JP5731293B2 - 有孔体の加工方法 - Google Patents
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Description
圧力注入法では、ガラス微小管やカテーテル等(有孔体)の孔部内の薬液等に圧力を加えることにより、薬液等を有孔体の先端から押し出して生体組織に供給する。圧力注入法は、生体組織に薬液等を注入することが比較的容易であり、生体組織に確実に薬物を投与したい場合に用いられる。
このホーリーファイバは、導波原理により大きく2つに分類できる。1つは石英ガラスコアの周りのクラッド部に複数の空孔を形成した構造で、全反射型の導波原理を持つものである。もう1つは空孔クラッド部の2次元ブラッグ反射を利用して光を閉じ込める導波原理のファイバで、フォトニックバンドギャップファイバ(Photonic Band gap Fiber)と呼ばれ、クラッド空孔部内においてブラッグ反射条件を満たせば、コアが空孔でも光を導波できる(例えば非特許文献2を参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、有孔体の外周面に空孔に達する切欠凹部を形成するにあたって、空孔の閉塞や形状変化を防ぐことができる有孔体の加工方法を提供することを目的とする。
前記進入阻止材は、液体またはガスであることが好ましい。
前記進入阻止材は、前記有孔体の一端側および他端側からそれぞれ前記空孔に導入することが好ましい。
前記切欠凹部の形成は、機械的加工、レーザ加工、および化学的加工のうち1または2以上によって行うことが好ましい。
従って、空孔の閉塞、狭隘化、形状変化等を防ぎ、有孔体の特性(光ファイバとしての光学特性、薬液投与器具としての特性など)に悪影響が及ぶのを防ぐことができる。
図1に、本発明の加工方法によって得られた有孔体の一例であるホーリーファイバ1を示す。
ホーリーファイバ1は、コア1Aと、コア1Aを囲むクラッド1Bとを有する光ファイバである。
クラッド1Bは、ホーリーファイバ1の軸1C方向(長軸方向)に沿って4つの空孔2a〜2dが形成されているものとする。空孔2a〜2dは、例えば直径数ミクロンから10数ミクロン程度とされる。
ホーリーファイバ1は、例えば石英(シリカ)系ガラス材料または樹脂から構成することができる。ホーリーファイバ1は、例えばクラッド径80〜125μm、クラッド1Bの外周に設けられた樹脂被覆を含む素線としての外径250〜400μmとしてよい。
空孔2a〜2dは、図示例ではクラッド1Bに形成されているが、これに限らず、コア1Aに形成されていてもよい。また、コア1Aとクラッド1Bの両方に空孔が形成されていてもよい。
図示例では、切欠凹部3は、ホーリーファイバ1の長さ方向の一部(図1においては長さ方向中央部)に形成され、ホーリーファイバ1の軸1C方向に沿う平面である底面3aと、底面3aの長軸方向の両端に形成された内側面3bとを有する。内側面3bは底面3aに対し垂直な平面である。
なお、切欠凹部3の形状はこれに限らず、内側面3bは底面3aに対し傾斜していてもよい。また、切欠凹部3は側面視円弧状に形成することもできる。
切欠凹部3によって、空孔2aは、開口部4aより先端1b側の先端側空孔2a1と、開口部4bより基端1c側の基端側空孔2a2とに分断されている。
ホーリーファイバ1は、圧力注入法により単一あるいは複数種の液(薬液等)を開口部4から空孔2a〜2dに導入し、この液を先端1b側から吐出させることが可能である。このため、ホーリーファイバ1は、生体組織に対して前記液を局所的に投与するガラス微小管やカテーテル(薬液投与器具)としての使用が可能である。この場合には、開口部4は液供給口となり、空孔2a〜2dは液供給路となる。
空孔2a〜2dの一部または全部に液が満たされた状態でも、光を導波する条件が満たされれば、ホーリーファイバ1の先端1bから光を照射することができる。このため、ホーリーファイバ1の先端1bから光を照射しながら前記液(薬液等)を吐出することが可能となる。よって、前記液の投与の際にホーリーファイバ1の視認性を高めることができる。また、液を投与する対象(生体組織等)に光が照射されるため、液投与の対象についても視認しやすくなる。
次に、ホーリーファイバ1の加工方法について説明する。
ホーリーファイバ1の外周面1aに切欠凹部3を形成する方法としては、例えば、機械的加工、レーザ加工、および化学的加工のうち1または2以上を採用できる。
機械的加工としては、切削工具(グラインダ等)による切削加工、研削工具による研削加工、研磨工具による研磨加工などがある。
レーザ加工には、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、固体レーザ等のレーザ光源を有するレーザ加工装置を使用できる。
化学的加工としては、フッ酸等を含むエッチング液をホーリーファイバ1の外周面1aの一部に接触させる方法(ウェットエッチング)を採用できる。また、ドライエッチングも可能である。
以下、ホーリーファイバ1の加工方法を具体例に基づいて詳しく説明する。
図2に、ホーリーファイバ1の作成に使用できる導入装置5およびこれに接続されたホーリーファイバ1を示す。導入装置5は、ホーリーファイバ1の空孔2a〜2d内に、流体または充てん材(後述)を導入するためのポンプなどの加圧装置(図示略)を備えている。
導入装置5には、ホーリーファイバ1の先端1bとは反対の基端1cが、接続チューブ6を介して接続される。
図3(A)に示すように、ホーリーファイバ1の基端1c側に接続した導入装置5(図2参照)の加圧装置(ポンプ等)を稼働させ、ホーリーファイバ1の空孔2a〜2dに、液体7(進入阻止材)を先端1bに向けて導入する。
液体7は、特に限定されないが、水、切削油などの不燃性の液体が好ましい。液体7には、導入装置5によって大気圧以上の導入圧力(好ましくは大気圧を越える圧力)が加えられる。液体7の導入圧力はできるだけ高いことが望ましいが、ホーリーファイバ1自身を破壊したり、ホーリーファイバ1、接続チューブ6および導入装置5のつなぎ目から液体7が漏出したりしない程度の圧力である必要がある。
切欠凹部3の形成によって、空孔2aの一部が内側面3bに露出することにより開口部4が形成される。
液体7の導入圧力が十分に高い場合には、基端側から先端側に向けて基端側空孔2a2内を液体7が流通するため、仮に切削屑が開口部4bから基端側空孔2a2内に入ったとしても、その切削屑は、開口部4bから流出する液体7によって基端側空孔2a2から排出される。
図示例では、液体7は空孔2a〜2dの内部空間全体に行き渡っているが、液体7は、開口部4からの切削屑の進入を阻むことができればよく、開口部4が形成される部分のみに導入されていてもよい。
また、空孔2a〜2d内の液体7は、ホーリーファイバ1の温度上昇を抑える機能も果たす。
これによって、切欠凹部3形成の際に、先端側空孔2a1内にも液体7を大気圧以上の圧力で導入することができ、切削屑が空孔2a内に入り込むのを確実に防ぐことができる。
なお、図示例では、切欠凹部3は空孔2b〜2dには達しないため、空孔2b〜2dについては、開口部は形成されない。
従って、切削屑が先端側空孔2a1内に詰まるのを防ぎ、ホーリーファイバ1の特性(光学特性、薬液投与器具としての特性など)に悪影響が及ぶのを防ぐことができる。
本実施形態は、流体(ガス)を空孔に導入してレーザ加工により切欠凹部を形成する方法である。
図5(A)に示すように、ホーリーファイバ1の基端1c側に接続した導入装置5(図2参照)の加圧装置(ポンプ等)を稼働させ、ホーリーファイバ1の空孔2a〜2dにガス9(進入阻止材)を先端1bに向けて導入する。
ガス9(気体)は、特に限定されないが、空気、窒素ガスなどの不燃性のガスが好ましい。ガス9には、導入装置5によって大気圧以上の導入圧力(好ましくは大気圧を越える圧力)が加えられる。ガス9の導入圧力はできるだけ高いことが望ましいが、ホーリーファイバ1自身を破壊したり、ホーリーファイバ1、接続チューブ6および導入装置5のつなぎ目からガス9が漏出したりしない程度の圧力である必要がある。
切欠凹部3の形成によって、空孔2aが内側面3bに露出することにより開口部4が形成される。
レーザ加工に伴って切欠凹部3内面が高温となり、ホーリーファイバ1の材料(ガラス等)が溶融することがあるが、基端側空孔2a2内のガス9によって、溶融物(異物)は基端側空孔2a2内に入り込みにくくなる。ガス9は、開口部4から基端側空孔2a2内への溶融物の進入を防ぐ進入阻止材として機能する。
また、空孔2a〜2d内のガス9は、ホーリーファイバ1の温度上昇を抑える機能も果たす。
従って、空孔2aが溶融物により閉塞または狭隘化するのを防ぎ、ホーリーファイバ1の特性(光学特性、薬液投与器具としての特性など)に悪影響が及ぶのを防ぐことができる。
本実施形態は、充てん材を空孔に充てんして、化学的加工(エッチング)により切欠凹部を形成する方法である。
図6(A)に示すように、ホーリーファイバ1の外周面1aには、切欠凹部3が形成される領域14a以外の領域14bに、樹脂などからなる被覆12が形成されている。
ホーリーファイバ1の基端1c側に接続した導入装置5(図2参照)の加圧装置(ポンプ等)を稼働させ、ホーリーファイバ1の空孔2a〜2dに充てん材11(進入阻止材)を先端1bに向けて導入する。
充てん材11は、空孔2aの少なくとも開口部4が形成される部分に充てんされる。図示例では、充てん材11は空孔2a〜2dの内部空間全体に充てんされているが、充てん材11は、開口部4を塞ぐことができればよく、開口部4が形成される一部分のみに充てんしてもよい。
熱可塑性樹脂を使用する場合には、導入装置5内で予め加熱して流動可能となった充てん材11を空孔2a〜2dに導入した後、冷却により硬化させる。
切欠凹部3が形成される領域14aは被覆12がないためエッチング液13に接触し、エッチングにより切欠凹部3が形成される。一方、被覆12が形成された領域14bはエッチング液13による浸食を受けない。
切欠凹部3の形成によって、空孔2aが内側面3bに露出することにより開口部4が形成される。
ホーリーファイバ1をエッチング液13から取り出し、洗浄した後、ホーリーファイバ1を加熱して空孔2a〜2d内の充てん材11を軟化させ、ホーリーファイバ1の一端または両端から空気を導入し、充てん材11を空孔2a〜2dから排出する。
なお、充てん材11としては、熱可塑性樹脂に限らず、他の樹脂(例えばエポキシ樹脂等)を使用してもよい。この場合には、硬化した樹脂を空孔から除去するには、樹脂溶解剤(カネコ化学製eソルブ21シリーズなど)、剥離剤(クスノキ化学製など)等が使用できる。
従って、空孔2aの内面がエッチング液13により浸食されて空孔2aの形状や大きさが変化するのを防ぎ、ホーリーファイバ1の特性(光学特性、薬液投与器具としての特性など)に悪影響が及ぶのを防ぐことができる。
1a 外周面
1C ホーリーファイバの長軸
2a〜2d 空孔
3 切欠凹部
4 開口部
7 液体(進入阻止材)(流体)
8 グラインダ(切削工具)
9 ガス(進入阻止材)(流体)
10 レーザ光
11 充てん材(進入阻止材)
13 エッチング液(異物)
Claims (4)
- 長軸方向に沿う1または複数の空孔を有する有孔体の外周面の一部に、前記空孔の少なくとも1つを分断する切欠凹部を形成することによって、前記空孔の一部が露出した開口部を形成し、
前記切欠凹部の形成にあたって、前記空孔の少なくとも前記開口部が形成される部分に、前記開口部から前記空孔内への異物の進入を防ぐ流体である進入阻止材を導入し、
前記進入阻止材は、前記分断された空孔の両方にそれぞれ導入することを特徴とする有孔体の加工方法。 - 前記進入阻止材は、液体またはガスであることを特徴とする請求項1記載の有孔体の加工方法。
- 前記進入阻止材は、前記有孔体の一端側および他端側からそれぞれ前記空孔に導入することを特徴とする請求項1または2記載の有孔体の加工方法。
- 前記切欠凹部の形成を、機械的加工、レーザ加工、および化学的加工のうち1または2以上によって行うことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の有孔体の加工方法。
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