一例として示す電波受信・光伝送システム10Aの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る電波受信・光伝送システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、図1の構成図のうちの増幅器13の詳細を示す部分拡大図であり、図3は、デプレッション型トランジスタ23の周波数特性を示す図である。図4は、デプレッション型トランジスタ23の動作特性を示す図であり、図5は、バイアス回路14およびデプレッション型トランジスタ23への電力供給を説明する図である。図6は、一例として示す光変調器19の構成図であり、図7は、図6の7−7線端面図である。図6,7では、延伸方向(光(レーザ光)の伝搬方向)を矢印A(図6のみ)、幅方向を矢印Bで示し、厚み方向を矢印C(図7のみ)で示す。
電波受信・光伝送システム10Aは、SHF(super high frequency)帯の電波のセンシングに使用される。電波受信・光伝送システム10Aは、アンテナ11およびフィルタ12と、増幅器13(アンプ)およびバイアス回路14と、光電変換素子15(光電変換第1素子)および光電変換素子用光源16(光電変換素子用第1光源)と、光電変換素子17(光電変換第2素子)および光電変換素子用光源18(光電変換素子用第2光源)と、光変調器19および光変調器用光源20と、偏波合成器21と、O/E変換器22とから構成されている。
アンテナ11は、SHF帯の無線電波を受信し、受信したSHF帯の電波の電界強度に比例した電気信号を誘起し、その電気信号を出力する。アンテナ11には、50Ωインピーダンスのそれが使用されている。なお、アンテナ11が受信可能な電波の周波数帯域について特に限定はない。また、アンテナ11の種類について特に限定はなく、1/2波長ダイポールアンテナや1/4波長グランドプレーンアンテナ、3エレメント八木アンテナ、携帯基地局用セクターアンテナ、スリーブアンテナ、ディスコーンアンテナ、バイコニカルアンテナ等の現在存在するあらゆるアンテナを使用することができる。フィルタ12は、アンテナ11から出力された電気信号のうちの所定の電気信号(5〜12GHzの周波数の電界強度に比例した電気信号)のみを通し、その電気信号を増幅器13に出力する。
増幅器13は、フィルタ12(アンテナ11)から出力された電気信号に電力を供給(補充)することで、その電気信号の電界強度を増幅する。増幅器13は、図2に示すように、3つのデプレッション型トランジスタ23から作られている。デプレッション型トランジスタ23は、図3に示すように、周波数が約12GHzまでその利得が大きく低下せず、約12GHzまでの周波数の電波の電界強度を増幅することができる。デプレッション型トランジスタ23は、ゲート電圧を印可しない場合にチャネルが存在し、その動作開始時のバイアス電圧0Vにおいて大きなドレイン電流が流れる。なお、図示の増幅器13は3つのデプレッション型トランジスタ23から作られているが、トランジスタ23の個数に特に限定はなく、1つや2つまたは4つ以上のデプレッション型トランジスタ23から増幅器13が作られていてもよい。
それらデプレッション型トランジスタ23は、図4に示すように、その動作点(トランジスタ電流)が5mAであり、そのバイアス電流が0.01mAである。なお、それらデプレッション型トランジスタ23は、その動作点が2〜20mAの範囲にあればよい。トランジスタ23の動作点が20mAを超過すると、トランジスタ23が大きな電力でしか駆動せず、その結果、電波受信・光伝送システム10Aにおいて使用する光源16(光電変換素子用第1光源)の電力量を少なくすることができず、電波受信・光伝送システム10Aの消費電力を少なくすることができない。
バイアス回路14は、それらデプレッション型トランジスタ23の各ゲートに印加するバイアス電圧を一定に保持し、それらトランジスタ23に一定のバイアス電圧を印加してトランジスタ23を動作させる。バイアス回路14は、図5に示すように、抵抗24を介在させた状態で光電変換素子17(光電変換第2素子)に給電線25(同軸ケーブル)を介して電気的に接続され、さらに、抵抗26を介在させた状態で接地されている。光電変換素子17は、受光した光を電力に変換し、その電力(バイアス電源)をバイアス回路14に供給する。光電変換素子17は、シングルモード光ファイバー27を介して光源18(光電変換素子用第2光源)に接続されている。
光源18(光電変換素子用第2光源)は、光電変換素子17(光電変換第2素子)に半導体レーザ光を出射(供給)するレーザ光源である。光源18から出射される半導体レーザ光は、1.48μmの波長を有するとともに、50mWの電力量を有する。なお、光源18から出射されるレーザ光は、その波長が0.8〜1.6μmの範囲にあればよく、その電力量が1〜100mWの範囲にあればよい。レーザ光の波長が1.6μmを超過すると、光ファイバー27(光路)において不要なノイズが発生し、光源18から出射されるレーザ光にロスが生じる。レーザ光の電力量が100mWを超過すると、不必要な電力をバイアス回路14に供給することになり、その結果、電波受信・光伝送システム10Aにおいて使用する光源18の電力量を少なくすることができず、電波受信・光伝送システム10Aの消費電力を少なくすることができない。
光電変換素子15(光電変換第1素子)は、図2に示すように、2つのそれがデプレッション型トランジスタ23の各ドレインに給電線28(同軸ケーブル)を介して電気的に接続されている。それら光電変換素子15は、受光したレーザ光(光)を電力に変換し、その電力(駆動用電源)をトランジスタ23に供給する。一方の光電変換素子15は、シングルモード光ファイバー29を介して一方の光源16(光電変換素子用第1光源)に接続され、他方の光電変換素子15は、シングルモード光ファイバー29を介して他方の光源16(光電変換素子用第1光源)に接続されている。
それら光源16(光電変換素子用第1光源)は、光電変換素子15(光電変換第1素子)に半導体レーザ光を出射(供給)するレーザ光源である。光源16から出射される半導体レーザ光は、1.48μmの波長を有するとともに、300mWの電力量を有する。なお、光源16から出射されるレーザ光は、その波長が0.8〜1.6μmの範囲にあればよく、その電力量が10〜1000mWの範囲にあればよい。レーザ光の波長が1.6μmを超過すると、光ファイバー29(光路)において不要なノイズが発生し、光源16から出射されるレーザ光にロスが生じる。レーザ光の電力量が1000mWを超過すると、不必要な電力をトランジスタ23に供給することになり、その結果、電波受信・光伝送システム10Aにおいて使用する光源16の電力量を少なくすることができず、電波受信・光伝送システム10Aの消費電力を少なくすることができない。
光変調器19は、増幅器13の直近下位に設置され、増幅器13に給電線30(同軸ケーブル)を介して電気的に接続されている。光変調器19は、フィルタ12(アンテナ11)から出力された電気信号の電界強度(増幅器13によって増幅された電界強度)に応じてそこに入射するレーザ光(入力光)の強度を変調し、レーザ光を変調した変調光をO/E変換器22に出射する。
光変調器19は、電気光学効果を有する結晶基板であるXカットのニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶(材料)から作られた単結晶基板31と、基板31の上面側にTi拡散によって作られたマッハツェンダー型光導波路32と、基板31の上面側に成膜されたバッファ層33と、バッファ層33の上に設置されたフィルム状の2つの第1および第2独立変調電極34,35とから形成されている。
マッハツェンダー型光導波路32は、レーザ光(入力光)の入射側に延びる1本の入力光導波路32aと、入力光導波路32aから二股に分岐して延びる2本の位相シフト導波路32b,32cと、レーザ光の出射側に延びていてそれら位相シフト光導波路32b,32cがつながる1本の出力光導波路32dとから形成されている。入力光導波路32aや位相シフト光導波路32b,32c、出力光導波路32dは、延伸方向と交差する方向の幅寸法Wが等しい。位相シフト光導波路32b,32cは、それらの延伸方向の長さ寸法が等しい。
それら光導波路32a〜32dの幅寸法Wは、5〜10μmの範囲にある。各位相シフト光導波路32b,32cの延伸方向の長さ寸法は、30〜40mmの範囲にある。位相シフト光導波路32b,32cでは、その中央部分が幅方向へ所定寸法離間し、互いに平行して延びている。中央部分におけるそれら光導波路32b,32cの離間寸法は、20〜50μmの範囲にある。なお、光導波路32a〜32dの幅寸法Wや各位相シフト光導波路32b,32cの長さ寸法、中央部分におけるそれら光導波路32b,32cの離間寸法について特に限定はなく、それら寸法を任意に設定することができる。
バッファ層33は、光導波路32を伝搬するレーザ光の一部がそれら変調電極34,35に吸収されることを防止する目的で設けられる。バッファ層33は、SiO2から作られ、その厚さ寸法が約200nmである。第1独立変調電極34は、銅から作られたフィルム電極であり、増幅器13に給電線30を介して電気的に接続されている。第2独立変調電極35は、銅から作られたフィルム電極であり、増幅器13に給電線30を介して電気的に接続されている。それら独立変調電極34,35では、第1独立変調電極34が入力光導波路32aの側に位置し、第2独立変調電極35が出力光導波路32dの側に位置するように、延伸方向へ整然と並んでいる。
それら独立変調電極34,35は、信号電極34a,35aと接地電極34b,34c,35b,35cとから形成されている。信号電極34a,35aは、位相シフト光導波路32b,32cの間に配置され、それら光導波路32b,32cの中央部分と平行して延伸方向へ延びている。信号電極34a,35aは、位相シフト光導波路32b,32cの延伸方向において2つに分割された分割信号電極であり、それら分割信号電極どうしが互いに容量結合されている。それら信号電極34a,35aの延伸方向の長さ寸法は、15mmである。
なお、信号電極34a,35aの分割数に特に限定はなく、分割数を任意に設定することができる。また、信号電極34a,35aの延伸方向の長さ寸法に特に限定はなく、センシングする電波の周波数に応じてその長さを任意に設定することができる。たとえば、センシングする電波の周波数を所定の値に設定したときの信号電極34a,35aの長さ寸法を基準長さとした場合、センシングする電波の周波数が所定の値から高くなるにつれて、信号電極34a,35aの長さ寸法を基準長さよりも短くする。
それら接地電極34b,34c,35b,35cは、位相シフト光導波路32b,32cを挟んで信号電極34a,35aの両側に配置され、それら光導波路32b,32cと平行して延伸方向へ延びている。接地電極34b,34c,35b,35cは、位相シフト光導波路32b,32cの延伸方向において2つに分割された分割接地電極であり、それら分割接地電極どうしが互いに容量結合されている。接地電極34b,34c,35b,35cは、接地されている。それら接地電極34b,34c,35b,35cの延伸方向の長さ寸法は、15mmである。
なお、接地電極34b,34c,35b,35cの分割数に特に限定はなく、分割数を任意に設定することができる。また、接地電極34b,34c,35b,35cの延伸方向の長さ寸法に特に限定はなく、センシングする電波の周波数に応じてその長さを任意に設定することができる。たとえば、センシングする電波の周波数を所定の値に設定したときの接地電極34b,34c,35b,35cの長さ寸法を基準長さとした場合、センシングする電波の周波数が所定の値から高くなるにつれて、接地電極34b,34c,35b,35cの長さ寸法を基準長さよりも短くする。
光変調器19の入力光導波路32aは、シングルモード光ファイバー36を介して偏波合成器21に接続されている。偏波合成器21は、シングルモード光ファイバー37を介して光変調器用光源20に接続されている。光変調器用光源20は、所定の偏波面を有する第1のレーザ光(第1の入力光)を出射する光変調器用第1光源20aと、第1のレーザ光と90°異なる偏波面を有する第2のレーザ光(第2の入力光)を出射する光変調器用第2光源20bとから形成されている。偏波合成器21は、光変調器用第1光源20aと光変調器用第2光源20bとから出射(供給)されたそれらレーザ光を偏波面が互いに直交する合成レーザ光に合成する。
光変調器用第1光源20aは、偏波合成器21(光変調器19)に半導体レーザ光を出射(供給)するレーザ光源であり、光変調器用第2光源20bは、偏波合成器21(光変調器19)に半導体レーザ光を出射(供給)するレーザ光源である。それら光源20a,20bから出射される半導体レーザ光は、1.55μmの波長を有するとともに、50mWの電力量を有する。なお、それら光源20a,20bから出射されるレーザ光は、その波長が1.26〜1.68μmの範囲にあればよく、その電力量が1〜100mWの範囲にあればよい。レーザ光の波長が1.68μmを超過すると、光ファイバー36,37(光路)において不要なノイズが発生し、光源20a,20bから出射されるレーザ光にロスが生じる。レーザ光の電力量が100mWを超過すると、不必要な電力量を有するレーザ光を光変調器19に供給することになり、その結果、電波受信・光伝送システム10Aの消費電力を少なくすることができない。
O/E変換器22は、シングルモード光ファイバー38を介して光変調器19の出力光導波路32dに接続されている。O/E変換器22は、光変調器19から変調光を受光し、その変調光を電気信号に変換した後、その電気信号を出力する。なお、O/E変換器22には、図示はしていないが、放送機がインターフェイスを介して接続されている。放送機は、O/E変換器22から電気信号を受信し、その電気信号を用いて放送波として発信する。
この電波受信・光伝送システム10Aの動作を説明すると、以下のとおりである。なお、電波受信・光伝送システム10AのスイッチがONになり、各光源16,18,20a,20bからレーザ光が出射されているものとする。テレビジョン中継放送によって他のアンテナからSHF帯の電波が発信されると、その電波が電波受信・光伝送システム10Aのアンテナ11に受信される。SHF帯の電波は、所定の電界強度を有する電気信号となってアンテナ11からフィルタ12に出力される。アンテナ11から出力された電気信号のうちの6〜12GHzの周波数の電界強度に比例した電気信号のみがフィルタ12を通り、その電気信号が増幅器13に出力される。
各光源16(各光電変換素子用第1光源)は、1.48μmの波長であって300mWの電力量の半導体レーザ光を出射している。レーザ光は、各光源16から光ファイバー29を通って各光電変換素子15(各光電変換第1素子)に入射し、それら光電変換素子15によって電力に変換される。レーザ光から変換された電力(駆動用電源)は、光電変換素子15から給電線28を通って増幅器13を形成するデプレッション型トランジスタ23の各ドレインに供給される。
光源18(光電変換素子用第2光源)は、1.48μmの波長であって50mWの電力量の半導体レーザ光を出射している。レーザ光は、光源18から光ファイバー27を通って光電変換素子17(光電変換第2素子)に入射し、光電変換素子17によって電力に変換される。レーザ光から変換された電力(バイアス電源)は、光電変換素子17から給電線25を通ってバイアス回路14に供給され、バイアス回路14からデプレッション型トランジスタ23の各ゲートに供給される。
デプレッション型トランジスタ23の各ゲートに電力が供給され、ゲートにバイアス電圧が印可されるとともに、トランジスタ23の各ドレインに電力が供給されると、トランジスタ23の増幅作用が機能する。フィルタ12を通った電気信号は、デプレッション型トランジスタ23(増幅器13)によってその電界強度が増幅される。増幅された電気信号は、増幅器13から給電線30を通って光変調器19に出力される。
各光源20a,20b(光変調器用第1および第2光源)は、1.55μmの波長であって50mWの電力量のレーザ光を出射している。レーザ光は、光源20a,20bから光ファイバー37を通って偏波合成器21に入射し、偏波合成器21によって偏波面が互いに直交する合成レーザ光に合成される。合成レーザ光は、光ファイバー36を通って光変調器19に入射する。
光変調器19では、図6に矢印X1で示すように、偏波合成器21から出射された合成レーザ光が入力光導波路32aの入射口から導波路32aに進入し、位相シフト導波路32b,32cにおいて二分(分波)されて導波路32b,32cに進入した後、出力光導波路32dにおいて再び結合(合波)され、矢印X2で示すように、出力光導波路32dから出射する。光変調器19では、信号電極34a,35aに入力された電気信号の電界強度(高周波信号)によって変調電極34,35(信号電極34a,35aと接地電極34b,34c,35b,35cとの間)に電圧が印加されると、図7に矢印Zで示すZ軸方向に互いに逆向きの電界がそれら位相シフト光導波路32b,32cに印加される。
逆向きの電界が位相シフト光導波路32b,32cに印加されることにより、光導波路32b,32cにおける電気光学効果による屈折率変化の方向が互いに逆向きとなり、位相シフト導波路32b,32cを伝搬するレーザ光(合成レーザ光の一方のレーザ光)に互いに逆向きの位相シフトが生じる。その結果、レーザ光が出力光導波路32dにおける結合時に互いに干渉し、レーザ光の強度が変調されて変調光になる。
光変調器19によって変調された変調光は、出力光導波路32dから出射され、光ファイバー38を通ってO/E変換器22に入射する。O/E変換器22では、変調光を変換した電気信号を生成し、その電気信号をコンピュータに出力する。コンピュータは、O/E変換器22から出力された電気信号に基づいてアンテナ11が受信した電波の波形や周波数、振幅、電界強度、感度特性等を測定し、測定したそれらをディスプレイやプリンタから出力する。
電波受信・光伝送システム10Aは、アンテナ11が受信したSHF帯の電波の電界強度を増幅するため、約12GHzまでの周波数の電波の電界強度を増幅可能なデプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13を利用し、光源16(光電変換素子用第1光源)につながる光電変換素子15(光電変換第1素子)がデプレッション型トランジスタ23に駆動用電源を供給し、光電変換素子用光源18(第2光源)につながる光電変換素子17(光電変換第2素子)がバイアス回路14に独自にバイアス電源を供給するから、バイアス回路14からトランジスタ23に印可するバイアス電圧を安定させることができ、トランジスタ23を確実に動作させることができるとともに、トランジスタ23から形成された増幅器13を利用してアンテナ11が受信したSHF帯の電波の電界強度を確実に増幅させることができる。
デプレッション型トランジスタ23は動作初期において大電流が流れるから、バイアス回路14に必要なバイアス電圧を印加することができず、バイアス回路14が正常に動作しない場合があり、トランジスタ23から形成された増幅器13が正常に機能しない場合がある。しかし、電波受信・光伝送システム10Aは、光電変換素子17(光電変換第2素子)がバイアス回路14に独自にバイアス電源を供給するから、バイアス回路14が正常に動作し、デプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13の増幅作用を正常に機能させることができる。
電波受信・光伝送システム10Aは、デプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13を利用し、SHF帯の電波の電界強度を増幅することができるから、アンテナ11が受信したSHF帯の電波のセンシングを高感度に行うことができる。電波受信・光伝送システム10Aは、大きな電力をバイアス回路14に供給することなくバイアス電圧を安定化させることができるから、光源16から光電変換素子15に供給するレーザ光の電力量を大きくする必要がないとともに、光源18から光電変換素子17に供給するレーザ光の電力量を大きくする必要がなく、電波受信・光伝送システム10Aの消費電力を少なくすることができる。
電波受信・光伝送システム10Aは、光変調器19に偏光依存性があったとしても、さらに、光ファイバー37,38によってレーザ光(入力光)の偏波面が変わったとしても、偏波合成器21から互いに直交する合成レーザ光(互いに直交する第1および第2の光)を光変調器19に出射し、光変調器19によっていずれか一方のレーザ光の強度が変調され、その変調光がO/E変換器22に出射されるから、アンテナ11が受信したSHF帯の電波を確実にセンシングすることができる。
電波受信・光伝送システム10Aは、外部から電力を供給することなく、レーザ光を利用することで無給電でSHF帯の電波をセンシングすることができるから、雷害対策やノイズ対策の必要がないことに加え、電気の供給ができない箇所でも電波のセンシングを行うことができる。電波受信・光伝送システム10Aは、電気を供給する電気供給設備を省略することができ、装置の低コスト化を実現することができる。
図8は、他の一例として示す電波受信・光伝送システム10Bの構成図であり、図9は、図8の構成図のうちの増幅器13の詳細を示す部分拡大図である。この電波受信・光伝送システム10Bが図1のそれと異なるところは、光源18(光電変換素子用第2光源)が存在せず、光分配器39を有する点、光電変換素子17(光電変換第2素子)が光分配器39に接続されている点にあり、その他の構成は図1の電波受信・光伝送システム10Aのそれらと同一であるから、図1や図2と同一の符号を付すとともに、図1や図2の説明を援用することで、この電波受信・光伝送システム10Bにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
電波受信・光伝送システム10Bは、図1のそれと同様に、SHF帯の電波のセンシングに使用される。電波受信・光伝送システム10Bは、アンテナ11およびフィルタ12と、増幅器13(アンプ)およびバイアス回路14と、光電変換素子15(光電変換第1素子)および光源16(光電変換素子用第1光源)と、光分配器39と、光電変換素子17(光電変換第2素子)と、光変調器19および光変調器用光源20と、偏波合成器21と、O/E変換器22とから構成されている。
アンテナ11は、図1のそれと同様に、SHF帯の無線電波を受信し、受信したSHF帯の電波の電界強度に比例した電気信号を誘起し、その電気信号を出力する。フィルタ12は、図1のそれと同様に、アンテナ11から出力された電気信号のうちの所定の電気信号(5〜12GHzの周波数の電界強度に比例した電気信号)のみを通し、その電気信号を増幅器13に出力する。
増幅器13は、フィルタ12(アンテナ11)から出力された電気信号に電力を供給(補充)することで、その電気信号の電界強度を増幅する。増幅器13は、図9に示すように、3つのデプレッション型トランジスタ23から作られている。それらデプレッション型トランジスタ23は、その動作点(トランジスタ電流)が5mAであり、そのバイアス電流が0.01mAである(図4援用)。なお、それらデプレッション型トランジスタ23は、その動作点が2〜20mAの範囲にあればよい。
バイアス回路14は、それらデプレッション型トランジスタ23に一定のバイアス電圧を印加してトランジスタ23を動作させる(図5参照)。光電変換素子17は、シングルモード光ファイバー27を介して光分配器39に接続されている。光電変換素子15(光電変換第1素子)は、図9に示すように、2つのそれがデプレッション型トランジスタ23の各ドレインに給電線28(同軸ケーブル)を介して電気的に接続されている。それら光電変換素子15は、シングルモード光ファイバー29を介して光分配器39に接続されている。
光分配器38は、シングルモード光ファイバー29を介して2つの光源16(光電変換素子用光源)に接続されている。光分配器39は、それら光源16から出射されたレーザ光を光電変換素子15(光電変換第1素子)と光電変換素子17(光電変換第2素子)とに分配する。それら光源16は、1.48μmの波長を有するとともに、300mWの電力量の半導体レーザ光を出射(光を供給)する。それら光源16から出射されるレーザ光は、その波長が0.8〜1.6μmの範囲にあればよく、その電力量が10〜1000mWの範囲にあればよい。
光分配器39では、それら光電変換素子用光源16から光分配器39に入射したレーザ光(光)を100%とした場合において、光分配器39から光電変換第1素子15に出射するレーザ光(光)と光分配器39から光電変換第2素子17に出射するレーザ光(光)との比率が(光電変換第1素子15に出射するレーザ光90〜99%):(光電変換第2素子17に出射するレーザ光1〜10%)である。電波受信・光伝送システム10Bは、1〜10%の比率のレーザ光を光電変換第2素子17に入射させてバイアス電圧を安定化させるとともに、光電変換第1素子15に入射するレーザ光の比率を90〜99%にすることによってそれらデプレッション型トランジスタ23を確実に動作させることができる。
光変調器19は、増幅器13の直近下位に設置され、増幅器13に給電線30(同軸ケーブル)を介して電気的に接続されている。光変調器19は、フィルタ12(アンテナ11)から出力された電気信号の電界強度(増幅器13によって増幅された電界強度)に応じてそこに入射するレーザ光(入力光)の強度を変調し、レーザ光を変調した変調光をO/E変換器22に出射する。光変調器19は、図1の電波受信・光伝送システム10Aのそれと同一であるから、図6,7の説明を援用することで、この電波受信・光伝送システム10Bにおける光変調器19の説明は省略する。
光変調器19は、その入力光導波路32aがシングルモード光ファイバー36を介して偏波合成器21に接続されている。偏波合成器21は、シングルモード光ファイバー37を介して光変調器用第1および第2光源20a,20bに接続されている。光変調器用第1および第2光源20a,20bは、1.55μmの波長を有するとともに、50mWの電力量の半導体レーザ光を出射(光を供給)する。それら光源20a,20bから出射されるレーザ光は、その波長が0.8〜1.6μmの範囲にあればよく、その電力量が1〜100mWの範囲にあればよい。
O/E変換器22は、シングルモード光ファイバー38を介して光変調器19の出力光導波路32dに接続されている。O/E変換器22は、光変調器19から変調光を受光し、その変調光を電気信号に変換した後、その電気信号を出力する。なお、O/E変換器22には、図1の電波受信・光伝送システム10Aと同様に、放送機(図示せず)がインターフェイスを介して接続されている。
この電波受信・光伝送システム10Bの動作を説明すると、以下のとおりである。なお、電波受信・光伝送システム10BのスイッチがONになり、各光源16,20a,20bからレーザ光が出射されているものとする。他のアンテナからSHF帯の電波が発信されると、その電波が電波受信・光伝送システム10Bのアンテナ11に受信される。SHF帯の電波は、所定の電界強度を有する電気信号となってアンテナ11からフィルタ12に出力される。アンテナ11から出力された電気信号のうちの6〜12GHzの周波数の電界強度に比例した電気信号のみがフィルタ12を通り、その電気信号が増幅器13に出力される。
各光源16(光電変換素子用光源)は、1.48μmの波長であって300mWの電力量の半導体レーザ光を出射している。レーザ光は、各光源16から光ファイバー29を通って光分配器39に入射した後、光分配器39によって分配される。光分配器39によって分配されたレーザ光の一方は、光ファイバー29を通って各光電変換素子15(各光電変換第1素子)に入射し、それら光電変換素子15によって電力に変換される。レーザ光から変換された電力(駆動用電源)は、光電変換素子15から給電線28を通って増幅器13を形成するデプレッション型トランジスタ23の各ドレインに供給される。なお、光分配器39に入射したレーザ光を100%とした場合において、そのうちの90〜99%のレーザ光が各光電変換素子15に入射する。
光分配器39によって分配されたレーザ光の他方は、光ファイバー27を通って光電変換素子17(光電変換第2素子)に入射し、光電変換素子17によって電力に変換される。レーザ光から変換された電力(バイアス電源)は、光電変換素子17から給電線25を通ってバイアス回路14に供給され、バイアス回路14からデプレッション型トランジスタ23の各ゲートに供給される。なお、光分配器39に入射したレーザ光を100%とした場合において、そのうちの1〜10%のレーザ光が光電変換素子17に入射する。
デプレッション型トランジスタ23の各ゲートに電力が供給され、ゲートにバイアス電圧が印可されるとともに、トランジスタ23の各ドレインに電力が供給されると、トランジスタ23の増幅作用が機能する。フィルタ12を通った電気信号は、デプレッション型トランジスタ23(増幅器13)によってその電界強度が増幅される。増幅された電気信号は、増幅器13から給電線30を通って光変調器19に出力される。
各光源20a,20b(光変調器用第1および第2光源)は、1.55μmの波長であって50mWの電力量のレーザ光を出射している。レーザ光は、光源20a,20bから光ファイバー37を通って偏波合成器21に入射し、偏波合成器21によって偏波面が互いに直交する合成レーザ光に合成される。合成レーザ光は、光ファイバー36を通って光変調器19に入射する。光変調器19におけるレーザ光(入力光)の変調は、図1の電波受信・光伝送システム10Aのそれと同一であるから、図6,7の説明を援用することでその説明は省略する。
光変調器19によって変調された変調光は、光変調器19の出力光導波路32dから出射され、光ファイバー38を通ってO/E変換器22に入射する。O/E変換器22では、変調光を変換した電気信号を生成し、その電気信号を放送機に出力する。放送機は、O/E変換器22から出力された電気信号を用いて放送波を発信する。
電波受信・光伝送システム10Bは、アンテナ11が受信したSHF帯の電波の電界強度を増幅するため、約12GHzまでの周波数の電波の電界強度を増幅可能なデプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13を利用し、光源16から出射される光を分配する光分配器39につながる各光電変換第1素子15がトランジスタ23に駆動用電源を供給し、光分配器39につながる光電変換第2素子17がバイアス回路14に独自にバイアス電源を供給するから、バイアス回路14からトランジスタ23に印可するバイアス電圧を安定させることができ、トランジスタ23を確実に動作させることができるとともに、トランジスタ23から形成された増幅器13を利用してアンテナ11が受信したSHF帯の電波の電界強度を確実に増幅させることができる。
デプレッション型トランジスタ23は動作初期において大電流が流れるから、バイアス回路14に必要なバイアス電圧を印加することができず、バイアス回路14が正常に動作しない場合があり、トランジスタ23から形成された増幅器13が正常に機能しない場合がある。しかし、電波受信・光伝送システム10Bは、光分配器39につながる光電変換第2素子17がバイアス回路14に独自にバイアス電源を供給するから、バイアス回路14が正常に動作し、デプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13の増幅作用を正常に機能させることができる。
電波受信・光伝送システム10Bは、デプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13を利用し、SHF帯の電波の電界強度を増幅することができるから、アンテナ11が受信したSHF帯の電波のセンシングを高感度に行うことができる。電波受信・光伝送システム10Bは、大きな電力をバイアス回路14に供給することなくバイアス電圧を安定化させることができるから、光源16から光分配器39を経由して光電変換第1素子15に出射するレーザ光の電力量を大きくする必要がないとともに、光源16から光分配器39を経由して光電変換第2素子17に出射するレーザ光の電力量を大きくする必要がなく、電波受信・光伝送システム10Bの消費電力を少なくすることができる。
電波受信・光伝送システム10Bは、光変調器19に偏光依存性があったとしても、さらに、光ファイバー37,38によってレーザ光(入力光)の偏波面が変わったとしても、偏波合成器21から互いに直交する合成レーザ光(互いに直交する第1および第2の光)を光変調器19に出射し、光変調器19によっていずれか一方のレーザ光の強度が変調され、その変調光がO/E変換器22に出射されるから、アンテナ11が受信したSHF帯の電波を確実にセンシングすることができる。
電波受信・光伝送システム10Bは、外部から電力を供給することなく、レーザ光を利用することで無給電でSHF帯の電波をセンシングすることができるから、雷害対策やノイズ対策の必要がないことに加え、電気の供給ができない箇所でも電波のセンシングを行うことができる。電波受信・光伝送システム10Bは、電気を供給する電気供給設備を省略することができ、装置の低コスト化を実現することができる。
図10は、他の一例として示す電波受信・光伝送システム10Cの構成図であり、図11は、図10の構成図のうちの増幅器13の詳細を示す部分拡大図である。この電波受信・光伝送システム10Cが図1のそれと異なるところは、光源18(光電変換素子用第2光源)が存在せず、偏波分離器40を有する点、光電変換素子17(光電変換第2素子)が偏波分離器40に接続されている点、光変調器19と偏波分離器40とが偏波保持光ファイバー41によって接続されている点にあり、その他の構成は図1の電波受信・光伝送システム10Aのそれらと同一であるから、図1や図2と同一の符号を付すとともに、図1や図2の説明を援用することで、この電波受信・光伝送システム10Cにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
電波受信・光伝送システム10Cは、図1のそれと同様に、SHF帯の電波のセンシングに使用される。電波受信・光伝送システム10Cは、アンテナ11およびフィルタ12と、増幅器13(アンプ)およびバイアス回路14と、光電変換素子15(光電変換第1素子)および光源16(光電変換素子用第1光源)と、光電変換素子17(光電変換第2素子)と、光変調器19および光変調器用光源20と、偏波合成器21および偏波分離器40と、O/E変換器22とから構成されている。
アンテナ11は、図1のそれと同様に、SHF帯の無線電波を受信し、受信したSHF帯の電波の電界強度に比例した電気信号を誘起し、その電気信号を出力する。フィルタ12は、図1のそれと同様に、アンテナ11から出力された電気信号のうちの所定の電気信号(5〜12GHzの周波数の電界強度に比例した電気信号)のみを通し、その電気信号を増幅器13に出力する。
増幅器13は、フィルタ12(アンテナ11)から出力された電気信号に電力を供給(補充)することで、その電気信号の電界強度を増幅する。増幅器13は、図11に示すように、3つのデプレッション型トランジスタ23から作られている。それらデプレッション型トランジスタ23は、その動作点(トランジスタ電流)が5mAであり、そのバイアス電流が0.01mAである(図4援用)。なお、それらデプレッション型トランジスタ23は、その動作点が2〜20mAの範囲にあればよい。
バイアス回路14は、それらデプレッション型トランジスタ23に一定のバイアス電圧を印加してトランジスタ23を動作させる(図5参照)。光電変換素子17は、シングルモード光ファイバー27を介して偏波分離器40に接続されている。
光電変換素子15(光電変換第1素子)は、図11に示すように、2つのそれがデプレッション型トランジスタ23の各ドレインに給電線28(同軸ケーブル)を介して電気的に接続されている。それら光電変換素子15は、シングルモード光ファイバー29を介して光源16(光電変換素子用光源)に接続されている。それら光源16は、1.48μmの波長を有するとともに、300mWの電力量の半導体レーザ光を出射(光を供給)する。それら光源16から出射されるレーザ光は、その波長が0.8〜1.6μmの範囲にあればよく、その電力量が10〜1000mWの範囲にあればよい。
光変調器19は、増幅器13の直近下位に設置され、増幅器13に給電線30(同軸ケーブル)を介して電気的に接続されている。光変調器19は、フィルタ12(アンテナ11)から出力された電気信号の電界強度(増幅器13によって増幅された電界強度)に応じてそこに入射するレーザ光(入力光)の強度を変調し、レーザ光を変調した変調光をO/E変換器22に出射する。光変調器19は、図1の電波受信・光伝送システム10Aのそれと同一であるから、図6,7の説明を援用することで、この電波受信・光伝送システム10Bにおける光変調器19の説明は省略する。
光変調器19は、その入力光導波路32aが偏波保持光ファイバー41を介して偏波分離器40に接続されている。偏波分離器40は、シングルモード光ファイバー37を介して偏波合成器21に接続されている。偏波合成器21は、シングルモード光ファイバー37を介して光変調器用第1および第2光源20a,20bに接続されている。
光変調器用第1および第2光源20a,20bは、1.55μmの波長を有するとともに、50mWの電力量の半導体レーザ光を出射(光を供給)する。それら光源20a,20bから出射されるレーザ光は、その波長が0.8〜1.6μmの範囲にあればよく、その電力量が1〜100mWの範囲にあればよい。偏波分離器40は、それら光源20a,20bから出射されて偏波合成器21によって合成された合成レーザ光を分離し、一方のレーザ光を光電変換素子17(光電変換第2素子)に出射し、他方のレーザ光を光変調器19に出射する。
O/E変換器22は、シングルモード光ファイバー38を介して光変調器19の出力光導波路32dに接続されている。O/E変換器22は、光変調器19から変調光を受光し、その変調光を電気信号に変換した後、その電気信号を出力する。なお、O/E変換器22には、図1の電波受信・光伝送システム10Aと同様に、コンピュータ(図示せず)がインターフェイスを介して接続されている。
この電波受信・光伝送システム10Cの動作を説明すると、以下のとおりである。なお、電波受信・光伝送システム10CのスイッチがONになり、各光源16,20a,20bからレーザ光が出射されているものとする。他のアンテナからSHF帯の電波が発信されると、その電波が電波受信・光伝送システム10Cのアンテナ11に受信される。SHF帯の電波は、所定の電界強度を有する電気信号となってアンテナ11からフィルタ12に出力される。アンテナ11から出力された電気信号のうちの6〜12GHzの周波数の電界強度に比例した電気信号のみがフィルタ12を通り、その電気信号が増幅器13に出力される。
各光源16(光電変換素子用光源)は、1.48μmの波長であって300mWの電力量の半導体レーザ光を出射している。レーザ光は、各光源16から光ファイバー29を通って各光電変換素子15(各光電変換第1素子)に入射し、それら光電変換素子15によって電力に変換される。レーザ光から変換された電力(駆動用電源)は、光電変換素子15から給電線28を通って増幅器13を形成するデプレッション型トランジスタ23の各ドレインに供給される。
各光源20a,20b(光変調器用第1および第2光源)は、1.55μmの波長であって50mWの電力量のレーザ光を出射している。レーザ光は、光源20a,20bから光ファイバー37を通って偏波合成器21に入射し、偏波合成器21によって偏波面が互いに直交する合成レーザ光に合成される。合成レーザ光は、光ファイバー36を通って偏波分離器40に入射し、偏波分離器40において分離される。偏波分離器40において分離されたレーザ光のうちの一方は、偏波保持光ファイバー41を通って光変調器19に入射する。なお、光変調器19に入射するレーザ光は偏波保持光ファイバー41によってその偏波面が保持されるから、偏波面が変わることはなく、一定の偏波面を有するレーザ光が光変調器19に入射する。
偏波分離器40において分離されたレーザ光のうちの他方は、光ファイバー27を通って光電変換素子17(光電変換第2素子)に入射し、光電変換素子17によって電力に変換される。レーザ光から変換された電力(バイアス電源)は、光電変換素子17から給電線25を通ってバイアス回路14に供給され、バイアス回路14からデプレッション型トランジスタ23の各ゲートに供給される。
デプレッション型トランジスタ23の各ゲートに電力が供給され、ゲートにバイアス電圧が印可されるとともに、トランジスタ23の各ドレインに電力が供給されると、トランジスタ23の増幅作用が機能する。フィルタ12を通った電気信号は、デプレッション型トランジスタ23(増幅器13)によってその電界強度が増幅される。増幅された電気信号は、増幅器13から給電線30を通って光変調器19に出力される。
光変調器19におけるレーザ光(入力光)の変調は、図1の電波受信・光伝送システム10Aのそれと同一であるから、図6,7の説明を援用することでその説明は省略する。なお、光変調器19では、偏波分離器40から出射された一方のレーザ光が入力光導波路32aの入射口から導波路32aに進入し、位相シフト導波路32b,32cにおいて二分(分波)されて導波路32b,32cに進入した後、出力光導波路32dにおいて再び結合(合波)され、矢印X2で示すように、出力光導波路32dから出射する。
光変調器19によって変調された変調光は、光変調器19の出力光導波路32dから出射され、光ファイバー38を通ってO/E変換器22に入射する。O/E変換器22では、変調光を変換した電気信号を生成し、その電気信号を放送機に出力する。放送機は、O/E変換器22から出力された電気信号を用いて放送波を発信する。
電波受信・光伝送システム10Cは、アンテナ11が受信したSHF帯の電波の電界強度を増幅するため、約12GHzまでの周波数の電波の電界強度を増幅可能なデプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13を利用し、光電変換素子用光源16につながる各光電変換第1素子15がトランジスタ23に駆動用電源を供給し、偏波分離器40につながる光電変換第2素子17がバイアス回路14に独自にバイアス電源を供給するから、バイアス回路14からトランジスタ23に印可するバイアス電圧を安定させることができ、トランジスタ23を確実に動作させることができるとともに、トランジスタ23から形成された増幅器13を利用してアンテナ11が受信したSHF帯の電波の電界強度を確実に増幅させることができる。
デプレッション型トランジスタ23は動作初期において大電流が流れるから、バイアス回路14に必要なバイアス電圧を印加することができず、バイアス回路14が正常に動作しない場合があり、トランジスタ23から形成された増幅器13が正常に機能しない場合がある。しかし、電波受信・光伝送システム10Cは、偏波分離器40につながる光電変換第2素子17がバイアス回路14に独自にバイアス電源を供給するから、バイアス回路14が正常に動作し、デプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13の増幅作用を正常に機能させることができる。
電波受信・光伝送システム10Cは、デプレッション型トランジスタ23から形成された増幅器13を利用し、SHF帯の電波の電界強度を増幅することができるから、アンテナ11が受信したSHF帯の電波のセンシングを高感度に行うことができる。電波受信・光伝送システム10Cは、偏波合成器21によって合成された合成レーザ光(入力光)を偏波分離器40によって分離し、その一方を光電変換素子17(光電変換第2素子)に出射してバイアス回路14にバイアス電源を供給することで、大きな電力をバイアス回路14に供給することなくバイアス電圧を安定化させることができるから、光電変換素子用光源16から光電変換素子15(光電変換第1素子)に出射する光の電力量を大きくする必要がないとともに、光変調器用第1および第2光源20a,20bから光電変換素子17に出射する光の電力量を大きくする必要がなく、電波受信・光伝送システム10Cの消費電力を少なくすることができる。
電波受信・光伝送システム10Cは、光変調器19と偏波分離器40とが偏波保持光ファイバー41によって連結され、光変調器19と偏波分離器40との間においてレーザ光(入力光)の偏波面が変わることがないから、光変調器19に偏光依存性があったとしても、一定の偏波面を有するレーザ光が光変調器19によって変調され、その変調光がO/E変換器22に出射されるから、アンテナ11が受信したSHF帯の電波を確実にセンシングすることができる。
電波受信・光伝送システム10Cは、外部から電力を供給することなく、レーザ光を利用することで無給電でSHF帯の電波をセンシングすることができるから、雷害対策やノイズ対策の必要がないことに加え、電気の供給ができない箇所でも電波のセンシングを行うことができる。電波受信・光伝送システム10Cは、電気を供給する電気供給設備を省略することができ、装置の低コスト化を実現することができる。