JP5769343B2 - Dc−dcコンバータおよびdc−dcコンバータの制御方法 - Google Patents

Dc−dcコンバータおよびdc−dcコンバータの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、DC−DCコンバータに関し、特に負荷変動に対して高速制御する負荷応答性が良好なDC−DCコンバータおよびDC−DCコンバータの制御方法に関する。
半導体、液晶、太陽光パネルなどの製造装置は高性能化や高機能化に伴い、製造装置に要求される負荷条件が大きく変動する傾向にある。例えば、パルス駆動と呼ばれる、負荷電流をパルス的に製造装置に供給する駆動態様が知られている。このように負荷電流がパルス的に変動する場合には、負荷条件も大きく変動する。そのため、製造装置に搭載されるDC−DCコンバータには、急峻な負荷変動に対応して負荷電圧を短時間で一定電圧に戻して維持する高速応答性が求められている。
従来の製造装置に搭載されてきたDC−DCコンバータは、その制御方式としてPI制御の定電圧制御が広く一般的に使用されている。しかし、負荷電流がパルス的に変化するパルス運転を利用した製造装置において、従来のPI制御を搭載したDC−DCコンバータでは、安定した定電圧を維持することが難しいという問題がある。
例えば、成膜製造装置において、パルス運転による負荷電圧の変動は、成膜品質の障害や製造工程の制約の要因となるため、パルス運転において安定した定電圧を維持することが課題となっている。
通常のPI制御は線形制御であり、制御対象を含む制御系は線形であることが前提となっている。PI制御の負荷応答性は制御ループの周波数特性の制約を受ける。制御ループの周波数特性は、制御ループを構成するエラーアンプの周波数特性や、スイッチング動作の1周期分に相当する時間遅れや、LCフィルタを含む補償回路の周波数特性などによって制約を受けるため応答速度が制限される。この周波数特性の制約によって応答速度が制限されるため、線形制御の負荷応答性に限界が生じることになる(非特許文献1参照)。
このようなPI制御における負荷応答性に対して、リアクトル電流をマイナーループとして帰還することで負荷応答性を改善する方法が知られているが(非特許文献2参照)、マイナーループによってリアクトル電流を帰還させる制御方法でも応答性の改善に限界がある。
線形制御の負荷応答性の限界を克服する方法として、ヒステリシス制御(非特許文献3参照)や、線形制御と非線形制御を組み合わせた制御(非特許文献4参照)なども提案されている。
上記したヒステリシス制御や線形制御と非線形制御を組み合わせた制御は可変周波数制御であるため、負荷急変時の過渡状態において非常に優秀な応答性を示すものの、周波数を揃える必要性から複数のDC−DCコンバータを並列運転することが難しく、特に、供給電力が大電力化するに伴って、DC−DCコンバータの出力電力も大容量化させる必要があるため、この問題はより顕著となる。
この周波数問題の解決策として、外部クロックに同期させる方法(非特許文献5参照)やコンスタント・オンタイム制御方式(非特許文献6参照)が提案されている。しかし、製造装置として使用されるkWクラスのDC−DCコンバータへの適用は進んでいないのが現状である。
(従来の制御および動作例)
図15はDC−DCコンバータの主回路の一例を示している。図15に示す主回路100は、三相交流101を整流する整流部102と、整流部102の出力を入力平滑して、ノイズ分を除去して直流分を出力する入力フィルタ103と、同期整流方式のDC−DC変換部104とで構成される。DC−DC変換部104は、スイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御するスイッチング部105と、インダクタンスLと出力コンデンサCとを直列接続してなる出力フィルタ106とを備える。
ここで、Vacは三相線間電圧、Eは入力電圧、LとCは入力フィルタ103のインダクタンスとコンデンサである。また同様に、LとCは出力フィルタ106のインダクタンスとコンデンサを表している。スイッチング部105は、2つのスイッチング素子SとSとを備え、スイッチング素子Sは出力スイッチング素子を構成し、スイッチング素子Sは環流・回生スイッチング素子を構成している。
スイッチング部105は、図示していない制御部によって互いに相補的にオンオフ制御され、出力電圧Vを制御する。スイッチング部105において、スイッチング素子Sに与えられるゲート信号gateの反転信号がスイッチング素子Sのゲート信号となり、スイッチング素子Sのオンオフ動作とスイッチング素子Sのオンオフ動作とは同期して互いに相補的に動作する。
スイッチング素子Sがオン状態、スイッチング素子Sがオフ状態にあるときは、電流は負荷に向かって流れ、スイッチング素子Sがオフ状態、スイッチング素子Sがオン状態にあるときは、電流は環流又は電源側に回生される。
従来、図15に示す主回路は、図16(a)に示す電圧制御系や図16(b)に示すリアクトル電流をマイナーループとした制御系により制御されている。
(電圧制御系)
図16(a)はマイナーループを持たない一般的な定電圧制御ループを示している。電圧制御系において、DC−DCコンバータの出力電圧Vは帰還回路(H)111により電圧指令VREFに対して負帰還として帰還され、突き合わせによって出力電圧Vと電圧指令VREFとの差分を得る。この突き合わせでは、出力電圧Vの極性を負とし、電圧指令VREFの極性を正として出力電圧Vを負帰還する。
突き合わせで得られた出力電圧Vと電圧指令VREFとの差分は、電圧PI制御器(V−PI)112で増幅され、その出力は比較器113で基準の三角波114と比較され、ゲート信号gateを生成する。生成されたゲート信号gateはスイッチング素子S,Sに与えられて出力電圧Vの制御を行う。
電圧制御系は主回路上の電流(I又はI)を制御対象としないため、出力フィルタ106の共振周波数近傍で電流共振が生じる。特に、負荷急変などの外乱入力時には出力電圧Vが2次系振動を示すため整定に時間がかかる。このため、電圧制御系の制御利得帯域は共振点よりも十分低く設計するのが一般的であり、負荷応答性の遅い原因となっている。
(リアクトル電流によるマイナーループ)
図16(b)はリアクトル電流Iをマイナーループに負帰還した制御系を示している。この制御系は、電圧PI制御器(V−PI)112に、さらに電流PI制御器(I−PI)116をカスケード接続した構成である。電圧PI制御器112の出力は、リアクトル電流の電流指令ILREFとなる。
インダクタンスLを流れるリアクトル電流Iはマイナーループの帰還回路(H)115により負帰還として帰還され、突き合わせによってリアクトル電流Iと電流指令ILREFとの差分が得られる。この突き合わせでは、リアクトル電流Iの極性を負とし、電流指令ILREFの極性を正としてリアクトル電流Iを負帰還する。
突き合わせで得られたリアクトル電流Iと電流指令ILREFとの差分は電流PI制御器(I−PI)116で増幅される。この電流PI制御器116の出力は、比較器113で基準となる三角波114と比較され、ゲート信号gateを生成する。生成されたゲート信号gateはスイッチング素子S,Sに与えられて出力電圧Vの制御を行う。
このリアクトル電流を帰還するマイナーループによる方式では、リアクトル電流Iを制御するマイナーループは一次系になるため電流共振は抑制される。そして、負荷急変など外乱入力時に発生する出力電圧Vの2次系振動は大幅に抑制される。このため、図16(b)に示すマイナーループを有する系は、図16(a)に示す電圧制御系よりも制御利得帯域を高域に設定することが可能であり、負荷応答性が大幅に改善される。
上記した電圧制御系による電圧モード制御や、リアクトル電流のマイナーループによる電流モード制御によってコンバータの出力電圧を規制する他に、コンバータ出力の過渡現象の影響を低減する方法として、出力電流をフィードフォワードする方法が知られている。この出力電流のフィードフォワード制御において、コンバータの出力電流を求めるために、出力コンデンサを流れる電流とインダクタンスを流れるリアクトル電流とをそれぞれ求め、これらの電流の総和から出力電流を求めることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−354787号公報(段落[0008]、段落[0011],段落[0012])
日経BP社:「高速が特徴のヒステリシス制御 電源制御方式の主役に踊り出る」,日経エレクトロニクス,2009/06/15号 p.82 (2009) Mark Hartman, 鈴木 秀彦:「電流モード制御 DC−DCコンバータの設計」,トランジスタ技術,2004年4月号 pp.213-222 (2004) 富士通セミコンダクター株式会社:「注目されるDC/DCコンバータの制御方式 非線形制御のヒステリシス制御方式」,FinD,Vo.27,No.4 pp.25-27 (2009) Mohamed Saad, Mohamed Orabi, El-Sayed Hasaneen, and Ashraf Lotfi : "A Novel Linear-Nonlinear Technique for Fast Transient Buck Converter", IEEE 33rd INTELEC 2011 (2011) Kiichiro Taniguchi, Terukazu Sato, Takashi Nabeshima, and Kimihiro Nishijima : "Constant Frequency Hysteretic PWM Controlled Buck Converter", IEEE PEDS 2009, pp.1194-1199 (2009) 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社: 「コンスタント・オンタイム制御方式」,最新アナログ基礎用語集, http://www.tij.co.jp/lsds/ti_ja/analog/glossary/cot.page
上記したように、PI制御やリアクトル電流のマイナーループ等の線形制御では負荷応答性に限界があるため、負荷急変に対して高速応答することが困難であるという課題がある。
また、この線形制御の負荷応答性の課題を解決するために、ヒステリシス制御や線形制御と非線形制御とを組み合わせた制御等の可変周波数制御が提案されているが、可変周波数方式であることから大電力の並列運転に適していないという問題がある。
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、DC−DCコンバータにおいて、負荷急変に対する高速負荷応答性を改善することを目的とし、固定周波数による大電力の並列運転を容易とすることを目的とする。
本願発明は、上記課題に鑑み、DC−DCコンバータにおいて、大電力化に適した並列運転が可能な固定周波数による駆動とし、かつ、非線形制御と同等の高速負荷応答性を有する線形制御による制御を行うために、電流マイナーループにおいてリアクトル電流を帰還する代わりにコンデンサ電流を帰還して、負荷の微分変動を帰還する微分帰還を行い、これによって負荷急変に対する高速負荷応答性を改善する。
DC−DCコンバータは、スイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御するスイッチング部と、インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続してなる出力フィルタと、スイッチング部を制御する制御部とを備え、スイッチング部の出力を出力フィルタに通し、出力フィルタの出力コンデンサの両端子間の出力電圧を直流出力として出力する。
DC−DCコンバータは、負荷変動が生じた場合においても出力電圧を一定電圧に維持するために制御ループを備える。制御ループは、出力フィルタの出力電圧を帰還して電圧制御する出力電圧制御ループと、出力フィルタの出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を帰還して電流制御する出力コンデンサ電流ループとを備える。
本発明のDC−DCコンバータは、出力コンデンサ電流ループにおいて、出力フィルタの出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を検出し、コンデンサ電流を制御部に帰還する。コンデンサ電流は、負荷の電圧変動に対して微分変動の関係にある。したがって、コンデンサ電流を帰還することは、負荷電圧の微分変動を帰還することに対応する。
本発明は、コンデンサ電流を帰還することで負荷電圧の微分変動を帰還する微分帰還を行う。微分帰還は負荷変動に対して高い応答性で帰還動作を行うことができるため、インダクタンスを流れるリアクトル電流の負荷電流への追従を早め、負荷電圧の変動を抑制する帰還動作の帰還応答性を高める。これにより、負荷変動時における出力電圧の変動を応答性良く抑制することができる。
本発明のDC−DCコンバータが備える制御部は、出力電圧制御ループによって帰還された出力電圧を用いて電圧制御を行う出力電圧制御部と、出力コンデンサ電流制御ループによって帰還されたコンデンサ電流を用いて電流制御を行う出力コンデンサ電流制御部とを備える。
出力コンデンサ電流制御部は、コンデンサ電流の帰還電流値と電流指令値とを零電流値の近傍で比較する。電流指令値は、グラウンド接地等の基準電圧に基づいて得られる零基準値を用いる他、出力電圧制御ループの出力に基づいて得られる信号を用いることができる。
負荷電圧が定常状態においては、出力コンデンサから帰還されるコンデンサ電流は零電流となる。
したがって、電流指令値として零基準値を用いた場合には、コンデンサ電流の帰還値と電流指令値との比較は、零電流の近傍での比較となる。また、電流指令値を出力電圧制御ループの出力に基づいて得られる信号を用いた場合においても、出力電圧制御部のPI制御による出力である電流指令値も零電流となるため、負荷変動時において、コンデンサ電流の帰還電流値と出力電圧制御部の出力に基づく電流指令値との比較は、帰還電流値と電流指令値とは共に定常状態が零電流であることから、零電流値からの変化量に基づいて行う比較であり、零電流値を基準レベルとする零電流の近傍での比較となる。
零電流の近傍で比較することで、帰還電流値と電流指令値との差分は、コンデンサ電流の帰還電流値と見なすことができ、コンデンサ電流の帰還は、負荷電圧の微分特性に基づく帰還となるため、負荷急変時の高速応答性を高めることができる。
また、零電流の近傍で比較することによって、出力コンデンサ電流制御部で得られる制御量は、負荷電流やインダクタンスを流れるリアクトル電流に依存することなく帰還電流自体の大きさに依存した量となり、リアクトル電流の大きさに影響されることなく、負荷変動に応じた帰還制御とすることができる。
出力コンデンサ電流制御部は、この比較に基づいて、リアクトル電流を負荷電流へ追従させる制御量を得ることができる。得られた制御量は、例えば三角波形と比較することによってゲート出力のパルス幅の時間比率(時比率)を定め、これによってスイッチング部のスイッチング素子のオンオフ動作を制御する。
コンデンサ電流の帰還は、負荷増加時にはコンデンサ電流の放電電流により正帰還され、負荷減少時はコンデンサ電流の充電電流により負帰還される。
無負荷から全負荷に負荷変動するといった負荷増加時には、コンデンサ電流は放電電流となる。放電電流は負荷電流と同方向であるため、負荷変動に対して正帰還として帰還される。コンデンサ電流による正帰還は、リアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、これによって、負荷急変時の電圧変動を抑制する。
一方、全負荷から無負荷に負荷変動するといった負荷減少時には、コンデンサ電流は充電電流となる。充電電流は負荷電流と逆方向であるため、コンデンサ電流は負帰還として帰還される。コンデンサ電流による負帰還は、リアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制し、これによって、負荷急変時の電圧変動を抑制する。
制御部は、出力電圧制御部が備える電圧PI制御回路と、出力コンデンサ電流制御部が備える電流PI制御回路とをそれぞれ独立した構成とする他に、カスケード接続した構成とすることもできる。
電圧PI制御回路は、出力フィルタの出力電圧の負帰還電圧値と電圧指令値との差分を入力信号として入力し、出力信号に基づいてスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成する。
電流PI制御回路は、出力コンデンサのコンデンサ電流の負帰還電流値と電流指令値との差分と入力信号として入力し、電流PI制御によって得られた出力信号に基づいて、制御部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成する。
スイッチング部は、直流入力端子間に、出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子とを直列接続して構成することができる。
出力フィルタは、スイッチング部の出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子との接続点と、直流入力端子の低電位端子との間に、インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続して構成することができ、出力コンデンサの両端子間を出力端とする。
出力電圧制御部の出力信号と出力コンデンサ電流制御部の出力信号は切り替えて制御出力(ゲート信号)として出力し、制御出力(ゲート信号)は出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子とを相互に相補的にオンオフ制御する。
制御出力(ゲート信号)の切り替えは、コンデンサ電流の変動の有無に基づいて行うことができる。コンデンサ電流が変動し、定常時の零状態から正又は負に変化した場合には、出力コンデンサ電流制御部の出力信号を制御出力(ゲート信号)として出力し、出力コンデンサ電流が変動せず零状態にあるときは、出力電圧制御部の出力信号を制御出力(ゲート信号)として出力する。
出力コンデンサ電流制御ループの応答速度は出力電圧制御ループの応答速度よりも速く設定されるため、負荷急変時において、コンデンサ電流が変動した場合には、主に出力コンデンサ電流制御ループにより制御が行われる。一方、定常状態において、コンデンサ電流が変動しない場合には、出力電圧制御ループにより制御が行われる。
本発明のDC−DCコンバータの制御方法の態様は、スイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御するスイッチング部と、インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続してなる出力フィルタと、スイッチング部を制御する制御部とを備え、スイッチング部の出力を出力フィルタに通し、出力フィルタの出力コンデンサの両端子間の出力電圧を直流出力とするDC−DCコンバータの制御方法であり、DC−DCコンバータは、出力フィルタの出力電圧を帰還して電圧制御する出力電圧制御ループと、出力フィルタの出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を帰還して電流制御する出力コンデンサ電流制御ループとによって、出力電圧を一定に維持する制御を行う。
DC−DCコンバータの制御は、出力コンデンサ電流制御ループにおいて、制御部にコンデンサ電流を帰還することによって、負荷電圧の微分変動を帰還し、コンデンサ電流の帰還による前記負荷電圧の微分変動の帰還によって帰還応答性を高め、インダクタンスを流れるリアクトル電流の負荷電流への追従を早め、負荷変動時における出力電圧の変動を抑制する。
制御部は、出力電圧制御ループにおいて帰還された出力電圧によって電圧制御する出力電圧制御部と、出力コンデンサ電流制御ループにおいて帰還されたコンデンサ電流によって電流制御する出力コンデンサ電流制御部とを備える。
コンデンサ電流の帰還を、負荷増加時においてコンデンサ電流の放電電流により正帰還し、負荷減少時においてコンデンサ電流の充電電流により負帰還する。正帰還によってリアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、負帰還によってリアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制する。
出力コンデンサ電流制御ループのコンデンサ電流制御において、コンデンサ電流の帰還電流値と前記電流指令値とを零電流値の近傍で比較する。
零電流の近傍で比較することで、コンデンサ電流の帰還を負荷電圧の微分特性に基づく帰還として負荷急変時の高速応答性を高め、出力コンデンサ電流制御部で得られる制御量を、負荷電流やインダクタンスを流れるリアクトル電流に依存することなく帰還電流自体の大きさに依存した量とし、リアクトル電流の大きさに影響されることなく、負荷変動に応じた帰還制御を行う。
(カスケード制御に適用した態様)
本発明のDC−DCコンバータにおいて、出力コンデンサ電流制御は、出力電圧制御ループと出力コンデンサ電流制御ループとをそれぞれ独立した構成とする態様に限らず、出力電圧制御ループと出力コンデンサ電流制御ループとの多重ループによりカスケード制御する構成の態様に適用することができる。
以下、出力電圧制御ループを外側ループとし、出力コンデンサ電流制御ループを内側ループとて多重ループを構成し、出力電圧制御ループの出力を出力コンデンサ電流制御ループの電流指令値としてカスケード制御を行う態様について示す。カスケード制御の態様では、出力電圧制御ループは電圧メジャーループを構成し、出力コンデンサ電流制御ループは電流マイナーループを構成する。
本発明のDC−DCコンバータは、電流マイナーループにおいて、出力フィルタの出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を検出し、コンデンサ電流を制御部に帰還する。コンデンサ電流は、負荷の電圧変動に対して微分変動の関係にある。したがって、コンデンサ電流を帰還することは、負荷電圧の微分変動を帰還することに対応する。
本発明は、コンデンサ電流を帰還することで負荷電圧の微分変動を帰還する微分帰還を行う。微分帰還は負荷変動に対して高い応答性で帰還動作を行うことができるため、インダクタンスを流れるリアクトル電流の負荷電流への追従を早め、負荷電圧の変動を抑制する帰還動作の帰還応答性を高める。これにより、負荷変動時における出力電圧の変動を応答性良く抑制することができる。
本発明のDC−DCコンバータが備える制御部は、電圧メジャーループによって帰還された出力電圧を用いて電圧制御を行う出力電圧制御部と、電流マイナーループによって帰還されたコンデンサ電流を用いて電流制御を行う出力コンデンサ電流制御部とを備える。
カスケード制御の制御ループは、電圧メジャーループの出力電圧制御部の出力を電流マイナーループの出力コンデンサ電流制御部の電流指令値として入力する。出力コンデンサ電流制御部は、コンデンサ電流の帰還電流値と、電圧メジャーループの出力電圧制御部の出力に基づく電流指令値とを零電流値の近傍で比較する。
負荷電圧が定常状態においては、帰還されるコンデンサ電流は零電流となり、出力電圧制御部のPI制御による出力である電流指令値も零電流となる。したがって、負荷変動時には、出力コンデンサ電流制御部において、コンデンサ電流の帰還電流値と出力電圧制御部の出力に基づく電流指令値との比較は、帰還電流値と電流指令値とは共に定常状態が零電流であることから、零電流値からの変化量に基づいて行う比較であり、零電流値を基準レベルとする零電流の近傍での比較となる。
零電流の近傍で比較することで、帰還電流値と電流指令値との差分は、コンデンサ電流の帰還電流値と見なすことができ、コンデンサ電流の帰還は、負荷電圧の微分特性に基づく帰還となるため、負荷急変時の高速応答性を高めることができる。
また、零電流の近傍で比較することによって、出力コンデンサ電流制御部で得られる制御量は、負荷電流やインダクタンスを流れるリアクトル電流に依存することなく帰還電流自体の大きさに依存した量となり、リアクトル電流の大きさに影響されることなく、負荷変動に応じた帰還制御とすることができる。
出力コンデンサ電流制御部は、この比較に基づいて、リアクトル電流を負荷電流へ追従させる制御量を得ることができる。得られた制御量は、例えば三角波形と比較することによってゲート出力のパルス幅の時間比率(時比率)を定め、これによってスイッチング部のスイッチング素子のオンオフ動作を制御する。
コンデンサ電流の帰還は、負荷増加時にはコンデンサ電流の放電電流により正帰還され、負荷減少時はコンデンサ電流の充電電流により負帰還される。
無負荷から全負荷に負荷変動するといった負荷増加時には、コンデンサ電流は放電電流となる。放電電流は負荷電流と同方向であるため、負荷変動に対して正帰還として帰還される。コンデンサ電流による正帰還は、リアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、これによって、負荷急変時の電圧変動を抑制する。
一方、全負荷から無負荷に負荷変動するといった負荷減少時には、コンデンサ電流は充電電流となる。充電電流は負荷電流と逆方向であるため、コンデンサ電流は負帰還として帰還される。コンデンサ電流による負帰還は、リアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制し、これによって、負荷急変時の電圧変動を抑制する。
制御部は、出力電圧制御部が備える電圧PI制御回路と、出力コンデンサ電流制御部が備える電流PI制御回路とをカスケード接続することで構成することができる。
電圧PI制御回路は、出力フィルタの出力電圧の負帰還電圧値と電圧指令値との差分を入力信号として入力し、出力信号を電流PI制御回路におけるコンデンサ電流の電流指令値として出力する。
電流PI制御回路は、出力コンデンサのコンデンサ電流の負帰還電流値と電圧PI制御回路から得られる電流指令値との差分を入力信号として入力し、電流PI制御によって得られた出力信号に基づいて、制御部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成する。
スイッチング部は、直流入力端子間に、出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子とを直列接続して構成することができる。
出力フィルタは、スイッチング部の出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子との接続点と、直流入力端子の低電位端子との間に、インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続して構成することができ、出力コンデンサの両端子間を出力端とする。
制御部は、カスケード制御の制御出力によって出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子とを相互に相補的にオンオフ制御する。
本発明のカスケード制御によるDC−DCコンバータの制御方法の態様は、スイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御するスイッチング部と、インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続してなる出力フィルタと、スイッチング部を制御する制御部とを備え、スイッチング部の出力を出力フィルタに通し、出力フィルタの出力コンデンサの両端子間の出力電圧を直流出力とするDC−DCコンバータの制御方法であり、DC−DCコンバータは、出力フィルタの出力電圧を帰還して電圧制御する電圧メジャーループと、出力フィルタの出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を帰還して電流制御する電流マイナーループとを多重ループ構成とするカスケード制御によって、出力電圧を一定に維持する制御を行う。
DC−DCコンバータの制御は、電流マイナーループにおいて、制御部にコンデンサ電流を帰還することによって、負荷電圧の微分変動を帰還し、コンデンサ電流の帰還による前記負荷電圧の微分変動の帰還によって帰還応答性を高め、インダクタンスを流れるリアクトル電流の負荷電流への追従を早め、負荷変動時における出力電圧の変動を抑制する。
制御部は、電圧メジャーループにおいて帰還された出力電圧によって電圧制御する出力電圧制御部と、電流マイナーループにおいて帰還されたコンデンサ電流によって電流制御する出力コンデンサ電流制御部とを備える。
カスケード制御の制御ループにおいて、電圧メジャーループの出力電圧制御部の出力を電流マイナーループの出力コンデンサ電流制御部の電流指令値として入力し、コンデンサ電流の帰還を、負荷増加時においてコンデンサ電流の放電電流により正帰還し、負荷減少時においてコンデンサ電流の充電電流により負帰還する。正帰還によってリアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、負帰還によってリアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制する。
電流マイナーループのコンデンサ電流制御において、コンデンサ電流の帰還電流値と前記電流指令値とを零電流値の近傍で比較する。
零電流の近傍で比較することで、コンデンサ電流の帰還を負荷電圧の微分特性に基づく帰還として負荷急変時の高速応答性を高め、出力コンデンサ電流制御部で得られる制御量を、負荷電流やインダクタンスを流れるリアクトル電流に依存することなく帰還電流自体の大きさに依存した量とし、リアクトル電流の大きさに影響されることなく、負荷変動に応じた帰還制御を行う。
以上説明したように、本発明のDC−DCコンバータによれば、コンデンサ電流をマイナーループに用いて微分帰還することによって、負荷急変に対する高速負荷応答性を改善することができ、また、線形制御であるため固定周波数とすることができ、大電力の並列運転に適用することを容易とすることができる。
また、本願発明のDC−DCコンバータは、出力フィルタの平滑用の出力コンデンサの容量を削減することができる。
本発明のDC−DCコンバータの概略を説明するための構成図である。 コンデンサ電流を電流制御ループに帰還する制御系を説明するための図である。 コンデンサ電流を電流制御ループに帰還する制御系を説明するための図である。 本発明のDC−DCコンバータのカスケード制御による概略を説明するための構成図である。 コンデンサ電流を電流マイナーループに負帰還する制御系の一例を説明するための図である。 DC−DCコンバータの主回路の等価回路である。 リアクトル電流の電流モード制御系の周波数特性を示す図である。 コンデンサ電流の電流モード制御系の周波数特性を示す図である。 負荷急変時におけるリアクトル電流モード制御系の応答波形を示す図である。 リアクトル電流Iの負荷電流Iに対する追従特性を示す図である。 負荷急変時におけるコンデンサ電流モード制御系の応答波形を示す図である。 コンデンサ電流Iの負荷電流Iに対する追従特性を示す図である。 負荷急変をさせた場合の負荷応答性の実験結果を示す図である。 負荷急変をさせた場合の負荷応答性の実験結果を示す図である。 DC−DCコンバータの主回路の一例を示す図である。 DC−DCコンバータの電圧制御系およびマイナーループ電流制御系を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
以下では、本発明のDC−DCコンバータについて、図1を用いてDC−DCコンバータの概略構成を説明し、図2,3を用いてコンデンサ電流を帰還するコンデンサ電流制御ループを説明する。
さらに、カスケード制御を適用したDC−DCコンバータについて、図4を用いてDC−DCコンバータの概略構成を説明し、図5,6を用いてコンデンサ電流を帰還する電流マイナーループを説明し、図7,8を用いて電流モード制御の周波数特性を説明し、図9〜12を用いて電流モード制御の過渡応答を説明し、図13,14に本発明のDC−DCコンバータによる負荷応答の実験波形と出力電圧変動率を示す。
なお、図7〜図12では、従来のリアクトル電流を電流マイナーループに帰還する制御系と本発明のコンデンサ電流を電流マイナーループに帰還する制御系とを比較して説明する。また、図13,14の実験例は、本発明の制御系を搭載した4.5KWのDC−DCコンバータを使用して負荷急変をさせた場合の実験結果を示している。
[DC−DCコンバータの概略構成]
図1は本発明のDC−DCコンバータの概略を説明するための構成図である。図1(a)は出力コンデンサ電流制御ループにおける電流指令値として、グラウンド接地等による基準電圧に基づいて得られる零基準値を用いる構成例を示し、図1(b)は電流指令値として、出力電圧制御ループの出力に基づいて得られる信号を用いる構成例を示している。
図1(a),(b)において、DC−DCコンバータ1は、同期整流方式のDC−DC変換部4を備える。DC−DC変換部4は、スイッチング部6のスイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御する制御部5と、インダクタンスLと出力コンデンサCとを直列接続してなる出力フィルタ7とを備え、直流出力を負荷8(R)に供給する。スイッチング部6には、図示しない直流源から直流入力が入力される。直流源は、例えば、図15で示したように、三相交流を整流する整流部と、整流部の出力を入力平滑して、ノイズ分を除去して直流分を出力する入力フィルタとから構成することができる。
DC−DCコンバータ1は、スイッチング部6を制御する制御部5を備える。制御部5は、出力電圧制御ループ9および出力コンデンサ電流制御ループ10の制御ループによって制御を行う。出力電圧制御ループ9はDC−DCコンバータ1の出力電圧を負帰還して行う定電圧制御ループであり、出力コンデンサ電流制御ループ10は出力コンデンサCのコンデンサ電流Iを帰還する制御系である。
出力電圧制御ループ9は、出力フィルタ7の出力電圧Vを出力電圧制御部2に帰還して定電圧制御を行い、出力コンデンサ電流制御ループ10は、出力フィルタ7の出力コンデンサCに流れるコンデンサ電流Iを出力コンデンサ電流制御部3に帰還して電流制御を行う。
出力電圧制御ループ9の出力電圧制御部2は、出力フィルタ7から帰還した出力電圧Vと目標値との差分を入力してPI制御を行い、PI制御の出力に基づいてゲート信号のオンとオフの時間比率(時比率)を制御し、スイッチング部6のスイッチング動作を制御する。
出力コンデンサ電流制御ループ10の出力コンデンサ電流制御部3は、出力フィルタ7の出力コンデンサCに流れるコンデンサ電流Iを帰還し、指令値との差分を入力してPI制御を行い、PI制御の出力に基づいてゲート信号のオンとオフの時間比率(時比率)を制御し、スイッチング部6のスイッチング動作を制御する。
図1(a)は、出力コンデンサ電流制御ループ10の電流指令として、基準電圧源に基づいて得られる定電圧を用いる構成例を示している。通常、定常状態におけるコンデンサ電流Iは零であるため、定電圧に基づいて設定した零電流を電流指令として用いることができる。
図1(b)は、出力コンデンサ電流制御ループ10の電流指令として、基準電圧源の電圧と出力電圧Vとの差分に基づいて設定する構成例を示している。
基準電圧源の電圧と出力電圧Vとの差分に基づいて電流指令を設定することによって、零電流を基準値とする指定電流を設定することができると共に、電流指令に入力電圧の変動や環境の温度変化によるデバイスでの損失による変動を含ませることができる。
出力コンデンサ電流制御ループ10において、出力コンデンサ電流制御部3に対してコンデンサ電流Iを帰還することによって負荷電圧の微分変動を帰還して帰還応答性を高め、負荷変動時における出力電圧Vの変動を抑制する。
[本発明のコンデンサ電流による電流制御ループ]
本発明のコンデンサ電流を電流制御ループに帰還する制御系について説明する。図2は、図1(a)に示すコンデンサ電流Iを電流制御ループに負帰還した制御系の一例を示し、図3は図1(b)に示すコンデンサ電流Iを電流制御ループに負帰還した制御系の一例を示している。
図2、3に示す構成例は、出力電圧制御ループ9において出力電圧制御部2の電圧PI制御器(V−PI)2aに出力電圧Vを帰還し、出力コンデンサ電流制御ループ10において出力コンデンサ電流制御部3の電流PI制御器(I−PI)3aにリアクトル電流Iに代えて出力コンデンサ電流Iを帰還する。
スイッチング部6は切り換え部6aを備え、出力電圧制御部2の出力信号と出力コンデンサ電流制御部3の出力信号とを切り替えて制御出力(ゲート信号)を出力する。制御出力(ゲート信号)は、出力用スイッチング素子Sと環流・回生用スイッチング素子Sとを相互に相補的にオンオフ制御する。
制御出力(ゲート信号)の切り替えは、コンデンサ電流の変動の有無に基づいて行うことができる。コンデンサ電流が変動し、定常時の零状態から正又は負に変化した場合には、出力コンデンサ電流制御部3の出力信号を制御出力(ゲート信号)として出力し、出力コンデンサ電流が変動せず零状態にあるときは、出力電圧制御部2の出力信号を制御出力(ゲート信号)として出力する。
出力電圧制御ループ9において、出力電圧Vを帰還回路(H)9aにより電圧指令VREFに対して負帰還として帰還して突き合わせが行われる。出力電圧Vと電圧指令VREFとの突き合わせは、出力電圧Vと電圧指令VREFとの差分を求め、この差分を電圧PI制御器(V−PI)2aに入力して信号増幅することで行われる。
出力コンデンサ電流制御ループ10において、コンデンサIを帰還回路(H)10aにより電流指令IREFに対して負帰還として帰還して突き合わせが行われる。コンデンサ電流Iと電流指令ICREFとの突き合わせは、コンデンサ電流Iと電流指令ICREFとの差分を求め、この差分を電流PI制御器(I−PI)3aに入力して信号増幅することで行われる。
図2は、電流指令ICREFとして基準電圧源を用いることができ、グラウンドに接地することによって零電流の電流指令を設定する例を示している。また、図3の構成では、電流指令ICREFとして出力電圧Vと基準電圧VREFとの差分を用いることができる。これによって、入力電圧やデバイスの温度変化による変動分を含めた零電流レベルの電流指令を設定することができる。
コンデンサ電流Iは、出力コンデンサCに設けられたCT(電流検出器)によって得ることができる。図2,3に示す例では、CT(電流検出器)の取り付け方向は、充電電流をプラスとして検出し、放電電流をマイナスとして検出する方向とし、図中の矢印方向で示している。
CT(電流検出器)の取り付け方向として放電電流をプラスとして検出し、充電電流をマイナスとして検出する方向としてもよい。この場合には、電流指令ICREFとの突き合わせにおいて、コンデンサ電流を正(+)の符号で差分を求める。
電流PI制御器(I−PI)3aの出力は、比較器3bで基準の三角波3cと比較されてゲート信号gateを生成する。生成されたゲート信号gateはスイッチング素子S,Sに与えられて出力電圧Vの制御を行う。スイッチング素子S,Sに与えられるゲート信号gateは互いに相補的であり、スイッチング素子Sがオン状態のときにはスイッチング素子Sはオフ状態であり、スイッチング素子Sがオフ状態のときにはスイッチング素子Sはオン状態である。
スイッチング素子Sがオン状態のときには、直流源から出力フィルタに向かって電流が流れ、スイッチング素子Sはオン状態のときには、環流又は直流源に向かって電流が回生される。
ゲート信号gateのオンとオフの時間比率(時比率)は、電流PI制御器(I−PI)3aの出力に応じて制御され、スイッチング素子Sを駆動するゲート信号gateのオンの時間比率(時比率)が大きい程、直流源から出力フィルタを通して負荷に供給される電流Iが増加する。
コンデンサ電流を帰還する出力コンデンサ電流制御ループの制御系は、リアクトル電流を帰還する電流ループの制御系と同様に一次系となるため、電流共振は抑制され、出力電圧Vの2次系振動も抑制される。
負荷電圧が定常状態においては、帰還されるコンデンサ電流Iは零電流となり、出力電圧制御部2のPI制御による出力である電流指令ICREFも零電流となる。したがって、負荷変動時には、出力コンデンサ電流制御部3において、コンデンサ電流Iの帰還電流値と出力電圧制御部2の出力に基づく電流指令ICREFとの比較は、帰還電流値と電流指令値とは共に定常状態が零電流であることから、零電流値からの変化量に基づいて行う比較となり、零電流値を基準レベルとする零電流の近傍での比較となる。
零電流の近傍で比較することで、帰還電流値Iと電流指令ICREFとの差分は、コンデンサ電流の帰還電流値Iと見なすことができる。また、コンデンサ電流は負荷電圧の微分特性に対応しているため、コンデンサ電流の帰還は負荷電圧の微分特性に基づく帰還となり、負荷急変時の高速応答性を向上させることができる。
また、零電流の近傍で比較することによって、出力コンデンサ電流制御部3で得られる制御量は、負荷電流Iやインダクタンスを流れるリアクトル電流Iに依存することなく、コンデンサ電流Iの帰還電流自体の大きさに依存した量となるため、リアクトル電流Iの大きさに影響されることなく、負荷変動に応じて帰還制御を行うことができる。
本発明のコンデンサ電流を帰還する制御系は、帰還されるコンデンサ電流Iと電流指令ICREFとを零電流の近傍で付き合わせる点を、従来のリアクトル電流Iを帰還する制御系との一相違点として有している。
さらに、本発明のコンデンサ電流を帰還する制御系は、負荷急変時において正帰還動作および強い負帰還動作を行う制御を含み、負荷が増加する急変時には正帰還動作によって、負荷が減少するに急変時には負帰還動作によって、出力電圧Vの変動を抑制する方向に作用する。
負荷増加時には、出力コンデンサCから負荷(R)8に向かって放電電流が流れるため、図2,3に示す電流方向に取り付けられたCT(電流検出器)からは負の極性のコンデンサ電流Iが帰還回路(H)10aを通して帰還される。電流指令ICREFとの突き合わせにおいて、帰還されたコンデンサ電流Iは符号が反転されるため、コンデンサ電流Iの符号は負の極性から正の極性に反転され、出力コンデンサ電流制御ループ10の電流PI制御器(I−PI)3aに対して正帰還で帰還される。
一方、負荷減少時には、直流源から出力コンデンサCに向かって充電電流が流れるため、図2,3に示す電流方向に取り付けられたCT(電流検出器)からは正の極性のコンデンサ電流Iが帰還回路(H)10aを通して帰還される。電流指令ICREFとの突き合わせにおいて、帰還されたコンデンサ電流Iは符号が反転されるため、コンデンサ電流Iの符号は正の極性から負の極性に反転され、出力コンデンサ電流制御ループ10の電流PI制御器(I−PI)3aに対して負帰還で帰還される。
従来のリアクトル電流を電流制御ループに帰還する場合には、電圧PI制御器(V−PI)2aの出力とリアクトル電流Iの帰還との差分を電流PI制御器(I−PI)3aに入力するため、リアクトル電流Iの直流分だけ帰還が低減されている。
これに対して、本発明では、コンデンサ電流Iの帰還電流値と電流指令ICREFとの比較は、零電流値を基準レベルとして、零電流値からの変化量に基づいて行う零電流の近傍での比較であり、また、コンデンサ電流Iは出力電圧の微分変動を表すステップ状の波形であるため、帰還されたコンデンサ電流がそのままのステップ状の波形が零電流との差分として負帰還される。そのため、帰還量は低減されることがないため、強い帰還動作となる。制御系は、負荷変動時において正帰還動作あるいは強い負帰還動作し整定した後には通常の負帰還動作に戻る。
この負荷変動時の正帰還動作あるいは強い負帰還動作の特徴によって、負荷急変時の応答性はさらに改善される。
また、リアクトル電流を電流制御ループに帰還する場合には、リアクトル電流の変動を低減させるために出力コンデンサの容量を増加させる必要があるが、本発明によればリアクトル電流に依存すること無く負荷急変を抑制することができるため、出力コンデンサCの容量を削減することができる。
[カスケード制御の態様によるDC−DCコンバータ]
図4は本発明のカスケード制御の態様によるDC−DCコンバータの概略を説明するための構成図である。
図4において、DC−DCコンバータ1は、同期整流方式のDC−DC変換部4を備える。DC−DC変換部4は、スイッチング部6のスイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御する制御部5と、インダクタンスLと出力コンデンサCとを直列接続してなる出力フィルタ7とを備え、直流出力を負荷8(R)に供給する。スイッチング部6には、図示しない直流源から直流入力が入力される。直流源は、例えば、図16で示したように、三相交流を整流する整流部と、整流部の出力を入力平滑して、ノイズ分を除去して直流分を出力する入力フィルタとから構成することができる。
DC−DCコンバータ1は、スイッチング部6を制御する制御部5を備える。制御部5は、電圧メジャーループ11および電流マイナーループ12とをカスケードに構成した多重ループによるカスケード制御を行う。電圧メジャーループ11はDC−DCコンバータの出力電圧を負帰還して行う定電圧制御ループであり、電流マイナーループ12は出力コンデンサのコンデンサ電流をマイナーループに帰還する制御系であり、出力電圧制御部2に出力コンデンサ電流制御部3をカスケード接続することで構成される。
電圧メジャーループ11は、出力フィルタ7の出力電圧Vを出力電圧制御部2に帰還して定電圧制御を行い、電流マイナーループ12は、出力フィルタ7の出力コンデンサCに流れるコンデンサ電流Iを出力コンデンサ電流制御部3に帰還して電流制御を行う。
電圧メジャーループ11を外側ループとし電流マイナーループ12を内側ループとする多重ループのカスケード制御において、電圧メジャーループ11の出力電圧制御部2は、出力フィルタ7から帰還した出力電圧Vと目標値との差分を入力してPI制御を行い、その出力を電流マイナーループ12の電流指令ICREFとして入力する。
電流マイナーループ12の出力コンデンサ電流制御部3は、出力フィルタ7の出力コンデンサCに流れるコンデンサ電流Iを帰還し、電圧メジャーループ11の出力電圧制御部2から入力した出力を電流指令ICREFとして、コンデンサ電流Iと電流指令ICREFとの差分を入力してPI制御を行い、PI制御の出力に基づいてゲート信号のオンとオフの時間比率(時比率)を制御し、スイッチング部6のスイッチング動作を制御する。
電流マイナーループ12において、出力コンデンサ電流制御部3に対してコンデンサ電流Iを帰還することによって負荷電圧の微分変動を帰還して帰還応答性を高め、負荷変動時における出力電圧Vの変動を抑制する。
[本発明のカスケード制御の態様によるコンデンサ電流による電流マイナーループ]
本発明のコンデンサ電流を電流マイナーループに帰還する制御系について説明する。図5は、コンデンサ電流Iを電流マイナーループに負帰還した制御系の一例を示している。
図5に示す構成例は、リアクトル電流を電流マイナーループに帰還する制御系と同様に、出力電圧制御部2を構成する電圧PI制御器(V−PI)2aと、出力コンデンサ電流制御部3を構成する電流PI制御器(I−PI)3aとをカスケード接続して構成される。本発明の電流マイナーループは、電流マイナーループへのリアクトル電流Iの帰還に代えて出力コンデンサに流れるコンデンサ電流Iを帰還する構成としている。
電圧メジャーループ11において、出力電圧Vを帰還回路(H)11aにより電圧指令VREFに対して負帰還として帰還して突き合わせが行われる。出力電圧Vと電圧指令VREFとの突き合わせは、出力電圧Vと電圧指令VREFとの差分(VREF−V)を求め、この差分を電圧PI制御器(V−PI)2aに入力して信号増幅することで行われる。
電圧PI制御器(V−PI)2aで信号増幅された出力は、電流マイナーループ12におけるコンデンサ電流Iに対する電流指令ICREFとなる。コンデンサ電流Iは電流マイナーループの帰還回路(H)12aにより負帰還として帰還され、電流指令ICREFと突き合わされる。コンデンサ電流Iと電流指令ICREFとの突き合わせは、コンデンサ電流Iと電流指令ICREFとの差分を求め、この差分を電流PI制御器(I−PI)3aに入力して信号増幅することで行われる。
コンデンサ電流Iは、出力コンデンサCに設けられたCT(電流検出器)によって得ることができる。図5(a)に示す例では、CT(電流検出器)の取り付け方向は、充電電流をプラスとして検出し、放電電流をマイナスとして検出する方向とし、図中の矢印方向で示している。
図5(b)は、放電時の様子を示している。この場合には、電流指令ICREFと突き合わせにおいて、コンデンサ電流を正(+)の符号で差分を求める。以下では、図5(a)の構成に基づいて説明する。
電流PI制御器(I−PI)3aの出力は、比較器3bで基準の三角波3cと比較されてゲート信号gateを生成する。生成されたゲート信号gateはスイッチング素子S,Sに与えられて出力電圧Vの制御を行う。スイッチング素子S,Sに与えられるゲート信号gateは互いに相補的であり、スイッチング素子Sがオン状態のときにはスイッチング素子Sはオフ状態であり、スイッチング素子Sがオフ状態のときにはスイッチング素子Sはオン状態である。
スイッチング素子Sがオン状態のときには、直流源から出力フィルタに向かって電流が流れ、スイッチング素子Sはオン状態のときには、環流又は直流源に向かって電流が回生される。
ゲート信号gateのオンとオフの時間比率(時比率)は、電流PI制御器(I−PI)3aの出力に応じて制御され、スイッチング素子Sを駆動するゲート信号gateのオンの時間比率(時比率)が大きい程、直流源から出力フィルタを通して負荷に供給される電流Iが増加する。
コンデンサ電流を帰還する電流マイナーループの制御系は、リアクトル電流を帰還する電流マイナーループの制御系と同様に一次系となるため、電流共振は抑制され、出力電圧Vの2次系振動も抑制される。
負荷電圧が定常状態においては、帰還されるコンデンサ電流Iは零電流となり、出力電圧制御部2のPI制御による出力である電流指令ICREFも零電流となる。したがって、負荷変動時には、出力コンデンサ電流制御部3において、コンデンサ電流Iの帰還電流値と出力電圧制御部2の出力に基づく電流指令ICREFとの比較は、帰還電流値と電流指令値とは共に定常状態が零電流であることから、零電流値からの変化量に基づいて行う比較となり、零電流値を基準レベルとする零電流の近傍での比較となる。
零電流の近傍で比較することで、帰還電流値Iと電流指令ICREFとの差分は、コンデンサ電流の帰還電流値Iと見なすことができる。また、コンデンサ電流は負荷電圧の微分特性に対応しているため、コンデンサ電流の帰還は負荷電圧の微分特性に基づく帰還となり、負荷急変時の高速応答性を向上させることができる。
また、零電流の近傍で比較することによって、出力コンデンサ電流制御部3で得られる制御量は、負荷電流Iやインダクタンスを流れるリアクトル電流Iに依存することなく、コンデンサ電流Iの帰還電流自体の大きさに依存した量となるため、リアクトル電流Iの大きさに影響されることなく、負荷変動に応じて帰還制御を行うことができる。
本発明のコンデンサ電流を帰還する制御系は、帰還されるコンデンサ電流Iと電流指令ICREFとを零電流の近傍で付き合わせる点を、従来のリアクトル電流Iを帰還する制御系との一相違点として有している。
さらに、本発明のコンデンサ電流を帰還する制御系は、負荷急変時において正帰還動作および強い負帰還動作を行う制御を含み、負荷が増加する急変時には正帰還動作によって、負荷が減少するに急変時には負帰還動作によって、出力電圧Vの変動を抑制する方向に作用する。
負荷増加時には、出力コンデンサCから負荷(R)8に向かって放電電流が流れるため、図5(a)に示す電流方向に取り付けられたCT(電流検出器)からは負の極性のコンデンサ電流Iが帰還回路(H)12aを通して帰還される。電流指令ICREFとの突き合わせにおいて、帰還されたコンデンサ電流Iは符号が反転されるため、コンデンサ電流Iの符号は負の極性から正の極性に反転され、電流マイナーループ12の電流PI制御器(I−PI)3aに対して正帰還で帰還される。
一方、負荷減少時には、直流源から出力コンデンサCに向かって充電電流が流れるため、図5(a)に示す電流方向に取り付けられたCT(電流検出器)からは正の極性のコンデンサ電流Iが帰還回路(H)12aを通して帰還される。電流指令ICREFとの突き合わせにおいて、帰還されたコンデンサ電流Iは符号が反転されるため、コンデンサ電流Iの符号は正の極性から負の極性に反転され、電流マイナーループ12の電流PI制御器(I−PI)3aに対して負帰還で帰還される。
従来のリアクトル電流を電流マイナーループに帰還する場合には、電圧PI制御器(V−PI)2aの出力とリアクトル電流Iの帰還との差分を電流PI制御器(I−PI)3aに入力するため、リアクトル電流Iの直流分だけ帰還が低減されている。
これに対して、本発明では、コンデンサ電流Iの帰還電流値と電流指令ICREFとの比較は、零電流値を基準レベルとして、零電流値からの変化量に基づいて行う零電流の近傍での比較であり、また、コンデンサ電流Iは出力電圧の微分変動を表すステップ状の波形であるため、帰還されたコンデンサ電流がそのままのステップ状の波形が零電流との差分として負帰還される。そのため、帰還量は低減されることがないため、強い帰還動作となる。制御系は、負荷変動時において正帰還動作あるいは強い負帰還動作し整定した後には通常の負帰還動作に戻る。
この負荷変動時の正帰還動作あるいは強い負帰還動作の特徴によって、負荷急変時の応答性はさらに改善される。
また、リアクトル電流を電流マイナーループに帰還する場合には、リアクトル電流の変動を低減させるために出力コンデンサの容量を増加させる必要があるが、本発明によればリアクトル電流に依存すること無く負荷急変を抑制することができるため、出力コンデンサCの容量を削減することができる。
[電流マイナーループによる高速負荷応答化]
次に、電流マイナーループによる負荷応答について説明する。
[DC−DCコンバータの主回路の電流方程式]
DC−DCコンバータの電流マイナーループにおいて、従来のリアクトル電流を電流マイナーループに帰還するリアクトル電流制御系と、本発明のコンデンサ電流を電流マイナーループに帰還するコンデンサ電流制御系について、それぞれの負荷急変時における動作を、電流方程式を用いて説明する。
図6は,図15に示したDC−DCコンバータの主回路を、負荷Rに対してスイッチSの開閉によってステップ入力する際の等価回路を示している。
図6において、入力電圧Eは、三相整流後の電圧Eにスイッチング素子Sがオンする時間の時比率Dを乗算したものである。ここでは簡易的にEとして計算している。
コンデンサ電流の方程式を立てるために、時間tにおける電圧方程式を立てると次式(1)となる。なおv(0)はt=0におけるCの初期電圧を表している。
また、コンデンサ電流の電流方程式は次式(2)となる。
式(1)と式(2)によりコンデンサ電流i(t)の伝達関数i(s)を求めると次式(3)を得る。
ここで、i(0)はt=0におけるインダクタンスLに流れるリアクトル電流を表している。
式(3)からコンデンサ電流i(t)の初期値i(0)は式(4)で表される。
コンデンサ電流i(t)の初期値i(0)を表す式(4)は、負荷Rの状態に応じて極性が反転することを示している。
具体的には,無負荷からの負荷投入時にはリアクトル電流i(0)=0であり、出力コンデンサCの電荷により負荷電流i(t)の初期値i(0)が供給されるため、i(0)=−v(0)/R=−E/Rとなり、極性は負となる。
逆に、全負荷から無負荷へ負荷急変した場合は、コンデンサ電流i(0)=リアクトル電流Iとなり,直前まで流れていたリアクトル電流Iが出力コンデンサCに流れ込むため極性は正となる。
また、コンデンサ電流i(t)自身は出力電圧V(t)に対する微分電流であるため、負荷急変時の負荷電流i(t)の変化に対して反応が非常に速い。
一方、リアクトル電流i(t)の式は次式(5)となる。
リアクトル電流i(s)の初期値i(0)は、式(5)の伝達関数に基づいて式(6)の関係で表される。式(6)の関係は、リアクトル電流の初期値i(0)はコンデンサ電流i(t)の初期値i(0)を表す式(4)の第二項の(−v(0)/R)を含んでいないことを表している。
上記の関係により(−v(0)/R)を含まないことから、リアクトル電流i(s)の初期値i(0)は負荷Rの状態によって極性が反転しないことを示している。
したがって、従来のリアクトル電流を電流マイナーループに帰還する制御系では、本発明のコンデンサ電流を電流マイナーループに帰還する制御系のように、負荷変動に応じて帰還するコンデンサ電流の極性が切り替わることはなく、負荷変動時において正帰還動作あるいは強い負帰還動作することによって、負荷急変時の応答性を改善するという作用を奏することはできず、負荷電流i(t)の変化に対する応答性は遅い。
したがって,負荷急変に関する電流マイナーループにおいて、リアクトル電流を帰還する制御系とコンデンサ電流を帰還する制御系とでは負荷応答の特性に差異がある。
[高速負荷応答の動作]
次に、負荷急変時におけるコンデンサ電流の極性変化と負荷応答性との関係ついて説明する。
(1)コンデンサ電流(極性負):
負荷急変時においてコンデンサ電流の極性が負である場合について説明する。ここでは、出力コンデンサの電流方向について、出力コンデンサを充電する電流方向を正方向としているため、コンデンサ電流の極性が負の状態は出力コンデンサから負荷に向かって放電電流が流出する状態であることを示している。
無負荷から全負荷へ負荷急変した場合、出力コンデンサを流れる電流の方向は出力コンデンサから負荷に向かって放電する方向であるため、コンデンサ電流Iの極性は負として帰還される。帰還において、コンデンサ電流Iの符号を反転したものと電流指令ICREFとの差分を電流PI制御器(I−PI)に入力するため、コンデンサ電流Iは負の極性から正の極性に反転して、電流PI制御器(I−PI)に対して正帰還として帰還される。
この正帰還によって生成されるゲート信号gateは、スイッチング素子Sを急速に閉じる方向へ作用し、スイッチング素子Sを急速に開く方向へ作用する。スイッチング素子Sが急速に閉じることで、リアクトル電流Iは急速に上昇し、コンデンサ電流Iの吐き出し電流(放電電流)を瞬時に抑制する。これによって、無負荷から全負荷へ負荷急変した場合の負荷電圧の電圧降下を最小限に抑制する。
(2)コンデンサ電流(極性正):
負荷急変時においてコンデンサ電流の極性が正である場合について説明する。ここでは、出力コンデンサの電流方向について、出力コンデンサを充電する電流方向を正方向としているため、コンデンサ電流の極性が正の状態は出力コンデンサに充電電流が流入する状態であることを示している。
全負荷から無負荷へ負荷急変した場合、出力コンデンサに流れる電流の方向は出力コンデンサに向かって充電する方向であるため、コンデンサ電流Iの極性は正として帰還される。帰還において、コンデンサ電流Iの符号を反転したものと電流指令ICREFとの差分を電流PI制御器(I−PI)に入力するため、コンデンサ電流Iは正の極性は負の極性に反転して、電流PI制御器(I−PI)に対しては負帰還として帰還される。
ここで、電流指令ICREFを生成する電圧PI制御器(V−PI)の出力は、定常状態では零であるため、電流PI制御器(I−PI)に対してコンデンサ電流Iが帰還される。コンデンサ電流Iは出力電圧の微分変動を表すステップ状の波形であり、電流PI制御器(I−PI)へ入力され電流指令ICREFの零電流との差分は、電流指令ICREFが零電流であることから、電流指令ICREFによって低減されることなく帰還されるため、電流PI制御器(I−PI)に対しては更に強い負帰還となる。
この強い負帰還によって生成されるゲート信号gateは、スイッチング素子Sを急速に開く方向へ作用し、スイッチング素子Sを急速に閉じる方向へ作用する。スイッチング素子Sが急速に開きスイッチング素子Sが急速に閉じることで、リアクトル電流Iは急速に降下して回生動作に移行し,コンデン電流Iの充電電流を瞬時に抑制する。これによって、全負荷から無負荷へ負荷急変した場合に、負荷電圧の電圧上昇を最小限に抑制する。
このため、コンデンサ電流を電流マイナーループに帰還する制御系は、出力コンデンサ自体の容量を大きくすることによって負荷変動による電流の変動を抑制する作用を要さないため、出力コンデンサの容量を従来のリアクトル電流を電流マイナーループの帰還する制御系よりも大幅に削減することが可能になる。
(3)リアクトル電流:
負荷急変時におけるリアクトル電流について説明する。
無負荷から全負荷の負荷急変時、および全負荷から無負荷の負荷急変時において、式(6)で示したように、リアクトル電流Iの初期値はi(0)であり極性が反転することはない。また、リアクトル電流lは負荷電流Iの変化に対して反応が遅いため、ゲート信号gateの変化は非常に遅く、その速度は電圧PI制御器(V−PI)の利得帯域に依存する。このため、リアクトル電流を電流マイナーループに帰還する制御系の場合には、負荷急変時の電圧変動を抑制するために、出力コンデンサの容量を大容量化する必要が生じる。
以下、電流マイナーループを加えた電圧制御系を電流モード制御系とし、従来のリアクトル電流を帰還する電流モード制御系と、本発明のコンデンサ電流を帰還する電流モード制御系とを比較して説明する。
[電流モード制御系の特性比較]
以下、電流モード制御系の周波数特性と出力電圧特性について、リアクトル電流の電流モード制御系とコンデンサ電流の電流モード制御系と、負荷急変時における出力電圧変動のシミュレーション結果に基づいて比較して説明する。
(電流モード制御系の周波数特性)
図7はリアクトル電流の電流モード制御系の周波数特性を示し、図8はコンデンサ電流の電流モード制御系の周波数特性を示している。なお、DC−DCコンバータの主回路のパラメータを表1に示す。
図7は従来のリアクトル電流モード制御系のボード線図を示している。電圧ゲインの利得帯域は約3.4[kHz]であり、電流ゲインの利得帯域は約34[kHz ]である。位相はそれぞれ−105[deg]と−113[deg]である。
図8は本発明のコンデンサ電流モード制御系のボード線図を示している。電圧ゲインの利得帯域は約3.5[kHz]であり、電流ゲインの利得帯域は約34[kHz]である。位相はそれぞれ−111[deg]と−112[deg]である。
なお、ここでは、リアクトル電流モード制御系とコンデンサ電流モード制御系との比較において、利得帯域の差によって負荷急変時の出力電圧変動に差が生じないように誤差増幅器の定数を同じに設定している。したがって、利得帯域および位相余裕はリアクトル電流モード制御系とコンデンサ電流モード系はほぼ同じである。
これはリアクトル電流の伝達関数とコンデンサ電流の伝達関数からも表すことができる。
リアクトル電流の伝達関数は以下の式(7)で表される。
一方、コンデンサ電流の伝達関数は以下の式(8)で表される。
となる。
式(7)式と式(8)の違いは分子の1/(C)のみである。この項は周波数に依存しない項であるため、高い周波数域ではほとんど影響がなく、コンデンサ電流モード制御系とリアクトル電流モード制御系との周波数特性はほぼ同様である。
(電流モード制御系の電圧変動特性)
負荷R=22.8[ohm]とし、この負荷に対してシミュレーションでスイッチング素子をON/OFF動作させた場合の負荷変動特性を、出力電圧V、リアクトル電流I、負荷電流Iにより説明する。
(1) リアクトル電流モード制御系:
図9に負荷急変時におけるリアクトル電流モード制御系の応答波形を示し、図10にリアクトル電流Iの負荷電流Iに対する追従特性を示している。
図9(a)は出力電圧Vおよびリアクトル電流Iの概略を示し、図9(b)は無負荷から全負荷に負荷急変したときに生じるアンダーシュート時の出力電圧Vおよびリアクトル電流Iを示し、図9(c)は全負荷から無負荷に負荷急変したときに生じるオーバーシュート時の出力電圧Vおよびリアクトル電流Iを示している。
リアクトル電流を電流マイナーループに帰還するリアクトル電流モード制御系では、リアクトル電流Iが制御対象となっているため、負荷急変時に発生する共振電流は抑制され、出力電圧Vの2次系振動が殆どない。
リアクトル電流モード制御系の負荷急変時の応答特性は、電流PI制御器(I−PI)を構成する誤差アンプの周波数特性や、スイッチング動作の一周期分に相当する時間遅れの他、出力フィルタを含む補償回路の周波数特性により制限を受け、ゲート信号gateの反応が遅くなり、リアクトル電流Iは負荷電流Iに高速に追従することができない。リアクトル電流Iが負荷電流Iに追従するまでの期間に、出力コンデンサCで充放電動作が行われるため、出力電圧Vが変動する。
図9(b)に示す例では、アンダーシュートは−7.4[%]であり、オーバーシュートは+7.9[%]であり、大きな電圧変動が確認される。
図10(a),(b)は無負荷から全負荷への負荷急変時を示し、図10(a)は出力電圧V、リアクトル電流Iの変動状態を示し、図10(b)は電流PI制御器(I−PI)の出力(I−PI出力)、電圧PI制御器(V−PI)の出力(V−PI出力)を示している。
また、図10(c),(d)は全負荷から無負荷への負荷急変時を示し、図10(c)は出力電圧V、リアクトル電流Iの変動状態を示し、図10(d)は電流PI制御器(I−PI)の出力(I−PI出力)、電圧PI制御器(V−PI)の出力(V−PI出力)を示している。
リアクトル電流を電流マイナーループに帰還するリアクトル電流モード制御系では、電圧PI制御の出力がリアクトル電流の電流指令値となるため、リアクトル電流Iは(V−PI出力)に追従して動作する。そのため、負荷急変時のリアクトル電流の応答速度は、電圧PI制御器(V−PI)の出力(V−PI出力)である電圧メジャーループの応答速度に拘束される。
電流マイナーループは、通常、電圧メジャーループよりも10倍以上速い応答となるように設計され、電流PI制御器(I−PI)は電圧PI制御器(V−PI)の出力に十分に対応することができるが、電圧PI制御器(V−PI)の出力とリアクトル電流の差分が小さいため、電流PI制御器(I−PI)は電圧PI制御器(V−PI)の応答速度を同程度の遅さで動作することになり、高い応答性を得ることができない。
また、リアクトル電流は直流成分を含むため、電圧PI制御器(V−PI)の出力が0[V]から安定状態の値となるまで時間を要し、応答が遅くなる。
(2) コンデンサ電流モード制御系:
図11に負荷急変時におけるコンデンサ電流モード制御系の応答波形を示し、図12にコンデンサ電流Iの負荷電流Iに対する追従特性を示している。
図11(a)は出力電圧Vおよびリアクトル電流Iの概略を示し、図11(b)は無負荷から全負荷に負荷急変したときに生じるアンダーシュート時の出力電圧Vおよびリアクトル電流Iを示し、図11(c)は全負荷から無負荷に負荷急変したときに生じるオーバーシュート時の出力電圧Vおよびリアクトル電流Iを示している。
コンデンサ電流を電流マイナーループに帰還するコンデンサ電流モード制御系は、コンデンサ電流Iが制御対象となっているため、リアクトル電流モード制御系と同様に、負荷急変時に発生する共振電流は抑制され、出力電圧Vの2次系振動が殆どない。
また、微分電流であるコンデンサ電流Iが帰還されることで、無負荷から全負荷への負荷急変時の正帰還動作によってゲート信号gateの時比率が飽和する。このゲート信号gateが飽和している10[us]区間においては、リアクトル電流Iに時比率がほぼ100%の電圧時間積が印加されるため、リアクトル電流Iは急激に上昇する。
また、全負荷から無負荷への負荷急変時の強い帰還動作によって、回生方向のゲート信号gateの時比率が飽和する。このゲート信号gateが飽和している10[us]区間においては、リアクトル電流Iは急激に下降する。
このように、短時間(例えば、10[us])にリアクトル電流Iが負荷電流Iに追従することによって、出力コンデンサCの無駄な充放電が抑制される。このため、出力電圧Vの変動は最小限に抑えられる。なお、ここでは、追従に要する時間として10[us]を示しているが、この数値は一例であって回路条件によって異なる値をとる。
したがって、コンデンサ電流モード制御はゲート信号gateの飽和を負荷急変時のみ利用するため、線形制御でありながら非線形制御と同等の反応速度で応答ができ、負荷急変時に良好な追従特性を示す。
図11(b)に示す例では、アンダーシュートは−1.1[%],オーバーシュートは+1.0[%]まで出力電圧変動を圧縮することができる。
図12(a),(b)は無負荷から全負荷への負荷急変時を示し、図12(a)は出力電圧V、リアクトル電流Iの変動状態を示し、図12(b)は電流PI制御器(I−PI)の出力(I−PI出力)、電圧PI制御器(V−PI)の出力(V−PI出力)を示している。
また、図12(c),(d)は全負荷から無負荷への負荷急変時を示し、図12(c)は出力電圧V、リアクトル電流Iの変動状態を示し、図12(d)は電流PI制御器(I−PI)の出力(I−PI出力)、電圧PI制御器(V−PI)の出力(V−PI出力)を示している。
コンデンサ電流を電流マイナーループに帰還するコンデンサ電流モード制御系では、負荷が安定している定常状態における電圧PI制御器(V−PI)の出力は零となり、この零電流をコンデンサ電流の電流指令値とするため、電流PI制御器(I−PI)はコンデンサ電流が常に零となるように制御する。
電流マイナーループの応答性は高いため、負荷急変時において、コンデンサ電流と電流指令値(電圧PI制御器(V−PI)の出力)との差分はコンデンサ電流自体となり、この差分を電流PI制御器で増幅して得られる出力(I−PI出力)はコンデンサ電流を瞬時に零となるように制御する。これにより、負荷急変時の電流変動分はほとんど電流PI制御器が受け持って抑制し、電圧PI制御器は遅い電圧変動分のみを抑制する。
したがって、リアクトル電流Iは、電圧PI制御器の出力に拘束されることなく、高速応答することができる。
[実験例]
以下、本発明の実験例について説明する。
4.5kW出力のDC−DCコンバータの実機に本発明によるコンデンサ電流モード制御系を適用し、負荷急変をさせた場合の負荷応答性の実験結果を図13と図14に示す。
図13は、出力電圧Vとリアクトル電流Iとゲート信号gateを示している。図13の実験例では、出力電圧Vのアンダーシュートおよびオーバーシュートはそれぞれ−1.8[%]と+1.8[%]である。
この実験例は、本発明によるコンデンサ電流を帰還した電流モード制御系は、負荷急変時における出力電圧変動を抑制し、出力電圧を良好に安定状態とすることができることを示している。
図14は,負荷を全負荷と無負荷に急変させた場合の出力電圧変動率を示し、図14(a)はアンダーシュートの場合を示し、図14(b)はオーバーシュートの場合を示している。ここで、繰り返し周波数は10[Hz]〜100[kHz]の範囲で実施した実験例を示している。
図14において、四角(□)の記号で示す破線はリアクトル電流Iを電流マイナーループに帰還したときの出力電圧変動率の理論値を示し、三角(▲,△)の記号で示す破線および実線はコンデンサ電流Iを電流マイナーループに帰還したときの出力電圧変動率の理論値および実験値を示している。
図14は、アンダーシュートおよびオーバーシュートの何れの場合においても、コンデンサ電流を電流マイナーループに帰還するコンデンサ電流モード制御系は、リアクトル電流を電流マイナーループに帰還するリアクトル電流モード制御系よりも小さな出力電圧変動率であり、コンデンサ電流モード制御系は、全ての周波数帯(10[Hz]〜100[kHz]の範囲)において、出力電圧変動率を理論値で±1[%]に圧縮され、実測で約2[%]前後と安定な値であることを示している。
本発明のコンデンサ電流を電流マイナーループに帰還する制御系によれば、DC−DCコンバータの負荷応答性を大幅に改善できる。
本発明のコンデンサ電流モード制御系は,負荷急変に対して出力電圧の安定性を改善し、負荷変動に対する出力電圧変動を抑制するために必要なコンデンサ容量を低減することができ、かつ主回路の共振角周波数(1/√LC)を高域に維持することが可能になるため、制御応答の高速化が実現できる。
コンデンサ電流の検出の代替として出力電圧を検出し,検出した出力電圧の微分出力を電流マイナーループの帰還として用いる構成としてもよい。この出力電圧の微分出力を帰還する構成は、出力電圧を検出する絶縁アンプの周波数特性や、オペアンプのゲイン特性の影響を受けて周波数特性が低下する場合がある。
コンデンサ電流を検出する構成によれば、出力電圧を検出する絶縁アンプの周波数特性や、オペアンプのゲイン特性の影響を除くことができるため、微分による特性を生かした電流マイナーループを構成することができ、線形制御の負荷応答性の改善をより容易に行うことができる。
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係るDC−DCコンバータの一例であり、本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明のDC−DCコンバータは、半導体、液晶、太陽光パネル等の薄膜を製造する成膜装置に直流を供給する電源として用いる他に、負荷電流がパルス的に変化するパルス運転の適用することができる。
1 コンバータ
2 出力電圧制御部
2a 電圧PI制御器(V−PI)
2b 比較器
2c 三角波
3 出力コンデンサ電流制御部
3a 電流PI制御器(I−PI)
3b 比較器
3c 三角波
4 変換部
5 制御部
6 スイッチング部
6a 切り換え部
7 出力フィルタ
8 負荷
9 出力電圧制御ループ
9a 帰還回路(H
10 出力コンデンサ電流制御ループ
10a帰還回路(H
10b帰還回路(H
11 電圧メジャーループ
11a 帰還回路(H
12 電流マイナーループ
12a 帰還回路(H
100 主回路
101 三相交流
102 整流部
103 入力フィルタ
104 変換部
105 スイッチング部
106 出力フィルタ
111 帰還回路(H
112 制御器
113 比較器
114 三角波
115 帰還回路(H
116 制御器
出力コンデンサ
入力電圧
gate ゲート信号
iC, コンデンサ電流
CREF 電流指令値
,I リアクトル電流
LREF 電流指令
,I負荷電流
インダクタンス
負荷
S スイッチ
,S スイッチング素子
出力電圧
REF 電圧指令

Claims (8)

  1. スイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御するスイッチング部と、
    インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続してなる出力フィルタと、
    前記スイッチング部を制御する制御部とを備え、
    前記スイッチング部の出力を前記出力フィルタに通し、出力フィルタの出力コンデンサの両端子間の出力電圧を直流出力とするDC−DCコンバータであって、
    前記制御部は、出力電圧制御部と出力コンデンサ電流制御部とを備え、
    前記出力フィルタの出力電圧を帰還して前記出力電圧制御部により電圧制御する出力電圧制御ループと、
    前記出力フィルタの前記出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を帰還して前記出力コンデンサ電流制御部により電流制御する出力コンデンサ電流制御ループとを備え、
    前記出力コンデンサ電流制御ループにおいて、
    前記出力コンデンサ電流制御部へコンデンサ電流を帰還することによって、前記直流出力を供給する負荷電圧の微分変動を帰還し、
    前記出力コンデンサ電流制御部は、コンデンサ電流の帰還電流値と電流指令値とを、零電流値を基準レベルとして比較し、当該比較に基づいてリアクトル電流を負荷電流に追従させ
    前記コンデンサ電流の帰還による前記負荷電圧の微分変動の帰還によって帰還応答性を高め、インダクタンスを流れるリアクトル電流の負荷電流への追従を早め、負荷変動時における出力電圧の変動を抑制することを特徴とする、DC−DCコンバータ。
  2. 前記出力電圧制御ループを電圧メジャーループとし、前記出力コンデンサ電流制御ループを電流マイナーループとする多重ループによりカスケード制御の制御ループを構成し、
    前記カスケード制御の制御ループにおいて
    前記電圧メジャーループの出力電圧制御部の出力電圧を前記電流マイナーループの出力コンデンサ電流制御部の電流指令値として入力し、
    前記出力電圧制御部は、前記電圧メジャーループにおいて帰還された出力電圧によって電圧制御し、
    前記出力コンデンサ電流制御部は、前記電流マイナーループにおけるコンデンサ電流の帰還電流値と前記電流指令値とを、定常状態の零電流からの変化量に基づいて比較することによって、零電流値を基準レベルとして比較し、前記電流マイナーループのコンデンサ電流の帰還において、負荷増加時においてコンデンサ電流の放電電流により正帰還し、負荷減少時においてコンデンサ電流の充電電流により負帰還し、前記正帰還によってリアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、前記負帰還によってリアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制することを特徴とする、請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
  3. 前記出力電圧制御部が備える電圧PI制御回路と、前記出力コンデンサ電流制御部が備える電流PI制御回路とをカスケード接続し、
    前記電圧PI制御回路は、前記出力フィルタの出力電圧の負帰還電圧値と電圧指令値との差分を入力信号として入力し、出力信号を電流PI制御回路におけるコンデンサ電流の電流指令値として出力し、
    前記電流PI制御回路は、前記出力コンデンサのコンデンサ電流の負帰還電流値と前記電圧PI制御回路から得られる前記電流指令値との差分と入力信号として入力し、出力信号を前記制御部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成するための信号として出力することを特徴とする、請求項2に記載のDC−DCコンバータ。
  4. 前記スイッチング部は、直流入力端子間に、出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子とを直列接続してなり、
    前記出力フィルタは、前記スイッチング部の出力用スイッチング素子と環流・回生用スイッチング素子との接続点と、前記直流入力端子の低電位端子との間に、インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続し、出力コンデンサの両端子間を出力端とし、
    前記制御部は、前記カスケード制御によって前記出力用スイッチング素子と前記環流・回生用スイッチング素子とを相互に相補的にオンオフ制御することを特徴とする、請求項2又は3に記載のDC−DCコンバータ。
  5. 前記出力電圧制御ループと前記出力コンデンサ電流制御ループとを独立した制御ループで構成し、
    前記出力電圧制御ループにおいて、前記出力電圧制御部は、前記出力電圧制御ループで帰還された出力電圧によって電圧制御し、
    前記出力コンデンサ電流制御ループにおいて、
    前記コンデンサ電流の帰還は、負荷増加時においてコンデンサ電流の放電電流により正帰還、負荷減少時においてコンデンサ電流の充電電流により負帰還
    前記出力コンデンサ電流制御部は、基準電圧に基づいて得られる零基準値、又は、前記出力電圧制御ループにおいて帰還された出力電圧の帰還量の零基準値からの変動分を電流指令値とし、コンデンサ電流の帰還電流値と前記電流指令値とを、定常状態の零電流からの変化量に基づいて比較することによって、零電流値を基準レベルとして比較し、前記コンデンサ電流制御ループのコンデンサ電流の帰還において、前記正帰還によってリアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、前記負帰還によってリアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制することを特徴とする、請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
  6. スイッチング動作によって直流入力をオンオフ制御するスイッチング部と、
    インダクタンスと出力コンデンサとを直列接続してなる出力フィルタと、
    前記スイッチング部を制御する制御部とを備え、前記スイッチング部の出力を前記出力フィルタに通し、出力フィルタの出力コンデンサの両端子間の出力電圧を直流出力とするDC−DCコンバータの制御方法において、
    前記出力フィルタの出力電圧を帰還して電圧制御する出力電圧制御ループを形成し、
    前記出力フィルタの前記出力コンデンサに流れるコンデンサ電流を帰還して電流制御する出力コンデンサ電流制御ループを形成し、
    前記出力コンデンサ電流制御ループにおいて、
    前記制御部にコンデンサ電流を帰還することによって、前記直流出力を供給する負荷電圧の微分変動を帰還し、
    コンデンサ電流の帰還電流値と電流指令値とを、零電流値を基準レベルとして比較し、当該比較に基づいてリアクトル電流を負荷電流に追従させ、
    前記コンデンサ電流の帰還による前記負荷電圧の微分変動の帰還によって帰還応答性を高め、インダクタンスを流れるリアクトル電流の負荷電流への追従を早め、負荷変動時における出力電圧の変動を抑制することを特徴とする、DC−DCコンバータの制御方法。
  7. 前記出力電圧制御ループを電圧メジャーループとし、前記出力コンデンサ電流制御ループを電流マイナーループとする多重ループによりカスケード制御の制御ループを構成し、
    前記カスケード制御の制御ループにおいて、
    前記電流マイナーループは前記電圧メジャーループの出力を電流指令値として入力し、
    前記電圧メジャーループは前記電流マイナーループの出力電圧を帰還して電圧制御し、
    前記電流マイナーループにおいて、電流マイナーループにおけるコンデンサ電流の帰還電流値と前記電流指令値とを、定常状態の零電流からの変化量に基づいて比較することによって、零電流値を基準レベルとして比較し
    前記電流マイナーループのコンデンサ電流の帰還において、負荷増加時においてコンデンサ電流の放電電流により正帰還し、負荷減少時においてコンデンサ電流の充電電流により負帰還し、前記正帰還によってリアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、前記負帰還によってリアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制することを特徴とする、請求項6に記載のDC−DCコンバータの制御方法
  8. 前記出力電圧制御ループと前記出力コンデンサ電流制御ループとを独立した制御ループで構成し、
    前記制御部は、前記出力電圧制御ループにおいて、帰還された出力電圧によって電圧制御し、
    前記出力コンデンサ電流制御ループにおいて、前記コンデンサ電流の帰還は、負荷増加時においてコンデンサ電流の放電電流により正帰還し、負荷減少時においてコンデンサ電流の充電電流により負帰還し
    基準電圧に基づいて得られた零基準値または、前記出力電圧制御ループにおいて帰還された出力電圧の帰還量の零電流値からの変動分を電流指令値とし、コンデンサ電流の帰還電流値と前記電流指令値とを、定常状態の零電流からの変化量に基づいて比較することによって、零電流値を基準レベルとして比較し、
    前記コンデンサ電流制御ループのコンデンサ電流の帰還において、前記正帰還によってリアクトル電流および負荷電流を増加させると共にコンデンサ電流の放電を抑制し、前記負帰還によってリアクトル電流および負荷電流を減少させると共にコンデンサ電流の充電を抑制することを特徴とする、請求項に記載のDC−DCコンバータの制御方法。
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