JP5767759B1 - ヘパリン含有組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 デキストリンを含有しなくても長期安定性を担保可能な、低分子ヘパリンとプロタミンのナノ粒子を含有する組成物の提供。【解決手段】 生理食塩水を用いた希釈LMWH溶液に希釈プロタミン溶液を添加及び撹拌する工程を含む、LMWHとプロタミンとを含むナノ粒子(LMWH/P NPs)を含有する剤の製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、育毛・発毛・養毛やアンチエージング等に有効なヘパリン含有組成物に関する。
近年、盛んに研究されている再生医療として、外部から種々の因子を目的部位へ注入する手法がある。このような因子候補として、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor : FGF-2)、血小板由来増殖因子(PDGFs)、線維芽増殖因子(FGFs)、肝細胞増殖因子(HGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGFs)、血管内皮増殖因子(VEGFs)等が挙げられる。
ところで、前述した因子の多くは、ヘパリン結合性因子であることが知られている。このため、例えば、特許文献1では、低分子ヘパリンとプロタミンとを含む粒子であって、当該粒子に増殖因子等を担持させたものを含有する医療用組成物が提案されている。ここで、当該粒子は、低分子ヘパリン溶液にプロタミン溶液を滴下して製造される。そして、低分子ヘパリン及びプロタミンの濃度がそれぞれ0.05〜0.5mg/ml程度の溶液を用いると、50〜200nm程度の平均粒子径をもつ粒子を得ることができる、と記載されている(段落0025)。加えて、長期保存した後の分散安定性のため、デキストリンを添加する必要があることが記載されている(段落0027)。
特開2011−219428号公報
このように、特許文献1に係る組成物は、ヘパリン結合性因子を担持可能な、低分子ヘパリンとプロタミンのナノ粒子であり、医療や美容用途で有用である。しかしながら、デキストリンを添加しないと長期安定性を担保できないという課題がある。よって、本発明は、デキストリンを含有しなくても長期安定性を担保可能な、低分子ヘパリンとプロタミンのナノ粒子を含有する組成物を提供することを課題とする。
本発明は、生理食塩水希釈液であり且つ濃度が10μg/ml〜1000μg/mlである数平均分子量が1000〜10000である低分子量ヘパリン溶液に対し、生理食塩水非希釈液であるプロタミン溶液を添加し撹拌する工程を含む、低分子量ヘパリンとプロタミンとを含むナノ粒子を含有し、且つ、デキストランを含有しない剤の製造方法である。
ここで、前記プロタミン溶液のプロタミン濃度が、10μg/ml〜1000μg/mlであってもよい。
また、前記剤における低分子量ヘパリン/プロタミン(重量比)が、1/1〜5/1であってもよい。
また、前記プロタミンの数平均分子量が、500〜5000であってもよい。
また、前記ナノ粒子の平均粒子径が、20〜200nmであってもよい。
また、前記剤が、ヘパリン結合性成分を更に含んでいてもよい。
また、前記ヘパリン結合性成分が、ヒト多血小板血漿(hPRP)、ヒトの脂肪組織由来間葉系細胞から分泌される増殖因子、ヘパリン結合性増殖因子及びサイトカインからなる群から選択される一種以上であってもよい。
また、前記剤が、外用剤又は注射用剤であってもよい。
また、前記剤が、発毛剤、育毛剤又は養毛剤であってもよい。
また、前記剤が、アンチエージング剤であってもよい。
本発明によれば、デキストリンを含有しなくても長期安定性を担保可能な、低分子ヘパリンとプロタミンのナノ粒子を含有する組成物を提供することが可能となる。
Aは、本LMWH/P NPs単独溶液(製造直後)中のナノ粒子の電子顕微鏡写真とその粒子径分布を示す。Bは、本LMWH/P NPs単独溶液(30日間4℃保存後)中のナノ粒子の電子顕微鏡写真とその粒子径分布を示す。 活性化血小板から分泌されるヘパリン結合性増殖因子とLMEH/P NPsとの相互作用についての模式図を示す。 HGF、FGF−2、PRP含有LMWH/P NPsのマウス皮下注射投与による血管新生効果を示す。 自己PRP、LMWH/P NPs及び自己PRP含有LMWH/P NPsのヒト頭皮下注射投与による毛髪平均断面径の増加(育毛効果)及び発毛効果を示す。 ヘアレスマウスに12週間、毎日UVB照射を2.5分実施した皮膚老化モデルに対するLMWH/P NPs、FGF−2、FGF−2含有LMWH/P NPsの毎日塗布による表皮肥厚幅の変化を示す。 ヘアレスマウスに12週間、毎日UVB照射を2.5分実施した皮膚老化モデルに対するLMWH/P NPs、FGF−2、FGF−2含有LMWH/P NPsの毎日塗布による皮膚水分量及び皮膚水分蒸散量の変化を示す。 LMWH/P NPs懸濁液のヒト頭皮塗布による毛髪平均断面径の増加(育毛効果)及び発毛効果を示す。
≪本発明に係る剤の製造方法≫
本発明は、生理食塩水を用いた希釈LMWH溶液にプロタミン溶液を添加し撹拌する工程を含む、LMWHとプロタミンとを含むナノ粒子(LMWH/P NPs)を含有する剤の製造方法である。以下、当該製造方法について、原料及びプロセスの順で説明する。
<原料>
(LMWH)
本発明で用いるLMWHは、一般に天然ヘパリン(分子量15000〜20000Da程度)を解重合して得られる低分子量のヘパリンである。その数平均分子量の上限は、プロタミンと混合することによりナノ粒子を形成できる程度のものであればよく、一般的には10000、好ましくは9000、より好ましくは8000、更に好ましくは6000であり、数平均分子量の下限は、通常は1000、好ましくは3000、より好ましくは4000である。なお、数平均分子量において通常(天然)のヘパリンと区別できれば十分であり、例えば、10000以上、あるいは20000以上の分子量を持つ分画を含んでいても、全体として平均分子量が約10000未満であれば本発明における低分子ヘパリンとして使用できる。本発明では、ヘパリンの平均分子量として、分子量が既知の標準物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定される数平均分子量を用いる。
例えば、ブタの小腸粘膜由来のヘパリンを亜硝酸分解して得られる解重合ヘパリン(ダルテパリン)は、フラグミン(商品名)として市販されており、4000〜6000の平均分子量を有する。同様に、ブタの小腸粘膜由来のヘパリンを亜硝酸分解して得られる解重合ヘパリン(レビパリン)は、ローモリン(商品名)として市販されている。また、ウシ又はブタ腸粘膜由来のヘパリンを過酸化水素と酢酸第二銅により分解して得られる解重合へパリン(パルナパリン)は、ローヘパ(商品名)として市販されている。これらは何れも本発明における低分子ヘパリンとして使用できる。
ヘパリンは単独では抗凝固作用を持たず、血漿中のATIIIと結合することによってその作用を発揮し、第IIa因子、第XIIa因子、第XIa因子、第Xa因子、第IXa因子などの凝固系酵素を阻害、不活化する。一方、本発明で使用する低分子ヘパリンは抗第XIIa、抗第Xa因子活性を持つものの、第IIa因子、第XIa因子、第IXa因子に対する阻害活性は軽微であることが医薬品として明らかにされているので、創傷部位に注入しても当該部位における出血傾向を助長することなく使用できる。
LMWHとしては、上記の市販されているものを使用してもよいし、あるいは、過ヨウ素酸酸化により低分子化したヘパリンや、特異的脱硫酸化ヘパリンなども好適に用いることができる。このような低分子量のヘパリンを使用することにより、プロタミンと混合した際に好適なナノ粒子を得ることができる。
(プロタミン)
本発明で用いるプロタミンは、動物の精子の核中でDNAと結合して存在する塩基性の高いタンパク質として知られている。一般的には、27〜65残基からなる低分子量タンパク質であり、アミノ酸の40〜70%をアルギニンが占めると言われている。プロタミンも医薬品として市販されており、本発明では市販のプロタミンをそのまま使用することができる。プロタミンの数平均分子量は、好適には500〜5000である。
(溶媒)
LMWH溶液(原液)を希釈する溶媒は、生理食塩水である。他方、プロタミン溶液における溶媒は特に限定されないが、蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水等から任意に選択することができる。
(他の成分)
本発明では他の成分を添加してもよい。例えば、ヘパリン結合性成分を挙げることができる。具体的には、ヘパリン結合性成分が、ヒト多血小板血漿(hPRP)、ヒトの脂肪組織由来間葉系細胞から分泌されるヘパリン結合性増殖因子(血小板由来増殖因子(PDGFs)、FGFs、トランスフォーミング増殖因子(TGFs)、HGF、血管内皮増殖因子(VEGFs)から選択される一種以上である。LMWHとプロタミンとを含むナノ粒子(LMWH/P NPs)に当該ヘパリン結合性成分を担持させた場合、担持成分子を熱やトリプシン等たんぱく質分解酵素による不活化要因から保護して活性を維持延長することが確認されている。これは、ヘパリン結合性増殖因子と結合することによって発揮される天然のヘパリン様分子(ヘパラン硫酸等)が有する特徴的な機能と同等である。尚、ナノ粒子形成や安定性に影響するものでなければ、ヘパリンと結合しない分子を包接できるものと考えられる。LMWH/P NPsの形成は、相互の陰性電荷と陽性電荷による多重電解質複合体によるものであるため、例えば、著しく高分子量の物質でなければ、陰性電荷や陽性電荷を帯びた医薬品や化粧品用成分として保湿剤、育毛剤、アンチエージング剤、機能性食品成分としてビタミン剤や抗酸化剤なども包接することも可能である。
尚、本発明の製法では、長期安定性の観点からデキストランの添加は不要である。ただ、デキストランを含有していても構わない。デキストランの種類は特に限定は無く、数平均分子量は、好ましくは100〜300kDaであり、より好ましくは150〜250kDaであり、更に好ましくは178〜217kDaであり、医療用のものとして、MRCポリサッカライド株式会社(東京都)、名糖産業株式会社(名古屋市)などから市販されている製品を適宜用いることができる。
<製造方法>
本発明は、生理食塩水を用いた希釈LMWH溶液にプロタミン溶液を添加し撹拌する工程を含む。より詳細には、生理食塩水を用いた希釈LMWH溶液に希釈プロタミン溶液を滴下して撹拌することでLMWH/P NPsを生成させる。例えば、本製造方法は、ダルテパリン等のLMWHの水溶液に、プロタミン水溶液を滴下し、ボルテックスなどで更に攪拌することによって粒子を得る工程である。
(濃度)
LMWH及びプロタミンの濃度は、好適にはそれぞれ10μg/ml〜1000μg/mlであり、より好適には50μg/ml〜500μg/mlである。尚、LMWH及びプロタミンの濃度を調節することによって、得られる粒子のサイズを制御することができる。例えば、LMWH及びプロタミンの濃度がそれぞれ50〜500μg/ml程度の溶液を用いると、20〜200nm程度の平均粒子径をもつ粒子を得ることができる。
(混合重量比)
LMWHとプロタミンとの混合重量比については、プロタミンに対するLMWHの重量を等量あるいはやや過剰することが、粒子の収率向上の点で好ましく、過剰なプロタミンの存在は不溶性のペースト状沈殿物が生成する懸念がある。したがって、LMWHの溶液にプロタミンの溶液を滴下する場合には、滴下後の溶液内におけるLMWH/プロタミンの重量比は、好ましくは1/1〜5/1であり、より好ましくは1/1〜2/1である。すなわち、上記LMWH溶液に含まれるLMWH1重量部に対して、好ましくは0.2〜1重量部、より好ましくは0.5〜1重量部のプロタミンが添加されるようにプロタミン溶液が滴下される。
(その他)
前記のように、より一層の安定を図るため、デキストランを添加してもよい。この場合、デキストランの濃度は0.05〜1質量%であることが好適である。また、デキストランは、低分子ヘパリンとプロタミンとを含む粒子が生成した後に溶液に添加することが好ましい。
≪本発明に係る剤≫
本発明に係る剤は、LMWHとプロタミンとからなるLMWH/P NPsを含む。また、前記のように、本発明に係る剤は、ヘパリン結合性成分やデキストラン等を含有していてもよい。ここで、ナノ粒子の平均粒径は、好ましくは10nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。また、ナノ粒子の粒度分布は、好ましくは10nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。ここで、平均粒径及び粒度分布は、電子顕微鏡写真から粒子径解析ソフト(LabVIEW (Ver 8.5)with the Vision Development/Module (National Instrument Co.、Austin、Tx、USA)を使って計測した値である。
≪本発明に係る剤の用途≫
本発明に係る剤(LMWH/P NPsナノ粒子を有効成分とする剤)は、発毛剤、育毛剤又は養毛剤、更には、皺取り等や皮膚老化抑制のアンチエージング剤として有用である。加えて、本発明に係る剤は、下肢虚血治療などを対象とした血管新生や肉芽形成用剤としても有用である。
更に、LMWH/P NPsナノ粒子は、医薬(特にヘパリン結合性成分)の担体としても有用である。例えば、hPRPに含まれるヘパリン結合性増殖因子、ヒトの脂肪組織由来間葉系細胞から分泌される増殖因子(PDGFs、FGFs、TGFs、HGF、VEGFs等)、FGF−2(フィブラスト)等と組み合わせて使用することが好適である。
(剤型)
剤型は、好適には外用剤及び注射用剤であることが好適である。以下、その理由を述べる。
まず、剤型が外用剤であることが好適である理由は下記の通りである。肌は、角質層がバリアーとして存在するために薬効成分の皮膚への浸透性が低い。また、毛穴の直径は約200μm程度といわれている。加えて、皮膚細胞間隔は約70μm程度であると考えられている(但し、当該間隔は細胞の脈動等により広がる)。この観点から、外用適用のための生体適合性ナノ粒子の平均粒径は、1μm未満である必要があり、毛穴の深部への浸透性、更には角質層及び毛穴以外の部分からの皮膚や頭皮深部へ浸透性を更に高めるためには300nm以下であることが望ましい。本発明に係る剤は、前記のように薬剤中の平均粒径が200nm以下を実現できるため、本発明に係る剤は外用剤として特に適しているといえる。尚、外用剤として用いる場合には、発毛等が要される部位(皮膚や頭皮)に直接塗布する。
次に、剤型が注射用剤であることが好適である理由は下記の通りである。本発明のナノ粒子を医薬成分(又は医薬成分の担体)として用いた場合、LMWH/P NPsの平均粒径がナノ単位のナノ粒子状(20nm〜200nm)であるため、それを適当な媒体に分散させた当該剤は粘性が低く、極細針を装着したシリンジでも容易に取り扱う事が出来、操作性が非常に優れている。尚、注射用剤として用いる場合には、発毛等が要される部位に直接注射する。
(投与量)
本発明に係わる剤をヒト用外用剤として用いる場合、1日2回(朝・夕)、1回当たり1〜2mLを頭皮あるいは皮膚に塗布し、擦りこむようにマッサージすることが効果的である。また、本発明に係わる剤をヒト用注射用剤として用いる場合、10mLの剤を10か所{1mL(1か所)×10}に2週間毎に6回(計12週間)、皮内注射投与することが好適である。
以下、本発明に係る実施例を示す。ただし、本発明はこれらの実施例に記載された態様には限定されない。
(実施例1)
低分子化ヘパリン/プロタミンナノ粒子(LMWH/P NPs)の作製と安定性
LMWHとして、市販のダルテパリンであるフラグミン注射液(商品名)(6.4mg/ml、1000IU/ml、ヘパリンの数平均分子量は約5000、キッセイ薬品工業株式会社)を使用した。この5mlのLMWH注射液を100mlの生理食塩水(大塚製薬)に滴下し、2.3mlの市販のプロタミン注射液(10mg/ml;持田製薬株式会社) をLMWH溶液のボルテックスで撹拌しながら混合した。得られた微粒子分散物の電子顕微鏡外観を図1(A)に示す。粒子径分布のF/P MPs(図1)は、電子顕微鏡写真から粒子径解析ソフト(LabVIEW (Ver 8.5)with the Vision Development/Module (National Instrument Co.、Austin、Tx、USA)を使って計測した。その結果、生じたLMWH/P NPsは82±40.1nmであった。このF/P NPs懸濁液は、室温で一か月の長期にわたってデキストラン添加なしで融合することなく安定化し、粒子径を維持した(図1B)。
(実施例2)
図2は、活性化血小板から分泌されるヘパリン結合性増殖因子とLMWH/P NPsとの相互作用についての模式図であり、ヘパリン結合性増殖因子含有LMWH/P NPsは細胞外基質や細胞表面に接着して局所に保持され、吸着しているヘパリン結合性増殖因子の活性化、安定化、徐放化させ、それらの活性・機能を大きく促進させる。
図3は、HGF、FGF−2、PRP含有LMWH/P NPsのマウス皮下注射投与による血管新生効果を示す。この実験では、10μg/mlのFGF−2或いはHGF、また近交系同種のPRPと6mg/mlのLMWH/P NPsを含んだ混合液の200μlをマウス(メスC57BL/6Mice)の背部中央に皮下注射した。そして、10μg/mlのFGF−2或いはHGF、また近交系同種のPRP単独と6mg/mlのLMWH/P NPs単独、コントロールとして生理食塩水が注射された。これらの注入したFGF−2、HGF、PRP含有LMWH/P NPs及びLMWH/P NPs単独は、およそ1週間で分解され、肉眼的所見では消失していた。
顕微鏡観察一視野あたりの毛細血管数や毛包数を経時的に調べたところ、FGF−2、HGF、PRP含有LMWH/P NPs注入を実施した部位の周囲では、他の単独投与群やコントロール群と比べて比較的大きな新生血管数(直径20μm以上或いは内部に10以上の赤血球が認められる血管)が有意に増加しており、その作用は少なくとも15日に渡って継続された。以上のことから、FGF−2、HGF、PRP含有LMWH/P NPsを使用することにより、6日目以降で血管新生を有効に誘導することが可能であることが明らかになった。更に、FGF−2、HGF、PRP単独、及びLMWH/P NPs単独でもコントロールに比して、6日目以降で血管新生を有効に誘導することが可能である。
(実施例3)
インフォームドコンセントを得た薄毛に悩むボランティア36名(男24名、女12名)について、それぞれの採血により自己PRP含有LMWH/P NPs(9名)、自己PRP(9名)、LMWH/P NPs(9名)、生理食塩水(9名)を直接頭皮に皮下注射を行い、増毛・育毛効果について検討した。治療2週間毎3回、その後3週間毎2回(計5回)自己PRP含有LMWH/P NPs、自己PRP、LMWH/P NPs、生理食塩水を直接頭皮に皮下注射し、それぞれの0、6週及び12週目にDermoscopic Degital Camera (Derma Medical、Kanagawa、Japan)を用いて写真撮影を行い、単位表面積あたりの毛のクロス−セクション(直径)と毛の数を測定した。
その結果、自己PRP含有LMWH/P NPs(9名)、自己PRP(9名)、LMWH/P NPs(9名)、すべてにおいて毛髪平均断面積即ち育毛促進効果がコントロール(生理食塩水)と比較して観察された。この育毛促進効果は、自己PRP含有LMWH/P NPs(9名)において6週及び12週後、他の実験群と比して有意に促進したが、自己PRP(9名)及びLMWH/P NPs(9名)の単独投与群もコントロールと比較して有意に高かった(図4)。更にすべてのボランティアは洗髪における抜け毛の減少を自己PRP(9名)、LMWH/P NPs(9名)投与群において認識した。特に女性3名を含む9名の自己PRP含有LMWH/P NPs投与群はその効果が顕著であり(毛のクロス‐セクションの増加75%以上)であり、副作用の訴えは全くなく、満足度は非常に高いものがあった。
発毛率の変化においては6及び12周後において、自己PRP含有LMWH/P NPs(9名)、自己PRP(9名)、LMWH/P NPs(9名)、すべてにおいて発毛促進効果がコントロール(生理食塩水)と比較して観察された。特にLMWH/P NPs単独投与群(9名)における増加が、4群の中で最も高いことが観察されている。
(実施例4)
ヘアレスマウス(日本エスエルシー:Hos:HR−1)に、紫外線(UV)照射(UVB:波長ピーク300nm)ランプを使用し、週5日(5回)照射光度が、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90mJ/cmになるように毎週5mJ/cmづつ照射光度を増やすように照射時間を調整して、皮膚老モデルを作成した。このUV照射後、500μlの(100ng/ml)FGF−2含有(30μg/ml)LMWH/P NPs、FGF−2のみ、LMWH/P NPsのみ、そして生理食塩水(コントロール)をUV照射部位に擦りこむように塗布した。
12週間後、該当する皮膚をH&E(Hematoxylin&Eosin)染色した病理標本を作製し表皮の肥厚について評価した(図5)。写真上の白矢印は肥厚した表皮の厚さを示している。その結果UVB照射により、有意に表皮の肥厚が起きることとFGF−2含有LMWH/P NPs及びLMWH/P NPsの塗布は、UVB照射により引き起こされた表皮の肥厚を軽減することは明らかになった。
更に、12週間のUVB照射と薬剤塗布後、皮膚粘弾性測定装置(キュートメーター;Courage+Khazaka社製)を用いて、皮膚水分量及び皮膚水分蒸散量が測定された。その結果UVB照射により、有意に皮膚水分量の減少及び皮膚水分蒸散量の増加が起きることとFGF−2含有LMWH/P NPs及びLMWH/P NPsの塗布は、UVB照射により引き起こされた皮膚水分量の減少及び皮膚水分蒸散量の増加を軽減することは明らかになった(図6)。
(実施例5)
インフォームドコンセントを得た薄毛に悩むボランティア10名(男5名、女5名)について、約0.5μg/mlのLMWH/P NPsを含んだ懸濁液を洗髪後朝・夕2回、約1mlづつ薄毛の部分の頭皮に擦りこむように塗布を行い、増毛・育毛効果について検討した。またコントロールとしてボランティア6名に対して生理食塩水を同様に塗布した。それぞれの0、2、4、8週及び12週目にDermoscopic Degital Camera (Derma Medical、Kanagawa、Japan)を用いて写真撮影を行い、単位表面積あたりの毛のクロス−セクション(直径)と毛の数を測定した。
その結果、治療前を基準としてLMWH/P NPs(10名)すべてにおいて毛髪平均断面積即ち育毛促進効果及び発毛効果がコントロール(生理食塩水)と比較して有意に高いことが観察された。この結果は、毎日塗布した20〜200nmのLMWH/P NPsが、毛穴及び角質層及び毛穴以外の部分からの頭皮深部へ浸透・局在化し、内因性のサイトカインを吸着させることで血管新生による血流改善と毛根幹細胞の活性化が引き起こされたと考えられる。

Claims (10)

  1. 生理食塩水希釈液であり且つ濃度が10μg/ml〜1000μg/mlである数平均分子量が1000〜10000である低分子量ヘパリン溶液に対し、生理食塩水非希釈液であるプロタミン溶液を添加し撹拌する工程を含む、低分子量ヘパリンとプロタミンとを含むナノ粒子含有し、且つ、デキストランを含有しない剤の製造方法。
  2. 記プロタミン溶液のプロタミン濃度が、10μg/ml〜1000μg/mlである、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記剤における低分子量ヘパリン/プロタミン(重量比)が、1/1〜5/1である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 記プロタミンの数平均分子量が、00〜5000である、請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。
  5. 前記ナノ粒子の平均粒子径が、20〜200nmである、請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
  6. 前記剤が、ヘパリン結合性成分を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の製造方法。
  7. 前記ヘパリン結合性成分が、ヒト多血小板血漿(hPRP)、ヒトの脂肪組織由来間葉系細胞から分泌される増殖因子、ヘパリン結合性増殖因子及びサイトカインからなる群から選択される一種以上である、請求項6記載の製造方法。
  8. 前記剤が、外用剤又は注射用剤である、請求項1〜7のいずれか一項記載の製造方法。
  9. 前記剤が、発毛剤、育毛剤又は養毛剤である、請求項1〜8のいずれか一項記載の製造方法。
  10. 前記剤が、アンチエージング剤である、請求項1〜8のいずれか一項記載の製造方法。
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