「1」以上であるすべての条の通過許可残時間情報に「203」が設定される。なお、通過許可残時間情報は、1.49ms間隔のタイマ割込みごとに「1」だけ減算されることとなるために、通過許可残時間として約300msが設定されたことになる。本実施形態では、各条において、投入フリッカ1413a〜1413cの開放によって貯留通路1402a〜1402cから投入通路1406a〜1406cへの通路が開放されてから最初の遊技球が通過センサ1415a〜1415c(〔媒体検出手段〕の一種)の上流側素子1415a1,1415b1,1415c1に到達するまでの平均的な時間が約10msであり、また、投入通路1406a〜1406cを流下する遊技球の上流側素子1415a1,1415b1,1415c1による検出の開始から下流側素子1415a2,1415b2,1415c2による検出の終了までの平均的な時間が約40msであるために、通過許可時間はそれらの時間に十分な余裕を持たせた約300msに設定されている。また、投入許可数振分処理S311では、振分投入許可数が「1」以上であるすべての条の参照位相が、正規位相移行推移における2番目の通過位相である第1通過位相に設定される。なお、具体的な参照位相の選択方法は本発明の特徴部分の一部であるために後述の〔特徴部分の説明〕において詳細に説明する。
ここで、正規位相移行推移について簡単に説明する。図25は、正規位相移行推移に従う検出位相の変化を説明するための説明図である。正規位相移行推移は、図25に示されたように、第0通過位相(〔非通過位相〕)から第1通過位相、第2通過位相及び第3通過位相の順序で位相移行した後に第0通過位相に戻る位相移行の推移である。なお、各通過位相は、同一条における上流側素子1415a1,1415b1,1415c1(〔上流側検出手段〕の一種)からの上流側検出信号に基づく検出状態(オン状態又はオフ状態)と下流側素子1415a2,1415b2,1415c2(〔上流側検出手段〕の一種)からの下流側検出信号に基づく検出状態(オン状態又はオフ状態)との順列で指定される状態であり、各通過位相を〔上流検出信号の検出状態,下流側検出信号の検出状態〕で表せば、第0通過位相が〔オフ状態,オフ状態〕であり、第1通過位相が〔オン状態,オフ状態〕であり、第2通過位相が〔オン状態,オン状態〕であり、第4通過位相が〔オフ状態,オン状態〕で表される。なお、ROM1045a3の所定の領域(〔正規推移情報記憶手段〕の一種)に記憶された正規位相移行推移を規定する正規位相移行推移情報は、全条に対して共通に参照されるが、各条の参照位相は個別に変化する。
図24に示されたように、判定処理S309において吊球の上流捕捉が発生していると判定された場合には、上流捕捉フラグ(媒体捕捉情報の一種)が設定される(「吊球検知情報設定処理」S312)。吊球検知情報設定処理S312の後に、投入監視情報の各々が吊球の投入開始時用の初期情報に設定される(「投入監視情報設定処理」S313)。具体的には、吊球の上流捕捉が発生している条の通過許可残時間が「203」に設定され、吊球の上流捕捉が発生している条の流入規制フラグが設定される。これによって、吊球の上流が発生している条のみで投入動作が実行され、また、その投入動作においては、位相推移の監視が、通常の第0通過位相からではなく第1通過位相から開始される。
投入許可数振分処理S310及び投入監視情報設定処理S313の後に、タイマ割込みが実行されるまで待機して(「タイマ割込み待機処理」S314)、タイマ割込みの完了に応じて、返却操作が開始されたか否かが判定される(S315)。返却操作の開始と判定された場合には、投入を中止する処理が実行される(「投入中止処理」S316)。具体的には、遊技者による上皿球返却レバー1386の操作に基づく返却スイッチ1441からの返却スイッチ信号のオン状態への移行に応じて返却操作の開始と判定する。なお、この場合、既に投入が完了している遊技球がある場合には、投入された個数と同数の遊技球が払出装置1033から払い戻されることとなる。
判定処理S315において返却操作の開始ではないと判定された場合には、いずれかの条が通過許可期間中であることを表す投入動作中フラグ(投入動作中情報の一種)が解除される(「投入中情報初期化処理」S317)。なお、投入動作中フラグは、後述する第1条投入制御処理S318、第2条投入制御処理S319、第3条投入制御処理S320において各条の通過許可期間が終了していない場合に設定される。投入動作中情報初期化処理S315の後に、第1条に対する投入制御処理、第2条に対する投入制御処理及び第3条に対する投入制御処理が実行される(「第1条投入制御処理」S318,「第2条投入制御処理」S319,「第3条投入制御処理」S320)。投入中情報初期化処理S315及び第1条から第3条の投入制御処理S318〜S320は、タイマ割込み間隔内で1度ずつ実行される。なお、第1条投入制御処理S318、第2条投入制御処理S319及び第3条投入制御処理S320の詳細については、本投入監視処理S208の全体的な説明の後に記載する。
第3条投入制御処理S320の後に、各条の流入規制フラグを参照して、全条の投入ソレノイド1414a〜1414cの駆動を制御する(「全条投入ソレノイド駆動処理」S321)。具体的には、流入規制フラグが新たに設定された条の投入ソレノイド1414a〜1414cはオン状態に変更され、流入規制フラグが既に設定されている投入ソレノイド1414a〜1414cはオン状態を維持し、流入規制フラグが新たに解除された条の投入ソレノイド1414a〜1414cがオフ状態に変更され、流入規制フラグが既に解除されていた条の投入ソレノイド1414a〜1414cはオフ状態を維持する。各条の流入規制フラグは、投入許可数振分処理S310において解除から設定に変更される場合があり、第1条投入制御処理S318、第2条投入制御処理S319、第3条投入制御処理S320において設定から解除に変更される場合がある。
全条投入ソレノイド駆動処理S321の後に、全条の今回の投入動作が終了したか否かが判定される(S322)。具体的には、投入動作中フラグが設定されていない場合に全条の今回の投入動作が終了したと判定される。投入動作中フラグが設定されていない場合は、各条の通過許可期間が全て終了していることを意味する。
ここで、第1条投入制御処理S318、第2条投入制御処理S319、第3条投入制御処理S320について詳細に説明する。なお、第2条投入制御処理S319、第3条投入制御処理S320は、第1条投入制御処理S318と実質的に同一であるために、第1条投入制御処理S318の説明における「第1条」なる文言を第2条投入制御処理S319では「第2条」と、第3条投入制御処理S320では「第3条」と読み替えることとして、その詳細な説明を省略する。図26は、第1条投入制御処理の一例を表すフローチャートである。
第1条投入制御処理S318では、まず、第1条の通過許可期間中であるか否かが判定される。具体的には第1条の通過許可残時間情報が「0」であるか否かが判定される(S401)。判定処理S401の後に、第1条の検出位相が変化したか否かが判定される(S402)。具体的には、直前のタイマ割込み処理のスイッチ読込処理S1108で読み込まれた第1条の今回検出位相(図中には今回位相と略記)が第1条の前回検出位相(図中には前回位相と略記)と同一であるか否かが判定される。
判定処理S402において第1条の検出位相に変化がないと判定された場合(今回検出位相と前回検出位相とが同一の通過位相の場合)には、第1条の通過許可期間が今回の第1条投入制御処理S318において満了するか否かが判定される(S403)。具体的には、第1条の通過許可残時間情報の現在値から「1」だけ減算した値が「0」であるかによって判定される。なお、ここでは、第1条の通過許可残時間情報は更新されない。第1条の通過許可期間が満了すると判定された場合には、第1条の通過許可残時間情報が「1」だけ減算された値に更新される(「通過許可時間更新処理」S404)。一方、第1条の通過許可期間が終了しないと判定された場合には、第1条の投入フリッカ1413aが投入禁止状態であるか否かが判定される(S405)。具体的には、第1条の流入規制フラグが設定されているか否かが判定される。
なお、第1条の流入規制フラグが設定されている場合は、第1条の投入フリッカ1413aが既に遊技球の流下を禁止しているか、禁止するために移動中であるかを意味し、第1条の流入規制フラグが設定されていない場合は、第1条の投入フリッカ1413aが遊技球の流下を許可しているか、許可するために移動中であるかを意味している。判定処理S403において肯定判定される場合としては、例えば、(1)第1番目に流下する遊技球(以下、「第1球」とも略記する)に対して、投入許可数振分処理S311で設定された第1条の通過許可期間内に、第1条の上流側素子1415a1による検出が開始されない場合(球切れの場合)や、(2)振分許可数番目(最終番目)に流下する遊技球(以下、「最終球」とも称す)よりも先に流下する遊技球に対して、後述する通過許可期間延長処理S420で延長された第1条の通過許可期間内に、第1条の上流側素子1415a1及び下流側素子1415a2の双方による検出が終了しない場合(球詰まりの場合)や、(3)先行流下する遊技球(以下、「先行球」とも称す)が第1条の上流側素子1415a1によって検出されたときに延長(後述する通過許可期間延長処理S420)された第1条の通過許可期間内に、先行球に引き続き投入されるべき遊技球(以下、「後続球」とも称す)に対して、第1条の上流側素子1415a1による検出が開始されない場合(球切れの場合)が挙げられる。
判定処理S405において第1条が投入禁止状態でないと判定された場合には、第1条による再投入動作を禁止するために第1条の投入動作許可フラグが解除される(「再投入禁止設定処理」S406)。なお、第1条の通過許可期間が満了予定であるにも関わらず投入許可状態である場合、つまり、第1条において投入されるべきであった少なくとも1つの遊技球(以下、「最終球」とも称す)の投入が完了していない場合には、第1条による再投入動作は行われないこととなる。但し、全体としての再投入動作は実行されることとなる。
再投入禁止設定処理S406の後に、遊技球が第1条の通過センサ1415aを通過中であるか否かが判定される(S407)。具体的には、上流側素子1415a1及び下流側素子1415a2の少なくとも一方が遊技球を検出している場合には、通過中と判定される。遊技球が第1条の通過センサ1415aを通過中である場合は、球詰まりや不正投入装置(図示せず)を用いた不正行為等によって遊技球が第1条の通過許可期間内に第1条の通過センサ1415aの通過を完了していない場合であるので、球式回胴遊技機1010の遊技進行を停止させると共にエラー(通過時間エラー)の発生を報知するために通過時間エラーコマンドがリングバッファに格納される(「通過時間エラー処理」S408)。通過時間エラー処理S408は無限ループとなっており、リセットスイッチ1038bの操作に応じて球式回胴遊技機1010がリセットされるまで継続する。一方、遊技球が通過中でない場合は、第1条における球切れによる第1条の通過許可期間満了予定であるためにエラーとはせずに、第1条の流入規制フラグを解除し(「通過規制情報変更処理」S409)、第1条の通過許可残時間情報に「140」を設定することによって実質的に約200msに相当する時間だけ第1条の通過許可期間を延長する(「通過許可期間延長処理」S410)。
第1条の通過許可時間更新処理S404及び通過許可期間延長処理S410の後に、第1条の通過許可期間が終了しているか否かが判定される(S411)。具体的には、第1条の通過許可残時間情報が「0」である場合には第1条の通過許可期間が終了している(通過許可期間外)と判定し、それが「0」でない場合には第1条の通過許可期間が終了していない(通過許可期間内)と判定する。第1条の通過許可期間が終了している場合には、本第1条投入制御処理S313が終了し、第1条の通過許可期間が終了していない場合には、投入動作中フラグが設定されて(「投入動作中情報設定処理」S412)、その後、本第1条投入制御処理S313が終了する。
判定処理S402で第1条の検出位相に変化があると判定された場合には、第1条の今回検出位相(図中は今回位相と略記)が第1条の参照位相と同一であるか否かが判定される(S413)。第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一でないと判定された場合には、第1条の参照位相が、正規位相移行パターンにおける順序に従って現在選択されている通過位相から次の通過位相に更新される(「参照位相更新処理」S414)。なお、第1条の今回の検出位相が、第3通過位相である場合には、先頭の第0通過位相に更新される。具体的には、第1条の参照位相は、現在選択されている通過位相が第0通過位相である場合には第1通過位相に、第1通過位相である場合には第2通過位相に、第2通過位相である場合には第3通過位相に、第3通過位相である場合には第0通過位相に更新される。
判定処理S413において第1条の今回検出位相が参照位相と同一でないと判定された場合には、第1条の参照位相が第0通過位相であるか否かが判定される(S415)。つまり、連球状態(近接流下状態)が発生している可能性があるか否か判定される。なお、連球状態が発生する場合には、必ず第3通過位相から正規位相移行パターンに従わない通過位相へ移行する。ここで、連球状態の発生とは、非通過位相から第1通過位相、第2通過位相及び第3通過位相を経た後に、第3通過位相から第2通過位相に位相移行することを意味する。なお、最終的には連球状態が発生した場合には、「非通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相→第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相→非通過位相」と変化することとなる。第1条の参照位相が第0通過位相でない場合には、球式回胴遊技機1010の遊技進行を停止させると共に、エラー(通過順序エラー)の発生を報知するために通過順序エラーコマンド(エラーコマンドの一種)がリングバッファに格納される(「通過順序エラー処理」S418)。通過順序エラー処理S435は無限ループとなっており、リセットスイッチ1038bの操作に応じて球式回胴遊技機1010がリセットされるまで継続する。これにより、何らかの不正行為によって一旦エラーが発生すれば不正行為を継続できないようにできる。一方、第1条の参照位相が第0通過位相である場合には、連球状態が発生したか否かが、第1条の今回検出位相が第2通過位相であるか否かによって判定される(S416)。第1条の今回検出位相が第2通過位相でない場合には、正規位相移行パターンに従う位相移行でもなく連球状態の発生ではないこととなるために、通過順序エラー処理S418が実行される。
判定処理S416において第1条の今回検出位相が第2通過位相でないと判定された場合には、判定処理S413及び判定処理S415の判定結果を踏まえると、連球状態の発生が確定するために、参照位相が第2通過位相に設定される(「参照位相設定処理」S417)。
参照位相更新処理S414又は参照位相設定処理S417の後に、1つの遊技球の通過完了であるか否かと、遊技球の通過開始であるか否かとが判定される(通過完了判定処理S419,通過開始判定処理S420)。具体的には、判定処理S419において、第1条の今回検出位相が第0通過位相である場合に通過完了であると判定され、第1条の通過位相が第0通過位相でない場合に通過完了でないと判定される。なお、この判定においては、第1条の通過位相に変えて第1条の参照移行が第0通過位相であるか否かによって判定してもよい。また、判定処理S420において、第1条の今回検出位相が第1通過位相である場合に通過開始であると判定され、第1条の今回検出位相が第1通過位相でない場合に通過開始でないと判定される。
判定処理S420において遊技球の通過開始であると判定された場合には、第1条の通過センサS1415aの通過を開始した遊技球が第1条の最終球であるか否かが判定される(最終球判定S421)。具体的には、第1条の投入残数を「1」だけ減じた値が「0」である場合には通過を開始した遊技球は第1条の最終球であると判定され、その値が「0」でない場合には通過を開始した遊技球は第1条の最終球でないと判定される。なお、この時点では第1条の投入残数の値は更新されない。第1条の最終球の通過開始である場合には、第1条の投入フリッカ1413aによる流入を禁止させるために第1条の流入規制フラグを解除して(「通過規制情報変更処理」S422)、第1条の通過許可残時間情報に「203」が設定されて第1条の通過許可期間が延長される(「通過許可期間延長処理」S423)。なお、第1条のフリッカ1413aの流入許可状態から流入禁止状態への状態移行は、第1条の流入規制フラグの解除後に実行される全条投入ソレノイド駆動処理S318(図24参照)における第1条の投入ソレノイド1414aの駆動に付随して行われる。一方、第1条の最終球の通過開始でない場合には、通過規制情報変更処理S422がスキップされて、通過許可期間延長処理S423が実行される。その後、判定処理S411に移行する。
判定処理S420において遊技球の第1条の通過開始でないと判定された場合には、吊球発生フラグが設定されているか否かと、検出位相が第3通過位相であるか否かとが判定される(S430,S431)。ここで、吊球発生フラグ(吊球検知情報の一種)は、吊球の上流側捕捉が発生しているか否かを識別する情報であって、吊球発生フラグが設定されている場合には吊球が発生していると共にその吊球が上流側素子1415a1のみによって検出されていることを意味する。吊球発生フラグが設定されており、かつ第1条の今回検出位相が第2通過位相である場合には、第1条の流入規制フラグが解除される(「通過規制情報変更処理」S432)、その他の場合には、通過規制情報変更処理S432がスキップされる。その後は、判定処理S402において第1条の検出位相に変化がないと判定された場合と同様に、通過判定処理S403〜投入動作中情報設定処理S412が実行される。
判定処理S419において第1条における遊技球の通過完了であると判定された場合には、全投入残数が現在値から「1」だけ減算した値に更新され(「全投入残数更新処理」S424)、全投入済数が現在値に「1」だけ加算した値に更新され(「総投入済数更新処理」S425)、投入数やベット数等のベット情報の表示を必要に応じて更新し(「ベット情報更新処理」S426)、第1条の投入残数を現在値から「1」だけ減算した値に更新する(「条別投入数更新処理」S427)。条別投入数更新処理S427の後に、第1条の通過センサS1415aの通過を完了した遊技球が第1条の最終球であるか否かが判定される(S428)。具体的には、第1条の投入残数が「0」である場合に通過を完了した遊技球は第1条の最終球であると判定され、第1条の投入残数が「0」でない場合に通過を完了した遊技球は第1条の最終球でないと判定される。判定処理430において第1条の最終球の通過完了であると判定された場合には、第1条の通過許可残時間情報に「0」が設定される。これによって、第1条の通過許可期間が終了する(「通過許可期間終了処理」S429)。一方、第1条の最終球の通過完了でない場合には、判定処理S402において第1条の通過位相に変化がないと判定された場合と同様に、通過判定処理S403〜投入動作中情報設定処理S412が実行される。
第1条の通過許可期間に関する処理(通過許可時間更新処理S404、通過許可期間延長処理S412,S423及び通過許可期間終了処理S429)の後に、第1条の通過許可期間が終了しているか否かが判定される(S411)。具体的には、第1条の通過許可残時間情報が「0」である場合には第1条の通過許可期間が終了している(通過許可期間外)と判定し、その値が「0」でない場合には第1条の通過許可期間が終了していない(通過許可期間中)と判定する。第1条の通過許可期間が終了している場合には、本第1条投入制御処理S318が終了し、第1条の通過許可期間が終了していない場合には、投入動作中フラグが設定されて(「投入動作中情報設定処理」S412)、その後、本第1条投入制御処理S318が終了する。
投入監視処理S208の後に、図23に示されたように、上記の投入監視処理S208内での制御に応じてベットボタンスイッチLEDや始動レバースイッチLEDの設定を変更する必要が生じた場合には、これらの表示を変更させるために各種のLEDの設定を更新する(「スイッチ点灯フラグ更新処理」S209)。スイッチ点灯フラグ更新処理S211の後に、投入中返却状態であるか否かが判定される(S210)。具体的には、遊技者による上皿球返却レバー1386の操作に基づく返却スイッチ1441からの返却スイッチ信号がオン状態である場合に投入中返却状態と判定されて、返却スイッチ信号がオン状態である場合に単なる投入中返却状態でないと判定される。投入中返却状態である場合には、返却スイッチ信号がオフ状態に移行するまで待機すると共に、オフ状態への移行後に所定の時間だけ更に経過するまで待機する(「上皿貯留球返却完了待機処理」S211)。待機が完了すると、既に遊技球の投入が行われている場合には、具体的には、投入済数が「0」でない場合には、投入された個数と同数の遊技球を払い出させるために、投入球払出コマンドが設定される(「投入球返却処理」S212)。なお、投入球返却処理S212は返却処理S1405と同一の処理である。投入球払出コマンドは払出制御基板1037aに送信されることとなり、払出制御基板1037aでは投入球払出コマンドの受信に応じて払出装置1033から投入済数と同数の遊技球を払い出させる。
その後、各種のベットボタンスイッチ1114,1304が操作されたとしてもその操作に応じた処理を実行させない期間を決定する投入禁止タイマが設定される(「投入禁止タイマ設定処理」S213)。これによって、所定の時間が経過するまでは各種のベットボタンスイッチの操作が無効化される。投入禁止タイマ設定処理S213の後に、補助通過許可期間が設定される(「補助通過許可期間設定処理」S214)。具体的には、補助通過許可残時間情報に「203」(約300msに相当)が設定される。なお、補助通過許可残時間情報は、タイマ割込み処理におけるセンサ監視処理において、補助通過許可時間情報が「0」を越えて大きい場合に、タイマ割込み処理の実行ごとに「1」だけ減算された値に更新される。補助通過許可期間は遊技球の通過を正常な通過として許容し、その通過個数(補助投入数)が計数される期間である。なお、投入動作中においては、遊技球の通過を正常な通過として許容し、その通過個数が計数される。補助通過許可期間設定処理S214の後に、投入中又は投入期間返却中である場合にはそれぞれ、投入中フラグ、投入期間中返却中フラグが解除されて、投入期間が完全に終了する(「球処理状態更新処理」S215)。上記のように、遊技球ベット処理S1406は、スイッチLED発光制御処理S201〜球処理状態更新処理S215を含んでいる。
遊技球ベット処理S1406の終了後に、図21に示されたように、ベット数が最小規定数未満であるか否かが判定される(S1407)。ベット数が最小規定数未満である場合には、投入エラー処理S1403から判定処理S1407までが繰り返される。一方、ベット数が最小規定数未満でない場合には、始動レバースイッチ1124の操作に応じた変動開始信号が受信されているか否かが判定される(S1408)。変動開始信号が受信されていない場合には、投入エラー処理S1403から判定処理S1408までが繰り返される。一方、変動開始信号が受信されている場合には、本変動待機処理S1304。以上で説明したように処理過程(S1401〜S1408)を経て、変動待機処理S1304が完了する。
ここで、上記の遊技球ベット処理S1406のフローチャートに従った投入動作について、概ね時系列に沿って参照して説明する。再投入動作を行うことなく投入制御動作が完了する場合及び球切れの発生に起因する再投入動作が行われる場合について説明する。図27は、再投入動作が行われずに投入制御が完了する投入動作の一例を表すタイミングチャートである。図28は、球切れ等による再投入操作が実行される投入制御の一例を表すタイミングチャートである。
投入操作許可状態(S203:Y)にける遊技者による最大ベットボタンスイッチ1304のボタン操作に基づく最大ベット操作信号(「ベット指示」の一種)の立上りの検知(ta)に応じて(S203:Y)、まず、通常遊技状態の場合には「15」から投入済数を減じた値が、一方、特別遊技状態におけるJACゲームの場合には「5」から投入済数を減じた値が、投入許可数として設定される(S207)。なお、前回の投入制御で投入許可数の投入が完了している場合には、最大ベット操作信号を検知しても実質的な処理を行わない。投入許可数を第1条、第2条及び第3条のうち投入可能な条(以下、「投入許可条」と称す)に振り分けて条別の投入残数(条別の投入許可数)の値が決定される。なお、吊球の下流捕捉は発生していないために(S204:N)、吊球関連報知は開始されない(S205のスキップ)。
投入許可数の振分の完了後に、第1条の通過許可残時間情報の更新を実質的に開始させる(tb)。具体的には、第1条の通過許可残時間情報の値に所定の許可時間に対応する値(本形態では、本形態では、約300msに相当する「203」)が設定される。なお、通過許可残時間情報の値は、「0」以上の値である場合にタイマ割込みごとに、つまり、実質的に1.49msごとに「1」だけ減算される(S404)。また、第1条の流入規制フラグの設定に応じて、第1条の投入ソレノイド1414aへの通電が開始されて第1条の投入フリッカ1413aが作動することとなり(S320)、貯留通路1402aにおける遊技球の通過が許可されて第1条における遊技球の投入が実際的に開始される。なお、第1条の流入規制フラグが解除されるまで、第1条の投入ソレノイド1414aへの通電を維持する。同様に、第2条及び第3条における遊技球の初投入動作が実際的に開始される。以下においては、図27に示されたように、第1条、第2条及び第3条の投入残数の各々の値が「5」である場合について説明する。
遊技球の流下が許可されると、貯留通路1402aから投入通路1406aへの遊技球の流下が開始される。なお、第1条の上流通過検出信号及び下流通過検出信号の出力状態は、定期的に監視されており(S1108)、タイマ割込みごとに、第1条の今回検出位相と第1条の前回検出位相とが更新される。具体的には、前々回の割込みにおける第1条の検出位相を保持していた第1条の前回検出位相が前回の割込みにおける第1条の検出位相に変更され、前回の割込みにおける第1条の検出位相を保持していた第1条の今回検出位相が今回の割込みにおける第1条の検出位相に変更される。
遊技球の流下が開始されると、第1条の検出位相が変化するまで(S402:Y)、タイマ割込み間隔ごとに第1条投入制御処理(S318)が実行されて、その度に通過許可残時間情報の値が「1」だけ減算される(S404)。また、第1条の通過許可残時間情報の値は「0」ではない(S411)ために、投入動作中フラグ(投入動作中情報)が設定される。投入動作中フラグは、第1条に固有の情報ではなく、第2条及び第3条に共通の情報であり、投入動作中フラグが判定時(S322)に「0」であれば、全条における通過許可残時間情報の値が「0」であることを意味する。また、投入動作中フラグは、全条に対する投入制御処理S318〜S320の一巡に応じて「0」に初期化される。なお、実施の形態1〜3においてはこのフラグは使用されていない。投入作動中フラグが設定された後に、今回の第1条投入制御処理(S318)において流入規制フラグが解除されていないために第1条の投入ソレノイド1414aの状態は変化しない(S321)。また、投入動作中フラグが設定されているために、全条における通過許可期間が終了したとは判定されず(S322:N)、タイマ割込み処理の実行を待って次回の第1条投入制御処理(S318)が実行される。
なお、図27とは異なり、第1条の検出位相が変化しないまま(S402:N)、第1条の通過許可期間が終了する場合(通過許可残時間情報の値が「1」である場合)(S403)には、第1条の投入フリッカ1413aが投入禁止状態でないために、投入されるべき遊技球が第1条の貯留通路1402aに無いと判断して、後述する球切れ時の処理が実行される。なお、球切れ時の処理の詳細については後述する。また、第1条の通過許可残時間情報の値が「0」である場合(S411:Y)には、投入動作中フラグは設定されない(S412のスキップ)。また、第1条の流入規制フラグが解除された場合(S409)には第1条の投入ソレノイド1414aが投入禁止状態に移行する(S321)。また、投入動作中フラグが設定されていない場合には、全条における通過許可期間が終了したと判定して(S322:Y)、初投入動作期間が終了する。なお、所定の条件を満たす(S304:Y,S305:N)場合に再投入動作に移行し、所定の条件を満たさない場合には投入動作が終了する。
第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の上流通過検出信号がオフ状態からオン状態に移行し(t11)、この位相変化は正常な位相変化であるので(S413:Y)、第1条の参照位相が第1通過位相から第2通過位相に更新される(S414)。また、最終球でない(S421:N)第1球の通過開始(S420:Y)であるので、第1条の通過許可残時間情報の値が所定の時間Ta(約300ms)に対応する値に再設定される(S422)。第1球の通過開始後において通過許可残時間情報の値が「0」となるまでの期間が第1条の通過許可期間である。なお、この期間は、第1条における第1球の通過開始の時点から第1条の第2球の通過センサ1415aの通過開始の時点までの最大許容期間を兼ねている。第1条の通過許可残時間情報の値は「0」ではない(S411:N)ために、投入動作中フラグが設定される(S412)。
なお、図27とは異なり、検出位相に位相変化があったにも関わらず、正常な位相変化でないと最終的に判定された場合(S415:N,S416:N)には通過順序エラー処理S418が実行される(S418)。
その後、第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の下流通過検出信号がオフ状態からオン状態に移行し(t12)、この位相変化は正常な位相変化であるので(S413:Y)、第1条の参照位相が第2通過位相から第3通過位相に更新される(S414)。また、第1条の通過センサ1415aの通過開始でも通過完了でもなく(S419:N,S420:N)、通過許可期間の終了でもない(S403:N)ために、第1条の通過許可残時間情報の値が「1」だけ減算される(S404)。また、減算後の第1条の通過許可残時間情報の値は「0」ではない(S411)ために、投入動作中フラグが設定される(S412)。
その後、第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の上流通過検出信号がオン状態からオフ状態に移行し(t13)、この位相変化は正常な位相変化であるので(S413:Y)、第1条の参照位相が第3通過位相から第0通過位相に更新される(S414)。また、通過センサ1415aの通過開始でも通過完了でもなく(S419:N,S420:N)、通過許可期間の終了でもない(S403:N)ために、第1条の通過許可残時間情報の値が「1」だけ減算される(S404)。また、減算後の第1条の通過許可残時間情報の値は「0」ではない(S411)ために、投入動作中フラグが設定される(S412)。
なお、図27とは異なり、正常な位相変化でないと最終的に判定された場合(S413:N,S415:N,S416:N)には、通過順序エラー処理が実行される(S414)。また、通過許可期間の終了であると判定された場合(S403:Y)には、第1条を投入許可条としないために投入動作許可フラグが解除され(S409)、第1条の通過センサ1415aの通過中である(S407:Y)ために通過時間エラー処理が実行される(S408)。
その後、第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の下流通過検出信号がオン状態からオフ状態に移行する(t14)、この位相変化は正常な位相変化であるので(S411:Y)、第1条の参照位相が第4通過位相から第1通過位相に更新される(S414)。このとき、第2球は、まだ、第1条の上流側素子1415a1には到達しておらず、第1条の上流通過検出信号はオフ状態を維持している。また、第1球の通過センサ1415aの通過完了が検知された(S416:Y)ために、全条共通の投入残数が「1」だけ減算され(S421)、全条共通の投入済数が「1」だけ加算され(S422)、かつ、第1条の投入残数の値が「1」だけ減算される(S424)。また、ベット数やベット数表示が必要に応じて更新される(S423)。その後、第1球は最終球でなく(S425:N)、また、第1条の通過許可期間の終了でもない(S403:N)ために、第1条の通過許可残時間情報の値が「1」だけ減算される(S404)。また、減算後の第1条の通過許可残時間情報の値は「0」ではない(S411)ために、投入動作中フラグが設定される(S412)。
なお、図27とは異なり、第1条の通過許可期間の終了であると判定された場合(S403:Y)であっても、第1条の投入フリッカ1413aが既に投入禁止状態であるために、通過時間エラー処理(S408)が実行されることなく、第1条の通過許可残時間情報の値が「1」だけ減算される。また、第1条において第1球が最終球である場合(S421:Y)には、第1条の通過許可残時間情報の値が強制的に「0」に設定されて(S423)、第1条の投入許可期間が終了する。これによって、第1条における初投入動作(投入動作)が完了することとなる。
第1条の通過センサ1415aの通過を完了した第1球は、投入通路1406aを更に流下して、第1条のカウントセンサ1416aに向かう。第1条のカウントセンサ1416aの通過が開始されるとカウントセンサ信号がオフ状態からオン状態に移行する(t15)。カウントセンサ信号がオン状態からオフ状態への移行(t16)によって第1条のカウントセンサ1416aの通過完了が検知されると、補助投入済数が「1」だけ加算される(S901)。なお、本形態では、条別にカウントセンサ1416a〜1416cを通過する遊技球の個数は計測しておらず、カウントセンサ1416a〜1416cを通過する遊技球の総数のみを計測している。
第2条及び第3条についても第1条の場合と実質的に同一の過程を経て、第2条及び第3条に対する第1球の投入が完了する(t14’,t14”)。また、第1条、第2条及び第3条に対する第2球〜第4球も第1条の第1球と同様の過程を経ることによってそれらの投入が完了する(t24〜t44,t14’〜t44’,t14”〜t44”)。以下においては、最終球である第5球の投入について、最終球でない場合と相違する処理についてのみ詳細に説明する。
第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の上流通過検出信号がオフ状態からオン状態に移行し(t51)、この位相変化は正常な位相変化であるので(S413:Y)、第1条の参照位相が第1通過位相から第2通過位相に更新される(S414)。また、最終球である(S421:Y)第1球の通過開始(S420:Y)であるので、第1条の流入規制フラグが解除された後に(S422)、第1条の通過許可残時間情報の値が所定の時間Taに対応する値に再設定され(S423)、投入動作中フラグが設定される(S412)。
その後、第1球の場合と同様に、第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の下流通過検出信号がオフ状態からオン状態に移行し(t52)、その後、第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の上流通過検出信号がオン状態からオフ状態に移行し(t53)、更にその後、第1条の通過許可期間内(S401:Y)に第1条の下流通過検出信号がオン状態からオフ状態に移行する(t54)。第1球の場合と同様に、第5球の通過センサ1415aの通過完了の検知(S419:Y)に応じて、全条共通の総投入残数の更新(S424)、全条共通の投入済数の更新(S425)、必要に応じたベット数やベット数表示の更新(S426)及び第1条の投入残数の更新(S427)が行われる。更に、第5球は最終球である(S428:Y)ために、第1条の通過許可残時間情報の値が強制的に「0」に設定され(S429)、投入動作中フラグが解除された状態を維持することとなる(S412)。
第1条における初投入動作が完了した時点において、図27に示されたように、既に第2条及び第3条における初投入動作は完了しているために、今回の第2条投入制御処理S319及び第3条投入制御処理S320においても投入動作中フラグが設定されないために、全条の通過許可期間が終了したと判定される(S322:Y)。これによって、初投入動作期間が終了し、実質的に同時に投入動作期間フラグが解除されて投入動作期間が終了する(tc;S215)。なお、投入動作期間の終了に先立ち、最大ベットボタンスイッチ1304の操作に応じた処理を実行しない投入操作禁止期間を設け(S213)、また、第1条のカウントセンサ1416aを通過する遊技球の個数を計数する期間を所定の時間Tbだけ延長させるために、補助通過許可期間が設定される(S214)。なお、第1条の第5球は投入動作期間が終了した後に、第1条のカウントセンサ1416aを通過完了する(t56)が、補助通過許可期間内であるために(S806:Y)、期間外投入エラーフラグが設定されることはない(S808のスキップ)。
所定数の投入許可数の遊技球の投入が完了した後の始動レバースイッチ1124の操作(te)に応じて個数比較タイマが設定され、始動レバースイッチ1124の操作(te)から所定の時間Tcが経過した際(tf)に、投入済数と補助投入済数とが所定の条件(投入済数≦補助投入済数)を満たすかを判定し(S906)、所定の条件を満たさない場合には、個数エラーと判断して個数エラーフラグが設定される(S907)。個数エラーフラグが設定されると、今回の単位遊技の終了後に、遊技進行が強制的に停止されると共に個数エラーの報知が行われることとなる(S1403)。
ここで、再投入動作が行われない場合と球切れ等の発生によって再投入動作が行われる場合の相違について説明する。図28は、球無し状態の発生によって再投入動作を行う場合の投入動作の一例を表すタイミングチャートである。図28においては、第2条において、第2球の投入で球切れが発生した場合が表されている。
図28に示されたように、第2条の通過許可期間内(S401:Yに相当)において、第3球が第2条の通過センサ1415aの通過を開始せずに第2球の第2条の通過センサ1415aの通過開始からの時間が所定の時間Taに到達する場合(t27’;S403:Yに相当)、第2条を投入許可条としないために第2条の投入動作許可フラグが解除される(S406)。第2条の投入動作許可フラグの解除後に、第2条において第3球が通過センサ1415bを通過中でないために(S407:Nに相当)、第2条の投入フリッカ1413bを投入禁止状態に戻すために第2条の流入規制フラグが解除される。第2条の流入規制フラグの解除後に、第2条の通過許可残時間情報が所定の球切れ待機時間Td(本形態では、約200ms)に対応する値(「75」)に再設定される。これによって、第1条における通過許可期間が球切れ待機時間だけ延長される。所定の球切れ待機時間Tdの後に第2条における通過許可期間が終了し(S403:Yに相当)、また、既に第2条の流入規制フラグは解除されている(S405:Y)ために、第2条に割り当てられた5球のうち2球の投入しか完了しておらず、かつ、第1条及び第3条は投入許可条であるために、投入動作の完了でないと判定される(S304:N,S305:Y)。また、吊球発生フラグは設定されておらず(S307:N)、第2条は投入許可条でないために(S307:Y)、所定の時間Teだけ待機した(S5508)後、再投入動作を開始することとなる(th)。
初投入動作期間において第2条で投入すべきであったが投入されなかった遊技球の個数(図28においては「3」)を投入許可条である第1条及び第3条のみに振り分ける(S5509)。具体的には、振分における条別の優先度を考慮して、第3条に2球の投入が割り当てられ、第1条に1球の投入が割り当てられる。この場合の再投入動作においては、第3条における第2球及び第1条における第1球が最終球である。再投入動作が開始されると(th)、初投入動作の場合と同様にして第3条において2球及び第1条において1球の遊技球が投入される。再投入動作において、第1条の通過許可期間が終了し(t64)、かつ、第3条の通過許可期間が終了する(t74”)と、再投入動作期間が終了し、この場合には投入許可数の遊技球の投入が完了しているので(S5504:Y)、実質的に同時に投入動作期間フラグが解除されて投入動作が終了する(tc;S213)。
変動待機処理S1304の後に、図20に示されたように、始動レバースイッチ1124が操作された際にハードウェア的にラッチされた乱数カウンタの値が読み出されてRAM1045a3に格納される(「乱数作成処理」S1305)。始動レバースイッチ1124が操作された際に乱数カウンタをハードウェア的にラッチすることによって、始動レバースイッチ1124の操作と乱数値の取得とを時間的に同期させている。なお、ソフトウェアで乱数カウンタの値を読み出すこともできるが、この場合には、始動レバースイッチ1124の操作から乱数値の取得までの時間が、ハードウェア的にラッチする場合よりも不均一になる。
乱数作成処理S1305の後に、確率設定、ベット数及び遊技状態に応じた乱数テーブルを参照して、乱数作成処理S1305で取得した乱数値に応じた当選役が決定され、当選役の種別に応じた当選フラグ(例えば、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、チェリー当選フラグ、ベル当選フラグ、スイカ当選フラグ、再遊技当選フラグ)が設定され、当選役の種別を表す当選役コマンドと確率設定の設定値を表す設定値コマンドとが設定される(「内部抽選処理」S1306)。当選役として、例えば、ビックボーナス役(以下、「BB」とも称す)、レギュラーボーナス役(以下、「RB」とも称す)、各種の小役(本形態では、チェリー役、ベル役、スイカ役)、再遊技役及びハズレ役が挙げられる。なお、単位遊技において複数種類の当選役が選択されてもよい。
内部抽選処理S1306の後に、当選役、ベット数及び遊技状態に基づいて、ROM1045a2に保持された手動停止制御テーブル群から各回胴L,M,Rの制御に用いる1つの手動停止制御テーブルが参照制御テーブルとして選択され、参照制御テーブルのテーブル番号がRAM1045a3の所定の領域に格納される(「回転初期化処理」S1307)。当選役がハズレ以外のときには、この参照制御テーブルに従って、当選役を可能な限り入賞させるために所定の範囲(5図柄)内で余分に回胴を回転させるスベリ制御が行われる。当選役がハズレの場合にも、他の当選役を入賞させないために、同様のスベリ制御が行われる。この参照制御テーブルは、必要に応じて手動停止制御テーブル群から再選択されることとなる。なお、詳細については後述する回転制御処理S1309において説明する。
回転初期化処理S1307の後に、図柄変動待機処理S1308が実行される。図柄変動待機処理S1308では、まず、図柄変動監視タイマによる測定時間が所定の規定時間(例えば、4.1秒)以上であるか否かが判定される。ここで、「図柄変動監視タイマ」は、前回の図柄表示の変動開始時点からの経過時間を測定するタイマである。図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間未満である場合には、規定時間の経過を待つ状態(以下、「図柄変動待機状態」と称する)であることを表す図柄変動待機コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。なお、図柄変動待機状態であることが変動待機状態表示装置(図示せず)によって遊技者に報知される。その後、図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間以上となるまで、図柄変動待機状態の報知が行われたまま、図柄変動監視タイマによる測定時間が所定の規定時間以上であるか否かの判定が繰り返される。一方、図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間以上である場合には、図柄変動監視タイマがリセットスタートされ、規定時間待機状態の報知を停止し、所定の規定時間が経過した状態であることを表す規定時間経過コマンド(内部状態コマンドの一種)と、外部集中端子板に出力するためのベット数コマンドとがリングバッファに格納される。その後、RAM1045a3の所定の領域における回胴ユニット1043の各ステッピングモータ1043L4,1043M4,1043R4の駆動制御に関連する情報が回転開始用に初期設定される。例えば、ウェイトタイマの値が「0」に設定され、加速カウンタの値が「26」に設定される。なお、各ステッピングモータ1043L4,1043M4,1043R4の実際の駆動は、タイマ割込み処理の各種の回胴モータ制御処理S1105〜S1107(図16参照)で制御される。
図柄変動待機処理S1308の後に、回胴ユニット1043における各回胴L,M,Rの回転を制御する回転制御処理S1309が実行される。ここで、回転制御処理S1309について詳細に説明する。図29は、回転制御処理の一例を表すフローチャートである。
回転制御処理S1309において、RAM1045a3の所定の領域における各回胴L,M,Rの回転に関する情報が初期化され、全ての回胴L,M,Rが回転中であることを表す全回胴回転コマンド(回胴回転情報コマンドの一種)と回胴ユニット1043において図柄表示変動状態であることを表す図柄変動状態コマンド(内部状態コマンドの一種)とがリングバッファに格納される(「回転開始処理」S1601)。回転開始処理S1601の後に、所定の停止待機時間が経過するまで待機する(「図柄停止待機処理」S1602)。図柄停止待機処理S1602における「所定の停止待機時間」は、各回胴L,M,Rの回転開始から一定速度の定常回転に至るまでに要する平均時間と概ね同一の時間である。図柄停止待機処理S1602の後に、全ての回胴L,M,Rの回転が定常回転である否かが判定される(S1603)。具体的には、それらの回転が定常回転であるか否かは、最後に回転を開始した回胴に対応する回胴位置検出センサ1043R7からの検出信号が受信されているか否かで判定されており、その検出信号が受信されている場合にはそれらの回転は定常回転であると判断し、その検出信号が受信されていなければいずれかの回胴の回転は定常回転でないと判断している。それらの回転が定常回転でない場合には、判定処理S1603が繰り返し実行される。なお、本形態では全ての回胴L,M,Rは同時に回転を開始する。
判定処理S1603において全ての回胴の回転が定常回転であると判定された場合には、自動停止までの図柄表示の変動時間を測定する自動停止タイマを設定する(「自動停止タイマ設定処理」S1604)。自動停止タイマ設定処理S1604の後に、自動停止タイマによる計測時間が規定回転時間を超えているか否かが判定される(S1605)。自動停止タイマによる計測時間が規定回転時間を越えていなければ、以下の手動により図柄表示の変動を停止させる処理が実行される。
左回胴停止ボタンスイッチ1126Lの操作に応じた左停止信号が受信されているか否かが判定される(S1606)。左停止信号が受信されていない場合には、中回胴停止ボタンスイッチ1126Mの操作に応じた中停止信号が受信されているか否かが判定される(S1607)。中停止信号が受信されていない場合には、右回胴停止ボタンスイッチの操作に応じた右停止信号が受信されているか否かが判定される(S1608)。右停止信号が受信されていない場合、つまり、左停止信号、右停止信号及び右停止信号のいずれもが受信されていない場合には、判定処理S1606が実行される。
判定処理S1606において左停止信号が受信されていると判定された場合には、左停止フラグが設定されているか否かが判定される(S1609)。「左停止フラグ」は、左回胴Lが回転しているか停止しているかを識別するフラグであり、回転初期化処理S1307において解除されている。左停止フラグが設定されている場合は、左回胴Lが既に停止していることを表し、左停止フラグが解除されている場合は、左回胴Lが回転していることを表す。左停止フラグが設定されている場合には、判定処理S1606が実行され、一方、左停止フラグが解除されている場合には、左回胴停止処理S1610が実行される。左回胴停止処理S1610において、まず、参照制御テーブルを参照して、左回胴Lを回転させる左回胴用ステッピングモータ1043L4が停止される。左回胴用ステッピングモータ1043L4の停止後に、左停止フラグが設定され、停止回胴数がインクリメントされ、左回胴Lが停止していることを表す左回胴停止コマンド(回胴回転情報コマンドの一種)及び左回胴Lの停止図柄を表す左回胴図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。「停止回胴数」は、停止している回胴の個数を表し、回転開始処理S1601において「0」にリセットされる。
ここで、左回胴停止処理S1610について詳細に説明する。左回胴停止処理S1610では、まず、RAMに1045a3に保持された現在の図柄番号を参照して、停止基準図柄番号が現在の図柄番号に1だけ加算した値に設定される。停止基準図柄番号が設定された後に、左回胴Lが2番目に停止された回胴である場合には、必要に応じて、現在選択されている参照制御テーブルを他の制御テーブルに変更する。なお、左回胴Lが2番目に停止された回胴でない場合には、制御テーブルの変更は行われない。その後、参照制御テーブルを参照して、停止基準図柄番号に応じたスベリ量が抽出され、停止図柄番号にスベリ量を加算した値が停止図柄番号として設定される。なお、停止図柄番号が20(最大図柄番号)を超える場合には、停止図柄番号が現在の値から21だけ減算した値に変更される。停止図柄番号が設定された後に、停止間隔タイマが設定される。停止間隔タイマは、次の回胴に対する停止指示を受け付けない期間を計測するタイマである。なお、停止間隔タイマの値は、スベリ量に対応する回転及びその後の回胴の停止までに要する時間を考慮して、それらの最大時間を越える所定の時間に設定される。その後、停止間隔タイマの計測時間が所定の時間を超えた場合に、左停止フラグが設定されて、左回胴停止処理S1610が終了する。
左回胴停止処理S1610の後に、停止回胴数が3であるか否かが判定される(S1611)。停止回胴数が3でない場合、つまり、少なくとも1つの回胴が回転中である場合には、参照制御テーブルの変更が必要であるか否かが判定される(S1612)。未停止の回胴の停止において参照制御テーブルの変更が必要な場合には、参照制御テーブルが手動停止制御テーブル群から選択された他の手動停止制御テーブルに変更される(「制御テーブル変更処理」S1613)。制御テーブル変更処理S1613においては、左回胴Lの停止位置と共に中回胴M及び右回胴Rのうちの既に停止している回胴の停止位置が参照される。参照制御テーブルの変更が必要な場合としては、例えば、当選役以外の役が入賞する場合が挙げられる。
判定処理S1607において中停止信号が受信されていると判定された場合には、中停止フラグが設定されているか否かが判定される(S1614)。「中停止フラグ」は、左停止フラグの場合と同様に、中回胴Mが回転しているか停止しているかを識別するフラグであり、回転開始処理S1601において解除されている。中停止フラグが設定されている場合には、判定処理S1606が実行される。一方、中停止フラグが解除されている場合には、停止回胴数が0であるか否かが判定される(S1615)。停止回胴数が0でない場合には、中回胴停止処理S1617が実行される。一方、停止回胴数が0である場合には、手動停止制御テーブル群のうち所定の手動停止制御テーブルが参照制御テーブルとして再設定され(「制御テーブル再設定処理」S1616)、制御テーブル再設定処理S1616の後に、中回胴停止処理S1617が実行される。なお、中回胴停止処理S1617は、左回胴停止処理S1610の場合と同様の処理である。中回胴停止処理S1617において、まず、参照制御テーブルを参照して、中回胴Mを回転させる中回胴用ステッピングモータ1043M4が停止される。中回胴用ステッピングモータを停止させる際の制御は、左回胴用ステッピングモータ43L4を停止させる際の制御と実質的に同一である。中回胴用ステッピングモータ1043M4の停止後に、中停止フラグが設定され、停止回胴数がインクリメントされ、かつ、中回胴Mが停止していることを表す中回胴停止コマンド(回胴回転情報コマンドの一種)及び中回胴Mの停止図柄を表す中回胴図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
中回胴停止処理S1617の後に、停止回胴数が3であるか否かが判定される(S1618)。停止回胴数が3でない場合には、未停止の回胴の停止において参照制御テーブルの変更が必要であるか否かが判定される(S1619)。参照制御テーブルの変更が必要な場合には、参照制御テーブルが手動停止制御テーブル群から選択された他の手動停止制御テーブルに変更される(「制御テーブル変更処理」S1620)。制御テーブル変更処理S1620においては、中回胴Mの停止位置と共に左回胴L及び右回胴Rのうちの既に停止している全ての回胴の停止図柄番号が参照される。
判定処理S1608において右停止信号が受信されていると判定された場合には、右停止フラグが設定されているか否かが判定される(S1621)。「右停止フラグ」は、左停止フラグ及び中停止フラグの場合と同様に、右回胴Rが回転しているか停止しているかを識別するフラグであり、回転開始処理S1601において解除されている。右停止フラグが設定されている場合には、判定処理S1606が実行される。一方、右停止フラグが解除されている場合には、停止回胴数が0であるか否かが判定される(S1622)。停止回胴数が0でない場合には、右回胴停止処理S1624が実行される。一方、停止回胴数が0である場合には、手動停止制御テーブル群のうち所定の手動停止制御テーブルが参照制御テーブルとして再設定され(「制御テーブル再設定処理」S1623)、制御テーブル再設定処理S1623の後に、右回胴停止処理S1624が実行される。なお、右回胴停止処理S1617は、左回胴停止処理S1610と同様の処理である。右回胴停止処理S1617において、まず、参照停止制御テーブルを参照して、右回胴Rを回転させる右回胴用ステッピングモータ1043R4が停止される。右回胴用ステッピングモータを停止させる際の制御は、左回胴用ステッピングモータ1043L4を停止させる際の制御と概ね同一である。右回胴用ステッピングモータ1043R4の停止後に、右停止フラグが設定され、停止回胴数がインクリメントされ、かつ、右回胴Rが停止していることを表す右回胴停止コマンド(回胴回転情報コマンドの一種)及び右回胴の停止図柄を表す右回胴図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
右回胴停止処理S1624の後に、停止回胴数が3であるか否かが判定される(S1625)。停止回胴数が3でない場合には、未停止の回胴の停止において参照制御テーブルの変更が必要であるか否かが判定される(S1626)。参照制御テーブルの変更が必要な場合には、参照制御テーブルが手動停止制御テーブル群から選択された他の手動停止制御テーブルに変更される(「制御テーブル変更処理」S1627)。制御テーブル変更処理S1627においては、右回胴Rの停止位置と共に左回胴L及び中回胴Mのうちの既に停止している全ての回胴の停止図柄番号が参照される。
判定処理S1605において、自動停止タイマによる計測時間が規定回転時間を越えている場合には、現在回転中の全回胴L,M,Rの回転を停止させる(「自動停止処理」S1628)。自動停止処理S1628の後、並びに、判定処理S1611、判定処理S1618及び判定処理S1625において停止回胴数が「3」であると判定された場合に、自動停止タイマを解除する。
ここで、自動停止処理S1628について詳細に説明する。自動停止処理S1628では、まず、既に停止している回胴の停止図柄番号(停止位置)を参照して、ROM1045a2に保持された自動停止制御テーブル群から1つのテーブルが参照制御テーブルとして設定される。その後に、左停止フラグが設定されているか否かが判定され、左停止フラグが設定されていない場合には、左回胴Lの回転が停止される。次に、中停止フラグが設定されているか否かが判定され、中停止フラグが設定されていない場合には、中回胴Mの回転が停止される。その後に、右停止フラグが設定されているか否かが判定されて、中停止フラグが設定されていない場合には、中回胴Rの回転が停止される。
回転制御処理S1309の後に、図20に示されたように、入賞確認処理S1310が実行される。入賞確認処理S1310において、まず、有効ラインごとの図柄パターンを確認して、当選役以外の役が1つでも入賞している場合には、入賞エラーの発生を報知させるためのエラー処理が実行される。一方、当選役のみが入賞している場合には、入賞した全ての当選役に対応する入賞フラグ(例えば、ビッグボーナス入賞フラグ、レギュラーボーナス入賞フラグ、チェリー入賞フラグ、ベル入賞フラグ、スイカ入賞フラグ、再遊技入賞フラグ)が設定される。また、入賞した各当選役に対応する獲得遊技球数が最大獲得遊技球数を超えない範囲内において加算されることによって、最終的に獲得遊技球数が決定される。更に、入賞確認処理S1310においては、入賞役の種類の情報を含む入賞役コマンド、入賞ラインの種類の情報を含む入賞ラインコマンド及び入賞エラーの情報を含む入賞役エラーコマンドがリングバッファに格納される。
入賞確認処理S1310の後に、獲得遊技球数の情報を含む払出コマンドが設定される(「獲得球払出処理」S1311)。獲得遊技球払出処理S1311の後に、再遊技処理S1312が行われる。再遊技処理S1312では、入賞確認処理S1310において再遊技入賞フラグが設定されている場合に、内部状態を再遊技に設定する等の各種の処理が行われる。また、次回の遊技が再遊技であることを表す再遊技コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
再遊技処理S1312の後に、役物作動中処理S1313が行われる。役物作動中処理S1313では、ビッグボーナス(BB)役及びレギュラーボーナス(RB)役等の役物作動中の処理が行われる。内部状態がビッグボーナス遊技状態である場合には、小役ゲーム中の制御、小役ゲームからJACゲームへの移行制御、JACゲーム中の制御、JACゲームから小役ゲームへの移行制御及びビッグボーナス遊技状態の終了制御等が行われる。ビッグボーナス遊技状態の終了判定は、その状態中に獲得した遊技球の獲得総数が所定数以上であるか否かによって決定される。獲得総数が獲得規定数以上である場合には、ビッグボーナスの終了処理が行われる。一方、獲得総数が獲得規定数未満である場合には、ビッグボーナスの終了処理がスキップされる。一方、内部状態がレギュラーボーナスである場合には、JACゲーム中の制御及びレギュラーボーナス遊技状態の終了制御等が行われる。レギュラーボーナスの終了条件も、獲得総数が獲得規定数以上であるか否かによって決定される。
役物作動中処理S1313の後に、役物作動判定処理S1314が行われる。役物作動判定処理S1314では、ビッグボーナス役に当選したことを表すビッグボーナス役の当選フラグが設定されており、かつ、ビッグボーナス役が入賞したことを表すビッグボーナス役の入賞フラグが設定されている場合には、ビッグボーナスを開始するための処理を実行する(「BB開始処理」)。また、レギュラーボーナス役に当選したことを表すレギュラーボーナス役の当選フラグが設定されており、かつレギュラーボーナス役が入賞したことを表すレギュラーボーナスの入賞フラグが設定されている場合には、レギュラーボーナス役を開始するための処理を実行する(「RB開始処理」)。
役物作動判定処理S1314の後に、遊技進行表示処理S1315が実行される。遊技進行表示処理S1315では、内部状態がビッグボーナス遊技状態やレギュラーボーナス遊技状態である場合には、JACゲームの残りゲーム数や1回のビッグボーナスにおける獲得遊技球の総数等を表示するためのデータが設定される。また、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の終了後に、再遊技の当選確率が通常遊技状態よりも高いリプレイタイム(「RT」)等の特定遊技状態に移行させる場合には、内部状態を特定遊技状態に設定し、特定遊技状態であることを表す特定遊技状態コマンド(内部状態コマンドの一種)をリングバッファに格納する。
遊技進行表示処理S1315の後に、個数エラーフラグが設定されているか否かが判定され(S1316)、個数エラーフラグが設定されている場合には、遊技進行が停止される(「個数エラー処理」S1316)。なお、リセットスイッチ1038b(図9及び図15参照)が操作まで個数エラー状態が維持され、リセットスイッチ1038bが操作されると遊技情報クリア処理S1303に戻り、遊技進行が再開される。一方、個数エラーフラグが設定されていない場合には、個数エラー処理S1316がスキップされて、遊技情報クリア処理S1303に戻る。
払出制御基板1037aにより実行される制御処理について説明する。払出制御基板1037aの制御処理は、外部電力の供給再開や電源スイッチ1038aのオン操作等による復電に伴って起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。なお、割込み処理としては、主制御基板1045aからの各種のコマンドの受信に応じて割込みをかけるコマンド割込み処理と、定期的(本形態では2ms)に繰返し実行されるタイマ割込み処理がある。説明の便宜上、まず、割込み処理について説明した後にメイン処理について説明する。
まず、コマンド割込み処理について説明する。コマンド割込処理は、払出制御基板1037aが主制御基板1045aからのコマンドを受信した場合に実行される。コマンド割込処理が実行されると、まず、受信したコマンドが受信用のデータバッファに格納される(「受信コマンド格納処理」)。コマンド受信処理の後に、コマンド受信フラグが設定される(「コマンド受信フラグ設定処理」)。コマンド受信フラグ設定処理の終了により外部割込み処理は終了する。
次に、タイマ割込み処理について説明する。図30は、払出制御基板1037aのタイマ割込み処理の一例を表すフローチャートである。タイマ割込み処理において、図31に示されたように、まず、コマンド受信フラグが設定されているか否かが判定される(S3121)。コマンド受信フラグが設定されている場合、受信用のデータバッファに格納されているコマンドを読み出す(「コマンド読出処理」S3122)。コマンド読出処理S3122の後に、コマンド受信フラグが解除される(「コマンド受信フラグ解除処理」S3123)。コマンド受信フラグ解除処理S3123の後に、読み出されたコマンドが払出コマンドであるか否かが判定される(S3124)。払出コマンドである場合には、払出コマンドの種類に応じた賞球個数(払出個数)を賞球個数カウンタに設定する(「賞球個数カウンタ設定処理」S3125)。一方、読み出されたコマンドが払出コマンドでない場合には、賞球個数カウンタ設定処理S3125がスキップされる。判定処理S3121においてコマンド受信フラグが設定されていないと判定された場合には、コマンド読出処理S3122〜賞球個数カウンタ設定処理S3125がスキップされる。
次に、オーバーフロー検出スイッチ(図示せず)からの検出信号の状態が確認され、その受信状態に基づいて下皿満タン状態の設定制御がなされる(「下皿満タン状態設定処理」S3126)。具体的には、オーバーフロー検出スイッチが約200msの間に渡り継続して検出されている「下皿満タン中」の場合には、下皿満タン状態が設定され、その他の場合においては下皿満タン状態が解除される。
下皿満タン状態設定処理S3126の後に、各球切れ検出装置1035bからの遊技球検出信号の受信状態が確認され、その受信状態に基づいて球有り状態の設定制御がなされる(「球有り状態設定処理」S3127)。具体的には、以下のようにして球有り状態の設定制御がなされる。まず、全ての遊技球検出信号がオン状態であるか否かが判定され、つまり、球通路1033d,1035a内の全てに所定数以上の遊技球が貯留されているか否かが判定される。全ての遊技球検出信号がオン状態である場合には、その状態が2000ms継続しているか否かが確認される。遊技球検出信号のオン状態が約2000ms経過している場合には、全ての球通路1035a内に所定数(本形態では20個)以上の遊技球があることになるので、球有りフラグが設定されて球有り状態設定処理S4007が終了し、遊技球検出信号のオン状態が約2000ms経過していない場合には、そのまま球有り状態設定処理S3126が終了する。一方、遊技球検出信号のうち少なくとも1つがオフ状態である場合には、その状態が約200ms継続しているか否かが判定され、その状態が約200ms経過している場合には、球有りフラグが解除されて球有り状態設定処理S3127が終了し、その状態が約200ms継続していない場合には、そのまま球有り状態設定処理S3127が終了する。
球有り状態設定処理S3127の後に、下皿満タン状態設定処理S3126又は球有り状態設定処理S3127における状態が報知すべき状態である場合に、その状態が報知される(「状態報知処理」S3128)。具体的には、「下皿球満タン中」の場合に、スピーカ1106,1204からの音声によりその旨を遊技者に知らせたり、液晶表示装置1042により画像によりその旨を遊技者に知らせたりする。また、遊技球タンク1032内に遊技球が貯留されてない場合(球有りフラグが解除されている場合)にも同様にその旨を遊技者に知らせたりする。
状態報知処理S3128の後に、賞球払出不可状態か否かが判定される(S3129)。なお、賞球払出不可状態とは、貸球の払い出しが現在実行中の場合である。賞球払出不可状態でない場合には、賞球個数カウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S3130)。賞球個数カウンタの値が「0」である場合には、払出コマンドに基づいて払い出す遊技球がないので、S3132の処理へ移行し、賞球個数カウンタの値が「0」でなければ、払出コマンドに基づいて払い出す遊技球があるので、払出状態カウンタに「1」を設定する(「払出状態カウンタ設定処理」S3131)。判定処理S3129において賞球払出不可状態であると判定された場合や判定処理S3130において賞球個数カウンタの値が「0」である場合には、次の処理S3132に移行する。
次に、貸球払出不可状態であるか否かが判定される(S3132)。なお、貸球払出不可状態とは、賞球の払い出しが現在実行中の場合である。貸球払出不可状態でない場合、カードユニットから貸球払出要求信号を受信しているか否かが判定される(S3133)。貸球払出要求信号を受信している場合には、賞球の払い出しを行うために払出状態カウンタに「2」を設定する(「払出状態カウンタ設定処理」S3134)。一方、貸球払出要求信号を受信していない場合には、払出状態カウンタ設定処理S3134がスキップされる。また、S3132において貸球払出不可状態であると判定された場合、判定処理S3133及び払出状態カウンタ設定処理S3134がスキップされる。その後に、払出タイマ割込実行フラグを設定する(「払出タイマ割込実行フラグ設定処理」S3135)。
払出制御基板1037aにおけるメイン処理について説明する。図31は、払出制御基板のメイン処理の一例を表すフローチャートである。メイン処理では、まず、図32に示されたように、CPU周辺のレジスタ群やI/O装置等に対する各種の設定が行われる(「初期設定処理」S3221)。初期設定処理S3221の後に、RAM1037a3へのアクセスが許可され(「RAMアクセス許可処理」S3222)、外部割込みベクタが設定される(「外部割込みベクタ設定処理」S3223)。外部割込みベクタ設定処理S3223の後に、RAM1037a3の全ての領域を「0」にクリアした(S3224)後に、RAM1037a3に初期値が設定され(「RAM初期設定処理」S4105)、CPU37a1の他の周辺デバイスの初期設定が行われる(「CPU周辺デバイス初期設定処理」S3226)。CPU周辺デバイス初期設定処理S3226の後に、割込み許可が設定され(S3227)、遊技球払出処理S3228が繰り返し実行される。通常ゲーム時には主制御基板1045aからの払出コマンドの受信に応じて払出コマンドの種類に基づいた賞球数の遊技球を払い出すと共に、貸球払出要求がされた場合に25個の遊技球を払い出す処理である。
ここで、遊技球払出処理S3228について詳細に説明する。図32は、遊技球払出処理の一例を表すフローチャートである。遊技球払出処理S3228では、図33に示されたように、まず、払出状態カウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S3301)。払出状態カウンタが「0」である場合、つまり、払出コマンドが受信されていない場合、カウントセンサ33hからのカウントスイッチ信号の受信が検知されているか否かが判定される(S3302)。カウントスイッチ信号の受信が検知されている場合には、主制御基板1045aにカウント信号の出力するための処理を行う(「カウント信号出力処理」S3303)。一方、カウントスイッチ信号の受信が検知されていない場合には、カウント信号出力処理S3303がスキップされる。また、判定処理S3301において払出状態カウンタの値が「0」以外であると判定された場合には、判定処理S3302及びカウント信号出力処理S3303がスキップされる。
次に、球有りフラグが設定されているか否かが判定される(S3304)。球有りフラグが設定されていない場合、ケースレール1035の球通路1035a内に所定数以上の遊技球が貯留されていない状態であるために遊技球の払い出しを行えないので、遊技球払出処理S3228が終了する。一方、球有りフラグが設定されている場合、遊技球の払い出しを行うためにS3305以降の処理へ移行する。
判定処理S3304において球有りフラグが設定されていると判定された場合には、払出状態カウンタの値が確認され(S3305,S3307)、その値が「1」でもなく「2」でもない場合には、遊技球を払い出す状況でないので、遊技球払出処理S3228が終了する。払出状態カウンタの値が「1」である場合には、払出コマンドに基づいた遊技球の払い出しを行う状態であるので、賞球個数カウンタの値を総払出個数カウンタに設定する(「総払出個数カウンタ設定処理」S3306)。一方、払出状態カウンタの値が「2」である場合には、総払出個数カウンタの値に「25」を設定する(「総払出個数カウンタ設定処理」S3308)。総払出個数カウンタの値として「25」を設定するのは、本実施形態では、貸球払出要求信号を1回受信する毎に、遊技球を25個ずつ払い出すからである。
総払出個数カウンタ設定処理S3306,S3308において、総払出個数カウンタの値が設定されると、第1条〜第4条払出リトライフラグをそれぞれ設定して(「全条のリトライフラグ設定処理」S3309)、4つの球通路1033dのすべてについて、払出処理が行われるように初期設定する。全条の払出リトライフラグ設定処理S3309の後に、主制御基板1045aへの払出中信号の出力が開始される(「払出中信号出力開始処理」S3310)。
払出中信号出力開始処理S3310の後に、いずれかの払出リトライフラグが設定されているか否かを判定し(S3311)、全ての払出リトライフラグが設定されていなければ、エラー処理を実行して、遊技球の未払出がある状態で払出が不能となったことを報知する(「エラー処理」S3312)。エラー処理S3312は無限ループとなっており、該エラーは、球式回胴遊技機10をリセットすることによって解消できる。一方、いずれかの払出リトライフラグが設定されていれば、総払出個数カウンタの値が「0」であるか否かが判定され(S3313)、総払出個数カウンタの値が「0」であれば、払出状態カウンタの値が「2」であるか否かが判定される(S3314)。払出状態カウンタの値が「2」であれば、貸出終了信号をCRユニットに出力し(「貸出終了信号出力処理」S3315)、一方、払出状態カウンタの値が「2」でなければ、貸球払出要求信号に基づく払い出しでないので、貸出終了信号出力処理S3315がスキップされる。次に、払出状態カウンタの値に「0」が設定され(「払出状態カウンタ初期化処理」S3316)、払出中信号の出力を停止させて(「払出中信号出力停止処理」S3328)、遊技球払出処理S3308が終了する。なお、払出状態カウンタの値に「0」が設定されると、賞球払出が禁止状態となると共に貸球払出が禁止状態となる。
なお、判定処理S3313の前に、いずれかの条の払出リトライフラグが解除されているか否かを確認し、1つの条でも払出リトライフラグが設定されていなければ、球詰まりなどの異常が発生している可能性があるので、エラー処理を行うよう構成しても良い。即ち、払出装置1033の球通路1033dのうち1つでも詰まっていれば、ケースレール1035の球通路1035aに80個以上の遊技球が貯留されていたとしても、遊技球の払い出しが確実に行えない場合があるが、エラー処理を実行して異常を解除するよう促すことで、遊技球の払い出しを確実に行うことができる。
判定処理S3313において総払出個数カウンタの値が「0」でなければ、全条の払出リトライフラグが設定されているか否かを判定する(S3317)。判定処理3317において、いずれかの払出リトライフラグが解除されていれば、後述するようにいずれかの条において遊技球の払い出しが滞ったこととなるので、遊技球を再振り分けする前に所定時間待機し(「ウェイト処理」S3318)、その後に、払出個数振分処理S3319へ移行する。なお、本形態では、ウェイト処理S4218におけるウェイト時間は、80msである。このウェイト処理S4218は、払出フリッカ1033bによって遊技球の球通路1033dが閉鎖された場合における払出通路1033eよりも上流側にある遊技球のばたつきを抑制するために設けられている。また、払出フリッカ1033bを作動させる払出ソレノイド1033cの駆動における電圧の過渡応答を正確に判定するために設けられる。一方、全条の払出リトライフラグが設定されている場合には、ウェイト処理S3318を行わずに払出個数振分処理S3319へ移行する。
遊技球の払出が行われる4つの球通路1033dで均等に遊技球の払い出しを行うために、各球通路がそれぞれ何個ずつ払い出すかの払出予定個数を振り分ける(「払出個数振分処理」S3319)。払出個数振分処理S3319の後に、払出タイマ割込実行フラグが設定されているか否かが判定される(S3320)。払出タイマ割込実行フラグが設定されていれば、払出条ポインタへ最大値「4」を設定する(「払出条ポインタ最大値設定処理」S3321)。払出条ポインタ最大値設定処理S3321の後に、払出個数振分処理S3319によって各球通路に対して振り分けられ、各球通路33dにおいて払い出しが開始された際の遊技球の個数をカウントすると共に、その払い出しの終了を管理する処理を実行する(「払出実行処理」S3322)。払出実行処理S3322の後に、払出条ポインタが最小値「1」であるか否かが判定される(S3323)。払出条ポインタが「1」でなければ、払出条ポインタの値を「1」だけ減少させて(「払出条ポインタ減算処理」S3324)、払出実行処理S4222に戻る。一方、払出条ポインタが「1」であれば、各払出ソレノイド作動フラグに基づいて各払出ソレノイド1033cが駆動される(「全条の払出ソレノイド作動制御処理」S3325)。具体的には、各条において、払出ソレノイド作動フラグが新たに設定された場合には払出ソレノイド1033cがオン状態に変更され、払出ソレノイド作動フラグが既に設定されていた場合には払出ソレノイド1033cのオン状態が維持され、払出ソレノイド作動フラグが新たに解除された場合には払出ソレノイド1033cがオフ状態に変更され、払出ソレノイド作動フラグが既に解除されていた場合には払出ソレノイド1033cのオフ状態が維持される。
全条の払出ソレノイド作動制御処理S3325の後に、払出し全条の払出遊技球カウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S3326)。全ての払出遊技球カウンタの値が「0」である場合には、判定処理S3311に戻る。一方、いずれかの払出遊技球カウンタの値が「0」でなければ、払出タイマ割込み実行フラグを解除して(「払出タイマ割込実行フラグ解除処理」S3328)、判定処理S3320に戻る。以上のように、遊技球払出処理S3228は、判定処理S3301〜払出中信号送信停止処理S3328によって実現される。
副制御基板1047aにより実行される制御処理について説明する。副制御基板1047aの制御処理は、外部電力の停電からの復帰や電源のオン等による電源復帰に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。割込み処理としては、定期的に割込みをかける内部割込み処理であるタイマ割込み処理と、主制御基板1045aからのコマンド送信に基づく外部割込み処理であるコマンド割込み処理とがある。
タイマ割込み処理は、概ね1msの周期で実行される。タイマ割込み処理では、まず、割込みフラグが読み込まれ、各種の割込みのうちのタイマ割込みである場合には、タイマ割込みタイマカウンタの値が現在値に「1」だけ加算した値に更新される(「割込みタイマカウンタ更新処理」)。
また、コマンド割込み処理は、主制御基板1045aからのコマンド送信に関するストローブ信号の受信に応じて実行される。主制御基板1045aにおけるコマンド送信は概ね1.49msの周期で行われるために、本処理は、概ね1.49msの周期で実行される。コマンド割込み処理では、ストローブ信号に引き続いて送信される各種のコマンドを受信する(「コマンド受信処理」)。
副制御基板1047aで実行されるメイン処理について詳細に説明する。図33は、副制御基板のメイン処理の一例を表すフローチャートである。
メイン処理では、まず、電源制御基板1038’からの内部電力の供給に応じて、副制御基板1047a自身の初期化及び副制御基板1047aに接続された液晶表示装置1042等の周辺装置の初期化が行われる(「初期化処理」S4101)。初期化処理S4201の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S4102)。ここで、システム状態は、供給電圧が所定の電圧以下であることを表す電圧低下状態と、副制御基板1047a及び副制御基板1047aに接続された周辺装置が初期化中であることを表す初期化状態と、供給電圧が所定の電圧であって通常遊技を行えることを表す通常状態とを含意する。なお、初期化状態は、初期化処理S4101の実行中に選択される。
システム状態が電圧低下状態でない場合には、割込みタイマカウンタの値に変更があるか否かが判定される(S4103)。割込みタイマカウンタの値に変更がある場合には、割込みタイマカウンタの値が現在値に「1」だけ減算した値に更新される(「割込みタイマカウンタ更新処理」S4104)。割込みタイマカウンタ更新処理S4104の後に、後述する周期タイマ処理S4105が行われる。周期タイマ処理S4105の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定され(S4106)、システム状態が電圧低下状態でない場合には、コマンド割込み処理において主制御基板1045aからの何らかのコマンドが受信されているか否かが判定される(S4107)。コマンドが受信されている場合には後述する受信コマンド確認処理S4108が行われた後に演出の詳細を決定する乱数のベース値が更新され(「乱数ベース値更新処理」S4109)、一方、コマンドが受信されていない場合には受信コマンド確認処理S4108がスキップされて乱数ベース値更新処理S4109が実行される。乱数ベース値更新処理S4109の後に、判定処理S4102に戻る。
判定処理S4102及び判定処理S4106においてシステム状態が電圧低下状態であると判定された場合には、レジスタデータやスタックデータが外部RAMに保存される(「バックアップ処理」S4110)。バックアップ処理S4110の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S4111)。システム状態が電圧低下状態である場合には、判定処理S4111が繰り返し実行される。一方、電圧低下状態でない場合には、電圧低下状態の解消がノイズ等による誤作動でないことを確認するために所定の時間(本形態においては30ms)待機する(「ウェイト処理」S4112)。ウェイト処理S4112の後に、再度、システム状態が電圧低下状態であるか否かを再度判定する(S4113)。システム状態が電圧低下状態である場合には、判定処理S4111に戻る。一方、システム状態が電圧低下状態でない場合には、内部電力の供給が正常に再開したと判断して、メイン処理を起動するための処理を行う(「起動処理」S4114)。起動処理S4114の後に、初期化処理S4101に戻り、メイン処理が再開される。
ここで、受信コマンド確認処理S4108について詳細に説明する。図34は、受信コマンド確認処理の一例を表すフローチャートである。受信コマンド確認処理S4108では、まず、受信されているコマンドの種類が判別される(S4201)。具体的には、受信バッファに格納されているコマンドからその上位バイト(8ビット)に含まれるコマンド識別情報を抽出して、抽出されたコマンド識別情報に応じた処理に移行させる。受信バッファに複数のコマンドが格納されている場合には、受信順序に従って順次に処理する。以下において、各コマンド識別情報に応じた処理について説明する。
判定処理S4201において受信コマンドが停止図柄コマンドであると判定された場合には、において、停止図柄コマンドの下位バイトの情報を抽出して、その情報に基づいて各リールの停止図柄を判別し、全ての停止図柄による組合せパターンに基づいて副制御基板1047aに接続された各種の周辺装置による演出の種類が選択される(「停止図柄コマンド処理」S4202)。例えば、左回胴L、中回胴M及び右回胴Rのうち2つの回胴が停止しており、少なくとも1つの有効ラインに所定の図柄パターンが停止している場合に、各種の音響演出から所定の音響演出及び各種の発光演出から所定の発光演出の選択が行われる。所定の図柄パターンとしては、例えば、「7」図柄及び「青年」図柄の同一種類の2つ揃い、「BAR」図柄の2つ揃いが挙げられる。
判定処理S4201において受信コマンドが払出エラーコマンドや投入エラーコマンド等のエラーコマンドであると判定された場合には、エラーコマンドの下位バイトの情報が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置によるエラー報知の種類が決定される(「エラーコマンド処理」S4203)。
判定処理S4201において受信コマンドが復電コマンド及びリセットコマンド等の初期化コマンドであると判定された場合には、初期化コマンドの下位バイトの情報が抽出され、抽出された下位バイトの値に基づいて副制御基板1047a自体及び副制御基板1047aに接続された各種の周辺装置が初期化される(「初期化コマンド処理」S4204)。
判定処理S4201において受信コマンドが再遊技コマンド、ビッグボーナスコマンド、レギュラーボーナスコマンド等の内部状態コマンドであると判定された場合には、内部状態コマンドの下位バイトの情報(内部状態の種類)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「内部状態コマンド処理」S4205)。
判定処理S4201において受信コマンドがビッグボーナス役当選コマンド、レギュラーボーナス役当選コマンド、再遊技役当選コマンド、各種の小役の当選コマンド等の抽選結果コマンドであると判定された場合には、抽選結果コマンドの下位バイトの情報(当選役の種類)が抽出され、その情報や乱数による抽選結果に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「抽選結果コマンド処理」S4206)。
判定処理S4201において受信コマンドが再遊技入賞コマンド、ビッグボーナス入賞コマンド、レギュラーボーナス入賞コマンド、各種の小役の入賞コマンド等の入賞図柄コマンドであると判定された場合には、入賞図柄コマンドの下位バイトの情報(入賞図柄の種類)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「入賞図柄コマンド処理」S4207)。
判定処理S4201において設定変更コマンドであると判定された場合には、各種の周辺装置による報知の種類が決定される(「確率設定値処理」S4208)。
判定処理S4201において受信コマンドが入賞図柄パターンの表示された有効ラインに応じた入賞ラインコマンドであると判定された場合には、入賞ラインコマンドの下位バイトの情報(入賞ラインの種類)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「入賞ラインコマンド処理」S4209)。
判定処理S4201において受信コマンドが各種の回胴L,M,Rの停止コマンド等の回胴回転情報コマンドであると判定された場合には、回胴回転情報コマンドの下位バイトの情報(停止回胴の種類)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「回胴回転情報コマンド処理」S4210)。
判定処理S4201において受信コマンドが獲得球数コマンドであると判定された場合には、獲得球数コマンドの下位バイトの情報(獲得球数)が抽出し、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「獲得球数コマンド処理」S4211)。
判定処理S4201において受信コマンドが最大ベットコマンド等のベットコマンドであると判定された場合には、ベットコマンドの下位バイトの情報(ベット数)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「ベットコマンド処理」S4212)。
判定処理S4201において受信コマンドがJAC最大ゲーム数コマンドであると判定された場合には、JAC最大ゲーム数コマンドの下位バイトの情報(JAC最大ゲーム数)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「JAC最大ゲーム数コマンド処理」S4213)。
判定処理S4201において受信コマンドがJACラウンド数コマンドであると判定された場合には、JACラウンド数コマンドの下位バイトの情報(JACラウンド数)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による報知の種類が決定される(「JACラウンド数コマンド処理」S4214)。
判定処理S4201において受信コマンドが設定値コマンドであると判定された場合には、設定値コマンドの下位バイトの情報(確立設定値)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による報知の種類が決定される(「確率設定値情報処理」S4215)。
判定処理S4201において受信コマンドが賞球の払出し開始時に設定される獲得球払出開始コマンド、賞球の獲得球払出終了コマンド等の球放出コマンドであると判定された場合には、球放出コマンドの下位バイトの情報(開始又は終了を表す数値)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による報知の種類や報知の期間が決定される(「球放出コマンド処理」S4216)。
判定処理S4201において受信コマンドが主制御基板1045aで決定された演出に関連する演出情報コマンドであると判定された場合には、演出情報コマンドの下位バイトの情報(演出情報の種類)が抽出され、その情報や乱数を用いた抽選結果に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「演出情報コマンド処理」S4217)。
判定処理S4201において受信コマンドがベット数コマンド等の球情報コマンドであると判定された場合には、球情報コマンドの下位バイトの情報(最終ベット数)が抽出され、その情報に基づいて各種の周辺装置による演出の種類が決定される(「球情報コマンド処理」S4218)。
ここで、副制御基板1047aのメイン処理における周期タイマ処理S4105について詳細に説明する。図35は、周期タイマ処理の一例を表すフローチャートである。タイマ割込み処理が実質的に1msごとに実行されることによって、周期タイマ処理S4105も実質的に1msごとに実行される。
周期タイマ処理4105では、まず、起動処理S4114(図33参照)の実行後の2秒以内に主制御基板1045aから何らかのコマンドが受信されているか否かが確認され、主制御基板1045aから何らのコマンドも受信していない場合には、主制御基板1045aの起動が正常に行われなかったと判断してエラー発生を報知する処理が行われる(「起動時コマンド確認処理」S4301)。
起動時コマンド確認処理S4301の後に、受信コマンド確認処理S4108(図34参照)において受信が確認された各種のコマンドに応じて、液晶表示装置1042、スピーカ1106,1204、各種の効果LEDカバー部1104,1108,1110で被覆された発光装置(図示せず)、各種の発光装置1132、1134L1等の実際の駆動制御が行われる(「デバイス制御処理」S4302)。
デバイス制御処理S4302の後に、システム状態に変化があるか否かが判定され、判定結果に応じて、初期化状態を表す初期化中フラグが設定又は解除される(「システム状態変更処理」S4303)。なお、電圧低下フラグ及び初期化中フラグが解除されている場合には、システム状態は通常状態であるとみなされる。システム状態変更処理S4303の後に、電源基板1038’から供給される内部電力の電圧が所定の電圧以下であるか否かが判定され、内部電圧が所定の電圧以下の場合には、電圧低下フラグが解除されていれば電圧低下フラグが設定され、一方、内部電圧が所定の電圧以下でない場合には、電圧低下フラグが設定されていれば電圧低下フラグが解除される(「電圧監視処理」S4304)。電圧監視処理S4304の後に、長周期タイマカウンタが現在値に周期タイマカウンタの値を加算した値に更新される(「長周期タイマカウンタ更新処理」S4305)。
長周期タイマカウンタ更新処理S4305の後に、長周期タイマカウンタの値が「10」以上であるか否かが判定される(S4306)。判定処理S4305によって、概ね周期タイマカウンタの所定の回数(本形態では10回)の更新ごとに、以下の処理(S4307〜S4312)が実行されることになる。本形態では、周期タイマカウンタの更新が概ね1msごとに行われるために、以下の処理(S4307〜S4312)は、概ね10msごとに実行されることになる。
判定処理2402において長周期タイマカウンタの値が規定間引き数(本形態では、「10」)未満であると判定された場合には、本処理は終了する。一方、長周期タイマカウンタの値が「10」以上である場合には、長周期タイマカウンタの値が現在値から規定間引き数「10」だけ減算された値に更新される(「長周期タイマカウンタの規定間引き数減算処理」S4307)。規定間引き数減算処理S4307の後に、発光演出中又は発光報知中において、選択されている所定の発光演出パターン又は発光報知パターンを構成する発光単位データが選択され、選択された発光単位データが出力用のデータバッファに格納される(「発光データ更新処理」S4308)。ここで、各発光演出パターンは、複数の発光単位データで構成されている。各発光演出パターンを構成する発光単位データは、副制御基板1047aのROMに記憶されており、受信コマンド確認処理S4108において選択される。なお、格納された発光単位データはデバイス制御処理4302において所望の発光装置に出力される。発光報知変更処理が繰り返し実行されることによって発光単位データが順次に変更され、所定の発光パターンの発光演出又は発光報知が行われることとなる。
発光データ更新処理S4308の後に、表示演出と発光演出と音響演出とを同期させるための処理が行われる(「報知同期処理」S4309)。
発光・音響同期処理S4309の後に、音声演出が行われている状況下において、遊技者によって何らかの入力が行われることなく所定の時間(例えば、本形態では30秒)以上にわたって放置されている場合には、音響演出や各種の特別遊技状態におけるBGMの音量が小音量に変更される(「音響フェードアウト処理」S4310)。
音響フェードアウト処理S4310の後に、デモストレーション報知(客待ち演出)に移行させるか否かを、遊技者によってベット操作、スタート操作、ストップ操作等の何らかの入力操作が行われることなく所定の時間(本形態では50秒)以上経過しているかによって判定して、所定の時間が経過している場合にデモストレーション報知を実質的に開始させる(「デモストレーション報知移行処理」S4311)。具体的には、デモストレーション報知移行処理S4311では、デモストレーション報知を行うための表示報知パターンが選択され、かつ、デモストレーションフラグが設定される。ここで、デモストレーション報知パターンは、発光演出パターンと同様に、複数の発光報知単位データで構成されている。液晶表示装置1042等の所定の周辺装置においてデモストレーション演出が開始される。
デモストレーション報知移行処理S4311の後に、音量変更操作装置(図示せず)における音量調節スイッチ(図示せず)の音量設定が確認され、スピーカ106,204に対する基準音量が更新される(「基準音量設定処理」S4312)。
基準音量設定処理S4312を終了した後、及び、判定処理S4306において長周期タイマカウンタの値が規定間引き数未満であると判定された場合には、液晶表示装置1042、スピーカ1106,1204を制御するためのデータ等が更新される(「音響・表示報知変更処理」S4313)。
〔本発明に関連する主たる構成〕
本発明の球式回胴遊技機1010の主たる特徴部分の構成について説明する。球式回胴遊技機1010は、投入すべき個数の遊技球を第1条〜第3条の投入系統(遊技球投入部1410a〜1410c:図3参照)で協同して実質的に同時に第1条〜第3条の投入通路1406a〜1406c(図5及び図6参照)を通して投入する。第1条〜第3条における投入系統の構造及び投入動作は実質的に同一の構成であるために、以下においては、第1条についてのみ詳細に説明する。
本発明の球式回胴遊技機1010は、図5及び図7に示されたように、第1条の投入フリッカ1413a(〔投入規制手段〕の一例の一部)及び第1条の投入ソレノイド1414a(〔投入規制手段〕の一例の一部)と、遊技球(〔遊技媒体〕の一例)の流下方向に配設された第1条の上流側素子1415a1(〔上流側検出手段〕)及び下流側素子(〔下流側検出手段〕)1415a2からなる一対の第1条の通過センサ1415a(〔媒体検出手段〕の一例)と、第1条のカウントセンサ1416a(〔補助媒体検出手段〕の一例の一部)とを含んでいる。
第1条の貯留通路(〔投入待機通路〕の一例)1402aから第1条の投入通路1406aへの遊技球の流入は、第1条の投入フリッカ1413aの先端部1413a5が第1条の貯留通路1402aと第1条の投入通路1406aとの境界近傍の通路内に配置された投入禁止状態(図5参照)と投入通路外に配置された投入許可状態(図7参照)とを移行させることによる実質的な第1条の投入通路1406aの通路幅の変化によって規制される。第1条の貯留通路1402a及び第1条の投入通路1406aは水平方向に対して傾斜しており、遊技球は第1条の投入フリッカ1413aの投入許可状態において自重によって、第1条の貯留通路1402aから第1条の投入通路1406aへ流入し、その後、第1条の投入通路1406aを流下して遊技機の外部に排出される。なお、第1条の投入通路1406aは、実質的に鉛直方向と同一であり、水平方向に対して実質的に90度傾斜している。第1条の投入フリッカ1413aの投入禁止状態において、第1条の通過センサ1415aの上流側素子1415a1及び下流側素子1415a2は、第1条の投入フリッカ1413aの先端部1413a5よりも下流側に配置されている。
第1条の上流側素子1415a1及び下流側素子1415a2の各々は、フォトセンサであって、検査光を射出する光射出部(図示せず)と検査光を検出する受光部(図示せず)とで構成され、遊技球によって受光部への検査光が遮断されているか否かによって遊技球の存在を検出している。一方、第1条のカウントセンサ1416aは磁気センサであって、遊技球の通過に伴う誘導起電圧が所定の閾値以上であるか否かによって遊技球の存在を検出すると共に通常の速度で通過した場合に閾値以上の誘導起電圧を発生する物質で構成されているか否かが検出される。これによって、正規の鉄製の遊技球である場合には、遊技球が検出され、鉄製の遊技球よりも安価な樹脂製の同形状の球体である場合には、その球体は検出されない。
最大ベットスイッチ1304が押下操作されると主制御基板1045aにオン状態の最大ベット信号が出力(〔単位遊技の開始指示〕が入力)される。主制御基板1045aでは、最大ベット信号のオフ状態からオン状態への移行を検知して投入制御動作の開始と判定して(S203:Y)、投入制御動作(S204〜S215)を開始する。
ここで、概ね時系列に沿って検出位相の推移について説明する。以下においては、第1条のみについて説明するが、第2条及び第3条についても同様である。必要に応じて、第1条との文言を第2条又は第3条と読み替えればよい。図36は、連球状態が発生した場合の検出位相の推移例を表すタイミングチャートであり、図36(A)が2個の遊技球が連球状態を形成する単一の連球状態を表し、図36(B)が3個以上の遊技球が連球状態を形成する多重の連球状態を表している。なお、図36(B)には3個の遊技球が連球状態を形成する場合が示されている。また、図37は、正規位相推移情報の一例を表す説明図である。
遊技球の投入において連球状態が発生した場合、図36(A)及び図36(B)に示されたように、第0通過位相から第1通過位相及び第2通過位相を経て第3通過位相へ位相移行するのは連球状態が発生しない場合と同様であるが、その後、第3通過位相から第0通過位相へは戻らずに、第2通過位相、第1通過位相、第2通過位相及び第3通過位相をこの順序で少なくとも一回経てから第0通過位相に戻る。連球状態の発生は、検出位相が第3通過位相から第2通過位相へ位相移行した場合に検知される。
正規位相推移情報は、主制御基板1045aのROM1045a2の所定の連続する領域(〔正規位相推移情報記憶手段〕の一種)に記憶されている。具体的には、図37に示されたように、第0通過位相に対応する情報(第0通過位相情報)としての位相値「0」を先頭アドレスとして、第1通過位相情報としての位相値「2」、第2通過位相情報としての位相値「3」、第3通過位相情報としての位相値「1」が順次に記憶されている。なお、この場合、各アドレスにおける第1ビットが上流側素子1415a1のオン検知状態又はオフ検知状態を表し、第0ビットが下流側素子1415a2のオン検知状態又はオフ検知状態を表している。なお、オフ検知状態である場合が「0」であり、オン検知状態である場合が「1」である。
図38及び図39は、割込みごとの制御動作を詳細に表した説明図であり、図38が正規位相移行パターンに従って検出位相が変化する場合を表し、図39が連球状態の検知後に部分連球位相移行パターンに従って検出位相が変化する場合を表している。投入制御動作が開始されると(I(0))、次回のタイマ割込みまでの間に、参照位相が第1通過位相に設定される(S310)。具体的には、第1条の参照位相を選択する情報として、正規位相推移情報の2番目のアドレスを指定する第1条のポインタ情報がRAM1045a3の所定の領域に保持される。これによって、必要に応じて第1条の参照位相を読み出すことができる。なお、このとき、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第0通過位相である。なお、図38の検出位相の欄においては位相値ではなく通過位相の番号を表している。1回目の割込み(I(1))後において、第1条の投入ソレノイド1414aが駆動(励磁)され、第1条の投入フリッカ1413aが投入禁止状態から投入許可状態への状態移行を開始する。したがって、第1球は、まだ投入通路1406へ流入していないために第1条の今回検出位相は第0通過位相を維持しているので、第1条の今回検出位相が第1条の前回検出位相と同一であると判定される(S402:Y)。その後、遊技球が上流側素子1415a1によって検出されるまでは、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第0通過位相を維持するために、2回目の割込みからp−1回目の割込み後においては、第1条の今回検出位相が前回検出位相と同一であると判定される(S402:Y)。
p回目の割込み(I(p))において、第1条の上流側素子1415a1が第1球を検出すると、第1条の今回検出位相が第1通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、p回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第2通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。なお、参照位相の更新においては、具体的には、第1条のポインタ情報が指すアドレスが後尾アドレスであるか否かが判定されるが、この場合、後尾アドレスでないために、第1条のポインタ情報が指すアドレスが「1」だけインクリメントされる。これによって、第1条のポインタ情報が第2通過位相情報の記憶されているアドレスを指すこととなる。なお、第1球が最終球である場合には、第1条の投入ソレノイド1414aの駆動(励磁)が停止され、第1条の投入フリッカ1413aが投入許可状態から投入禁止状態への状態移行を開始する。その後、第1球が第1条の下流側素子1415a2によって検出されるまでのp+1回目の割込みからq−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第1通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
q回目の割込み(I(q))において、第1条の下流側素子1415a2が第1球を検出すると、第1条の今回検出位相が第2通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、q回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第3通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。また、q+1回目の割込みからr−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第2通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
同様に、r回目の割込み(I(r))において、第1条の上流側素子1415a1によって第1球が検出されなくなると、第1条の今回検出位相が第2通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、r回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第0通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。なお、参照位相の更新において、第1条のポインタ情報が指すアドレスが正規位相推移情報の格納された後尾アドレスであるために、第1条のポインタ情報が指すアドレスが正規位相推移情報の格納された先頭アドレスに設定される。また、r+1回目の割込みからs−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第3通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
s回目の割込み(I(s))において、第1条の下流側素子1415a2によって第1球が検出されなくなると、第1条の今回検出位相が第0通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、s回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第1通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。なお、この第3通過位相から第0通過位相への位相移行によって正規位相移行パターンが一巡するために総投入済数が1だけ増加し、第1条の投入残数が1だけ減少する。また、s+1回目の割込みから第2球が第1条の上流側素子1415a1によって検出されるまでの割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第0通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。その後は、上記と同様の処理を繰り返して第1条の投入許可数と同数の遊技球の投入が完了するまで投入制御動作が続行する。
一方、図39に示されたように、s回目の割込み(I(s))において、第1球が第1条の下流側素子1415a2で検出されなくなる前に、第2球が第1条の上流側素子1415a1によって検出されると、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定されるが、第1条の今回検出位相が第1条の前回通過位相と異なるために同一でないと判定される(S414:N)。次に、連球状態の発生している可能性を判断すると共に、正規位相移行パターン及び連球位相移行パターン以外の位相移行パターンが正常な位相移行推移と判定されないように、第1条の参照位相が第0通過位相であるかが判定される。なお、第1条の前回検出位相が第3通過位相であるかによって判定してもよい。この場合、第1条の参照位相が第0通過位相であると判定される(S415:Y)。その後、連球状態の発生を確定するために、第1条の今回検出位相が第2通過位相であるか否かが判定され、第1条の今回検出位相が第2通過位相であると判定される(S416:Y)。その後、第1条の参照位相が第1通過位相に設定される(S417)。その後、s+1回目の割込みからt−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第2通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
t回目の割込み(I(t))において、第2球が第1条の上流側素子1415a1によって検出されている状態で第1球が第1条の下流側素子1415a2によって検出されなくなると、第1条の今回検出位相が第2通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、t回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第2通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。また、t+1回目の割込みからu−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第1通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
u回目の割込み(I(u))において、第2球が第1条の上流側素子1415a1によって検出されなくなると、第1条の今回検出位相が第2通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、u回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第2通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。また、u+1回目の割込みからw−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第2通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
v回目の割込み(I(v))において、第2球が第1条の上流側素子1415a1によって検出されなくなると、第1条の今回検出位相が第3通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、v回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第2通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。また、v+1回目の割込みからw−1回目の割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第3通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。
w回目の割込み(I(w))において、第2球が第1条の下流側素子1415a2によって検出されなくなると、第1条の今回検出位相が第2通過位相に更新される。なお、第1条の前回検出位相は更新されない。したがって、w回目の割込みにおいて、第1条の今回検出位相は第1条の前回検出位相と異なることとなり(S402:N)、第1条の今回検出位相が第1条の参照位相と同一であるかが判定される。この判定においては、第1条の今回検出位相と第1条の参照位相が同一であると判定される(S413:Y)。この位相移行は正常な位相移行であるために、第1条の参照位相が第1通過位相に更新されて(S414)、投入制御動作が続行する。なお、この第1条の今回の検出位相の第3通過位相から第0通過位相への位相移行によって連球位相移行パターンが一巡するために、図25に示された正規位相移行パターンが一巡した場合と同様に、総投入済数が1だけ増加し、第1条の投入残数が1だけ減少する。w+1回目の割込みから第3球が第1条の上流側素子1415a1によって検出されるまでの割込みにおいては、第1条の今回検出位相及び前回検出位相は第0通過位相を維持するために(S402:Y)、投入制御動作が続行する。その後は、図39に示された場合や図38に示された場合と同様の処理を繰り返して第1条の投入許可数と同数の遊技球の投入が完了するまで投入制御動作が続行する。
図38及び図39を参照して第1条の今回検出位相が正常な移行推移と判定される場合についてのみ説明したが、第1条の検出位相が図25に示された正規位相移行パターン及び2以上の遊技球が連球状態を形成する場合の連球位相移行パターンと異なる位相移行パターンに従って推移した場合には、それらの位相移行パターンから逸脱した位相移行の際に、通過順序エラーと判定され、エラー処理が実行される(S418)。
上記においては第1条における検出位相の推移について説明したが、第2条及び第3条の同一の制御が実質的に平行して独立に実行される。なお、第2条及び第3条の投入制御動作においても、第1条における投入制御動作と共通に同一の正規位相推移情報を参照するが、ポインタ情報を条別に保持しているために、条別に参照位相の選択制御ができる。
本形態の球式回胴遊技機1010であれば、検出位相が正規位相移行パターン又は連球位相移行パターンと同一の位相移行パターンとなった場合にのみ正常な投入と判定して投入制御動作を続行し、それらのいずれとも異なる他の位相移行パターンである場合には異常な投入と判定して投入制御動作を中止してエラー処理を行うことができる。これによって、不正投入具等を用いた不正行為を疎かにすることなく、投入すべき個数の遊技球を円滑に投入できる。
また、本形態の球式回胴遊技機1010であれば、連球状態が発生した場合には、実際には2球の遊技球が投入されているが、1つの遊技媒体の投入と見なすことによって、投入フリッカ1413a〜1413cを流入許可状態から流入禁止状態へ移行させるタイミングを第1通過位相への移行時に限定でき、投入制御動作の処理プログラムを簡素化できると共にその処理負荷を低減できる。なお、連球状態で投入された遊技球を2つの遊技球の投入と見なそうとすると、正規位相移行パターンに従う場合とは異なる第3通過位相から第2通過位相への位相移行に応じて投入フリッカ1413a〜1413cを投入許可状態から投入禁止状態へ移行させなければならない。これは、連球状態で投入される2つの遊技球のうち後続球が最終球となる場合が発生するために、上流側素子1415a1〜1415c1が後続球の検出を開始した際に、投入フリッカ1413a〜1413cを投入許可状態から投入禁止状態へ移行させなければならないからである。
また、本形態の球式回胴遊技機1010であれば、正規位相移行パターンを規定する正規位相推移情報のみが記憶されている構成であるために、連球位相移行パターンを規定する連球位相推移情報を個別に記憶する構成の場合よりも投入制御動作の処理プログラムを簡素化できると共に、複数種類の位相推移情報を選択的に参照する場合よりも処理負荷を低減できる。
また、本形態の球式回胴遊技機1010であれば、連球状態が発生した場合に1つの遊技球の投入と見なすことによって、連球状態で投入された全ての遊技球に対して遊技球の投入と見なさない場合よりも遊技球の飲み込みを低減できる。
また、本形態の球式回胴遊技機1010であれば、3条の振分投入通路の各々における遊技球の投入を個別に制御して、複数の振分投入通路で協同して遊技媒体の投入を行うために、投入すべき個数(投入許可数)の遊技球を高速で投入できる。
また、本形態の球式回胴遊技機1010であれば、カウントセンサ1416a〜1416cにより計測される補助投入済数が通過センサ1415a〜1415cにより計測される総投入済数以下である場合には、投入個数エラーと判定して遊技進行を停止させるために、不正行為に対する対策を強化できる。
上記においては、任意の個数の遊技球が連球状態を形成する場合について説明したが、所定の個数が連球状態を形成する場合、つまり、図36に示されたような第2通過位相、第1通過位相、第2通過位相及び第3通過位相の順序の移行推移の繰り返し回数(多重度)を限定する構成であってもよい。
ここで、多重度を制限する変化例について説明する。図40は、投入制御動作の変化例を説明するためのフローチャートである。なお、図40には、図26に示された第1条投入制御処理S318と相違する正常な位相移行の判定に関する部分のみが表されており、図40における点A、点B及び点Cは、それぞれ、図26における点A、点B及び点Cと同一箇所を意味する。本変化例の第1条投入制御処理では、多重度を判定する処理S2105、多重度を計数する連球多重度更新処理S2108及び許容される多重度を設定する多重度設定処理(図示せず)を含むこと以外は、図26に示された場合を同一である。
本変化例では、連球の多重度を監視して多重度を限定することによって、正常な投入とみなす連球位相移行パターンの種類を制限している。図26において、例えば、判定処理S419における肯定判定(S419:Y)後から判定処理S428の間に追加される連球多重度設定処理において連球多重度を所定の最大多重度に設定する。図40に示されたように、本変化例では、連球多重度が最大多重度に設定されている状態から、第3通過位相から第2通過位相に変化する今回検出位相の位相移行が検知される度に(S2102:Y)、連球多重度を「1」だけ減少させる(S2108)。また、連球多重度が「0」となった後に、第3通過位相からの位相移行が検知され場合(S2504:Y)には、連球多重度が許容される多重度以上になるために(S2105:Y)、通過順序エラー処理S2509を実行させる。なお、2つの遊技球による連球状態に限定する場合には、フラグ情報(例えば、1ビット情報)を用いることもできる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態の球式回胴遊技機は、第1実施形態における連球位相移行パターン(以下、便宜的に、第1の連球位相移行パターンと称し、そのパターン従う連球状態を第1連球状態と称す)に加えて第2の連球位相移行パターンに従う場合にも正常な投入とみなす構成である。以下においては、第1実施形態との相違部分についてのみ詳細に説明し、共通部分についての説明は省略する。
まず、第2の連球位相移行パターン(〔追加連球位相移行推移〕の一種)について説明する。なお、以下においては、図38に示された第1実施形態における連球位相移行パターンを便宜的に第1の連球位相推移パターンと称す。図41(A)は、第2の連球位相移行パターンに従う検出位相の変化を表すタイミングチャートである。
遊技球の投入において第1の連球状態(第1の連球位相推移パターンを示す状態)と異なる第2の連球状態(第2の連球位相推移パターンを示す場合)が発生した場合には、図43に示されたように、第0通過位相から第1通過位相及び第2通過位相を経て第3通過位相へ位相移行するのは、連球状態が発生しない場合と同様であるが、その後、第3通過位相から第0通過位相へは戻らずに、第1通過位相、第2通過位相及び第3通過位相を経てから第0通過位相に戻る。したがって、検出位相が第3通過位相から第1通過位相へ位相移行した場合に第2の連球状態の発生が検知される。なお、第2の連球状態を形成する2つの遊技球を先行球及び後続球として、実質的に、下流側素子1415a2〜1415c2による先行球の検出が終了すると同時に、上流側素子1415a1〜1415c1が後続球の検出が開始される極めて稀な場合である。但し、第1の連球状態が発生する可能性がある限り、第2の連球状態はその発生頻度が極めて低いものの必ず発生する可能性がある。なお、図43には、2つの遊技球により第1の連球状態が形成される単一連球状態の場合を示したが、図36に示された場合と同様に、第1通過位相及び第2通過位相及び第3通過位相をこの順序で複数回繰り返す多重連球状態であってもよい。
本形態の球式回胴遊技機における投入制御処理について図42を参照して説明する。図42は、本形態の第1条投入制御処理の一例を表すフローチャートである。なお、図42には、図26に示された第1条投入制御処理S318と相違する正常な位相移行の判定に関する部分のみが表されており、図42における点A、点B及び点Cは、それぞれ、図26における点A、点B及び点Cと同一箇所を意味する。本形態の第1条投入制御処理では、判定処理S2408及び参照位相再設定処理S2409を更に含むこと以外は、図26に示された判定処理S402〜参照位相再設定処理S419及び通過順序エラー処理S435と同一の処理である。
今回検出位相が第2通過位相でない場合(S1406:N)には、第1の連球状態の発生でないために、第2の連球状態の発生であるか否かが判定される(S2208)。なお、正規位相移行パターンに従う位相移行でもないこと(S2203:N)は確定している。この判定においては、具体的には、今回検出位相が第1通過位相である場合に第2の連球状態の発生と判定される。この判定において第2の連球状態でないと判定された場合には、許容される位相移行の種類がなくなるために、通過順序エラー処理S418(図26)と同一の通過順序エラー処理S2211が実行される。一方、第2の連球状態の発生である場合には、参照位相が第2の部分連球位相移行パターンの2番目の通過位相である第1通過位相に設定される(S2209)。
本形態の球式回胴遊技機であれば、検出位相が正規位相移行パターン、第1の連球位相移行パターンに加えて、第2の連球位相移行パターンと同一の位相移行パターンとなった場合にのみ正常な投入と判定して投入制御動作を続行し、それらのいずれとも異なる他の位相移行パターンである場合には異常な投入と判定して投入制御動作を中止してエラー処理を行うことができる。これによって、第1の連球状態に比べても極めて発生頻度の低い第2の連球状態であっても、その発生によって遊技球の投入が中止されてエラー処理が行われることを防止できるために、不正投入具等を用いた不正行為に対する対策を疎かにすることなく、投入すべき個数の遊技球を更に円滑に投入できる。
また、本形態の球式回胴遊技機であれば、正規位相移行パターンを規定する正規位相推移情報のみが記憶されている構成であるために、第1の連球位相移行パターンや第2の連球位相移行パターンを規定する連球位相推移情報を個別に記憶する構成の場合よりも投入制御動作の処理プログラムを簡素化できると共に、複数種類の位相推移情報を選択的に参照する場合よりも処理負荷を低減できる。
図36や図41に示された連球位相移行パターンを混合した複合連球位相移行パターンで繰り返される場合であってもよい。例えば、複合連球位相パターンとしては、非通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相→〔(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)OR(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)〕n→非通過位相」と変化していく位相移行パターンを意味する。〔(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)OR(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)〕nは、(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)又は(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)がn回繰り返されることを意味している。但し、nは2以上の任意の整数である。
上記においては、任意の個数の遊技球が連球状態を形成する場合について説明したが、実施形態1の変化例として説明したように、所定の個数が連球状態を形成する場合に限定してもよい。具体的には、例えば、(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)の繰り返し回数のみを限定する構成、(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)の繰り返し回数のみを限定する構成、(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)の繰り返し回数及び(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)の繰り返し回数の双方を限定する構成、(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)又は(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)の繰り返し回数の総数を限定する構成が挙げられる。なお、(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)又は(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)のいずれか一方が1回だけ繰り返される場合に限定することもできる。
ここで、(第2通過位相→第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)又は(第1通過位相→第2通過位相→第3通過位相)の繰り返し回数の総数を限定する構成について説明する。図43は、投入制御動作の変化例を説明するためのフローチャートである。なお、図43には、図26に示された第1条投入制御処理S318と相違する正常な位相移行の判定に関する部分のみが表されており、図40における点A、点B及び点Cは、それぞれ、図26における点A、点B及び点Cと同一箇所を意味する。本変化例の第1条投入制御処理では、多重度を判定する処理S2305、多重度を計数する連球多重度更新処理S2308及び許容される多重度を設定する多重度設定処理(図示せず)を含むこと以外は、図26に示された場合を同一である。
また、上記においては、正規位相移行パターンを規定する各位相情報が単位メモリ領域に保持されている場合について説明したが、単位メモリ領域の一部のビット領域であってもよい。例えば、第0通過位相情報が第7及び第6ビットの2ビット情報として記憶され、同様に、第1通過位相情報が第5及び第4ビットの2ビット情報、第2通過位相情報が第3及び第2ビットの2ビット情報、第1及び第0ビットの2ビット情報として記憶されていてもよい。この場合には、単位メモリのアドレスを指定する情報に代えて又はそれと共に、所定のビット情報を指定する情報(マスク情報)を用いればよい。同様に、連球位相移行パターンを規定する各位相情報が単位メモリ領域に保持されている場合について説明したが、単位メモリ領域の一部のビット領域であってもよい。また、各条のポインタ情報が単位メモリ領域に保持されている場合について説明したが、単位メモリ領域の一部のビット領域であってもよい。
本変化例では、連球の多重度を監視して多重度を限定することによって、正常な投入とみなす連球位相移行パターンの種類を制限している。図26において、例えば、判定処理S419における肯定判定(S419:Y)後から判定処理S428の間に追加される連球多重度設定処理において連球多重度を所定の最大多重度に設定する。図40に示されたように、本変化例では、連球多重度が最大多重度に設定されている状態から、第3通過位相から第2通過位相に変化する今回検出位相の位相移行が検知される度に(S2302:Y)、連球多重度を「1」だけ減少させる(S2308)。また、連球多重度が「0」となった後に、第3通過位相からの位相移行が検知され場合(S2504:Y)には、連球多重度が許容される多重度以上になるために(S2305:Y)、通過順序エラー処理S2509を実行させる。
上記においては、本発明を球式回胴遊技機に適用する場合について説明したが、メダル式回胴遊技機に適用することもできる。