以下、本発明に係る画像表示装置及び画像処理方法並びに画像処理プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
(画像表示装置)
まず、本発明に係る画像表示装置について説明する。なお、本実施形態においては、画像表示装置として、デジタルフォトフレームやデジタルアートフレーム等の画像再生装置を一例として示して説明する。
図1は、本発明に係る画像表示装置の一実施形態を示す概略外観図である。
まず、本実施形態に係る画像表示装置の外観について説明すると、画像表示装置10は、例えば、図1(a)に示すように、本体11と、表示部12と、操作スイッチ13と、メモリカードスロット14と、クレードル15と、を有している。
本体11は、平板状の筐体からなり、一面側に設けられた表示部12の形状に対応して、例えば楕円形の外形形状を有している。表示部12は、例えば液晶表示パネル等の薄型の表示デバイスであって、本実施形態においては、楕円形状の表示領域を有している。操作スイッチ13は、例えば表示部12周辺の本体11の一面側(いわゆる額縁部分)や、本体の側面等に設けられ、表示部13に表示するデジタル画像や各種メニューの選択、電源のオン/オフ等の操作に用いられる。メモリカードスロット14は、例えばデジタルカメラ等で撮影したデジタル画像が記録されたメモリカードの挿入口である。クレードル15は、本体11を写真立て風に支持するとともに、本体11に対して所定の電源を供給するものである。
なお、図1(a)に示した画像表示装置10は、実施形態の一例を示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る画像表示装置は、例えば図1(b)に示すように、本体11が矩形状の外形形状を有し、自立スタンド16により写真立て風に支持されているものであってもよい。要するに、本発明に係る画像表示装置は、表示部12が矩形形状とは異なる形状の表示領域を有する、いわゆる異形表示パネルからなることを特徴としている。また、図1(a)、(b)においては、操作スイッチ13として、押しボタン型のスイッチを設けた構成を示したが、表示部12に表示されるアイコンを指等でタッチすることにより、所望の機能を実行させるタッチパネルを適用するものであってもよい。
次に、本実施形態に係る画像表示装置のハードウェア構成について、上述した外観と関連付けて説明する。
図2は、本実施形態に係る画像表示装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。なお、図2においては、図示の都合上、機能ブロック間の信号やデータのやりとりを表す矢印を全て示したが、実際には、これらのうちいずれかが単独で、もしくは、複数が有効となって所定の処理が実行される。
図2に示すように、画像表示装置10は、データ処理部20と、ユーザインタフェース部(以下、ユーザI/F部と記す)30と、を備えている。
データ処理部20は、中央演算装置(Central Processing Unit;以下、CPUと記す)21と、読み出し専用メモリ(Read Only Memory;以下、ROMと記す)22と、ランダムアクセスメモリ(Random
Access Memory;以下、RAMと記す)23と、メモリ24と、表示制御部25と、画像処理部26と、を備えている。
ROM22には、例えば、後述する画像変換処理を含む、デジタル画像の表示、再生に関する各種処理、及び、表示制御部25、画像処理部26、表示部31、操作部32、通信部33、ドライブ34を含む各種機能を実行するための各種プログラム(ソフトウェア)が記憶されている。CPU21は、ROM22に記憶されているプログラムに従って処理を行うことで、表示制御部25、画像処理部26、表示部31、操作部32、通信部33、ドライブ34を含む各種機能が実現される。特に、本実施形態においては、画像処理部26が、CPU21からの命令に基づいて、上述した異形表示パネルからなる表示部31(図1の表示部12に相当する)に矩形形状のデジタル画像を表示する際の所定の画像変換処理を実行する。
RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上で必要なデータ等が適宜記憶される。メモリ24は、ダイナミックRAM(Dynamic Random Access Memory;以下、DRAMと記す)やROM等により構成される。DRAMは、後述する画像変換処理に関連する画像データが一時的に記憶される表示バッファを構成するとともに、CPU21の作業領域を構成する。ROMには、例えば後述する画像変換処理や、デジタル画像の表示、再生に関する各種パラメータ等が記憶される。なお、メモリ24には、メモリカード等のリムーバブル記憶媒体40や通信回線等を介して取り込んだデジタル画像や、画像処理部26により所定の画像処理が実行され、表示部31に表示される画像データの保存及び読み出しを行うための表示メモリ領域も含まれている。
表示制御部25は、メモリ24の表示メモリ領域に格納された画像データを読み出し、当該画像データにより表現される画像(後述する変換画像に相当する)を、ユーザI/F部30の表示部31に表示させる制御を実行する。例えば、表示制御部25は、上記メモリ24に保存された画像データに基づいてRGB信号を生成し、当該RGB信号を異形表示パネルからなる表示部31に供給することにより、デジタル画像を表示部31に表示させる。
画像処理部26は、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor;以下、DSPと記す)等で構成され、メモリ24に記憶された画像データに対して、ホワイトバランス補正処理やγ補正処理などの各種画像処理を実行する。加えて、本実施形態においては、画像処理部26は、CPU21からの命令に基づいて、メモリ24に記憶された矩形形状のデジタル画像に対して、後述する各種の画像変換処理を実行して、異形表示パネルからなる表示部31に表示可能な画像データに変換する。
ユーザI/F部30は、図1に示した画像表示装置10の本体11に設けられた、異形表示パネルからなる表示部31と、ユーザの指示操作を受け付ける操作部32(図1の操作スイッチ13に相当する)と、外部機器との間での通信を制御する通信部33と、デジタル画像等が記憶されたメモリカード等のリムーバブル記憶媒体40に対してデータの読み書きを行うドライブ34(図1のメモリカードスロット14に相当する)と、を備えている。
なお、本実施形態においては、データ処理部20へのデジタル画像の取込み方法として、ドライブ34により制御されるメモリカード等のリムーバブル記憶媒体40を介して取り込むものであってもよいし、通信部33により、図示を省略した通信ケーブルや無線通信、赤外線通信等を介して、例えばマルチメディア機器や携帯電話機、デジタルカメラ、ハードディスク装置の外部機器、あるいは、インターネット上のサーバ等に保存されたデジタル画像を取り込むものであってもよい。
また、本実施形態においては、表示制御部25により生成されたRGB信号は、異形表示パネルからなる表示部31に出力させるだけでなく、ユーザI/F部30の通信部33により制御される通信回線等を介して、あるいは、ドライブ34により制御されるリムーバブル記憶媒体40を介して、図示を省略した外部機器に出力させることもできる。これにより、例えばテレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の外部機器においても、所定の画像変換が行われたデジタル画像を表示することができる。
また、操作部32は、図1に示したように、電源ボタン、ズームキー、及び、メニュー設定キー等の操作スイッチ13であって、ユーザの各操作に基づいて所定の操作信号を発生してデータ処理部20へ送出する。例えば、ユーザによりメニュー設定キーが操作され、例えば画像変換モードが指定されると、操作信号がデータ処理部12に送られ、CPU21は、後述する各種の画像変換処理から指定された画像変換処理を実行するように画像処理部26に命令を送出する。このように、ユーザが操作部32を操作することにより、各種操作信号がデータ処理部20に送出されて、CPU21は、当該操作信号に応じが処理を実行する。
(画像処理方法)
次に、本実施形態に係る画像表示装置における画像処理方法について説明する。
ここでは、図1に示したように、楕円形状の表示領域を有する異形表示パネルを備えた画像表示装置において、デジタル画像として一般的に入手される矩形形状の画像(以下、矩形画像と記す)を表示する場合について説明する。また、説明を簡明にするため、異形表示パネルの楕円形状の表示領域の短軸と長軸の比(例えば3:4や9:16等)に、矩形画像の縦横比であるアスペクト比を揃えておき、表示領域の楕円形状に外接するようなサイズの矩形画像を予め準備しておくものとする。なお、アスペクト比が異形表示パネルの短軸と長軸の比に揃っていない場合には、矩形画像の縦横比を事前に変換しておく。
(比較例)
まず、比較のために、矩形画像を歪ませることなく、図1に示したような異形表示パネルの楕円形状の表示領域内に当該矩形画像を表示する場合について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像表示装置における画像処理方法(画像変換処理)の比較例となる、画像表示方法の一例を説明するための概念図である。
この場合においては、図3に示すように、異形表示パネル(表示部12)の楕円形状の表示領域101に外接する矩形画像102を、当該表示領域101の楕円形状に内接するように、相似縮小変換(図中、矢印参照)をすることにより、楕円形状の表示領域101内に相似縮小化された矩形画像(以下、相似縮小変換画像と記す)102pが表示される。
ここで、図3に示した例では、矩形画像102を単に相似縮小変換しただけであるので、表示領域101内に表示された相似縮小変換画像102pには歪みは生じない。しかしながら、表示された相似縮小変換画像102pの外側の領域であって、かつ、楕円形状の表示領域101の内側の領域(図中、ハッチングにて表記)101pは、相似縮小変換画像102pの表示には利用されない、別用途又は未使用の表示領域となる。すなわち、この場合には、矩形画像102であるデジタル画像が、楕円形状を有する表示領域101内に、単に縮小表示又は縮小再生されているにすぎず、異形表示パネル特有の表示領域の形状を利用して、表示画像を鑑賞するユーザを十分楽しませることができる効果的で趣向を凝らした表示方式を提供することができない。
(第1の画像変換処理)
次いで、矩形画像を縦方向に直線的に歪ませて、楕円形状の表示領域全域に当該矩形画像を表示する第1の画像変換処理について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像処理方法に適用される第1の画像変換処理を説明するための概念図である。
第1の画像変換処理においては、図4に示すように、横方向(x方向)の座標に依存した異なる縮小率で縦方向(y方向)に矩形画像102を直線的に縮小変換(図中、矢印参照;以下、y方向縮小変換と記す)することにより、楕円形状の表示領域101全域に、矩形画像102が異方性縮小された楕円形状の画像(以下、変換画像と記す)102yとして表示される。
具体的には、図4(a)に示すように、表示領域101の外形に対応する楕円に対して(x,y)直線座標を規定し、当該楕円の短軸長をW、楕円の長軸長をLと設定する。図4(a)における横方向(x方向)の任意の位置x0におけるx=x0の直線LN(x0)と、表示領域101の外形に対応する楕円との交点Pa(x0)とPb(x0)間の距離をW1(x0)と設定すると、矩形画像102におけるx=x0の直線LN(x0)上の長さWの画像データが、y方向縮小変換により長さW1(x0)の画像データに縮小変換される。このときの縮小率Sxは、Sx(x)=W1(x)/Wで表すことができ、図4(b)に示すように、縮小率Sxは、x=0で最大値:1であり、x=±L/2で最小値:0となる。ここで、縮小率Sx(x)は、楕円の形状から一意的に定まるものである。
このような第1の画像変換処理(y方向縮小変換処理)について、適切な(u、v)曲線座標の観点から再考すると、次のように説明することができる。
図5は、本実施形態に係る第1の画像変換処理を曲線座標の観点から説明するための概念図である。
図4に示した第1の画像変換処理は、換言すると、図5に示すように、矩形画像の横方向の画像データを曲線的に歪ませて、楕円形状の表示領域全域に当該矩形画像を表示する画像処理方法に相当する。
すなわち、上述した画像変換処理においては、図5に示すように、縦方向(y方向)の座標に依存した異なる拡大率Myで、表示領域101の外形に対応する楕円に沿って、矩形画像102の横方向(x方向)の画像データを異方的に拡大変換することにより、楕円形状の表示領域101に矩形画像102が表示される。
具体的には、図5(a)に示すように、表示領域101の外形に対応する楕円の左右端(±L/2,0)を極とする適切な(u、v)曲線座標1を設定し、当該楕円の短軸長をW、楕円の長軸長をLと設定する。図5(a)における縦方向(y方向)の任意の位置y0におけるy=y0の直線LN(y0)上の長さLの画像データが、y=y0に接する曲線座標:u=u0に沿った長さL1(y0)の曲線CL1(y0)からなる画像データに変換される。このときの拡大率Myは、My(y)=L1(y)/Lで表すことができ、図5(b)に示すように、拡大率Myは、y=0で最小値:1であり、y=±W/2で最大値:Q/L(>1)となる。ここで、Qは楕円の周囲長の1/2である。
このように、図4及び図5に示した画像処理方法においては、矩形画像102は縦方向(y方向)に直線的に歪むことになるが、楕円形状の表示領域101全域に画像変換された矩形画像102が表示される。ここで、図4及び図5において、横方向の画像端(x=±L/2)では上記縮小率Sxが最小となり、かつ、縦方向の画像端(y=±W/2)では上記拡大率Myが最大となるので、横方向(x方向)の画像端に近いほど、また、縦方向(y方向)の画像端に近いほど、縦方向の潰れ方が大きくなるように画像が表示される。特に、本画像変換処理の場合には、縦方向の直線は直線のまま縮小されるが、横方向の直線は楕円に沿った曲線に拡大される。すなわち、本画像変換処理においては、縦方向(y方向)の直線以外は曲線に変換され、特に横方向(x方向)の直線は表示領域101の外形に対応する楕円に沿って、楕円と同じ曲がり方を有する曲線に変換される。したがって、第1の画像変換処理によれば、矩形画像102であるデジタル画像が、横方向及び縦方向の画像端に近くなるほど特定方向に大きく変形した楕円形状の変換画像102yに変換される。
(第2の画像変換処理)
次いで、矩形画像を横方向に直線的に歪ませて、楕円形状の表示領域全域に当該矩形画像を表示する第2の画像変換処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る画像処理方法に適用される第2の画像変換処理を説明するための概念図である。
第2の画像変換処理においては、図6に示すように、縦方向(y方向)の座標に依存した異なる縮小率で横方向(x方向)に矩形画像102を直線的に縮小変換(図中、矢印参照;以下、x方向縮小変換と記す)することにより、楕円形状の表示領域101全域に、矩形画像102が異方性縮小された楕円形状の画像(変換画像)102xとして表示される。
具体的には、上述した第1の画像変換処理と同様に、図6(a)に示すように、表示領域101の外形に対応する楕円に対して(x,y)直線座標を規定し、当該楕円の短軸長をW、楕円の長軸長をLと設定する。
図6(a)における縦方向(y方向)の任意の位置y0におけるy=y0の直線LN(y0)と、表示領域101の外形に対応する楕円との交点Pa(y0)とPb(y0)間の距離をL1(y0)と設定すると、矩形画像102におけるy=y0の直線LN(y0)上の長さLの画像データが、x方向縮小変換により長さL2(y0)の画像データに縮小変換される。このときの縮小率Syは、Sy(y)=L2(y)/Lで表すことができ、図6(b)に示すように、縮小率Syは、y=0で最大値:1であり、y=±W/2で最小値:0となる。ここで、縮小率Sy(y)は、楕円の形状から一意的に定まるものである。
このような第2の画像変換処理(x方向縮小変換処理)について、適切な(u、v)曲線座標の観点から再考すると、次のように説明することができる。
図7は、本実施形態に係る第2の画像変換処理を曲線座標の観点から説明するための概念図である。
図6に示した第2の画像変換処理は、換言すると、図7に示すように、矩形画像の縦方向の画像データを曲線的に歪ませて、楕円形状の表示領域全域に当該矩形画像を表示する画像処理方法に相当する。
すなわち、上述した画像変換処理においては、図7に示すように、横方向(x方向)の座標に依存した異なる拡大率Mxで、表示領域101の外形に対応する楕円に沿って、矩形画像102の縦方向(y方向)の画像データを異方的に拡大変換することにより、楕円形状の表示領域101に矩形画像102が表示される。
具体的には、図7(a)に示すように、表示領域101の外形に対応する楕円の上下端(0,±W/2)を極とする適切な(u、v)曲線座標2を設定し、当該楕円の短軸長をW、楕円の長軸長をLと設定する。図7(a)における横方向(x方向)の任意の位置x0におけるx=x0の直線LN(x0)上の長さWの画像データが、x=x0に接する曲線座標:v=v0に沿った長さW2(x0)の曲線CW2(x0)からなる画像データに変換される。このときの拡大率Mxは、Mx(x)=W2(x)/Wで表すことができ、図7(b)に示すように、拡大率Mxは、x=0で最小値:1であり、x=±L/2で最大値:Q/W(>1)となる。ここで、Qは楕円の周囲長の1/2である。
このように、図6及び図7に示した画像処理方法においては、矩形画像102は横方向(x方向)に直線的に歪むことになるが、楕円形状の表示領域101全域に画像変換された矩形画像102が表示される。ここで、図6及び図7において、縦方向の画像端(y=±W/2)では上記縮小率Sxが最小となり、かつ、横方向の画像端(x=±L/2)では上記拡大率Mxが最大となるので、縦方向(y方向)の画像端に近いほど、また、横方向(x方向)の画像端に近いほど、横方向の潰れ方が大きくなるように画像が表示される。特に、本画像変換処理の場合には、横方向の直線は直線のまま縮小されるが、縦方向の直線は楕円に沿った曲線に拡大される。すなわち、本画像変換処理においては、横方向(x方向)の直線以外は曲線に変換され、特に縦方向(y方向)の直線は表示領域101の外形に対応する楕円に沿って、楕円と同じ曲がり方を有する曲線に変換される。したがって、第2の画像変換処理によれば、矩形画像102であるデジタル画像が、横方向及び縦方向の画像端に近くなるほど特定方向に大きく変形した楕円形状の変換画像102xに変換される。
(第3の画像変換処理)
次いで、矩形画像を縦方向及び横方向に曲線的に歪ませて、楕円形状の表示領域全域に当該矩形画像を表示する第3の画像変換処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る画像処理方法に適用される第3の画像変換処理を説明するための概念図である。
第3の画像変換処理においては、図8に示すように、横方向(x方向)の座標に依存した異なる拡大率で、表示領域101の外形に対応する楕円に沿って矩形画像102を異方的に拡大変換することにより、楕円形状の表示領域101全域に、矩形画像102が異方性拡大された楕円形状の画像(変換画像)102zとして表示される。
具体的には、図8(a)のように、表示領域101の外形に対応する楕円の左右端(±L/2,0)を極とする適切な(u、v)曲線座標1を設定し、当該楕円の短軸長をW、楕円の長軸長をLと設定する。図8(a)における横方向(x方向)の任意の位置x0におけるx=x0の直線LN(x0)上の長さWの画像データが、x=x0に接する曲線座標:v=v0に沿った長さW3(x0)の曲線CW3(x0)からなる画像データに変換される。このときの縮小率Txは、Tx(x)=W3(x)/Wで表すことができ、図8(b)に示すように、縮小率Txは、x=0で最大値:1であり、x=±L/2で最小値:0となる。ここで、縮小率Tx(x)は、楕円の形状から一意的に定まるものである。
このように、図8に示した画像処理方法においては、矩形画像102は表示領域101の外形に対応する楕円に沿って歪むことになるが、楕円形状の表示領域101全域に画像変換された矩形画像102が表示される。ここで、図8において、横方向の画像端(x=±L/2)では上記縮小率Txが最小(“0”)となるため、横方向の画像端に近いほど、縦方向の潰れ方が大きくなるように画像が表示される。特に、本画像変換処理の場合には、縦方向の直線は楕円に沿った曲線に縮小され、一方、横方向の直線は楕円に沿った曲線に拡大される。すなわち、本画像変換処理においては、縦方向又は横方向の任意の直線が曲線に変換され、特に縦方向(y方向)の直線は表示領域101の外形に対応する楕円に沿って、楕円と異なる曲がり方を有する曲線に変換される。したがって、第3の画像変換処理によれば、矩形画像102であるデジタル画像が、横方向及び縦方向の画像端に近くなるほど特定方向に大きく変形した楕円形状の変換画像102zに変換される。
(第4の画像変換処理)
次いで、矩形画像を縦方向及び横方向に曲線的に歪ませて、楕円形状の表示領域全域に当該矩形画像を表示する第4の画像変換処理について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像処理方法に適用される第4の画像変換処理を説明するための概念図である。
第4の画像変換処理においては、図9に示すように、縦方向(y方向)の座標に依存した異なる縮小率で、表示領域101の外形に対応する楕円に沿って矩形画像102を異方的に縮小変換することにより、楕円形状の表示領域101全域に、矩形画像102が異方性縮小された楕円形状の画像(変換画像)102zとして表示される。
具体的には、図9(a)のように、表示領域101の外形に対応する楕円の上下端(±L/2,0)を極とする適切な(u、v)曲線座標2を設定し、当該楕円の短軸長をW、楕円の長軸長をLと設定する。図9(a)における縦方向(y方向)の任意の位置y0におけるy=y0の直線LN(y0)上の長さLの画像データが、y=y0に接する曲線座標:u=u0に沿った長さL4(y0)の曲線CL4(y0)からなる画像データに変換される。このときの縮小率Tyは、Ty(y)=L4(y)/Lで表すことができ、図9(b)に示すように、縮小率Tyは、y=0で最大値:1であり、y=±W/2で最小値:0となる。
このように、図9に示した画像処理方法においては、矩形画像102は表示領域101の外形に対応する楕円に沿って歪むことになるが、楕円形状の表示領域101全域に画像変換された矩形画像102が表示される。ここで、図9において、縦方向の画像端(y=±W/2)では上記縮小率Tyが最小(“0”)となるため、縦方向の画像端に近いほど、横方向の潰れ方が大きくなるように画像が表示される。特に、本画像変換処理の場合には、縦方向の直線は楕円に沿った曲線に拡大小され、一方、横方向の直線は楕円に沿った曲線に縮小される。すなわち、本画像変換処理においては、縦方向又は横方向の任意の直線が曲線に変換され、特に縦方向(y方向)の直線は表示領域101の外形に対応する楕円に沿って、楕円と同じ曲がり方を有する曲線に変換される。したがって、第4の画像変換処理によれば、矩形画像102であるデジタル画像が、横方向及び縦方向の画像端に近くなるほど特定方向に大きく変形した楕円形状の変換画像102zに変換される。
上述したように、第1〜第4の各画像変換処理においては、表示領域101が例えば楕円形状の異形表示パネルを備える画像表示装置において、例えば図10(a)に示すように、表示領域101の外形に対応する楕円の左右端(±L/2,0)を極とする(u、v)曲線座標1、又は、例えば図10(b)に示すように、表示領域101の外形に対応する楕円の上下端(0,±W/2)を極とする(u、v)曲線座標2nに基づいて、矩形画像102を歪ませることにより、楕円形状の表示領域101の全域に、矩形画像102全体が表示、再生される。したがって、本実施形態によれば、異形表示パネル特有の表示領域101の形状を利用して、ユーザを楽しませることができる効果的で趣向を凝らした表示方式を提供することができる。なお、図10は、本実施形態に係る第1〜第4の画像変換処理に適用される曲線座標を示す図である。
(静止画像の表示例)
次に、上述した各画像変換処理を適用した場合の静止画像の表示例について具体的に説明する。
図11、図12は、本実施形態に係る画像変換処理を適用した場合の、静止画像の表示例を示す概略図である。ここで、説明を簡明化するために、画像変換処理の対象となる矩形画像として簡単な人物の集合写真(静止画像)を用いて、各画像変換処理の表示効果について説明する。また、図中に人物画像PSとともに、横方向(x方向)及び縦方向(y方向)の画像変換の特性を表す棒状のスケールSCx、SCyを表示することで、変換画像を概念的に示す。また、図11、図12において、矩形画像102の外形に対応する矩形に内接する楕円が、異形表示パネルの表示領域101の外形に対応するものとする。
上述した第1の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図11(a)に示すような人物の集合写真からなる矩形画像102に対して、図11(b)に示すように、当該矩形画像102の中心から左右方向に行くほど(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左右端に近いほど)、人物画像PSがスケールSCyのように、縦方向に直線状に縮小変形される。加えて、当該矩形画像102の中心から上下方向に行くほど(上記楕円の上下端に近いほど)、スケールSCxのように、異形表示パネルの外形に沿った曲線状に拡大変形される。これにより、第1の画像変換処理により生成された変換画像102yは、画像表示装置10の異形表示パネルからなる表示部12(図2では表示部31)の楕円形状を有する表示領域101全域に表示される。
また、上述した第2の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図11(a)に示した矩形画像102に対して、図11(c)に示すように、当該矩形画像102の中心から左右方向に行くほど(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左右端に近いほど)、人物画像PSがスケールSCyのように、異形表示パネルの外形に沿った曲線状に拡大変形される。加えて、当該矩形画像102の中心から上下方向に行くほど(上記楕円の上下端に近いほど)、スケールSCxのように、横方向に直線状に縮小変形される。これにより、第2の画像変換処理により生成された変換画像102xは、画像表示装置10の表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に表示される。
また、上述した第3の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図11(a)に示した矩形画像102に対して、図12(a)に示すように、当該矩形画像102の中心から左右方向に行くほど(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左右端に近いほど)、人物画像PSがスケールSCyのように、異形表示パネルの外形に対応する楕円とは逆方向に反り返った曲線状に縮小変形される。加えて、当該矩形画像102の中心から上下方向に行くほど(上記楕円の上下端に近いほど)、スケールSCxのように、異形表示パネルの外形に対応する楕円に沿った曲線状に拡大変形される(図10(a)に示した曲線座標参照)。これにより、第3の画像変換処理により生成された変換画像102zは、画像表示装置10の表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に表示される。
さらに、上述した第4の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図11(a)に示した矩形画像102に対して、図12(b)に示すように、当該矩形画像102の中心から左右方向に行くほど(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左右端に近いほど)、人物画像PSがスケールSCyのように、異形表示パネルの外形に対応する楕円に沿った曲線状に拡大変形される。加えて、当該矩形画像102の中心から上下方向に行くほど(上記楕円の上下端に近いほど)、スケールSCxのように、異形表示パネルの外形に対応する楕円とは逆方向に反り返った曲線状に縮小変形される(図10(b)に示した曲線座標参照)。これにより、第4の画像変換処理により生成された変換画像102zは、画像表示装置10の表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に表示される。
このように、本実施形態に係る各画像変換処理を適用した画像表示方法によれば、矩形画像102からなる静止画像が、横方向及び縦方向の画像端に近くなるほど特定方向に直線的又は曲線的に顕著に変形した画像(変換画像102x〜102z)に変換されて、異形表示パネルの表示領域101全域に、表示、再生されるので、異形表示パネル特有の表示領域101の形状を利用して、印象の異なる画像を表示することができ、ユーザを楽しませることができる効果的で趣向を凝らした画像表示を実現することができる。なお、上述した各画像変換処理により生成された各変換画像102x〜102zは、画像表示装置10の表示部12に、いずれかの画像変換処理により生成された変換画像が単独で、あるいは、スライドショー形式で表示、再生されるものであってもよいし、異なる画像変換処理により生成された複数の変換画像が、スライドショー形式で順次表示、再生されるものであってもよい。
(動画像の表示例)
次に、上述した各画像変換処理を適用した場合の動画像の表示例について具体的に説明する。
上述した本実施形態においては、画像変換処理の対象となる矩形画像(矩形形状を有するデジタル画像)として、静止画像を用いた場合について説明したが、矩形画像として動画像を用いた場合であっても、本実施形態の構成及び画像処理方法を良好に適用することができる。
図13、図14は、本実施形態に係る画像変換処理を適用した場合の、動画像の表示例を示す概略図である。ここで、説明を簡明化するために、図11、図12と同様に、画像変換処理の対象となる矩形画像として人物が横方向(図中矢印M1、M2の方向)に移動する簡単な動画像を用いて、各画像変換処理の表示効果について説明する。なお、図13、図14においては、図示の都合上、図11、図12に示したような画像変換の特性を表すスケールSCx、SCyを表示しないが、図13(a)〜(c)、図14(a)、(b)の各図は、図11(a)〜(c)、図12(a)、(b)の各図と同様の概念の変換画像を示すものである。
上述した第1の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図13(a)に示すように、人物が図中矢印M1、M2の順序で、左端から中央を経て右端に移動して行く動画像を構成する一連の矩形画像102に対して、図13(b)に示すように、当該矩形画像102の左端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左端)近傍の人物画像PSは、縦方向に直線状に縮小変形される。そして、矢印M1のように人物が移動して、矩形画像102の中央に近づくにしたがって、縮小率が1に近づくように、人物画像PSが直線状に縮小変形され、当該中央付近では人物画像PSは元画像と一致又は同等になるように画像変換(縮小率:1)される。さらに、矢印M2のように人物が移動して、矩形画像102の右端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の右端)に近づくにしたがって、縮小率が0に近づくように、人物画像PSが再び縦方向に直線状に縮小変形される。これにより、第1の画像変換処理により生成された一連の変換画像102yは、画像表示装置10の異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に動画像として表示される。
また、上述した第2の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図13(a)に示した一連の矩形画像102に対して、図13(c)に示すように、当該矩形画像102の左端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左端)近傍の人物画像PSは、異形表示パネルの外形に対応する楕円に沿った曲線状に拡大変形される。そして、矢印M1のように人物が移動して、矩形画像102の中央に近づくにしたがって、拡大率が1に近づくように、人物画像PSが拡大変形され、当該中央付近では人物画像PSは元画像と一致又は同等になるように画像変換(拡大率:1)される。さらに、矢印M2のように人物が移動して、矩形画像102の右端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の右端)に近づくにしたがって、拡大率が大きくなるように、人物画像PSが再び異形表示パネルの外形に対応する楕円に沿った曲線状に拡大変形される。これにより、第2の画像変換処理により生成された一連の変換画像102xは、画像表示装置10の表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に動画像として表示される。
また、上述した第3の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図13(a)に示した一連の矩形画像102に対して、図14(a)に示すように、当該矩形画像102の左端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左端)近傍の人物画像PSは、異形表示パネルの外形に対応する楕円とは逆方向に反り返った曲線状に縮小変形される。そして、矢印M1のように人物が移動して、矩形画像102の中央に近づくにしたがって、縮小率が1に近づくように、人物画像PSが縮小変形され、当該中央付近では人物画像PSは元画像と一致又は同等になるように画像変換(縮小率:1)される。さらに、矢印M2のように人物が移動して、矩形画像102の右端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の右端)に近づくにしたがって、縮小率が小さくなるように、人物画像PSが再び異形表示パネルの外形に対応する楕円とは逆方向に反り返った曲線状に縮小変形される。これにより、第3の画像変換処理により生成された一連の変換画像102zは、画像表示装置10の表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に動画像として表示される。
さらに、上述した第4の画像変換処理を適用した場合の画像表示の例は、例えば図13(a)に示した一連の矩形画像102に対して、図14(b)に示すように、当該矩形画像102の左端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の左端)近傍の人物画像PSは、異形表示パネルの外形に対応する楕円に沿った曲線状に拡大変形される。そして、矢印M1のように人物が移動して、矩形画像102の中央に近づくにしたがって、拡大率が1に近づくように、人物画像PSが拡大変形され、当該中央付近では人物画像PSは元画像と一致又は同等になるように画像変換(拡大率:1)される。さらに、矢印M2のように人物が移動して、矩形画像102の右端(異形表示パネルの外形に対応する楕円の右端)に近づくにしたがって、拡大率が大きくなるように、人物画像PSが再び異形表示パネルの外形に対応する楕円に沿った曲線状に拡大変形される。これにより、第4の画像変換処理により生成された一連の変換画像102zは、画像表示装置10の表示部12の楕円形状を有する表示領域101全域に動画像として表示される。
このように、本実施形態に係る各画像変換処理を適用した画像表示方法によれば、一連の矩形画像102からなる動画像が、横方向の画像端に近くなるほど特定方向に直線的又は曲線的に顕著に変形した画像(一連の変換画像102x〜102z)に変換されて、異形表示パネルの表示領域101全域に、表示、再生されるので、異形表示パネル特有の表示領域101の形状を利用して、印象の異なる動画像を表示することができ、ユーザを楽しませることができる効果的で趣向を凝らした画像表示を実現することができる。
なお、本実施形態においては、図10(a)、(b)に示した曲線座標を、楕円形状を有する表示領域101に対応付けて設定した場合について説明したが、本発明に適用可能な曲線座標はこれらに限定されるものではない。すなわち、本発明は、異形表示パネルの表示領域の形状に対応するものであれば、他の曲線座標を設定するものであってもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る画像表示装置における画像処理方法の第2の実施形態について説明する。ここでは、上述した第1の実施形態に示した画像表示装置の構成及び画像処理方法を適宜参照しながら第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態においては、所定の画像変換処理により矩形画像を異形表示パネルの表示領域の外形に対応する画像に変換して、当該変換画像を表示領域の全域に表示する手法について説明した。第2の実施形態においては、第1の実施形態に示した画像変換処理に加え、変換画像に絵画変換処理(又はアート変換処理)を施して異形表示パネルの表示領域に表示することを特徴とする。
本実施形態に係る画像表示装置においては、図2に示したデータ処理部20において、上述した第1の実施形態に示した各画像変換処理に加え、又は、当該画像変換処理に先立って、絵画変換処理が実行される。具体的には、CPU21が例えばROM22に記憶されている絵画変換処理を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより、画像処理部26においてメモリ24に保存されている画像データに対して、所定の絵画変換処理が実行される。ここで、絵画変換処理は、既存の画像処理関連のソフトウェア(例えば、Adobe Systems社のAdobe Photoshop(登録商標))等に用いられている手法と同等の処理を適用することによって実現される。
具体的には、画像処理部26は、例えばメモリ24のROMに記憶された絵画変換処理内容とそのパラメータにしたがって、メモリ24のDRAMに保存された原画像(上述した矩形画像又は変換画像に相当する)の画像データを特定の絵画調画像の画像データに変換する。ここで、画像処理部26で実行される絵画変換処理の処理内容は、例えばユーザが画像表示装置10の本体11に設けられた操作スイッチ13を操作して、メニュー画面から任意の絵画調パターンを選択するものであってもよいし(マニュアルモード)、絵画変換プログラムに予め組み込まれた手順にしたがって、所定の絵画調パターンに自動的に設定されるものであってもよい(オートモード)。また、画像処理部26により実行される絵画変換処理は、原画像の画像データ全体を変換するものであってもよいし、後述するように、特定の領域のみを変換するものであってもよい。
なお、絵画変換処理における絵画調パターンとは、一般に、画像から感じることができる印象に基づいて規定されるものであって、例えば油彩、色鉛筆、野獣派油彩、水彩、パステル、淡彩点描、エアブラシ、ゴシック油彩等、様々な分類が設定されている。また、絵画変換処理におけるパラメータとしては、例えばコントラスト、明るさ、色の濃さ、色合い、シャープネス、必要に応じて、ノイズ低減フィルタの効果設定、色温度、γ補正のγ値等であり、これらパラメータのいずれか、あるいは、任意のパラメータの組み合わせを指定することにより、所望の絵画調パターンを実現することができる。本実施形態においては、各種の絵画調パターンに対応して、上記のパラメータの最適な組み合わせが予め設定され、例えばメモリ24のROMに、絵画変換処理内容に対応付けて記憶されている。
(画像処理方法)
次に、本実施形態に係る画像表示装置における画像処理方法について説明する。
本実施形態においては、上述した第1の実施形態に示したように、画像表示装置10の表示部12が、例えば楕円形状の表示領域101を有する異形表示パネルからなり、当該表示領域101の形状に対応した適切な(u、v)曲線座標の観点に基づいて、画像データの絵画変換処理を実行することを特徴とする。
図15は、本実施形態に係る画像処理方法を説明するための概念図である。
本実施形態に係る画像処理方法においては、まず、データ処理部20の画像処理部26において、上述した第1の実施形態に示した画像変換処理を実行することにより、矩形画像102が異形表示パネルの表示領域101の形状に対応した変換画像102x又は102y又は102z(以下、便宜的に102xyzと記す)に変換される。この変換画像102xyzの画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存される。
次いで、画像処理部26において、メモリ24から読み出した変換画像102xyzに対して、所定の絵画調パターンからなる絵画変換処理を実行して絵画調画像を生成する。ここで、第1の実施形態に示した画像変換処理を実行することにより、異形表示パネルの表示領域101の外形(楕円形状)に対応して、楕円の外形近傍の領域の画像は、特定方向に直線的又は曲線的に顕著に拡大又は縮小変形されている。
そこで、本実施形態に係る画像処理方法に適用される第1の例においては、このことに基づいて、変換画像102xyzのうち、絵画変換処理の対象となる領域を、例えば図15(a)に示すような適切な(u、v)曲線座標に沿って、楕円の中心を含む中央付近の領域(図中、ハッチングにて表記)ATに限定して、絵画変換処理を実行する。すなわち、適切な(u、v)曲線座標において、図15(a)に示すように、座標(u0,v0)を設定した場合、絵画変換処理により絵画調に変換される変換画像102xyzの領域ATは、|u|≦u0、|v|≦v0に限定される。楕円形状の変換画像102xyzの中央付近の領域ATのみが絵画変換された絵画調画像の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存された後、楕円形状の表示領域101全域に当該絵画調画像が表示される。
これにより、異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101の中央付近の領域では絵画調に表現され、かつ、その周辺領域では、表示領域101の外形(楕円)に対応して、特定方向に直線的又は曲線的に顕著に拡大又は縮小変形された画像が表示される。
また、本実施形態に係る画像処理方法に適用される第2の例においては、上記変換画像102xyzに施す絵画変換処理のパラメータを、任意の領域ごとに異なるように設定して、絵画調変換による効果を強調あるいは緩和させる。すなわち、絵画変換処理の対象となる領域として、例えば図15(b)に示すような適切な(u、v)曲線座標に沿って、楕円の中心を含む中央付近の領域(図中、ハッチングにて表記)AT(P1)と、その周辺の領域AT(P2)を設定して、各領域に異なるパラメータ設定で絵画変換処理を実行する。具体的には、適切な(u、v)曲線座標において、図15(b)に示すように、座標(u0,v0)を設定した場合、|u|≦u0、|v|≦v0で規定される領域AT(P1)においては、絵画変換処理のパラメータをP1に設定し、|u|>u0、|v|>v0で規定される領域AT(P2)においては、上記パラメータをP2(≠P1)に設定して、絵画変換処理を実行する。領域ごとに異なるパラメータが設定された絵画変換処理により生成された絵画調画像の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存された後、楕円形状の表示領域101全域に当該絵画調画像が表示される。
これにより、異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101の中央付近の領域ではパラメータP1に応じた絵画調に表現され、かつ、その周辺領域ではパラメータP1とは異なるパラメータP2に応じた絵画調に表現された画像が表示される。
このように、本実施形態に係る画像処理方法によれば、上述した第1の実施形態に示した各画像変換処理に加え、絵画変換処理を施すことにより、矩形画像102からなるデジタル画像が、異形表示パネルの表示領域101の形状に対応して、特定方向に直線的又は曲線的に変形されて、表示領域101全域に表示、再生されるるとともに、曲線座標に対応した特定の領域が任意の絵画調で表現される。したがって、本実施形態によれば、異形表示パネル特有の表示領域101の形状を利用しつつ、絵画の要素を組み込んだ画像を表示することができ、ユーザを楽しませることができる効果的で趣向を凝らした画像表示を実現することができる。
なお、本実施形態においては、矩形画像に上述した第1の実施形態に示した各画像変換処理を施して生成された楕円形状を有する変換画像に対して、絵画変換処理を施す手法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば矩形画像の特定の領域に任意の絵画変換処理を施した後、上述した第1の実施形態に示した各画像変換処理を施して、楕円形状を有する変換画像を生成するものであってもよい。
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る画像表示装置における画像処理方法の第3の実施形態について説明する。ここでは、上述した第1の実施形態に示した画像表示装置の構成及び第1、第2の実施形態に示した画像処理方法を適宜参照しながら第2の実施形態について説明する。
上述した第1、第2の実施形態においては、所定の画像変換処理により1つの矩形画像を異形表示パネルの表示領域の外形(例えば楕円形状)に対応する画像に一体的に変換して、当該変換画像を表示領域の全域に表示する手法について説明した。第3の実施形態においては、矩形画像から対象物画像(人物等の被写体画像)を切り出して、当該対象物画像と、矩形画像の背景画像(矩形背景画像)とを独立した画像データとして取り扱い、各々に個別の画像変換処理や絵画変換処理を施して、これらの合成画像を異形表示パネルの表示領域に表示することを特徴とする。
図16は、本実施形態に係る画像処理方法に適用される対象物画像の抽出処理を説明するための概念図である。
本実施形態に係る画像表示装置においては、図2に示したデータ処理部20において、上述した第1及び第2の実施形態に示した画像変換処理及び絵画変換処理に先立って、任意の矩形画像と当該矩形画像の背景画像(矩形背景画像)から、任意の対象物画像を抽出して切り出す画像抽出処理が実行される。また、上記の対象物画像及び背景画像に対する画像変換処理及び絵画変換処理の後に、当該対象物画像と背景画像を合成する画像合成処理が実行される。
具体的には、CPU21が例えばROM22に記憶されている画像抽出処理を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより、図16に示すように、画像処理部26においてメモリ24に保存されている任意の矩形画像102とその背景画像(矩形背景画像)103から、任意の対象物画像(例えば人物画像)104の輪郭Ctを指定して抽出することにより、当該対象物画像104を切り出す画像抽出処理が実行される。この対象物画像の画像データは、矩形画像102中の対象物画像104の位置(例えば中心位置Pcの座標)を示す位置データと関連付けて、メモリ24の所定の領域に保存される。
また、CPU21が例えばROM22に記憶されている画像変換処理を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより、画像処理部26においてメモリ24に保存されている矩形背景画像103に対して、上述した第1の実施形態と同様に、異形表示パネルの表示領域101の形状に対応させて変形する画像変換処理が実行される。画像変換された背景画像(変換背景画像)の画像データは、メモリ24の所定の領域に保存される。
また、CPU21が例えばROM22に記憶されている絵画変換処理を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより、画像処理部26においてメモリ24に保存されている対象物画像104及び上記画像変換処理された背景画像(変換背景画像)に対して、上述した第2の実施形態と同様に、所定の絵画変換処理が実行される。これらの絵画変換された対象物画像104と変換背景画像の画像データは、メモリ24の所定の領域に個別に保存される。
さらに、CPU21が例えばROM22に記憶されている画像合成処理を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより、画像処理部26においてメモリ24に保存されている絵画変換された対象物画像104と変換背景画像を合成する画像合成処理が実行される。画像合成された合成画像の画像データは、メモリ24の所定の領域に保存される。
ここで、上述した画像抽出処理、絵画変換処理及び画像合成処理の各画像処理は、いずれも既存の画像処理関連のソフトウェア(例えば、Adobe Systems社のAdobe Photoshop(登録商標))等に用いられている手法と同等の処理を適用することによって実現される。
(画像処理方法)
次に、本実施形態に係る画像表示装置における画像処理方法について具体的に説明する。
(第1の画像処理方法)
図17は、本実施形態に係る第1の画像処理方法を説明するための概念図である。
本実施形態に係る第1の画像処理方法においては、図17に示すように、まず、データ処理部20の画像処理部26において、メモリ24に保存されている任意の矩形画像102を読み出して、当該矩形画像102と当該矩形画像102の背景画像(矩形背景画像)103から、任意の対象物画像(例えば人物画像)104を輪郭抽出して切り出す画像抽出処理(S311)が実行される。このとき、切り出された対象物画像104の位置を検出して位置データを生成する。この切り出された対象物画像104の画像データ及びその位置データ、並びに、矩形背景画像103の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存される。
次いで、画像処理部26において、メモリ24から読み出した矩形背景画像103に対して、上述した第1の実施形態に示した画像変換処理(S312)を実行することにより、異形表示パネルの表示領域101の形状(楕円形状)に対応した背景画像(変換背景画像)103pを生成する。ここで、本実施形態においては、画像変換処理として、矩形画像102の横方向の座標に依存した異なる縮小率で、縦方向に矩形画像102を直線的に縮小変換(y方向縮小変換)する、上述した第1の画像変換処理を適用する。この変換背景画像103pの画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存される。
次いで、画像処理部26において、メモリ24から読み出した変換背景画像103pに対して、上述した第2の実施形態に示した絵画変換処理(S313)を実行することにより、絵画調に表現された変換背景画像(絵画調背景画像)103qを生成する。これにより、矩形背景画像103の全体を異形表示パネルの表示領域101の全域に表示することができる絵画調背景画像103qが生成される。この絵画調背景画像103qの画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存される。
次いで、画像処理部26において、メモリ24から読み出した対象物画像104及びその位置データに基づいて、当該対象物画像104が、異形表示パネルの表示領域101内に表示可能か否か(表示領域101内に収まるか否か)を判断する(S314)。表示可能な場合(図中、Bの位置に示した対象物画像104に相当する)には当該対象物画像104に対して、上述した第2の実施形態に示した絵画変換処理(S316)を実行することにより、任意の絵画調に表現された対象物画像(絵画調対象物画像)104qを生成する。
一方、異形表示パネルの表示領域101内に対象物画像104が表示不可能な場合(図中、A、Cの位置に示した対象物画像104に相当する)には、当該対象物画像104の中心位置Pcを基準にして、任意の縮小率で当該対象物画像104を相似縮小変換(S315)する。次いで、相似縮小変換された対象物画像(変換対象物画像)104pに対して、絵画変換処理(S316)を実行して絵画調対象物画像104qを生成する。これにより、対象物画像104を極力異方的に変形することなく、本来の対象物画像104に基づく絵画調対象物画像104qが生成される。この絵画調対象物画像104qの画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存される。
次いで、画像処理部26において、メモリ24から読み出した絵画調対象物画像104q及びその位置データ、絵画調背景画像103qに基づいて、画像合成処理(S317)を実行することにより、絵画調背景画像103qの所定の位置に絵画調対象物画像104qが合成された絵画調合成画像105が生成される。この絵画調合成画像105の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存された後、楕円形状の表示領域101全域に当該絵画調合成画像105が表示される。
これにより、異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101の全域に、当該表示領域101の形状に対応して変形されるとともに、絵画調に表現された背景画像(絵画調背景画像103q)が表示され、さらに、当該背景画像中に、本来の形状を保持しつつ、絵画調に表現された任意の対象物画像(絵画調対象物画像104q)が合成された画像(絵画調合成画像105)が表示される。すなわち、本実施形態に係る画像処理方法においては、矩形画像102の中心領域から外れた領域に位置する対象物(人物等)であっても、画像変換処理による規定の変形を回避して、本来の形状が保持された画像で表示される。
(第2の画像処理方法)
図18は、本実施形態に係る第2の画像処理方法を説明するための概念図である。ここで、上述した第1の画像処理方法と同等の処理手順については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る第2の画像処理方法においては、図18に示すように、まず、上述した第1の画像処理方法と同様に、データ処理部20の画像処理部26において、任意の矩形画像102とその矩形背景画像103から、任意の対象物画像104を輪郭抽出して切り出す画像抽出処理(S321)が実行される。
次いで、矩形背景画像103に対して、上述した第1の実施形態に示した画像変換処理(S322)を実行することにより、異形表示パネルの表示領域101の形状(楕円形状)に対応した変換背景画像103pを生成する。ここで、本実施形態においては、画像変換処理として、矩形画像102の縦方向の座標に依存した異なる縮小率で、横方向に矩形画像102を直線的に縮小変換(x方向縮小変換)する、上述した第2の画像変換処理を適用した例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、縦方向の座標に依存した異なる縮小率で、表示領域101の外形に対応する楕円に沿って矩形画像102を異方的に縮小変換する、第4の画像変換処理を適用するものであってもよい。
次いで、上述した第1の画像処理方法と同様に、変換背景画像103pに対して、所定の絵画変換処理(S323)を実行することにより、絵画調に表現された絵画調背景画像103qを生成する。これにより、矩形背景画像103の全体を異形表示パネルの表示領域101の全域に表示することができる絵画調背景画像103qが生成される。
次いで、上述した対象物画像104及びその位置データに基づいて、当該対象物画像104が、異形表示パネルの表示領域101内に表示可能か否か(表示領域101内に収まるか否か)を判断する(S324)。表示可能な場合(図中、Bの位置に示した対象物画像104に相当する)には当該対象物画像104に対して、上述した第2の実施形態に示した絵画変換処理(S327)を実行することにより、任意の絵画調に表現された絵画調対象物画像104qを生成する。
一方、異形表示パネルの表示領域101内に対象物画像104が表示不可能な場合(図中、A、Cの位置に示した対象物画像104に相当する)には、当該対象物画像104に対して、上述した変換背景画像を生成した際の画像変換処理において設定された曲線座標に基づいて画像変換(S325)を実行することにより、対象物画像104を異形表示パネルの表示領域101の形状(楕円形状)に対応するように変形させ、さらに、画像変換された当該対象物画像104の中心位置Pcを基準にして、任意の縮小率で相似縮小変換(S326)する。次いで、相似縮小変換された対象物画像(変換対象物画像)104pに対して、所定の絵画変換処理(S327)を実行して絵画調対象物画像104qを生成する。
次いで、絵画調対象物画像104q及びその位置データ、絵画調背景画像103qに基づいて、画像合成処理(S328)を実行することにより、絵画調背景画像103qの所定の位置に絵画調対象物画像104qが合成された絵画調合成画像105が生成される。この絵画調合成画像105の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存された後、楕円形状の表示領域101全域に当該絵画調合成画像105が表示される。
これにより、異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101の全域に、当該表示領域101の形状に対応して変形されるとともに、絵画調に表現された背景画像(絵画調背景画像103q)が表示され、さらに、当該背景画像中に、表示領域101の形状に対応しつつ、極端な変形が回避されるとともに、絵画調に表現された任意の対象物画像(絵画調対象物画像104q)が合成された画像(絵画調合成画像105)が表示される。すなわち、本実施形態に係る画像処理方法においては、矩形画像102の中心領域から外れた領域に位置する対象物(人物等)であっても、画像変換処理による規定の、表示領域の形状に対応した極端な変形が回避されて、任意の大きさの画像で表示される。
(第3の画像処理方法)
図19は、本実施形態に係る第3の画像処理方法を説明するための概念図である。ここで、上述した第1又は第2の画像処理方法と同等の処理手順については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る第3の画像処理方法においては、図19に示すように、まず、上述した第1の画像処理方法と同様に、データ処理部20の画像処理部26において、任意の矩形画像102とその矩形背景画像103から、任意の対象物画像104を輪郭抽出して切り出す画像抽出処理(S331)が実行される。
次いで、矩形背景画像103に対して、上述した第1の実施形態に示した画像変換処理(S332)を実行することにより、異形表示パネルの表示領域101の形状(楕円形状)に対応した変換背景画像103pを生成する。ここで、本実施形態においては、画像変換処理として、矩形画像102の横方向の座標に依存した異なる拡大率で、表示領域101の外形に対応する楕円に沿って矩形画像102を異方的に拡大変換する、上述した第3の画像変換処理を適用する。
次いで、上述した第1の画像処理方法と同様に、変換背景画像103pに対して、所定の絵画変換処理(S333)を実行することにより、絵画調に表現された絵画調背景画像103qを生成する。これにより、矩形背景画像103の全体を異形表示パネルの表示領域101の全域に表示することができる絵画調背景画像103qが生成される。
次いで、上述した対象物画像104及びその位置データに基づいて、当該対象物画像104が、異形表示パネルの表示領域101内に表示可能か否か(表示領域101内に収まるか否か)を判断する(S334)。表示可能な場合(図中、Bの位置に示した対象物画像104に相当する)には当該対象物画像104に対して、上述した第2の実施形態に示した絵画変換処理(S337)を実行することにより、任意の絵画調に表現された絵画調対象物画像104qを生成する。
一方、異形表示パネルの表示領域101内に対象物画像104が表示不可能な場合(図中、A、Cの位置に示した対象物画像104に相当する)には、当該対象物画像104に対して、上述した変換背景画像を生成した際の画像変換処理において設定された曲線座標に基づいて画像変換(S335)を実行することにより、対象物画像104を異形表示パネルの表示領域101の形状(楕円形状)に対応するように変形させ、さらに、画像変換された当該対象物画像104の中心位置Pcを通る縦方向の中心軸Lcを基準にして、鏡映変換(S336)する。次いで、鏡映変換された対象物画像(変換対象物画像)104pに対して、所定の絵画変換処理(S337)を実行して絵画調対象物画像104qを生成する。
次いで、絵画調対象物画像104q及びその位置データ、絵画調背景画像103qに基づいて、画像合成処理(S338)を実行することにより、絵画調背景画像103qの所定の位置に絵画調対象物画像104qが合成された絵画調合成画像105が生成される。この絵画調合成画像105の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存された後、楕円形状の表示領域101全域に当該絵画調合成画像105が表示される。
これにより、異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101の全域に、当該表示領域101の形状に対応して変形されるとともに、絵画調に表現された背景画像(絵画調背景画像103q)が表示され、さらに、当該背景画像中に、表示領域101の形状に対応しつつ、絵画調に表現された任意の対象物画像(絵画調対象物画像104q)が合成された画像(絵画調合成画像105)が表示される。すなわち、本実施形態に係る画像処理方法においては、矩形画像102の中心領域から外れた領域に位置する対象物(人物等)が、画像変換処理による規定の変形とは異なり、表示領域101の形状に沿うように変形された画像で表示される。
(第4の画像処理方法)
図20は、本実施形態に係る第4の画像処理方法に適用される対象物の特徴部分の抽出処理を説明するための概念図であり、図21は、本実施形態に係る第4の画像処理方法を説明するための概念図である。ここで、上述した第1〜第3の画像処理方法と同等の処理手順については、その説明を簡略化する。
本実施形態においては、上述した第1の画像処理方法において、既存の画像認識処理(例えば顔認識処理)の手法を適用して、対象物の特徴部分を抽出して表示することを特徴とする。ここで、画像認識処理は、デジタルカメラ等の既存の撮像機器に適用される顔認識処理のソフトウェア等に用いられている手法と同等の処理を適用することによって実現される。
具体的には、本実施形態に係る第4の画像処理方法に適用される対象物の特徴部分の抽出処理は、図20に示すように、まず、上述した画像抽出処理により任意の対象物の画像(例えば人物画像)の輪郭Ctを指定して抽出することにより、当該対象物画像104が切り出される。次いで、当該対象物画像104の任意の特徴部分の画像(例えば顔画像)の輪郭Csを指定して抽出することにより、当該特徴部分画像106が切り出される。
特徴部分抽出処理は、CPU21が例えばROM22に記憶されている画像認識処理(顔認識)を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより、画像処理部26においてメモリ24に保存されている任意の対象物画像104から、対象物画像の特徴部分画像106を輪郭抽出して切り出す特徴部分抽出処理が実行される。
このような特徴部分抽出処理を適用した、本実施形態に係る第4の画像処理方法においては、図21に示すように、まず、上述した第1の画像処理方法と同様に、データ処理部20の画像処理部26において、任意の矩形画像102とその矩形背景画像103から、任意の対象物画像104を輪郭抽出して切り出す画像抽出処理(S341)が実行される。次いで、当該対象物画像104に対して、上述した特徴部分抽出処理(S342)を実行することにより、対象物画像104中の特徴部分の画像(特徴部分画像)106が輪郭抽出されて切り出される。この画像抽出処理により切り出された対象物画像104及び特徴部分抽出処理により切り出された特徴部分画像106の画像データは、その位置データとともに、一旦メモリ24の所定の領域に保存される。
次いで、矩形背景画像103に対して、上述した第1の実施形態に示した画像変換処理(S343)を実行することにより、異形表示パネルの表示領域101の形状(楕円形状)に対応した変換背景画像103pを生成する。ここで、本実施形態においては、画像変換処理として、上述した第1の画像変換処理を適用した例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第4の画像変換処理を適用するものであってもよい。
次いで、上述した第1の画像処理方法と同様に、変換背景画像103pに対して、所定の絵画変換処理(S344)を実行することにより、絵画調に表現された絵画調背景画像103qを生成する。これにより、矩形背景画像103の全体を異形表示パネルの表示領域101の全域に表示することができる絵画調背景画像103qが生成される。
次いで、上述した対象物画像104及びその位置データに基づいて、当該対象物画像104が、異形表示パネルの表示領域101内に表示可能か否か(表示領域101内に収まるか否か)を判断する(S345)。表示可能な場合(図中、Bの位置に示した対象物画像104に相当する)には対象物の全体が含まれる当該対象物画像104に対して、上述した第2の実施形態に示した絵画変換処理(S349)を実行することにより、任意の絵画調に表現された絵画調対象物画像104qを生成する。
一方、異形表示パネルの表示領域101内に対象物画像104が表示不可能な場合(図中、A、Cの位置に示した対象物画像104に相当する)には、当該対象物画像104の中心位置Pcを基準にして、任意の縮小率で当該対象物画像104を相似縮小変換(S346)する。ここで、縮小変換された対象物画像(変換対象物画像)104pの縦方向の大きさが、予め設定した基準値以下か否かを判断(S347)し、変換対象物画像104pの縦方向の大きさが上記基準値よりも大きい場合には、当該変換対象物画像104pに対して、上述した第2の実施形態に示した絵画変換処理(S349)を実行して、任意の絵画調に表現された絵画調対象物画像104qを生成する。
一方、変換対象物画像104pの縦方向の大きさが上記基準値以下の場合には、当該変換対象物画像104pを、上述した特徴部分抽出処理により対象物画像104から切り出された特徴部分画像106に置換し、さらに、当該特徴部分画像106の中心位置Pdを基準にして、任意の拡大率で当該特徴部分画像106を相似拡大変換(S348)する。ここで、拡大変換された特徴部分画像(変換特徴部分画像)106pは、例えば、表示領域101の上下方向の中心位置Peや、置換された対象物画像104の中心位置Pc等の任意の位置に配置されるように、当該位置データが書き換え設定される。その後、当該変換特徴部分画像106pに対して、所定の絵画変換処理(S349)を実行して絵画調特徴部分画像106qを生成する。
次いで、絵画調対象物画像104q、絵画調特徴部分画像106q及びその位置データ、絵画調背景画像103qに基づいて、画像合成処理(S350)を実行することにより、絵画調背景画像103qの所定の位置に絵画調対象物画像104q及び絵画調特徴部分画像106qが合成された絵画調合成画像105が生成される。この絵画調合成画像105の画像データは、一旦メモリ24の所定の領域に保存された後、楕円形状の表示領域101全域に当該絵画調合成画像105が表示される。
これにより、異形表示パネルからなる表示部12の楕円形状を有する表示領域101の全域に、当該表示領域101の形状に対応して変形されるとともに、絵画調に表現された背景画像(絵画調背景画像103q)が表示され、さらに、当該背景画像の中央付近の領域では、本来の形状を保持しつつ、絵画調に表現された任意の対象物画像(絵画調対象物画像104q)が合成され、また、当該背景画像の周縁部近傍の領域では、絵画調に表現された対象物の特徴部分画像(絵画調特徴部分画像106q)が合成された画像(絵画調合成画像105)が表示される。すなわち、本実施形態に係る画像処理方法においては、矩形画像102の中心領域から外れて、表示領域101の左右端や上下端近傍の領域に位置する対象物が特徴部分画像に置換されて表示されることにより、画像変換処理による対象物画像の極端な変形(すなわち、1点に収縮されるような変形)が回避され、当該対象物が判別できる画像で表示される。
このように、本実施形態に係る各画像処理方法によれば、矩形画像中の任意の対象物画像と背景画像を独立した個別の画像データとして取り扱い、各々に個別の画像変換処理や絵画変換処理等を施すことにより、異形表示パネルの表示領域101の形状に対応して、特定方向に直線的又は曲線的に変形された背景画像中に、任意の表示形式に設定された対象物画像又はその特徴部分画像が合成された合成画像が、表示領域101全域に表示、再生される。したがって、本実施形態によれば、異形表示パネル特有の表示領域101の形状を利用しつつ、対象物の印象を強調又は緩和した表現の画像を表示することができ、ユーザをより一層楽しませることができる効果的で趣向を凝らした画像表示を実現することができる。
なお、上述した本実施形態に係る各画像処理方法においては、矩形画像から抽出される対象物画像が静止画像である場合について説明したが、対象物画像が動画像であっても、本実施形態と同等の技術思想を適用することができる。また、上述した本実施形態に係る第2の及び第3の画像処理方法においては、矩形背景画像の画像変換処理において設定された曲線座標に基づいて、画像抽出処理により切り出された対象物画像102tを画像変換処理する場合について説明したが、他の曲線座標に基づいて画像変換処理を実行するものであってもよい。
また、上述した各実施形態においては、表示領域が楕円形状を有する異形表示パネルを備えた画像表示装置を例に具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、異形表示パネルの形状が楕円形状以外の、他の異形状を有する場合であっても、上述した各実施形態と同様の技術思想を適用して、同等の作用効果を得ることができる。すなわち、任意の異形状の表示領域に対して、適切な(u、v)曲線座標を導入することができるものであれば、矩形画像を変形して異形状の表示領域の全域に表示することができる。さらに、当該適切な(u、v)曲線座標に基づいて、第2の実施形態に示したように、特定の領域が任意の絵画調で表現された画像を生成して表示、再生することもできる。
加えて、本発明は、画像表示装置の表示部が楕円形状の表示領域を有する異形表示パネルからなる場合に限定されるものではなく、通常の矩形形状の表示領域を有する表示パネルからなる場合であって、当該表示領域の周辺部分が遮蔽部材により遮蔽されて、実質的な表示領域が異形状に制限された構造を有する場合であっても、上述した各実施形態と同様の技術思想を適用して、同等の作用効果を得ることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、
矩形以外の任意の形状の表示領域を有する表示部と、
前記表示領域の形状に対応する任意の曲線座標に基づいて、矩形画像の全体を前記表示領域の全域に対応させて変形させる画像処理部と、
前記表示領域の全域に対応させて変形された前記矩形画像を、前記表示領域の全域に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置である。
請求項2に記載の発明は、
前記画像処理部は、前記表示領域の中央付近の領域に対して、前記表示領域の周縁部近傍の領域で、前記矩形画像の変形が大きくなるように、前記矩形画像を変形することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置である。
請求項3に記載の発明は、
前記画像処理部は、前記表示領域の全域に対応させて変形された前記矩形画像の、少なくとも特定の領域を、任意の絵画調パターンに基づいて絵画変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置である。
請求項4に記載の発明は、
矩形以外の任意の形状の表示領域を有する表示部と、
矩形画像と当該矩形画像の背景画像から任意の対象物画像を抽出し、前記背景画像と前記対象物画像に対して、異なる変形処理を実行し、当該変形処理された前記背景画像と前記対象物画像とを合成する画像処理部と、
前記合成された前記背景画像と前記対象物画像を、前記表示領域の全域に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置である。
請求項5に記載の発明は、
前記表示領域の形状に対応する任意の曲線座標に基づいて、少なくとも前記背景画像の全体を前記表示領域の全域に対応させて変形させることを特徴とする請求項4記載の画像表示装置である。
請求項6に記載の発明は、
前記画像処理部は、前記対象物画像が前記表示領域内に表示不可能な場合には、当該表示領域内に表示可能となるように、前記対象物画像を変形させ、当該変形された前記対象物画像の大きさが所定の基準値以下の場合には、前記対象物画像から抽出された特徴部分画像と、前記対象物画像とを置換して、前記変形処理された前記背景画像と前記特徴部分画像とを合成することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像表示装置である。
請求項7に記載の発明は、
矩形以外の任意の形状の表示領域に対応する任意の曲線座標に基づいて、矩形画像の全体を前記表示領域の全域に対応させて変形させる画像変換処理と、
前記表示領域の全域に対応させて変形された前記矩形画像を、前記表示領域の全域に表示する画像表示処理と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
請求項8に記載の発明は、
前記画像変換処理は、前記表示領域の中央付近の領域に対して、前記表示領域の周縁部近傍の領域で、前記矩形画像の変形が大きくなるように、前記矩形画像を変形することを特徴とする請求項7記載の画像処理方法である。
請求項9に記載の発明は、
前記画像変換処理により、前記表示領域の全域に対応させて変形された前記矩形画像の、少なくとも特定の領域を、任意の絵画調パターンに基づいて絵画変換する絵画変換処理を、さらに含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法である。
請求項10に記載の発明は、
矩形画像と当該矩形画像の背景画像から任意の対象物画像を抽出する画像抽出処理と、
前記背景画像に対して、前記表示領域の形状に対応する任意の曲線座標に基づいて、前記表示領域の全域に対応させて変形させる第1の画像変換処理と、
前記対象物画像が前記表示領域内に表示不可能な場合に、当該表示領域内に表示可能となるように、前記対象物画像を変形させる第2の画像変換処理と、
個別に変形された前記背景画像と前記対象物画像とを合成する第1の画像合成処理と、
前記合成された前記背景画像と前記対象物画像を、前記表示領域の全域に表示する画像表示処理と、
を含むことを特徴とする画像処理方法である。
請求項11に記載の発明は、
前記変形された前記対象物画像の大きさが所定の基準値以下の場合に、前記対象物画像から抽出された特徴部分画像と、前記対象物画像とを置換する画像置換処理と、
前記変形された前記背景画像と前記特徴部分画像とを合成する第2の画像合成処理と、
をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の画像処理方法である。
請求項12に記載の発明は、
コンピュータに画像表示装置を制御させて、所望の画像を表示させる画像処理プログラムであって、
矩形以外の任意の形状の表示領域に対応する任意の曲線座標に基づいて、矩形画像の全体を前記表示領域の全域に対応させて変形させる画像変換手段と、
前記表示領域の全域に対応させて変形された前記矩形画像を、前記表示領域の全域に表示する画像表示手段と、
して機能させるための画像処理プログラムである。
請求項13に記載の発明は、
コンピュータに画像表示装置を制御させて、所望の画像を表示させる画像処理プログラムであって、
矩形画像と当該矩形画像の背景画像から任意の対象物画像を抽出する画像抽出手段と、
前記背景画像に対して、前記表示領域の形状に対応する任意の曲線座標に基づいて、前記表示領域の全域に対応させて変形させる第1の画像変換手段と、
前記対象物画像が前記表示領域内に表示不可能な場合に、当該表示領域内に表示可能となるように、前記対象物画像を変形させる第2の画像変換手段と、
個別に変形された前記背景画像と前記対象物画像とを合成する画像合成手段と、
前記合成された前記背景画像と前記対象物画像を、前記表示領域の全域に表示する画像表示手段と、
して機能させるための画像処理プログラムである。