JP5740577B2 - 蒸気供給設備の運転方法 - Google Patents

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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)

Description

本発明は、電力と蒸気の供給を同時に行うボイラタービン発電設備から工場設備へ高圧蒸気の供給を行う蒸気供給設備の運転方法に関するものである。
例えば製鉄所などの工場設備内に設置されるボイラタービン発電設備では、ボイラで発生した蒸気を用いてタービン発電機で発電し、発電した電力を工場設備に供給すると共に、工場設備で使用するプロセス用蒸気の供給を行っている。このプロセス用蒸気としては、ボイラで発生した高温高圧の過熱蒸気である主蒸気や、タービンから抽気した低圧の抽気蒸気が、需要側である工場設備の要求に応じて供給される。
ところで、プロセス用蒸気の供給源としてのボイラが、例えば図5に示すような、高圧タービン26で仕事をした後の低圧蒸気を加熱する再熱器24を有するボイラ10である場合、当該ボイラ10の主蒸気管30から工場設備2へ供給するプロセス用蒸気として主蒸気を抽気するにあたっては、先ず、ボイラタービン発電設備1において、発電機12の出力を一定に制御している状態、換言すれば主蒸気管30から高圧タービン26へ流入する主蒸気流量を一定に保った状態から、抽気弁41を開操作してプロセス用蒸気としての主蒸気を抽気し、使用先である工場設備2へ送気する。
主蒸気管30から主蒸気が抽気されると、高圧タービン26へ流入する蒸気量が低下するため、抽気した蒸気量に見合う量の給水を増加させ、高圧タービン26へ流入する蒸気量を一定に維持するように制御する。なお、増加させる給水量は、発電機12の出力によらず、主蒸気管30からの抽気量により決まるものである。この際、ボイラ10への給水量の増加に比例してボイラ10への燃料投入量も増加するが、一方で、再熱器24を通過する蒸気の量は主蒸気管30からの抽気の前後でほとんど変化しない。この場合、燃料投入量は再熱器24を通過する蒸気量に対して相対的に過剰なものとなり再熱蒸気による再熱器24の冷却が不足するため、再熱器24の温度が上昇する。
再熱器24の温度上昇に対しては、再熱器24の上流側に設けられた減温器25により再熱蒸気管50への注水が行われるのが通常であり、減温器25からの注水により再熱器24の温度が規定値内に収まるように調整される。この際、減温器25には注水による冷却と蒸気による加熱といった熱負荷が繰り返し加わるため、例えば特許文献1には、注水による熱負荷を低減する再熱蒸気の温度制御方法が提案されている。
しかしながら、図5に記載した再熱器24を有するボイラタービン発電設備では過注入という問題が生じる。過注入とは、過剰な注水により蒸気が飽和温度を下回ってしまう状態をいう。
例えば、ボイラ10からのプロセス用蒸気の供給量が増加すると、それに伴い減温器25からの注水量も増加する。そのため、ボイラ10からプロセス用蒸気を大量に供給した場合、再熱蒸気管50を流れる蒸気の流量に対する注水の量が過剰となり、減温器25出口側であって再熱器24の入口側付近において過注入が発生し、再熱蒸気管50へのドレンの流入に伴う熱衝撃や、ウォータハンマといった、再熱蒸気管50や再熱器24の破損につながる現象が発生するため好ましくない。
従来は過注入が発生しないように、例えば、減温器25を複数台設置して段階的に蒸気温度を制御したり、制御装置により注水量を制限したりする等の対策がとられている。しかし、減温器25を複数設けた場合、設備費用が増加すると共に、注水の制御が複雑なものとなる。また、制御装置により注水量を制限すると、再熱器24の温度が上昇してしまうため、再熱器24の温度が許容値を超えないように燃料流量を制限することとなり、結局、ボイラ10の負荷を制限することとなり、例えば要求された発電量に相当する主蒸気量を発生させることができなくなるばかりでなく、工場設備2へのプロセス用蒸気の供給量も制限されることにより、工場設備2側での使用電力やプロセス用蒸気の使用量に制約が発生してしまい、工場設備2の操業上の問題となる。
過注入が発生する可能性があるボイラタービン発電設備を使用する場合には、使用中に誤って過注入が生じる範囲で運転させてしまう場合があり、連続安定運転ができなくなる場合がある。
また、過注入以外にも運転に障害を与える現象もあり、このような現象が発生すると、連続安定運転ができなくなる可能性がある。
特開平8−135908号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、再熱器を有するボイラから工場設備へプロセス用蒸気を供給するにあたり、当該ボイラの運転範囲の制限やプロセス用蒸気の供給量の制限を緩和し、再熱器の温度上昇を抑制し、かつ、運転阻害要因を回避して当該設備を運転することを目的としている。
(1)再熱蒸気系統を有するボイラと、前記ボイラで発生した蒸気の熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービンと、前記タービンの回転エネルギーを電力に変換する発電機と、を備えたボイラタービン発電設備から工場設備へプロセス用蒸気を供給する蒸気供給系統とを有する蒸気供給設備の運転方法であって、
当該蒸気供給設備の運転可能範囲として発電出力(MW)、工場送気量(t/h)を基軸とする平面上に、
前記ボイラのMCR(最大連続蒸発量)を示す線、
前記発電設備の最小負荷を示す線、
工場送気量の最大値を示す線、
工場送気量0を示す線、
から構成される閉領域を構成するステップ1と、
前記閉領域に運転不可能な点をプロットするステップ2と、
前記閉領域において前記運転不可能な点を含む領域と含まない領域を分離しうる直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(以下、「運転可能領域」という。)を構成するステップ3と、
前記運転可能領域範囲において運転するステップ4と、
を有することを特徴とする蒸気供給設備の運転方法。
(2)前記ステップ2、3に代えて、
2以上の一定発電出力において工場送気量を順次増大し、それぞれの発電出力において減温器使用による過注入が発生する臨界工場送気量を把握するステップ2aと、
前記臨界工場送気量を結ぶ直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(以下、「運転可能領域」という。)を構成するステップ3aと、
を有することを特徴とする(1)に記載の蒸気供給設備の運転方法。
本発明によれば、再熱器を有するボイラから工場設備へプロセス用蒸気を供給するにあたり、連続安定運転を阻害する現象を回避することができ、当該設備を連続安定運転できるという顕著な効果を奏する。
運転可能範囲を示す図である。 閉領域に運転不可能な点をプロットするステップを示す図である。 運転制限ラインに抵触した場合の運転方法を示す図である。 (a)再熱蒸気系統における蒸気温度の変化の様子を表すグラフである。 (b)ボイラタービン発電設備から工場設備へプロセス用蒸気を供給する方法の例をもちいた時に生じる過注入の状態を示す図である。 (c)再熱蒸気系統において減温器を複数設けた場合の蒸気温度の変化の様子を表すグラフである。 蒸気供給システムの構成を示すプロセスフロー図である。
本発明の方法は、再熱蒸気系統を有するボイラと、前記ボイラで発生した蒸気の熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービンと、前記タービンの回転エネルギーを電力に変換する発電機と、を備えたボイラタービン発電設備から工場設備へプロセス用蒸気を供給する蒸気供給系統とを有する蒸気供給設備の運転方法であり、以下に示すステップを有する。
第1のステップは、当該蒸気供給設備の運転可能範囲として発電出力(MW)、工場送気量(t/h)を基軸とする平面上に、
ボイラのMCR(最大連続蒸発量)を示す線、
発電設備の最小負荷を示す線、
工場送気量の最大値を示す線、
工場送気量0を示す線、
から構成される閉領域を構成するステップ1である。
第2のステップは、前記閉領域に運転不可能な点をプロットするステップ2である。運転不可能な点とは、例えば、過注入が発生する点を初めとして、連続安定運転を妨げる点である。
第3のステップは、前記閉領域において前記運転不可能な点を含む領域と含まない領域を分離しうる直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(以下、「運転可能領域」という。)を構成するステップ3である。
第4のステップは、前記運転可能領域範囲において運転するステップ4である。
(設備構成)
本発明の方法は、図5に示すような従来から使用されている設備であって、ボイラタービン発電設備1から、プロセス用蒸気の使用先としての工場設備2へプロセス用蒸気を供給する蒸気供給系統3を備えた蒸気供給システムである。
ボイラタービン発電設備1は、投入された燃料を燃焼させて蒸気を発生させるボイラ10と、ボイラ10から発生した蒸気の熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービン11と、タービン11の回転エネルギーを電力に変換する発電機12を有している。なお、本実施の形態におけるボイラ10は、給水を蒸発させて高温高圧の過熱蒸気である主蒸気を発生させる主蒸気系統13と、タービン11で仕事をして圧力と温度が低下した蒸気を過熱して高温低圧の再熱蒸気を発生させる再熱蒸気系統14とを有する、いわゆる再熱式ボイラである。
ボイラ10の主蒸気系統13には、給水管20からの給水を蒸発させる蒸発器21と、蒸発器から発生した蒸気を過熱する過熱器22と、過熱器22の入口に注水を行い過熱器22出口の温度を制御する減温器23が設けられている。再熱蒸気系統14は、タービン11で仕事をして圧力と温度が低下した蒸気を過熱する再熱器24と、再熱器24の入口に注水を行い再熱器24出口の蒸気温度を制御する減温器25と、を有している。また、タービン11は、過熱器22を通過した高温高圧の主蒸気に対応する高圧タービン26と、再熱器24を通過した高温低圧の高温再熱蒸気に対応する低圧タービン27と、を有している。
低圧タービン27の排気側には、当該低圧タービン27で仕事をして圧力と温度が低下した蒸気を水に戻して復水として貯留する復水器28が設けられている。復水器28とボイラ10は給水管20により接続されている。給水管20には、復水器28に貯留された復水をボイラ10に給水する給水ポンプ29が設けられている。減温器23、25への注水には、例えば給水ポンプ29からの給水が用いられる。各減温器23、25への注水量は、減温器23、25と給水ポンプ29との間に設けられた注水制御弁23a、25aの開度を調整することにより制御することができる。
蒸気供給系統3は、一端部が主蒸気管30に接続され、当該主蒸気管30を流れる主蒸気の一部を取り出す抽気管40と、抽気管40に設けられた抽気弁41と、抽気管40を流れる蒸気の流量を検出する抽気流量検出機構42を有している。抽気管40の他端部は、工場設備2に接続されており、抽気弁41の開度を調整することで、工場設備2へのプロセス用蒸気としての主蒸気の供給量を制御することができる。
(運転不可能領域)
<過注入>
ここでは、連続安定運転を妨げる現象の一つである過注入について説明する。
主蒸気管30から蒸気供給系統3への抽気量の増加により、ボイラ10への給水量とボイラ10への燃料投入量が増加する一方、再熱蒸気流量は増加しない。そのため、主蒸気の流量に対する再熱蒸気の流量の比率が大幅に低下する。その結果、再熱器24出口の蒸気温度を規定値内に収めるためには多量の注水が必要となり、それにより過注入となる場合がある。この点について、図4を用いて具体的に説明する。
図4(a)は、再熱蒸気系統14内における蒸気温度の変化の様子を表したグラフであり、横軸に蒸気の流れ方向に沿って配置された各機器を、縦軸に再熱蒸気温度をそれぞれ表している。
図4(a)の実線Aは、主蒸気管30からプロセス用蒸気を抽気していない場合の再熱蒸気の温度変化を示している。実線Aにおいては、減温器25による注水は行っていない。実線Aの状態では、再熱器24入口における蒸気温度が飽和温度以上で、且つ再熱器24出口における蒸気温度が規定値内となっており、再熱蒸気系統14は正常な状態で運転されている。
実線Bは、実線Aの状態から所定量の主蒸気を抽気管40から抽気した場合を示している。なお、実線Bにおいても、減温器による注水は行っていない。この場合、抽気管40からの抽気に伴い給水量を増加させるため、給水量の増加に伴いボイラ10に投入される燃料が増加する一方で、再熱器24を通過する蒸気量は変化しないため、再熱器24を通過する蒸気量に対する燃料流量が相対的に過剰になる。したがって、実線Bにおいては再熱器24での蒸気の温度上昇が大きくなり、再熱器24出口における蒸気温度が規定値以上となる。
実線Cは、実線Bの状態から減温器25による注水を行った場合、即ち従来の方法を用いて再熱器24の温度上昇を抑制する場合の蒸気温度の変化を示している。減温器25による注水を行うことで、再熱器24入口における蒸気温度が実線Bの場合よりも低下すると共に、注水することにより再熱器24を通過する蒸気量も増加するため、再熱器24における蒸気温度の上昇も緩やかとなる。その結果、再熱器24出口における蒸気温度が規定値内に保たれ、再熱器24の温度上昇が抑えられる。
主蒸気管30からの抽気量が、図4(a)の実線Bの状態よりもさらに増加した場合、即ち実線Bの状態よりも、再熱器24を通過する蒸気量に対する燃料流量の比率がさらに増加した場合について、図4(b)を用いて説明する。
抽気量が増加し、再熱器24を通過する蒸気量に対する燃料流量の比率が実線Bの状態よりもさらに増加した場合、実線Dに示されるように再熱器24における蒸気温度の上昇の度合いが図4(a)の実線Bの場合と比較して大きくなる。その結果、実線Dでは、再熱器24出口における蒸気温度が、実線Bの場合よりも更に高くなる。
図4(b)の実線Eは、実線Dの状態から減温器25による注水を行い、再熱器24出口における蒸気温度を規定値内とした場合の蒸気温度の変化を示している。実線Eの場合においては、実線Cの場合よりも多量の注水が必要となるため、注水により再熱器24入口における蒸気温度が飽和温度以下となる過注入の状態となってしまう。過注入が発生すると、再熱蒸気管50へのドレンの流入に伴う熱衝撃や、ウォータハンマといった、再熱蒸気管50や再熱器24の破損につながる現象が発生するため、連続安定運転ができなくなる。この場合、過注入を防ぐためには、減温器25による注水量を制限する必要が生じるが、このような制限を行うためには、ボイラ10への給水量、燃料投入量の変化速度や変化幅、あるいは主蒸気管30からの抽気量なども制限されることとなる。
再熱器24出口における蒸気温度を規定値内に保ちつつ過注入となることを回避するために、例えば減温器25を複数設け、段階的に蒸気温度を低下させるという手段について、図4(c)を用いて説明する。減温器25を複数設けた場合の蒸気温度の変化の様子の例を、図4(c)に示す。この図4(c)では、再熱器24として、図5には図示されていないが、1次再熱器と2次再熱器の2つの再熱器を設け、当該1次再熱器の入口側と2次再熱器の入口側とにそれぞれ減温器を設置した場合の再熱蒸気系統における蒸気温度の変化の一例を表している。
図4(c)に示す実線Fは、例えば図4(c)の実線Dの状態に、実線Eの場合と同じ注水量を、各減温器から分割して注水した場合の蒸気温度の変化を示す。実線Fの場合においては、例えば1次再熱器の入口における蒸気温度が飽和温度以上となり、且つ2次再熱器の出口において再熱蒸気の温度が規定値内となるように、1次再熱器入口の減温器25及び2次再熱器入口の減温器25からの注水量が振り分けられる。これにより、過注入を回避しつつ、再熱器24の温度上昇を抑制することができる。しかしながら、既述のように、減温器25を複数台設置した場合、設備費用が増加すると共に、注水の制御が複雑なものとなってしまうという問題が生じる。
<主蒸気圧力変動に伴う不安定化>
主蒸気圧力変動に伴う不安定化とは、例えば低負荷(発電出力)時のように、送気量の変化が再熱器に与える影響が大きい場合などに発生する現象である。
例えば、低負荷(発電出力)時に送気量を増加させた場合には、再熱器24の温度は急激に上昇し、減温器25への注水が急増する。当該注水により急激に再熱蒸気ラインの蒸気量が増えると、低圧タービン27の入口の蒸気量が急激に増加し、低圧タービン27での仕事量が増加し、発電出力が増加する。発電量が増加すると主蒸気加減弁26aにより主蒸気を絞り込み、高圧タービン26での仕事量を減らして発電出力を一定に保とうとする制御機能が働き、主蒸気ラインは急激に絞り込まれるために主蒸気圧力が上昇し、当該主蒸気上昇を打ち消すべく燃料を絞り込む制御機能が働く。
しかしながら、燃料が絞り込まれると、主蒸気の温度が低下するため、再度燃料を増加させよという指令が出されるために、再び、再熱器24の温度が上昇して減温器25が起動する。その結果、制御系が振動を起こし、ボイラタービン設備が制御不能の状態となりうる。
<主蒸気圧力変動に伴う設備非常停止>
主蒸気圧力変動が大きい場合には、さらに蒸気ドラム21bの水位が変化し、予め定められた管理値を超えると設備全体が非常停止する状態となる可能性がある。これは、飽和水のため、圧力の変化により蒸発・凝縮のバランスが直ぐに変化するためである。
<減温器注水量の上限>
例えば、古い設備を改造して、送気ラインをつけた場合であって、減温器25の注水量上限などの設備的な能力限界により運転できない可能性がある。
<ボイラのMCR(最大連続蒸発量)を超えた運転>
ボイラのMCR(最大連続蒸発量)以上の蒸発量を必要とする領域で運転することは法律的に禁止されている。
(運転可能領域)
しかしながら、発明者らは、次に述べるような運転可能領域を作成し、当該運転可能領域範囲において当該設備を運転することで、過注入等の連続安定運転を妨げる現象を回避できることを見出した。
図1は、縦軸を工場送気量(t/h)、横軸を発電出力(MW)として運転可能領域を描いたものである。
図2を用いて、図1に描かれた運転可能領域を作成する手順について説明する。
まず、閉領域の構成方法について説明する。ここで閉領域とは、ボイラのMCR(最大連続蒸発量)を示す線201、発電設備の最小負荷を示す線202、工場送気量の最大値を示す線203、工場送気量0を示す線204で囲まれた領域をいう。
図2の説明のために使用されるボイラは、最大100(t/h)、最小0(t/h)の蒸気を工場に送気することができる。また、使用される発電設備は、最小発電出力が51.5(MW)、最大発電出力は156(MW)である。
運転可能な最大発電出力は工場送気量によって異なり、工場送気量が30(t/h)までは156(MW)であり、送気量が100(t/h)では130(MW)であり、送気量が30〜100(t/h)の間は30(t/h)かつ156(MW)である点と100(t/h)かつ130(MW)の点を結んだ直線上の値をとる。このことから、ボイラのMCR(最大連続蒸発量)を示す線201は、工場送気量が0〜30(t/h)の区間は発電出力156(MW)であり、工場送気量が30〜100(t/h)の区間は、30(t/h)かつ156(MW)である点と100(t/h)かつ130(MW)の点を結んだ直線となる。
発電設備の最小負荷を示す線202は、工場送気量0〜100の区間において、51.5(MW)の直線である。
工場送気量の最大値を示す線203は、発電出力51.5〜130(MW)の区間において100(t/h)の直線となる。
工場送気量0を示す線204は、発電出力51.5〜156(MW)の区間において0(t/h)の直線となる。
直線201、202、203並びに204により閉領域は構成される(ステップ1)。
次に、運転不可能な点205をプロットする。例えば、設備の運転を行い、過注入が発生した点が6個あれば、図2に示すように該当する位置に黒丸(●)を記載する(ステップ2)。
最後に、閉領域において運転不可能な点(●)を含む領域と含まない領域を分離しうる直線206を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(運転可能領域)を構成する。線の引き方は様々あるが、当該線が運転不可能な点(●)に接触しないように引けば足りる(ステップ3)。直線201、202、203、204並びに206により構成されるのが図1に示した運転可能領域200である。
(運転可能領域内の運転)
図3は、運転可能領域内における蒸気供給設備の運転(ステップ4)の概念を示している。
運転において留意するのは、運転制限ラインの近傍で運転する場合である。点301において運転している場合において、工場に対して緊急に送気量を増加したいという局面に遭遇した場合、点301から点302にしたいが、点302は運転可能領域の外であるから点302とすると過注入等の連続安定運転を妨げる現象が発生しうる。
そこで、単純に工場への送気量を増大するのではなく、発電量を増大しつつ工場送気量を増大し、即ち線206に沿って運転して点303に到達し、点303にて運転することで、過注入等の連続安定運転を妨げる現象の発生を回避しながら運転することができる。
<過注入による運転不可能領域を求めるための好ましい実施の形態>
一定発電出力において工場送気量を順次増大すると、減温器への注水量が順次増大し、再熱器入口温度が順次低下する。そして、特定の工場送気量において再熱器入口温度が再熱蒸気飽和温度に到達する。このときの工場送気量を臨界工場送気量という。また、発電出力ごとに臨界工場送気量は異なり、発電出力が高いほど臨界工場送気量が増大する。そして、発電出力と臨界工場送気量の関係は、直線関係にあることがわかっている。従って、少なくとも異なった2種類の一定発電出力において工場送気量を順次増大し、それぞれの発電出力において減温器使用による過注入が発生する臨界工場送気量を把握することとすれば、臨界工場送気量を結ぶ直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(運転可能領域)を構成することが可能である。
そこで、本発明の好ましい実施の形態として、前記ステップ2、3に代えて、異なった2以上の一定発電出力において工場送気量を順次増大し、それぞれの発電出力において減温器使用による過注入が発生する臨界工場送気量を把握するステップ2aと、前記臨界工場送気量を結ぶ直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(運転可能領域)を構成するステップ3aとを有することとすると良い。
図2の説明に用いた蒸気供給設備を用いて、本発明を実施した。運転不可能な点をプロットしたところ、図2に示す直線206が引かれた。その結果、発電出力における最大供給可能蒸気量が、例えば70MWでは75t/h、90MWでは90t/hであった。そして現時点において、70MWで圧力制御にて運転し、送気量が65t/hの状態であった。このとき、工場側での蒸気使用量が25t/h増加した。
従来の蒸気供給設備の運転方法では、発電出力70MWでのままで工場への蒸気供給量を90t/hまで増加させたので、工場側の蒸気圧力が低下し、その結果として発電設備からの供給量を上げる指令がPID制御系から送られて、送気量が75t/hまで上がったところで、上限となりブロックが掛る。
一方、本発明例においては、工場への蒸気供給量が増大するにつれて発電出力を増大し、工場への蒸気供給量が90t/hに到達したときに発電出力が90MWとなるように発電出力の制御を行った。発電出力を90MWとすれば、送気量の上限は90t/hとなり、75t/hの上限ブロックが解除され送気量は90t/hまで増加させることができる。
本発明は、ボイラタービン発電設備から工場設備へプロセス用蒸気を供給する際に有用である。
1 ボイラタービン発電設備
2 工場設備
3 蒸気供給系統
10 ボイラ
11 タービン
12 発電機
13 主蒸気系統
14 再熱蒸気系統
20 給水管
21 蒸発器
21b 蒸気ドラム
22 過熱器
23 減温器
23a 注水制御弁
24 再熱器
25 減温器
25a 注水制御弁
26 高圧タービン
26a 主蒸気加減弁
27 低圧タービン
28 復水器
29 給水ポンプ
30 主蒸気管
40 抽気管
41 抽気弁
50 低温再熱蒸気管
52 高温再熱蒸気管

Claims (2)

  1. 再熱蒸気系統を有するボイラと、前記ボイラで発生した蒸気の熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービンと、前記タービンの回転エネルギーを電力に変換する発電機と、を備えたボイラタービン発電設備から工場設備へプロセス用蒸気を供給する蒸気供給系統とを有する蒸気供給設備の運転方法であって、
    当該蒸気供給設備の運転可能範囲として発電出力(MW)、工場送気量(t/h)を基軸とする平面上に、
    前記ボイラのMCR(最大連続蒸発量)を示す線、
    前記発電設備の最小負荷を示す線、
    工場送気量の最大値を示す線、
    工場送気量0を示す線、
    から構成される閉領域を構成するステップ1と、
    前記閉領域に運転不可能な点をプロットするステップ2と、
    前記閉領域において前記運転不可能な点を含む領域と含まない領域を分離しうる直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(以下、「運転可能領域」という。)を構成するステップ3と、
    前記運転可能領域範囲において運転するステップ4と、
    を有することを特徴とする蒸気供給設備の運転方法。
  2. 前記ステップ2、3に代えて、
    異なった2以上の一定発電出力において工場送気量を順次増大し、それぞれの発電出力において減温器使用による過注入が発生する臨界工場送気量を把握するステップ2aと、
    前記臨界工場送気量を結ぶ直線を引いて前記運転不可能な点を含まない閉領域部分(運転可能領域)を構成するステップ3aと、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸気供給設備の運転方法。
JP2012035147A 2012-02-21 2012-02-21 蒸気供給設備の運転方法 Active JP5740577B2 (ja)

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