JP5768097B2 - 情報処理装置及びサービス提供方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電力需給の逼迫を防止することに加え、電力需要者に過度の負担を課することなく地域全体で抑制的に電力消費を実施する電力需給調整システムで使用される情報処理装置及びサービス提供方法に関する。
中長期的なエネルギー価格の高騰とIT機器、電気自動車などの普及に伴う電力需要の増大が見込まれる中、電力供給力の平準化と電力需給調整の最適化、効率化を実現するため、ICTを活用して地域単位でインテリジェントな電力利用を可能とするデマンドレスポンス(需要応答;Demand Response)(以下「DR」という。)技術とそのための制度設計が行政、民間連携の下で検討されている。デマンドレスポンス技術は、電力供給側からの要請に応じて需要者側が電力需要を調整する技術であるが、その具体的な適用形態については、例えば、非特許文献1に開示されている。
デマンドレスポンス技術は、複数の需要者の電力使用データを集約し、予測した需要計画と実績値の間で許容値を上回る差異が発生した場合、各需要者にデマンドレスポンス要請を行う。すなわち、特定の電力事業者と契約する全需要者の時刻tにおける電力使用量の和の予測値をD(t)、予測電力計画値をS(t)とすると、ある基準値αに対して、S(t)―D(t)≦α(t)・・・(1)となる時間tに対してD(t)を抑制するように全需要者に対してデマンドレスポンスを要請する。ここで、tは将来時刻である。従って、D(t)は実績値ではない。
各需要者宅に設置されたHEMSサーバがデマンドレスポンスを受信すると、デマンドレスポンスが適用される時間帯にHEMSサーバが管理する宅内の家電機器の運転状態を変更することで電力の需要調整が行われる。
松澤、山田、宮崎、Webサービス技術を用いて地域需要者の連携を実現するCEMS、東芝レビュー Vol.66、No.12、12-15,2011
一般に、消費電力の削減は、需要のピークが発生する夏季の昼間時間帯や、設備故障による電力事業者の供給力低下時などの電力需給が逼迫する時間帯において行われる。
しかしながら、非特許文献1に記載されたような従来のデマンドレスポンス要請では次の問題がある。まず、上記関係式(1)に基づくデマンドレスポンス要請方法では、電力供給に余裕があって需要者の電力需要が賄われる見込みである限り需要者側にデマンドレスポンス要請は行われない。従って、需要者側に節電余力がある場合でも需要者の節電行動を喚起することができず、余剰電力を圧縮することはでない。その結果、地域全体では電力使用の効率化が果たせないという問題がある。また、S(t)は電力事業者の設備稼働予測に基づく域内全体のマクロ計画値であるのに対して、電力需要予測値D(t)は個々の需要者側の使用電力の積分値で決まるミクロ構造を有する。しかるに、上記関係式(1)に基づくデマンドレスポンス要請方法では、D(t)のミクロ構造に基づくデマンドレスポンス要請が行えないという問題もある。さらに、S(t)が域内全体の計画値であるのに対して、需要者側の電力消費構造がわかるにも拘わらず、これを利用して効率よくデマンドレスポンスを要請することができないという問題がある。また、後者の問題と関連して、電力事業者の設備稼働予測を満たすようにデマンドレスポンスを需要者に要請するには、D(t)はデマンドレスポンスが適用されるべき将来時刻tにおけるマクロな予測値である必要があるが、将来時刻に対するマクロな需要予測値を得ることは一般に困難である。そのため、デマンドレスポンスを要請するタイミングや、デマンドレスポンス適用時間を最適化することができないという問題もある。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、電力需給が逼迫すると予想される時間帯等の真に消費電力の削減が必要となる時間帯に、電力需要者側の節電努力を効率良く要請するための情報処理装置及びサービス提供方法を提供することにある。
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、複数の需要者群にグループ化されて管理される複数の需要者宅に設けられ電力事業者から電力の供給を受けて動作する複数の宅内機器に接続された需要者宅内制御装置に対し通信ネットワークを介して接続可能で、需要者宅内制御装置との間で、通信ネットワークを介して通信を行うことにより、少なくとも需要者宅の電力需要の調整を含むサービスを提供する、電力事業者又は他のサービス事業者が運用する情報処理装置であって、需要者宅の宅内機器毎に電力使用データを収集し、該電力使用状況に関連する情報をメタ情報として電力使用データと関連付けて格納する情報収集管理手段を備え、情報収集管理手段は、格納された情報を基に、特定の需要者群に属する需要者宅に通知するための電力使用抑制依頼の内容を提示する電力使用抑制依頼内容提示手段を備えるようにしたものである。
また、この発明の一観点は以下のような各種態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、電力需給の逼迫が予想される場合に、その旨の通知情報を前記電力使用抑制依頼に含めて前記通信ネットワークを介して前記特定の需要者群に属する需要者宅の前記需要者宅内制御装置へ送信する電力使用抑制依頼送信手段をさらに備えるものである。
第2の態様は、電力使用抑制依頼送信手段は、電力使用抑制依頼内容提示手段からの提示を受けて電力使用抑制依頼の適応条件を決定する電力使用抑制依頼生成手段を備えるものである。
第3の態様は、情報収集管理手段は、宅内機器の使用頻度の情報または動作時の負荷レベルの情報を前記電力使用データと関連付けて格納するものである。
この発明の一観点によれば、例えば、複数の需要者宅に対し少なくとも電力需要の調整を含むサービス制御を実行する場合に、情報処理装置は、需要者宅の宅内機器毎に電力使用データを収集し、該電力使用状況に関連する情報をメタ情報として電力使用データと関連付けて格納し管理しておくだけでよく、これにより情報処理装置に頼らずに、他の装置で分担して実行することが可能となる。従って、電力事業者に供給余力がある場合であっても、情報処理装置と他の装置とが協働して効率良く需要者側に節電余力がある場合を抽出して需要者の節電行動を喚起することができ、余剰電力を圧縮することができる。
第1の態様によれば、情報処理装置は、需要者宅の宅内機器毎に電力使用データを収集し、該電力使用状況に関連する情報をメタ情報として電力使用データと関連付けて格納するだけでなく、電力需給の逼迫が予想される場合に、その旨の通知情報を電力使用抑制依頼に含めて前記通信ネットワークを介して特定の需要者群に属する需要者宅の需要者宅内制御装置へ送信する機能も備えているので、1台の情報処理装置により、地域全体での電力使用の効率化のみならず、そのミクロ構造である特定の需要者群に対しても適時適切な節電依頼が可能となる。
第2の態様によれば、電力使用抑制依頼の内容を提示する電力使用抑制依頼内容提示手段により、電力プロファイルから近未来の需要予測値を得ることが容易であるから、デマンドレスポンスを要請するタイミングや、デマンドレスポンス適用時間を最適化することが可能となる。
第3の態様によれば、宅内機器の使用頻度や動作時の負荷レベルの情報を蓄積することにより、需要者宅のユーザに故障予測情報を提供し、保守や買い替えを促すサービスの提供も実現できる。
以上を概括すれば、電力需給が逼迫すると予想される時間帯等の真に消費電力の削減が必要となる時間帯に、電力需要者側の節電努力を効率良く要請でき、以って需要者の過度の負担なく域内の電力を必要最小限に抑制することが可能となる。
この発明の一実施形態に係る電力需給調整システムの全体構成を示す図。 図1に示した電力需給調整システムのHEMSサーバの構成を示すブロック図。 図1に示した電力需給調整システムのアグリゲーションサーバの構成を示すブロック図。 アグリゲーションサーバに格納された特定の需要者群の家電機器毎の電力使用構造プロファイルとメタデータを示す図。 図1に示した電力需給調整システムのデマンドレスポンスサーバの構成を示すブロック図。 図1に示したデマンドレスポンスサーバにおいて、特定の需要者群の特定家電について、電力プロファイルレファレンスデータとデマンドレスポンス要請直近の電力プロファイルとを対比説明した図。 デマンドレスポンス要請の判定方法の一実施形態を示す図。 図1に示した電力需給調整システムの宅内電力需給調整サーバの構成を示すブロック図。 図1に示した電力需給調整システムにおける電力需給調整のためのデータ授受を示すシーケンス図。 図1に示した電力需給調整システムにおける電力需要制御動作のアグリゲーションサーバとデマンドレスポンスサーバ、アグリゲーションサーバとHEMSサーバ間の動作を説明するための図。 図1に示した電力需給調整システムにおける電力需要制御動作のデマンドレスポンスサーバとHEMSサーバ間の動作を説明するための図。 図1に示した電力需給調整システムにおける電力需要制御動作の宅内需給調整サーバとHEMSサーバ間の動作を説明するための図。
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(一実施形態)
図1は、この発明の一実施形態に係る電力需給調整システムの全体構成を示す図であり、電力事業者PS、複数の需要者宅HM1〜HMi(図1では第1群を代表して図示)が第1郡から第n群にグループ化された需要者群、情報収集事業者が運用するアグリゲーションサーバ6、サービス事業者が運用する宅内電力需給調整サーバ7などが通信ネットワークCNWを介して接続される。上記の同一需要者群に属する複数の需要者宅は、電力使用形態が類似であるなど、電力事業者PS側での電力管理に資するようにグループ化されている。例えば、単身者宅、一戸建て家族住宅、公共施設、事務所オフィスなどは電力使用形態が異なるものとしてカテゴライズし、互いに異なる群のグループに属するようにする。以下の実施形態では、上記様々な需要者のうち、1戸建て家族住宅を例に説明する。
電力事業者PSは送電設備1を備え、この送電設備1から送配電網PNWを介して複数の需要者宅HM1〜HMiへそれぞれ電力を供給する。また、電力事業者PSには上記送電設備PNWに加えて、情報処理装置としてのDR(デマンドレスポンス)サーバ2が設けられている。このデマンドレスポンスサーバ2は、上記各需要者宅内HM1〜HMi(図1では需要者宅HM1内を代表して図示)に設けられたHEMSサーバ4との間で通信ネットワークCNWを介して通信が可能となっている。なお、通信ネットワークCNWは、インターネットと、このインターネットにアクセスするためのアクセス網とから構成される。アクセス網としては、有線電話網や有線LAN(Local Area Network)、携帯電話網、無線LAN等が用いられる。
需要者宅HM1には、家電機器等を含む複数の宅内機器31〜3kと、分電盤5と、需要者宅内制御装置としてのHEMS(Home Energy Management System)サーバ4が設けられており、上記電力事業者PSの送電設備1から供給された電力は上記分電盤5を介して各宅内機器31〜3kに供給される。なお、図1では図示の簡単のため、需要者宅内の構成は1需要者宅HM1についてのみ示し他については図示を省略している。
ところで、HEMSサーバ4は以下のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、HEMSサーバ4は、制御ユニット41と、通信インタフェース42と、入力部43と、記憶部44と、制御信号送信部45と、宅内機器情報受信部46を備えている。
通信インタフェース42は、制御ユニット41の制御の下、通信ネットワークCNWで規定される通信プロトコルを使用して、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7、及び電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2との間でデータ通信を行う。
入力部43はキーボードとマウス、或いはタッチパネル式入力デバイスからなり、後述する宅内電力需給調整サーバ7から送られる消費電力削減案に対する修正情報を需要者宅HM1のユーザが入力するために使用される。
宅内機器情報受信部46は、制御ユニット41の制御の下で宅内機器31〜3kとの間で通信を行い、宅内機器31〜3kから宅内機器情報を受信する。
記憶部44はフラッシュメモリ等の随時書込み読出しが可能な不揮発性メモリからなり、宅内機器情報及び宅内機器制御案を表す情報を保存するために用いられる。
制御信号送信部45は、後述する制御ユニット41から出力された宅内機器31〜3kの動作制御信号を、宅内機器31〜3kに向け送信する機能を有する。
制御ユニット41は例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、本実施形態を実施する上で必要な制御機能として、宅内機器情報収集送信制御部411と、宅内機器制御案取得制御部412と、制御案修正制御部413と、宅内機器運転制御部414を有している。なお、これらの制御機能はいずれもアプリケーション・プログラムをCPUに実行させることにより実現される。
宅内機器情報収集送信制御部411は、宅内機器31〜3kから宅内機器情報を上記宅内機器情報受信部46を介して取得し、この取得した宅内機器情報を記憶部44に保存すると共に、通信インタフェース42から情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6へ送信する処理を行う。
宅内機器制御案取得制御部412は、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2から電力需給の逼迫予測に伴い電気料金変更通知が送られた場合に、通信インタフェース42からサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7へ宅内機器制御案の作成要求を送信する。そして、宅内電力需給調整サーバ7から宅内機器制御案を表す情報が送られた場合に、この宅内機器制御案を表す情報を通信インタフェース42により受信して記憶部44に保存する処理を行う。
制御案修正制御部413は、上記記憶部44に記憶された宅内機器制御案に対する修正要求が入力部43により入力された場合に、当該宅内機器制御案を読み出して図示しない表示部に表示する。そして、上記修正要求に続いて入力された修正情報に応じて、上記表示された宅内機器制御案を修正し、この修正された宅内機器制御案を記憶部44に保存すると共に、通信インタフェース42からサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7へ送信する処理を行う。
宅内機器運転制御部414は、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2から電気料金変更通知が送られた場合に、当該電気料金変更通知により指定された消費電力削減対象となる時間帯において、上記記憶部44に保存されている宅内機器制御案を表す情報に基づいて、宅内機器31〜3kの動作を個別に制御するための制御信号を生成する。そして、この生成された制御信号を制御信号送信部45から宅内機器31〜3kに向け送信する処理を行う。
情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6は以下のように構成される。図3はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、アグリゲーションサーバ6は、制御部61と、通信インタフェース62と、宅内機器情報記憶部63とデータ処理部613を備えている。
通信インタフェース62は、制御部61の制御の下、通信ネットワークCNWで規定される通信プロトコルを使用して、上記HEMSサーバ4、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2及びサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7との間でデータ通信を行う。
宅内機器情報記憶部63は、上記各需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4から送信された宅内機器情報を、送信元の需要者宅の識別情報と関連付けて保存するために用いられる。また、宅内機器情報記憶部63は、第1群〜第n群に属する需要者をグループ管理情報(需要者属性情報を含む)と、全需要者が所有する家電機器情報と機器毎の電力使用状況の時間推移情報を各種メタデータ(非圧縮データ)と関連付けて格納している。加えて、太陽光発電装置とその発電量、蓄電池とその充放電量と蓄電量、電気自動車(EV)についても、その各々の時間推移情報が各種メタデータと関連付けて格納している。ここでメタデータとは、需要者宅HM1〜HMi内での環境センサ情報(温湿度など)、電力使用に係る社会的、地域的イベント情報、宅内状況(居住者の在宅状況など)を含む。
制御部61は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、本実施形態を実施する上で必要な制御機能として、宅内機器情報受信転送制御部611と、宅内機器情報送信制御部612とデータ処理部613を有している。なお、上記各制御部611〜613はアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
宅内機器情報受信転送制御部611は、上記需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4から送信された宅内機器情報を通信インタフェース62で受信すると、この受信した宅内機器情報を宅内機器情報記憶部63に保存すると共に、需要者宅HM1〜HMiの電力需要を表す情報として通信インタフェース62から電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2へ転送する処理を行う。
宅内機器情報送信制御部612は、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7から宅内機器情報の取得要求を受信した場合に、上記宅内機器情報記憶部63から該当する宅内機器情報を読み出し、この読み出した宅内機器情報を通信インタフェース62から要求元のサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7へ送信する処理を行う。
データ処理部613では、宅内機器情報記憶部63に格納された各種データを加工処理する。例えば、図4に示すように、第n群に属する特定の需要者宅について、所有機器毎の電力プロファイルを生成する。図4のグラフでは、ある特定の年月日におけるエアコン、冷蔵庫、テレビ、照明、その他の家電毎の1日24時間の電力使用推移を積算表示するように描画している。電力プロファイル生成に要するデータは、図4の右にしめされたような天気情報(時間別)、温湿度情報、当日行われたイベント情報などのメタデータと関連させて格納している。ここでイベント情報とは、家電の電力使用状況あるいは、電力プロファイルの構造に影響を与える社会的、地域的イベントなどが相当する。例えば、社会的に重要な事件が発生してテレビで特別番組が放映される際、多くの視聴者の関心を集め、その結果、テレビの視聴率、視聴部屋の照明とエアコン駆動が一斉に起きる場合がある。このような場合に、イベント情報として、「○○事件に関する記者会見:18:00〜19:00」を格納する。社会的に関心の高い事件、スポーツ情報などもイベント情報に含む。
電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は以下のように構成される。図5はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、制御部21と、通信インタフェース22と、記憶部23を備えている。
通信インタフェース22は、制御部21の制御の下、通信ネットワークCNWで規定される通信プロトコルを使用して、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7、及びHEMSサーバ4との間でデータ通信を行う。
記憶部23は、記憶媒体としてハードディスク又はフラッシュメモリ等の随時書込み読出しが可能な不揮発性メモリを使用したもので、本実施形態を実施する上で必要なデータベースとして、電力需要情報データベース231と、電力料金データベース232と、電力削減効果情報データベース233を有している。
電力需要情報データベース231は、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6から転送される、需要者宅HM1〜HMiの電力需要を表す情報を記憶するために使用される。
電力料金データベース232には、サービスエリアに対する平常時用の時間帯別電気料金を表す情報と、電力需給の逼迫が予測される場合の時間帯別電気料金を表す情報が格納されている。
電力削減効果情報データベース233は、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7から送られる各需要者宅HM1〜HMiの消費電力削減効果を表す情報を記憶するために使用される。
制御部21は例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、本実施形態を実施する上で必要な制御機能として、電力需要情報受信制御部211と、電力需給監視部212と、電力料金変更通知送信部213と、電力削減効果通知受信部214とデマンドレスポンス要求処理部215を有している。なお、これらの制御機能はいずれもアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
電力需要情報受信制御部211は、上記情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6から送信された需要者宅HM1〜HMiの電力需要を表す情報を通信インタフェース22を介して受信し、この受信された需要者宅の電力需要を表す情報を上記電力需要情報データベース231に、需要者宅の識別情報と関連付けて記憶させる処理を行う。
電力削減効果通知受信部214は、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7から送信された需要者宅HM1〜HMiの消費電力削減効果を表す情報を通信インタフェース22を介して受信し、この受信された需要者宅の消費電力削減効果を表す情報を上記電力削減効果情報データベース233に、需要者宅の識別情報と関連付けて記憶させる処理を行う。
電力需給監視部212は、上記電力需要情報データベース231及び電力削減効果情報データベース233からそれぞれ需要者宅HM1〜HMiにおける電力需要を表す情報及び電力削減効果を表す情報を読み出し、この読み出された各情報と送電設備1から提供される電力供給量を表す情報とに基づいて、電力需給の逼迫を予測する処理を行う。
電力料金変更通知送信部213は、上記電力需給監視部212により電力需給の逼迫が予測された場合に、上記電力料金データベース232から当該逼迫が予想される時間帯の電気料金を変更した時間帯別料金情報を読み出す。そして、この読み出された時間帯別料金情報を、上記逼迫が予想される時間帯を示す情報と共に、電気料金変更通知として通信インタフェース22からサービスエリア内の需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4に向け送信する処理を行う。
デマンドレスポンス要求処理部215は、アグリゲーションサーバ6のデータ処理部613で生成された任意の需要者群の電力プロファイルを受け取って、デマンドレスポンス要求の生成処理を行う。デマンドレスポンス要求処理部215の動作を図6を用いて説明する。
図6は、アグリゲーションサーバ6から転送された、特定の需要者群における特定家電機器(図ではエアコン)について、現在(図6では12:00頃)の電力使用状況プロファイルと、過去の類似電力使用状況プロファイルをレファレンスデータとして重ねて描画したものである。
ここで、レファレンスデータとして取得する過去の電力使用状況プロファイルは、図6右に示すメタデータを参照して決定する。例えば、現在の天気状況(晴れ/曇り/雨)と同一となる直近の電力プロファイルデータを採用してもよいし、現在の天気状況が同一の過去の複数の電力使用状況プロファイルの中から温湿度情報が現在値に最も近い電力使用状況プロファイルをレファレンスデータとして採用してもよい。上記レファレンスデータの選択は、予め定められたアルゴリズムに基づいてデマンドレスポンス要求処理部215で実行される。
さらに、デマンドレスポンス要求処理部215では、図6のように得られたグラフから、現在の電力使用傾向がレファレンスデータに比べて所定の値以上の増加傾向(電力消費量上昇の時間勾配)を有するかどうかを判定し、所定値を超えた場合、デマンドレスポンスを要求するものと判定する。この判定情報は、デマンドレスポンス要求を行うオペレータに提示され、オペレータの最終判断により適するデマンドレスポンスの種別、適用開始時刻、適用終了時刻が決定され、当該需要者群に属する全ての需要者に通知される。
次に、図7を用いて、デマンドレスポンス要求処理部215がデマンドレスポンスの適用開始時刻、適用終了時刻を自動判定する方法について述べる。図7の最上段に示したグラフは、図6と同じグラフで、アグリゲーションサーバ6から転送された、特定の需要者群における特定家電機器の電力使用状況プロファイルと、過去の類似電力使用状況プロファイルをレファレンスデータとして重ねて描画したものである。
図7の中段に示すグラフは、上段グラフにおける特定需要者群における特定家電機器の電力使用状況プロファイル(以下「Aプロファイル」という。)と、過去の類似電力使用状況プロファイル(レファレンスデータ(以下「Bプロファイル」という。))との差をプロットしたものである(以下「DRプロファイル」という。)。A―B>0の場合、デマンドレスポンスプロフィルは右上がりに上昇するように描画される。
デマンドレスポンスプロファイルの右端は直近の電力観測時刻になる(P)。P点から見て直近の複数の観測値を基に回帰直線を求め、これを外挿入した直線がBファイルのピーク値となる時刻(図7では16:30)に到達する点をRとする。点Qは、電力使用の許容値として予め設定した指標値(β)が直線PRと交わる点である。直線PRを、Bプロファイルのピーク時間に対して対称に折り返して得られる直線が上記設定値βとなる点をSとする。このようにして得た点Qの時刻をデマンドレスポンス開始時刻、点Sの時刻をデマンドレスポンス終了時刻とする。
図7の最下段に示すグラフは、デマンドレスポンスの具体例としてCPP(Critical Peak Price:卸売価格高騰時やシステムの不測の事態時に、限られた日数や時間、予め指定された高い価格を課すべき電力プロファイルを提示するDR)を適用した場合を示す。CPPの開始時刻、終了時刻が図7中段グラフのそれぞれQ点、S点の時刻に対応している。以上のようにして、特定の需要者群の特定の家電機器に対する電力使用状況プロファイルに対してデマンドレスポンス要求を発することができる。
図6、図7では、n番目の特定の需要者群における特定の家電機器の電力使用状況プロファイルに基づいてデマンドレスポンス要求の生成方法について説明したが、よりマクロな電力使用状況についても同様に適用可能である。すなわち、電力プロファイルとして、複数の家電機器の合計電力プロファイルを採用してもよいし、n群の需要者群のうち、特定の複数の需要者群の和の合計電力プロファイルを採用しても同様である。要するに、アグリゲーションサーバ6には、ミクロな電力使用状況プロファイルを生成するデータが格納されているので、その任意の合算値からなる電力プロファイルの生成は容易に実現できる。
一方、(a1)太陽光発電装置の発電量、(a2)蓄電池の放電量、(a3)蓄電池の充電量の時間推移プロファイルを家電機器使用電力プロファイルとを合算して扱う場合は次のようにする。すなわち、(a1)の発電量プロファイルと(a2)の放電量の値は、それらの値が家電機器の電力使用で賄われたものとして家電機器使用電力プロファイルの値から減するようにする。(a3)の充電量プロファイルについては、その値に相当する仮想的な家電機器があるものとして家電機器使用電力プロファイルの値に加算する。
また、図7で説明したデマンドレスポンスの適用開始時刻、終了時刻の自動生成については、電力逼迫が見込まれる緊急事態への対応に適するが、これに限るものではなく、図7におけるBプロファイルを直近の複数日から選択し、ここから得られたデマンドレスポンスの適用開始時刻、終了時刻を翌日に適用する。
サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7は以下のように構成される。図8はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7は、制御ユニット71と、通信インタフェース72と、記憶ユニット73を備えている。
通信インタフェース72は、制御ユニット71の制御の下、通信ネットワークCNWで規定される通信プロトコルを使用して、需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6、及び電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2との間でデータ通信を行う。
記憶ユニット73は、記憶媒体としてハードディスク又はフラッシュメモリ等の随時書込み読出しが可能な不揮発性メモリを使用したもので、本実施形態を実施する上で必要な記憶部として、宅内機器情報記憶部731と、制御案記憶部732を有している。
宅内機器情報記憶部731は、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6から取得した宅内機器情報を保存するために使用される。
制御案記憶部732は、需要者宅HM1〜HMiごとに作成される宅内機器の消費電力制御案を表す情報を保存するために使用される。
制御ユニット71は例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、本実施形態を実施する上で必要な制御機能として、宅内機器情報取得制御部711と、制御案作成部712と、制御案送信制御部713とを有している。なお、これらの制御機能711〜713はいずれもアプリケーション・プログラムをCPUに実行させることにより実現される。
宅内機器情報取得制御部711は、需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4から宅内機器制御案の作成要求を受信した場合に、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6に対し通信インタフェース72から宅内機器情報の取得要求を送信する。そして、この要求に対しアグリゲーションサーバ6から返送される需要者宅HM1〜HMiの宅内機器情報を通信インタフェース72で受信し、宅内機器情報記憶部731に保存する処理を行う。
制御案作成部712は、上記宅内機器情報記憶部731に保存された宅内機器情報をもとに、需要者宅HM1〜HMiごとに宅内機器制御案を作成して、制御案記憶部732に保存する処理を行う。
制御案送信制御部713は、上記制御案記憶部732に保存された需要者宅ごとの宅内機器制御案を読み出し、この読み出された宅内機器制御案を表す情報を通信インタフェース72から該当する例えば需要者宅HM1のHEMSサーバ4に向けてそれぞれ送信する処理を行う。
また制御案送信制御部713は、需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4から修正された宅内機器制御案が送られた場合に、制御案記憶部732に格納されている該当する旧い制御案を上記修正された宅内機器制御案に更新する処理を行う。
さらに制御案送信制御部713は、上記制御案記憶部732に記憶された宅内機器制御案もしくは修正された制御案を、消費電力削減効果を表す情報として通信インタフェース72から電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2へ送信する処理も行う。
次に、以上のように構成された電力需給調整システムの動作を説明する。図9は当該システムにおける電力需要制御のためのデータ授受を示すシーケンス図、図10、図11及び図12は当該電力需給調整動作の具体例を示す図である。
なお、ここでは地域内において第n需要者群に属する需要者宅は100軒(n=100)存在するものとし、電力網の供給力は100kWあるものとして説明を行う。
(宅内機器情報の収集及び通知)
需要者宅HM1〜HMiにおいて、HEMSサーバ4はそれぞれ宅内機器情報収集送信制御部411の制御の下、先ず宅内機器31〜3kから宅内機器情報と各機器31〜3k毎の電力使用推移情報を図9(1) に示すように取得し、この取得した宅内機器情報を記憶部44に保存する。ここで、宅内機器情報は宅内機器31〜3kの電力属性を示す情報であり、例えば家電機器の種類と、その設置場所を表す情報と、平均的な消費電力及び最大消費電力とを含む。また、機器の製造メーカ、型番、製造年月日などの詳細データを含むようにしてもよい。
そして、HEMSサーバ4は、宅内機器情報収集送信制御部411の制御の下、上記取得された宅内機器情報を、図9(2) に示すように情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6へ送信する。
アグリゲーションサーバ6は、宅内機器情報受信転送制御部611の制御の下で、上記需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4から送信された宅内機器情報と各機器31〜3k毎の電力使用推移情報とメタデータを受信し、これらを送信元となる需要者宅HM1の識別情報と関連付けて宅内機器情報記憶部63に保存する。そして、当該受信した宅内機器情報と各機器毎の電力使用推移情報とメタデータを、図9(3) に示すように、需要者宅HM1の電力需要を表す情報として電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2へ転送する。
なお、電力需要を表す情報としては宅内機器情報を転送するのではなく、アグリゲーションサーバ6において例えば域内の需要者宅HM2の宅内機器情報をもとにその消費電力の最大値の合計を算出し、この算出された域内における消費電力の最大値の合計を電力需要情報として電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2へ送信するようにしてもよい。電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、この電力需要情報を用いて域内の電力需給を把握することが可能である。
電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、電力需要情報受信制御部211の制御の下で、上記情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6から送信された需要者宅HM1の電力需要を表す情報を受信し、この受信された需要者宅HM1の電力需要を表す情報を上記電力需要情報データベース231に需要者宅の識別情報と関連付けて記憶させる。
例えば、需要者宅HM1,HM100については、図10に示すように「テレビ」、「エアコン」、「冷蔵庫」、「照明1」及び「照明2」の機種情報と、その平均的な消費電力及び最大電力の値が、宅内機器情報としてHEMSサーバ4で収集され(図10(1))、アグリゲーションサーバ6に送られ(図10(2))、このアグリゲーションサーバ6からさらに電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2へ転送される(図10(3))。その他の需要者宅についても、同様に宅内機器情報の収集及び転送処理が行われる。
以上述べた宅内機器情報の収集・転送処理は定期的(例えば10分間隔)に実行される。このため、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2では、地域内の需要者宅HM1〜HM100の各々における電力需要を、定期的に更新される上記宅内機器情報をもとに現状から大きくかけ離れることなく把握することが可能となる。
(電力需給の逼迫予測に基づく宅内機器の動作制御)
(電気料金の変更通知)
電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、電力需給監視部212により、上記需要者宅HM1〜HM100における電力需要を表す情報と送電設備から提供される電力供給量を表す情報とを比較することで、電力需給の状況を監視する。そして、電力需給の逼迫が予想される場合には、電力料金変更通知送信部213の制御の下で、電力料金データベース232から当該逼迫が予想される時間帯の電気料金を変更した時間帯別料金情報を読み出し、この読み出された時間帯別料金情報を図9(4)に示すように電気料金変更通知として需要者宅HM1〜HM100のHEMSサーバ4に向け送信する。
例えば、夏場のある日の午前6時において、送配電網PNWにおけるその日の14時〜15時の時間帯の消費電力予測値が98kWとなり、電力供給力を上回るおそれが生じたとする。この場合、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、需要者宅HM1〜HM100の消費電力を削減する必要があると判断し、例えば当該時間帯において電気料金を50円/kWhに変更した時間帯別電気料金の情報を電力料金データベース232から読み出し、これを図11(4)に示すように電料金変更通知として需要者宅HM1〜HM100のHEMSサーバ4へ送信する。
需要者宅HM1〜HM100のHEMSサーバ4では、上記電気料金変更通知を受信すると、変更後の時間帯別電気料金が、テレビ又は図示しない宅内のパーソナル・コンピュータ等に表示される。ユーザは、この表示された変更後の電気料金により、当日の14時〜15時の時間帯に電力需給の逼迫が予想されることを知ることができる。
(宅内機器制御案の作成と提供)
上記電気料金変更通知を受信すると需要者宅HM1〜HM100のHEMSサーバ4は、宅内機器制御案取得制御部412の制御の下で、図9(5) に示すようにサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7に対し、宅内機器31〜3kによる消費電力を削減するための宅内機器制御案の作成要求を送信する。
これに対しサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7は、需要者宅HM1〜HM100のHEMSサーバ4から宅内機器制御案の作成要求を受信すると、宅内機器情報取得制御部711の制御の下で、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6に対し宅内機器情報の取得要求を送信する。この要求に応じてアグリゲーションサーバ6が図9(6) に示すように需要者宅HM1〜HM100の宅内機器情報を返送すると、宅内電力需給調整サーバ7は制御案作成部712により、上記返送された宅内機器情報を分析した上で、需要者宅HM1〜HM100ごとに宅内機器31〜3kの消費電力を削減するための宅内機器制御案を作成し、図9(7) に示すように要求元のHEMSサーバ4に返送する。
例えば、需要者宅HM1については、居住者の快適性や健康維持を考慮しつつ消費電力の抑制を図るべく、エアコンと照明の設定変更を実施する制御案を作成しHEMSサーバ4に送信する(図12(7))。具体的には、夏季においてエアコンの冷房の温度設定が28℃未満である場合には温度設定を28℃に変更し、照明の照度設定が50%より高いときには照度設定を50%に変更する制御案を作成する。
また、需要者宅HM2については、例えばエアコンの温度設定変更と照明の照度変更のほか、洗濯乾燥機を使用禁止とする制御案を作成しHEMSサーバ4に送信する(図12(7))。具体的には、消費電力削減対象となる時間帯においては需要者宅HM2が洗濯乾燥機を使用しようとしても動作しないようにする制御案を作成する。
同様に、その他の需要者宅HM3〜HM100については、例えばエアコンの温度設定変更と照明の照度変更のほか、冷蔵庫を省エネモードへ変更する制御案を作成する。具体的には、消費電力削減対象となる時間帯になると冷蔵庫は自動的に省エネモードへ移行して、製氷機能を停止すると共に気流循環を抑制し、さらに液晶表示画面上に「省エネ中のため開閉回数を抑制してください」なるメッセージを表示する制御案を作成する。
以上のように作成された宅内機器制御案を受信すると、HEMSサーバ4はこの受信された宅内機器制御案を記憶部44に保存すると共に、テレビ又は図示しないパーソナル・コンピュータに表示させる。ユーザは、この表示された宅内機器制御案により14時台の消費電力削減動作を確認できる。
(宅内機器制御案の修正)
ところで、上記提案された宅内機器制御案では生活に支障を来す場合や、さらに消費電力削減が可能な場合のように、提案された宅内機器制御案をそのまま適用することを望まないときには、図9(8) に示すようにユーザ操作により当該制御案を修正することができる。
この宅内機器制御案の修正処理は、制御案修正制御部413の制御の下で以下のように行われる。すなわち、HEMSサーバ4の制御ユニット41は、記憶部44から宅内機器制御案を読み出して図示しないパーソナル・コンピュータに表示する。そして、当該パーソナル・コンピュータにおいてユーザが修正情報を入力すると、この入力された修正情報に応じて上記表示された宅内機器制御案を修正し、この修正された宅内機器制御案を記憶部44に保存する。
例えば、需要者宅HM1に対し提案された「エアコンの冷房の温度設定が28℃未満の場合は28℃設定に変更する」について、当該時間帯において28℃設定に設定変更することは快適性を損うと考えた場合には、「エアコンの温度設定が26℃未満の場合は26℃設定に変更する」へ修正する。
また、需要者宅HM2においては、消費電力削減対象の時間帯において洗濯乾燥機を使用する予定があると考えた場合には、使用禁止の制御を削除する修正を行う。同様にその他の需要者宅HM3〜HM100において、照明1の照度が50%では家事に支障が出ると考える場合には、照度変更の制御を削除する修正を行う。さらに、提案された宅内機器制御案を全て拒否し、消費電力削減対象の時間帯では宅内機器の動作制御を行わないように制御案を修正することも可能である。
反対に、提案された宅内機器制御案よりもさらに消費電力削減が可能であるとユーザが考える場合には、その内容を宅内機器制御案に反映する修正を行うこともできる。例えば、需要者宅HM1において、当該時間帯において照明2が設置されている部屋は使わないため照明は不要であると考える場合には、制御内容を「電源OFF」に修正する。
(電力需給の逼迫状況の再判定とその判定結果に基づく対応)
上記修正後の宅内機器制御案は、図9(8) に示すようにサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7へ送信され、これにより宅内電力需給調整サーバ7に保存されている該当する旧い制御案も更新される。宅内電力需給調整サーバ7は、制御案送信制御部713の制御の下で、上記制御案記憶部732に記憶された宅内機器制御案もしくは修正された制御案を、図9(9)及び図12(9)に示すように消費電力削減効果を表す情報として電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2へ送信する。
電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、電力削減効果通知受信部214の制御の下で、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7から送信された需要者宅HM1〜HM100の消費電力削減効果を表す情報を受信し、この受信された需要者宅HM1〜HM100の消費電力削減効果を表す情報を上記電力削減効果情報データベース233に保存する。
電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2は、電力需給監視部212により、上記電力削減効果情報データベース233に保存された電力削減効果情報と、送電設備1が有する電力供給量とをもとに、電力需給の逼迫の程度を再度判定する。そして、その判定結果に基づいて、例えば予備の発電所を起動する必要があるか否か、或いは他の電力事業者から電力を購入する必要があるか否かを判断する。また、消費電力削減対象とする需要者宅の追加又は取り消しを判断する。
(宅内機器の制御)
さて、現在時刻が上記消費電力の削減対象となる時間帯の開始時刻14時になったとする。そうすると需要者宅HM1〜HM100のHEMSサーバ4は、宅内機器運転制御部414の制御の下、記憶部44に保存されている宅内機器制御案を表す情報に基づいて、宅内機器31〜3kの動作を個別に制御するための制御信号を生成する。そして、この生成された制御信号を、図9(10)及び図12(10)に示すように制御信号送信部45から宅内機器31〜3kに向け送信する。この結果、宅内機器31〜3kは選択的にその動作が制御される。
例えば、いま需要者宅HM1に例えば図12に示すような宅内機器制御案が保存されているものとする。この場合、図12中の※1は温度設定が28℃未満のときは28℃に設定変更することを表しているので、消費電力削減対象となる時間帯の開始時刻である14時に、エアコンの冷房の温度設定が28℃未満のときは自動的に28℃に設定変更され、当該時間帯が終了する15時までは需要者宅MH1のユーザによる28℃未満への設定変更は拒否される。
同様に、照明について、図12中の※2は照度設定が50%より高いときは照度設定を50%に変更することを表しているので、14時に照度が70%より高いときは自動的に50%に設定変更され、15時までは需要者宅HM1のユーザによる50%より高い照度への設定変更は拒否される。したがって、需要者宅HM1においてユーザが意識的に個々の機器制御を行うことなく、自動的に消費電力削減が実現される。
なお、以上の説明では、消費電力制御対象の時間帯ではユーザによる設定変更を拒否するようにしたが、来客やその他の事情により宅内機器31〜3kの設定変更が必要となる場合もあるので、消費電力制御対象の時間帯においてもユーザによる設定変更を行えるようにしてもよい。
また、需要者宅HM2においては、エアコンの温度設定変更と照明の照度変更のほか、洗濯乾燥機を使用禁止とする制御案が保存されているため、当該時間帯においてはユーザが洗濯乾燥機を使用しようとしても動作せず、他の時間帯での使用が強制されることになる。この結果、電力需要のピークシフトが期待できる。
さらに、その他の需要者宅HM3〜HM100においては、図12に示すようにエアコンの温度設定変更と照明の照度変更のほか、冷蔵庫を省エネモードへ変更する制御案が保存されている。このため、14時台に入ると冷蔵庫は自動的に省エネモードへ移行し、製氷機能が停止されると共に気流循環が抑制され、さらに液晶表示画面上に「省エネ中のため開閉回数を抑制してください」なるメッセージが表示される。したがって、14時台では冷蔵庫による消費電力削減分も上乗せされ、より一層の節電が可能となる。
[実施形態の効果]
以上詳述したように一実施形態では、需要者宅HM1〜HMiのHEMSサーバ4から宅内機器31〜3kの電力属性を表す宅内機器情報を情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6により収集し、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7が上記アグリゲーションサーバ6により収集された宅内機器情報をもとに上記需要者宅HM1〜HMiに対する宅内機器制御案を作成してHEMSサーバ4に提供する。そして、各HEMSサーバ4は、電力需給の逼迫予想に伴い電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2から電気料金変更通知がされたとき、この変更通知により指定される時間帯において、上記提供された宅内機器制御案に従い宅内機器31〜3kの動作を制限するための制御を行うようにしている。
例えば、需要者宅HM1〜HMiに対し少なくとも電力需要の調整を含むサービス制御を実行する場合に、アグリゲーションサーバ6は、需要者宅HM1〜HMiの宅内機器31〜3k毎に電力使用データを収集し、該電力使用状況に関連する情報をメタ情報として電力使用データと関連付けて格納し管理しておくだけでよく、これによりアグリゲーションサーバ6に頼らずに、デマンドレスポンスサーバ2及び宅内電力需給調整サーバ7で分担して実行することが可能となる。
したがって、需要者宅HM1〜HMiでは、電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2から電気料金変更通知がされた場合に、宅内電力需給調整サーバ7から提供された宅内機器制御案に基づいて宅内機器31〜3kの動作が制限される。このため、電力需給が逼迫すると予想される時間帯のように真に節電が求められる時間帯において需要者宅の消費電力を削減することが可能となる。
また、宅内機器制御案は、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7において需要者宅HM1〜HMiごとにその宅内機器31〜3kの電力属性を表す宅内機器情報に基づいて作成される。このため、需要者宅HM1〜HMiごとに、当該需要者宅HM1〜HMiで使用される宅内機器31〜3kを考慮した消費電力節減制御が行われることになり、全ての需要者宅に対し画一化された節電制御を行う場合に比べ、個々の需要者宅HM1〜HMiの状況を考慮した節電制御を行うことができる。すなわち、需要者宅HM1〜HMiごとにユーザの快適性や健康を維持しつつ効率的な消費電力削減を実現できる。
また、需要者宅HM1〜HMiのユーザは自身で消費電力削減のための宅内機器制御案を作成する必要がない。一般に、消費電力削減要求時に、宅内のどの機器を停止させ、或いはどの程度負荷制御を行えば効率良く削減できるかの判断は専門技術的であるため、それを需要者宅HM1〜HMiのユーザに判断させることは困難である。しかし、本実施形態であれば、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7により宅内機器制御案が作成されるので、ユーザの手を煩わせることなく常に適切な制御案を作成することができる。
さらに、上記消費電力削減のための宅内機器制御案を作成し提供する処理が、情報収集事業者が運用するアグリゲーションサーバ6により収集された宅内機器情報を利用して、サービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7により行われる。このため、同種の処理を集約し効率よく電力需要の制限を実現することができ、電力事業者PSは消費電力削減制御案を作成し提供するサービスを行うための金銭的及び時間的投資から免れることが可能となる。
さらに一実施形態では、制御案修正制御部413の制御の下でユーザによる宅内機器制御案の修正を可能にしている。このため、サービス事業者から提案された宅内機器制御案では生活に支障を来す場合や、さらに消費電力削減が可能な場合のように、需要者宅のユーザが提案された宅内機器制御案をそのまま適用することを望まない場合に、需要者宅HM1〜HMiごとに宅内機器31〜3kの使用目的等に応じた最適な宅内機器制御案に変更することができる。
さらに、電力事業者PSでは、需要者宅HM1〜HMiごとに作成又は修正された宅内機器制御案から消費電力削減効果を予測するようにしている。このため、需要者宅HM1〜HMiによる消費電力削減効果をより正確に予測することが可能となる。この結果、電力事業者PSはこの予測結果を電力需給計画に反映して、需給の最適化を図ることが可能となる。例えば、電力事業者PSは予備の発電所を起動する必要があるか否か、或いは他の電力事業者から電力を購入する必要があるか否かを判断することが可能となる。また、消費電力の削減を求めるサービスエリアの拡大又は縮小を判断することが可能となる。
[他の実施形態]
前記実施形態では、HEMSサーバ4において宅内機器31〜3kの電力属性情報を宅内機器31〜3kから取得するようにしたが、HEMSサーバ4が宅内機器メーカのWebサイトにアクセスして当該サイトから取得するようにしてもよい。また、情報収集事業者のアグリゲーションサーバ6が市販されている全ての宅内機器31〜3kの電力属性情報を収集し管理している場合には、HEMSサーバ4がアグリゲーションサーバ6にアクセスして取得するようにしてもよい。
また、前記実施形態ではアグリゲーションサーバ6がHEMSサーバ4から宅内機器情報を収集して保存し、宅内電力需給調整サーバ7は上記アグリゲーションサーバ6から上記保存された宅内機器情報を取得して宅内機器制御案を作成するようにした。しかしそれに限らず、宅内電力需給調整サーバ7がHEMSサーバ4から宅内機器情報を収集して保存し、HEMSサーバ4からの要求に応じて宅内機器制御案を作成するようにしてもよい。また、上記宅内機器情報の収集とそれに基づく宅内機器制御案の作成処理を、アグリゲーションサーバ6及び宅内電力需給調整サーバ7に頼らずに、電力事業者のデマンドレスポンスサーバ2が一括して行うようにしてもよい。
すなわち、前記実施形態ではデマンドレスポンスサーバ2、アグリゲーションサーバ6、宅内電力需給調整サーバ7の種のサーバをそれぞれ別の事業主体が保有し、サービスを提供するものとした。しかしこれ限らず、複数種のサーバを同一の事業主体が保有しサービスを提供することも可能である。例えば、同一の事業者がアグリゲーションサーバ6と宅内電力需給調整サーバ7を保有し、情報収集と宅内機器制御サービスの両方を行うことができる。
また、前記実施形態では、宅内機器31〜3kの制御が実行される所定時間前(例えば8時間前)に電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2から電気料金の変更が通知されるが、宅内機器制御の実行前であれば任意の時刻に電気料金の変更を通知してもよい。
さらに、前記実施形態では電力事業者PSのデマンドレスポンスサーバ2から電気料金の変更通知が送信された場合に、HEMSサーバ4の要求に応じてサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7が宅内機器制御案を作成する処理を実行するようにした。しかしそれに限らず、電気料金の変更通知が受信される前に事前に、HEMSサーバ4の要求に応じてサービス事業者の宅内電力需給調整サーバ7が宅内機器制御案を作成する処理を実行するようにしてもよい。このようにすると、消費電力削減対象となる時間帯の開始時刻に電力会社から消費電力削減要求又は需給逼迫通知が送信された場合や、宅内機器制御案の作成にあたり処理するデータ(宅内機器の動作特性を詳細解析し最適な動作を計算するなど)が膨大で宅内機器制御案の作成に長時間を要する場合にも、消費電力削減対象となる時間帯の開始時刻から宅内機器31〜3kの制御を開始することができる。
さらに、前記実施形態では、宅内機器31〜3kの制御例として、エアコンの温度設定変更、照明の照度変更、洗濯乾燥機の使用禁止、冷蔵庫の省エネモードへの移行及び電源OFFを挙げたが、これらに限らず、昨今の電気機器が持つ多様な節電機能や負荷制御機能を制御対象とすることができる。
さらに前記実施形態では、アグリゲーションサーバ6が収集した宅内機器情報は電力需要調整に用いたが、この情報は他の用途・サービス提供にも活用できる。例えば、宅内機器31〜3kの消費電力情報をもとに居住者の生活状況を把握する、いわゆる「見守り」サービスの提供に活用することができる。また、宅内機器の使用頻度や動作時の負荷レベルの情報を蓄積することにより、ユーザに故障予測情報を提供し、保守や買い替えを促すサービスの提供も実現できる。
その他、域内における需要者宅の軒数、そのうち消費電力削減対象とする需要者宅の軒数又はエリアの設定方法、需要者宅で使用する宅内機器の種類や数、需要者宅内制御装置(HEMSサーバ)の構成、電力事業者、情報収集事業者及びサービス事業者が使用する情報処理装置の構成やその制御機能等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1…送電設備、2…デマンドレスポンスサーバ、31〜3k…宅内機器、4…HEMSサーバ、5…分電盤、6…アグリゲーションサーバ、7…宅内電力需要調整サーバ、21…制御部、22,42,62,72…通信インタフェース、23,44…記憶部、211…電力需要情報受信制御部、212…電力需給監視部、213…電力料金変更通知送信部、214…電力削減効果通知受信部、215…デマンドレスポンス要求処理部、231…電力需要情報データベース、232…電力料金データベース、233…電力削減効果情報データベース、41…制御ユニット、43…入力部、45…制御信号送信部、46…宅内機器情報受信部、411…宅内機器情報収集送信制御部、412…宅内機器制御案取得制御部、413…制御案修正制御部、414…宅内機器運転制御部、63…宅内機器情報記憶部、611…宅内機器情報受信転送制御部、612…宅内機器情報送信制御部、613…データ処理部、711…宅内機器情報取得制御部、712…制御案作成部、713…制御案送信制御部、731…宅内機器情報記憶部、732…制御案記憶部、PNW…送配電網、CNW…通信ネットワーク。

Claims (2)

  1. 複数の需要者宅毎に設けられた複数の宅内機器に接続された需要者宅内制御装置に対し通信ネットワークを介して接続され、前記需要者宅内制御装置との間で、通信ネットワークを介して通信を行うことにより、前記需要者宅の電力需要の抑制を依頼する情報処理装置であって、
    前記需要者宅の前記宅内機器毎に収集された電力使用データを基に、前記需要者宅に通知するための電力使用抑制依頼の内容を提示する電力使用抑制依頼内容提示手段
    を備え
    前記電力使用抑制依頼内容提示手段は、電力使用状況プロファイルと過去のレファレンスデータとの比較から所定の値以上の増加傾向を有するか否かを判定し、所定値を超えた場合に前記電力使用抑制依頼を生成する電力使用抑制依頼生成手段を含む
    ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 情報処理装置と、複数の需要者宅毎に設けられた複数の宅内機器に接続された需要者宅内制御装置との間で、通信ネットワークを介して通信を行うことにより、前記需要者宅の電力需要の抑制を依頼するサービス提供方法であって、
    前記情報処理装置が、前記需要者宅の前記宅内機器毎に収集された電力使用データを基に、前記需要者宅に通知するための電力使用抑制依頼の内容を提示する第1の工程
    を備え
    前記第1の工程は、電力使用状況プロファイルと過去のレファレンスデータとの比較から所定の値以上の増加傾向を有するか否かを判定し、所定値を超えた場合に前記電力使用抑制依頼を生成する第2の工程を含む
    ことを特徴とするサービス提供方法。
JP2013160576A 2013-08-01 2013-08-01 情報処理装置及びサービス提供方法 Active JP5768097B2 (ja)

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