従来、高周波・大電流の切換、開閉などの用途には、電磁式断路器、電動モータ式(電動式)断路器、空圧式断路器などが用いられている。これら断路器のなかで、電磁式断路器は、開閉速度が数十msecと短いという利点があるため、高速で切り換えたり開閉したりすることが必要な用途に用いられている。その一例が特許文献1に開示されている(段落0017〜0026、図4〜6参照)。
特許文献1の図4〜図6に記載されている構成を図9A、図10A及び図11Aに示す。図9Aは従来の電磁式断路器(高周波用単極断路器)の構成を示す正面図、図10Aはその右側面図、図11Aはその平面図である。ただし、特許文献1の図4〜図6では固定電極と可動電極が水冷式となっているが、図9A、図10A及び図11Aではこれを自然空冷式に変えており、また、リミットスイッチ・ユニットの構成を一般的なものに変えている点で、両者は異なっている。さらに、特許文献1の図4〜図6ではソレノイドが一個とされているが、図9A、図10A及び図11Aでは、可動電極と固定電極との接触圧力を大きくして両電極の通電電流の増加させるためにソレノイドが二個とされている点で、両者は異なっている。
図9A、図10A及び図11Aに示すように、従来の電磁式断路器100は、二つの銅製の固定電極102と、それら固定電極102に対して相対移動可能な一つの銅製の可動電極101とを備えている。自然空冷式であるから、特許文献1の図4〜図6の電磁式断路器とは異なり、固定電極102と可動電極101は、冷却水用ニップルや給水路を備えていない。
二つの固定電極102は、互いに間隔をあけてベース板110の上面にボルトによって固定されている。図9Aでは、ベース板110は水平に配置されているので、固定電極102は水平方向に並んでいる。各固定電極102には、それと直交する方向(図9Aでは下方)に銅製の接続導体124が接続されている。したがって、接続導体124は、ベース板110を貫通して垂直下方に突出している。各固定電極102とそれに対応する接続導体124は、一体的に形成されたものである。
ベース板110の上方には、2本のガイド軸104によって、所定間隔をあけてソレノイド取付板109が装着されている。各ガイド軸104は、その下端部の近傍に設けられたバネ受け119とナット120でベース板110を挟み込むようにして固定されており、ベース板110に対して直立している。各ガイド軸104の上端部は、ナット120を用いてソレノイド取付板109に固定されている。
ベース板110とソレノイド取付板109の間の空間には、2本のガイド軸104によって、押え板111が上下方向にスライド可能として配置されている。押え板111には、一つの可動電極101が装着された可動電極ホルダー113が固定されている。可動電極101と押え板111の間には、押圧バネ112が配置されている。これは、可動電極101が二つの固定電極102に跨るように押圧・接触せしめられた時に、可動電極101と固定電極102の間に所望の接触圧力を生成するためである。
押え板111の下面の両端部には、スライドブッシュ107が固定されており、押え板111は、これら二つのスライドブッシュ107内に対応するガイド軸104をそれぞれ挿通させることで、上下にスライド可能とされている。ガイド軸104の外側には、ガイド軸104と同心となるように戻しバネ114が配置されており、その戻しバネ114によって押え板111は常時、上向きに付勢されている。
ソレノイド取付板109には、ソレノイド103とコア116を持つ電磁石が二つ、隣接して固定されている。二つのコア116の上端部は、連結棒117によって相互に連結されていて、両ソレノイド103に通電すると、これらのコア116が同時に下方に移動するようになっている。連結棒117は、二つのコア116の間に上下方向に配置されたガイド軸105に係合されていて、二つのコア116はガイド軸105に沿って上下に移動するようになっているので、コア116の上下動に伴って押え板111が上下動する。ガイド軸105の下端はソレノイド取付板109に固定されている。ガイド軸105の外側には、ガイド軸105と同心となるように戻しバネ115が配置されており、その戻しバネ115によって連結棒117ひいてはコア116は、常時、上向きに付勢されているので、ソレノイド103に通電されていない時は、コア116は図9Aの状態にある。
コア116の下端は、ソレノイド取付板109の透孔(図示せず)を貫通して押え板111に当接しているため、両電磁石に通電すると、コア116はガイド軸105に沿って図9Aの状態から下降し、それに伴って押え板111と可動電極ホルダー113が下降する。その結果、可動電極ホルダー113に保持されている可動電極101は、直下にある二つの固定電極102にそれらを跨ぐように衝突・接触し、その接触状態を保つ。こうして、二つの固定電極102は、可動電極101によって相互に連結され、電磁式断路器100の持つ電流回路が導通状態になる。
両電磁石への通電を停止すると、吸引力がなくなるため、戻しバネ115の弾性力によってコア116は元の位置(図9Aの位置)に復帰する。このため、押え板111も戻しバネ114の弾性力によって元の位置(図9Aの位置)に復帰する。その結果、可動電極101は固定電極102から離れ、図9の初期状態に復帰する。こうして、電磁式断路器100の持つ電流回路が再び遮断状態になる。
電磁式断路器100の外部には、電磁式断路器100の接点(回路)のON、OFFを知らせるために、ON用、OFF用のリミットスイッチ118が装着されている。これら二つのリミットスイッチ118は、ソレノイド103の側面に下端が取り付けられたスイッチ取付板122に装着されており、連結棒117に固定されたスイッチ駆動機構123によってON・OFF操作されるようになっている。
図12A及び図13Aは、上述した電磁式断路器100の電磁石に代えて電動機が使用された従来の電動式断路器100Bを示す。図12Aはその電動式断路器100Bの構成を示す正面図、図13Aはその平面図である。この電動式断路器100Bは、上述した電磁式断路器100において、電磁石に代えて電動機を用いたものに相当するから、電磁式断路器100と同一の構成については、同断路器100と同一の符号を付してその説明を省略する。
電動式断路器100Bでは、ソレノイド取付板109に代えて、電動機取付板131がガイド軸104によってベース板110に取り付けられており、その電動機取付板131に、回転伝達機構130aと電動機取付部材132を介して電動機130が取り付けられている。回転伝達機構130aは、電動機130の回転数を変えてカップリング133に伝達する機構である。カップリング133の先端は、送りネジ134aに接続されており、送りネジ134aの回転により、送りナット134bと一体構造の押え板111が上下に移動する構造となっている。押え板111には、可動電極ホルダー113が接続されている。このため、電動機130の回転は、回転伝達機構130a、カップリング133及び送りネジ134aを介して送りナット134bに伝達され、送りナット134b一体構造とされた押え板111と、押え板111に固定された可動電極ホルダー113ひいてはそれに固定された可動電極101が、固定電極102に接触または離隔することができる。
押え板111は、電動機130の回転方向を反転させることによって上下に往復運動するため、上述した電磁式断路器100とは異なり、ガイド軸104の外側に戻しバネ114は配置されていない。
接点(回路)のON、OFFを知らせるためのリミットスイッチ118は、ベース板110に下端が取り付けられたスイッチ取付板122に装着されており、押え板111に固定されたスイッチ駆動機構123によってON・OFF操作されるようになっている。
電動式断路器100Bでは、可動電極101の動作速度(電流経路の開閉速度)は、電磁石を用いた電磁式断路器100よりも小さくなり、また、可動電極101が固定電極102に衝突することでベース板110に印加される衝撃も、電磁石を用いた電磁式断路器100よりも減少する。
図9A、図10A及び図11Aに示した従来の電磁式断路器100では、リミットスイッチ118が、ソレノイド103の側面に下端が取り付けられたスイッチ取付板122に装着されているため、リミットスイッチ118を固定しているネジがソレノイド103の動作に伴う衝撃で緩みやすいという問題がある。また、上限検出用のリミットスイッチ118と下限検出用のリミットスイッチ118とが同一直線上に配置されているため、両リミットスイッチ118の位置調整に時間を要すると共に、リミットスイッチ118への配線が干渉するという問題もある。そこで、図9B、図10B及び図11Bに示した従来の電磁式断路器100Aのように、改善されたスイッチ駆動機構123とスイッチ取付板122が開発され、使用されている。
図9B、図10B及び図11Bに示されたスイッチ駆動機構123では、上限・下限検出用の二つのリミットスイッチ118が、ベース板110の上に取り付けられたスイッチ取付板122に固定されているので、ソレノイド103の動作時の衝撃を受け難い。また、上限検出用のリミットスイッチ118と下限検出用のリミットスイッチ118とがスイッチ取付板122の一方の対角線に沿って配置されているため、両リミットスイッチ118の位置調整が容易であり、また、両リミットスイッチ118への配線が相互に干渉することもない。
同様に、図12A及び図13Aに示した従来の電動式断路器100Bにおいても、図12B及び図13Bに示した従来の電動式断路器100Cのように、図9B、図10B及び図11Bの改善されスイッチ駆動機構123とスイッチ取付板122が使用されている。したがって、両リミットスイッチ118の位置調整の容易さ、及び両リミットスイッチ118への配線の相互不干渉という効果が得られる。
上述した従来の電磁式断路器100Aと電動式断路器100Cでは、図9B、図10B及び図11Bに示したような改善されたスイッチ駆動機構123と改善されたスイッチ取付板122が使用されているため、上述した従来の電磁式断路器100と電動式断路器100Bで生じていた、リミットスイッチ118を固定しているネジの緩みや、リミットスイッチ118の過大な位置調整時間、リミットスイッチ118への配線の干渉といった問題は生じない。
しかし、図9B、図10B及び図11Bに示された、改善されたリミットスイッチ駆動機構123とスイッチ取付板122には、未だ問題が残っている。そこで、まず、このスイッチ駆動機構123とスイッチ取付板122の詳細構成について説明し、次いで、それによって生じる問題について説明する。
図14は、図9B、図10B及び図11Bに示した従来の改善されたスイッチ駆動機構123の詳細構成を示す側面図、図15はその正面図、図16は図9B、図10B及び図11Bに示した従来の改善されたスイッチ取付板122へのリミットスイッチ118の取付状態を示す正面図である。
一対のドグ(スイッチ操作部材)202a及び202bは、それらの軸心に沿って形成されたネジ孔を、表面にネジが形成されたドグ保持軸201にねじ込むことで、一定間隔をあけてドグ保持軸201に装着されている。ドグ202a及び202bは、指で回転させることにより、ドグ保持軸201に沿って上下に移動可能である。ドグ202a及び202bの位置決めは、それらの軸心に直交する方向に形成されたネジ孔に、ドグ固定ネジ203a及び203bをそれぞれねじ込み、ドグ固定ネジ203a及び203bをドグ保持軸201に係止させることで行われる。
ドグ保持軸201には、さらに、取付部材205の第2部分205bのネジ孔205cと、保持軸固定用ナット204が、ドグ202a及び202bと同様にねじ込まれている。第2部分205bと保持軸固定用ナット204は、ドグ202a及び202bの間に位置しており、保持軸固定用ナット204を第2部分205bに当接させることによって、第2部分205bをドグ保持軸201上の所望の位置に位置決めすることができる。
取付部材205の第1部分205aは、電磁式断路器100Aまたは電動式断路器100Cの適当な昇降部分300、例えば、電磁式断路器100または電動式断路器100Aの押え板111に固定される。
一対のリミットスイッチ118は、図16に示すように、スイッチ取付板122上に固定される。スイッチ取付板122は、矩形の剛性板をその端部付近で直角に折り曲げて形成されており、相対的に小さい矩形の第2部分122bが、図17に示すように、昇降部分300以外の箇所に取付ネジ140で固定される。この時、相対的に大きい矩形の第1部分122aは、昇降部分300の昇降方向(上下方向)に平行に配置される。
第1部分122aは、図16に示すように、中央部に形成された矩形の開口部122cを有している。第1部分122aの表面には、開口部122cの両側に一対のリミットスイッチ118が配置され、ネジ止めされている。電流回路のOFFを報知する上限検出用のリミットスイッチ118は、開口部122cの左側上位に配置され、電流回路のONを報知する下限検出用のリミットスイッチ118は、開口部122cの右側下位に配置されている。各リミットスイッチ118は、それを作動させるレバー118aが開口部122cの内側に位置するように固定されている。
ドグ保持軸201に装着された一対のドグ202a及び202bと、一対のリミットスイッチ118の位置関係は、図17及び18に示すようになっている。すなわち、ドグ保持軸201と一対のドグ202a及び202bは、スイッチ取付板122の開口部122c内に配置され、ドグ保持軸201は昇降部分300と一体となっている。したがって、一対のドグ202a及び202bは昇降部分300の昇降方向と同一方向に移動する。
電流回路がOFFの時には、図17及び図18に示すように、上位にあるドグ202bは、その側面で上位にある上限検出用リミットスイッチ118のレバー118aを押圧しており、当該リミットスイッチ118は作動状態にある。この時、下位にあるドグ202aは、下位にある下限検出用リミットスイッチ118のレバー118aに接触せず、当該リミットスイッチ118は非作動状態にある。電流回路がONになると、ドグ保持軸201に装着された一対のドグ202a及び202bは降下し、下位にあるドグ202aがその側面で下位にあるリミットスイッチ118のレバー118aを押圧し、その結果、当該リミットスイッチ118は作動状態になる。この時、上位にあるドグ202bは、上位にあるリミットスイッチ118のレバー118aから離れるため、当該リミットスイッチ118は非作動状態になる。
従来の電磁式断路器100Aのリミットスイッチ・ユニットは、上述した構成を有するため、昇降部分300(具体的には、可動電極ホルダー113やコア116、押え板111等の可動部分)が高速で移動して大きな衝撃を生じながら停止する。このため、ドグ固定ネジ203a及び203bに緩み止めを施しても、衝撃の繰り返しにより緩んでくる。特に、電磁式断路器100Aの場合には、緩み方が大きい。そのため、衝撃の繰り返しにより、ドグ202aや202bがドグ保持軸201の周りを徐々に回転して当初の設定位置からずれてしまい、結果として、ON時またはOFF時の位置検出(上限または下限の検出)が正常に行えなくなったり、リミットスイッチ118が破損したりする、という問題がある。
また、電磁式断路器100Aの場合には、昇降部分300は、高速で移動して大きな衝撃を生じるため、停止するまでの間に反動により数mmの振幅で揺動する。このため、昇降部分300の上昇または下降の限界点を検出するリミットスイッチ118のレバー118aの動作点が、揺動している間はずっとドグ202aや202bの円筒部202a1や202b1の外周面上に位置するように、図19に示すように、ドグ202aや202bを回転移動させて調整してから、ドグ固定ネジ203a及び203bで締め付けて固定する必要がある。
他方、従来の電動式断路器100Cのリミットスイッチ・ユニットでは、電磁式断路器100Aのような昇降部分300の高速移動と衝撃による揺動は生じないが、昇降部分300(具体的には、可動電極ホルダー113やコア116、押え板111等の可動部分)が一方の限界点まで移動したことをリミットスイッチ118で検出してから、電動機130を停止させるから、リミットスイッチ118による検出から電動機130の停止までの間にタイムラグが生じる。したがって、電磁式断路器100の場合と同様に、リミットスイッチ118の検出点と電動機130の動作停止点とを適正化するために、ドグ202aや202bの位置を調整してから、ドグ固定ネジ203a及び203bで締め付けて固定する必要がある。
このように、従来の電磁式断路器100A及び電動式断路器100Cのいずれにおいても、これらが設置されている現場でドグ202aや202bの位置調整及び締付固定という作業が必要であるが、この作業には、昇降部分300を昇降させながらの試行錯誤が必要であり、長い時間を要するという問題がある。
さらに、昇降部分300は、スムーズな移動を確保するために、ガイド軸104とスライドブッシュ107とに遊びが設けてあり、若干の軸振れ(この軸振れはスイッチ取付板122の表面に平行である)を許容する構造となっているため、図20に示すように、昇降部分300に直結された取付部材205の移動軸にも、昇降部分300と同様の軸振れを生じる。したがって、上限・下限検出用の二つのリミットスイッチ118が確実に動作するように、リミットスイッチ118をスイッチ取付板122に固定するネジ118bの締付位置の微調整、つまり、リミットスイッチ118の位置及び向きの微調整も必要であり、この作業にも時間を要するという問題がある。
しかも、上述したドグ202a及び202bの位置調整及び締付固定という作業と、リミットスイッチ118の位置調整及び締付固定という作業は、保守時の部品交換の度に行う必要があるから、上述した問題の解決の必要性は非常に大きい。
本発明は、以上のような事情に基づいて上述した問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、衝撃の繰り返し等によって電流回路のON時またはOFF時の位置検出が正常に行えなくなったり、リミットスイッチが破損したりすることがなく、しかも、高周波用断路器の製造時の位置調整作業だけでなく、高周波用断路器の設置場所での位置調整作業も最小限で済むリミットスイッチ・ユニットを提供することにある。
本発明の他の目的は、位置調整が完了した後は、リミットスイッチ等の消耗部品を無調整で交換できるリミットスイッチ・ユニットを提供することにある。
ここに明記しない本発明のさらに他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
(1) 本発明のリミットスイッチ・ユニットは、
高周波用断路器の電流回路の開閉を検知して電気信号を出力するリミットスイッチを含むリミットスイッチ・ユニットであって、
前記高周波用断路器の移動部分以外の箇所に固定可能な構造を持つスイッチ取付部材(例えばスイッチ取付板)と、
前記スイッチ取付部材上に取り外し可能に設置されるベース部材(例えばベース板)と
所定間隔をあけて前記ベース部材上に配置された一対の固定部材と、
前記一対の固定部材の間に架け渡された支持軸と、
前記支持軸に移動可能に係合されていると共に、前記高周波用断路器の移動部分の移動に同期して前記支持軸に沿って移動するスイッチ操作部材(例えばドグ)と、
前記スイッチ操作部材によって操作されるリミットスイッチと、
前記高周波用断路器の前記移動部分の移動に同期して、前記一対の固定部材の間で前記支持軸に沿って移動する前記スイッチ操作部材の第1限界位置と、前記高周波用断路器の前記移動部分の第1限界位置とのズレを吸収するバネ手段とを備え、
前記ベース部材と前記一対の固定部材と前記支持軸と前記スイッチ操作部材と前記バネ手段は、ベース部材ユニット(例えばベース板ユニット)を構成していることを特徴とするものである。
本発明のリミットスイッチ・ユニットでは、前記リミットスイッチを操作する前記スイッチ操作部材が、前記支持軸に移動可能に係合されていると共に、前記高周波用断路器の前記移動部分の移動に同期して前記支持軸に沿って移動するように構成されているため、動作中に前記支持軸の周りに前記スイッチ操作部材が回転したりしても、前記スイッチ操作部材が前記支持軸から脱落する恐れはない。したがって、前記移動部分における衝撃の繰り返し等によって電流回路のON時またはOFF時の位置検出が正常に行えなくなったり、前記リミットスイッチが破損したりすることがない。
また、前記バネ手段が設けられていて、前記一対の固定部材の間で前記支持軸に沿って移動する前記スイッチ操作部材の第1限界位置と、前記高周波用断路器の前記移動部分の第1限界位置とのズレを吸収するようになっているので、前記移動部分と前記スイッチ操作部材の間の位置ズレは、前記バネ手段の弾性変形によって吸収することができる。このため、予め、前記ベース部材上において前記一対の固定部材と前記支持軸と前記スイッチ操作部材と前記バネ手段を所定位置に配置して前記ベース板ユニットを構成しておき、当該ベース板ユニットを前記スイッチ取付部材上に固定することが可能である。したがって、前記高周波用断路器の製造時の位置調整作業だけでなく、前記高周波用断路器の設置場所での位置調整作業も最小限で済む。
さらに、前記スイッチ取付部材上での前記ベース部材の設置位置を記憶する位置記憶手段を設ければ、前記スイッチ取付部材上での前記ベース部材の調整後の設置位置を記憶することができるので、位置調整が完了した後は、前記リミットスイッチ等の消耗部品を無調整で交換することができる。
(2) 本発明のリミットスイッチ・ユニットの好ましい例では、前記スイッチ取付部材上での前記ベース部材の設置位置を記憶する位置記憶手段を、さらに備える。前記スイッチ取付部材上における前記ベース部材ユニットの位置調整後の設置位置は、前記位置記憶手段によって記憶可能とされ、前記スイッチ取付部材から取り外された前記ベース部材ユニット、または新たに用意された前記ベース部材ユニットは、前記位置記憶手段を用いて前記設置位置に設置可能とされる。この例では、位置調整が完了した後に、リミットスイッチ等の消耗部品を無調整で交換できるという利点がある。
(3) 本発明のリミットスイッチ・ユニットの他の好ましい例では、前記高周波用断路器の前記移動部分との係合に使用される係合部(例えば係合溝)を有し、且つ、前記支持軸に移動可能に係合されたスライド部材を、さらに備える。前記スイッチ操作部材(例えばドグ)は、前記スライド部材に移動可能に嵌装される。前記バネ手段は、前記スライド部材に移動可能に嵌装され、且つ、前記スライド部材の前記係合部と前記スイッチ操作部材との間に配置されたバネから構成される。前記スライド部材及び前記バネは、前記ベース部材ユニットに含まれる。前記バネは、前記スイッチ操作部材によって直接的に押圧されて撓み、それによって、前記スイッチ操作部材の前記第1限界位置と前記高周波用断路器の前記移動部分(例えば昇降部分)の前記第1限界位置とのズレが吸収される。
(4) 本発明のリミットスイッチ・ユニットのさらに他の好ましい例では、前記バネ手段が、前記支持軸に移動可能に嵌装され、且つ、前記リミットスイッチと前記一対の固定部材のいずれか一方との間に配置されたバネから構成されていて、前記バネが前記ベース部材ユニットに含まれる。前記バネは、前記リミットスイッチを介して前記スイッチ操作部材によって間接的に押圧されて撓み、それによって、前記スイッチ操作部材の前記第1限界位置と前記高周波用断路器の前記移動部分(例えば昇降部分)の前記第1限界位置とのズレが吸収される。
(5) 本発明のリミットスイッチ・ユニットのさらに他の好ましい例では、前記(4)において、前記高周波用断路器の前記移動部分との係合に使用される係合部(例えば係合溝)を有し、且つ、前記支持軸に移動可能に係合されたスライド部材をさらに備える。前記スイッチ操作部材は、前記スライド部材と一体的に形成される。
(6) 本発明のリミットスイッチ・ユニットのさらに他の好ましい例では、前記バネ手段が、前記高周波用断路器の前記移動部分(例えば昇降部分)の移動を前記スイッチ操作部材(例えばドグ)に伝達するための伝達部材(例えば取付部材の第2部分)に設けられる。前記伝達部材が前記支持軸に沿って撓むことで、前記スイッチ操作部材の前記第1限界位置と前記高周波用断路器の前記移動部分の前記第1限界位置とのズレが吸収される。
(7) 本発明のリミットスイッチ・ユニットのさらに他の好ましい例では、前記(4)において、前記スライド部材に移動可能に嵌装された前記スイッチ操作部材(例えばドグ)及び前記バネが、相互に隣接して配置されて操作部材ユニット(例えばドグ・ユニット)とされる。前記バネは、前記操作部材ユニット内で前記スイッチ操作部材に押圧されて撓むように構成されていて、前記ベース部材ユニットに含まれる。前記バネが前記支持軸に沿って撓むことで、前記スイッチ操作部材の前記第1限界位置と前記高周波用断路器の前記移動部分(例えば取付部材の第2部分)の前記第1限界位置とのズレが吸収される。
本発明のリミットスイッチ・ユニットによれば、(a)衝撃の繰り返し等によって電流回路のON時またはOFF時の位置検出が正常に行えなくなったり、リミットスイッチが破損したりすることがない、(b)高周波用断路器の製造時の位置調整作業だけでなく、高周波用断路器の設置場所での位置調整作業も最小限で済む、という効果が得られる。
また、前記スイッチ取付部材上での前記ベース部材の設置位置を記憶する位置記憶手段が設けられた場合は、上記(a)及び(b)という効果に加えて、(c)位置調整が完了した後にリミットスイッチ等の消耗部品を無調整で交換できる、という効果が得られる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50の全体構成を図1〜図4に示す。このリミットスイッチ・ユニット50は、図9B、図10B及び図11Bに示した従来の電磁式断路器(高周波用単極断路器)100Aに使用されるものとしている。しかし、図12B及び図13Bに示した従来の電動式断路器(高周波用単極断路器)100Cに使用可能であることは言うまでもない。
ここでは、リミットスイッチ・ユニット50は、電磁式断路器100Aのベース板110上に上下方向に向けて固定されている。取付部材5の第1部分5aは、電磁式断路器100Aの押え板111の側面に取り付られており、押え板111は上下方向に移動する(昇降する)ので、リミットスイッチ・ユニット50の後述するドグ・ユニット11も、上下(垂直)方向に移動する(昇降する)として説明する。しかし、リミットスイッチ・ユニット50は、水平方向(あるいはそれら以外の方向)に向けて固定されてもよく、その場合には、ドグ・ユニット11は水平方向(あるいはそれら以外の方向)に移動する。
図1及び図2から分かるように、本第1実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50は、主として、スイッチ取付板22(スイッチ取付部材)と、リミットスイッチ18が取り付けられ且つスイッチ取付板22の表面にネジ止めされたベース板10(ベース部材)と、ベース板10の表面にスライド可能に配置されたドグ・ユニット11と、昇降部分30の昇降に応じて上下方向に移動してドグ・ユニット11をスライドさせるための取付部材5とを備えている。
ドグ・ユニット11は、図4(a)及び(b)に示すように、中心部に配置された略円筒形のスライド部材1と、スライド部材1の両端部の外側に配置された、一対のドグ2a及び2bと一対の円筒形のバネ3a及び3bとを備えている。
ドグ2aの中央には、円筒部2a1が形成され、その外側にはテーパー部2a2が、その内側には円筒部2a1より直径が小さい円筒形のバネ係合部2a3がそれぞれ形成されている。同様に、ドグ2bの中央には、円筒部2b1が形成され、その外側にはテーパー部2b2が、その内側には円筒部2b1より直径が小さい円筒形のバネ係合部2b3がそれぞれ形成されている。
スライド部材1の外側の中央部には、所定間隔をあけて形成された一対の鍔1bによって円環状の係合溝1aが形成されており、その係合溝1aには取付部材5の第2部分5b(図3Aを参照)の先端が係合される。係合溝1aの両側において、バネ係合部1cとバネ係合部2a3の間の部分と、バネ係合部1cとバネ係合部2b3の間の部分は、それぞれ、バネ嵌装部1dとされている。
係合溝1aの下位にあるバネ嵌装部1dの外側には、バネ3aとドグ2aが嵌装され、係合溝1aの上位にあるバネ嵌装部1dの外側には、バネ3bとドグ2bが嵌装されていて、係合溝1aに対して対称な配置になっている。ドグ2a及び2bのテーパー部2a2及び2b2の外側面は、それぞれ、スライド部材1の両端部の係合溝1eに係合されたスナップリング4a及び4bに当接しているため、ドグ2a及び2bとバネ3a及び3bがスライド部材1から外れることはない。バネ3aは、それに隣接する鍔1bとドグ2aによって、少し圧縮された状態で挟持されている。同様に、バネ3bは、それに隣接する鍔1bとドグ2bによって、少し圧縮された状態で挟持されている。
スライド部材1の内部には、それを貫通する透孔1fが全長にわたって形成されており、その透孔1fの両端部には、すべり軸受けとして機能するブッシュ1gが内蔵されている。透孔1fには、図1及び2に示すように、直線状の支持軸15が挿通され、支持軸15の両端部はスライド部材1の両端から突出している。このため、スライド部材1ひいてはドグ・ユニット11は、二つのブッシュ1gにより、支持軸15の外側面をそれに沿って円滑にスライドすることが可能である。また、ドグ2aは、バネ3aの弾性力に抗して、図4(b)の状態から中央の係合溝1aに向かって変位可能である。同様に、ドグ2bは、バネ3bの弾性力に抗して、図4(b)の状態から係合溝1aに向かって変位可能である。
スイッチ取付板22は、図1に示すように、矩形の剛性板(例えばステンレス鋼板)をその端部付近で直角に折り曲げて形成されており、相対的に小さい矩形の第2部分22bが、昇降部分30以外の箇所(ここでは電磁式断路器100のベース板110の表面)に、取付ネジ40で締め付けることによって固定されている。この時、相対的に大きい矩形の第1部分22aは、ベース板110の表面から垂直上方に延在している。
スイッチ取付板22の第1部分22aは、中央部に形成された矩形の開口部22cを有している。第1部分22aの表面には、矩形のベース板10が2本のネジ17によって締付固定されている。第1部分22aの開口部22cは、ベース板10の矩形の開口部10aとほぼ重なり合っているから、取付部材5の第2部分5bを、開口部22c及び10aを介してスイッチ取付板22及びベース板10の裏面から表面まで貫通させることが可能である。
第1部分22aには、ベース板10の下端縁の近傍においてネジ19によって位置決め部材14aが固定され、ベース板10の右端縁の近傍において位置決めピン14bが固定されている。これにより、ベース板10は、第1部分22a上の所望位置に位置決めされている。ベース板10の固定は、2本のネジ17(ここでは六角穴付きボルト)を第1部分22aのネジ孔(図示せず)にそれぞれねじ込むことによって行われている。
ベース板10には、図3Bに示すように、ベース板10を第1部分22aに固定するためのネジ17が挿通される透孔10bが、開口部10aの両側にそれぞれ形成されている。ネジ17は、第1部分22aの対応する箇所にあるネジ孔(図示せず)にねじ込まれる。ベース板10には、さらに、下端部にネジ孔10cが二つ形成され、上端部にネジ孔10dが二つ形成されている。ネジ孔10cには、固定部材12aを固定するためのネジ13aがねじ込まれる。ネジ孔10dには、固定部材12bを固定するためのネジ13bがねじ込まれる。ベース板10には、さらに開口部10aの左上方2箇所と右下方2箇所に、それぞれネジ孔10eが形成されている。ネジ穴10eには、リミットスイッチ18を固定するためのネジ18bがねじ込まれる。
ベース板10の表面には、図2に明瞭に示すように、開口部10aの両側に一対のリミットスイッチ18が配置されている。電流回路のOFFを報知する上限検出用リミットスイッチ18は、開口部10aの左側のやや上位に配置され、電流回路のONを報知する下限検出用リミットスイッチ18は、開口部10aの右側のやや下位に配置されている。各リミットスイッチ18のレバー18aは、中央寄りに配置されているが、いずれも開口部10aの外側にあり、開口部10aとは重なっていない。この点で、図9B、図10B及び図11Bに示した従来の電磁式断路器100Aのリミットスイッチ駆動機構123及びスイッチ取付板122の構成とは異なっている。各リミットスイッチ18は、2本のネジ18bによって対応するスイッチ台16の上に固定されている。各スイッチ台16は、リミットスイッチ18のレバー18aをドグ・ユニット11の高さに合わせるために設けられており、ネジ18bによって、リミットスイッチ18とスイッチ台16とが一体でベース板10の表面に固定されている。
ベース板10の表面には、さらに、ドグ・ユニット11の下方の位置に、直方体状の固定部材12aが2本のネジ13aによって固定され、ドグ・ユニット11の上方の位置に、直方体状の固定部材12bが2本のネジ13bによって固定されている。固定部材12aはベース板10の下端部に位置し、固定部材12bはベース板10の上端部に位置している。固定部材12a及び12bには、支持軸15の上端部と下端部がそれぞれ挿通されており、その結果、支持軸15は固定部材12a及び12bの間に架け渡された形になっている。ドグ・ユニット11は、こうして架け渡された支持軸15に支持されていて、固定部材12a及び12bの間で支持軸15に沿って上下にスライド可能である。
固定部材12a及び12bの内側面には、図2に示すように、窪み12a1及び12b1がそれぞれ形成されていて、ドグ・ユニット11の両端から外方に突出したスライド部材1の端部とスナップリング4a及び4bを受け入れるようになっている。このため、スライド部材1の両端部ではなく、ドグ2aのテーパー部2a2の外端面とドグ2bのテーパー部2b2の外端面が、それぞれ、固定部材12a及び12bの内側面に当接し、その位置でドグ2a及び2bは停止する。
支持軸15の上端部、すなわち、固定部材12bに挿通される端部には、スナップリング15aが係合される係合溝(図示せず)が形成され、その係合溝より少し中央寄りの位置には、段差部15bが形成されている。支持軸15の上端部は、図1及び図2に示すように固定部材12bに挿通されるが、この時、段差部15bが固定部材12bの窪み12b1内の対向する内壁に当接して、支持軸15の上方への移動が阻止されている。また、図示しない係合溝は、固定部材12bの外部に位置していて、そこにスナップリング15aが係合されることで、支持軸15の下方への移動が阻止されている。支持軸15は、このようにして固定部材12bに係止され、それによって上下移動しないようになっている。支持軸15の下端部、すなわち、固定部材12a側の端部は、固定部材12aに挿通されているだけであり、当該端部を係止する機構は設けられていない。
固定部材12a及び12bは、上述したような役割を持つから、支持軸15(ひいてはドグ・ユニット11)を支持・固定する部材としての機能だけでなく、ドグ・ユニット11(ひいてはドグ2aおよび2b)の過大な移動(変位)を防止する部材(ストッパー)としての機能も持っている。
ドグ・ユニット11が図2に示す下限位置に到達した時には、まず、下位にあるドグ2aのテーパー部2a2が下位にある下限検出用リミットスイッチ18のレバー18bに接触し、次に、ドグ2aの円筒部2a1がレバー18bに接触してこれを変位させる。その結果、当該リミットスイッチ18が動作し、電磁式断路器100Aの電流回路が閉状態なったことを報知する電気信号(ON信号)が外部に出力される。逆に、ドグ・ユニット11が上限位置に到達した時には、まず、上位にあるドグ2bのテーパー部2b2が上位にある上限検出用リミットスイッチ18のレバー18bに接触し、次に、ドグ2bの円筒部2b1がレバー18bに接触してこれを変位させる。その結果、当該リミットスイッチ18が動作し、電磁式断路器100Aの電流回路が開状態なったことを報知する電気信号(OFF信号)が外部に出力される。
取付部材5は、図1、図2及び図3Aに示すように、略矩形の第1部分5aと、略矩形で先端に略円弧状の切欠部5cを持つ第2部分5bとから形成されていて、第1部分5aと第2部分5bは互いに直交している。第1部分5aは、スイッチ取付板22の裏側において、取付ネジ6によって昇降部分30(例えば押え板111)に固定される。第2部分5bは、スイッチ取付板22の開口部22cとベース板10の開口部10aを通って、スイッチ取付板22の表側に突出していて、ドグ・ユニット11の中央部に係合されている。具体的に言うと、第2部分5bの先端にある略円弧状の切欠部5c(図3Aを参照)が、円環状の係合溝1a(図4を参照)に挿入されていて、それによって第2部分5bが係合溝1aの両側にある一対の鍔1bに係合されている。その結果、ドグ・ユニット11は、スイッチ取付板22の表側において、固定部材12a及び12bの間で、昇降部分30の上下移動に伴って支持軸15に沿って上下移動することができる。
次に、以上の構成を持つ第1実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50の動作について説明する。
昇降部分30が上限位置にある時、すなわち、電磁式断路器100Aの電流回路が開状態にある時は、ドグ・ユニット11は、固定部材12a及び12bの間において上限位置にあり、上位にあるドグ2bが上位にある固定部材12bに当接している。ドグ2bは、上位にあるリミットスイッチ18のレバー18aを非作動位置から作動位置に移動させているため、当該リミットスイッチ18はONになっている。この時、当該リミットスイッチ18のレバー18aは、ドグ2bのテーパー部2b2ではなく、その円筒部2b1に接触している。
電磁式断路器100Aの電磁石に通電してコア116を下降させると、昇降部分30が下降して下限位置に到達し、電磁式断路器100Aの電流回路が閉状態になる。この時、ドグ・ユニット11は、支持軸15に沿って下降して下限位置に到達し、下位にあるドグ2aが下位にある固定部材12aに当接する。ドグ12aは、下位にあるリミットスイッチ18のレバー18aを非作動位置から作動位置に移動させるため、当該リミットスイッチ18はONになる。この時、当該リミットスイッチ18のレバー18aは、ドグ2aのテーパー部2a2ではなく、その円筒部2a1に接触する。円筒部2a1の長さは、下限位置の近傍でドグ2aの位置が多少(例えば数mm程度)変動しても、円筒部2a1から外れないように設定されているので、固定部材12aに衝突したドグ・ユニット11が反動によってその近傍で上下に揺動しても、レバー18aが作動位置から非作動位置に移行し、リミットスイッチ18がONからOFFに切り替わるといった不都合は生じない。
また、この時、下限位置に到達した昇降部分30の停止位置(高さ)が、ドグ・ユニット11の係合溝1aの停止位置(高さ)よりも少し(例えば数mm程度)下方にずれていても、その位置(高さ)の誤差は、ドグ・ユニット11のバネ3aが撓むことで効果的に吸収される。したがって、この誤差によって支障は生じない。逆に、下限位置に到達した昇降部分30の停止位置(高さ)が、ドグ・ユニット11の係合溝1aの停止位置(高さ)よりも少し(例えば数mm程度)上方にずれている場合は、ドグ・ユニット11が、下位にある固定部材12aに衝突してから固定部材12aから少し離れた状態で停止するか、その固定部材12aに衝突することなく固定部材12aから少し離れた状態で停止する可能性がある。しかし、円筒部2a1の長さを、下限位置の近傍でドグ2aが固定部材12aから少し離れた状態で停止しても、レバー18aが円筒部2a1から外れないように設定することで、支障が生じないようにすることができる。
その後、電磁式断路器100Aの電磁石への通電を停止してコア116を上昇させると、昇降部分30は、戻しバネ14の弾性力によって上昇して上限位置に復帰するので、電磁式断路器100Aの電流回路が開状態に復帰する。この時、ドグ・ユニット11は、支持軸15に沿って上昇して上限位置に復帰して停止し、上位にあるドグ2bが上位にある固定部材12bに当接する。ドグ2bは、上位にあるリミットスイッチ18のレバー18aを非作動位置から作動位置に移動させ、当該リミットスイッチ18が再びONになる。この時、当該リミットスイッチ18のレバー18aは、ドグ2bのテーパー部2b2ではなく、その円筒部2b1に接触するため、固定部材12bに衝突したドグ・ユニット11がその位置で反動によって揺動しても、レバー18aが作動位置から非作動位置に移行し、リミットスイッチ18がONからOFFに切り替わるといった不都合は生じない。
また、この時、上限位置に到達した昇降部分30の停止位置(高さ)が、ドグ・ユニット11の係合溝1aの停止位置(高さ)よりも少し(例えば数mm程度)上方にずれていても、その位置(高さ)の誤差は、ドグ・ユニット11のバネ3bが撓むことで効果的に吸収される。したがって、この誤差によって支障は生じない。逆に、上限位置に到達した昇降部分30の停止位置(高さ)が、ドグ・ユニット11の係合溝1aの停止位置(高さ)よりも少し(例えば数mm程度)下方にずれている場合は、ドグ・ユニット11が、上位にある固定部材12bに衝突してから固定部材12bから少し離れた状態で停止するか、その固定部材12bに衝突することなく固定部材12bから少し離れた状態で停止する可能性がある。しかし、円筒部2b1の長さを、上限位置の近傍でドグ2bが固定部材12bから少し離れた状態で停止しても、レバー18aが円筒部2b1から外れないように設定することで、支障が生じないようにすることができる。
電磁式断路器100Aの昇降部分30の軸振れは、次のようにして吸収される。取付部材5の第2部分5bに形成された切欠部5cは、ドグ・ユニット11の係合溝1aに係合可能な略円弧状とされているが、その寸法は係合溝1aの内径より少し(例えば1mm程度)大きくされている。換言すれば、取付部材5の切欠部5cとドグ・ユニット11の係合溝1aの間には、例えば1mm程度の「遊び」が与えられている。このため、昇降部分30がその昇降動作中に軸振れを生じても、その軸振れはこの遊びによって吸収されるから、支障は生じない。この遊びの大きさは、昇降部分30が持つ軸振れの大きさに応じて適宜調整されることは言うまでもない。
続いて、以上の構成を持つ第1実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50の製造方法と、昇降部分30への組込方法について説明する。
ドグ・ユニット11は、図4(b)に示された構成を持ち、図4(a)に示された部品を図4(b)に示したように組み立てることで製造される。他方、支持軸15のスナップリング15a用の係合溝と段差部15bが形成されている側の端部を、固定部材12bの貫通孔に挿通する。この時、固定部材12bの窪み12b1の内部で段差部15bが対向する内壁に当接するので、その状態で窪み12b1の外部に露出した係合溝に、スナップリング15aを係合させる。こうすることで、支持軸15の一端部が固定部材12bに保持されるから、支持軸15が固定部材12bから抜け出ることはない。
次に、支持軸15の保持されていない側の端部を、ドグ・ユニット11の透孔1fに挿通させてから、当該端部を固定部材12aの貫通孔に挿通する。そして、ベース板10の表面に、ネジ13aを用いて固定部材12aを固定し、ネジ13bを用いて固定部材12bを固定する。こうすると、図1及び図2に示すように、固定部材12a及び12bが所定距離をあけて固定され、支持軸15が固定部材12a及び12bの間に架け渡された構成が得られる。この状態では、ベース板10上において、支持軸15に支持されたドグ・ユニット11が固定部材12a及び12bの間の領域に配置され、ドグ・ユニット11は支持軸15に沿って自由にスライド可能である。
一対のリミットスイッチ18は、ネジ18bを用いて対応するスイッチ台16と共にベース板10上に固定する。この時、各リミットスイッチ18のレバー18aが中央を向くように固定するので、ドグ・ユニット11のドグ2a及び2bは、固定部材12a及び12bの近傍において対応するレバー18aに接触可能である。ドグ・ユニット11は、全体がベース板10表面側に位置し、開口部10aには入り込んでいない。したがって、ドグ・ユニット11は、固定部材12aと12bの間で自由に移動可能である。
以上のようにして、ベース板10の表面に、ドグ・ユニット11、固定部材12a及び12b、一対のリミットスイッチ18が配置される。以下、ベース板10と、ドグ・ユニット11、固定部材12a及び12b、一対のリミットスイッチ18からなる構造体を「ベース板ユニット」と呼ぶ。
他方、2本の取付ネジ6を用いて、取付部材5の第1部分5aを昇降部分30の適当な箇所に固定する。すると、取付部材5の第2部分5bは水平に延在する。また、2本の取付ネジ40を用いて、スイッチ取付板22の第2部分22bを昇降部分30以外の箇所、例えばベース板110に固定する。この時、取付部材5の第2部分5bの先端部が、スイッチ取付板22の裏側からその第1部分22aの開口部22cを通って表側に突出する。
そこで、スイッチ取付板22の表面にベース板10を重ね合わせてから、2本のネジ17で締め付けて固定すると、ベース板ユニットがスイッチ取付板22の表面に装着される。この時、スイッチ取付板22の第2部分22bの右端縁近傍に固定された位置決めピン14bに、ベース板10の右端縁を当接させるようにする。こうして、図1及び図2に示した構成が得られる。スイッチ取付板22の表面にベース板10を重ね合わせる際には、ドグ・ユニット11の位置を調整して、取付部材5の第2部分5bの先端の切欠部5cがドグ・ユニット11の中央の係合溝1aに係合するようにする。その結果、ドグ・ユニット11は、取付部材5すなわち昇降部分30の昇降に同期して、支持軸15に沿って昇降するようになる。
ベース板ユニットとその上に配置されたドグ・ユニット11の、昇降部分30に対する微細な位置調整は、図1及び図2に示した状態で行う。ベース板ユニットの各構成部品の位置や向きは、一義的に特定されているから、ベース板10上での取付部材12a及び12b等の位置調整は不要である。ネジ17を緩めた状態で、スイッチ取付板22に対するベース板ユニットの位置及び向きの調整のみを行えばよい。調整が完了すると、その位置を記録するために、ベース板10の下端縁に位置決め部材14aの一側面を当接させてから、2本のネジ19でスイッチ取付板22に固定する。こうすることで、位置決めピン14bによって、ベース板12の水平方向(支持軸15に直交する方向)の位置が決定され、また、位置決め部材14aによって、ベース板12の垂直方向(支持軸15に平行な方向)の位置が決定される。
この時の調整作業は、電磁式断路器100Aごとに生じる、昇降部分30の移動(昇降)量とその上限位置及び下限位置のバラツキを補償するために行うが、本第1実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50では、昇降部分30の移動(昇降)量とその上限位置及び下限位置のバラツキが、自動的に補償される構成になっているから、現場において試行錯誤が必要な微調整は、スイッチ取付板22に対するベース板ユニットの位置及び向きの調整だけである。このように、昇降部分30への組込時の調整作業は、ほとんど不要になる。
故障等によって当初のベース板ユニットを交換する際には、位置決めピン14bと位置決め部材14aを動かさずに当初のベース板ユニットを取り外す。そして、新しいベース板ユニットの右端縁と下端縁を位置決めピン14b及び位置決め部材14aそれぞれに当接させてから、2本のネジ17でベース板10をスイッチ取付板22に固定する。それだけで新しいベース板ユニットの位置決めが完了し、ベース板ユニットの交換に伴う微細な位置調整作業は不要である。
以上詳細に説明したように、本発明の第1実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50では、略円筒形のスライド部材1と、スライド部材1の外側に嵌装されたドグ2a及び2bとバネ3a及び3bとを用いてドグ・ユニット11を構成している。スライド部材1の内部には、支持軸15が挿通されていると共に、ベース板10の表面に固定した一対の固定部材12a及び12bによって支持軸15の両端が支持されており、それによって、固定部材12a及び12bの間でドグ・ユニット11が支持軸15に沿ってスライドするようにしている。このため、スライド部材1に対するドグ2a及び2bとバネ3a及び3bの位置は、決まっており、支持軸15の周りにドグ2a及び2bが回転したりしても、ドグ2aあるいは2bが支持軸15から脱落する恐れはない。したがって、昇降部分30における衝撃の繰り返し等によって電流回路のON時またはOFF時の位置検出が正常に行えなくなったり、リミットスイッチ18が破損したりすることがない。
また、ドグ・ユニット11は、支持軸15に沿って移動可能なドグ2a及び2bだけでなく、支持軸15に沿って移動可能なバネ3a及び3bを有しているため、昇降部分30とドグ2a及び2bの間の位置の誤差は、バネ3a及び3bの弾性変形によって吸収することができる。また、ベース板10の表面には、ドグ・ユニット11とそれを支持する一対の固定部材12a及び12bだけでなく、ドグ・ユニット11のドグ2a及び2bの移動に応じて駆動されるように、一対のリミットスイッチ18が配置されており、これら構成要素によって「ベース板ユニット」を構成している。そして、このベース板ユニットをスイッチ取付板22上に固定し、あるいは、スイッチ取付板22から取り外すだけで、組み込みや交換が可能である。このように、ベース板ユニットとスイッチ取付板22との最小限の位置調整で足りるから、ドグ2a及び2bやリミットスイッチ18の位置調整が容易である。
さらに、位置決めピン14bと位置決め部材14aによって当初のベース板ユニットの調整後の位置を記憶することができるので、換言すれば、ベース板10の表面における前記ベース板ユニットの位置を記憶するために、位置決め部材14aと位置決めピン14bからなる「位置記憶機構」が設けられているので、いったん位置調整が完了すれば、その後は無調整で交換が可能である。
(第2実施形態)
図5A及び5Bは、本発明の第2実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Aを示す。
第2実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Aは、スイッチ取付板22と取付部材5は上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50の場合と同じであるが、ベース板10とドグ・ユニット11aの構成が異なっている。このリミットスイッチ・ユニット50Aは、上記従来の電磁式断路器100Aよりも動作時の衝撃が小さい上記従来の電動式断路器100Cに、好適に使用できるものであり、上記第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50よりも構成が簡略化されている。
図5A及び5Bから分かるように、本実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Aでは、ドグ・ユニット11aが、円筒形のスライド部材1と、スライド部材1の両側にこれと一体的に形成された円筒形のドグ2a及び2bとから構成されており、第1実施形態で使用されたようなバネを有していない。また、第1実施形態とは異なり、スライド部材1とドグ2a及び2bは、一体的に形成されていて、分離して移動することはない。ドグ・ユニット11aの中心には、その長軸方向に支持軸15が挿通される透孔(図示せず)が形成されている。ドグ・ユニット11aは、支持軸15に沿ってスライド可能である。
スライド部材1の全長、すなわち一対のドグ2a及び2b間の間隔は、第1実施形態の場合よりもずっと短く、取付部材5の第2部分5bの厚さより少し大きい程度に設定されている。スライド部材1の直径は、ドグ2a及び2bのそれより小さく、取付部材5の第2部分5bの切欠部5cが適切に係合する程度に設定されている。こうすることで、一対のドグ2a及び2bの間において、スライド部材1の外周に、取付部材5の第2部分5bが係合する係合溝1aが形成されている。
ドグ・ユニット11aは、以上のような構成であるから、全長が一対のドグ2a及び2b間の距離に等しい円筒形の部材を用意し、その部材の中央を円環状に切欠することで、その部材の中央に円環状の係合溝1aが形成されると同時に、両側に円筒形のドグ2a及び2bが形成される。この方法によれば、ドグ・ユニット11aの製作が非常に簡単である。しかし、スライド部材1とドグ2a及び2bを別体として形成してから、相互に結合・一体化してもよいことは言うまでもない。
ベース板10は、矩形の剛性板(例えばステンレス鋼板)をその両端部付近で同じ側に直角に折り曲げて形成されており、相対的に小さい二つの矩形の部分が一対の固定部材12a及び12bになっている。支持軸15の両端部は、固定部材12a及び12bの透孔にそれぞれ挿通されていると共に、支持軸15に形成された係合溝(図示せず)にスナップリング15aを係合させることによって、固定部材12a及び12bから外れないようにされている。支持軸15は、こうして固定部材12a及び12bの間に架け渡されている。
ドグ・ユニット11aと固定部材12aの間には、スイッチ台16とバネ3aが配置されている。スイッチ台16はドグ・ユニット11aの側にあり、バネ3aは固定部材12aの内側にある。スイッチ台16とバネ3aには、支持軸15が挿通されていて、いずれも支持軸15に沿ってスライド可能である。スイッチ台16の上には、ドグ・ユニット11aの方にレバー18aを向けたリミットスイッチ18が、ネジ18bによって固定されている。ネジ18bによってリミットスイッチ18と一体とされたスイッチ台16は、ベース板10の表面を滑りながら移動可能であり、支持軸15の端部に係止されたスナップリング15cによりその移動端が設定されている。ドグ・ユニット11aとリミットスイッチ18の間には、バネが存在しない。このため、ドグ・ユニット11aが下降してドグ2aがリミットスイッチ18のレバー18aを押圧すると、当該リミットスイッチ18はONになる。ドグ・ユニット11aの下降距離がそれ以上になると、その押圧力によって、スイッチ台16とリミットスイッチ18が固定部材12aに向かって移動し、バネ3aを圧縮する。バネ3aによる押圧力は、固定部材12aが受け止める。ドグ・ユニット11aの過大な下降動作は、こうして吸収される。
同様に、ドグ・ユニット11aと固定部材12bの間には、スイッチ台16とバネ3bが配置されている。スイッチ台16はドグ・ユニット11aの側にあり、バネ3bは固定部材12bの内側にある。スイッチ台16とバネ3bには、支持軸15が挿通されていて、いずれも支持軸15に沿ってスライド可能である。スイッチ台16の上には、ドグ・ユニット11aの方にレバー18aを向けたリミットスイッチ18が、ネジ18bによって固定されている。ネジ18bによってリミットスイッチ18と一体とされたスイッチ台16は、ベース板10の表面を滑りながら移動可能であり、支持軸15に係止されたスナップリング15cによりその移動端が設定されている。ドグ・ユニット11aとリミットスイッチ18の間には、バネが存在しない。このため、ドグ・ユニット11aが上昇してドグ2bがリミットスイッチ18のレバー18aを押圧すると、当該リミットスイッチ18はONになる。ドグ・ユニット11aの上昇距離がそれ以上になると、その押圧力によって、スイッチ台16とリミットスイッチ18が固定部材12bに向かって移動し、バネ3bを圧縮する。バネ3bによる押圧力は、固定部材12bが受け止める。ドグ・ユニット11aの過大な上昇動作は、こうして吸収される。
第2実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Aは、このように簡略化された構成であるが、上記従来の電磁式断路器100Aよりも動作時の衝撃が小さい上記従来の電動式断路器100Cに組み込まれることを前提としているため、十分なリミットスイッチ18のON・OFF機能を持ち、必要な耐久性も得られる。
以上詳細に説明したように、本発明の第2実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Aでは、円筒形のスライド部材1と、スライド部材1の両側に配置された一対のドグ2a及び2bとを一体化して、ドグ・ユニット11aを構成している。ドグ・ユニット11aには、支持軸15が挿通されていると共に、ベース板10両端に形成された一対の固定部材12a及び12bによって支持軸15の両端が支持されており、それによって、固定部材12a及び12bの間でドグ・ユニット11aが支持軸15に沿ってスライドするようにしている。このため、スライド部材1に対するドグ2a及び2bの位置は、決まっており、支持軸15の周りにドグ2a及び2bが回転したりしても、ドグ2aあるいは2bが支持軸15から脱落する恐れはない。したがって、昇降部分30における衝撃の繰り返し等によって電流回路のON時またはOFF時の位置検出が正常に行えなくなったり、リミットスイッチ18が破損したりすることがない。
また、ドグ・ユニット11aと固定部材12aの間に、支持軸15が挿通されたスイッチ台16とバネ3aが配置されていて、スイッチ台16とバネ3aも支持軸15に沿って移動可能とされている。同様に、ドグ・ユニット11aと固定部材12bの間に、支持軸15が挿通されたスイッチ台16とバネ3bが配置されていて、スイッチ台16とバネ3bも支持軸15に沿って移動可能とされている。一対のリミットスイッチ18は、対応するスイッチ台16の上にそれぞれ固定されている。このため、昇降部分30とドグ2a及び2bの間の位置の誤差は、バネ3a及び3bの弾性変形によって吸収することができる。また、これらの構成要素によって「ベース板ユニット」を構成していて、このベース板ユニットをスイッチ取付板22上に固定し、あるいは、スイッチ取付板22から取り外すだけで、組み込みや交換が可能である。このように、ベース板ユニットとスイッチ取付板22との最小限の位置調整で足りるから、ドグ2a及び2bやリミットスイッチ18の位置調整が容易である。
さらに、位置決めピン14bと位置決め部材14aによって当初のベース板ユニットの調整後の位置を記憶することができるので、換言すれば、ベース板10の表面における前記ベース板ユニットの位置を記憶するために、位置決め部材14aと位置決めピン14bからなる「位置記憶機構」が設けられているので、いったん位置調整が完了すれば、その後は無調整で交換が可能である。
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Bを示す。
第3実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Bは、上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50においてドグ2bとバネ3bを省略し、電流回路の閉状態のみを検出するようにしたものであり、それ以外の構成は上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50と同じである。よって、構成が同一の部分については、同一の構成要素に同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図6に示した第3実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Bでは、上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50と同じ効果が得られることが明らかである。
(第4実施形態)
図7A及び7Bは、本発明の第4実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Cを示す。
第4実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Cは、取付部材5の第2部分5bに帯状の板バネを使用することで、上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50において一対のバネ3a及び3bを省略している。こうすることで、ドグ・ユニット11cの構成を簡略化している。また、剛性のある矩形のベース板10の一方の端部を直角に折り曲げて固定部材12aを形成しており、固定部材12bは、帯状の剛性板(例えばステンレス鋼板)を直角に折り曲げて形成して、これをネジ13bでベース板10上に固定している。こうして、一対の固定部材12a及び12bの構成も簡略化している。それ以外の構成は上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50と同じであるから、構成が同一の部分については、同一の構成要素に同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
ドグ・ユニット11cは、支持軸15に沿って移動可能なドグ2a及び2bを有しているだけでなく、取付部材5の第2部分5bが支持軸15に沿って弾性変形可能な板バネから形成されているため、昇降部分30とドグ2a及び2bの間の位置の誤差は、第2部分5bの弾性変形によって吸収することができる。
図7A及び7Bに示した第4実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Cでは、上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50と同じ効果が得られることが明らかである。
(第5実施形態)
図8A及び8Bは、本発明の第5実施形態に係るリミットスイッチ・ユニット50Dを示す。
第5実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Dは、取付部材5の第2部分5bに帯状の板バネを使用することで、上述した第2実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Aにおいて一対のバネ3a及び3bを省略している。こうすることで、ドグ・ユニット11dの構成を簡略化している。また、剛性のある矩形のベース板10の両方の端部を同じ側に直角に折り曲げて固定部材12a及び12bを形成している。こうして、一対の固定部材12a及び12bの構成も簡略化している。また、上記第2実施形態とは異なり、スイッチ台16は、ベース板に固定可能な構成となっている。これは、取付部材5の第2部分5bに帯状の板バネが使用されていて、ドグ2a及び2bの間の位置の誤差は、第2部分5bの弾性変形によって吸収可能なためである。それ以外の構成は上述した第2実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Aと同じであるから、構成が同一の部分については、同一の構成要素に同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
ドグ・ユニット11dは、支持軸15に沿って移動可能なドグ2a及び2bを有しているだけでなく、取付部材5の第2部分5bが支持軸15に沿って弾性変形可能な板バネから形成されているため、昇降部分30とドグ2a及び2bの間の位置の誤差は、第2部分5bの弾性変形によって吸収することができる。
図8A及び8Bに示した第5実施形態のリミットスイッチ・ユニット50Dでは、上述した第1実施形態のリミットスイッチ・ユニット50と同じ効果が得られることが明らかである。
(変形例)
上述した第1〜第5実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した第1〜第5実施形態では、一対のドグが略円筒形とされているが、本発明はこれに限定されない。一対のドグは、昇降装置30に伴う変位によってリミットスイッチのレバーを駆動できる形状であれば、略円筒形以外の形状であってもよい。
また、上述した第1〜第5実施形態では、バネ手段として、円筒形のつるまきバネ3a、3bまたは帯状の板バネが使用されているが、本発明はこれに限定されない。ドグ2a、2b(スイッチ操作部材)の限界位置と昇降部分30の限界位置とのズレを吸収できるものであれば、任意の形状・構成のバネを使用することができる。
さらに、上述した第1〜第5実施形態では、スイッチ取付板22上でのベース板10の設置位置を記憶する位置記憶手段として、位置決め部材14aと位置決めピン14bが使用されているが、本発明はこれに限定されない。ベース板10が係止または係合する位置決め部材を二つ以上用いてもよいし、ベース板10が係止または係合する位置決めピンを二つ以上用いてもよいし、ベース板10が係止または係合する突起や窪みでもよい。要は、位置記憶手段は、スイッチ取付板22上でのベース板10の設置位置を記憶できればよく、その形状や構成、材質当は問わない。