JP5729237B2 - 画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
したがって、パノラマ撮像等、ハードスペックを超えるような広角画像を取得する場合は、一定方向に撮像装置を動かしながら連写し、得られた複数の画像を合成することで広角画像を生成する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
すると、デジタルカメラは、その間に複数回の撮像処理を実行し、当該複数回の撮像処理の各々の結果得られた複数の画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ)の画像データを横方向(水平方向)に合成することによって、パノラマ画像の画像データを生成する。
特許文献1には、複数回の撮像処理の毎に撮像画像における特徴点を検出し、隣接する2枚の撮像画像の特徴点同士が一致するように、複数の撮像画像の画像データを横方向に合成することによって、パノラマ画像の画像データを生成する手法が開示されている。
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態としてのデジタルカメラ1のハードウェア構成を示すブロック図である。
デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、光学系15と、撮像部16と、画像処理部17と、記憶部18と、表示部19と、操作部20と、通信部21と、角速度センサ22と、ドライブ23と、を備えている。
ROM12はまた、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶している。
なお、後述する図2の撮像制御部51乃至生成部58の各機能のうち少なくとも一部を、画像処理部17に移譲することも可能である。
AFEは、当該アナログの電気信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を施し、その結果得られるデジタル信号を、撮像部16の出力信号として出力する。
なお、以下、撮像部16の出力信号を、「撮像画像の画像データ」と呼ぶ。したがって、撮像部16からは撮像画像の画像データが出力されて、画像処理部17等に適宜供給される。
画像処理部17は、CPU11と協働して、撮像部16から入力される撮像画像の画像データに対して、ノイズ低減、ホワイトバランス、手ぶれ補正等の画像処理を施す。
ここで、以下、特に断りのない限り、「画像データ」とは、撮像部16から一定時間毎に入力される撮像画像の画像データ、又は、当該画像データが加工等されたものを呼ぶ。即ち、本実施形態では、当該画像データが処理単位として採用されている。
なお、上述したように、撮像制御部51乃至生成部58の各機能は、本実施形態のようにCPU11に搭載されている必要は特になく、これらの各機能のうち少なくとも一部を、画像処理部17に移譲させることも可能である。
撮像制御部51は、撮像処理の実行全体を制御する。例えば、撮像制御部51は、デジタルカメラ1の動作モードとして、通常撮像モードと、パノラマ撮像モードとを選択的に切り替えて、切り替え後の動作モードに従った処理を実行することができる。
パノラマ撮像モードになると、取得部52乃至生成部58が、撮像制御部51の制御の下で動作する。
詳細には、図3(A)は、通常撮像モードでの撮像操作を説明する図である。図3(B)は、パノラマ撮像モードでの撮像操作を説明する図である。
図3(A)及び図3(B)の夫々において、デジタルカメラ1の奥にある絵は、デジタルカメラ1の被写体を含む実世界の様子を示している。また、図3(B)に示す縦の点線は、デジタルカメラ1の移動方向の各位置a、b、cを示している。デジタルカメラ1の移動方向とは、ユーザが、自身の体を軸にしてデジタルカメラ1の撮像方向(角度)を変化させた場合における、デジタルカメラ1の光軸が移動する方向をいう。
通常撮像モードでは、図3(A)に示すように、ユーザは、デジタルカメラ1を固定させた状態で、操作部20のシャッタスイッチ41を下限まで押下する。なお、このように、シャッタスイッチ41を下限まで押下する操作を、以下、「全押し操作」又は単に「全押し」と呼ぶ。
撮像制御部51は、全押し操作がなされた直後に画像処理部17から出力された画像データを、記録対象としてリムーバブルメディア31に記録させるまでの一連の処理の実行を制御する。
以下、このように、通常撮像モードにおいて撮像制御部51の制御により実行される一連の処理を、「通常撮像処理」と呼ぶ。
パノラマ撮像モードでは、図3(B)に示すように、ユーザは、シャッタスイッチ41の全押し操作を維持した状態で、デジタルカメラ1を同図中黒矢印の方向に移動させる。
撮像制御部51は、全押し操作が維持されている間、取得部52乃至生成部58を制御して、角速度センサ22からの角度変位量が一定値に達する毎に、その直後に画像処理部17から出力された画像データを記憶部18に一時的に記憶していくことを繰り返す。
その後、ユーザは、全押し操作を解除する操作、即ちシャッタスイッチ41から指等を離す操作(以下、このような操作を「リリース操作」と呼ぶ)をすることで、パノラマ撮像の終了を指示する。
撮像制御部51は、取得部52乃至生成部58を制御して、パノラマ撮像の終了が指示されると、これまでに記憶部18に記憶された複数の画像データを、記憶された順番で水平方向に合成することによって、パノラマ画像の画像データを生成する。
そして、撮像制御部51は、生成部58等を制御して、パノラマ画像の画像データを、記録対象としてリムーバブルメディア31に記録させる。
このように、撮像制御部51は、パノラマ撮像モードにおいて、取得部52乃至生成部58を制御して、パノラマ画像の画像データを生成し、それを記録対象としてリムーバブルメディア31に記録させるまでの一連の処理を制御する。
以下、このように、パノラマ撮像モードにおいて撮像制御部51の制御により実行される一連の処理を「パノラマ撮像処理」と呼ぶ。
即ち、パノラマ撮像モードにおいて、図3(B)に示すような撮像操作が行われると、撮像制御部51の制御の下、取得部52乃至生成部58により、図4に示すようなパノラマ画像P3の画像データが生成され、リムーバブルメディア31に記録される。
取得部52は、デジタルカメラ1が所定量だけ移動する毎に(角度変位量が一定値になる毎)に、撮像制御部51から発行される取得指令を受けて、画像処理部17から連続的に撮像された画像の画像データを順次取得する。
図5において、画像データFaは、上記K回目の画像データを示している。画像データFbは、上記K+1回目の画像データを示している。即ち、画像データFaが得られた次の回に、画像データFbが得られたことになる。
図5において、斜線でハッチングした部分は、他の部分と比べ、輝度値が低いことを示している。
ここで、合成部分は、画像データを構成する各画素のうち、線、又は長方形を構成する画素の集合体になる。ここで、合成部分の長手方向を「長さ方向」と呼び、長さ方向と直交する方向を「幅方向」と呼ぶ。本実施形態では、複数の画像データは水平方向(図5中X座標方向)に合成されるので、合成部分の長さ方向は垂直方向(図5中Y座標方向)であるものとし、合成部分の幅方向は水平方向(図5中X座標方向)とする。また、本実施形態では、合成部分Fam,Fbmの幅方向の長さは、3ドットとしているが、特に限定されず、任意の長さとすることができる。
ただし、本実施形態では、上述したように、デジタルカメラ1が所定量だけ移動する毎(角度変位量が一定値になる毎)に1回の画像データの取得が行われる。したがって、当該所定量(角度変位量の一定値)に基づいて合成部分Fam,Fbmを推定することができる。そこで、本実施形態では、当該所定量(角度変位量の一定値)に基づいて推定された部分を、合成部分Fam,Fbmとするといった手法が採用されている。
そして、推定部53は、本実施形態ではHarrisのコーナー検出法により、合成部分Fam,Fbmの各々における特徴点(画素)の移動ベクトルを算出することにより、合成位置を推定する。
算出部54は、所定の領域内である合成部分Fam,Fbm内で所定方向である垂直方向に画素をずらしながら、当該合成部分Fam,Fbm内における画像データ同士の画素の輝度値の差を算出する。
図6(a)は、図5中の画像データFa内の合成部分Famのうち、幅1ドットの部分の輝度値を示す。
図6(b)は、図5中の画像データFb内の合成部分Fbmのうち、幅1ドットの部分の輝度値を示す。
図6(a)及び(b)中において、Y座標は図5のものと同一であり、画像データの垂直方向を示している。
図6(a)及び(b)から、図5中の点線で囲んだ部分Lの輝度値は、図5中の他の部分と比べ低いことがわかる。
判定部55は、算出部54により算出された画素値の差が閾値(図6中の点線)以上か否かを判定し、画素値の差が閾値以上である部分Pを抽出する。
重み付け部56は、判定部55により画素値の差が閾値以上であると判定された部分Pに重み付けをする。具体的には、重み付け部56は、部分Pの画素値の差dを2倍にするように重み付けをする。重み付け部56は、重み付け後の画素値の差の総和(Sum of Absolte Difference 以下、「SAD」とも呼ぶ)を算出する。
なお、本実施形態において、合成部分における2つの画像データの類似度合いを算出する手法として、SADを採用しているが、特にこれに限定されず、例えば、差分二乗和等を採用することもできる。
また、本実施形態において、合成部分における2つの画像データの類似度合いを算出するための画素値として輝度値を採用しているが、特にこれに限定されず、色差や色相を採用することもできる。
このように、所定のドット数の間隔を空けて、画素値の差を算出することで、合成部分における上下方向により広い範囲でSADを算出できる。
調整部57は、重み付け部56による重み付け後の画素値の差の32通りSADの値のうち、最小値のSADの値となる画像データ同士の位置を合成位置候補とするように調整する。
このように、算出部54は、画素値の差を2回算出することになる。即ち、算出部54は、1回目として、所定のドット数の間隔を空けて、1ドットずつずらしながら画素値の差を算出し、2回目として、所定のドット数の間隔を空けずに、1ドットずつずらしながら画素値の差を算出する。これにより、1回目は合成部分における上下方向により広い範囲で画素値の差を算出することができるので、ある程度確からしい位置に合成位置を絞り込み、2回目は絞り込んだ位置を基準として詳細に画素値の差を算出することで、より正確な合成位置を調整できる。
また、本実施形態においては、合成部分Fam,Fbmの重複領域全てについて上下方向に所定のドット数ずらしながらSADを算出していったが、合成部分Fam,Fbmの重複領域の一部についてSADを算出するようにしてもよい。つまり、SADを算出する際に、上下方向にずれる最大のドット数分の領域(所定のドット数ずらしながらSADを算出する過程で、合成部分Fam,Fbmが重ならなくなる領域)を予めSADの算出候補から外しておくことで、SADを算出するための重複領域のドット数を一定に保つようにしてもよい。
このようにすることで、SADが最小値となる合成位置の推定・調整がより正確なものとなる。
取得部52乃至生成部58は、以上の処理により、これまでに取得された複数の画像データを、記憶された順番で水平方向に合成することによって、パノラマ画像の画像データを生成する。
次に、図7を参照して、このような機能的構成を有するデジタルカメラ1が実行する撮像処理について説明する。
本実施形態では、撮像処理は、デジタルカメラ1の図示せぬ電源がオン状態になると開始する。
操作検出処理とは、操作部20の各スイッチの状態を検出する処理をいう。撮像制御部51は、操作検出処理を実行することにより、動作モードとして、通常撮像モードが設定されているのか、それともパノラマ撮像モードが設定されているのかを検出することができる。
また、本実施形態の初期設定処理の1つとして、角度変位量の一定値と、角度変位量の最大限界である角度変位閾値(例えば、360度)とを設定する処理が採用されている。
具体的には、角度変位量の一定値と、角度変位量の最大限界である角度変位閾値(例えば、360度)は、図1のROM12に予め記憶されており、ROM12から読み出されてRAM13に書き込まれることで設定される。なお、角度変位量の一定値は、後述する図8のステップS35の判定処理で用いられる。一方、角度変位量の最大限界である角度変位閾値(例えば、360度)は、同図のステップS44の判定処理で用いられる。
また、本実施形態では、後述する図8のステップS34,S39等に示すように、角速度センサ22によって検出された角度変位量は累積加算されて、その累積加算値としての累積角度変位量や総合角度変位量(両者の違いは後述する)がRAM13に格納される。そこで、これらの累積角度変位量や総合角度変位量を0にリセットする処理が、本実施形態の初期設定処理の1つとして採用されている。なお、累積角度変位量は、後述する図8のステップS35の判定処理で、上述した一定値と比較される。一方、総合角度変位量は、後述する図8のステップS44の判定処理で、上述した角度変位閾値と比較される。
更にまた、本実施形態の初期設定処理の1つとして、エラーフラグを0にリセットする処理が採用されている。エラーフラグとは、パノラマ撮像処理中にエラーが発生した時に1にセットされるフラグをいう(後述する図8のステップS43参照)。
即ち、撮像制御部51は、撮像部16や画像処理部17を制御して、撮像部16による撮像動作を継続させる。そして、撮像制御部51は、撮像部16による撮像動作が継続されている間、当該撮像部16を介して画像処理部17から順次出力される画像データを、メモリ(本実施形態では記憶部18)に一時的に記憶させる。このような撮像制御部51による一連の制御処理が、ここでいう「ライブビュー撮像処理」である。
また、撮像制御部51は、ライブビュー撮像時にメモリ(本実施形態では記憶部18)に一時的に記録された各画像データを順次読み出して、各画像データに対応する画像を表示部19に順次表示させる。このような撮像制御部51による一連の制御処理が、ここでいう「ライブビュー表示処理」である。なお、ライブビュー表示処理により表示部19に順次表示されている画像を、以下、「ライブビュー画像」と呼ぶ。
ここで、半押しとは、操作部20のシャッタスイッチ41の途中(下限に至らない所定の位置)まで押下する操作をいい、以下、「半押し操作」とも適宜呼ぶ。
シャッタスイッチ41が半押しされていない場合、ステップS3においてNOであると判定されて、処理はステップS12に進む。
処理の終了指示は、特に限定されないが、本実施形態では、デジタルカメラ1の図示せぬ電源がオフ状態になった旨の通知が採用されているものとする。
したがって、本実施形態では電源がオフ状態になりその旨が撮像制御部51に通知されると、ステップS12においてYESであると判定されて、撮像処理全体が終了となる。
これに対して、電源がオン状態の場合には、電源がオフ状態になった旨の通知はなされないので、ステップS12においてNOであると判定され、処理はステップS2に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、本実施形態では電源がオン状態を維持している限り、シャッタスイッチ41が半押しされるまでの間、ステップS3:NO及びステップS12:NOのループ処理が繰り返し実行されて、撮像処理は待機状態となる。
シャッタスイッチ41が全押しされない場合には、ステップS5においてNOであると判定される。この場合には、処理はステップS4に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、本実施形態では、シャッタスイッチ41が全押しされるまでの間、ステップS4、及びステップS5:NOのループ処理が繰り返し実行されて、AF処理がその都度実行される。
ステップS6において、撮像制御部51は、現在設定されている撮像モードがパノラマ撮像モードであるか否かを判定する。
パノラマ撮像モードでない場合、即ち通常撮像モードが現在設定されている場合、ステップS6においてNOであると判定され、処理はステップS7に進む。
ステップS7において、撮像制御部51は、上述した通常撮像処理を実行する。
即ち、全押し操作がなされた直後に画像処理部17から出力された1つの画像データが、記録対象としてリムーバブルメディア31に記録される。これにより、ステップS7の通常撮像処理が終了して、処理はステップS12に進む。なお、ステップS12以降の処理については上述したので、ここではその説明は省略する。
ステップS8において、撮像制御部51は、上述したパノラマ撮像処理を実行する。
パノラマ撮像処理の詳細については図8を参照して後述するが、原則として、パノラマ画像の画像データが生成されて、記録対象としてリムーバブルメディア31に記録される。これにより、ステップS8のパノラマ撮像処理が終了して、処理はステップS9に進む。
詳細については、図8を参照して後述するが、パノラマ画像の画像データが記録対象としてリムーバブルメディア31に記録されて、ステップS8のパノラマ撮像処理が適正に終了すると、エラーフラグは0になっている。このような場合には、ステップS9においてNOであると判定されて、処理はステップS12に進む。なお、ステップS12以降の処理は上述したので、ここではその説明は省略する。
これに対して、ステップS8のパノラマ撮像処理中に何らかのエラーが発生すると、当該パノラマ撮像処理は不適正に終了する。このような場合には、エラーフラグは1になっているため、ステップS9においてYESであると判定されて、処理はステップS10に進む。
ステップS11において、撮像制御部51は、パノラマ撮像モードを解除し、エラーフラグを0にリセットする。
その後、処理はステップS1に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、撮像制御部51は、ユーザによる次の新たな撮像操作に備える。
次に、図8を参照して、図7の撮像処理のうち、ステップS8のパノラマ撮像処理の詳細な流れについて説明する。
図8は、パノラマ撮像処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
上述したように、パノラマ撮像モードの状態でシャッタスイッチ41が全押しされると、図7のステップS5及びS6においてYESと判定され、処理はステップS8に進み、パノラマ撮像処理として次のような処理が実行される。
ユーザがデジタルカメラ1を移動させていない状態では、角度変位量は0になるため、ステップS32においてNOであると判定され、処理は、ステップS33に進む。
所定時間が経過していない場合には、ステップS33においてNOであると判定され、処理はステップS31に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、ユーザがデジタルカメラ1を移動させていない状態の継続時間が所定時間より短い場合には、撮像制御部51は、ステップS31乃至ステップS33:NOのループ処理を繰り返し実行することで、パノラマ撮像処理を待機状態にする。
ここで、本実施形態では、ユーザがデジタルカメラ1を一定量移動させる度に、パノラマ途中画像の画像データ生成用の1つの画像データ(合成対象)が、画像処理部17から取得部52に供給されるものとする。
これを実現すべく、デジタルカメラ1の移動量としての「一定量」に対応する累積角度変位量が、図7のステップS1の初期設定処理により「一定値」として予め与えられている。
即ち、本実施形態では、累積角度変位量が一定値に達する毎に、1つの画像データ(合成対象)が画像処理部17から取得部52に供給されると共に、累積角度変位量が0にリセットされる。
このような一連の処理が、次のステップS35以降の処理として実行される。
累積角度変位量が一定値に達していない場合には、ステップS35においてNOであると判定され、処理はステップS31に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、ユーザがデジタルカメラ1を一定量移動させることによって、累積角度変位量が一定値に達しない限り、撮像制御部51は、ステップS31乃至S35のループ処理を繰り返し実行する。
その後、ユーザがデジタルカメラ1を一定量移動させることによって、累積角度変位量が一定値に達したときは、ステップS35においてYESであると判定されて、処理はステップS36に進む。
パノラマ合成処理の詳細については図9を参照して後述するが、取得部52から画像データ(合成対象)を取得し、この画像データを合成し、パノラマ途中画像の画像データを生成する。
パノラマ途中画像とは、パノラマ撮像モードが選択されている状態で全押し操作がなされた場合、生成予定のパノラマ画像のうち、現在までに撮像された領域を示す画像をいう。
したがって、撮像制御部51は、累積角度変位量を用いても、パノラマ撮像処理が開始されてから現在までにデジタルカメラ1がどこまで移動したのかを認識することができない。
そこで、このような認識を可能にすべく、本実施形態では、累積角度変位量とは別に、総合角度変位量が採用されている。
即ち、総合角度変位量とは、角度変位量が累積加算された値であるが、一定量に達しても0にリセットされずに、パノラマ撮像処理が終了するまでの間(詳細には後述するステップS46の処理が実行されるまでの間)累積加算され続ける値である。
リリース操作が行われていない場合、即ち、ユーザによるシャッタスイッチ41の全押しが継続されている場合には、ステップS41においてNOであると判定されて、処理はステップS42に進む。
画像取得のエラーについては、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、デジタルカメラ1が斜め方向、上下方向、又は逆方向に一定量以上移動したことがエラーとして採用されている。
ステップS44において、撮像制御部51は、総合角度変位量が角度変位閾値を超えたか否かを判別する。
上述したように、総合角度変位量とは、パノラマ撮像処理が開始されてから(全押し操作がなされてから)、ステップS44の処理が実行される時点までの角度変位量の累積加算値である。
ここで、本実施形態では、パノラマ撮像中にユーザがデジタルカメラ1を移動させることが可能な最大移動量が予め決定されている。このようなデジタルカメラ1の移動量としての「最大移動量」に対応する総合角度変位量が、図7のステップS1の初期設定処理により「角度変位閾値」として予め与えられている。
このように、本実施形態では、総合角度変位量が角度変位閾値に達したことは、デジタルカメラ1が最大移動量だけ移動したことを意味する。
したがって、総合角度変位量が角度変位閾値に達していない場合、即ちデジタルカメラ1の移動量が最大移動量まで達していない場合、ユーザはデジタルカメラ1をまだ移動し続けることができるので、ステップS44においてNOであると判定されて、処理はステップS31に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
即ち、角度変位量0の継続が所定時間経過すること(デジタルカメラ1が所定時間移動しないこと)もエラーの1つに含めると、エラーが発生しない状態で、全押し操作が継続されている限り、ステップS31乃至S44:NOのループ処理が繰り返し実行される。
ステップS45において、撮像制御部51は、取得部52を介して、パノラマ画像の画像データを生成し、記録対象の画像データとしてリムーバブルメディア31に記録させる。
なお、本実施形態では、画像データが取得される毎に、パノラマ途中画像の画像データが生成されているので、ステップS45の処理時点で生成されているパノラマ途中画像の画像データが、最終的なパノラマ画像の画像データとして採用される。
これにより、パノラマ撮像処理は適正に終了する。即ち、図7のステップS8の処理は適正に終了して、次のステップS9の処理でNOであると判定される。なお、ステップS9の処理でNOであると判定された後の処理については、上述したので、ここではその説明は省略する。
ステップS43において、撮像制御部51は、エラーフラグを1にセットする。
この場合、ステップS45の処理は実行されずに、即ち、パノラマ画像の画像データは記録されずに、パノラマ撮像処理は不適正に終了する。
即ち、図7のステップS8の処理は不適正に終了して、次のステップS9の処理でYESであると判定されて、ステップS10の処理でエラーの内容が表示される。
この場合のエラー内容の表示は、上述したように特に限定されないが、例えば、「画像取得に失敗しました」や「時間オーバーです」等のメッセージ表示を採用することができる。
次に、図9を参照して、図8のパノラマ撮像処理のうち、ステップS36のパノラマ合成処理の詳細な流れについて説明する。
上述したように、ユーザがデジタルカメラ1を一定量移動させることによって、累積角度変位量が一定値に達すると、図8のステップS35においてYESと判定され、処理はステップS36に進み、パノラマ合成処理として次のような処理が実行される。
ステップS52において、推定部53は、ステップS51で取得された画像データ夫々における、隣接する画像データ同士の合成部分内で生成部58により合成すべき合成位置を推定する。
ステップS53において、算出部54は、ステップS52で推定された合成位置を基準として、上下方向に、所定のドット数の間隔を空けて、1ドットずつずらしながら16通り(上下合計32通り)の画素値の差を算出する。
ステップS54において、判定部55は、ステップS53で算出された画素値の差が閾値以上か否かを判定し、画素値の差が閾値以上である部分を抽出する。
ステップS55において、重み付け部56は、ステップS55で画素値の差が閾値以上であると判定された部分に重み付けをした32通りのSADを算出する。
ステップS56において、調整部57は、ステップS55で算出された32通りのSADの値から最も値が最小となるものを合成位置候補として調整する。
ステップS57において、算出部54は、ステップS56で調整された合成位置候補を基準として、上下方向に1ドットずつずらしながら更に16通り(上下合計32通り)のSADを算出する。
ステップS58において、調整部57は、ステップS57で算出された32通りのSADの値から最も値が最小となるものを合成位置として調整する。
ステップS59において、生成部58は、撮像制御部51の制御により、ステップS58で調整された合成位置に基づいて、隣接する画像データ同士を合成し、パノラマ途中画像の画像データを生成する。
本実施形態のデジタルカメラ1は、取得部52が連続的に撮像された画像を順次取得し、生成部58が取得部52により順次取得された画像データを合成する。
そして、推定部53は、取得部52により順次取得された画像データ夫々における、隣接する画像データ同士の合成部分内で生成部58により合成位置を推定し、算出部54は、推定部53により推定された合成位置を基準として、合成部分内で所定方向に画素データをずらしながら、当該合成部分内における画像データ同士の画素値のSADを算出し、調整部57は、算出部54により算出された合成部分内の画素値のSADの値が最小となる画像データ同士の位置が合成位置となるように調整し、生成部58は、調整部57により調整された合成位置に基づいて、隣接する画像データ同士を合成し、パノラマ画像の画像データを生成する。
これにより、隣接する画像データ同士の合成において、隣接する画像データ同士の合成部分内で合成位置を推定してから、更に、合成部分内で画素値のSADの値が最小となる合成位置、即ち、隣接する画像データ同士において画像データのエッジ部分が揃っている合成位置に調整して合成できる。
したがって、画像を合成する際の位置合わせの精度を向上させることができる。
また、本実施形態は、予め推定部53が合成位置を推定した後に、算出部54が垂直方向に所定のドット数分だけ画素データをずらしながらSADの値を算出して、調整部57が最小のSADの値となる位置が合成位置となるように調整するようにしたため、例えば、合成部分内の全ての画素データの分について垂直方向に画素データをずらしながらSADの値を算出し、最小のSADの値となる位置が合成位置となるように設定するよりもデジタルカメラ1の処理負担を軽くすることができる。
これにより、画素値の差が閾値以上となる、即ち、隣接する画像データ同士において、画像データのエッジ部分がずれた合成位置の候補を、SADの値が最小となる合成位置の候補からしやすくなるので、画像データのエッジ部分が揃っている位置に合成位置を調整しやすくなる。また、図6には図示しなかったが、合成部分Fam,Fbmの画素を輝度値に変換したときに当該輝度値にノイズが発生したとしても、画素値の差(隣接する画像同士の輝度値の差分の絶対値)が閾値以上であるものに重み付けしてSADの値を算出することにしたので、輝度値の変換時における多少のノイズに影響されることなく合成位置の調整ができる。
これにより、撮像部16で撮像しながら、取得された画像データを順次合成位置を調整して合成できる。
しかしながら、本発明は、特にこれに限定されず、パノラマ画像の生成が可能になる機能を有する電子機器一般に適用することができ、例えば、本発明は、携帯型パーソナルコンピュータ、携帯型ナビゲーション装置、ポータブルゲーム機等に幅広く適用可能である。
[付記1]
連続的に撮像された画像を順次取得する取得手段と、
前記取得手段により順次取得された画像夫々における、隣接する画像同士の所定の領域内で合成すべき位置を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された合成すべき位置を基準として、前記所定の領域内で所定方向に画素をずらしながら、当該所定の領域内における前記画像同士の画素値の差を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された画素値の差が最小となる前記画像同士の位置を前記合成すべき位置となるように調整する調整手段と、
前記調整手段により調整された合成すべき位置に基づいて、前記隣接する画像同士を合成し、広角画像を生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
[付記2]
前記算出手段により算出された画素値の差が閾値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記画素値の差が閾値以上であると判定されると、前記画素値の差に重み付けをする重み付け手段とを備え、
前記調整手段は、前記重み付け手段により重み付けされた画素値の差に基づいて、前記合成すべき位置を調整することを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
[付記3]
撮像手段を更に備え、
前記取得手段は、前記撮像手段により所定時間毎に順次撮像された画像を取得することを特徴とする付記1又は2記載の画像処理装置。
[付記4]
連続的に撮像された画像を順次取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより順次取得された画像夫々における、隣接する画像同士の所定の領域内で合成すべき位置を推定する推定ステップと、
前記推定ステップにより推定した合成すべき位置を基準として、前記所定の領域内で所定方向に画素をずらしながら、当該所定の領域内における前記画像同士の画素値の差を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出した画素値の差が最小となる前記画像同士の位置を前記合成すべき位置となるように調整する調整ステップと、
前記調整ステップにより調整した合成すべき位置に基づいて、前記隣接する画像同士を合成し、広角画像を生成する生成ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
[付記5]
コンピュータを、
連続的に撮像された画像を順次取得する取得手段、
前記取得手段により順次取得された画像夫々における、隣接する画像同士の所定の領域内で合成すべき位置を推定する推定手段、
前記推定手段により推定された合成すべき位置を基準として、所定方向に画素をずらしながら、前記所定の領域内における前記画像同士の画素値の差を算出する算出手段、
前記算出手段により算出された前記所定の領域内の画素値の差が最小となる前記画像同士の位置に前記合成すべき位置を調整する調整手段、
前記調整手段により調整された合成すべき位置に基づいて、前記隣接する画像同士を合成し、広角画像を生成する生成手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
Claims (12)
- 複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像同士で共通する所定の領域内における特徴点の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出手段と、
前記移動ベクトル算出手段により算出された移動ベクトルに基づいて、前記画像同士の共通の領域内における特定の位置を広角画像の生成の際の画像の合成における位置合わせを行うための位置として推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された特定の位置を基準として、前記所定の領域内における前記画像同士で対応する画素の位置を所定方向に所定の範囲内でずらしながら、当該所定の領域内における前記画像同士の差分値を複数回算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された複数の差分値に基づいて、前記特定の位置を調整する調整手段と、
前記調整手段により調整された特定の位置に基づいて、前記画像同士を合成する合成手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記算出手段は、前記調整手段により調整された特定の位置を基準として、前記所定の領域内における前記画像同士で対応する画素の位置を前記所定の範囲よりも狭い範囲内で前記所定方向にずらしながら、前記所定の領域内における前記画像間の差分値を複数回算出し、
前記調整手段は、更に、前記算出手段に算出された複数の差分値に基づいて、前記特定の位置を再度調整する請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記算出手段は、更に、前記所定の領域内における前記画像同士で対応する画素の位置を前記所定の方向として上下方向に前記所定の範囲内で所定のドット数ずつずらしながら、当該所定の領域内における前記画像同士の差分値を複数回算出する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 前記算出手段は、更に、前記所定の方向として上下方向に前記所定の領域内における前記画像同士で対応する画素の位置を前記所定の範囲内より狭い範囲内で前記所定のドット数未満のドット数ずつずらしながら、前記所定の領域内における前記画像同士の差分値を複数回算出する請求項1から3の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記算出手段により算出された差分値が閾値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記差分値が閾値以上であると判定されると、前記差分値に重み付けをする重み付け手段とを備え、
前記調整手段は、前記重み付け手段により重み付けされた差分値に基づいて、前記特定の位置を調整する請求項1から4の何れか1項に記載の画像処理装置。 - 前記調整手段は、前記算出手段により算出された差分値が最小となる位置に前記特定の位置を調整することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記合成手段は、更に、前記画像同士を合成することにより、パノラマ画像を生成することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記算出手段は、前記画像同士で対応する画素の位置が前記所定の領域内の所定方向に所定の範囲内で所定の量ずらされる毎に、当該所定の領域内における前記画像同士の差分値を算出することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記算出手段は、前記所定の領域が変化するように前記画像同士で対応する画素の位置をずらしながら、前記差分値を算出することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 撮像手段を更に備え、
前記取得手段は、前記撮像手段により所定時間毎に順次撮像された画像を取得することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の画像処理装置。 - 複数の画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された画像同士で共通する所定の領域内における特徴点の移動ベクトルを算出するベクトル算出ステップと、
前記ベクトル算出ステップにより算出された移動ベクトルに基づいて、前記画像同士の共通の領域内における特定の位置を広角画像の生成の際の画像の合成における位置合わせを行うための位置として推定する推定ステップと、
前記推定ステップにより推定された特定の位置を基準として、前記所定の領域内における前記画像同士で対応する画素の位置を所定方向に所定の範囲内でずらしながら、当該所定の領域内における前記画像同士の差分値を複数回算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された複数の差分値に基づいて、前記特定の位置を調整する調整ステップと、
前記調整ステップにより調整された特定の位置に基づいて、前記画像同士を合成する合成ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータを、
複数の画像を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された画像同士で共通する所定の領域内における特徴点の移動ベクトルを算出するベクトル算出手段、
前記ベクトル算出手段により算出された移動ベクトルに基づいて、前記画像同士の共通の領域内における特定の位置を広角画像の生成の際の画像の合成における位置合わせを行うための位置として推定する推定手段、
前記推定手段により推定された特定の位置を基準として、前記所定の領域内における前記画像同士で対応する画素の位置を所定方向に所定の範囲内でずらしながら、当該所定の領域内における前記画像同士の差分値を複数回算出する算出手段、
前記算出手段により算出された複数の差分値に基づいて、前記特定の位置を調整する調整手段、
前記調整手段により調整された特定の位置に基づいて、前記画像同士を合成する合成手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
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