JP5754019B2 - 同義語抽出システム、方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、同義語抽出システム、方法およびプログラムに関し、特に、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書内から、意義は同じで語形が異なっている同義語を抽出する同義語抽出システム、方法およびプログラムに関する。
近年、情報処理装置を用いて、自然言語で書かれた文書を分析して、その文書の意味や意義を自動抽出するシステムが開発されている。そのなかで、文章中の同義語の取り扱いが問題になることがある。
同義語抽出システムに関する技術の一例が、特許文献1に「類似表現抽出装置」として記載されている。この特許文献1に開示された類似表現抽出装置は、データ記憶部、単語グループ記憶部、シソーラス記憶部、文書入力部、単語グループ作成処理部、評価調整処理部から構成されている。このような構成を有する類似表現抽出装置は、次のように動作する。
すなわち、文書入力部は、入力インタフェースとして電子文書の入力を受け付ける。単語グループ作成処理部は、前記文書入力部で入力された電子文書内の文を形態素解析し、得られた形態素解析結果を前記データ記憶部に書き込み、前記データ記憶部内の形態素解析結果を構文解析し、構文解析結果として得られた文脈情報を前記データ記憶部に書き込み、前記データ記憶部内の文脈情報から2文節の係り受けの組を含む共起表現を抽出し、この共起表現を前記データ記憶部に書き込み、前記データ記憶部内の共起表現のうち、所定の品詞の組合せの2文節からなる共起表現に基づいて、この共起表現における一方の単語毎に、他方の単語との共起頻度と、前記電子文書内の単語との共起頻度とからなる単語属性値を算出し、前記単語属性値を前記一方の単語に関連付けることにより、当該単語毎に単語ベクトルを作成し、この単語ベクトルを前記データ記憶部に書き込み、前記データ記憶部内の各単語ベクトル間の単語類似度を計算し、得られた単語類似度を、当該計算に用いた各単語ベクトルに関連付けて前記データ記憶部に書き込み、前記データ記憶部内の単語類似度に基づいて、教師なし学習手法により、前記単語類似度の算出に用いた各単語ベクトルが示す各単語を同一の単語グループに分類し、当該分類された各単語を含む単語グループを前記単語グループ記憶部に書き込む。さらに、評価調整処理部は、前記シソーラス記憶部内のシソーラス情報に含まれる表現のうち、前記入力された電子文書に含まれる表現を学習データとして生成し、前記生成された学習データに基づいて当該学習データ間の類似度を計算し、この類似度により学習データを含む学習データグループを作成し、前記学習データグループの個数に対し、前記単語グループ記憶部内の単語グループの個数を一致させるように、当該単語グループを統合し、前記統合された単語グループ毎に、前記学習データグループ内の学習データを含む度合を示す大域評価値を計算し、この大域評価値を前記データ記憶部に書き込み、前記統合された単語グループ毎に、単語グループ内の各単語を示す各単語ベクトルに関連する単語類似度の分散を計算し、得られた分散を局所評価値として前記データ記憶部に書き込み、前記大域評価値及び前記局所評価値に基づいて、これら両評価値の和を上限値にするように、前記データ記憶部内の単語グループの境界を調整し、前記調整された単語グループ内の各単語を前記類似表現として抽出し、当該抽出した類似表現の各単語を出力する。なお、データ記憶部は、単語グループ作成処理部、評価調整処理部から読出/書込可能な記憶装置であり、処理前後のデータ等が適宜記憶される。単語グループ記憶部は、単語グループ作成処理部、評価調整処理部から読出/書込可能な記憶装置であり、類似表現の各単語からなる単語グループが記憶される。シソーラス記憶部は、評価調整処理部から読出/書込可能な記憶装置であり、予めシソーラス情報が記憶されている。このような構成により、文書中の単語について、共起の頻度による単語類似度に基づく単語グループと、シソーラスでの距離などに基づく学習データグループを作成し、学習データグループの個数と構成単語に単語グループの個数および構成単語を一致させるように単語グループの境界を調整することで類似表現の各単語を抽出している。
さらに、同義語抽出システムに関する技術の他の例が、特許文献2に「辞書生成装置」として記載されている。この特許文献2に開示されたソフトウェアの辞書生成装置では、次のように動作する。
入力部は学習用の文書の入力を受け付ける。次に、単語分割部は、入力した文書中のテキストを単語に分割する。さらに、共起頻度表生成部は、文書中の所定の範囲内に出現する単語の頻度統計を収集する。シソーラス頻度表変換部は、辞書の類義関連性をカスタマイズするためのシソーラス情報を仮想的な頻度表に変換する。頻度表統合部は、上記共起頻度表と仮想頻度表を統合する。関連性学習部は、共起頻度表をもとに単語間の関連性を学習し、共起頻度表を圧縮して概念辞書を作成する。このような構成により、辞書の類義関連性をカスタマイズするためのシソーラス情報を仮想的な頻度表に変換することにより、共起頻度表に存在しない単語の頻度情報を補完し、関連性学習処理を行うことで、元の単語量での共起頻度表では取得できなかった潜在的な関連性を辞書に取り込むことを実現している。
また、同義語抽出システムに関する技術の他の例が、特許文献3に「共起行列生成装置」として記載されている。この特許文献3に開示された共起行列生成装置では、次のように動作する。
第1クラスタリング手段は、第1共起行列を入力とし、第1共起行列の行ベクトルの集合をN´個のクラスタにクラスタリングし、各クラスタに、N´個の成分番号のうちの一つを、クラスタによって成分番号が異なるように付与し、各行ベクトルに対応する単語に、該行ベクトルが属するクラスタの成分番号を対応付ける。第2共起行列生成手段は、形態素解析結果と成分番号付単語集合を入力とし、形態素解析結果中の単語の異なりの集合と、N´個の成分番号との間で、各行が単語に対応し、各列が成分番号に対応しているような第2共起行列を生成し、該テキストの所定の範囲において、任意の単語Aと、該範囲中の単語に対応付けられた成分番号Bとが共起する頻度を、該テキスト中の全ての所定の範囲にわたって加算した値を、該単語Aと該成分番号Bに対応する第2共起行列の要素とする。第3共起行列生成手段は、任意の単語と任意の成分番号に対し、第1共起行列と第2共起行列の対応する要素を、線形結合した値を、対応する要素とする第3共起行列を生成する。このような構成により、概念語間の類似性を考慮した品質の高さを備え、なおかつ、概念語間の識別性も備えた共起行列を生成することができる。また、典型的には単語・成分番号間共起に基づく手法によって生成した単語・成分番号間共起行列を第1共起行列とし、各概念語を共起語とみなして、共起語に対応する共起ベクトルの集合のクラスタリングにより、共起語群をクラスタリングする。これにより、同一カテゴリに属する共起語群は、一つのクラスタを形成する。次に、概念語の集合と、各クラスタに対応付けられた成分番号の集合との間の共起により、第2共起行列を生成する。このように、クラスタに対応付けられた成分番号との共起頻度をとることにより、同一のカテゴリに属する個々の共起語との共起頻度は、対応する成分番号との共起頻度に含まれるため、共起ベクトルが、より適切なものとなる。これにより、意味の近い概念語間の類似性が高まる。
特開2010−152561号公報 特開2005−250762号公報 特開2011−65317号公報
このような技術の第一の課題は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語の抽出に、上記技術による同義語の抽出方法を適用すると、同義語の抽出率が低くなってしまうことである。その理由は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語のある文書の多くは、文章量が限られているため任意の単語に対する共起語として同一の単語が出現する可能性が低く、特許文献1の手法で用いられているような共起語の類似性で単語の類似判定を行うことが難しいためである。
また、上記技術の第二の課題は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語の抽出に、上記技術による同義語の抽出方法を適用すると、その所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語を抽出することができないことである。その理由は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語は、事前にその同義関係を把握することが難しく、特許文献2の手法で用いられているようなカスタマイズされたシソーラスを準備することが困難であるためである。
さらに、先に述べた技術の第三の課題は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語の抽出に、上記技術による同義語の抽出方法を適用すると、その所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語を正確に抽出できないことである。その理由は、目的とする出現頻度の低い単語について引用明細の手法を適用した場合、その単語の成分番号のベクトルは疎なものとなるため、成分番号のベクトルの類似性で行った単語のクラスタリング結果が不正確なものとなり、結果として得られる共起行列も不正確なものとなってしまうためである。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語を抽出する、同義語抽出システム、方法およびプログラムを提供することにある。
本発明に係る同義語抽出システムは、対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書入力部と、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行う単語分析部と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成部と、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースと、基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を概念データベースに問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定部と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定部と、同義語候補を出力する同義語候補出力部と、を備える。
また、本発明の他の形態に係る同義語抽出システムは、対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書入力部と、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースと、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行い、概念データベースに抽出された各単語で一般概念情報の登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語として抽出し、複合語を構成するあらゆる部分文字列について、一般概念情報の登録がある部分文字列を複合語の有意構成語として抽出し、登録が無い部分文字列を不明構成語として抽出し、さらに有意構成語の一般概念情報を取得する単語分析部と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成部と、各単語の単語情報および複合語に基づき、任意の範囲および条件で複合語と共起する単語を複合語共起語として、複合語毎に複合語共起語の種類と共起数をまとめた複合語共起表を作成し、複合共起表と構成語に基づき、上記複合語共起表から同じ構成語を含む部分一致複合語の複合語共起語からなる複合語共起ベクトルを抽出し、構成語別に部分一致複合語共起表を作成し、部分一致複合語共起表の複合語共起ベクトルから得られる共起ベクトル空間における各部分一致複合語間の集約度を構成語支配度として算出する構成語支配度算出部と、複合語毎の各構成語の一般概念情報に基づき複合語が関連する概念をまとめた複合語概念構成表を作成する複合語概念配分推定部と、各構成語支配度で複合語毎の各概念の重み付け係数を算出し、複合語概念構成表の対応する箇所に重み付け係数を登録することで、複合語概念配分表を作成し、重み付けされた複数の概念の合成概念として未知の複合語の概念を推定する複合語概念配分推定部と、基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各複合語共起語の内で複合語になっている共起語について、構成語毎の概念に置き換えることで、合成概念に変換し、基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を概念データベースに問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定部と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定部と、同義語候補を出力する同義語候補出力部と、を備える。
また、本発明に係る要求文書分析方法は、対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書受付工程と、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行う単語情報抽出工程と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成工程と、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースに基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定工程と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定工程と、同義語候補を出力する同義語候補出力工程と、を含む。
また、本発明の他の形態に係る要求文書分析方法は、対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書受付工程と、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行い、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースに抽出された各単語で一般概念情報の登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語として抽出し、複合語を構成するあらゆる部分文字列について、一般概念情報の登録がある部分文字列を複合語の有意構成語として抽出し、登録が無い部分文字列を不明構成語として抽出し、さらに有意構成語の一般概念情報を取得する単語分析工程と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成工程と、各単語の単語情報および複合語に基づき、任意の範囲および条件で複合語と共起する単語を複合語共起語として、複合語毎に複合語共起語の種類と共起数をまとめた複合語共起表を作成し、複合共起表と構成語に基づき、上記複合語共起表から同じ構成語を含む部分一致複合語の複合語共起語からなる複合語共起ベクトルを抽出し、構成語別に部分一致複合語共起表を作成し、部分一致複合語共起表の複合語共起ベクトルから得られる共起ベクトル空間における各部分一致複合語間の集約度を構成語支配度として算出する構成語支配度算出工程と、複合語毎の各構成語の一般概念情報に基づき複合語が関連する概念をまとめた複合語概念構成表を作成し、各構成語支配度で複合語毎の各概念の重み付け係数を算出し、複合語概念構成表の対応する箇所に重み付け係数を登録することで、複合語概念配分表を作成し、重み付けされた複数の概念の合成概念として未知の複合語の概念を推定する複合語概念配分推定工程と、基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各複合語共起語の内で複合語になっている共起語について、構成語毎の概念に置き換えることで、合成概念に変換し、基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を概念データベースに問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定工程と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定部と、同義語候補を出力する同義語候補出力工程と、を含む。
本発明によれば、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語を抽出する、同義語抽出システム、方法およびプログラムを提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システムの構成を示すブロック図である。 図1に示した同義語抽出システムの動作例を示すシーケンス図である。 本発明の第2の実施形態に係る同義語抽出システムの構成を示すブロック図である。 図3に示した同義語抽出システムの動作例を示すシーケンス図である。 本発明の第1の実施例に係る同義語抽出システムの構成を示すブロック図である。 基軸単語共起表SVの一部の例を示す説明図である。 インターネット・サーバZ内に保存されたシソーラスの一般概念情報Cgの分類体系の例を示す説明図である。 大分類の基軸単語概念表SC1の一部の例を示す説明図である。 中分類の基軸単語概念表SC2の一部の例を示す説明図である。 小分類の基軸単語概念表SC3の一部の例を示す説明図である。 本発明の第2の実施例に係る同義語抽出システムの構成を示すブロック図である。 構成語「システム」を含む部分一致複合語共起表VUxの一部の例を示す説明図である。 構成語「変更」を含む部分一致複合語共起表VUxの一部の例を示す説明図である。 複合語「システム変更」に関する複合語概念配分表Teの一部の例を示す説明図である。 複合語を考慮した大分類の基軸単語概念表SC1の一部の例を示す説明図である。 複合語を考慮した中分類の基軸単語概念表SC2の一部の例を示す説明図である。 複合語を考慮した小分類の基軸単語概念表SC3の一部の例を示す説明図である。
[実施形態1]
最初、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100の構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100は、基本的に電子機器内もしくはサーバと電子機器およびこれらを相互に接続するインターネット等の情報通信ネットワークからなるシステム内に、少なくとも、文書入力部10、単語分析部20、基軸単語共起表作成部30、単語概念推定部40、同義語候補推定部50、同義語候補出力部60、概念データベース110と、を含む。
図示の同義語抽出システム100は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語のある文書の同義語抽出システムである。
電子機器で同義語抽出システムを構成する場合、同義語抽出システム100は、プログラム制御により動作するコンピュータで実現可能である。図示はしないが、この種のコンピュータは、周知のように、データを入力する入力装置と、データ処理装置と、データ処理装置での処理結果を出力する出力装置と、種々のデータベースとして働く補助記憶装置とを備えている。そして、データ処理装置は、プログラムを記憶するリードオンリメモリ(ROM)と、データを一時的に記憶するワークエリアとして使用されるランダムアクセスメモリ(RAM)と、ROMに記憶されたプログラムに従って、RAMに記憶されているデータを処理する中央処理装置(CPU)とから構成される。
この場合、データ処理装置が、文書入力部10、単語分析部20、基軸単語共起表作成部30、単語概念推定部40、同義語候補推定部50として働き、補助記憶装置が概念データベース110として動作し、出力装置が同義語候補出力部60として働く。
次に、同義語抽出システム100を構成する各構成要素の動作について説明する。
文書入力部10は、同義語を抽出する対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける。
単語分析部20は、文書もしくは文書群を構成する各文章に形態素解析や構文解析を適用することで、各文章に使用されている全単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行う。ここで、単語は名詞、動詞、形容詞など単独で意味をなす自立語に限定しても良い。上記単語情報には必要に応じて単語間の係り受け関係などを含めても良い。
基軸単語共起表作成部30は、単語分析部20で抽出された各文章に使用されている任意の単語を基軸単語として順次選択し、単語毎の単語情報などを用いて任意の基軸単語共起判定ルールで基軸単語と共起関係とみなされる共起語とその共起数とで表される基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する。ここで、上記基軸単語共起判定ルールとしては1文、1段落内の全文章、目次上の同一項目内での全文章、文書全体、存在する文書名や目次上の項目名など、文書の特徴に合わせて共起語と見なす範囲を設定して良く、1文内での共起する動詞、および目次上の同一項目内の文章内の名詞のように品詞毎に共起とみなす範囲を変えても良い。さらに、単語情報に単語間の係り受け関係が含まれる場合は、係り受け関係のある単語かどうかを上記基軸単語共起判定ルールとして利用しても良い。また、共起数は共起回数でも良いが、共起回数を基軸単語毎の全共起語数で除した頻度などでも良い。また、基軸単語共起語とその共起数について、抽出元とする所定文書について、重要度や確度、文書間の親子関係などに基づく重み付けを行なうようにしても良い。また、基軸単語共起表とは各行が各基軸単語に、各列が各共起語に対応している行列で、基軸単語に対する共起語の共起数が表の各値として登録されたものである。なお、基軸単語は相互的なもので、先に基軸単語として選択された単語であっても、後に他の単語を基軸単語とみなす場合は共起語として扱う。
概念データベース110は、収集された単語の概念分類および一般的な同義語、類義語、用法などの一般概念情報を蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答するデータベースである。概念データベース110は、単語の上位/下位関係、部分/全体関係、同義関係、類義関係などによって単語を分類し、体系づけたシソーラスなどが相当する。なお、概念データベース110として、インターネット上のデータベースを使用することとしてもよい。
単語概念推定部40は、基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各共起語のそれぞれについて、概念データベース110に一般概念情報を問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する。概念への変換で異なる共起語が同じ概念となる場合はそれぞれの共起語を合流し、共起数の和を対応箇所へ登録する。また、概念データベース110として大分類、中分類、小分類のような複数の階層での概念が一般概念情報として登録されたシソーラスを用いる場合、階層毎に概念表を作成し、大分類など広い概念での基軸単語概念表で異なる共起語が同じ概念となる場合は、それぞれの共起語を合流し、共起数の和を対応箇所へ登録する。他に、概念データベース110として同義語を含む類義語群が一般概念情報として登録された類語辞書を用いた場合、共起語を対応する類義語群の各類義語に変換し、各類義語の共起数として対応する共起語の共起数を割り当て、同一の基軸単語の共起語に関して変換された類義語毎の共起数の延べ数を基軸単語概念ベクトルとして算出しても良い。なお、概念データベース110に共起語に対応する概念が無い場合、上記共起語を概念に変換せず、共起語の単語をそのまま概念として扱い残す。
同義語候補推定部50は、各基軸単語に対応する概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語の共起ベクトルの意味的な類似性が高く、同義語の可能性が想定される基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する。ここで、類似性の判定を行う「判定基準」は共起語の意味的な類似性を判断する基準であれば良い。例えば、各基軸単語に対応する概念ベクトル間のコサイン距離やユークリッド距離などを非類似度として、これらの距離が任意の閾値より小さい概念ベクトルを持つ基軸単語の組合せとする方法などで良い。或いは、概念データベース110として複数の階層での概念が一般概念情報として登録されたシソーラスを用いて概念ベクトルを作成した場合、各階層での非類似度を算出し、小分類などより詳細な深い分類での非類似度ほど重視するように重み付けした非類似度指標が任意の閾値より小さい概念ベクトルを持つ基軸単語の組合せとする方法などで良い。
同義語候補出力部60は、同義語候補推定部50で抽出した同義語候補を出力する。ここで、出力形態は、所要の形態で出力すればよく、文書内における同義語候補の組合せを色分けや太字による強調などで明示することで、文書全体を出力する形態などが適当である。他にも、出力形態としては、同義語候補の組合せを抽出した表などの形態であって良い。また、出力形態としては、同義語候補とされた基軸単語を主ノード、その共起語を中間ノード、概念を端ノードとして関係をリンクで結んだグラフを表示し、同義語候補とされた基軸単語を最短で繋ぐリンクを色分けして強調するなどの形態であって良い。また、出力形態としては、同義語候補を抽出する際に用いた非類似度などで同義語間に定量的な同義度を付加し、同義度が任意に設定された閾値より大きい同義語のみに表示を限定しても良い。もしくは、出力形態としては、同義語候補間の同義度によって色分けや太字による強調もしくはグラフの単語の文字の大きさなどに強弱を与えるなどしても良い。また、各出力形態を選択できるようにして、ベースとなる表示形態から必要に応じて表やグラフに移行できるようにしてもよい。また、必要に応じて動詞や名詞などを選択的に出力するようにしてもよい。
次に、図1及び図2のシーケンス図を参照して、本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100の全体の動作について詳細に説明する。なお、図2に示すシーケンス図及び以下の説明は処理例であり、適宜求める処理に応じて処理順等を入れ替えたり処理を戻したり繰り返したりすることを行ってもよい。
文書入力部10は、対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける(図2のステップA1)。
単語分析部20は、文書もしくは文書群を構成する各文章に形態素解析や構文解析を適用することで、各文章に使用されている全単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行う(ステップA2)。
基軸単語共起表作成部30は、単語分析部20で抽出された各文章に使用されている任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、所定の基軸単語共起判定ルールで基軸単語と共起関係とみなされる共起語とその共起数とで表される基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する(ステップA3)。
概念データベース110は、収集蓄積されている単語の概念分類および同義語、類義語、用法などの一般概念情報から、特定の単語に関する問い合わせに対して、適宜、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する(ステップA4)。
単語概念推定部40は、基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各共起語のそれぞれについて、概念データベース110に一般概念情報から概念分類や代表的な同義語や類義語などの概念に相当する情報を問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する(ステップA5)。
同義語候補推定部50は、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高く、同義語の可能性が想定される基軸単語の組合せを同義語候補として順次抽出する(ステップA6)。
同義語候補出力部60は、同義語候補推定部50で抽出できた同義語候補を出力する(ステップA7)。
次に、本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100の効果について説明する。
本第1の実施形態では、文書内もしくは文書群内の基軸単語共起ベクトルを基軸単語概念ベクトルに変換することによって、意味的には類似するが単語としては一致しない共起語も考慮して同義語候補を抽出するように構成しているため、各単語の出現回数が少なく基軸単語共起ベクトルが疎行列で類似の判定が困難な文章量の少ない条件でも類似性の評価が可能になり、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語を精度よく抽出できる。
尚、上記本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100は、同義語抽出方法として実現され得る。また、上記本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100は、同義語抽出プログラムによりコンピュータによって実行させるようにしても良い。
[実施形態2]
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る同義語抽出システム100Aの構成を示すブロック図である。
図3を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る同義語抽出システム100Aは、構成語支配度算出部35と、複合語概念配分推定部36と、を更に含むと共に、後述するように単語分析部と単語概念推定部の動作が相違する点を除いて、図1に示した第1の実施形態に係る同義語抽出システム100と同様の構成を有し、動作をする。したがって、単語分析部に20Aの参照符号を、単語概念推定部に40Aの参照符号を付してある。
図示の同義語抽出システム100Aを上述したコンピュータで実現した場合、データ処理装置が、文書入力部10、単語分析部20A、構成語支配度算出部35、複合語概念配分推定部36、基軸単語共起表作成部30、単語概念推定部40A、同義語候補推定部50として働き、補助記憶装置が概念データベース110として動作し、出力装置が同義語候補出力部60として働く。
単語分析部20Aが単語の中の複合語および複合語の構成語、構成語に対応する概念を取得し、構成語支配度算出部35が、複合語の構成語毎の構成語支配度を算出し、複合語概念配分推定部36が、構成語支配度に基づき複合語の構成語毎の概念に重み付けを行った複合語概念配分表を作成し、単語概念推定部40Aが、基軸単語の共起語を概念に変換する際に、共起語の中の複合語について複合語概念配分表に基づく変換を行う。
次に、同義語抽出システム100Aを構成する各構成要素の動作について説明する。
単語分析部20Aは、図1に示した単語分析部20の動作に加え、抽出された各単語の一般概念情報を概念データベース110に問い合わせ、概念データベース110に登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語として抽出する点で、図1に示した単語分析部20と異なる。さらに単語分析部20Aは、複合語を構成するあらゆる部分文字列について、概念データベース110に一般概念情報を問い合わせ、一般概念情報の登録がある部分文字列を複合語の有意構成語として抽出し、抽出した有意構成語を元の複合語から分離した場合に概念データベース110に一般概念情報の登録が無い部分文字列が残る場合は不明構成語として抽出し、さらに有意構成語の一般概念情報を取得する点で、図1に示した単語分析部20と異なる。なお複合語を構成する部分文字列の内、概念データベース110に一般概念情報の登録がある部分文字列の組合せパターンが複数考えられる場合は、任意の構成語分離ルールに基づいて最適な組合せパターンを判定し、その組合せパターンでの有意構成語、不明構成語を抽出する。ここで、構成語分離ルールとしては、不明構成語の文字数が最も少なくなるパターンを優先するルールや、入力された文書中に単独の単語として出現する頻度が高い有意構成語を優先するルール、一般の文書中に単独の単語として出現する頻度が高い有意構成語を優先するルール、およびこれらを組合せたルールなどが有効である。また、入力された文書中に含まれる他の複合語に共通して使用されている文字列が所定頻度以上に使用されている場合にはその文字列を除いた残りの文字列について、有意構成語として優先するルールを用いてもよい。なお、一般概念情報とはシソ−ラスにおける分類や、単語の意味を直接的に表すキーワード、類語の集合などが考えられる。なお、以下で単に構成語と記載した場合は有意構成語と不明構成語を含む。
構成語支配度算出部35は、単語分析部20Aで抽出された各文章に使用されている単語の単語情報および複合語に基づき、任意の複合語共起判定ルールで複合語と共起関係とみなされる単語を複合語共起語として、複合語毎に複合語共起語とその共起数を抽出し、これらをまとめることで複合語共起表を作成する。ここで、上記複合語共起判定ルールとしては1文、1段落内の全文章、目次上の同一項目内での全文章、文書全体、文章のスタイル、文章群の中での位置付けなど、文書の特徴に合わせて複合語共起語と見なす範囲を設定して良い。例えば、品詞が動詞であれば1文内での共起、名詞であれば目次上の同一項目内での全文章内共起のように品詞毎に文書群の範囲を変えるようにすれば良い。また、共起数は共起回数でも良いが、共起回数を複合語毎の全共起語数で除した頻度などでも良い。さらに、単語情報に単語間の係り受け関係が含まれる場合は、係り受け関係のある単語かどうかを上記範囲および条件として利用しても良い。また、複合語共起表とは各行が各複合語に、各列が各複合語共起語に対応している行列で、複合語に対する複合語共起語の共起数が表の各値として登録されたものである。さらに、構成語支配度算出部35は、複合共起表と単語分析部20Aで抽出された構成語に基づき、上記複合語共起表から同じ構成語を含む部分一致複合語の複合語共起語からなる複合語共起ベクトルを抽出し、構成語別に部分一致複合語共起表を作成する。そして、部分一致複合語共起表の複合語共起ベクトルから得られる共起ベクトル空間における各部分一致複合語間の集約度を構成語支配度として算出する。ここで、共起ベクトル空間は各ベクトルを対等としても良いが、複合語共起語の品詞によって重み付けを行ったベクトル空間に変換しても良い。また、各部分一致複合語間の集約度とは各部分一致複合語に対応するベクトル間の散らばりの小ささを表す指標であればどのような算出方法によっても良い。例えば分散や標準偏差、変動係数などの一般に統計で用いられるばらつきを示す指標と単調減少の関係にある関数であればよく、分散の逆数や変動係数の逆数などが適している。
複合語概念配分推定部36は、複合語毎に単語分析部20Aで概念データベース110から取得した各構成語の一般概念情報に基づき複合語が関連する概念をまとめた複合語概念構成表を作成する。複合語概念構成表とは各行が各複合語に、各列が複合語の各構成語の概念に対応した行列で、複合語と概念との間に構成語を介した関連があるかどうかの有無が登録されたものである。なお、複合語の構成語に不明構成語が含まれる場合、不明構成語自体を概念として新たに列を加える。さらに、複合語概念配分推定部36は、構成語支配度算出部35で算出した各構成語支配度で複合語毎の各概念の重み付け係数を算出し、複合語概念構成表の対応する箇所に重み付け係数を登録することで、複合語概念配分表を作成し、重み付けされた複数の概念の合成概念として未知の複合語の概念を推定する。ここで、上記重み付け係数の算出方法としては、各構成語の構成語支配度を複合語毎の構成語支配度の総和で除すことで正規化した値を指標とする方法などが有効である。
単語概念推定部40Aは、上記説明した単語概念推定部40の動作に加え、基軸単語共起表作成部30で作成された基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各共起語の内で複合語になっている共起語について、複合語概念配分推定部36で作成した複合語概念配分表に基づき、構成語別の概念の共起数に重み付けした合成概念へ変換した結果を、基軸単語概念ベクトルに反映し基軸単語概念表を作成する点で、図1に示した単語概念推定部40と異なる。
それ以外の文書入力部10、基軸単語共起表作成部30、同義語候補推定部50、同義語候補出力部60、概念データベース110の構成と機能は、図1に示した第1の実施形態のそれらとそれぞれ同じであるので、説明を省略する。
次に、図3及び図4のシーケンス図を参照して、本発明の第2の実施形態に係る同義語抽出システム100Aの全体の動作について詳細に説明する。なお、図4に示すシーケンス図および以下の説明は処理例であり、第1の実施形態と同様に処理順等を入れ替えたり処理を戻したりすることを行ってもよい。
上述した第1の実施形態の動作と比較すると、以下に説明する本第2の実施形態の動作は、次の動作が加わっている点で異なる。
すなわち、単語分析部20Aは、図1に示した単語分析部20の動作(ステップA2)に加え、抽出された各単語の一般概念情報を概念データベース110に問い合わせ、概念データベース110に登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語として抽出する(ステップB1)。
さらに単語分析部20Aは、複合語を構成するあらゆる部分文字列について、概念データベース110に一般概念情報を問い合わせ、一般概念情報の登録がある部分文字列を複合語の有意構成語として抽出し、抽出した有意構成語を元の複合語から分離した場合に概念データベース110に一般概念情報の登録が無い部分文字列が残る場合は不明構成語として抽出し、さらに有意構成語の一般概念情報を取得する(ステップB2)。
次に構成語支配度算出部35は、単語分析部20Aで抽出された各文章に使用されている単語の単語情報、および複合語に基づき、任意の複合語共起判定ルールで複合語と共起関係とみなされる単語を複合語共起語として、複合語毎に複合語共起語とその共起数を抽出し、これらをまとめることで複合語共起表を作成する(ステップB3)。
さらに構成語支配度算出部35は、複合共起表と単語分析部20Aで抽出された構成語に基づき、上記複合語共起表から同じ構成語を含む部分一致複合語の複合語共起語からなる複合語共起ベクトルを抽出し、構成語別に部分一致複合語共起表を作成し、部分一致複合語共起表の複合語共起ベクトルから得られる共起ベクトル空間における各部分一致複合語間の集約度を構成語支配度として算出する(ステップB4)。
次に複合語概念配分推定部36は、複合語毎に単語分析部20Aで概念データベース110から取得した各構成語の一般概念情報に基づき複合語が関連する概念をまとめた複合語概念構成表を作成する(ステップB5)。
さらに複合語概念配分推定部36は、構成語支配度算出部35で算出した各構成語支配度で複合語毎の各概念の重み付け係数を算出し、複合語概念構成表の対応する箇所に重み付け係数を登録することで、複合語概念配分表を作成し、重み付けされた複数の概念の合成概念として未知の複合語の概念を推定する(ステップB6)。
単語概念推定部40Aは、図1に示した単語概念推定部40の動作(ステップA5)に加え、基軸単語共起表作成部30で作成された基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各複合語共起語の内で複合語になっている共起語について、複合語概念配分推定部36で作成した複合語概念配分表に基づき、構成語別の概念の共起数に重み付けした合成概念へ変換した結果を、基軸単語概念ベクトルに反映し基軸単語概念表を作成する(ステップA5‘)。
他のステップの動作は、上述した第1の実施形態における動作と同一であるので、それらの説明については省略する。
次に、本発明の第2の実施形態の効果について説明する。
第2の実施形態では、第1の実施の形態の効果に加え、共起語の中の複合語について構成語毎の構成語支配度を算出し、構成語支配度に基づき重み付けを行った概念に変換する。これによって、シソーラスなどに一般概念情報の登録が無い複合語なども考慮して同義語候補を抽出するように構成できるため、基軸単語共起ベクトルから基軸単語概念ベクトルへの変換の障害となる、独自の複合語の多い文章群でも類似性の評価が可能になり、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語をより精度よく抽出できる。
尚、上記本発明の第2の実施形態に係る同義語抽出システム100Aは、同義語抽出方法として実現され得る。また、上記本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100Aは、同義語抽出プログラムによりコンピュータによって実行させるようにしても良い。
次に、図5を参照して、具体的な第1の実施例を用いて、本発明の第1の実施形態に係る同義語抽出システム100の動作について説明する。
本第1の実施例では、次のことを目的としている。
先ず、同義語抽出システム100は、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった一般的な意味と異なった概念を示す意味としても使用される同義語を含む文書D内に含まれる所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語候補Aを推定する。そして、同義語抽出システム100は、推定結果を出力することで、未登録の用語に関する用語集の作成や語の統一を支援する。また、本第1の実施例では、同義語抽出システム100は、図5に示されるように、文書解析システムYと、インターネット・サーバZとで構成されるものとする。
文書解析システムYは、分析実施者Bの持つPC端末上で動作し、入力部及び出力部を介して、分析実施者Bが同義語を抽出したい文書群を構成する文章の入力と、同義語候補Aの提示を実現する。
インターネット・サーバZは、通信ネットワークを介して文書解析システムYを実装した分析実施者Bの持つPC端末と接続されている。インターネット・サーバZは、文書解析システムYからの単語の意味などの概念情報の問い合わせに対し、単語の概念分類や一般的な同義語や類義語、用法に関連する一般概念情報Cgの検索を可能にする装置である。
図5と図1との対応関係について説明する。
文書入力部10と、単語分析部20と、基軸単語共起表作成部30と、単語概念推定部40と、同義語候補推定部50とは、文書解析システムY内に含まれている。同義語候補出力部60は、PC端末の出力部として動作する。概念データベース110はインターネット・サーバZ内に含まれている。
この様な手段を備えた文書解析システムY、インターネット・サーバZは以下のような動作をする。
文書解析システムYは、入力部から、分析実施者Bが特定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語候補Aを推定したい文書群を構成する文書Dの入力を受け付ける。そして、文書解析システムYは、文書Dを構成する文章毎に形態素解析および構文解析を適用し、文書を構成する単語に分解し、各単語の品詞とその係り受け関係を解析することで、名詞および、動詞、形容詞、形容動詞を単語Wとして抽出する。なお、動詞の内でサ行変格活用に属する動詞は活用部分を除去しいわゆるサ変名詞化したものを動詞として抽出する。
さらに文書解析システムYは、文書Dに含まれる単語Wの内で名詞を基軸単語Sとし、各基軸単語Si(i=1、2、・・・、n)について、特定の基軸単語Siと係り受け関係にある動詞と形容詞と形容動詞、および目次上の同一項目内の文章内で共起する名詞を、共起語Vj(j=1、2、・・・、m)として抽出し、基軸単語Siに対する各共起語Vijの共起回数を共起数Nijとして集計し、全ての基軸単語Sに対する各共起語Vについて表形式にまとめた基軸単語共起表SVを作成する。なお、基軸単語共起表SVの基軸単語Siに対する各共起語Vjの共起数Nijをまとめたデータセットを基軸単語共起ベクトルNiと呼ぶ。例えば、文書Dから、基軸単語Sとして「演算システム」、「分析機能」、・・・などの単語が、共起語Vとして「利用」、「操作」、「構築」、「改善」、「システム変更」、「メカニズム」、「瞬時」、「短期」、「稼働」、「高速処理」、・・・などの単語が抽出された場合、基軸単語共起表SVは図6のような、各行に基軸単語Sを各列に共起語Vを配置し、その共起数Nijを記載した表になる。また、図6の基軸単語Siの行のデータセットが基軸単語共起ベクトルNiに相当し、「演算システム」の基軸単語共起ベクトルNiは{0、3、2、0、4、0、1、0、3、0、・・・}のように表される。なお、基軸単語Sと共起語Vはいずれも名詞を含むため、先に基軸単語として選択された単語も、他の単語が基軸単語の場合は共起語として扱い、相互で重複して登録する。
インターネット・サーバZは、単語の一般的な上位/下位関係、部分/全体関係、同義関係、類義関係などによって単語を分類し、体系づけたシソーラスの一般概念情報Cgを蓄積する。また、インターネット・サーバZは、任意の単語の情報を抽出する検索エンジンなどの機能も提供することで、文書解析システムYからの問い合わせに応じて、問い合わせ対象の単語の一般的な概念分類として大分類、中分類、小分類を一般概念情報Cgとして抽出し、提示する。
文書解析システムYは、基軸単語共起表SVの各共起語Vjのそれぞれの一般概念情報Cgについてインターネット・サーバZに問い合わせを行うことで、インターネット・サーバZ内に保存されたシソーラスの一般概念情報Cgの分類体系から、各共起語Vjが属する大分類の共起語概念C1vjと、中分類の共起語概念C2vjと、小分類の共起語概念C3vjとを抽出し、基軸単語共起表SVにおける共起語Vjを共起語概念C1vjに変換し、同じ概念となる共起語Viをまとめ、共起数Nijの和を対応箇所へ登録した、大分類の基軸単語概念表SC1、基軸単語共起表SVにおける共起語Vjを共起語概念C2vjに変換し、同じ概念となる共起語Viをまとめ、共起数Nijの和を対応箇所へ登録した、中分類の基軸単語概念表SC2、基軸単語共起表SVにおける共起語Vjを共起語概念C3vjに変換し、同じ概念となる共起語Viをまとめ、共起数Nijの和を対応箇所へ登録した、小分類の基軸単語概念表SC3を作成する。なお、大分類の基軸単語概念表SC1の基軸単語Siに対する各共起語概念C1vjの共起数Nc1ijをまとめたデータセットを大分類基軸単語概念ベクトルNc1iと呼び、中分類の基軸単語概念表SC2の基軸単語Siに対する各共起語概念C2vjの共起数Nc2ijをまとめたデータセットを中分類基軸単語概念ベクトルNc2iと呼び、小分類の基軸単語概念表SC3の基軸単語Siに対する各共起語概念C3vjの共起数Nc3ijをまとめたデータセットを小分類基軸単語概念ベクトルNc3iと呼ぶ。例えば、図6の基軸単語共起表SVにおける各共起語Vjについて、図7のような共起語概念C1vj、共起語概念C2vj、共起語概念C3vjが抽出された場合、大分類の基軸単語概念表SC1は図8、中分類の基軸単語概念表SC2は図9、小分類の基軸単語概念表SC3は図10のような各行に基軸単語Sを各列に共起語概念C1vjを配置した表となる。基軸単語概念表SC1、SC2、SC3の各共起数は大分類の基軸単語概念表SC1を例とすると、共起語Vの内で「利用」、「操作」、「構築」、「改善」、「稼働」の共起語概念C1vjは「人間活動」で共通のため、これらの共起語における共起数を同一の基軸単語「演算システム」に関して足し合わせた「8」がNc1ijとなる。同様に共起語Vの内で「メカニズム」、「瞬時」、「短期」の共起語概念C1vjは「抽象」で共通のため、これらの共起語における共起数を基軸単語「演算システム」に関して足し合わせた「1」がNc1ijとなる。なお、インターネット・サーバZに一般概念情報Cgの登録が無い「システム変更」、「高速処理」などの複合語は、共起語の単語をそのまま仮の概念として残す。図8より、基軸単語「演算システム」の大分類基軸単語概念ベクトルNc1iは{8、4、1、0、・・・}のように表される。
次に文書解析システムYは、基軸単語Spに対応する大分類基軸単語概念ベクトルNc1pと基軸単語Sqに対応する大分類基軸単語概念ベクトルNc1qの間のコサイン距離dc1pqと、中分類基軸単語概念ベクトルNc2pとNc2qの間のコサイン距離dc2pqと、小分類基軸単語概念ベクトルNc3pとNc3qの間のコサイン距離dc3pqとを算出し、以下の(1)式によりそれぞれの分類重み付け係数β1、β2、β3(β1<β2<β3)を掛けた和を基軸単語間距離dpqとして算出し、基軸単語間距離dpqが任意の判定閾値Tより小さい基軸単語Spと基軸単語Sqの組合せを、基軸単語の共起ベクトルの意味的な類似性が高く、同義語の可能性が想定される基軸単語の組合せである同義語候補Aとして抽出する。この処理を全ての基軸単語Siの組合せについて行う。
dpq=β1×dc1pq+β2×dc2pq+β3×dc3pq・・・(1)式
例えば、図8〜10の例では基軸単語「演算システム」と「分析機能」のコサイン距離は、dc1pq=0.26、dc2pq=0.57、dc3pq=0.68となり、分類重み付け係数をβ1=0.009、β2=0.09、β3=0.9、判定閾値T=0.7とすると、基軸単語間距離dpq=0.67で判定閾値Tより小さくなるので、「演算システム」と「分析機能」はこの文章内では同義語である可能性があると判定される。また、基軸単語間距離dpq=0.67は、図6に基づく基軸単語共起ベクトルNi間の距離0.87よりも小さく、概念情報に変換して意味を考慮することで「演算システム」と「分析機能」との同義性が分かりやすくなることが分かる。
さらに文書解析システムYは、同義語候補Aa{Sp、Sq}について、要求文書Dで該当する同義語候補Aa{Sp、Sq}を色分けもしくは太字による強調などの加工を行い、加工後の要求文書Dを、出力部から出力する。
次に、図9を参照して、具体的な第2の実施例を用いて、本発明の第2の実施形態に係る同義語抽出システム100Aの動作を説明する。
本第2の実施例では、同義語抽出システム100Aは、図11に示されるように、インターネット・サーバZ’を利用するものとする。
文書解析システムYaは、分析実施者Bの持つPC端末上で動作し、入力部及び出力部を介して、分析実施者Bが同義語を抽出したい文書群を構成する文章の入力と、同義語候補Aの提示を実現する。
インターネット・サーバZ’は、既存のシソーラスを提供するサーバであり、通信ネットワークを介して文書解析システムYaを実装した分析実施者Bの持つPC端末と接続されている。インターネット・サーバZ’は、文書解析システムYaからの単語の意味情報の問い合わせに対し、単語の概念分類や一般的な同義語や類義語、用法に関連する一般概念情報Cgの検索を可能にする装置である。
本第2の実施例では、第1の実施例の動作に加え、文書解析システムYaが構成語支配度算出部35と、複合語概念配分推定部36と、を更に含む。
すなわち、図11と図3との対応関係は次のように成る。
文書入力部10と、単語分析部20Aと、構成語支配度算出部35と、複合語概念配分推定部36と、基軸単語共起表作成部30と、単語概念推定部40Aと、同義語候補推定部50とは、文書解析システムYa内に含まれている。同義語候補出力部60は、PC端末の出力部として動作する。概念データベース110はインターネット・サーバZ’内に含まれている。
この様な構成を含めた文書解析システムYaは、上述した第1の実施例に対して、以下のような動作を加える。
文書解析システムYaは、各共起語Vjのそれぞれの一般概念情報Cgをインターネット・サーバZ’に問い合わせることで、インターネット・サーバZ’内に保存されたシソーラスに、各共起語Vjの一般概念情報Cgが登録されているかどうかを検索し、シソーラスに一般概念情報Cgの登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語Vme(e=1、2、・・・、h)として抽出する。例えば「高速処理」という単語がシソーラスに登録されていない場合は、2文字以上であるため複合語として抽出する。
さらに文書解析システムYaは、複合語Vme毎に複合語Vmeの文字列をあらゆるパターンで分離し、分離した全ての部分文字列について、インターネット・サーバZ’内に保存されたシソーラスに一般概念情報Cgが登録されているかどうかを検索する。そして、一般概念情報の登録がない部分文字列の文字数が最も少なくなるパターンでの、部分文字列を複合語Vmeの構成語Pek(k=1、2、・・・、l)として処理し、構成語Pekの内、一般概念情報Cgの登録が有る部分文字列は有意構成語Paek、登録が無い部分文字列は不明構成語Pbekとして、それぞれ複合語毎に抽出する。先の「高速処理」という複合語の例では、{「高」、「速処理」}、{「高速」、「処理」}、{「高速処」、「理」}が分離可能な文字列として想定され、「速処理」と「高速処」がシソーラスに登録されていない場合は、「高」、「高速」、「処理」、「理」が有意構成語Paekの候補、「速処理」、「高速処」が不明構成語Pbekの候補となるが、一般概念情報Cgの登録がない部分文字列の文字数が最も少ない{「高速」、「処理」}の組合せが複合語「高速処理」の有意構成語として選択される。さらに文書解析システムYaは、インターネット・サーバZ’内に保存されたシソーラスに一般概念情報Cgから、有意構成語Paekが属する大分類の構成語概念Ca1ekと、中分類の構成語概念Ca2ekと、小分類の構成語概念Ca3ekとを取得する。
文書解析システムYaは、「構築する情報システムの機能」など文書Dで一定の範囲の内容に言及している文章群として分析者Bが指定した段落の文章内で複合語Vmeと共起する名詞、および複合語Vmeに係る動詞と形容詞、形容動詞をs個の複合語共起語Umer(r=1、2、・・・、s)として、複合語Vme毎に複合語共起語Umerと、共起と見なした範囲内での共起回数Merを抽出し、各行を各複合語Vmeに、各列を各複合語共起語Umerに対応させ、複合語Vmeに対する複合語共起語Umerの共起回数Merを各値として登録した疎行列からなる複合語共起表VUmを作成する。さらに、文書解析システムYaは、上記複合語共起表VUmの各構成語Pek別に、同じ構成語Px(x=1、2、・・・、t)を含むt個の複合語Vmxの行成分(Mx1,Mx2,Mx3,・,・,・,Mxs)を抽出し、各行成分を各複合語Vmxに、各列を各複合語共起語Umxrに対応させ、複合語Vmxに対する複合語共起語Umxrの共起回数Mxrを各値として登録した疎行列からなる部分一致複合語共起表VUxを作成する。例えば「システム」という構成語を含む部分一致複合語共起表としては図12、「変更」という構成語を含む部分一致複合語共起表としては図13のような表が作成される。さらに、文書解析システムYaは、以下の数1のように、部分一致複合語共起表VUxの複合語共起語Umxr毎のデータ列(M1r,M2r,M3r,・,・,・,Mtr)で分散σxrを算出し、全複合語共起語Umxrの分散σxrの平均値の平方根の逆数を構成語Pxの構成語支配度Gxとして算出する。
Figure 0005754019
なお、複合語Vmeの構成語に不明構成語Pbekが有る場合は、不明構成語Pbekの文字列を新概念Cbekとする。
文書解析システムYaは、複合語Vme毎の各構成語Pekに対応する各構成語支配度Gxekの値を構成語支配度Gxekの総和で除すことで正規化した概念重み付け係数αekを算出する。さらに文書解析システムYaは、複合語Vme毎に大分類の構成語概念Ca1ekと、中分類の構成語概念Ca2ekと、小分類の構成語概念Ca3ekおよび新概念Cbekに基づき、複合語概念配分表Teを作成する。複合語概念配分表Teは、複合語Vme毎に作られ、各構成語Pekに対応する、大分類の構成語概念Ca1ekと中分類の構成語概念Ca2ekと小分類の構成語概念Ca3ekと新概念Cbek、および概念重み付け係数αekを登録した表である。例えば、複合語「システム変更」に関して、構成語「システム」の構成語支配度Gxが1.47でシソーラスでの概念が「装置」、構成語「変更」の構成語支配度Gxが2.21でシソーラスでの概念が「修正」であった場合、複合語概念配分表Teは図14のようになる。図14は、複合語「システム変更」の概念を構成語「変更」と構成語「システム」の合成概念Ceとして理解する場合、構成語「変更」の方が構成語「システム」よりも重要であることを示している。
文書解析システムYaは、複合語Vmeが共起語Vjの一つであるという観点から、基軸単語Siと共起した複合語Vmieを構成語Piekに分解し、それぞれの構成語Piekに対応する大分類の構成語概念Ca1ekを大分類の共起語概念C1veに、中分類の構成語概念Ca2ekを中分類の共起語概念C2veに、小分類の構成語概念Ca3ekと新概念Cbekとを小分類の共起語概念C3veに合流させる。さらに複合語概念配分表Teに基づき複合語Vmieの共起数Nieに各構成語Piekに対応する概念重み付け係数αekを掛けた、重み付け共起数Niekを算出し、大分類の基軸単語概念表SC1、中分類の基軸単語概念表SC2、小分類の基軸単語概念表SC3を作成する。例えば、図6の各共起語Viについて、図7のような共起語概念C1vj、共起語概念C2vj、共起語概念C3vjが抽出された場合、複合語である「システム変更」と「高速処理」が「システム」と「変更」、および「高速」と「処理」という構成語に分離され、概念重み付け係数が図14から「システム=0.4」、「変更=0.6」で、同様に「高速=0.3」と「処理=0.7」だった場合、重み付け共起数Niekは「システム:1.6=4×0.4」、「変更:2.4=4×0.6」、「高速:1.2=4×0.3」、「処理:2.8=4×0.7」となり、「高速」の概念分類が「大分類:抽象」、「中分類:速度」、「小分類:速さ」で、「処理」の概念分類が「大分類:人間活動」、「中分類:動き」、「小分類:動作」であれば、大分類の基軸単語概念表SC1は図15、中分類の基軸単語概念表SC2は図16、小分類の基軸単語概念表SC3は図17のような表となる。図15〜17の例では基軸単語「演算システム」と「分析機能」のコサイン距離は、dc1pq=0.03、dc2pq=0.03、dc3pq=0.15となり、分類重み付け係数をβ1=0.009、β2=0.09、β3=0.9、判定閾値T=0.7とすると、基軸単語間距離dpq=0.14で判定閾値Tより小さくなるので、「演算システム」と「分析機能」はこの文章内では同義語である可能性があると判定される。また、基軸単語間距離dpq=0.14は、図6に基づく基軸単語共起ベクトルNi間の距離0.87だけでなく、図8〜10に基づく基軸単語間距離dpq=0.67に比べても小さく、複合語を考慮し、概念情報に変換して意味を考慮することで「演算システム」と「分析機能」との同義性がより分かりやすくなることが分かる。
他の動作は第一の実施例と同様である。
以上説明したように、本発明の同義語抽出システムによれば、情報システム構築に関する提案書や仕様書等といった、所定の案件に関する文書から意義は同じで語形が異なっている同義語のある文書について、その文書群で意義は同じで語形が異なる同義語を把握することが可能となり、誤解に基づく混乱や失敗などの削減につながる。その理由は、単語の類似性を共起語などの概念レベルでの一致具合で算出することで、特定の案件に関する文書群という限られた文書量の情報で、同一の共起語の使用が無くても、単語間の類似性を算出可能にしているためである。
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
本発明によれば、ソフトウェアやシステムの開発における要件定義などの作業においてやり取りされる各種文書に関して、文書の曖昧さを除外することで文書の理解・作成・修正を支援することが可能になり、手戻りの減少や顧客満足の向上などシステム開発の効率化に関する用途に適用できる。また、同義語を精度よく抽出できるので、翻訳システムに用いて訳し分けに利用できる。
10 文書入力部
20、20A 単語分析部
30 基軸単語共起表作成部
35 構成語支配度算出部
36 複合語概念配分推定部
40、40A 単語概念推定部
50 同義語候補推定部
60 同義語候補出力部
100、100A 同義語抽出システム
110 概念データベース
D 文書
Y、Ya 文書解析システム
Z、Z’ インターネット・サーバ

Claims (20)

  1. 対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書入力部と、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行う単語分析部と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成部と、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースと、基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を概念データベースに問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定部と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定部と、同義語候補を出力する同義語候補出力部と、を備えたことを特徴とする同義語抽出システム。
  2. 対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書入力部と、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースと、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行い、概念データベースに抽出された各単語で一般概念情報の登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語として抽出し、複合語を構成するあらゆる部分文字列について、一般概念情報の登録がある部分文字列を複合語の有意構成語として抽出し、登録が無い部分文字列を不明構成語として抽出し、さらに有意構成語の一般概念情報を取得する単語分析部と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成部と、各単語の単語情報および複合語に基づき、任意の範囲および条件で複合語と共起する単語を複合語共起語として、複合語毎に複合語共起語の種類と共起数をまとめた複合語共起表を作成し、前記複合共起表と構成語に基づき、前記複合語共起表から同じ構成語を含む部分一致複合語の複合語共起語からなる複合語共起ベクトルを抽出し、構成語別に部分一致複合語共起表を作成し、部分一致複合語共起表の複合語共起ベクトルから得られる共起ベクトル空間における各部分一致複合語間の集約度を構成語支配度として算出する構成語支配度算出部と、複合語毎の各構成語の一般概念情報に基づき複合語が関連する概念をまとめた複合語概念構成表を作成し、各構成語支配度で複合語毎の各概念の重み付け係数を算出し、複合語概念構成表の対応する箇所に重み付け係数を登録することで、複合語概念配分表を作成し、重み付けされた複数の概念の合成概念として未知の複合語の概念を推定する複合語概念配分推定部と、基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各複合語共起語の内で複合語になっている共起語について、構成語毎の概念に置き換えることで、合成概念に変換し、基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を概念データベースに問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定部と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定部と、同義語候補を出力する同義語候補出力部と、を備えたことを特徴とする同義語抽出システム。
  3. 前記概念データベースは、単語を分類体系付けて記憶しており、単語間の同義関係、類義関係、上位/下位関係、部分/全体関係について、一般概念情報として取得できるシソーラスであり、前記同義語候補推定部の前記判定基準が、シソーラスに基づく各階層での各基軸単語間の非類似度を算出し、より詳細な分類での非類似度ほど重視するように重み付けした非類似度指標が任意の閾値より小さい概念ベクトルを持つ基軸単語の組合せとする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の同義語抽出システム。
  4. 前記基軸単語共起表作成部が、品詞が動詞であれば係り受け関係が有る単語、名詞であれば同一段落内の単語のように品詞毎に共起と見なす範囲をおよび条件を変えて共起語の抽出および共起数の算出を行う、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の同義語抽出システム。
  5. 前記単語分析部が、複合語を構成する部分文字列の内、概念データベースに概念情報の登録がある部分文字列の組合せパターンが複数考えられる場合は、不明構成語の文字数が最も少なくなる組合せパターンを判定し、その組合せパターンでの有意構成語、不明構成語を抽出することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の同義語抽出システム。
  6. 構成語支配度算出部が、品詞が動詞であれば係り受け関係が有る単語、名詞であれば同一段落内の単語のように品詞毎に共起と見なす範囲をおよび条件を変えて複合語共起語の抽出および複合語共起数の算出を行う、ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の同義語抽出システム。
  7. 前記構成語支配度算出部における部分一致複合語間の集約度が、各部分一致複合語に対応するベクトル間の散らばりの小ささを表す指標として、ばらつきを示す指標と単調減少の関係にある関数で算出される、ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の同義語抽出システム。
  8. 前記構成語支配度算出部における部分一致複合語間の集約度が、共起語の品詞によって重み付けを行ったベクトル空間に基づいて算出される、ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の同義語抽出システム。
  9. 前記複合語概念配分推定部が、複合語の各構成語の構成語支配度を複合語毎の構成語支配度の総和で除すことで、正規化した重み付け係数を算出する、ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の同義語抽出システム。
  10. 対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書受付工程と、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行う単語情報抽出工程と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成工程と、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースに基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定工程と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定工程と、同義語候補を出力する同義語候補出力工程と、を含むことを特徴とする情報処理システムによる要求文書分析方法。
  11. 対象とする文書もしくは文書群の入力を受け付ける文書受付工程と、文書もしくは文書群を構成する文章に使用されている各単語の抽出および単語毎の品詞や格、組み合される助詞、単語間の係り受け関係に関する単語情報の抽出を行い、単語の概念分類、同義語、類義語、用法といった単語の一般概念を体系付けた一般概念情報を収集して蓄積し、特定の単語に関する問い合わせに対し、単語の意味や用法に関連する一般概念情報を検索し応答する概念データベースに抽出された各単語で一般概念情報の登録が無く、かつ文字数が2文字以上の単語を複合語として抽出し、複合語を構成するあらゆる部分文字列について、一般概念情報の登録がある部分文字列を複合語の有意構成語として抽出し、登録が無い部分文字列を不明構成語として抽出し、さらに有意構成語の一般概念情報を取得する単語分析工程と、任意の単語を基軸単語として選択し、単語毎の単語情報に基づき、任意の範囲および条件で基軸単語と共起関係にある共起語とその共起数に基づく基軸単語共起ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語共起表を作成する基軸単語共起表作成工程と、各単語の単語情報および複合語に基づき、任意の範囲および条件で複合語と共起する単語を複合語共起語として、複合語毎に複合語共起語の種類と共起数をまとめた複合語共起表を作成し、前記複合共起表と構成語に基づき、前記複合語共起表から同じ構成語を含む部分一致複合語の複合語共起語からなる複合語共起ベクトルを抽出し、構成語別に部分一致複合語共起表を作成し、部分一致複合語共起表の複合語共起ベクトルから得られる共起ベクトル空間における各部分一致複合語間の集約度を構成語支配度として算出する構成語支配度算出工程と、複合語毎の各構成語の一般概念情報に基づき複合語が関連する概念をまとめた複合語概念構成表を作成し、各構成語支配度で複合語毎の各概念の重み付け係数を算出し、複合語概念構成表の対応する箇所に重み付け係数を登録することで、複合語概念配分表を作成し、重み付けされた複数の概念の合成概念として未知の複合語の概念を推定する複合語概念配分推定工程と、基軸単語共起表の基軸単語共起ベクトルの各複合語共起語の内で複合語になっている共起語について、構成語毎の概念に置き換えることで、合成概念に変換し、基軸単語共起表の各共起語の一般概念情報を概念データベースに問い合わせ、任意の範囲内で基軸単語共起表における各基軸単語共起ベクトルの各共起語を概念に変換した基軸単語概念ベクトルを全基軸単語についてまとめた基軸単語概念表を作成する単語概念推定工程と、各基軸単語に対応する基軸単語概念ベクトル間の類似性を所定の判定基準によって判定し、基軸単語共起ベクトルの意味的な類似性が高い基軸単語の組合せを同義語候補として抽出する同義語候補推定部と、同義語候補を出力する同義語候補出力工程と、を含むことを特徴とする情報処理システムによる要求文書分析方法。
  12. 前記概念データベースは、単語を分類体系付けて記憶しており、単語間の同義関係、類義関係、上位/下位関係、部分/全体関係について、一般概念情報として取得できるシソーラスであり、前記同義語候補推定部の前記判定基準が、シソーラスに基づく各階層での各基軸単語間の非類似度を算出し、より詳細な分類での非類似度ほど重視するように重み付けした非類似度指標が任意の閾値より小さい概念ベクトルを持つ基軸単語の組合せとする、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の要求文書分析方法。
  13. 前記基軸単語共起表作成工程が、品詞が動詞であれば係り受け関係が有る単語、名詞であれば同一段落内の単語のように品詞毎に共起と見なす範囲をおよび条件を変えて共起語の抽出および共起数の算出を行う、ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の要求文書分析方法。
  14. 前記単語分析工程が、複合語を構成する部分文字列の内、概念データベースに概念情報の登録がある部分文字列の組合せパターンが複数考えられる場合は、不明構成語の文字数が最も少なくなる組合せパターンを判定し、その組合せパターンでの有意構成語、不明構成語を抽出することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の要求文書分析方法。
  15. 構成語支配度算出工程が、品詞が動詞であれば係り受け関係が有る単語、名詞であれば同一段落内の単語のように品詞毎に共起と見なす範囲をおよび条件を変えて複合語共起語の抽出および複合語共起数の算出を行う、ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の要求文書分析方法。
  16. 前記構成語支配度算出工程における部分一致複合語間の集約度が、各部分一致複合語に対応するベクトル間の散らばりの小ささを表す指標として、ばらつきを示す指標と単調減少の関係にある関数で算出される、ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の要求文書分析方法。
  17. 前記構成語支配度算出工程における部分一致複合語間の集約度が、共起語の品詞によって重み付けを行ったベクトル空間に基づいて算出される、ことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の要求文書分析方法。
  18. 前記複合語概念推定工程が、複合語の各構成語の構成語支配度を複合語毎の構成語支配度の総和で除すことで、正規化した重み付け係数を算出する、ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載の要求文書分析方法。
  19. 請求項10乃至18のいずれか一項に記載の要求文書分析方法をコンピュータによって実現するためのプログラム。
  20. 請求項19に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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