JP5767568B2 - ワクチン接種針 - Google Patents
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この従来のワクチン接種針は、医療従事者が上記先端領域を容器内のワクチン内に挿入させることで、先ず上記直線状の切り欠き部内にワクチンを表面張力により付着させる。そして、その状態のワクチン接種針における両方の先端を接種対象者の皮膚に引っ掻くようにこすりつけることで、接種対象者にワクチンを接種するようになっていたものである(図9参照)。
このワクチン接種針1における長手方向の一端の先端領域1Aは、その左右両側が軸心Cに対して所定角度傾斜させて平面状にカットされている。そのため、ワクチン接種針1の先端領域1Aには、左右一対の左傾斜面1aと右傾斜面1bが形成されるとともに、それらの円周方向隣接位置に一対の第1刺し入れ部1cと第2刺し入れ部1dが形成されている。
本実施例においては、上記両傾斜面1a、1bを形成するに当たって先端領域1Aを左右両側から平面状にカットする際に、左右の切断面が隔てた間隔を第1刺し入れ部1c側が拡開するようにしている。そのため、図2ないし図3から理解できるように、第1刺し入れ部1cの平面上での角度θ1の方が第2刺し入れ部1dの角度θ2よりも鋭角となっており、また、前述のように、第1刺し入れ部1cの先端1c’の方が第2刺し入れ部1dの先端1d’よりも前方に位置している。
後述する実験結果で示すように、両傾斜面1a、1bの後方端の位置から横穴1Dの縁部1D’までの距離L2(又は第1刺し入れ部1cの先端1c’から横穴1Dまでの距離L1)の違いに応じて貯溜部1Bに貯溜可能なワクチン2の量を変更することができる。そこで、本実施例においては、接種対象者に接種すべきワクチン2の量と貯溜部1B内に貯溜されるワクチン2の量が一致するように上記距離L2(またはL1)を設定するようにしている。
さらに、両傾斜面1a、1bの長手方向の寸法は、2.112mmに設定されており、第1刺し入れ部1cの角度θ1は約24°となっており、また第2刺し入れ部1dの角度θ2は、約24°となっている。また、第2刺し入れ部1dの先端1d’が第1刺し入れ部1cの先端1c’から軸方向後方へ後退した量は、約0.477mmとなっている。
図6は実験条件を示した図面である。この実験においては、先ず上述した各部の寸法設定であって、かつ横穴1Dまでの距離L2を異ならせた複数のワクチン接種針1(試作品)を製作し、それらの先端領域1Aと横穴1Dを含めた後続部分を容器内の水に液面下20mmまで挿入してから引き抜いて、貯溜部1Bに貯溜された水の量を計測した。この実験では、各試作品(ワクチン接種針1)の先端領域1Aとその後続部分が水に挿入されることで、貯溜部1B内と横穴1Dおよびそこよりも上方の内部空間まで水が貯溜され、その後、ワクチン接種針1が水中から引き抜かれると、上記横穴1Dから大気がワクチン接種針1内に侵入する。それにより、横穴1Dの縁部1D’よりも内部上方まで入っていた水が貯溜部1Bの下端から流下し、それに伴って内部空間内の水の液面は下降して横穴1Dの縁部1D’の位置で停止する。つまり、縁部1D’の位置とそこよりも下方となる貯溜部1B内に水が貯溜され、該貯溜部1B内の水の量を重さとして計測した結果が図7である。なお、本実施例の試作品1〜5は、横穴1Dまでの寸法L2を順次1mmずつ異ならせている。
また、比較品としての従来品としては、図8に示した先端が二股状となった中実のワクチン接種針であって、先端領域の肉厚が0.39mm、切り欠き部(溝)の幅0.537mm、切り欠き部(溝)の長さ3.06mmのものである。
また、比較品の第2のものは、上記実施例として開示した各部の寸法を備えて横穴1D無しのものである。また、比較品第3のものは上記実施例として開示した各部の寸法を備えて横穴1Dまでの距離L2が20mmのものである。
なお、比較品としての二股状の従来品においては、本実施例の試作品と比較するとワクチンの保持量が少なくなっている。また、第2の比較品である横穴無しの場合には、本実施例の試作品と比較して保持量が多くなっている。さらに、第3の比較品の場合には、試作品5と同等の保持量となっている。
また、本実施例のワクチン接種針1は、先端領域1Aよりも後方側に横穴1Dが形成されており、この横穴1Dを、接種対象者に接種すべきワクチン2の量と貯溜部1Bの貯溜されるワクチン2の量が同一となる位置に設けている。そのため、ワクチン接種針1によって各接種対象者にワクチン2を接種する際の接種量を同一にすることができる。したがって、従来と比較して各接種対象者にワクチン2を接種する際の接種量のバラツキを抑制することができる。
また、上述した実施例は、ワクチン接種針1の一端を軸心Cと傾斜するように2つの傾斜面に沿ってカットすることにより2箇所の傾斜面(1a、1b)を形成しているが、傾斜面は3箇所であってもよい。つまり、一端を軸心Cと傾斜するように円周方向の3箇所で平面状に削除することにより、3箇所の傾斜面を形成するとともに先端が尖った3箇所の刺し入れ部を形成するようにしてもよい。
1B‥貯溜部 1a‥左傾斜面
1b‥右傾斜面 1c‥刺し入れ部
1c’‥先端 1d‥第2刺し入れ部
1d’‥先端 2‥ワクチン
3‥皮膚
Claims (3)
- 小径のパイプからなるワクチン接種針であって、
長手方向の一端の先端領域を軸心と傾斜するようにカットして形成された複数の傾斜面と、隣り合う上記傾斜面の間に形成されて、先端が尖った複数の刺し入れ部と、各刺し入れ部の内方およびそこから連続する長手方向後方の内部空間からなり、ワクチンを貯溜する貯溜部と、上記刺し入れ部よりも長手方向後方に形成された横穴とを備えることを特徴とするワクチン接種針。 - 上記傾斜面は、円周方向において180°ずれた位置に2箇所形成されるとともに、上記刺し入れ部も円周方向において180°ずれた位置に2箇所形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワクチン接種針。
- 上記2箇所の刺し入れ部の一方の先端は、他方の先端よりも長手方向の前方に位置していることを特徴とする請求項2に記載のワクチン接種針。
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