JP5739333B2 - イオン注入に用いる調整可能な偏向光学 - Google Patents

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Description

本発明は、一般にイオン注入システムに関する。より具体的には、イオン注入システムにおける偏向光学に関する。
イオン注入器は、ワークピース中におけるドーパントの配置だけでなく、ワークピースへ注入されたドーパントの量および密度に関して精度が高いという利点がある。特に、イオン注入器は、与えられた適用に対して、注入イオンのドーズ量およびエネルギーを変更することが出来る。注入イオンの密度はイオンのドーズ量により制御され、高ドーズ量の注入をする場合は、典型的には高電流イオン注入器が用いられ、低ドーズ量の注入をする場合は、中電流イオン注入器が用いられる。イオンエネルギーは、接合領域の深さまたは半導体ワークピースへ注入されるイオンの深さを制御するために用いられる。
電気産業界において、より小さく、より強力なデバイス(例えば、携帯電話またはデジタルカメラ等)を製造すべく、電気デバイスが小型化される傾向にあり、これらのデバイスに用いられる半導体および集積回路(例えば、トランジスタ等)が継続的に小型化されている。これらのデバイスを単一半導体基板上に、または単一半導体基板上の一部(ダイスとして知られている)に、より多く搭載することにより、基板構造の効率および生産性は改善される。イオンビームのエネルギーが減少することにより、イオンはより浅い深さに注入される。これにより、より薄いデバイスを製造することができ、搭載密度を増加することができる。さらに、ドーズ量を増加させてイオンを浅く注入することにより、導電率を容易に所望の値にすることができ、搭載密度を増加させるためには、低エネルギーイオンビームのビーム電流が増加する必要がある。他の例を挙げると、基板に対して相対的に深く、イオンを選択的に注入するためには、高エネルギービームを用いることが好ましい。その結果、半伝導性の異なる特性を有する層が生成され、基板上の異なる領域間または異なるデバイス間において領域拡散が成される。現状としては、これらの異なる適用のためには、異なる器具(例えば、高電流イオン注入器に対する中電流)が用いられる。
米国特許第7,329,882号明細書(2008年2月12日登録) 米国特許第7,361,914号明細書(2008年4月22日登録) 米国特許第6,777,696号明細書(2004年8月17日登録) 米国特許第7,102,146号明細書(2006年9月5日登録)
少なくとも経済的な理由から、単一のイオン注入システムにおいて、イオン注入を幅広く行えることが好ましい。しかしながら、低エネルギーイオン注入器または高電流イオン注入器のビームパスは典型的に短く作られている。一方、高エネルギーイオン注入器または中電流イオン注入器のビームパスは相対的に長く作られている。低エネルギーイオン注入器は、ビームが互いに反発し合う荷電粒子を含むことにより径方向外側に拡大する傾向、いわゆるビームブローアップをとりわけ軽減させるべく短く作られている。これに対し、高エネルギーイオン注入器においては、かなりの運動量を有する粒子が高速移動している。これらの粒子は、ビームラインに追加される加速用間隙の一または幾つかを通過することにより運動量が増加する。さらに、かなりの運動量を有する粒子の軌道を修正するには、フォーカシング部は、フォーカシング力を十分に印加すべく相対的に長くなければならない。このため、高エネルギーのビームラインは、低エネルギーのビームラインまたは高電流のビームラインに比べ、相対的に長く作られている。したがって、少なくとも幾つかの要素の実効長を調整できるイオン注入システムを提供する必要がある。
以下に、本発明の幾つかの態様を基本的に理解するための概要を示す。この概要は、発明の広範囲な概観ではない。そして、発明の鍵または重要な要素を特定することを意図するものでもなく、発明の範囲を詳述するものでもない。むしろ、この概要の主たる目的は、後述する詳細な説明に対する前置きとして、発明の幾つかの概念を簡単に提示することである。
イオン注入システムに適する電気的および/または磁気的な偏向部には、選択的にバイアスをかけられる複数の電極が含まれており、偏向部を通過するイオンビームを曲げたり、偏向させたり、除染したり、集束させたり、加速させたり、減速させたり、焦束させたり、そして/または発散させたりする。該電極が選択的にバイアスをかけられ、そして、該電極の一または複数がバイアスをかけられていない状態またはオフの状態であるので、電気的要素中のビームパスの偏向領域における実効長は、例えば、エネルギー、ドーズ量、および種類等のビームの特性に基づいて、所望の通りに選択的に調整可能である。
一実施形態において、イオン注入システムには、イオンビームを生成するイオンビーム源およびイオンビームの質量分析部が含まれる。さらに、該イオン注入システムには、該イオンビームの質量分析部の下流側に、イオンビームを偏向させるための偏向部が少なくとも一つ含まれており、該偏向部は(ビームパスの)上記実効長を可変に調整することができる。また、該イオン注入システムには、該偏向部の下流側に設置されたエンドステーションが含まれており、該エンドステーションは、上記イオンビームによりイオンを注入されるワークピースを支持するように構成されている。該偏向部は、第一電極、該第一電極と間隙を有する第二電極、および、該第一電極および該第二電極の少なくとも何れかに電圧を印加するバイアスエレメントを備えている。そして、該第一電極と該第二電極との間に、その間隙を通過するイオンビームのイオンを偏向する電場が生成される。該第一電極および該第二電極の少なくともいずれか一つが、ビームの飛行パスに沿って複数の電極セグメントを生成するように細分化され、各電極セグメントは、該変更部の実効長を選択的に制御するように個別にバイアスをかけられる。
他の実施形態において、上記イオン注入システムには、一または複数のビーム特性を測定するように構成されている測定部が含まれる。また、上記イオン注入システムには該測定部、ビーム生成部、質量分析部、および、偏向部と機能的に接続されている制御部が含まれる。ここで、該制御部は、測定部により測定された測定値に応じて、該ビーム生成部、該質量分析部、および該偏向部の少なくとも一つの動作を調整するように構成されている。該測定部は、電流、質量、電圧、および/または電荷電流の少なくとも一つを測定するように構成されている。上記イオンビームは、該偏向部により、偏向されると共に減速される。また、該イオンビームは、該偏向部により、偏向されると共に集束される。
上記目的および関連する目的の達成に向けて、以下の記述および添付の図面において、本発明のある実例的な実施形態が詳しく述べられている。この実例的な実施形態は、本発明の原理が用いられた様々な方法のごく一部を示すものである。本発明の他の目的、利点、および優れた特徴は、図面と共に考慮すれば、以下に述べる本発明の詳細な説明より明らかとなる。
偏向部の実効長を調整するように偏向部の電極に選択的に電圧が印加される、例示的なイオン注入システムを示すブロック図である。 偏向部の実効長を調整するように偏向部の電極に選択的に電圧が印加される、例示的なイオン注入システムを示すブロック図である。 本明細書に記述されている電極を示す図である。 本明細書に記述されている電極を示す図である。 本明細書に記述されている電極を示す図である。 本明細書に記述されているイオンビームの制御を実行するための例示的な方法を示している。
以下、本願請求項の内容について、添付の図面を参照しながら説明する。それらの図面において、同様の要素に対しては同様の符号を用いるものとする。これらの態様に関する記述は、単に実施例に過ぎず、如何なる意味においても制限的であることを意図するものではないことが理解されるものとする。以下の記述において、説明をするにあたり、本願請求項の内容を完全に理解できるように、多数の特徴的な詳細が記述されているが、これらの特徴的な詳細がなくとも本願請求項の内容を実行できることは明白である。また、本願請求項の内容を容易に記述できるように、よく知られている構造およびデバイスをブロック図の形式で示している。
本発明は細分化された偏向部のメカニズムに関するものであり、該細分化された偏向部のメカニズムは、ビームエネルギー、電流、電圧、質量、および/または電荷の少なくとも一つの関数として、偏向場の密度および形状を、個別にかつ空間的に制御するために提供される。該細分化された偏向部のメカニズムは、第一電極および第二電極を含んでおり、その内の少なくとも一つが、全てまたは個別に選択されバイアスがかけられる電極セグメントを含んでいる。ここで、該偏向部の選択されない他の電極セグメントは、所定の電圧(例えば、グラウンド)に保たれている。全ての電極セグメント、一つの電極セグメント、または幾つかの電極セグメントに選択的にバイアスをかけることにより、ビームプラズマの偏向量および分散量を調整するように電場が保たれる。この方法により、高エネルギーおよび/または低エネルギーのビームが偏向される一方で、ビームの中性化が保たれる。本発明は、ペンシルビーム注入システムおよびリボンビーム注入システムのような様々な種類のビーム注入システムに適用することができる。
図1は、例示的なイオン注入システム110を示しており、このシステムにおいて、イオンビームは本明細書中にて述べられるように輸送される。イオン注入システム110はターミナル112、ビームラインアセンブリ114、およびエンドステーション116を含んでいる。一実施形態において、ターミナル112は、高電圧電源122により電力が供給されるイオン源120を含んでおり、イオン源120は、イオンビーム124を生成し、イオンビーム124を該ビームラインアセンブリ114に向き付ける。イオン源120は荷電イオンを生成し、該荷電イオンは引き出され、該イオンビーム124へと形成される。ここで、該イオンビーム124は、該ビームラインアセンブリ114においてビームパスに沿って、該エンドステーション116に向き付けられる。
上記イオンを生成するために、イオン化されるドーパント物質のガス(図示しない)が上記イオン源120の生成チェンバー121に配置される。該ドーパントガスは、例えば、ガス源(図示なし)からチェンバー121に引き入れられる。電源122に加え、イオン生成チェンバー121内にて自由電子を励起するために任意の数のメカニズム(図示なし)を用いることができる。例えば、RFまたはマイクロ波励起源、電子ビーム注入源、電磁場源、および/または該チェンバー内にてアーク放電を生成するカソード等が挙げられる。該励起された電子はドーパントガス分子と衝突し、イオンが生成させる。一般に、本明細書中の開示では、正のイオンが生成されるが、負のイオンも同様に生成されるシステムに対しても適用可能である。イオンは、イオン引出アセンブリ123により制御されながら、チェンバー121のスリット118を通して引き出される。ここで、イオン引出アセンブリ123は、複数の引出電極および/または抑制電極125aおよび125bを含んでいる。引出アセンブリ123は、例えば、分離型引出電源(図示なし)を含んでおり、この分離型引出電源は、生成チェンバー121からのイオンを加速させるために、引出電極および/または抑制電極125aおよび125bにバイアスをかける。
例を一つ挙げると、上記ビームラインアセンブリは、ビームガイド、質量分析部、走査システム、および少なくとも一つの偏向部を含んでいる。他の例を挙げると、図1に示されているように、該ビームラインアセンブリ114は、平行化部139、ビーム走査システム135、および、少なくとも一つの偏向部157も含んでいる。一実施形態において、質量分析部126は、約90度の角度に形成されている。また、該質量分析部126は、一または複数のマグネット(図示なし)を含んでおり、マグネット間に(双極性)磁場を発生させる。上記ビーム124は、質量分析部126へ進入すると、電荷質量比の不適切なイオンが排除されるように磁場により曲げられる。より具体的には、電荷質量比が非常に大きなイオンまたは非常に小さなイオンは、質量分析部126の側壁127に向かって偏向される。このようにして、質量分析部126を用いることにより、ビーム124に含まれる所望の電荷質量比を有するイオンのみが磁場を通過し、分解開口部134を通過して外に出ることができる。上記イオン注入システムにおいて、イオンビームが他の粒子と衝突することにより、ビームの均一性は低下する。したがって、一または複数のポンプ(図示なし)が、少なくともビームガイド132および質量分析部126を真空にするために含まれていてもよい。
図1の例に示されている上記走査システム135は、走査エレメント136および偏向部138を含んでいてもよい。電源149は走査エレメント136と、電源150は偏向部138と、それぞれ機能的に接続されている。より具体的には、各部に設置された電極136a、136b、138a、および138bとそれぞれ接続されている。偏向部138は、相対的に狭いプロファイルを有する質量分析されたイオンビーム124(例えば、図示されているシステム110中のペンシルビーム)を受け入れる。そして、電源150により複数の電極136aおよび136bに電圧を印加することにより、走査エレメント136の走査頂点151へ該ビームが集束され、進められ、そして偏向される。一方、リボンビームもまた本明細書にて述べられている偏向部により受け入れられる。ペンシルビームの場合、電源149(理論的には電源150と同じ)により走査板136aおよび136bに印加された電圧波形により、該ビーム124は前後に走査され、拡散され、対象のワークピースの幅以上の幅を有するリボンビーム(例えば、走査されたビーム124)に引き伸ばされる。走査頂点151は、光学パス上の起点であって、走査エレメント136により走査された後の各ビームレットまたはリボンビームの走査部分が生じる起点として規定される。ペンシルビームを単独で用いる実施形態においては、走査エレメント136は外されてもよいし使用されなくてもよい。
例を一つ挙げると、上記走査されたビーム124は、該ビームを除染するための粒子トラップ(図示なし)を通過する。この粒子トラップには、電場および/または磁場を用いる多くの異なるトラップが含まれてもよい。他の例を一つ挙げると、該走査されたビームは平行化部139を通過する。この図示されている例においては、平行化部139は2つの双極性マグネット139aおよび139bを備えている。
イオン注入器110において、異なる型のエンドステーション116が使用されてもよい。図示されている例におけるエンドステーション116は、イオン注入のビームパスに沿って単一のワークピース130を支持する「枚葉式」のエンドステーションである。イオン注入よりも先に(そして、イオン注入の間も)キャリブレーションをするために、線量測定システム152がエンドステーション116内においてワークピース位置の近傍に含まれていてもよい。一実施形態において、キャリブレーションの間、ビーム124は線量測定システム152を通過する。線量測定システム152は、プロファイラパス158を横切るプロファイラ156を一または複数個含んでおり、ビームのプロファイルを測定する。プロファイラ156は、例えば、ファラデーカップのような電流密度センサを備えている。そして、一例においては、線量測定システムは、ビーム密度分布およびビーム角度分布を、R.D.Rathmell, D.E.Kamenitsa, M.I.King, and A.M. Ray, IEEE Proc. Of Intl. Conf. on Ion Implantation Tech., Kyoto, Japan 第392頁−第395頁(1998年), 米国特許第7,329,882号明細書、Rathmell等共著 "ION IMPLANTATION BEAM ANGLE CALIBRATION" および米国特許第7,361,914号明細書、Rathmell等共著 "MEANS TO ESTABLISH ORIENTATION OF ION BEAM TO WAFER AND CORRECT ANGLE ERRORS" に記述されているように測定することができる。なお、これらの文献全体は本明細書の一部として取り込まれる。
線量測定システム152は、制御システム154と接続されることが可能であり、線量測定システム152は、制御システム154からの操作信号を受信し、制御システム154に測定値を提供する。例えば、制御システム154は、コンピュータ、マイクロプロセッサ等を備えてもよい。また、例えば、制御システム154は、線量測定システム152からの測定値を受け取り、電流密度、エネルギーレベル、および/またはビームの平均角度分布を計算する。同様に、制御システム154は、ビームラインアセンブリ114の質量分析部126、平行化部139、および偏向部136、138、および157と同様に(例えば、電圧149、150、159および160を介して)、イオンビームが生成される端部112と接続されることが可能である。
一実施形態において、一または複数の偏向ステージ157が質量分析部126の下流側に配置されている。イオン注入システム110におけるこの点まで、ビーム124は、一般に、相対的に高いエネルギーレベルの状態のまま輸送される。これにより、特に分解開口部134のようなビーム密度の高い地点におけるビームのブローアップが軽減される。イオン引出アセンブリ123、走査エレメント136およびフォーカスステアリングエレメント138と同様に、偏向ステージ157は、ビーム124を減速することが可能である電極157aおよび157bの一または複数を備えている。
二つの電極125aと125b、136aと136b、138aと138b、および157aと157bが、それぞれ例示的なイオン引出アセンブリ123、走査エレメント136、偏向部138および偏向ステージ157に図示されている。ただし、これらのエレメント123、136、138、および157は、任意の適する数の電極を備えていてもよい。ここで、該電極は、イオンビーム124を集束し、曲げ、偏向し、収束し、拡散し、走査し、平行化し、そして/または除染させるだけでなく、イオンを加速および/または減速させるように配置されバイアスをかけられる電極である。この方法は、Rathmell等共著の米国特許第6,777,696号明細書において提供されている方法にかなり似ている。なお、この米国特許明細書全体は本明細書に組み込まれる。加えて、フォーカスステアリングエレメント138は、アインツェルレンズ、4重極、および/または他のフォーカシングエレメントと同様の電気偏向プレート(例えば、一または複数組の電気偏向プレート)を備えていてもよい。平均して0になるようにエレメント138の偏向プレートに電圧を印加することは必要不可欠ではないが、その効果により、要素138のフォーカシングの歪みを軽減するための付加的なアインツェルレンズを導入する必要はなくなる。ビーム方向は、操作電圧および電気偏向プレート長に比例し、ビームエネルギーに反比例するので、イオンビームのステアリングは、偏向電極138aと138bの次元、および、とりわけ偏向電極に印加される操作電圧の次元の関数として表される。
更なる例によれば、図1の偏向部157は、望まないエネルギーのイオンおよび中性体を更にフィルタリングしビームから除外するように機能する。反対に、所望のイオン種は同じパスを通り、偏向部157により向き付けられ、曲げられ、偏向され、収束され、集束され、加速され、減速され、そして/または除染される。もしイオンビームが、クラスタービーム注入のように同一の質量の分子を含んでいる場合であれば、これは有効である。ここで、略全てのクラスターは同じ軌道を描き、減速ステージにおいてほとんど質量分散はなく、ビームのサイズおよび角度(この例においては、リボンの平面の外側)は保たれている。
一実施形態において、偏向部157は、第一電極157aおよび第二電極157bのように複数の電極を備えており、この複数の電極のそれぞれは、上部の電極および下部の電極を少なくとも一つずつ備えている。そして、この下部の電極は、ある実効長(図示なし)を有する偏向領域を有し、イオンビーム124を曲げたり、偏向したり、収束したり、拡散したり、集束したり、加速したり、減速したり、そして/または除染したりするように、選択的にバイアスがかけられる。偏向部157の偏向領域は、イオンビームの湾曲を誘発することができる方法を用いて、電場がイオンビームに作用を及ぼす領域を含んでいる。例えば、偏向領域の実効長は、以下に更に記述されているように、作り出された電場空間の大きさに依存して可変である。電源160は、電極に選択的にバイアスをかけるように、変更部157と機能的に接続されている。偏向部157の偏向領域の実効長は、電極が選択的にバイアスされることにより調整される。例えば、偏向部157の実効長は、電極の一または複数をイオン注入器の筐体と同電位(例えば、0またはグラウンド)にバイアスすることにより、つまり本質的にその電極の使用をやめたり電極の電源を切ったりすることにより減少する。同様に、偏向部157の実効長は、電極により生成される電場を増大させるために、電極を偏向電位(典型的には0またはグラウンドと異なる)にバイアスすることにより増加させることができる。
一実施形態において、図2を参照すると、偏向ステージ157が詳細に図示されており、下流側に設置された偏向部236へのビーム接合を妨げる第一垂直プレート238aおよび第二垂直プレート238bを備えている。偏向部236は、上部電極236aおよび下部電極236bを備えており、それぞれ複数の電極セグメントを有している。本実施形態において、ビーム124は、偏向部236により曲げられる前、曲げられている最中、そして/または曲げられた後において、減速または加速される。
図2は、(図1に示されているように)ビーム124は偏向部157により偏向されると共に減速されることを示す配置の一例である。そして、Rathmell等共著、米国特許第7,102,146号明細書において記述されている方法と略同様の方法を用いて考慮される幾つかの様々な変形例の一つである、なお、この米国特許明細書全体は本明細書に組み込まれる。他の例においては、ビーム124は、偏向されると共に加速される。そして、ビーム124は、偏向されたパスに沿って荷電粒子をガイドするために、ビームが曲げられる後、前、そして/または最中において発生する。荷電されていないイオンの何れも、または不適正な電荷のイオンの何れも、偏向されたパスを通過しない。それ故に、偏向されたパスとは異なる方向に進行し、例えば、中性体トラップに入り込む。
図示されている例においては、開口部210を通過するイオンビーム124は、軸212から角度θ’227にて偏向される。ここで、角度θ’227は、約7度から20度の間の角度であり、例においては約12度である。イオンビーム124は、開口部210の下流側の点228においてフォーカスされる。図2は、ハイブリッド型の走査メカニズムを示している。また、単独のペンシルビームのような他の型の走査メカニズムがあり、これらは本発明の実施形態に含むことができる。上述したように、イオンビームには、走査型のメカニズムを有さずに質量分析部の下流側にエンドステーションを有する標準的なビームラインが含まれる。また、そのような標準的なビームライン以外にも、任意の数のビームの型を含んでもよい。更に、スキャナーは、走査されたビームを提供するためのものであり、ここで、走査されたビームとは、走査されたリボンビーム(つまり、ハイブリッド走査である時間平均リボン)、リアルタイム静的リボンビーム、または、様々な変形例により提供された何れのリボンビームでもよい。
図3aは、図2の偏向部226を表す細分化された偏向メカニズム336を示している。細分化された偏向メカニズム336は、上部電極アセンブリ336aおよび下部電極アセンブリ336bを備えており、それぞれの電極は、328に示されたビーム方向に配列された電極セグメント302、304、306、308、310、および312の配列を備えている。電極302、304、および306は、下部電極アセンブリ336bを構成し、電極308、310、および312は、上部電極アセンブリから336aを構成している。他の例においては、ビーム324は、偏向されると共に減速および/または加速されてもよい。また、ビーム324は、考案されたパスに沿って荷電粒子をガイドするために、ビームを曲げた後、曲げる前、および/または曲げている最中に発生してもよい。
細分化された偏向メカニズムの電極セグメントの各々に、偏向部の実効長を選択的に制御するように、個別にバイアスがかけられる。偏向メカニズム336は、制御部316および測定部314と接続されている。ここで、測定部314は、一または複数のビーム特性を測定するように構成されており、該ビーム特性には、ビーム324のエネルギー、電圧、電流、電流密度、質量、電荷、および種の少なくとも一つを含んでいる。制御部は測定部、ビーム生成部、質量分析部、および/または偏向部と機能的に接続されており、測定部により取得された測定値に応じて、ビーム生成部、質量分析部、および偏向部の少なくとも一つの動作を調整するように構成されている。
図3bに示されている一実施形態において、偏向部336の下部電極と上部電極の最初の組である302と308、および、最後の組である306と312は、イオンビームの電子が偏向領域に進入しないようイオンビームの電子を退けるために、それぞれ0ボルトから−2キロボルトの間の電位Vによって保たれている。これは、偏向を生成するために、中間にある下部電極と上部電極の組である310と304とのそれぞれに、相対的に正の高電位Vがバイアスされてもよいので好ましい。例えば、中間にある上部電極310に、正の高電圧がバイアスされることは可能である。近似された実効長318を有する偏向領域320がそこに生成される。これは、高エネルギービームに対して実行される。偏向領域320がイオンビームと相互作用する実効長318は、相互作用している電場線の様々な非線形形状のため近似されており、このようにして近似された実効長が描かれている。しかしながら、実効長には、バイアスの大きさおよび個別の電極セグメントをどう選択するかに関して、様々な形状および長さが取り入れられ得る。
また、描かれた電極セグメントの何れも、偏向領域320の実効長318を選択的に制御するために、個別にバイアスがかれられる。これは、例えば、それほど多くの正の電圧を用いないことにより、電場ができるだけ短くビームに作用する偏向領域320を保ち続ける際に有効である。つまり、上部電極または下部電極の全セグメントの数よりも少ない電極セグメントの数(例えば、3つの内の1つ、または、3つの内の2つ)が、低エネルギービームに対して(ビームからプラズマを除去する)電場空間を物理的により短くするように利用される。図3aと同様に、偏向メカニズム336は、制御部316および測定部314に接続される。ここで、測定部314は、一または複数のビーム特性を測定するように構成される。このビーム特性は、ビーム324のエネルギー、電圧、電流、電流密度、質量、電荷および種の少なくとも一つを含んでいる。
図3cは、高エネルギービームが用いられる一実施形態を示している。一実施形態において、上部電極セグメントの3つ全てに高電圧Vがバイアスされ、下部電極セグメントの3つに低電圧Vがバイアスされる。これは、ビームプラズマを効果的に除去することができ、それゆえ、偏向領域320の実効長318をより長く提供することができる。再び、偏向領域320がイオンビームと相互作用する実効長318は、相互作用している電場線の様々な非線形形状のため近似されており、このようにして近似された実効長が描かれている。しかしながら、実効長には、バイアスの大きさおよび個別の電極セグメントをどう選択するかに関して、様々な形状および長さが取り入れられ得る。例えば、図3cにおいて、実効長318は、そこを通過するビームラインの物理的な長さと略同様に近似された長さであってもよい。示されている実効長は、偏向領域内のある点における長さと略同様であってもよいが、ビームラインに関する長さがかなり異なる点があってもよい。
細分化された偏向メカニズムの個別の電極セグメントが選択的にバイアスされる他のバイアス構成も利用される。例えば、負にバイアスされた中間にある下部電極304を除いた全電極セグメントをグラウンドにする。この場合、下部の負の電極がイオンビームを引き付けるため、イオンビームは引き続き曲げられる。これは、イオンビームの中性化を促進するビームプラズマのより良い分散を取得すべく、低エネルギービームに対して提供される。偏向部の他の電極セグメントは、互いに個別に選択的にバイアスされるように構成されている。これは、制御部316に接続された電源(図示なし)を通して実行される。この制御部316は、エネルギー、電流、質量、および電荷の少なくとも一つに基づくビームの測定値を測定部316から受け取る。
図4には、本明細書にて述べられているような、イオン注入システムにおけるイオンビームを制御するための例示的な方法400が示されている。方法400は、本明細書において一連の動作または一連の出来事として図示され記述されているが、本発明は、それらの動作について図示された順序付けに制限されるものではない。例えば、幾つかの動作は、異なった順序付けで起こるものとしてもよいし、本明細書に示され記述されている動作または出来事とは異なる他の動作または出来事と共に起こるものとしてもよい。加えて、図示されている動作の全てが、本明細書に述べられた実施形態の一または複数の態様を実施するために必要である訳ではない。更に、一または複数の動作は、一または複数の分離した動作および/または状態においても実行される。
方法400は410において開始し、ワークピースにイオンを注入するために利用されるイオンビームが、イオン注入システムにおいて生成される。例えば、イオンビームは、所望のドーパント種、エネルギー、および/または電流を有するように生成される。方法は412に進み、一または複数の注入特性が測定される。この注入特性とは、注入角度、ビーム種、ビームエネルギー、およびビームドーズ量等である。例えば、そのような特性は、上述しているような線量測定システムを用いて測定されてもよい。より具体的には、例えば、ビームの電流密度を規定する線量測定システムが用いられてもよい。測定された特性は、例えば、システムの制御部に記憶されている所望の値と比較され、所望の結果を入手するためには、もし必要な調整があるとすればどのような調整が成される必要があるかを確かめる。
システムの動作は、412において取得された測定値に基づいて414において調整される。例えば、一または複数の偏向部の電極セグメントの何れも、上述しているように、所望のイオン注入を取得するように調整されてもよい。例えば、所望の実効長、偏向角度、および/または加速/減速のレベルを達成するように、一または複数の電極に印加されるバイアス電圧が取得される。方法400は、その後、終了となるように示されている。しかし、方法400は、所望のイオン注入を達成するように、実際は、サイクルを続けたり、何度繰り返されたりしてもよい。
本発明は、一又は複数の実施例に関して図解され記述されているが、本明細書及び添付の図面を読み理解することにより、当業者は同等の変更および修正を行うことができる。本発明の開示には、そのような修正および変更を全て含んでおり、本発明の開示は、以下の請求項の範囲においてのみ限定されるものである。特に、上記の要素(アセンブリ、エレメント、デバイス、および回路等)により実行される様々な機能に関して、そのような要素を記述するために使われた用語(「手段」として参照されるものも含む)は、ここで示されている本発明の例示的な実施例における機能を実行する明示的な構造と構造的に同等でないとしても、他の方法が示されない場合には、上述の要素の明細書中に記述された機能を実行するどの要素(つまり、機能的に同等である要素)にも対応するものとする。加えて、本発明の特定の特徴は、様々な実施例の内の一つに関して開示したが、そのような特徴は、他の実施例の一またはそれ以上の他の特徴と結び付けることができ、どの既存の適用例またはどの特定の適用例に対しても所望なものとなり、かつ有利なものとなる。更に、発明の詳細な説明および請求項において用いられる以下の用語「含む」、「有している」、「有する」、「付帯の」、およびその派生語は、「備えている」という用語と同様な意味において包含的であるものとする。また、本明細書中において用いられている「例示的な」という用語は、「最上の例」というよりは単に「例」を意味している。

Claims (14)

  1. イオンビームを生成するように構成されているイオンビーム源と、
    生成された上記イオンビームを質量分析するための質量分析部と、
    上記質量分析部の下流側に設置され、配列された複数の電極セグメントを備えている偏向部であって、質量分析された上記イオンビームを偏向するための偏向領域を有している、細分化された偏向部と、
    複数の上記電極セグメントそれぞれに選択的にバイアスをかけるための、上記偏向部と機能的に接続する電源と、
    上記イオンビームの一または複数の特性を測定するように構成されている測定部と、
    細分化された上記偏向部と接続する制御部と、
    上記偏向部の下流側に設置されているエンドステーションであって、上記イオンビームによりイオンを注入されるワークピースを支持するように構成されているエンドステーションと、
    を備えており、
    上記制御部は、上記偏向領域の実効長を変更するために上記電源を介して複数の上記電極セグメントそれぞれに選択的かつ個別にバイアスをかけるように構成され、
    上記制御部は、さらに、上記イオンビーム源、上記質量分析部、および、上記測定部と接続されており、
    上記制御部は、上記測定部により取得された測定値に応じて、上記偏向領域を調整するために、複数の上記電極セグメントのいずれか一つ以上に対する上記電源の調整が可能に構成されていることを特徴とするイオン注入システム。
  2. 上記偏向部は、
    第一電極と、
    上記第一電極との間に間隙を有する第二電極と、
    を備えており、
    上記電源は、上記第一電極および上記第二電極の少なくとも一つに電圧を印加するように構成されており、
    上記間隙を飛行する上記イオンビームのイオンを偏向するように上記第一電極と上記第二電極との間に電場が生成され、
    上記第一電極および上記第二電極の少なくとも一つが、上記イオンビームの飛行パスに沿って複数の電極セグメントを形成するように細分化され、
    上記電極セグメントの各々が、上記偏向領域の実効長を選択的に制御するように選択的にバイアスされる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
  3. 複数の上記電極セグメントのうち一または複数の該電極セグメントが、電極間隙を挟んで対向する上部電極および下部電極を備えており、
    上部電極は、少なくとも3つのセグメントに細分化されており、下部電極は、少なくとも3つのセグメントに細分化されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のイオン注入システム。
  4. 上部電極および下部電極の最初のセグメントおよび最後のセグメントが、該上部電極の該最初のセグメントと該下部電極の該最初のセグメントとの間にある該間隙、および、該上部電極の該最後のセグメントと該下部電極の該最後のセグメントとの間にある該間隙において、周辺よりも負の電位分布を生じさせるようにバイアスされる、
    ことを特徴とする請求項2に記載のイオン注入システム。
  5. 上記上部電極の最初の電極セグメントと最後の電極セグメントとの間にある少なくとも一つの電極セグメントが正にバイアスされ、上記下部電極の最初の電極セグメントと最後の電極セグメントとの間にある少なくとも一つの電極セグメントが、該上部電極のそれぞれのセグメントよりも負にバイアスされる、
    ことを特徴とする請求項3に記載のイオン注入システム。
  6. 上記下部電極の中間セグメントが負にバイアスされ、残りのセグメントおよび上記上部電極の電位が、上記偏向部における上記偏向領域の長さを最小限にするように、周辺に関してグラウンドである、
    ことを特徴とする請求項3に記載のイオン注入システム。
  7. 上記測定部によって測定される上記イオンビームの特性は、該イオンビームの電圧、電流、質量、電荷、エネルギー、および種の少なくとも一つを含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
  8. 汚染物質をフィルタアウトするように上記イオンビームを略S字型に湾曲させると共に、上記イオンビームを、それぞれが略等しい実効長を有する複数の平行ビームレットに平行化する平行化部
    を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
  9. 上記イオンビームは、上記偏向部により偏向されると共に、上記偏向部により減速、集束、または減速および集束される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
  10. 記測定部により取得された測定値に応じて上記イオンビームを加速または減速させる、一または複数組の電気偏向プレート、アインツェルレンズ、または4重極に機能的に接続されている制御部更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
  11. イオン注入システムにおいて、ワークピースにイオンを注入する方法であって、
    上記イオン注入システムにおいて、イオンビームを生成するステップと、
    上記イオンビームの一または複数のビーム特性を測定するステップと、
    配列された複数の電極セグメントを備えた、細分化された偏向部を提供するステップと、
    上記偏向部に対して選択的にバイアスをかけるための、当該偏向部と機能的に接続する電源を提供するステップと、
    複数の上記電極セグメントそれぞれを個別にバイアスするための、細分化された上記偏向部と接続する制御部を提供するステップと、
    測定部を提供するステップと、
    ビーム特性に基づいて、細分化された上記偏向部の複数の上記電極セグメントのうち、1または複数の上記電極セグメントに印加されるそれぞれのバイアス電圧を選択的および個別に調整することにより、該イオン注入システムにおける細分化された上記偏向部を飛行する上記イオンビームの実効長を制御するステップと、
    上記制御部および上記電源を介して上記偏向部の上記実効長を選択的に制御するステップと、
    上記制御部によって上記偏向部の動作が調節されるように上記測定部により取得された測定値を使用するステップと、
    を含んでいることを特徴とする方法。
  12. バイアス電圧が、上記イオンビームを偏向するように、上記偏向部における1組、2組、または3組の電極に印加されるべきか否かを判定するステップ、
    を更に含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 上記イオンビームの収束、加速、または減速の少なくとも一つを制御するように、上記偏向部の第一電極および第二電極に印加されるそれぞれのバイアス電圧を選択的に調整するステップ、
    を更に含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 上記イオンビームの、エネルギー、電流、および種の少なくとも一つに基づいて偏向を制御するように、上記偏向部の第一電極および第二電極に印加されるそれぞれのバイアス電圧を選択的に調整するステップ、
    を更に含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。

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