JP5732158B2 - ミキシングヘッド装置及びこれを用いた成形方法 - Google Patents
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Description
従って、ミキシングヘッド装置に対しては、(1)混合液6が高撹拌されていること、(2)吐出口14からの混合液6が、吐出開始時に飛び散る等、散乱することなく、計量した混合比率で均一になめらかに吐出すること(以下、スムースフローという。)が要求されてきた。そこで、高撹拌された混合液たる原料を得るためにノズル通過時のスピードを上げることが行われてきたが、そうするとポンプの圧力が高くなり、装置への負荷が大きくなる。またポンプ圧にも限界があり、さらに高撹拌を得ようとするとスムースフローに難が出る。ミキシングヘッド装置の吐出口14より混合液6が吐出する時、この混合液6に余分なエネルギが残存していると、混合液6のスムースフローが得難くなる。
こうしたことから、斯かる問題を解決するために、これまで図23、図24に示す装置や、発明名称「樹脂発泡原液注入装置」たる改良装置や、発明名称「改良された衝突混合型ミキシングモジュール」たる改良装置の提案がなされてきた(特許文献1及び2参照)。
図24の装置は、両配合原料5a,5bが衝突する衝突地点Wから水平横方向に向かう流速流れを内壁面Qで衝突させて、二次撹拌を促すと共に運動エネルギを奪いスムースフローを確保せんとするが、これも構造が複雑化して装置のコスト高を招いた。製造工程でも、注入ピストン2の作動とクリーニング部材92の作動をリンクさせ、加えて、ロッド921による内壁の洗浄が必要となり、生産性にも影響を及ぼした。
上記特許文献1の発明技術は、「樹脂発泡原液を混合するヘッド部と、このヘッド部の先端側に接続され前記樹脂発泡原液を吐出するノズルとを備え、このノズルから吐出される前記樹脂発泡原液が、前記ノズルに設けられた衝突部に衝突されるようになっている樹脂発泡原液注入装置」であるが、混合が不十分になる虞があった。衝突部に衝突させて二次撹拌を促すと共に、運動エネルギを奪いスムースフローを確保せんとするが、その衝突構造が簡略化されているため混合が不十分になる虞があった。
上記特許文献2の発明技術は、「ウレタン、エポキシ、不飽和ポリエステル等の樹脂原料のA液及びB液を吐出口より吐出し、衝突混合方式により混合する装置において、該2液を衝突させるミキシングチャンバー部分が、一体成形になるモジュールであり、A液用とB液用にそれぞれ2個以上の吐出口(オリフィス)を有し、A液及びB液の両方又はいずれか一方がミキシングチャンバーの中心に向け直線的に吐出され、A液及びB液をミキシングチャンバー内に吐出する角度を2液が直接衝突する方向とした衝突混合型ミキシングモジュール」であるが、混合が不十分になる虞があった。2個以上の吐出口から吐出される2液を所定の角度で直接衝突させているだけであるので、2液の混合が不十分になるおそれがあり、製品の物性のバラツキが十分に改善されているとは言えなかった。
図25は一試験法による製品外形の概略図を示す。ミキシングヘッド装置の吐出部13の下方に水平移動するベルトを置き、この上に両配合原料5a,5bの衝突後、吐出部13から流出する混合液6(混合液状体)を流し、硬化した製品の外形、すなわち最初に吐出された頭の部分から胴を経て終了時の尾の部分までの外形を概略図示するものである。ちなみに、図26は図21の従来装置を使ってできた製品外形である。衝突による混合が不十分であったり混合後の混合液6のスムースフローが不十分であったりすると、図26に示すごとく製品には、吐出開始部の頭の部分(図26では右側の部分が該当)にはみ出し不良がみられたり、ボイドが現れたりするなどの品質不良を招いていた。
一方、高圧注入機において、吐出しない状態では、シリンダーの側壁がノズルの吐出口を塞いでおり、ノズル細孔まで流れている配合原料は、再びタンクまで戻され循環する構造となっている。そして、注入吐出が行われると、ピストンはチャンバー内をストローク上限まで上昇する。ピストンが吐出ノズルを通過して上昇すると、ノズルからすみやかにポリオール成分、イソシアネート、その他助剤からなる配合原料が、チャンバー内に高圧で吐出される。チャンバー内のノズルから噴出した各配合原料は、衝突することで混合攪拌されるとともに、チャンバー内に充満すると、重力に従いチャンバー下方にある吐出口から排出される。
やがて、所定時間、一定流量の配合原料が排出されると、上記ピストンが下降する。ピストンは、ノズルを塞ぎながらストローク下限まで降下する。こうした注入機の一連の操作において、シリンダー側壁には、配合原料の反応混合物が付着しており、ピストンロッドの昇降により洗浄されるものの、充分であるとはいえない。また、上記反応混合物は、反応硬化して異物(コンタミネーション)を形成するおそれがあり、この異物が配合原料と一緒にタンクまで循環することもありえる。
さらに、異物はタンクからチャンバーの循環する経路において、原料の滞留するよどみに蓄積し、成長することが観察されている。
したがって、高圧注入機を用いて製品を量産した場合、ウレタン樹脂を組成とする異物が何らかの原因で発生し、成長することで流量、圧損が一定しないことがあり、ノズルのつまりを生じることなく押しながされることで流量や圧損のばらつきが解消されることもある。
特に、ノズル部材をノズルホルダーに組み付ける構造の高圧注入機では、ノズル部材が小さいことから、ノズル部材を設計するのに原料が流入する面に凹部33を設け、この凹部33に貫通孔30を設けることで貫通孔30が短くなるよう加工し、加工を容易にした設計のノズルを採用することがある(図4参照)。その場合、上記凹部33に、上記コンタミネーションが溜まりやすく、成長する傾向にある。その結果、ノズルのつまりを生じることがある。また、一つ孔でも二つ孔でも、ノズル細孔の総断面積は、ほぼ同じであるが、ノズルの細孔を複数とすることで、各々の細孔の断面積は小さくなることから、そのため異物の大きさが同じでも詰まりやすくなる。
1.化学的に反応する二種類の液状配合原料をチャンバ側壁にそれぞれ設けた細孔からチャンバ内に噴射し、両配合原料を衝突させて混合するミキシングヘッド装置において、
前記両配合原料のうち少なくとも一方の配合原料に係る前記細孔が二個〜四個の範囲内で複数個設けられ、さらに該二個〜四個のうち二個以上の細孔の先端側の中心軸線がチャンバ内で交差し、その中心軸線が交差する細孔から噴射する前記配合原料の噴射液が、他方の配合原料との衝突に先立ち、チャンバ内で自己衝突し、
前記細孔は、前記チャンバ内側に向かって尖る円錐状孔部と、該円錐状孔部の尖端側から前記チャンバ内側に向かって延び且つ前記チャンバ内に開口する先端側孔部と、を備え、
前記先端側孔部は、前記円錐状孔部の1斜辺を延長した位置に配設されており、その中心軸線が前記円錐状孔部の1斜辺と平行な直線となっていることを特徴とするミキシングヘッド装置。
2.前記二個以上の細孔の前記先端側孔部の中心軸線が交差する交差角度(θ)を30°〜90°の範囲内とする上記1.記載のミキシングヘッド装置。
3.化学的に反応する二種類の液状配合原料に係る一方の配合原料と他方の配合原料とをチャンバ側壁にそれぞれ設けた細孔からチャンバ内へ噴射し、両配合原料を衝突させて混合するミキシングヘッド装置であって、前記両配合原料のうち少なくとも一方の前記配合原料に係る細孔が二個〜四個の範囲内で複数個設けられ、且つ該二個〜四個のうち二個以上の細孔の先端側の中心軸線がチャンバ内で交差し、その中心軸線が交差する細孔から噴射する前記配合原料の噴射液がチャンバ内で自己衝突するミキシングヘッド装置を用いて、前記両配合原料のうち一方の配合原料の噴射液を自己衝突させ、次いで、他方の配合原料と衝突させて両配合原料を混合した後、これを成形型内に吐出し硬化させることにより成形し、
前記細孔は、前記チャンバ内側に向かって尖る円錐状孔部と、該円錐状孔部の尖端側から前記チャンバ内側に向かって延び且つ前記チャンバ内に開口する先端側孔部と、を備え、
前記先端側孔部は、前記円錐状孔部の1斜辺を延長した位置に配設されており、その中心軸線が前記円錐状孔部の1斜辺と平行な直線となっていることを特徴とするミキシングヘッド装置を用いた成形方法。
ここで、「チャンバ」とは配合原料が噴射され、混合撹拌される空間の全てをいう。「自己衝突」とは、一種類の液状配合原料が二個以上の細孔から噴射液として噴射され、これらの噴射液同士が交差により衝突することをいう。
また、前記細孔が、前記チャンバ内側に向かって尖る円錐状孔部と、該円錐状孔部の尖端側から前記チャンバ内側に向かって延び且つ前記チャンバ内に開口する先端側孔部と、を備えるので、円錐状孔部及び先端側細孔部により細孔を液だまりが生じ難い滑らかな曲面で主に構成でき、ウレタンカス等の異物が生成されてもそれを微小な状態で円滑に流してノズルのつまりを抑制でき、配合原料の混合及び接触効率を更に高めることができる。
さらに、少なくとも二個の前記細孔のそれぞれが、前記チャンバの垂直方向に沿って配置されている場合は、霧化した少なくとも一方の配合原料は、他方の配合原料との衝突後、チャンバの垂直方向に対して水平に広がることから、チャンバの天井に位置するピストンの押出し面側に霧化した配合原料が付着することを抑制でき、両配合原料の混合及び接触効率を更に高めることができる。
以下、本参考に係るミキシングヘッド装置及びをこれ用いた成形方法の参考形態について詳述する。図1〜図11は本参考のミキシングヘッド装置(以下、「混合装置」という。)及びこれ用いた成形方法の一形態を示したもので、図1は混合装置下部の概略縦断面図、図2は(a)が図1のノズル部品の縦断面図で、(b)が(a)の右側面図である。図3は図1のチャンバの壁孔にノズル部品及びノズルホルダーが装着される様子を示す分解説明図、図4は図2(a)のノズル部品の部分拡大図、図5は図2のノズル部品とは別態様のノズル部品の縦断面図(a)の右側面図、図6は混合装置のチャンバの対向する側壁に取り付けられたノズル部品の位置関係を示す説明図、図7は図6のノズル部品の細孔から噴射する両配合原料の噴射液が衝突してできるその衝突面の概略形状で、図6のIV−IV線矢視図である。図8は混合装置のチャンバの対向する側壁に取り付けられたノズル部品の位置関係を示す説明図で、図6とは異なる別態様図、図9〜図11は本ミキシングヘッド装置を用いた試験製品の外観画像処理図である。尚、図3は図面を分かり易くするため、ノズル部品の断面を示すハッチングを省略する。
ここで、「細孔30が二個〜四個の範囲内で複数個設ける」に限定するのは、四個を越えると細孔30の口径を小さくしなければならず、その分、不純物や凝集物によってノズルが詰まり易くなるからである。各配合原料用に設けられる好ましい細孔30の数は二個である。本参考でいう上記「二個〜四個のうち二個以上の細孔30の先端側の中心軸線35がチャンバ内10で交差する」で、例えば「二個の細孔30の先端側の中心軸線35がチャンバ内10で交差する」は、細孔30の中心軸線35が幾何学的な三次元の空間で、二個の細孔30の先端側の中心軸線35が確実に交差するものだけでなく、両中心軸線35がチャンバ内10で僅かにズレて交差しなくても、二個の該細孔30から噴射する配合原料5の噴射液が交差し実質的に自己衝突するような状態であれば、二個の細孔30の中心軸線35がチャンバ内10で交差するとみなす。細孔30から噴射される高粘性原料樹脂を含んだ液状配合原料5は細い流れの線状,ビーム状になるが、両配合原料5a,5bの噴射液50が交差し自己衝突すれば、これも上記効果と同様の効果が得られるからである。両配合原料5a,5bの混合度合の高まり、すなわち高撹拌がなされると共にスムースフローが実現されるからである。
図1,図6の混合装置では、チャンバ1の対向する両側壁11に設けた両壁孔12に、図2のノズル部品3がそれぞれ着脱自在に一個固定され、且つ両ノズル部品3にそれぞれ二個の細孔30を形成する。
また、ノズル部品3の裏面側には鍋底33を設ける。壁孔箇所12にノズル部品3が着脱自在に固定されて、詳しくは、図3のごとく壁孔12周りの内壁11にノズル部品3入りノズルホルダー4及びナット4bが螺着固定されて、細孔30から配合原料5がチャンバ内10に噴射するよう設定されるが、該鍋底の形成によって、配合原料5がチャンバ1に設けた導孔16(又は導孔15)を通って細孔30へ円滑に導かれる。図3はノズル部品3がノズルホルダー4の窪み40に装着され、これが壁孔箇所12に固定される様子を示す。壁孔12の周縁突起部にノズル部品3入りノズルホルダー4の先端が係止されて、ノズルホルダー4が導孔16をつくるチャンバ壁に螺着固定される。こうして、配合原料5が導孔16、さらにノズルホルダー4の取込口43から貫通孔42を通って先端へと向かい、ノズル部品3の細孔30から配合原料5の噴射液50がチャンバ内10に噴射することとなる。符号34はリング溝を示す。
[性能比較試験1]
表1は本混合装置を用いて実験し、その結果をまとめたものである。ノズル部品3に設ける細孔30の数や交差角度θを変化させて、一の配合原料5aと他の配合原料5bとがそれぞれ自己衝突した後、両配合原料5a,5bが面状に広がって衝突した衝突面の形状を調べた。さらに混合後、吐出部13から混合液6が吐出するが、その吐出開始時の未反応液の飛散や吐出開始部の発泡体の状態について調べた。
表1ではイソシアネート側配合原料とポリオール側配合原料のそれぞれに設けた細孔30の個数を「ノズルの数」として示す。例えば、参考例1の「ノズルの数」が2で且つ「本参考のノズル」の欄にポリオール/イソシアネートとあるのは、イソシアネート側配合原料用の細孔30個数が2で、ポリオール側配合原料用の細孔30個数が2であることを示す。参考例5の「ノズルの数」が4で且つ「本参考のノズル」の欄にポリオールとある場合は、ポリオール側のノズル(すなわち細孔)の個数だけが4となることを示す。イソシアネート側の細孔30の数は1となる。ノズルの数が4とあるのは、図5のごとく円錐凹み32の円錐頂点周りの凹み面で、上下左右に90°間隔で細孔30を四個設けるものである。また、表1の吐出孔の角度は、上側細孔30の中心軸線35が下側細孔30の中心軸線35と交差するが、その交差地点Rを通る水平線から上側細孔30の中心軸線35までの仰角を示しており、交差角度θの1/2の値に該当する。表1では両配合原料の衝突面での形状を「噴霧の形状」として示す。「噴霧の形状」はチャンバ内10に透明のアクリル樹脂レンズを設けてビデオ撮影して観察した。
「ノズルの数」、すなわち細孔30の数が2又は4で、これらの細孔から噴射する配合原料の噴射液が他方の配合原料との衝突に先立ち、チャンバ内で自己衝突することが、吐出開始時の未反応液の飛散や吐出開始部の発泡体の不具合を改善し、さらに「吐出孔の角度」が15°〜45°、すなわち交差角度θが30°〜90°の範囲の混合装置に良好な結果を得た。
先の図25の説明内容と同じように、混合装置の吐出部13の下方に水平移動するベルトを置き、これにチャンバ吐出部13から流出する混合液6を流し、硬化した製品の外観性状を調べた(図9〜図11)。化学的に反応する二種類の配合原料5は、参考例1と同じく、2液性ポリウレタン樹脂用のポリオール成分を含む配合原料とイソシアネート成分を含む配合原料を使用した。図9の混合装置ではイソシアネート成分を含む配合原料用細孔30のみが二個設けられ、ポリオール成分を含む配合原料用細孔30は一個にしている。図10,図11の混合装置ではイソシアネート成分を含む配合原料用細孔30、ポリオール成分を含む配合原料用細孔30がそれぞれ二個設けられている。二個の細孔30を設けたところでは、両細孔30の中心軸線35がチャンバ内10で交差し、該細孔30から噴射する配合原料5の噴射液が、他方の配合原料5との衝突に先立ち、チャンバ内10で自己衝突するよう設定している。図9〜図11に係る両細孔30の中心軸線35が交差する交差角度θは全て60°とした。図10では、イソシアネート用とポリオール用の各二個の細孔30を共に上下方向に配したが、図11ではイソシアネート用の二個の細孔30を水平方向に設置した。尚、図9〜図11は、図26と同様、原料の流し方向が図の右側から左側方向になっていて図25と逆方向であり、図面の右側部分が頭で、図面の左側部分が尾になっている。
図9〜図11、図26の試験において、細孔30から噴射する前記配合原料5の噴射液50の流量及び圧力はほぼ同じである。図22の従来の混合装置ではイソシアネート成分を含む配合原料用細孔80、ポリオール成分を含む配合原料用細孔80の数がそれぞれ一個設けられている。図26の製品にはみ出し不良やボイド不良がみられるのに対し、図9〜図11の製品はこうした不良がなく品質的に優れた外観を得た。(1)混合液6が高撹拌されていること、(2)吐出口14からの混合液6がスムースフローであることが確認できた。
以下、本発明に係るミキシングヘッド装置及びをこれ用いた成形方法の実施形態について詳述する。図12〜図19は本発明のミキシングヘッド装置(以下、「混合装置」という。)及びこれ用いた成形方法の一形態を示したもので、図12は混合装置下部の概略縦断面図、図13は(a)が図12のノズル部品の縦断面図で、(b)が(a)の右側面図であり、(c)が(a)の左側面図である。図14は図12のチャンバの壁孔にノズル部品及びノズルホルダーが装着される様子を示す分解説明図、図15は図13(a)のノズル部品の部分拡大図、図16は図13のノズル部品とは別態様のノズル部品の縦断面図(a)と右側面図(b)と左側面図(c)、図17は混合装置のチャンバの対向する側壁に取り付けられたノズル部品の位置関係を示す説明図、図18は図17のノズル部品の細孔から噴射する両配合原料の噴射液が衝突してできるその衝突面の概略形状で、図17のA−A線矢視図である。図19は混合装置のチャンバの対向する側壁に取り付けられたノズル部品の位置関係を示す説明図で、図17とは異なる別態様図である。尚、本実施形態の構成において、上記参考形態と同じ構成部位には同符号を付けるものとする。
ここで、「細孔30が二個〜四個の範囲内で複数個設ける」に限定するのは、四個を越えると細孔30の口径を小さくしなければならず、その分、不純物や凝集物によってノズルが詰まり易くなるからである。各配合原料用に設けられる好ましい細孔30の数は二個である。本発明でいう上記「二個〜四個のうち二個以上の細孔30の先端側の中心軸線74aがチャンバ内10で交差する」で、例えば「二個の細孔30の先端側の中心軸線74aがチャンバ内10で交差する」は、細孔30の中心軸線74aが幾何学的な三次元の空間で、二個の細孔30の先端側の中心軸線74aが確実に交差するものだけでなく、両中心軸線74aがチャンバ内10で僅かにズレて交差しなくても、二個の該細孔30から噴射する配合原料5の噴射液が交差し実質的に自己衝突するような状態であれば、二個の細孔30の中心軸線74aがチャンバ内10で交差するとみなす。細孔30から噴射される高粘性原料樹脂を含んだ液状配合原料5は細い流れの線状,ビーム状になるが、両配合原料5a,5bの噴射液50が交差し自己衝突すれば、これも上記効果と同様の効果が得られるからである。両配合原料5a,5bの混合度合の高まり、すなわち高撹拌がなされると共にスムースフローが実現されるからである。
[性能比較試験]
表2は、実施例に係る本混合装置及び比較例に係る混合装置を用いて実験し、その結果をまとめたものである。実施例では、円錐状孔部73及び先端側孔部74を有するノズル部品70(図13参照)を用いた場合において、テストピース1及びテストピース2の5000個あたりの底上がり不良率を手触りで調べると共に、テストピース1及びテストピース2の5000個あたりのボイド発生率を手触りで調べた。また、比較例では、従来からの一つ穴のノズル部品(図示せず)を用いた場合において、テストピース1及びテストピース2の5000個あたりの底上がり不良率を手触りで調べると共に、テストピース1及びテストピース2の5000個あたりのボイド発生率を手触りで調べた。テストピース1及び2の形状は、250×150×200mmとした。なお、テストピース1は、表皮材を金型に装着し、表皮材の内部にウレタン反応混合液を注入し発泡硬化させたものである。また、テストピース2は、金型の表面に直接的にウレタン反応混合液を注入し発泡硬化させたものである。注入機は量産機を用いて、品質検査項目は量産品と同様の基準とした。
その結果、実施例のノズル部品70は、比較例に比べて、テストピース1及びテストピース2におけるボイド不良率及び底上がり不良率のすべての項目で低い値を示した。
さらに、テストピース1を使用して、3ヶ月間のライン停止回数を調べた。量産機におけるライン停止は、原料が流れる流路管に装着した圧力センサーが、原料流れの高圧状態を検出して、機械の操業が停止する場合をいう。量産機が停止後、チャンバーを解体し、ノズルの詰まりを確認した。ノズル部品3(図2参照)の場合、ライン停止回数は19回であった。一方、ノズル部品70(図13参照)の場合、ライン停止回数は2回であった。ノズルのつまりに関して、ノズル部品70のほうがノズル部品3に比べてラインの停止回数が少ないことを確認した。
10 チャンバ内
11 側壁
18 中心
19 中心軸(中心)
3 ノズル部品
70 ノズル部品
73 円錐状孔部
74 先端側孔部
30 細孔
5 配合原料
5a 一の配合原料
5b 他の配合原料
7 成形型(金型)
Claims (3)
- 化学的に反応する二種類の液状配合原料をチャンバ側壁にそれぞれ設けた細孔からチャンバ内に噴射し、両配合原料を衝突させて混合するミキシングヘッド装置において、
前記両配合原料のうち少なくとも一方の配合原料に係る前記細孔が二個〜四個の範囲内で複数個設けられ、さらに該二個〜四個のうち二個以上の細孔の先端側の中心軸線がチャンバ内で交差し、その中心軸線が交差する細孔から噴射する前記配合原料の噴射液が、他方の配合原料との衝突に先立ち、チャンバ内で自己衝突し、
前記細孔は、前記チャンバ内側に向かって尖る円錐状孔部と、該円錐状孔部の尖端側から前記チャンバ内側に向かって延び且つ前記チャンバ内に開口する先端側孔部と、を備え、
前記先端側孔部は、前記円錐状孔部の1斜辺を延長した位置に配設されており、その中心軸線が前記円錐状孔部の1斜辺と平行な直線となっていることを特徴とするミキシングヘッド装置。 - 前記二個以上の細孔の前記先端側孔部の中心軸線が交差する交差角度(θ)を30°〜90°の範囲内とする請求項1記載のミキシングヘッド装置。
- 化学的に反応する二種類の液状配合原料に係る一方の配合原料と他方の配合原料とをチャンバ側壁にそれぞれ設けた細孔からチャンバ内へ噴射し、両配合原料を衝突させて混合するミキシングヘッド装置であって、前記両配合原料のうち少なくとも一方の前記配合原料に係る細孔が二個〜四個の範囲内で複数個設けられ、且つ該二個〜四個のうち二個以上の細孔の先端側の中心軸線がチャンバ内で交差し、その中心軸線が交差する細孔から噴射する前記配合原料の噴射液がチャンバ内で自己衝突するミキシングヘッド装置を用いて、前記両配合原料のうち一方の配合原料の噴射液を自己衝突させ、次いで、他方の配合原料と衝突させて両配合原料を混合した後、これを成形型内に吐出し硬化させることにより成形し、
前記細孔は、前記チャンバ内側に向かって尖る円錐状孔部と、該円錐状孔部の尖端側から前記チャンバ内側に向かって延び且つ前記チャンバ内に開口する先端側孔部と、を備え、
前記先端側孔部は、前記円錐状孔部の1斜辺を延長した位置に配設されており、その中心軸線が前記円錐状孔部の1斜辺と平行な直線となっていることを特徴とするミキシングヘッド装置を用いた成形方法。
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