(第1実施形態)
以下図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本発明第1の実施の形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面図である。本実施の形態では4色のトナー像を形成する電子写真方式のカラー画像形成装置について説明する。
図1において実施の形態の画像形成装置100は像担持体である4個の感光体ドラム1a〜1dを備えている。そして、各感光体ドラム1の周囲には、ドラム表面を均一に帯電する帯電手段2a〜2d、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1上に静電潜像を形成する露光手段3a〜3dが設けられている。また、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像手段4a〜4d、感光体ドラム1上のトナー像をシートに転写させる転写部材5a〜5dが配設されている。感光体ドラム1a〜1d、露光手段3a〜3d、現像手段4a〜4d、転写部材5a〜5dによって、画像形成部が構成されている。
さらに、転写後の感光体ドラム1表面に残った転写後トナーを除去するクリーニング手段6a〜6d等が配設されている。本実施の形態においては、感光体ドラム1と帯電手段2、現像手段4、トナーを除去するクリーニング手段6は一体的にプロセスカートリッジ7a〜7dを形成している。
像担持体としての感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導電体層(OPC)を塗布して構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部をフランジによって回転自在に支持されており、一方の端部に不図示の駆動モータからの駆動力を伝達することにより、図柱反時計回り方向に回転駆動される。
各帯電手段2はローラ状に形成された導電性ローラで、このローラを感光体ドラム1表面に当接させると共に、不図示の電源によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させるものである。露光手段3はポリゴンミラーを有し、このポリゴンミラーには不図示のレーザーダイオードから画像信号に対応する画像光が照射される。尚、レーザーダイオードの発光起動のタイミングは、上記シート検知装置22にてシートS先端を検知したタイミングを起点としている。
現像手段4は、トナー収納部4a1、4b1、4c1、4d1と現像ローラ4a2、4b2、4c2、4d2等から構成される。トナー収納部4a1〜4d1は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナーを収納し、現像ローラ4a2〜4d2は、感光体表面に隣接し、回転駆動されると共に現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う。
4個の感光体ドラム1a〜1dの夫々に対向するようにシートを上方に搬送するための転写ベルト9aが配置されている。転写ベルト9aの内側には、4個の感光体ドラム1a〜1dに対向して転写ベルト9aに当接する転写部材5a〜5dがそれぞれ併設されている。これら転写部材5は不図示の転写バイアス用電源で接続されており、転写部材5から正極性の電荷が転写ベルト9aを介してシートSに印加される。そして、この電界により、感光体ドラム1に接触中のシートSに感光体ドラム1上の負極性の各色トナー像が順次転写され、カラー画像が形成される。
転写ベルト9aの上方には、シートに転写されたトナー像をシートに定着させるための定着部10が設けられている。定着部10の上方には、画像が形成されたシートを排出部13へ排出するための排出ローラ対11、12とが設けられている。
画像形成装置100における下部には、積載されたシート束から1枚づつシートを給送する給送部8が設けられている。給送部8は、積載されたシート束から1枚づつシートを転写ベルト9aの方へ送り出す。また、給送部8と、転写ベルト9aとの間には、回転体対である搬送ローラ対18,29が配置されている。また、給送部8と、転写ベルト9aとの間には、シートの到達を検知するシート検知装置22が設けられているシート検知装置22の構成については後に詳述する。
15は、排出ローラ対11、12と搬送ローラ対18、19との繋げる両面搬送路である。両面搬送路15には、斜送ローラ16およびUターンローラ17が配置されている。
ここで、給紙部8にセットされたシートSは、プリントの開始指令を受け、給送部8から給送される。給送されたシートS先端がシート検知装置22に到達すると、シート検知装置22によりシートSの先端が検知される。そして、シート検知装置22の検知結果に基づいて、画像形成部において感光ドラム1への画像形成の開始が指示される。
給送部8から送り出されたシートは、搬送ローラ対18、19によって転写ベルト9a方へ搬送される。そして、転写ベルト9aによるシートの搬送中に、感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、順次転写部材5a〜5dの作用によってシートに転写される。トナー像が転写されたシートは、定着部10で画像定着されて排出ローラ対11、12によって排出部13へ排出される。
シートの両面に画像形成を行う場合には、排出ローラ対11、12によるシート搬送中に、排出ローラ対11、12を逆転することにより、排出ローラ対11、12によって両面搬送路15へシートを搬送する。両面搬送路15に搬送されたシートSは、斜送ローラ16を通過し、Uターンローラ17及び搬送ローラ対18、19によって再び転写ベルト9aに搬送される。そして、シートの2面目に画像が形成される。
次に、画像形成装置100に一体的に組み込まれた本実施の形態に係るシート検知装置22の構成について図2、図3を用いて説明を行う。図2は、本実施の形態に係るシート検知装置22の構成を示す斜視図である。図3(a)は、図2で示したシート検知装置22の構成を反対側から見た斜視図であり、図3(b)は、センサフラグ部材23のみを表した斜視図である。なお、図3(a)の矢印はシートの搬送方向を示している。
図2に示すように搬送ローラ対18、19は、シート搬送方向と垂直な方向に延びた回転軸19aに固着されて該回転軸19aと一体的に回転する駆動ローラ19と、搬送ローラ19に対向して配置され、駆動ローラ19に従動回転する搬送コロ18から成る。搬送コロ18は、給紙フレーム20に回転自在に支持されている。搬送コロ18は、シートSを搬送するための従動回転体である。図3(a)の斜視図に示されているように、搬送コロ18は、給紙フレーム20に固定された搬送コロバネ21により搬送ローラ19に対し付勢され、この付勢力によってシートSの搬送力を得る。
本実施の形態に係るシート検知装置22は、搬送ローラ対18、19のニップ部よりもシート搬送方向下流側でシートの先端を検知するように配置される。
図3(a)の斜視図に示されたように、シート検知装置22は、センサフラグ部材23、光学センサ24、押圧部材25、カムフォロア26、押圧バネ27を備える。
回動部としてのセンサフラグ部材23は、給紙フレーム20に形成された穴に支えられて、回動する回動軸23hを備えている。センサフラグ部材23は、回動軸23hを中心として給紙フレーム20に回動可能に支持されている。センサフラグ部材23のみを表した図3(b)に示されているように、センサフラグ部材23には、回動軸23hから、軸方向と直交する方向に突出した3つの突出部231、232、233が形成されている。
図4(b)の断面図は、センサフラグ部材23における突出部231、232、233での断面図である。突出部231、232、233の夫々には、搬送されてくるシートSの先端が突き当たる突き当て面23a、23c、23eが形成されている。つまり、突き当て面23a、23c、23eは、回動軸23hの周方向に並んで複数設けられている。
センサフラグ部材23の突出部231、232、233は、検知部としての光学センサ24の光路を遮蔽する。突出部231、232、233における遮光エッジ23b、23d、23fで光学センサ24の光路が遮蔽されて、搬送されてくるシートの到達を検知するように構成されている。つまり、センサフラグ部材23の突出部231、232、233が光学センサ24の光路を遮蔽することで、光学センサ24のON/OFF状態が変更され、その光学センサ24からの出力に基づいてシートの到達(位置)をシート検知装置が検知する。
また、図3の斜視図に示されたように、回動軸23hには、センサフラグ部材23を待機位置に保持する保持力及びセンサフラグ部材23の回転力を発生させるための回転カム23gが形成されている。回転カム23gはセンサフラグ部材23の回転方向の位置を決めるものであり、センサフラグ部材23の突き当て面23a、23c、23eを、シートの先端が突き当る適正な位置に設定する。図4(a)は、センサフラグ部材23における回転カム23gでの断面図である。回転カム23gは、側面視で三角形であり、角部が円弧状となっており、各辺に凹部81a、81b、81cが形成されている。回転カム23gは押圧部材25により押圧され、押圧部材25は、揺動軸25aを中心にして揺動可能に給紙フレーム20に軸支されている。そして、一端が給紙フレーム20に固定され、他端が押圧部材25に取り付けられた押圧バネ27が設けられている。押圧バネ27のバネ力で、押圧部材25が回転カム23gへ付勢される。押圧部材25の先端には、押圧部材25に対し回転自在に軸支されたカムフォロア26が配置されている。回転カム23gは、押圧部材25のカムフォロア26と常時接触している。押圧バネ27のバネ力によってカムフォロア26が回転カム23gを押す。
押圧バネ27のバネ力によってカムフォロア26が回転カム23gを付勢すると、図4に示すような、回転方向における定常位置(定常状態)にセンサフラグ部材23が保持されるように回転カム23gの形状が設定されている。この待機位置にセンサフラグ部材23があるときには、回転カム23gの凹部81a、81b、81cにカムフォロア26が対向する。つまり、押圧バネ27のバネ力で付勢されたカムフォロア26が回転カム23gの凹部81a、81b、81cに接触しているので、押圧バネ27のバネ力によってンサフラグ部材23が待機位置に保持される。即ち、押圧バネ27で付勢されたカムフォロア26や回転カム23gの凹部81a、81b、81cなどによってセンサフラグ部材23を定常位置に位置決めする位置決め手段が構成される。なお、押圧部の先端を回転カム23gの外周部に当接させるように構成してもよい。
続いて図4乃至図8を用いて、シート検知装置の動作の説明を行う。
図4乃至図7は、シート検知装置によって検知されるシートが搬送されていく過程を示している。なお、図4(a)、図5乃至7(a1)、(a2)は、回転カム23gの回転状態を示している。図4(b)、図5乃至図7(b1)、(b2)は、突き当て面23a、23c、23eと遮光エッジ23b、23d、23fの位置を示している。また、図8は、図4乃至図7の状態のそれぞれにおける回転カム23gのカム線図及び光学センサ24からの信号を示したものである。
図4はセンサフラグ部材23の突き当て面23aにシートSの先端が突き当たる直前を示した図である。図4(a)に示すように、センサフラグ部材23は、回転カム23g、押圧部材25及び押圧バネ27により付勢された状態で、シートSの先端を検知するための定常位置で待機している。この定常位置においては、図4(b)に示すように光学センサ24の光路はセンサフラグ部材23によって遮蔽されていない。
続いて、搬送ローラ対18、19によって搬送されるシートSの先端が突き当て面23aに突き当たったときの状態を図5(a1)、(b1)に示す。シートS先端は、搬送ローラ対18、19の搬送力によってセンサフラグ部材23を図中z方向に回転させる。この時、シートS先端が、押圧バネ27にて付勢された回転カム23gの保持力(定常位置に保持しようとする力)に抗してセンサフラグ部材23を回転させながら、シートは搬送される。なお、シートSの先端は、給紙フレーム20とガイドフレーム28によって形成された搬送ガイドによって、センサフラグ部材23へガイドされている。これにより、シートSの先端がセンサフラグ部材23の突き当て面23aから逃げてしまうのを防ぎ、シートS先端によって確実にセンサフラグ部材23を回転させることができる。
図5(a2)、(b2)はセンサフラグ部材23が、搬送されるシートSによって押されて、さらに回転した状態を示している。図5(b2)に示すように、遮光エッジ23bが、光学センサ24の光路を遮蔽するようにセンサフラグ部材23が回動する。センサフラグ部材23の遮光エッジ23bによって光学センサ24の光路が遮蔽されることで、光学センサ24は、シートS先端が所定位置に到達したことを検知する(図8参照)。なお、本実施形態では、このようにシート検知装置がシートS先端を検知したことに基づいて、画像形成部が、画像の形成を開始する。
図6(a1)、(b1)は、搬送されるシートSによって、図5(a2)、(b2)の状態からさらにセンサフラグ部材23が回転した状態を示している。図6(a1)、(b1)は、回転カム23gの最頂点(角部)がカムフォロア26と対向する位置までセンサフラグ部材23が回転したときの状態である。なお、図5(a2)、(b2)と同様に、図6(a1)、(b1)の状態においても、図6(b1)に示されているように、センサフラグ部材23によって、光学センサ24の光路は遮蔽されている。
そして、搬送されるシートの先端に押されることで、回転カム23gの最頂点がカムフォロア26を越える位置までセンサフラグ部材23が回動するとセンサフラグ部材23は以下のように回動する。即ち、センサフラグ部材23は、回転カム23g及び押圧バネ27によって発生する回転力によって、シートの先端に押されて回動した回動方向と同一の方向である反時計周りの方向に回転する。そして、図6(a2)、(b2)の状態となる。つまり、搬送ローラ対18、19で搬送されるシートの先端でセンサフラグ部材23が押されて回動している途中で、押圧バネ27の付勢力がセンサフラグ部材23に作用する力の方向が切り替わるように回転カム23gの形状が設定されている。
図6(a2)、(b2)は、搬送ローラ対18、19によって搬送されるシートの表面とセンサフラグ部材23とが接しながらシートSが搬送されていく状態を示している。この時、センサフラグ部材23には、回転カム23g及び押圧バネ27によって図中の反時計回りの回転力が発生しているが、センサフラグ部材23における突き当て面が形成されている突出部が搬送されているシートSの表面に当接して、センサフラグ部材23が保持されている。このとき、シートSは、搬送コロ18及び駆動ローラ19のニップ部とで張った状態で搬送されているため、シートSの見かけ上の剛度が高い状態で搬送されている。
なお、搬送コロ18及び駆動ローラ19のニップ部をシートの後端が通過した後は、シートSの見かけ上の剛度は弱くなる。よってシートSの後端が搬送コロ18及び駆動ローラ19のニップ部を通過した後、押圧バネ27の付勢力でセンサフラグ部材23を回動させる力とシートの剛度とがつり合った状態(図6(a2)、(b2))が徐々にくずれていく。そして、センサフラグ部材23は回転カム23gと共に反時計周りの方向に徐々に回転するようになる。即ち、図6(a2)、(b2)の状態からシートSの後端がセンサフラグ部材23を通過していく過程で、シートの剛性とカム23g及び押圧バネ27によって発生する回転力とがのつり合った状態が徐々にくずれていく。それに伴ってセンサフラグ部材23が回転して、センサフラグ部材23は、図7(a1)、(b1)に示したような姿勢となる。
図7(b1)に示すように、シートS後端がセンサフラグ部材23から離れていくところで、センサフラグ部材23による光学センサ24の光路の遮蔽が解除され、光学センサ24は透過信号を発生する。本実施形態では、このように光学センサ24からの出力によっては透過信号を発したことでシートSの後端の位置を検知可能である。なお、光学センサ24の光路の遮蔽を解くタイミングについては、シートS後端がセンサフラグ部材23から離れた直後となるように設定してもよい。
図7(a1)、(b1)の状態から、さらにシートの搬送が進行して、シートS後端がセンサフラグ部材23から完全に離れると、センサフラグ部材23は以下のように回動する。即ち、センサフラグ部材23は、回転カム23g及び押圧バネ27によって発生する回転力によりこれまでと同じ回動方向である反時計回りの方向に回転して、図7(a2)、(b2)に示すように、定常位置(突き当て姿勢)で待機した状態となる。そして、センサフラグ部材23の突き当て面23cで次のシートSを検知するための準備が完了する。このように、突き当て面23cは、シートSの後端に伴って移動して待機位置に移動するため、シートの紙間を従来よりも大幅に短くすることが可能となる。
このように図4〜図7で示した状態をシートが搬送される毎に繰り返すことで、センサフラグ部材23は同じ方向に回転していく。そして、シートSが1枚給送される毎に、搬送されるシートが突き当たる突き当て面は23a、23c、23e、23a…の順で順次に変わっていく。それぞれの突き当て面に、先端が突き当たるシートの位置をシート検知装置は検知する。
本実施形態では、先行するシートSの後端がセンサフラグ部材23と離れてから、後続のシートSの先端を検知するための定常位置に回動するための時間が短い。これにより、従来技術では困難であったシート搬送速度の速い条件のもと、短い紙間で、複数枚給紙してもシートSの検知を行うことが可能となり、ユーザからのさらなるシート搬送に係る生産性向上の要求に応えることができる。
尚、上記の本実施形態では、センサフラグ部材23の突き当て面を3箇所設けたが、突き当て面は3箇所に限定されるものではない。例として、突き当て面を2箇所とした変形例の構成を図9に、突き当て面を1箇所とした変形例の構成を図10に夫々示している。図9、図10において、(a)は回転カム形状を、(b)はシートSへの突き当て面を、(c)はカム線図と光学センサの信号をそれぞれ示している。
図9において、回転カムの外周におけるaおよびbで示した位置でカムフォロアが接した状態がセンサフラグ部材23の待機位置である。ax、bxは回転カムの半径が最も大きい最頂の位置である。カム部材の外周面における、axからbに至るまで、およびbxからaに至るまでは、なだらかに回転カムの半径が小さくなる。また、図10において、回転カムの外周におけるcで示した位置でカムフォロアが接した状態がセンサフラグ部材23の待機位置である。cxは回転カムの半径が最も大きい最頂の位置である。カム部材の外周面における、cxからcに至るまでは、なだらかに回転カムの半径が小さくなる。シートの搬送に伴う動作は既に上述した突き当て面が3箇所の場合と同じになるので省略する。
なお、シート検知装置22の検知結果を、搬送されるシートの位置に合わせて画像形成部が画像の形成を開始するタイミングを得ることに用いることを上述した。しかし、シート検知装置22の検知結果は以下のようにも用いることができる。
画像形成部で画像の形成を先に開始させておき、シート検知装置22によってシートSの到達が検知されたことに基づいて、先に形成された画像にシートの位置を合わせるようにシート搬送を制御する構成であってもよい。また、シート検知装置のシート検知(光学センサからの出力)に基づいて、ジャムなどのシート搬送不良を判断することにも用いることができる。また、定着部10と排出ローラ対11、12との間に、既述したシート検知装置と同じ構成のシート検知装置を配置する。そして、排出ローラ対11、12が両面搬送路15にシートを送り出すために、排出ローラ対11、12を逆転するタイミングを、シート検知装置からの検知結果に基づいて制御する。このように反転搬送するローラ対の逆転タイミングを決定するのにもシート検知装置の検知結果を用いることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係るシート検知装置およびこれを備えた画像形成装置の第2実施形態について図11乃至13を用いて説明する。なお、第1の実施形態と異なる部分のみ説明し、第1の実施形態と同じ構成(機能)である部材については同じ符号を付することで説明を省略する。
まず、第2の実施形態の構成について説明する。図11(a)は、第2の実施形態のシート検知装置の構成を示す斜視図であり、図11(b)はセンサフラグ部材23のみの斜視図である。図12はシート検知装置22の断面である。図12において、(a)は回転カム23gの説明図、(b)は突き当て面23a、23c、23eの説明図、(c)は遮光部237、238、239の説明図である。
第1の実施形態では、シートの先端が突き当たる突き当て面23a、23c、23eと、遮光エッジ23b、23d、23fの両方を、回転軸から、回転軸に対して垂直に突出した突出部231、232、233で形成していた。この構成に対して、本第2の実施形態では図14に示すように、突き当て面23a、23c、23eが形成され突き当て部234、235、236と、光学センサ24の光路を遮蔽する遮光部237、238、239とを、軸方向にずらして別々に設けている。
即ち、回動軸23hから、シートの先端が突き当たる突き当て面23a、23c、23eが形成されている突き当て部234、235、236が径方向に突出している。また、回動軸23hの軸方向で突き当て部234、235、236とは異なる位置において、回動軸23hから遮光部237、238、239が径方向に突出している。遮光部237、238、239の周方向の端部はそれぞれ、遮光エッジ23b、23d、23fとなっている。
第2の実施形態のシート搬送に伴う動作については、第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
第1の実施形態では、センサフラグ部材23に設けられた突き当て面23a、23c、23eと遮光エッジ23b、23d、23fが、軸方向において同じ位置に形成している。したがって、第1の実施形態では、シート検知機構を配置するためのスペースを小さくすることができるというメリットがある。しかし、光学センサ24の光路との位置関係を考慮したり、光学センサ24とセンサフラグ部材23との干渉を避けたりするために、センサフラグ部材23の突き当て面23a、23c、23eの形状に制約がある。
本第2の実施形態のセンサフラグ部材23では、センサフラグ部材23の突き当て面23a、23c、23eが形成された突き当て部234、235,236と、遮光部237、238、239とが、軸方向において別々の位置から突出している。したがって、センサフラグ部材23の突き当て面23a、23c、23eを設計する上で、光学センサ24の光路との位置関係を考慮することなく、センサフラグ部材23の突き当て面23a、23c、23eの形状に関して自由度を上げることができる。
具体的には、図11(b)に示すように第2の実施形態におけるセンサフラグ部材23では、その突き当て面23a、23c、23eが形成される突き当て部234、235、236に関して、シート搬送方向と垂直な方向の矢印yの幅を大きくできる。また突き当て面23aに関して、回動軸23hを中心とした半径方向の矢印rも大きくすることができる。
図13に示したように搬送ローラ対18、19により搬送されたシートSの先端が、センサフラグ部材23の突き当て面23aを押す際、シートSの先端には、押圧バネ27にて付勢された回転カム23gの保持力の反力によって押し戻される力を受ける。
本第2の実施形態において、突き当て面23a、23c、23eの矢印y方向(図14参照)の幅を大きくすることにより、センサフラグ部材23の突き当て面23aがシートSの先端と突き当ったときの面圧を下げることができる。よってシートSの先端に対する突き当て面の跡がつきにくくなる効果が期待できる。
また、回動軸23hを中心とした半径方向の矢印rが大きくすることにより、センサフラグ部材23の突き当て面23aのガイドフレーム28への突出量が増える。したがって、シートS先端が突き当て面23aから逃げてしまうのを防ぎ、シートS先端によってより確実にセンサフラグ部材23を回転させることができる。
なお、遮光エッジ23b、23d、23fは、光学センサ24とでセンサフラグ部材23の回動を検知して、シートの位置を検知するものである。本実施形態に示したように必ずしもセンサフラグ部材23と一体的に遮光エッジ23b、23d、23fが形成されている必要はない。つまり、光学センサ24の光路を遮蔽する部材をセンサフラグ部材23の回動の位置に応じて連動する、センサフラグ部材23とは別の部材で構成することも可能である。このような変形例を、図14に一例として示している。
図14の変形例では、回転カム23gと接するカムフォロア26を備えた押圧部材25の端部25dを、光学センサ24の光路を遮蔽する遮光部としている。
図14(a)で示す定常位置において、回転カム23gに接するカムフォロア26を介した押圧部材25の位置は、押圧部材25の端部25dが光学センサ24の光路を透過するように設定されている。そして図14(b)に示すように、搬送されるシートSに押されて回転した回転カム23gに接するカムフォロア26を介し、押圧部材25が揺動すると、押圧部材25の端部25bが光学センサ24の光路を遮蔽する。
上記第1および2実施形態における作用・効果を以下でまとめて述べる。
センサフラグ部材23を定常位置に保持しようとする保持力を、付勢手段としての押圧バネ27が、回転カム23gを介して発揮する。センサフラグ部材23は、シート通過姿勢(図6(a2)、(b2))から、シートの後端がセンサフラグ部材23を通過すると、押圧バネ27の付勢力によってシートの搬送方向に回転して突き当て姿勢である定常位置(図7(a2)、(b2))へと復帰する。したがって、シート後端がセンサフラグ部材23を通過してから定常位置へ復帰するまでの時間が短い。よってシート搬送の生産性(単位時間あたりの通紙枚数)を増やすことができる。
シート先端がセンサフラグ部材23と当接してから所定量、センサフラグ部材23が回動した状態(図6(a1)、(b1))からシートの表面にセンサフラグ部材23が接するシート通過姿勢(図6(a2)、(b2)へセンサフラグ部材23を回転させるために、押圧バネ27のバネ力を用いている。また、シートの表面にセンサフラグ部材23が接するシート通過姿勢から定常位置(図7(a2)、(b2))へセンサフラグ部材23を回転させるためにも同様に押圧バネ27のバネ力を使っている。したがって、構成が簡単でリーズナブルである。
(第3実施形態)
次に、本発明に係るシート検知装置およびこれを備えた画像形成装置の第3の実施形態について図15乃至図17を用いて説明する。なお、第2の実施形態と異なる部分のみ説明し、第2の実施形態と同じ構成(機能)の部材については同じ符号を付することで説明を省略する。
図15(a)は第3の実施形態の構成を示す斜視図であり、図15(b)は第3の実施形態に係るセンサフラグ部材23のみの斜視図である。図16はシート検知装置22の断面を示している。図16において、(a)は回転カム23gの説明図であり、(b)は突き当て面23a、23c、23eの説明図であり、(c)は遮光部237、238、239の説明図である。
第3の実施形態では、図15および図16に示したように、搬送されるシートの表面に接するフラグコロ23k、23m、23nがセンサフラグ部材23に回転自在に取り付けられている。従動回転体としてのフラグコロ23k、23m、23nは、突き当て面23a、23c、23cが形成された突き当て部234、235,236の先端に設けられている。そしてフラグコロ23k、23m、23nは、図15(b)中の矢印のようにセンサフラグ部材23に対し回転可能に取り付けられている。
第3の実施形態におけるシート搬送に伴う基本動作は、第1の実施形態や第2の実施形態と同じ動作であるため省略し、第3の実施形態の固有な動作について以下で説明する。
図17では、シートの先端がセンサフラグ部材23を通過した後に搬送ローラ対18、19によりシートSが搬送されていく状態を示している。センサフラグ部材23には、回転カム23g及び押圧バネ27によって回転力が発生しているが、回転力とシートSの剛性がつり合った状態で保持されている。
このような場合、センサフラグ部材23の先端に設けられたフラグコロ23k、23m、23nが搬送されるシートの表面と接する。そして、搬送されるシートSによってフラグコロ23k、23m、23nが回転するので、シートに対するセンサフラグ部材23の接触による抵抗が小さくなる。したがって、センサフラグとシートSの表面との接触に起因してシートの表面に跡がついてしまうことを少なくできる。
特に、搬送ローラ対18、19が定着装置下流に配され、定着後のトナー画像の載っているトナー画像面に突き当て面23a、23c、23eが接する場合に、より大きな効果が期待できる。
(第4の実施形態)
次に、本に係るシート検知装置およびこれを備えた画像形成装置の第4の実施形態について図18乃至図20を用いて説明する。なお、第1の実施形態と異なる部分のみ説明し、第2の実施形態と同じ構成については同じ符号を付することで説明を省略する。
図18は第4の実施形態の構成を示す図であり、シート検知装置の断面を示している。第4の実施形態では、センサフラグ部材23の突き当て面23aの回転方向上流側に凸形状23qが形成されている。同様に突き当て面23cの回転方向上流側に凸形状23rが、突き当て面23eの回転方向上流側に凸形状23sが形成されている。凸形状23q、23r、23sの径方向への突出量としては、センサフラグ部材23の最外部である突き当て面を形成するために突出した部分よりも小さい。
続いて図18、図19を用いて、第4の実施形態の動作について説明する。図18、図19は、本実施形態でのシート検知装置の断面を示しており、図18、図19(a)、図19(b)の順でシート搬送方向にシートが搬送される状態を示している。
図18は、センサフラグ部材23の突き当て面23aにシート先端が突き当たる直前を示した図である。続いて、シートS先端が突き当て面23aに突き当たった後、搬送ローラ対18、19によってシートSがさらに搬送されている状態を図19(a)に示す。この時、シートSとセンサフラグ部材23の接触部分は突き当て面23aのみであり、凸形状23rとシートSは接触していない。
次に図19(b)に示すように、センサフラグ部材23が、回転カム23gと押圧バネ27の回転力により回転すると、センサフラグ部材23に形成された凸形状23rがシートSの表面に接触する。そして、シートS後端が凸形状23rを通過するまで、凸形状23rとシートの表面との接触状態が維持される。シートS後端が凸形状23rを通過した後は、第1の実施形態と同様に図18に示した定常位置へ回転カム23gと押圧バネ27の回転力によって回動して、次のシートを検知するための準備が完了する。1枚のシートが搬送される毎に以上の動作を繰り返し、凸形状23s、23qも1枚のシートが通過するのに伴い、順次シートSの表面へ接触していく。なお、第2実施形態で説明したように、突き当て面23a、23b、23cが形成された突出部とは別に遮光部を設けても良い。
第4の実施形態における凸形状23q、23r、23sの効果について説明する。凸形状を設けることによって、センサフラグ部材23の突き当て面23aにシート先端が突き当たった後、センサフラグ部材23が回転カム23gの回転力により回転し、センサフラグ部材23がシートSの表面に接触する際の接触音を小さくすることができる。この要因について、以下に詳細に説明する。
まず、第1の実施形態では、回転カム23gの作用によりセンサフラグ部材23が回転する際、図6(b2)に示すようにセンサフラグ部材23とシートSの接触部は、シートSが突き当たる突き当て面の反対側に位置するセンサフラグ部材の先端23pとなる。ここで、シートSの表面とセンサフラグ部材23の接触部からセンサフラグ部材23の回転中心までの接触半径をR1とする。シートSの表面とセンサフラグ部材23の接触部とが接するときのセンサフラグ部材23の角速度をω1とする。シートSの表面にセンサフラグ部材23が接触する際の速度V1は、V1=R1・ω1となる。
シートSとの接触部がセンサフラグ部材23の最も半径の大きい先端23pの場合には、センサフラグ部材23の最も速い部分でシートSに接触することとなる。一方、本第4の実施形態では、シートSへのセンサフラグ部材23の接触部は、凸形状23rである。シートSとセンサフラグ部材23の接触部からセンサフラグ部材23の回転中心までの接触半径をR2とする。シートSの表面とセンサフラグ部材23の接触部とが接するときのセンサフラグ部材23の角速度をω2とする。シートSにセンサフラグ部材23が接触する際の速度V2は、V2=R2・ω2となる。
ここで、第4の実施形態での接触半径は、図19(b)に示すように接触半径R2であって、凸部を形成しない場合のR1より小さい。なお、本第4の実施形態ではR2=0.8×R1の関係となるように構成している。
次にセンサフラグ部材23の角速度の関係について、図20を用いて説明する。図23は、回転カム23gの回転位相と、その時のセンサフラグ部材23の角速度及び回転カム23gの半径の関係を示した図である。図23では、比較のために第1の実施形態形態(第1実施例)の場合の回転カムの動きも示している。
図20に示すように、回転カム23gの最頂点位置からシートSへセンサフラグ部材23が接触するまでの回転角度が第1の実施形態(図6(b2))に比べ第4の実施形態(図19(b))の方が小さくなっている。この時のセンサフラグ部材23の角速度の関係は、ω2<ω1であり、本第4の実施形態ではω2=0.8×ω1となる。
これらのことから、シートの表面にセンサフラグ部材23が接触する際の接触速度はV2<V1となり、本実施形態では、V2はV1の64%(V2=0.8・R1×0.8・ω1=0.64V1)の速度となる。また、センサフラグ部材23が回転カム23gの回転力によりシートSに接触する際の接触エネルギEは、接触速度の2乗に比例する。したがって、第1の実施形態での接触エネルギE1と第4の実施形態での接触エネルギE2の関係は、E2=0.41・E1となる。凸形状を追加することで第1の実施形態に比べ、約60%接触エネルギを減少させることができる。接触エネルギが減少すれば、接触音も減少する。上記条件で実験したところ、第1の実施形態では接触音は58dB、第4の実施形態では接触音が53dBとなり、5dB接触音を減少させることができた。
上述したように、本実施形態では、センサフラグ部材23に凸形状23q、23r、23sを形成することで、センサフラグ部材23がシートSの表面に接触する際の接触音を、小さくすることができる。これにより、低騒音でかつ生産性の向上した画像搬送装置をユーザに提供することができる。
尚、本実施形態では、凸形状23q、23r、23sはセンサフラグ部材23に一体で形成されている構成としているが、凸形状23q、23r、23sを別部材とし、さらにバネ等の弾性体でセンサフラグ部材23と連結する構成としても良い。また、センサフラグ部材23の接触部である凸形状23q、23r、23sを別部材としたとき、この別部材を回転可能な従動ローラ(例えば、第3の実施形態で述べたフラグコロ23k、23m、23n)とする。すると、搬送されるシートSは接触部が従動ローラとの転がり接触になる。よって、センサフラグ部材23の凸形状23q、23r、23sと擦れることがなくなり、第3の実施形態と同様にシートSに対する接触部の跡を低減することができる。
また、凸形状として、図21に示すように、センサフラグ部材23の先端からなだらかに形成した凸形状であっても同様の効果は得られる。