以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
図1の液晶表示モジュール1は、液晶表示素子2、視野角拡大シート3、プリズムシート4、下用光拡散シート5及びバックライト6を備えている。かかる液晶表示素子2、視野角拡大シート3、プリズムシート4、下用光拡散シート5及びバックライト6(出光面)は、略同一かつ方形の平面形状を有し、表面側から裏面側にこの順に重畳されている。
液晶表示素子2は、略平行にかつ所定間隔を開けて配設される表面側偏光板7及び裏面側偏光板8と、その間に挟持される液晶セル9とを有している。偏光板7,8は、特に限定されるものではなく、一般的にはヨウ素系偏光子、染料系偏光子、ポリエン系偏光子等の偏光子及びその両側に配置される二枚の透明保護膜から構成される。裏面側偏光板8は、その透過軸方向mの短辺方向に対する角度βが(1/4)πまたは−(1/4)πに配設されている。また、表面側偏光板7は、その透過軸方向が裏面側偏光板8の透過軸方向mに対して直交するよう配設されている。
液晶セル9は、透過する光量を制御する機能を有するものであり、公知の種々のものが採用される。液晶セル9は、一般的には基板、カラーフィルタ、対向電極、液晶層、画素電極、基板等からなる積層構造体である。この画素電極には、ITO等の透明導電膜が用いられている。液晶セル9の表示モードとしては、現在提案されている例えばTN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)等を用いることができる。
バックライト6は、一対のランプ6bが対向して配設される対向エッジライト型(対向サイドライト型ともいう)の面光源装置であり、液晶表示素子2を裏面側から照らして発光させるものである。バックライト6は、具体的には、方形板状の導光板6a、この導光板6aの長辺に該当する両端面(光入射面)に沿って配設される一対の線状のランプ6b、導光板6aの裏面側に配設される反射シート(図示していない)、ランプ6bの側方(導光板6aの光入射面側を除く)を囲繞するように配置されるリフレクタ(図示していない)、これらの構成要素を収納する上方開口ケーシング(図示していない)等を備えており、ランプ6bから発せられた光線を導光板6a表面全面から出光するよう構成されている。従って、バックライト6において、ランプ6bの方向は長辺方向と平行(短辺方向と垂直)とされている。なお、上記ランプ6bとしては、発光ダイオード(LED)や冷陰極管等を用いることができる。また、上記プリズムシート4に代えて、出光光線を法線方向側へ立ち上げるべく、導光板として裏面に三角柱状のプリズム部が多条(ストライプ状)かつランプ6bと垂直に形成されたプリズム導光板を用い、裏面側に三角柱状のプリズム部が多条かつランプと平行に形成された逆プリズムシートを導光板の表面側に重畳した構成のバックライトを採用することも可能である。
視野角拡大シート3は、良好な画像の形成可能な視野角を拡大する機能を有するとともに、透過光線を拡散させる光拡散機能(詳細には、拡散させつつ法線方向側へ集光させる方向性拡散機能)も有する光拡散シートから構成されている。具体的には、視野角拡大シート3は、基材フィルム10と、この基材フィルム10の表面に積層される光学機能層(光拡散層)11とを備えている。
この視野角拡大シート3の基材フィルム10は、方形に形成された樹脂製のフィルムである。当該基材フィルム10の形成材料としては、透明、特に無色透明の合成樹脂が用いられている。この合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも基材フィルム10としては、透明性、強度が高く、複屈折性の制御が容易なポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートが好ましく、撓み性能の改善及び好適な屈折率が得られる等の観点からポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、基材フィルム10の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、好ましくは10μm以上250μm以下、特に好ましくは20μm以上188μm以下とされている。当該基材フィルム10の厚みが上記範囲未満であると、加工の際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、当該基材フィルム10の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示モジュール1の輝度が低下してしまうことがあり、また液晶表示モジュール1の厚みが大きくなって薄型化の要求に反することにもなる。
基材フィルム10は、光学的異方性を有しており、具体的には平面方向で屈折率が異なる複屈折性を有している。この複屈折性により基材フィルム10は、透過光線の偏光成分を意図する方向に変換し、視野角拡大機能を発揮していると思われる。
基材フィルム10は、視野角拡大のために最適化された進相軸の方向を有している。かかる最適化された基材フィルム10の進相軸の方向xの角度は、裏面側偏光板8の透過軸方向mの角度に応じた図2及び図3に示す2パターンがある。
図2に示すように裏面側偏光板8の透過軸方向mの短辺方向(図中「縦方向」)に対する角度βが(1/4)πの場合、基材フィルム10の進相軸方向xの短辺方向に対する角度αは、0以上(1/2)π以下であることが好ましく、0以上(1/4)π以下であることが特に好ましい。一方、図3に示すように裏面側偏光板8の透過軸方向mの短辺方向に対する角度βが−(1/4)πの場合、基材フィルム10の進相軸方向xの短辺方向に対する角度αは、−(1/2)π以上0以下であることが好ましく、−(1/4)π以上0以下であることが特に好ましい。この基材フィルム10の製造方法としては、進相軸方向xの角度αを上記数値範囲に制御できれば特に限定されるものではない。例えば、基材フィルム10の進相軸方向の角度αは、ポリエチレンテレフタレート等の一軸延伸加工における延伸力、温度等の調節や、二軸延伸フィルムの打ち抜き加工における抜き位置及び抜き角度の調節により、本発明の範囲に制御可能である。
基材フィルム10における具体的なリタデーション値としては、良好な視野角特性を得るためには、560nm以上であることが好ましく、1600nm以上であることがさらに好ましく、10000nm以下であることが好ましく、8000以下であることがより好ましい。上記下限値以上とすることで、視野角特性に優れた製品とすることができ、また上記上限値以下とすることで、基材フィルムの製造等が困難になり難いという利点を有する。
また、基材フィルム10の厚み方向の屈折率nzは、進相軸方向の屈折率nx及び遅相軸方向の屈折率nyよりも小さいことが好ましい。特に、この屈折率は、(nx+ny)/2−nz>0.1の関係を満たすものであることが好ましい。
視野角拡大シート3の光学機能層11は、基材フィルム10の表面に略均一に配設される複数の光拡散剤12と、その複数の光拡散剤12を固定するバインダー13とを備えている。かかる複数の光拡散剤12は、バインダー13で被覆されている。このように光学機能層11中に含有する複数の光拡散剤12によって光学機能層11を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。また、複数の光拡散剤12によって光学機能層11の表面に微細な凹凸が略均一に形成されている。このように視野角拡大シート3表面に形成される微細な凹凸のレンズ的屈折作用により、光線をより良く拡散させることができる。なお、光学機能層11の平均厚みは、特には限定されないが、例えば1μm以上30μm以下程度とされている。
光拡散剤12は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、例えばシリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの材料としては、例えばアクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
光拡散剤12の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば球状、紡錘形状、針状、棒状、立方状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
光拡散剤12の平均粒子径の下限としては、1μm、特に2μm、さらに5μmが好ましい。一方、光拡散剤12の平均粒子径の上限としては、50μm、特に20μm、さらに15μmが好ましい。光拡散剤12の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤12によって形成される光学機能層11表面の凹凸が小さくなり、光拡散シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがある。逆に、光拡散剤12の平均粒子径が上記範囲を越えると、視野角拡大シート3の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になる。
光拡散剤12の配合量(バインダー13の形成材料であるポリマー組成物中の基材ポリマー100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部が好ましく、この配合量の上限としては40部、特に30部が好ましい。これは、光拡散剤12の配合量が上記範囲未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤12の配合量が上記範囲を越えるとプリズムシートの表面側に配設される所謂上用光拡散シートとして要求される拡散性以上の拡散性を与えるためである。
バインダー13は、基材ポリマーを含むポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。このバインダー13により基材フィルム10表面に光拡散剤12が略等密度に配置固定される。なお、バインダー13を形成するためのポリマー組成物は、基材ポリマーの他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、帯電防止剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易に光学機能層11を形成することができるポリオールが好ましい。また、バインダー13に用いられる基材ポリマー自体は、光線の透過性を高める観点から透明が好ましく、無色透明が特に好ましい。
上記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、又は水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー13は、耐候性が高く、光学機能層11の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
バインダー13を形成するポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有するとよい。このようにバインダー13中に微小無機充填剤を含有することで、光学機能層11ひいては視野角拡大シート3の耐熱性が向上する。微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。無機酸化物を構成する金属元素としては、例えば元素周期律表第2族〜第6族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表第3族〜第5族から選ばれる元素がさらに好ましい。特に、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、耐熱性向上効果及び均一分散性の面で微小無機充填剤として最も好ましい。また微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、視野角拡大シート3の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
微小無機充填剤の基材ポリマー100部に対する配合量(無機物成分のみの配合量)の下限としては固形分換算で5部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては500部が好ましく、200部がより好ましく、100部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、視野角拡大シート3の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光学機能層11の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
上記微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー13中での分散性やバインダー13との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー13を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー13中での分散性を向上させることができる。
上記アルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
微小無機充填剤に固定する上記有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー13を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー13のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
上記基材ポリマーとしてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。このように、バインダー13を構成する基材ポリマーとしてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー13の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該視野角拡大シート3の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光学機能層11の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、光学機能層11の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上記多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
特に、基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、ポリマー組成物中に配合する硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、イソフロンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネートのいずれか1種もしくは2種以上混合して用いるとよい。これらの硬化剤を用いると、ポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、帯電防止剤として微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系のものを使用しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。また、かかるポリマー組成物の硬化反応速度の向上はバインダー中への微小無機充填剤の均一分散性に寄与する。その結果、当該視野角拡大シート3は、熱、紫外線等による撓みや黄変を格段に抑制することができる。
また、上記ポリマー組成物中に紫外線吸収剤を含有するとよい。このように紫外線吸収剤を含有するポリマー組成物からバインダー13を形成することで、当該視野角拡大シート3に紫外線カット機能が付与され、バックライトユニットのランプから発せられる微量の紫外線をカットし、紫外線による液晶層の破壊を防止することができる。
かかる紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収し、効率よく熱エネルギーに変換できるもので、かつ、光に対して安定な化合物であれば特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。中でも、紫外線吸収機能が高く、上記基材ポリマーとの相溶性が良好で、基材ポリマー中に安定して存在するサリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、これらの群より選択される1種又は2種以上のものを用いるとよい。また、紫外線吸収剤としては、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマー(例えば、(株)日本触媒の「ユーダブルUV」シリーズなど)も好適に使用される。この分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーを用いることで、バインダー13の主ポリマーとの相溶性が高く、紫外線吸収剤のブリードアウト等による紫外線吸収機能の劣化を防止することができる。なお、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーをバインダー13の基材ポリマーとすることも可能である。また、この紫外線吸収基が結合されたポリマーをバインダー13の基材ポリマーとし、さらにこの基材ポリマー中に紫外線吸収剤を含有することも可能であり、紫外線吸収機能をより向上させることができる。
バインダー13の基材ポリマーに対する上記紫外線吸収剤の含有量の下限としては0.1質量%、特に1質量%、さらに3質量%が好ましく、紫外線吸収剤の上記含有量の上限としては10質量%、特に8質量%、さらに5質量%が好ましい。これは、基材ポリマーに対して紫外線吸収剤の質量比が上記下限より小さいと、視野角拡大シート3の紫外線吸収機能を効果的に奏することができないためであり、逆に、紫外線吸収剤の質量比が上記上限を超えると、基材ポリマーに悪影響を及ぼし、バインダー13の強度、耐久性等の低下をもたらすことからである。
上記紫外線吸収剤に代え又は紫外線吸収剤と共に、紫外線安定剤(分子鎖に紫外線安定基が結合した基材ポリマーを含む)を使用することも可能である。この紫外線安定剤により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤が好適に用いられる。なお、紫外線吸収剤と紫外線安定剤を併用することで、紫外線による劣化防止及び耐候性が格段に向上する。
さらに、ポリマー組成物中に帯電防止剤を混練するとよい。このように帯電防止剤が混練されたポリマー組成物からバインダー13を形成することで、当該視野角拡大シート3に帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等との重ね合わせが困難になる等の静電気の帯電により発生する不都合を防止することができる。また帯電防止剤を表面にコーティングすると表面のベタツキや汚濁が生じてしまうが、このようにポリマー組成物中に混練することでかかる弊害は低減される。かかる帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きいカチオン系帯電防止剤が好ましく、少量の添加で帯電防止効果が奏される。
当該視野角拡大シート3のヘイズ値としては、広視野角化の観点からは10%以上34%以下又は80%以上が好ましく、この広視野角化に加えて高輝度化を考慮すると10%以上40%以下が好ましく、25%以上35%以下が特に好ましい。当該視野角拡大シート3のヘイズ値を上記範囲とすることで、視野角拡大機能が格段に増大し、加えて正面輝度も高められる。なお、「ヘイズ値」は、JIS−K−7105に準拠して測定された値である。
上記視野角拡大シート3の光学機能層11の形成方法は、(a)バインダー13を構成するポリマー組成物に光拡散剤12を混合することで光学機能層用組成物を製造する工程と、(b)光学機能層用組成物を基材フィルム10の表面に積層し、硬化させることで光学機能層11を形成する工程とを有する。上記光学機能層用組成物を基材フィルム10に積層する手段としては、特に限定されるものではなく、例えばバーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷等を用いたコーティング等が採用される。
プリズムシート4は、基材層15と、この基材層15の表面に形成される多数の三角柱状のプリズム部16とを有している。この多数のプリズム部16は平行、等間隔かつ密に配設されており、プリズム部16の稜線方向は長辺方向と平行(短辺方向と垂直)でバックライト6のランプ6bの配設方向と平行である。
プリズムシート4の形成材料としては、上記視野角拡大シート3の基材フィルム10と同様の合成樹脂が用いられている。プリズムシート4の製造方法としては、特に限定されず、基材層15とプリズム部16とが一体成形されてもよく、別々に成形されてもよい。なお、基材層15としては、低リタデーションフィルムを使用するとよい。このようにプリズムシート4の基材層15として低リタデーションフィルムを用いることで、上述のような視野角拡大シート3による視野角拡大機能を阻害してしまうことを防止することができる。
下用光拡散シート5は、透過光線を拡散させる光拡散機能(詳細には、拡散させつつ法線方向側へ集光させる方向性拡散機能)を有する光学シートである。具体的には、下用光拡散シート5は、基材フィルムと、この基材フィルムの表面に積層される光学機能層(光拡散層)とを備えている。なお、下用光拡散シート5の基材フィルムの形成材料としては、上記視野角拡大シート3の基材フィルム10と同様の合成樹脂が用いられている。この下用光拡散シート5の製造方法としては、特に限定されないが、低リタデーションフィルムを使用することが好ましい。このように下用光拡散シート5の基材フィルムとして低リタデーションフィルムを用いることで、上述のような視野角拡大シート3による視野角拡大機能を阻害してしまうことを防止することができる。また、下用光拡散シート5の光学機能層は、上記視野角拡大シート3の光学機能層11と略同様の構成を採用することができる。ただし、下用光拡散シート5において光拡散剤の配合量(バインダーの形成材料であるポリマー組成物中の基材ポリマー100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部、特に20部、さらに50部が好ましく、この配合量の上限としては500部、特に300部、さらに200部が好ましい。これは、光拡散剤の配合量が上記範囲未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤の配合量が上記範囲を越えると光拡散剤を固定する効果が低下することからである。
当該液晶表示モジュール1は、液晶表示素子2及びプリズムシート4間に視野角拡大シート3を備え、この視野角拡大シート3が光学的異方性がある樹脂製の基材フィルム10を有し、この基材フィルム10の進相軸方向の短辺方向に対する角度αを上記所定範囲内とすることで、輝度の低下を抑制しつつ水平方向の視野角を拡大することができる。そのため、当該液晶表示モジュール1は、液晶表示素子2及びプリズムシート4間に視野角拡大シート3を重設する簡易な構造で、今日社会的に要請されている水平方向の広視野角化及び高輝度化を促進し、ひいては低コスト化、省エネルギー化及び薄型軽量化を促進することができる。また当該液晶表示モジュール1は、視野角拡大シート3を液晶表示素子2の直下に積層することで、上述の広視野角化を効果的に促進することができる。
当該視野角拡大シート3は、光学機能層11中に含有する光拡散剤12の界面での反射や屈折及び光学機能層11表面に形成される微細凹凸での屈折により、高い光拡散機能(方向性拡散機能)を有している。また、当該視野角拡大シート3は、上記視野角拡大シート3と同様に、所定の進相軸方向を有する基材フィルム10によって上記視野角拡大機能を有している。従って、当該視野角拡大シート3を備える液晶表示モジュールは、光学機能層11による光拡散機能と基材フィルム10による視野角拡大機能とが相俟って高輝度化及び広視野角化を共に促進することができる。なお、光拡散シートは通常液晶表示モジュールに使用されているため、当該視野角拡大シート3を用いる液晶表示モジュールは、光学シートの装備枚数の増大を招来することなく、上述の視野角拡大機能が付与され、ひいては高輝度化、低コスト化、省エネルギー化及び薄型軽量化を促進することができる。
当該液晶表示モジュール1において、液晶表示素子2とバックライト6との間に視野角拡大シート3、プリズムシート4及び下用光拡散シート5に加えて、マイクロレンズシート等の他の光学シートを備えることができる。この他の光学シートの基材フィルムとしては、低リタデーションフィルムを使用するとよい。このように他の光学シートの基材フィルムとして低リタデーションフィルムを用い、他の光学シートが透過光線の偏光方向を変換しないようにすることで、上述の視野角拡大シート3による視野角拡大機能を阻害してしまうことを防止することができる。
当該液晶表示モジュール1は、視野角拡大シート3に変えて図5の視野角拡大シート21を備えることができる。この視野角拡大シート21も基材フィルム10の基材フィルム10の表面に積層される光学機能層(光拡散層)22を有するものであり、さらにこの視野角拡大シートは、基材フィルム10の裏面に積層されるスティッキング防止層22を備えている。この基材フィルム10は上記視野角拡大シート3と同様であり、光学機能層11は上記視野角拡大シート3と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
上記スティッキング防止層22は、基材フィルム10の裏面に散点的に配設される複数のビーズ23と、この複数のビーズ23を固定するバインダー24とを備えている。このバインダー24も、上記光学機能層11のバインダー13と同様のポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。また、ビーズ23の材料としては光学機能層11の光拡散剤12と同様のものが用いられる。なお、このスティッキング防止層22の厚み(ビーズ23が存在しない部分でのバインダー24部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
このスティッキング防止層22のビーズ23の配合量は比較的少量とされ、ビーズ23は互いに離間してバインダー24中に分散している。また、ビーズ23部分で当該視野角拡大シート21の下面に凸部が形成されている。そのため、視野角拡大シート21をプリズムシート等に積層すると、突出したビーズ23部分が導光板等の表面に当接し、視野角拡大シート21の裏面全面が導光板等と当接することがない。これにより、視野角拡大シート21と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示モジュールの画面の輝度ムラが抑えられる。
次に、当該視野角拡大シート21の製造方法を説明する。当該視野角拡大シート21の製造方法は、上記視野角拡大シート3と同様の方法で光学機能層11が形成され、加えて(c)バインダー24を構成するポリマー組成物にビーズ23を混合することでスティッキング防止層用組成物を製造する工程と、(d)スティッキング防止層用組成物を基材フィルム10の裏面に積層し、硬化させることでスティッキング防止層22を積層する工程とを有する。上記スティッキング防止層用組成物を基材フィルム10に積層する手段としては、上記光学機能層11と同様の積層手段が採用される。
当該視野角拡大シート21は、上記視野角拡大シート3と同様に、光学シートの装備枚数の増大を招来することなく、光学機能層11による光拡散機能と基材フィルム10による視野角拡大機能とが相俟って液晶表示モジュールの高輝度化及び広視野角化を共に促進することができ、加えて低コスト化、省エネルギー化及び薄型軽量化を促進することができる。また、当該視野角拡大シート21は、スティッキング防止層22によってプリズムシート等とのスティッキングが防止される結果、液晶表示モジュールの画面の輝度ムラが抑えられ、ひいては液晶表示モジュールの広視野角化に寄与する。
当該液晶表示モジュール1は、視野角拡大シート3に変えて図6の視野角拡大シート31を備えることができる。この視野角拡大シート31は、高い集光、法線方向側への屈折、拡散等の光学的機能を有する所謂マイクロレンズシートである。視野角拡大シート31は、基材フィルム10と、この基材フィルム10の表面に積層される光学機能層32とを備えている。この視野角拡大シート31の基材フィルム10は、上記視野角拡大シート3と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
光学機能層32は、基材フィルム10表面に積層されるシート状部33と、このシート状部33の表面に形成されるマイクロレンズアレイ34とを備えている。なお、光学機能層32は、シート状部33が存在せず、マイクロレンズアレイ34のみから構成することも可能である。つまり、基材フィルム10の表面に直接マイクロレンズアレイ34を形成することも可能である。
光学機能層32は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。光学機能層32に用いられる合成樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル、活性エネルギー線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも、マイクロレンズアレイ34の成形性に優れる紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の放射線硬化型樹脂や透明性及び強度に優れるポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。なお、光学機能層32には、上記の合成樹脂の他、例えばフィラー、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤等が配合されてもよい。
マイクロレンズアレイ34は、多数のマイクロレンズ35から構成されている。マイクロレンズ35は、半球状(半球に近似した形状を含む)とされ、基材フィルム10の表面側に突設されている。なお、マイクロレンズ35は、上記半球状凸レンズに限定されず、半球状凹レンズのマイクロレンズも可能である。かかる半球状凹レンズのマイクロレンズも、上記マイクロレンズ35と同様の優れた光学的機能を有する。
マイクロレンズ35は、基材フィルム10の表面に比較的密にかつ幾何学的に配設されている。具体的にはマイクロレンズ35は、基材フィルム10の表面において正三角形格子パターンで配設されている。従って、マイクロレンズ35のピッチ(P)及びレンズ間距離(S)は全て一定である。この配設パターンは、マイクロレンズ35を最も密に配設することができる。なお、マイクロレンズ35の配設パターンとしては、稠密充填可能な上記正三角形格子パターンに限定されず、例えば正方形格子パターンやランダムパターンも可能である。このランダムパターンによれば、当該視野角拡大シート31を他の光学部材と重ね合わせた際にモアレの発生が低減される。
マイクロレンズ35の直径(D)の下限としては、10μm、特に100μm、さらに特に200μmが好ましい。一方、マイクロレンズ35の直径(D)の上限としては、1000μm、特に700μmが好ましい。マイクロレンズ35の直径(D)が10μmより小さいと、回析の影響が大きくなり、光学的性能の低下や色分解が起こり易く、品質の低下を招来する。一方、マイクロレンズ35の直径(D)が1000μmを超えると、厚さの増大や輝度ムラが生じやすく、品質の低下を招来する。また、マイクロレンズ35の直径(D)を100μm以上とすることで、単位面積当たりのマイクロレンズ35が少なくなる結果、マイクロレンズシートである当該視野角拡大シート31の大面積化が容易になり、製造時の技術的かつコスト的な負担が軽減される。
マイクロレンズ35の表面粗さ(Ra)の下限としては、0.01μmが好ましく、0.03μmが特に好ましい。一方、マイクロレンズ35の表面粗さ(Ra)の上限としては、0.1μmが好ましく、0.07μmが特に好ましい。このようにマイクロレンズ35の表面粗さ(Ra)を上記下限以上とすることで、当該視野角拡大シート31のマイクロレンズアレイ34の成形性が容易になり、製造面での技術的及びコスト的負担が軽減される。一方、マイクロレンズ35の表面粗さ(Ra)を上記上限未満とすることで、マイクロレンズ35表面での光の散乱が低減される結果、マイクロレンズ35による集光機能や法線方向側への屈折機能が高められ、かかる良好な光学的機能に起因して正面方向の高輝度化が図られる。
マイクロレンズ35の高さ(H)の曲率半径(R)に対する高さ比(H/R)の下限としては、5/8が好ましく、3/4が特に好ましい。一方、この高さ比(H/R)の上限としては1が好ましい。このようにマイクロレンズ35の高さ比(H/R)を上記範囲とすることで、マイクロレンズ35におけるレンズ的屈折作用が効果的に奏され、当該視野角拡大シート31の集光等の光学的機能が格段に向上される。
マイクロレンズ35のレンズ間距離(S;P−D)の直径(D)に対する間隔比(S/D)の上限としては1/2が好ましく、1/5が特に好ましい。このようにマイクロレンズ35のレンズ間距離(S)を上記上限以下とすることで、光学的機能に寄与しない平坦部が低減され、当該視野角拡大シート31の集光等の光学的機能が格段に向上される。
マイクロレンズ35の充填率の下限としては、40%が好ましく、60%が特に好ましい。このようにマイクロレンズ35の充填率を上記下限以上とすることで、当該視野角拡大シート31表面におけるマイクロレンズ35の占有面積を高め、当該視野角拡大シート31の集光等の光学的機能が格段に向上される。
なお、上述した高さ比(H/R)、間隔比(S/D)及び充填率の数値範囲は、モンテカルロ法を用いたノンシーケンシャル光線追跡による輝度解析シミュレーションに基づいて導かれたものである。
光学機能層32を構成する素材の屈折率の下限としては1.3が好ましく、1.35が特に好ましい。一方、この素材の屈折率の上限としては1.8が好ましく、1.6が特に好ましい。この範囲の中でも、光学機能層32を構成する素材の屈折率としては1.5が最も好ましい。このように光学機能層32を構成する素材の屈折率を上記範囲とすることで、マイクロレンズ35におけるレンズ的屈折作用が効果的に奏され、当該視野角拡大シート31の集光等の光学的機能がさらに高められる。
当該視野角拡大シート31の製造方法としては、上記構造のものが形成できれば特に限定されるものではなく、種々の方法が採用される。当該視野角拡大シート31の製造方法としては、具体的には、
(a)マイクロレンズアレイ34表面の反転形状を有するシート型に合成樹脂及び基材フィルム10をこの順に積層し、シート型を剥がすこと当該視野角拡大シート31を形成する方法、
(b)シート化した樹脂を再加熱して基材フィルム10と共にマイクロレンズアレイ34表面の反転形状を有する金型と金属板との間にはさんでプレスして形状を転写する方法、
(c)マイクロレンズアレイ34表面の反転形状を周面に有するロール型と他のロールとのニップに溶融状態の樹脂及び基材フィルム10を通し、上記形状を転写する押出しシート成形法、
(d)基材フィルム10に紫外線硬化型樹脂を塗布し、上記と同様の反転形状を有するシート型、金型又はロール型に押さえ付けて未硬化の紫外線硬化型樹脂に形状を転写し、紫外線をあてて紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(e)上記と同様の反転形状を有する金型又はロール型に未硬化の紫外線硬化性樹脂を充填塗布し、基材フィルム10で押さえ付けて均し、紫外線をあてて紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(f)未硬化(液状)の紫外線硬化型樹脂等を微細なノズルから基材フィルム10上にマイクロレンズ35を形成するよう射出又は吐出し、硬化させる方法、
(g)紫外線硬化型樹脂の代わりに電子線硬化型樹脂を使用する方法
などがある。
なお、上記マイクロレンズアレイ34の反転形状を有する型(モールド)の製造方法としては、例えば基材上にフォトレジスト材料により斑点状の立体パターンを形成し、この立体パターンを加熱流動化により曲面化することでマイクロレンズアレイ模型を作製し、このマイクロレンズアレイ模型の表面に電鋳法により金属層を積層し、この金属層を剥離することで製造することができる。また、上記マイクロレンズアレイ模型の作製方法としては、上記(f)に記載の方法を採用することも可能である。
上記製造方法によれば、任意形状のマイクロレンズアレイ34が容易かつ確実に形成される。従って、マイクロレンズアレイ34を構成するマイクロレンズ35の直径(D)、高さ比(H/R)、間隔比(S/D)、充填率等が容易かつ確実に調整され、その結果当該視野角拡大シート31の光学的機能が容易かつ確実に制御される。
当該視野角拡大シート31は、マイクロレンズアレイ34によって高い集光、法線方向側への屈折、拡散等の光学的機能を有し、その光学的機能を容易かつ確実に制御することができる。また、当該視野角拡大シート31は、上記視野角拡大シート3と同様に、所定の進相軸方向を有する基材フィルム10によって上記視野角拡大機能を有している。従って、当該視野角拡大シート31を備える液晶表示モジュールは、光学機能層32による拡散等の光拡散機能と基材フィルム10による視野角拡大機能とが相俟って高輝度化及び広視野角化を共に促進することができる。なお、当該視野角拡大シート31のヘイズ値としては、上記視野角拡大シート3と同様に、10%以上40%以下、特に25%以上35%以下が好ましく、広視野角化及び高輝度化をさらに促進することができる。
ここで、上記「マイクロレンズ」とは、界面が部分球面状の微小レンズを意味し、例えば半球状凸レンズ、半球状凹レンズ等が該当する。「直径(D)」とは、マイクロレンズの基底又は開口の直径を意味する。「高さ(H)」とは、マイクロレンズが凸レンズの場合にはマイクロレンズの基底面から最頂部までの垂直距離、マイクロレンズが凹レンズの場合にはマイクロレンズの開口面から最底部までの垂直距離を意味する。「レンズ間距離」とは、隣り合う一対のマイクロレンズ間の最短距離を意味する。「充填率」とは、表面投影形状における単位面積当たりのマイクロレンズの面積比を意味する。「正三角形格子パターン」とは、表面を同一形状の正三角形に区分し、その正三角形の各頂点にマイクロレンズを配設するパターンを意味する。
上記マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズは、長軸を法線方向に向けた楕円面の部分的形状に形成するとよい。このように長軸を法線方向に向けた楕円面の部分的形状を有するマイクロレンズによれば、球面収差ひいては光線のロスが低減され、透過光線に対する正面側への集光機能、拡散機能、法線方向側への変角機能等の光学的機能が高められる。この楕円面の長軸半径(RL)の短軸半径(RS)に対する扁平比(RL/RS)としては、マイクロレンズの球面収差を効果的に低減する趣旨から、1.05以上1.7以下が好ましい。
上記マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズは、長軸が所定の平面方向と略平行に位置する楕円面の部分的形状に形成してもよい。このように長軸が所定の平面方向と略平行に位置する楕円面の部分的形状を有するマイクロレンズによれば、光学的機能に異方性を有し、具体的にはマイクロレンズの長軸と平行方向の光学的機能より長軸と垂直方向の光学的機能が大きくなる。
なお、本発明の液晶表示モジュールは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、当該視野角拡大シートの光学機能層としては、図4及び図5の光拡散層や図6のマイクロレンズアレイに限定されない。また、「微小な凹凸形状」を設ける場合にあっても、上記マイクロレンズアレイに限定されるものではなく、例えばプリズム部、球面シリンドリカルレンズ部、非球面シリンドリスルレンズ部、等から構成することも可能である。また、当該液晶表示モジュールに備える視野角拡大シートは、紫外線吸収剤層、トップコート層等の他の層が積層されてもよい。
上記紫外線吸収剤及び帯電防止剤に関しては、上述の光学機能層11のバインダー13に含有する手段に替え又は当該手段と共に、紫外線吸収剤層又は帯電防止剤層を積層することも可能であり、スティッキング防止層22のバインダー24又は基材フィルム10中に紫外線吸収剤又は帯電防止剤を含有することも可能である。これらの手段によっても、当該視野角拡大シートに紫外線吸収機能又は帯電防止機能が発現される。
当該液晶表示モジュールは、上記対向エッジライト型バックライトに限定されるものではなく、導光板6aの一端面にのみ線状のランプが配設されたエッジライト型バックライトを採用することも可能であり、視野角拡大シートによる視野角拡大機能が奏される。なお、一端面にのみランプを配設した場合には、その一端面(光入射面)側が厚くかつその対向端面側が薄い略楔形の断面形状を有する方形板状の導光板を用いることが好ましい。また、この対向端面に光反射膜を被着することが好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
〈実施例1〜3のTCO値の視野角特性評価実験〉
ポリエチレンテレフタレートを二軸延伸した原反から位置を変えて抜き取り、短辺方向に対する進相軸方向の角度を+3°から70°までの三種類の方形の基材フィルムを作成した(実施例1〜3)。また、同様のポリエチレンテレフタレートを二軸延伸した原反から位置を変えて抜き取り、短辺方向に対する進相軸方向の角度を−86°から−20°までの三種類の方形の基材フィルムを作成した(比較例1〜3)。これらの六種類の基材フィルムの表面に透明樹脂ビーズを含有するポリマー組成物を塗工し硬化させて、光拡散層を有する視野角拡大シートを作成した。
一対の偏光板間にTN方式の液晶セルを挟持してなる液晶表示素子と、この液晶表示素子の裏面に重設されるプリズムシートと、このプリズムシートの裏面に重設される光拡散シートと、この光拡散シートの裏面に重設される図1と同様の対向エッジライト型バックライトとを備え、上記液晶表示素子の裏面側偏光板の透過軸方向の短辺方向に対する角度が+(1/4)πである方形の液晶表示モジュールを用い、上記液晶表示素子とプリズムシートとの間に上述の視野角拡大シートをそれぞれ積層して、中心輝度及びTCO値を測定した。その結果を図8に示す。なお、図8には、液晶表示素子を配設しない場合の測定値も参考として記載している。
上記TCO値の測定は以下のように行った。
まず、図7(a)のように短辺方向が中央位置(L/2)で長辺方向が左端から(2/5)Wの位置Aにおいて、図7(b)のように位置Aの法線上よりも右端側(中心寄り)に一定角度(θ1及びθ2)傾斜した箇所に輝度計を配設してそれぞれの輝度を測定した。この測定した輝度の最高値をLimθ1及びLimθ2とする。また、短辺方向が中央位置(L/2)で長辺方向が右端から(2/5)Wの位置Bにおいて、位置Bの法線上よりも左端側(中心寄り)に一定角度(θ3及びθ4)傾斜した箇所に輝度計を配設してそれぞれの輝度を測定した。この測定した輝度の最高値をLimθ3及びLimθ4とする。なお、θ1=θ3=17.5°、θ2=θ4=40°とした。そして、TCO値は、それぞれ位置の二つの角度の最高値の比について平均値としており、具体的には次式で求められる。
TCO値=(Limθ1/Limθ2+Limθ3/Limθ4)/2
なお、輝度計としては、商品名BM−7(株式会社トプコン製)を用い、輝度計のレンズが測定位置A及びBと距離が50cmとなるよう設置した。
また、中心輝度の測定は、上記輝度計を画面の中心点を通る法線上50cm(レンズ位置)に配設して測定した値である。
図8に示すように、裏面側偏光板の透過軸方向の短辺方向に対する角度が+(1/4)πの液晶表示モジュールにおいて、視野角拡大シートの基材フィルムの進相軸方向の短辺方向に対する角度が0以上(1/2)π以下である場合(実施例1〜3)に、TCO値が1.6以下となり、広視野角化が達成されている。特に、0以上(1/4)π以下である場合(実施例1及び2)に、中心輝度が256cd/m2以上となり、明るい画像が得られる。従って、上述のように本発明で特定する視野角拡大シートの基材フィルムの進相軸方向の短辺方向に対する角度の範囲の妥当性が実証されている。
〈進層軸方向の角度を15°単位で変化させた場合の視野角特性評価実験〉
上記液晶表示モジュールと同様の構成で、視野角拡大シートの進相軸方向の短辺方向に対する角度を15°ずつ変化させて、上記測定方法と同様の手法で正面輝度とTCO値の測定を行った。その結果を、図9に示す。
図9に示すように、裏面側偏光板の透過軸方向の短辺方向に対する角度が+(1/4)πの液晶表示モジュールにおいて、視野角拡大シートの基材フィルムの進相軸方向の短辺方向に対する角度が0°以上90°以下及び180°以上270°である場合に、TCO値が1.6以下となり、広視野角化が達成されている。特に、0°以上45°以下及び180°以上225°以下である場合に、中心輝度が246cd/m2以上となり、明るい画像が得られる。従って、上述のように本発明で特定する視野角拡大シートの基材フィルムの進相軸方向の短辺方向に対する角度の範囲の妥当性が実証されている。
〈屈折率の検査〉
上記実施例1〜3と同様に形成した基材フィルムを三つ(フィルムa,b,c)作成し、その右端、中央及び左端について遅層軸方向の屈折率ny、進層軸方向の屈折率nx及び厚み方向の屈折率nzを測定し、そして各屈折率について三つのフィルムの平均値を計算した(図10参照)。
この結果、右端、中央及び左端の何れにおいても、以下の二つの式が成立していることが確かめられた。
ny>nx>nz
(nx+ny)/2−nz>0.1