以下、本発明の電力中継器を適用した実施の形態について説明する。
図1は、磁界共鳴を利用した電力中継器を含む充電システムの構成を示す図であり、図2は、図1に示す充電システムの等価回路を示す図である。
図1に示すように、実施の形態1の電力中継器100を含む充電システム50は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4、整合回路5、交流電源6、整流回路7、及びDC−DCコンバータ8を含む。充電システム50には、バッテリ9が接続される。
1次側コイル1、1次側共振コイル2、整合回路5、及び交流電源6は、電力を送電する送電器10に含まれる。
2次側共振コイル3は、電力中継器100に含まれる。電力中継器100は、送電器10と受電器20との間に配設され、送電器10から受電する電力を中継して受電器20に送電する。
2次側コイル4、整流回路7、及びDC−DCコンバータ8は、受電器20に含まれる。受電器20には、バッテリ9が接続される。
まず、送電器10に含まれる1次側コイル1、1次側共振コイル2、整合回路5、及び交流電源6について説明する。
図1に示すように、1次側コイル1は、ループ状のコイルであり、両端間に整合回路5を介して交流電源6が接続されている。1次側コイル1は、1次側共振コイル2と非接触で近接して配置されており、1次側共振コイル2と電磁界結合される。1次側コイル1は、自己の中心軸が1次側共振コイル2の中心軸と一致するように配設される。中心軸を一致させるのは、1次側コイル1と1次側共振コイル2との結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が1次側コイル1及び1次側共振コイル2の周囲に発生することを抑制するためである。
また、図2の等価回路に示すように、1次側コイル1は、インダクタンスL1のコイルとして表すことができる。なお、1次側コイル1は、実際には抵抗成分とキャパシタ成分を含むが、図2では省略する。
1次側コイル1は、交流電源6から整合回路5を経て供給される交流電力によって磁界を発生し、電磁誘導(相互誘導)により電力を1次側共振コイル2に送電する。
図1に示すように、1次側共振コイル2は、1次側コイル1と非接触で近接して配置されて1次側コイル1と電磁界結合されている。また、1次側共振コイル2は、所定の共振周波数を有し、非常に高いQ値を有するように設計されている。1次側共振コイル2の共振周波数は、2次側共振コイル3の共振周波数と等しくされている。なお、図1では見やすさの観点から1次側共振コイル2の両端は開放されているが、1次側共振コイル2の両端の間に、共振周波数を調整するためのキャパシタが直列に接続される場合もある。
1次側共振コイル2は、所定の間隔を隔てて、自己の中心軸が2次側共振コイル3の中心軸と一致するように配置されている。1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間隔は、例えば、数メートル程度であってもよい。1次側共振コイル2と2次側共振コイル3の共振Qが十分大きければ、数メートル程度離れていても、磁界共鳴による電力の伝送が可能である。なお、中心軸を一致させるのは、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間に良好な磁界共鳴を生じさせるためである。
また、図2の等価回路に示すように、1次側共振コイル2は、インダクタンスL2のコイルと、キャパシタンスC2のキャパシタを有するループ回路として表すことができる。キャパシタンスC2は、1次側共振コイル2の両端間に周波数調整用に接続されるキャパシタの容量である。なお、1次側共振コイル2は、実際には抵抗成分を含むが、図2では省略する。
1次側共振コイル2の共振周波数は、交流電源6が出力する交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。1次側共振コイル2の共振周波数は、1次側共振コイル2のインダクタンスL2とキャパシタンスC2によって決まる。このため、1次側共振コイル2のインダクタンスL2とキャパシタンスC2は、1次側共振コイル2の共振周波数が、交流電源6から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
なお、1次側共振コイル2は、寄生容量だけで共振周波数を設定でき、かつ、1次側共振コイル2の浮遊容量を固定できる場合は、両端が開放されていてもよい。
整合回路5は、1次側コイル1と交流電源6とのインピーダンス整合を取るために挿入されており、インダクタLとキャパシタCを含む。
交流電源6は、磁界共鳴に必要な周波数の交流電力を出力する電源であり、出力電力を増幅するアンプを内蔵する。交流電源6は、例えば、数百kHzから数十MHz程度の高周波の交流電力を出力する。
以上の1次側コイル1、1次側共振コイル2、整合回路5、及び交流電源6を含む送電器10は、交流電源6から1次側コイル1に供給される交流電力を磁気誘導により1次側共振コイル2に送電し、1次側共振コイル2から磁界共鳴により電力を電力中継器100の2次側共振コイル3に送電する。
次に、電力中継器100に含まれる2次側共振コイル3について説明する。
図1に示すように、電力中継器100に含まれる2次側共振コイル3は、1次側共振コイル2と所定の間隔を隔てて、自己の中心軸が1次側共振コイル2の中心軸と一致するように配置されている。
図1では見やすさの観点から2次側共振コイル3の両端は開放されているが、2次側共振コイル3の両端間には、共振周波数を調整するためのキャパシタが直列に接続される場合もある。
2次側共振コイル3は、1次側共振コイル2と同一の共振周波数を有し、非常に高いQ値を有するように設計されている。
2次側共振コイル3と1次側共振コイル2との間隔は、例えば、数メートル程度であってもよい。2次側共振コイル3と1次側共振コイル2は、共振Qが十分大きければ数メートル程度離れていても、磁界共鳴による電力の伝送が可能である。
また、2次側共振コイル3は、2次側コイル4と非接触で近接して配置されており、2次側コイル4と電磁界結合されている。
また、図2の等価回路に示すように、2次側共振コイル3は、インダクタンスL3のコイルと、キャパシタンスC3のキャパシタを有するように表すことができる。キャパシタンスC3は、2次側共振コイル3の両端間に周波数調整用に接続されるキャパシタの容量である。なお、2次側共振コイル3は、実際には抵抗成分を含むが、図2では省略する。
2次側共振コイル3の共振周波数は、2次側共振コイル3のインダクタンスL3とキャパシタンスC3によって決まる。このため、2次側共振コイル3のインダクタンスL3とキャパシタンスC3は、2次側共振コイル3の共振周波数が、1次側共振コイル2の共振周波数と、交流電源6から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
なお、2次側共振コイル3は、寄生容量だけで共振周波数を設定でき、かつ、2次側共振コイル3の浮遊容量を固定できる場合は、両端が開放されていてもよい。
2次側共振コイル3を含む電力中継器100は、送電器10の1次側共振コイル2から磁界共鳴によって送電される電力を中継し、受電器20に送電する。
次に、受電器20に含まれる2次側コイル4、整流回路7、及びDC−DCコンバータ8について説明する。
図1に示すように、2次側コイル4は、1次側コイル1と同様のループ状のコイルであり、2次側共振コイル3と電磁界結合されるとともに、両端間に整流回路7が接続されている。
2次側コイル4は、自己の中心軸が2次側共振コイル3の中心軸と一致するように配設されている。2次側コイル4は、2次側共振コイル3と非接触で近接して配置されており、2次側共振コイル3と電磁界結合される。中心軸を一致させるのは、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が2次側共振コイル3及び2次側コイル4の周囲に発生することを抑制するためである。
また、図2の等価回路に示すように、2次側コイル4は、インダクタンスL4のコイルとして表すことができる。なお、2次側コイル4は、実際には抵抗成分とキャパシタ成分を含むが、図2では省略する。
2次側コイル4は、2次側共振コイル3から電磁誘導(相互誘導)により電力を受電し、電力を整流回路7に供給する。
整流回路7は、4つのダイオード7A〜7D及びキャパシタ7Eを有する。ダイオード7A〜7Dは、ブリッジ状に接続されており、2次側コイル4から入力される電力を全波整流して出力する。キャパシタ7Eは、ダイオード7A〜7Dを含むブリッジ回路の出力側に接続される平滑用キャパシタであり、ダイオード7A〜7Dを有するブリッジ回路で全波整流された電力を平滑化して直流電力として出力する。
DC−DCコンバータ8は、整流回路7の出力側に接続されており、整流回路7から出力される直流電力の電圧をバッテリ9の定格電圧に変換して出力する。DC−DCコンバータ8は、整流回路7の出力電圧の方がバッテリ9の定格電圧よりも高い場合は、整流回路7の出力電圧をバッテリ9の定格電圧まで降圧する。また、DC−DCコンバータ8は、整流回路7の出力電圧の方がバッテリ9の定格電圧よりも低い場合は、整流回路7の出力電圧をバッテリ9の定格電圧まで昇圧する。
以上の2次側コイル4、整流回路7、及びDC−DCコンバータ8を含む受電器20は、電力中継器100の2次側共振コイル3から電磁誘導によって送電される交流電力を直流電力に変換し、さらにバッテリ9の定格電圧に変換してバッテリ9に供給する。
バッテリ9は、繰り返し充電が可能な二次電池であればよく、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
なお、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4は、例えば、銅線を巻回することによって作製される。しかしながら、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の材質は、銅以外の金属(例えば、金、アルミニウム等)であってもよい。また、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の材質は異なっていてもよい。
このような充電システム50において、1次側コイル1及び1次側共振コイル2が電力の送電側であり、2次側コイル3及び2次側共振コイル4が電力の受電側である。
充電システム50は、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じる磁界共鳴を利用して送電側から受電側に電力を伝送する磁界共鳴方式である。このため、充電システム50は、送電側から受電側に電磁誘導で電力を伝送する電磁誘導方式よりも長距離での電力の伝送が可能である。
また、図1では1次側共振コイル2の中心軸と2次側共振コイル3の中心軸とが一致する場合について説明したが、磁界共鳴方式は、送電側のコイルと受電側のコイルの位置ずれに対しても、電磁誘導方式よりも強いというメリットがある。
このように、磁界共鳴方式は、共振コイル同士の間の距離又は位置ずれについて、電磁誘導方式よりも自由度が高く、ポジションフリーというメリットがある。
このため、磁界共鳴方式による充電システム50は、携帯電話端末機又はスマートフォン端末機等の小型の電子装置、家電製品、又は電気自動車等における非接触充電への利用が期待されている。
次に、図3、図4、図5、及び図6を用いて、実施の形態1の電力中継器100の構成について説明する。
図3は、実施の形態1の電力中継器100を示す斜視図、図4は図3のA−A矢視断面を示す図である。A−A矢視断面は、2次側共振コイル3の中心軸を通る断面である。
実施の形態1の電力中継器100は、カバー部101と2次側共振コイル3を含む。
図3に示すように、カバー部101は、一例として、スマートフォン端末機のジャケットの形状に成型されており、例えば、熱可塑性のポリカーボネート樹脂をインサート成型することによって作製される。2次側共振コイル3は、ポリカーボネート樹脂でカバー部101をインサート成型するときに、カバー部101に内包される。
ジャケット型のカバー部101は、スマートフォン端末機の筐体に係合することにより、スマートフォン端末機に装着される。カバー部101の寸法は、スマートフォン端末機の機種によって異なるが、例えば、長さ約120mm、幅約60mm、高さ約10mmである。また、ポリカーボネート樹脂の厚さは部位によって異なるが、例えば、2次側共振コイル3が存在しない部位で約1mm程度であり、2次側共振コイル3が存在する部位で約1.5mm程度である。
ここで、ジャケットとは、スマートフォン端末機の主にタッチパネル以外の筐体の部分等(主に側面と背面)を覆うことによって筐体を傷又は衝撃から保護したり、あるいは、様々な色、文字、模様、部材等によって加飾されることにより、スマートフォン端末機の外観を装飾するものである。ジャケットは、スマートフォン端末機の筐体に係合することによって取り付けられてもよいし、粘着シール、又は、接着剤等によって取り付けられてもよい。
カバー部101は、非磁性材料であり、かつ、非導電性材料である材料で形成されることが望ましい。このため、実施の形態1では、カバー部101は、ポリカーボネート樹脂で形成される。カバー部101を非磁性材料で形成するのは、磁束の乱れ又は損失を抑制するためと、2次側共振コイル3の共振特性に影響を与えないようにするためである。
また、カバー部101を非導電性材料で形成するのは、電力中継器100が送電器10と受電器20との間で電力を中継する際に、渦電流の発生等による電力損失を抑制するためである。
実施の形態1の電力中継器100を装着するスマートフォン端末機は、2次側コイル4(図1、図2参照)を背面(タッチパネルとは反対側の面)側に内蔵し、送電器から電磁誘導により電力を受電し、送電器と非接続の状態で内蔵バッテリを充電することができる。実施の形態1の電力中継器100を装着するスマートフォン端末機については、図4及び図5を用いて後述する。
カバー部101は、スマートフォン端末機のタッチパネル及びその周辺以外(主に側面と背面)を被覆することにより、スマートフォン端末機の筐体を傷又は衝撃から保護するために装着される。カバー部101は透明であってもよいし、様々な着色又は装飾が行われていてもよい。
図4に示すように、2次側共振コイル3は、カバー部101に内蔵される。2次側共振コイル3は、電力中継器100をスマートフォン端末機に装着したときに、スマートフォン端末機の背面側においてスマートフォン端末機の2次側コイル4に近接し、2次側コイル4と中心軸が一致する位置に内蔵されている。中心軸を一致させるのは、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が2次側共振コイル3及び2次側コイル4の周囲に発生することを抑制するためである。
従って、電力中継器100は、例えば、2次側共振コイル3の位置合わせを行った状態で、2次側共振コイル3を内包するようにポリカーボネート樹脂を成型することによって作製すればよい。
図5は、実施の形態1の電力中継器100の2次側共振コイル3を示す平面図であり、図6は図5のB−B矢視断面を示す図である。B−B矢視断面は、2次側共振コイル3の中心軸を通る断面である。なお、図5及び図6に示すようにXYZ座標系を定義する。
2次側共振コイル3は、巻数が4巻の渦状の平面コイルであり、端部3A、3Bは図示しないキャパシタに接続されている。2次側共振コイル3は、両端が図示しないキャパシタに接続されることにより、共振周波数が調整される。2次側共振コイル3の等価回路図は、図2に示す通りである。図2に示すキャパシタンスC3のキャパシタは、端部3A、3Bの間に接続されるキャパシタの容量である。
なお、2次側共振コイル3の寄生容量だけで共振周波数を設定できる場合は、端部3A、3Bの間に共振周波数を調整するためのキャパシタを接続する必要はない。この場合は、端部3A、3Bを開放した状態とする。
次に、図7〜図10、図11、及び図12を用いて、実施の形態1の電力中継器100を装着するスマートフォン端末機について説明する。
図7は、実施の形態1の電力中継器100が装着されるスマートフォン端末機500の正面側を示す斜視図、図8は、スマートフォン端末機500の背面側を示す斜視図である。図9は、図8のC−C矢視断面を示す図、図10は、スマートフォン端末機500に含まれる主要な構成要素を示す回路図である。C−C矢視断面は、2次側コイル4の中心軸を通る断面である。
実施の形態1の電力中継器100が装着されるスマートフォン端末機500は、正面側に配設されるタッチパネル501(図7参照)と、背面側に内蔵される2次側コイル4(図8、図9参照)を含む。
また、スマートフォン端末機500は、図10に示すように、受電器20及びバッテリ9を含む。受電器20には、2次側コイル4が含まれる。
スマートフォン端末機500は、さらに、通話、通信、及び様々な演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等を含むが、ここでは説明を省略する。
図11は、スマートフォン端末機500に含まれる2次側コイル4を示す平面図、図12は図11のD−D矢視断面を示す図である。D−D矢視断面は、2次側コイル4の中心軸l4を通る断面である。なお、図11及び図12に示すようにXYZ座標系を定義する。
2次側コイル4は、巻数が6巻の渦状の平面コイルであり、端部4A、4Bは整流回路7(図1、図2参照)に接続されている。2次側コイル4の等価回路図は、図2に示す通りである。
次に、図13〜図15を用いて、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500について説明する。
図13は、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500の正面側を示す斜視図、図14は、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500の背面側を示す斜視図、図15は図14のE−E矢視断面を示す図である。E−E矢視断面は、2次側共振コイル3の中心軸l3と2次側コイル4の中心軸l4を通る断面である。
図13〜図15に示すように電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着すると、電力中継器100に内蔵される2次側共振コイル3は、スマートフォン端末機500の背面側に内蔵される2次側コイル4に近接して配設される。この状態において、図15に示すように、2次側共振コイル3の中心軸l3と、2次側コイル4の中心軸l4は一致している。
このため、スマートフォン端末機500の2次側コイル4は、電力中継器100の2次側共振コイル3と電磁界結合される。
従って、上述のように電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着することにより、スマートフォン端末機500は、電力中継器100を介して磁界共鳴によって電力を受電し、バッテリ9を充電することが可能になる。
次に、図16〜図19を用いて、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500を充電する際に用いる送電器10について説明する。
図16は、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500の充電に用いる送電器10を示す斜視図、図17は、図16のF−F矢視断面を示す図である。F−F矢視断面は、1次側コイル1の中心軸l1と1次側共振コイル2の中心軸l2とを通る断面である。
図18は、送電器10に含まれる1次側コイル1及び1次側共振コイル2を示す平面図、図19は、図18のG−G矢視断面を示す図である。なお、図18及び図19に示すようにXYZ座標系を定義する。
図16及び図17に示すように、送電器10は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2を内蔵する。送電器10の上面10Aは、磁界共鳴型の受電装置を内蔵するスマートフォン端末機又は携帯電話端末機等の電子装置を充電する際に、電子装置をかざす面である。
図16及び図17には送電器10のうちの整合回路5及び交流電源6を示さないが、図16及び図17に示す送電器10の1次側コイル1には、図1及び図2に示すように、整合回路5を介して交流電源6が接続される。
図18及び図19に示すように、1次側コイル1は、巻数が1巻のループ状の平面コイルであり、端部1A、1Bには整合回路5を介して交流電源6が接続される。1次側共振コイル2は、巻数が4巻の渦状の平面コイルであり、端部2A、2Bは図示しないキャパシタに接続されている。1次側共振コイル2は、両端が図示しないキャパシタに接続されることにより、共振周波数が調整される。1次側共振コイル2の等価回路図は、図2に示す通りである。図2に示すキャパシタンスC2のキャパシタは、1次側共振コイル2の寄生容量と、端部2A、2Bの間に接続されるキャパシタの静電容量との合成容量である。
なお、1次側共振コイル2の寄生容量だけで共振周波数を設定できる場合は、端部2A、2Bの間に共振周波数を調整するためのキャパシタを接続する必要はない。この場合は、端部2A、2Bを接続して1次側共振コイル2をループ状のコイルにすればよい。また、寄生容量だけで共振周波数を設定でき、かつ、1次側共振コイル2の浮遊容量を固定できる場合は、端部2A、2Bが開放されていてもよい。
図17に示すように、1次側共振コイル2は、1次側コイル1よりも上面10Aに近い側に配設される。1次側コイル1は、1次側共振コイル2に近接して配設される。この状態において、図17〜図19に示すように、1次側コイル1の中心軸l1と、1次側共振コイル2の中心軸l2は一致している。
このため、1次側コイル1は、1次側共振コイル2と電磁界結合される。
従って、送電器10の1次側共振コイル2には、交流電源6から出力される交流電力が、1次側コイル1から電磁誘導によって送電される。
次に、図20及び図21を用いて、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500の充電の仕方について説明する。
図20は、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500を送電器10にかざした状態を示す斜視図であり、図21は、図20のH−H矢視断面を示す図である。H−H矢視断面は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の中心軸を通る断面である。
図20及び図21に示すように、電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500を送電器10の上面10Aにかざすと、送電器10の1次側共振コイル2と、電力中継器100の2次側共振コイル3との間に磁界共鳴が生じる。このため、送電器10の交流電源6(図1、図2参照)から出力される交流電力は、電磁誘導によって1次側コイル1から1次側共振コイル2に送電され、1次側共振コイル2から磁界共鳴によって電力中継器100の2次側共振コイル3に送電される。さらに、電力中継器100の2次側共振コイル3に送電された電力は、電磁誘導によってスマートフォン端末機500の2次側コイル4に送電される。
従って、実施の形態1の電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着すれば、電磁誘導型の受電部20を有するスマートフォン端末機500に磁界共鳴によって電力を送電し、スマートフォン端末機500のバッテリ9を充電することができる。
なお、図20及び図21には、電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500を送電器10に近接させて、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3の中心軸を略一致させた状態を示す。しかしながら、電力中継器100及びスマートフォン端末機500は、磁界共鳴によって電力を送電器10から受電するため、送電器10と電力中継器100及びスマートフォン端末機500とは、例えば、数メートル程度離れていても電力の伝送が可能である。また、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3の中心軸が一致していなくても、効率よく電力を伝送することができる。
従来から原理が良く知られている電磁誘導型の電力の送電器及び受電器は、既に実用化が始まっているが、磁界共鳴型の普及には電磁誘導型よりも時間がかかると思われる。
このため、例えば、電磁誘導型の送電器及び受電器が普及した後に、磁界共鳴型の送電器及び受電器の普及が始まると、磁界共鳴型の送電器に電磁誘導型の受電器がかざされるケースが考えられる。これは、例えば、外出先で利用可能なスマートフォン端末機用の送電器が順次、電磁誘導型から磁界共鳴型にシフトする過渡期のような状況で生じうる。
このような場合に、実施の形態1の電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着しておけば、磁界共鳴型の送電器しかない場所に行っても、電力中継器100を介して磁界共鳴によってスマートフォン端末機500で電力を受電し、バッテリ9を充電できる。
磁界共鳴による電力の伝送は、電磁誘導による電力の伝送に比べて、送電側と受電側の位置ずれに強く、また、送電側と受電側が近接せずにある程度離れていても電力の伝送が可能というポジションフリーのメリットがある。
従って、上述のような過渡期において、実施の形態1の電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着すれば、電磁誘導型の電力伝送方式に対応したスマートフォン端末機500であっても、磁界共鳴による電力の伝送が可能であり、利便性が向上する。
実施の形態1の電力中継器100は、ジャケット型であるため、スマートフォン端末機500への装着は非常に容易である。
このため、電磁誘導型の受電器20を内蔵するスマートフォン端末機500に、2次側共振コイル3を含む電力中継器100を容易に後付けすることができ、スマートフォン端末機500を磁界共鳴型の受電器を有する機器に容易に変換させることができる。
また、電力中継器100は、平面コイルで実現される2次側共振コイル3を含むので、2次側共振コイル3を含まないジャケットに比べて、厚さの増大分を最小限に抑えることができる。このため、スマートフォン端末機500の外観に与える影響は殆どなく、また、スマートフォン端末機500を使用する利用者も違和感を覚えることは殆どない。
スマートフォン端末機にジャケットを装着する利用者は非常に多いため、実施の形態1の電力中継器100は、電磁誘導型の受電器20を含むスマートフォン端末機500を磁界共鳴型に変換したい利用者にとっては、非常に便利な製品である。
また、電力中継器100は、スマートフォン端末機500と有線での電気的な接続を行わないため、信頼性が高い。
また、以上では送電器10が磁界共鳴型である形態について説明したが、電力伝送方式がシフトする過渡期では、電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500の利用者が、1次側共振コイル2を含まない電磁誘導型の送電器でスマートフォン端末機500のバッテリ9を充電する場合もあり得る。
このような場合には、ジャケット型の電力中継器100をスマートフォン端末機500から取り外せば、電磁誘導型の送電器から送電される電力をスマートフォン端末機500の受電器20で受電することにより、バッテリ9を充電することができる。実施の形態1の電力中継器100はジャケット型であるため、装着及び取り外しが非常に容易であり、送電器が電磁誘導型である場合には、電力中継器100を取り外すことによってスマートフォン端末機500のバッテリ9を充電することができる。
従って、実施の形態1のジャケット型の電力中継器100を用いれば、電磁誘導型の受電器20を含むスマートフォン端末機500に、磁界共鳴型と電磁誘導型の受電器への互換性を持たせることができる。
なお、以上では、電力中継器100のカバー部101(図3、図4参照)がスマートフォン端末機500のジャケットである形態について説明したが、電力中継部100のカバー部101は、ジャケットに限定されるものではない。
カバー部101は、電磁誘導で受電した電力で充電式のバッテリを充電する電子装置の2次側コイル4に2次側共振コイル3の位置を合わせて装着されるものであればよい。このような電子装置としては、スマートフォン端末機500以外に、例えば、携帯電話端末機、PC(Personal Computer)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又は携帯型のゲーム機等が挙げられる。
また、以上では、2次側共振コイル3が渦状の平面コイルであって巻数が4巻である形態について説明した。しかしながら、2次側共振コイル3の形状は、1次側共振コイル2から磁界共鳴による電力の受電が可能で、2次側コイル4と電磁界結合して電磁誘導による送電が可能であれば、渦状の平面コイルには限られない。また、同様に、2次側共振コイル3の巻数は4巻に限られない。
2次側共振コイル3の形状は、例えば、平面視で矩形であってもよく、矩形状に渦を巻くように形成されていてもよい。また、2次側共振コイル3の巻数は、1次側共振コイル2及び2次側コイル4との関係で最適化すればよく、何巻であってもよい。
また、以上では、電力中継器100を電子装置の一例であるスマートフォン端末機500に装着する形態について説明したが、電力中継器100を送電器10の上面10Aに装着してもよい。この場合は、例えば、電力中継器100のカバー部101は、ジャケット型ではなく、単なるシート型であればよい。送電器10の上面10Aに装着された電力中継器100にスマートフォン端末機500を近接させてかざせば、スマートフォン端末機500が磁界共鳴型の送電器10から受電した電力で、バッテリ9を充電することができる。この際には、スマートフォン端末機500の2次側コイル4の中心軸と、電力中継器100の2次側共振コイル3の中心軸とが一致するようにスマートフォン端末機500を電力中継器100に近接させればよい。
また、以上では、電力中継器100のカバー部101に2次側共振コイル3が内蔵されるように、ポリカーボネート樹脂をインサート成型する形態について説明したが、電力中継器100はこのような構成に限定されるものではない。2次側共振コイル3は、例えば、シート状のシール部材を用いて、カバー部101に貼り付けられてもよい。
また、射出成形によってカバー部101を形成した後に、カバー部101の表面に2次側共振コイル3を印刷することによって電力中継器100を作製してもよい。この場合、2次側共振コイル3は、カバー部101のスマートフォン端末機500に当接する側の面、あるいは、当接しない側の面のいずれに形成されてもよく、例えば、保護シート等を貼り付けて保護してもよい。また、保護シートの代わりに、薄い基板等を貼り合わせてもよい。
また、2次側共振コイル3の磁気特性を調整するために、カバー部101を作製する際に、ポリカーボネート樹脂に磁性材料の粉末等を混入してもよいし、磁性材料製のシートを内包するようにインサート成型を行ってもよい。
また、以上では、カバー部101をポリカーボネート樹脂で作製する形態について説明したが、カバー部101の材質は、ポリカーボネート樹脂に限らず、非磁性材料であり、かつ、非導電性材料である材料であれば、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂であってもよい。例えば、アクリル系の樹脂を用いてもよい。
<実施の形態2>
図22は、実施の形態2の電力中継器200を示す斜視図であり、図23は、電力中継器200をスマートフォン端末機500に装着した状態の断面図である。図23に示す断面は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の中心軸を通る断面である。なお、図22に示すX軸は、電力中継器200の短手方向に平行であり、Y軸は長手方向に平行であり、Z軸は厚さ方向に伸びている。
実施の形態2の電力中継器200は、実施の形態1の電力中継器100のカバー部101と同様に、スマートフォン端末機500用のジャケット型のカバー部201を有する。
実施の形態2の電力中継器200は、平面視で2次側共振コイル3と重複する領域に配設される磁性シート210がカバー部201に内蔵されている点が実施の形態1の電力中継器100と異なる。
磁性シート210は、磁性体で形成されるシート状の部材であり、比較的透磁率の高い磁性材料で形成することができる磁性体部の一例である。また、磁性シート210は、渦電流の発生等による損失を防ぐために、非導電性の材料で形成されることも必要である。このため、磁性シート210は、例えば、フェライト系又はマンガン系の材料等で作製することができる。
電力中継器200は、スマートフォン端末機500用のジャケット型であるため、なるべく薄いことが好ましい。このため、磁性シート210はできるだけ薄い方が好ましい。
一方、磁性シート210は、ジャケット型の電力中継器200を厚くすることなく、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させるために配設される。このため、透磁率は高いものであることが好ましい。
また、透磁率は周波数特性を有するため、2次側共振コイル3と2次側コイル4の間で伝送する交流電力の周波数に応じて設定すればよい。
実施の形態2では、一例として、磁性シート210は、フェライト系の材料で形成されたシート状の部材であり、2MHzの周波数において、透磁率200を示すものとする。
磁性シート210は、平面視で矩形状のシート状の部材であり、中央に円形の開口部210Aを有する。開口部210Aは、例えば、パンチング装置でパンチ孔を開口することによって形成される。開口部210Aの中心は、2次側共振コイル3の中心軸と一致している。ただし、開口部210Aの中心は、必ずしも2次側共振コイル3の中心軸と一致させなくてもよい。
図23に示す断面は、電力中継器200をスマートフォン端末機500に装着した状態で、2次側共振コイル3の中心軸上をカバー部201の短手方向(X軸方向)に切断した際の矢視断面を表す。
磁性シート210は、図23に示すように、2次側共振コイル3よりも、スマートフォン端末機500に装着される面201A(図22参照)に近い側に配設される。これは、2次側共振コイル3と、送電器10の1次側共振コイル2との送電効率を最適化するためである。
電力中継器200は、例えば、2次側共振コイル3の上に磁性シート210を重ねた状態で、2次側共振コイル3及び磁性シート210を内包するように、ポリカーボネート樹脂でカバー部201をインサート成型することによって作製すればよい。
図24及び図25は、実施の形態2の電力中継器200に含まれる磁性シート210と2次側共振コイル3を示す平面図である。
図24に示すように、磁性シート210は、平面視で、2次側共振コイル3よりも大きい矩形状のシート状の部材である。
開口部210Aは、中心Cが2次側共振コイル3の中心軸と一致するように位置合わせが行われており、開口部210Aの直径D1は、2次側共振コイル3の最も内側のループの内径D2よりも小さく設定されている。
また、図24に示す開口部210Aの代わりに、例えば、図25に示すように、矩形状の開口部210Bを磁性シート210に形成してもよい。
このように磁性シート210を2次側共振コイル3よりもスマートフォン端末機500に装着される面201A(図22参照)に近い側に配設するのは、次のような理由によるものである。
電磁誘導によって送電側から受電側に電力の伝送を行う場合には、1次側コイル1から直接2次側コイル4に電力が伝送されることになる。この場合、1次側共振コイル2及び2次側共振コイル3は、用いられない。
このような電磁誘導による受電を念頭において2次側コイル4を内蔵するスマートフォン端末機500を設計する場合、1次側コイル1との結合強度を大きくして電磁誘導による受電効率が最良となるように2次側コイル4の形状、大きさ、及び巻数等が最適化される。
1次側コイル1との結合強度が大きくなるように2次側コイル4が設計されると、スマートフォン端末機500に2次側共振コイル3を内蔵する電力中継器200を装着した際に、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度が過大になる場合がある。
このような場合には、送電器10の1次側共振コイル2と電力中継器200の2次側共振コイル3との間の電磁共鳴によって電力を伝送する際に、2次側コイル4によって2次側共振コイル3から抜き取られる電力が比較的多くなり、磁界共鳴による電力の伝送効率が低下する可能性がある。
ここで、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間における磁界共鳴による電力の伝送効率を改善するには、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させればよい。
2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させるには、例えば、電力中継器200の2次側共振コイル3と、スマートフォン端末機500の2次側コイル4との間に磁性シート210を配設すればよい。
このため、実施の形態2では、電力中継器200の2次側共振コイル3よりもスマートフォン端末機500に装着される面201A(図22参照)に近い側に磁性シート210を配設している。
実施の形態2の電力中継器200によれば、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度が比較的大きい場合でも、磁性シート210を用いて2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させることにより、磁界共鳴による電力の伝達効率を改善することができる。
ここで、図26を用いて、実施の形態2の電力中継器200をスマートフォン端末機500に装着した場合の電力伝送効率のシミュレーション結果について説明する。
図26は、送電器10からスマートフォン端末機500に電力を伝送している状態を示す断面図である。図26には、実施の形態2の電力中継器200をスマートフォン端末機500に装着した状態に加えて、比較用に、実施の形態1の電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着した状態と、スマートフォン端末機500を単体で(電力中継器100又は200を装着せずに)用いた状態を示す。
ここでいう電力伝送効率とは、1次側コイル1に入力される交流電力に対して、2次側コイル4から出力される交流電力の割合を百分率で表したものである。
シミュレーションは、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4がすべて銅線を巻回して作製されており、以下に示す線径、外径、及び巻数を有するものとして、電磁界シミュレーションによって行った。
1次側コイル1の線径は0.5mm、外径は20mm、巻数は1巻とした。1次側共振コイル2の線径は0.5mm、外径は30mm、巻数は4巻とした。2次側共振コイル3の線径は0.5mm、外径は30mm、巻数は4巻とした。2次側コイル4の線径は0.5mm、外径は30mm、巻数は15巻とした。
なお、1次側コイル1は巻数が1巻の平面コイルであるため、1次側コイル1の外径とは、ループ状に巻回された銅線の外径である。また、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4は、渦状に巻回された平面コイルであるため、外径とは、渦状に巻回された銅線の最大の外径である。
また、電力中継器200の磁性シート210については、平面視での長さが縦横ともに40mm、厚さが0.2mm、透磁率が200、開口部210Aは直径22mmの円形の開口部であるように条件を設定した。
なお、シミュレーションでは、1次側コイル1に入力される交流電力の周波数を2MHzに設定し、2次側コイル4には抵抗値が10Ωの負荷抵抗器が接続されるように条件を設定した。
図26(A)に示すように、電力中継器100又は200を装着せずに、スマートフォン端末機500を送電器10に直接かざした場合の電力伝送効率は、63.6%であった。
図26(A)に示す場合は、スマートフォン端末機500の2次側コイル4が、電磁誘導によって1次側共振コイル2(あるいは1次側コイル1及び1次側共振コイル2の両方)から電力を受電している。
この電力伝送効率では、例えば、スマートフォン端末機500に5Wの電力を伝送する場合には、約7.9Wの交流電力を1次側コイル1に入力する必要があることになり、約2.9Wの電力が1次側コイル1、1次側共振コイル2、及び2次側コイル4の間で消費されることになる。
電力伝送効率が比較的低いのは、電磁誘導型の電力伝送方式に合わせて最適化された2次側コイル4を内蔵するスマートフォン端末機500を磁界共鳴型の送電器10に直接かざしたため、1次側共振コイル2(あるいは1次側コイル1及び1次側共振コイル2の両方)と2次側コイル4との結合強度が低かったためと考えられる。
電磁誘導型の電力伝送方式が先に普及し、後から磁界共鳴型の電力伝送方式が普及し始めると、図26(A)に示すように、磁界共鳴型の電力伝送方式を採用する送電器10に、電磁誘導型の電力伝送方式を採用するスマートフォン端末機500が直接かざされる場合が想定される。このような場合には、スマートフォン端末機500のバッテリ9の充電に要する時間が長くなるか、または、送電器10から出力する電力の約4割がスマートフォン端末機500に伝送されずに損失されるため、非効率的である。
図26(B)に示すように、実施の形態1の電力中継器100を装着したスマートフォン端末機500を送電器10にかざした場合の電力伝送効率は77.7%であり、図26(A)に示す場合に比べて電力伝送効率が大幅に改善された。
これは、送電器10の1次側共振コイル2から電力中継器100の2次側共振コイル3に磁界共鳴によって効率的に電力が伝送されたためである。
この電力伝送効率では、例えば、スマートフォン端末機500に5Wの電力を伝送する場合には、約6.4Wの交流電力を1次側コイル1に入力する必要があることになり、図26(A)に示す場合に比べて、損失される電力が大幅に低減された。
従って、電力中継器100をスマートフォン端末機500に装着することにより、磁界共鳴を利用して送電器10からスマートフォン端末機500に効率的に電力を伝送することができる。
電力中継器100は、ジャケット形式であり、容易にスマートフォン端末機500に装着できるため、電磁誘導型の電力伝送方式が先に普及し、後から磁界共鳴型の電力伝送方式が普及し始めたような場合には、非常に有効的である。
図26(C)に示すように、実施の形態2の電力中継器200を装着したスマートフォン端末機500を送電器10にかざした場合の電力伝送効率は88.7%であり、図26(B)に示す場合に比べてさらに電力伝送効率が改善された。
このシミュレーションでは、スマートフォン端末機500に含まれる2次側コイル4の巻数を15巻と比較的多くしているため、図26(B)に示す電力中継器100の2次側コイル3と、2次側コイル4の結合強度は非常に強いと考えられる。
この電力伝送効率では、例えば、スマートフォン端末機500に5Wの電力を伝送する場合には、約5.6Wの交流電力を1次側コイル1に入力する必要があることになり、図26(B)に示す場合に比べて、損失される電力がさらに低減された。
従って、図26(C)に示す場合に電力伝送効率が改善されたのは、電力中継器200の磁性シート210によって2次側共振コイル3と2次側コイル4との結合強度が低下し、送電器10の1次側共振コイル2から電力中継器200の2次側共振コイル3に伝送されたエネルギが効率よく2次側コイル4に伝わったためと考えられる。
以上のように、電磁誘導用に最適化された2次側コイル4を含むスマートフォン端末機500に、磁性シート210を含む電力中継器200を装着すれば、磁界共鳴型の送電器10からスマートフォン端末機500に効率的に電力を伝送することができる。
このような場面は、電磁誘導型の電力伝送方式が先に普及し、後から磁界共鳴型の電力伝送方式が普及し始めるような電力伝送方式の過渡期に場合に生じうることが想定される。このため、実施の形態2の電力中継器200は、上述のように電力伝送方式がシフトする過渡期において、非常に有益な製品である。
次に、図27を用いて、電力中継器200の磁性シート210の開口部210Aの直径を最適化した場合のシミュレーション結果について説明する。
図27は、電力中継器200の磁性シート210の開口部210Aの直径に対する電力伝送効率の特性を示す図である。
開口部210Aの直径D1(図24参照)を18mmから30mmまでの間で2mmずつ振り、7種類の直径D1についてシミュレーションを行った。この結果、電力伝送効率は、D1=18mmで81.3%、D1=20mmで85.7%、D1=22mmで最大値である88.7%、D1=24mmで88.4%、D1=26mmで85.7%、D1=28mmで82.6%、D1=30mmで80.3%であった。
電力伝送効率は、図27に示すように、D1=22mmでの最大値をピークとして有する特性を示した。
磁性シート210は、2次側共振コイル3と2次側コイル4との間に位置しており、開口部210Aの中心は、2次側共振コイル3の中心軸及び2次側コイル4の中心軸と一致している。このため、開口部210Aの直径を変えると、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度が変わると考えられる。
ここで、1次側共振コイル2に流れる電流をa1、2次側共振コイル3に流れる電流をa2、1次側共振コイル2から2次側共振コイル3に送電される交流電力の角周波数をω、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との結合レートをκとする。結合レートκは、1次側共振コイル2と2次側コイル4の結合係数に比例する係数(無次元の係数)である。
また、1次側共振コイル2における抵抗等で損失する電流の損失レートをΓ1、2次側共振コイル3における抵抗等で損失する電流の損失レートをΓ2、2次側共振コイル3から2次側コイル4に送電される電流の送電レートをΓwとする。損失レートΓ1、Γ2は、それぞれ、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3のQ値の逆数に比例する無次元の係数であり、送電レートΓwも無次元の係数である。
このような場合に、2次側共振コイル3に流れる電流a2の時間変化(da2/dt)は、(1)式で表すことができる。なお、(1)式においてiは虚数単位を表す。
ここで、右辺の第3項(−Γw・a2)は、2次側共振コイル3から2次側コイル4に送電される電流を表しており、2次側共振コイル3から2次側コイル4に電力が送電されることを表している。
すなわち、2次側共振コイル3から2次側コイル4には、送電レートΓwに比例した電力が送電されており、送電レートΓwを大きくすることは2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を増大させることを意味すると解釈できる。また、送電レートΓwを小さくすることは2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させることを意味すると解釈できる。
また、1次側コイル1に入力される交流電力をPt、2次側コイル4で受電される電力をPwとし、電力伝送効率ηwを(2)式で定義する。
ここで、fomは、figure-of meritの略であり、(3)式で表すことができる。
(3)式において、損失レートΓ1及びΓ2は、それぞれ、1次側共振コイル2のQ値(Q1)及び2次側共振コイル3のQ値(Q2)の逆数に比例するため、fomは、結合レートκと、(Q1・Q2)
1/2との積と等価である。
ここで、損失レートΓ2は、2次側共振コイル3における電流の損失レートであり、2次側共振コイル3のQ値(Q2)によって決まる固定値である。このため、電力伝送効率ηwを求める(2)式は、変数Γwの2乗の項が分母に含まれる2次式であると考えることができる。
従って、(2)式は、送電レートΓwがある値を取るときに極大値を有する。
なお、(1)〜(3)式は、"Efficient wireless non-radiative mid-range energy transfer" Aristeidis Karalis 等著 [平成23年7月4日検索]インターネット(http://arxiv.org/ftp/physics/papers/0611/0611063.pdf)に記載されている。
図28は、fomの値を1、10、100に設定し、(2)式に含まれる(Γ2/Γw)の値に対する電力伝送効率ηwの特性を示す図である。図28は、横軸の(Γ2/Γw)を対数表示にした片対数グラフとして特性を示している。
上述のように、損失レートΓ2は、2次側共振コイル3のQ値(Q2)の逆数に比例する値であり、通常は固定値と見なせるため、(Γ2/Γw)の値を変更することは、送電レートΓwの値を振ることによって実現される。
送電レートΓwは、上述のように、2次側共振コイル3から2次側コイル4に送電される電流の割合を表す係数である。送電レートΓwを大きくすることは2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を増大させることに対応し、送電レートΓwを小さくすることは2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させることに対応する。
また、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度は、磁性シート210の開口部210Aの直径D1を大きくすれば大きくなり、直径D1を小さくすれば、結合強度は小さくなる。これは、開口部210Aの直径D1が大きいほど、2次側共振コイル3と2次側コイル4の鎖交磁束が増加して電磁界結合が強くなるからである。
図28で(Γ2/Γw)の値を大きくすることは、分母に含まれる送電レートΓwの値を小さくすることに対応する。すなわち、これは、開口部210Aの直径D1を小さくして、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を低下させることに相当する。
これとは逆に、図28で(Γ2/Γw)の値を小さくすることは、分母に含まれる送電レートΓwの値を大きくすることに対応する。すなわち、これは、開口部210Aの直径D1を大きくして、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を増大させることに相当する。
すなわち、図28では、横軸を右側に行くほど磁性シート210の開口部210Aの直径D1を小さくし、横軸を左側に行くほど磁性シート210の開口部210Aの直径D1を大きくすることに対応する。
(Γ2/Γw)の値を0.01から100まで振ったところ、図28に示すように、fomが1の場合は、(Γ2/Γw)の値が約0.7のときに電力伝送効率ηwが極大値(約0.18)になる特性が得られた。
同様に、fomが10の場合は、(Γ2/Γw)の値が約0.1のときに電力伝送効率ηwが極大値(約0.82)になる特性が得られた。
また、fomが100の場合は、(Γ2/Γw)の値が約0.01のときに電力伝送効率ηwが約0.98と最も大きくなり、(Γ2/Γw)の値が増大するにつれて電力伝送効率ηwが減少する特性を示した。fomが100の場合は、(Γ2/Γw)の値を0.01よりもさらに小さくしてみないと電力伝送効率ηwの極大値が得られるときの(Γ2/Γw)の値は分からないが、図28に示す特性から、電力伝送効率ηwの極大値は、(Γ2/Γw)が0.01の前後で得られることが推測できる。
以上より、磁性シート210の開口部210Aの直径D1を調節することにより、電力伝送効率ηwの最適化を行えることが分かった。また、開口部210Aの直径D1には、電力伝送効率ηwの極大値を与える最適値があることが分かった。
このため、図27に示すように開口部210Aの直径D1が22mmのときに電力伝送効率ηwが極大値(88.7%)になったのは、直径D1が22mmのときに、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度が最適化されたからであると考えられる。
また、直径D1が22mmよりも大きい場合には、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度が高すぎて、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で磁界共鳴が十分に生じていない状態になっていると考えられる。
これとは逆に、直径D1が22mmよりも小さい場合には、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合が不足して、2次側共振コイル3から2次側コイル4に十分に電力をできずに、磁界共鳴が生じている1次側共振コイル2と2次側共振コイル3に電力が貯まっている状態になっていると考えられる。
2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を調整するには、上述のように2次側共振コイル3と2次側コイル4の間に磁性シート210を配設することの他に、2次側共振コイル3と2次側コイル4の間隔を広く取ることが考えられる。
しかしながら、実施の形態2の電力中継器200は、スマートフォン端末機500用のジャケット型であるため、2次側共振コイル3と2次側コイル4の間隔を広く取ってジャケットが厚くなることは、製品化の観点からは現実的な解決手法ではない。
このため、上述のように磁性シート210を電力中継器200に内蔵し、磁性シート210の開口部210Aの直径D1を最適化することによって電力伝送効率を最適化することは、電力中継器200の厚さの増大分が磁性シート210の厚さだけで済むので、製品化の観点からも好ましいと言える。
以上のように、電力中継器200は、2次側共振コイル3と2次側コイル4との間に配設される磁性シート210を含むので、電磁誘導用に最適化された2次側コイル4を含むスマートフォン端末機500に装着されても、送電器10からスマートフォン端末機500に磁界共鳴によって電力を効率的に送電できる。
従って、実施の形態2の電力中継器200をスマートフォン端末機500に装着すれば、電磁誘導型の受電部20を有するスマートフォン端末機500に磁界共鳴によって電力を送電し、スマートフォン端末機500のバッテリ9を充電することができる。
実施の形態2によれば、電力の伝送形式が電磁誘導型から磁界共鳴型にシフトする過渡期のような状況において、スマートフォン端末機500の利用者が磁界共鳴型の送電器しかない場所に行っても、電力中継器200を介して磁界共鳴によってスマートフォン端末機500で電力を受電し、バッテリ9を充電できる。
なお、以上では、磁性シート210の中央に円形の開口部210A又は矩形の開口部210Bを1つ形成する形態について説明したが、開口部は複数形成されてもよい。開口部を複数形成する場合は、様々なパターンで開口部が配列されるようにすることができる。例えば、水玉模様のように複数の開口部を配列してもよい。
また、以上では、磁性シート210を2次側共振コイル3よりもスマートフォン端末機500に装着される面201A(図22参照)に近い側に配設する形態について説明した。しかしながら、磁性シート210の代わりに、磁性材料の粒子をポリカーボネート樹脂に混入させることによって磁性層を2次側共振コイル3よりも面201Aに近い側に形成してもよい。この場合、磁性シート210の代わりになる磁性層を形成し、磁性材料の粒子を含まないポリカーボネート樹脂によって形成される層と積層することによってカバー部を作製してもよい。
また、以上では、磁性シート210に開口部210Aを形成する形態について説明したが、開口部210Aを形成しなくても2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を最適化できるのであれば、開口部210Aを形成しなくてもよい。
また、磁性シート210は、カバー部201の表面に貼り付けられてもよい。この場合、磁性シート210は、カバー部201の内部ではなく、外部に配設されることになる。
また、以上では、2次側共振コイル3が銅線を巻回することによって作製される形態について説明したが、2次側共振コイル3を印刷によって形成できる場合は、磁性シート210の表面に印刷してもよい。また、磁性シート210の表面に形成した銅箔をパターニングすることによって2次側共振コイル3を形成してもよい。
<実施の形態3>
図29は、実施の形態3の電力中継器300、送電器310、及び受電器320を示す図である。
実施の形態3の電力中継器300は、送電器310及び受電器320との間で、電力に関するデータの通信を行う点が実施の形態1、2の電力中継器100、200と異なる。以下では、実施の形態1、2の電力中継器100、200と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
また、図29では、実施の形態3の電力中継器300と、送電器310及び受電器320との間における電力の授受、及び、データの授受を分かり易くするために、一部の構成要素をブロックで示す。
受電器320は、2次側コイル4、整流回路7、DC−DCコンバータ8、バッテリ9、スイッチ321、及び駆動部322を含む。2次側コイル4には、図29に矢印Aで示すように、中継器300の2次側共振コイル3から電磁誘導によって電力が送られる。
スイッチ321は、整流回路7とDC−DCコンバータ8の間に挿入されており、駆動部322によってオン/オフが行われる。駆動部322によるスイッチ321のオン/オフは、常時行われるのではなく、所定の時間が経過する度に行われる。例えば、駆動部322は、30秒ごとにスイッチ321のオン/オフを行う。
駆動部322は、整流回路7の出力電圧に基づき、例えば、Qi規格の所定の負荷変調を表すコードでスイッチ321のオン/オフを行う。ここで、Qi規格の所定の負荷変調を表すコードとは、電圧値を表すコードである。この負荷変調を表すコードは、例えば、3ビットのコードの場合には、8つの'0'又は'1'の値を並べたコードである。例えば、コードの値が'0'のときはスイッチ321をオフ、'1'のときにはスイッチ321をオンにする。
このような負荷変調を表すコードは、整流回路7の出力電圧に応じてコードの値が異なるように設定される。なお、ここでは、Qi規格の所定の負荷変調を表すコードを用いる形態について説明するが、整流回路7の出力電圧を表すことのできるコードであれば、他の形式のコードであってもよい。
スイッチ321は、例えば、スイッチング素子等で構築することができ、駆動部322によってオン/オフのスイッチングが行われる。スイッチ321のオン/オフが行われると、バッテリ9とDC−DCコンバータ8との間には、コードに応じた電圧変動が生じる。
例えば、スイッチ321がオンのときの電圧変動が1Vで、スイッチ321がオフのときの電圧変動が2Vであるとすると、電圧変動が2Vに上昇するときがスイッチ321のオフに対応する。この電圧変動は、コードの値に応じて生じるため、電圧変動を検出することによって、コードを読み取ることができ、コードを読み取ることによって、バッテリ9の充電度合を検出することができる。
このコードを表す電圧変動は、整流回路7及び2次側コイル4を介して、中継器300の2次側共振コイル3に伝達される。この電圧変動は、図29に矢印Bで示すように、2次側コイル4から2次側共振コイル3に、所謂インバンド方式で伝達される。すなわち、2次側コイル4と2次側共振コイル3との間では、電圧変動は、インバンド方式により、2次側共振コイル3から2次側コイル4に伝達される電力を変調させることによって伝達される。
図29に示すように、電力中継器300は、2次側共振コイル3、アンプ301、制御回路302、通信回路303、及び端子304を含む。図29では、電力中継器300と2次側共振コイル3をブロックで示す。
しかしながら、電力中継器300は、図3及び図13に示すジャケットタイプの電力中継器100と同様に、スマートフォン端末機500に取り付けられるジャケットタイプの電力中継器である。また、2次側共振コイル3は、図3に示す2次側共振コイル3と同様に、図3に示すカバー部101と同様のカバー部に内蔵されたコイルである。
アンプ301、制御回路302、通信回路303、及び端子304は、図3に示すカバー部101と同様のカバー部に内蔵される。
2次側共振コイル3には、矢印Cで示すように、磁気共鳴によって送電器310の1次側共振コイル2から電力が送られる。
アンプ301の入力端子は、2次側共振コイル3の両端間に接続されており、受電器320の2次側コイル4から2次側共振コイル3に伝達される電圧変動を検出する。アンプ301の出力端子は、制御回路302に接続されている。
制御回路302は、アンプ301から入力される電圧の変動を表す信号を通信回路303と通信回路313との間で通信可能なデータ形式のコードデータに変換し、通信回路303に出力する。
通信回路303は、制御回路302から入力されるコードデータを送電器310の通信回路313に送信する。通信回路303は、例えば、Bluetoothのような無線通信規格による通信が可能な回路、又は、RF-ID(Radio Frequency Identifier)用の近接通信方式による通信が可能な回路であればよい。
コードデータは、図29に矢印Dで示すように、通信回路303と通信回路313との間で、所謂アウトバンド方式で伝達される。すなわち、通信回路303と通信回路313との間では、アウトバンド方式により、1次側共振コイル2から2次側共振コイル3に送られる電力の周波数とは異なる周波数で、コードデータが送信される。
なお、端子304は、制御回路302又は通信回路303で用いるファームウェア等のコンピュータープログラムをアップデートする際に、外部機器を接続する端子であり、例えば、USB(Universal Serial Bus)形式の端子を用いることができる。
送電器310は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、整合回路5、交流電源6、アンプ311、制御回路312、及び通信回路313を含む。
アンプ311は、整合回路5と1次側コイル1との間に設けられている。アンプ311は、制御回路312によって制御され、交流電源6から整合回路5を介して1次側コイル1に供給する電力量を調整する。
制御回路312は、通信回路313が電力中継器300の通信回路303から受信するコードデータに基づき、アンプ311から1次側コイル1に出力する電力量を調節する。
通信回路313は、電力中継器300の通信回路303からコードデータを受信する。通信回路313は、電力中継器300の通信回路303と同一の通信形式でデータ通信を行うことのできる通信回路であればよい。通信回路313は、例えば、Bluetooth(登録商標)のような無線通信規格による通信が可能な回路、又は、RF-ID用の近接通信方式による通信が可能な回路であればよい。
通信回路313が電力中継器300の通信回路303から受信するコードデータは、バッテリ9の充電度合を表すため、制御回路312は、コードデータに基づいて、アンプ311から1次側コイル1に供給する電力量を調整する。
例えば、コードデータが表す電圧レベルが、所定の基準レベルよりも低いときは、制御回路312は、バッテリ9を充電するために、アンプ311から1次側コイル1に供給する電力量を増大する。一方、コードデータが表す電圧レベルが、所定の基準レベルよりも高いときは、制御回路312は、アンプ311から1次側コイル1に供給する電力量を減少させる。
なお、コードデータが表す電圧レベルが、バッテリ9の満充電を表すときは、制御回路312は、アンプ311から1次側コイル1に供給する電力量を零にする。ここで、所定の基準レベルとしては、例えば、バッテリ9のSOC(State Of Charge)が90%である電圧レベルを用いればよい。
また、コードデータが表す電圧レベルが異常に大きい場合は、例えば、中継器300と受電器320との間に異物等が存在することにより、又は、2次側共振コイル3と2次側コイル4の位置ずれが生じていることにより、2次側共振コイル3と2次側コイル4との間の送電状態が良好ではない場合が考えられる。
同様に、コードデータが表す電圧レベルが異常に大きい場合は、例えば、中継器300と送電器310との間に異物等が存在することにより、又は、2次側共振コイル3と1次側共振コイル2の位置ずれが生じていることにより、2次側共振コイル3と1次側共振コイル2との間の送電状態が良好ではない場合が考えられる。
このため、この信号の信号レベルが異常に大きい場合は、制御回路312が充電を停止させるようにすればよい。
以上のように、実施の形態3の電力中継器300をスマートフォン端末機500(図7、図13参照)に装着すれば、電磁誘導型の受電部320を有するスマートフォン端末機500に磁界共鳴によって電力を送電し、スマートフォン端末機500のバッテリ9を充電することができる。
また、この場合に、バッテリ9の充電状態に応じて、送電器310から電力中継器300Aを介して受電器320に送る電力量を調整することができる。
また、中継器300と受電器320との間、又は、中継器300と送電器310との間に異物等が存在する場合、あるいは、2次側共振コイル3と2次側コイル4、又は、2次側共振コイル3と1次側共振コイル2の位置ずれが生じている場合には、コードデータが表す電圧レベルが異常に大きくなる。このような場合には、制御回路312がアンプ311の出力を零にすること等によって充電を停止してもよい。
なお、スイッチ321は、DC−DCコンバータ8とバッテリ9の間に配設されていてもよい。
次に、図30を用いて、実施の形態3の変形例の電力中継器300Aについて説明する。
図30は、実施の形態3の電力中継器300A、送電器310、及び受電器320Aを示す図である。送電器310は、図29に示す送電器310と同様である。
受電器320Aは、2次側コイル4、整流回路7、DC−DCコンバータ8、バッテリ9、アンプ323、制御回路324、及び通信回路325を含む。受電器320Aは、スイッチ321及び駆動部322を含まずに、アンプ323、制御回路324、及び通信回路325を含む点が図29に示す受電器320と異なる。
アンプ323の入力端子は、DC−DCコンバータ8と並列に、整流回路7の出力端子に接続されている。アンプ323は、整流回路7の出力電圧を検出し、制御回路324に入力する。
制御回路324は、アンプ323から入力される電圧値を所定のコードに変換し、コードデータとして通信回路325に出力する。このコードデータは、通信回路325と通信回路305との間で通信可能なデータ形式のコードデータであり、整流回路7の出力電圧を表す。
通信回路325は、制御回路324から入力されるコードデータを電力中継器300Aの通信回路305に送信する。通信回路325は、例えば、Bluetoothのような無線通信規格による通信が可能な回路、又は、RF-ID(Radio Frequency Identifier)用の近接通信方式による通信が可能な回路であればよい。
コードデータは、図30に矢印Eで示すように、通信回路325と通信回路305との間で、所謂アウトバンド方式で伝達される。すなわち、通信回路325と通信回路305との間では、アウトバンド方式により、2次側共振コイル3から2次側コイル4に送られる電力の周波数とは異なる周波数で、コードデータが送信される。
電力中継器300Aは、2次側共振コイル3、制御回路302A、通信回路303、端子304、及び通信回路305を含む。電力中継器300Aは、アンプ301を含まずに、通信回路305を含む点が図29に示す電力中継器300と異なる。また、電力中継器300Aの制御回路302Aは、図29に示す制御回路302の機能に加えて、通信回路305から入力される信号を通信回路303に伝送する機能を有する点が図29に示す制御回路302と異なる。
受電器320の通信回路325から電力中継器300Aの通信回路305に入力されるコードデータは、制御回路302Aによって、通信回路303に伝送され、送電器310の通信回路313に送信される。
通信回路313によって受信されたコードデータは、制御回路312に入力され、アンプ311から1次側コイル1に供給する電力量の調整に用いられる。1次側コイル1に供給する電力量の調整は、制御回路312がアンプ311の出力を調整することにより、図29に示す送電器310と同様に行われる。
ここで、図30に示す通信回路325と通信回路305との間は、双方向におけるデータの通信が可能であり、また、通信回路303と通信回路313との間においても、双方向におけるデータの通信が可能である。
このため、通信機313、303、305、及び325を介して、制御回路312から制御回路324に、充電状態を表すデータを送信し、受電器320Aが装着されるスマートフォン端末機500のタッチパネル501のLCD(Liquid Cristal Display)に表示させてもよい。充電状態を表すデータとしては、例えば、充電が行われているか否か、充電が完了したか否か等を表すデータを用いればよい。これらのデータは、例えば、アンプ311の出力に基づいて生成すればよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態1乃至3の電力中継器について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
本国際特許出願は2011年9月2日に出願した国際特許出願PCT/JP2011/70072に基づく優先権を主張するものであり、国際特許出願PCT/JP2011/70072の全内容を本国際特許出願に援用する。