JP5726279B2 - 窒化アルミニウム粉末 - Google Patents
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Description
上記廃AlN焼結体の再利用方法では、その粉砕を振動ミルやロールクラッシャー、ボールミル、スタンプミルなど、廃AlN焼結体と粉砕メディアが直接触れる機械的破砕により行う方法が採用されている。
従って、従来、プラスチックの充填材としての用途しかなかった破砕粉末の使用範囲を拡大でき、廃AlN焼結体の廃棄による環境負荷の低減に貢献することができる。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は特に制限されるものではないが、好適な製造方法を例示すれば、AlN焼結体を、粒界破壊を優先的に生じせしめて所定の大きさに予備粉砕し、次いで、該予備粉砕物を衝突粉砕する方法が挙げられる。また、上記粉砕において、AlN焼結体、予備粉砕物の破砕は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明のAlN粉末の製造方法に使用されるAlN焼結体は、前記廃AlN焼結体が一般に使用される。即ち、AlNを焼成する工程、或いは、焼成によって得られたAlN焼結体を加工する工程において、割れ、クラックなどが生じたAlN焼結体の不良品や、上記製造、加工の過程で必然的に生じるAlN焼結体の端材や出荷前の寸法検査や外観検査などで仕様から外れたAlN焼結体などが挙げられる。
具体的には、上記焼結助剤以外の金属不純物濃度が500ppm以下であり、窒化アルミニウム結晶粒子中に固溶する酸素濃度と相関のあるc軸長さが4.975Å以上あることが好ましい。
上記AlN予備破砕物を得るための予備破砕は、AlN焼結体を、粒界破壊を優先的に生じせしめて所定の大きさにする操作である。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、AlN粉末は、上記AlN予備破砕物を衝突粉砕することによって得ることができる。即ち、上記粉砕方法によれば、AlN結晶粒子より硬い物に衝突することなく従来の機械粉砕と比較してマイルドに粉砕が進行するため、AlN予備破砕物の粒界破壊が生じ易くなり、最小単位となる結晶粒子まで粉砕が進行した場合でも、該結晶粒子の角が破損し、前記微粉の存在量が著しく増大することを効果的に防止することができる。また、AlN同士の衝突により粉砕が進行することにより、従来の方法において見られる、金属の破砕メディアとの接触による金属不純物の混入も効果的に防止することが可能である。
本発明において、前記粉砕によって得られたAlN粉末は、分級によって更に1μm以下の微粉を除去することが望ましい。上記分級には、公知の分級装置が特に制限無く使用される。代表的な分級装置を例示すれば、気流式分級機等が好適である。また、分級における分級ポイントは、1.5〜3μmの範囲で決定することが好ましい。
本発明によって得られた粉砕AlN粉末は単独で用いて焼結体を作製することも可能であるが、より熱伝導率の高い焼結体を得ようとする場合は本発明のAlN粉末を少なくとも原料の一部として使用し、残部には市販のAlN粉末を使用することが好ましい。かかる市販のAlN粉末としては、直接窒化法、還元窒化法等の公知の方法によって得られたAlN粉末が特に制限無く使用されるが、緻密化の容易さの観点から粒径はD50が1〜3μmであることが望ましい。
1)微粉の割合
後述するレーザー回折法を用いた粒度分布測定法では微粉が凝集粒や付着粒としてカウントされ、微粉の量に大幅な誤差を生じさせるため、画像解析により微粉の割合を求めた。走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2600N)にて倍率3.0K倍で20視野観察し、その視野面積内における、全粒子(1μm以下の粒子も含む)の面積の総和(SSUM(GRAIN))に対する1μm以下の微粉の占める面積(SSUM(FINE GRAIN))の割合を画像解析システム(IP−1000PC;旭化成工業製)を用いて解析し、(1)式に代入して微粉の面積占有率を算出した。
微粉面積占有率(%)=(SSUM(FINE GRAIN)/SSUM(GRAIN ))×100 (1)
上記割合の算出にあたり、粒子が重なって観察される場合は、それぞれの粒子の面積を上記面積として算入した。
AlN焼結体及びその粉砕物中の金属濃度は、AlN粉砕粉末に硝酸及びリン酸を加え加熱分解し、島津製作所製ICPS−1000−IIを用いてICP発光分光分析法により測定した。
AlN焼結体粉砕物中の酸素濃度は(株)堀場製作所製 酸素・窒素同時分析装置(EMGA−620W/C)を用いて、不活性ガス中でインパルス加熱融解法によりAlNを融解して抽出された酸素を一酸化炭素の形態として、この一酸化炭素を非分散赤外線検出器にて測定した。この時の測定値をaとする。
JIS:R1628(−1997)を用いて求めた。
日機装製MICROTRACK−HRAを用いて、レーザー回折法により求めた。水90mlに対し、5%ピロリン酸ソーダ水溶液を加えた溶液の中に窒化アルミニウム粉末を加え、これをホモジナイザーにて出力200mA,3分間分散させたものを測定した。前記方法から平均粒径(D50)、D10並びにD90を求めた。なお、データは個数分布である。
焼結体の密度はアルキメデス法により測定した。
作製したAlN焼結体の熱伝導率は京都電子工業製LFA−502を用いてレーザーフラッシュ法により測定した。
JIS R1601に従い、クロスヘッド速度0.5mm/分、スパン30mmで行った。試験片は幅4mm、厚み0.635mm、長さ40mmの基板を用いた。
JIS R1607に準じた方法により、(株)アカシ製ビッカース硬さ試験機AVK−COにて測定されたビッカース硬さからIF法により算出した。
破砕・粉砕するためのAlN焼結体は以下の方法により製造したものを使用した。内容積が20Lのナイロン製ボールミルに、直径15mmのアルミナボールを入れ、次いで、AlN粉末(トクヤマ製Hグレード)100重量部に対して、焼結助剤として酸化イットリウム5重量部と分散剤と溶媒を添加し14時間混合した。その後、バインダーとしてポリビニルブチラール及び可塑剤を添加して18時間混合してAlNスラリーを得た。AlNスラリーを脱泡後、粘度2万cpsに調整しドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。
得られたAlN焼結体をハンマーを使用したハンマーミルにて、回転数750rpmの条件で、約1cmの大きさに予備破砕した後、対向式ジェットミル((株)アーステクニカ製EJM00型JEDI)を用いて粉砕した。尚、該粉砕機からのAlN粉砕粉末の取り出しは、付属の分級ローターの回転数1000〜2000rpm間に設定して行った。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。
実施例2で得られた粉末を気流式分級機にて、分級処理を1回行った。分級ポイントは2.5μmとし、供給量は1.5kg/hrとした。分級によって得られた粉末の収率は83%であった。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。また、得られた粉末のSEM写真を図2に示す。
窒化アルミニウム基板製造工場より得られた、結晶粒の平均粒径7.5μm、該AlN焼結体に含まれる焼結助剤以外の金属不純物濃度が100ppm、c軸長さが4.9801Åの廃AlN焼結体を、ハンマーを使用したハンマーミルにて、回転数750rpmの条件で、約1cmの大きさに予備破砕した後、対向式ジェットミル((株)アーステクニカ製EJM00型JEDI)を用いて粉砕した。尚、該粉砕機からのAlN粉砕粉末の取り出しは、付属の分級ローターの回転数700rpmに設定して行った。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。
予備粉砕までは実施例1と同様に行った。ただし得られた予備粉砕物が200メッシュのふるいを通るまでハンマーミルによる粉砕を継続した。篩った予備粉砕物をφ=3mmのSi3N4製ボールと共に、アルミナ製ポットに入れ、乾式のボールミルにかけて、マイクロトラックを用いた分析法でその平均粒径が3〜4μmになるまで粉砕を行った。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。
予備粉砕までは実施例1と同様に行った。ただし得られた予備粉砕物が200メッシュのふるいを通るまでハンマーミルによる粉砕を継続した。篩った予備粉砕物をφ=3mmのアルミナ製ボールと共に、アルミナ製ポットに入れ、乾式のボールミルにかけて、マイクロトラックを用いた分析法でその平均粒径が3〜4μmになるまで粉砕を行った。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。
比較例2で得られた粉末を気流式分級機にて分級処理を1回行った。分級ポイントは2.5μmとし、供給量は1.5kg/hrとした。分級によって得られた粉末の収率は72%であった。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。また、得られた粉末のSEM写真を図3に示す。分級処理を行っても付着微粉や凝集粒が数多く残存していることが分かる。
予備粉砕までは実施例1と同様に行った。ただし得られた予備粉砕物が200メッシュのふるいを通るまでハンマーミルによる粉砕を継続した。続いてSUS304製のピンミルを用いて、マイクロトラックを用いた分析法でその平均粒径が3〜4μmになるまで粉砕を行った。得られたAlN粉砕粉末の物性及び不純物濃度を表1にまとめた。
Claims (2)
- 窒化アルミニウム焼結体を粉砕して得られる粉末であって、平均粒子径が、2〜10μmであり、且つ、3000倍の電子顕微鏡写真において観察される、該粉末中の1μm以下の微粉の占める割合が、面積比率で5%以下であって、焼結助剤以外の金属不純物濃度が1500ppm以下であり、更に、D90とD10との粒径の差が、6μm以下、酸素濃度が0.2〜1.4重量%であることを特徴とする窒化アルミニウム粉末。
- 請求項1に記載の窒化アルミニウム粉末を含む、焼結助剤に由来する酸素以外の酸素濃度が0.2〜1.4重量%である窒化アルミニウム焼結体製造用原料。
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