JP5744038B2 - 増幅反応の解析ツール - Google Patents

増幅反応の解析ツール Download PDF

Info

Publication number
JP5744038B2
JP5744038B2 JP2012534805A JP2012534805A JP5744038B2 JP 5744038 B2 JP5744038 B2 JP 5744038B2 JP 2012534805 A JP2012534805 A JP 2012534805A JP 2012534805 A JP2012534805 A JP 2012534805A JP 5744038 B2 JP5744038 B2 JP 5744038B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amplification
nucleic acid
cycle
target nucleic
parameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012534805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013508848A (ja
Inventor
ヨセフス アルノルドゥス ヘンリクス マリア カールマン
ヨセフス アルノルドゥス ヘンリクス マリア カールマン
タマラ マテア エリザベス ネイセン
タマラ マテア エリザベス ネイセン
ビン イン
ビン イン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koninklijke Philips NV
Original Assignee
Koninklijke Philips NV
Koninklijke Philips Electronics NV
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Koninklijke Philips NV, Koninklijke Philips Electronics NV filed Critical Koninklijke Philips NV
Publication of JP2013508848A publication Critical patent/JP2013508848A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5744038B2 publication Critical patent/JP5744038B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B40/00ICT specially adapted for biostatistics; ICT specially adapted for bioinformatics-related machine learning or data mining, e.g. knowledge discovery or pattern finding

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Software Systems (AREA)
  • Computer Vision & Pattern Recognition (AREA)
  • Data Mining & Analysis (AREA)
  • Databases & Information Systems (AREA)
  • Bioethics (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • Artificial Intelligence (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Evolutionary Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸定量化の分野に関する。
核酸定量化は、分子生物学及び遺伝学的リサーチから診断及び病原体検出にまで及ぶ多くの分野において重要である。充分な量の核酸が存在する場合、ブロット(blot)技法が定量化のために適用されることができる。しかしながら、これらの技法の制限された感度が、多くのケースにおいてそれらの使用を妨げている。
近年開発された定量PCR方法は、はるかに高い感度が必要とされるケースでの解析ツールを提供した。これらの技法は、PCR増幅の最中に生成物の量が指数的に増大し、従って、少数のサイクル後に得られる生成物の量が、従来の手段(例えば蛍光検出)によって検出可能であるということに基づく。更に、原則的には、増幅サイクル数が知られている場合、最初にすなわち増幅の開始時に存在していた生成物の量が、増幅終了時に得られる生成物の量から決定されることができる。
増幅反応の過程において形成されたPCR生成物の一般的なプロットは、増幅プロセスの4つの異なるフェーズを表す(図1を参照):(1)バックグラウンド蛍光及びノイズによって蛍光信号が支配される基底フェーズ(ground phase、GP);(2)PCR生成物からの信号が基底レベルを上回り、指数的に増大する指数フェーズ(exponential phase、EP);(3)PCR試薬の消費及び検出プローブの劣化のようなファクタによって引き起こされる増幅効率の低下のため、信号が指数レートより低いレートで増大する対数線形フェーズ(log-linear phase、LP)(4)増幅反応の減速の増進及び最終的な停止のため、信号のわずかな上昇を伴うプラトーフェーズ(plateau phase、PP)。
しかしながら、今日、PCRプロセスの最中に検出される信号の展開を現実的に記述する物理的モデルは利用可能でない。従って、核酸定量化の今日の方法は、既知の濃度の標準の又は比較される核酸配列をもつ基準サンプルに対して同じPCR反応を実施することを含む較正ステップを実施することを必要とする。多くの場合、標準として使用される核酸配列は、良く知られているハウスキーピング遺伝子である。簡単に述べると、実際、ターゲット核酸配列並びに標準の及び/又は比較されるサンプルが、規定された反応条件下でPCRを適用され、アンプリコンとも呼ばれるPCR生成物の形成が、増幅プロセスの過程において監視される。PCR生成物の検出は、例えば蛍光標識化されたハイブリダイゼーションプローブによって、又は二本鎖PCR生成物を検出するDNAインターカレート蛍光染料によって、達成される。Ct値とも呼ばれる特定の蛍光閾値レベルを得るために必要な増幅サイクルの数が決定され、ターゲットのCt値が、既知の濃度をもつ核酸標準の希釈系列のサンプルのCt値と比較される(絶対定量化)。ターゲットの絶対量を決定するために、標準曲線が、標準サンプルのCt値から構築され、ターゲットの初期濃度を決定するために使用される。代替として、ターゲットのCt値は、関心のある単一の比較される核酸のCt値と比較される(相対定量化)。この場合、ターゲットサンプル及び比較サンプルのCt値の比率が決定され、ターゲット核酸配列及び比較核酸配列の初期量の比率を評価するために使用される。
概して、核酸定量化の新しい方法の開発は、多くの課題に直面しており、ある課題は、いくつかのアプリケーションが後に詳しく述べられるように完全な自動化を必要とすることによるものであり、ある課題は、較正プロセスに関連する。
Ct値の判定を用いる核酸定量化の方法によって必要とされる較正プロセスは、多くの潜在的な制約をもたらす。まず第1に、標準サンプルの検査は、付加の実験努力及び資源を必要とする。第2に、これらの方法は、標準サンプル及びターゲットサンプルの増幅効率が同じであるという前提に基づく。重要なことには、この前提は、一般に正確ではなく、従って不正確のソースを提供する。
定量PCRの分野における更なる課題は、短い時間間隔で多数のサンプルを解析するニーズの増大に関連する。定量PCRに関するますます広範囲にわたるアプリケーションは、例えば臨床業務において、非常に多数のサンプルの高スループットの解析を要求するので、完全に自動化されることが可能であるとともに人間との対話をほとんど又は全く要求しない定量PCR方法を開発する必要がある。これは、ある状況では極めて重要である。その理由は、(例えば臨床業務における)高スループットのアプリケーションは、人間との対話が必要とされるならば、要求される短い時間期間内に実施されることができなくなってしまうからである。
このような自動化された方法によって達成されることができる付加の利点は、非常に多様な定量PCRに関するラボプロトコルを現在用いているさまざまなラボ間での解析データの比較可能性が改善されることである。このことは、基本的なリサーチのために定量PCR技法を使用するラボが増大しているという観点で極めて重要である。自動化された方法を定量化実験の目標基準として確立することは、ラボ間の整合性を高めることにより、それらのリサーチ努力に大きな利益を与える。
核酸定量化のために、Ct値判定を用いる2つの方法、具体的には二次導関数最大法及びシグモイドカーブフィッティング方法が利用可能であり、これらは、完全な自動化に原則的に適していると思われる。二次導関数最大法の場合、増幅曲線の二次導関数の最大値が、数値的に求められる。対応するサイクルは、指数増加フェーズの終了を表すものとされ、そこで、反応は減速し始めて、線形増加になる。このサイクル数が、Ctと同様に、ターゲットの量を決定するために使用される。シグモイドカーブフィッティング方法の場合、シグモイド関数が、増幅曲線に対してモデル化される。曲線の変曲点に対応するサイクル数が、モデルから得られることができ、Ctと同様に、ターゲットの量を決定するために使用される。しかしながら、二次導関数最大法及びシグモイドカーブフィッティング方法は、高い感度を要求するアプリケーションについて限定的に使用されることが分かっている(JD Durtschi et al., Analytical Biochemistry, 361 (2007), pp. 55-64)。更に、これらの方法は両方とも、較正ステップを必要とする。加えて、シグモイドカーブフィッティング方法を用いるプロセスにおいて増幅曲線に対しモデル化されるシグモイド関数は、非常に理想化されたものであり、PCRプロセスの最中に検出される信号の展開を記述する物理的モデルとして決して考えることができない。
従って、本発明の目的は、高い感度を必要とするターゲット核酸配列の完全に自動化された定量化に適した方法を提供することである。更に、本発明の目的は、ターゲットサンプル及び標準サンプルの比較を必要としない方法、すなわち較正ステップを必要としない方法を提供することである。更に、本発明の目的は、増幅プロセスの最中に検出される信号の非常に詳細な解析を可能にする物理的モデルを提供することである。
本発明の一実施形態により、ターゲット核酸配列の増幅曲線から情報を得る方法であって、
(a)増幅曲線を記述し、記録される信号に影響を与える物理量に関連する少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのモデル関数を規定するステップと、
(b)前記増幅曲線に対し前記モデル関数をフィッティングするステップと、
(c)前記モデル関数のベストフィットを与える前記パラメータの値を識別することによって、前記物理量に関する情報を得るステップと、
を含む方法が提供される。
増幅プロセスのさまざまなフェーズを示す増幅反応の過程において得られる一般的な増幅曲線を示す図である:GP=基底フェーズ、EP=対数フェーズ、LP=対数線形フェーズ、PP=プラトーフェーズ。Cは、サイクル数を示し、Iは、実験者によって用いられた画像解析ソフトウェアによって記録された信号強度を示す。当業者に知られているこれらの多数のソフトウェアプログラムがある。 増幅曲線に対するモデル関数IF(n)のフィットを決定する方法を示す概略図である。 本発明により決定される結果(A)に対してプロットされた、一連のサンプル中のターゲットDNAの絶対的な初期量(B)を示す図である。解析結果は、最初に存在していたターゲットDNAの初期量に一致する。 一連のサンプルについて本発明により決定され、互いに対してプロットされたパラメータE(E)及びα(A)を示す図である。円は、ターゲットDNAを含む通常のサンプルを示し、四角は、ターゲットDNAを含まないサンプルを示す。通常のサンプルに関するデータポイントを含むはっきり区別できるクラスタの存在は、E及びαが、正常に機能しない増幅反応を伴うサンプルを識別し、可能性として排除するために使用されることができることを示し、そうでなければ、誤った解釈がもたらされることがある。 一連のサンプルについて本発明により決定され、互いに対してプロットされたパラメータE及びαを示す図である。ひし形は、ターゲットDNAを含む通常のサンプルを示し、四角は、ターゲットDNAを含まないサンプルを示す。各サンプルタイプごとのデータポイントを含むはっきり区別できるクラスタの存在は、E及びαが、正常に機能しない増幅反応を伴うサンプルを識別し、可能性として排除するために使用されることができることを示し、そうでなければ、誤った解釈がもたらされることがある。 排泄物を含むPCRサンプルを用いて実施されたPCR反応の過程において得られた増幅曲線(C)と、モデル関数のベストフィット(A)と、増幅効率(B)とを示す図。 排泄物を含まないPCRサンプルを用いて実施されたPCR反応の過程において得られた増幅曲線(C)と、モデル関数のベストフィット(A)と、増幅効率(B)とを示す図。
図面について説明を補足する。図6A及び図6Bは、2つのPCRサンプルを用いて実施されたPCR反応の過程において得られた増幅曲線(C)と、モデル関数のベストフィット(A)と、増幅効率(B)とを示しており、一方は、49%の排泄物が加えられたものであり、他方は、排泄物が加えられなかったものである。実施例4に記述されるように、排泄物を含まないサンプルについて決定された増幅効率のプロット(図6A)と、排泄物を含むサンプルのプロット(図6B)との比較は、排泄物の存在が増幅反応の効率に重大且つ不利益な影響を与えることを示す:図6Aの増幅効率は1.0から始まり、図6Bの増幅効率は0.51から始まる。
本発明のために利用できる核酸は、DNA、RNA、及び修飾されたバックボーン及び/又は塩基構造を有する核酸を含む。通常、増幅は、当業者に利用可能な方法及び計器を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施される。しかしながら、本発明の目的のために、PCRによって増幅されることができない核酸が、当業者に知られている手段によって、DNAに直接的に転写されなければならないこともある。RNAは、例えば逆転写酵素を使用する増幅の前に、DNAに転写されなければならないことがある。対応する核酸の当初の量の再構築を可能にするために、このような転写プロセスは、DNAに転写された核酸の量と転写の過程で生成されたDNAとの比率に関する非常に良く作られた前提を可能にする条件下で、実施されなければならない。このタイプの反応条件は、当分野において良く知られている。
本発明を実践する過程の中で増幅される各々の核酸配列は、通常、選択的な態様で増幅される。PCRの最中の選択的な増幅を達成する1つの方法は、特異的配列プライマーの使用である。このようなプライマーの設計及び使用は、当業者に良く知られている。
本発明の目的のために、PCRによる核酸増幅、すなわちアンプリコンとしても知られる増幅反応による核酸の生成は、前記核酸配列の増幅に相関する信号を記録することによって検出される。これは、通常、蛍光レポータプローブ(本明細書において蛍光レポータ又はレポータプローブとも呼ばれる)によって達成される。このような蛍光レポータプローブは、当分野において良く知られている。本発明の一実施形態において、蛍光レポータプローブは、ハイブリダイゼーション条件下でターゲット核酸配列に特異的にバインドするとともに、その配列の一端に蛍光基をもち、その配列の他端に対応するクエンチャ基をもつオリゴヌクレオチドを含む。当該状態での蛍光基及びクエンチャ基の接近は、蛍光放出を妨げる。しかしながら、蛍光レポータプローブの中央のオリゴヌクレオチドが、次の増幅サイクルの途中に壊されると、フルオロフォア及びクエンチャの接近が失われ、その結果、蛍光放出を生じさせる。従って、増幅生成物、すなわちアンプリコンの量の増加は、蛍光の比例増加をもたらす。本発明の別の実施形態において、(TaqMan)蛍光レポータプローブは、FRET(蛍光エネルギー移動)プローブである。本発明の一実施形態において、蛍光レポータプローブは、PCRプライマーの1つである。本発明の好適な実施形態において、核酸増幅は、蛍光レポータプローブを用いて検出される。
本発明によれば、核酸配列の増幅に相関する信号が、増幅反応の過程において記録される。増幅反応のサイクルの過程において記録された信号の表現が、増幅曲線として示される。通常、このような信号は、蛍光放出である;しかしながら、当分野において用いられる他の信号も同様に本発明に含まれる。蛍光放出は、蛍光染料によってリリースされることができ、それらのいくつかは、当分野において知られている。ある蛍光染料は、同じサンプル中の並列の検出を可能にするために充分に分離される吸収及び放出スペクトルを有する。増幅反応の過程における信号の記録は、チャンバ内の異なるカラーチャネル間の光学クロストークによって乱されることがあり、これは、理想には及ばない光学フィルタ及びフルオロフォアの結果である。更に、実験装置の外部コンポーネントの自己蛍光が、信号の記録を乱すことがあり、例えば、反応のために使用されるプラスチックコンテナが、励起波長に応答し、蛍光を放出することがある。本発明の好適な実施形態において、光学クロストーク及び自己蛍光に起因する外乱が、当分野において知られている方法によって低減される。本発明の好適な実施形態において、光学クロストーク及び自己蛍光に起因する外乱の低減後の、増幅反応のサイクルの過程において記録された信号の表現が、増幅曲線として示される。自己蛍光に起因する外乱を低減するための簡素なやり方は、コンテナは存在するが増幅反応のために使用される試薬はないという状況で、実験装置の信号オフセットを決定することである。増幅反応の間に記録された信号が、このオフセットについて補正される。光学クロストークに起因する外乱を低減するための簡素なやり方は、既知の濃度の非消光(unquenched)フルオロフォアを測定することによって、それぞれ異なるカラーチャネル間のクロストークを記述するクロストークマトリックスを決定することである。このクロストークマトリックスは、増幅反応の間に記録された信号を補正するために使用されることができる。
本発明の方法を実施する過程において、増幅曲線を記述するモデルであって、記録される信号に影響を与える物理量に関連する少なくとも1つのパラメータを含むモデルが、規定される。モデルは、1又は複数のモデル関数を含むことができる。好適な実施形態において、モデルは、幾つかのモデル関数を含む。
記録される信号に影響を与える物理量は、増幅反応自体に関連する量、又は測定装置に関連する量でありうる。好適な実施形態において、物理量は、増幅プロセスの最中の信号ノイズの生成に関連する。別の好適な実施形態において、物理量は、増幅プロセスの抑制に関連する。別の好適な実施形態において、物理量は、増幅プロセスの最中のフルオロフォアの非自己消光(非自然消光、spontaneous unquenching)に関連する。別の好適な実施形態において、物理量は、(i)ターゲット核酸配列の絶対的な初期量、(ii)ターゲット核酸配列の初期増幅効率、(iii)増幅反応の抑制の程度、(iv)増幅プロセスのために使用される反応コンテナによる信号吸収の程度、から選択される。
本発明の方法を実施する過程において、少なくとも1つのモデル関数を含むモデルが、増幅曲線に対してフィッティングされる。このようなモデルのベストフィットを決定する方法は、当分野において知られており、使用されるモデルに従って選択される。好適な実施形態において、このようなモデルのベストフィットは、以下のように決定される:最初に、例えば二乗フィッティング誤差のような費用関数が規定される。この費用関数は、例えばCt付近のデータポイントである、曲線の特定部分を強調するように重み付けされることができる。反復的なニュートンラプソン最小法、可変ステップサイズ方法が、費用関数を最小にするために使用される。
本発明の方法を実施する過程において、パラメータ値が、モデルのベストフィットについて識別される。対応する値は、これらのパラメータが関連する物理量に関する情報を含む。
本発明の好適な実施形態において、例えばTaqMan蛍光レポータプローブを使用する状況において、増幅曲線を記述する以下のモデル関数IF(n)が規定される;ターゲット核酸配列の絶対的な初期量N及びパラメータE、α、ε、γのような、記録される信号に影響を与える物理量に関連するパラメータが選ばれる:
Figure 0005744038
ここで、
n=サイクル数;
N(n)=サイクルnにおけるターゲット核酸分子の数;
=N(0)ターゲット核酸配列の絶対的な初期数;
uq(n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
uq=非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
(n)=サイクルnにおける消光(quenched)蛍光レポータの数;
=消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
γ=増幅プロセスを実施するために使用されるコンテナの吸収特性に関するパラメータ;
=蛍光レポータプローブの初期数;
suq(n)=サイクルnにおける非自己消光(spontaneously unquenched)蛍光レポータの数;
β=非自己消光蛍光レポータの割合;
E(n)=サイクルnにおける増幅効率;
=初期増幅効率;
α=増幅プロセスの抑制に関するスケーリングファクタ;
ε=PCRプライマー枯渇に対する増幅プロセスの感度に関するパラメータ。
増幅曲線に対するモデルのベストフィットを決定するために、以下の処理が、図2に示されるように実施される。
準備フェーズにおいて、パラメータ空間が、N、α、E、ε、γのパラメータの各々について規定され、ステップk1乃至k5に分割される。すなわち、Nに関して[N_1,N_2,...,N_k1]が規定され、αに関して[α_1,α_2,...,α_k2]が規定され、Eに関して[E_1,E_2,...,E_k3]が規定され、εに関して[ε_1,ε_2,...,ε_k4]が規定され、γに関して[γ_1, γ_2,...,γ_k5]が規定される。それぞれ異なるパラメータのk1乃至k5のステップ数は、同じである必要はないが、正確さ及び計算努力のバランスをとるために適切に選択されることができる。各パラメータによってカバーされるパラメータ空間は、期待されるバリエーションに従って規定される。
更に、I、Iuq及びβの値が、以下のように推定される:Iの推定値を得るために、増幅曲線の最初の数サイクルについての信号強度の値(例えば最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10サイクルからの値)が平均され、蛍光レポータプローブNの初期数によって除算され、これによりIの推定値を与える。Iuqの推定値は、既に推定されたI及び文献(例えばSAE Marras et al. Nucleic Acids Research 2002, Vol. 30, Nr. 21, e122)に記載される消光(クエンチング)効率ηQEを使用して、Iuq=I/(1−ηQE)に従って決定される。増幅曲線の最初の正の傾きは、フルオロフォアの非自己消光を示す;従って、一連の始めのサイクル(例えばサイクル1乃至3、1乃至5、1乃至10、3乃至10又は5乃至10)の最中の増幅曲線の正の傾きが、βの推定値として使用されることができる。
更に、最大サイクル数nmaxが、フィッティング間隔の上限として規定され、すなわち、増幅曲線は、サイクル0乃至nmaxの間でIF(n)とフィッティングされる。nmaxは、例えば、増幅プロセスの最後のサイクルとして規定されることができ、又は代替として、固定の数のサイクルとして、例えばnmax=21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35として規定されることができる。代替として、nmaxは、特異的な増幅曲線のCt値の後の固定数のサイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15)に続くサイクルとして規定されることができる。この場合、Ct値は、当分野において記述される任意の方法によって決定されることができる。代替として、nmaxは、増幅曲線がその最大値の規定された割合より下にある最後のサイクルとして規定されることができる。本発明の好適な実施形態において、nmaxは、増幅曲線がその最大値のX%より下にある最後のサイクルとして規定される。この場合、Xは、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95のグループから選択される。本発明の別の好適な実施形態において、nmaxは、二次導関数最大法によって決定されるCt値の後の10サイクルに続くサイクルとして規定される。
開始フェーズでは、複数のパラメータの開始値が規定される。サイクル数nはn=0にセットされる。パラメータN、α、E、ε、γは、それらの対応するパラメータ空間からの値を割り当てられる。Nは、増幅プロセスのために使用された蛍光レポータプローブの初期数として規定される。I、Iuq及びβは、既に実施された推定に従って規定される。Nsuq(0)は、Nsuq(0)=0にセットされる。Nuq(0)は、Nuq(0)=0にセットされる。N(0)は、N(0)=N−Nuq(0)にセットされる。Iは、
Figure 0005744038
にセットされる。
次いで、サイクル数がn=1にセットされ、次の反復プロセスが実施される:
効率E(n)を求める:
Figure 0005744038
ターゲット核酸配列N(n)の数を求める:
N[n]=N[n−1](1+E[n])
非自己消光蛍光レポータの数Nsuq(n)を求める:
suq(n)=Nsuq[n−1]+β・N[n−1]
非消光蛍光レポータNuq(n)の数を求める:
uq[n]=N[n]+Nsuq[n]
消光蛍光レポータN(n)の数を求める:
[n]=N−Nuq[n]
蛍光強度I(n)を求める:
Figure 0005744038
n>nmaxを評価する;はい=>フィッティング誤差を計算し、N、α、E、ε、γのパラメータ値の次の組に進む;いいえ=>n=n+1をセットする。
>N(n−1)を評価する;はい=>ステップ(a)に進む;いいえ=>E(n)=0をセットし、ステップ(b)に進む。
フィッティング誤差fit_errが、フィット関数IF(n)と増幅曲線との間の差の尺度として計算される。fit_errは、当分野において知られている任意の方法によって計算されることができる。例えば、フィッティング誤差fit_errは、以下のように計算されることができる:
Figure 0005744038
ここで、AC(n)は、サイクルnにおける増幅曲線の信号強度値である。
このプロセスは、パラメータ空間が充分にカバーされるまで、パラメータN、α、E、ε、γの値のそれぞれ異なる組に関して繰り返される。当分野において知られているパラメータ空間の充分なカバレッジを効率的に得るようにパラメータ値を選択する任意の方法が、適用されることができる。好適な実施形態において、開始フェーズの間に規定されるパラメータ値のすべての組み合わせが、計算される。
特異的な増幅曲線の最小フィッティング誤差を与える関数IF(n)が、ベストフィットとして選択され、対応するパラメータ値N 、α、E 、ε、γが識別される。
は、決定されたターゲット核酸配列の絶対的な初期数を表す。N は、解析の前にサンプルに存在していた実際の分子数を表し、物質量の表現を得るためにアボガドロ数の割合として表現されることができる。
パラメータαは、増幅プロセスの抑制に関する情報を提供する。
パラメータE は、増幅反応の効率に関する情報を与え、すなわち、低い効率を有するPCRが、E の低い値に基づいて、容易に識別されることができる。
パラメータεは、PCRプライマー枯渇に対する増幅プロセスの感度に関連する。
パラメータγは、増幅プロセスを実施するために使用されるコンテナの吸収特性に関する情報を与える。
別の実施形態において、本発明の方法は、充分に自動化された形で、大きな正確さ及びロバストネスを伴って、Ct値を得るために使用されることができる。ターゲット核酸配列の絶対的な初期数及び/又は他のパラメータに代わって、Ct値が結果として返されなければならないことを外部の制約が示す場合、この実施形態による方法は有用である。この実施形態に従ってCt値を得るために、付加のステップ(d)が、前記増幅曲線のCt値を決定するために前記モデル関数のベストフィットを使用することによって実施される。
モデル関数のベストフィットは、増幅曲線のCt値を決定するために、当分野において知られている任意の方法によって使用されることができる。本発明の好適な実施形態において、Ct値は、二次導関数最大法を用いることによって、モデル関数のベストフィットから得られる。従って、本発明の好適な実施形態において、ベストフィットの二次導関数最大値が、Ct値として決定され、使用される。
本発明のコンテクストにおいて、得られる又は規定されるサイクル数(例えばCt値)は、整数のサイクル数又は分数のサイクル数として理解されることができる。特定のコンテクストに依存して、どのタイプのサイクル数が用いられるべきかは、当業者には明らかである。本発明の好適な実施形態において、サイクル数は、整数のサイクル数として理解されることができる。
本発明は、核酸配列を解析する方法及び手段を含む。単一の解析が、サンプル中の単一の種のターゲット核酸配列又はサンプル中の2以上の種のターゲット核酸配列に向けられることができる。サンプル中の2以上のターゲット核酸配列が解析を受ける場合、各々のターゲット核酸配列の増幅を監視するために記録される信号は、識別可能な信号でなければならず、すなわち同時に別個に記録されることができる信号でなければならない。このような信号を実現するための方法及び手段は、当分野において良く知られている。例えば充分に分離される吸収及び放出スペクトルを示す蛍光染料が、それらの蛍光信号の同時平行の記録を可能にする。従って、本発明は、サンプル中のいくつかのターゲット配列の同時のマルチプレックス解析を含む。
本発明は、自動化された形で、すなわち人間との対話なしに又は人間との最小の対話のみで、本発明の方法を実施する方法及び手段を含む。好適な実施形態において、本発明は、人間との対話なしに本発明の方法を実施する方法及び手段に向けられる。本発明は、当業者が、人間との対話なしに又は人間との最小の対話のみで本発明の方法を実施するために、当分野で利用可能な機器を使用することを可能にする。好適な実施形態において、本発明は、当業者が、人間との対話なしに本発明の方法を実施するために当分野で利用可能な機器を使用することを可能にする。
本発明は、本発明の方法を実施するための命令を記憶した機械可読媒体を含む。
本発明は更に、本発明の方法を実施するための情報を含む機械可読のメモリ手段を有する核酸サンプルの解析装置を含む。
本発明は更に、核酸配列の相対定量化の方法に関する。本発明による核酸配列の相対定量化は、PCR反応が始まる前のサンプル中の対応するターゲット核酸配列の量の比率の定量的な尺度を得ることをいう。
本発明により、比較される核酸標準が、ターゲット核酸配列の相対定量化のための基準値を決定するために使用されることができる。サンプル中の1又は複数のこのような比較される核酸配列が、本発明により使用されることができる。PCR反応が開始する前のサンプル中の比較される核酸配列の絶対量は、知られている必要はない。例えば、細胞内のハウスキーピング遺伝子の伝令RNA(「mRNA」)が、比較される核酸標準として使用されることができる。PCRによって増幅されるために、mRNAは、通常、当分野において知られている技法によって、事前にDNAに転写される。
本発明は更に、核酸配列の絶対定量化の方法に関する。本発明による1又は複数の核酸配列の絶対定量化は、PCR反応が開始する前に存在していたサンプル中の1又は核酸配列の量の絶対的な尺度及び/又はその後の解析を得ることをさす。その後の解析は、とりわけ、例えばターゲット核酸配列のコピー数を決定することを含みうる。
実施例:
実施例1
本発明の方法の信頼性を調べるために、既知の濃度を有するDNAサンプルが解析され、その結果が、使用されたDNA濃度と比較された。
黄色ブドウ球菌ATCC-25923からクローニングされたpCR2.1-TOPO中の442 Sau3Alゲノム断片の5'部位からのターゲット核酸配列(256塩基対)を含む黄色ブドウ球菌のDNAサンプルの25μlボリュームが、希釈によって得られた25μl当たり10、10、10、10、10、10のコピー濃度について、ABI 7099HTバージョン2.3リアルタイムPCRサイクラの別個のバイアル内でPCRの40サイクルにより増幅された。PCR反応のために、ABI社のTaqman Universal PCRマスターミックス及びTaqmanプローブFAM-Black Hole Quencher 1が使用された。増幅曲線が記録された。
モデル関数IF(n)が、以下のように規定され、記録される信号に影響を与える物理量に関連するパラメータが、ターゲット核酸配列の絶対的な初期量N及びパラメータE、α、ε及びγとして選ばれた。
Figure 0005744038
n=サイクル数;
N(n)=サイクルnにおけるターゲット核酸分子の数;
=N(0)ターゲット核酸配列の絶対的な初期数;
uq(n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
uq=非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
(n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
=非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
γ=増幅プロセスを実施するために使用されるコンテナの吸収特性に関するパラメータ;
=蛍光レポータプローブの初期数;
suq(n)=サイクルnにおける非自己消光蛍光レポータの数;
β=非自己消光蛍光レポータの割合;
E(n)=サイクルnにおける増幅効率;
=初期増幅効率;
α=増幅プロセスの抑制に関するスケーリングファクタ;
ε=PCRプライマー枯渇に対する増幅プロセスの感度に関するパラメータ。
増幅曲線に対するモデルのベストフィットを決定するために、以下の処理が実施された:
最初に、パラメータ空間が、パラメータN、α、E、ε、γの各々について規定され、各ステップに分割された。すなわち、N:100.5のステップサイズで10から1010まで規定され、α:0.1のステップサイズで1から2まで規定され、E:0.1のステップサイズで0から1まで規定され、ε:0.05のステップサイズで0.1から0.5まで規定され、γは0と規定された。
更に、I、Iuq及びβの値が以下のように推定された:線形回帰が、増幅曲線のサイクル5から10まで実施され、結果的に得られたフィットされたラインを消光フルオロフォアの数Nで除したものの切片が、Iの推定値として使用された。Nは、Np=NAvogadro * creporter probe * Vと計算された。Iuqは、ηQE=0.8として、Iuq=I/(1―ηQE)と推定された。βは、増幅曲線のサイクル5から10までの線形回帰の傾きとして推定された。
フィッティング間隔の上限として規定される最大サイクル数nmaxが、増幅曲線がその最大値の90%を下回る最後のサイクルとして規定された。
次いで、開始値が、複数のパラメータについて規定された。サイクル数nは、n=0にセットされた。パラメータN、α、E、ε、γは、それらの対応するパラメータ空間からの値を割り当てられた。Nは、増幅プロセスに使用される蛍光レポータプローブの初期数として、Np=NAvogadro * creporter probe * Vと規定された。
、Iuq及びβが、既に実施された推定に従って規定された。Nsuq(0)は、Nsuq(0)=0にセットされた。Nuq(0)は、Nuq(0)=0にセットされた。N(0)は、N(0)=N−Nuq(0)にセットされた。Iは、
Figure 0005744038
にセットされた。
次いで、サイクル数がn=1にセットされ、次の反復プロセスが実施された:
効率E(n)を求める:
Figure 0005744038
ターゲット核酸配列N(n)の数を求める:
N[n]=N[n−1](1+E[n])
非自己消光蛍光レポータNsuq(n)の数を求める:
suq[n]=Nsuq[n−1]+β・N[n−1]
非消光蛍光レポータNuq(n)の数を求める:
uq[n]=N[n]+Nsuq[n]
消光蛍光レポータN(n)の数を求める:
[n]=N−Nuq[n]
蛍光強度I(n)を求める:
Figure 0005744038
n>nmaxを評価する;はい=>フィッティング誤差を計算し、N、α、E、ε、γのパラメータ値の次の組に進む;いいえ=>n=n+1をセットする。
>N(n−1)を評価する;はい=>ステップ(a)に進む;いいえ=>E(n)=0をセットし、ステップ(b)に進む。
フィッティング誤差fit_errが、適当な関数IF(n)と増幅曲線との間の差の尺度として、以下のように計算された。
Figure 0005744038
ここで、AC(n)は、サイクルnにおける増幅曲線の信号強度値である。
このプロセスは、初期フェーズの間に規定されたパラメータ値のすべての組み合わせが計算されるまで、パラメータN、α、E、ε、γの異なる値の組に関して繰り返された。
特異的な増幅曲線の最小フィッティング誤差を与えた関数IF(n)が、ベストフィットとして選択され、対応するパラメータ値N 、α、E 、ε、γが識別された。
図3は、使用されたターゲットDNAの実際量(B)と比較される解析結果(A)を示す。データポイントは、R=0.9629のピアソン係数に関するY=1.027Xの線形グラフに収束し、これは、解析結果が、PCR反応に最初に使用されたDNA量とぴったり一致することを示す。
実施例2
本発明の方法により得られるパラメータは、増幅プロセスの品質を評価するために使用されることができる。以下の実施例において、本発明の方法により得られたパラメータE対αのプロットは、低い増幅品質を有するサンプルを識別した。これは、これらのサンプルについて得られた例えば初期のターゲット核酸配列濃度のようなデータが、グループ内の他のサンプルのデータと比較できないことを示す。更に、これらのパラメータは、信頼できる増幅曲線と増幅反応が行われなかった曲線とを区別するために使用されることもできる。
36のPCR反応が、TaqMan Universalマスターミックス(2×):アプライドバイオシステムズ社(4304437)ロットK15898(01/31/10)及び黄色ブドウ球菌PCRプライマー及びプローブ:1033-001 Sa_442_PR1129F23 10μM, 1034-001 S.aur_442_R2 10μM 及び1035-001 S.aur_442_TQM2_FAM 10μMを使用して、ソフトウェアv1.1のBio-Rad CFXリアルタイムPCR機器において実施された:サンプルは、以下のように準備された:Topo1/黄色ブドウ球菌プラスミドDNAが希釈され、それにより、0、10、10及び10コピーのサンプル(10コピーを有する13のサンプル、10コピーを有する11のサンプル、10のコピーを有する8のサンプル、及びターゲットDNAを含まない4のサンプル(NTC))が得られた。
モデル関数IF(n)及びパラメータは、実施例1のように規定された。パラメータ空間が、パラメータの各々について規定された。すなわち、N:100.5のステップサイズで10から1010まで規定され、α:0.2のステップサイズで1から3まで規定され、E:0.01のステップサイズで0から1まで規定され、ε:0.05のステップサイズで0.1から0.7まで規定され、γは0と規定された。方法の残りの部分は、実施例1に説明したように実施された。
図4は、得られたEの値(E)に対してプロットされたαの結果の値(A)を示す。データポイントのほとんどは、グラフの右側に密集しており、すなわち、Eの高い値を示す。しかしながら、データポイントの幾つかは、Eのより低いレベルに、すなわち左側に位置する。興味深いことに、これらのデータポイントのすべては、ターゲットDNAを全く含まなかったサンプルに対応する。これは、E及びαが、更なる検査を受けるべきであるデータポイントを識別し、それらが測定アーチファクトの結果であるかどうかを判定するために使用されることができる。
実施例3
本発明の方法により得られるパラメータは、増幅プロセスの品質を評価するために使用されることができる。以下の実施例において、本発明の方法により得られたパラメータE対εのプロットは、低い増幅品質をもつ増幅反応を識別した。これは、これらのサンプルについて得られた例えば初期の核酸配列ターゲット濃度のようなデータが、他のサンプルのデータと比較できないことを示す。
黄色ブドウ球菌ATCC-25923からクローニングされたpCR2.1-TOPO中の442 Sau3Alゲノム断片の5'部位(256塩基対)から得られたターゲット核酸配列を含む黄色ブドウ球菌のDNAサンプルの25μlボリュームが、希釈によって得られた25μl当たり10、10、10、10、10、10のコピー濃度について、ABI 7099HTバージョン2.3リアルタイムPCRサイクラの別個のバイアル内でPCRの40サイクルにより増幅された。PCR反応のために、ABI社のTaqman Universal PCRマスターミックス及びTaqmanプローブFAM-Black Hole Quencher 1が、使用された。増幅曲線が記録された。
実験の残りの部分は、実施例1に説明したように、実施された。
図5は、得られたEの値に対してプロットされたεの結果の値を示す。データポイントのほとんどは、グラフの右上角に密集している。しかしながら、データポイントの幾つかは、グラフの左下方に位置する。興味深いことに、これらのデータポイントの全ては、ターゲットDNAを全く含まなかったサンプルに対応する。これは、E及びεが、更なる検査を受けるべきであるデータポイントを識別し、それらが測定アーチファクトの結果であるかどうかを判定するために使用されることができる。
実施例4
PCR反応が、2つのPCRサンプルについて実施された。一方のサンプルは、49%の排泄物が加えられたものであり、他方のサンプルは排泄物が加えられなかったものである。それぞれの増幅曲線が、上述の実施例に説明したように得られた。次いで、モデル関数IF(n)のベストフィット及び対応するフィットパラメータが、上述の実施例に説明したように得られた。
図6A及び図6Bは、各増幅反応のサイクルの過程において得られた増幅曲線のプロット(C)と、モデル関数のベストフィット(A)と、増幅効率(B)と、を示す。排泄物を含まないサンプル(図6A)及び排泄物を含むサンプル(図6B)について決定された増幅効率のプロットの比較は、排泄物の存在が、増幅反応の効率に重大且つ不利益な影響を及ぼすことを示した。図6Aの増幅効率は1.0から始まり、図6Bの増幅効率は0.51から始まる。本発明の方法により決定される増幅効率のプロットは、このような重大且つ不利益な効果を表すための有用なツールである。

Claims (9)

  1. ターゲット核酸配列の増幅曲線から情報を得るためにコンピュータに
    (a)増幅曲線を記述し、記録される信号に影響を与える物理量に関連する少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのモデル関数を規定するステップと、
    (b)前記増幅曲線に対し前記モデル関数をフィッティングするステップと、
    (c)前記モデル関数のベストフィットを与える前記パラメータの値を識別することによって、前記物理量に関する情報を得るステップと、
    実行させるための命令を記憶した機械可読媒体であって、
    前記パラメータは、前記ターゲット核酸配列の絶対的な初期量N 及びパラメータE 、α、ε及びγであり、前記モデル関数はIF(n)と規定され、
    Figure 0005744038
    であり、
    n=サイクル数;
    N(n)=サイクルnにおけるターゲット核酸分子の数;
    =N(0)ターゲット核酸配列の絶対的な初期数;
    uq (n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
    uq =非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
    (n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
    =非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
    γ=増幅プロセスを実施するために使用されるコンテナの吸収特性に関するパラメータ;
    =蛍光レポータプローブの初期数;
    suq (n)=サイクルnにおける非自己消光蛍光レポータの数;
    β=非自己消光蛍光レポータの割合;
    E(n)=サイクルnにおける増幅効率;
    =初期増幅効率;
    α=増幅プロセスの抑制に関するスケーリングファクタ;
    ε=PCRプライマー枯渇に対する増幅プロセスの感度に関するパラメータ
    である、
    機械可読媒体
  2. 前記物理量は、増幅プロセスの間の信号ノイズの生成に関連する物理量と、前記増幅プロセスの抑制に関連する物理量と、前記増幅プロセスの間のフルオロフォアの非自己消光に関連する物理量と、から選択される物理量である、請求項1に記載の機械可読媒体
  3. 前記物理量は、前記ターゲット核酸配列の絶対的な初期量と、前記ターゲット核酸配列の初期増幅効率と、増幅反応の抑制の程度と、増幅プロセスに使用される反応コンテナによる信号吸収の程度と、から選択される、請求項1に記載の機械可読媒体
  4. 前記増幅曲線から得られる前記情報が前記増幅曲線のCt値であり、前記コンピュータに
    (d)前記増幅曲線の前記Ct値を決定するために前記モデル関数の前記ベストフィットを使用するステップ、
    実行させるための命令を更に含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の機械可読媒体
  5. サンプル中の1つのターゲット核酸配列が同時に解析される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の機械可読媒体
  6. サンプル中の2以上のターゲット核酸配列が同時に解析される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の機械可読媒体
  7. 光学クロストーク及び自己蛍光から生じる外乱を低減した後の、増幅反応のサイクルの過程において記録された信号の表現が、前記増幅曲線として使用される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の機械可読媒体
  8. すべての前記ステップは、PCRプロセスの最中の人間との対話なしに、完全に自動化された態様で実施される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の機械可読媒体
  9. 核酸サンプルの解析装置であって、
    ターゲット核酸配列の増幅曲線から情報を得るために
    (a)増幅曲線を記述し、記録される信号に影響を与える物理量に関連する少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのモデル関数を規定するステップと、
    (b)前記増幅曲線に対し前記モデル関数をフィッティングするステップと、
    (c)前記モデル関数のベストフィットを与える前記パラメータの値を識別することによって、前記物理量に関する情報を得るステップと、
    を実行するためのプログラムを含む機械可読のメモリ手段を有する、拡散サンプルの解析装置において、
    前記パラメータは、前記ターゲット核酸配列の絶対的な初期量N 及びパラメータE 、α、ε及びγであり、前記モデル関数はIF(n)と規定され、
    Figure 0005744038
    であり、
    n=サイクル数;
    N(n)=サイクルnにおけるターゲット核酸分子の数;
    =N(0)ターゲット核酸配列の絶対的な初期数;
    uq (n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
    uq =非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
    (n)=サイクルnにおける非消光蛍光レポータの数;
    =非消光蛍光レポータの蛍光強度パラメータ;
    γ=増幅プロセスを実施するために使用されるコンテナの吸収特性に関するパラメータ;
    =蛍光レポータプローブの初期数;
    suq (n)=サイクルnにおける非自己消光蛍光レポータの数;
    β=非自己消光蛍光レポータの割合;
    E(n)=サイクルnにおける増幅効率;
    =初期増幅効率;
    α=増幅プロセスの抑制に関するスケーリングファクタ;
    ε=PCRプライマー枯渇に対する増幅プロセスの感度に関するパラメータ
    である、
    核酸サンプルの解析装置
JP2012534805A 2009-10-21 2010-10-14 増幅反応の解析ツール Active JP5744038B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP09173608.2 2009-10-21
EP09173608 2009-10-21
PCT/IB2010/054646 WO2011048529A1 (en) 2009-10-21 2010-10-14 Analyzing tool for amplification reactions

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013508848A JP2013508848A (ja) 2013-03-07
JP5744038B2 true JP5744038B2 (ja) 2015-07-01

Family

ID=43759469

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012534805A Active JP5744038B2 (ja) 2009-10-21 2010-10-14 増幅反応の解析ツール

Country Status (6)

Country Link
US (1) US8990059B2 (ja)
EP (1) EP2491509B1 (ja)
JP (1) JP5744038B2 (ja)
CN (1) CN102576389B (ja)
BR (1) BR112012009108A2 (ja)
WO (1) WO2011048529A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2014265454B2 (en) * 2013-05-15 2019-07-18 Thorne Diagnostics, Inc. Nucleic acid amplification signal acquisition and signal analysis
ES2899739T3 (es) * 2014-08-27 2022-03-14 Hoffmann La Roche Un procedimiento de análisis y sistema para analizar una reacción de amplificación de ácido nucleico
WO2017079696A1 (en) * 2015-11-06 2017-05-11 California Institute Of Technology Devices and methods for direct visual detection and readout of single nucleic acid molecules
CN114058683B (zh) * 2021-11-17 2022-09-30 杭州优思达生物技术有限公司 一种核酸扩增结果判定方法

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6783934B1 (en) 2000-05-01 2004-08-31 Cepheid, Inc. Methods for quantitative analysis of nucleic acid amplification reaction
US7228237B2 (en) 2002-02-07 2007-06-05 Applera Corporation Automatic threshold setting and baseline determination for real-time PCR
EP2107482B1 (en) * 2003-12-06 2014-06-25 Abbott Laboratories Method and system for analyzing reactions using an information system
DE102005052713A1 (de) * 2005-11-04 2007-05-16 Clondiag Chip Tech Gmbh Vorrichtung und Verfahren zum Nachweis von molekularen Wechselwirkungen
CA2586246A1 (en) * 2004-11-03 2006-05-11 Third Wave Technologies, Inc. Single step nucleic acid detection assay employing reverse transcription, polymerase chain reaction and endonuclease cleavage
US20070260440A1 (en) * 2004-11-24 2007-11-08 Karline Piot Method, an Installation, and a Computer Program for Estimating the Initial Size of a Population of Nucleic Acids, in Particular by Pcr
FR2878350B1 (fr) * 2004-11-24 2007-02-16 Bio Rad Pasteur Sa Procede installation et programme d'ordinateur pour estimer l'effectif initial d'une population d'acides nucleiques, notamment par pcr
US8067208B2 (en) * 2005-06-30 2011-11-29 Roche Molecular Systems, Inc. Probes and methods for hepatitis C virus typing using multidimensional probe analysis
CA2627259C (en) * 2005-11-14 2016-02-23 Gen-Probe Incorporated Parametric calibration method
JP5320077B2 (ja) * 2006-03-03 2013-10-23 ユニベルシテ パリ ディドロ−パリ 7 標的核酸配列の電気化学的検出方法
JP4854334B2 (ja) * 2006-03-06 2012-01-18 三洋電機株式会社 核酸増幅生成物のリアルタイム検出装置
CA2648195A1 (en) * 2006-04-04 2007-10-11 Labonnet Ltd. Assessment of reaction kinetics compatibility between polymerase chain reactions
US20090006002A1 (en) * 2007-04-13 2009-01-01 Sequenom, Inc. Comparative sequence analysis processes and systems
US8386184B2 (en) 2007-08-28 2013-02-26 Becton, Dickinson And Company Systems and methods for determining an amount of starting reagent using the polymerase chain reaction
US20100041045A1 (en) * 2007-11-15 2010-02-18 Sigma-Aldrich Co. Nucleic acid fluorescent stains
US9200329B2 (en) * 2008-05-19 2015-12-01 Biofire Diagnostics, Llc Rapid epidemiologic typing of bacteria
US8039215B2 (en) * 2009-03-10 2011-10-18 Roche Molecular Systems, Inc. Multiplex quantitative nucleic acid amplification and melting assay

Also Published As

Publication number Publication date
US8990059B2 (en) 2015-03-24
CN102576389B (zh) 2016-08-03
JP2013508848A (ja) 2013-03-07
CN102576389A (zh) 2012-07-11
BR112012009108A2 (pt) 2019-09-17
EP2491509B1 (en) 2018-04-04
EP2491509A1 (en) 2012-08-29
WO2011048529A1 (en) 2011-04-28
US20120197610A1 (en) 2012-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
San Segundo-Val et al. Introduction to the gene expression analysis
Gunson et al. Practical experience of high throughput real time PCR in the routine diagnostic virology setting
EP2531608B1 (en) Methods for increasing multiplex level by externalization of passive reference in polymerase chain reactions
JP6688318B2 (ja) 多重侵入切断アッセイ
CN105358709B (zh) 用于检测基因组拷贝数变化的系统和方法
Roth Quantifying gene expression
JP2000023669A (ja) 標準曲線と増幅率の推定を使用して試料中の核酸配列の量を決定する方法、装置及びコンピュ―タ・プログラム製品
EP2909343B1 (en) Methods to sequence a nucleic acid
CN103131770B (zh) 基于定量pcr的使用重复dna元件作为阴性对照预测用于下一代测序的靶标富集的效率的方法
JP5810078B2 (ja) 核酸定量方法
KR20190004834A (ko) 신호 변화량 데이터 세트를 이용한 샘플 내 타겟 분석물질 검출 방법
JP5744038B2 (ja) 増幅反応の解析ツール
Bartlett Approaches to the analysis of gene expression using mRNA: a technical overview
Galluzzi et al. Current molecular techniques for the detection of microbial pathogens
KR20130097147A (ko) 표적 염기를 검출하기 위한 rna를 함유한 프로브를 제조하기 위한 방법
CN109576350B (zh) 一种dna与rna同时定量的试剂盒、方法及质控方法
Lai et al. New realm of precision multiplexing enabled by massively-parallel single molecule UltraPCR
Kessler Design and work-up of a new molecular diagnostic assay based on real-time PCR
Klinck et al. High‐Throughput Analysis of Alternative Splicing by RT‐PCR
CN117721202A (zh) 肺癌mrd检测用捕获探针池和试剂盒
CN110747260A (zh) 一种β-内酰胺类抗生素抗性基因blaTEM的特异性引物、检测方法及应用
Boggy Engineering the quantitative PCR assay for decreased cost and complexity
WO2012072813A1 (en) Genotyping application

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140909

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5744038

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250