JP5766622B2 - コーティング層監視システム - Google Patents

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本発明は、表面がコーティング層で被覆されて所定速度で移動する被測定物について、コーティング層に生じた損傷を検知するコーティング層監視システムに関するものである。
ガスタービンを構成する静翼や動翼のようなタービン翼は、ガスタービンの運転時に高温、高圧、高流速の過酷な環境下に曝される。従って、このような過酷な環境からタービン翼を守るべく、図24に示すように、タービン翼を構成する母材70の表面を被覆して、遮熱性を有するコーティング層71が形成される。このコーティング層71は、高温の作動流体Sの熱を遮熱するセラミックス層711と、母材70とセラミックス層711の熱膨張量の差を緩和するボンドコート層712とを有している。
しかし、長時間に亘るガスタービンの運転に伴い、図25に示すようにコーティング層71に損傷が生じる場合がある。この場合、高温の作動流体Sとの接触や、図に矢印で示すように作動流体Sからの熱の移動等によって、例えば母材の融点を超える温度となった領域Xでは、母材70が損傷する可能性がある。そして、このように母材70が損傷すると、ガスタービンの運転に深刻な影響を及ぼしかねない。
尚、タービン翼の表面にコーティング層を形成する作業時に、コーティング層の品質を検査する方法として、希土類を含んだいわゆるタガントをコーティング層に添加する技術が従来提唱されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2009−149492号公報
しかし、特許文献1の方法によれば、コーティング層71を形成する作業時にその品質を検査することはできるものの、ガスタービンの運転中にコーティング層71に生じた損傷を検知することはできないという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、表面がコーティング層で被覆されて所定速度で移動する被測定物について、移動中にコーティング層が損傷したことを確実に検知する手段を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係るコーティング層監視システムは、所定速度で移動する被測定物の表面を被覆して形成され、第一の波長の励起光を与えた時に、第二の波長の蛍光を発するコーティング層と、前記コーティング層に、前記第一の波長の励起光を照射する光源と、前記光源よりも前記被測定物の移動方向前方側に設けられ、前記第二の波長の蛍光を検出する受光部と、を備え前記コーティング層は、多孔質部材からなり、前記被測定物の表面に複数積層され、これら複数のコーティング層は、それぞれ前記第二の波長が相異なり、且つ、前記励起光、および、前記蛍光を前記多孔質部材の複数の孔部を通して透過可能とされ、前記光源は、波長の異なる複数の励起光を照射する
このような構成によれば、コーティング層に損傷がない時は、光源が照射する第一の波長の励起光がコーティング層を励起することにより、コーティング層で第二の波長の蛍光が発生する。そして、この蛍光は、励起光の照射開始から時間の経過と共にその強度が徐々に増加する。従って、被測定物の移動方向で光源より前方側に設けられた受光部により、蛍光をより確実に検出することができる。これにより、ユーザは、コーティング層に損傷がないことを確認することができる。
一方、コーティング層に損傷が生じた時は、励起光はコーティング層に照射しないため、コーティング層で蛍光が発生しない。これにより、ユーザは、コーティング層に損傷が生じたことを確認することができる。
さらに、コーティング層に損傷がない時は、各コーティング層を透過した励起光によって励起されることにより、複数のコーティング層では、第二の波長が相異なる蛍光がそれぞれ発生する。そして、これら蛍光は、各コーティング層を透過することにより、受光部によってそれぞれ検出される。これにより、ユーザは、コーティング層に損傷がないことを確認することができる。
一方、複数のコーティング層の一部に損傷が生じた時は、損傷が生じていないコーティング層が励起光によってそれぞれ励起されることにより、特有の第二の波長を有する蛍光がそれぞれ発生する。また、全てのコーティング層に損傷が生じた時は、蛍光は全く発生しない。これにより、ユーザは、蛍光が発生しているか否か、発生している場合にはその波長の種類を確認することにより、コーティング層が損傷しているか否か、損傷している時にはその程度を確認することができる。
また、本発明に係るコーティング層監視システムは、前記コーティング層が、希土類を含有することを特徴とする。
このような構成によれば、希土類は、第一の波長の励起光を吸収することにより、電子状態が安定した基底状態からエネルギーの高い励起状態へと移行する。そして、希土類は、この励起状態が緩和されるプロセスとして、光子を放出する。これにより、コーティング層で第二の波長の蛍光が発生する。
また、本発明に係るコーティング層監視システムは、複数の前記コーティング層に対応して、複数の前記受光部が、前記被測定物の移動方向に沿って相異なる位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、複数のコーティング層で発生し、時間の経過と共に異なる速度でその強度が増加する蛍光を、それに応じた位置に設けられた複数の受光部により、それぞれ確実に検出することができる。
また、本発明に係るコーティング層監視システムは、前記被測定物がタービン動翼であって、前記コーティング層が遮熱性を有する材料から形成されることを特徴とする。
このような構成によれば、タービン動翼の表面を被覆して形成された遮熱コーティング層について、作動流体の熱等によって損傷が生じたことを確実に検出することができる。
本発明に係るコーティング層監視システムによれば、表面がコーティング層で被覆されて所定速度で移動する被測定物について、移動中にコーティング層が損傷したことを確実に検知することができる。
本発明の第一参考例に係るコーティング層監視システムを備えたガスタービンを示す全体構成図である。 本発明の第一参考例に係るコーティング層監視システムを示す模式図である。 本発明の第一参考例に係るタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。 本発明の第一参考例に係る蛍光発生部に励起光を照射してからの経過時間と、発生する蛍光の強度との関係を示すグラフである。 本発明の第一参考例について、コーティング正常時におけるコーティング層監視システムの動作説明図である。 本発明の第一参考例について、コーティング正常時にA/D変換器に表示される蛍光の波形を示すグラフである。 本発明の第一参考例について、コーティング損傷時におけるタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。 本発明の第一参考例について、コーティング損傷時にA/D変換器に表示される蛍光の波形を示すグラフである。 本発明の第一実施形態に係るコーティング層監視システムを示す模式図である。 本発明の第一実施形態に係るタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態について、蛍光発生部に励起光を照射してからの経過時間と、発生する蛍光の強度の割合との関係を示すグラフである。 本発明の第一実施形態について、コーティング正常時におけるコーティング層監視システムの動作説明図である。 本発明の第一実施形態について、コーティング正常時にA/D変換器に表示される蛍光の波形を示すグラフである。 本発明の第一実施形態について、コーティング損傷時におけるタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態について、コーティング損傷時にA/D変換器に表示される蛍光の波形を示すグラフである。 本発明の第二実施形態に係るコーティング層監視システムを示す模式図である。 本発明の第二実施形態について、コーティング正常時におけるコーティング層監視システムの動作説明図である。 本発明の第二参考例について、コーティング正常時におけるタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。 本発明の第二参考例について、コーティング正常時にA/D変換器に表示される蛍光の波形を示すグラフである。 本発明の第二参考例について、コーティング損傷時にA/D変換器に表示される蛍光の波形を示すグラフである。 本発明の第三実施形態に係るコーティング層監視システムを示す模式図である。 本発明の第三実施形態に係るピストンロッドの表面付近を示す概略断面図である。 本発明の第三実施形態について、コーティング損傷時におけるピストンロッドの表面付近を示す概略断面図である。 従来例について、コーティング正常時におけるタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。 従来例について、コーティング損傷時におけるタービン動翼の表面付近を示す概略断面図である。
第一参考例
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の第一参考例に係るコーティング層監視システムの構成について説明する。図1は、第一参考例に係るコーティング層監視システム10を備えたガスタービン1を示す全体構成図である。尚、本参考例では、本発明に係る被測定物として、ガスタービン1のタービン動翼を例に説明する。
ガスタービン1は、流体の流通方向Fに沿って最も上流側の位置に設けられて圧縮空気を生成する圧縮機2と、その下流側に設けられて圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させることで燃焼ガスを生成する燃焼器3と、更にその下流側に設けられて燃焼ガスにより回転駆動されるタービン4とを備えるものである。
タービン4は、図1に示すように、回転駆動されるロータ5を収容して内部に燃焼ガス流路が形成されたタービンケーシング41と、タービンケーシング41の内周面から突出して周方向に所定間隔で設けられた複数のタービン静翼42と、ロータ5の外周面から突出して周方向に所定間隔で設けられた複数のタービン動翼43(被測定物)と、タービン動翼43に近接した位置に設置されたコーティング層監視システム10とを備えるものである。そして、タービン静翼42及びタービン動翼43は、ロータ5の軸線方向に沿って交互に複数段がそれぞれ設けられている。
タービン静翼42は、燃焼ガスを減速してその圧力を上昇させる役割を果たすものである。一方、タービン動翼43は、タービン静翼42によって昇圧された作動流体を受けて回転することにより、作動流体のエネルギーを回転エネルギーに変換する役割を果たすものである。
タービン動翼43は、図1に示すように、ロータ5の周面に固定されて径方向に延びるとともに、周方向に向かって所定間隔で複数個が設けられている。また、図1に詳細は示さないが、このタービン動翼43は、ロータ5の軸方向に沿って所定間隔で複数段に亘って設けられている。このように構成されるタービン動翼43は、ロータ5の回転に伴って周方向に回転するようになっている。尚、図1では説明の便宜上、周方向に複数設けられたタービン動翼43のうち、一部については図示を省略している。
図2は、コーティング層監視システム10を示す模式図である。コーティング層監視システム10は、図2に示すように、タービン動翼43の表面を被覆して形成された遮熱コーティング層11(Thermal Barrier Coating:TBC)と、ロータ5から離間して設けられた光源12と、ロータ5の回転方向(移動方向)に向かって光源12の前方側に設けられた分光計13(受光部)と、分光計13に対して電気的に接続されたA/D変換器14とを備えるものである。
(遮熱コーティング層)
図3は、タービン動翼43の表面付近を示す概略断面図である。タービン動翼43の表面を被覆して形成された遮熱コーティング層11は、流路を流れる高温の作動流体から母材を保護する役割を果たすものである。この遮熱コーティング層11は、タービン動翼43の表面を被覆して形成されるアンダーコート部111と、アンダーコート部111の表面を被覆して形成されるトップコート部112と、トップコート部112の表面を被覆して形成される蛍光発生部113とを有している。尚、本発明においてアンダーコート部111及びトップコート部112は必須の構成ではなく、タービン動翼43の表面を被覆して蛍光発生部113を形成してもよい。
ここで、アンダーコート部111は、タービン動翼43とトップコート部112の熱膨張量の差を緩和する役割を果たすものである。このアンダーコート部111は、例えば、MCrAlY(MはCo,Ni,Feなど)からなる溶射粉を、タービン動翼43の表面に溶射することにより形成することができる。
一方、トップコート部112は、高温の作動流体の熱を遮熱する役割を果たすものである。このトップコート部112は、アンダーコート部111の表面にセラミックス溶射粉を溶射することにより形成することができる。このセラミックス溶射粉としては、例えば、いわゆるYSZ(Yttria−stabilized zirconia:イットリア安定化ジルコニア)を用いることができる。このYSZとは、ジルコニア(酸化ジルコニウム:ZrO)と、イットリア(酸化イットリウム:Y)とを含んで構成されるものである。本参考例では、イットリアの含有率が5〜10%程度のYSZを用いているが、イットリアの含有率は特に限定されない。
蛍光発生部113は、高温の作動流体の熱を遮熱する役割と、遮熱コーティング層11が損傷したことを検出する役割の両方を果たすものである。この蛍光発生部113は、前述のトップコート部112に希土類を含有させたものである。尚、トップコート部112の材料は前述と同様であるため、ここでは説明を省略する。
一方、蛍光発生部113を構成する希土類とは、ランタノイドと呼ばれる15種類の元素、原子番号21番のスカンジウム(Sc)、及び原子番号39番のイットリウム(Y)の合計17種類の元素、及びその酸化物を意味している。ここで、ランタノイドとは、原子番号57番のランタン(La)から原子番号71番のルテシウム(Lu)までの15の元素の総称である。このような希土類のイオンは、所定の第一の波長の励起光を吸収することにより、その電子状態が、最も安定した状態である基底状態から、エネルギーの高い状態である励起状態へと移行する。しかし、この励起状態には一定の寿命があり、その寿命に達すると希土類のイオンは励起状態が緩和されて低いエネルギー状態へと戻る。このように励起状態が緩和されるプロセスの一つとして光子の放出が挙げられ、この光子の放出に伴って発光現象が観測される。
そして、この発光現象で観測される蛍光は、励起光の第一の波長より長い第二の波長を有している。例えば、希土類の元素が原子番号69番のツリウム(Tm)の場合、励起光の波長が略355nmであって、蛍光の波長は略455nmとなる。また、希土類の元素が原子番号66番のジスプロシウム(Dy)の場合、励起光の波長が略355nmであって、蛍光の波長は略485nm及び略585nmの2種類となる。また、希土類の元素が原子番号63番のユウロピウム(Eu)の場合、励起光の波長が略266nmであって、蛍光の波長は略606nmとなる。このように、希土類ごとに特有の励起光の波長及び蛍光の波長を有している。尚、各希土類の励起光及び蛍光の波長は、上記の数値に限定されるものではない。
(光源)
光源12は、タービン動翼43に向けて光を照射する役割を果たすものである。この光源12は、図に詳細は示さないがタービンケーシング41の内周面に設置され、図2に示すように、タービン動翼43に対して第一の波長の励起光R1を常時照射またはタービン動翼43の動きに合わせて点滅している。尚、第一の波長の大きさは、蛍光発生部113に含有される希土類の種類に応じて、より詳細には希土類が吸収する励起光の波長に応じて、適宜変更が可能である。尚、光源12を設置する位置は、タービンケーシング41の内周面に限定されず、ロータ5から離間した任意の位置とすることができる。
(分光計)
分光計13は、蛍光発生部113で発生した蛍光を検知する役割を果たすものである。この分光計13は、図に詳細は示さないがタービンケーシング41の内周面において、ロータ5の回転方向で光源12より前方側の位置に設けられている。そして、この分光計13は、蛍光を検知すると、前記A/D変換器14に対してアナログ信号である検知信号を出力するようになっている。尚、分光計13を設置する位置は、タービンケーシング41の内周面に限定されず、光源12より前方側の任意の位置とすることができる。
(A/D変換器)
A/D変換器14は、分光計13から入力される検知信号であるアナログ信号をデジタル信号へと変換し、モニタ等に表示する役割を果たすものである。ユーザは、このA/D変換器14の表示を見ることにより、蛍光発生部113における蛍光の発生の有無を確認することができる。
(作用効果)
次に、本発明の第一参考例に係るコーティング層監視システム10の作用効果について説明する。まず、図4は、蛍光発生部113に励起光を照射してからの経過時間と、発生する蛍光の強度との関係を示すグラフである。時刻tにおいて、図2に示す光源12からタービン動翼43に向かって第一の波長の励起光R1が照射される。そうすると、図3に示す蛍光発生部113に含有される希土類が励起されることにより、蛍光発生部113から第二の波長の蛍光K2が発生する。そして、この第二の波長の蛍光K2は、時刻tから時間Tだけ経過後の時刻tに、その強度が最高値となる。
図5は、コーティング正常時すなわち遮熱コーティング層11が損傷していない時におけるコーティング層監視システム10の動作説明図である。本参考例では、ロータ5の回転速度と図4に示す前記時間Tとに基づいて、ロータ5の周方向で光源12と分光計13との離間距離を決定している。従って、コーティング正常時には、蛍光発生部113から発生する第二の波長の蛍光K2が最高の強度になった時に、分光計13が第二の波長の蛍光K2を検出する。そして、分光計13は、A/D変換器14に対して検知信号を出力する。
図6は、コーティング正常時にA/D変換器14に表示される蛍光Kの波形を示すグラフであって、横軸が波長を縦軸が強度をそれぞれ示している。本参考例におけるコーティング正常時には、波長が500nmの付近に第一突出部P1が出現するとともに、波長が600nmの付近に第二突出部P2が出現する。すなわち、分光計13により、波長が略500nmの蛍光Kと波長が略600nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。そして、ユーザは、A/D変換器14に表示される図6の波形を、ガスタービン1の運転を開始する前に静止状態のタービン動翼43について事前に確認した波形と比較することにより、遮熱コーティング層11に損傷がないことを確認することができる。また、この波形の事前確認は、ガスタービン1として組み込まれた状態でのタービン動翼43に限らず、単体の状態でのタービン動翼43について行ってもよい。尚、A/D変換器14に表示される蛍光Kの波形は、図6に示した波形に限定されるものではない。
一方、図7は、コーティング損傷時すなわち遮熱コーティング層11に損傷が発生した時におけるタービン動翼43の表面付近を示す概略断面図である。遮熱コーティング層11を構成する蛍光発生部113に損傷が生じると、当該損傷箇所ではその下のトップコート部112が露呈する。そうすると、光源12が照射する第一の波長の励起光R1は、蛍光発生部113が損傷した箇所ではトップコート部112に照射する。ここで、トップコート部112に希土類は含有されていない。従って、トップコート部112から蛍光Kは発生せず、分光計13によって蛍光Kは検出されない。従って、図8に示すように、A/D変換器14では、図6に示す第一突出部P1や第二突出部P2のない平坦な波形が表示される。ユーザは、A/D変換器14に表示される図8の波形を目視することにより、遮熱コーティング層11に損傷が生じたことを確認することができる。これにより、ユーザは、タービン動翼43の補修作業や交換作業を行うことにより、遮熱コーティング層11の損傷に対して速やかに対処することができる。このように、ユーザは、ガスタービン1の運転中であっても、遮熱コーティング層11に損傷が生じたことを確実に検知することができる。尚、本発明における遮熱コーティング層11の損傷としては、焼損、剥離、摩耗等が挙げられる。
第一実施形態
次に、本発明の第一実施形態に係るコーティング層監視システムの構成について説明する。図9は、第一実施形態に係るコーティング層監視システム20を示す模式図である。
尚、コーティング層監視システム20以外の構成は、図1に示す第一参考例と同じであるため、同じ符号を用いて説明を省略する。
コーティング層監視システム20は、図2に示す第一参考例のコーティング層監視システム10と比較すると、タービン動翼43を被覆して形成される遮熱コーティング層21の構成、及びタービン動翼43からの蛍光Kを検知する分光計23の構成、及び光源22の構成が異なっている。それ以外の構成は、第一参考例のコーティング層監視システム10と同じであるため、同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。
(遮熱コーティング層)
図10は、タービン動翼43の表面付近を示す概略断面図である。前記遮熱コーティング層21は、タービン動翼43の表面を被覆して形成されるアンダーコート部24と、このアンダーコート部24の表面を被覆して形成される蛍光発生部25とを備えている。このうち、アンダーコート部24は、第一参考例のアンダーコート部111と同じ構成であるため、その説明を省略する。一方、蛍光発生部25は、最下層である第一蛍光発生部251と、中間層である第二蛍光発生部252と、最上層である第三蛍光発生部253とを有している。尚、アンダーコート部24と第一蛍光発生部251との間に、第一参考例と同様にトップコート部112を形成してもよい。また、本実施形態では蛍光発生部25を三層の積層構造としているが、その層数は任意に変更が可能である。
第一蛍光発生部251は、第一参考例の蛍光発生部113と同様に、高温の作動流体の熱を遮熱する役割と、遮熱コーティング層21が損傷したことを検出する役割の両方を果たすものである。この第一蛍光発生部251は、トップコート部112に希土類を含有させたものであって、第三の波長の励起光R3が照射されると、それより長い第四の波長の蛍光K4を発する。尚、第三の波長は本発明に係る第一の波長に相当し、第四の波長は本発明に係る第二の波長に相当する。
ここで、図11は、蛍光発生部25に励起光Rを照射してからの経過時間と、発生する蛍光Kの強度の割合(取り得る最高値に対する比率)との関係を示すグラフである。図11に実線で示すように、時刻tに励起光Rが照射されると、内部の希土類が励起されることにより、第一蛍光発生部251から蛍光K4が発生する。そして、この蛍光K4は、時刻tから時間の経過とともにその強度の割合が上昇し、時刻tに強度の割合が最高値となる。その後、この蛍光K4の強度の割合は、最高値を維持し、時刻tに励起光Rの照射をやめると降下し始め、時刻tに励起光Rの照射開始前の状態へと戻る。また、第一蛍光発生部251は、いわゆる多孔質部材であって、複数の孔部を通して光を透過可能である。
第二蛍光発生部252も、第一参考例の蛍光発生部113と同様の役割を果たすものである。この第二蛍光発生部252は、第一蛍光発生部251とは異なる種類の希土類をトップコート部112に含有させたものである。この第二蛍光発生部252は、第五の波長の励起光R5が照射されると、それより長い第六の波長の蛍光K6を発する。尚、第五の波長は本発明に係る第一の波長に相当し、第六の波長は本発明に係る第二の波長に相当する。ここで、図11に二点鎖線で示すように、時刻tに励起光Rが照射されると、内部の希土類が励起されることにより、第二蛍光発生部252から蛍光K6が発生する。そして、この蛍光K6は、時刻tから時間の経過ととともにその強度の割合が上昇し、時刻tに強度の割合が最高値となる。その後、この蛍光K6の強度の割合は、最高値を維持し、時刻tに励起光Rの照射をやめると降下し始め、時刻tに励起光Rの照射開始前の状態へと戻る。また、第二蛍光発生部252も、第一蛍光発生部251と同様に多孔質部材であって、複数の孔部を通して光を透過可能である。
第三蛍光発生部253も、第一参考例の蛍光発生部113と同様の役割を果たすものである。この第三蛍光発生部253は、第一蛍光発生部251及び第二蛍光発生部252とは異なる種類の希土類をトップコート部112に含有させたものである。この第三蛍光発生部253は、第七の波長の励起光R7が照射されると、それより長い第八の波長の蛍光K8を発する。尚、第七の波長は本発明に係る第一の波長に相当し、第八の波長は本発明に係る第二の波長に相当する。ここで、図11に破線で示すように、時刻tに励起光Rが照射されると、内部の希土類が励起されることにより、第三蛍光発生部253から蛍光K8が発生する。そして、この蛍光K8は、時刻tから時間の経過とともにその強度の割合が上昇し、時刻tに強度の割合が最高値となる。その後、この蛍光K8の強度の割合は、最高値を維持し、時刻tに励起光Rの照射をやめると降下し始め、時刻tに励起光Rの照射開始前の状態へと戻る。また、第三蛍光発生部253も、第一蛍光発生部251と同様に多孔質部材であって、複数の孔部を通して光を透過可能である。
尚、第一蛍光発生部251、第二蛍光発生部252、及び第三蛍光発生部253について、励起光Rを照射してからの経過時間と発生する蛍光Kの強度の割合との関係は、図11に示した関係に限定されるものではない。例えば、蛍光Kが発生する時刻がそれぞれ異なっていてもよい。また、強度の割合が最高値になる時刻の先後が逆になってもよい。また、強度の割合の最高値がそれぞれ異なっていてもよい。
(分光計)
分光計23は、図9に示すように、ロータ5の回転方向に沿って最も後方側すなわち光源22の側に位置する第一分光計231と、その前方側に位置する第二分光計232と、更にその前方側に位置する第三分光計233とを備えている。このうち、第一分光計231は、第一蛍光発生部251で発生する蛍光K(K4)を検知するものである。また、第二分光計232は、第二蛍光発生部252で発生する蛍光K(K6)を検知するものである。また、第三分光計233は、第三蛍光発生部253で発生する蛍光K(K8)を検知するものである。そして、これら第一分光計231、第二分光計232、及び第三分光計233は、A/D変換器14に対してそれぞれ電気的に接続され、蛍光Kを検知すると、A/D変換器14に対してそれぞれ検知信号を出力する。
(光源)
光源22は、第一参考例の光源12と比較すると、波長の異なる複数の励起光Rをタービン動翼43に照射する点で異なっている。具体的には、光源22は、図に詳細は示さないが、第一蛍光発生部251を励起するための第三の波長の励起光R3、第二蛍光発生部252を励起するための第五の波長の励起光R5、及び第三蛍光発生部253を励起するための第七の波長の励起光R7を常時照射している。尚、それ以外の構成については第一参考例の光源12と同じであるため、ここでは説明を省略する。また、光源22が照射する励起光Rの数は三種類に限られず、励起すべき蛍光発生部25の数に応じて任意に変更が可能である。
(作用効果)
次に、本発明の第一実施形態に係るコーティング層監視システム20の作用効果について説明する。まず、図9に示すように、光源22がタービン動翼43に向かって励起光Rを照射する。ここで、この励起光Rには、前述のように第三の波長の励起光R3、第五の波長の励起光R5、及び第七の波長の励起光R7が含まれている。従って、図10に示すように、第七の波長の励起光R7が第三蛍光発生部253を励起することにより、第八の波長の蛍光K8が発生する。
また、前述のように第二蛍光発生部252と第三蛍光発生部253は共に多孔質部材であって、光を透過可能である。従って、図10に示すように、励起光Rは、その一部が第三蛍光発生部253を透過して第二蛍光発生部252に到達する。そして、到達した励起光Rのうち第五の波長の励起光R5が第二蛍光発生部252を励起することにより、第六の波長の蛍光K6が発生する。この第六の波長の蛍光K6は、第三蛍光発生部253を透過して、遮熱コーティング層21の外部へ射出する。
更に、図10に示すように、励起光Rは、その一部が第三蛍光発生部253及び第二蛍光発生部252をそれぞれ透過して第一蛍光発生部251に到達する。そして、到達した励起光Rのうち第三の波長の励起光R3が第一蛍光発生部251を励起することにより、第四の波長の蛍光K4が発生する。この第四の波長の蛍光K4は、第二蛍光発生部252及び第三蛍光発生部253をそれぞれ透過して、遮熱コーティング層21の外部へ射出する。
そして、図11に示すように、時刻tに第一蛍光発生部251で発生した第四の波長の蛍光K4は、時刻tにその強度の割合が最高値となる。また、時刻tに第二蛍光発生部252で発生した第六の波長の蛍光K6は、時刻tにその強度の割合が最高値となる。更に、時刻tに第三蛍光発生部253で発生した第八の波長の蛍光K8は、時刻tにその強度の割合が最高値となる。
ここで、図12は、コーティング正常時におけるコーティング層監視システム20の動作説明図である。本実施形態では、ロータ5の回転速度と、図11に示す時間(t−t)とに基づいて、ロータ5の周方向に沿った光源22と第一分光計231との離間距離を決定している。従って、コーティング正常時には、図12(a)に示すように、第一蛍光発生部251から発生する第四の波長の蛍光K4が時刻tに最高の強度の割合となった時に、第一分光計231が第四の波長の蛍光K4を検出する。そして、第一分光計231が、A/D変換器14に対して検知信号を出力する。
また、本実施形態では、ロータ5の回転速度と、図11に示す時間(t−t)とに基づいて、ロータ5の周方向に沿った光源22と第二分光計232との離間距離を決定している。従って、コーティング正常時には、図12(b)に示すように、第二蛍光発生部252から発生する第六の波長の蛍光K6が時刻tに最高の強度の割合となった時に、第二分光計232が第六の波長の蛍光K6を検出する。そして、第二分光計232が、A/D変換器14に対して検知信号を出力する。
また、本実施形態では、ロータ5の回転速度と、図11に示す時間(t−t)とに基づいて、ロータ5の周方向に沿った光源22と第三分光計233との離間距離を決定している。従って、コーティング正常時には、図12(c)に示すように、第三蛍光発生部253から発生する第八の波長の蛍光K8が時刻tに最高の強度の割合となった時に、第三分光計233が第八の波長の蛍光K8を検出する。そして、第三分光計233が、A/D変換器14に対して検知信号を出力する。
尚、本実施形態では上述の通り、第四の波長の蛍光K4、第六の波長の蛍光K6、及び第八の波長の蛍光K8が最高の強度の割合となった時に検出されるよう、第一分光計231、第二分光計232、及び第三分光計233の設置位置をそれぞれ決定した。しかし、必ずしも蛍光Kが最高の強度の割合となった時に検出する必要はなく、例えば第四の波長の蛍光K4が最高の強度の割合となる前に、すなわち図11に示す時刻tより若干前に第四の波長の蛍光K4を検出するように、第一分光計231の設置位置を決定してもよい。しかし、本実施形態のように第四の波長の蛍光K4、第六の波長の蛍光K6、及び第八の波長の蛍光K8が最高の強度の割合となった時に検出した方が、より確実に検出することができるという利点がある。
図13は、コーティング正常時にA/D変換器14に表示される蛍光Kの波形を示すグラフであって、横軸が波長を縦軸が強度をそれぞれ示している。本実施形態におけるコーティング正常時には、波長が300nmの付近に第一突出部P1が、略400nmの付近に第二突出部P2が、500nmの付近に第三突出部P3が、波長が600nmの付近に第四突出部P4が、波長が700nmの付近に第五突出部P5が、波長が800nmの付近に第六突出部P6がそれぞれ出現する。すなわち、第一分光計231により、波長が略800nmの蛍光Kと波長が略700nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。また、第二分光計232により、波長が略600nmの蛍光Kと波長が略500nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。更に、第三分光計233により、波長が略400nmの蛍光Kと波長が略300nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。そして、ユーザは、A/D変換器14に表示される図13の波形を目視することにより、遮熱コーティング層21に損傷がないことを確認することができる。尚、A/D変換器14に表示される蛍光Kの波形は、図13に示した波形に限定されるものではない。
一方、図14は、コーティング損傷時におけるタービン動翼43の表面付近を示す概略断面図である。遮熱コーティング層21を構成する蛍光発生部25のうち、例えば第二蛍光発生部252と第三蛍光発生部253に損傷が生じると、当該損傷箇所ではその下の第一蛍光発生部251が露呈する。そうすると、光源22が照射する励起光Rは、蛍光発生部25が損傷した箇所では第一蛍光発生部251に照射する。これにより、励起光Rに含まれる第三の波長の励起光R3が第一蛍光発生部251を励起することにより、第四の波長の蛍光K4が発生する。従って、図12に示す第一分光計231により、波長が略800nmの蛍光Kと波長が略700nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。一方、当該損傷箇所では第二蛍光発生部252と第三蛍光発生部253からは蛍光Kが発生しない。従って、第二分光計232及び第三分光計233によって蛍光Kは検出されない。これにより、図15に示すように、A/D変換器14では、図13に示す第五突出部P5と第六突出部P6だけが出現するが、残余の第一突出部P1から第四突出部P4は出現することなく平坦な波形が表示される。ユーザは、A/D変換器14に表示される図15の波形を目視することにより、遮熱コーティング層21を構成する蛍光発生部25のうち、第二蛍光発生部252と第三蛍光発生部253に損傷が生じたことを確実に検知することができる。尚、コーティング損傷時にA/D変換器14に表示される蛍光Kの波形は、図15の形状に限定されず、遮熱コーティング層21に生じた損傷の態様に応じて適宜変化する。
第二実施形態
次に、本発明の第二実施形態に係るコーティング層監視システムの構成について説明する。図16は、第二実施形態に係るコーティング層監視システム30を示す模式図である。尚、コーティング層監視システム30以外の構成は、図1に示す第一参考例と同じであるため、同じ符号を用いて説明を省略する。
コーティング層監視システム30は、図9に示す第一実施形態のコーティング層監視システム20と比較すると、タービン動翼43からの蛍光Kを検知する分光計33の構成だけが異なっている。それ以外の構成は、第一実施形態と同じであるため、図9と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。
(分光計)
分光計33は、図10に示す第一蛍光発生部251で発生する第四の波長の蛍光K4、第二蛍光発生部252で発生する第六の波長の蛍光K6、及び第三蛍光発生部253で発生する第八の波長の蛍光K8の全てを検知するものである。この分光計33は、A/D変換器14に対してそれぞれ電気的に接続されている。そして、第四の波長の蛍光K4、第六の波長の蛍光K6、及び第八の波長の蛍光K8のいずれかを検知すると、分光計33はそれに応じた検知信号をA/D変換器14に対して出力する。
本実施形態では、ロータ5の回転速度と、図11に示す時間(t−t)と時間(t−t)とに基づいて、ロータ5の周方向に沿った光源22と分光計33との離間距離を決定している。すなわち、図11に実線で示す第四の波長の蛍光K4、二点鎖線で示す第六の波長の蛍光K6、及び破線で示す第八の波長の蛍光K8は、いずれも時刻tから時刻tまでの区間で最高の強度の割合となる。従って、この区間で第四の波長の蛍光K4、第六の波長の蛍光K6、及び第八の波長の蛍光K8を全て検出するように、分光計33の位置を決定している。
(作用効果)
次に、本発明の第二実施形態に係るコーティング層監視システム30の作用効果について説明する。まず、図16に示すように、光源22がタービン動翼43に向かって励起光Rを照射する。ここで、この励起光Rには、第一実施形態と同様に、第三の波長の励起光R3、第五の波長の励起光R5、及び第七の波長の励起光R7が含まれている。従って、図10に示すように、第七の波長の励起光R7が第三蛍光発生部253を励起することにより、第八の波長の蛍光K8が発生する。また、第五の波長の励起光R5が第二蛍光発生部252を励起することにより、第六の波長の蛍光K6が発生する。更に、第三の波長の励起光R3が第一蛍光発生部251を励起することにより、第四の波長の蛍光K4が発生する。
ここで、図17は、コーティング正常時におけるコーティング層監視システム30の動作説明図である。本実施形態では、分光計33の設置位置を前述のように決定しているため、分光計33によって第四の波長の蛍光K4、第六の波長の蛍光K6、及び第八の波長の蛍光K8の全てが、いずれも最高の強度で検出される。尚、コーティング正常時及びコーティング損傷時にA/D変換器14で表示される蛍光Kの波形は、第一実施形態と同じである。本実施形態によれば、第一実施形態と比較して、分光計33の構成を簡略化する。
第二参考例
次に、本発明の第二参考例に係るコーティング層監視システムの構成について説明する。本参考例のコーティング層監視システムは、第一実施形態のコーティング層監視システム20と比較すると、タービン動翼43を被覆して形成される遮熱コーティング層の構成だけが異なっている。それ以外の構成は、第一実施形態のコーティング層監視システム20と同じであるため、同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。
(遮熱コーティング層)
図18は、コーティング正常時におけるタービン動翼43の表面付近を示す概略断面図である。遮熱コーティング層44は、タービン動翼43の表面を被覆して形成されるアンダーコート部45と、このアンダーコート部45の表面を被覆して形成される蛍光発生部46とを備えている。このうち、アンダーコート部45は、第一参考例のアンダーコート部111と同じ構成であるため、その説明を省略する。一方、蛍光発生部46は、第一実施形態と同様に、最下層である第一蛍光発生部461と、中間層である第二蛍光発生部462と、最上層である第三蛍光発生部463とを有している。尚、本参考例では蛍光発生部46を三層構造としているが、その層数は任意に変更が可能である。
第一蛍光発生部461は、金属等からなるコーティングに希土類を含有させたものであって、光を透過不能である。この第一蛍光発生部461は、第一実施形態と同様に、第三の波長の励起光R3が照射されると、それより長い第四の波長の蛍光K4を発する。
第二蛍光発生部462は、金属等からなるコーティングに対して第一蛍光発生部461とは異なる種類の希土類を含有させたものであって、光を透過不能である。この第二蛍光発生部462は、第一実施形態と同様に、第五の波長の励起光R5が照射されると、それより長い第六の波長の蛍光K6を発する。
第三蛍光発生部463は、金属等からなるコーティングに対し、第一蛍光発生部461及び第二蛍光発生部462とは異なる種類の希土類を含有させたものであって、光を透過不能である。この第三蛍光発生部463は、第一実施形態と同様に、第七の波長の励起光R7が照射されると、それより長い第八の波長の蛍光K8を発する。
(作用効果)
次に、本発明の第二参考例に係るコーティング層監視システム40の作用効果について説明する。まず、図9に示すように、光源22がタービン動翼43に向かって励起光Rを照射する。ここで、この励起光Rには、第一実施形態で説明したように、第三の波長の励起光R3、第五の波長の励起光R5、及び第七の波長の励起光R7が含まれている。従って、図18に示すように、第七の波長の励起光R7が第三蛍光発生部463を励起することにより、第八の波長の蛍光K8が発生する。尚、前述のように第三蛍光発生部463は光を透過不能であるため、励起光Rは第二蛍光発生部462及び第一蛍光発生部461には到達しない。
図19は、コーティング正常時にA/D変換器14に表示される蛍光Kの波形を示すグラフであって、横軸が波長を縦軸が強度をそれぞれ示している。本参考例におけるコーティング正常時には、波長が300nmの付近に第一突出部P1が、略400nmの付近に第二突出部P2がそれぞれ出現する。すなわち、図9に示す第三分光計233により、波長が略400nmの蛍光Kと波長が略300nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。一方、第一分光計231及び第二分光計232によって蛍光Kは検出されない。そして、ユーザは、A/D変換器14に表示される図19の波形を目視することにより、遮熱コーティング層44に損傷がないことを確認することができる。尚、A/D変換器14に表示される蛍光Kの波形は、図19に示した波形に限定されるものではない。
一方、図に詳細は示さないが、遮熱コーティング層44を構成する蛍光発生部46のうち、例えば第三蛍光発生部463に損傷が生じると、当該損傷箇所ではその下の第二蛍光発生部462が露呈する。そうすると、光源22が照射する励起光Rは、蛍光発生部46が損傷した箇所では第二蛍光発生部462に照射する。これにより、励起光Rに含まれる第五の波長の励起光R5が第二蛍光発生部462を励起することにより、第六の波長の蛍光K6が発生する。尚、前述のように第二蛍光発生部462は光を透過不能であるため、励起光Rは第一蛍光発生部461には到達しない。
図20は、コーティング損傷時にA/D変換器14に表示される蛍光Kの波形を示すグラフであって、横軸が波長を縦軸が強度をそれぞれ示している。本参考例におけるコーティング損傷時には、波長が500nmの付近に第三突出部P3が、略600nmの付近に第四突出部P4がそれぞれ出現する。すなわち、図9に示す第二分光計232により、波長が略500nmの蛍光Kと波長が略600nmの蛍光Kとがそれぞれ検出される。一方、第一分光計231及び第三分光計233によって蛍光Kは検出されない。そして、ユーザは、A/D変換器14に表示される図20の波形を目視することにより、遮熱コーティング層44を構成する蛍光発生部46のうち、第三蛍光発生部463に損傷が生じたことを確実に検知することができる。尚、コーティング損傷時にA/D変換器14に表示される蛍光Kの波形は、図20の形状に限定されず、遮熱コーティング層44に生じた損傷の態様に応じて適宜変化する。
第三実施形態
次に、本発明の第三実施形態に係るコーティング層監視システムの構成について説明する。本実施形態のコーティング層監視システムは、エンジン等を構成するピストンロッド(被測定物)の表面に形成されたコーティング層に損傷が生じたことを検知するものである。
図21は、第三実施形態に係るコーティング層監視システム50を示す模式図である。また、図22は、ピストンロッドの表面付近を示す概略断面図である。コーティング層監視システム50は、シリンダー51に挿入されて往復動するピストンロッド52の表面に形成されたコーティング層53と、シリンダー51から離間して設けられた光源12と、ピストンロッド52の没入方向(移動方向)に向かって光源12の前方側に設けられた分光計13(受光部)と、分光計13に対して電気的に接続されたA/D変換器14とを備えるものである。尚、光源12、分光計13、及びA/D変換器14は、第一参考例と同じ構成であるため、図2と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。また、没入方向とは逆の向きを本発明に係る移動方向とし、その方向に向かって光源12の前方側に分光計13を設けてもよい。
(コーティング層)
コーティング層53は、摩擦や熱等からピストンロッド52を保護する役割を果たすものである。このコーティング層53は、ピストンロッド52の表面を被覆して形成されるアンダーコート部531と、アンダーコート部531の表面を被覆して形成される蛍光発生部532とを有している。尚、アンダーコート部531及び蛍光発生部532が果たす役割やその材料は、第一参考例と同じであるため、ここでは説明を省略する。また、本発明においてアンダーコート部531は必須の構成ではなく、ピストンロッド52の表面を被覆して蛍光発生部532を形成してもよい。
(作用効果)
次に、本発明の第三実施形態に係るコーティング層監視システム50の作用効果について説明する。まず、図21に示す光源12からピストンロッド52に向かって第一の波長の励起光R1が照射される。そうすると、コーティング正常時には、蛍光発生部532に含有される希土類が励起されることにより、蛍光発生部532で第二の波長の蛍光K2が発生する。そして、この蛍光Kは、図4に示す時刻tから時間Tだけ経過後の時刻tに、その強度が最高値となる。
本実施形態では、ピストンロッド52の往復動速度と前記時間Tとに基づいて、光源12と分光計13との離間距離を決定している。従って、コーティング正常時には、蛍光発生部532から発生する蛍光Kが最高の強度になった時に、分光計13が第二の波長の蛍光K2を検出する。そして、分光計13は、A/D変換器14に対して検知信号を出力する。そして、ユーザは、A/D変換器14に表示される図6の波形を目視することにより、コーティング層53に損傷がないことを確認することができる。
一方、図23は、コーティング損傷時におけるピストンロッド52の表面付近を示す概略断面図である。コーティング層53を構成する蛍光発生部532に損傷が生じると、当該損傷箇所ではその下のアンダーコート部531が露呈する。そうすると、光源12が照射する第一の波長の励起光R1は、蛍光発生部532が損傷した箇所ではアンダーコート部531に照射するため、蛍光Kは発生せず、分光計13によって蛍光Kは検出されない。そして、ユーザは、A/D変換器14に表示される図8の波形を目視することにより、コーティング層53に損傷が生じたことを確認することができる。このようにユーザは、エンジン等の運転中であっても、ピストンロッド52を被覆して形成されたコーティング層53に損傷が生じたことを確実に検知することができる。
尚、本発明に係る被測定物としては、タービン動翼43やピストンロッド52に限定されず、熱や摩擦等から母材を保護するためにその表面にコーティング層が形成される任意の部材を適用することができる。
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
41 タービンケーシング
42 タービン静翼
43 タービン動翼
5 ロータ
10 コーティング層監視システム
11 遮熱コーティング層
111 アンダーコート部
112 トップコート部
113 蛍光発生部
12 光源
13 分光計
14 A/D変換器
20 コーティング層監視システム
21 遮熱コーティング層
22 光源
23 分光計
231 第一分光計
232 第二分光計
233 第三分光計
24 アンダーコート部
25 蛍光発生部
251 第一蛍光発生部
252 第二蛍光発生部
253 第三蛍光発生部
30 コーティング層監視システム
33 分光計
40 コーティング層監視システム
44 遮熱コーティング層
45 アンダーコート部
46 蛍光発生部
461 第一蛍光発生部
462 第二蛍光発生部
463 第三蛍光発生部
50 コーティング層監視システム
51 シリンダー
52 ピストンロッド
53 コーティング層
531 アンダーコート部
532 蛍光発生部
70 母材
71 コーティング層
711 セラミックス層
712 ボンドコート層
F 流通方向
K 蛍光
K2 第二の波長の蛍光
K4 第四の波長の蛍光
K6 第六の波長の蛍光
K8 第八の波長の蛍光
P1 第一突出部
P2 第二突出部
P3 第三突出部
P4 第四突出部
P5 第五突出部
P6 第六突出部
R 励起光
R1 第一の波長の励起光
R3 第三の波長の励起光
R5 第五の波長の励起光
R7 第七の波長の励起光
S 作動流体
時刻
時刻
時刻
時刻
時刻
時刻
時刻
時刻
T 時間

Claims (4)

  1. 所定速度で移動する被測定物の表面を被覆して形成され、第一の波長の励起光を与えた時に、第二の波長の蛍光を発するコーティング層と、
    前記コーティング層に、前記第一の波長の励起光を照射する光源と、
    前記光源よりも前記被測定物の移動方向前方側に設けられ、前記第二の波長の蛍光を検出する受光部と、
    を備え
    前記コーティング層は、多孔質部材からなり、前記被測定物の表面に複数積層され、
    これら複数のコーティング層は、それぞれ前記第二の波長が相異なり、且つ、前記励起光、および、前記蛍光を前記多孔質部材の複数の孔部を通して透過可能とされ、
    前記光源は、波長の異なる複数の励起光を照射するコーティング層監視システム。
  2. 前記コーティング層が、希土類を含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング層監視システム。
  3. 複数の前記コーティング層に対応して、複数の前記受光部が、前記被測定物の移動方向に沿って相異なる位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング層監視システム。
  4. 前記被測定物がタービン動翼であって、前記コーティング層が遮熱性を有する材料から形成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のコーティング層監視システム。
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