JP5728365B2 - 酸化物超電導コイル及び超電導機器と酸化物超電導コイルの製造方法 - Google Patents

酸化物超電導コイル及び超電導機器と酸化物超電導コイルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷却効率を良好にした酸化物超電導コイル及びそれを備えた超電導機器と酸化物超電導コイルの製造方法に関する。
超電導コイルは磁気共鳴画像診断装置(MRI)や超電導磁気エネルギー貯蔵装置(SMES)といった様々な用途に使用されている。これまで、これらの用途には、超電導線材としてNbTi等の金属系超電導体が広く用いられてきたが、近年、ビスマス系超電導線材(BiSrCaCu8+δ:Bi2212、BiSrCaCu10+δ:Bi2223)やイットリウム系超電導線材REBaCu7−δ(RE123、RE:希土類元素)といった、酸化物高温超電導線材の開発が進められている。
酸化物高温超電導線材は、金属系超電導線材に比べ高温でも使用できることから、超電導コイル等への応用開発も進められている。現状で提供されているほとんどの酸化物超電導線材はテープ状であり、このようなテープ状の酸化物超電導線材を用いた超電導コイルとして、パンケーキコイル、ダブルパンケーキコイル、あるいはこれらのコイルを複数積層して構成された酸化物超電導コイルが知られている。
従来の金属系超電導線材を用いた超電導コイルは、超電導転移温度が低いため、高価な液体ヘリウム等で冷却されることが多いが、酸化物超電導線材は超電導転移温度が比較的高いため、安価な液体窒素で冷却し、運転することが可能である。
しかしながら、酸化物超電導線材は、液体窒素温度以下に冷却することで、更なる特性の向上が期待され、そのため、冷凍機による伝導冷却で液体窒素温度より低い温度に酸化物超電導コイルを冷却し、運転することで磁場中においても高い臨界電流密度が得られるように運転することが考えられている。
この伝導冷却による酸化物超電導コイルの一例として、以下の特許文献1に記載の構成が知られている。特許文献1に記載されている超電導コイルは、複数のパンケーキコイルが積層され、各パンケーキコイルの間に冷却板が備えられており、これらの冷却板を冷凍機に接続された金属製の熱伝導部材を介し冷却し、効率良く超電導コイルを冷却できる構造とされている。
特開平11−186025号公報
前記のような冷却板による伝導冷却は、特許文献1に記載されているように銅などの熱伝導性の高い金属製の冷却板を用い、絶縁のために超電導コイルと冷却板との間にFRP(繊維強化プラスチック)のような絶縁材を介装する構造が採用されている。
しかし、酸化物超電導線材はテープ状の多層構造である線材が一般的であり、このテープ状の線材を更に絶縁のために絶縁部材を巻き付けたり沿わせてからコイル加工し、超電導コイルとしているので、得られた超電導コイルの端面には超電導線材の線幅方向のばらつきによって、巻線精度のばらつきによって、あるいは、超電導線材周囲に配する絶縁テープのラップずれ、超電導線材の安定化層の固定に使用されているはんだのはみ出しなどが原因となって、凹凸部が生じることがある。
この凹凸部を端面に有した超電導コイル同士を積み重ねた構造とすると、凹凸部が存在する部分を介し冷却板が超電導コイルに接することになるので、冷却効率が悪くなる問題がある。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、冷却板を介し伝導冷却する構造の超電導コイルにおいて、冷却効率が良好な超電導コイルの構造とその製造方法並びに該超電導コイルを備えた超電導機器の提供を目的とする。
本発明の酸化物超電導コイルは、酸化物超電導層が備えられたテープ状の酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回してなる要素コイルが、複数、各要素コイルをそれらの中心軸方向に冷却板を介して重ねて構成されたコイル積層体を備えた酸化物超電導コイルであって、前記要素コイルの端面に酸化物超電導線材の端縁と絶縁部材の端縁により凹凸部が形成され、前記重ねられた要素コイルの端面の間に絶縁材が介在され、前記絶縁材に対し前記要素コイルの端面が前記凹凸部を介し当接されるとともに、前記凹凸部の面内最大高低差Rmaxが前記絶縁材の厚さの50%以下とされ、前記絶縁材を構成する樹脂が前記凹凸部に埋め込まれていることを特徴とする。
絶縁材の厚さの50%以下の面内最大高低差Rmaxとした凹凸部を端面に有した要素コイルが絶縁材に当接されているので、絶縁材を介し酸化物超電導線材の端縁を効率良く冷却できる結果、効率良く伝導冷却できる酸化物超電導コイルを提供できる。これは、凹凸部の面内最大高低差Rmaxを絶縁材厚さの50%以下とするならば、絶縁材に対し凹凸部を高い割合で埋め込みできて凹凸部と絶縁材の接触面積を高くすることができ、要素コイルの端面と絶縁材の間の空隙を少なくして伝熱効率を良好にできることによる。
凹凸部の面内最大高低差Rmaxが絶縁材厚さの50%を超えるようであると、凹凸部が絶縁材に当接している状態において、凹凸部が絶縁材に一部埋め込まれたとしても絶縁材と凹凸部との間に介在する空間部が増えるので、伝熱効率が悪くなり、冷却に時間のかかる酸化物超電導コイルとなる。
本発明の酸化物超電導コイルにおいて、前記要素コイルがテープ状の酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回してなるパンケーキコイルを2段重ねたダブルパンケーキコイルから構成され、該ダブルパンケーキコイルを構成する上段側のパンケーキコイルの端面と、下段側のパンケーキコイルの端面との間に絶縁材が介在され、上段側のパンケーキコイルの端面の凹凸部と下段側のパンケーキコイルの端面の凹凸部に前記絶縁材を構成する樹脂が埋め込まれている構成にすることができる。
要素コイルとしてダブルパンケーキコイルの構造を採用する場合、上段側のパンケーキコイルの端面と下段側のパンケーキコイルの端面との間に絶縁材を介在させたとしても、各パンケーキコイルの端面の凹凸部を絶縁材の両面に対し埋め込みして良好な熱伝達効率とすることができるのでダブルパンケーキコイルを効率良く冷却できる。
本発明の酸化物超電導コイルにおいて、前記要素コイルの端面と前記冷却板との間に介在される前記絶縁材を構成する樹脂を含浸硬化型の樹脂から構成できる。
絶縁材が含浸硬化型の樹脂であるならば、コイル端面の凹凸部を絶縁材に深く埋め込みした状態で硬化できるので、コイル端面の凹凸部と絶縁材との接触面積を増加することができ、冷却板を介して要素コイルを効率良く冷却できる。
本発明の製造方法は、酸化物超電導層が備えられたテープ状の酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回してなる要素コイルが、複数、各要素コイルをそれらの中心軸方向に冷却板を介して重ねて構成されたコイル積層体を備え、前記要素コイルの端面に酸化物超電導線材の端縁と絶縁部材の端縁により凹凸部が形成され、前記重ねられた要素コイルの端面の間に絶縁材が介在され、前記絶縁材に対し前記要素コイルの端面が前記凹凸部を介し当接された酸化物超電導コイルの製造方法であって、前記要素コイルの端面の凹凸部の面内最大高低差Rmaxを前記絶縁材の厚さの50%以下になるように管理して要素コイルを構成し、前記絶縁材を構成する樹脂を前記凹凸部に埋め込むことを特徴とする。
絶縁材の厚さの50%以下の面内最大高低差Rmaxとした凹凸部を端面に有した要素コイルを絶縁材に当接しているので、絶縁材を介し酸化物超電導線材の端縁を効率良く冷却できる結果、効率良く伝導冷却できる新規な構造の酸化物超電導コイルを提供できる。
これは、凹凸部の面内最大高低差Rmaxを絶縁材厚さの50%以下とするならば、絶縁材に対し凹凸部を高い割合で埋め込みできて凹凸部と絶縁材の接触面積を高くすることができ、伝熱効率を良好にできることによる。凹凸部の面内最大高低差Rmaxが絶縁材厚さの50%を超えるようであると、凹凸部が絶縁材に当接している状態において、凹凸部が絶縁材に埋め込まれたとしても絶縁材と凹凸部との間に介在する空間部が増えるので、伝熱効率が悪くなり、冷却に時間のかかる酸化物超電導コイルとなる。このため、要素コイルの端面の凹凸部の面内最大高低差Rmaxを前記絶縁材の厚さの50%以下になるように管理してコイル積層体を製造することで、冷却効率の良い酸化物超電導コイルを製造できる。
本発明の超電導機器は、真空容器と、該真空容器の内部に設けられた先のいずれかに記載の酸化物超電導コイルと、前記真空容器に設けられて前記超電導コイルの冷却板を冷却する冷凍機とを具備してなる。
本発明の超電導機器は、先に記載の冷却効率の優れた酸化物超電導コイルを備えているので、短い時間で確実に酸化物超電導コイルを冷却して超電導状態にできる。また、何らかの原因で酸化物超電導コイルとその周囲部分で発熱することがあっても冷却効率が良好であるので酸化物超電導コイルに備えられている酸化物超電導線材の温度上昇を防止することができ、超電導線材を確実に冷却しつつ運転することができる超電導機器の提供ができる。
本発明によれば、酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回した要素コイルを絶縁材を介し重ねて構成した酸化物超電導コイルの構造において、絶縁材と要素コイル端面の凹凸部を介し良好な伝熱効率を維持した酸化物超電導線材について効率良く伝導冷却できる冷却効率の良好な酸化物超電導コイルを提供できる。
本発明の第1実施形態に係る酸化物超電導コイルを示すもので、図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)のB部分の拡大断面図。 図1に示す酸化物超電導コイルに設けられているコイル積層体の分解斜視図。 図1に示す超電導コイルに適用されている酸化物超電導線材の拡大斜視図。 図1に示す超電導コイルを備えた超電導機器の一例を示す構成図。 図5は超電導コイル端面の凹凸部と該凹凸部に接触されている絶縁材との位置関係を示すもので、図5(a)は凹凸部の面内最大高低差Rmaxが絶縁材の厚さの0%の場合の説明図、図5(b)は凹凸部の面内最大高低差Rmaxが絶縁材の厚さの50%の場合の説明図、図5(c)は凹凸部の面内最大高低差Rmaxが絶縁材の厚さの75%の場合の説明図である。 テープ状の超電導線材の線幅をレーザー寸法測定器で計測している状態を示す説明図。 ビスマス系酸化物超電導線材の一例構造を示す断面図。 実施例で得られたコイル端面凹凸と超電導コイルの冷却時間との相関関係を示すグラフ。
以下、本発明に係る酸化物超電導コイルの第1実施形態について図面に基づいて説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
図1(a)に示すように本実施形態の酸化物超電導コイルAは、薄型のリング状の要素コイル1を複数(図1(a)に示す形態の場合は3個)、それらの中心軸を位置合わせして厚さ方向にドーナツ板状の冷却板2を介し積み上げて構成されたコイル積層体3を備えている。
また、筒状の巻胴5とその長さ方向両端に取り付けられたドーナツ板状のフランジ6、6を備えてボビン7が構成され、先のコイル積層体3の中心部を挿通するように巻胴5が設置され、フランジ6、6がコイル積層体3の積層方向両側(図1(a)ではコイル積層体3の上下)を挟むように設置されて酸化物超電導コイルAが形成されている。
要素コイル1は、図1(b)、図2に示すようにテープ状の酸化物超電導線材10を樹脂層8および絶縁部材9とともにパンケーキ状に巻き付けて構成されたパンケーキコイル4を2層積み重ねたダブルパンケーキ型とされている。本実施形態において、酸化物超電導線材10は図3に示すようにテープ状の基材11の上に複数の層を積層した積層構造とされている。即ち、酸化物超電導線材10は、一例として、基材11の上に下地層12、配向性中間層15、キャップ層16、酸化物超電導層17、第一の安定化層18、第二の安定化層19が積層された構造とされている。なお、酸化物超電導線材10として後述する構造のテープ状のビスマス系酸化物超電導線材を用いてもよい。
本実施形態の酸化物超電導線材10に適用できる基材11は、ニッケル合金からなることが好ましい。なかでも、市販品であれば、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)が好適である。基材11の厚さは、通常は、10〜500μmである。また、基材11として、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金テープ基材等を適用することもできる。
下地層12は、耐熱性が高く、界面反応性を低減するためのものであり、例えば膜厚10〜200nmである。基材11と下地層12との間に拡散防止層が介在された構造としても良い。その厚さは例えば10〜400nmである。拡散防止層としてAl、下地層12としてYを例示できる。
配向性中間層15は2軸配向する物質から選択される。具体的に配向性中間層15は、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO等の金属酸化物を例示できる。
この配向性中間層15をイオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)により良好な結晶配向性(例えば結晶配向度15゜以下)で成膜するならば、その上に形成するキャップ層16の結晶配向性を良好な値(例えば結晶配向度5゜前後)とすることができ、これによりキャップ層16の上に成膜する酸化物超電導層17の結晶配向性を良好なものとして優れた超電導特性を発揮できるようにすることができる。
配向性中間層15の厚さは、通常は、0.005〜2μmの範囲とすることができる。特に、IBAD法で形成された金属酸化物層が好ましく、IBAD法とは、蒸着時に、下地の蒸着面に対して所定の角度でイオンビームを照射することにより、結晶軸を配向させる方法である。
キャップ層16は、結晶粒が面内方向に選択成長するものが好ましい。キャップ層16の一例としてCeO、Y、Al2O3、Gd、Zr、Ho、Nd等を選択できる。キャップ層16の膜厚は、500〜1000nmとすることができる。
酸化物超電導層17は公知のもので良く、REBaCu7−x(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のものを例示できる。この酸化物超電導層17として、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示できる。酸化物超電導層17の厚みは、0.5〜5μm程度であることが好ましい。
酸化物超電導層17の上に積層されている第一の安定化層18はAgあるいは貴金属などからなる層として形成され、安定化層18の厚さを1〜30μm程度に形成できる。
第二の安定化層19は、良導電性の金属材料からなることが好ましく、酸化物超電導層17が超電導状態から常電導状態に遷移した時に、第一の安定化層18とともに、酸化物超電導層17の電流が転流するバイパスとして機能する。第二の安定化層19は、銅、黄銅(Cu−Zn合金)等の銅合金等の比較的安価なものを用いるのが好ましい。第二の安定化層19の厚さは10〜300μmとすることができる。
以上構成のテープ状の酸化物超電導線材10は樹脂層8と絶縁部材9とともに図示略の巻枠等にパンケーキ状に巻回されて薄型のリング状のパンケーキコイル4が形成され、このパンケーキコイル4が2つ重ねられてダブルパンケーキ型の要素コイル1が構成されている。要素コイル1の中心には中心孔1bが形成されている。
酸化物超電導線材10に沿って設けられている樹脂層8は、一例としてエポキシ系樹脂層から構成されるが、炭素繊維あるいは繊維ファイバー等の繊維状あるいはシート状の基材を熱硬化性樹脂で覆って構成したプリプレグテープを巻き付けて加圧し加熱し、硬化させた層から構成されていても良い。
絶縁部材9はポリイミドテープやFRP(繊維強化プラスチック)テープなどから構成されている。
前記構造において樹脂層8は主に巻き付けた酸化物超電導線材10間の一体化のために設けられ、冷却板2と酸化物超電導線材10との固着のために設けられている。絶縁部材9は酸化物超電導線材10間の絶縁のために設けられている。なお、樹脂層8はプリプレグテープを用いて構成しても良いし、酸化物超電導線材10に直接熱硬化性樹脂を塗布しながら巻線することによっても良い。また、巻線後熱硬化性樹脂液に浸漬して真空状態で加圧する樹脂含浸法により樹脂層8を形成してもよい。
なお、樹脂層8として液状のエポキシ樹脂を用いる場合は、巻線時に絶縁部材9が無いと酸化物超電導線材10同士が接触して短絡するおそれがあるので、絶縁部材9は必須となる。樹脂層8としてプリプレグを用いると樹脂層としての機能と絶縁材としての機能を兼ね備えることができるが、酸化物超電導線材10の表面に位置する第二の安定化層19と樹脂を接着させたくない場合(劣化の可能性がある場合)があるので、この場合においても樹脂層8の他に絶縁部材9を設けることが好ましい。
本実施形態においては、酸化物超電導線材10について基材11を外側に(ボビン7の外側に)、第二の安定化層19を内側に(ボビン7の内側に)配置するように巻回してパンケーキコイル4が構成されている。また、酸化物超電導線材10の外側に樹脂層8を配置し内側に絶縁部材9を配置するようにパンケーキ状に巻回してパンケーキコイル4が構成されている。このパンケーキコイル4は、その両端面1aに酸化物超電導線材10の端縁と樹脂層8の端縁と絶縁部材9の端縁が渦巻き状に露出され、これらの端縁が多少不揃いとなることによってパンケーキコイル4の端面(要素コイル1の端面に)凹凸部4aが形成されている。
なお、酸化物超電導線材10のボビン7に対する巻付け方は、基材11を外側としても内側としても、基本的にどちらでも良い。
冷却板2は良熱伝導性の金属材料からなり、厚さ1〜数mm程度のドーナツ板状に形成されている。冷却板2の中心孔2aは要素コイル1の中心孔1bと同等の直径に形成され、要素コイル1と冷却板2を重ねた場合にそれらの中心孔1b、2aどうしを位置合わせできるように形成されている。冷却板2の外径は要素コイル1の外径よりも若干大きく形成され、要素コイル1と冷却板2とを重ねた状態において冷却板2の周縁部は要素コイル1の外方に若干突出されている。
冷却板2を構成する金属材料は特に制限されず、適宜変更可能であるが、熱伝導性に優れた金属材料が望ましく、例えば、無酸素銅、タフピッチ銅、黄銅、リン青銅などの銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などが挙げられる。
なお、図面では略されているが、積み重ねられたパンケーキコイル4において、それぞれの内周部から引き出された酸化物超電導線材10どうしが相互接続されていて、積み重ねられたパンケーキコイル4の酸化物超電導線材10どうしが電気的に接続されている。また、パンケーキコイル4を積み重ねて構成された要素コイル1の外周部に酸化物超電導線材10の外周端が引き出されていて、この外周端に端子部を形成し、上下に積層された要素コイル1の端子部同士を図示略の金属板からなる接続端子で接続することで、全ての要素コイル1の酸化物超電導線材10に通電可能とされている。
本実施形態の冷却板2の表裏面には、プレプリグ等からなるリングシート状の絶縁材13が被覆されている。この絶縁材13は、プリプレグからなる絶縁シートを冷却板2の表裏面に貼り付けて構成されている。ここで用いるプリプレグとは、繊維ファイバーやガラスクロスなどの絶縁性のシート状あるいは繊維状の基材に絶縁性の樹脂を含浸塗布させ、この樹脂を硬化させたものである。含浸樹脂としては熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂やUV樹脂(光硬化性樹脂)等を選択することができる。シート状の絶縁材13は、パンケーキコイル4の端面を覆うことができるリングシート状に形成されていて、パンケーキコイル4の端面に形成されている凹凸部4aが絶縁材13に押し付けられ、凹凸部4aの一部を絶縁材13に埋め込んだ状態で当接されている。
絶縁材13は、コイル積層体3の上下に設置されているフランジ6において、要素コイル1側の面にも配置されている。また、絶縁材13は、要素コイル1を構成するパンケーキコイル4、4の間にも配置されている。
従って、図1(a)に示す下側のフランジ6の上面側に設けられている絶縁材13にその上側のパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aが押し付けられ、上側のフランジ6の下面側に設けられている絶縁材13にその下側のパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aが押し付けられている。また、要素コイル1を構成するパンケーキコイル4、4間に設けられた絶縁材13においては、それを挟むパンケーキコイル4、4の凹凸部4aが押し付けられ、各凹凸部4aの一部が絶縁材13に当接され、一部埋め込まれている。
図1(b)は前記パンケーキコイル4、4間に設けられている絶縁材13に対し、その上下に設けられているパンケーキコイル4、4の端面の凹凸部4aを部分的に押し付けて当接させた状態の一例を示している。
絶縁材13は上述したようにプリプレグからなるので、完全に硬化する前の段階では多少変形することができる。超電導コイルAにおいて、パンケーキコイル4、4を一体化して要素コイル1とする場合、パンケーキコイル4、4間に絶縁材13を挟んで要素コイル1とするので、絶縁材13にパンケーキコイル4の凹凸部4aを押し付けると、凹凸部4aの一部が絶縁材13に埋め込まれた状態で一体化する。また、要素コイル1を巻胴5に挿通してフランジ6の絶縁材13上に押し付けて固定する場合、要素コイル1の端面の凹凸部4aの一部が絶縁材13に埋め込まれた状態で一体化される。上述のプリプレグの硬化度が80%以下の場合であれば、凹凸部4aを部分的に絶縁材13に埋め込んだ状態で密接させることができる。
本実施形態に係る超電導コイルAを製造するには、酸化物超電導線材10を作成後、酸化物超電導線材10の線幅を測定する。
線幅の測定には、図6に示すように酸化物超電導線材10をリール20に巻き付けておき、このリール20から巻取リール21にローラ22、23を介し繰り出す間に、レーザー寸法測定器24により酸化物超電導線材10の線幅のばらつきが大きくないか検査する。
酸化物超電導線材10の線幅のばらつきが所定の範囲内に収まっていない場合は、所定の範囲内に収まっていない部分の酸化物超電導線材10について端面を研削あるいは研磨加工するかレーザーによる溶断加工を施して線幅のばらつきを小さくする処理を行うか、あるいは、ばらつきが大きい酸化物超電導線材10は使用せずに、ばらつきの小さい酸化物超電導線材10のみを用いて以下の工程を行い、酸化物超電導コイルの製造を行うことが好ましい。
前記線幅のばらつきが小さければ、パンケーキコイル4の端面の凹凸部4aの大きさを絶縁材13の厚さの50%以下に管理しておくことで、パンケーキコイル4を構成した場合に、コイル端面の凹凸が生じる要因のうち、酸化物超電導線材10に起因するものを除外することができる。
検査に合格した酸化物超電導線材10は樹脂層8を形成するためのプレプリグテープと絶縁部材9を形成するための絶縁テープとともに巻枠に渦巻状に巻回してパンケーキコイル4を構成することができる。
パンケーキコイル4を構成したならば、複数のパンケーキコイル4を用いて絶縁材13を間に挟んでダブルパンケーキコイル型の要素コイル1を構成し、これらを複数まとめて冷却板2と積み重ねてボビン7の巻胴5に積み重ねてコイル積層体3を構成し、フランジ6、6でコイル積層体3の両側を挟み付けることで超電導コイルAを製造することができる。
ところで、例えば、フーリエの基本則によると、厚さΔxで温度差がΔθの物体間に熱が伝わるとき、その熱量はQ=−λ(Δθ/Δx)で表すことができる。ここで、λは固体の熱伝導率「W/mK」で、固体中の熱の伝わり易さを表している。熱伝導率は物質により決まるものであるが、熱伝導を考えると単位時間(s)に移動する全熱量Q(W)は通過する面積A(m)に比例してQ=qAと表すことができる。ここでqは熱流速であり、単位は「W/m」である。
これらの式の関係から、要素コイル1の端面が冷却板2に絶縁材13を介して触れる面積が2倍になったと仮定すると、熱伝達は2倍となる。即ち、伝導冷却式の超電導コイルAにおいて、冷却効率が上がることは冷却時間の短縮と安全性の向上に繋がる。即ち、要素コイル1の端面の凹凸部4aと冷却板2とが接触する面積を大きくすることは、超電導コイルAの冷却効率を上げるために重要な技術事項であると思われる。
この点に鑑み、絶縁材13に対しパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aが部分的に埋め込まれた状態を含んで当接する状態について、図5を基に以下に説明する。
図5(a)はパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aが絶縁材13の厚さの0%の場合の当接状態を示す説明図、図5(b)はパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aが絶縁材13の厚さの50%の場合の当接状態を示す説明図、図5(c)はパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aが絶縁材13の厚さの75%の場合の当接状態を示す説明図である。
図5に示す関係から、凹凸部4aと絶縁材13との当接状態において、図5(a)、(b)に示すように凹凸部4aが絶縁材13の厚さの50%以下の場合は絶縁材13に対し凹凸部4a、4aの大部分が絶縁材13に隙間無く密着できるので、接触面積が大きいが、図5(c)に示すように凹凸部4aが絶縁材13の厚さの75%の場合は絶縁材13とパンケーキコイル4の凹凸部4a3との間に空隙Dが複数形成されるので、熱伝達効率が低下する。
パンケーキコイル4の端面の凹凸部4aの大きさを計測するには、一例として、コイル端面に沿って表面粗さ計を走査し、凹凸の測定を行えば良い。凹凸の測定に際し、パンケーキコイル4の端面を直接計測する他に、紙粘土等の粘性材をパンケーキコイル4の端面の凹凸部4aに貼りつけて凹凸形状を転写し、粘性材に転写した凹凸部をレーザー寸法測定装置24あるいは表面粗さ計を用いて測定することもできる。
以上説明した凹凸計測により絶縁材13の厚さの50%以下の凹凸値となったパンケーキコイル4のみを用いて、要素コイル1を構成し、これを積み重ねてコイル積層体3を形成し、酸化物超電導コイルAを形成する。即ち、前記凹凸測定の検査結果により絶縁材13の厚さの50%以下の凹凸値となったパンケーキコイル4のみを用いて酸化物超電導コイルAを製造すると、パンケーキコイル4の凹凸部4aの面内最大高低差Rmaxを絶縁材13の厚さの50%以下に管理できることとなる。
図1に示す酸化物超電導コイルAは例えば、図4に示す超電導機器25に組み込まれて冷却されて使用される。
図4に示す超電導機器25は、真空容器などの収容容器26と、その内部に設置された酸化物超電導コイルAと、収容容器26の内部の酸化物超電導コイルAを臨界温度以下に冷却するための冷凍機27を備えて構成されている。収容容器26は、図示略の真空ポンプに接続されていて、内部を目的の真空度に減圧できるように構成されている。また、酸化物超電導コイルAは収容容器26の外部の電源28に電流リード線28a、28bを介し接続されており、この電源28から酸化物超電導コイルAに通電できるようになっている。
なお、図4においては一例として酸化物超電導コイルAに設けている要素コイル1を4段構成に記載している。図4の構成において、最上段のパンケーキコイル4の酸化物超電導線材10に電流リード線28aが接続され、最下段のパンケーキコイル4の酸化物超電導線材10に電流リード線28bが接続され、電源25から酸化物超電導コイルAに通電が可能とされている。
超電導機器25において酸化物超電導コイルAの冷却板2とフランジ6を上下に貫通するように冷却ロッド29Aが複数本設けられている。これらの冷却ロッド29Aは酸化物超電導コイルAの上部側のフランジ6を貫通して上方に延出形成され、酸化物超電導コイルAの上方に設置された金属製のフレーム部材29に接続され、このフレーム部材29が冷凍機27の下端部に接続されている。
図4に示す超電導機器25において、冷凍機27を作動させると冷凍機27がフレーム部材29、冷却ロッド29Aを介してフランジ6、6と複数の冷却板2を冷却するので、冷却板2の両面側に絶縁材13を介し接触している酸化物超電導線材10を冷却することができる。
この冷却動作の際、金属製の冷却板2に対し、絶縁材13を介して酸化物超電導線材10の基材11の端縁と、酸化物超電導層17の端縁と、第一の安定化層18の端縁と、第二の安定化層19の端縁とからなる凹凸部4aを図1(b)に示すように接触させているので、酸化物超電導層17を伝導冷却できる結果、酸化物超電導層17を冷却することができる。
また、基材11と第一の安定化層18と第二の安定化層19はいずれも金属製であり、熱伝導性は良好であり、これらを冷却板2と絶縁材13を介し効率良く冷却できる結果、酸化物超電導層17をその両側に位置する金属製の基材11と第一の安定化層18と第二の安定化層19を介し効率良く冷却できる。
また、酸化物超電導線材10に通電する場合、酸化物超電導層17に超電導電流が流れるが、酸化物超電導層17の端縁が金属製の冷却板2に近接しているとしても、冷却板2との間に絶縁材13を介在させているので、通電しても絶縁性の面で問題を生じない。
なお、パンケーキコイル4を構成する場合、基材11と酸化物超電導層17と第一の安定化層18と第二の安定化層19をいずれにおいても同じ幅で形成したとしても、これらが酸化物超電導線材10の全長にわたり完全に均一幅に揃っているとは限らない。従って、酸化物超電導線材10を巻回してパンケーキコイル4を形成した場合、パンケーキコイル4の両側の端面1bは、理想的な平滑面になる訳ではなく、多少の凹凸部を有した面となる。即ち、要素コイル1の両端面1aは、基材11の端縁と酸化物超電導層17の端縁と第一の安定化層18の端縁と第二の安定化層19の端縁と樹脂層8の端縁と絶縁部材9の端縁からなる凹凸部4aが生成する。
しかし、このように生成された凹凸部4aであっても、先に説明したとおり、面内最大高低差Rmaxを絶縁材13の厚さの50%以下に管理するならば、熱伝導率に影響を及ぼすことなく効率の良い冷却動作を得ることができ、冷却効率の良好な酸化物超電導コイルAを提供できる。
ところで、これまで説明した実施形態においては、基材11の上方に配向性中間層15を介しREBaCu7−xなる組成系の酸化物超電導層17を設けた構造の酸化物超電導線材10を用いてパンケーキコイル4を形成した例について説明したが、本発明をビスマス系超電導線材(BiSrCaCu8+δ:Bi2212、BiSrCaCu10+δ:Bi2223)について適用できるのは勿論である。
ビスマス系超電導線材の構造は図7に例示するようにAgなどのテープ状の安定化材からなるシース30の内部に酸化物超電導層31を内包した酸化物超電導線材32が主体であるので、このテープ状のビスマス系の酸化物超電導線材32を先の第1実施形態の酸化物超電導線材10の代わりに用いることでビスマス系の酸化物超電導線材32を用いた酸化物超電導コイルに本発明を適用することができる。
ハステロイC276(米国ヘインズ社商品名)からなる幅5mm、厚さ0.1mmのテープ状の基材を用意し、このテープ状基材の表面にAlからなる厚さ100nmの拡散防止層を形成し、更にその上にイオンビームスパッタ法を用いてYからなる厚さ30nmのベッド層を形成した。イオンビームスパッタ法の実施にあたりテープ状の基材はスパッタ装置の内部においてリールに巻回しておき、一方のリールから他方のリールに繰り出す間に成膜できるようにして基材の全長に形成した。次に、イオンビームアシスト蒸着法によりベッド層上に厚さ10nmのMgOの配向層を形成した。この場合、アシストイオンビームの入射角度は、テープ状基材成膜面の法線に対し、45゜とした。
続いてパルスレーザー蒸着法(PLD法)を用いてMgOの配向層上にCeOの厚さ500nmのキャップ層を形成した。更に、このキャップ層上にパルスレーザー蒸着法によりGdBaCu7−xの厚さ約2μmの酸化物超電導層を形成した。
次に、スパッタ法により酸化物超電導層上に厚さ10μmのAgの第一の安定化層を形成し、酸素アニールを500℃で行った。この後、第一の安定化層の上に厚さ100μmの銅テープを半田付けして酸化物超電導線材を得た。得られた酸化物超電導線材についてレーザー寸法測定器(KEYENCE社製のLS−5040)を用いて線幅の測定を行い、線幅のばらつきが充分に小さいことを確認して以下の工程に用いた。
次いで、この酸化物超電導線材とポリイミド製の幅4mm、厚さ12.5μmのテープを酸化物超電導線材に2重にラップ巻きし、エポキシ樹脂製の幅5mm、厚さ0.1mmのプリプレグテープを共巻きして内径70.5mm、外径99.5mmとして同心円状に36回巻回させてパンケーキコイルを作製し、これを120℃に加熱してプリプレグテープの樹脂層を硬化させた。同様の手順で複数のパンケーキコイルを作製した。
作製したパンケーキコイルについて表面粗さ計にて端面の凹凸部を計測した。この結果、後述する如く用いる絶縁材の厚さ500μmに対し、端面の凹凸の面内最大高低差が95%であったパンケーキコイルと、端面の凹凸の面内最大高低差が70%であったパンケーキコイルと、端面の凹凸の面内最大高低差が55%であったパンケーキコイルと、端面の凹凸の面内最大高低差が45%であったパンケーキコイルと、端面の凹凸の面内最大高低差が30%であったパンケーキコイルをそれぞれ選別し、以下の試験に用いた。
次に、銅製の厚さ1mm、外径100mm、中央の開口径70mmの冷却板の表裏面にプリプレグからなる厚さ500μmの絶縁材を貼り付けた。この冷却板をフランジ用として2枚用意した。
上述の複数のパンケーキコイルのうち、端面の凹凸の面内最大高低差が同じ値の2個のパンケーキコイルを絶縁材(厚さ500μmのプリプレグ)を介し貼り合わせてダブルパンケーキ型の要素コイルを作成し、要素コイルの両端面側を挟むように上述のフランジ用の冷却板で挟み、試験用の酸化物超電導コイルを得た。
以上説明の構造とした酸化物超電導コイルについて、図4に示す構成の真空容器に組み込み、常温から冷却開始して20Kまで冷却できる時間を計測した。その結果を図8に示す。
図8に示すように、絶縁材の厚さ500μmに対し、95%、70%、55%の面内最大高低差の凹凸部を端面に有するパンケーキコイルを用いて構成した酸化物超電導コイルは、20Kまで冷却するために26〜30時間要したが、45%、30%の面内最大高低差の凹凸部を端面に有するパンケーキコイルを用いて構成した酸化物超電導コイルは、20Kまで冷却するために17時間あるいは16.5時間で冷却できた。更に、50%の面内最大高低差の凹凸部を端面に有するパンケーキコイルを用いて構成した酸化物超電導コイルは、20Kまで冷却するために、17時間で冷却できた。
この結果から、パンケーキコイルの端面の凹凸部の面内最大高低差Rmaxとして、絶縁材の厚さの50%以下の凹凸部とした構成の酸化物超電導コイルであるならば、冷却効率が良好であり、短時間で常温から20Kまで冷却できることが明らかとなった。この例では図8に示すように30〜50%の範囲でほぼ一定の冷却時間となった。
また、凹凸部の面内最大高低差を絶縁材の厚さの95%、70%、55%として製造した酸化物超電導コイルは、冷却に長い時間がかかっているので、パンケーキコイルの凹凸部と絶縁材との間に多くの空隙が存在し、これらの空隙が断熱部となって熱伝達効率を低下させたと推定できる。
本発明は、例えば超電導モーター、超電導電力貯蔵装置などの各種の超電導機器に用いられる酸化物超電導コイルとその製造方法に適用することができる。
A…酸化物超電導コイル、1…要素コイル、2…冷却板、3…コイル積層体、4…パンケーキコイル、4a…凹凸部、5…巻胴、6…フランジ、7…ボビン、8…樹脂層、9…絶縁部材、10…酸化物超電導線材、11…基材、12…下地層、13…絶縁材、15…配向性中間層、16…キャップ層、17…酸化物超電導層、18…第一の安定化層、19…第二の安定化層、24…レーザー寸法測定装置、25…超電導機器、26…真空容器、27…冷凍機、28…電源、29…フレーム部材、29A…冷却ロッド、30…シース、31…酸化物超電導層、32…酸化物超電導線材。

Claims (5)

  1. 酸化物超電導層が備えられたテープ状の酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回してなる要素コイルが、複数、各要素コイルをそれらの中心軸方向に冷却板を介して重ねて構成されたコイル積層体を備えた酸化物超電導コイルであって、
    前記要素コイルの端面に酸化物超電導線材の端縁と絶縁部材の端縁により凹凸部が形成され、前記重ねられた要素コイルの端面の間に絶縁材が介在され、前記絶縁材に対し前記要素コイルの端面が前記凹凸部を介し当接されるとともに、
    前記凹凸部の面内最大高低差Rmaxが前記絶縁材の厚さの50%以下とされ
    前記絶縁材を構成する樹脂が前記凹凸部に埋め込まれていることを特徴とする酸化物超電導コイル。
  2. 前記要素コイルがテープ状の酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回してなるパンケーキコイルを2段重ねたダブルパンケーキコイルから構成され、該ダブルパンケーキコイルを構成する上段側のパンケーキコイルの端面と下段側のパンケーキコイルの端面との間に絶縁材が介在され、上段側のパンケーキコイルの端面の凹凸部と下段側のパンケーキコイルの端面の凹凸部に前記絶縁材を構成する樹脂が埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導コイル。
  3. 前記要素コイルの端面と前記冷却板との間に介在される前記絶縁材を構成する樹脂が含浸硬化型の樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導コイル。
  4. 酸化物超電導層が備えられたテープ状の酸化物超電導線材を絶縁部材とともに巻回してなる要素コイルが、複数、各要素コイルをそれらの中心軸方向に冷却板を介して重ねて構成されたコイル積層体を備え、前記要素コイルの端面に酸化物超電導線材の端縁と絶縁部材の端縁により凹凸部が形成され、前記重ねられた要素コイルの端面の間に絶縁材が介在され、前記絶縁材に対し前記要素コイルの端面が前記凹凸部を介し当接された酸化物超電導コイルの製造方法であって、
    前記要素コイルの端面の凹凸部の面内最大高低差Rmaxを前記絶縁材の厚さの50%以下になるように管理して要素コイルを構成し、
    前記絶縁材を構成する樹脂を前記凹凸部に埋め込むことを特徴とする酸化物超電導コイルの製造方法。
  5. 真空容器と、該真空容器の内部に設けられた請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物超電導コイルと、前記真空容器に設けられて前記超電導コイルの冷却板を冷却する冷凍機とを具備した超電導機器。
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