JP5747740B2 - α−ヒドロキシ酸塩の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、α−ヒドロキシ酸塩の製造方法に関する。
α−ヒドロキシ酸誘導体は、生化学や有機化学の分野において、様々な機能を示す重要な分子であり、例えば、スキンケア用の化粧品として、医農薬などの合成中間体として、また、有機合成における基本要素として、広く活用されている。
α−ヒドロキシ酸誘導体を合成する方法として、α−アルコキシスズ化合物の二酸化炭素の補足反応を利用した方法が報告されている(非特許文献1〜3)。
具体的には、α−アルコキシスズ化合物にn−ブチルリチウム等の強塩基を作用させてスズ−リチウム交換を起こし、生成したリチウムカルバニオンに二酸化炭素を作用させ、α−アルコキシカルボン酸を合成する方法である。
しかし、この方法では強塩基でしかも熱的に不安定であるn−ブチルリチウム等を用いているので、低温での反応が必須であり、また、塩基に弱い官能基を有する基質及び酸性度の高いプロトンを有する基質の適用が困難であったため、その代替法の開発が強く望まれていた。
Chan, P. C.-M., Chong, M., Tetrahedron Lett., Vol. 31, pp. 1985-1988 (1990) Frey, O., Hoffmann, M. H., Kessler, H., Angew. Chem., Int. Ed., vol. 34, pp. 2026-2028 (1995) Hoffmann, M., Burkhart, F., Hessler, G., Kessler, H., Helv. Chim. Acta, Vol. 79, pp. 1519-1531 (1996)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、温和な反応条件下で強塩基に弱い官能基を有する基質でも二酸化炭素補足反応によるカルボキシル化が速やかに進行する、α−ヒドロキシ酸誘導体合成の中間体であるα−ヒドロキシ酸塩の新規製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、弱塩基でしかもスズと5配子のスタニレートを容易に形成するフッ化セシウムを用いることで、選択的にスズ原子のみを活性化して二酸化炭素補足反応によるカルボキシル化が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.下記式(1)で表される有機スズ化合物と二酸化炭素とをフッ化セシウムの存在下で反応させることを特徴とする下記式(2)で表されるα−ヒドロキシ酸塩の製造方法、
Figure 0005747740
(式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜14のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基を表す。R2は置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜7のアシル基を表す。また、R1の炭素原子とR2の炭素原子が結合して、これらが結合する炭素原子及び酸素原子と共に環を形成してもよい。R'は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
2.上記R1が置換又は非置換フェニル基である1のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法、
3.上記R2がアセチル基又はメトキシメチル基である1又は2のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法、
4.上記R'がn−ブチル基である1〜3のいずれかのα−ヒドロキシ酸塩の製造方法、
5.下記式(3)で表されるアルデヒド化合物を塩基の存在下でスタンニル化剤及びアシル化剤と反応させて下記式(4)で表される有機スズ化合物を調製し、同一系内にフッ化セシウム及び二酸化炭素を加え、上記有機スズ化合物と二酸化炭素とを反応させることを特徴とする下記式(5)で表されるα−ヒドロキシ酸塩のワンポット製造方法、
Figure 0005747740
(式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜14のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基を表す。R3は置換又は非置換の炭素数2〜7のアシル基を表す。R'は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
6.上記塩基がフッ化セシウムである5のα−ヒドロキシ酸塩のワンポット製造方法、
7.上記スタンニル化剤がトリメチルシリルトリブチルスタンナンである5又は6のα−ヒドロキシ酸塩のワンポット製造方法
を提供する。
本発明の製造方法においては、n−ブチルリチウム等の強塩基を必要としないため、温和な反応条件下で、強塩基に弱い官能基を有する基質を用いた場合でもカルボキシル化反応が速やかに進行する。本発明の製造方法は、低温条件を必要とせず、比較的温和な条件で有機スズ化合物の二酸化炭素によるカルボキシル化反応を進行させることが可能である。
また、アルデヒドのスタンニル化及びカルボキシル化をワンポットで行うことも可能である。この場合でも、対応するα−ヒドロキシ酸誘導体を良好な収率で得ることができる。
本発明の方法により得られたα−ヒドロキシ酸塩は、エステル、アミド等のα−ヒドロキシ酸誘導体合成の中間体として使用することができる。
更に、本発明の製造方法は、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を炭素源としているため、工場で排する二酸化炭素を有用化合物に転化するといったCO2削減に寄与する方法でもある。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
なお、本明細書中、「n−」はノルマルを、「i−」はイソを、「s−」はセカンダリーを、「t−」はターシャリーを、「c−」はシクロを、「o−」はオルトを、「m−」はメタを、「p−」はパラを、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Bu」はブチル基を、「Ph」はフェニル基を、「Ac」はアセチル基を意味する。
本発明のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法に係る出発物質は、下記式(1)で表される有機スズ化合物である。
Figure 0005747740
(式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜14のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基を表す。R2は置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜7のアシル基を表す。また、R1の炭素原子とR2の炭素原子が結合して、これらが結合する炭素原子及び酸素原子と共に環を形成してもよい。R'は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
式(1)中のR1で表されるアリール基として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
1で表されるヘテロアリール基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
1で表されるアルケニル基として具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、i−プロペニル基、1−メチル−2−フェニルビニル基、2−フェニルビニル基、2,2−ジメチルビニル基、1−メチル−2,2−ジメチルビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、2−フェニル−2−メチルビニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、R1の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。上記置換基として具体的には、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記ハロゲン原子として具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基等が挙げられる。
上記ハロゲン化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されてなる基が挙げられる。上記ハロゲン化アルキル基として具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基等が挙げられる。
これらのうち、R1で表される基として好ましくは置換又は非置換のフェニル基であり、特に、フェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−シアノフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基等が好ましい。
式(1)中のR2で表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基等が挙げられる。
式(1)中のR2で表される炭素数2〜7のアシル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、c−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、c−ブチルカルボニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
また、R2の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。上記置換基として具体的には、R1の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。置換アルキル基としては、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等が挙げられ、置換アシル基としては、トリフルオロアセチル基等が挙げられる。
これらのうち、R2で表される基としては、特に、アセチル基又はメトキシメチル基が好ましい。
なお、R1の炭素原子とR2の炭素原子が結合して、これらが結合する炭素原子及び酸素原子と共に環を形成してもよい。この場合、上記式(1)で表される有機スズ化合物としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
Figure 0005747740
(式中、R'は上記と同じ。)
式(1)中のR'で表される炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基が挙げられる。これらのうち、特にn−ブチル基が好ましい。
式(1)で表される有機スズ化合物は、例えば、下記合成スキーム1に表されるように、有機溶媒中、塩基の存在下で、アルデヒド化合物にスタンニル化剤及びアシル化剤を反応させることで合成することができる。
Figure 0005747740
(式中、R1、R2及びR'は上記と同じ。)
上記スタンニル化剤として具体的には、トリメチルシリルトリブチルスタンナン(TMSSnBu3)、トリエチルシリルトリブチルスタンナン(TESSnBu3)、t−ブチルジメチルシリルトリブチルスタンナン(TBSSnBu3)等が挙げられる。これらのうち、特にTMSSnBu3が好ましい。
上記アシル化剤としては、カルボン酸無水物が好ましく、具体的には、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水安息香酸等が挙げられる。これらのうち、特に無水酢酸が好ましい。
上記塩基として、具体的には、フッ化セシウム、フッ化カリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、テトラブチルアンモニウム トリフェニルジフルオロシリケート(TBAT)、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)等が挙げられ、特にフッ化セシウムが好ましい。
上記有機溶媒として具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられ、特にアセトニトリル、THF等が好ましい。
反応温度は、室温〜80℃が好ましく、60℃がより好ましい。
反応時間は、1〜7時間が好ましく、2〜3時間がより好ましい。
また、式(1)で表される有機スズ化合物において、R1の炭素原子とR2の炭素原子が結合して、これらが結合する炭素原子及び酸素原子と共に環を形成してる場合、このような有機スズ化合物は、フタランやイソクロマン等とトリブチルスズクロリド等のスタンニル化剤とを反応させることで合成することができる。
反応終了後、式(1)で表される有機スズ化合物を単離した後、これと二酸化炭素をフッ化セシウムの存在下で反応させてもよく(スキーム2)、これを単離することなく同一系内にフッ化セシウム及び二酸化炭素を加え、上記有機スズ化合物と二酸化炭素とを反応させてもよい(スキーム3、ワンポット合成)。なお、単離方法は公知の方法でよく、例えば、蒸留、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
Figure 0005747740
(式中、R1、R2及びR'は上記と同じ。R3は置換又は非置換の炭素数2〜7のアシル基を表す。)
上記R3の具体例としては、上記R2で表されるアシル基として例示したものと同じものが挙げられる。
本発明のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法に用いる有機溶媒は、反応に悪影響を及ぼすものでなければ特に限定されない。具体的には、DMF、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)等が好ましく、特に、DMFが好ましい。
上記有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、出発物質1molにつき、100〜500molが好ましく、300〜400molがより好ましい。溶媒量が100molより少ないと、反応液が乾固することがあり、溶媒量が500molより多いと、反応時間が延長することがある。
反応温度は、室温〜150℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。反応温度が60℃より低いと、反応が完結しないことがあり、反応温度が150℃より高いと、基質が分解することがある。
反応時間は、0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。反応時間が0.5時間より短いと、反応が完結しないことがあり、5時間よりも長いと、生成物が分解することがある。
二酸化炭素との反応時の圧力は、大気圧〜1MPaが好ましく、大気圧がより好ましい。1MPaを超えても問題はないが、高圧化での反応実施は危険を伴うため回避すべきである。
本発明は、塩基として弱塩基であるフッ化セシウムを用いることに特徴がある。このため、比較的温和な条件で有機スズ化合物の二酸化炭素によるカルボキシル化反応を進行させることが可能となる。
フッ化セシウムの使用量は、出発物質1molにつき、1〜5molであることが好ましく、2〜3molがより好ましい。2molよりも少ないと、反応が完結しないことがあり、5molよりも多いと、不均一系のため反応溶液の撹拌が困難になり、再現性が得られないことがある。
反応終了後、合成したα−ヒドロキシ酸塩を単離する場合は、一般的な方法で行うことができる。具体的な方法としては、蒸留、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
上記合成したα−ヒドロキシ酸塩を原料として、エステル、アミド等のα−ヒドロキシ酸誘導体を合成することができる。これらを合成する方法としては、公知の方法でよい。例えば、α−ヒドロキシ酸エステルを合成する場合は、式(2)又は(5)で表されるα−ヒドロキシ酸塩に強酸を作用させてα−ヒドロキシ酸を調製した後、トリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN2)等のO−メチル化剤やその他のエステル化剤を用いてα−ヒドロキシ酸エステルを合成することができる。
以下、合成例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[合成例]α−アセトキシオルガニルトリブチルスタンナンの合成
下記スキームにしたがって、下記式で表されるα−アセトキシオルガニルトリブチルスタンナンを合成した。
Figure 0005747740
(式中、Rは下記表1に示す基である。)
[合成例1]α−アセトキシベンジルトリブチルスタンナンの合成
50mLのナスフラスコに、8mLの乾燥したTHFを加え、423μLのジイソプロピルアミン(304mg,3.0mmol,1.03equiv)を加えた後に、0℃に降温し、1.8mLのn−ブチルリチウム(1.65M in n−へキサン,3.0mmol,1.03equiv)を加え、20分間攪拌した。807μLのトリブチルスズ(873mg,3.0mmol,1.03equiv)を加え、15分間攪拌した後に−78℃に降温し、308mgのベンズアルデヒド(2.9mmol)を加えた後、30分間攪拌した。室温に昇温した後、5mLの5質量%塩化アンモニウム水溶液を加え、分液ロートにその溶液を移した。有機層を分離し、残りの水層をジエチルエーテルで3回抽出した。これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥させた。30mLのナスフラスコに移し、溶液を減圧留去した後、乾燥した5mLの塩化メチレンを加え、1.4mLのトリエチルアミン(1.0g,10mmol,3.4equiv)、122mgのジメチルアミノピリジン(1.0mmol,0.34equiv)、1.0mLの無水酢酸(1.0g,10mmol,3.4equiv)を順に加え,室温下で3時間攪拌した。反応溶液に水を加え、分液ロートにその溶液を移し、有機層を分離し、残りの水層を塩化メチレンで3回抽出した。これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥させた。溶液を留去した後、10質量%の炭酸カリウムの入ったシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)により精製を行い、下記表1に示す収量及び収率でα−アセトキシベンジルスタンナンを得た。
[合成例2〜12]α−アセトキシオルガニルトリブチルスタンナンの合成
アルデヒド化合物として表1記載の化合物を用いた以外は、合成例1と同様の方法でα−アセトキシオルガニルトリブチルスタンナンを合成した。アルデヒド化合物の開始量、目的物の収量及び収率を表1に示す。
Figure 0005747740
[合成例13]4−イソクロマニルトリブチルスタンナンの合成
100mLのナスフラスコに6mLの乾燥したヘキサンを加え、600μLの2−ジメチルアミノエタノール(534mg,6mmol,3equiv)を加えた後に、−15℃に降温し、7.3mLのn−ブチルリチウム(1.65M in n−へキサン,12mmol,6.0equiv)を加え、30分攪拌した。1mLの乾燥したヘキサンに溶かした252μLのイソクロマン(268mg,2mmol)を加え、さらに20分間攪拌した後に、−78℃に降温した。8mLの乾燥したTHFを加え、1mLの乾燥したTHFに溶かしたトリブチルスズクロリドを加え、2時間攪拌した。0℃に昇温して、5mLの水を加えた後に、分液ロートにその溶液を移し、有機層を分離し、残りの水層を塩化メチレンで3回抽出した。これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥させた。溶液を留去した後、10質量%の炭酸カリウムの入ったシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)により精製を行ったところ、591mgの目的とする化合物が70%の収率で得られた。
[実施例1]α−アセトキシオルガニルトリブチルスタンナンの二酸化炭素を用いたカルボキシル化によるα−アセトキシカルボン酸エステルの合成
下記スキームに従い、α−アセトキシカルボン酸エステルを合成した。
Figure 0005747740
(式中、Rは下記表2に示す基である。)
事前に真空下、400℃で加熱乾燥させた3equivのフッ化セシウムを、合成例で合成した下記表1に示す量(1equiv)のα−アセトキシオルガニルトリブチルスタンナン1の入った試験管に素早く加えた。1.5mLの乾燥したDMFを加え、大気圧下で二酸化炭素を導入した後、下記表1に示す温度と時間で攪拌して反応させた。0℃に降温した後、水及びジエチルエーテルを加え、分液ロートにその溶液を移した。約0.5mLの1MのHClを加えてpHを2に調製した後、有機層を分離し、残りの水層をジエチルテーテルで3回抽出した。これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥させた。溶媒を減圧留去した後、残渣を1.0mLのメタノールに溶かし、TMSCHN2(2M in Et2O)を過剰量加えて、生成したα−アセトキシカルボン酸のメチルエステル化を行った。未反応のTMSCHN2は酢酸を用いて処理し、その溶液を減圧下直接濃縮した。1,1,2,2−テトラクロロエタンを内部標準物質として用いた1H−NMR分析(JEOL ECA−500(500MHz)、日本電子(株)製)によって決定したこの時点における収率を表1に示す。続いて、10質量%炭酸カリウムの入ったシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル100%)により有機スズの残渣を取り除いた後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:へキサン/酢酸エチル=10/1)により精製を行った。精製したα−アセトキシカルボン酸のメチルエステル体2の単離収量及び単離収率を表2に示す。
Figure 0005747740
[実施例2]アルデヒドのアセチル化及びトリブチルスタンニル化、続くカルボキシル化及びメチル化によるα−アセトキシフェニル酢酸メチルのワンポット合成
下記スキームに従い、α−アセトキシフェニル酢酸メチルのワンポット合成を行った。
Figure 0005747740
真空下、400℃で加熱乾燥させた91.1mgのフッ化セシウム(0.60mmol,3equiv)を試験管に測りとり、1.0mLの乾燥したCH3CN、21.2mgのベンズアルデヒド3(0.20mmol)、102mgの無水酢酸(1.0mmol,5equiv)、139mgのTMSSnBu3(0.4mmol,2equiv)を順に加えた後に、60℃で2時間攪拌した。試験管を0℃に降温した後、更に60.7mgのフッ化セシウム(0.40mmol,2equiv)を加え、大気圧下で二酸化炭素を導入し、1.0mLの乾燥したDMFを加えた後、100℃で3時間攪拌した。試験管を0℃に降温した後、水及びジエチルエーテルを加え、分液ロートにその溶液を移した。約0.5mLの1MのHClを加えてpHを2に調製した後、有機層を分離し、残りの水層をジエチルテーテルで3回抽出した。これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥させた。溶媒を減圧留去した後、残渣を1.0mLのメタノールに溶かし、TMSCHN2(2M in Et2O)を過剰量加えて、生成したα−アセトキシフェニル酢酸のメチルエステル化を行った。未反応のTMSCHN2は酢酸を用いて処理し、その溶液を減圧下直接濃縮した。1,1,2,2−テトラクロロエタンを内部標準物質とて用いた1H−NMR分析(JEOL ECA−500(500MHz)、日本電子(株)製)によってこの時点における収率を決定したところ、52%であった。続いて、10質量%炭酸カリウムの入ったシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)により有機スズの残渣を取り除いた後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:へキサン/酢酸エチル=10/1)により精製を行ったところ、α−アセトキシフェニル酢酸メチル4が単離収率42%(17.5mg,0.084mmol)で得られた。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される有機スズ化合物と二酸化炭素とをフッ化セシウムの存在下で反応させることを特徴とする下記式(2)で表されるα−ヒドロキシ酸塩の製造方法。
    Figure 0005747740
    (式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜14のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基を表す。R2は置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜7のアシル基を表す。また、R1の炭素原子とR2の炭素原子が結合して、これらが結合する炭素原子及び酸素原子と共に環を形成してもよい。R'は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
  2. 上記R1が置換又は非置換フェニル基である請求項1記載のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法。
  3. 上記R2がアセチル基又はメトキシメチル基である請求項1又は2記載のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法。
  4. 上記R'がn−ブチル基である請求項1〜3のいずれか1項記載のα−ヒドロキシ酸塩の製造方法。
  5. 下記式(3)で表されるアルデヒド化合物を塩基の存在下でスタンニル化剤及びアシル化剤と反応させて下記式(4)で表される有機スズ化合物を調製し、同一系内にフッ化セシウム及び二酸化炭素を加え、上記有機スズ化合物と二酸化炭素とを反応させることを特徴とする下記式(5)で表されるα−ヒドロキシ酸塩のワンポット製造方法。
    Figure 0005747740
    (式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜14のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基を表す。R3は置換又は非置換の炭素数2〜7のアシル基を表す。R'は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
  6. 上記塩基がフッ化セシウムである請求項5記載のα−ヒドロキシ酸塩のワンポット製造方法。
  7. 上記スタンニル化剤がトリメチルシリルトリブチルスタンナンである請求項5又は6記載のα−ヒドロキシ酸塩のワンポット製造方法。
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