以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、第1実施形態に係る集中度検出システム110の概要を示す図である。図1に示すように、集中度検出システム110は、パーソナルコンピュータ(パソコン)200とユーザに装着される生体センサ330を有している。パソコン200は、ディスプレイ201、キーボード202、タッチパッド203といった、ユーザの入力操作部材を備える。また、パソコン200には、マウス300が接続されており、ユーザはマウス300を操作することによっても、パソコン200に指示を与えることができる。
パソコン200は、内蔵カメラ204、超音波センサ205、スピーカ206、マイク207を更に備える。内蔵カメラ204は、撮影レンズおよび撮像素子を含む。撮像素子には、CCDセンサ、CMOSセンサなどのイメージセンサが用いられる。内蔵カメラ204は、ディスプレイ201の上部に配設されており、ユーザの顔、手、腕を含む上半身と共に、キーボード202、タッチパッド203などの操作部材を同時に撮影できる画角を有する。なお、内蔵カメラ204に代えて、例えばクリップによりディスプレイ201の近傍に装着できる、カメラモジュールを採用しても良い。超音波センサ205は、内蔵カメラ204の近傍に設けられており、ディスプレイ201からユーザまでの距離を計測するための超音波の送受信を実行する。
キーボード202近傍の左右のパームレスト位置に対応して、温調部208がパソコン200内に設けられている。温調部208は、例えばニクロム線、鉄クロム線などの電熱線を有し、電流が加えられることにより温度上昇を生じる。ユーザは、掌周りを通じて温度変化を感じることができる。
キーボード202の裏面には、個々のキーに対応して圧電センサ209が設けられている。圧電センサ209は、ピエゾ素子を有し、外部から与えられた力を圧電効果により電圧に変換することで、振動を電気的に検出する。これにより、圧電センサ209は、ユーザがキーを叩く強さ、繰り返し動作を検出することができる。
ユーザの足元には、床センサ310が設けられている。床センサ310は、圧電センサ209と同様にピエゾ素子等により構成され、ユーザの足踏み、貧乏ゆすりなど、足の動作を検出する。床センサ310は、パソコン200と接続されており、検出した信号をパソコン200へ送信する。
ユーザの頭上付近である天井部分には、天井カメラ320が設けられている。天井カメラ320は、撮影レンズおよび撮像素子を含み、ユーザの頭部を撮影できる画角に調整されている。天井カメラ320は、撮影した撮影画像信号を、例えば無線LANによりパソコン200へ送信される。一方、パソコン200は、天井カメラ320に対して撮影の開始、撮影画像信号の要求などの制御信号を送信する。
生体センサ330は、例えばユーザの腕に巻きつけられて装着されている。生体センサ330は、ユーザの生体情報をセンシングして、その出力をパソコン200へ送信する。具体的な構成については後述する。
パソコン200には、双方向通信機器としての電話400が接続されている。電話400は、パソコンからの制御信号を受信して、その機能を制限および解除する。また、パソコン200には、指標灯410が接続されている。指標灯410は、例えば発光色を変更できる高輝度LEDを備える。指標灯410は、パソコン200が判断したユーザの集中状態を、例えば赤色で発光することにより周囲の人に認識させる。
図2は、第1実施形態に係る集中度検出システムのブロック図である。図示するように、パソコン200は、全体の制御を司るパソコンCPU210を中心として、図1を用いて説明したディスプレイ201、キーボード202等の要素を備える。
タイマー211は、パソコンCPU210の開始の指示を受けて計時を開始し、終了の指示を受けてその時刻をパソコンCPU210へ返す。ROM212は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、パソコン200を制御するプログラム、各種パラメータなどを記憶する役割を担う。また、各種データ、ユーザのスケジュール、パソコン200の使用状況、生体情報のデータ、床センサ310の出力等も記憶できる。
感情解析部213は、生体センサ330からの生体情報を受け取り、ユーザの感情を解析する。生体センサ330は、ユーザの生体情報を検出するセンサであり、例えば、LEDにより生体に向けて照射光を照射し、この照射光に対して生体から反射した光を受光することにより、脈拍を検出する脈拍センサを含む。その構成は、例えば、特開2005−270543号(米国特許第7538890号)に開示されている。生体センサ330は、脈拍センサの他にも、複数の電極を配した発汗センサを設けることによりユーザの発汗量を検出することもできる。更には、体温を測る温度センサ、血圧を測る血圧センサを設けることもできる。
感情解析部213は、このような生体センサ330から生体情報を受け取って、ユーザの感情を判定する。例えば、高い心拍数および精神性発汗が検出されるときには、ユーザは「焦り」を感じていると判定できる。生体センサ330の出力と感情の対応関係は検証的に求められており、対応関係を示すテーブルをROM212に記憶させておくことができる。そこで、感情解析部213は、取得された生体情報が、テーブルに記述された特定の感情パターンと一致するかにより感情を判定する。なお、生体センサ330はユーザの腕に巻きつけるような腕時計型に限らず、ユーザの手、指(指輪型生体センサ)など身体の一部と接触すれば様々な形態を採用し得る。なお、感情解析部213は、生体センサ330からの生体情報に加えて、圧電センサ209や床センサ310の検出結果を加味して感情を解析しても良く、後述する音声解析部214や画像解析部215の解析結果を加味して感情を解析しても良い。
音声解析部214は、マイク207から取り込まれる音声を解析する。音声解析部214は、音声認識辞書を有し、識別した音声をテキストデータに変換してディスプレイ201に表示することができる。また、最近のパソコンの一部には音声認識ソフトがインストールされているものもあり、このようなインストール済みのソフトを用いても良く、更には別途市販のソフトをインストールして用いても良い。
また、音声解析部214は、パソコンCPU210と協働して、電話400での会話、周囲に居る同僚との会話等に対して、ユーザの会話の速度(発話速度)、声の大きさ、会話時間などを検出する。発話速度は、例えば単位時間当たりの出力音素数、あるいは単位時間当たりのモーラ数として検出される。モーラとは一定の時間的長さをもった音の分節単位のことである。
画像解析部215は、内蔵カメラ204により撮影された撮影画像信号、天井カメラ320により撮影された撮影画像信号を解析する。画像解析部215は、ユーザの顔認識、さらには表情認識を実行する。例えば、画像解析部215は、画像信号におけるユーザの顔領域から、眉間に皺がある表情、笑顔ではなく目を細めている表情を検出する。また、画像解析部215は、タイマー211の計時情報を取得して、例えば眉間に皺がある表情がどれくらい継続したかを検出する。また、目を細めている表情を検出する場合には、画像解析部215は、内蔵カメラ204による画像上の平均的な目の大きさについての情報をROM212から読み出して、現に撮影された目の大きさと比較して検出する。眉間の皺の検出は、眉間に皺のある画像をリファレンス画像としてROM212に記憶させてパターンマッチングにより検出しても良く、また、左目と右目との間の部分の陰影分布から検出しても良い。なお、眉間の皺の検出は例えば米国公開特許2008−292148号にも開示がある。
内蔵カメラ204により撮影される像の大きさは、内蔵カメラ204とユーザとの距離に依存する。本実施形態においては、超音波センサ205により内蔵カメラ204とユーザとの距離を検出して、像の大きさを補正することにより距離依存を解消している。距離の計測は、超音波センサ205を設ける場合に限らず、例えば、レーザ距離センサ、赤外線センサ等を用いても良い。また、ユーザの特定部分の大きさ(例えば顔の大きさ)が分かっていれば、既知の顔の大きさと撮影した顔の大きさとのマッチングにより内蔵カメラ204とユーザの距離を算出できる。
また、画像解析部215は、天井カメラ320の画像信号を取り込んで、ユーザの頭の位置、移動量等を検出する。例えば、ユーザの頭部が絶え間なく揺れ動くことを画像解析部215が検出すれば、パソコンCPU210は、ユーザの集中力散漫、居眠り等を判断することができる。なお、超音波センサ205等により、ユーザの頭部の位置、移動量を検出できる場合は、天井カメラ320を省略しても良い。逆に、天井カメラ320により内蔵カメラ204とユーザの距離を検出できるのであれば、超音波センサ205を省略しても良い。
外部接続インターフェイス216は、外部機器と接続するためのインターフェイスである。インターフェイスとしては、無線/有線LAN、USB、HDMI、Bluetooth(登録商標)などの様々な接続規格を採用することができる。例えば、電話400は、外部接続インターフェイス216を介してパソコン200と接続されており、パソコンCPU210は、後述するように、ユーザの集中度が予め定められた閾値を超えたときに、通話拒否の制御信号を電話400へ送信する。このとき、パソコンCPU210は並行して、集中状態を示す発光を行わせる制御信号を指標灯410へ送信する。また、一定時間の集中状態が継続したときは、パソコンCPU210は、例えばマウス300に内蔵された温調部に温度上昇指令を与える。
図3は、第1実施形態に係る集中度検出システムの処理を示すフロー図である。本フローにおいては、パソコンCPU210の制御によるユーザの集中度、表情などの検出と、検出結果に応じた処理を実行する。なお、本フローにおいては、ユーザがパソコン200を操作している状況を想定する。
パソコンCPU210は、ユーザの生体に関する情報を入力する(ステップS101)。具体的には、パソコンCPU210は、生体センサ330が検出したユーザの脈拍、体温、発汗といった生体情報、圧電センサ209が検出したユーザのキーボード202を叩く強さや速度、ユーザの貧乏揺すり、ユーザの発話速度や発話量などが挙げられる。なお、上記の通りここで言う生体に関する情報は、生体センサ330から取得される情報に限らない。また、パソコンCPU210は、これら全ての生体情報を入力しなくても良く、集中度を検出できるだけの生体情報を入力すれば良い。
パソコンCPU210は、入力したユーザの生体情報をROM212に記憶させ、ユーザの生体情報のログを記録する。パソコンCPU210は、ROM212に記憶させた生体情報により、後述するようにユーザの集中度を検出する。なお、パソコン200を複数のユーザで共有して使用する場合が考えられる。このような場合、パソコンCPU210は、内蔵カメラ204によりユーザの顔認識を行い、ユーザ毎に生体情報のログを記録する。
次に、パソコンCPU210は、内蔵カメラ204および天井カメラ320による撮影、および画像解析部215による表情検出を行う(ステップS102)。
パソコンCPU210は、ユーザの眉間に皺がよっているか、目を細めているかどうかなどの分析を行う。このような表情である場合、ディスプレイ201の表示が見づらいと推定する。パソコンCPU210は、ユーザが目を細めている場合には、超音波センサ205を用いてディスプレイ201からユーザまでの距離を検出する。なお、パソコンCPU210は、目を細めている場合には集中度が高くなく、目を細めている以外の表情での変化が少ないときには集中度が高いと判断する。この分析を行なう場合には、表情の分析に加えて、ステップS101で取得した生体情報からユーザの感情(焦っている、イライラしている等)を加味することにより、分析精度を向上することができる。
また、画像解析部215は、天井カメラ320の画像信号から、ユーザの頭部の動き量を検出する。ユーザが集中している場合には頭の動き量が少ないのに対し、ユーザが集中していない場合には頭部の動き量が多くなる。なお、ステップS101とステップS102との順番は入れ替えても構わない。
パソコンCPU210は、ステップS103へ進み、ステップS101およびステップS102の結果を用いてユーザの集中度を検出する。一般的に人間は、集中しているときに脈拍数や体温が上昇する。また、急ぎの業務をしていているときは(すなわち、集中度が高くなるとき)、キーボード202を叩く強さや速度が速くなったり、貧乏揺すりを行なったりする場合もある。また、電話400などで会話をしている場合には、早口になったり、声が大きくなったりする場合がある。更に、集中しているときには頭部が動くことが少ないのに対し、集中していない場合には、よそ見をしたり、場合によっては居眠りをしたりして頭部の動きが大きくなる。そこで本実施形態の集中度検出システム110では、パソコンCPU210がROM212に記憶させたユーザの生体情報と、ステップS101で入力した生体情報とを比較することによりユーザの集中度を検出する。この場合、パソコンCPU210は、過去にユーザが集中したときの生体情報と、ステップS101で入力した生体情報とを比較してユーザの集中度を検出しても良く、また、ユーザの通常の状態よりも脈拍、キーボード202を叩く力量が10%以上増加した場合に、ユーザが集中していると判断しても良い。
なお、貧乏揺すりは、集中しているときにする場合と、集中していないときにする場合とが考えられる。このような場合、パソコンCPU210は、ユーザ毎に他の生体情報から集中しているときに貧乏揺すりをするタイプかどうかを判別して、その後の集中度の判断に用いれば良い。
パソコンCPU210は、ステップS104へ進み、ステップS103で取得したユーザの集中度が予め定められた閾値を超えているか否かを判断する。本実施形態においては、閾値はユーザ毎に設定するものとし、ROM212に記憶されたユーザの集中度データから設定する。例えば、パソコンCPU210は、上述のように過去の平常時における平均的な集中度を表す生体情報に対してプラス10%を閾値とする。別の例としては、パソコンCPU210は、過去に集中していたときに電話が鳴ったり、話しかけられたりして、イライラの感情を示す生体情報が検出された状況における集中度を閾値とすることもできる。なお、パソコンCPU210は、感情解析部213を用いて、上述のように、イライラの感情を、心拍数、血圧等の値が、テーブルに記述されたイライラを示す感情パターンと一致するかにより判断する。
パソコンCPU210は、ユーザの集中度が平均的であると判断した場合はステップS114へ進み、ユーザの集中度が高いと判断した場合は、ステップS105へ進む。まず、集中度が閾値を超えていない場合について説明する。
パソコンCPU210は、ステップS114へ進み、ステップS101、S102の結果を用いてユーザがイライラしているか否かを判断する。なお、パソコンCPU210は、感情解析部213を用いて、イライラの感情を、心拍数、血圧等の値が、テーブルに記述されたイライラを示す感情パターンと一致するかにより判断する。また、パソコンCPU210は、より正確に判断すべく、画像解析部215が解析したユーザの表情、床センサ310が検出したユーザの貧乏ゆすり、音声解析部214が検出した発話音量等を判断に利用することもできる。特に、ユーザの表情について、眉間に皺を寄せる、笑顔ではなく目を細めているなどの不機嫌な表情であると判断されたり、発話音量が大きかったりする場合に、ユーザはイライラ状態であると判断する。
パソコンCPU210は、ユーザがイライラしていると判断した場合にステップS115へ進み、イライラしていないと判断した場合にステップS101へ戻る。ステップS115では、パソコンCPU210は、各種調節を実行する。
具体的には、パソコンCPU210は、キーボード202への入力に対する反応速度の設定を変更する。ここでは、イライラ感がキーボード202の反応速度の遅さに起因するものと推定して、反応速度が速くなるように設定を変更する。また、パソコンCPU210は、ユーザが目を細めていることを検出したら、それが表示の小ささに起因するものと推定して、ディスプレイ201で表示している文字、図、アイコン等の大きさ設定を、より大きく表示される設定に変更する。
ここで、パソコンCPU210は、キーボード202の反応速度を上げる場合に、ユーザがキーボード202による操作を実行しているときは、タッチパッド203の反応速度(感度)を落とすようにソフトウェアを用いて設定しても良い。このような設定により、ユーザの手部およびその近傍が偶発的にタッチパッド203に近づいた場合の誤動作を防止することができる。
また、パソコンCPU210は、ディスプレイ201の表示を大きくする場合には、超音波センサ205の検出結果に応じて大きさの設定を変更しても良い。なお、キーボード202の操作をしていないときでもユーザがイライラしている場合があり、このときにディスプレイ201の表示が意図せず省エネモードや、スクリーンセーバに変わると余計にイライラしてしまう。したがって、パソコンCPU210は、ユーザがイライラしている場合には、省エネモードや、スクリーンセーバへ移行する時間を長めにしたり、移行を禁止したりする設定に変更する。なお、ステップS115の調節は上記の全てを行う必要はなく、適宜選択して実行すれば良い。なお、ユーザがイライラしていたり、熟考していたりする場合の判定は、感情解析部213と画像解析部215など複数の解析部を用いることにより、その判定精度を向上することができる。
続いて、パソコンCPU210は、ステップS116へ進み、キーボード202による操作状況として、特定の繰り返し操作、連続操作があるか否かを判断する。パソコンCPU210は、"Back Space"キー、"Delete"キー等の同一のキーが繰り返し操作されている場合、あるいはキーに規則性が無くても連続して操作されている場合に、キーボード202による入力操作がうまくいっていないと判断する。パソコンCPU210は、入力操作がうまくいっていないと判断した場合は、ステップS117へ進み、そうでない場合にステップS101へ戻る。
パソコンCPU210は、ステップS117へ進むと、ユーザからの入力操作を、キーボード202から、マイク207を用いた音声入力に操作設定を変更する。そして、パソコンCPU210は、操作設定を変更した旨をディスプレイ201に表示する。もちろん、パソコンCPU210は、操作設定を変更する前に、ユーザに対して変更する旨の了解を得ても良い。
あるいは、繰り返し操作、連続操作が、例えば漢字変換における文字変換候補の順序にあると判断される場合には、順序を規定する定義ファイルの記述を書き換えて、ディスプレイ201に表示される順序を変更する。また、パソコンCPU210は、変換入力をローマ字入力からひらがな入力に変更しても良いし、英数文字の初期設定を大文字から小文字に変更しても良い。更には、パソコンCPU210は、繰り返し操作、連続操作がなされた期間の学習効果を無効とすることもできる。
パソコンCPU210は、感情解析部213を用いて、ステップS118へ進み、ユーザのイライラ感が継続しているか否かを判断する。パソコンCPU210は、イライラ感が継続していると判断した場合にはステップS119へ進み、イライラ感が解消したと判断した場合にはステップS101へ戻る。
パソコンCPU210は、ステップS119へ進むと、ユーザが電子メールなどの文章を作成しているか否かを判断し、文章を作成していると判断した場合にはステップS120へ進み、作成していないと判断した場合にはステップS101へ戻る。
ユーザがイライラしている状態で電子メールなどの文章を作成している場合には、表現がきつくなったり、人を傷つけるような危険語句を使用してしまったりして、後悔する場合がある。そこで、本実施形態においては、ROM212に不適当な表現とともに、不適当な表現を修正した表現を記憶しておき、イライラした状態で不適当な表現が使われた場合にパソコンCPU210が修正した表現に変更する。
また、緊急性のない電子メールの場合には、すぐに電子メールを送信せずにユーザのイライラ状態が収まった時点で、ユーザに表現の適否を検討してもらうように調節している。これにより、人間関係が悪化するのを未然に防ぐことができる。
また、パソコンCPU210が不適当な表現を検出した場合には、その旨をディスプレイ201に表示する。ユーザがパソコン200のテレビ電話機能により、映像を送受信しつつ会話を行っている場合には、パソコンCPU210は、映像の送信を中断したり、発話の周波数を変更して早口を是正したりすることもできる。映像を中断するのではなく、例えば送信画素数を下げるなどの画像処理を施しても良い。ステップS120で、各種調節の実行が終了したら、パソコンCPU210は再びステップS101へ戻る。
次に、ステップS104の判断で集中度が閾値を超えている場合について説明する。
パソコンCPU210は、ステップS105へ進むと、タイマー211に対して計時を開始させる。ステップS105で開始される計時により、パソコンCPU210は、ユーザの集中度が高い状態で継続する時間を取得する。この計時により、このユーザが高い集中力をどの程度保てるかというデータを抽出できる。また、本実施形態においては、例えば90分間といった予め定められた時間を通して集中度が高い状態であった場合に、後述するように、ユーザに対して集中度の高い状態が長時間続いている旨の警告を行う。
続いて、パソコンCPU210は、ステップS106で、ユーザへのコンタクト制限を行う。特に、第三者がユーザに対してコンタクトを要求する双方向通信機器に対して、コンタクト要求を制限する制限信号を送信する。ここでは、双方向通信機器の例として電話400を例に説明する。
パソコンCPU210は、電話400が鳴るのを停止させ留守モードに設定する制御信号を電話400へ送信する。電話400は、当該制御信号を受信して、呼出音の音量を0にすると共に留守モードに設定する。電話400は、留守モードにおいて第三者からコンタクトを受けた場合には、ユーザの状況と共に、メールによるコンタクト要求、あるいは、後ほど折り返しかけ直す旨等のメッセージを流す。また、相手に緊急度を尋ね、緊急の場合には例えば数字の1を押してもらい、その場合にのみ、ユーザに取り次ぐように設定することもできる。
双方向通信機器は、外部機器に限らない。パソコン200が例えばテレビ電話機能を備える場合には、テレビ電話機能に対してコンタクト要求を制限する。また、パソコン200がソフトウェアとして備えるメール機能に対しても、コンタクト要求を制限しても良い。例えば、通常時において、メールの受信と共にポップアップウィンドウを開いて受信を告知する設定になっている場合、ユーザの集中状態においては、ポップアップウィンドウが開くことを制限する。または、集中状態においてはメールの受信を行わないように設定することもできる。双方向通信機器のコンタクト要求を制限しているときには、ユーザが認識できるように、ディスプレイ201でその旨を報知しても良い。
また、双方向通信機器に限らず、様々な制御機器に対しても、ユーザへの接触を制限する制御信号を送信することができる。本実施形態においては、指標灯410に対する制御を説明する。
指標灯410は、上述のように、発光する色がユーザへのコンタクト許否を表現している。例えば、赤色発光はユーザへの接触禁止を意味し、青色発光は接触許可を意味することを周知させておく。そして、パソコンCPU210は、ステップS106において、指標灯410に対して赤色発光を実行する旨の制御信号を送信する。指標灯410は当該制御信号を受けて、赤色発光を実行する。これにより、周囲の人は、ユーザが集中状態であることを認識でき、接触禁止であることを理解する。
指標灯410以外にも、例えば、ユーザを取り囲む液晶制御可能なパーテションに対して制御信号を送信することができる。パソコンCPU210は、このようなパーテションに対して、ユーザの集中状態において非透過目隠し状態とし、通常時において透過状態に制御することができる。また、パソコンCPU210は、周辺環境からの雑音に対して逆位相の音波を発生させることにより雑音を除去する雑音除去装置に対して、雑音除去を開始させる制御信号を送ることもできる。更には、パソコンCPU210は、ユーザの居室の鍵をロック状態とする制御信号を、鍵制御装置に送ることもできる。
パソコンCPU210は、ステップS107へ進み、ユーザのスケジュールの確認を行ない、直近に会議等のデスクワーク以外の業務があるか否を確認する。そして、パソコンCPU210は、スケジュールがある場合に、このスケジュールが変更可能かどうかの判断を行う(ステップS108)。例えば会議の場合、パソコンCPU210は、会議の参加メンバーに上役がいるか否か、ユーザ自身が必須出席者であるか否か、緊急性の高い会議であるか否か等を考慮して判断する。パソコンCPU210は、必須出席者ではない場合、必須出席者であっても緊急性がなく、上役が参加しない場合等には、変更可能と判断する。一方、パソコンCPU210は、緊急性があったり、必須出席者で上役も出席したりする場合には変更不可と判断する。判断基準は、予め設定され、ルックアップテーブルとしてROM212に記録されている。
パソコンCPU210は、ステップS108の判断がYESの場合にステップS109へ進み、NOの場合にステップS110へ進む。ステップS109へ進むと、パソコンCPU210は、会議の開催者や参加者に対して電子メールを配信して、会議に参加できないことを自動的に通知する。また、パソコンCPU210は、ディスプレイ201に会議をキャンセルした旨の表示を行いユーザに認識させる。
続いて、パソコンCPU210は、ステップS105で計時を開始してから90分が経過したか否かの判断を行う(ステップS111)。パソコンCPU210は、90分に満たなければステップS101へ戻り、90分に達していればステップS112へ進んで、ディスプレイ201に、長時間に亘って集中度が高い状態が続いている旨の警告表示を行う。
ステップS112で行う警告表示は、ステップS109で会議をキャンセルした場合の表示に比べて目立たせる必要がある。したがって、パソコンCPU210は、ステップS109で会議をキャンセルした場合の表示に比べて大きく表示したり、時間的に長く表示したり、点滅表示を実行したりする。
さらに、パソコンCPU210は、ステップS113へ進み、温調部208に電流を加えてユーザの掌周りを温め、ユーザに対して体感的に警告を認識させる。マウス300を利用していることが検出されている場合は、マウス300に内蔵された温調部に対して電流を加えても良い。また、パソコンCPU210は、空調装置に対して冷房指示の制御信号を送信して、周辺温度を下げるようにしても良い。
一方、パソコンCPU210は、ステップS108の判断がNOの場合にステップS110へ進み、例えば会議開始の5分前に当該会議開催の旨の表示をディスプレイ201に行い、ユーザの注意を喚起する。この場合の表示は、ステップS109で会議をキャンセルした場合の表示に比べて大きく表示したり、時間的に長く表示したり、点滅表示を実行したりする。さらにパソコンCPU210は、上述のステップS113へ進み、温調部208等を用いて、ユーザに対して体感的にスケジュール開催を認識させる。
以上の一連の処理を経て、ユーザが集中度の高い状態から抜け出したら、コンタクト制限を解除する等の処理を実行して、フローを終了する。なお、上記フローにおいては、コンタクト制限を実行する時間は、集中度が高い状態で維持されて警告を発すべき時間、あるいは、スケジュール開催までの時間が設定されているが、これに限らない。例えば、ユーザが予め集中したい時間を設定しても良い。このように構成すれば、ユーザは自らの意思により、外部との接触を遮断することができる。または、パソコンCPU210は、ユーザごとに継続し得る平均的な集中時間を過去のログから抽出して、これを設定することもできる。このような構成を採用すると、ユーザごとの特性に合せた制御を行うことができる。
上述の実施例においては、内蔵カメラ204によりユーザの顔を撮像して表情検出を行った。これに代えて、あるいは併用して、ユーザの手部の動きを判断材料とすることもできる。例えば、様々な動きに対応する手部のリファレンス画像を予め用意しておき、画像解析部215が内蔵カメラ204により撮像した画像とのパターンマッチング処理を行うことにより、手部の動きを認識する。
図4は、第1実施形態の応用例としての、ユーザの手部の検出に関する処理を示すフロー図である。具体的には、パソコンCPU210の制御によるユーザの手部の検出、および検出した手部の状況に応じた処理を示すフローチャートである。なお、ここで言う手部は、手そのもののみならず、手首、手首近傍の腕までを含む部位である。
ステップS201は、生体情報の入力処理であり、実質的には上記ステップS101の処理と同一である。ステップS202は、撮像結果の分析であり、実質的には上記ステップ102の処理と同一である。したがって、これらの処理の説明は省略する。
パソコンCPU210は、ステップS203で、画像解析部215の解析結果から、内蔵カメラ204が撮影した画像信号に、キーボード202とユーザの手部が含まれているか否かを判断する。具体的には、まず画像解析部215が、キーボード202の少なくとも一部とユーザの手部の少なくとも一部が重なっているか否かを解析する。さらに、画像解析部215は、重なっている手部が右手か左手か、マウス300にも手部が重なっているか等を解析しても良い。画像解析部215は、解析結果として、キーボード202とユーザの手部の相対的な位置関係を含む位置情報を、パソコンCPU210へ引き渡す。パソコンCPU210は、画像解析部215から引き渡される位置情報により、ユーザがキーボード202等を実際に操作する前であっても、ユーザの操作を予測することができる。パソコンCPU210は、引き渡された位置情報から、キーボード202とユーザの手部が重なっていると判断すればステップS204へ進み、重なっていないと判断すればステップS204をスキップしてステップS205へ進む。
パソコンCPU210は、ステップS204で、操作部設定の調節を行う。具体的には、パソコンCPU210は、キーボード202とタッチパッド203の反応速度を変更する。なお、ここでの反応速度は、わずかに触れただけでも反応するのか、または、しっかり触れなければ反応しないのかといった、キータッチに対する感度の概念を含む。ここでは、キーボード202とユーザの手部が重なっており、ユーザの意思としてキーボード202を操作することが推測されるので、パソコンCPU210は、隣接する操作部であるタッチパッド203 の反応速度(感度)を遅くする。すなわち、しっかり触れなければ反応しない設定にする。あるいは、パソコンCPU210は、タッチパッド203 への入力操作を受け付けないように設定を変更しても良い。これにより、ユーザの手部およびその近傍が偶発的にタッチパッド203に近づいた場合の誤動作を防止することができる。いずれの設定に変更するかについて、パソコンCPU210は、右手左手の両手部がキーボード202と重なっているか否か等の条件を採用することができる。
さらに、設定変更の条件として、ステップS201で取得した生体情報を加味しても良い。例えば、感情解析部213によりユーザのイライラ状態が検出されたら、パソコンCPU210は、キーボード202への入力に対する反応速度が速くなるように設定を変更する。また、イライラ感の程度に応じて反応速度を変更しても良い。この場合、速さの段階として例えば2〜4段階の設定を予め用意しておく。パソコンCPU210は、操作部設定の調節が完了したらステップS205へ進む。
続いてステップS205では、パソコンCPU210は、画像解析部215の解析結果から、内蔵カメラ204が撮影した画像信号に、タッチパッド203とユーザの手部が含まれているか否かを判断する。パソコンCPU210は、画像解析部215から引き渡される位置情報により、ユーザがタッチパッド203等を実際に操作する前であっても、ユーザの操作を予測することができる。パソコンCPU210は、引き渡された位置情報から、タッチパッド203とユーザの手部が重なっていると判断すればステップS206へ進み、重なっていないと判断すればステップS206をスキップしてステップS207へ進む。
パソコンCPU210は、ステップS206で、操作部設定の調節を行う。具体的には、パソコンCPU210は、キーボード202とタッチパッド203の反応速度を変更する。具体的には、パソコンCPU210は、ステップS204の調節によりタッチパッド203の反応速度が遅くされていたり、受け付けない設定にされている場合には、元の設定に戻す。特に、キーボード202とユーザの手部が重なっていないと判断した場合に、パソコンCPU210は、元の設定に戻しても良い。さらには、タッチパッド203が連続的に操作された場合に、パソコンCPU210は、タッチパッド203の反応速度を上げても良い。また、設定変更の条件として、ステップS201で取得した生体情報を加味しても良い。例えば、生体情報を加味してキーボード202の反応速度を上げた場合は、キーボード202の設定を維持したまま、タッチパッド203 の設定のみを変更することもできる。パソコンCPU210は、操作部設定の調節が完了したらステップS207へ進む。
パソコンCPU210は、ステップS207において、ユーザによる入力操作が終了したか否かを判断する。具体的には、キーボード202およびタッチパッド203への入力が予め定められた時間認められなかった場合に、入力操作が終了したと判断する。パソコンCPU210は、入力操作が継続していると判断した場合にはステップS201へ戻り、終了したと判断した場合には、一連の処理フローを終了する。
以上のフローにおいては、内蔵カメラ204によりユーザの手部、キーボード202およびタッチパッド203を撮影したが、天井カメラ320により撮影しても構わない。また、以上のフローにおいては、ユーザはタッチパッド203を操作することを前提に説明したが、代わりにマウス300を操作している場合には、上記のタッチパッド203に対する設定をマウス300の設定に置き換えて適用することができる。この場合、パソコンCPU210は、タッチパッド203の設定として、反応速度を遅くする、または、入力を受け付けない設定にすれば良い。
また、以上のフローにおいては、内蔵カメラ204によりユーザの手部、キーボード202およびタッチパッド203を撮影して位置情報を取得したが、画像信号を用いることなく、実際の入力操作を受け付けてから操作部設定を変更しても良い。実際の入力操作を検出してから操作部の設定を変更するので、若干のタイムラグは生じるが、画像解析部215の処理負荷を軽減することができる。特に、タッチパッド203の操作感度を変更する程度においては有効である。
次に、音声解析部214を用いた応用例について説明する。図5は、第1実施形態の応用例としての、ユーザの発話速度の検出に関する処理を示すフロー図である。ここでは、ユーザは、パソコン200の機能としてのテレビ電話を利用している場合を想定する。
ステップS301は、生体情報の入力処理であり、実質的には上記ステップS101の処理と同一であるので、その説明を省略する。パソコンCPU210は、ステップS302で、内蔵カメラ204からの画像信号を画像解析部215で解析して、ユーザの表情を検出する。さらに、パソコンCPU210は、ユーザの表情からユーザの機嫌を判断する。
ステップS303へ進み、パソコンCPU210は、マイク207からの音声信号を音声解析部214で解析して、ユーザの発話速度を検出する。具体的には、音声解析部214は、単位時間当たりの出力音素数をカウントすることにより発話速度を算出する。
続いて、パソコンCPU210は、ステップS304で、発話速度が、予め定められた閾値を超えて増加しているか否かを判断する。すなわち、パソコンCPU210は、興奮の初期段階において発話速度が急激に増す生理的現象を利用して、ユーザの興奮開始を捕捉する。パソコンCPU210は、例えば、平常時における発話速度を継続的に監視してROM212へ記録しておき、この記録された平常時における発話速度のプラス20%を閾値として設定できる。なお、顔認識技術等により各ユーザを識別して、ユーザごとの閾値を設定することもできる。
また、パソコンCPU210は、判定の条件として、ステップS301およびステップS302の少なくとも一方の情報を加味することができる。例えば、パソコンCPU210は、閾値を超えて発話速度が上昇した場合であっても、表情検出により機嫌が良いと判断されている場合には、発話速度が上昇したと判断しない。または、パソコンCPU210は、発話速度が上昇したと判断する条件として、生体情報により「興奮」「イライラ」「焦り」等のネガティブな感情が検出されていることを追加することができる。これらの情報の組み合わせは、それぞれの検出結果に重み付けを行って、総合的に判断することもできる。
パソコンCPU210は、発話速度の増加量が閾値未満であると判断した場合にはステップS301へ戻り、閾値を超えていると判断した場合には、ステップS305へ進む。
パソコンCPU210は、ステップS305へ進むと、各種調整を実行する。まず、パソコンCPU210は、早口になっている事実、ひいては興奮状態に陥っている事実をユーザに認識させる。具体的には、パソコンCPU210は、ディスプレイ201の表示輝度を落として暗くする。あるいは直接的に、ディスプレイ201にその旨のメッセージをテキスト、図等により表示する。
また、外部機器に対して制御信号を送信して、外部機器によりユーザに認識させることもできる。具体的には、パソコンCPU210は、指標灯410に対して制御信号を送信して、LEDを点滅させる。また、ユーザの居室に設置された照明機器に制御信号を送信して、その輝度を変更させ、居室の明るさを変える。さらには、ユーザの周囲にあるテレビ、ミュージックプレーヤー等の出力音声を小さくすることもできる。
また、ユーザの興奮状態においては、パソコンCPU210がテレビ電話の通信状態を積極的に制限することにより、ユーザの人間関係悪化を未然に防ぐことも期待できる。具体的には、パソコンCPU210は、テレビ電話における相手方の映像を変更したり中断したりできる。また、送信するユーザの音声を加工することもできる。例えば、周波数を変更して穏やかに聞こえるように加工できる。あるいは、パソコンCPU210は、テレビ電話の通信状態を悪化させて、やがて通信を遮断しても良い。
パソコンCPU210は、ステップS306へ進み、内蔵カメラ204からの画像信号およびマイク207からの音声信号の少なくとも一方の記録を開始する。天井カメラ320からの画像信号を記録しても良い。このように、ユーザの興奮状態において、ユーザを含むユーザの周辺環境を記録することにより、ユーザの記憶を補って交信の記録を確実に残すことができる。また、ユーザは、平常状態に戻ったときに、客観的に自身の行動を振り返って認識することができる。
上述の第1実施形態においては、パソコン200の操作を例に集中度検出システム110を説明したが、これに変えて、スマートフォンの操作に集中度検出システム110を適用しても良い。
図6は、第1実施形態の変形例であるスマートフォン250の概要を示す図である。図6に示すように、スマートフォン250は、縦長の矩形状をしており、ディスプレイ251と、このディスプレイ251に表面に設けられたタッチパネル252と、内蔵カメラ254と、マイク257と、生体センサ260とが設けられている。
タッチパネル252は、ディスプレイ251の表面をユーザがタッチすることにより、種々の指示を受け付けることができる。内蔵カメラ254は、タッチパネル252と同一面側に設けられており、撮影レンズと撮像素子とを含む。なお、この内蔵カメラ254に加えて、タッチパネル252と反対面側に内蔵カメラを設けても良い。
マイク257は、ユーザがスマートフォン250を保持したときにユーザの口と対向しやすいように下方に設けられている。生体センサ260は、ユーザがスマートフォン250を保持するときに、ユーザの手に触れるように長辺側の側面に設けられている。なお、生体センサ260は、スマートフォン250本体に設けてもよく、上述の第1実施形態のように腕時計型の生体センサ330を用いても良い。
図7は、第1実施形態の変形例に係る集中度検出システムのブロック図である。図6で説明した構成以外の構成は、図2のブロック図の構成をほぼ適用することができるので、図2と同じ符号を付してその説明を省略する。なお、スマートフォンCPU270は、スマートフォン250全体を制御する制御装置である。
本変形例においても、スマートフォンCPU270は、ユーザの生体情報に基づいてユーザが集中している場合には、ユーザへのコンタクトを制限する。この場合、スマートフォン250にかかってくる電話に加えて、ユーザが会社の座席にいる場合には、その座席の電話400の機能を制限しても良い。また、ユーザが座席にいたり、動いているのは天井カメラ320を用いてもよく、内蔵カメラ254を広角レンズとしてユーザの表情に加えて、顔の動きを検出して、ユーザの感情や集中度を検出するようにしても良い。同様にユーザの手の動きは天井カメラ320により撮像しても、広角レンズを有した内蔵カメラ254により撮像しても良い。
また、スマートフォンCPU270は、タッチパネル252を操作する操作量が多い場合、圧電センサ209が検出したタッチパネル252を操作する力が大きい場合等においてタッチパネル252の感度を上げるようにソフトウェアを用いて設定を変更しても良い。上述した第1実施形態と、第1実施形態の変形例とは、適宜組み合わせたり、変形して利用することも可能である。
図8は、第2実施形態に係る集中度検出システム120の概要を示す図である。本実施形態における集中度検出システム120は、第1実施形態における集中度検出システム110に用いた各要素を適宜用いて構成されている。また、第2実施形態の集中度検出システム120は、以下に説明するとおり、第1実施形態の集中度検出システム110に対していくつかの要素が追加されている。特に、パソコン200は、本実施形態においてもほぼ同様の構成を備え、第1実施形態に対して新たに追加される外部機器に対して送受信する機能が追加される。第1実施形態と共通の要素については同じ符番を付し、特に新たな機能を付与しない限り、その説明を省略する。
第2実施形態における集中度検出システム120は、プレゼンテーション、会議、講習会等における参加者の集中度を検出して参加者にフィードバックを行うシステムである。第1実施形態と異なり、複数人の参加者を対象者とし、対象者の集中度を同時あるいはシーケンシャルに検出する。特に、ここでは、発表者と複数の受講者が参加者として存在する講義の場合を例として説明する。
集中度検出システム120は、パソコン200を中心として、天井カメラ320、発表者、複数人の受講者のそれぞれに装着された生体センサ330、壁面に設置された時計500、発表者が発表に用いるスクリーンボード600を有している。部屋の天井に設置されている天井カメラ320は、集中度検出システム110における天井カメラ320と同様の構成であるが、ここでは講義に参加する複数の受講者の頭部を撮影できるように、例えば広角レンズが用いられて、撮影画角が調整されている。
天井カメラ320の撮像素子から出力される画像信号において、画素の座標と講義場の位置は予め対応付けられており、撮影された参加者が、講義場のどの座席に位置しているのか把握できるように構成されている。すなわち、天井カメラ320は、参加者の位置を検出する位置センサの役割を担う。なお、講義場が広い場合には、天井カメラ320を複数設置しても良い。なお、講義場においては、受講者が椅子に座っていることを想定すると、頭部の高さは床から1200mmから1400mm程度である。したがって、天井カメラ320は、この高さに対して焦点調節されていれば良い。
また、天井カメラ320は、受講者の手部を撮影することもできる。天井カメラ320からの撮影画像を取得するパソコン200は、受講者が、講義中にテーブルに手部を載せてメモを取ったりノートパソコンを操作する様子を把握することができる。頭部と手部の天井からの距離差が天井カメラ320の被写界深度に収まらない場合は、天井カメラ320にフォーカスレンズを駆動する構成を採用しても良い。
講義場の壁面には時計500とスクリーンボード600が設置されている。スクリーンボード600は、講義場の参加者テーブルに対して正面に設置されており、発表資料等の表示の利用に供される。時計500は、参加者テーブルの正面ではなく、スクリーンボード600の設置面とは異なる側壁面に設置されている。
時計500は、時刻を表す時刻表示部510と少なくとも受講者を撮影する時計カメラ520を備える。時刻表示部510は、現在時刻を参加者に知らしめる時計であり、アナログ表示であってもデジタル表示であっても構わない。時計カメラ520は、時刻表示部510の近傍に設置され、講義に参加する受講者の全員を撮影できるように、撮影画角および設置高さが調整されている。また、時計カメラ520は、天井カメラ320と同様に、撮像素子から出力される画像信号において、画素の座標と講義場の位置は予め対応付けられており、撮影された参加者が、講義場のどの座席に位置しているのか把握できるように構成されている。
スクリーンボード600は、スクリーン表示部610とスクリーンカメラ620を備える。スクリーン表示部610は、発表資料等を表示する表示部である。スクリーン表示部610は、液晶等の表示素子パネルで構成されていても良いし、プロジェクターと投影スクリーンの組み合わせにより構成されていても良い。また、電気的な表示装置でなくても、例えばホワイトボードなどの表示媒体であっても良い。ホワイトボードなどの非電気機器を利用する場合は、発表資料を表示するのではなく、発表者がマーカー等により板書する。
スクリーンカメラ620は、スクリーン表示部610の近傍に設置され、講義に参加する受講者の全員を撮影できるように、撮影画角および設置高さが調整されている。また、スクリーンカメラ620は、天井カメラ320と同様に、撮像素子から出力される画像信号において、画素の座標と講義場の位置は予め対応付けられており、撮影された参加者が、講義場のどの座席に位置しているのか把握できるように構成されている。
図9は、第2実施形態に係る集中度検出システムのブロック図である。パソコン200には、例えば、HDD、SSDから構成される大容量のデータを記録できる記録部217が追加されている。記録部217は、各カメラから送られてくる画像信号を記録し、解析された参加者のデータを記録する。
また、パソコンCPU210は、外部接続インターフェイス216を介して、参加者分の生体センサ330からの生体情報を、ID等で識別しつつ取得する。床センサ310からの情報も同様に取得する。
時計500は、時計CPU530を中心として、時刻表示部510、時計カメラ520、頻度検出部540、記録部550および外部接続インターフェイス560を備える。
時計CPU530は、時計500全体の制御を司る。頻度検出部540は、受講者が時計500を見た頻度を検出する。具体的には、時計カメラ520が撮影した画像信号を受け取り、これを解析して、予め定められた単位時間内に時計500を何回見たかを、受講者ごとに検出する。特に、時計500は側壁面に設置されているので、受講者がスクリーン表示部610に視線を向けている場合には、時計カメラ520は、受講者の顔を正面から撮影することができない。そこで、頻度検出部540は、顔認識技術により、受講者の顔が時刻表示部510へ向けられたことを検出する。頻度検出部540は、受講者の顔が時刻表示部510へ正対したか否かを正確に認識すべく、例えば、受講者の両目が検出された場合に、時刻表示部510を見たと判断しても良い。
これにより、受講者の集中度を判断することができる。つまり、パソコンCPU210は、頻度検出部540で検出された頻度情報を時計CPU530から受け取ることにより、受講者の集中度を判断することができる。頻度情報は、さまざまなバリエーションを取り得る。頻度検出部540は、受講者のそれぞれを区別して、受講者別に頻度情報を構築することもできるし、受講者のいずれかが時刻表示部510に顔を向けた場合に頻度検出の対象としてカウントすることにより、受講者を区別せずに頻度情報を構築することもできる。前者の頻度情報によれば、後述するように、座席位置と対応させることにより、集中度の低い受講者の分布を観察することができる。後者の頻度情報によれば、受講者全体の集中度を観察しやすい。
また、特定の受講者に対して、頻度検出のカウントを変更することもできる。例えば、受講者中に重要人物等の区別されるべき対象者が存在する場合、当該特定受講者の着席位置と対応させて、カウント値に重み付けを与える。例えば、1回のカウントを1.5回とカウントする。あるいは、他の受講者のカウントを取り止めて、特定受講者のみをカウントの対象としても良い。このような頻度情報を構築することにより、パソコンCPU210は、重要な人物の関心具合を把握することができる。なお、特定人物の着席位置は、予め定められている他、任意の座席に着席した場合であっても、スクリーンカメラ620によって撮影される撮影画像を用いた顔認識により特定することができる。
また、頻度情報には、受講者の顔が時刻表示部510に向けられたときの継続時間を加味することができる。頻度検出部540は、時刻表示部510に向けられた継続時間を検出し、長い時間に亘って時刻表示部510を見ていた場合には、カウント値に重み付けを与えて積算する。これにより、集中度をより正確に表すことができる。
なお、受講者の集中度の判断は、パソコンCPU210が行うのではなく、時計CPU530が行っても良い。この場合、時計CPU530が、受講者の集中度に応じて、外部機器を制御する制御信号を、外部接続インターフェイス560を介して外部機器に送信する。このとき、受講者の生体情報をパソコンCPU210から予め受け取って集中度判断の条件に利用するなど、制御信号の送信判断に活用しても良い。具体的な外部機器の制御については後述する。
スクリーンボード600は、スクリーンCPU630を中心として、スクリーン表示部610、スクリーンカメラ620および外部接続インターフェイス640を備える。
スクリーンCPU630は、スクリーンボード600全体の制御を司る。スクリーンカメラ620は、上述のように、講義に参加する受講者の全員を撮影できる。特に、スクリーン表示部610の近傍に設置されているので、受講者の顔がスクリーン表示部610に向けられているか否かを顔認識技術により検出することができる。ここでは、スクリーンCPU630が、スクリーンカメラ620により撮影された画像信号を、外部接続インターフェイス640を介して時計500の頻度検出部540へ送信する。
頻度検出部540は、時計カメラ520からの画像信号に対する解析と同様に、予め定められた単位時間内にスクリーン表示部610を何回見たかを、受講者ごとに検出する。ここでは、何回見たかの頻度に代えて、特に継続時間を計測し、単位時間あたりの注視時間を検出しても良い。これにより、時計カメラ520が受講者を捉えた場合とは逆に、各受講者がどれだけ集中して講義を受けているかをリアルタイムで把握することができる。つまり、パソコンCPU210は、頻度検出部540で検出された頻度または注視時間を含む注視情報を時計CPU530から受け取ることにより、受講者の集中度を判断することができる。
頻度検出部540における、スクリーンカメラ620から受信する画像信号に対するカウント処理は、時計カメラ520から取得する画像信号に対するカウント処理と同様である。例えば、受講者の両目が検出された場合に受講者がスクリーン表示部610に対して正対したと判断できるし、特定受講者の着席位置と対応させて、カウント値に重み付けを与えることもできる。なお、受講者ごとに人物を識別して認識する場合は、予め記録部217に記録されている人物画像のリファレンス画像と撮影された画像とのパターンマッチングにより人物認識が行われる。
また、時計カメラ520およびスクリーンカメラ620で撮影された画像信号は画像解析部215へ送信され、画像解析部は、当該画像信号を解析して、写っている受講者の表情を検出することができる。パソコンCPU210、時計CPU530は、受講者の表情を参照して、各種判断の材料とすることができる。なお、パソコン200に限らず、時計500およびスクリーンボード600がそれぞれ画像解析部を備えるように構成しても良い。
本実施形態においては、発表者および受講者の参加者がそれぞれ生体センサ330を装着する場合を想定しているが、例えば顧客など、相手によっては生体センサ330の装着依頼がためらわれる場合もある。そこで、装着タイプの生体センサ330に代えて、非接触タイプの生体センサを利用することもできる。例えば、サーモグラフィを利用することにより、参加者の体温変化を取得することができる。また、マイク207により収集した受講者の声からの生体情報を検出しても良い。この場合、マイク207はパソコン200ではなく、参加者ごとに識別可能な指向性の高いマイクを講義場内に適宜設けても良い。また、床に埋め込んだ床センサ310を利用しても良い。
また、集中度検出システム120には、講義場に設置されている様々な制御機器と接続されている。例えば、明るさを調整する照明機器、雑音を除去する雑音除去装置、講義場の温度を調整する空調機器などが挙げられる。パソコンCPU210はこれらの機器に対して制御信号を送信することにより、制御することができる。以下にその制御処理について説明する。
図10は、第2実施形態に係る集中度検出システム120の処理を示すフロー図である。フローは、例えば、発表者が発表を開始した時点から開始される。
パソコンCPU210は、ステップS401で、発表者に対する内蔵カメラ204、天井カメラ320の画像入力、マイク207からの音声入力、生体センサ330からの生体情報入力などを行ない、発表者の状態を確認する。具体的には、入力した情報を感情解析部213、音声解析部214、画像解析部215が解析し、パソコンCPU210は、発表者が緊張状態かリラックスした状態かを判断する。
また、パソコンCPU210は、ステップS402へ進み、受講者の状態を確認する。特にここでパソコンCPU210は、入力する各種情報から、受講者の集中度を確認する。天井カメラ320からの画像信号を受けて、受講者のうち頭部の動き量が大きい受講者がいるか否か、いる場合にはその座席位置はどこかを検出する。また、上述のように、時計カメラ520の取得画像から時刻表示部510を見る頻度情報、スクリーンカメラ620の取得画像からスクリーン表示部610を見る頻度情報を受講者ごとに取得する。
スクリーン表示部610に表示される発表者の発表資料映像は、パソコンCPU210から送信された画像信号に拠る。したがって、パソコンCPU210は、発表者がパソコン200を操作することにより発表資料のページ送りを実行するタイミングに同期して、受講者が手元の紙資料をめくったか否かを天井カメラ320の受信画像信号から判断することができる。受講者が紙資料をタイミングよくめくった場合には、講義に集中していると判断することができる。逆に、テーブル上に受講者の手部が確認できず、または紙めくりが確認できない場合には、受講者は集中していない可能性が高い。パソコンCPU210は、発表者によるページ送りの時点から、例えば5秒以内に受講者が紙めくりを実行した場合に、集中していると判断する。また、パソコンCPU210は、発表者のページ送りに同期させるだけでなく、例えば、受講者の手部がテーブル上で動きがある場合にメモを取っていると判断する等により、受講者の集中度を定期的にチェックすることもできる。
受講者の集中度は、以上のように様々な情報が集約されて、総合的に判断される。例えば、パソコンCPU210は、収集した各種情報を、ROM212に記憶されたルックアップテーブルに当てはめ、各情報に対する集中度評価値を取得し、これらの積算値が予め定められた閾値を超えた場合に集中していると判断することができる。また、閾値を下回る場合であっても、その積算値の多寡により集中していない度合いを把握することができる。
受講者の状態を確認したら、パソコンCPU210は、ステップS403へ進み、集中度の低い受講者がいるか否かを判断する。なお、ここでの閾値とする集中度は、上述のように、集中していない場合の度合いを設定することができる。例えば講義の終盤に差し掛かった時点においては、必然的に集中度が低下することを考慮して、閾値とする集中度合いを講義開始時に対して若干下げても良い。
集中度の低い受講者がいる場合には、パソコンCPU210は、ステップS406へ進む。ステップS406では、パソコンCPU210は、すでに、内蔵カメラ204等からの画像信号およびマイク207からの音声信号の少なくとも一方の記録を開始しているか否かを確認する。つまり、発表者の映像、音声が録音中であるか否かを確認する。このように講義状況を記録するのは、集中していなかった受講者が後に講義を再度確認できるようにフォローするためである。パソコンCPU210は、記録中でなければステップS407へ進んで、記録を開始してステップS408へ進む。記録中であればステップS407をスキップしてステップS408へ進む。
パソコンCPU210は、ステップS403で、集中度の低い受講者がいない場合には、ステップS404へ進む。ステップS404ではステップS406と同様に、パソコンCPU210は、記録中であるか否かを確認する。この場合、受講者は集中していると判断されおり、フォローのための講義の記録は必要ない。したがって、パソコンCPU210は、記録中であれば、ステップS405へ進み、記録を停止してからす411へ進む。記録中で無ければ、そのままステップS411へ進む。
ステップS408では、パソコンCPU210は、受講者の集中度が低いまま継続しているか否かを判断する。すなわち、前回の判断から一定の時間の経過後であっても、受講者の中に集中度の低い人物が存在するか否かを判断する。
パソコンCPU210は、初めて集中度が低いと判断された場合、または、一旦集中度が回復した後に再び集中度が低いと判断された場合は、NOとしてステップS409へ進む。
ステップS409でパソコンCPU210は、集中度の低い受講者と、その座席位置の相関を検出する。相関関係は、図11で示すように、例えばディスプレイ201に表示される管理ウィンドウ上において、集中度分布として受講者の着座位置とそのうちの集中度の低い受講者がグラフィカルに表示される。図において、白丸は集中度の高い受講者のグループを表し、黒丸は集中度の低い受講者のグループを表す。そして、画面上には、全体の受講者数に対する集中度の低い受講者数が、数字として示されている。図11に示す状態は、集中度の低い受講者の着座位置に傾向は見られず、パソコンCPU210は、集中度の低い受講者間に相関関係は無いと判断する。
パソコンCPU210は、ステップS410へ進み、各種調節を実行する。例えば、着座位置に対する相関関係は無いと判断されても、講義場全体で集中度の低い受講者が閾値以上に多い場合は、パソコンCPU210は、空調機器に対して温度を下げる、または上げる制御信号を送信して、温度調整を実行する。例えば、講義場に対して廊下側の受講者の集中度が低いようであれば、パソコンCPU210は、廊下からの雑音を打ち消す雑音除去装置に対して、雑音の逆位相音波を出力させる制御信号を送信して、雑音を除去する。例えば、頭部の揺れが大きく、受講者の居眠りが疑われる場合には、パソコンCPU210は、照明機器に対して明るくする制御信号を送信して、講義場を明るくする。
パソコンCPU210は、ステップS411へ進み、講義が終了したか否かを判断する。終了していないと判断した場合はステップS401へ戻り、終了したと判断した場合は一連の処理を終了する。
ステップS408で、パソコンCPU210は、受講者の集中度が継続的に低いと判断した場合は、YESとしてステップS412へ進む。ここで、継続的に集中度が低いとは、例えば、予め定められた複数人の特定の受講者が連続して集中度が低いと判断された場合を言う。または、特定の受講者が連続していなくても、重要度の高い受講者のいずれかが続けて集中度が低いと判断された場合でも良い。
ステップS412では、パソコンCPU210は、ステップS410のように、講義場の環境を変更する調整可能な機器があるか否かを判断する。まだあればステップS409へ進み、無ければステップS413へ進む。
ステップS413へ進んだ場合、受講者の集中度低下は、環境に起因するのではなく、発表者の発表動作に起因するものとして、発表者に対するリクエストを行う。まず、ステップS413では、ステップS409と同様に、パソコンCPU210は、集中度の低い受講者と、その座席位置の相関を検出する。なお、本実施の形態ではステップS408の判断後にステップS409およびステップS413の相関検出を行なったが、ステップS408の判断の前に相関検出を行なっても良い。
相関検出を行ったら、ステップS414へ進み、パソコンCPU210は、発表者に対して指示を行う。例えば、図12に示すように、集中度の低い受講者が講義場の後方座席に集中するという相関関係が得られている場合には、パソコンCPU210は、ディスプレイ201に表示される管理ウィンドウ上において、「声を大きくして下さい」などのメッセージを表示する。または、パソコンCPU210は、スクリーン表示部610で表示する発表資料の大きさを拡大する制御信号を、スクリーンボード600へ送信する。
また、このとき、ステップS401で確認した発表者の状態を活用することもできる。例えば、発表者が「緊張」を感じていると判断された場合、パソコンCPU210は、その事実を客観的に認識させるべく、その旨をディスプレイ201に表示する。もちろん、検出された表情に関する情報を表示しても良い。また、緊張を解くべく、発表資料の順序を変更して、雑談用の資料をスクリーン表示部610へ送信しても良い。また、アニメーション処理を変更したり、詳細資料を表示することもできる。
さらには、発話速度を検出して、閾値以上に早口になっていると判断された場合には、パソコンCPU210は、発表者に対して「もう少しゆっくり話してください」などのメッセージをディスプレイ201に表示させることができる。
パソコンCPU210は、ステップS414で発表者への指示が終了したら、ステップS411へ進み、講義終了を確認する。講義が終了したと判断したら一連の処理を終了する。なお、上述のステップS414は、ステップS410の各種調節の実行の後にも行なうようにしても良い。
以上の処理フローにおいては、その時の集中度の低い受講者を検出したが、集中度が低くなった受講者の増減を判断基準とすることもできる。すなわち、時間をおいて実行された2度の集中度検出において、集中度の低い受講者が急に増えたのか、さらには、その着座位置との相関はどうであるかを、判断基準とすることができる。
以上の処理フローにおいては、集中度の高い、低いによりグループを分別したが、生体情報から検出される受講者の感情状態によってグループを分別することもできる。例えば、「イライラ状態」の受講者の分布にしたがって、パソコンCPU210は、各種処理を実行しても良い。また、集中度と感情状態の両者を利用して各種処理を実行することもできる。
以上の処理フローにおいては、講義を想定して説明したが、集中度検出システム120の適用範囲はこれに限らない。例えば、職場に適用することにより、上司が部下の生体情報からストレス度を認識して業務の振分けを行ったり、声掛けを行ったりすることで職場の士気の低下を防ぐことができる。また、学校の授業に適用した場合は、生徒が理解できない部分を把握することができ、学習効率を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。