JP5761588B2 - 大気中の被捕集物質の捕集装置、捕集方法及び濃度測定方法 - Google Patents

大気中の被捕集物質の捕集装置、捕集方法及び濃度測定方法 Download PDF

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本発明は、大気中に浮遊するホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)などの被捕集物質をパッシブサンプラに捕集させる捕集装置と、この捕集装置により被捕集物質を捕集する捕集方法と、この捕集方法により捕集された被捕集物質の濃度を測定する濃度測定方法に関する。
従来から、大気中に浮遊するホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)などの被捕集物質の捕集には、大気中に曝され、自然拡散により捕集を行なうパッシブサンプラが用いられている(特許文献1)。このパッシブサンプラは、パッシブサンプラ内に設けられた吸着剤や捕集剤によって捕集面の濃度を常にゼロにして、それよりも濃度の高い被捕集物質と一定の濃度勾配を保つことにより、物質濃度の移動拡散現象を利用して、被捕集物質を捕集するものである。
一方、パッシブサンプラの単位面積当たりの捕集率、すなわち単位捕集速度Jは、濃度勾配(C/L)及び拡散する物質の分子拡散係数D[ng/sec]により決定され、これは、いわゆるFickの拡散第1法則式(J=D×C/L)により表すことができる。ここで、Fickの拡散第1法則式において、Cは周囲の濃度[ng/ml]を表し、Lは拡散長[cm]、すなわちパッシブサンプラの導入口から捕集面までの長さを表す。また、(SR=A×D×C/L)式に示すように、単位面積当たりの捕集率J(J=D×C/L)に捕集面積Aを掛けることにより、パッシブサンプラの総捕集速度SRを求めることができる。一般にこれをサンプリングレートSRといい、パッシブサンプラのある特定の被捕集物質に対する固有捕集速度として知られている。このサンプリングレートSRは、[μg/(ppm×min)]などの次元単位で表現され、これにより、サンプリングレートSRの値と、捕集後の分析結果から得られた採取量M[μg]及び捕集時間t[min]の値とから、(C´=M/(SR×t))式に基づいて、大気中の被捕集物質の濃度C´を求めることができることが知られている。
特開2003−114176号公報
しかしながら、パッシブサンプラのサンプリングレートSRは、自然拡散により捕集を行なうものであるため、図5に示すように、現場における風速の影響により定数値を示さず、特に微風速の場合には、サンプリングレートSRが著しく変動するという問題がある。これは、パッシブサンプラの周囲風速が小さくなることにより、拡散濃度勾配がパッシブサンプラから延伸してパッシブサンプラ外において濃度勾配を作ってしまい、拡散長Lの値が大きく変動するためであると考えられている。
その為、多くの市販品において、拡散長Lを大きく取る事で延伸を見かけ上小さくする等の設計デザインを行うのが一般である。しかしながら、延伸を0にすることは原理上不可能であり、かつ実際の測定環境において風速は常に変動しており、風速変動に応じ拡散長Lも変動してしまう為、パッシブサンプラにおいて見掛け上の拡散長Lを予測し定数化とすることは不可能に近い。これにより、従来から、パッシブサンプラを用いた大気中の被捕集物質の濃度を正確に測定する場合には、測定現場に応じてサンプリングレートSRを実測にて求め、あるいは、ポンプなどを用いるアクティブ法との比較をして、予め代表値としてサンプリングレートSRを求め、これを用いるという、概括的な算定手法を用いなければならず、測定が煩雑、アクティブ法より精度の低い下位の手法であるという問題がある。
そこで、本発明は、現場における風速の影響を排除し、安定した被捕集物質の捕集を可能とする大気中の被捕集物質の捕集装置を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、アクティブ法の様な精密な流量管理を必要とせずに、安価で感度の優れた捕集を可能とする大気中の被捕集物質の捕集方法を提供することを第2の目的とする。さらに、本発明は、Fickの拡散第1法則式を精度良く反映させ、被捕集物質に対するサンプリングレートSRを計算式で適合させることが可能な大気中の被捕集物質の濃度測定方法を提供することを第3の目的とする。
上記第1の目的を達成するため、本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集装置は、内部に空間を有し、該空間内に大気中の空気を流入可能な流入口及び前記空間内の空気が流出可能な流出口が形成されたハウジングと、前記流入口から前記空間内に空気を流入させると共に、その空気を前記流出口に向かって一定の速度で流動させ、前記空間内に所定速度の気体流を発生させる流動手段と、前記気体流が発生する位置にパッシブサンプラを保持する保持手段とを備えることを特徴とする。
このように、本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集装置によれば、流動手段により一定速度の気体流を発生させると共に、気体流が発生する位置にパッシブサンプラを保持させることにより、パッシブサンプラに対する空気の風速を一定とすることができるため、現場における風速の影響を排除し、安定した被捕集物質の捕集を可能とすることができる。
本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集装置において、前記流入口は、多孔状に形成されていることが好ましく、このように、流入口が多孔状に形成されることにより、現場が強風である場合においても流入口から流入される空気の速度を一定にすることができるため、より現場における風速の影響を排除することができる。
また、本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集装置において、前記流動手段は、前記流出口に設けられ、前記空間内に所定速度の気体流を発生させるファンと、前記ファンを駆動させる電池とを備えることが好ましく、これにより、流動手段を簡易な構造とし、捕集装置を製造するためのコストを低減させることができる。また、ファンが電池により駆動されるため、電源の供給が困難な測定場所においても用いることができる。
さらに、本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集装置において、前記保持手段は、前記気体流に対してパッシブサンプラの捕集面が均一に曝されるように、該パッシブサンプラを保持可能に構成されることが好ましく、これにより、より安定した被捕集物質の捕集を可能とすることができる。ここで、パッシブサンプラの捕集面が均一に曝されるようにパッシブサンプラを保持可能な構成とは、例えばチューブ状のパッシブサンプラの場合には、パッシブサンプラの中心軸の方向と気体流の流動方向とが平行となるように保持する構成である。
また、上記第2の目的を達成するため、本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集方法は、上記捕集装置を用いて行なう被捕集物質の捕集方法であって、前記流動手段によって前記空間内に一定の速度で流動する前記気体流を発生させて、該気体流に含まれている被捕集物質をパッシブサンプラに捕集させることを特徴とする。
このように、本発明に係る大気中の被捕集物質の捕集方法によれば、ハウジングの空間内に一定の速度で流動する気体流を発生させて、該気体流に含まれている被捕集物質をパッシブサンプラに捕集させることにより、パッシブサンプラに対する空気の風速を一定とすることができるため、現場における風速の影響を排除し、安定した被捕集物質の捕集を可能とすることができ、また、アクティブ法の様な精密な流量管理を必要とせずに、安価で感度の優れた捕集を可能とすることができる。
さらに、上記第3の目的を達成するため、本発明に係る大気中の被捕集物質の濃度測定方法は、上記捕集方法により捕集された被捕集物質の濃度を測定する方法であって、分子拡散係数(D)の値、周囲の濃度(C)の値、拡散長(L)の値、及びパッシブサンプラの捕集面積(A)の値に基づいて、(SR=A×D×C/L)式から総捕集速度(SR)を算出し、該総捕集速度(SR)の値と、パッシブサンプラにより捕集された被捕集物質の捕集量(M)の値及び捕集時間(t)の値とに基づいて、(C´=M/(SR×t))式から大気中の被捕集物質の濃度(C´)を算出することを特徴とする。
このように、本発明に係る大気中の被捕集物質の濃度測定方法によれば、現場における風速の影響を排除することにより、拡散長Lの値の変動を抑制することができる。これにより、Fickの拡散第1法則式(J=D×C/L)を精度良く反映させ、(SR=A×D×C/L)式によりほぼ全ての拡散する被捕集物質のサンプリングレートSRを理論上推測することが可能となる。また、サンプリングレートSRの推測が可能となることにより、(C´=M/(SR×t))式により大気中の被捕集物質の濃度C´を正確に算出することができるため、精度の高い濃度測定を可能とすることができる。
以上のように、本発明によれば、現場における風速の影響を排除し、安定した被捕集物質の捕集を可能とする大気中の被捕集物質の捕集装置及び捕集方法を提供することができる。また、本発明によれば、Fickの拡散第1法則式を精度良く反映させ、被捕集物質に対するサンプリングレートSRを計算式で適合させることが可能な大気中の被捕集物質の濃度測定方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る捕集装置の概略構成を示す断面図である。 本実施形態に係る捕集装置をA方向から見た状態を示す側面図である。 本実施形態に係る捕集方法と従来の捕集方法との室内環境測定時の捕集量の比較を示すグラフである。 風速が異なるオフィス内2地点でのアクティブ法との比較測定結果を示すグラフである。 パッシブサンプラの捕集量と風速との関係を示すグラフである。
次に、本発明の一実施形態に係る捕集装置について、図面に基づいて説明する。本実施形態に係る捕集装置1は、図1に示すように、内部に空間12を有するハウジング10と、空間12内に所定速度の気体流を発生させる流動部20と、気体流が発生する位置にパッシブサンプラ2を保持する保持部30とを備えている。本実施形態に係る捕集装置1においては、チューブ型のパッシブサンプラを用いるが、これに限定されず、種々のパッシブサンプラを用いることができ、また、本実施形態に係る捕集装置1は、パッシブサンプラの種類及び形状に応じて種々の改変を行なうことができる。
ハウジング10は、円筒状に形成されたハウジング本体10aと、ハウジング本体10aの上流側(図1中、左側)の開口を閉塞可能な蓋部材10bとから構成されている。
ハウジング本体10aは、パッシブサンプラ2を収納可能で、かつパッシブサンプラ2を収納した状態において、流動部20によって発生された気体流が測定するのに十分に安定して流動可能な径と長さを有している。また、ハウジング本体10aの内面は、平滑な面により形成され、空間12内を流動する気体流の流動経路を乱さないように構成されている。
蓋部材10bは、ハウジング本体10aに対して脱着可能に構成され、ハウジング10の空間12内に大気中の空気を流入可能な流入口14が形成されている。この流入口14は、図2に示すように、多孔状、すなわち蓋部材10bの中心を中心とする同一円の円周上に等間隔をおいて連なって形成された複数のオリフィスからなり、外部の環境によって流動部20の静圧を増さないように構成されている。ハウジング本体10aの下流側(図1中、右側)の全域は、開放されており、これにより、空間12内の空気が流出可能な流出口16を構成している。
流動部20は、図1に示すように、ハウジング10の流出口16に設けられたファン22と、ファン22を駆動させるための電力を供給する電力源(図示せず)とを備えている。このファン22は、その駆動により、流入口14から空間12内に空気を流入させると共に、その空気を流出口16に向かって一定の速度で流動させ、空間12内に所定速度の気体流を発生させるように構成されている。ここで、ファン22は、流動速度が0.3[m/sec]以上の気体流を発生可能なものであることが好ましい。また、特に、1.0[m/sec]以上とすることで、流動速度の変動に応じた捕集速度の変化を少なくする事が可能である。この事はアクティブ法と大きく異なり、流速管理について細かい制御を必要としない優位性を持ち、安価で精度のよい捕集装置を構成する事が可能となる。さらに、ファン22は、単三乾電池2本で24時間以上駆動可能な程度の低電力かつ小型なものを用いることが好ましく、所定速度の気体流を発生させるように構成されていれば、細かい流速制御を持つ必要はない。
保持部30は、棒状に形成された支柱部32と、パッシブサンプラ2の端部と嵌合可能な凹部34とを備えている。この支柱部32の上流側端部(図1中、左側)は、支柱部32の中心軸がハウジング本体10aの中心軸と同軸となるように、蓋部材10bの内面の中心位置に接続されており、支柱部32の下流側端部(図1中、右側)には、下流側に開口が向くように凹部34が設けられている。この保持部30は、凹部34にパッシブサンプラ2の端部を嵌合させることにより、パッシブサンプラ2の中心軸がハウジング本体10aの中心軸と同軸、すなわち気体流の流動方向に平行となり、気体流に対してパッシブサンプラの捕集面(周面)が均一に曝されるように、パッシブサンプラ2を保持可能に構成されている。また、保持部30は、パッシブサンプラ2を保持した際に、パッシブサンプラ2がハウジング10の空間12内に収まるような長さを有している。
次に、本実施形態に係る捕集装置1を用いて大気中の被捕集物質を捕集する方法と、この捕集方法により捕集された被捕集物質の捕集量などから、大気中の被捕集物質の濃度を算出する方法ついて、説明する。本実施形態に係る捕集装置1を用いて大気中の被捕集物質を捕集するためには、まず、蓋部材10bをハウジング本体10aから取り外した後、気密袋からパッシブサンプラ2を取り出し、パッシブサンプラ2の端部を保持部30に保持させる。次に、パッシブサンプラ2がハウジング10の空間12内に位置するように、蓋部材10bをハウジング本体10aに装着させる。その後、流動部20の図示しない操作スイッチを操作してファン22を駆動させ、空間12内に一定速度の気体流を発生させる。これにより、パッシブサンプラ2の捕集面が被捕集物質を含有する気体流に均一に曝され、移動拡散現象によりパッシブサンプラ2に被捕集物質が捕集される。所定の捕集時間経過後、ファン22の駆動を停止させると共に、蓋部材10bをハウジング本体10aから取り外し、パッシブサンプラ2を気密袋に回収する。その後、パッシブサンプラ2を測定室まで搬送すると共に、測定室において、周知の種々の方法により、パッシブサンプラ2に捕集された被捕集物質の捕集量Mを測定する。
本実施形態に係る捕集装置1を用いて大気中の被捕集物質の濃度を算出するためには、まず、Fickの拡散第1法則式(J=D×C/L)から、使用したパッシブサンプラ2の被捕集物質に対する単位捕集速度Jを算出する。ここで、本実施形態に係る捕集装置1は、パッシブサンプラ2が曝される気体流を所定風速かつ一定の状態で発生させることにより、風速の影響を排除し、拡散長L、すなわち、パッシブサンプラ2の導入口から捕集面までの長さの値を一定にすることができるため、Fickの拡散第1法則式を精度良く反映させて単位捕集速度Jを算出することができる。ここで、Fickの拡散第1法則式において、Dは被捕集物質の分子拡散係数を表し、Cは周囲の濃度を表し、C/Lは濃度勾配を意味する。
次に、Fickの拡散第1法則式(J=D×C/L)から求められた単位捕集速度Jの値と、パッシブサンプラ2の捕集面積Aの値に基づいて、(SR=A×D×C/L)式から総捕集速度、すなわちサンプリングレートSRを算出する。このサンプリングレートSRは、パッシブサンプラのある特定の被捕集物質に対する固有捕集速度である。ここで、サンプリングレートSRの次元単位は、[μg/(ppm×min)]である。
次に、(SR=A×D×C/L)式から求められたサンプリングレートSRの値と、パッシブサンプラ2により実際に捕集された被捕集物質の捕集量Mの値と、捕集時間tの値とに基づいて、(C´=M/(SR×t))式から大気中の被捕集物質の濃度C´を算出する。
このように、本実施形態に係る大気中の被捕集物質の濃度測定方法によれば、Fickの拡散第1法則式(J=D×C/L)を精度良く反映させ、(SR=A×D×C/L)式によりほぼ全ての拡散する被捕集物質のサンプリングレートSRを理論上推測することが可能となる。また、サンプリングレートSRの推測が可能となることにより、(C´=M/(SR×t))式により大気中の被捕集物質の濃度を正確に算出することができるため、精度の高い濃度測定を可能とすることができる。
次に、本実施形態に係る捕集装置1の実施例について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、実施例1の捕集剤に捕集された主要なVOC量[μg]と比較例1の捕集剤に捕集された主要なVOC量[μg]の比を示すグラフであり、図4は、風速が異なるオフィス内2地点でのアクティブ法との比較測定結果を示すグラフであり、図5は、パッシブサンプラの捕集量と風速との関係を示すグラフである。
[揮発性有機化合物の捕集]
今回の測定においては、本実施形態に係る捕集装置1内にパッシブサンプラを収容させて被捕集物質の捕集を行なう捕集方法(実施例1)と、パッシブサンプラを単に環境に曝させて被捕集物質の捕集を行なう従来の捕集方法(比較例1)とを同一の測定場において実施し、被捕集物質の捕集量の比較を行なった。
測定場は、風速がおおよそ0から0.04[m/sec]で、パッシブサンプラの拡散長の延伸が起こりやすい新築オフィス内を選定した。本実施例1においては、捕集装置1の流動部20が発生させる気体流の風速が、0.3〜0.5[m/sec]となるように設定した。捕集する被捕集物質は、揮発性有機化合物(VOC)とし、パッシブサンプラは、VOC捕集用のチューブ型パッシブサンプラを用いた。この測定条件の下、測定場において24時間捕集を行った後、パッシブサンプラから吸着剤を取り出し、溶媒抽出法にて捕集されたVOC類を捕集剤から有機溶媒へ抽出した。この溶液について分析機器(ガスクロマトグラフ質量分析法)で定量解析した。
今回の測定においては、図3に示す通り、実施例1の捕集量は、比較例1の捕集量よりも1.6倍ほど多いという結果が得られた。したがって、実施例1のほうが、比較例1よりも捕集効率が60%高くなり、より低濃度の捕集が可能であることが明らかとなった。この測定結果は、環境試験装置内での定常環境試験の結果、すなわち、図5のパッシブサンプラの捕集量と風速との関係を示すグラフにおいて、風速が0.3〜0.5[m/sec]である場合の捕集効率が、風速が0〜0.04[m/sec]である場合の捕集効率よりも約60%高くなっている結果と整合するものであった。ここで、図5における縦軸は、パッシブサンプラの捕集量は、基準を明確にするために、ポンプを用いて捕集を行なうアクティブ法によって得られた捕集量との比[%]によって表してある。
[風速が異なるオフィス内2地点でのアクティブ法との比較]
次に、同新築オフィス内の異なる風速の2地点において、本実施形態に係る捕集装置1内にパッシブサンプラを収容させて被捕集物質の捕集を行なう捕集方法(実施例2)と、パッシブサンプラを単に環境に曝させて被捕集物質の捕集を行なう従来の捕集方法(比較例2)とを実施し、被捕集物質の捕集量の比較を行い、主要な室内汚染大気分析を行なった。
測定場は、新築オフィス内の風速が0.05[m/sec]の地点と、風速が0.01[m/sec]以下のほぼ無風状態の地点の2地点とした。被捕集物質は、1,2−ジクロロプロペン、2−ブタノン(MEK)、2−ピネン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、p−キシレン、o−キシレンとした。その他の測定条件及び解析条件は、上記[揮発性有機化合物の捕集]と同様とした。
今回の測定においては、図4に示す通り、実施例2は、全ての被捕集物質についてアクティブ法と比較して100%近い比率を風速の異なる2地点で得られ、比較例2は、全ての被捕集物質について風速が異なるとアクティブ法との比が異なり、捕集量が20%から30%程度減少する傾向にあるという結果が得られた。図4において、縦軸は、風速0.05[m/sec]の地点における捕集量(M0.05)と、風速0.01[m/sec]の地点における捕集量(M0.01)との比(M0.01/M0.05)[%]とした。また、実施例2及び比較例2におけるそれぞれの地点の捕集量(M0.01、M0.05)は、基準を明確にするために、ポンプを用いて捕集を行なうアクティブ法の捕集量(M)との比(M0.01/M、M0.05/M)[%]とした。この測定結果より、比較例2は、環境風速による影響が発生するのに対し、実施例2は、環境風速による影響がほとんどないことが明らかとなった。
本実施形態に係る捕集装置1によれば、現場における風速の影響を排除することが可能となり、これにより、一般的に簡易法として知られているパッシブサンプリングを、ポンプを用いて捕集を行なう一般的なアクティブサンプリングに相当する精度に高めることができる。
また、本実施形態に係る捕集装置1は、乾電池駆動のファン22によりハウジング10内に気体流を発生させるという簡単な構造の装置であるため、電源の確保が困難な場所においても使用することができ、また、例えば高速道路、生産工場などの被捕集物質発生源からの拡散調査など、測定箇所を多数設定する調査手法において、コストを掛けずに実施することができる。
さらに、本実施形態に係る捕集装置1において、ハウジング10を遮光性を有する構成とすることにより、現場における風速の影響の排除のみならず、日光などの遮光効果を持たせることができる。
またさらに、本実施形態に係る捕集装置1は、風速の影響を排除することが可能であるため、拡散長Lを一般的なパッシブサンプラのように意図的に長くする必要がない。したがって、拡散長Lを極端に短くし、捕集速度を限りなく高めたパッシブサンプラを作成し、用いる事ができる。
本発明に係る捕集装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。例えば、本実施形態に係る捕集装置1において、ハウジング10は、円筒状のハウジング本体10aと、蓋部材10bとから構成されるとしたが、これに限定されず、内部に空間を有し、該空間内に大気中の空気を流入可能な流入口及び空間内の空気が流出可能な流出口が形成されたものであれば、いかなる構成及び形状を有していても良い。
また、本実施形態に係る捕集装置1において、流入口14は、多孔状に形成されるとしたが、これに限定されず、流入口14は、大気中の空気をハウジングの内部に流入可能な構成であれば、いかなる構成、形状及び数であっても良い。
さらに、本実施形態に係る捕集装置1において、流動部20は、ファン22と、電力源とから構成されるとしたが、これに限定されず、ハウジングの流入口から空間内に空気を流入させると共に、その空気を流出口に向かって一定の速度で流動させ、空間内に所定速度の気体流を発生させるものであれば、いかなる構成及び形状を有していても良い。
またさらに、本実施形態に係る捕集装置1において、保持部30は、気体流に対してパッシブサンプラ2の捕集面(周面)が均一に曝されるように保持可能に構成されているとしたが、これに限定されず、気体流が発生する位置にパッシブサンプラを保持するものであれば良い。
1 捕集装置、10 ハウジング、12 空間、14 流入部、16 流出部、20 流動部、30 保持部

Claims (4)

  1. 内部に空間を有し、該空間内に大気中の空気を流入可能な流入口及び前記空間内の空気が流出可能な流出口が形成されたハウジングと、
    前記流入口から前記空間内に空気を流入させると共に、その空気を前記流出口に向かって一定の速度で流動させ、前記空間内に所定速度の気体流を発生させる流動手段と、
    前記気体流が発生する位置にパッシブサンプラを保持する保持手段と
    を備え、
    前記ハウジングは、筒状に形成されたハウジング本体と、ハウジング本体の上流側の開口を閉塞可能な蓋部材とを備え、
    前記流入口は、前記蓋部材の中心を中心とする同一円の円周上に等間隔をおいて連なって形成された複数のオリフィスからなり、
    前記保持手段は、前記蓋部材の内面の中心位置に上流側端部が接続され、その下流側端部において、前記気体流の流動方向と平行となるように前記パッシブサンプラを保持するよう構成されている
    ことを特徴とする大気中の被捕集物質の捕集装置。
  2. 前記流動手段は、
    前記流出口に設けられ、前記空間内に所定速度の気体流を発生させるファンと、
    前記ファンを駆動させる電池と
    を備えることを特徴とする請求項1記載の大気中の被捕集物質の捕集装置。
  3. 請求項1又は2に記載の捕集装置を用いて行なう被捕集物質の捕集方法であって、
    前記流動手段によって前記空間内に一定の速度で流動する前記気体流を発生させて、該気体流に含まれている被捕集物質をパッシブサンプラに捕集させる
    ことを特徴とする大気中の被捕集物質の捕集方法。
  4. 請求項に記載の捕集方法により捕集された被捕集物質の濃度を測定する方法であって、
    分子拡散係数(D)の値、周囲の濃度(C)の値、拡散長(L)の値、及びパッシブサンプラの捕集面積(A)の値に基づいて、(SR=A×D×C/L)式から総捕集速度(SR)を算出し、
    該総捕集速度(SR)の値と、パッシブサンプラにより捕集された被捕集物質の捕集量(M)の値及び捕集時間(t)の値とに基づいて、(C´=M/(SR×t))式から大気中の被捕集物質の濃度(C´)を算出することを特徴とする大気中の被捕集物質の濃度測定方法。
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