JP5732594B2 - 単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金材を用いたアルミニウム接合体 - Google Patents

単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金材を用いたアルミニウム接合体 Download PDF

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Description

本発明は、ろう材又は溶加材のような接合部材を使用することなく、材料自体が半溶融状態になって接合に必要な液相を供給することで、他の部材に単層で加熱接合可能なアルミニウム合金材及びその接合方法、ならびに、当該アルミニウム材を用いたアルミニウム接合体に関し、詳細には、接合加熱時において耐変形性に優れた単層で加熱接合可能なアルミニウム合金材及びその接合方法、ならびに、当該アルミニウム材を用いたアルミニウム接合体に関する。
アルミニウム合金材を構成部材とする熱交換器等の構造体の製造に際しては、アルミニウム合金材同士又はアルミニウム合金材と異種材料とを接合する必要がある。アルミニウム合金材の接合方法としては、様々な方法が知られているが、それらの中でブレージング法(ろう付け法)が多く用いられている。ブレージング法が多く用いられるのは、母材を溶融させることなく短時間で強固な接合を得ることができる等の利点が考慮されるためである。ブレージング法によるアルミニウム合金材の接合方法を用いて熱交換器等を製造する方法としては、例えば、Al−Si合金からなるろう材をクラッドしたブレージングシートを用いる方法;粉末ろう材を塗布した押出材を用いる方法;各材料を組付け後に接合が必要な部分に別途ろう材を塗布する方法;などが知られている(特許文献1〜3)。更に、非特許文献1の「3.2 ろうとブレージングシート」の章には、これらのクラッドブレージングシートや粉末ろう材の詳細が説明されている。
これまで、アルミニウム合金材の構造体の製造においては、様々なブレージング法が開発されてきた。例えば自動車用熱交換器においては、フィン材を単層で用いる場合には、チューブ材にろう材をクラッドしたブレージングシートを使用する方法や、チューブ材にSi粉末やSi含有ろうを別途塗布する方法が採用されていた。一方、チューブ材を単層で用いる場合には、フィン材にろう材をクラッドしたブレージングシートを使用する方法が採用されていた。
特許文献4には、上述したクラッド材のブレージングシートに替えて、単層ブレージングシートを用いる方法が記載されている。この方法においては、熱交換器のチューブ材とタンク材に熱交換器用単層ブレージングシートを用いることが提案されている。ここで単層ブレージングシートと呼ばれ、MONOBRAZE法に用いられているアルミニウム合金材を、本発明では単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材と呼ぶ。
特許文献5には、単層のアルミニウム合金材を用いて接合体を製造する方法において、合金組成や接合中の温度、加圧、表面性状などを制御することで、良好な接合を得ると共に変形がほとんど起こらない接合方法が提案されている。本発明では、特許文献5に示される接合法をMONOBRAZE法と呼ぶ。
特許文献6には、単層のアルミニウム合金をチューブ材として用い、MONOBRAZE法で熱交換器を製造する際に、チューブ材の分散粒子のサイズを制御することで良好な接合性を得た構造体が提案されている。
特開2008−303405公報 特開2009−161835号公報 特開2008−308760号公報 特開2010−168613号公報 特許第5021097号公報 特開2012−51028号公報
「アルミニウムブレージングハンドブック(改訂版)」社団法人軽金属溶接構造協会 2003年
ブレージングシートのようなクラッド材を製造するには、各層を別々に製造し、更にそれらを重ね接合する工程が必要である。ブレージングシートの使用は熱交換器等のコストダウンの要求に反することとなる。また、粉末ろう材の塗布もろう材コストの分だけ製品コストに反映されることとなる。
これに対して、上述のように、クラッド材によるブレージングシートに替えて単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材を適用するという提案もある。この方法では、単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材から接合に必要な液相を供給しつつも、構造体としての形状を維持することが提案されている。しかしながら、例えば、熱交換器製造において、単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材をチューブ材やフィン材としてそのまま用いると、熱交換器の製造時の加熱によって大きく変形してしまう虞がある。
また、上述のMONOBRAZE法のように、合金組成や接合時の温度、加圧、表面性状などを制御することで、単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材を用いた接合においても、良好な接合と形状維持を両立する方法も提案されている。しかしながら、より高い精度の接合及び接合中の形状維持の達成が望まれている。特に板厚が1mm以下のフィン材においては、板厚方向の曲げ応力に対して変形が生じ易く、接合中の形状維持のためには液相率を低く抑える必要がある。しかしながら、材料の体積が小さいために低い液相率では液相が十分に生成され難く、接合と形状維持の両立のためには更なる改善が求められていた。
以上のように、熱交換器等のアルミニウム合金構造体のコストダウンのためには、ろう材を使わずに単層同士の材料で接合を行うMONOBRAZE法が好ましいといえる。しかしながら、単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材をMONOBRAZE法に単に適用しても、部材の変形又は接合率の低下の問題を回避することは困難である。上述の特許文献4、6では、板厚が比較的厚いチューブ材に単層のアルミニウム合金材を適用することで変形が顕著ではないが、板厚の薄いフィン材のような部材に単層のアルミニウム合金材を適用する場合は、接合加熱中の変形が著しいという問題があった。
本発明は、上記のような背景のもとになされたものであり、単層のアルミニウム合金材を用いた各種のアルミニウム合金接合体をMONOBRAZE法によって製造するに際して、接合加熱時に固相線温度以上に加熱され、半溶融状態となって接合部に液相を供給しつつも、耐変形性に優れる単層のアルミニウム合金材及びその接合方法、ならびに、当該アルミニウム合金材を用いたアルミニウム接合体を提案するものである。特に本発明は、熱交換器用のフィン材など、板厚の薄い材料に用いる場合に適している。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、MONOBRAZE法に用いるアルミニウム合金材を改良することにより、接合加熱時に固相線温度以上に加熱され、半溶融状態になるにも関わらず、接合加熱中の耐変形性に優れたアルミニウム合金材を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金材は、Si:1.0〜5.0mass%、Fe:0.01〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、0.01〜0.5μmの円相当径を有し、Al−Fe系及びAl−Fe−Si系から選択されるAlと添加元素によって生成するAl系金属間化合物が10〜1×10個/μm存在し、5.0〜10μmの円相当径を有し、単体Si及び単体Siの一部にCaやPの元素を含むものから選択されるSi系金属間化合物が200個/mm以下存在することを特徴とする単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材とした。
前記アルミニウム合金に含まれる固溶Si量は、0.7%以下であるものとする。
前記アルミニウム合金は、Mg:0.05〜2.0mass%、Cu:0.05〜1.5mass%及びMn:0.05〜2.0mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有し、前記Al系金属間化合物がAl−Mn−Si系、Al−Fe−Mn系及びAl−Fe−Mn−Si系から選択されるAlと添加元素によって生成する化合物を更に含むものとするとよい。
前記アルミニウム合金は、Zn:6.0mass%以下、In:0.3mass%以下及びSn:0.3mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとするとよい。
前記アルミニウム合金は、Ti:0.3mass%以下、V:0.3mass%以下、Cr:0.3mass%以下、Ni:2.0mass%以下及びZr:0.3mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとするとよい。
前記アルミニウム合金は、Be:0.1mass%以下、Sr:0.1mass%以下、Bi:0.1mass%以下、Na:0.1mass%以下及びCa:0.05mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとするとよい。
前記アルミニウム合金は、加熱接合前における引張強さが80〜250MPaであるものとする。
本発明は、また、上記の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法であって、前記アルミニウム合金材用のアルミニウム合金を双ロール式連続鋳造圧延する鋳造工程と、圧延板を冷間圧延する2回以上の冷間圧延工程と、冷間圧延工程中において圧延板を1回以上の焼鈍する焼鈍工程を含み、全ての焼鈍工程における焼鈍条件が250〜550℃の温度で1〜10時間であり、最終冷間圧延段階における圧下率が50%以下であり、前記鋳造工程の双ロール式連続鋳造圧延において、圧延板のアルミニウム及び酸化アルミニウムを主成分とする厚さ1〜500μmの皮膜が、双ロール表面に付着した状態で圧延され、圧延板幅1mmあたりの圧延荷重が500〜5000Nである、ことを特徴とする単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法を含む。
本発明は、更に、二つ以上のアルミニウム部材を加熱接合することにより製造され、前記二つ以上のアルミニウム部材の少なくとも一つに上記のアルミニウム合金材を用いたことを特徴とするアルミニウム接合体を含む。
上記加熱接合後において、前記二つ以上の部材の少なくとも一つに用いた前記アルミニウム合金材の金属組織における結晶粒径を100μm以上であるものとする。
本発明に係るアルミニウム合金材は、ブレージング法等の従来の接合方法とは異なり単層で加熱接合機能を有するものであり、単層の状態で各種の被接合部材と接合できる。そして、接合加熱時に半溶融状態となるにも関わらず、耐変形性に優れたアルミニウム材である。これにより、接合体の製造におけるコストダウンの要求に答えることができる。例えば、熱交換器用フィン材のように板厚が非常に薄い材料として有用である。また、より高精度な接合性や寸法制度が求められる製品にも適用が可能となる。更に、従来の接合方法では不可能であった形状を有する接合体の製造や、部材の薄肉化を可能とする。
双ロール式連続鋳造圧延法において、注入されたアルミニウム溶湯の冷却速度を説明するための説明図である。 双ロール式連続鋳造圧延法において、注入されたアルミニウム溶湯の冷却速度を説明するための説明図である。 第1〜第3実施形態で用いた3段積みのテストピース(ミニコア)の外観図である。
1.単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材
以下、本発明について具体的に説明する。まず、本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材について説明する。このアルミニウム合金材は、必須元素としてSi濃度:1.0〜5.0mass%(以下、単に「%」と記す)及びFe:0.01〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl−Si―Fe系のアルミニウム合金を基本組成とし、その金属組織において、0.01〜0.5μmの円相当径を有するAl系金属間化合物が存在するものである。以下に、これらの特徴について説明する。
1−1.必須元素について
1−1−1.Si濃度について
Si濃度について、SiはAl−Si系の液相を生成し、接合に寄与する元素である。但し、Si濃度が1.0%未満の場合は充分な量の液相を生成することができず、液相の染み出しが少なくなり、接合が不完全となる。一方、5.0%を超えるとアルミニウム合金材中の液相の生成量が多くなるため、加熱中の材料強度が極端に低下し、構造体の形状維持が困難となる。従って、Si濃度を1.0%〜5.0%と規定する。このSi濃度は、好ましくは1.5%〜3.5%であり、より好ましくは2.0%〜3.0%である。尚、染み出す液相の量は体積が大きく、加熱温度が高いほど多くなるので、加熱時に必要とする液相の量は、製造する構造体の構造に応じて必要となるSi量や接合加熱温度を調整することが望ましい。
1−1−2.Fe濃度について
Fe濃度について、Feはマトリクスに若干固溶して強度を向上させる効果を有するのに加えて、晶出物や析出物として分散して特に高温での強度低下を防止する効果を有する。Feは、その添加量が0.01%未満の場合、上記の効果が小さいだけでなく、高純度の地金を使用する必要がありコストが増加する。また、2.0%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物が生成し、製造性に問題が生じる。また、本接合体が腐食環境(特に液体が流動するような腐食環境)に曝された場合には耐食性が低下する。更に、接合時の加熱によって再結晶した結晶粒が微細化して粒界密度が増加するため、接合前後で寸法変化が大きくなる。従って、Feの添加量は0.01%〜2.0%とする。好ましいFeの添加量は、0.2%〜1.0%である。
1−2.Al系金属間化合物について
次に、本発明に係るアルミニウム合金材の金属組織における特徴について説明する。本発明に係るアルミニウム合金材は、MONOBRAZE法による接合加熱時に固相線温度以上に加熱される。この時、アルミニウム合金材は主に粒界すべりによって変形する。そこで、金属組織としては、(1)接合加熱時に結晶粒が粗大になることが望ましい。(2)また、粒界に液相が生成すると粒界すべりによる変形が起こり易くなるため、粒界での液相生成が抑制されることが望ましい。本発明では、加熱後の結晶粒が粗大になり、粒界での液相生成が抑制される金属組織を規定する。
すなわち、本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材では、円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物が分散粒子として存在する。このAl系金属間化合物は、Al−Fe系、Al−Fe−Si系、Al−Mn―Si系、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系化合物等、Alと添加元素によって生成する金属間化合物である。0.01〜0.5μmの円相当径を有するAl系金属間化合物は、加熱時に再結晶核とはならずに、結晶粒界の成長を抑制するピン止め粒子として働く。また、液相が生成する核となり、粒内の固溶Siを集める働きを有する。本発明に係るアルミニウム合金材は、円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物を有するため、加熱時に再結晶核が無数に成長するのが抑制され、限られた再結晶核のみが成長するので、加熱後の結晶粒が粗大になる。また、粒内の固溶Siを集めることで、相対的に粒界での液相生成を抑制する。
1−2−1.Al系金属間化合物の体積密度について
上記のAl系金属間化合物の効果は、Al系金属間化合物の体積密度が適切な範囲であることでより確実に発揮される。具体的には、材料中の任意部分において10〜1×10個/μmの体積密度で存在する。体積密度が10個/μm未満の場合には、ピン止め効果が小さすぎるため、成長することができる再結晶粒が多くなり、粗大な結晶粒が形成され難くなる。また、液相生成の核が少なくなるため、粒内の固溶Siを集める作用が十分に発揮されず、粒内の固溶Siが粒界で生成した液相の成長に寄与する割合が増加し、耐変形性が低下する。一方、体積密度が1×10個/μmを超える場合には、ピン止め効果が大きすぎるため、あらゆる再結晶粒の成長が抑制され、粗大な結晶粒が形成され難くなる。また、液相生成の核が多すぎるため、直接粒界に接してしまう液相が増加し、粒界の液相がより成長してしまう。適切な強さのピン止め効果により、限られた結晶粒のみが成長し、結晶粒が粗大化するため、及び適切な液相生成の核を形成し、粒内の固溶Siを集めて粒界での液相生成を抑制するためには、上記体積密度の範囲内とする。なお、この体積密度は、好ましくは50〜5×10個/μmであり、より好ましくは100〜1×10個/μmである。
1−2−2.Al系金属間化合物の円相当径について
円相当径0.01μm未満のAl系金属間化合物は、実質的に測定が困難なため対象外とする。また、円相当径0.5μmを超えるAl系金属間化合物は存在するが、ピン止め粒子としてはほとんど有効に作用しないため、本発明に係る効果に影響は小さく規定の対象外とする。また、円相当径0.5μmを超えるAl系金属間化合物は液相生成の核としては作用し得る。しかしながら、粒内の固溶Siを集める効果は化合物表面からの距離で決まるため、円相当径0.5μmを超えるAl系金属間化合物では、当該化合物の体積当りにおける固溶Si収集効果が小さくなることからも対象外とする。
尚、Al系金属間化合物の円相当径は、電解研磨により薄肉加工したサンプルをTEM観察することで決定することができる。ここで、円相当径とは円相当直径をいう。TEM観察画像をSEM観察画像と同様に2次元像として画像解析することで接合前の円相当径を求めるのが好ましい。また、体積密度を算出するためには、TEM観察した各視野においてEELS法などを用いてサンプルの膜厚も測定する。TEM観察像を2次元像として画像解析した後、2次元像の測定面積にEELS法で測定した膜厚を乗じることで測定体積を求め、体積密度を算出する。サンプルの膜厚が厚すぎると、電子の透過方向に重複する粒子数が増えて正確な測定が困難になるので、膜厚50nm〜200nmの範囲となる部分を観察するのが望ましい。また、Si系金属間化合物とAl系金属間化合物は、EDSなどで元素分析することでより正確に区別することができる。
以上説明した、Si、Fe濃度範囲及び金属組織に特徴を有する本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材は、接合加熱時にそれ自体が半溶融状態となって液相を供給することで接合を可能にするとともに、耐変形性にも優れる。
1−3.Si系金属間化合物について
本発明に係るアルミニウム合金材では、上記Al系金属間化合物に関する規定に加えて、Si系金属間化合物に関しても規定する。本発明に係るアルミニウム合金材では、5.0〜10μmの円相当径を有するSi系金属間化合物が、材料中の断面において200個/mm以下存在する。ここで、Si系金属間化合物とは、(1)単体Si、及び(2)単体Siの一部にCaやPなどの元素を含むものである。尚、材料中の断面とは、アルミニウム合金材の任意の断面であり、例えば厚さ方向に沿った断面でもよく、板材表面と平行な断面でもよい。材料評価の簡便性の観点から、厚さ方向に沿った断面を採用するのが好ましい。
1−3−1.Si系金属間化合物の面密度について
ここで、5.0μm〜10μmの円相当径を有するSi系金属間化合物は、加熱時に再結晶の核となる。そのため、Si系金属間化合物の面密度が200個/mmを超えると、再結晶核が多いために結晶粒が微細になり、接合加熱中の耐変形性が低下する。Si系金属間化合物の面密度が200個/mm以下であれば、再結晶核の数が少ないため特定の結晶粒のみが成長し、粗大な結晶粒が得られ、接合加熱中の耐変形性が向上する。上記面密度は、好ましくは20個/mm以下である。なお、5.0μm〜10μmの円相当径を有するSi系金属間化合物が少ないほど耐変形性が向上するため、上記面密度が0個/mmが最も好ましい。
1−3−2.Si系金属間化合物の円相当径について
なお、Si系金属間化合物の円相当径を5.0μm〜10μmに限定するのは、以下の理由による。円相当径が5.0μm未満のSi系金属間化合物は存在するが、再結晶の核としては働き難いため対象から除外した。また、円相当径が10μmを超えるSi系金属間化合物は、製造時に割れの原因となり製造が困難となる。従って、このように大きな円相当径を有するSi系金属間化合物はアルミニウム合金中に存在させることがないため、これも対象から除外した。
尚、Si系金属間化合物の円相当径は、断面のSEM観察(反射電子像観察)を行うことで決定することができる。ここで、円相当径とは円相当直径をいう。SEM写真を画像解析することで、接合前の分散粒子の円相当径を求めることが好ましい。画像解析結果と測定面積から面密度を算出できる。また、Si系金属間化合物とAl系金属間化合物は、SEM−反射電子像観察で、コントラストの濃淡で区別することもできる。また、分散粒子の金属種は、EPMA(X線マイクロアナライザー)等でより正確に特定することができる。
1−4.Si固溶量について
また、本発明に係るアルミニウム合金材では、上記Al系金属間化合物及びSi系金属間化合物の規定に加え、Si固溶量が規定される。本発明に係るアルミニウム合金材は、MONOBRAZE法による接合前において、Si固溶量が0.7%以下であることが好ましい。なお、このSi固溶量は、20〜30℃の室温における測定値である。上述のように固溶Siは加熱中に固相拡散し、周囲の液相の成長に寄与する。固溶Si量が0.7%以下であれば、固溶Siの拡散によって粒界に生成する液相量が少なくなり、加熱中の変形を抑制できる。一方、固溶Si量が0.7%を超えると、粒界に生成した液相に取り込まれるSiが増加する。その結果、粒界に生成する液相量が増加して、変形が起こり易くなる。より好ましい固溶Si量は、0.6%以下である。なお、固溶Si量の下限値は特に限定するものではないが、アルミニウム合金のSi含有量及び製造方法によって自ずと決まり、本発明では0%である。
1−5.第1の選択的添加元素について
上述のように、本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材は、接合加熱中の耐変形性の向上のために、必須元素として所定量のSi及びFeを含有する。そして、強度を更に向上させるために、必須元素であるSi及びFeに加えて、所定量のMn、Mg及びCuから選択される1種又は2種以上が第1の選択的添加元素として更に添加される。なお、このような第1の選択的添加元素を含有する場合においても、Al系金属間化合物の体積密度及びSi系金属間化合物の面密度については、上記の通りに規定される。
1−5−1.Mnについて
Mnは、SiやFeとともにAl−Mn−Si系、Al−Mn−Fe−Si系、Al−Mn−Fe系の金属間化合物を形成し、分散強化として作用し、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる重要な添加元素である。Mn添加量が2.0%を超えると、粗大金属間化合物が形成され易くなり耐食性を低下させる。一方、Mn添加量が0.05%未満では、上記の効果が不十分となる。従って、Mn添加量は0.05〜2.0%以下とする。好ましいMn添加量は、0.1%〜1.5%である。
1−5−2.Mgについて
Mgは、接合加熱後においてMgSiによる時効硬化が生じ、この時効硬化によって強度向上が図られる。このように、Mgは強度向上の効果を発揮する添加元素である。Mg添加量が、2.0%を超えるとフラックスと反応して、高融点の化合物を形成するため著しく接合性が低下する。一方、Mg添加量が0.05%未満では、上記の効果が不十分となる。従って、Mg添加量は0.05〜2.0%とする。好ましいMg添加量は、0.1%〜1.5%である。
1−5−3.Cuについて
Cuは、マトリクス中に固溶して強度向上させる添加元素である。Cu添加量が、1.5%を超えると耐食性が低下する。一方、Cu添加量が0.05%未満では、上記の効果が不十分となる。従って、Cuの添加量は0.05〜1.5%とする。好ましいCu添加量は、0.1%〜1.0%である。
1−6.第2の選択的添加元素について
本発明においては、耐食性を更に向上させるために、上記必須元素及び/又は第1の選択的添加元素に加えて、所定量のZn、In及びSnから選択される1種又は2種以上が第2の選択的添加元素として更に添加される。なお、このような第2の選択的添加元素を含有する場合においても、Al系金属間化合物の体積密度及びSi系金属間化合物の面密度については、上記の通りに規定される。
1−6−1.Znについて
Znの添加は、犠牲防食作用による耐食性向上に有効である。Znはマトリクス中にほぼ均一に固溶しているが、液相が生じると液相中に溶け出して液相のZnが濃化する。液相が表面に染み出すと、染み出した部分におけるZn濃度が上昇するため、犠牲陽極作用によって耐食性が向上する。また、本発明のアルミニウム合金材を熱交換器に応用する場合、本発明のアルミニウム合金材をフィンに用いることで、チューブ等を防食する犠牲防食作用を働かせることもできる。Zn添加量が6.0%を超えると腐食速度が速くなって自己耐食性が低下する。従って、Zn添加量は、6.0%以下とする。好ましいZn添加量は、0.05%〜6.0%である。
1−6−2.Sn、Inについて
SnとInは、犠牲陽極作用を発揮する効果を奏する。それぞれの添加量が0.3%を超えると腐食速度が速くなり自己耐食性が低下する。従って、SnとInの添加量はそれぞれ、0.3%以下とする。好ましいSnとInの添加量はそれぞれ、0.05%〜0.3%である。
1−7.第3の選択的添加元素について
本発明においては、強度や耐食性を更に向上させるために、上記必須元素、第1の選択的添加元素及び第2の選択的添加元素の少なくともいずれかに加えて、所定量のTi、V、Cr、Ni及びZrから選択される1種又は2種以上が第3の選択的添加元素として更に添加される。なお、このような第3の選択的添加元素を含有する場合においても、Al系金属間化合物の体積密度及びSi系金属間化合物の面密度については、上記の通りに規定される。
1−7−1.Ti、Vについて
Ti及びVは、マトリクス中に固溶して強度向上させる他に、層状に分布して板厚方向の腐食の進展を防ぐ効果がある。それぞれの添加量が0.3%を超えると粗大晶出物が発生し、成形性、耐食性を阻害する。従って、Ti及びVの添加量はそれぞれ、0.3%以下とする。好ましいTi及びVの添加量はそれぞれ、0.05%〜0.3%である。
1−7−2.Crについて
Crは、固溶強化により強度を向上させ、またAl−Cr系の金属間化合物の析出により、加熱後の結晶粒粗大化に作用する。添加量が0.3%を超えると粗大な金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。よって、Crの添加量は0.3%以下とする。好ましいCrの添加量は、0.05%〜0.3%である。
1−7−3.Niについて
Niは、金属間化合物として晶出又は析出し、分散強化によって接合後の強度を向上させる効果を発揮する。Niの添加量は、2.0%以下の範囲とし、好ましくは0.05%〜2.0%の範囲である。Niの含有量が2.0%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり、加工性を低下させ自己耐食性も低下する。
1−7−4.Zrについて
ZrはAl−Zr系の金属間化合物として析出し、分散強化によって接合後の強度を向上させる効果を発揮する。また、Al−Zr系の金属間化合物は加熱中の結晶粒粗大化に作用する。添加量が0.3%を超えると粗大な金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。よって、Zrの添加量は0.3%以下とする。好ましいZrの添加量は、0.05%〜0.3%である。
1−8.第4の選択的添加元素について
本発明に係るアルミニウム合金材では、液相の特性改善を図ることにより接合性を更に良好にするために、上記必須元素及び第1〜3の選択的添加元素の少なくともいずれかに加えて、所定量のBe、Sr、Bi、Na及びCaから選択される1種又は2種以上を第4の選択的添加元素として更に添加してもよい。なお、このような第4の選択的添加元素を含有する場合においても、Al系金属間化合物の体積密度及びSi系金属間化合物の面密度については、上記の通りに規定される。
このような元素としては、Be:0.1%以下、Sr:0.1%以下、Bi:0.1%以下、Na:0.1%以下及びCa:0.05%以下の1種又は2種以上が必要に応じて添加される。なお、これら各元素の好ましい範囲は、Be:0.0001%〜0.1%、Sr:0.0001%〜0.1%、Bi:0.0001%〜0.1%、Na:0.0001%〜0.1%以下、Ca:0.0001%〜0.05%以下である。これらの微量元素はSi粒子の微細分散、液相の流動性向上等によって接合性を改善することができる。これらの微量元素は、上記の好ましい規定範囲未満では、Si粒子の微細分散や液相の流動性向上等の効果が不十分となる場合がある。また、上記の好ましい規定範囲を超えると耐食性低下等の弊害を生じる。
1−9.Si、Fe、Mnの含有量の関係
ところで、Fe及びMnはいずれも、Siと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成する。Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を生成するSiは液相の生成への寄与が小さいため、接合性が低下することになる。そのため、本発明に係るアルミニウム合金材でFe及びMnを添加する場合には、Si、Fe、Mnの含有量について留意することが好ましい。具体的には、Si、Fe、Mnの含有量(mass%)をそれぞれS、F、Mとしたとき、1.2≦S−0.3(F+M)≦3.5の関係式を満たすことが好ましい。S−0.3(F+M)が1.2未満の場合は、接合が不十分となる。一方、S−0.3(F+M)が3.5より大きい場合は、接合前後で形状が変化し易くなる。
1−10.材料の固相線と液相線について
尚、本発明の液相を生成するアルミニウム合金材は、固相線温度と液相線温度の差が10℃以上であるものが好ましい。固相線温度を超えると液相の生成が始まるが、固相線温度と液相線温度の差が小さいと、固体と液体が共存する温度範囲が狭くなり、発生する液相の量を制御することが困難となる。従って、この差を10℃以上とするのが好ましい。例えば、この条件を満たす組成を有する合金としては、Al−Si系合金、Al−Si−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Zn系及びAl−Si−Cu−Mg系等が挙げられる。尚、固相線温度と液相線温度の差が大きくなるほど、適切な液相量に制御するのが容易になる。従って、固相線温度と液相線温度の差の上限は、特に限定されるものではない。
1−11.MONOBRAZE法による接合前における引張強さ
また、本発明に係るアルミニウム合金材は、MONOBRAZE法による接合前の引張強さが80〜250MPaであるものが好ましい。この引張強さが80MPa未満であると、製品の形状に成形するために必要な強度が足りず、成形することができない。この引張強さが250MPaを超えると、成形した後の形状保持性が悪く、接合体として組み立てたときに他の部材との間に隙間ができて接合性が悪化する。なお、MONOBRAZE法による接合前の引張強さは、20〜30℃の室温での測定値をいう。また、MONOBRAZE法による接合前の引張強さ(T0)と接合後の引張強さ(T)の比(T/T0)が、0.6〜1.1の範囲であることが好ましい。(T/T0)が0.6未満の場合には、材料の強度が不足し、構造体としての機能が損なわれる場合があり、1.1を超えると粒界での析出が過剰となり粒界腐食が起こりやすくなる場合がある。
2.単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
次に、本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法について説明する。本発明に係るアルミニウム合金材は、連続鋳造法を用いて製造される。連続鋳造法では、凝固時の冷却速度が速いため、粗大な晶出物が形成され難く、円相当径5.0μm〜10μmのSi系金属間化合物の形成が抑制される。その結果、再結晶核の数が少なくできるため特定の結晶粒のみが成長し、粗大な結晶粒が得られる。また、Mn、Feなどの固溶量が大きくなるため、その後の加工工程で円相当径0.01μm〜0.5μmのAl系金属間化合物の形成が促進される。このように、適切な強さのピン止め効果と、粒内の固溶Siを集める効果が得られる円相当径0.01μm〜0.5μmのAl系金属間化合物が形成されることにより、限られた結晶粒のみが成長し、粗大な結晶粒が得られ、かつ粒界での液相生成が抑制され、耐変形性が向上する。
また、連続鋳造法では、円相当径0.01μm〜0.5μmのAl系金属間化合物の形成により、マトリクス中の固溶Si量が低下する。その結果、接合加熱中の粒界に供給される固溶Si量が更に減少し、粒界での液相生成が抑制され、耐変形性が向上する。
連続鋳造法としては、双ロール式連続鋳造圧延法や双ベルト式連続鋳造法等の連続的に板状鋳塊を鋳造する方法であれば特に限定されるものではない。双ロール式連続鋳造圧延法とは、耐火物製の給湯ノズルから一対の水冷ロール間にアルミニウム溶湯を供給し、薄板を連続的に鋳造圧延する方法であり、ハンター法や3C法等が知られている。また、双ベルト式連続鋳造法は、上下に対峙し水冷されている回転ベルト間に溶湯を注湯してベルト面からの冷却で溶湯を凝固させてスラブとし、ベルトの反注湯側より該スラブを連続して引き出してコイル状に巻き取る連続鋳造方法である。
双ロール式連続鋳造圧延法では、鋳造時の冷却速度が半連続鋳造法に比べて数倍〜数百倍速い。例えば、半連続鋳造法の場合の冷却速度が0.5〜20℃/秒であるのに対し、双ロール式連続鋳造圧延法の場合の冷却速度は100〜1000℃/秒である。そのため、鋳造時に生成する分散粒子が、半連続鋳造法に比べて微細かつ高密度に分布する特徴を有する。これにより粗大な晶出物の発生が抑制されるため、接合加熱中の結晶粒が粗大化する。また、冷却速度が速いために、添加元素の固溶量を増加させることができる。これにより、その後の熱処理によって微細な析出物が形成され、接合加熱中の結晶粒粗大化に寄与することができる。本発明においては、双ロール式連続鋳造圧延法の場合の冷却速度を100〜1000℃/秒とするのが好ましい。100℃/秒未満では目的の金属組織を得ることが困難となり、1000℃/秒を超えると安定した製造が困難となる。
双ロール式連続鋳造圧延法で鋳造する際の圧延板の速度は0.5〜3m/分が好ましい。鋳造速度は、冷却速度に影響を及ぼす。鋳造速度が0.5m/分未満の場合は、上記のような十分な冷却速度が得られず化合物が粗大になる。また、3m/分を超える場合は、鋳造時にロール間でアルミニウム材が十分に凝固せず、正常な板状鋳塊が得られない。
双ロール式連続鋳造圧延法で鋳造する際の溶湯温度は、650〜800℃の範囲が好ましい。溶湯温度は、給湯ノズル直前にあるヘッドボックスの温度である。溶湯温度が650℃未満の温度では、給湯ノズル内に粗大な金属間化合物の分散粒子が生成し、それらが鋳塊に混入することで冷間圧延時の板切れの原因となる。溶湯温度が800℃を超えると、鋳造時にロール間でアルミニウム材が十分に凝固せず、正常な板状鋳塊が得られない。より好ましい溶湯温度は680〜750℃である。
双ロール式連続鋳造圧延法で鋳造する板状鋳塊の板厚は2mm〜10mmが好ましい。この厚さ範囲においては、板厚中央部の凝固速度も速く、均一組織な組織が得られ易い。板厚が2mm未満であると、単位時間当たりに鋳造機を通過するアルミニウム量が少なく、安定して溶湯を板幅方向に供給することが困難になる。一方、板厚が10mmを超えると、ロールによる巻取りが困難になる。より好ましい板状鋳塊の板厚は、4mm〜8mmである。
双ロール式連続鋳造圧延法で鋳造された板状鋳塊を最終板厚に冷間圧延する工程中において、250〜550℃で1〜10時間の範囲で焼鈍を行う。この焼鈍は鋳造後の製造工程において、最終冷間圧延を除くどの工程で行っても良く、1回以上行う必要がある。なお、焼鈍の回数の上限は好ましくは3回、より好ましくは2回である。この焼鈍は、材料を軟化させて最終圧延で所望の材料強度を得易くするために行われ、この焼鈍により材料中の金属間化合物のサイズ及び密度、添加元素の固溶量を最適に調整することが出来る。焼鈍温度が250℃未満では、材料の軟化が不十分なために、ろう付け加熱前のTSが高くなる。ろう付け加熱前のTSが高いと、成形性に劣るためコア寸法が悪化し、結果として耐久性が低下する。一方、550℃を超えた温度で焼鈍を行うと、製造工程中の材料への入熱量が多くなりすぎるために、金属間化合物が粗大かつ疎に分布することになる。粗大かつ疎に分布した金属間化合物は、固溶元素を取り込み難く、材料中の固溶量が低下し難い。また、1時間未満の焼鈍温度では上記の効果が十分ではなく、10時間を越えた焼鈍時間では上記の効果が飽和しているために経済的に不利となる。
また、調質はO材でもよくH材でもよい。H1n材またはH2n材とする場合は、最終冷間圧延率が重要である。最終冷間圧延率は50%以下であり、好ましい最終冷間圧延率は5%〜50%である。最終冷間圧延率が50%を超えると、加熱時に再結晶核が多数発生し、接合加熱後の結晶粒径が微細になる。なお、最終冷間圧延率が5%未満では、製造が実質上に困難となる場合がある。
2−1.双ロール式連続鋳造圧延法における金属間化合物密度の制御
上述の双ロール式連続鋳造圧延法とその後の製造工程により、半連続鋳造に比べて分散粒子を微細にすることが可能である。しかしながら、本発明に係るアルミニウム合金材の金属組織を得るためには、凝固時の冷却速度をより精密に制御することが重要となる。本発明者らは、上記冷却速度の制御が、アルミコーティング厚みの制御及び圧延荷重による溶湯内サンプ制御によって可能であることを見出した。
2−1−1.アルミコーティング厚みの制御
アルミコーティングとは、アルミニウム及び酸化アルミニウムを主成分とする皮膜である。鋳造中にロール表面に形成されるアルミコーティングは、ロール表面と溶湯の濡れを良くし、ロール表面と溶湯間の熱伝達を向上させる。アルミコーティングを形成するためには、680〜740℃のアルミニウム溶湯を500N/mm以上の圧延荷重にて双ロール式連続鋳造圧延を実施してもよく、或いは、双ロール式連続鋳造圧延開始前に300℃以上に加熱した展伸材用アルミニウム合金板を圧下率20%以上で2回以上圧延させてもよい。アルミコーティング形成に使用するアルミニウム溶湯又はアルミニウム合金板は、添加元素の少ない1000系合金が特に好ましいが、その他のアルミニウム合金系を用いてもコーティング形成は可能である。鋳造中、アルミコーティング厚みは常に増加するため、窒化ホウ素、または炭素系離型剤(グラファイトスプレー、もしくは煤)をロール表面に10μg/cmで塗布し、アルミコーティングの更なる形成を抑制する。また、ブラシロール等で物理的に除去することも可能である。
アルミコーティング厚みは1〜500μmとするのが好ましい。これにより、溶湯の冷却速度が最適に調整され、接合加熱時の耐変形性に優れる金属間化合物密度とSi固溶量を有するアルミニウム合金を鋳造することが可能となる。アルミコーティング厚みが1μm未満では、ロール表面と溶湯の濡れ性が悪いため、ロール表面と溶湯の接触面積が小さくなる。これにより、ロール表面と溶湯の熱伝達性が悪化し、溶湯の冷却速度が低下する。その結果、金属間化合物が粗大化し、所望の金属間化合物密度を得られない。また、ロール表面と溶湯の濡れ性が悪いと、ロール表面と溶湯が局所的に非接触となる場合もある。その場合、鋳塊が再溶解して溶質濃度の高い溶湯が鋳塊表面へ染み出して表面偏析が生じ、鋳塊表面において粗大な金属間化合物が形成される虞もある。一方、アルミコーティング厚みが500μmを超えると、ロール表面と溶湯の濡れ性は向上するものの、コーティングが厚すぎるためにロール表面及び溶湯間の熱伝達性は著しく悪化する。その結果、この場合も溶湯の冷却速度が低下するため、金属間化合物が粗大化し、所望の金属間化合物密度及びSi固溶量を得られない。アルミコーティング厚みは、より好ましくは80〜410μmである。
2−1−2.圧延荷重による溶湯内サンプ制御
連続鋳造板の金属間化合物密度については、本来凝固時の冷却速度を制御して操作することが望ましい。但し、鋳造中の冷却速度測定は非常に困難であり、オンラインで計測できるパラメータにて金属間化合物密度を制御することが必要とされる。
双ロール式連続鋳造圧延法は、図1、2に示すように、上下に対向配置された金属製冷却ロール2A、2Bとロール中心線3とノズルチップ4の出口に囲まれた領域2に、耐火物製のノズルチップ4を介してアルミニウム合金の溶湯1を注入して実施される。ここで、連続鋳造中の領域2は、圧延領域5と非圧延領域6に大別できる。圧延領域5におけるアルミニウム合金は凝固が完了し鋳塊となっており、ロールの圧下に対してロール分離力が発生する。一方、非圧延領域6におけるアルミニウム合金は、ロール近傍の凝固は完了しているものの、板厚中央部は未凝固の溶湯として存在しているため、ロール分離力は発生しない。凝固開始点7の位置は、鋳造条件を変化させても、ほぼ移動しない。そのため、鋳造速度を速く、又は、溶湯温度を高くして、図1に示すように圧延領域5を小さくすると溶湯内サンプは深くなり、結果として冷却速度は低下する。反対に鋳造速度を遅く、又は、溶湯温度を低くして、図2に示すように圧延領域5を大きくすると溶湯内サンプは浅くなり、冷却速度は増加する。このように、冷却速度は、圧延領域の増減、すなわちロール分離力の垂直成分である圧延荷重8の計測によって制御可能である。なお、溶湯内サンプとは、鋳造時の凝固部と未凝固部の固液界面のことであり、この界面が圧延方向に深く入りこんで谷型を形成している場合はサンプが深いと言い、反対に圧延方向に入りこまず平坦に近い界面を形成している場合はサンプが浅いという。
上記圧延荷重は、500〜5000N/mmとするのが好ましい。圧延荷重が500N/mm未満では、図1に示すように圧延領域4が小さく、溶湯内サンプが深い状況となる。これにより冷却速度が低くなり、粗大な晶出物が形成され易く、微細な析出物は形成され難くなる。その結果、接合加熱中に粗大な晶出物を核とする再結晶粒が増加し、結晶粒が微細になるため変形し易くなる。また、微細な析出物が疎になることで適切なピン止め効果が得られず、Si固溶量も多くなるために接合加熱中において粒界に生成する液相が増加し、変形し易くなる。更に、溶質原子が板厚中央部に集まり、中心線偏析を起こす要因ともなる。
一方、圧延荷重が5000N/mmを超えると、図2に示すように圧延領域5が大きく、溶湯内サンプが浅い状況となる。これにより、冷却速度が高くなりすぎ、Al系金属間化合物分布が過密となる。その結果、接合加熱中にピン止め効果が働きすぎて結晶粒が微細となり、変形し易くなる。また、ロール表面からの抜熱量が大きいため、ロール表面と非接触の溶湯(メニスカス部9)まで凝固が進行する。そのため、鋳造中の溶湯供給が不十分となり、リップルが深くなって鋳塊表面における表面欠陥が生じる。この表面欠陥は、圧延時の割れの起点となり得る。
2−2.圧延荷重の測定方法
双ロール式連続鋳造圧延法においては、鋳造中に鋳塊がロールを押し上げる力と、鋳造前から鋳造中まで上下ロール間にかかる一定の力が発生する。これら2つの力の和は、ロール中心線に平行な成分として、油圧式シリンダにて計測することが可能である。したがって、圧延荷重は、鋳造開始前と鋳造中におけるシリンダ圧の増加分を力に変換し、鋳造板の幅で割ることで求められる。例えば、シリンダ数が2個、シリンダ径が600mm、1つのシリンダ圧の増加が4MPa、鋳造中の圧延板の幅が1500mmであった場合、板状鋳塊の単位幅あたりの圧延荷重は、下記式から1508N/mmとなる。
4×300×π÷1500×2=1508N/mm
3.単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材を用いたアルミニウム接合体
次に、本発明に係るアルミニウム接合体について述べる。本発明ではろう材を使用することなく、アルミニウム合金材自体が発揮する接合能力を利用するMONOBRAZE法を利用してアルミニウム接合体が製造される。本発明においてアルミニウム接合体とは、二つ以上の部材が接合されてなる接合体であって、これを構成する部材の少なくとも一つの部材が本発明に係るアルミニウム合金材からなるものである。他の部材は、本発明に係るアルミニウム合金材でも良く、他のアルミニウム合金材又は純アルミニウム材でもよい。本発明に係るアルミニウム接合体の製造方法は、本発明に係るアルミニウム合金材を二つ以上の部材の少なくとも一つの被接合部材として他の被接合部材と組み合わせた後、加熱処理を行ってこれら被接合部材を接合するものである。例えば、熱交換器のフィン材としての利用を考慮すれば、フィン材自身の変形が大きな課題となる。そのため、MONOBRAZE法の接合条件を管理することも重要である。具体的には、本発明に係るアルミニウム合金材内部に液相が生成する固相線温度以上液相線温度以下であり、かつ該アルミニウム合金材に液相が生成し、強度が低下して形状を維持できなくなる温度以下の温度で、接合に必要な時間加熱する。
さらに具体的な加熱条件としては、アルミニウム合金材の全質量に対する当該アルミニウム合金材内に生成する液相の質量の比(以下、液相率と記す。)が0%を超え35%以下となる温度で接合する必要がある。液相が生成しなければ接合ができないので液相率は0%より多いことが必要である。しかしながら、液相が少ないと接合が困難となる場合があるため、液相率は5%以上にすることが好ましい。液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多過ぎて、接合加熱時にアルミニウム合金材は大きく変形してしまい形状を保てなくなる。より好ましい液相率は5〜30%であり、更に好ましい液相率は10〜20%である。
また、液相が被接合部材間に十分に充填される為にはその充填時間も考慮することが好ましく、液相率が5%以上である時間が30〜3600秒であるのが好ましい。より好ましくは、液相率5%以上の時間が60〜1800秒であり、これにより更に十分な充填が行われ確実な接合がなされる。液相率が5%以上である時間が30秒未満では、接合部に液相が十分に充填されない場合がある。一方、3600秒を超えると、アルミニウム材の変形が進む場合がある。尚、本発明における接合方法では、液相は接合部の極近傍においてしか移動しないので、この充填に必要な時間は接合部の大きさには依存しない。
望ましい加熱条件の具体例としては、本発明に係る上記アルミニウム合金材の場合、580℃〜640℃を接合温度とし、接合温度での保持時間を0〜10分程度とすればよい。ここで、0分とは、部材の温度が所定の接合温度に到達したらすぐに冷却を開始することを意味する。上記保持時間は、より好ましくは30秒から5分である。接合温度については、例えば、Si量が1〜1.5%程度の場合は接合加熱温度を610〜640℃と高めにすることが望ましい。逆に、Si量が4〜5%程度の場合は接合加熱温度を580〜590℃と低めに設定するとよい。また、接合部の金属組織を後述する好適な状態にするため組成に応じて加熱条件を調整しても良い。
尚、加熱中における実際の液相率を測定することは極めて困難である。そこで、本発明で規定する液相率は、通常、平衡状態図を利用して、合金組成と最高到達温度から、てこの原理(lever rule)によって求めることができる。すでに状態図が明らかになっている合金系においては、その状態図を使用し、てこの原理を用いて液相率を求めることができる。一方、平衡状態図が公表されていない合金系に関しては、平衡計算状態図ソフトを利用して液相率を求めることができる。平衡計算状態図ソフトには、合金組成と温度を用いて、てこの原理で液相率を求める手法が組み込まれている。平衡計算状態図ソフトには、Thermo−Calc;Thermo−Calc Software AB社製などがある。平衡状態図が明らかになっている合金系においても、平衡計算状態図ソフトを用いて液相率を計算しても、平衡状態図からてこの原理を用いて液相率を求めた結果と同じ結果となるので、簡便化のために、平衡計算状態図ソフトを利用しても良い。
また、加熱処理における加熱雰囲気は窒素やアルゴン等で置換した非酸化性雰囲気等が好ましい。また、非腐食性フラックスを使用することで更に良好な接合性を得ることができる。更に、真空中や減圧中で加熱して接合することも可能である。
上記非腐食性フラックス塗布する方法には、被接合部材を組み付けた後、フラックス粉末を振りかける方法や、フラックス粉末を水に懸濁してスプレー塗布する方法等がある。あらかじめ素材に塗装する場合には、フラックス粉末にアクリル樹脂等のバインダーを混合して塗布すれば、塗装の密着性を高めることができる。通常のフラックスの機能を得るために用いる非腐食性フラックスとしては、KAlF、KAlF、KAlF・HO、KAlF、AlF、KZnF、KSiF等のフッ化物系フラックスや、CsAlF、CsAlF・2HO、CsAlF・HO等のセシウム系フラックスが挙げられる。
本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材は、上記のような加熱処理及び加熱雰囲気の制御により良好に接合することができる。但し、特に接合時の液相率が大きくなる場合、上記アルミニウム合金材内に発生する応力は比較的小さな応力に留めたほうが良好な形状を維持できる。このようにアルミニウム合金材内の応力を考慮することが好ましい場合、当該アルミニウム合金材内に発生する応力のうちの最大値をP(kPa)、液相率をV(%)とした場合、P≦460−12Vの条件を満たせば、非常に安定した接合が得られる。この式の右辺(460−12V)で示される値は限界応力であり、これを超える応力がアルミニウム合金材に加わると大きな変形が発生するおそれがある。アルミニウム合金材に発生する応力は、形状と荷重から求められる。例えば、構造計算プログラム等を用いて計算することができる。
更に、接合部の圧力と同様に接合部の表面形態も接合性に影響を与えることがあり、両面が平滑な方がより安定した接合が得られる。本発明においては、接合前の対となる被接合部材の双方の接合面の表面の凹凸から求められる算術平均うねりWa1とWa2の和が、Wa1+Wa2≦10(μm)を満たす場合に、更に十分な接合が得られる。尚、算術平均うねりWa1、Wa2は、JISB0633で規定されるものであり、波長が25〜2500μmの間で凹凸となるようカットオフ値を設定し、レーザー顕微鏡やコンフォーカル顕微鏡で測定されたうねり曲線から求められる。
4.加熱接合後におけるアルミニウム合金材の金属組織における結晶粒径について
本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材は、MONOBRAZE法による加熱接合後における結晶粒径が100μm以上であるものが好ましい。加熱時は粒界部分が溶融しているため、結晶粒が小さいと粒界で結晶粒同士のずれが生じ易くなって変形が起こる。加熱中の結晶粒の観察は極めて困難なため、加熱後の結晶粒径で判断する。加熱後の結晶粒が100μm未満であると、接合時に材料が変形し易くなる。なお、上記結晶粒径の上限値は特に限定されるものではないが、アルミニウム合金材の製造条件とMONOBRAZE法の接合条件に依存するものであり、本発明では1500μmである。なお、結晶粒の測定はASTM E112−96の結晶粒測定法に基づき、平均結晶粒径として算出する。
以下に、本発明を実施例と比較例に基づいて詳細に説明する。
第1実施形態:まず、表1〜3のA1〜A67の成分の試験材を用いた。これらの表において、合金組成の「−」は検出限界以下であることを示すものであり、「残部」は不可避的不純物を含む。上記試験材を用いて、双ロール式連続鋳造圧延法(CC)により鋳造鋳塊を製造した。双ロール式連続鋳造圧延法で鋳造する際の溶湯温度は650〜800℃であり、鋳造速度は表4〜6に示すように種々変更した。なお、冷却速度については、直接的な測定が困難であるが、上述のように、アルミコーティング厚みの制御及び圧延荷重による溶湯内サンプ制御によって、300〜700℃/秒の範囲となっているものと考えられる。このような鋳造工程により、幅130 mm、長さ20000mm、厚さ7mmの鋳造鋳塊を得た。次に、得られた板状鋳塊を0.7mmまで冷間圧延し、420℃×2時間の中間焼鈍後に、0.071mmまで冷間圧延し、350℃×3時間の2回目の焼鈍の後に、0.050mmまで最終冷間圧延率30%で圧延して供試材とした。また、供試材の算術平均うねりWaは約0.5μmであった。
Figure 0005732594
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鋳造時には、溶湯温度680℃〜750℃において結晶粒微細化剤を投入した。その際溶湯保持炉と給湯ノズル直前にあるヘッドボックスの間を連結する樋を流れる溶湯に対して、ワイヤー状の結晶粒微細化剤ロッドを用いて一定速度で連続的に投入した。結晶粒微細化剤はAl−5Ti−1B合金を使用して、B量換算で0.002%となるよう添加量を調整した。
また、表2、3のA44、48、50、51、54の成分の試験材は、半連続鋳造法(DC)を用いて100mm×300mmのサイズで鋳造した。鋳造速度は30mm/分とし、冷却速度は1℃/秒とした。半連続鋳造法で鋳造した鋳塊を面削後に500℃に加熱して3mm厚まで熱間圧延した。その後、圧延板を0.070mmまで冷間圧延し、380℃×2時間の中間焼鈍後、更に0.050mmまで最終冷間圧延率30%で圧延して試験材とした。
これらの試験材については、製造過程における製造性の評価を行った。製造性の評価方法は、板材又はスラブを製造した際に、製造過程において問題が発生せず健全な板材やスラブが得られた場合を○とし、鋳造時に割れが発生した場合や、鋳造時の巨大金属間化合物発生が原因で圧延が困難となり、製造性に問題があった場合を×とした。
また、製造した板材(素板)中のAl系金属間化合物の体積密度は、板厚方向に沿った断面のTEM観察により測定した。TEM観察用サンプルは電解エッチングを用いて作成した。TEM観察時には膜厚をEELS測定により求め、平均的に50〜200μmの膜厚である視野を選択して観察した。Si系金属間化合物とAl系金属間化合物とは、STEM−EDSによりマッピングを行うことで区別することができる。観察は各サンプル100000倍で10視野ずつ行い、それぞれのTEM写真を画像解析することで円相当径0.01μm〜0.5μmのAl系金属間化合物数を測定した。この画像の測定面積に平均膜厚を乗じることで測定体積とし、体積密度を算出した。
また、製造した板材(素板)中のSi系金属間化合物の面密度は、板厚方向に沿った断面をSEM観察により測定した。Si系金属間化合物とAl系金属間化合物(Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物)は、SEM−反射電子像観察とSEM−二次電子像観察を用いて区別した。反射電子像観察では、白いコントラストが強く得られるものがAl系金属間化合物であり、白いコントラストが弱く得られるものはSi系金属間化合物である。Si系金属間化合物はコントラストが弱いため、微細な粒子などは判別がつき難いことがある。その場合は表面研磨後コロイダルシリカ系研濁液で10秒程度エッチングしたサンプルをSEM−二次電子像観察した。黒いコントラストが強く得られる粒子がSi系金属間化合物である。観察は各サンプル5視野ずつ行い、それぞれの視野のSEM写真を画像解析することで、サンプル中の円相当径5.0μm〜10μmのSi系金属間化合物の面密度を調べた。
次に、各試験材を図3に示すように、幅16mm、山高さ7mm、ピッチ2.5mmのフィン材に成形した。これに表3のB1の組成の合わせ材を板厚0.4mmの電縫加工したチューブ材と組み合わせ、ステンレス製のジグに組み込み、図3に示す3段積みのテストピース(ミニコア)を作製した。
そして、このミニコアを非腐食性の弗化物系フラックスの10%懸濁液に浸漬、乾燥後、窒素雰囲気中で表4〜6に示す接合加熱条件で加熱し、フィン材とチューブ材とを接合した。尚、実施例16についてはフラックスを塗布せずに、真空中で加熱して接合した。また、接合時の各温度における保持時間は30〜3600秒とした。なお、このミニコアの場合、ステンレスジグとアルミニウム材の熱膨張率の差で接合加熱時にはステンレスジグとミニコアとの間に約4Nの圧縮荷重が生じ、接合面積から計算すると、フィンとチューブとの接合面には約10kPaの応力が生じていることになる。
フィン材とチューブ材とを接合した後に、フィンをチューブから剥してミニコアのチューブとフィンの接合部40箇所を調べ、完全に接合している箇所の比率(接合率)を測定した。そして、接合率が90%以上を◎、80%以上90%未満を○、70%以上80%未満を△、70%未満を×と判定した。
また、接合前後のミニコアのフィン高さを測定してフィン座屈による変形率についても評価した。すなわち、接合前のフィン高さに対する接合後のフィン高さ変化(減少)の割合が3%以下を◎、3%を超え5%以下を○、5%を超え8%以下を△、8%を超えるものを×と判定した。
本実施形態では、MONOBRAZE法による接合前後の材料の引張試験を行った。引張試験は、各サンプルに対し、引張速度10mm/min、ゲージ長50mmの条件で、JIS Z2241に従って、20〜30℃の室温にて実施した。なお、MONOBRAZE法による接合後の引張試験は、ミニコアと同等のMONOBRAZE法の接合加熱条件で加熱したサンプルを上記室温まで冷却して24時間以内に評価した。
本実施形態では、MONOBRAZE法による接合後の材料の金属組織における結晶粒径を測定した。測定方法は、ASTM E112−96に基づく方法で行った。まず、本発明サンプルの単板をミニコアと同等の接合加熱条件で加熱した後、L−LT断面を研磨し陽極酸化法にて表面処理することで、結晶粒組織を観察し易くした。光学顕微鏡にて本発明サンプルの結晶粒組織を観察し、ASTMが規定している結晶粒組織の基準画像を、本発明サンプルの断面像と照合し、本発明サンプルの断面像に最も結晶粒組織が似ている基準画像の結晶粒径を採用した。
以上の各試験材について、鋳造方法、鋳造速度、製造性評価、Al系金属間化合物の体積密度、Si系金属間化合物の面密度、接合加熱条件、接合前後の引張試験評価、接合後の結晶粒径、接合率及び変形率を、表4〜6に示す。なお、接合加熱条件における平衡液相率は、平衡状態図計算ソフトによる計算値である。
表4、5から、アルミニウム合金材の組成において本発明が規定する条件を具備するものは、製造性が良好であった。一方、表6に示すように、合金組成A55、A60〜A64の加工では、合金組成が規定範囲内になかったため、鋳造時に巨大な金属間化合物が生成し、最終板厚まで圧延できなかった。
次いで、接合試験結果について、ミニコアの各サンプルについての評価結果と、フィン材のアルミニウム合金材の組成(表1〜3)とを対比する。アルミニウム合金材の組成に関して本発明が規定する条件を具備する供試材(実施例1〜40)は、接合率、フィン座屈、引張強度のいずれも合格であった。また、実施例12〜26は、添加元素として、更にMg、Cu、Mn、Ni、Ti、V、Zr、Crを添加した合金からなる供試材であるが、これらは変形率の評価が更に良好となり、これらの添加元素に強度向上の効果があることが確認された。
一方、比較例1では、Si成分が規定量に満たないため、接合加熱温度を比較的高温としても液相の生成率が低くなり、接合率が低くなり接合性が不合格であった。
比較例2では、Si成分が規定量を超えているため、接合加熱温度を比較的低温としても液相の生成率が高くなり、フィンが座屈して変形率が不合格であった。
比較例3では、Si、Fe及びMnの各成分がいずれも規定量範囲内であるが、Al系金属間化合物の体積密度が規定を下回り、加熱後の結晶粒が小さくなり、また液相生成の核が少なかったため粒界での液相生成が促進され、フィンが座屈して変形率が不合格であった。
比較例4では、FeとMnの成分がともに規定量を超えていたため製造性に問題があり、評価ができなかった。
比較例5では、Fe成分が規定量に満たないため、Al系金属間化合物の体積密度が規定の密度を下回り、加熱後の結晶粒径が小さくなり、また液相生成の核が少なかったため粒界での液相生成が促進され、フィンが座屈して変形率が不合格であった。
比較例6では、Si、Fe、Mn成分がいずれも規定量範囲内であるが、Al系金属間化合物の体積密度が規定を上回り、また液相生成の核が多すぎたために粒界に接する液相が増加し、フィンが座屈して変形率が不合格であった。
比較例7では、Si及びFeの成分がいずれも規定量範囲内であるが、Al系金属間化合物の体積密度が規定の密度を下回り、加熱後の結晶粒径が小さくなり、また液相生成の核が少なかったため粒界での液相生成が促進され、フィンが座屈して変形率が不合格であった。
比較例8では、Si及びFeの成分がいずれも規定量範囲内であるが、Si系金属間化合物の面密度が規定を超え、Al系金属間化合物の体積密度が規定を下回り、加熱後の結晶粒が小さくなり、また液相生成の核が少なかったため粒界での液相生成が促進され、フィンが座屈して変形率が不合格であった。
比較例9では、Mgの含有量が規定を超えたため、接合加熱時にフラックスが有効に働かず接合性が低下し、接合率の評価が不合格であった。
比較例10では、Niの含有量が規定を超えたため、製造性に問題があり、評価ができなかった。
比較例11では、Tiの含有量が規定を超えたため、製造性に問題があり、評価ができなかった。
比較例12では、Vの含有量が規定を超えたため、製造性に問題があり、評価ができなかった。
比較例13では、Zrの含有量が規定を超えたため、製造性に問題があり、評価ができなかった。
比較例14では、Crの含有量が規定を超えたため、製造性に問題があり、評価ができなかった。
第2実施形態:ここでは、添加元素による耐食性への影響について検討した。表7に示すように、第1実施形態にて製造した材料を抜粋して、第1実施形態と同様のフィンに成形した。そして、第1実施形態と同様にして3段積みのテストピース(ミニコア)を作製した(図3)。このミニコアを非腐食性の弗化物系フラックスの10%懸濁液に浸漬、乾燥後、窒素雰囲気中で、表7に示す種々の接合加熱温度に加熱し、3分の保持時間に保持してフィンとチューブとを接合した。
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そして、第1実施形態と同様にして、接合率と変形率を評価した。更に第1実施形態と同様にして、Al系金属間化合物の体積密度、Si系金属間化合物の面密度及び接合加熱後の結晶粒径も測定した。これらの評価結果と測定結果を表7に示す。
更に、フィン自身の耐食性評価のためにCASS試験を500時間行い、フィンの腐食状態を確認した。光学顕微鏡による断面観察においてフィンが70%以上残存していたものを◎、50%以上70%未満のものを○、30%以上50%未満のものを△、30%未満のものを×と判定した。以上の評価結果を表7に示す。
この実施形態における実施例41〜54では、添加元素として、Zn、Cu、Mn、In、Sn、Ti、Vを添加したアルミニウム合金を供試材とするものである。表7から、これらの実施例は、実施例41のZn等が添加されていないアルミニウム合金と比較すると耐食性の向上が見られており、これらの添加元素の有用性が確認できた。
一方、比較例15では、Cuの含有量が規定を超えたため、自己耐食性が低下し、耐食性の評価が不合格となった。
比較例16では、Znの含有量が規定を超えたため、腐食速度が著しく増加し、耐食性の評価が不合格となった。
比較例17では、Inの含有量が規定を超えたため、腐食速度が著しく増加し、耐食性の評価が不合格となった。
比較例18では、Snの含有量が規定を超えたため、腐食速度が著しく増加し、耐食性の評価が不合格となった。
第3実施形態:ここでは、製造工程による金属組織の制御を検討した。第1実施形態にて製造した材料から組成No.A3を抜粋して、表8に示すように種々の製造工程にて最終板厚0.05mmのフィン材を製造した。それぞれの材料の素板のSi系金属間化合物の面密度、Al系金属間化合物の面密度、Si固溶量を測定した。結果を表9に示す。なお、この実施態様では、円相当径が5μm未満及び10μmを超えるSi金属間化合物の面密度、ならびに、円相当径が0.5μmを超えるAl金属間化合物の体積密度も併せて測定した。この結果も表9に示す。
Figure 0005732594
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次いで、第1実施形態と同様のフィンに成形した。そして、第1実施形態と同様にして3段積みのテストピース(ミニコア)を作製した(図3)。このミニコアを非腐食性の弗化物系フラックスの10%懸濁液に浸漬、乾燥後、窒素雰囲気中で、600℃に加熱し、
3分間の保持時間に保持してフィンとチューブとを接合した。接合加熱後の結晶粒径の測定と、接合性及び変形性の評価は第1実施形態と同様に行った。結果を表9に示す。
表8、9に示すように、実施例55〜68では製造工程が適切であったため、最終板において本発明に規定するSi系金属間化合物密度、Al系金属間化合物密度及びSi固溶量が得られ、接合率と変形率が基準を満たして合格となった。
比較例19では、鋳造時の圧延荷重が小さすぎたため冷却速度が遅くなり、最終板において円相当径5〜10μmのSi系金属間化合物の面密度が規定を超え、加熱後の結晶粒径が小さくなり、変形率の評価が不合格であった。
比較例20では、圧延荷重が大きすぎたために溶湯供給が不十分となり、鋳造時に割れが発生し、製造が不可能であった。
比較例21では、鋳造時のロールコーティング厚みがゼロであったため冷却速度が遅くなり、最終板において円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物の体積密度が規定を下回り、加熱後の結晶粒径が小さくなり、また、Si固溶量が規定を超えたため、変形率が不合格であった。
比較例22では、鋳造時のロールコーティング厚みが厚すぎたため冷却速度が遅くなり、最終板において円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物の体積密度が規定を下回り、加熱後の結晶粒径が小さくなり、また、Si固溶量が規定を超えたため、変形率が不合格であった。
比較例23では1回目の焼鈍温度が低く、円相当径円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物の体積密度が規定を超え、変形率が不合格であった。
比較例24では1回目の焼鈍温度が高く、円相当径円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物の体積密度が規定を下回り、また、Si固溶量が規定を超えたため、変形率が不合格であった。
比較例25では1回目の焼鈍時間が短く、円相当径円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物の体積密度が規定を超え、変形率が不合格であった。
比較例26では1回目の焼鈍時間が長く、円相当径円相当径0.01〜0.5μmのAl系金属間化合物の体積密度が規定を下回り、また、Si固溶量が規定を超えたため、変形率が不合格であった。
本発明に係る単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材は、例えば熱交換器のフィン材として特に有用であり、ろう材や溶加材のような接合部材を使用することなく熱交換器の他の部材と接合可能であり、熱交換器を効率的に製造することができる。本発明に係るアルミニウム合金材をMONOBRAZE法によって加熱接合する場合において、寸法や形状の変化は殆ど生じない。本発明に係るアルミニウム合金材及びこれを用いた接合体は、工業上顕著な効果を奏するものである。
1・・・アルミニウム合金の溶湯
2・・・領域
2A・・・ロール
2B・・・ロール
3・・・ロール中心線3
4・・・ノズルチップ
5・・・圧延領域
6・・・非圧延領域
7・・・凝固開始点
8・・・圧延荷重
9・・・メニスカス部

Claims (7)

  1. Si:1.0〜5.0mass%、Fe:0.01〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、0.01〜0.5μmの円相当径を有し、Al−Fe系及びAl−Fe−Si系から選択されるAlと添加元素によって生成するAl系金属間化合物が10〜1×10個/μm存在し、5.0〜10μmの円相当径を有し、単体Si及び単体Siの一部にCaやPの元素を含むものから選択されるSi系金属間化合物が200個/mm以下存在することを特徴とする単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法であって、
    前記アルミニウム合金材用のアルミニウム合金を双ロール式連続鋳造圧延する鋳造工程と、圧延板を冷間圧延する2回以上の冷間圧延工程と、冷間圧延工程中において圧延板を1回以上の焼鈍する焼鈍工程を含み、全ての焼鈍工程における焼鈍条件が250〜550℃の温度で1〜10時間であり、最終冷間圧延段階における圧下率が50%以下であり、前記鋳造工程の双ロール式連続鋳造圧延において、圧延板のアルミニウム及び酸化アルミニウムを主成分とする厚さ1〜500μmの皮膜が、双ロール表面に付着した状態で圧延され、圧延板幅1mmあたりの圧延荷重が500〜5000Nである、ことを特徴とする単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
  2. 前記アルミニウム合金に含まれる固溶Si量が0.7%以下である、請求項1に記載の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
  3. 前記アルミニウム合金が、Mg:0.05〜2.0mass%、Cu:0.05〜1.5mass%及びMn:0.05〜2.0mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有し、前記Al系金属間化合物がAl−Mn−Si系、Al−Fe−Mn系及びAl−Fe−Mn−Si系から選択されるAlと添加元素によって生成する化合物を更に含む、請求項1又は2に記載の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
  4. 前記アルミニウム合金が、Zn:6.0mass%以下、In:0.3mass%以下及びSn:0.3mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
  5. 前記アルミニウム合金が、Ti:0.3mass%以下、V:0.3mass%以下、Cr:0.3mass%以下、Ni:2.0mass%以下及びZr:0.3mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
  6. 前記アルミニウム合金が、Be:0.1mass%以下、Sr:0.1mass%以下、Bi:0.1mass%以下、Na:0.1mass%以下及びCa:0.05mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
  7. 加熱接合前における引張強さが80〜250MPaである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の単層で加熱接合機能を有するアルミニウム合金材の製造方法
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