JP5770606B2 - 電源ソケット - Google Patents
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Description
このような電源ソケットの構成は、特開2001−357947号公報にも示しており、従前一般的であった深絞り加工を廃してプレス成形したインナケースを用いることで、製造工程が簡単化され、コストも低減する利点が得られる。
しかしながら、いまだインサート成形の工程を伴う点で、さらに改良の余地が残っている。
すなわち、アウタケースの内径に対してその許容誤差を考慮し、インナケースの自由状態の外径が確実にアウタケースの内径よりも大きくなるように設定することにより、インナケースを小径に弾性変形させてアウタケースに挿入する。挿入後は自由状態へ向けた復帰力で拡径し、アウタケース内壁に圧接して嵌め込み状態となる。
インナケースの組み付け工程の場には多数個のインナケースが部品運搬箱で供給されるが、部品運搬箱内では乱雑に投入されたインナケース同士が互いの割りに深く嵌り合ってしまい、1個を掴んで取り上げても複数個がつながって引き上げられ、振り払っても簡単には分離しない。このため作業者は部品運搬箱からインナケースを作業パレットへ取り出す際に絡み合っているインナケースを1個ずつに外さなければならないという大きな作業負担を負うことになる。
図1は実施の形態の電源ソケットを示し、(A)は上面図、(B)は側面図、図2は図1の(A)におけるA−A部拡大断面図である。
電源ソケット1は、ケース2と、ケース2の奥端に取り付けられて端子、フューズおよび接点を組み込んだ端子/フューズアセンブリ3と、ケース2の開口端に取り付けられたキャップ70とで構成されている。
なお、ここではケース2が上方に開口しているものとして説明する。
ケース2は、樹脂製のアウタケース10と導電金属製のインナケース30とからなる。アウタケース10は円筒部11を主体とし、円筒部11の開口端まわりに飾り部13が形成されている。インナケース30はアウタケース10の円筒部11内に密着状態に挿入され、円筒部11の開口端近傍から下端近傍まで略全長にわたって延びている。
とくに図2に示すように、端子/フューズアセンブリ3は、端子6を支持するとともに接点円盤47およびフューズ60を収容する樹脂製のフューズボックス40を樹脂製のストッパプレート50で蓋をして構成してある。
端子6はフューズボックス40の底壁42を貫通して下方へ延びるとともに、フューズボックス40内において折り曲げられ、底壁42上を延びている。
図3に示すように、フューズ60は薄板の弾性導電板61に、過熱により溶融する樹脂材の溶融体65を備えている。弾性導電板61はリング部62と、リング部62から内方に延びる舌片63とからなり、溶融体65は円管状をなしリング中央に位置して舌片63上に支持されている。
接点円盤47は弾性導電板61のリング部62に重なり、同時に溶融体65に当接してこれを下方に押し下げるので、溶融体65を支持する舌片63が押し下げられる。
これによりリング部62における舌片63がつながる側が下方に引かれて、弾性導電板61が傾斜状態に弾性変形し、底壁42上を延びる端子6に接触する。リング部62の接点円盤47と接触する側および舌片63がつながって端子6に接触する側の外周縁にはそれぞれプレス起し部64が形成されて接触を確実にしている。
ストッパプレート50の上壁51は中央に穴52を有し、ケース2に挿入されるプラグ先端の電極が通過して接点円盤47に接触可能となっている。
また、フューズボックス40の側壁41外面には、図2とは異なる断面において、インナケース30の下端を受けるとともに、下方に面して係止面を備える複数の係止爪45が設けられ、アウタケース10の下端部に形成された係止穴26に係止して(図1の(B)参照)、フューズボックス40の下方への変位が規制される。
これにより、端子/フューズアセンブリ3のケース2に対する取り付け位置が固定される。
なお、アウタケース10の端子/フューズアセンブリ3に一部かかる部位には、水抜き穴27を形成してある。インナケース30にも水抜き穴27と重なる水抜き穴37(図2、図5参照)を形成してある。
アウタケース10の飾り部13は、電源ソケット1を取り付ける取付け壁の穴縁に着座させるためのフランジ14を円筒部11の上部開口端から所定距離だけ下方に形成し、そのフランジ14上面から意匠飾りを兼ねたストップブロック15(15a、15b、15c)を開口端より上方まで立ち上げている。
ストップブロック15はそれぞれ周方向約1/9の長さをもって周方向等分位置に3箇所設けられている。ストップブロック15の径方向外側面はフランジ14の外周縁に沿って上方に延びる外縦壁17、内側面は円筒部11の外周に連なるとともに開口端より上方は外側面と同軸の円弧面で延びる内縦壁18となっている。また、周方向両端の側縦壁19は互いに略平行に形成されている。これにより、複数のストップブロック15間は周方向における凹部となっている。
そして、ストップブロック15の上面は内径側から外径側に向かってなだらかに下がる曲面となっており、内縦壁18および外縦壁17への移行部はアール(R)面取りされている。
ストップブロック15aに対して周方向反対側で、2つのストップブロック15b、15cの間の円筒部11の外周面には門形の枠部21を形成してある。枠部21の門幅(周方向幅)は後述するキャップ70の爪81の幅より大きく設定してある。
なお、円筒部11の外面には、フランジ14から所定距離下方に爪23が設けられて、取付け壁の裏面に係止して抜け止めされるようになっている。
円筒部11の外面にはさらに、電源ソケット1の回転位置を規定するためのガイド条24が形成してある。
図4において、28は端子5をインナケース30に固定するためのビス7を通す切り欠きである。
インナケース30は板材からプレス曲げ加工により作製する。
図5の(A)に示すように、インナケース30の外径は自由状態でアウタケース10の内径よりも大きく、軸方向の割りQを有して、割り幅W(割り部の周方向間隙)を狭める方向に圧縮してアウタケース10内に挿入可能となっている。
すなわち、割り幅Wは、当該割り幅Wを狭める方向にインナケース30を圧縮したときその外径がアウタケース10の内径よりも小さく縮径するように、アウタケース10の内径およびインナケース30の自由状態の外径と関連して設定される。
インナケース30を縮径状態でアウタケース10に挿入してから解放すれば、弾性復帰力により拡径してアウタケースの内壁に圧接し、所定の内径寸法をもって嵌め込み状態となる。
嵌め込み状態におけるインナケース30の内径を例えば21mmとするとき、割り幅Wは全長にわたって1.5〜2.0mm程度とすればよい。
そして、図5の(B)に示すように、自由状態において軸端から覗いた第1直線部Q1と第2直線部Q2の割り幅の重なりmが他の嵌ってくるインナケース(インナケース30)の板厚より小さくなるように、第1直線部Q1と第2直線部Q2間のオフセット量tを設定する。好ましくは図5の(A)に示すように、オフセット量tを割り幅Wよりも大きくして、軸端から第1直線部Q1を通して覗いたとき第2直線部Q2が見えないように設定するのが良い。
インナケース30がそれぞれ割りを有していると、インナケース同士が互いの割りに嵌り合うことは避けられないが、嵌り合う深さは傾斜部Q3が障壁となって軸端の第1直線部Q1の長さ範囲に制限される。したがって、第1直線部Q1の長さは短いほうが好ましく、第1直線部Q1の長さは第2直線部Q2の長さの約1/4程度に短かくしてある。
インナケース30の側壁には、アウタケース10の水抜き穴27に対応する水抜き穴37が設けられるとともに、下端部にはビス穴33を有して端子5の取付け座となる平坦部32が形成されている。
キャップ70は樹脂製で、(A)の平面図において円を基本形とする主部71から全体として花弁状に外方3方に延びる拡径部72(72a、72b、72c)を有している。
主部71は上面中央がわずかに盛り上がる一方、裏面は拡径部72に及ぶまで平坦となっている。
拡径部72は外広がりで、アウタケース10の飾り部13におけるストップブロック15間の周方向間隙に嵌り込むように配置され、外方に延びる側縁73とストップブロック15の周方向両端の側縦壁19との間に所定間隙S(図1参照)ができるように設定される。
軸支持部75を備えない他の拡径部72aには、その上面から外周を越えてわずかに外方に突出する指掛部77を設けてある。指掛部77を除いて、拡径部72の上面は径方向においてわずかに盛り上がった山形の曲面とし、外周縁74に沿ってはアール面取りしてある。なお、先の図1では簡単のため拡径部72上面の曲がり線は省略してある。
先の飾り部13のストップブロック15の上面における内径側から外径側に向かってなだらかに下がる曲面は上記山形の曲面の頂部から外側を倣ったものであり、山形の頂部から内側は内径側の内縦壁18との間のアール面取り領域に入っている。
とくに指掛部77を備える拡径部72aの円弧壁79は、その根元に周方向のスリット80を設けて径方向に撓みやすくしてあり、また、その内壁に爪81を形成してある。
キャップ70をヒンジまわりに回転させ、指掛部77側を押し込むと、円弧壁79がわずかに撓んで爪81が円筒部11の枠部21を乗り越え、当該枠部21に係止して、図2に示すように、円筒部11の開口端まわりをカバーする。この状態で、図1に示すように、キャップ70の円弧壁79の下縁が飾り部13のフランジ14に着座または近傍に位置し、また、拡径部72の上面が飾り部13のストップブロック15の上面と連続性をもつように設定してある。
また、拡径部72の側縁73とストップブロック15の側縦壁19間の所定間隙S(図1参照)は、キャップ70を開いた位置から円筒部11の開口端をカバーするまでの回転操作の間に互いに干渉しない限りでできるだけ狭く設定するのが好ましい。
したがって、例えば横方向からの外力Fが作用した場合、キャップ70はストップブロック15aを含むヒンジH部を軸として回動しようとするため、図7に示すように、拡径部72cの側縁73がストップブロック15bの側縦壁19に当接し、さらには拡径部72aの側縁73がストップブロック15cの側縦壁19に当接して側縁73と側縦壁19間の間隙Sを詰める。拡径部72a、72cにかかる反力はその面に沿った方向であり、これに対する剛性が高いから、拡径部72a、72cや主部71が変形することもなく、キャップ70は間隙Sを詰める以上の変位を阻止される。
この際、キャップ70の爪81が係止するケース2側の枠部21の門幅が大きいため、拡径部72cの側縁73がストップブロック15a、15bの側縦壁19に当接するまでのキャップ70の変位では係止が外れることはなく、したがってキャップ70が開いてしまうこともない。
また、キャップ70が閉じた状態では、キャップ70の円形の主部71を拡径部72と飾り部13のストップブロック15とが取り囲んだ花模様を呈して意匠的にも高級感を与える。
指掛部77を持ち上げれば爪81と枠部21の係合が外れて、容易にキャップ70を開くことができる。
また、拡径部72は外広がりにするとともに、主部71の周上3方に延びて個数も少なく抑えているので、キャップを開く際に指を掛ける幅寸法を大きく確保することができる。
そしてとくに拡径部72aには、その外周縁74よりも外方まで延びた指掛部77を設けてあるので、必要な場合には指掛部77の先端に指を掛けることにより小さな力でキャップ70を開くことができる。
また、第1直線部Q1の長さはそれぞれ第2直線部Q2よりも短かいので、インナケース30同士の嵌り合い可能範囲が一層制限され、例えば軽く振り払うだけで嵌り合ったインナケース30を分離することができる。
また、ストップブロック15と拡径部72の表面形状についても、実施の形態に示したものに限定されず、任意の意匠を飾り部に施すことができる。
また、電源ソケット1を取り付ける取付け壁の穴縁に着座させるためのフランジ14を、端子/フューズアセンブリ3を組み込む円筒部11と一体に形成したものとしたが、取付け壁の穴縁に着座させる部分と円筒部とを別体に形成して組立体としてもよい。
2 ケース
3 端子/フューズアセンブリ
5、6 端子
7 ビス
10 アウタケース
11 円筒部
13 飾り部
14 フランジ
15a、15b、15c ストップブロック
17 外縦壁
18 内縦壁
19 側縦壁
20 軸孔
21 枠部
23 爪
24 ガイド条
25、28 切り欠き
26 係止穴
27、37 水抜き穴
30 インナケース
32 平坦部
33 ビス穴
38 ヒンジピン
40 フューズボックス
41 側壁
42 底壁
43 フューズ支持部
44 爪
45 係止爪
45a 係止面
47 接点円盤
50 ストッパプレート
51 上壁
52 穴
53 連結壁
54 係止穴
55 突起
60 フューズ
61 弾性導電板
62 リング部
63 舌片
64 プレス起し部
65 溶融体
70 キャップ
71 主部
72a、72b、72c 拡径部
73 側縁
74 外周縁
75 軸支持部
76 軸孔
77 指掛部
79 円弧壁
80 スリット
81 爪
H ヒンジ
Q 割り
Q1 第1直線部
Q2 第2直線部
Q3 傾斜部
W 割り幅
Claims (3)
- アウタケース内に接点を構成する金属製の筒状のインナケースを配置した電源ソケットにおいて、
前記インナケースは軸方向全長に割りを有して、自由状態で前記アウタケースの内径より大径に形成され、縮径してアウタケースに挿入後弾性復帰力により前記アウタケースの内壁に圧接状態とされ、
前記割りは、軸方向両端の第1直線部と、該第1直線部に対して周方向にオフセットした軸方向中間の第2直線部とを含み、インナケースと同一厚の板材が該第1直線部から第2直線部への進入を阻止されるように構成したことを特徴とする電源ソケット。 - 前記第1直線部と第2直線部間のオフセット量が、インナケースの自由状態における割り幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電源ソケット。
- 前記第1直線部の長さはそれぞれ前記第2直線部よりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載の電源ソケット。
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