JP5733191B2 - 排ガス中のnoxを浄化するための排ガス浄化システム - Google Patents
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この浄化用触媒を用いた内燃機関、例えば自動車、例えばガソリンエンジン車あるいはジーゼルエンジン車では触媒活性とともに燃費の向上を図るために種々のシステムが用いられている。例えば、燃費を上げるために定常運転中では排気空燃比(A/F)がリーン(Lean:酸素過剰)の条件で燃焼させ、触媒活性を向上させるために一時的にストイキ(理論空燃比、A/F=14.6)〜リッチ(Rich:燃料過剰)の条件で燃焼させている。
一方、前記の貴金属系触媒はいずれも貴金属の資源枯渇の問題を抱えており、他の金属を用いて従来の貴金属系触媒と同程度以上の浄化性能を有する触媒又は貴金属の使用量を少なくし得る浄化触媒が求められている。
このため、様々な触媒を用いてNOXを含む排ガスの浄化を最適化し得る排ガス浄化方法について種々の改良の試みがなされている。
従って、本発明の目的は、内燃機関から排出される排ガスに対して吸入空気流量(Ga)の広い範囲において高いNOX浄化率を達成し得る卑金属系NOX浄化触媒を用いた排ガス浄化システムを提供することである。
配置される、卑金属の少なくとも1種が担体に担持されている卑金属系NOX浄化触媒について、内燃機関の吸入空気流量(Ga)と目標とするNOX浄化率を与え得る排気空燃比(A/F)との関係を求めること、および
走行時のGaに応じて、前記NOX浄化率を達成するためにA/Fの制御を前記関係に基づいて実施させること、
を含み、前記関係が、y=−ax 2 +c(但し、式中、y:目標とするNO X 浄化率に到達する平均A/Fの値、a:定数、x:Ga、c:14.1以上14.6未満の範囲の触媒の金属種によって異なる定数である。)を満足する、前記システムに関する。
本発明における吸入空気流量(Ga)は内燃機関における特性値であり、排気空燃比(A/F)はNOX浄化触媒と接触する前の排ガス流路における特性値であり、通常は内燃機関における特性値に等しい。
配置される、卑金属の少なくとも1種が担体に担持されている卑金属系NOX浄化触媒について、内燃機関の吸入空気流量(Ga)と目標とするNOX浄化率を与え得る排気空燃比(A/F)との関係を求めること、および
走行時のGaに応じて、前記NOX浄化率を達成するためにA/Fの制御を前記関係に基づいて実施させることが必要であり、これによって卑金属系NOX浄化触媒を用いて内燃機関から排出される排ガスに対して吸入空気流量(Ga)の広い範囲において高いNOX浄化率を達成し得る。
1)前記A/Fが、平均A/F(但し、平均A/Fとは内燃機関の燃料供給カットから触媒活性回復のために燃料過剰のリッチとし、さらにリーンとリッチとの短時間の繰り返しを2回以上行う一連の工程間のA/Fの平均値を示す。)であって、目標とするNOX浄化率に到達する値である前記排ガス浄化システム。
2)前記卑金属系NOX浄化触媒が、少なくとも1種の卑金属のみが担体に担持された触媒である前記排ガス浄化システム。
3)前記関係が、y=−ax2+c(但し、式中、y:目標とするNOX浄化率に到達する平均A/Fの値、a:定数、x:Ga、c:14.1以上14.6未満の範囲の触媒の金属種によって異なる定数である。)を満足する前記排ガス浄化システム。
5)前記卑金属が、Fe、Co、Mo、W、V、Zn、Mg、Mn、Ni又はCuである前記排ガス浄化システム。
6)前記卑金属が、Ni又はCuである前記排ガス浄化システム。
7)前記Gaが、2以上50(g/sec)以下である前記排ガス浄化システム。
8)前記Gaが、5以上30(g/sec)以下である前記排ガス浄化システム。
10)前記担体が、Al2O3粒子、SiO2粒子、CeO2粒子、ZrO2粒子、TiO2粒子、CeO2−ZrO2複合酸化物粒子、CeO2−Al2O3複合酸化物粒子、CeO2−TiO2複合酸化物粒子、CeO2−SiO2複合酸化物粒子、CeO2−ZrO2−Al2O3複合酸化物粒子、希土類酸化物(ランタン、プラセオジム、ネオジムの酸化物など)、ZnO2、V2O5、酸化コバルト又は炭素粒子である前記排ガス浄化システム。
11)前記A/Fの制御が、前記排ガス流路の前記NOX浄化触媒よりも上流側の位置に排ガス中のHCを酸化するための酸化触媒を備え、前記酸化触媒よりも上流側の前記流路内の位置での燃料注入量を調整することによって行われる前記排ガス浄化システム。
本発明においては、NOX浄化触媒として卑金属の少なくとも1種が担体に担持された卑金属系NOX浄化触媒を用いる。
前記の前記卑金属としては、貴金属よりも酸化物として安定で、リッチ寄りの(A/Fが14.6未満)雰囲気とすることで金属の表面が出現して活性が出現する卑金属であれば制限はなく、例えばFe、Co、Mo、W、Zn、Mg、Mn、Ni又はCu、好適にはNi又はCuが挙げられる。
前記卑金属の担体への担持量は0.1〜20質量%の範囲、例えば1〜10質量%の範囲であり得る。
前記卑金属の担体への担持は、担体粉末に前記卑金属を与え得る卑金属塩、例えば酢酸塩、硝酸塩水溶液を、担体をコートした基材に吸着させた後、乾燥、焼成することによって行うことができる。
前記の基材として用い得るハニカムは、コージェライトなどのセラミックス材料やステンレス鋼などにより形成され得る。また、前記NOx浄化触媒は任意の形状に成形して用いられ得る。
本発明の実施態様においては、吸入空気流量(Ga)の値として、図1Aでは4種が図1Bでは3種が示されているが、アイドリング状態では(尚、Ga10以上は加速時)3〜10の範囲、例えば3〜5の範囲内の数が採用され得る。
なお、吸入空気流量(Ga)は、吸気圧力、圧力変動など、吸気に関するパラメータであれば、NOx浄化性能を成立させるA/Fと関係式を求めることができ、それらの上昇に応じてRich側に制御することが有効である。
あるいは、本発明の他の実施態様においては、適用する他の卑金属系NOX浄化触媒を測定装置に配置して、前記の図1Bに示すように、広い範囲のGa、例えばGa=8、16、23の場合における、広い範囲の平均A/F、例えば平均A/F=14.0以上14.6未満について適した温度、例えば350〜500℃の範囲、例えば500℃でのNOx浄化率を測定し、必要であればグラフにする。
図4Aにおいては、4点のGaと前記平均A/Fがプロットされ、図4Bにおいては3点のGaと前記平均A/Fがプロットされる。
そして、これらの4点あるいは3点から、最小二乗法による二次曲線の求めるそれ自体公知の方法によって、関係式を求める。
図4Aから、下記の関係式が求められる。
y=−0.00132x2+14.6
また、図4Bから、下記の関係式が求められる。
y=−0.00065x2+14.55
すなわち、Cu系NOX浄化触媒を用いる本発明の実施態様において、図5Aに示すように、エンジンをスタートさせて、走行中のエンジンのGaを計測し、計測されたGaに基づいて、下記式:
A/F(=前記の平均A/F)=−0.00132Ga2+14.6
から算出される平均A/Fになるようにエンジンを任意の公知の制御法、例えばエンジンへの燃料噴射量を調整することによってA/Fの制御を行わせ、NOX浄化触媒の環境を制御し得て、良好な排ガス浄化を達成し得る。
A/F(=前記の平均A/F)=−0.000065Ga2+14.55
から算出される平均A/Fになるようにエンジンを任意の公知の制御法、例えばエンジンへの燃料噴射量を調整することによってA/Fの制御を行わせ、NOX浄化触媒の環境を制御し得て、良好な排ガス浄化を達成し得る。
この場合、本発明におけるA/FはNOX浄化触媒と接触する前の排ガス流路における特性値を示し得る。
前記のHCを酸化する酸化触媒としては、特に制限はなく例えば一般的にHCの酸化触媒として用いられる公知の触媒、例えば、Pd/CeO2、Ag/Al2O3などが挙げられる。
以下の各例において、得られた触媒の評価は以下に示す測定装置を用いる方法によって行った。なお、以下の測定装置を用いる測定法は例示であって当業者が同等と考える任意の他の測定法が採用され得る。
Ga:DENSO 197400−5150 AIR FLOW METER
A/F:DENSO 073 SENSOR AIR FUEL RITIO
NOX浄化率:HORIBA MEXA−9500D
予めハニカム基材にスラリー状にした担体(Al2O3粉末)をコート、乾燥しておく。
担体をコートしたハニカム基材を水に浸して吸水量を確認する。
Cuを担持したい分量(担体に対して1〜10質量%)を計算し、それに応じて酢酸銅を水に溶解させ、ハニカム基材に吸水させ、乾燥する。次いで、600℃で5時間焼成して、Cu系NOX浄化触媒を調製した。
得られたCu系NOX浄化触媒を用いて、2400cc自動車エンジンを使用し、A/F制御をエンジンへの燃料噴射量を調整し、排ガスのNOX浄化を行った。
結果を図1Aに示す。
なお、この場合のA/F値として一例を図3に示す平均A/Fを用いた。
また、このエンジンを搭載した自動車の国内走行モードとGaとの関係を図2に示す。
図1AからNOX浄化率が95%となる平均A/Fを求め、NOX浄化率95%に到達する平均A/FとそのときのGa値とを4点プロットし、最小二乗法により求めた曲線および曲線を表す式[y=−0.00132x2+14.6(但し、式中、y:目標とするNOX浄化率95%に到達する平均A/Fの値)]を図4Aに示す。
この式に基づいて、前記エンジンのNOX浄化を行う場合の排ガス浄化システムのフローを図5Aに示す。
酢酸銅に代えて酢酸ニッケルを用いた他は実施例1と同様にして、Ni系NOX浄化触媒を調製した。
このNi系NOX浄化触媒を用いた他は実施例1と同様にして、排ガスのNOX浄化を行った。
Gaの値を種々(Ga=8、16、23)変えて、各GaにおけるNOX浄化率を、A/Fを変え(14≦A/F<14.6)て測定した。結果を図1Bに示す。
図1BからNOX浄化率が95%となる平均A/Fを求め、NOX浄化率95%に到達する平均A/FとそのときのGa値との3点をプロットし、最小二乗法により求めた曲線および曲線を表す式[y=−0.00065x2+14.6(但し、式中、y:目標とするNOX浄化率95%に到達する平均A/Fの値)]を図4Bに示す。
この式に基づいて、前記エンジンのNOX浄化を行う場合の排ガス浄化システムのフローを図5Bに示す。
Claims (10)
- 内燃機関から排出される排ガス中のNOXを浄化するために排ガス流路に配置されたNOX浄化触媒による排ガス浄化システムであって、
配置される、卑金属の少なくとも1種が担体に担持されている卑金属系NOX浄化触媒について、内燃機関の吸入空気流量(Ga)と目標とするNOX浄化率を与え得る排気空燃比(A/F)との関係を求めること、および
走行時のGaに応じて、前記NOX浄化率を達成するためにA/Fの制御を前記関係に基づいて実施させること、
を含み、前記関係が、y=−ax 2 +c(但し、式中、y:目標とするNO X 浄化率に到達する平均A/Fの値、a:定数、x:Ga、c:14.1以上14.6未満の範囲の触媒の金属種によって異なる定数である。)を満足する、前記システム。 - 前記卑金属系NOX浄化触媒が、少なくとも1種の卑金属のみが担体に担持された触媒である請求項1に記載のシステム。
- 前記A/Fの制御が、内燃機関への燃料噴射量を調整することによって行われる請求項1又は2に記載のシステム。
- 前記卑金属が、Fe、Co、Mo、W、Zn、Mg、Mn、Ni又はCuである請求項2に記載のシステム。
- 前記卑金属が、Ni又はCuである請求項4に記載のシステム。
- 前記Gaが、2以上50(g/sec)以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記Gaが、5以上30(g/sec)以下である請求項6に記載のシステム。
- 前記目標とするNOX浄化率値が、少なくとも95%である請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記担体が、Al2O3粒子、SiO2粒子、CeO2粒子、ZrO2粒子、TiO2粒子、CeO2−ZrO2複合酸化物粒子、CeO2−Al2O3複合酸化物粒子、CeO2−TiO2複合酸化物粒子、CeO2−SiO2複合酸化物粒子、CeO2−ZrO2−Al2O3複合酸化物粒子、希土類酸化物、ZnO2、V2O5、酸化コバルト又は炭素粒子である請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
- 前記A/Fの制御が、前記排ガス流路の前記NOX浄化触媒よりも上流側の位置に排ガス中のHCを酸化するための酸化触媒を備え、前記酸化触媒よりも上流側の前記流路内の位置での燃料注入量を調整することによって行われる請求項1に記載のシステム。
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