JP5758501B2 - 浮体式風力発電装置 - Google Patents

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Description

本開示は、風車が浮体上に支持された浮体式風力発電装置に関する。
近年、地球環境の保全の観点から風力発電装置の普及が進んでいる。特に、発電効率の向上に有利な大型の風力発電装置を洋上に設置する計画が様々な場所で進められている。
洋上に設置される風力発電装置として、洋上に浮かぶ浮体によって風車を支持するようにした浮体式風力発電装置が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
なお、浮体式風力発電装置に関するものではないが、水上に浮かぶ浮体の動揺を低減するための動揺低減装置が開示されている(特許文献5〜9)。
国際公開第2009/131826号 特開2001−165032号公報 特開2002−188557号公報 特開平3−57885号公報 特開2005−239157号公報 特開2004−161051号公報 特開2004−58691号公報 特開2003−34289号公報 米国特許出願公開第2004/0071498号明細書
特許文献1〜4のように種々の構成の浮体式風力発電装置が提案されているが、浮体式風力発電装置では、浮体の僅かな動揺で風車のタワー上に位置するナセルが大きく変位してしまうため、浮体の動揺をより一層効果的に低減することが望まれる。また、浮体式風力発電装置の発電コストを低減するため、簡素な構成で浮体の動揺を低減することが求められる。
本発明の少なくとも一実施形態の目的は、簡単な構成で浮体の動揺を低減しうる浮体式風力発電装置を提供することである。
本発明の少なくとも一実施形態に係る浮体式風力発電装置は、
風車と、
前記風車が設置される第1コラムと、該第1コラムとともに平面視仮想三角形の各頂点を形成する第2コラム及び第3コラムと、前記第1コラムを前記第2コラム及び前記第3コラムのそれぞれに連結する少なくとも一対の連結部とを含み、前記風車を洋上に支持する浮体と、
前記浮体に接続される係留ラインと、
前記係留ラインを避けて、喫水線より下方において、前記浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って設けられる少なくとも一枚の板部材とを備え、
前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体との間に間隙を有し、前記浮体の前記側面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第1領域と、前記浮体の前記底面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第2領域との間で前記間隙を介して海水が行き来するように構成されたことを特徴とする。
一実施形態では、前記第1コラム、前記第2コラム及び前記第3コラムには、それぞれ、前記係留ラインが接続されており、前記浮体は、前記第1コラムが最も頻度が高い波の波上側に位置し、前記第2コラム及び前記第3コラムが前記第1コラムに対して前記波の波下側に位置するように配向される。
なお、本明細書において、浮体の「角部」とは、浮体全体の形状から見て浮体の側面とみなすことができる面と、浮体全体の形状から見て浮体の底面とみなすことができる面とが交差する箇所である。なお、浮体の側面とみなすことができる面と、浮体の底面とみなすことができる面とは、互いに直交している必要はない。また、浮体の「角部」は、幾何学的に厳密な意味で「角」である必要はなく、浮体全体の形状からみて角部とみなすことができる箇所であれば足り、若干の丸みを帯びていてもよい。
上記浮体式風力発電装置では、平面視仮想三角形の各頂点を形成する第1コラム、第2コラム及び第3コラムを含む浮体の構成としたため、平面視において広がりがある浮体によって風車が安定して支えられる。すなわち、浮体式風力発電装置全体としての重心位置から浮体の輪郭(外形)までの距離が長いため、浮体式風力発電装置を傾けようとするモーメントに抗して浮体が風車を安定して支えることができる。
また、少なくとも一枚の板部材と浮体との間の間隙を介して第1領域と第2領域との間で海水が行き来する際、海水の流れが乱れて渦が形成される。しかも、少なくとも一枚の板部材は、浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って設けられているため、第1領域と第2領域との間で行き来する海水の流れは角部によってさらに乱され、渦の形成が促進される。渦の形成は海水(波浪)の運動エネルギーを消費するため、板部材の設置によって浮体が波浪から受け取る運動エネルギーは減少する。こうして、板部材を設けるという簡単な構成で浮体の動揺を抑制できる。
さらに、浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って、係留ラインを避けて板部材を設けるようにしたので、係留ラインと板部材との干渉を防止できる。
幾つかの実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は、前記角部を中心として前記浮体から離れる方向に放射状に延びる直線の上に配置される。
これにより、第1領域と第2領域との間に形成される海水の流路が狭まる部分(板部材と浮体との間の間隙)に近接して浮体の上記角部が位置するようになり、間隙と角部との相乗効果によって渦の形成が一層促進され、浮体の動揺を効果的に抑制できる。
幾つかの実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体の設置環境における有義波の波長の0.2倍以下の水深に位置する。なお、「有義波」とは、特定の地点(ここでは浮体の設置地点)で連続する波を所定時間観測し、観測された波の総数のうち波高が大きい方から数えて総数の1/3の個数の波の平均的な特性について言及するための用語である。例えば、有義波の波長(有義波長)とは、特定の地点(浮体の設置地点)で観測された波全体のうち波高の大きい1/3の個数の波の平均的な波長を意味する。
本発明者らの知見によれば、少なくとも一枚の板部材は、有義波の波長の0.2倍以下の水深に設置されることで浮体の動揺の抑制効果が向上する。これは、波の運動は比較的水深の浅い領域において顕著に表れるので、有義波の波長の0.2倍以下の水深に設置された板部材は渦の形成によって波浪の運動エネルギーを効果的に奪い取ることができるためである。
幾つかの実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は、前記第1コラム及び該第1コラムに接続される各連結部の端部との少なくとも一つに対して設けられる第1板領域と、前記第2コラムまたは該第2コラムに接続される前記連結部の端部の少なくとも一つに対して設けられる第2板領域と、前記第3コラムまたは該第3コラムに接続される前記連結部の端部の少なくとも一つに対して設けられる第3板領域とを含む。
これにより、少なくとも一枚の板部材によって作られる第1板領域、第2板領域及び第3板領域が浮体式風力発電装置全体としての重心から比較的離れて位置することになって、波浪に抗して浮体を動かさまいとする板部材による力のモーメント成分が増加し、板部材の浮体動揺抑制能力が向上する。すなわち、同一面積の板部材で比べた場合、板部材の上記配置を採用することで浮体動揺抑制効果が増大する。
一実施形態では、前記第1板領域、前記第2板領域及び前記第3板領域は、それぞれ、互いに別体として設けられた板部材によって形成される。
これにより、浮体式風力発電装置全体としての重心から比較的離れた位置に各板部材(第1板領域〜第3板領域)を配置して浮体動揺抑制効果を効果的に享受しながら、各板部材のコンパクト化を図ることができる。そのため、浮体式風力発電装置へのメンテナンス用船のアクセス性が向上し、且つ、浮体に接続される係留ラインの配置の自由度が向上する。
他の実施形態では、前記第1板領域、前記第2板領域及び前記第3板領域は、前記第2コラム側から前記第1コラムを経て前記第3コラム側に亘って連続した一枚の板部材によって形成される。
これにより、大面積の板部材(第1板領域〜第3板領域の一体化物)によって、浮体動揺抑制効果をより一層享受できる。
幾つかの実施形態では、前記間隙の大きさは、前記少なくとも一枚の板部材の幅をWとしたとき、0.1W以上0.2W以下である。
本発明者らの知見によれば、浮体と板部材との間の間隙の大きさを板部材の幅Wの0.1W以上0.2W以下の範囲内とすることで、比較的大きな浮体動揺抑制効果を享受できる。これは、間隙の大きさを上記範囲内とすることで、浮体側面と板部材とで形成される第1領域および浮体底面と板部材とで形成される第2領域の大きさに対して適切な流量の海水が間隙を通過するようになり、渦の形成が促進されるためである。
幾つかの実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は、前記平面視仮想三角形の内側に向かって前記浮体から張り出すように設けられる。
このように、浮体の平面視仮想三角形の外側を接岸させる場合に板部材と岸壁との干渉が問題にならない平面視仮想三角形の内側に向かって浮体から張り出すように板部材を設けることで、板部材による浮体の接岸性に与える影響を低減できる。
幾つかの実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は、折り畳み可能に構成される。
これにより、板部材を折り畳んで、例えば浮体の曳航時において、流体抵抗を低減するとともに、浅瀬と板部材との干渉を防止することができる。
幾つかの実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体に対して移動自在であり、前記浮体から張り出した第1状態と、前記浮体の前記側面又は前記底面に隣接した位置まで退避した第2状態とで切替え可能に構成される。
これにより、浮体側面又は浮体底面に隣接した位置まで板部材を退避させ、例えば浮体の曳航時において、流体抵抗を低減するとともに、浅瀬と板部材との干渉を防止することができる。
幾つかの実施形態では、前記浮体は、前記少なくとも一枚の板部材を覆うように前記浮体の上面に設けられた延長プラットフォーム部をさらに含む。一実施形態では、前記延長プラットフォーム部は、前記少なくとも一枚の板部材の前記浮体の前記側面からの突出長さに相当する幅を有する。
これにより、浮体の接岸時、延長プラットフォーム部が岸壁に接触して、岸壁との衝突に起因した板部材の損傷を防止できる。
一実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は前記浮体から水平方向に張り出している。他の実施形態では、前記少なくとも一枚の板部材は前記浮体から鉛直方向に張り出している。
幾つかの実施形態では、前記一対の連結部は、前記第1コラムと前記第2コラムとの間、および、前記第1コラムと前記第2コラムとの間にそれぞれ設けられる一対のロワーハルであり、各ロワーハルは、バラスト水の注入により潜水するように構成される。
これにより、各ロワーハルへのバラスト水の注入によって、浮体式風力発電装置全体としての重心が低くなり、浮体の動揺がより一層抑制される。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、平面視仮想三角形の各頂点を形成する第1コラム、第2コラム及び第3コラムを含む浮体の構成としたため、平面視において広がりがある浮体によって風車が安定して支えられる。すなわち、浮体式風力発電装置全体としての重心位置から浮体の輪郭までの距離が長いため、浮体式風力発電装置を傾けようとするモーメントに抗して浮体が風車を安定して支えることができる。
また、少なくとも一枚の板部材と浮体との間の間隙を介して第1領域と第2領域との間で海水が行き来する際、海水の流れが乱れて渦が形成される。しかも、少なくとも一枚の板部材は、浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って設けられているため、第1領域と第2領域との間で行き来する海水の流れは角部によってさらに乱され、渦の形成が促進される。渦の形成は海水(波浪)の運動エネルギーを消費するため、板部材の設置によって浮体が波浪から受け取る運動エネルギーは減少する。こうして、板部材を設けるという簡単な構成で浮体の動揺を抑制できる。
さらに、浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って、係留ラインを避けて板部材を設けるようにしたので、係留ラインと板部材との干渉を防止できる。
一実施形態に係る浮体式風力発電装置を示す斜視図である。 図1の浮体式風力発電装置をA方向から視た側面図である。 図1の浮体式風力発電装置の浮体の平面図である。 一実施形態に係る係留ラインの配置を示す平面図である。 図5(a)〜(f)は、実施形態に係る浮体動揺抑制用の板部材を示す図である。 図6(a)〜(d)は、実施形態に係る退避位置まで移動可能な板部材を示す図である。 図7(a)〜(e)は、実施形態に係る板部材の配置を示す図である。 一実施形態に係る延長プラットフォーム部を示す図である。 図9は実施例及び比較例における模型の規則波応答試験の結果を示すグラフであり、図9(a)は規則波周期に対する模型の縦揺れ量の関係を示し、図9(b)は規則波周期に対する模型のナセル前後変位量の関係を示し、図9(c)は規則波周期に対する模型の前後加速度の関係を示す。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置を示す斜視図である。図2は、図1の浮体式風力発電装置をA方向から視た側面図である。図3は、図1に示す浮体式風力発電装置の浮体の平面図である。
図1及び2に示すように、浮体式風力発電装置1は、風車10と、風車10を洋上に支持する浮体20とを備えている。
風車10は、ナセル10a、ナセル10aを下方から支持するタワー10b、および、ナセル10aに対して回転可能に取り付けられたロータ10cを備えている。ナセル10aは、ヨー旋回座軸受を介してタワー10bに旋回可能に取り付けられており、風向に応じてロータ10cを配向する。一実施形態では、風車10は、ロータ10cが風上側に位置するようにナセル10aの旋回制御が行われるアップウィンド式風車である。他の実施形態では、風車10は、ロータ10cが風下側に位置するようにナセル10aの旋回制御が行われるダウンウィンド式風車である。ロータ10cは風を受けて回転し、ロータ10cの回転エネルギーは不図示の発電機によって電力に変換されるようになっている。
幾つかの実施形態では、図1及び3に示すように、浮体20は、風車10のタワー10bが立設される第1コラム22aと、平面視において第1コラム22aとともに仮想三角形の各頂点を形成する第2コラム22b及び第3コラム22cとを有する。第1コラム22aと第2コラム22b間、および、第1コラム22aと第3コラム22c間はそれぞれ一対の連結部24a,24bによって互いに連結されている。こうして、各コラム22a〜22cが連結部24a,24bによって一体となって、平面視略V字状の浮体20が形成される。
他の実施形態では、一対の連結部24a,24bに加えて、第2コラム22bと第3コラム22c間に連結部がさらに設けられ、平面視略三角形状の浮体20が形成される。さらに別の実施形態では、浮体20は、平面視仮想多角形の各頂点を形成する4本以上のコラムを有しており、この場合には、全コラムのうち風車10が搭載されるコラムを第1コラム22aとして扱い、連結部24a,24bを介して第1コラム22aに接続される一対のコラムを第2コラム22b及び第3コラム22cとして扱うことができる。
幾つかの実施形態では、連結部24a,24bは、内部に空洞部26を有するロワーハルを含み、該ロワーハルは空洞部26へのバラスト水の注入により潜水可能に構成されている。そして、少なくとも空洞部26にバラスト水が注入された状態において、ロワーハル(連結部24a,24b)は完全に水没し、その上面は喫水線WL(図2参照)よりも下方に位置するようになっている。
こうして、各ロワーハル(連結部24a,24b)へのバラスト水の注入によって浮体20を低重心として、浮体20の動揺を抑制できる。また、バラスト水の注入によって完全に水没したロワーハル(連結部24a,24b)には波浪の影響を比較的受けにくいから、この点においても浮体20の動揺抑制の観点で有利である。
連結部24a,24bが空洞部26を有するロワーハルを含む場合、図2及び3に示すように、連結部(ロワーハル)24aの空洞部26は連結部24aの長手方向において複数のサブルーム26a〜26cに分割されており、連結部(ロワーハル)24bの空洞部26も同様に連結部24bの長手方向において複数のサブルーム26d〜26fに分割されていてもよい。
このように、バラスト水を受け容れるための空洞部26を各連結部24a,24bの長手方向において複数のサブルーム26a〜26fに分割することで、隣接するサブルーム26a〜26f間でのバラスト水の移動を回避できる。よって、浮体20が傾斜した場合であっても、連結部24a,24b内におけるバラスト水の偏りを抑え、浮体20の重心バランスが崩れて浮体20がさらに大きく傾いてしまうことを防ぐことができる。また、複数のサブルーム26a〜26fに対してそれぞれ独立してバラスト水を注入および排出可能に構成すれば、各サブルーム26a〜26fのバラスト水量を適宜調整することで、浮体20の重心位置を制御することも可能となる。
また、各コラム22a〜22cにも、バラスト水の注水が可能な空洞部28を設けてもよい。
幾つかの実施形態では、図3に示すように、各コラム22a〜22cが作る平面視仮想二等辺三角形の頂角に第1コラム22aが位置しており、平面視仮想二等辺三角形の2つの等辺に沿って連結部24a,24bがそれぞれ配置される。各コラム22a〜22cが作る平面視仮想二等辺三角形の頂角は、浮体20の安定性を考慮して任意の角度範囲で設定可能であるが、一実施形態では85〜95度である。図3に示す例示的な実施形態では、各コラム22a〜22cが作る平面視仮想二等辺三角形の頂角は90度である。
また、一実施形態では、浮体20は、風車10が設置された第1コラム22aが最も頻度の高い波waveに対向するように配置される。すなわち、最も頻度の高い波waveの波上側に第1コラム22aが位置し、波waveの波下側に第2コラム22b及び第3コラム22cが位置するように浮体20が配向される。
なお、風波は主として風と海水面との摩擦で発達するため、最も頻度が高い波方向は基本的に主風向に概ね一致する。そのため、上記浮体20の配置を採用する場合、風車10が設置された第1コラム22aは主風向に対して風上側に位置し、浮体20は第1コラム22aを起点として風下側に延在している。よって、主風向に沿った強い風により生じる風荷重が風車10に作用しても、風上側の第1コラム22aから風下側の第2コラム22b及び第3コラム22cまで平面視において広がりを有する浮体20は安定して風車10を支えることができる。
また、幾つかの実施形態では、浮体20には、図2に示すように、海底Eに固定されたアンカー32に連結された複数の係留ライン34が、懸垂曲線を描くようにカテナリ状に接続されている。係留ライン34は、例えば、チェーン、ワイヤロープ、合成繊維ロープ又はこれらの複合材で構成されている。浮体20は、これらアンカー32および係留ライン34によって、浮体20に作用する漂流力や回転モーメントに抵抗して洋上にて係留される。
図4は、一実施形態に係る係留ライン34の配置を示す平面図である。
幾つかの実施形態では、図4に示すように、主風向の風上側に配置される第1コラム22aには、少なくとも2つの係留ライン34(34a,34b)が接続され、主風向の風下側に位置する第2コラム22bおよび第3コラム22cには、それぞれ、少なくとも1つの係留ライン34(34c〜34h)が接続される。このようにすれば、第1コラム22aに接続される少なくとも2つの係留ライン34(34a,34b)が、浮体20に作用する主風向に沿った漂流力Fに抵抗するとともに、第2コラム22bおよび第3コラム22cに夫々接続された少なくとも1つの係留ライン34(34c〜34h)が、浮体20に作用するその他の方向の漂流力F´および第1コラム22aを中心とする回転モーメントM、M´に対して抵抗する構成となり、漂流力F、F´や回転モーメントM、M´に対して浮体20が安定して係留される。
また、幾つかの実施形態では、第2コラム22bに接続される少なくとも一つの係留ライン34(34c〜34e)は領域αに配置される回転防止係留ライン34cを含み、第3コラム22cに接続される少なくとも一つの係留ライン34(34f〜34h)は領域βに配置される回転防止係留ライン34hを含む。ここで、領域αは、第2コラム22bからみて主風向の風上側に位置し、浮体20の平面視仮想三角形の第1コラム22aが形成する頂点の内角の二等分線aと、第2コラム22bの中心を通過する二等分線aの直交線bとで画定される領域である。一方、領域βは、第3コラム22cからみて主風向の風上側に位置し、二等分線aと、第3コラム22cの中心を通過する二等分線aの直交線cとで画定される領域である。
このように、第2コラム22b及び第3コラム22cのそれぞれに、第1コラム22aを中心とする回転モーメントM、M´に対して効果的に抵抗する方向に延在する回転防止係留ライン34c,34hを設けることで、浮体20を安定して係留することができる。
一実施形態では、回転防止係留ライン34c,34hは、図4に示すように、それぞれ、連結部24a,24bの長手方向に直交する方向に沿って延在している。この場合、浮体20が第1コラム22aを中心として回転しようとしたとき、その回転力の接線方向に対して反対の方向に回転防止係留ライン34c,34hが延在することから、回転モーメントM、M´に対してより効果的に抵抗する。よって、浮体20をより一層安定して係留することができる。
さらに、一実施形態では、回転防止係留ライン34c,34hに加えて、領域α、βの風下側に位置する領域α´、β´に配置される係留ライン34(34d、34e、34f、34g)が第2コラム22bおよび第3コラム22cに接続される。領域α´、β´に配置される係留ライン34(34d、34e、34f、34g)は、主風向とは反対方向の漂流力F´に効果的に抵抗する。よって、浮体20をより一層安定して係留できる。
なお、図4に示す例示的な実施形態では、第1コラム22aには2つの係留ライン34a、34bが接続される。これら2つの係留ライン34a、34bは、それぞれ、連結部24a,24bの長手方向に沿って延在している。また、第2コラム22bには回転防止係留ライン34cを含む3つの係留ライン34(34c、34d、34e)が接続され、第3コラム22cには回転防止係留ライン34hを含む3つの係留ライン34(34f、34g、34h)が接続されている。こうして、浮体20全体としては合計8本の係留ライン34a〜34hが接続されるようになっている。これら8つの係留ライン34の各々は、平面視において互いに交差しないように浮体20から放射状に延在して配置される。
幾つかの実施形態では、図1及び3に示すように、喫水線より下方において浮体20の動揺を抑制するための少なくとも一枚の板部材40が設けられる。少なくとも一枚の板部材40は、喫水線よりも下方において、支持部42を介して浮体20によって支持されている。
図5(a)〜(f)は、実施形態に係る浮体動揺抑制用の板部材40を示す図である。
幾つかの実施形態では、図5(a)〜(f)に示すように、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20の側面44と底面45とが交差する角部46に沿って該角部46の周辺に設けられる。板部材40は、浮体20から外側に張り出すように配置され、浮体20との間に間隙Gを形成するように支持部42を介して浮体20によって支持される。そして、浮体20の側面44と板部材40とで仕切られることで形成される第1領域48と、浮体20の底面45と板部材40とで仕切られることで形成される第2領域49とが、浮体20と板部材40との間の間隙Gを介して連通するようになっている。
したがって、浮体20周辺の海水は、間隙Gを介して第1領域48と第2領域49との間で行き来する。この際、海水の流れが乱れて渦が形成される。しかも、板部材40は、浮体20の側面44と底面45とが交差する角部46に沿って角部46周辺に設けられているため、第1領域48と第2領域49との間で行き来する海水の流れは角部46によってもさらに乱され、渦の形成が促進される。渦の形成は海水(波浪)の運動エネルギーを消費する。そのため、板部材40の設置によって、浮体20が波浪から受け取る運動エネルギーは減少する。こうして、板部材40を設けるという簡単な構成で浮体20の動揺が抑制される。
幾つかの実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、図5(a)〜(c)に示すように、浮体20の側面44と底面45とが交差する角部46を中心として浮体20から離れる方向に放射状に延びる直線Lの上に配置される。これにより、第1領域48と第2領域49との間に形成される海水の流路が狭まる部分(板部材40と浮体20との間の間隙G)に近接して浮体20の角部46が位置するようになり、間隙Gと角部46との相乗効果によって渦の形成が一層促進され、浮体20の動揺を効果的に抑制できる。
他の実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、図5(d)〜(f)に示すように、浮体20の側面44と底面45とが交差する角部46を中心として浮体20から離れる方向に放射状に延びる直線Lから距離Dだけ離れて配置される。この場合、直線Lと板部材40との間の距離Dは、板部材40の幅をWとしたとき0.5W以下であってもよく、例えば0.2W以下の範囲内で設定される。これにより、板部材40の浮体動揺低減効果を維持しながら板部材40の配置の自由度を確保でき、板部材40の取付け作業性や製造コスト等の種々の観点から望ましい位置に板部材40を設置することができる。
幾つかの実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20の設置環境(設置地点)における有義波の波長の0.2倍以下の水深に配置される。
本発明者らの知見によれば、少なくとも一枚の板部材40は、有義波の波長の0.2倍以下の水深に設置されることで浮体20の動揺の抑制効果が向上する。これは、波の運動は比較的水深の浅い領域において顕著に表れるので、有義波の波長の0.2倍以下の水深に設置された板部材40は渦の形成によって波浪の運動エネルギーを効果的に奪い取ることができるためである。
幾つかの実施形態では、少なくとも一枚の板部材40と浮体20との間の間隙Gの大きさは、板部材40の幅をWとしたとき、0.1W以上0.2W以下である。
本発明者らの知見によれば、浮体20と板部材40との間の間隙Gの大きさを板部材40の幅Wの0.1W以上0.2W以下の範囲内とすることで、比較的大きな浮体動揺抑制効果を享受できる。これは、間隙Gの大きさを上記範囲内とすることで、浮体20の側面44と板部材40とで形成される第1領域48および浮体20の底面45と板部材40とで形成される第2領域49の大きさに対して適切な流量の海水が間隙Gを通過するようになり、渦の形成が促進されるためである。
一実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、図5(a)及び(d)に示すように、浮体20から水平方向に張り出している。他の実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、図5(b)及び(e)に示すように、浮体20から鉛直方向に張り出している。さらに別の実施形態では、図5(c)及び(f)に示すように、少なくとも一枚の板部材40は水平方向及び鉛直方向に対して傾斜して設けられる。
このように少なくとも一枚の板部材40の設置角度は、種々の観点から自由に選択することが可能であり、典型的には浮体式風力発電装置1の全体としての重心の水平面内位置及び高さに基づいて設定される。例えば、浮体式風力発電装置1の全体としての重心位置から板部材40まで延ばした直線に対して直交する方向に沿って少なくとも一枚の板部材40を設置してもよい。これにより、板部材40による浮体動揺低減効果を増大させ、浮体式風力発電装置1の動揺を効果的に低減できる。
幾つかの実施形態では、少なくとも一枚の板部材40を退避位置に移動可能に構成される。これにより、例えば浮体20の曳航時において、流体抵抗を低減するとともに、浅瀬と板部材40との干渉を防止することができる。
図6(a)〜(d)は、実施形態に係る退避位置まで移動可能な板部材40を示す図である。
図6(a)〜(d)に示すように、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20から張り出した第1状態(図中の実線で表される状態)と、浮体20の側面44及び底面45に隣接した位置まで退避された第2状態(図中の想像線で表される状態)との間で切換え可能に構成されている。なお、第1状態又は第2状態で板部材40をロックするためのロック機構(不図示)を設けてもよい。
一実施形態では、図6(a)及び(b)に示すように、少なくとも一枚の板部材40は回動軸50を中心に回動自在に構成される。図6(a)及び(b)に示す例示的な実施形態では、浮体20の側面44又は底面45に設けた凹部52に油圧シリンダに代表されるアクチュエータ54を設け、アクチュエータ54によって回動軸50を中心として板部材40を回動させる。こうして、板部材40が浮体20との間に間隔Gを空けて浮体20から張り出すように配置された第1状態と、板部材40が浮体20の側面44又は底面45に隣接する位置まで退避された第2状態との切換えが実現される。
他の実施形態では、図6(c)及び(d)に示すように、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20に設けたガイド部材60に案内されてスライド自在に構成される。図6(c)及び(d)に示す例示的な実施形態では、ガイド部材60のレール62に板部材40側の突起部64が嵌合しており、板部材40は不図示のアクチュエータによってレール62に沿って移動可能になっている。こうして、板部材40が浮体20との間に間隔Gを空けて浮体20から張り出すように配置された第1状態と、板部材40が浮体20の側面44又は底面45に隣接する位置まで退避された第2状態との切換えが実現される。
次に、少なくとも一枚の板部材40の配置について説明する。図7(a)〜(e)は、実施形態に係る板部材40の配置を示す図である。同図に示すように、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20に接続された係留ライン34a〜34hを避けて配置される。
幾つかの実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、図7(a)〜(e)に示すように、第1コラム22a周辺に設けられる第1板領域70と、第2コラム22b周辺に設けられる第2板領域72と、第3コラム22c周辺に設けられる第3板領域74とを含む。第1板領域70は、第1コラム22aと、各連結部24a,24bの第1コラム22a側の端部との少なくとも一方に対して設けられる。また、第2板領域72は、第2コラム22bと、連結部24aの第2コラム22b側の端部との少なくとも一方に対して設けられる。同様に、第3板領域74は、第3コラム22cと、連結部24bの第3コラム22c側の端部との少なくとも一方に対して設けられる。
少なくとも一枚の板部材40の上記配置によれば、第1板領域70、第2板領域72及び第3板領域74が浮体式風力発電装置1全体としての重心Cから比較的離れて位置するので、波浪に抗して浮体20を動かさまいとする板部材40による力のモーメント成分が増加し、板部材40の浮体動揺抑制能力を向上させることができる。すなわち、同一面積の板部材で比べた場合、上記配置を採用することで浮体動揺抑制効果が増大する。
幾つかの実施形態では、図7(a)〜(c)に示すように、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74は、それぞれ、互いに別体として設けられた板部材40によって形成される。すなわち、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74を形成する板部材40が、互いに分離独立している。
これにより、浮体式風力発電装置1全体としての重心から比較的離れた位置に各板部材40(第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74)を配置して浮体動揺抑制効果を効果的に享受しながら、各板部材40のコンパクト化を図ることができる。そのため、浮体式風力発電装置1へのメンテナンス用船のアクセス性が向上し、且つ、浮体20に接続される係留ライン34a〜34hの配置の自由度が向上する。
他の実施形態では、図7(d)及び(e)に示すように、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74のうち浮体20の平面視仮想三角形の内側の部分は、第2コラム22b側から第1コラム22aを経て第3コラム22c側に亘って連続した一枚の板部材40によって形成される。
これにより、大面積の板部材40(第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74の一体化物)によって、浮体動揺抑制効果をより一層享受できる。
図7(a)に示す例示的な実施形態では、浮体20の平面視仮想三角形の内側において、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74のそれぞれを形成する3枚の板部材40が設けられている。
第1板領域70を形成する板部材40は、第1コラム22aと、各連結部24a,24bの第1コラム22a側の端部とに跨って配置される。また、第2板領域72を形成する板部材40は、第2コラム22bと、連結部24aの第2コラム22b側の端部とに跨って配置される。同様に、第3板領域74を形成する板部材40は、第3コラム22cと、連結部24bの第3コラム22c側の端部とに跨って配置される。
このように、少なくとも一枚の板部材40を浮体20の平面視仮想三角形の内側に配置すれば、浮体20の平面視仮想三角形の外側を接岸させる場合、板部材40と岸壁との干渉が問題にならず、浮体20の接岸性が良好である。
図7(b)に示す例示的な実施形態では、浮体20の平面視仮想三角形の外側において、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74のそれぞれを形成する3枚の板部材40が設けられている。
第1板領域70を形成する板部材40は、第1コラム22aの外周に沿って配置される。また、第2板領域72を形成する板部材40は、第2コラム22bと、連結部24aの第2コラム22b側の端部とに跨って配置される。同様に、第3板領域74を形成する板部材40は、第3コラム22cと、連結部24bの第3コラム22c側の端部とに跨って配置される。
図7(c)に示す例示的な実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20の平面視仮想三角形の内側に配置される図7(a)の実施形態と同様の3枚の板部材40と、浮体20の平面視仮想三角形の外側に配置される図7(b)の実施形態と同様の3枚の板部材40とを含む。したがって、各板部材40の具体的構成は、図7(a)及び(b)を用いて既に説明したとおりであるから、ここでは説明を省略する。
図7(d)に示す例示的な実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20の平面視仮想三角形の内側に配置され、第2コラム22b側から第1コラム22aを経て第3コラム22c側に亘って連続した一枚の板部材40である。この一枚の板部材40によって、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74が形成される。
このように、少なくとも一枚の板部材40を浮体20の平面視仮想三角形の内側に配置すれば、浮体20の平面視仮想三角形の外側を接岸させる場合、板部材40と岸壁との干渉が問題にならず、浮体20の接岸性が良好である。
図7(e)に示す例示的な実施形態では、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20の平面視仮想三角形の内側に配置される図7(d)の実施形態と同様の一枚の板部材40と、浮体20の平面視仮想三角形の外側に配置される図7(b)の実施形態と同様の3枚の板部材40とを含む。したがって、各板部材40の具体的構成は、図7(b)及び(d)を用いて既に説明したとおりであるから、ここでは説明を省略する。
また、幾つかの実施形態では、浮体20は、少なくとも一枚の板部材40を覆うように浮体20の上面に設けられた延長プラットフォーム部をさらに含む。
図8は、一実施形態に係る延長プラットフォーム部を示す図である。同図に示すように、延長プラットフォーム部80は、少なくとも一枚の板部材40を覆うように浮体20の上面に設けられる。言い換えると、延長プラットフォーム部80は、浮体20の上面から張り出すように、少なくとも一枚の板部材40の上方に設けられる。また、延長プラットフォーム部80は、少なくとも一枚の板部材40の浮体20の側面44からの突出長さlに相当する幅wを有する。
延長プラットフォーム部80を設ければ、浮体20の接岸時、延長プラットフォーム部80が岸壁に接触して、岸壁との衝突に起因した板部材40の損傷を防止できる。
以上説明したように、上述の実施形態によれば、平面視仮想三角形の各頂点を形成する第1コラム22a、第2コラム22b及び第3コラム22cを含む浮体20の構成としたため、平面視において広がりがある浮体20によって風車10が安定して支えられる。すなわち、浮体式風力発電装置1全体としての重心位置から浮体20の輪郭までの距離が長いため、浮体式風力発電装置1を傾けようとするモーメントに抗して浮体20が風車10を安定して支えることができる。
また、少なくとも一枚の板部材40と浮体20との間の間隙Gを介して第1領域48と第2領域49との間で海水が行き来する際、海水の流れが乱れて渦が形成される。しかも、少なくとも一枚の板部材40は、浮体20の側面44と底面45とが交差する角部46に沿って角部46周辺に設けられているため、第1領域48と第2領域49との間で行き来する海水の流れは角部46によってさらに乱され、渦の形成が促進される。渦の形成は海水(波浪)の運動エネルギーを消費するため、板部材40の設置によって浮体20が波浪から受け取る運動エネルギーは減少する。こうして、板部材40を設けるという簡単な構成で浮体20の動揺を抑制できる。
さらに、浮体20の側面44と底面45とが交差する角部46周辺において、係留ライン34a〜34hを避けて板部材40を設けるようにしたので、係留ライン34a〜34hと板部材40との干渉を防止できる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。例えば、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
[実施例]
浮体式風力発電装置1の最も頻度の高い方向の波wave(図3参照)に対する応答性について、次のような水槽試験を行った。
最初に、図3及び図7(a)に示す例示的な実施形態に従って浮体式風力発電装置1の模型を作製した。すなわち、第1板領域70,第2板領域72及び第3板領域74をそれぞれ別体の3枚の板部材40によって形成し、支持部42を介して浮体20の側面44と底面45とが交差する角部26に沿って各板部材40を浮体20に取り付けた。各板部材40は、各コラム22a〜22cが作る平面視仮想三角形の内側に向かって張り出すように設置した。第1板領域70を形成する板部材40は、第1コラム22aと、各連結部24a,24bの第1コラム22a側の端部とに跨って配置した。また、第2板領域72を形成する板部材40は、第2コラム22bと、連結部24aの第2コラム22b側の端部とに跨って配置した。同様に、第3板領域74を形成する板部材40は、第3コラム22cと、連結部24bの第3コラム22c側の端部とに跨って配置した。
こうして得られた模型を水槽に浮かべ、最も頻度の高い方向の波waveを想定した規則波を第1コラム22a側から与えた。すなわち、第1コラム22aが波上側となり、第2コラム22b及び第3コラム22cが波下側となるように、模型の浮体20に対して規則波を付与した。そして、模型の浮体式風力発電装置1の縦揺れ(規則波に沿った方向の揺れ)を計測し、規則波に対する応答性の評価を行った。
また、比較例として、板部材40を備えない模型を作製して、この模型に関しても同様に規則波に対する応答性の評価を行った。
図9は実施例及び比較例における模型の規則波応答試験の結果を示すグラフであり、図9(a)は規則波周期に対する模型の縦揺れ量の関係を示し、図9(b)は規則波周期に対する模型のナセル10aの前後変位量の関係を示し、図9(c)は規則波周期に対する模型の前後加速度の関係を示す。なお、図9(a)〜(c)中、TWは規則波の周期であり、Qは実施例及び比較例の模型の規則波の方向に沿った揺れ角度であり、Xは各模型の規則波の方向に沿った揺れ変位であり、Aは各模型の規則波の方向に沿った加速度であり、hは規則波の波高である。
図9(a)に示すように、実施例の模型では、比較例の模型に比べて、約13秒を超える規則波の周期帯における浮体式風力発電装置1の傾斜角が大幅に低減された。また、図9(b)に示すように、実施例の模型では、比較例の模型に比べて、約13秒を超える規則波の周期帯におけるナセル10aの前後変位量が大幅に低減された。同様に、図9(c)に示すように、実施例の模型では、比較例の模型に比べて、約13秒を超える規則波の周期帯における浮体式風力発電装置1の加速度が大幅に低減された。
このように、板部材40は、浮体20の平面視仮想三角形の内側(規則波に対して波下側)に位置しているにもかかわらず、規則波応答試験結果に与える影響が大きく、特に長周期帯における規則波に起因した動揺を効果的に抑制することが明らかになった。
なお、波は、波高が大きいものほど長周期になる傾向がある。一般的に、カットイン風速からカットアウト風速に至るまでの通常想定しうる運転範囲では、浮体式風力発電装置は約10秒の周期の波に耐えることができれば足りる。しかし、浮体式風力発電装置を移動させて港に退避させることが困難な場合があるから、浮体式風力発電装置は、極稀に起きる強風(台風)時における波(例えば周期が13秒を超える大型の波)にも耐えうるような設計とすることが望ましいことがある。ところが、頻度が低い極稀な強風に合わせて浮体式風力発電装置の設計を行うことは、浮体式風力発電装置の製造コスト上昇につながる。
この点、図9(a)〜(c)の試験結果から、板部材40という簡素な構成で浮体20の動揺を低減しうることが確認された。よって、極稀に起きる強風時における波を考慮した浮体式風力発電装置の設計が容易になる。
1 浮体式風力発電装置
10 風車
10a ナセル
10b タワー
10c ロータ
20 浮体
22a 第1コラム
22b 第2コラム
22c 第3コラム
24a 連結部
24b 連結部
26 空洞部
26a〜26f サブルーム
28 空洞部
32a〜32h アンカー
34a〜34h 係留ライン
40 板部材
42 支持部
44 側面
45 底面
46 角部
48 第1領域
49 第2領域
50 回動軸
52 凹部
54 アクチュエータ
60 ガイド部材
62 レール
64 突起部
70 第1板領域
72 第2板領域
74 第3板領域
80 延長プラットフォーム部


Claims (15)

  1. 風車と、
    前記風車が設置される第1コラムと、該第1コラムとともに平面視仮想三角形の各頂点を形成する第2コラム及び第3コラムと、前記第1コラムを前記第2コラム及び前記第3コラムのそれぞれに連結する少なくとも一対の連結部とを含み、前記風車を洋上に支持する浮体と、
    前記浮体に接続される複数本の係留ラインと、
    前記係留ラインを避けて、喫水線より下方において、前記浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って設けられる少なくとも一枚の板部材とを備え、
    前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体との間に間隙を有し、前記浮体の前記側面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第1領域と、前記浮体の前記底面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第2領域との間で前記間隙を介して海水が行き来するように構成され
    前記第1コラム、前記第2コラム及び前記第3コラムには、それぞれ、前記係留ラインが接続されており、
    前記浮体は、前記第1コラムが最も頻度が高い波の波上側に位置し、前記第2コラム及び前記第3コラムが前記第1コラムに対して前記波の波下側に位置するように配向された浮体式風力発電装置。
  2. 前記少なくとも一枚の板部材は、前記角部を中心として前記浮体から離れる方向に放射状に延びる直線の上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の浮体式風力発電装置。
  3. 前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体の設置環境における有義波の波長の0.2倍以下の水深に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の浮体式風力発電装置。
  4. 前記少なくとも一枚の板部材は、
    前記第1コラム及び該第1コラムに接続される各連結部の端部との少なくとも一つに対して設けられる第1板領域と、
    前記第2コラムまたは該第2コラムに接続される前記連結部の端部の少なくとも一つに対して設けられる第2板領域と、
    前記第3コラムまたは該第3コラムに接続される前記連結部の端部の少なくとも一つに対して設けられる第3板領域とを含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  5. 風車と、
    前記風車が設置される第1コラムと、該第1コラムとともに平面視仮想三角形の各頂点を形成する第2コラム及び第3コラムと、前記第1コラムを前記第2コラム及び前記第3コラムのそれぞれに連結する少なくとも一対の連結部とを含み、前記風車を洋上に支持する浮体と、
    前記浮体に接続される係留ラインと、
    前記係留ラインを避けて、喫水線より下方において、前記浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って設けられる少なくとも一枚の板部材とを備え、
    前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体との間に間隙を有し、前記浮体の前記側面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第1領域と、前記浮体の前記底面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第2領域との間で前記間隙を介して海水が行き来するように構成され、
    前記少なくとも一枚の板部材は、前記第1コラム及び該第1コラムに接続される各連結部の端部との少なくとも一つに対応する第1板領域に設けられる第1板部材と、前記第2コラム及び該第2コラムに接続される各連結部の端部との少なくとも一つに対応する第2板領域に設けられる第2板部材と、前記第3コラム及び該第3コラムに接続される各連結部の端部との少なくとも一つに対応する第3板領域に設けられる第3板部材と、を含み、
    前記第1板部材、前記第2板部材および前記第3板部材が互いに離れて別々に設けられたことを特徴とする浮体式風力発電装置。
  6. 前記第1板領域、前記第2板領域及び前記第3板領域は、前記第2コラム側から前記第1コラムを経て前記第3コラム側に亘って連続した一枚の板部材によって形成されることを特徴とする請求項4に記載の浮体式風力発電装置。
  7. 前記間隙の大きさは、前記少なくとも一枚の板部材の幅をWとしたとき、0.1W以上0.2W以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  8. 風車と、
    前記風車が設置される第1コラムと、該第1コラムとともに平面視仮想三角形の各頂点を形成する第2コラム及び第3コラムと、前記第1コラムを前記第2コラム及び前記第3コラムのそれぞれに連結する少なくとも一対の連結部とを含み、前記風車を洋上に支持する浮体と、
    前記浮体に接続される係留ラインと、
    前記係留ラインを避けて、喫水線より下方において、前記浮体の側面と底面とが交差する角部に沿って設けられる少なくとも一枚の板部材とを備え、
    前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体との間に間隙を有し、前記浮体の前記側面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第1領域と、前記浮体の前記底面と前記少なくとも一枚の板部材とで形成される第2領域との間で前記間隙を介して海水が行き来するように構成され、
    全ての前記板部材は、前記平面視仮想三角形の内側に向かって前記浮体から張り出すように設けられることを特徴とする浮体式風力発電装置。
  9. 前記少なくとも一枚の板部材は、折り畳み可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  10. 前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体に対して移動自在であり、前記浮体から張り出した第1状態と、前記浮体の前記側面又は前記底面に隣接した位置まで退避した第2状態とで切替え可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  11. 前記浮体は、前記少なくとも一枚の板部材を覆うように前記浮体の上面に設けられた延長プラットフォーム部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  12. 前記延長プラットフォーム部は、前記少なくとも一枚の板部材の前記浮体の前記側面からの突出長さに相当する幅を有することを特徴とする請求項11に記載の浮体式風力発電装置。
  13. 前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体から水平方向に張り出していることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  14. 前記少なくとも一枚の板部材は、前記浮体から鉛直方向に張り出していることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
  15. 前記一対の連結部は、前記第1コラムと前記第2コラムとの間、および、前記第1コラムと前記第3コラムとの間にそれぞれ設けられる一対のロワーハルであり、
    各ロワーハルは、バラスト水の注入により潜水するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。
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