以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態に係る高速充電システム100の概略構成を示すブロック図を、図1に示す。
図1に示すように、高速充電システム100は、電力発電部1と充電制御部2と充電池部3とを備えている。
図1に示すように、電力発電部1は、電力配線5を介して充電池部3に接続されている。ここで、当該電力配線5には、遮断器4が配設されている。また、電力発電部1は、配線6を介して充電制御部2に接続されている。また、充電制御部2は、配線7を介して、遮断器4と充電池部3との間の電力配線5に接続されている。また、充電制御部2は、配線8を介して、電力発電部1と遮断器4との間の電力配線5に接続されている。さらに、充電制御部2は、配線9を介して遮断器4に接続されている。
電力発電部1は、電力の発電を行い、当該発電した電力を外部へと出力する。当該電力発電部1は、図1に示すように、発電機11、励磁機12および整流器13が配設されている。
発電機11は、機械エネルギーから電気エネルギーへの変換を利用して、交流電力の発電を行う。ここで、当該発電機11の発電電圧は、励磁機12における励磁電流を調整することにより、変化する。
励磁機12は、配線6に接続されており、当該配線6を介して充電制御部2から励磁電流を調整・出力され、結果として、発電機11からの出力電圧が制御される。
整流器13は、発電機11から出力される交流電力を直流電力に変換する。当該整流器13は、電力配線5を介して充電池部3に接続されている。したがって、整流器13は、変換後の直流電力を、充電電流として、充電池部3に対して出力する。
本発明に係る電力発電部1は、連続定格範囲内での使用と、連続定格を超える範囲での短期間使用とを実施する。より具体的には、本発明に係る電力発電部1は、通常充電モードでは、連続定格の範囲内での運転を行い、高速充電モードでは、連続定格を超える範囲(たとえば、連続定格を超え、短時間定格の範囲内)での運転を行う。
ここで、電力発電部1を連続的に使用し続けることを前提とした定格が、連続定格である。これに対して、電力発電部1を短時間(たとえば、30分や1時間)だけ使用することを前提とした定格が、短時間定格である。
連続定格の範囲内で電力発電部1を使用した場合には、本規格で定める温度以下で当該電力発電部1を異常なく長時間に渡り使用し続けることができる。一方、短時間定格の範囲内で電力発電部1を使用した場合には、指定された短時間なら異常なく、本規格で定める温度を超えない過負荷状態での当該電力発電部1の使用が可能となる。ここで、連続定格を超える電力発電部1の運転を、過負荷状態での運転であると把握できる。
図2は、電力発電部1の性能つまり、電力発電部1における連続定格および短時間定格を説明するための図である。
図2における、電圧V1以下電圧V2以上の範囲において、充電池部3が使用される。したがって、当該充電池部3に対して、発電・出力電圧が電圧V1以下電圧V2以上の範囲において、電力発電部1が使用される。
図2における実線が、連続定格特性を示しており、当該実線より左側の範囲以内おいて、電力発電部1を異常なく長時間連続的使用することができる。また、図2における一点鎖線が、短時間定格特性を示しており、前記実線から当該一点鎖線までの範囲おいて、電力発電部1を指定された短時間だけ異常なく使用することができる。
図2に示すように、連続定格特性を示す実線は、電圧と電流との積が一定の電力W1となるように変化する。また、短時間定格特性を示す一点鎖線は、電圧と電流との積が一定の電力W2となるように変化する。
図1の構成に話を戻す。
充電制御部2は、PLC(programmable Logic Controller)などから構成されており、電力発電部1から出力される充電電流の制御を行う。充電制御部2は、励磁機12の励磁電流を制御することにより、電力発電部1から出力される充電電流を変化させる。
また、充電制御部2は、配線7を介して、充電池部3の充電電圧(残存電圧)を監視することができる。さらに、充電制御部2は、配線8を介して、電力発電部1の出力電圧を監視することができる。また、充電制御部2は、配線7または配線8を介して、電力配線5を流れる充電池部3への充電電流を監視することができる。また、充電制御部2は、配線9を介して、遮断器4の開閉を制御することができる。
なお、充電制御部2内における動作については、フローチャートおよび機能ブロック図を用いて後述する。
充電池部3は、少なくとも1以上の充電池により構成されている。充電池部3は、電力発電部1から出力される充電電流を受けて、充電される。また、図1には図示が省略されているが、充電池部3には負荷が接続されている。充電池部3は、当該負荷に対して充電電力を出力(放電)することにより、負荷を電気駆動させている。
次に、図3〜8を用いて、本実施の形態に係る高速充電システム100の動作について説明する。
ここで、図3は、高速充電モード時における充電制御部2の動作を示す機能ブロック図である。図4は、通常充電モード時における充電制御部2の動作を示す機能ブロック図である。図5〜8は、本実施の形態に係る高速充電システム100の動作を示すフローチャートである。
高速充電システム100の充電制御部2には、動作の実施の前に、次の各値が設定される。
まず、高速充電モードの期間に使用される、第一の基準充電電流IG1−refが、充電制御部2に予め設定されている。
当該第一の基準充電電流IG1−refは、たとえば図2に例示するグラフを利用して、電力発電部1の連続定格電流値を超える値が選定される。たとえば、電力発電部1の使用発電範囲(V1〜V2)において、電流値I2を超える値を、第一の基準充電電流IG1−refとして選定したとする。この場合には、第一の基準充電電流IG1−refは、上記使用発電範囲(V1〜V2)において必ず、電力発電部1の連続定格電流値を超える値となる。
電流値I2を超える値の選定として、ユーザは、たとえば図2を参照して、使用発電範囲(V1〜V2)における最大の短時間定格電流である電流値I1を、第一の基準充電電流IG1−refとして選定しても良い。または、当該電流値I1を超える電流値を、第一の基準充電電流IG1−refとして選定することも可能である。この場合、使用可能時間が短くなるのは言うまでもない。高速充電の観点からは、大きな値の第一の基準充電電流IG1−refを選定することが望ましい。
次に、通常充電モードの期間に使用される、第二の基準充電電流IG2−refが、充電制御部2に予め設定されている。
当該第二の基準充電電流IG2−refは、たとえば図2に例示するグラフを利用して、電力発電部1の連続定格電流値以内となる値が選定される。たとえば、電力発電部1の使用発電範囲(V1〜V2)において、電流値I3以下の値を、第二の基準充電電流IG2−refとして選定したとする。この場合には、第二の基準充電電流IG2−refは、上記使用発電範囲(V1〜V2)において必ず、電力発電部1の連続定格電流値以内の値となる。なお、充電の高速化の観点からは、より大きな値の第二の基準充電電流IG2−refを選定することが望ましい。
また、充電制御部2には、定格電流2乗時間積値I2tが予め設定されている。
当該定格電流2乗時間積値I2tは、電力発電部1において規定されている定格の電流2乗時間積である。よって、使用される電力発電部1に応じて、当該定格電流2乗時間積値I2tは一意に決定される。当該定格電流2乗時間積値I2tの範囲内では、発熱による異常が生じることなく、電力は電部1の使用が可能となる。
また、充電制御部2には、冷却期間Toが予め設定されている。
当該冷却期間Toは、定格電流2乗時間積値I2tに達する使用を行った電力発電部1が、再度、連続定格を超える運転が可能な温度まで冷えるまでの時間である。当該冷却期間Toは、電力発電部1の放熱・冷却特性および電力発電部1に配設される冷却機構などを考慮して選定される。
上記各値を事前に設定した状態において、高速充電システム100は以下の動作を実施する。
充電池部3の残存容量が所定値を切り、当該充電池部3への充電が必要になったとする。そこで、ユーザは、高速充電モードを選択し、充電池部3への充電動作を開始する。これにより、充電制御部2は、図3に示すように、予め設定されている第一の基準充電電流IG1−refの選択を行う。ここで、図1に示す構成図において、遮断器4は「開」状態である。
図1において、充電制御部2は、配線7および電力配線5を利用して、充電開始時における充電池部3の残存電圧を監視(検出)する(図5のステップS1)。他方、充電制御部2は、配線8および電力配線5を利用して、電力発電部1の現在の発電電圧(出力電圧)を監視(検出)する。
上記充電動作開始により、充電制御部2による制御が開始され、電力発電部1が発電を行い、発電電圧が上昇する。ここで、充電制御部2は、上記監視を通じて、電力発電部1の現在の発電電圧が、充電池部3の残存電圧に達したか否かを判断している(図5のステップS2)。
充電制御部2が、電力発電部1の現在の発電電圧が充電池部3の残存電圧に達していないと判断した場合には(図5のステップS2で「NO」)、充電制御部2は、ステップS1、ステップS2の動作を繰り返し実施する。
これに対して、充電制御部2が、電力発電部1の現在の発電電圧が充電池部3の残存電圧に達したと判断した場合には(図5のステップS2で「YES」)、充電制御部2は、図1に示すように、配線9を介して、遮断器4を「閉」状態に切替える(図5のステップS3)。
つまり、充電制御部2は、遮断器4の両端における電圧値を監視している。そして、当該両端における電圧値が等しくなると(または、電力発電部1側の遮断器4の端部の電圧値が、充電池部3側の遮断器4の端部の電圧よりも高くなると)、当該充電制御部2、遮断器4をONとする。当該遮断器4のONにより、電力発電部1と充電池部3とは、電力配線5を介して、充電可能に接続される。
ステップS3の動作以後、充電制御部2は、高速充電モードによる充電電流の制御を開始する(図5のステップS4)。具体的に、充電制御部2は、図3に示す動作を開始する。次に、図3に示す動作を説明する。
電力配線5、配線7(または配線8)を介して、充電制御部2は、電力発電部1から充電池部3へと出力される充電電流値Ifbkを、充電動作の期間、常に入力する。そして、充電制御部2は、(第一の基準充電電流IG1−ref)−(充電電流値Ifbk)、を演算し、演算結果として偏差eを出力する。
次に、充電制御部2は、充電電流値Ifbkが第一の基準充電電流IG1−refとなるために、電力発電部1の発電電圧をどれだけ増減する必要かあるかを、上記偏差eに応じて、演算する。そして、充電制御部2は、当該演算の結果である増減電圧値ΔVtを出力する。
次に、充電制御部2は、増減電圧値ΔVtと立上時の充電池部3の電圧値(つまり、ステップS1で検出した充電池部3の残存電圧値)Vrefとを、加算する。そして、充電制御部2は、当該加算結果を、目標電圧値Vtとして出力する。
ところで、充電制御部2は、電力配線5および配線8を介して、充電動作の期間、常に、電力発電部1の現在の出力電圧値Vfbkを入力している。そこで、次に、充電制御部2は、(目標電圧値Vt)−(出力電圧値Vfbk)、を演算する。そして、充電制御部2は、当該演算結果である、調整増減電圧値ΔVaを出力する。
当該調整増減電圧値ΔVaは、充電電流値Ifbkを第一の基準充電電流IG1−refとするために、電力発電部1の現在の出力電圧に対して、どの程度の電圧の増減の調整が必要かを示している。
次に、充電制御部2は、当該調整増減電圧値ΔVaに応じて、界磁電流値を制御する。そして、充電制御部2は、当該界磁電流値を励磁機12に対して出力する(図3に示す、界磁電流制御)。当該界磁電流値を受けた励磁機12は、発電機11の発電電圧を現在の発電電圧に対して、調整増減電圧値ΔVaだけ増減させる。
高速充電モードの期間において、充電制御部2は、図3に示す動作を閉ループ的に繰り返し実施し続ける。
さて、第一の基準充電電流IG1−refは、上記の通り、連続定格電流値を超える電流値である。したがって、図3に示す動作を通じて、何れかの段階で、充電電流Ifbkは、連続定格電流値を超える。
そこで、充電制御部2は、図2に示すグラフを予め有しており、電力配線5および配線7,8を介して、充電池部3に対する充電電流Ifbkと電力発電部1の現在の発電電力を監視する。そして、当該図2の実線部(連続定格)を参照して、充電電流Ifbkが、電力発電部1の連続定格電流(図2の実線部)を超えたか否かを判断する(図5のステップS5)。
充電制御部2が、充電電流Ifbkが電力発電部1の連続定格電流以下であると判断したとする(図5のステップS5で「NO」)。当該場合には、充電制御部2は、ステップS4の動作(つまり図3に示す、第一の基準充電電流IG1−refおよび立上時電圧値Vrefを基準とした、充電電流および出力電圧値のフィードバック制御)とステップS5の動作を繰り返し実施する。
これに対して、充電制御部2が、充電電流Ifbkが電力発電部1の連続定格電流を超えたと判断したとする(図5のステップS5で「YES」)。当該場合には、充電制御部2は、充電電流Ifbkに関する電流2乗時間積の演算を開始する(図5のステップS6)。
当該ステップS6の動作については、図6を用いて後述する。そして、当該ステップS6の動作以後においても、図3に示したフィードバック制御を繰り返し実施する(図5のステップS7)。
ここで、電力発電部1の連続定格電流値(図2の実線部)を超える充電電流Ifbkを、電力発電部1に出力させようとする充電電流制御を、第一の制御と称する。
さて、図5のステップS6以後、充電制御部2は、図5のステップS7の動作を行いつつ(つまり、第一の制御を行いつつ、当該第一の制御期間に)、図6に示す動作も行う。次に、図6の動作について説明する。
上記ステップS6の開始から所定の演算周期毎に、充電制御部2は、ΣIfbk(nΔt)×Ifbk(nΔt)×Δt、を計算する。
ここで、Σは、所定の演算周期毎の電流2乗時間積(Ifbk(nΔt)×Ifbk(nΔt)×Δt)の和(所定の演算周期毎の電流2乗時間積の累積)である。また、Ifbk(nΔt)は、n回目の所定の演算周期における充電電流の実測値である。また、Δtは、上記所定の演算周期である。なお、当該所定の演算周期Δtは、充電制御部2において、予め設定されている。
そして、充電制御部2は、当該所定の演算周期Δt経過毎に、ΣIfbk(nΔt)×Ifbk(nΔt)×Δt(以下、ΣIfbk2Δtと表記する)が、予め設定されている上記の定格電流2乗時間積値I2tを超えたか否かを判断する(図6のステップS11)。
充電制御部2が、ΣIfbk2Δtが定格電流2乗時間積値I2t以下であると判断したとする(図6のステップS11で「NO」)。当該場合には、所定の演算周期の経過を待って、当該所定の演算周期の電流2乗時間積を考慮して、再度ステップS11の判断を行う。
これに対して、充電制御部2が、ΣIfbk2Δtが定格電流2乗時間積値I2tを超えたと判断したとする(図6のステップS11で「YES」)。当該場合には、充電制御部2は、高速充電モードから通常充電モードへと自動的に切り替える(図6のステップS12)。
つまり、上記第一の制御を終了し、当該第一の制御から、電力発電部1の連続定格電流値以下の充電電流を電力発電部1に出力させようとする第二の制御へと、移行する(第二の制御の開始)。
ここで、図3に示した機能ブロック図において、「電流2時間積演算」ブロックからの指令応じて、高速充電モードから通常充電モードへと切替が可能なことが、描かれている。
当該ステップS12以後、充電制御部2は、通常充電モードによる充電電流制御を開始する(図6のステップS13)。具体的に、充電制御部2は、図4の機能ブロックに示す動作を開始する。
なお、図3と図4との比較から分かるように、図4では、第一の基準充電電流IG1−refではなく、第二の基準充電電流IG2−refを利用した、閉ループ制御(フィードバック制御)が実施されている。ここで、図4においても図3と同様に、充電電流値Ifbkおよび電圧値Vfbkを用いた閉ループ制御(フィードバック制御)が実施されている。
第一の基準充電電流IG1−refが第二の基準充電電流IG2−refに変更されているものの、図4における閉ループ制御(フィードバック制御)の動作は、図3における閉ループ制御(フィードバック制御)の動作と同様である。したがって、図4に示す、第二の基準充電電流IG2−refおよび立上時電圧値Vrefを基準とした、充電電流および出力電圧値のフィードバック制御の詳細な動作説明は省略する。
図4に示す通常充電モードにおいて、図3で説明した内容と同様の繰り返しフィードバック制御が実施されることにより、電力発電部1から充電池部3への充電電流Ifbkは、連続定格電流値以下である第二の基準充電電流IG2−refに近づく(第二の制御)。
なお、ステップS12により、高速充電モードから通常充電モードに切り替わることにより、充電制御部2は、ΣIfbk2Δtの計算をストップし、また、計算したΣIfbk2Δtの値のリセットも行う。
さて、図7のステップS13以後、充電制御部2は、図6のステップS13の動作を行いつつ(つまり、第二の制御を行いつつ)、図7に示す動作も行う。次に、図7の動作について説明する。
ステップS13に示す通常充電モードが開始されると、充電制御部2は、電力発電部1が、再度の第一の制御が可能な温度まで冷却したか否かを判断する(図7のステップS21)。
具体的に、充電制御部2には、タイマーが配設されており、当該充電制御部2は、通常充電モードの開始(換言すると、第二の制御移行)と同時に、当該タイマーの計測を開始する。そして、充電制御部2は、第二の制御期間において、当該タイマーの計測を継続し、さらにタイマーの計測時間が、予め設定されている冷却期間Toを経過したか否かを判断する(図7のステップS21)。
そして、充電制御部2が、タイマーの計測時間が冷却期間Toを経過していないと判断した場合には(図7のステップS21で「NO」)、充電制御部2は、ステップS13の動作を継続すると共に、前記タイマーの計測も継続する。
これに対して、充電制御部2が、タイマーの計測時間が冷却期間Toを経過した判断した場合には(図7のステップS21で「YES」)、充電制御部2は、第二の制御を終了し、当該第二の制御から第一の制御へと(換言すると、通常充電モードから高速充電モードへと)自動的に移行する(図7のステップS22)。つまり、充電制御部2は、第一の制御を再開する。
具体的には、充電制御部2は、図5のステップS4以降の動作(図6の動作も含む)を再開する。ここで、図4の機能ブロック図では、「電力発電部1の冷却判断」ブロックからの指令応じて、通常充電モードから高速充電モードへと切替が可能なことが、描かれている。
なお、ステップS22の切替の際に、充電制御部2は、ステップS21の判断の際に使用したタイマーの計測をストップし、計測時間のリセットを行う。
以降、図5のステップS4以降の動作を、図6,7に示す動作を含めて、繰り返し実施する。つまり、第一の制御と第二の制御とを、繰り返し実施する。次に、図8の動作について説明する。
上記の通り、第一の制御と第二の制御とが繰り返し実施される。その最中において(図8のステップS31参照)、充電制御部2は、配線7および電力配線5を通じて、充電池部3の電圧値を監視している。そして、充電制御部2は、充電池部3が満充電(充電制御部2に予め設定されている所定の充電電圧値)に達した否かを判断する(図8のステップS32)。
そして、充電制御部2が、充電池部3が満充電に達していないと判断した場合には(図8のステップ32で「NO」)、ステップS31に戻る。つまり、図5のステップS4以降の動作(図6,7を含む)に従って、引き続き、高速充電モードによる充電または通常充電モードによる充電を実施する。
これに対して、充電制御部2が、充電池部3が満充電に達したと判断した場合には(図8のステップ32で「YES」)、充電制御部2は、配線9を介して、遮断器4を「開」状態に切替える(図8のステップS33)。これにより、充電池部3への充電処理は終了する。
図9は、高速充電モードと通常充電モードにおける、理想的な、充電電流の時系列的変化の様子を示す図である。しかし、一般的には、充電池部3には図示していない負荷が接続されており、図9に示す理想的な変化でなく、当該負荷の変動に応じて充電電流も変動する。そこで、図10に、実際の、高速充電モードと通常充電モードにおける充電電流の時系列的変化の様子を例示する。
図10に示すように、充電電流は、負荷の変動に応じて変動している。なお、図10には、微小な所定の演算周期(n番目の周期)における、電流2乗時間積(Ifbk2Δt)も図示している。上述したように、本実施の形態では、充電電流が連続定格電流値を超えてから、所定の演算周期毎に電流2乗時間積を計算し、各所定の演算周期毎に、電流2乗時間積を時間に関して累積している(ΣIfbk2Δt)。
以上のように、本実施の形態に係る高速充電システム100では、電力発電部1は、一時的に、過負荷状態で充電電流を出力している。つまり、充電制御部2は、電力発電部1の連続定格電流値を超える充電電流を電力発電部1に出力させようとする第一の制御を行い、当該第一の制御を所定の期間実施した後、電力発電部1の連続定格電流値以下の充電電流を電力発電部1に出力させようとする第二の制御を行っている。そして、充電池部3が満充電となるまで、当該第一の制御と第二の制御とを繰り返し実施している。
このように、高速充電システム100では、一時的に大きな値の充電電流で充電池部3への充電を行っている(つまり、過負荷充電を行っている)。換言すると、高速充電システム100では、電力発電部1の発熱量を加味(電流2乗時間積の演算およびステップ11の判断)して、電力発電部1の連続定格を超える電力発電部1の運転と、当該連続定格以内の電力発電部1の運転とを、効率良く利用した充電制御を行っている。したがって、充電池部3に対する充電処理の高速化を図ることができる。つまり、高速充電システム100では、より短時間で、充電池部3を満充電にすることができる。
しかも、高速充電システム100では、特許文献1のように余分な充電池および当該余分な充電池への充電を制御する制御部等が必要でない。つまり、高速充電システム100では、電力発電部1から直接、充電池部3への充電を行っている。したがって、広い設置スペースを必要とせず、イニシャルコストの低減を図ることができ、小さいエネルギーロスにより、充電池部3に対する充電が可能となる。
なお、充電電流が大きくなると、充電池部3がより短時間で満充電となる。この観点から、連続定格電流値を超える第一の基準充電電流IG1−refおよび連続定格電流値以下である第二の基準充電電流IG2−refの選定は、極力大きな値であることが望ましい。
また、本実施の形態に係る高速充電システム100では、充電制御部2は、電流2乗時間積を計算し、ΣIfbk2Δtを演算している(つまり、所定の演算時間毎に電流2乗時間積を累積している)。そして、充電制御部2は、ΣIfbk2Δtが定格電流2乗時間積値I2tを超えたとき第一の制御を終了し、第二の制御を開始している。
したがって、電力発電部1を過負荷状態で運転させたとしても、電力発電部1の異常な発熱が発生する前に、当該電力発電部1の過負荷運転を停止させることができる。また、高速充電システム100では、第一の制御後に第二の制御を実施しているので、第二の制御の期間に電力発電部1を冷却できると共に、当該冷却の期間においても充電池部3への充電を継続することが可能である。
なお、上記説明では、連続定格電流値を超える第一の基準充電電流IG1−refおよび連続定格電流値以下である第二の基準充電電流IG2−refは、固定値を選定し、充電制御部2に予め設定していた。しかしながら、次のような態様も採用できる。
つまり、充電制御部2には、図2に示す電力発電部1の固有の短時間定格特性および連続定格特性を示すグラフをデータとして設定しておく。そして、充電制御部2は、高速充電モードの最中および通常充電モードの最中において、随時、充電池部3の電圧値を監視する。
そして、高速充電モードの場合には、充電制御部2は、図2の一点鎖線と監視結果である充電池部3の電圧値とが交わる電流値を、そのときの第一の基準充電電流IG1−refとして自動的に随時選定し、図3のフィードバック制御を実施する。
また、通常充電モードの場合には、充電制御部2は、図2の実線のグラフと監視結果である充電池部3の電圧値とが交わる電流値を、そのときの第二の基準充電電流IG2−refとして自動的に随時選定し、図4のフィードバック制御を実施する。
このように、高速充電モードの最中において、充電池部3の電圧値と短時間定格特性とに応じて、第一の基準充電電流IG1−refを例えば当該電圧値の監視の都度変動させて、図3のフィードバック制御を実施し、通常充電モードの最中において、充電池部3の電圧値と連続定格特性とに応じて、第二の基準充電電流IG2−refを例えば当該電圧値の監視の都度変動させて、図4のフィードバック制御を実施しても良い。
また、図10を用いて示したように、負荷の変動に応じて、充電電流値も変動する。ここで、負荷の変動の程度によっては、高速充電モードの最中において、一時的に、充電電流値が、連続定格電流値以下となることも想定され得る。しかし、このような事態が生じたとしても、充電制御部2は、電流2乗時間積の計算(時間に関する累積演算)を継続する。つまり、充電制御部2は、電流2乗時間積の計算を開始した後は、ΣIfbk2Δtが定格電流2乗時間積値I2tを超えるまで、電流2乗時間積の計算(時間に関する累積演算)を継続する。
また、充電制御部2が、PLCを用いたデジタル制御装置である場合には、上記のように、電流2乗時間積は、各所定の演算周期毎に、Σを用いて離散的に累積する計算となる。これに対して、充電制御部2は、オペアンプを利用したアナログ制御(演算処理)装置を適用して構成することも可能である。当該構成の場合には、電流2乗時間積は、時系列的に連続的に累積する計算となる。つまり、充電制御部2がアナログ制御装置で構成された場合には、∫(Ifbk2・t)dt、の積分演算が実施される。
<実施の形態2>
実施の形態1では、第一の制御の期間において電流2乗時間積を演算し、当該演算結果を利用して高速充電モードの終了時期を決定していた。本実施の形態では、他の方法を利用して高速充電モードの終了時期を決定する。
具体的には、本実施の形態では、充電制御部2には、タイマーが配設されている。そして、当該充電制御部2は、電流2乗時間積の演算および当該電流2乗時間積を利用した処理判断を行わず、その代わりに、第一の制御の期間においてタイマーの計測および当該タイマーの計測結果を利用した処理判断を行う。
本実施の形態に係る高速充電システムの概略構成ブロック図は、図1と同じである。また、本実施の形態では、図3の代わりに図11の機能ブロックが採用される。また、本実施の形態においても、図4の機能ブロック図が採用される。また、本実施の形態では、図5の代わりに図12のフローチャートが採用される。また、本実施の形態では、図6の代わりに図13のフローチャートが採用される。なお、本実施の形態においても、図7,8のフローチャートが採用される。
次に、本実施の形態に係る高速充電システムの動作について説明する。
図12に示すように、ステップS1〜S5までの動作を行う。ここで、当該ステップS1〜S5(ステップS5の「NO」のフローも含む)までの動作は、図5のステップS1〜S5(ステップS5の「NO」のフローも含む)までの動作と同じである。また、図11に示すように、第一の基準充電電流IG1−refを基準とした充電電流Ifbkのフィードバック制御、および、立上時電圧Vrefを基準とした電力発電部1の出力電圧Vfbkのフィードバック制御は、図3で説明した内容と同じである。
さて、充電制御部2が、充電電流が連続定格電流を超えたと判断したとする(図12のステップS5で「YES」)。当該場合には、充電制御部2は、自身が有するタイマーの計測を開始する(図12のステップS41)。そして、図5のステップS7と同様の処理を、充電制御部2は実施する(図12のステップS7)。
さて、図12のステップS41以後、充電制御部2は、図12のステップS7の動作を行いつつ(つまり、第一の制御を行いつつ、当該第一の制御期間に)、図13に示す動作も行う。次に、図13の動作について説明する。
ステップS41の処理後、充電制御部2は、タイマーの計測時間が予め設定された時限に達したか否かを判断する(図13のステップS42)。
ここで、充電制御部2に予め設定される上記時限は、電力発電部1が発熱の影響で正常に運転できないか、発熱の影響に係らず電力発電部1が正常に運転できるかという観点で、決定される。換言すると、当該時限の間には、電力発電部1は過負荷状態での運転が可能であり、当該時限を超えると、過負荷状態での運転により電力発電部1に異常が発生する可能性が生じる。
たとえば、当該時限は、第一の基準充電電流IG1−refの値、電力発電部1の発熱量、電力発電部1の放熱量、および電力発電部1の冷却機構の特性に応じて、決定される。
さて、充電制御部2が、タイマーの計測時間が時限より小さいと判断したとする(図13のステップS42で「NO」)。当該場合には、充電制御部2は、再度ステップS42の判断を行う。
これに対して、充電制御部2が、タイマーの計測時間が時限に達したと判断したとする(図13のステップS42で「YES」)。当該場合には、充電制御部2は、高速充電モードから通常充電モードへと自動的に切り替える(図13のステップS12)。つまり、充電制御部2は、第一の制御を終了し、第二の制御を開始する。そして、当該ステップS12以後、充電制御部2は、通常充電モードによる充電電流制御を開始する(図13のステップS13)。
ここで、図13のステップS12,S13は、図6のステップS12,S13と同じ処理である。
また、図11の機能ブロック図では、「タイマー計測」ブロックからの指令応じて、高速充電モードから通常充電モードへと切替が可能なことが、描かれている。
また、通常充電モード以降後の動作は、実施の形態1と同じである(図4、図7参照)。なお、本実施の形態に係る高速充電システムにおいても、図8に示す動作が実施される。
上記から分かるように、高速充電モードの終了時期をタイマーの計測時間を利用して行うこと以外の構成・処理等は、実施の形態1で説明した高速充電システム100と同じである。
以上の構成を有する本実施の形態に係る高速充電システムにおいても、実施の形態1で説明した効果と同じ効果が奏される。なお、蓄電池部3に接続される負荷の変動が小さい場合には、本実施の形態に係る高速充電システムは有益である。
なお、本実施の形態では、「時限」と「タイマー測定時間」とを利用して、第一の制御から第二の制御への切替を実施している。ここで、過負荷運転により電力発電部1が異常が発生しないようにするため、「時限」は、許容されると推測される時間より少し短めに設定することが好ましい。そうすると、高速充電モードの期間が、短い期間となる傾向にある。
これに対して、「電流2乗時間積の演算結果」と「定格電流2乗時間積」とを利用して、第一の制御から第二の制御への切替を実施する方法では、電力発電部1の過負荷運転の許容限界まで、高速充電を行うことができる。
<実施の形態3>
実施の形態1では、第一の制御の期間において電流2乗時間積を演算し、当該演算結果を利用して高速充電モードの終了時期を決定していた。本実施の形態では、他の方法を利用して高速充電モードの終了時期を決定する。
具体的には、本実施の形態では、電力発電部1(たとえば、発電機11の導電部)に、温度センサーが配設されている。そして、充電制御部2は、当該温度センサーの測定結果を受信する。また、充電制御部2は、電流2乗時間積の演算および当該電流2乗時間積を利用した処理判断を行わず、その代わりに、第一の制御の期間において温度センサーの計測結果を利用した処理判断を行う。
本実施の形態に係る高速充電システムの概略構成ブロック図は、図1とほぼ同じであるが、本実施の形態では、電力発電部1に配設された温度センサーと充電制御部2とを接続する配線がさらに配設される(図示省略)。
また、本実施の形態では、図3の代わりに図14の機能ブロックが採用される。また、本実施の形態においても、図4の機能ブロック図が採用される。また、本実施の形態では、図5の代わりに図15のフローチャートが採用される。また、本実施の形態では、図6の代わりに図16のフローチャートが採用される。なお、本実施の形態においても、図7,8のフローチャートが採用される。
次に、本実施の形態に係る高速充電システムの動作について説明する。
図15に示すように、ステップS1〜S4までの動作を行う。ここで、当該ステップS1〜S4までの動作は、図5のステップS1〜S4までの動作と同じである。また、図14に示すように、第一の基準充電電流IG1−refを基準とした充電電流Ifbkのフィードバック制御、および、立上時電圧Vrefを基準とした電力発電部1の出力電圧Vfbkのフィードバック制御は、図3で説明した内容と同じである。
さて、ステップS4以後において、充電制御部2は、電力発電部1に配設されている温度センサーの温度測定を開始する(図15のステップS51)。より具体的に、充電制御部2は、当該温度センサーの測定結果の受信を開始し、第一の制御期間において、電力発電部1の温度を監視する。
さて、図15のステップS51以後、充電制御部2は、第一の制御を行いつつ、当該第一の制御期間において、図16に示す動作も行う。次に、図16の動作について説明する。
ステップS51の処理後、充電制御部2は、温度センサーからの測定結果が予め設定された閾値温度に達したか否かを判断する(図16のステップS52)。
ここで、充電制御部2に予め設定される上記閾値温度は、電力発電部1が発熱の影響で正常に運転できないか、発熱の影響に係らず電力発電部1が正常に運転できるかという観点で、決定される。換言すると、電力発電部1の温度が閾値温度より小さい場合には、電力発電部1は過負荷状態での運転が可能であり、電力発電部1の温度が閾値温度以上となると、過負荷状態での運転により電力発電部1に異常が発生する可能性が生じる。
さて、充電制御部2が、温度センサーからの測定結果が閾値温度より小さいと判断したとする(図16のステップS52で「NO」)。当該場合には、充電制御部2は、再度ステップS52の判断を行う。
これに対して、充電制御部2が、温度センサーからの測定結果が閾値温度に達したと判断したとする(図16のステップS52で「YES」)。当該場合には、充電制御部2は、高速充電モードから通常充電モードへと自動的に切り替える(図16のステップS12)。つまり、充電制御部2は、第一の制御を終了し、第二の制御を開始する。そして、当該ステップS12以後、充電制御部2は、通常充電モードによる充電電流制御を開始する(図16のステップS13)。
ここで、図13のステップS12,S13は、図6のステップS12,S13と同じ処理である。
また、図14の機能ブロック図では、「温度測定」ブロックからの指令応じて、高速充電モードから通常充電モードへと切替が可能なことが、描かれている。
また、通常充電モード以降後の動作は、実施の形態1と同じである(図4、図7参照)。なお、本実施の形態に係る高速充電システムにおいても、図8に示す動作が実施される。
上記から分かるように、高速充電モードの終了時期を温度センサーからの測定結果を利用して行うこと以外の構成・処理等は、実施の形態1で説明した高速充電システム100と同じである。
以上の構成を有する本実施の形態に係る高速充電システムにおいても、実施の形態1で説明した効果と同じ効果が奏される。
ここで、本実施の形態に係る高速充電システムでは、上記の通り、電力発電部1には温度センサーが配設されている。そこで、本実施の形態では、図7のステップS21を次のような処理で、判断することもできる。
つまり、通常充電モードによる充電電流制御を行っているとき(つまり、図7のステップS13であり、第二の制御の期間において)、充電制御部2は、温度センサーからの測定結果が、予め設定された冷却温度に達したか否かを判断する(図7のステップS21)。ここで、当該冷却温度は、電力発電部1が再度、連続定格を超える充電電流を正常に流すことができる程度まで冷えたことを示す温度である。
温度センサーからの測定結果が冷却温度より大きいとき(図7のステップS21で「NO」)、充電制御部2は、ステップS13に示す充電電流制御を行い、再度、当該ステップS21の判断を行う。これに対して、温度センサーからの測定結果が冷却温度以下になったとき(図7のステップS21で「YES」)、充電制御部2は、実施の形態1で説明したステップS22の処理を実施する。
実施の形態1では、予め設定された冷却期間を利用して、第二の制御から第一の制御の切替を実施している。つまり、電力発電部1が十分に冷えたであろう時間を予め推測し、当該推測した値を利用して、上記切替を実施している。したがって、当該推測した値を利用した上記切替であるので、冷却期間を少し長めに設定する必要がある(第一の制御の再開が少し遅れる)。
これに対して、本実施の形態で説明した上記方法では、電力発電部1の温度を直接監視しており、当該監視結果を用いた第二の制御から第一の制御の切替を実施している。したがって、第一の制御の再開をより早い時期に行うことができる(これは、高速充電に繋がる)。