JP5774520B2 - 濃度分布解析装置および濃度分布解析方法 - Google Patents

濃度分布解析装置および濃度分布解析方法 Download PDF

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Description

本発明は、拡散物質が大気中で濃度分布を形成する現象を予測する濃度分布解析装置および濃度分布解析方法に関するものである。
大気中に拡散物質が放出された場合、避難や脅威の除去活動を適切に行うためには、拡散物質の挙動を解析により迅速に予測し当該領域の濃度分布を出力することが重要となる。特に市街地の場合は、建物の影響により気流は複雑な流れ場を形成していることから、3次元の詳細な気流情報を使用した高精度かつ迅速な濃度評価が要求される。
ある地点における濃度分布を得る方法としては、データベース、実測値、または、数値流体力学計算から得た気流情報に基づいて、拡散物質に対しスカラー輸送方程式を解き、濃度情報を出力する方法がある。このような気流情報に基づいて、拡散物質に対しスカラー輸送方程式を解いて濃度情報を出力する方法は、例えば、下記非特許文献1に記載される。また、他の方法の一例としては、粒子追跡法を使用した濃度評価手法が挙げられる。
例えば、図7に示されるように、粒子追跡法による濃度評価手法では、解析メッシュ1を設定し、放出源3から拡散する拡散物質の挙動を複数個の離散的な粒子2の挙動で代表させて追跡し、得られた粒子分布の情報を使用する。このとき、粒子2の周りには空間的に統計的な濃度の広がりを持たせる。そして、濃度を評価したい地点に対して、各粒子2からの影響を積算することによって当該地点における濃度を算出する。このような、粒子追跡法を使用した濃度評価手法による数値解析方法および数値解析装置は、例えば、特許第3881926号公報(特許文献1)に記載される。
特許第3881926号公報
半場藤弘著、「大気境界層のスカラーの乱流モデル」、生産研究、東京大学生産技術研究所、1994年2月、第46巻、第2号、p.74−79
しかしながら、非特許文献1に記載される技術を適用する場合、精度の良い解を出力するためには、評価地点周りの広い空間に対して解析メッシュを作成する必要がある。すなわち、多数の解析メッシュを作成する必要がある。解析メッシュの数が多くなるほど計算時間が膨大となるため、非特許文献1に記載される技術を適用する場合には、所望の精度を維持しつつ迅速に結果を出力したいという要請に応えることが困難という課題がある。
一方、特許文献1に記載される技術を適用すれば、粒子追跡法を使用するため、計算時間に関しては解析メッシュに依存せず迅速に結果を出力することができるという点で迅速に結果を得るという要請に応えることはできるものの、流れが大きく変動し得る環境下(例えば、市街地等)で適用する場合、流れが大きく変動する場合の影響を考慮していないため、所望の精度を得ることができない場合が生じ得る。
例えば、図8に示されるように、大気の流速および方向を示す流速ベクトル4を持つ解析対象領域内に、建物等の構造物5が存在する場合、構造物5の上方に位置する領域R1と領域R1の下方に位置する領域、すなわち、構造物5の背面側(図8において右側)とでは、流速が大きく異なる。その結果、構造物5が流体(大気)を遮らない領域R1では、流速が速く対流の効果が大きくなるので、構造物5の背面側の領域に存在する粒子が濃度評価地点P1へ及ぼす影響は小さくなる。一方、構造物5が流体を遮る構造物5の背面側の領域では、領域R1と比較して対流の効果は小さくなるので、構造物5の背面側の領域にある粒子が構造物5の背面側の領域の濃度へ及ぼす影響は濃度評価値点P1よりも相対的に大きくなる。
このような流れが大きく変動する場合の影響を考慮しない従来技術では、得られた拡散現象および濃度分布が、当初要求していた精度に達しない場合が生じており、迅速に結果が得られたとしても所望の精度を維持できない場合が生じ得る。すなわち、所望の精度を維持しつつ迅速に結果を出力したいという要請に応えることができていないという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、市街地等の建物の影響により流れが大きく変動する環境下における拡散現象を解析する際に、粒子追跡手法を用いて、迅速かつ流れの変動の影響を考慮した高精度の濃度分布を出力可能な濃度分布解析装置および濃度分布解析方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置は、上述した課題を解決するため、拡散物質を複数の粒子で模擬する濃度分布解析装置であり、数値解析手法を適用して、入力部から与えられる解析対象とする領域の解析メッシュ、構造物の位置情報、流体の流速と圧力の初期条件、境界条件、並びに、前記解析対象とする領域内での粒子の放出位置および放出速度を含む初期パラメータに基づき、前記解析メッシュに対して少なくとも前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とを計算する流体計算部と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とに基づいて、前記解析対象とする領域内での前記粒子の軌跡を追跡計算して、前記粒子の軌跡と前記粒子周りの濃度の広がりを計算する粒子追跡部と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布、前記粒子追跡部が算出した前記粒子の位置および前記粒子周りの濃度の広がりに基づいて、前記粒子の各々からの影響を積算して得られる濃度分布に前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正処理を施した前記解析メッシュにおける前記拡散物質の濃度分布を計算する濃度分布計算部と、を具備し、前記濃度分布計算部は、前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正係数Fkを導入した下記式
と、前記粒子追跡部が得た各粒子の位置座標情報(x,y,z)とを用いて計算することで、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮しない濃度χ(X,Y,Z)を計算するとともに、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の流速の変動の影響を考慮した補正係数Fkvを計算する下記式
と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkv、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の乱流エネルギの変動の影響を考慮した補正係数Fktを計算する下記式
と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkt、並びに前記補正係数Fkvと前記補正係数Fktとの積から選択される何れか一つを前記補正係数Fkとして決定し、前記濃度χ(X,Y,Z)と前記補正係数Fkとから、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮した濃度χ(X,Y,Z)を求めるように構成されることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る濃度分布解析方法は、上述した課題を解決するため、解析メッシュに対して少なくとも流体の流速分布と乱流エネルギ分布とを計算する流体計算部と、前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とに基づいて、解析対象とする領域内での粒子の軌跡と前記粒子周りの濃度の広がりを計算する粒子追跡部と、前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正処理を施した前記解析メッシュにおける拡散物質の濃度分布を計算する濃度分布計算部とを具備し、前記濃度分布計算部が、前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正係数Fkを導入した下記式
と、前記粒子追跡部が得た各粒子の位置座標情報(x,y,z)とを用いて計算することで、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮しない濃度χ(X,Y,Z)を計算するとともに、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の流速の変動の影響を考慮した補正係数Fkvを計算する下記式
と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkv、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の乱流エネルギの変動の影響を考慮した補正係数Fktを計算する下記式
と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkt、並びに前記補正係数Fkvと前記補正係数Fktとの積から選択される何れか一つを前記補正係数Fkとして決定し、前記濃度χ(X,Y,Z)と前記補正係数Fkとから、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮した濃度χ(X,Y,Z)を求めるように構成される、前記拡散物質を複数の粒子で模擬した濃度分布解析装置に適用される濃度分布解析方法であり、前記流体計算部が、数値解析手法を適用して、入力部から与えられる解析対象とする領域の解析メッシュ、構造物の位置情報、流体の流速と圧力の初期条件、境界条件、並びに、前記解析対象とする領域内での粒子の放出位置および放出速度を含む初期パラメータに基づき、前記解析メッシュに対して少なくとも前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とを計算するステップと、前記粒子追跡部が、算出された前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布に基づいて、前記解析対象とする領域内での前記粒子の軌跡を追跡計算して、前記粒子の軌跡と前記粒子周りの濃度の広がりを計算するステップと、前記濃度分布計算部が、算出された前記流体の流速分布、前記粒子の位置および前記粒子周りの濃度の広がりに基づいて、前記粒子の各々からの影響を積算して得られる濃度分布に前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正処理を施した前記解析メッシュにおける前記拡散物質の濃度分布を計算するステップと、を具備し、前記補正処理は、前記濃度χ(X,Y,Z)に前記補正係数Fkを乗じる演算処理であることを特徴とする。
本発明によれば、市街地等の流れが大きく変動する環境下における拡散現象を解析する際に粒子追跡法を用いて、従来技術では困難であった流れの変動の影響が濃度分布に与える影響を高速に評価でき、迅速かつ高精度な濃度分布情報をユーザに提示することができる。
本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置の構成図。 本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置で導入する補正係数Fkを算出する一例を説明する説明図。 解析対象領域内に存在する粒子が濃度評価地点に及ぼす影響の一例(第1の例)を説明する説明図。 解析対象領域内に存在する粒子が濃度評価地点に及ぼす影響の一例(第2の例)を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置の構成図。 本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置の構成図。 粒子追跡法を用いた粒子追跡計算の概要を説明する説明図。 粒子追跡法を用いた粒子追跡計算における流れ変動の影響を説明する説明図。
以下、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置および濃度分布解析方法について、添付図面を参照して説明する。
なお、以下の説明は、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置および濃度分布解析方法の適用の一例として、解析対象となる空間が市街地であり、解析対象となる空間内に設定される解析対象領域の一点から拡散物質が空間に放出され、濃度分布を形成する現象を解析により予測する場合の例である。
図1は、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置の一例である濃度分布解析装置10の構成を示す概略図である。
濃度分布解析装置10は、例えば、濃度分布解析装置10の各手段である入力部11、流体計算部12、粒子追跡部13、濃度分布計算部14、計算終了判定部15および表示部16として機能させる数値解析プログラム(図1において省略)をコンピュータに実行させることによって、ハードウェア資源であるコンピュータとソフトウェア資源であるプログラムとが協働して実現される装置である。
入力部11は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される入力装置またはコンピュータ自身が備えるキーボードやマウス等の入力手段によって実現される。入力部11は、入力された情報の種類に応じて、流体計算部12、粒子追跡部13、濃度分布計算部14、計算終了判定部15および表示部16の何れかに入力された情報を与える。
入力部11から与える初期パラメータとしては、例えば、解析対象領域の解析メッシュ、建物等の構造物の位置情報、境界条件、流体の流速と圧力の初期条件、流れ場の密度、粘性係数の物性値、拡散物質が放出される放出口の位置並びに放出物質(粒子)の放出速度および密度等である。
流体計算部12は、数値流体力学を用いて、対象空間領域の三次元流速分布を計算する機能と、乱流エネルギ分布を計算する機能とを有し、解析メッシュに対し、初期パラメータに基づいて、有限体積法や有限差分法などの数値解析手法を適用する。
流体計算部12は、流体の質量、運動量の2つの保存式と、例えば、k−ε乱流モデルを用いて乱流エネルギとエネルギ散逸率の輸送方程式を解いて、1タイムステップ後の流体の流速、圧力、乱流エネルギ、エネルギ散逸率を各メッシュに対して計算し、これらの物理量の空間的な分布を導く。流体計算部12は、得られた対象空間領域における流体の流速分布情報と乱流エネルギ分布情報とを粒子追跡部13に与える。
粒子追跡部13は、解析対象領域内における各粒子の位置情報と各粒子周りの濃度の分布情報とを計算する際に必要な数式情報を有しており、拡散物質を複数の粒子で模擬し、流体計算部12で得られた流速分布情報と乱流エネルギ分布情報とに基づいて、粒子の軌跡を追跡計算して、解析対象領域内における各粒子の位置情報と各粒子周りの濃度の分布情報とを計算する機能を有する。例えば、ラグランジュ粒子追跡法を用いて計算する場合、模擬する粒子の中心位置の座標x(i=1〜3)は、次の式(1)から求めることができる。
粒子移動速度Uについては、乱流変動速度成分u’によるランダムな挙動を考慮し、次の式(2)を用いて算出する。
また、粒子移動速度Uを算出する際に重力沈降を考慮する場合には、上記式(2)の右辺に重力沈降を考慮した項(−δi3V)を加算した次の式(3)を用いて算出する。なお、重力沈降速度Vについては、Stokes則を用いて、次の式(4)より求めることができる。
粒子追跡部13は、上述した式(1)〜(8)を用いて、各粒子の位置情報および各粒子周りの濃度の分布情報を計算した後、計算の結果得られた各粒子の位置情報および各粒子周りの濃度の分布情報を濃度分布計算部14に与える。なお、粒子追跡部13は、解析対象領域内に複数の粒子放出口を有する場合、すなわち、解析対象領域の複数点から拡散物質が空間に放出される場合においても、各粒子放出口から放出されるそれぞれ粒子に対して、粒子の位置情報および粒子周りの濃度の分布情報を計算することができる。
濃度分布計算部14は、評価対象領域の濃度分布を計算するのに必要な数式情報を有しており、当該数式情報、流体計算部12によって得られた評価対象領域の流速分布情報並びに粒子追跡部13によって得られた各粒子の位置情報および各粒子周りの濃度の広がりの情報に基づいて、各粒子からの影響を積算すると同時に、評価対象空間の流速分布情報を用いて、例えば、流速変動や乱流エネルギ変動等の流れの変動の影響までを考慮した評価対象領域の濃度分布情報を計算する。
より詳細に説明すれば、濃度分布計算部14は、各々の粒子に対して流れの変動の影響までを考慮した補正係数Fkを導入した次の式(9b)と、粒子追跡部13で得られた各粒子の位置座標情報(x,y,z)とを用いて計算することで、評価対象とする地点(X,Y,Z)の流れの変動の影響までを考慮した濃度χ(X,Y,Z)[g/m]を求める。ここで、χ(X,Y,Z)[g/m]は、評価対象とする地点(X,Y,Z)の流れの変動の影響までを考慮しない濃度、すなわち、補正係数Fk導入前における評価対象とする地点(X,Y,Z)の濃度である。
すなわち、濃度分布計算部14は、評価対象領域の流速分布情報並びに各粒子の位置情報および各粒子周りの濃度の広がりの情報に基づいて、各粒子からの影響を積算して得られる濃度分布であるχ(X,Y,Z)[g/m]に、構造物の存在による流れの変動の影響を考慮して決定される補正係数Fkを乗じることで、流れの変動の影響までを考慮した評価対象とする地点(X,Y,Z)の濃度χ(X,Y,Z)[g/m]を求める。
濃度分布計算部14は、流れの変動の影響を考慮する前の評価地点(X,Y,Z)における濃度分布χ(X,Y,Z)[g/m]を求める濃度分布算出処理部21と、濃度分布算出処理部21が計算した評価対象領域の濃度分布に対して、構造物の存在による流れの変動の影響を考慮した補正処理、すなわち、補正係数Fkを決定し、決定した補正係数Fkを乗じた評価対象となる地点(X,Y,Z)の濃度χ(X,Y,Z)[g/m]を求める補正処理部23とを備える。濃度分布計算部14は、算出結果である評価対象となる地点(X,Y,Z)の濃度χ(X,Y,Z)[g/m]を計算終了判定部15に与える。
また、図1に示される濃度分布計算部14は、後述する図3および図4に示されるように、解析対象領域内に存在する全ての粒子2が濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす訳ではないため、計算処理時間をより短縮化(合理化)する観点から、解析対象領域内に存在する粒子2のうち、濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子を選別する濃度影響粒子選別処理部24を備える。
濃度影響粒子選別処理部24は、濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子を選別する処理ステップを実行するモード(以下、「粒子選別モード」と称する。)を入(実行)と切(実行せず)とを切替選択する機能を有し、ユーザが必要に応じて入力部11から指令を与えることで、粒子選別モードの入と切とを自在に切り替えることができる。
なお、濃度分布解析装置10において、濃度影響粒子選別処理部24は、任意の構成要素である。すなわち、濃度影響粒子選別処理部24を備えない濃度分布計算部14を構成することもできる。
計算終了判定部15は、濃度分布計算部14の算出結果および予め指定された計算終了条件に基づいて、予め指定された計算終了条件を満足するか否かを判定する機能を有する。計算終了条件の与え方としては、例えば、流体の質量、運動量およびエネルギの三つの保存法則から与えられる収束条件を与えたり、パラメータおよび値を指定して与えたり、計算を終了するタイムステップ数で与えたり等、幾つかの方法を採用することができる。
計算終了判定部15は、予め指定された計算終了条件を満足していると判断した場合、現在のタイムステップで算出した解析対象領域における濃度分布を計算結果として表示部16へ与える一方、予め指定された計算終了条件を満足していないと判断した場合、現在のタイムステップからさらにタイムステップを進めて、対象空間領域の三次元流速分布と乱流エネルギ分布の計算以降の計算を、計算終了条件を満足するまで繰り返し実行する。
表示部16は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される表示装置またはコンピュータ自身が備えるディスプレイ等の表示手段によって実現される。表示部16は、入力部11が受け付けた表示要求または計算終了判定部15から計算結果の表示要求を受け取ると、当該表示要求に応じた内容を画面表示する。
このように構成される濃度分布解析装置10では、入力部11から解析対象とする市街地等の空間を分割した解析メッシュおよび境界条件と初期パラメータを与えて、流体計算部12が解析メッシュに対して境界条件および初期パラメータに基づいて少なくとも流速と乱流エネルギを計算する。
続いて、流体計算部12によって計算された流速および乱流エネルギに基づいて、粒子追跡部13が粒子の軌跡および粒子周りの濃度の広がりを計算する。さらに続いて、粒子追跡部13によって得られた各粒子の位置情報および各粒子周りの濃度の広がりの情報並びに流体計算部12によって得られた評価対象領域の流速分布情報に基づいて、濃度分布計算部14が構造物の存在による流れの変動の影響までを考慮した評価対象領域の濃度分布情報を計算する。
そして、計算終了判定部15は、予め設定された計算終了条件を満たしているかを判別し、計算終了条件を満たしている場合には、濃度分布情報を表示部16に与えられ、濃度分布が表示部16に表示される。
続いて、濃度分布解析装置10で導入する流れの変動の影響を考慮した補正処理(補正係数Fk)について説明する。
図2は、濃度分布解析装置10で導入する補正係数Fkを算出する一例を説明する説明図である。
濃度分布解析装置10で導入する補正係数Fkは、例えば、図2に示されるように、流速の変動の影響を考慮した補正係数Fkvであり、粒子位置および評価地点の流速情報を用いて、各粒子に対して、次の式(11)により求められる。
また、補正係数Fk(=Fkt)に関しては、例えば、次の式(13)に示されるように、乱流エネルギの変動を考慮して与えることもできる。
上記式(13)の右辺の括弧内第2項分子では、粒子位置と濃度評価地点間の乱流エネルギの変化を評価し、いずれか大きい方の乱流エネルギにて除算することにより規格化している。補正係数Fk(=Fkt)は、2点の乱流エネルギの差が大きいときに小さく、差が小さいときに大きく評価される。従って、濃度分布解析装置10では、流れ場の乱流エネルギの変動が濃度分布に与える影響を評価することが可能となる。
なお、以下の式(14)に示されるように、流速の変動および乱流エネルギの変動の両方を考慮した補正係数Fkを与えることもできる。
続いて、濃度影響粒子選別処理部24(濃度分布計算部14)が行う濃度影響粒子選別処理について説明する。
図3は、解析対象領域内に存在する粒子2(2a,2b)が濃度評価地点P1,P2に及ぼす影響の一例(第1の例)を説明する説明図であり、図4は、解析対象領域内に存在する粒子2(2c,2d)が濃度評価地点P1,P2に及ぼす影響の一例(第2の例)を説明する説明図である。
濃度分布計算部14の濃度影響粒子選別処理部24は、例えば、図3に示されるように、流体計算部12が計算した流速分布を用いて、濃度評価地点P1を通過する流線29を計算し、さらに、算出した流線29と粒子位置の最短距離を計算する。計算の結果、濃度評価地点に対して下流にある粒子2については、その粒子2は濃度評価地点の濃度に影響を及ぼさない(または無視できる程に小さい)とみなして、当該粒子2を濃度計算の際に無視(除外)する。すなわち、濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子2として、濃度評価地点に対して上流にある粒子2を選別する。
図3に示される例で説明すれば、濃度評価地点P1に対して下流にある粒子2aについては濃度評価地点P1の濃度に影響を及ぼさない(または無視できる程に小さい)とみなして、計算に使用する粒子2から除外される一方、濃度評価地点P1に対して上流にある粒子2bについては除外されることなく濃度を計算する際に使用される。
また、濃度影響粒子選別処理部24は、例えば、図4に示されるように、流体計算部12が求めた流速分布と構造物5の位置情報とを用いて、粒子位置と濃度を計算するメッシュ位置(濃度評価地点)とを結ぶ線上に構造物5等の障害物の有無を判断し、障害物が存在すると判別した場合、メッシュ位置に対して、当該粒子2は影響を及ぼさない(または無視できる程に小さい)とみなす。すなわち、濃度影響粒子選別処理部24は、粒子位置と濃度評価地点とを結ぶ線上に障害物が存在すると判別した場合、当該粒子2を濃度評価地点における濃度に影響を及ぼすものとして選別する。
図4に示される例で説明すれば、濃度評価地点P1については、粒子2と濃度評価地点P1との間に構造物5が存在しないため、濃度評価地点P1における濃度の算出の際には、各粒子2が濃度評価地点P1の濃度に影響を与えるものとして計算される。一方、濃度評価地点P2については、一部の粒子2と濃度評価地点P2との間に構造物5が障害物として存在する。
より詳細に説明すると、粒子2cは構造物5が障害物とならないものの、粒子2dは構造物5が障害物となっている。このような位置関係にある粒子2c,2dに対して、濃度影響粒子選別処理部24は、濃度評価地点との関係で構造物5が障害物とならない粒子2cについては濃度計算に使用する粒子2として選別する一方、濃度評価地点との関係で構造物5が障害物となっている粒子2dについては、濃度計算に使用する粒子2から除外する。
このように構成される濃度分布解析装置10によれば、市街地等の流れが大きく変動する環境下における拡散現象を解析する際に粒子追跡法を用いて、従来技術では困難であった流れの変動の影響が濃度分布に与える影響を高速に評価でき、迅速かつ高精度な濃度分布情報をユーザに提示することができる。すなわち、流れ場の流速の変動や乱流エネルギの変動の影響を考慮した濃度分布を迅速にユーザに提供することができる。
また、濃度分布解析装置10によれば、粒子2が濃度評価地点における濃度に影響を及ぼすか及ぼさないとみなすことができるかを判断し、影響を及ぼさないとみなすことができると判断した場合には当該粒子2を濃度計算する際の対象から除外するので、ユーザが望む濃度計算の精度を満足しつつ計算時間を短縮することができる。
さらに、濃度分布解析装置10によれば、上記式(3)および(4)を適用することで、空気等の流体と粒子2の密度差に因る重力の影響を考慮した濃度分布を提供することができる。
なお、上述した濃度分布解析装置10は、解析対象領域の一点から拡散物質が空間に放出され、濃度分布を形成する現象を解析により予測する場合の一例を説明したものであるが、複数点から拡散物質が空間に放出される場合についても適用できる。解析対象領域の複数点から拡散物質が空間に放出される場合については、各点の予測結果を算出し、算出結果を積算する(重ね合わせる)ことで、解析対象領域の一点から拡散物質が空間に放出された場合と同様に濃度分布を求めることができる。
次に、本発明の実施形態に係る濃度分布解析方法の一例として、濃度分布解析装置10が行う濃度分布解析手順について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置の一例である濃度分布解析装置10が行う濃度分布解析手順の処理ステップを示す処理フロー図である。
図5に示されるように、濃度分布解析装置10が行う濃度分布解析手順(ステップS1〜ステップS5)は、流体計算部12が解析対象となる空間領域の3次元流速分布および乱流エネルギ分布を算出する流体算出工程(ステップS1)と、粒子追跡部13が各粒子の移動および各粒子周囲の濃度を算出する粒子追跡工程(ステップS2)と、濃度分布計算部14が流れの変動の影響までを考慮した評価対象領域の濃度分布を計算する濃度分布算出工程(ステップS3)と、計算終了判定部15が計算終了条件を満足するか否かを判定する計算終了条件成立判定工程(ステップS4)と、を具備する。
濃度分布解析手順は、解析対象領域の解析メッシュ、建物等の構造物の位置情報、境界条件、流速と圧力の初期条件、流れ場の密度、粘性係数の物性値、拡散物質が放出される放出口の位置および粒子の放出速度等の初期パラメータおよび濃度分布解析手順の実行要求が濃度分布解析装置10に与えられると開始される(START)。
濃度分布解析手順が開始されると、流体計算部12が、解析対象となる空間領域の3次元流速分布および乱流エネルギ分布を算出する(ステップS1)。続いて、粒子追跡部13が、ステップS1で得られた流速分布情報と乱流エネルギ分布情報とに基づいて、各粒子の移動および各粒子周囲の濃度を算出する(ステップS2)。続いて、濃度分布計算部14が流れの変動の影響までを考慮した前記式(9b)と、粒子追跡部13で得られた各粒子の位置座標情報とを用いて計算し、評価対象とする地点(X,Y,Z)の流れの変動の影響を考慮した濃度χ(X,Y,Z)[g/m]を求めることで、評価対象領域の濃度分布を計算する(ステップS3)。
そして、ステップS3の終了後、計算終了判定部15が計算終了条件を満たすと判断した場合(ステップS4でYESの場合)には、濃度分布解析手順の全処理ステップを終了する(END)。一方、計算終了判定部15が計算終了条件を満たさないと判断した場合(ステップS4でNOの場合)には、ステップS1に戻り、次のタイムステップについて、ステップS1〜ステップS4の処理ステップを実行する。
図6は、濃度分布解析手順が備える濃度分布算出工程のより詳細な処理ステップを示す処理フロー図である。
濃度分布算出工程(ステップS31〜ステップS38)は、濃度影響粒子選別処理部24が解析対象とする領域内に存在する粒子のうち、濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子を選別するステップ(ステップS31,ステップS32)と、濃度分布算出処理部21が流体の流れの変動の影響を考慮する前の評価対象領域の濃度分布を算出するステップ(ステップS33)と、補正処理部23が補正係数Fkを決定し、決定した補正係数FkをステップS33で算出された流体の流れの変動の影響を考慮する前の評価対象領域の濃度分布に乗じて流体の流れの変動の影響を考慮した補正処理を施すステップ(ステップS34〜ステップS38)と、を備える。
濃度分布算出工程では、まず、濃度影響粒子選別処理部24が粒子選別モードの入切状態を判断する。粒子選別モードが入(ON)の場合(ステップS31でYESの場合)、ステップS32に進み、濃度影響粒子選別処理部24が解析対象とする領域内に存在する粒子のうち、濃度評価地点の濃度に影響を及ぼさないと判断できる粒子については計算を省略(スキップ)する。すなわち、濃度影響粒子選別処理部24は濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子を選別する。
続くステップS33では、濃度分布算出処理部21が流体の流れの変動の影響を考慮する前の評価対象領域の濃度分布を算出する。すなわち、評価地点(X,Y,Z)における濃度分布χ(X,Y,Z)[g/m]が算出される。
続くステップS34では、補正処理部23が流速の変動の影響を考慮する要求が与えられているか否かを判断し、当該要求が与えられている場合(ステップS34でYESの場合)、ステップS35に進み、補正処理部23は前記式(11)および(12)を用いて、流速の変動の影響を考慮した補正係数Fkvを計算する。
続いて、ステップS36では、補正処理部23が乱流エネルギの変動の影響を考慮する要求が与えられているか否かを判断し、当該要求が与えられている場合(ステップS36でYESの場合)、ステップS37に進み、補正処理部23は前記式(13)を用いて、乱流エネルギの変動の影響を考慮した補正係数Fktを計算する。
続くステップS38では、補正処理部23が流速の変動の影響のみを考慮するのか、乱流エネルギの変動の影響のみを考慮するのか、並びに、流速の変動の影響および乱流エネルギの変動の影響を考慮するのかに応じて、最終的な補正係数Fkを決定する。すなわち、Fk=Fkv、Fk=FktまたはFk=Fkv・Fkt(FkvとFktとの積:前記式(14)に相当)の何れかを補正係数Fkとして決定し、ステップS33で得られた流体の流れの変動の影響を考慮する前の評価対象領域の濃度分布に決定した補正係数Fkを乗じる。この結果、補正処理部23は、流体の流れの変動の影響を考慮した評価対象領域の濃度分布を得る。
一方、濃度分布算出工程において、粒子選別モードが切(OFF)の場合(ステップS31でNOの場合)には、ステップS33に進み、ステップS33以降の処理ステップが実行される。
また、補正処理部23に流速の変動の影響を考慮する要求が与えられていない場合(ステップS34でNOの場合)、ステップS37に進み、ステップS37以降の処理ステップが実行される。すなわち、濃度分布算出工程では、ステップS35およびステップS37の何れか一方が実行され、流体の流れの変動の影響を考慮した補正処理が実行される。
さらに、補正処理部23に乱流エネルギの変動の影響を考慮する要求が与えられていない場合(ステップS36でNOの場合)、ステップS38に進み、ステップS38以降の処理ステップが実行される。
なお、図6に示される濃度分布算出工程は、濃度分布算出工程の一例であり、必ずしも図6に示される処理ステップに限定されない。例えば、ステップS31とステップS32は、濃度分布算出工程の任意の工程であり、濃度影響粒子選別処理部24を備えない濃度分布計算部14が濃度分布算出工程を実行する際には、ステップS31とステップS32の処理ステップは省略される。また、ステップS34およびステップS35とステップS36およびステップS37とは、それぞれ、入れ替わっていても差し支えない。
このような濃度分布解析手順によれば、市街地等の流れが大きく変動する環境下における拡散現象を解析する際に粒子追跡法を用いて、従来技術では困難であった流れの変動の影響が濃度分布に与える影響を高速に評価でき、迅速かつ高精度な濃度分布情報をユーザに提示することができる。すなわち、流れ場の流速の変動や乱流エネルギの変動の影響を考慮した濃度分布を迅速にユーザに提供することができる。
また、粒子2が濃度評価地点における濃度に影響を及ぼすか及ぼさないとみなすことができるかを判断し、影響を及ぼさないとみなすことができると判断した場合には当該粒子2を濃度計算する際の対象から除外するので、ユーザが望む濃度計算の精度を満足しつつ計算時間を短縮することができる。さらに、上記式(3)および(4)を適用することで、空気等の流体と粒子2の密度差に因る重力の影響を考慮した濃度分布を提供することができる。
さらにまた、解析対象領域の複数点から拡散物質が空間に放出される場合についても、各点の予測結果を算出し、算出結果を積算する(重ね合わせる)ことで、解析対象領域の一点から拡散物質が空間に放出された場合と同様に濃度分布を求めることができる。
以上、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置および濃度分布解析方法によれば、市街地等の流れが大きく変動する環境下における拡散現象を解析する際に粒子追跡法を用いて、従来技術では困難であった流れの変動の影響が濃度分布に与える影響を高速に評価でき、迅速かつ高精度な濃度分布情報をユーザに提示することができる。すなわち、流れ場の流速の変動や乱流エネルギの変動の影響を考慮した濃度分布を迅速にユーザに提供することができる。
また、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置および濃度分布解析方法によれば、粒子2が濃度評価地点における濃度に影響を及ぼすか及ぼさないとみなすことができるかを判断し、影響を及ぼさないとみなすことができると判断した場合には当該粒子2を濃度計算する際の対象から除外するので、ユーザが望む濃度計算の精度を低下させることなく計算時間を短縮することができる。
さらに、本発明の実施形態に係る濃度分布解析装置および濃度分布解析方法によれば、上記式(3)および(4)を適用することで、空気と粒子2の密度差に因る重力の影響を考慮した濃度分布を提供することができる。さらにまた、解析対象領域の複数点から拡散物質が空間に放出される場合についても、解析対象領域の一点から拡散物質が空間に放出された場合と同様に濃度分布を求めることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…解析メッシュ、2(2a〜2d)…粒子、3…放出源、4…流速ベクトル、5…構造物、6…粒子位置の流速ベクトル、7…濃度評価地点の流速ベクトル、8…粒子位置と濃度評価地点を結ぶベクトル、10…濃度分布解析装置、11…入力部、12…流体計算部、13…粒子追跡部、14…濃度分布計算部、15…計算終了判定部、16…表示部、21…濃度分布算出処理部、23…補正処理部、24…濃度影響粒子選別処理部、29…濃度評価地点P1を通過する流線。

Claims (9)

  1. 拡散物質を複数の粒子で模擬する濃度分布解析装置であり、
    数値解析手法を適用して、入力部から与えられる解析対象とする領域の解析メッシュ、構造物の位置情報、流体の流速と圧力の初期条件、境界条件、並びに、前記解析対象とする領域内での粒子の放出位置および放出速度を含む初期パラメータに基づき、前記解析メッシュに対して少なくとも前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とを計算する流体計算部と、
    前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とに基づいて、前記解析対象とする領域内での前記粒子の軌跡を追跡計算して、前記粒子の軌跡と前記粒子周りの濃度の広がりを計算する粒子追跡部と、
    前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布、前記粒子追跡部が算出した前記粒子の位置および前記粒子周りの濃度の広がりに基づいて、前記粒子の各々からの影響を積算して得られる濃度分布に前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正処理を施した前記解析メッシュにおける前記拡散物質の濃度分布を計算する濃度分布計算部と、を具備し、
    前記濃度分布計算部は、前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正係数Fkを導入した下記式
    と、前記粒子追跡部が得た各粒子の位置座標情報(x,y,z)とを用いて計算することで、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮しない濃度χ(X,Y,Z)を計算するとともに、
    前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の流速の変動の影響を考慮した補正係数Fkvを計算する下記式
    と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkv、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の乱流エネルギの変動の影響を考慮した補正係数Fktを計算する下記式
    と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkt、並びに前記補正係数Fkvと前記補正係数Fktとの積から選択される何れか一つを前記補正係数Fkとして決定し、前記濃度χ(X,Y,Z)と前記補正係数Fkとから、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮した濃度χ(X,Y,Z)を求めるように構成されることを特徴とする濃度分布解析装置。
  2. 前記濃度分布計算部は、前記濃度χ(X,Y,Z)を計算する濃度分布算出処理部と、
    前記補正係数Fkを計算する補正処理部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の濃度分布解析装置。
  3. 前記補正処理部は、前記補正係数Fktを算出し、得られる記補正係数Fktを前記補正係数Fkとして決定する第1の補正処理部、
    前記補正係数Fkvを算出し、得られる前記補正係数Fkvを前記補正係数Fkとして決定する第2の補正処理部、
    前記補正係数Fktと前記補正係数Fkvとを算出し、得られる前記補正係数Fktおよび前記補正係数Fkvの積をさらに算出し、得られる前記補正係数Fktと前記補正係数Fkvとの積を前記補正係数Fkとして決定する第3の補正処理部、および、
    前記補正係数Fktと前記補正係数Fkvとを算出し、得られる前記補正係数Fkt、得られる前記補正係数Fkv、および得られる前記補正係数Fktと前記補正係数Fkvとの積から選択される何れか一つを前記補正係数Fkとして決定する第4の補正処理部、から選択される何れか一つであることを特徴とする請求項2記載の濃度分布解析装置。
  4. 前記濃度分布計算部は、前記解析対象とする領域内に存在する前記粒子のうち、濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子を選別する濃度影響粒子選別処理部をさらに備えることを特徴とする請求項2または3記載の濃度分布解析装置。
  5. 前記濃度影響粒子選別処理部は、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布を用いて、前記濃度評価地点を通過する流線と各粒子位置との最短距離を計算し、前記濃度評価地点に対して上流にある粒子を前記濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子として選別するように構成されることを特徴とする請求項4記載の濃度分布解析装置。
  6. 前記濃度影響粒子選別処理部は、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記構造物の位置情報とを用いて、各粒子位置と前記濃度評価地点とを結ぶ線上に前記構造物が存在するか否かを判断し、前記粒子と前記濃度評価地点とを結ぶ線上に前記構造物が存在しない場合の当該粒子を前記濃度評価地点の濃度に影響を及ぼす粒子として選別するように構成されることを特徴とする請求項4又は5記載の濃度分布解析装置。
  7. 前記粒子追跡部は、前記入力部から与えられる放出物質の密度を用いて、重力沈降の効果を考慮して前記粒子の軌跡を計算するように構成されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の濃度分布解析装置。
  8. 前記粒子追跡部は、前記入力部から与えられる初期パラメータであり、複数放出口の各々から放出される粒子の放出位置および放出速度を用いて、前記複数放出口の各々から放出される各粒子の軌跡を計算するように構成されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の濃度分布解析装置。
  9. 解析メッシュに対して少なくとも流体の流速分布と乱流エネルギ分布とを計算する流体計算部と、前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とに基づいて、解析対象とする領域内での粒子の軌跡と前記粒子周りの濃度の広がりを計算する粒子追跡部と、前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正処理を施した前記解析メッシュにおける拡散物質の濃度分布を計算する濃度分布計算部とを具備し、前記濃度分布計算部が、前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正係数Fkを導入した下記式
    と、前記粒子追跡部が得た各粒子の位置座標情報(x,y,z)とを用いて計算することで、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮しない濃度χ(X,Y,Z)を計算するとともに、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の流速の変動の影響を考慮した補正係数Fkvを計算する下記式
    と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkv、前記流体の流れが変動する影響として、前記流体の乱流エネルギの変動の影響を考慮した補正係数Fktを計算する下記式
    と、前記流体計算部が算出した前記流体の流速分布と前記粒子の位置および評価対象とする地点の情報とに基づいて、各粒子について計算される前記補正係数Fkt、並びに前記補正係数Fkvと前記補正係数Fktとの積から選択される何れか一つを前記補正係数Fkとして決定し、前記濃度χ(X,Y,Z)と前記補正係数Fkとから、評価対象とする地点(X,Y,Z)の前記流体の流れが変動する影響を考慮した濃度χ(X,Y,Z)を求めるように構成される、前記拡散物質を複数の粒子で模擬した濃度分布解析装置に適用される濃度分布解析方法であり、
    前記流体計算部が、数値解析手法を適用して、入力部から与えられる解析対象とする領域の解析メッシュ、構造物の位置情報、流体の流速と圧力の初期条件、境界条件、並びに、前記解析対象とする領域内での粒子の放出位置および放出速度を含む初期パラメータに基づき、前記解析メッシュに対して少なくとも前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布とを計算するステップと、
    前記粒子追跡部が、算出された前記流体の流速分布と乱流エネルギ分布に基づいて、前記解析対象とする領域内での前記粒子の軌跡を追跡計算して、前記粒子の軌跡と前記粒子周りの濃度の広がりを計算するステップと、
    前記濃度分布計算部が、算出された前記流体の流速分布、前記粒子の位置および前記粒子周りの濃度の広がりに基づいて、前記粒子の各々からの影響を積算して得られる濃度分布に前記流体の流れが変動する影響を考慮した補正処理を施した前記解析メッシュにおける前記拡散物質の濃度分布を計算するステップと、を具備し、
    前記補正処理は、前記濃度χ(X,Y,Z)に前記補正係数Fkを乗じる演算処理であることを特徴とする濃度分布解析方法。
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