はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技者に対して遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出す払出手段(払出装置114)を有し、
貸出指示装置(貸出指示装置19)からの貸出要求情報(貸出要求信号)を入力したことに基づいて、前記払出手段を動作させて所定数の遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出し、これにより遊技者に遊技媒体を貸し出す遊技機において、
一の前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数を、予め定められた第1払出数として特定する第1特定手段(払出側MPU231における旧型用貸出設定処理を実行する機能)と、
一の前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数を、前記第1払出数よりも少ない予め定められた第2払出数として特定する第2特定手段(払出側MPU231における新型用貸出設定処理を実行する機能)と、
前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数の特定を行う特定手段を、前記第1特定手段に設定可能であるとともに前記第2特定手段に設定可能な設定手段(払出側MPU231におけるステップS2601の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段1によれば、一の貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数の取り扱いを、第1払出数とするか又は当該第1払出数よりも少ない第2払出数とするかの設定を行うことが可能である。これにより、例えば従来の貸出指示装置のように単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数が第1払出数として固定式の貸出指示装置から貸出要求情報を入力する場合には、第1特定手段にて遊技媒体数の特定を行うようにすることで、当該固定式の貸出指示装置を用いた遊技媒体の貸出に対応可能である。また、例えば単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数を変更可能であって、貸出要求情報の出力回数を調整することで、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応した貸出の実行を要求する可変式の貸出指示装置から貸出要求情報を入力する場合には、第2特定手段にて遊技媒体数の特定を行うようにすることで当該可変式の貸出指示装置を用いた遊技媒体の貸出に対応可能である。
よって、単位金額当たりの遊技媒体の貸出数を変更可能とする上で、良好に適応できる遊技機を提供することが可能となる。
手段2.手段1において、前記第2特定手段は、一の前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数を、一の遊技媒体として特定するものであることを特徴とする遊技機。
手段2によれば、第2特定手段にて遊技媒体数の特定を行うようにすることで可変式の貸出指示装置を用いた遊技媒体の貸出に対応可能とした構成において、様々なパターンの単位金額当たりの遊技媒体数に好適に対応可能となる。
手段3.遊技者に対して遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出す払出手段(払出装置114)を有し、
貸出指示装置(貸出指示装置19)からの貸出要求情報を入力したことに基づいて、前記払出手段を動作させて所定数の遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出し、これにより遊技者に遊技媒体を貸し出す遊技機において、
単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数を変更不可であって、一の貸出要求情報を出力することで第1払出数の遊技媒体の貸出の要求を行う第1貸出指示装置、及び単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数を変更可能であって、一の貸出要求情報を出力することで第2払出数の遊技媒体の貸出の要求を行うとともに、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に応じて、単位金額当たりの貸出を要求する場合における貸出要求情報の出力回数を変更可能な第2貸出指示装置のいずれからも貸出要求情報を入力することが可能な入力部(貸出用接続端子板143)と、
一の前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数を、前記第1払出数として特定する第1特定手段(払出側MPU231における旧型用貸出設定処理を実行する機能)と、
一の前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数を、前記第2払出数として特定する第2特定手段(払出側MPU231における新型用貸出設定処理を実行する機能)と、
前記貸出要求情報に対して払出対象とする遊技媒体数の特定を行う特定手段を、前記第1特定手段に設定可能であるとともに前記第2特定手段に設定可能な設定手段(払出側MPU231におけるステップS2601の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段3によれば、第2貸出指示装置からの貸出要求情報に基づいて遊技媒体の貸出を行う場合には、第2特定手段にて遊技媒体数の特定を行うようにすることで、遊技ホールにて設定される単位金額当たりの貸出数の増減に対して好適に対応できる。
特に、第2特定手段にて遊技媒体数の特定を行う場合、第2貸出指示装置からの貸出要求情報の入力の度に、払出対象の遊技媒体数として第2払出数をカウントしていくことで、第2貸出指示装置において設定されている単位金額当たりの貸出数に対応した遊技媒体の払出を遊技機側において実行することができる。つまり、単位金額当たりの貸出数の増減を行う場合に、第2貸出指示装置において単位金額当たりの貸出数の設定が変更されたとしても、遊技機においては変更前と同様に一の貸出要求情報の入力に対して第2払出数の遊技媒体の払出を実行することで、上記貸出数の設定の変更に自ずと対応できる。
また、例えば従来の貸出指示装置のように単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数が固定式の第1貸出指示装置からの貸出要求情報に基づいて遊技媒体の貸出を行う場合には、第1特定手段にて遊技媒体数の特定を行うようにすることで、当該第1貸出指示装置を用いた遊技媒体の貸出にも対応可能である。
以上より、単位金額当たりの遊技媒体の貸出数を変更可能とする上で、良好に適応できる遊技機を提供することが可能となる。
手段4.手段3において、前記第2貸出指示装置は、一の貸出要求情報を出力することで一の遊技媒体の貸出の要求を行うとともに、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応した数の貸出要求情報を出力することで前記設定されている単位金額に対応した貸出の要求を行うことが可能な構成であり、
前記第2特定手段は、一の前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数を、一の遊技媒体として特定するものであることを特徴とする遊技機。
手段4によれば、第2貸出指示装置の貸出要求情報の入力に対して、払出対象とする遊技媒体数が一であると特定される構成であるため、様々なパターンの単位金額当たりの遊技媒体数に好適に対応可能となる。
手段5.手段1乃至4のいずれか1において、前記貸出要求情報を入力したことに基づいて、遊技媒体の払出が行われるように前記払出手段を駆動制御する払出制御手段(払出側MPU231における払出個数設定処理及び払出制御処理を実行する機能)をさらに備え、
前記払出制御手段は、前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数の特定が前記第2特定手段により行われる状況において、前記貸出指示装置からの継続情報(貸出確認信号)を入力している場合、前記貸出要求情報を入力したことに基づく遊技媒体の払出を開始することなく、前記継続情報を入力しなくなった場合に、当該継続情報を入力している間に前記第2特定手段にて特定された数の遊技媒体の払出を開始することを特徴とする遊技機。
第2特定手段にて遊技媒体数の特定が行われる場合、可変式の貸出指示装置側において設定されている単位金額当たりの遊技媒体数によっては、貸出要求情報が繰り返し出力されることがある。この場合に、手段5によれば、第2特定手段にて遊技媒体数の特定が行われる状況においては、貸出指示装置からの継続情報を入力している間は、貸出要求情報を入力したことに基づく遊技媒体の払出を開始することなく、継続情報を入力しなくなった場合に当該継続情報を入力している間に入力した貸出要求情報に基づく遊技媒体の払出が開始される。これにより、単位金額当たりの遊技媒体数の払出が細切れに実行されることを抑え、当該払出を良好に行うことが可能となる。
手段6.手段5において、前記払出制御手段は、前記貸出要求情報を入力したことに基づいて、遊技媒体の払出が行われるように前記払出手段を駆動制御するとともに、遊技状況が予め定められた払出遊技状況となったことに基づいて、遊技媒体の払出が行われるように前記払出手段を駆動制御する構成であり、
さらに、当該払出制御手段は、前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数の特定が前記第1特定手段により行われる状況において、前記貸出指示装置からの前記継続情報を入力している場合、前記貸出要求情報の入力が途切れたとしても、前記払出遊技状況となったことに基づく遊技媒体の払出を開始しないことを特徴とする遊技機。
手段6の遊技機では、第1特定手段にて遊技媒体数の特定が行われる場合、継続情報を入力している場合には貸出要求情報の入力が途切れたとしても、払出遊技状況となったことに基づく遊技媒体の払出は開始されない。したがって、例えば固定式の貸出指示装置が貸出要求情報を出力しようとしているにも関わらず、払出遊技状況となったことに基づく遊技媒体の払出が開始されてしまうことが抑制される。
この場合に、上記手段5の構成を備え、第2特定手段にて遊技媒体数の特定が行われる状況においては、貸出指示装置からの継続情報を入力している間は貸出要求情報を入力したことに基づく遊技媒体の払出が開始されないようにすることで、上記手段5の効果を奏する。つまり、例えば固定式の貸出指示装置からの継続情報の入力を可能とする構成を利用して、上記手段5の効果を奏することができる。
手段7.手段1乃至6のいずれか1において、前記貸出指示装置に向けて予め定められた所定の情報を出力するとともに、当該所定の情報の出力に対して前記貸出指示装置から予め定められた応答があったか否かを確認する確認手段(払出側MPU231におけるステップS2103以降の処理を実行する機能)を備え、
前記設定手段は、前記確認手段により前記所定の情報が出力されたにも関わらず前記応答が確認されなかったことに基づいて、前記貸出要求情報に対して払出対象とする遊技媒体数の特定を行う特定手段を前記第1特定手段に設定するとともに、前記確認手段により前記応答が確認されたことに基づいて、前記貸出要求情報に対して払出対象とする遊技媒体数の特定を行う特定手段を第2特定手段に設定することを特徴とする遊技機。
手段7によれば、所定の情報を出力し、それに対して貸出指示装置から応答があったか否かを確認することで、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかが設定される。これにより、遊技ホールの管理者等が設定操作を行う必要がないため、遊技ホールの管理者等にとっての利便性が向上する。
手段8.手段7において、前記確認手段による確認結果の情報を記憶する確認結果記憶手段(払出側新型対応フラグ格納エリア283)を備え、
前記設定手段は、前記確認結果記憶手段に記憶されている情報に基づいて、前記貸出要求情報の入力に対して払出対象とする遊技媒体数の特定を行う特定手段の設定を行うものであり、
さらに、前記確認手段による前記確認の実行タイミングであるか否かを定期的に特定する実行タイミング特定手段(払出側MPU231におけるステップS2102の処理を実行する機能)を備え、
前記確認手段は、前記実行タイミング特定手段により前記確認の実行タイミングであることが特定された場合に、前記確認を実行することを特徴とする遊技機。
例えば、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認が行われ、その確認結果の情報が確認結果記憶手段に記憶された後に、当該記憶された情報がノイズの影響等によりクリアされてしまうことが想定される。これに対して、手段8によれば、上記確認の実行タイミングであるか否かが定期的に特定されるため、上記設定を再度行う機会を得ることが可能となる。
手段9.手段7において、単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数を変更不可であって、一の貸出要求情報を出力することで前記第1払出数の遊技媒体の貸出の要求を行う第1貸出指示装置と、単位金額当たりで払出対象とする遊技媒体数を変更可能であって、一の貸出要求情報を出力することで第2払出数の遊技媒体の貸出の要求を行うとともに、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に応じて、単位金額当たりの貸出を要求する場合における貸出要求情報の出力回数を変更可能な第2貸出指示装置とのいずれからも貸出要求情報を入力することが可能な入力部(貸出用接続端子板143)を備え、
前記第2貸出指示装置は、前記所定の情報を入力したことに基づいて、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応した貸出要求情報の出力を可能とする構成であり、
さらに、前記確認手段による前記確認の実行タイミングであるか否かを定期的に特定する実行タイミング特定手段(払出側MPU231におけるステップS2102の処理を実行する機能)を備え、
前記確認手段は、前記実行タイミング特定手段により前記確認の実行タイミングであることが特定された場合に、前記確認を実行することを特徴とする遊技機。
第2貸出指示装置は、所定の情報を入力したことに基づいて、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応した貸出要求情報の出力を可能とする構成であるが、例えば、所定の情報を入力した後に、当該所定の情報の入力結果がクリアされてしまう異常が発生することが想定される。そうすると、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応させた貸出要求情報の出力が行われなくなってしまう。この場合であっても手段9によれば、確認手段による確認の実行タイミングであるか否かが定期的に確認され、実行タイミングであることが確認された場合には、再度、所定の情報が遊技機から出力される。よって、所定の情報の入力結果がクリアされたとしても、再度、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応させた貸出要求情報の出力が開始される機会を得ることが可能となる。
手段10.手段8又は9において、遊技機自身に動作電力が供給されている状況において予め定められた複数種の処理を繰り返し実行する繰り返し実行手段(払出側MPU231におけるタイマ割込み処理を実行する機能)を備え、
前記実行タイミング特定手段は、前記繰り返し実行手段による前記複数種の処理の一部として、前記確認手段による前記確認の実行タイミングであるか否かを特定するものであることを特徴とする遊技機。
手段10によれば、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認を、遊技機自身に動作電力が供給されている状況において定期的に実行することが可能となる。
なお、上記手段10の構成に対して以下の構成を適用してもよい。すなわち、前記外部電源からの電力供給が開始された場合に予め定められた開始時用処理を実行する開始時用処理手段(払出側MPU231におけるメイン処理を実行する機能)をさらに備えており、前記繰り返し実行手段による前記複数種の処理の実行は前記開始時用処理が完了した後に開始されるものであることを特徴とする遊技機。
手段11.手段7乃至10のいずれか1において、前記確認手段は、前記貸出指示装置に動作電力の供給が開始されて当該貸出指示装置から出力された動作開始情報(初期設定完了信号)を入力した場合に、前記所定の情報の出力を開始するものであることを特徴とする遊技機。
手段11によれば、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認の開始契機を、明確なものとすることが可能となる。
なお、上記手段9を備えた構成においては、第2貸出指示装置は、所定の情報を入力したことに基づいて、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応した貸出要求情報の出力を可能とする構成であるが、例えば、所定の情報を入力した後に、第2貸出指示装置のみに停電が発生して当該所定の情報の入力結果がクリアされてしまうことが想定される。そうすると、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応させた貸出要求情報の出力が行われなくなってしまう。この場合であっても、確認手段による確認の実行タイミングであるか否かが定期的に確認されているとともに、第2貸出指示装置に動作電力の供給が開始されて当該第2貸出指示装置から出力された動作開始情報を入力した場合に、所定の情報の出力が開始されるため、第2貸出指示装置の復電後には、再度、所定の情報が遊技機から出力される。よって、上記のように所定の情報の入力結果がクリアされたとしても、再度、設定されている単位金額当たりの遊技媒体数に対応させた貸出要求情報の出力が開始される機会を得ることが可能となる。
手段12.手段7乃至10のいずれか1において、前記確認手段は、前記貸出指示装置に動作電力の供給が開始されて当該貸出指示装置から出力された動作開始情報を入力した場合に、前記所定の情報の出力を開始するものであり、
遊技機自身に動作電力が供給されている状況において、遊技機に接続されている貸出指示装置に当該貸出指示装置において貸出指示動作をするための動作時に要される動作時用電力を供給する電力供給手段(電源及び発射制御基板221)を備えていることを特徴とする遊技機。
貸出指示装置からの動作開始情報を入力した場合に、所定の情報が出力される構成においては、遊技機にて停電が発生し、貸出指示装置にて停電が発生しない状況を想定すると、遊技機が復電したとしても貸出指示装置からの動作開始情報を入力しないことで、所定の情報の出力が開始されないおそれがある。そうすると、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定が行えなくなってしまう。これに対して、手段12によれば、遊技機自身に動作電力が供給されている状況において、遊技機に接続されている貸出指示装置に動作時用電力が供給される構成であるため、遊技機が停電した場合には貸出指示装置も動作しなくなることとなる。これにより、上記のような不都合の発生を阻止することが可能となる。
手段13.手段7乃至10のいずれか1において、前記確認手段は、前記貸出指示装置に動作電力の供給が開始されて当該貸出指示装置から出力された動作開始情報を入力した場合に、前記所定の情報の出力を開始するものであり、
遊技機自身に動作電力が供給されている状況において、遊技機に接続されている貸出指示装置に動作電力を供給する電力供給手段(電源及び発射制御基板221)を備えていることを特徴とする遊技機。
貸出指示装置からの動作開始情報を入力した場合に、所定の情報が出力される構成においては、遊技機にて停電が発生し、貸出指示装置にて停電が発生しない状況を想定すると、遊技機が復電したとしても貸出指示装置からの動作開始情報を入力しないことで、所定の情報の出力が開始されないおそれがある。そうすると、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定が行えなくなってしまう。これに対して、手段13によれば、遊技機自身に動作電力が供給されている状況において、遊技機に接続されている貸出指示装置に動作電力が供給される構成であるため、遊技機が停電した場合には貸出指示装置も停電することとなる。これにより、上記のような不都合の発生を阻止することが可能となる。
手段14.手段7乃至13のいずれか1において、前記貸出要求情報を入力したこと又は前記貸出要求情報に対する遊技媒体の払出が完了したことの少なくとも一方に基づいて、前記貸出指示装置に向けて所定信号線を通じて所定信号(貸出完了信号)を出力する構成であり、
前記確認手段は、前記所定の情報の出力を、前記所定信号線を通じた前記所定信号の出力によって行うことを特徴とする遊技機。
手段14によれば、貸出要求情報の入力に基づいて遊技媒体の払出を実行する上で遊技機から貸出指示装置に向けて出力される信号を利用して、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認を行うことができる。よって、構成の簡素化を図りつつ上記手段7等の効果を奏することができる。
手段15.手段14において、前記貸出指示装置からの前記貸出要求情報が入力可能である場合に、前記貸出指示装置に向けて入力可能情報(貸出可能信号)を出力する可能情報出力手段(MPU231における貸出可能信号を出力する機能)を備え、
前記可能情報出力手段は、前記貸出要求情報を入力したこと又は前記貸出要求情報に対する遊技媒体の払出が完了したことの少なくとも一方に基づいて前記所定信号が出力される場合には、前記入力可能情報を出力するとともに、前記確認手段によって前記所定信号が出力される場合には、前記入力可能情報を出力しないものであることを特徴とする遊技機。
手段15によれば、遊技機から貸出指示装置に向けて入力可能情報が出力されることにより、遊技機において貸出要求情報を入力することができない事情が発生している場合には貸出指示装置から貸出要求情報が出力されないようにすることができる。当該構成において、貸出要求情報の入力に基づいて遊技媒体の払出を実行する上で所定信号が出力される場合には入力可能情報が出力されるとともに、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認を行う上で所定信号が出力される場合には入力可能情報が出力されない。これにより、所定信号がいずれの理由で出力されているかを、貸出指示装置において特定させることができる。また、当該効果を、入力可能情報を出力する構成を利用して得ることができる。
手段16.手段7乃至15のいずれか1において、前記貸出要求情報の入力は、特別信号線を通じて特別信号(貸出確認信号)を入力することにより行われる構成であり、
前記確認手段は、前記所定の情報を出力した後において前記特別信号線を通じて前記特別信号を入力したことに基づいて、前記貸出指示装置からの応答があったと特定することを特徴とする遊技機。
手段16によれば、遊技媒体の貸出を実行する上で貸出指示装置から遊技機に向けて出力される信号を利用して、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認を行うことができる。よって、構成の簡素化を図りつつ上記手段7等の効果を奏することができる。
手段17.手段16において、前記貸出指示装置からの確認要請情報(貸出確認信号)を入力している場合に、前記貸出要求情報として前記特別信号線を通じて前記特別信号を入力する構成であり、
前記確認手段は、前記所定の情報を出力した後において前記確認要請情報を入力していない状況で前記特別信号線を通じて前記特別信号を入力したことに基づいて、前記貸出指示装置からの応答があったと特定することを特徴とする遊技機。
手段17によれば、貸出要求情報の入力に基づいて遊技媒体の払出を実行する上で特別信号が遊技機に入力される場合にはそれに合わせて貸出指示装置からの確認要請情報が遊技機に入力されるとともに、貸出要求情報の入力に対する遊技媒体数の特定を第1特定手段又は第2特定手段のいずれに行わせるかの設定の確認を行う上で特別信号が遊技機に入力される場合には貸出指示装置からの確認要請情報が遊技機に入力されない。これにより、特別信号がいずれの理由で出力されているかを、遊技機において特定することができる。
手段18.手段1乃至17のいずれか1において、前記第1特定手段又は前記第2特定手段にて特定された遊技媒体数の情報を記憶する媒体数情報記憶手段(貸出数記憶エリア265)と、
当該媒体数情報記憶手段に記憶されている情報に対応した遊技媒体数が払い出されるように前記払出手段を制御する払出制御手段(払出側MPU231における払出個数設定処理及び払出制御処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
手段18によれば、第1特定手段又は第2特定手段にて特定された遊技媒体数の払出が実行される。
なお、上記各手段によれば以下の課題を解決可能である。
遊技機の一種であるパチンコ遊技機においては、貸出指示装置と接続されたものが知られている。貸出指示装置は紙幣やプリペイドカード等を投入可能に構成されており、例えば、当該貸出指示装置に紙幣やプリペイドカード等を投入した状態で、パチンコ遊技機に設けられた貸出ボタンを操作することにより、パチンコ遊技機から所定個数の遊技球が貸し出されるようになっている。この遊技球の貸し出しは、制御装置が払出モータを駆動制御することにより行われる。具体的には、貸出指示装置から制御装置へ貸出要求用の信号が出力され、制御装置ではその貸出要求用の信号を入力することで、単位金額当たり(例えば、100円)の個数(例えば、25個)の遊技球が貸し出されるように払出モータを駆動制御する。
ここで、パチンコ遊技機が多数設置された遊技ホールにおいては、例えば、他の遊技ホールとの差別化を図るべく、単位金額当たりの遊技球の貸出数を従来定められているものから増やしたい又は減らしたいと考えることが想定される。例えば、遊技球の貸出数を従来定められているものから増やすことで、遊技者にとっては同じ金額で従来よりも多数の遊技球の貸出を受けることが可能となり、少ない金額で長時間の遊技を行うことが可能となる。しかしながら、従来の貸出に関する構成では上記のとおり貸出指示装置から制御装置に出力される貸出要求用の信号に対して遊技球の貸出数が定められており、単位金額当たりの貸出数を自由に増減させることができなかった。
これに対して、貸出指示装置及び制御装置の構成をそれぞれ改良することで、単位金額当たりの遊技球の貸出数を変更可能なものとすることが考えられる。貸出指示装置及び制御装置の構成をそれぞれ改良することで、例えば、単位金額当たりの遊技球の貸出数を端数が生じる数としたとしても、貸出指示装置から制御装置への貸出の要求においては端数が生じないように貸出指示装置側で調整することが可能となり、制御装置においてはそれに対応した貸出数の遊技球が払い出されるように払出モータを駆動制御することが可能となる。
しかしながら、貸出指示装置を上記のように改良されたものとするか否かは、遊技ホール毎に異なっているため、改良された貸出指示装置に対応させて制御装置を改良すると、従来の貸出指示装置を使用している遊技ホールにおいて当該パチンコ遊技機が使用できないといった新たな問題が生じてしまう。
なお、上記問題は、貸出指示装置と接続され、当該貸出指示装置からの貸出要求に基づいて遊技媒体の貸出を行う他の遊技機においても同様に発生する問題である。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、図2に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
外枠11の側方には図1に示すように、貸出指示装置(例えばCRユニット)19が設けられている。貸出指示装置19の前面側にはカード挿入口19aが設けられ、そのカード挿入口19aへの磁気カードの挿入により磁気カードに記憶された金額に相当する数の遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。なお、遊技球の貸し出しを受ける上で貸出指示装置19に挿入されるものは磁気カードに限定されることはなく、現金であってもよく、また現金情報が記憶されたコインであってもよい。
遊技機本体12は、内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の上部には、図2に示すように、前扉枠14が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する前扉枠開放スイッチ(前面体開放検知手段)22が設けられている。前扉枠開放スイッチ22は、樹脂ベース21の前面から出没可能なピンを有しており、内枠13に対して前扉枠14を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠14の閉鎖が検知され、内枠13に対して前扉枠14を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠14の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、前扉枠開放スイッチ22は、前扉枠14が開放状態の場合に後述する主制御装置91に対して前扉枠開放信号としてHIレベル信号を出力し、前扉枠14が閉鎖状態の場合にはLOWレベル信号を出力する。但し、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
樹脂ベース21の中央部には略楕円形状の窓孔23が形成されている。樹脂ベース21には遊技盤24が着脱可能に取り付けられている。遊技盤24は合板よりなり、遊技盤24の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース21の窓孔23を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤24の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤24には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31,可変入賞装置32,上作動口33,下作動口34,スルーゲート35及び可変表示ユニット36等がそれぞれ設けられている。
一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33,34に遊技球が入ると、それが遊技盤24の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤24の最下部にはアウト口37が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口37を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤24には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘38が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット36には、作動口33,34への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置41が設けられている。また、可変表示ユニット36には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の上部には、第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44が設けられている。また、センターフレーム42の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部45,46が設けられている。下側の保留ランプ部45は、図柄表示装置41及び第1特定ランプ部43に対応しており、遊技球が作動口33,34を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部46は、第2特定ランプ部44に対応しており、遊技球がスルーゲート35を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部43では、作動口33,34への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部44では、遊技球のスルーゲート35への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には下作動口34に付随する電動役物34aが所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤24には、内レール部51と外レール部52とが取り付けられており、これら内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構53から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構53は、図2に示すように、樹脂ベース21における窓孔23の下方に取り付けられており、前扉枠14に設けられた発射ハンドル54が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部61が形成されている。窓部61は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス62が嵌め込まれている。窓部61の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。当該各種ランプ部の一部としてエラー表示ランプ部63が窓部61の上方に設けられている。また、エラー表示ランプ部63の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部64が設けられている。
前扉枠14における窓部61の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部65と下側膨出部66とが上下に並設されている。上側膨出部65には、図1に示すように、貸出操作装置71が配設されている。貸出操作装置71には貸出ボタン72と、返却ボタン73と、度数表示部74とが設けられている。貸出指示装置19に磁気カードを挿入した状態で、貸出操作装置71によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、貸出ボタン72は、磁気カード(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、磁気カードに残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン73は、貸出指示装置19に挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部74はカード等の残額情報を表示するものである。
また、上側膨出部65内側には上方に開口した上皿81が設けられており、下側膨出部66内側には同じく上方に開口した下皿82が設けられている。上皿81は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構53側へ導くための機能を有する。また、下皿82は、上皿81内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
ここで、本パチンコ機10では、前扉枠14に対して窓部61、上皿81、及び下皿82が一体化されている。従来のパチンコ機においては、少なくとも窓部と下皿とがそれぞれ別ユニットとして設けられており、窓部が下皿に対して独立して回動可能となっていたため、パチンコ機の前面部には上記各ユニット間に境界が生じていた。この場合、当該境界から不正用治具などを挿入して行う不正行為が想定される。また、かかる不正行為を抑制すべく各ユニット間の境界に対して不正抑制構造を設けることもできるが、そうすると構成の複雑化を招いてしまう。さらに、パチンコ機の前面部において境界が生じるのは、デザイン上好ましくない。これに対して、上記のとおり前扉枠14に対して窓部61、上皿81及び下皿82が一体化されているので、窓部61と下皿82との間に境界が生じることはなく、上記不都合が抑制される。
上皿81及び下皿82には、裏パックユニット15の払出装置114(図6参照)から払い出された遊技球が前扉枠14の背面に設けられた通路形成ユニット83を通じて排出される。通路形成ユニット83は、図5に示すように、上皿81に通じる前扉側上皿通路84と、下皿82に通じる前扉側下皿通路85とが形成されている。
前扉側上皿通路84及び前扉側下皿通路85は、それぞれ内枠13に設けられた各内枠側通路(図示略)に連通されている。また、これら各内枠側通路は、裏パックユニット15に設けられた払出装置114に連通されている。この場合に、裏パックユニット15において、払出装置114の下流側には遊技球振分部が設けられており(図示略)、上皿81が満タン状態となり遊技球振分部の位置から上皿81の入口まで遊技球が充填された状態となった場合に、それ以降に払出装置114から払い出された遊技球が遊技球振分部にて下皿82側に振り分けられる。
前扉枠14を内枠13に対して前方に回動させる場合には、前扉側上皿通路84及び前扉側下皿通路85が各内枠側通路から離間されることとなる。この場合に、各内枠側通路は内枠13に設けられた開閉部材86によって閉鎖される。開閉部材86は、図2に示すように、その下端に設けられた支軸87により前後方向に回動可能に支持されており、さらに各内枠側通路を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材86が図示の如く起き上がり、各内枠側通路を閉鎖する。なお、前扉枠14を閉鎖した状態では、前扉枠14の通路形成ユニット83により開閉部材86が付勢力に抗して押し開けられる。
通路形成ユニット83には、図5に示すように、前扉側下皿通路85を通る遊技球を検知するように満タン検知センサ88が設けられている。満タン検知センサ88は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、満タン検知センサ88は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
満タン検知センサ88は裏パックユニット15の払出制御装置141(図6参照)に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
払出制御装置141では、満タン検知センサ88の検知結果に基づいて下皿82が満タン状態であるか否かを特定し、下皿82が満タン状態であると特定した場合、払出装置114による遊技球の払出を停止する。これにより、下皿82が満タン状態となり、前扉側下皿通路85において満タン検知センサ88の位置まで遊技球が連なった場合には、それ以上の遊技球の払出が停止される。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。なお、以下の説明では、図3に加え図6を適宜参照する。図6は裏パックユニット15の正面図である。
図3に示すように、内枠13(具体的には、遊技盤24)の背面には、主制御装置91及び音声ランプ制御装置92が搭載されている。主制御装置91は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス93に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置92は、主制御装置91からの指示に従い音声やランプ表示、及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス94に収容されて構成されている。
裏パックユニット15は、図6に示すように、裏パック101を備えており、当該裏パック101に対して、払出機構部102及び制御装置集合ユニット103が取り付けられている。裏パック101は透明性を有する合成樹脂により形成されており、音声ランプ制御装置92などを後方から覆うように、後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部104を有している。
払出機構部102は、保護カバー部104を迂回するようにして配設されている。払出機構部102には、裏パック101の最上部に配置され遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク111と、タンク111の下方から下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール112と、タンクレール112の下流側に連結され上下方向に延びるケースレール113と、ケースレール113の最下流部に設けられた払出装置114と、を備えている。
ケースレール113には、当該ケースレール113内の通路を通じてタンク111から払出装置114まで連なった遊技球を検知するように球無検知センサ115が設けられている。球無検知センサ115は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、球無検知センサ115は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
球無検知センサ115は払出制御装置141に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
払出制御装置141では、球無検知センサ115の検知結果に基づいてタンク111が球無状態であるか否かを特定し、タンク111が球無状態であると特定した場合、払出装置114による遊技球の払出を停止する。これにより、タンク111が球無状態であるにも関わらず、払出装置114が動作し続けることが防止される。
また、ケースレール113には、球抜き操作スイッチ116が設けられている。例えば、タンク111に貯留されている遊技球のパチンコ機10外への排出に際して、ケースレール113にある遊技球も全て排出する場合に球抜き操作スイッチ116が押され、ケースレール113及びその下流側に貯留されている遊技球の排出が可能となる。
払出装置114では遊技球の払出が実行される。ここで、払出装置114の構成について図7を用いて説明する。図7は払出装置114内部に形成された通路構造を示す縦断面図である。なお、図7では払出装置114内部を流下する遊技球を二点鎖線で示す。
払出装置114のハウジング121には、ケースレール113から供給される遊技球が通過する遊技球通路122が形成されている。遊技球通路122の中間部分には通路幅が左右に広がった収容部123が設けられており、当該収容部123に回転体124が収容されている。回転体124はその中心が払出モータ125の出力軸125aに固定されている。払出モータ125は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸125aは所定方向(図7で見て時計回り方向又は反時計回り方向)に回転駆動される。出力軸125aは、1パルスの駆動信号を与えることにより1step進み、360パルスの駆動信号を与えることにより1回転するように設定されている。回転体124の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部124aが形成されている。遊技球通路122を流下してきた遊技球が回転体124の凹部124aに到達すると、当該遊技球は回転体124の回転に伴って下流側に導出される。
遊技球通路122には、収容部123よりも下流側の位置に略平板状をした払出球検知センサ126が設置されている。払出球検知センサ126は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、貫通孔を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。払出球検知センサ126は払出制御装置141と電気的に接続されており、払出制御装置141は当該払出球検知センサ126によって、回転体124の下流側へと導出された遊技球の数が確認できるようになっている。払出装置114から払い出された遊技球は、既に説明したように、上皿81又は下皿82に排出される。
なお、図示による説明は省略するが、上記遊技球通路122は入口側が2列となるように形成されているのに対して、出口側が1列となるように形成されている。そして、回転体124は、2列の入口側の通路に対して個別に設けられている。この場合、凹部124aは、一の通路についてそれぞれ180°間隔で形成されているが、一対の通路間では、その凹部124aの位置が相互に90°ずらして形成されている。したがって、上記のように入口側の通路が2列並設された構成であっても、各入口側の通路からは出口側の通路に対して1個の遊技球が交互に払い出される。その交互に払い出される遊技球の払出周期は、払出モータ125の駆動速度に応じて一定となる。そして、その1個ずつ交互に払い出される遊技球は出口側の通路に設けられた払出球検知センサ126により検知される。
払出機構部102には、図6に示すように、裏パック基板131が設置されている。裏パック基板131には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ132の切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
裏パック101には、その右上部に外部端子板133が設けられている。外部端子板133には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。
また、裏パック101には、外部端子板133よりも外側に、内枠13が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する内枠開放スイッチ134が設けられている。外枠11に対して内枠13を閉じた状態では当該スイッチ134の金属接点が閉じて内枠13の閉鎖が検知され、外枠11に対して内枠13を開いた状態では金属接点が開いて内枠13の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、内枠開放スイッチ134は、内枠13が開放状態の場合に主制御装置91に対して内枠開放信号としてHIレベル信号を出力し、内枠13が閉鎖状態の場合にはLOWレベル信号を出力する。但し、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
裏パック101の下端に制御装置集合ユニット103が取り付けられている。制御装置集合ユニット103は、払出制御装置141と電源及び発射制御装置142と貸出用接続端子板143とを備えている。これら払出制御装置141と電源及び発射制御装置142と貸出用接続端子板143は、払出制御装置141及び貸出用接続端子板143がパチンコ機10後方となり電源及び発射制御装置142がパチンコ機10前方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置141は、払出装置114を制御する払出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス144に収容されて構成されている。また、払出制御装置141には状態復帰スイッチ145が設けられている。例えば、払出装置114における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ145が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。また、払出制御基板には7セグ表示器146が搭載されており、内枠13を外枠11に対して開放することで、基板ボックス144を通じて7セグ表示器146の表示内容が視認可能となっている。
電源及び発射制御装置142は、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されるとともに遊技者による発射ハンドル54の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御を行う電源及び発射制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス147に収容されて構成されている。また、電源及び発射制御装置142にはRAM消去スイッチ148が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ148を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
貸出用接続端子板143は、貸出指示装置19、払出制御装置141及び貸出操作装置71に電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置141に出力するものである。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図8のブロック図に基づいて説明する。図8では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置91に設けられた主制御基板201には、主制御回路202と停電監視回路203(電断監視回路)とが設けられている。主制御回路202には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU211が搭載されている。
MPU211には、当該MPU211により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM212(不揮発性記憶手段)と、そのROM212内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM213(揮発性記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、MPU211、ROM212及びRAM213の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置142に設けられた電源及び発射制御基板221から記憶保持用電力が供給されて情報が記憶保持される構成となっている。
MPU211には入出力ポートが設けられており、MPU211において入出力が適宜変更されるようになっている。なお、入力ポートと出力ポートとをそれぞれ個別に有する構成としてもよい。これは、後述する他のMPUにおいても同様である。
MPU211の入力側には、主制御基板201に設けられた停電監視回路203、払出制御装置141に設けられた払出制御基板222及びその他図示しないセンサ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路203には電源及び発射制御基板221が接続されており、MPU211(主制御回路202)には停電監視回路203を介して電力が供給される。また、スイッチ群の一部として、作動口33,34及び可変入賞装置32などといった入球部に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置91のMPU211において入球部への入球判定が行われる。また、MPU211では、入球部のうち、作動口33,34への入球に基づいて大当たり発生判定を実行する。
ここで、MPU211にて大当たり発生判定を行う上での電気的な構成について図9を用いて説明する。
MPU211は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部43の発光色の設定や、図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置41の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部43に表示される色の切り替えを行う期間及び図柄表示装置41における図柄の変動表示時間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、外れ図柄の組み合わせの設定に使用する外れ図柄カウンタC4とを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタC4は、MPU211内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM213の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM213には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納バッファが設けられており、これらの各エリアには、作動口33,34への遊技球の入球履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動口33,34に入球したタイミングでRAM213の保留球格納バッファに格納される。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が作動口33,34に入球したタイミングでRAM213の保留球格納バッファに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が作動口33,34に入球したタイミングでRAM213の保留球格納バッファに格納される。
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。
第1変動種別カウンタCS1によってリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置41の表示態様が決定される。また、第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部43に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。この切替表示時間は、図柄表示装置41の図柄の変動表示時間に相当する。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部43に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置41による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
外れ図柄カウンタC4は、大当たり抽選が外れとなった時に左列図柄、中列図柄、右列図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、所定範囲のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタC4は通常処理内で更新され、外れ図柄カウンタC4の値が、RAM213の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
図8の説明に戻り、MPU211の出力側には、停電監視回路203、払出制御基板222及び中継端子板223が接続されている。払出制御基板222には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板223を介して主制御回路202から音声ランプ制御装置92に設けられた音声ランプ制御基板224に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路203は、主制御回路202と電源及び発射制御基板221とを中継し、また電源及び発射制御基板221から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御回路202に停電信号を送信する。
払出制御基板222は、払出装置114により賞球などの払出制御を行うものである。演算装置である1チップマイコンとしてのMPU231は、そのMPU231により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM232と、ワークメモリ等として使用されるRAM233とを備えている。なお、MPU231、ROM232及びRAM233の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
払出制御基板222のMPU231には、入出力ポートが設けられている。MPU231の入力側には、主制御回路202、電源及び発射制御基板221、及び裏パック基板131が接続されている。また、MPU231の出力側には、主制御回路202及び裏パック基板131が接続されている。
電源及び発射制御基板221は、電入時用電源部221aと発射制御部221bとを備えている。電入時用電源部221aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路202や払出制御基板222等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路202や払出制御基板222等に対して供給する。その概要としては、電入時用電源部221aは、裏パック基板131を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種センサやモータ等を駆動するための+12V電源となる電力、ロジック用の+5V電源となる電力などを生成し、これら+12V電源となる電力、+5V電源となる電力を主制御回路202や払出制御基板222等に対して供給する。
発射制御部221bは、遊技者による発射ハンドル54の操作にしたがって遊技球発射機構53の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構53は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板221には、電断時用電源部221cが搭載されている。電断時用電源部221cはコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)に電入時用電源部221aから供給される電力により充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、電断時用電源部221cから放電され主制御基板201のRAM213に対して記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、電断時用電源部221cから記憶保持用電力が供給されている間はRAM213に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
ちなみに、電断時用電源部221cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM213に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、電断時用電源部は、コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
また、電源及び発射制御基板221には、上記電断時用電源部221cとは異なる停電時処理用電源部が設けられている。電源及び発射制御基板221では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用電源部から放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御回路202などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
音声ランプ制御基板224は、エラー表示ランプ部63やスピーカ部64、及び表示制御装置225を制御するものである。演算装置であるMPU241は、そのMPU241により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM242と、ワークメモリ等として使用されるRAM243とを備えている。
音声ランプ制御基板224のMPU241には入出力ポートが設けられている。MPU241の入力側には中継端子板223に中継されて主制御回路202が接続されており、主制御回路202から出力される各種コマンドに基づいて、エラー表示ランプ部63、スピーカ部64、及び表示制御装置225を制御する。表示制御装置225は、音声ランプ制御基板224から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
次に、主制御基板201のMPU211により実行される各制御処理を図10〜図12のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるMPU211の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図10は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路203からMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM213に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグを格納し、本処理を終了する。
次に、タイマ割込み処理について図11のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34及びスルーゲート35に対して個別に設けられた球検知センサからの信号の読み込み処理を実行し、その読み込み結果から各入球部への入球の有無を特定する。具体的には、当該読み込み処理では、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(例えば、LOWレベル信号)を確認し、その後の2回の処理にて遊技球を検知していることに対応した信号(例えば、HIレベル信号)を連続して確認した場合に、その検知センサに対応した入球部において遊技球の入球が発生したと特定する。
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行する。
始動入賞処理では、図12のフローチャートに示すように、先ずステップS301にて、RAM213の作動口フラグ格納エリアに作動口フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口33,34に入賞(始動入賞)したか否かを判定する。遊技球が作動口33,34に入賞したと判定すると、続くステップS302において、第1特定ランプ部43及び図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口33,34への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1加算する。なお、ステップS303の処理後に作動口フラグを消去する。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM213の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、MPU211は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS401では、電源投入に伴う立ち上げ処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板222等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば500msec程度待機する。
続くステップS402では、ステップS401の立ち上げ処理後から許可禁止用期間である1secが経過したか否かを判定する。1secが経過していない場合にはステップS402の処理を再度実行する。この時間の測定は、ステップS402の処理回数をカウントすることにより行われる。例えば、ステップS402にて否定判定してから再度ステップS402の処理を実行するまでに要する時間が0.1msecである場合には、カウント値が10000回となることで、ステップS401の立ち上げ処理後から1sec経過したと判定する。なお、時間の測定の具体的な構成は任意であり、例えばリアルタイムクロックを用いて時間の測定を行うようにしてもよい。ステップS402にて1sec経過したと判定した場合には、ステップS403に進む。
ステップS403では、RAM213のアクセスを許可する。その後、ステップS404では、電源及び発射制御装置142に設けられたRAM消去スイッチ148がオンされているか否かを判定し、続くステップS405ではRAM213の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS406ではRAM判定値を算出し、続くステップS407では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ148を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ148が押されていれば、ステップS408〜S409の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS408〜S409の処理に移行する。
ステップS408では、RAM213の使用領域を0にクリアし、ステップS409ではRAM213の初期化処理を実行する。その後、ステップS410にて払出制御基板222に初期コマンドを出力するとともに、ステップS411にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。払出制御基板222のMPU231では主制御基板201から初期コマンドを入力することで、主制御基板201との通信が正常に行われていることを認識する。
一方、RAM消去スイッチ148が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS412にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS410にて初期コマンドを出力するとともにステップS411にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S510の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS511,S512のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。続くステップS502では、外れ図柄カウンタC4の更新を実行する。外れ図柄カウンタC4の更新処理では、先ず外れ図柄カウンタC4の更新を実行し、その更新した外れ図柄カウンタC4の値が、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組み合わせ、前後外れ以外リーチ図柄の組み合わせ、リーチとならない完全外れ図柄の組み合わせのいずれであるかが判定され、それぞれに対応したバッファ内に格納される。
外れ図柄カウンタC4の更新処理の後は、ステップS503にて第1特定ランプ部43に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部43に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置41による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類及び大当たり図柄の組み合わせの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判定された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組み合わせの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されエリア内に格納された図柄の組み合わせを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、第1特定ランプ部43に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部43のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS504にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。
その後、ステップS505では、第2特定ランプ部44に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ部制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部44における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。また、既に取得されている第2特定ランプ乱数カウンタの値に基づいて停止表示する色を設定する。この停止表示される色として所定の色が設定された場合には、その色の停止表示後に、下作動口34に付随する電動役物34aが所定時間開放される。
ステップS505の後は、ステップS506にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板221の発射制御部221bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構53を動作させる。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
ステップS506の後は、ステップS507にて入力状態監視処理を実行し、ステップS508にて払出用出力処理を実行する。これらの処理については後に詳細に説明する。その後、ステップS509にて、RAM213に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS510にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS511では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM213の該当するエリアに格納する。また、ステップS512では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM213の該当するエリアに格納する。
一方、ステップS509にて、停電フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS513以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS513では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS514にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS515にてRAM213のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技球の払出に関する電気的構成>
次に、遊技球の払出に関する電気的構成及び処理構成について詳細に説明する。なお、本パチンコ機10では、可変入賞装置32などへの入賞に基づいて遊技球の払出が実行されるとともに、貸出操作装置71が操作されたことに基づいて遊技球の払出が実行される。以下の説明では、先ず前者の状況について詳細に説明し、その後、後者の状況について詳細に説明する。
遊技球の払出に関する電気的構成について、図15のブロック図を参照しながら説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御基板201と払出制御基板222とはハーネスなどの複数の信号線(電気配線)を介して電気的に接続されており、主制御基板201から払出制御基板222に指令情報としてのコマンドが出力されるとともに、払出制御基板222から主制御基板201には各種の電気信号が出力される。
主制御基板201のMPU211は入出力ポート211aを備えており、当該入出力ポート211aにおいて払出制御基板222から賞球許可信号を含めた各種の電気信号を入力するとともに各種センサ等からの電気信号を入力する。なお、賞球許可信号の詳細については後に説明する。また、MPU211は入出力ポート211aにおいて、前扉枠開放スイッチ22及び内枠開放スイッチ134からの電気信号などが入力される。
なお、前扉枠開放スイッチ22及び内枠開放スイッチ134から出力された電気信号は、電源及び発射制御基板221と払出制御基板222とに中継された後に主制御基板201に入力される。この場合、払出制御基板222においては、これら前扉枠開放スイッチ22及び内枠開放スイッチ134からの電気信号を中継するだけであり、払出制御基板222のMPU231には入力されない。これは電源及び発射制御基板221についても同様である。
主制御基板201のRAM213の構成について説明する。
主制御基板201のRAM213には個別に情報を記憶する手段としての賞球用カウンタエリア251が設けられている。賞球用カウンタエリア251には、15個賞球用カウンタエリアと、10個賞球用カウンタエリアと、4個賞球用カウンタエリアと、3個賞球用カウンタエリアとが設けられている。
ここで、本パチンコ機10には既に説明したように、賞球用入球部(又は賞払出用通過部)として、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33及び下作動口34が設けられており、各賞球用入球部ごとに入球に対する賞球個数(払い出される遊技球の個数)が異なっている。具体的には、一般入賞口31に入球した場合の賞球個数は10個であり、可変入賞装置32に入球した場合の賞球個数は15個であり、上作動口33に入球した場合の賞球個数は3個であり、下作動口34に入球した場合の賞球個数は4個である。
当該構成において、15個賞球用カウンタエリアは可変入賞装置32への入球に対する15個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり、10個賞球用カウンタエリアは一般入賞口31への入球に対する10個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり、4個賞球用カウンタエリアは下作動口34への入球に対する4個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり、3個賞球用カウンタエリアは上作動口33への入球に対する3個賞球をあと何回行うかを記憶するものである。各賞球用カウンタエリアは、それぞれ1バイトで構成されており、賞球の未実施回数を最大で255回まで覚えることができる。
なお、上記賞球個数パターンは一例であり、各個数は任意である。また、賞球数のパターンも上記の4種類に限定されることはなく、2種類、3種類又は5種類以上であってもよい。また、各賞球用カウンタエリアは1バイトに限定されることはなく、2バイト又は3バイト以上であってもよい。さらには各賞球用カウンタエリアに記憶可能な賞球の未実施回数は、最大で255回であることは必須ではなく、複数回が記憶可能であれば、255回よりも少なく又は多くてもよい。
主制御基板201のMPU211では、賞球用カウンタエリア251に記憶されている情報(賞情報)に基づいて、入賞発生の有無を判定し、入賞発生有りと判定した場合にはその入賞の種類に対応した賞球コマンドを払出制御基板222に出力する。なお、賞球コマンドは、主制御基板201のROM212のコマンド記憶エリア212aに予め記憶されている。
賞球コマンドとしては、15個賞球コマンドと、10個賞球コマンドと、4個賞球コマンドと、3個賞球コマンドとが設定されている。15個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には15個賞球コマンドが出力され、10個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には10個賞球コマンドが出力され、4個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には4個賞球コマンドが出力され、3個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には3個賞球コマンドが出力される。
各賞球コマンドは2バイトで構成されている。すなわち、各賞球コマンドは上位情報と下位情報とを備えており、それら各情報はそれぞれ1バイトで構成されている。これら上位情報及び下位情報のうち、上位情報には払出制御基板222のMPU231において本コマンドが賞球コマンドであることを特定するための情報が設定されており、下位情報には払出制御基板222のMPU231において本賞球コマンドの賞球数の情報が設定されている。
その他、主制御基板201のRAM213には、前扉枠カウンタエリア252、賞球許可カウンタエリア253及び各種フラグ格納エリア254が設けられている。前扉枠カウンタエリア252は、主制御基板201のMPU211において前扉枠14の開閉の有無を判定する場合に用いられる。また、賞球許可カウンタエリア253は、主制御基板201のMPU211において賞球許可信号に関する処理を実行する上で用いられる。また、各種フラグ格納エリア254は、主制御基板201のMPU211において各種の制御処理を実行する上で用いられる。
払出制御基板222は払出装置114と電気的に接続されており、払出制御基板222のMPU231は、払出モータ125に駆動信号を出力するとともに、払出球検知センサ126から遊技球の検知の有無を示す電気信号を入力する。
また、払出制御基板222のMPU231は、満タン検知センサ88及び球無検知センサ115から電気信号を入力し、下皿82が満タン状態となっているか否かの特定や、タンク111が球無状態となっているか否かの特定を行う。これら満タン検知センサ88及び球無検知センサ115のうち満タン検知センサ88から出力された電気信号は、電源及び発射制御基板221に中継された後に払出制御基板222に入力される。なお、払出制御基板222のMPU231は、下皿82が満タン状態となっているか否かの特定結果を主制御基板201のMPU211に出力する。これにより、下皿82が満タン状態となっているか否かを主制御基板201のMPU211において把握することができるようになっている。
払出制御基板222のRAM233の構成について説明する。
払出制御基板222のRAM233には満タンカウンタエリア261が設けられている。満タンカウンタエリア261は、払出制御基板222のMPU231において下皿82が満タン状態であるか否かを特定する上で用いられる。また、払出制御基板222のRAM233には球無カウンタエリア262が設けられている。球無カウンタエリア262は、払出制御基板222のMPU231においてタンク111が球無状態であるか否かを特定する上で用いられる。また、払出制御基板222のRAM233にはコマンド格納エリア263が設けられている。コマンド格納エリア263は、主制御基板201のMPU211から入力した賞球コマンドを一時的に格納しておく上で用いられる。
また、払出制御基板222のRAM233には賞球数記憶エリア264が設けられている。賞球数記憶エリア264は、複数のビット(8ビット)が列状に並べられてなる1バイトで構成されており、各ビットには「0」(データ0又は無情報)又は「1」(データ1又は有情報)が設定される。そして、賞球数記憶エリア264は、払出制御基板222のMPU231において賞球コマンドを解析することで特定した賞球数の情報を記憶しておくための機能を有している。この場合、賞球数の情報(賞球数情報又は賞払出数情報)は、所定の遊技媒体数の範囲内において各ビットのデータ1の設定パターンと遊技媒体数とが1対1で対応した情報である。具体的には、下位のビットから上位のビットに向けて予め定められた順序で各ビットに「1」(データ1又は有情報)が設定され、上位側のビットに「1」が設定されているほど対応する賞球数が大きい数となるように2進数で表される情報である。なお、賞球コマンドから賞球数の情報を特定する場合には、払出制御基板222のROM232に設けられた賞球テーブル記憶エリア232aが参照される。
また、払出制御基板222のRAM233には貸出数記憶エリア265が設けられている。貸出数記憶エリア265は、1バイトで構成されており、払出制御基板222のMPU231において貸出指示装置19から入力した貸出数の情報を記憶しておくための機能を有している。また、払出制御基板222のRAM233には払出個数カウンタエリア266が設けられている。払出個数カウンタエリア266は、1バイトで構成されており、払出制御基板222のMPU231において遊技球の払出を実行する上での実行エリアとしての機能を有する。
なお、賞球数記憶エリア264、貸出数記憶エリア265及び払出個数カウンタエリア266は、1バイトに限定されることはなく、2バイト又は3バイト以上であってもよい。また、これら各エリア264〜266が同一のバイト数である必要はない。
その他、払出制御基板222のRAM233には各種フラグ格納エリア267が設けられている。各種フラグ格納エリア267は、払出制御基板222のMPU231において各種の制御処理を実行する上で用いられる。
なお、払出制御基板222のRAM233には、上記各エリア261〜267の他に、主制御基板201のMPU211からコマンドを入力した場合にそのコマンドを一時的に格納しておくためのリングバッファが設けられている。リングバッファは複数の記憶領域を備えているとともに、読み込みポインタと読み出しポインタとが設定されている。読み込みポインタに基づき各記憶領域にコマンドが順次読み込まれていくとともに、読み出しポインタに基づき各記憶領域に記憶されたコマンドが順次読み出されていく。
電源及び発射制御基板221の電入時用電源部221aからの電力は、主制御基板201のMPU211のVCC端子、及び払出制御基板222のMPU231のVCC端子に供給される。VCC端子に供給された電力により、外部電源からの電力供給が行われている状況において、各MPU211,231にて各種制御処理が実行されるとともに、各RAM213,233にて情報の記憶保持が行われる。
また、電源及び発射制御基板221の電断時用電源部221cからの電力は、主制御基板201のMPU211のVBB端子に供給される。つまり、電断時用電源部221cからの電力は、主制御基板201のRAM213に供給されるが、払出制御基板222のRAM233には供給されない。VBB端子に供給された電力により、外部電源からの電力供給が遮断されている状況において、主制御基板201のRAM213にて情報の記憶保持が行われる。なお、既に説明したように、電入時用電源部221a及び電断時用電源部221cから主制御基板201のMPU211に供給される電力は、停電監視回路203にて中継される。また、払出制御基板222のVBB端子(図示略)は、アースされている又はいずれの信号線とも接続されていない。
<遊技球の払出に関する処理構成であって主制御基板201のMPU211における処理構成>
次に、遊技球の払出に関する処理構成について説明する。なお、以下の説明では、主制御基板201のMPU211を主側MPU211といい、払出制御基板222のMPU231を払出側MPU231という。また、主制御基板201のRAM213を主側RAM213といい、払出制御基板222のRAM233を払出側RAM233という。
先ず、主側MPU211における処理構成について説明する。なお、以下の説明において、カウンタエリアの値とは、バイト単位で構成されたカウンタエリアの値を仮想的に10進数で表現した値のことをいう。
<入力状態監視処理>
先ず、通常処理(図14)のステップS507にて実行される入力状態監視処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
入力状態監視処理では、先ずステップS601にて、入出力ポート211aから入力情報を取得する。具体的には、主側MPU211に設けられた1バイト単位の汎用レジスタに、入出力ポート211aの入力情報を格納する。
続くステップS602では、遊技球の払出に関して異常が発生しているか否かを特定するための払出異常信号監視処理を実行する。詳細には、払出異常信号監視処理では、払出制御基板222から異常信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、払出異常の発生を主制御基板201の主側MPU211において特定する。そして、払出異常の発生を特定した場合には、音声ランプ制御基板224に払出異常コマンド(払出異常情報)を出力し、異常報知を実行させる。
続くステップS603では、下皿82が満タン状態となっているか否かを特定するための満タン信号監視処理を実行する。詳細には、満タン信号監視処理では、払出制御基板222から満タン信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、下皿82が満タン状態であることを主制御基板201の主側MPU211において特定する。そして、下皿82が満タン状態であることを特定した場合には、音声ランプ制御基板224に満タン状態コマンド(満タン状態情報)を出力し、満タン報知を実行させる。
続くステップS604では、内枠13が開放状態となっているか否かを特定するための内枠開放信号監視処理を実行する。詳細には、内枠開放信号監視処理では、内枠開放スイッチ134から内枠開放信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、内枠13が開放状態であることを主制御基板201の主側MPU211において特定する。そして、内枠13が開放状態であることを特定した場合には、音声ランプ制御基板224に内枠開放状態コマンド(本体開放報知用情報)を出力し、本体開放報知を実行させる。
その後、ステップS605にて前扉枠開放信号監視処理を実行するとともに、ステップS606にて賞球許可信号監視処理を実行した後に、本入力状態監視処理を終了する。
<前扉枠開放信号監視処理>
次に、上記ステップS605の前扉枠開放信号監視処理について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。
ここで、前扉枠開放信号監視処理は、(1)前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合の処理、(2)前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理、(3)前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合の処理、(4)前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでの処理、に大別される。そこで、これら状況の処理を個別に説明する。
先ず、上記(1)の前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合の処理について説明する。
先ずステップS701では、前扉枠14が開放状態であることを示す前扉枠開放信号を入力している旨の前扉枠開放情報が汎用レジスタに格納されているか否かを判定する。今回は前扉枠14が閉鎖状態である場合であるため、ステップS701にて否定判定をし、ステップS702に進む。
ステップS702では、主側RAM213の前扉枠カウンタエリア252における第1前扉枠カウンタエリア(開放特定契機把握用手段)に、開放特定基準回数を格納する。具体的には、前扉枠カウンタエリア252に「3」を格納する。第1前扉枠カウンタエリアは、閉鎖状態の前扉枠14が開放状態となった場合に、主側MPU211において前扉枠14が開放状態となったことを特定する場合に用いられるカウンタである。
続くステップS703では、主側RAM213の前扉枠カウンタエリア252における第2前扉枠カウンタエリア(閉鎖特定契機把握用手段)が「0」となっているか否かを判定する。第2前扉枠カウンタエリアは、開放状態の前扉枠14が閉鎖状態となった場合に、主側MPU211において前扉枠14が閉鎖状態となったことを特定する場合に用いられるカウンタである。当該第2前扉枠カウンタエリアは、前扉枠14が閉鎖状態となったことを特定した後は、「0」の状態で維持される。したがって、前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合には、第2前扉枠カウンタエリアは「0」であり、ステップS703にて肯定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
次に、上記(2)の前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理について説明する。
今回は前扉枠14が開放状態である場合であるため、ステップS701にて肯定判定をし、ステップS711に進む。ステップS711では、主側RAM213の第2前扉枠カウンタエリアに、閉鎖特定基準値情報を格納する。具体的には、第2前扉枠カウンタエリアに「250」を格納する。
続くステップS712では、第1前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理であるため、前扉枠14が閉鎖状態の場合にステップS702にて第1前扉枠カウンタエリアに格納された開放特定基準値情報が未だ「0」となっていない状態である。したがって、ステップS712にて否定判定をし、ステップS713に進む。
ステップS713では、第1前扉枠カウンタエリアの値を1減算する。続くステップS714では、第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。つまり、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでは、前扉枠開放信号監視処理が実行される度に第1前扉枠カウンタエリアの値が1減算される。また、前扉枠開放信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。また、前扉枠14が閉鎖状態の場合には、ステップS702にて第1前扉枠カウンタエリアに「3」が格納される。したがって、ステップS714では、前扉枠14が開放操作され閉鎖状態から開放状態となった時点(前扉枠開放スイッチ22から前扉枠開放信号が出力された時点)から12msecが経過したか否かを判定していることとなる。
第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」でない場合には、ステップS714にて否定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS714にて肯定判定をし、ステップS715に進む。ステップS715では、主側RAM213の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS716に進む。
ステップS716では、前扉枠開放フラグ格納エリア(前面体開放情報記憶手段)に前扉枠開放フラグ(前面体開放情報)を格納する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が開放状態であることが特定される。続くステップS717では、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグを格納する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が開放状態であることを特定したタイミングであることが特定される。続くステップS718では、前扉枠開放コマンドをセットする。当該前扉枠開放コマンドは、後述する払出用出力処理にて払出制御基板222に出力され、払出側MPU231では前扉枠開放コマンドを入力することで、前扉枠14が開放状態であることを特定する。
その後、ステップS710ではサブコマンド設定処理を実行する。サブコマンド設定処理では、音声ランプ制御基板224に前扉枠開放状態コマンド(前面体開放報知用情報)を出力し、前面体開放報知を実行させる。
次に、上記(3)の前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合の処理について説明する。
今回は前扉枠14が開放状態である場合であるため、ステップS701にて肯定判定をし、ステップS711に進み、主側RAM213の第2前扉枠カウンタエリアに「250」を格納する。続くステップS712では、第1前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合であるため、第1前扉枠カウンタエリアが「0」の状態が維持されている。したがって、ステップS712にて肯定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
次に、上記(4)の前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでの処理について説明する。
今回は前扉枠14が閉鎖状態である場合であるため、ステップS701にて否定判定をし、ステップS702に進み、主側RAM213の第1前扉枠カウンタエリアに「3」を格納する。
続くステップS703では、主側RAM213の第2前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態が特定されるまでの処理であるため、前扉枠14が開放状態の場合にステップS711にて第2前扉枠カウンタエリアに格納された閉鎖特定基準回数が未だ「0」となっていない状態である。したがって、ステップS703にて否定判定をし、ステップS704に進む。
ステップS704では、第2前扉枠カウンタエリアの値を1減算する。続くステップS705では、第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。つまり、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでは、前扉枠開放信号監視処理が実行される度に第2前扉枠カウンタエリアの値が1減算される。また、前扉枠開放信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。また、前扉枠14が開放状態の場合には、ステップS711にて第2前扉枠カウンタエリアに「250」が格納される。したがって、ステップS705では、前扉枠14が閉鎖操作され開放状態から閉鎖状態となった時点(前扉枠開放スイッチ22からの前扉枠開放信号の出力が停止された時点)から1secが経過したか否かを判定していることとなる。
第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」でない場合には、ステップS705にて否定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS705にて肯定判定をし、ステップS706に進む。ステップS706では、主側RAM213の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、ステップS707に進む。
ステップS707では、前扉枠開放フラグ格納エリアに格納されている前扉枠開放フラグを消去する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が閉鎖状態であることが特定される。続くステップS708では、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグを格納する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が閉鎖状態であることを特定したタイミングであることが特定される。続くステップS709では、前扉枠閉鎖コマンドをセットする。当該前扉枠閉鎖コマンドは、後述する払出用出力処理にて払出制御基板222に出力され、払出側MPU231では前扉枠閉鎖コマンドを入力することで、前扉枠14が閉鎖状態であることを特定する。
その後、ステップS710ではサブコマンド設定処理を実行する。今回のサブコマンド設定処理では、音声ランプ制御基板224に前扉枠閉鎖状態コマンド(前面体閉鎖報知用情報)を出力し、前面体開放報知を終了させる。その後、本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
なお、ステップS604の内枠開放信号監視処理では、内枠13の開放状態及び閉鎖状態の特定を行うための具体的な処理内容の説明を省略したが、基本的に前扉枠開放信号監視処理と同様の処理を実行する。
<賞球許可信号監視処理>
次に、上記ステップS606の賞球許可信号監視処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず賞球許可信号について説明する。
本パチンコ機10では、既に説明したように、電源及び発射制御基板221の電断時用電源部221cからの電力は、主側RAM213に供給されるが、払出側RAM233には供給されない。当該構成とすることにより、電断時用電源部221cの小容量化が図られ、それに伴ってパチンコ機10のコストの削減が図られる。
但し、当該構成においては、外部電源からのパチンコ機10への電力供給が停止されると、払出側RAM233に記憶されている情報は全て消去されてしまう(破壊されてしまう)。この場合、従来のパチンコ機のように未払出の賞球数の情報を全て払出側RAM233に記憶しておく構成とすると、未払出の賞球数がある状況でパチンコ機10への電力供給が停止された場合にはその未払出の賞球数の全てが払い出されることなく消去されてしまう。そうすると遊技者に多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。
これに対して、本パチンコ機10では、未払出の賞球情報は基本的に主側RAM213の賞球用カウンタエリア251に記憶し、主側MPU211は払出側MPU231から賞球許可信号を入力している場合に当該払出側MPU231に対して賞球コマンドを出力する。そして、払出側MPU231では、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に記憶される賞球数の情報が、最大でも、1回の入賞に対する最大賞球数(15個賞球)と、後述する許可基準数との和となるように賞球許可信号の出力開始タイミング及び出力停止タイミングを設定する。なお、この許可基準数は、1回の入賞に対する最小賞球数又はそれ未満となっている。これにより、未払出の賞球数が多数残っている状況でパチンコ機10への電力供給が停止されたとしても、その際に消去される賞球数を極力少なくすることが可能となる。つまり、賞球許可信号とは、主側MPU211において賞球コマンドの出力タイミングを特定するために、払出側MPU231から主側MPU211に出力される情報である。
さて、賞球許可信号監視処理では先ずステップS801にて、賞球許可信号を入力している旨の賞球許可情報が入出力ポート211aに格納されているか否かを判定する。なお、賞球許可信号監視処理に際して、入出力ポート211aの情報を主側MPU211の汎用レジスタや専用レジスタに格納する構成としてもよく、この場合、そのレジスタに賞球許可情報が格納されているか否かを判定する構成とする。
賞球許可情報が格納されている場合には、ステップS802にて、主制御基板201のRAM311の賞球許可カウンタエリア(許可契機把握用手段)253に格納されている値が「5」であるか否かを判定する。賞球許可カウンタエリア253とは、入出力ポート211aに賞球許可情報が格納されている場合に、それが払出制御基板222から実際に賞球許可信号が出力されていることに起因して格納されたものか、ノイズなどの原因により格納されたものかを主側MPU211において特定するためのものである。
賞球許可カウンタエリア253の値が「5」以上の場合には、ステップS802にて肯定判定をし、そのまま本賞球許可信号監視処理を終了する。一方、賞球許可カウンタエリア253の値が「5」未満の場合には、ステップS802にて否定判定をし、ステップS803に進む。ステップS803では、賞球許可カウンタエリア253の値を1加算した後に、本賞球許可信号監視処理を終了する。
ここで、賞球許可信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。したがって、払出制御基板222から賞球許可信号が出力されており、且つ賞球許可カウンタエリア253の値が「5」未満の場合には、約4msec周期で賞球許可カウンタエリア253の値が1加算される。また、ステップS802の処理が実行されることにより、払出制御基板222からの賞球許可信号の出力が継続されている状況であっても賞球許可カウンタエリア253の値が「5」以上となった場合には、当該賞球許可カウンタエリア253の値の加算処理は実行しない。
また、ステップS802にて、賞球許可情報が格納されていないと判定した場合には、ステップS804にて賞球許可カウンタエリア253の値を「0」クリアした後に、本賞球許可信号監視処理を終了する。つまり、払出制御基板222から賞球許可信号が出力されていない状況では、賞球許可カウンタエリア253の値は「0」に維持される。
<払出用出力処理>
次に、通常処理(図14)のステップS508にて実行される払出用出力処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。払出用出力処理とは、主制御基板201のMPU211から払出制御基板222のMPU231に各種コマンドを出力するための処理である。
払出用出力処理では、先ずステップS901にて、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠状態変化フラグが格納されている場合には、ステップS902にて前扉枠状態変化フラグを消去するとともに、ステップS903にて前扉枠開放コマンド又は前扉枠閉鎖コマンドを払出制御基板222に出力した後に本払出用出力処理を終了する。
一方、ステップS901において、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグが格納されていない場合には否定判定をし、ステップS904に進む。ステップS904では、主側RAM213の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、そのまま払出用出力処理を終了する。
前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS905にて、主側RAM213の賞球許可カウンタエリア253の値が出力許可基準回数としての「5」となっているか否かを判定する。ここで、上記のとおり、賞球許可カウンタエリア253の値は、払出側MPU231から賞球許可信号が出力されており、且つ賞球許可カウンタエリア253の値が「5」未満の場合には、約4msec周期で1加算される。また、賞球許可カウンタエリア253の値は、払出側MPU231からの賞球許可信号の出力が停止された場合には「0」クリアされる。したがって、ステップS905では、払出側MPU231からの賞球許可信号の出力が継続して出力許可継続期間としての20msecとなったか否かを判定している。
賞球許可カウンタエリア253の値が「5」でない場合には、そのまま本払出用出力処理を終了する。賞球許可カウンタエリア253の値が「5」である場合には、ステップS906にて、主側RAM213の賞球用カウンタエリア251における各種カウンタエリアのいずれかに賞球情報が記憶されているか否かを判定する。いずれにも賞球情報が記憶されていない場合には、そのまま本払出用出力処理を終了する。
各種賞球用カウンタエリアのいずれかに賞球情報が記憶されている場合には、ステップS907にて賞球許可カウンタエリア253の値を「0」クリアする。その後、ステップS908にて賞球コマンド出力処理を実行し、本払出用出力処理を終了する。
ここで、賞球コマンド出力処理について、図20のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1001では、主側RAM213の15個賞球用カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、15個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1002にて、15個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、15個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1001において、15個賞球用カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS1003に進む。ステップS1003では、主側RAM213の4個賞球用カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、4個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1004にて、4個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、4個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1003において、4個賞球用カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS1005に進む。ステップS1005では、主側RAM213の3個賞球用カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、3個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1006にて、3個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、3個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1005において、3個賞球用カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS1007に進む。ステップS1007では、10個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、10個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
以上のように、主側MPU211は、入出力ポート211aに賞球許可情報が格納されたとしても、払出制御基板222において賞球コマンドの出力が許可されたと即座に特定することはなく、複数回として設定された出力許可基準回数だけ連続して賞球許可情報が確認された場合、すなわち、出力許可基準期間である20msecに亘って賞球許可信号が出力されている状態が確認された場合に、賞球コマンドの出力が許可されたと特定する(出力許可状態であると特定する)。そして、賞球コマンドの出力が許可されたと特定することで、払出側MPU231に1回の入賞に対応した1個の賞球コマンドを出力する。このように出力許可基準期間が設定されていることにより、既に説明したように、入出力ポート211aに賞球許可情報が格納されている場合に、それが払出制御基板222から賞球許可信号が出力されていることに起因して格納されたものか、ノイズなどの原因により格納されたものかを主側MPU211において特定することができる。よって、ノイズなどの原因で賞球許可情報が格納された場合に、それに対して賞球コマンドが出力されてしまうことを阻止することができる。
特に、後述するように払出側RAM233の賞球数記憶エリア264には、予め定められた最大基準数を超える賞球数を記憶することができないようになっている。この場合に、ノイズなどの原因で賞球許可情報が格納され、それに対して賞球コマンドが出力されてしまうと、その賞球コマンドに対応した賞球数は実際に払い出されることなく消去されてしまう。そうすると、遊技者に不利益を及ぼすこととなってしまう。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を防止することができる。
また、払出用出力処理(図19)においてステップS904の処理が実行されることにより、前扉枠14が開放状態の場合には賞球許可信号を入力している期間が出力許可基準期間に達しているとしても賞球コマンドは出力されない。本パチンコ機10では、前扉枠14が開放状態である場合には遊技球の払出は停止される。この場合、前扉枠14が開放状態である場合に賞球コマンドを出力しないようにすることで、遊技球の払出が停止されている状況において新たに賞球コマンドが出力されないようにすることが可能となる。
本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出側RAM233に記憶されている情報は消去されてしまうため、遊技球の払出が停止されている状況において賞球コマンドが出力されると、前扉枠14を開放状態としたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。これに対して本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。なお、前扉枠14が開放状態の場合に賞球コマンドの出力を禁止することは必須の構成ではなく、前扉枠14が開放状態の場合に賞球コマンドを出力するようにしてもよい。
<払出制御基板222のMPU231における処理構成>
次に、払出側MPU231における処理構成について説明する。かかる払出側MPU231の処理としては大別して、主側MPU211からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。入力時割込み処理では、払出側RAM233に設けられたリングバッファにおける読み込みポインタに対応した記憶領域に対して、今回入力したコマンドを記憶させる。以下、メイン処理及びタイマ割込み処理について説明する。
<メイン処理>
メイン処理について、図21のフローチャートを参照しながら説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず、ステップS1101では、電源投入に伴う初期設定を実行する。続くステップS1102では、初期表示処理を実行する。初期表示処理では、払出制御基板222に設けられた7セグ表示器146に初期表示として「0」を表示させる。
続くステップS1103では、RAMアクセスを許可すると共に、ステップS1104で外部割込みベクタの設定を行う。その後、ステップS1105にて払出側RAM233の全領域を「0」にクリアし、ステップS1106にてMPU周辺デバイスの初期設定を行う。続くステップS1107では割込みを許可する。以上のステップS1101〜ステップS1107の一連の処理が払出側MPU231における立ち上げ処理に該当し、当該立ち上げ処理が完了するまでに、例えば300msecを要する。なお、この立ち上げ処理に要する時間は300msecに限定されることはなく、主側MPU211において立ち上げ処理に要する時間よりも短いのであれば任意である。
その後、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで、ステップS1107の処理を繰り返し実行する。なお、このようにステップS1107の割込み許可の設定処理を繰り返し実行することで、仮にノイズ等の影響で割込み許可の設定が解除されて不許可の設定となったとしても、割込み許可の状態に再度設定しなおすことができる。
<タイマ割込み処理>
次に、払出側MPU231により例えば2msec毎に起動されるタイマ割込み処理について、図22のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1201にて新旧確認処理を実行する。新旧確認処理では、パチンコ機10に接続されている貸出指示装置19が新型又は旧型いずれのタイプのものかを特定する処理を実行する。当該新旧確認処理については、後に詳細に説明する。
続くステップS1202では、状態復帰スイッチ145をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。その後、ステップS1203にてコマンド判定処理を実行し、ステップS1204にて下皿82の満タン状態に関する処理として満タン用処理を実行し、ステップS1205にてタンク111の球無状態に関する処理として球無用処理を実行し、ステップS1206にて賞球数の設定に関する処理として賞球設定処理を実行し、ステップS1207にて貸出の設定に関する処理として貸出設定処理を実行し、ステップS1208にて払出個数の設定に関する処理として払出個数設定処理を実行し、ステップS1209にて遊技球の払出に関する処理として払出制御処理を実行し、ステップS1210にて賞球許可信号の設定に関する処理として賞球許可信号設定処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
以下、ステップS1203のコマンド判定処理、ステップS1204の満タン用処理、ステップS1205の球無用処理、ステップS1206の賞球設定処理、ステップS1207の貸出設定処理、ステップS1208の払出個数設定処理、ステップS1209の払出制御処理及びステップS1210の賞球許可信号設定処理を詳細に説明する。なお、ステップS1207の貸出設定処理については、貸出操作装置71が操作されたことに基づく遊技球の払出の処理として、入賞に基づく遊技球の払出の処理を1通り説明した後に詳細に説明する。
<コマンド判定処理>
先ずステップS1203のコマンド判定処理について、図23のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、上記のとおり主側MPU211から入力したコマンドは入力時割込み処理が実行されることにより、払出側RAM233に設けられたリングバッファに一時的に記憶されている。コマンド判定処理では、リングバッファの各記憶領域のうちから今回の読み出しポインタに対応した記憶領域に記憶されている情報を読み出し、その読み出した情報に対応した処理を実行する。
さて、コマンド判定処理では、先ずステップS1301にて読み出した情報が初期コマンドか否かを判定する。初期コマンドである場合には、ステップS1302にて初期表示解除処理を実行した後に、本コマンド判定処理を終了する。初期表示解除処理では、7セグ表示器146における初期表示を終了させる。
読み出した情報が初期コマンドでない場合には、ステップS1303にて賞球コマンドか否かを判定する。賞球コマンドである場合には、ステップS1304にてコマンド格納処理を実行した後に、本コマンド判定処理を終了する。コマンド格納処理では、払出側RAM233のコマンド格納エリア263に、賞球コマンドを格納する。
読み出した情報が賞球コマンドでない場合には、ステップS1305にて前扉枠開放コマンドか否かを判定する。前扉枠開放コマンドである場合には、ステップS1306にて払出側RAM233の前扉枠開放フラグ格納エリア(払出側の前面体開放情報記憶手段)に前扉枠開放フラグ(払出側の前面体開放情報)を格納した後に、本コマンド判定処理を終了する。
読み出した情報が前扉枠開放コマンドでない場合には、ステップS1307にて前扉枠閉鎖コマンドか否かを判定する。前扉枠閉鎖コマンドである場合には、ステップS1308にて払出側RAM233の前扉枠開放フラグ格納エリアから前扉枠開放フラグを消去した後に、本コマンド判定処理を終了する。前扉枠開放コマンドでない場合には、そのまま本コマンド判定処理を終了する。
<満タン用処理>
次に、ステップS1204の満タン用処理について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。満タン用処理では、下皿82への前扉側下皿通路85に設けられた満タン検知センサ88の検知結果に基づいて下皿82が満タン状態か否かが判定され各種処理が実行される。そして、満タン検知センサ88にて遊技球が検知されていない場合にはステップS1402以降の処理が実行され、遊技球が検知されている場合にはステップS1409以降の処理が実行される。以下の説明では、便宜上、ステップS1409以降の処理を説明した後にステップS1402以降の処理を説明する。
満タン用処理において先ずステップS1401では、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力しているか否かを判定する。具体的には、払出側MPU231の入力ポートに満タン検知信号を入力している旨を示す満タン検知情報が格納されているか否かを判定する。
満タン検知信号を入力している場合には、ステップS1409にて、払出側RAM233の満タンカウンタエリア261における第2満タンカウンタエリアを「0」クリアする。第2満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ88から満タン検知信号を継続して入力していない期間を計測するためのカウンタである。その後、ステップS1410にて、満タンカウンタエリア261における第1満タンカウンタエリアの値を1加算する。第1満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ88から満タン検知信号を継続して入力している期間を計測するためのカウンタである。
ステップS1410の後は、ステップS1411にて第1満タンカウンタエリアが第1満タン特定基準期間に対応したカウント値としての「850」となっているか否かを特定する。ここで、本満タン用処理はタイマ割込み処理の一部の処理として実行され、タイマ割込み処理は上記のとおり2msec周期で起動される。よって、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力している場合には第1満タンカウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1411では満タン検知信号を約1.7sec(第1満タン特定基準期間)に亘って継続しているか否かを判定している。
第1満タンカウンタエリアが「850」の場合には、下皿82が満タン状態であると特定しステップS1412に進む。つまり、下皿82が満タン状態である場合には前扉側下皿通路85内にて遊技球が並ぶため、満タン検知センサ88によって遊技球が継続して検知され満タン検知信号の出力が継続される。そして、この状態で約1.7secが継続することにより、下皿82が満タン状態であると特定される。このように、下皿82が満タン状態であると特定される期間を1.7secと設定したのは、当該期間が極端に長いと払出装置114の位置まで遊技球が連なり払出モータ125などが故障してしまうおそれがあるからであり、当該期間が極端に短いと下皿82が満タン状態でないにも関わらず満タン状態であると特定されるおそれがあるからである。
ステップS1412では、払出側RAM233の満タンフラグ格納エリア(満タン状態情報記憶手段)に満タンフラグ(満タン状態情報)が格納されているか否かを判定する。満タンフラグが格納されている場合には、そのまま本満タン用処理を終了する。満タンフラグが格納されていない場合には、ステップS1413にて満タンフラグを格納するとともに満タン状態に設定した後に本満タン用処理を終了する。満タン状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211に満タン信号の出力が開始されるとともに、満タン状態が設定されている間は満タン信号の出力状態が維持される。
一方、ステップS1411にて、第1満タンカウンタエリアの値が「850」でない場合には、ステップS1414にて第1満タンカウンタエリアが第2満タン特定基準期間に対応したカウント値としての「400」となっているか否かを判定する。上述したとおり、第1満タンカウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1414では満タン検知信号を継続して約0.8sec(第2満タン特定基準期間)入力しているか否かを判定している。
第1満タンカウンタエリアが「400」でない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。第1満タンカウンタエリアが「400」の場合には、下皿82が満タン状態であるおそれがあると特定し、ステップS1415に進む。ステップS1415では、払出側RAM233の満タン低速フラグ格納エリア(満タン低速情報記憶手段)に満タン低速フラグ(満タン低速情報)を格納する。その後、本満タン用処理を終了する。
満タン低速フラグが格納されることにより、払出側MPU231では後述するように払出モータ125の払出速度の設定を、それまでの通常周期(具体的には、60msec間隔で遊技球を払い出す)から低速周期(具体的には、800msec間隔で遊技球を払い出す)に変更する。
このように払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えるのは以下の理由による。すなわち、満タン検知センサ88は遊技球を検知している間は継続して満タン検知信号を出力する構成であるため、連続して払い出される遊技球の間隔が狭くなると、満タン検知センサ88から見ると、1の遊技球の検知期間の終期が次の遊技球の検知期間の始期よりも後となる。そうすると、下皿82が満タン状態となっていないにも関わらず満タン検知センサ88から継続して満タン検知信号が出力されることとなる。そして、この状態が継続すると下皿82が満タン状態であると特定されてしまう。
これに対して、上記のとおり、払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えることで、前扉側下皿通路85内を連続して通過する各遊技球の間隔が広くなる。より詳細には、この間隔は満タン検知センサ88の検知範囲を越える間隔となる。よって、継続されていた満タン検知信号の出力が途切れるため、下皿82が満タン状態となっていないにも関わらず満タン状態となっていると特定されることを防止することができる。
満タン用処理の説明に戻り、ステップS1401にて満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していない場合には、ステップS1402にて第1満タンカウンタエリアを「0」クリアする。その後、ステップS1403にて、払出側RAM233の満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定する。満タン低速フラグが格納されていない場合には、そのままステップS1405に進み、満タン低速フラグが格納されている場合には、ステップS1404にて満タン低速フラグを消去した後にステップS1405に進む。
満タン低速フラグが消去されることにより、払出側MPU231では基本的に払出モータ125の払出速度の設定を、低速周期から通常周期に変更する。つまり、満タン検知センサ88から継続して満タン検知信号が出力されている状況下において払出モータ125の払出速度を低速周期に変更することで満タン検知信号の出力が途切れた場合には、即座に払出速度が通常周期に復帰する。これにより、払出モータ125の払出速度を必要に応じて低速周期に変更するようにした構成において、遊技球の払出に要する時間が極端に長くなることが防止される。
続くステップS1405では、第2満タンカウンタエリアを1加算する。その後、ステップS1406にて第2満タンカウンタエリアが「250」となっているか否かを判定する。ここで、第2満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していない場合には約2msec周期で1加算される。よって、ステップS1406では満タン検知信号を入力していない状態が継続して約0.5secとなっているか否かを判定している。
第2満タンカウンタエリアが「250」でない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。一方、第2満タンカウンタエリアが「250」である場合には、ステップS1407にて払出側RAM233の満タンフラグ格納エリアに満タンフラグが格納されているか否かを判定する。満タンフラグが格納されていない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。満タンフラグが格納されている場合には、ステップS1408にて満タンフラグを消去するとともに満タン解除状態を設定した後に本満タン用処理を終了する。満タン解除状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211への満タン信号の出力が停止されるとともに、満タン解除状態が設定されている間は満タン信号の出力停止状態が維持される。
ここで、ステップS1406にて満タン検知センサ88からの満タン検知信号の出力が停止されてから約0.5sec経過するのを待ってステップS1408の処理を実行するようにしたことで、ノイズなどの影響で実際には満タン検知センサ88の検知範囲に遊技球が待機しているのに満タン状態が解除されたと判定されないようにことができる。
なお、ステップS1406、ステップS1411及びステップS1414において、それぞれ判定値以上であるか否かを判定する構成としてもよい。
<球無用処理>
次に、ステップS1205の球無用処理について説明する。球無用処理では、ケースレール113に設けられた球無検知センサ115の検知結果に基づいてタンク111に遊技球が貯留されていない状態か否かが判定され各種処理が実行される。
ここで、球無用処理では満タン用処理と類似した処理を実行する。具体的には、球無検知センサ115からの球無検知信号を約10sec(第1球無特定基準期間)に亘って継続して入力している場合に、タンク111に遊技球が貯留されていない状態であると特定する。遊技球が貯留されていない状態であると特定した場合には、払出側RAM233の球無フラグ格納エリア(球無状態情報記憶手段)に球無フラグ(球無状態情報)を格納するとともに球無状態に設定する。球無状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211に払出異常信号の出力が開始されるとともに、球無状態が設定されている間は払出異常信号の出力状態が維持される。
また、球無検知センサ115からの球無検知信号を約10sec未満であって、約1.0sec(第2球無特定基準期間)に亘って継続して入力している場合に、タンク111が球無となるおそれがあると特定し、払出側RAM233の球無低速フラグ格納エリア(球無低速情報記憶手段)に球無低速フラグ(球無低速情報)を格納する。
球無低速フラグが格納されることにより、払出側MPU231では後述するように払出モータ125の払出速度の設定を、それまでの通常周期(具体的には、60msec間隔で遊技球を払い出す)から低速周期(具体的には、800msec間隔で遊技球を払い出す)に変更する。
このように払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えるのは以下の理由による。すなわち、タンク111においては球詰まりが発生することがある。これに対して、タンク111には、上記球詰まりが発生した際に当該球詰まりを解消すべく、タンク111を振動させるための振動モータが設けられている。球詰まりが重度のものでなければ、振動モータによりタンク111を振動させることで当該球詰まりは解消する。そして、この球詰まりの解消は10sec以内に完了するものと考えられる。
当該事情において、球無検知センサ115にて遊技球を検知していない期間が第1球無特定基準期間である約1.0secが経過した時点で、払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えることで、払出装置114の回転体124よりも上流側に待機している遊技球が全てなくなってしまう前のタイミングで球詰まりが解消される可能性が高められる。払出装置114の回転体124よりも上流側に待機している遊技球が全てなくなってしまうと、再度、タンク111側から回転体124に向けて遊技球が補充された際に、その遊技球がケースレール113を通じて落下し回転体124に直接衝突することとなり、回転体124の故障の発生等が懸念される。これに対して、上記のように払出速度を低速周期に切り換えることで、このような不都合が発生する可能性が低減される。
一方、球無検知センサ115から球無検知信号を入力しておらず、その状態が約3.0secに亘って継続した場合、払出側RAM233の球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されている状況においては当該球無低速フラグを消去する。球無低速フラグが消去されることにより、払出側MPU231では基本的に払出モータ125の払出速度の設定を、低速周期から通常周期に変更する。また、球無フラグが格納されている場合には、当該球無フラグを消去するとともに球無解除状態を設定する。球無解除状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211への払出異常信号の出力が停止されるとともに、球無解除状態が設定されている間は払出異常信号の出力停止状態が維持される。
<賞球設定処理>
次に、ステップS1206の賞球設定処理について、図25のフローチャートを参照しながら説明する。賞球設定処理では、主側MPU211から入力した賞球コマンドから賞球数を特定し、その特定した賞球数を払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に加算する処理が実行される。
賞球設定処理では先ずステップS1501にて、払出側RAM233のコマンド格納エリア263に賞球コマンドが格納されているか否かを判定する。賞球コマンドが格納されていない場合には、そのまま本賞球設定処理を終了する。賞球コマンドが格納されている場合には、ステップS1502に進む。
ステップS1502では、賞球数特定処理を実行する。具体的には、ROM232の賞球テーブル記憶エリア232aに記憶されている情報に基づいて、今回入力した賞球コマンドがいずれの賞球数に対応しているかを特定する。この場合、賞球コマンドの下位情報と賞球テーブル記憶エリア232aとが照らし合わされ、賞球数の特定が行われる。ここで特定された賞球数は、賞球コマンドの情報に代えて、払出側MPU231の汎用レジスタに格納される。続くステップS1503では、コマンド格納エリア263に格納されている賞球コマンドを消去する。
続くステップS1504では、賞球数の加算処理を実行する。当該加算処理では、ステップS1502にて特定した賞球数の情報を、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報に加算する。続くステップS1505では、払出側RAM233の賞球低速フラグ格納エリア(賞球低速情報記憶手段)に賞球低速フラグ(賞球低速情報)が格納されているか否かを判定する。賞球低速フラグとは、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が、払出制御基板222のROM232に予め記憶された切換基準数(具体的には、「2」)となった場合に格納され、切換基準数を超えることにより消去されるフラグである。
ここで、本パチンコ機10は、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となった場合には、払出モータ125の払出速度の設定をそれまでの通常周期から低速周期に変更するように構成されている。これは以下の理由による。つまり、賞球数記憶エリア264に賞球数の情報が記憶されていない状況では、払出モータ125の駆動は停止される。この場合に、単発的な入賞が所定の間隔を置いて繰り返し発生すると、払出モータ125の駆動開始及び駆動停止を繰り返し行う必要が生じる。払出モータ125の駆動開始には払出モータ125の駆動状態を維持する場合よりも大きな駆動力を必要とするため、上記のように払出モータ125の駆動開始及び駆動停止が繰り返し行われることは好ましくない。これに対して、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となった場合に、払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えることで、単発的な入賞が所定の間隔を置いて繰り返し発生したとしても、切換基準数の賞球を低速周期で実行している間に次の入賞が発生する可能性が高まり、払出モータ125の駆動開始及び駆動停止が繰り返し行われてしまう可能性が低減される。
なお、払出モータ125の払出速度を常に低速とする構成も考えられるが、この場合、遊技球の払出速度が慢性的に遅くなり、遊技者にとっては入賞が発生したにも関わらずそれに対する賞球を受けるのに相当な時間を要することとなり好ましくない。
ステップS1505にて、賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されていない場合には、そのままステップS1507に進む。一方、賞球低速フラグが格納されている場合には、ステップS1506にて賞球低速フラグ格納エリアから賞球低速フラグを消去した後に、ステップS1507に進む。賞球低速フラグが消去されることで、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となることで低速周期に設定された払出モータ125の払出速度が通常周期に復帰することとなる。
ステップS1507では、エラーフラグの消去処理を実行する。エラーフラグは、例えば、主側MPU211から解析不能なコマンドを入力した場合等に格納されるフラグである。当該エラーフラグは、賞球コマンドを正常に入力し、その賞球コマンドに対する賞球設定処理が実行されることで、ステップS1507にて消去される。ステップS1507にてエラーフラグの消去処理を実行した後は本賞球設定処理を終了する。
<払出個数設定処理>
次に、ステップS1208の払出個数設定処理について、図26のフローチャートを参照しながら説明する。払出個数設定処理では、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264又は貸出数記憶エリア265に記憶されている情報を遊技球の払出に際しての実行エリアである払出側RAM233の払出個数カウンタエリアに格納する処理が実行される。
払出個数設定処理では先ずステップS1601にて、球抜き動作中か否かを判定する。球抜き動作とは、タンク111に貯留されている遊技球をパチンコ機10外部に排出するための動作のことをいう。
ここで、球抜き動作の手順について説明する。先ず島設備からタンク111への補給を止める。その後、前扉枠14を開放状態とし、可変入賞装置32内に多数の遊技球を手で入れる。その後、前扉枠14を閉鎖状態とすることで、払出側MPU231から主側MPU211に賞球許可信号が出力されるのに応じて主側MPU211から払出側MPU231に賞球コマンドが出力され、払出装置114による遊技球の払出が実行される。
その後、タンク111に貯留されている遊技球が無くなることで、球無検知センサ115から球無検知信号が出力され、払出装置114による遊技球の払出が停止される。この場合に、ケースレール113に設けられた球抜き操作スイッチ116を操作することで、払出側MPU231において球抜き状態に設定される。具体的には、払出側RAM233の球抜き状態フラグ格納エリアに球抜き状態フラグを格納する。これにより、球無検知センサ115から球無検知信号が出力されている状況であっても払出装置114による遊技球の払出が再開され、球抜き操作スイッチ116よりも下流側であって払出装置114の払出モータ125の位置まで連なっている遊技球の排出が行われる。そして、当該遊技球の排出が行われることで、タンク111の球抜きが完了する。この際、球抜き状態の設定が解除される。すなわち、払出側RAM233の球抜き状態フラグ格納エリアに格納されている球抜き状態フラグが消去される。
ステップS1601では、上記球抜き状態が設定されているか否かを判定する。球抜き状態が設定されていない場合には、ステップS1602にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態とは、前扉枠開放状態、下皿満タン状態、タンク球無状態又は払出装置異常状態のいずれかに該当している状態のことである。
当該判定は、前扉枠開放状態については払出側RAM233の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定することで行われ、下皿満タン状態については払出側RAM233の満タンフラグ格納エリアに満タンフラグが格納されているか否かを判定することで行われ、タンク球無状態については払出側RAM233の球無フラグ格納エリアに球無フラグが格納されているか否かを判定することで行われ、払出装置異常状態については払出側RAM233の払出装置異常フラグ格納エリアに払出装置異常フラグが格納されているか否かを判定することで行われる。
払出エラー状態である場合には、そのまま本払出個数設定処理を終了する。これにより、払出エラー状態において遊技球の払出が実行されることが阻止される。払出エラー状態でない場合には、ステップS1603にてリトライ動作中か否かを判定する。リトライ動作とは、払出装置114において遊技球の球詰まりが発生した場合などにおいて回転体124を通常とは逆に回転させたりする処理である。リトライ動作中である場合にはそのまま本払出個数設定処理を終了し、リトライ動作中でない場合にはステップS1604に進む。
ステップS1604では、貸出動作中か否かを判定する。貸出動作中とは、払出側RAM233の貸出状態フラグ格納エリアに貸出状態フラグが格納されている状態のことをいう。貸出状態フラグが格納されている場合には、ステップS1605にて、貸出数記憶エリア265の情報を払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。
一方、貸出状態フラグが格納されていない場合には、ステップS1606にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264の情報を払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。また、ステップS1601において、球抜き状態が設定されている場合にも、ステップS1606にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264の情報を払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。
<払出制御処理>
次に、ステップS1209の払出制御処理について、図27のフローチャートを参照しながら説明する。払出制御処理では、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に記憶されている情報に基づいて遊技球の払出を行う処理が実行される。
払出制御処理では先ずステップS1701にて、払出状態設定処理を実行する。ここで、払出状態設定処理について図28のフローチャートを参照しながら説明する。
払出状態設定処理では、先ずステップS1801にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態については既に説明したとおりである。払出エラー状態である場合には、ステップS1806にて、払出モータ125を停止状態に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。これにより、払出側MPU231から払出モータ125への駆動信号の出力が停止され、払出装置114による遊技球の払出が停止される。なお、既に遊技球の払出が停止されている場合にはその状態が維持される。
ステップS1801にて、払出エラー状態でない場合には、ステップS1802にて、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266の値が「0」か否かを判定する。払出個数カウンタエリア266の値が「0」である場合には、払出を実行すべき遊技球が存在しないことを意味するため、ステップS1806にて払出モータ125を停止状態に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。
ステップS1802にて、払出個数カウンタエリア266の値が「0」でない場合には、ステップS1803にて、払出側RAM233のいずれかの低速フラグ格納エリアに低速フラグが格納されているか否かを判定する。すなわち、満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定し、球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されているか否かを判定し、賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されているか否かを判定する。
いずれの低速フラグも格納されていない場合には、ステップS1805にて、払出モータ125の払出速度を通常周期に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。払出モータ125の払出速度が通常周期に設定されることで、払出装置114から60msec毎に1個の遊技球が払い出される。なお、既に通常周期に設定されている場合にはその状態が維持される。
一方、いずれかの低速フラグが格納されている場合には、ステップS1804にて、払出モータ125の払出速度を低速周期に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。払出モータ125の払出速度が低速周期に設定されることで、払出装置114から800msec毎に1個の遊技球が払い出される。なお、既に低速周期に設定されている場合にはその状態が維持される。
払出制御処理(図27)の説明に戻り、ステップS1701にて払出状態設定処理を実行した後は、ステップS1702に進む。ステップS1702では、払出装置114の払出球検知センサ126にて遊技球を検知しているか否かを判定する。具体的には、払出球検知センサ126から払出球検知信号を入力しているか否かを判定する。この判定は、払出球検知信号の入力継続期間が払出検知継続期間に達しているか否かを判定することにより行われる。払出球検知信号を入力していない場合には、そのまま本払出制御処理を終了する。払出球検知信号を入力している場合には、ステップS1703に進む。
ステップS1703では、貸出動作中か否かを判定する。貸出動作中でない場合には、ステップS1704〜ステップS1708の賞球用減算処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。一方、貸出動作中である場合には、ステップS1709〜ステップS1710の貸出用減算処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。
賞球用減算処理では、先ずステップS1704にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264の値を1減算し、続くステップS1705にて、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266の値を1減算する。その後、ステップS1706では、賞球数記憶エリア264の値が「2」以下か否かを判定する。「2」以下でない場合には、そのまま本払出制御処理を終了する。「2」以下である場合には、ステップS1707にて、払出側RAM233の賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されているか否かを判定する。賞球低速フラグが格納されている場合にはそのまま本払出制御処理を終了し、賞球低速フラグが格納されていない場合にはステップS1708にて賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグを格納した後に本払出制御処理を終了する。
また、貸出用減算処理では、先ずステップS1709にて、払出側RAM233の貸出数記憶エリア265の値を1減算し、続くステップS1710にて、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266の値を1減算した後に、本払出制御処理を終了する。
<賞球許可信号設定処理>
次に、ステップS1210の賞球許可信号設定処理について、図29のフローチャートを参照しながら説明する。賞球許可信号設定処理では、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力停止及び出力開始の設定を行う処理が実行される。
賞球許可信号設定処理では、先ずステップS1901にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下か否かを判定する。4個以上である場合には、ステップS1907にて賞球不許可状態(出力不許可状態)の設定をした後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。
賞球不許可状態の設定について具体的には、払出側RAM233の賞球許可状態フラグ格納エリア(賞球許可情報記憶手段又は出力許可情報記憶手段)に賞球許可状態フラグ(賞球許可情報又は出力許可情報)が格納されている場合に、その賞球許可状態フラグを消去して、賞球許可信号の出力を停止する(賞球許可信号を出力するための出力手段からの賞球許可信号の出力を停止させる)。賞球許可状態フラグが消去されている状態では、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力が停止され、その状態が維持される。
なお、本パチンコ機10では、賞球許可信号が出力されている状態がHIレベル信号の出力状態であるため、賞球許可信号の出力が停止されている状態はLOWレベル信号の出力状態となる。但し、賞球許可信号が出力されている状態がLOWレベル信号の出力状態とした場合には、賞球許可信号の出力が停止されている状態をHIレベル信号の出力状態としてもよい。さらには、賞球許可信号の出力が停止されている状態を、当該信号経路について何ら信号が出力されていない状態としてもよい。
一方、ステップS1901にて、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下である場合には、ステップS1902にて、球抜き動作中か否かを判定する。球抜き動作中でない場合には、ステップS1903にて、払出エラー状態か否かを判定する。
払出エラー状態である場合には、ステップS1907にて賞球不許可状態を設定した後に本賞球許可信号設定処理を終了する。このように払出エラー状態である場合に賞球不許可状態を設定することで、払出エラー状態では賞球許可信号の出力が停止され、賞球コマンドの出力が禁止される。
既に説明したように、払出エラー状態では遊技球の払出が停止される。また、本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出側RAM233に記憶されている情報は消去されてしまう。したがって、払出エラー状態において賞球コマンドが出力されると、払出エラー状態が継続されたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。つまり、払出エラー状態において賞球コマンドが出力される構成では、それだけ賞球コマンドに対応した賞球が払い出されることなく消去されてしまう可能性が高くなる。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。
ステップS1903において、払出エラー状態でない場合には、ステップS1904にて、払出側RAM233の満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1905では、払出側RAM233の球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されているか否かを判定する。
満タン低速フラグ又は球無低速フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS1907にて賞球不許可状態を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。このように満タン低速状態又は球無低速状態である場合に賞球不許可状態を設定することで、満タン低速状態又は球無低速状態では賞球許可信号の出力が停止され、賞球コマンドの出力が禁止される。
既に説明したように、満タン低速状態又は球無低速状態は、その後、払出エラー状態となる可能性が高い場合にその前段階として設定される状態である。そして、払出エラー状態では遊技球の払出が停止される。また、本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出側RAM233に記憶されている情報は消去されてしまう。したがって、払出エラー状態において賞球コマンドが出力されると、払出エラー状態が継続されたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。つまり、払出エラー状態において賞球コマンドが出力される構成では、それだけ賞球コマンドに対応した賞球が払い出されることなく消去されてしまう可能性が高くなる。これに対して、本構成のように、払出エラー状態となる可能性が高いと判定した段階で、賞球許可信号の出力を停止して賞球コマンドの出力を禁止することで、払出エラー状態となる前に賞球コマンドの出力を禁止することができ、上記のような不都合が発生する可能性が飛躍的に低減される。
ステップS1904にて満タン低速フラグが格納されておらず、さらにはステップS1905にて球無低速フラグが格納されていない場合には、ステップS1906にて賞球許可状態(出力許可状態)を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。また、ステップS1902にて球抜き動作中である場合にも、ステップS1906にて賞球許可状態を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。
賞球許可状態の設定について具体的には、払出側RAM233の賞球許可状態フラグ格納エリアに賞球許可状態フラグが格納されていない場合に、賞球許可状態フラグを格納し、賞球許可信号の出力を開始する(賞球許可信号を出力するための出力手段からの賞球許可信号の出力を開始させる)。賞球許可状態フラグが格納されている状態では、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力が開始され、その状態が維持される。つまり、球抜き動作中でない状態においては、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下であり、さらには払出エラー状態、満タン低速状態及び球無低速状態でない場合に、賞球許可信号の出力が継続される。
<賞球許可信号に対する賞球コマンドの出力の様子について>
次に、賞球許可信号に対する賞球コマンドの出力の様子について、図30のタイムチャートを参照して説明する。なお、図30を用いた説明においては、説明の便宜上、複数種ある入賞のうち4個賞球に対応した入賞のみが発生するものとする。
先ず、単発的に入賞が発生する場合について説明する。
払出側MPU231から主側MPU211に既に賞球許可信号が出力されている状況において、t1のタイミングで入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えること(不許可基準数に達すること)により賞球許可信号の出力が停止されるとともに、遊技球の払出が開始される。
その後、t2のタイミングで1個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。その後、t3のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となる。これにより、払出モータ125の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。その後、t4のタイミングまでに2個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は0個となる。これにより、払出モータ125への駆動信号の出力が停止され、賞球の払出が終了される。
次に、単発的な入賞が発生した後に、払出モータ125の払出速度が低速周期である状況で再度、入賞が発生する場合について説明する。
払出側MPU231から主側MPU211に既に賞球許可信号が出力されている状況において、t5のタイミングで入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えることにより賞球許可信号の出力が停止されるとともに、遊技球の払出が開始される。
その後、t6のタイミングで1個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。その後、t7のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となる。これにより、払出モータ125の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。
その後、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が0個とならない範囲内であるt8のタイミングで、新たな入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えることにより賞球許可信号の出力が停止されるとともに、切換基準数を超えることにより払出モータ125の払出速度が低速周期から通常周期に復帰される。
次に、入賞が連続して発生した場合について説明する。
上記のようにt8のタイミングで、新たな入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は、それまで記憶されていた賞球数に対して新たな賞球数が加算されることで5個となる。
その後、t9のタイミングまでに2個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。この場合に、t9のタイミングまでに入賞が連続して発生しており、主側RAM213には4個賞球の情報が複数記憶されている。その後、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングであるt10のタイミングで、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。また、t11のタイミングで払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となり、賞球許可信号の出力が開始される。その後、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングであるt12のタイミングで、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。
つまり、主側RAM213に既に賞球情報が記憶されている状況において、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となり賞球許可信号の出力が開始された場合には、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングで主側MPU211から払出側MPU231に賞球コマンドが出力され、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数を超えることとなる。
これは以下の理由による。払出モータ125の通常周期による払出速度は60msec間隔で1個の遊技球の払出が実行されるように設定されている。これに対して、払出側MPU231において、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となり賞球許可信号の出力が開始されるまでに要する時間は、タイマ割込み処理の実行時間の範囲内である2msecの範囲内である。また、主側MPU211において、賞球許可信号の入力に基づいて賞球コマンドの出力が許可されていると特定される賞球コマンドが出力されるまでに要する時間は20msec〜24msecの範囲内である。また、払出側MPU231において、主側MPU211から賞球コマンドを入力し、その賞球コマンドに対応した賞球数の情報が払出側RAM233に加算されるまでに要する時間は、タイマ割込み処理の実行時間の範囲内である2msecの範囲内である。その他、賞球許可信号及び賞球コマンドの伝送に要する時間や処理時間の誤差等を含めても、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となってから、その後の賞球コマンドの入力により払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数を超えるまでに要する時間は最大でも40msec程度である。これは1個の遊技球の払出が実行されるまでに要する時間である60msecよりも短い。すなわち、主側RAM213に既に賞球情報が記憶されている状況において賞球許可信号の出力が開始された場合には、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングで賞球コマンドが出力され払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数を超えるように、主側MPU211及び払出側MPU231における賞球に関する処理時間が設定されている。
また、以上のような構成において、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力開始契機となる許可基準数は、払出モータ125の払出速度を通常周期から低速周期へ切り換える契機となる切換基準数よりも、遊技球1個分多く設定されている。これにより、主側RAM213に賞球情報が複数記憶されている状況においては、それら賞球情報に対応した各賞球コマンドの出力が全て実行されるまでは、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が切換基準数に達することはない。よって、払出側MPU231から主側MPU211へ賞球許可信号を出力するとともに、それに対して主側MPU211から払出側MPU231へ1回の入賞に対応した1個の賞球コマンドのみを出力するようにした構成において、主側RAM213に賞球情報が記憶されているにも関わらず払出モータ125の払出速度が通常周期から低速周期に切り換えられてしまうことを防止することができ、遊技球の払出を円滑に行うことができる。
図30の説明に戻り、その後、t13のタイミングで払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となり、賞球許可信号の出力が開始される。また、t14のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となり、払出モータ125の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。その後、t15のタイミングで払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は0個となり、払出モータ125への駆動信号の出力が停止され、賞球の払出が終了される。
<満タン状態で電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて>
次に、下皿82が満タン状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて、図31のタイムチャートを参照して説明する。
先ず、主側MPU211において立ち上げ処理後の待機処理がある場合について、図31(a)を参照して説明する。
t1のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211及び払出側MPU231のそれぞれにおいて立ち上げ処理が開始される。その後、t2のタイミングで、払出側MPU231の立ち上げ処理が完了する。この場合、下皿82が満タン状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されているため、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していることが払出側MPU231において特定される。但し、この時点では、満タン検知信号を入力していることを払出側MPU231において特定した段階であるため、賞球許可信号の出力が開始される。
その後、t3のタイミングで、主側MPU211の立ち上げ処理が完了する。但し、主側MPU211ではこの時点から1sec経過するまで各種処理の実行を開始することなく待機する。その後、主側MPU211において各種処理の実行を開始することなく待機している状況であるt4のタイミングで、払出側MPU231において満タン検知信号の出力継続期間が第2満タン特定基準期間である約0.8secに達することで、賞球許可信号の出力が停止される。
その後、t5のタイミングで、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過することで、各種処理の実行を開始する。但し、既に賞球許可信号の出力が停止されているため、主側RAM213に賞球情報が記憶されていたとしても、賞球コマンドの出力は行われず、払出側RAM233への賞球数の情報の記憶は行われない。その後、t6のタイミングで、電源が遮断状態となる。
上記のとおり、本構成によれば、下皿82が満タン状態で電源が投入され、その後の比較的早い段階で電源が遮断されたとしても、賞球コマンドの出力は行われないため、実際に遊技球の払出が実行されないまま賞球情報が消去されてしまうという不都合が発生することが防止される。これは、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過するまで各種処理の実行を開始することなく待機するようにしたことによる。なお、下皿82が満タン状態で電源が投入され、その後の比較的早い段階で電源が遮断される場合や、それが繰り返される場合としては、電源スイッチのON・OFF操作が繰り返し行われる場合や、ノイズにより上記状態が擬似的に発生する場合が考えられる。また、本構成においては、主側MPU211において立ち上げ処理が完了するタイミングを払出側MPU231において立ち上げ処理が開始するタイミングと同一としてもよく、0.2secの範囲内において主側MPU211の方が早く完了する構成としてもよい。
ここで、主側MPU211において上記のような待機処理がない場合について、図31(b)を参照して説明する。
t11のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211及び払出側MPU231のそれぞれにおいて立ち上げ処理が開始される。その後、t12のタイミングで、払出側MPU231の立ち上げ処理が完了する。この場合、下皿82が満タン状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されているため、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していることが払出側MPU231において特定される。但し、この時点では、満タン検知信号を入力していることを払出側MPU231において特定した段階であるため、賞球許可信号の出力が開始される。
その後、t13のタイミングで、主側MPU211の立ち上げ処理が完了する。この場合、主側MPU211において各種処理の実行が開始される。そして、主側RAM213に賞球情報が記憶されている状況において払出側MPU231から賞球許可信号を入力していることにより、t14のタイミングで、主側MPU211から払出側MPU231に賞球コマンドが出力される。これにより、払出側MPU231では、賞球許可信号の出力を停止するとともに、払出側RAM233に賞球数の情報を記憶させる。
その後、t15のタイミングで、払出側RAM233に賞球数の情報が記憶されている状況において電源が遮断状態となる。そうすると、払出側RAM233には電断時用電力が供給されないため、払出側RAM233に記憶されていた賞球数の情報は実際に遊技球の払出が実行されることなく消去される。そして、t16のタイミングからt17のタイミングのように、t11のタイミングからt15のタイミングの動作が繰り返されることにより、主側RAM213に記憶されていた賞球情報は実際に遊技球の払出が実行されることなく繰り返し消去されていく。この場合、遊技者に多大な不利益を及ぼしてしまう。これに対して、本パチンコ機10では、既に説明したように図31(a)に示す態様であるため、上記のような不都合が発生することが防止されている。
なお、実際に遊技球の払出が実行されることなく賞球情報が繰り返し消去されていってしまうことは、タンク111が球無状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始された場合においても同様に懸念される。これに対して、本パチンコ機10では、主側MPU211において各種処理の実行を開始することなく待機している状況で、払出側MPU231において球無検知信号の出力継続期間が第2球無特定基準期間である約1.0secに達することで、賞球許可信号の出力が停止される。よって、上記のような不都合の発生が防止される。
<前扉枠14が開放状態で電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて>
次に、前扉枠14が開放状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて、図32のタイムチャートを参照して説明する。
先ず、主側MPU211において、払出側MPU231の賞球許可信号を入力してから賞球コマンドの出力が許可されていると特定するまでの期間(出力許可基準期間)が、前扉枠開放スイッチ22の前扉枠開放信号を入力してから前扉枠14が開放状態であると特定するまでの期間(開放特定基準期間)よりも長い場合について、図32(a)を参照して説明する。
t1のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211において立ち上げ処理が開始されるとともに立ち上げ処理後には待機処理が実行される。その後、t2のタイミングで、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過することで、各種処理の実行を開始する。この場合、払出側MPU231から既に賞球許可信号が出力されているため、出力許可基準期間の計測が開始される。また、今回は前扉枠14が開放状態で電源投入がなされているため、開放特定基準期間の計測が開始される。
その後、t3のタイミングで、出力許可基準期間及び開放特定基準期間のうち、開放特定基準期間の計測が完了することで、主側MPU211において賞球コマンドの出力不可状態となる。その後、t4のタイミングで、出力許可基準期間の計測が完了する。但し、既にt3のタイミングにおいて賞球コマンドの出力不可状態となっているため、主側RAM213に賞球情報が記憶されていたとしても賞球コマンドの出力は行われず、払出側RAM233への賞球数の情報の記憶は行われない。その後、t5のタイミングで、電源が遮断状態となる。
上記のとおり、本構成によれば、前扉枠14が開放状態で電源が投入され、その後の比較的早い段階で電源が遮断されたとしても、賞球コマンドの出力は行われないため、実際に遊技球の払出が実行されないまま賞球情報が消去されてしまうという不都合が発生することが防止される。これは、出力許可基準期間を開放特定基準期間よりも長く設定したことによる。
ここで、主側MPU211において、出力許可基準期間が開放特定基準期間よりも短い場合について、図32(b)を参照して説明する。
t11のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211において立ち上げ処理が開始されるとともに立ち上げ処理後には待機処理が実行される。その後、t12のタイミングで、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過することで、各種処理の実行が開始される。この場合、払出側MPU231から既に賞球許可信号が出力されているため、出力許可基準期間の計測が開始される。また、今回は前扉枠14が開放状態で電源投入がなされているため、開放特定基準期間の計測が開始される。
その後、t13のタイミングで、出力許可基準期間及び開放特定基準期間のうち、出力許可基準期間の計測が完了することで、主側MPU211から払出側MPU231へ賞球コマンドが出力される。その後、t14のタイミングで、開放特定基準期間の計測が完了することで、主側MPU211において賞球コマンドの出力不可状態となる。また、この場合、主側MPU211から払出側MPU231へ前扉枠開放コマンドが出力されることで、払出側MPU231において遊技球の払出不可状態となる。したがって、t13のタイミングで出力された賞球コマンドに基づく遊技球の払出は停止され、払出側RAM233において賞球数の情報が記憶された状態が維持される。
その後、t15のタイミングで、払出側RAM233に賞球数の情報が記憶されている状況において電源が遮断状態となる。そうすると、払出側RAM233には電断時用電力が供給されないため、払出側RAM233に記憶されていた賞球数の情報は実際に遊技球の払出が実行されることなく消去される。そして、t16のタイミングからt17のタイミングのように、t11のタイミングからt15のタイミングの動作が繰り返されることにより、主側RAM213に記憶されていた賞球情報は払出側RAM233に賞球数の情報として記憶され、実際に遊技球の払出が実行されることなく繰り返し消去されていく。この場合、遊技者に多大な不利益を及ぼしてしまう。これに対して、本パチンコ機10では、既に説明したように図32(a)に示す態様であるため、上記のような不都合が発生することが防止されている。
<貸出指示装置19からの貸出要求に基づく遊技球の払出に関する電気的構成>
次に、貸出指示装置19からの貸出要求に基づく遊技球の払出に関する電気的構成及び処理構成について詳細に説明する。先ず電気的構成について図33のブロック図を参照しながら説明する。
貸出指示装置19は、既に説明したように、外枠11の側方に設けられている(図1参照)。貸出指示装置19には、図33に示すように、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU271が搭載されている。MPU271には、当該MPU271により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM272と、そのROM272内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM273と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、MPU271、ROM272及びRAM273の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。また、以下の説明では、払出側MPU231と区別するために貸出指示装置19のMPU271を貸出側MPU271といい、払出側RAM233と区別するために貸出指示装置19のRAM273を貸出側RAM273という。
貸出指示装置19は電源部274を備えている。電源部274は、貸出用接続端子板143を介して電源及び発射制御基板221と電気的に接続されている。当該電源及び発射制御基板221から電源部274に動作電力(具体的には、AC24Vの電力)が供給されることで、電源部274では、貸出側MPU271用の動作電力等を生成し、その生成した動作電力を貸出側MPU271等に供給する。これにより、貸出指示装置19が動作する。つまり、貸出指示装置19は、接続対象のパチンコ機10が電源OFFの状態では動作電力が供給されず、接続対象のパチンコ機10が電源ONの状態となることで動作電力が供給されて動作する。
なお、本貸出指示装置19は、パチンコ機10が電源OFFの状態となることで、電源部274から貸出側RAM273への電力供給が停止され、貸出側RAM273にそれまで記憶されていた情報は消去される(破壊される)。
貸出指示装置19は、設定操作部275及びカードリーダライタ278を備えている。設定操作部275は、設定金額当たりの遊技球の設定貸出数を設定する貸出数設定操作部276と、貸出操作装置71の貸出ボタン72が1回操作された場合に貸出対象とする金額を設定する金額設定操作部277とが設けられている。
貸出数設定操作部276により設定可能な遊技球の設定貸出数は、設定金額を100円とした場合、10個、15個、20個、25個、・・・・、45個、50個のいずれかとなるように設定されている。また、設定金額を200円とした場合、15個、21個、29個、35個、41個、49個、57個、65個のいずれかとなるように設定されている。なお、設定金額を100円とした場合に設定可能な遊技球の貸出数は上記のものに限定されることはなく、例えば、3の倍数や4の倍数といったように他の自然数であってもよく、設定金額を200円とした場合に設定可能な遊技球の貸出数は上記のものに限定されることはなく、100円当たりで換算した場合に自然数とならない他の自然数であってもよい。上記設定可能な遊技球の貸出数は、貸出指示装置19のROM272に予め記憶されている。また、貸出数設定操作部276に対する手動操作により設定された貸出数は、貸出側RAM273の設定貸出数記憶エリア291に記憶される。
金額設定操作部277により設定可能な金額は、上記設定金額の設定自然数倍となるように設定されている。具体的には、設定金額を単位金額である100円とした場合には、100円、200円、300円、400円、500円のいずれかに設定されている。また、設定金額を単位金額である200円とした場合には、200円、400円、600円、800円、1000円となっている。なお、設定可能な金額は上記のものに限定されることはなく任意である。上記設定可能な金額は、貸出指示装置19のROM272に予め記憶されている。また、金額設定操作部277に対する手動操作により設定された金額は、貸出側RAM273の貸出対象金額記憶エリア292に記憶される。
ちなみに、貸出数設定操作部276及び金額設定操作部277は、対象とする設定の操作が可能であれば任意の構成を適用できる。一例としては、貸出数設定操作部276の操作によって貸出数設定モードの開始及び終了を行えるようにするとともに、金額設定操作部277の操作によって金額設定モードの開始及び終了を行えるようにし、各金額や貸出数の入力はテンキー操作によって行えるようにする構成が考えられる。なお、上記のように、設定金額や設定貸出数が上記のようにROM272に予め記憶されている構成に限定されることはなく、例えば、テンキーへの手動操作などによって予め定められた上限範囲内における任意の設定金額や設定貸出数を設定可能な構成としてもよい。
カードリーダライタ278は、カード挿入口19aに挿入された磁気カードの残高金額を読み出すためのリーダ機能と、その磁気カードへ使用後の残高金額を書き込むためのライタ機能とを備えた磁気ヘッドで構成されている。カードリーダライタ278は貸出側MPU271と電気的に接続されており、貸出側MPU271ではカードリーダライタ278により磁気カードの残高金額を読み出すとともに、貸出側MPU271において後述する貸出指示を行った場合に使用後の残高金額をカードリーダライタ278により磁気カードに書き込ませる。
貸出指示装置19は、貸出用接続端子板143を介して、払出制御基板222及び貸出操作装置71と電気的に接続されている。具体的には、貸出用接続端子板143は複数のコネクタ(接続部)を備えており、一のコネクタに対して払出制御基板222からの複数の信号線(具体的には、電気配線)が接続されている。この場合、これら複数の信号線は、その両端にコネクタ(接続部)を有する接続ユニットとして構成されているが、個別に接続する構成としてもよい。また、一のコネクタに対して貸出操作装置71からの複数の信号線(具体的には、電気配線)が接続されている。この場合、これら複数の信号線は、その両端にコネクタ(接続部)を有する接続ユニットとして構成されているが、個別に接続する構成としてもよい。また、一のコネクタに対して貸出指示装置19からの複数の信号線(具体的には、電気配線)が接続されている。この場合、これら複数の信号線は、その両端にコネクタ(接続部)を有する接続ユニットとして構成されているが、個別に接続する構成としてもよい。なお、電源及び発射制御基板221からの電気線が他の一のコネクタに接続されている。そして、貸出側MPU271は、入出力ポート271aを通じて、払出側MPU231との間で信号の入出力を行うとともに、貸出操作装置71との間で信号の入出力を行う。なお、図33において、符号231aは、払出側MPU231の入出力ポートである。
貸出操作装置71と貸出側MPU271との間で伝送される信号について説明する。
貸出操作装置71と貸出指示装置19とは、上記のとおり、貸出用接続端子板143に中継されて、複数の信号線を通じて電気的に接続されている。これら信号線の一部を通じて貸出操作装置71から貸出側MPU271に向けて複数種の電気信号が出力されるとともに、上記信号線の一部を通じて貸出側MPU271から貸出操作装置71に向けて複数種の電気信号が出力される。
貸出操作装置71から貸出側MPU271に向けて出力される電気信号として、貸出操作信号及び返却操作信号が設定されている。貸出操作信号は、貸出操作装置71の貸出ボタン72が操作された場合に、当該操作がなされたことを貸出指示装置19に認識させる上で出力される信号である。また、返却操作信号は、貸出操作装置71の返却ボタン73が操作された場合に、当該操作がなされたことを貸出指示装置19に認識させる上で出力される信号である。貸出指示装置19は、当該返却操作信号を入力すると、図示しないアクチュエータによって、金額が残っている磁気カードをカード挿入口19a(図1参照)から排出する。なお、貸出操作装置71は上記貸出操作信号及び上記返却操作信号を出力するための各出力部を備えている。
貸出側MPU271から貸出指示装置19に向けて出力される電気信号として、度数表示信号が設定されている。度数表示信号は、カードリーダライタ278によって残高金額を磁気カードに書き込む場合に貸出側MPU271から出力される。貸出操作装置71では、度数表示信号に対応した表示がなされるように度数表示部74を表示制御する。なお、貸出側MPU271は、度数表示信号を出力するための出力部を備えており、当該出力部から出力された信号が入出力ポート271aにてラッチされ度数表示信号として出力される。
次に、払出側MPU231と貸出側MPU271との間で伝送される信号について説明する。
払出制御基板222と貸出指示装置19とは、上記のとおり、貸出用接続端子板143に中継されて、複数の信号線を通じて電気的に接続されている。これら信号線の一部を通じて貸出側MPU271から払出側MPU231に向けて複数種の電気信号が出力されるとともに、上記信号線の一部を通じて払出側MPU231から貸出側MPU271に向けて複数種の電気信号が出力される。
貸出側MPU271から払出側MPU231に向けて出力される電気信号として、初期設定完了信号、貸出確認信号及び貸出要求信号が設定されている。
初期設定完了信号は、初期設定が正常に完了していることを払出側MPU231に認識させる上で出力される信号である。初期設定完了信号は、動作電力の供給開始後において後述する初期設定が正常に完了した場合に出力が開始され、動作電力が供給されている間はその出力が維持される。ちなみに、初期設定完了信号が出力されている状態とは、当該信号を出力するための信号線を通じて貸出側MPU271から払出側MPU231にLOWレベル信号が出力されている状態であり、初期設定完了信号が出力されていない状態とは、当該信号を出力するための信号線を通じて貸出側MPU271から払出側MPU231にHIレベル信号が出力されている状態である。なお、HIレベル信号とLOWレベル信号との出力態様が逆であってもよい。
貸出確認信号は、貸出側MPU271から貸出要求信号を出力しようとしていること又は出力中であることを払出側MPU231に認識させる上で出力される信号である。貸出確認信号は、貸出要求信号の出力を開始する場合に出力が開始され、1群の貸出要求信号の出力が終了した場合に出力が停止される。ちなみに、貸出確認信号が出力されている状態及び貸出確認信号が出力されていない状態は、初期設定完了信号の取り扱いと同様である。但し、LOWレベル信号とHIレベル信号との出力態様が逆であってもよい。
貸出要求信号は、貸出側MPU271から払出側MPU231に対する球貸実行要求を示す信号であるとともに、貸出指示装置19の種類が旧型又は新型のうち新型であることを払出側MPU231に認識させる上で出力される信号である。
ここで、貸出指示装置19の旧型とは、単位金額当たりの遊技球の貸出数が旧型用の単位貸出数(例えば、25個)に固定されており、1回の貸出要求信号の出力により上記旧型用の単位貸出数の遊技球の貸出要求を行うタイプのことをいう。また、貸出指示装置19の新型とは、単位金額当たりの遊技球の貸出数を変更可能であり、1回の貸出要求信号の出力により1個の遊技球の貸出要求を行うタイプのことをいう。
ちなみに、貸出要求信号が出力されている状態及び貸出要求信号が出力されていない状態は、初期設定完了信号の取り扱いと同様である。但し、LOWレベル信号とHIレベル信号との出力態様が逆であってもよい。
貸出指示装置19に動作電力の供給が開始された直後においては、初期設定完了信号、貸出確認信号及び貸出要求信号は全て出力されておらず、それぞれの信号について出力処理が実行されるまで出力されていない状態が維持される。また、貸出側MPU271は、初期設定完了信号、貸出確認信号及び貸出要求信号をそれぞれ出力するための各出力部を備えており、これら各出力部から出力された信号が入出力ポート271aにてラッチされ初期設定完了信号、貸出確認信号及び貸出要求信号として出力される。
一方、払出側MPU231から貸出側MPU271に向けて出力される電気信号として、接続確認信号、貸出可能信号及び貸出完了信号が設定されている。
接続確認信号は、パチンコ機10の接続状態を貸出側MPU271に確認させる上で出力される信号である。接続確認信号は、貸出側MPU271から初期設定完了信号を入力している間は出力が維持される。ちなみに、接続確認信号が出力されている状態とは、当該信号を出力するための信号線を通じて払出側MPU231から貸出側MPU271にLOWレベル信号が出力されている状態であり、接続確認信号が出力されていない状態とは、当該信号を出力するための信号線を通じて払出側MPU231から貸出側MPU271にHIレベル信号が出力されている状態である。なお、LOWレベル信号とHIレベル信号との出力態様が逆であってもよい。
貸出可能信号は、払出側MPU231において貸出要求信号を受け入れ可能な状態であることを貸出側MPU271において認識させる上で出力される信号である。貸出可能信号は、払出側MPU231において後述する新旧確認処理の終了に際して出力が開始され、払出側MPU231において貸出要求信号を受け入れ可能な状態ではその出力が維持される。また、前扉枠14が開放された場合や、払出装置114に故障が発生した場合などといった遊技球の払出を正常に行えない状況が発生している場合には、貸出可能信号の出力が停止される。ちなみに、貸出可能信号が出力されている状態及び貸出可能信号が出力されていない状態は、接続確認信号の取り扱いと同様である。但し、LOWレベル信号とHIレベル信号との出力態様が逆であってもよい。
貸出完了信号は、貸出側MPU271から貸出要求信号を入力したことを貸出側MPU271に示すとともに、当該貸出要求信号による貸出指示に対する遊技球の払出が完了したことを貸出側MPU271に示す上で出力される信号である。また、貸出完了信号は、パチンコ機10の種類が旧型又は新型のうち新型であることを貸出側MPU271に認識させる上で出力される信号である。
ここで、パチンコ機10の旧型とは、従来から存在するパチンコ機10のことであり、貸出要求信号の出力開始から出力終了までを1回として、1回の貸出要求信号の出力に対する遊技球の貸出数を複数個として定められた旧型用の単位貸出数(例えば、25個)として取り扱うタイプのことをいう。また、パチンコ機10の新型とは、1回の貸出要求信号の出力に対する遊技球の貸出数を1個として取り扱うタイプのことをいう。
ちなみに、貸出完了信号が出力されている状態及び貸出完了信号が出力されていない状態は、接続確認信号の取り扱いと同様である。但し、LOWレベル信号とHIレベル信号との出力態様が逆であってもよい。
パチンコ機10に電源が投入された直後においては、接続確認信号、貸出可能信号及び貸出完了信号は全て出力されておらず、それぞれの信号について出力処理が実行されるまで出力されていない状態が維持される。また、払出側MPU231は、接続確認信号、貸出可能信号及び貸出完了信号をそれぞれ出力するための各出力部を備えており、これら各出力部から出力された信号が入出力ポート271aにてラッチされ接続確認信号、貸出可能信号及び貸出完了信号として出力される。
払出側MPU231と貸出側MPU271との間で上記のような各種信号の入出力が行われることにより、遊技球の貸出が実行される。この遊技球の貸出に際して使用される払出側RAM233の各種エリア及び貸出側RAM273の各種エリアについて説明する。
払出側RAM233には、払出側監視用カウンタエリア281、払出側確認用カウンタエリア282、払出側新型対応フラグ格納エリア(払出側新型情報記憶手段)283、貸出要求入力カウンタエリア284及び貸出数記憶エリア265が設定されている。
払出側監視用カウンタエリア281、払出側確認用カウンタエリア282及び払出側新型対応フラグ格納エリア283は、払出側MPU231において貸出指示装置19が旧型又は新型のいずれであるかを特定する上で用いられる。また、貸出要求入力カウンタエリア284は、新型の貸出指示装置19からの貸出要求に基づく遊技球の貸出数をカウントする上で用いられる。また、貸出数記憶エリア265は、既に説明したように、貸出指示装置19から入力した貸出数の情報を記憶しておくための機能を有している。
貸出側RAM273には、設定貸出数記憶エリア291、貸出対象金額記憶エリア292、貸出側確認用カウンタエリア293、貸出側監視用カウンタエリア294、貸出側新型対応フラグ格納エリア(貸出側新型情報記憶手段)295、貸出要求出力カウンタエリア296及び貸出確認出力カウンタエリア297が設定されている。
設定貸出数記憶エリア291は、上述したように、貸出数設定操作部276に対する手動操作により設定された設定金額及び設定貸出数の情報が記憶される。貸出対象金額記憶エリア292は、上述したように、金額設定操作部277に対する手動操作により設定された金額の情報を記憶する上で用いられる。貸出側確認用カウンタエリア293、貸出側監視用カウンタエリア294及び貸出側新型対応フラグ格納エリア295は、貸出側MPU271においてパチンコ機10が旧型又は新型のいずれであるかを特定する上で用いられる。また、貸出要求出力カウンタエリア296及び貸出確認出力カウンタエリア297は、払出側MPU231に対して貸出要求を行う上で用いられる。
なお、上記各種エリア281〜284,265,291〜297は、いずれも1バイトで構成されているが、これに限定されることはなく、例えば2バイト又は3バイト以上であってもよい。また、これら各エリア281〜284,265,291〜297が同一のバイト数である必要はない。
<払出側MPU231及び貸出側MPU271のそれぞれにおいて新旧確認を行う上での処理>
次に、払出側MPU231及び貸出側MPU271のそれぞれにおいて新旧確認を行う上での処理構成について説明する。以下の説明では、貸出側MPU271においてパチンコ機10の新旧確認を行う上での処理を説明し、その後に払出側MPU231において貸出指示装置19の新旧確認を行う上での処理を説明する。
<メイン処理>
貸出側MPU271では、パチンコ機10から動作電力の供給が開始されることで、メイン処理が起動される。当該メイン処理において、パチンコ機10の新旧確認を行う。メイン処理について図34のフローチャートを用いて説明する。
メイン処理では、先ずステップS2001にて初期設定処理を実行する。初期設定処理では、貸出指示装置19のカードリーダライタ278が動作可能な状態であるか否かの判定といった自己診断を実行する。なお、初期設定処理において自己診断が正常に完了しなかった場合には、貸出指示装置19に設けられた表示部などにおいてその旨が報知されるが、当該報知の態様や報知を行うか否かは任意である。
続くステップS2002では、初期設定完了信号の出力を開始する。なお、ステップS2001において初期設定が正常に完了しなかった場合には、初期設定が正常に完了する状態となるまで、ステップS2002を実行する前の状態で待機するようにしてもよい。
続くステップS2003では、払出側MPU231から1パルスの貸出完了信号を入力したか否かを判定する。具体的には、貸出完了信号に対応した信号線を通じて入力している電気信号において、HIレベル信号からLOWレベル信号への立下りが発生したか否かを判定する。なお、当該判定を、LOWレベル信号からHIレベル信号への立ち上がりが発生したか否かを判定することにより行うようにしてもよい。また、ノイズ等の影響で信号が切り換わることも想定されるため、立下り又は立ち上がりが発生し且つ切り換わり先の信号が複数回(又は複数期間)に亘って確認された場合に1パルスの貸出完了信号を入力したと判定するようにしてもよい。ちなみに、上記の信号の入力判定に関する構成は、貸出側MPU271の後述する貸出完了信号の入力判定においても同様であり、さらには払出側MPU231の後述する各種信号の入力判定においても同様である。
1パルスの貸出完了信号を入力していない場合には、ステップS2004に進む。ステップS2004では、貸出側確認用カウンタエリア293の値が初期値か否かを判定する。初期値でない場合には、ステップS2003の処理に戻る。初期値である場合には、ステップS2005にて貸出側監視用カウンタエリア294の加算処理を実行する。具体的には、貸出側監視用カウンタエリア294の値を1加算する。
その後、ステップS2006にて、貸出側監視用カウンタエリア294の値が終了基準値以上か否かを判定する。この終了基準値は、最初にステップS2003にて否定判定をしてから1secが経過したか否かを判定するように設定されているが、この時間に限定されることはなく任意である。
終了基準値以上となっていない場合には、ステップS2003の処理に戻り、終了基準値以上となっている場合には、ステップS2013にて確認終了処理を実行した後に、通常処理へ移行する。確認終了処理では、貸出側新型対応フラグ格納エリア295を除いて、新旧確認を行う上で使用した貸出側RAM273の各エリアの初期化を実行する。
上記のように、ステップS2006にて肯定判定をして、確認終了処理を実行する場合、貸出側新型対応フラグ格納エリア295に新型対応フラグ(新型対応情報)が格納されない。つまり、貸出側MPU271は、初期設定完了信号の出力を開始してから貸出側監視時間が経過したにも関わらず、貸出完了信号を払出側MPU231から入力しない場合には、パチンコ機が旧型のものであると特定する。なお、貸出側監視時間の測定は、上記のように貸出側監視用カウンタエリア294を用いて行う構成に限定されることはなく、リアルタイムクロックなどを用いて行うようにしてもよい。
一方、1パルスの貸出完了信号を入力している場合には、ステップS2003にて肯定判定をし、ステップS2007に進み、貸出側確認用カウンタエリア293の加算処理を実行する。具体的には、貸出側確認用カウンタエリア293の値を1加算する。続くステップS2008では、貸出側確認用カウンタエリア293の値が新型用基準値以上か否かを判定する。具体的には、貸出側確認用カウンタエリア293の値が「5」以上か否かを判定する。なお、当該新型用基準値は「5」に限定されることはなく任意であるが、ノイズ等の影響で貸出完了信号が出力されることが想定されるため、新型用基準値を「2」以上とすることが好ましい。
貸出側確認用カウンタエリア293の値が新型用基準値以上でない場合には、ステップS2003に戻り、新型用基準値以上である場合には、ステップS2009に進む。ステップS2009では、貸出要求信号の出力タイミングか否かを判定する。なお、出力タイミングの測定は、貸出側RAM273に設けられたタイミング測定用カウンタエリアを用いて行われるが、これに限定されることはなく、リアルタイムクロックなどを用いて行うようにしてもよい。
出力タイミングでない場合にはステップS2009の処理を繰り返す。出力タイミングである場合には、ステップS2010にて、1パルスの貸出要求信号を払出側MPU231に出力する。ここで、1パルスの貸出要求信号の出力とは、払出側MPU231において貸出要求信号についてHIレベル信号からLOWレベル信号への切り換わりが確認できる程度の期間に亘って貸出要求信号が出力されることをいう。当該ステップS2010にて、貸出要求信号を出力することにより、自身が新型の貸出指示装置19であることが払出側MPU231に対して知らされる。
続くステップS2011では、払出側MPU231から貸出可能信号を入力したか否かを判定する。貸出可能信号を入力していない場合には、ステップS2009に戻る。一方、貸出可能信号を入力している場合には、ステップS2012に進む。つまり、1パルスの貸出要求信号の出力が、払出側MPU231から貸出可能信号を入力するまで繰り返される。
ステップS2012では、貸出側新型対応フラグ格納エリア295に新型対応フラグを格納する。当該新型対応フラグが格納されることにより、パチンコ機10が新型であることを以降の各種処理において貸出側MPU271が特定可能となる。その後、ステップS2013にて確認終了処理を実行した後に、通常処理へ移行する。なお、通常処理については、後に詳細に説明する。
<新旧確認処理>
次に、払出側MPU231において実行される新旧確認処理について図35のフローチャートを用いて説明する。ここで、新旧確認処理は、払出側MPU231のタイマ割込み処理(図22)において実行される。この場合に、タイマ割込み処理は、2msec周期で起動されるため、新旧確認処理も2msec周期で起動される。つまり、貸出側MPU271においてパチンコ機10の新旧確認を行う処理が、貸出指示装置19に対して動作電力の供給が開始された場合に実行される構成であったのに対して、払出側MPU231において貸出指示装置19の新旧確認を行う処理は、払出側MPU231が動作している状況において繰り返し実行されることとなる。
新旧確認処理では、先ずステップS2101にて、第1段階以降か否かを判定する。ここで、上記のとおり新旧確認処理は、2msec周期で起動されるタイマ割込み処理(図22)の一部の処理として実行されるため、2msecよりも短い時間内で一連の処理を完了する必要がある。これに対して、貸出指示装置19の新旧確認に際しては2msecよりも長い時間を要する。したがって、貸出指示装置19の新旧確認が完了するまでには、新旧確認処理が複数回実行される必要がある。但し、新旧確認処理が複数回実行される上で、既に完了した処理が繰り返されると好ましくない。
そこで、新旧確認処理では、ステップS2102〜ステップS2103を第1段階目の処理、ステップS2105〜ステップS2107を第2段階目の処理、ステップS2108以降を第3段階目の処理として設定するとともに、ステップS2101にて第1段階目の処理が既に完了しているか否かを判定し、さらにステップS2104にて第2段階目の処理が既に完了しているか否かを判定するようにしている。なお、ステップS2103の処理が実行された場合に第1段階以降フラグが払出側RAM233に格納され、当該フラグが格納されている場合、ステップS2101では肯定判定をする。また、ステップS2107にて肯定判定をした場合に第2段階以降フラグが払出側RAM233に格納され、当該フラグが格納されている場合、ステップS2104では肯定判定をする。
ステップS2101において、第1段階以降であると判定した場合には、ステップS2102及びステップS2103の処理を実行することなくステップS2104に進む。第1段階以降でないと判定した場合には、ステップS2102に進む。
ステップS2102では、新旧確認を開始すべきか否かを判定する。新旧確認を開始すべきか否かの判定は、貸出側MPU271から初期設定完了信号を入力していない状態から入力している状態に切り換わったか否かを判定することにより行われる。具体的には、初期設定完了信号に対応した信号線を通じて入力している電気信号において、HIレベル信号からLOWレベル信号への立下りが発生したか否かを判定する。なお、ノイズ等の影響で信号が切り換わることも想定されるため、立下りが発生し且つLOWレベル信号が複数回(又は複数期間)に亘って確認された場合に新旧確認をすべきであると判定するようにしてもよい。また、初期設定完了信号のHIレベル信号とLOWレベル信号との出力態様が逆の場合には、それに合わせて判定の仕方を逆にすればよい。
ここで、既に説明したように、貸出側MPU271は動作電力の供給が開始されて初期設定が完了した場合に初期設定完了信号の出力を開始するとともに、当該信号の出力開始を契機としてパチンコ機10の新旧確認を開始する。これに対して、払出側MPU231では貸出側MPU271から初期設定完了信号を入力していない状態から入力している状態に切り換わった場合に新旧確認を開始するため、貸出側MPU271における新旧確認の処理と払出側MPU231における新旧確認の処理とを同期させることができる。
ステップS2102において新旧確認を開始すべきでないと判定した場合には、そのまま本新旧確認処理を終了する。ステップS2102において新旧確認を開始すべきであると判定した場合には、ステップS2103に進む。
ステップS2103では、接続確認信号の出力を開始するとともに、貸出可能信号の出力を停止する。なお、既に接続確認信号が出力されている場合にはその状態を維持するとともに、既に貸出可能信号が出力されていない場合にはその状態を維持する。
続くステップS2104では、第2段階以降か否かを判定する。第2段階以降であると判定した場合には、ステップS2105〜ステップS2107の処理を実行することなくステップS2108に進む。第2段階以降でないと判定した場合には、ステップS2105に進む。
ステップS2105では、貸出完了信号の出力タイミングか否かを判定する。なお、出力タイミングの測定は、払出側RAM233に設けられたタイミング測定用カウンタエリアを用いて行われるが、これに限定されることはなく、リアルタイムクロックなどを用いて行うようにしてもよい。
出力タイミングでない場合にはそのまま本新旧確認処理を終了する。出力タイミングである場合には、ステップS2106にて、1パルスの貸出完了信号を貸出側MPU271に出力する。ここで、1パルスの貸出完了信号の出力とは、貸出側MPU271において貸出完了信号についてHIレベル信号からLOWレベル信号への切り換わりが確認できる程度の期間に亘って貸出完了信号が出力されることをいう。当該ステップS2106にて、貸出完了信号を出力することにより、自身が新型のパチンコ機10であることが貸出側MPU271に対して知らされる。
続くステップS2107では、貸出完了信号の出力パルス数が出力基準数以上か否かを判定する。貸出完了信号の出力パルス数が出力基準数以上か否かの判定は、払出側RAM233に設けられた貸出完了出力カウンタエリアを用いてカウントされる。貸出完了信号の出力パルス数が出力基準数以上でない場合には、そのまま新旧確認処理を終了する。貸出完了信号の出力パルス数が出力基準数以上である場合にはステップS2108に進む。
ステップS2108では、払出側監視用カウンタエリア281の加算処理を実行する。具体的には、払出側監視用カウンタエリア281の値を1加算する。続くステップS2109では、貸出側MPU271から1パルスの貸出要求信号を入力したか否かを判定する。1パルスの貸出要求信号を入力していない場合には、ステップS2110の処理を実行することなくステップS2111に進む。1パルスの貸出要求信号を入力している場合には、ステップS2110にて、払出側確認用カウンタエリア282の加算処理を実行する。具体的には、払出側確認用カウンタエリア282の値を1加算する。その後、ステップS2111に進む。
ステップS2111では、払出側確認用カウンタエリア282の値が新型用基準値以上か否かを判定する。具体的には、払出側確認用カウンタエリア282の値が「5」以上か否かを判定する。なお、当該新型用基準値は「5」に限定されることはなく任意であるが、ノイズ等の影響で貸出要求信号が出力されることが想定されるため、新型用基準値を「2」以上とすることが好ましい。
払出側確認用カウンタエリア282の値が新型用基準値以上である場合には、ステップS2112にて、払出側新型対応フラグ格納エリア283に新型対応フラグ(新型対応情報)を格納する。当該新型対応フラグが格納されることにより、貸出指示装置19が新型であることを以降の各種処理において払出側MPU231が特定可能となる。
続くステップS2113では、貸出可能信号の出力を開始する。また、ステップS2113では、確認終了処理を実行する。確認終了処理では、払出側新型対応フラグ格納エリア283を除いて、新旧確認処理にて使用した払出側RAM233の各エリアの初期化を実行する。その後、本新旧確認処理を終了する。
一方、ステップS2111において払出側確認用カウンタエリア282の値が新型用基準値以上でないと判定した場合には、ステップS2114にて、払出側監視用カウンタエリア281の値が終了基準値以上か否かを判定する。この終了基準値は、新旧確認を開始してから(具体的には、ステップS2102にて肯定判定をしてから)当該新旧確認が完了するまで(具体的には、ステップS2113の処理が実行されるまで)の範囲において、最初にステップS2107にて肯定判定をしてから1secが経過したか否かを判定するように設定されているが、この時間に限定されることはなく任意である。
ステップS2114にて否定判定をした場合には、そのまま本新旧確認処理を終了する。ステップS2114にて肯定判定をした場合には、ステップS2113の処理を実行した後に、本新旧確認処理を終了する。この場合、払出側新型対応フラグ格納エリア283に新型対応フラグが格納されることなく、今回の新旧確認が完了することとなる。つまり、払出側MPU231は、1パルスの貸出完了信号を出力基準数以上出力してから払出側監視時間が経過したにも関わらず、新型用基準値以上の1パルスの貸出要求信号を貸出側MPU271から入力しない場合には、貸出指示装置が旧型のものであると特定する。
なお、払出側監視時間の測定は、上記のように払出側監視用カウンタエリア281を用いて行う構成に限定されることはなく、リアルタイムクロックなどを用いて行うようにしてもよい。
<新旧確認の様子について>
ここで、払出側MPU231及び貸出側MPU271における新旧確認の様子について、図36のタイムチャートを参照して説明する。なお、図36を用いた説明においては、払出側MPU231における新旧確認の様子に着目して説明を行うこととし、最初に旧型の貸出指示装置の場合について説明した後に、新型の貸出指示装置19の場合について説明する。
先ず、旧型の貸出指示装置の場合について説明する。
パチンコ機10の電源が投入されることにより、t1のタイミングで、貸出指示装置への動作電力の供給が開始される。これにより、貸出指示装置においてメイン処理が開始され、貸出側MPUにおいて初期設定処理が実行される。
その後、t2のタイミングで、貸出側MPUからの初期設定完了信号の出力が開始される。これにより、t3のタイミングで、払出側MPU231からの接続確認信号の出力が開始されるとともに、t3のタイミングからt4のタイミングに亘って、1パルスの貸出完了信号の出力が5回行われる。この場合に、旧型の貸出指示装置においては上記貸出完了信号の出力に対して応答する機能を有していないため、貸出要求信号の出力が行われない。
貸出要求信号の出力が行われない状況において、t5のタイミングで払出側監視期間が経過することで、払出側MPU231からの貸出可能信号の出力が開始される。この場合、払出側RAM233の払出側新型対応フラグ格納エリア283に新型対応フラグが格納されないため、払出側MPU231において貸出指示装置が旧型であると特定される。
次に、新型の貸出指示装置について説明する。
パチンコ機10の電源が投入されることにより、t6のタイミングで、貸出指示装置19への動作電力の供給が開始される。これにより、貸出指示装置19においてメイン処理が開始され、貸出側MPU271において初期設定処理が実行される。
その後、t7のタイミングで、貸出側MPU271からの初期設定完了信号の出力が開始される。これにより、t8のタイミングで、払出側MPU231からの接続確認信号の出力が開始されるとともに、t8のタイミングからt9のタイミングに亘って、1パルスの貸出完了信号の出力が5回行われる。
貸出側MPU271では、1パルスの貸出完了信号を5回入力することにより、t10のタイミングで、1パルスの貸出要求信号の出力を開始する。その後、t11のタイミングで、1パルスの貸出要求信号の出力が5回目に達する。これにより、払出側MPU231では、t12のタイミングで、貸出可能信号の出力を開始するとともに、払出側RAM233の払出側新型対応フラグ格納エリア283に新型対応フラグを格納する。また、貸出側MPU271では、1パルスの貸出要求信号の出力を停止するとともに、貸出側RAM273の貸出側新型対応フラグ格納エリア295に新型対応フラグを格納する。この場合、払出側MPU231において貸出指示装置19が新型であると特定されるとともに、貸出側MPU271においてパチンコ機10が新型であると特定される。
<貸出側MPU271において払出側MPU231に貸出指示を行う上での処理>
次に、貸出側MPU271において払出側MPU231に貸出指示を行う上での処理構成について説明する。貸出側MPU271では、上記メイン処理(図34)を実行した後に、通常処理を実行する。そして、当該通常処理において、貸出指示を行う。通常処理について図37のフローチャートを用いて説明する。
<通常処理>
通常処理では、先ずステップS2201にて設定貸出数の設定処理を実行する。当該設定処理では、貸出数設定操作部276の操作の有無を判定し、貸出数設定操作部276が操作されている場合には、設定金額及び当該設定金額に対する設定貸出数の設定を、貸出数設定操作部276の操作に応じたものとする。当該設定処理における設定結果は、貸出側RAM273の設定貸出数記憶エリア291に記憶される。具体的には、設定金額が100円又は200円のいずれであるかの情報が記憶されるとともに、設定貸出数の情報が記憶される。
続くステップS2202では、貸出対象金額の設定処理を実行する。当該設定処理では、金額設定操作部277の操作の有無を判定し、金額設定操作部277が操作されている場合には、貸出操作装置71の貸出ボタン72が1回操作された場合に貸出対象とする金額の設定を、金額設定操作部277の操作に応じたものとする。具体的には、設定金額の設定自然数倍となるように設定される。当該設定処理における設定結果は、貸出側RAM273の貸出対象金額記憶エリア292に記憶される。具体的には、上記設定自然数の値の情報が貸出対象金額記憶エリア292に記憶される。
その後、ステップS2203にて貸出指示処理を実行し、ステップS2204にて度数表示処理を実行し、ステップS2205にて返却処理を実行した後に、ステップS2201の処理に戻る。なお、ステップS2204の度数表示処理では、貸出指示装置19に挿入されている磁気カードの残高に対応した情報を度数表示信号として貸出操作装置71に出力する処理を実行する。また、ステップS2205の返却処理では、残高金額が0円となった磁気カードの返却を行うための処理、及び貸出操作装置71から入力している返却操作信号に応じた磁気カードの返却を行うための処理を実行する。
<貸出指示処理>
次に、ステップS2203の貸出指示処理について図38のフローチャートを用いて説明する。
貸出指示処理では、ステップS2301にて、払出側MPU231から貸出可能信号を入力しているか否かを判定する。また、ステップS2302にて、貸出操作装置71から貸出操作信号を入力しているか否かを判定する。また、ステップS2303にて、磁気カードに残高金額が記憶されているか否かを判定する。
ステップS2301、ステップS2302又はステップS2303のいずれかで否定判定をした場合には、そのまま本貸出指示処理を終了する。ステップS2301、ステップS2302及びステップS2303の全てにおいて肯定判定をした場合には、ステップS2304に進む。
ステップS2304では、貸出側新型対応フラグ格納エリア295に新型対応フラグが格納されているか否かを判定する。新型対応フラグが格納されている場合には、ステップS2305にて新型用貸出指示処理を実行した後に、本貸出指示処理を終了する。一方、新型対応フラグが格納されていない場合には、ステップS2306にて旧型用貸出指示処理を実行した後に、本貸出指示処理を終了する。
なお、本パチンコ機10は、新型又は旧型のうち新型に該当するため、貸出指示装置19が本パチンコ機10と接続されている場合には、新型用貸出指示処理が実行される。但し、新型用貸出指示処理だけでなく、旧型用貸出指示処理についても以下に説明する。
<新型用貸出指示処理>
次に、新型用貸出指示処理について図39のフローチャートを用いて説明する。
新型用貸出指示処理では、先ずステップS2401にて、貸出要求信号の出力回数を把握する。具体的には、貸出側RAM273の設定貸出数記憶エリア291に記憶されている情報に基づいて、貸出要求信号の出力回数を把握するとともに、その把握した出力回数を貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶する。この場合、貸出側RAM273の設定貸出数記憶エリア291には設定金額の情報と当該設定金額当たりの設定貸出数の情報とが記憶されているが、後者の設定貸出数の情報のみを把握し、その把握した設定貸出数の情報を汎用レジスタに記憶する。
また、ステップS2401では、貸出確認信号の出力回数を把握する。具体的には、貸出側RAM273の貸出対象金額記憶エリア292に記憶されている情報に基づいて、貸出確認信号の出力回数を把握するとともに、その把握した出力回数を貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶する。具体的には、貸出対象金額記憶エリア292には既に説明したように設定自然数の値の情報が記憶されており、この設定自然数の値の情報を汎用レジスタに記憶する。
なお、貸出側MPU271の汎用レジスタは、貸出要求信号の出力回数と貸出確認信号の出力回数とを個別に記憶可能な記憶容量を有しており、両出力回数の情報がそれぞれ個別に記憶される。
続くステップS2402では、貸出確認信号の出力を開始するとともに、貸出要求信号の出力を開始する。続くステップS2403では、払出側MPU231から貸出完了信号を入力したか否かを判定する。貸出完了信号を入力していない場合には、ステップS2404にて、所定時間が経過したか否かを判定する。当該所定時間が経過したか否かの判定は貸出側監視用カウンタエリア294を用いて行われ、所定時間として例えば1sec経過したか否かを判定する。
所定時間が経過していない場合には、ステップS2403の処理に戻る。所定時間が経過している場合には、ステップS2412にて指示終了処理を実行した後に、本新型用貸出指示処理を終了する。指示終了処理では、貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶されている貸出確認信号の出力回数の情報及び貸出要求信号の出力回数の情報を消去するとともに、貸出要求出力カウンタエリア296及び貸出確認出力カウンタエリア297を初期化する。
なお、上記のようにステップS2404において所定時間が経過していると判定される場合は、払出側MPU231において貸出完了信号を出力できない状況が発生していることを意味するため、今回の貸出ボタン72の操作を無効なものとして取り扱う。
一方、貸出完了信号を入力している場合には、ステップS2403にて肯定判定をし、ステップS2405に進む。ステップS2405では、貸出要求信号の出力を停止する。また、ステップS2405では、貸出側RAM273における貸出要求出力カウンタエリア296の加算処理を実行する。具体的には、貸出要求出力カウンタエリア296の値を1加算する。
続くステップS2406では、貸出要求出力カウンタエリア296の値が貸出要求設定値か否かを判定する。具体的には、貸出要求出力カウンタエリア296の値が貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶されている貸出要求信号の出力回数の情報に対応した値と一致しているか否かを判定する。
一致していない場合には、ステップS2406にて否定判定をし、ステップS2407に進む。ステップS2407では、貸出要求信号の出力タイミングか否かを判定する。出力タイミングでない場合にはステップS2407の処理を繰り返す。出力タイミングである場合には、ステップS2408にて、1パルスの貸出要求信号を出力する。また、ステップS2408では、貸出要求出力カウンタエリア296の加算処理を実行する。具体的には、貸出要求出力カウンタエリア296の値を1加算する。その後、ステップS2406に戻る。
ステップS2406において、一致していると判定した場合には、肯定判定をしてステップS2409に進む。ステップS2409では、貸出確認信号の出力停止処理を実行する。また、ステップS2409では、貸出側RAM273における貸出確認出力カウンタエリア297の加算処理を実行する。具体的には、貸出確認出力カウンタエリア297の値を1加算する。
続くステップS2410では、払出側MPU231からそれまで入力していた貸出完了信号を入力しなくなったか否かを判定する。貸出完了信号の入力が継続されている場合には、ステップS2410の処理を繰り返す。貸出完了信号を入力していない場合には、ステップS2411に進む。
ちなみに、ステップS2410において否定判定をしたタイミングで、カードリーダライタ278によって磁気カードの残高金額が更新される。この更新が行われることにより、設定貸出数記憶エリア291に記憶されている設定金額の情報に対応した金額が、それまでの磁気カードの残高金額から減算される。
ステップS2411では、貸出確認出力カウンタエリア297の値が貸出可能設定値か否かを判定する。具体的には、貸出確認出力カウンタエリア297の値が貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶されている貸出確認信号の出力回数の情報に対応した値と一致しているか否かを判定する。一致していない場合には、ステップS2402に戻り、当該ステップS2402以降の処理を再度実行する。一致している場合には、ステップS2412にて指示終了処理を実行した後に、本新型用貸出指示処理を終了する。
<旧型用貸出指示処理>
次に、旧型用貸出指示処理について図40のフローチャートを用いて説明する。
旧型用貸出指示処理では、先ずステップS2501にて、貸出要求信号の出力回数を把握する。ここで、新型用貸出指示処理では、ステップS2401にて貸出要求信号の出力回数を把握する場合、設定貸出数記憶エリア291に記憶されている情報に基づいて、貸出要求信号の出力回数の把握を行ったが、旧型用貸出指示処理のステップS2501では、貸出要求信号の出力回数の把握を、貸出対象金額記憶エリア292に記憶されている情報に基づいて行う。具体的には、貸出対象金額記憶エリア292に記憶されている設定自然数の値を、貸出要求信号の出力回数として把握する。この把握した出力回数の情報は、貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶される。
続くステップS2502では、貸出確認信号の出力を開始するとともに、貸出要求信号の出力を開始する。続くステップS2503では、払出側MPU231から貸出完了信号を入力したか否かを判定する。貸出完了信号を入力していない場合には、ステップS2504にて、所定時間が経過したか否かを判定する。当該所定時間が経過したか否かの判定の方法は、新型用貸出指示処理と同様である。
所定時間が経過していない場合には、ステップS2503の処理に戻る。所定時間が経過している場合にはステップS2508の処理を実行した後に、本旧型用貸出指示処理を終了する。ステップS2508では、貸出確認信号の出力を停止する。また、ステップS2508では、指示終了処理を実行する。指示終了処理では、貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶されている貸出要求信号の出力回数の情報を消去するとともに、貸出要求出力カウンタエリア296を初期化する。
なお、上記のようにステップS2504において所定時間が経過していると判定される場合は、払出側MPU231において貸出完了信号を出力できない状況が発生していることを意味するため、今回の貸出ボタン72の操作を無効なものとして取り扱う。
一方、貸出完了信号を入力している場合には、ステップS2503にて肯定判定をし、ステップS2505に進む。ステップS2505では、貸出要求信号の出力を停止する。また、ステップS2505では、貸出側RAM273における貸出要求出力カウンタエリア296の加算処理を実行する。具体的には、貸出要求出力カウンタエリア296の値を1加算する。
続くステップS2506では、払出側MPU231からそれまで入力していた貸出完了信号を入力しなくなったか否かを判定する。貸出完了信号の入力が継続されている場合には、ステップS2506の処理を繰り返す。貸出完了信号を入力していない場合には、ステップS2507に進む。
ちなみに、ステップS2506において肯定判定をしたタイミングで、カードリーダライタ278によって磁気カードの残高金額が更新される。この更新が行われることにより、100円が、それまでの磁気カードの残高金額から減算される。
ステップS2507では、貸出要求出力カウンタエリア296の値が貸出要求設定値か否かを判定する。具体的には、貸出要求出力カウンタエリア296の値が貸出側MPU271の汎用レジスタに記憶されている貸出要求信号の出力回数の情報に対応した値と一致しているか否かを判定する。一致していない場合には、ステップS2502に戻り、当該ステップS2502以降の処理を再度実行する。一致している場合には、ステップS2508の処理を実行した後に、本旧型用貸出指示処理を終了する。
<払出側MPU231において貸出要求に基づく遊技球の払出を行う上での処理>
次に、払出側MPU231において、貸出側MPU271からの貸出要求に基づく遊技球の払出を行う上での処理構成について説明する。払出側MPU231では、タイマ割込み処理(図22)のステップS1207にて貸出設定処理を実行し、貸出側MPU271から入力した貸出要求に対する遊技球の払出数を特定する。貸出設定処理について図41のフローチャートを用いて説明する。
<貸出設定処理>
貸出設定処理では、先ずステップS2601にて、払出側新型対応フラグ格納エリア283に新型対応フラグが格納されているか否かを判定する。新型対応フラグが格納されている場合には、ステップS2602にて新型用貸出設定処理を実行した後に、本貸出設定処理を終了する。一方、新型対応フラグが格納されていない場合には、ステップS2603にて旧型用貸出設定処理を実行した後に、本貸出設定処理を終了する。
なお、貸出指示装置19は、新型又は旧型のうち新型に該当するため、パチンコ機10が貸出指示装置19と接続されている場合には、新型用貸出設定処理が実行される。但し、新型用貸出設定処理だけでなく、旧型用貸出設定処理についても以下に説明する。
<新型用貸出設定処理>
次に、新型用貸出設定処理について図42のフローチャートを用いて説明する。
新型用貸出設定処理では、先ずステップS2701にて、払出側RAM233の貸出状態フラグ格納エリア(貸出状態情報記憶手段)に貸出状態フラグ(貸出状態情報)が格納されているか否かを判定する。貸出状態フラグは、払出側MPU231において、貸出動作中であるか否かを特定する上で用いられるフラグであり、貸出動作中となることで格納され、貸出動作を行う必要がなくなった場合に消去される。
貸出状態フラグが格納されていない場合には、ステップS2702〜ステップS2708の貸出動作設定用処理を実行し、貸出状態フラグが格納されている場合には、ステップS2709〜ステップS2715の貸出動作中処理を実行する。
貸出動作設定用処理では、先ずステップS2702にて、貸出側MPU271から貸出確認信号及び貸出要求信号を入力しているか否かを判定する。貸出確認信号及び貸出要求信号のいずれか一方でも入力していない場合には、そのまま本新型用貸出設定処理を終了する。一方、貸出確認信号及び貸出要求信号の両方を入力している場合には、ステップS2703にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態は、既に説明したとおりである。
払出エラー状態である場合には、そのまま本新型用貸出設定処理を終了する。払出エラー状態でない場合には、ステップS2704にて払出動作中か否かを判定する。具体的には、払出モータ125が停止中か否かを判定する。貸出状態フラグが格納されていない状況であって払出モータ125が動作中である状況は、賞球の払出が実行されている状況であることを意味する。つまり、ステップS2704では賞球動作中であるか否かを判定していると言える。
払出動作中である場合には、そのまま本新型用貸出設定処理を終了する。払出動作中でない場合には、ステップS2705にて、貸出側MPU271に向けて貸出完了信号の出力を開始する。
ここで、既に説明したように、貸出側MPU271では、貸出確認信号及び貸出要求信号の両方の出力を開始してから所定時間が経過したにも関わらず払出側MPU231から貸出完了信号を入力しない場合には、払出側MPU231において貸出完了信号を出力できない状況が発生していると特定し、今回の貸出ボタン72の操作を無効なものとして取り扱う。これに対して、払出側MPU231では、上記のように払出動作中(すなわち、賞球動作中)においては貸出完了信号の出力を開始しないようにすることで、賞球動作中には貸出側MPU271から貸出要求を受け付けないようにすることができる。
賞球動作中に貸出要求を受け付ける構成を想定すると、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に遊技球1個分以上の賞球数の情報が記憶されているにも関わらず、賞球の払出を停止させる必要が生じる。この場合に、パチンコ機10が電源遮断状態となると、既に説明したように払出側RAM233に電断時用電力が供給されないことに伴って、賞球数の情報は消去されてしまう。また、貸出指示を受け付けるが、賞球動作は継続する構成も想定されるが、そうすると賞球動作が継続されるにも関わらず貸出数記憶エリア265に遊技球1個分以上の貸出数の情報が記憶されることとなる。この場合に、パチンコ機10が電源遮断状態となると、既に説明したように払出側RAM233に電断時用電力が供給されないことに伴って、貸出数の情報は消去されてしまう。
その一方、貸出指示装置19においては、磁気カードに残高金額の情報が記憶保持されるため、賞球動作中においては貸出側MPU271から貸出要求信号を入力しないようにすることで、パチンコ機10が電源遮断状態となったとしても貸出数の情報が消去されることはない。上記事情において、賞球動作中に貸出支持を受け付けないようにすることで、遊技球1個分以上の賞球数の情報や遊技球1個分以上の貸出数の情報が実際に払い出されないまま消去されてしまうことが防止される。
新型用貸出設定処理(図42)の説明に戻り、続くステップS2706では、払出側RAM233における貸出要求入力カウンタエリア284の加算処理を実行する。具体的には、貸出要求入力カウンタエリア284の値を1加算する。続くステップS2707では、払出側RAM233の貸出状態フラグ格納エリアに貸出状態フラグを格納する。
その後、ステップS2708にて、払出側RAM233の指示待ちフラグ格納エリア(指示待ち情報記憶手段)に指示待ちフラグ(指示待ち情報)を格納した後に、本新型用貸出設定処理を終了する。指示待ちフラグは、払出側MPU231において、貸出側MPU271からの貸出要求信号の入力待ち状態か否かを特定する上で用いられるフラグであり、入力待ち状態となることで格納され、貸出要求信号の入力を待つ必要がなくなった場合に消去される。
ステップS2709〜ステップS2715の貸出動作中処理では、先ずステップS2709にて、払出側RAM233の指示待ちフラグ格納エリアに支持待ちフラグが格納されているか否かを判定する。指示待ちフラグが格納されていない場合には、ステップS2710〜ステップS2713の処理を実行することなくステップS2714に進む。指示待ちフラグが格納されている場合には、ステップS2710に進む。
ステップS2710では、貸出側MPU271から1パルスの貸出要求信号を入力したか否かを判定する。1パルスの貸出要求信号を入力していない場合には、ステップS2711の処理を実行することなくステップS2712に進む。1パルスの貸出要求信号を入力している場合には、ステップS2711にて貸出要求入力カウンタエリア284の加算処理を実行する。具体的には、貸出要求入力カウンタエリア284の値を1加算する。その後、ステップS2712に進む。
ステップS2712では、貸出側MPU271からそれまで入力していた貸出確認信号を入力しなくなったか否かを判定する。貸出確認信号の入力が継続されている場合には、そのまま本新型用貸出設定処理を終了する。貸出確認信号を入力していない場合には、ステップS2713に進む。
ステップS2713では、払出側RAM233における貸出数記憶エリア265の加算処理を実行する。当該加算処理では、貸出要求入力カウンタエリア284に記憶されている貸出要求信号を入力した回数の情報を、貸出数記憶エリア265に貸出数の情報として記憶させる。例えば、ステップS2713の処理が実行されるまでに貸出要求信号を50回入力している場合には、貸出要求入力カウンタエリア284の値は「50」である。この場合、ステップS2713では、貸出数記憶エリア265に貸出数が「50」である情報を記憶させる。なお、貸出数記憶エリア265の加算処理を実行した場合に、貸出要求入力カウンタエリア284の初期化処理を実行する。
ここで、既に説明したように、払出側MPU231では、払出個数設定処理(図26)において払出個数カウンタエリア266に遊技球の払出個数が設定される。この場合、貸出動作中すなわち貸出状態フラグが格納されている状態では、貸出数記憶エリア265に記憶されている値が払出個数カウンタエリア266に更新される。また、払出状態設定処理(図28)において払出個数カウンタエリア266に遊技球1個分以上の払出個数の情報が記憶されていないと、払出モータ125が停止状態となり遊技球の払出は実行されない。
このような処理構成において、上記のとおり、貸出側MPU271から1パルスの貸出要求信号を入力した場合には、貸出数記憶エリア265の加算処理を実行するのではなく、貸出要求入力カウンタエリア284の加算処理を実行し、貸出側MPU271から貸出確認信号を入力しなくなった場合に貸出要求入力カウンタエリア284の値を貸出数記憶エリア265に記憶させる構成とすることで、設定金額当たりの設定貸出数に対応した数の貸出要求信号が貸出側MPU271から出力されている間は、払出側MPU231では遊技球の払出を実行することなく待機する。そして、設定金額当たりの設定貸出数に対応した数の貸出要求信号が貸出側MPU271から出力された後に、設定金額当たりの設定貸出数に対応した数の遊技球の払出が開始される。
なお、貸出側MPU271から設定金額当たりの設定貸出数に対応した数の貸出要求信号を入力している間に、主側MPU211から賞球コマンドを入力することがある。そうすると、貸出側MPU271から貸出要求信号を入力している途中であるにも関わらず、遊技球の払出が開始されてしまうことが懸念される。これに対して、払出個数設定処理(図26)では、上記のとおり貸出動作中すなわち貸出状態フラグが格納されている状態では、貸出数記憶エリア265に記憶されている値が払出個数カウンタエリア266に記憶され、賞球数記憶エリア264に記憶されている値が払出個数カウンタエリア266に記憶されない。そして、貸出状態フラグが格納されている状態は、設定金額当たりの設定貸出数に対応した数の貸出要求信号を入力している間は消去されない。したがって、貸出側MPU271から貸出要求信号を入力している途中であるにも関わらず、遊技球の払出が開始されてしまうことはない。
新型用貸出設定処理(図42)の説明に戻り、続くステップS2714では、貸出数記憶エリア265に記憶されている値が「0」か否か、すなわち貸出数記憶エリア265に未払出の貸出数の情報が記憶されているか否かを判定する。なお、既に説明したように、払出制御処理(図27)では、貸出動作中において遊技球の払出が検知される度に、貸出数記憶エリア265の値が1減算されていく(ステップS1709)。
貸出数記憶エリア265に記憶されている値が「0」でない場合には、そのまま本新型用貸出設定処理を終了する。貸出数記憶エリア265に記憶されている値が「0」である場合には、ステップS2715に進む。ステップS2715では、貸出完了信号の出力を停止するとともに、払出側RAM233から貸出状態フラグを消去する。その後、本新型用貸出設定処理を終了する。
<旧型用貸出設定処理>
次に、旧型用貸出設定処理について図43のフローチャートを用いて説明する。
旧型用貸出設定処理では、先ずステップS2801にて、払出側RAM233に貸出状態フラグが格納されているか否かを判定する。貸出状態フラグが格納されていない場合には、ステップS2802〜ステップS2807の貸出動作設定用処理を実行し、貸出状態フラグが格納されている場合には、ステップS2808〜ステップS2817の貸出動作中処理を実行する。
貸出動作設定用処理では、ステップS2802にて、貸出側MPU271から貸出確認信号及び貸出要求信号を入力しているか否かを判定する。また、ステップS2803にて、払出エラー状態か否かを判定する。また、ステップS2804にて、払出動作中か否かを判定する。ステップS2802にて肯定判定をし、ステップS2803及びステップS2804において否定判定をした場合にはステップS2805に進み、それ以外においてはそのまま本旧型用貸出設定処理を終了する。
ステップS2805では、貸出側MPU271に向けて貸出完了信号の出力を開始する。続くステップS2806では、貸出数記憶エリア265の加算処理を実行する。当該加算処理では、払出制御基板222のROM232に記憶された旧型用の単位貸出数の情報を貸出数記憶エリア265に加算する。具体的には、100円分に相当する25個の貸出数の情報を貸出数記憶エリア265に加算する。続くステップS2807では、払出側RAM233に貸出状態フラグを格納する。その後、本旧型用貸出設定処理を終了する。
ステップS2808〜ステップS2817の貸出動作中処理では、先ずステップS2808にて、払出側MPU231自身が貸出完了信号の出力を継続しているか否かを判定する。貸出完了信号の出力を継続していない場合には、ステップS2809及びステップS2810の処理を実行することなくステップS2811に進む。貸出完了信号の出力を継続している場合には、ステップS2809に進む。
ステップS2809では、貸出数記憶エリア265に記憶されている値が「0」か否か、すなわち貸出数記憶エリア265に未払出の貸出数の情報が記憶されているか否かを判定する。貸出数記憶エリア265に記憶されている値が「0」でない場合には、そのまま本旧型用貸出設定処理を終了する。貸出数記憶エリア265に記憶されている値が「0」である場合には、ステップS2810に進む。ステップS2810では、貸出完了信号の出力を停止するとともに、払出側RAM233に指示待ちフラグを格納する。
続くステップS2811では、払出側RAM233に指示待ちフラグが格納されているか否かを判定する。指示待ちフラグが格納されていない場合には、ステップS2812〜ステップS2815の処理を実行することなくステップS2816に進む。指示待ちフラグが格納されている場合には、ステップS2812に進む。
ステップS2812では、貸出側MPU271から貸出要求信号を入力しているか否かを判定する。貸出要求信号を入力していない場合には、ステップS2813〜ステップS2815の処理を実行することなくステップS2816に進む。貸出要求信号を入力している場合には、ステップS2813に進む。
ステップS2813では、貸出完了信号の出力を開始する。続くステップS2814では、貸出数記憶エリア265の加算処理を実行する。これらステップS2813及びステップS2814の処理は、ステップS2805及びステップS2806と同様である。続くステップS2815では、払出側RAM233の指示待ちフラグを消去する。
続くステップS2816では、貸出側MPU271からそれまで入力していた貸出確認信号を入力しなくなったか否かを判定する。貸出確認信号の入力が継続されている場合には、そのまま本旧型用貸出設定処理を終了する。貸出確認信号を入力していない場合には、ステップS2817にて、払出側RAM233の貸出状態フラグを消去した後に、本旧型用貸出設定処理を終了する。
<貸出要求に基づく遊技球の払出の様子について>
ここで、貸出要求に基づく遊技球の払出に様子について、図44のタイムチャートを用いて説明する。なお、図44を用いた説明においては、払出側MPU231に着目して説明を行うこととし、最初に旧型の貸出指示装置からの貸出要求に基づく遊技球の払出の様子について説明した後に、新型の貸出指示装置19からの貸出要求に基づく遊技球の払出の様子について説明する。
先ず、旧型の貸出指示装置からの貸出要求に基づく遊技球の払出の様子について、図44(a)を用いて説明する。
貸出指示装置19に所定金額以上の残高金額が記憶された磁気カードが挿入されている状況において貸出操作装置71の貸出ボタン72が操作されることにより、t1のタイミングで、貸出側MPUからの貸出確認信号及び貸出要求信号の出力が開始される。これにより、t2のタイミングで、払出側MPU231からの貸出完了信号の出力が開始されるとともに、貸出数記憶エリア265に旧型用の単位貸出数(具体的には、遊技球25個分)の情報が記憶される。また、貸出数記憶エリア265に旧型用の単位貸出数の情報が記憶されることで、払出側MPU231において遊技球の払出が開始される。また、貸出側MPUに貸出完了信号が入力されることで、t3のタイミングで、貸出側MPUにおいて貸出要求信号の出力が停止される。なお、この際、貸出確認信号の出力は維持される。
その後、t4のタイミングで、上記単位貸出数の遊技球の払出が完了することで、払出側MPU231からの貸出完了信号の出力が停止される。これにより、t5のタイミングで、貸出側MPUからの貸出要求信号の出力が開始される。
そして、t5のタイミング〜t6のタイミング、t7のタイミング〜t8のタイミング、t9のタイミング〜t10のタイミング、t11のタイミング〜t12のタイミングのそれぞれにおいて、t1のタイミング〜t4のタイミングと同様の動作が繰り返され、t12のタイミングで、貸出対象金額分の貸出数に対応した遊技球の払出が完了する。なお、図44(a)においては、貸出対象金額が500円に設定されている。
その後、t13のタイミングで、貸出側MPUからの貸出確認信号の出力が停止され、今回の貸出ボタン72の操作に基づく遊技球の貸出動作が完了する。
次に、新型の貸出指示装置19からの貸出要求に基づく遊技球の払出の様子について、図44(b)を用いて説明する。
貸出指示装置19に所定金額以上の残高金額が記憶された磁気カードが挿入されている状況において貸出操作装置71の貸出ボタン72が操作されることにより、t14のタイミングで、貸出側MPU271からの貸出確認信号及び貸出要求信号の出力が開始される。これにより、t15のタイミングで、払出側MPU231からの貸出完了信号の出力が開始されるとともに、貸出要求入力カウンタエリア284の値が1加算される。また、貸出側MPU271に対して貸出完了信号が入力されることで、t16のタイミングで、貸出要求信号の出力が停止される。なお、この際、貸出確認信号の出力は維持される。
その後、t17のタイミングで1パルスの貸出要求信号の出力が開始され、t14のタイミングにおける貸出要求信号の出力を含めて貸出要求信号の出力回数が、設定金額当たりの設定貸出数と一致することとなるt18のタイミングまで、1パルスの貸出要求信号の出力が繰り返される。なお、図44(b)においては、設定金額当たりの設定貸出数が「49」に設定されているため、上記貸出要求信号の出力回数は49回である。また、払出側MPU231においては、t17のタイミング〜t18のタイミングで、1パルスの貸出要求信号を入力する度に貸出要求入力カウンタエリア284の値が1加算される。
その後、t19のタイミングで、貸出側MPU271からの貸出確認信号の出力が停止される。また、当該タイミングにおいて、払出側MPU231にて貸出確認信号の出力が停止されたことが確認されることで、貸出要求入力カウンタエリア284に記憶されている貸出要求信号を入力した回数の情報が、貸出数記憶エリア265に貸出数の情報として記憶される。また、払出側MPU231において遊技球の払出が開始される。
その後、t20のタイミングで、上記設定貸出数の遊技球の払出が完了することで、払出側MPU231からの貸出完了信号の出力が停止される。これにより、t21のタイミングで、貸出側MPU271からの貸出確認信号及び貸出要求信号の両方の出力が開始される。そして、t21のタイミング〜t22のタイミングにおいて、t14のタイミング〜t20のタイミングと同様の動作が行われ、t22のタイミングで、貸出対象金額分の貸出数に対応した遊技球の払出が完了する。これにより、今回の貸出ボタン72の操作に基づく遊技球の貸出動作が完了する。なお、図44(b)においては、設定金額が200円であり、貸出対象金額が400円に設定されている。
<遊技ホールにおける遊技球の貸出の取り扱いについて>
遊技ホールにおいては、多数のパチンコ機が設置されているとともに、各パチンコ機に1対1で対応させて貸出指示装置が設置されている。この場合に、従来の遊技ホールでは、上記貸出指示装置19のように新型用貸出指示処理(図39)及び旧型用貸出指示処理(図40)を実行可能な構成ではなく、後者の処理に対応した貸出指示処理、すなわち単位金額当たりの貸出数の変更が不可な貸出指示装置が設置されていた。
このような事情において、例えば、上記新型のパチンコ機10を導入しようとする場合、それに合わせて貸出指示装置を全て上記新型の貸出指示装置19に交換する必要が生じると好ましくない。これに対して、上記新型のパチンコ機10では、新型用貸出設定処理及び旧型用貸出設定処理の両方を実行可能な構成であるため、旧型の貸出指示装置及び上記新型の貸出指示装置19の両方に対応することができる。
つまり、パチンコ機10の貸出用接続端子板143に、単位金額当たりの遊技球の貸出数が固定式の旧型の貸出指示装置(従来の貸出指示装置)を接続した場合には、払出側MPU231にて新旧確認処理(図35)が実行されることでそれが当該払出側MPU231において特定される。そして、貸出ボタン72が操作されて貸出指示装置から貸出要求信号が出力された場合には、払出側MPU231において旧型用貸出設定処理(図43)が実行されて、貸出要求信号の1回の入力に対する払出対象の遊技球数が旧型用の単位貸出数(具体的には、25個)であることが特定される。
一方、パチンコ機10の貸出用接続端子板143に、単位金額当たりの遊技球の貸出数を変更可能な新型の貸出指示装置19を接続した場合には、払出側MPU231において新旧確認処理(図35)が実行されることでそれが当該払出側MPU231において特定される。そして、貸出ボタン72が操作されて貸出指示装置から貸出要求信号が出力された場合には、払出側MPU231において新型用貸出設定処理(図42)が実行されて、貸出要求信号の1回の入力に対する払出対象の遊技球数が1個であることが特定される。
なお、新型の貸出指示装置は、上記貸出指示装置19のように新型用貸出指示処理(図39)及び旧型用貸出指示処理(図40)の両方の処理を実行可能な構成に限定されることはなく、旧型用貸出指示処理(図40)が実行されないものであってもよい。
ここで、貸出指示装置19は、パチンコ機10との間で入出力する信号の種類が、旧型の貸出指示装置がパチンコ機10との間で入出力する信号の種類と同数となっている。したがって、パチンコ機10においては、遊技球の貸出に関して単一の信号入出力の構成を利用して旧型の貸出指示装置及び新型の貸出指示装置19のいずれとも接続可能である。
また、従来の遊技ホールでは、上記パチンコ機10のように新型用貸出設定処理(図42)及び旧型用貸出設定処理(図43)を実行可能な構成ではなく、後者の処理に対応した貸出設定処理、すなわち貸出要求信号を1回入力したことに対して旧型用の単位貸出数の払出のみを実行可能なパチンコ機が設置されていた。
このような事情において、例えば、上記新型の貸出指示装置19を導入しようとする場合、それに合わせてパチンコ機を全て上記新型のパチンコ機10に交換する必要が生じると好ましくない。これに対して、上記新型の貸出指示装置19では、新型用貸出指示処理及び旧型用貸出指示処理の両方を実行可能な構成であるため、旧型のパチンコ機及び上記新型のパチンコ機10の両方に対応することができる。
つまり、単位金額当たりの遊技球の貸出数が固定式の旧型のパチンコ機に接続した場合には、貸出側MPU271にてメイン処理(図34)が実行されることでそれが貸出側MPU271において特定される。そして、貸出ボタン72が操作された場合には、貸出側MPU271において旧型用貸出指示処理(図40)が実行されて、単位金額当たりの貸出要求に対して1回の貸出要求信号が出力される。
一方、単位金額当たりの遊技球の貸出数が変更可能な新型のパチンコ機10に接続した場合には、貸出側MPU271にてメイン処理(図34)が実行されることでそれが貸出側MPU271において特定される。そして、貸出ボタン72が操作された場合には、貸出側MPU271において新型用貸出指示処理(図39)が実行されて、単位金額当たりの設定されている貸出数に対応した数の貸出要求信号が出力される。
なお、新型のパチンコ機は、上記パチンコ機10のように新型用貸出設定処理(図42)及び旧型用貸出設定処理(図43)の両方の処理を実行可能な構成に限定されることはなく、旧型用貸出設定処理(図43)が実行されないものであってもよい。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
払出側MPU231において新型用貸出設定処理(図42)を実行可能な構成としたことにより、単位金額当たりの遊技球の貸出数を変更可能な新型の貸出指示装置19をパチンコ機10に接続した場合には、当該貸出指示装置19において設定されている単位金額当たりの貸出数に対応した遊技球の払出を実行することができる。これにより、遊技ホールにおける単位金額当たりの貸出数の増減に対して好適に対応できる。また、払出側MPU231において旧型用貸出設定処理(図43)を実行可能な構成としたことにより、単位金額当たりの遊技球の貸出数が固定式の旧型の貸出指示装置(従来の貸出指示装置)をパチンコ機10に接続した場合には、当該旧型の貸出指示装置を用いた遊技球の貸出にも対応可能である。よって、単位金額当たりの遊技球の貸出数を変更可能とする上で、良好に対応できるパチンコ機10を提供することが可能となる。
また、新型の貸出指示装置19は新型用貸出指示処理(図39)を実行する場合、設定されている単位金額当たりの貸出数に応じて貸出要求信号の出力回数を変更するとともに、払出側MPU231では新型用貸出設定処理(図42)において貸出要求信号を入力した回数によって、設定されている単位金額当たりの貸出を行う構成とした。例えば、貸出指示装置は旧型のものと同様に単位金額当たりの貸出を要求する場合に貸出要求信号を1回出力する構成とし、パチンコ機10において1回の貸出要求信号の入力に対する貸出数を調整可能な構成とすると、単位金額当たりの貸出数を端数が生じる数に設定しづらくなる。また、例えば、貸出指示装置及びパチンコ機10の両方においてそれぞれ独自に単位金額当たりの貸出数を設定可能とする構成とすると、貸出指示装置及びパチンコ機10の両方において、様々なパターンの単位金額当たりの貸出数に対応可能な情報を予め記憶保持しておく必要が生じる。これに対して、貸出指示装置19において上記のように新型用貸出指示処理を実行するとともに、払出側MPU231において上記のように新型用貸出設定処理を実行することで、貸出指示装置19においては単位金額当たりの貸出数の設定態様の自由度が高まるとともに、払出側MPU231においては貸出要求信号を入力した回数に応じた数の遊技球を払い出すことで、貸出指示装置19にて設定されている単位金額当たりの貸出数に自ずと対応できる。よって、単位金額当たりの貸出数の変更を良好に実現することができる。
また、払出側MPU231では新型用貸出設定処理を実行する場合、貸出要求信号の1回の入力に対して1個の遊技球を払い出す構成としたため、様々なパターンの単位金額当たりの貸出数に好適に対応できる。
払出側MPU231において新型用貸出設定処理を実行する場合、貸出指示装置19からの貸出確認信号を入力している間は、貸出要求信号を入力したことに基づく遊技球の払出を開始することなく、貸出確認信号を入力しなくなった場合に当該貸出確認信号を入力している間に入力した貸出要求信号に基づく遊技球の払出を開始するようにした。これにより、単位金額当たりの遊技球の払出が細切れに実行されることを抑え、当該払出を良好に行うことが可能となる。
特に、上記貸出確認信号は、パチンコ機10が旧型の貸出指示装置と接続されて、払出側MPU231において旧型用貸出設定処理(図43)が実行される状況において、貸出ボタン72が1回操作された場合に貸出対象とする金額に対応した数の貸出要求信号が旧型の貸出指示装置から繰り返し出力される場合に、当該対応した数の貸出要求信号に対する遊技球の貸出が完了するまで、賞球に対する遊技球の払出を開始しないようにする上で用いられる信号である。したがって、旧型の貸出指示装置からの貸出確認信号の入力を可能とする構成を利用して、払出側MPU231において新型用貸出設定処理を実行する場合に単位金額当たりの遊技球の払出が細切れに実行されることを抑えることができる。
払出側MPU231において新旧確認処理(図35)を実行することで、接続されている貸出指示装置が新型の貸出指示装置19及び旧型の貸出指示装置のいずれであるかを確認し、その確認結果に応じて、貸出指示装置からの貸出要求信号の入力に対してそれを新型用貸出設定処理(図42)又は旧型用貸出設定処理(図43)のいずれで取り扱うかの設定を行うようにした。これにより、遊技ホールの管理者等が設定操作を行う必要がないため、遊技ホールの管理者等にとっての利便性が向上する。
貸出指示装置19は、単位金額当たりの貸出数の変更に対応可能なパチンコ機10が接続されている場合には、設定されている単位金額当たりの貸出数に対応した回数の貸出要求信号を出力する新型用貸出指示処理(図39)を実行するとともに、単位金額当たりの貸出数の変更に対応できない旧型のパチンコ機(従来のパチンコ機)が接続されている場合には、単位金額当たり1回の貸出要求信号を出力する旧型用貸出指示処理(図40)を実行するようにした。これにより、遊技ホールにおいては、貸出指示装置19によって、新旧両方のパチンコ機に対応することができる。
この場合に、貸出指示装置19は、動作電力の供給が開始されてから起動されるメイン処理においてパチンコ機10から新旧確認用の所定の情報として貸出完了信号を入力したことに基づいて、貸出ボタン72の操作に対してそれを新型用貸出指示処理(図39)又は旧型用貸出指示処理(図40)のいずれで取り扱うかの設定を行うようにした。これにより、遊技ホールの管理者等が設定操作を行う必要がないため、遊技ホールの管理者等にとっての利便性が向上する。
上記構成において、パチンコ機10及び貸出指示装置19のうち貸出指示装置19のみに停電が発生し、貸出指示装置19の貸出側RAM273に記憶されている新型対応フラグが消去されてしまうことが想定される。この場合に、パチンコ機10において新旧確認処理(図35)が実行されない構成を想定すると、貸出指示装置19では貸出ボタン72の操作に対して旧型用貸出指示処理(図40)が実行されるのに対して、パチンコ機10では貸出要求信号の入力に対して新型用貸出設定処理(図42)が実行されてしまう。そうすると、正常な遊技球の貸出が行えなくなってしまう。
これに対して、払出側MPU231においてタイマ割込み処理(図22)の一部の処理として新旧確認処理(図35)を実行するようにしたことで、新旧確認の実行タイミングであるか否かを定期的に特定するようにした。また、新旧確認処理(図35)では、貸出指示装置19からの初期設定完了信号の入力の開始が確認された場合に、貸出指示装置19に向けて新旧確認用の所定の情報として貸出完了信号を出力するようにした。これにより、貸出指示装置19のみにて停電が発生した際に上記のような不都合が発生してしまうことを阻止することが可能となる。
貸出指示装置19からの初期設定完了信号の入力の開始が確認された場合に、払出側MPU231から新旧確認用の所定の情報として貸出完了信号が出力される構成においては、パチンコ機10にて停電が発生し、貸出指示装置19にて停電が発生しない状況を想定すると、パチンコ機10が復電したとしても貸出指示装置19からの初期設定完了信号の入力の開始が確認されないことで、払出側MPU231において新旧の確認を行えないおそれがある。これに対して、パチンコ機10に接続されている貸出指示装置19に対してパチンコ機10から動作電力を供給する構成としたため、パチンコ機10にて停電が発生した場合には貸出指示装置19においても停電が発生することとなる。これにより、上記のような不都合の発生を阻止することが可能となる。
払出側MPU231において新旧の確認を行う場合に貸出指示装置に向けて出力される信号を貸出完了信号とした。これにより、貸出要求信号の入力に基づいて遊技球の払出を実行する上で貸出指示装置に向けて出力される信号を利用して、払出側MPU231において貸出指示装置の新旧の確認を行うことができる。よって、構成の簡素化を図りつつ、新旧の確認に関する上記効果を奏することができる。
特に、上記貸出完了信号は、旧型の貸出指示装置と接続して遊技球の貸出を行う場合に用いられる信号であるため、従来から設定されている信号を利用して、払出側MPU231において貸出指示装置の新旧の確認を行うことができる。
払出側MPU231において、貸出要求信号の入力に基づいて遊技球の払出を実行するには、貸出指示装置に向けて貸出可能信号を出力している状況において貸出完了信号を出力するのに対して、新旧確認を行う場合には、貸出指示装置に向けて貸出可能信号を出力していない状況において貸出完了信号を出力するようにした。これにより、貸出完了信号がいずれの理由で出力されているかを、貸出指示装置において特定させることができる。また、貸出可能信号は、払出側MPU231から貸出指示装置に対して貸出ボタン72の操作に基づく貸出要求信号の受け入れが可能であることを知らせるための信号であり、当該信号を利用して、上記効果を奏することができる。また、上記貸出可能信号は、旧型の貸出指示装置と接続して遊技球の貸出を行う場合に用いられる信号であるため、従来から設定されている信号を利用して、上記効果を奏することができる。
貸出側MPU271において新型であることの応答を行う場合に払出側MPU231に向けて出力される信号を、貸出要求信号とした。これにより、遊技球の貸出を実行する上で貸出側MPU271から払出側MPU231に向けて出力される信号を利用して、払出側MPU231において貸出指示装置の新旧の確認を行うことができる。よって、構成の簡素化を図りつつ、新旧の確認に関する上記効果を奏することができる。
特に、上記貸出要求信号は、旧型の貸出指示装置と接続して遊技球の貸出を行う場合に用いられる信号であるため、従来から設定されている信号を利用して、払出側MPU231において貸出指示装置の新旧の確認を行うことができる。
貸出側MPU271において、遊技球の貸出の要求を実行する場合には、払出側MPU231に向けて貸出確認信号を出力している状況において貸出要求信号を出力するのに対して、新旧確認を行う場合には、払出側MPU231に向けて貸出確認信号を出力していない状況において貸出要求信号を出力するようにした。これにより、貸出要求信号がいずれの理由で出力されているのかを、払出側MPU231において特定させることができる。また、貸出確認信号は、払出側MPU231において遊技球の払出の開始契機などを認識させる上で用いられる信号であり、当該信号を利用して、上記効果を奏することができる。また、上記貸出確認信号は、旧型の貸出指示装置と接続して遊技球の貸出を行う場合に用いられる信号であるため、従来から設定されている信号を利用して、上記効果を奏することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記実施の形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記実施の形態に対して適用してもよい。
(1)上記実施の形態における遊技球の貸出に関する構成を、図45に示すように、払出制御基板222のRAM233に電断時用電源部221cから電力(バックアップ電力)が供給されるパチンコ機に対して適用してもよい。当該構成であっても、上記実施の形態のように、新旧確認処理(図35)、新型用貸出設定処理(図42)及び旧型用貸出設定処理(図43)を実行可能な構成とすることで、新旧の貸出指示装置に対応することは可能である。
(2)貸出指示装置19は、パチンコ機10から動作電力が供給されていない状況において情報の記憶保持を可能とするバックアップ機能を有する構成としてもよい。この場合、貸出指示装置19に停電が発生したとしても貸出側RAM273に記憶されている新型対応フラグが消去される可能が低減されるため、払出側MPU231における新旧確認処理(図35)をタイマ割込み処理(図22)ではなくメイン処理(図21)にて実行するようにしてもよい。また、貸出指示装置19は、パチンコ機10から動作電力が供給される構成に限定されることはなく、他から動作電力が供給される構成としてもよい。
(3)貸出指示装置19は、パチンコ機10から電力(例えば、24V電源となる電力)を取り込むとともに、商用電源から電力(例えば、100V電源となる電力)を取り込み、両電力を取り込んでいる状況において貸出指示装置19が動作し、当該貸出指示装置19にて貸出指示用の処理や新旧確認用の処理が実行される構成としてもよい。当該構成であっても、パチンコ機10からの電力供給が遮断された場合には貸出指示装置19が停電状態となる構成とするとともに、当該電力供給が再開された場合に貸出指示装置19が復電して初期設定完了信号の出力が行われる構成とすることで、パチンコ機10が復電した場合には貸出指示装置19においても復電が発生し当該貸出指示装置19からの初期設定完了信号の出力が開始される。よって、パチンコ機10が復電したにも関わらず貸出指示装置19からの初期設定完了信号の入力の開始が確認されないことで払出側MPU231において新旧の確認を行えないといった不都合の発生を阻止することが可能となる。
また、貸出指示装置19がパチンコ機10から電力を受ける構成に代えて、パチンコ機10以外の電源からのみ電力を受ける構成としてもよい。この場合、貸出指示装置19はパチンコ機10から動作用信号を入力している場合にのみ動作し、当該動作用信号の入力が停止された場合には動作しなくなる構成としてもよい。そして、パチンコ機10からの動作用信号の入力が再開された場合に貸出支持装置19が復電して初期設定完了信号の出力が行われる構成とすることで、パチンコ機10が復電した場合には貸出指示装置19においても復電が発生し当該貸出指示装置19からの初期設定完了信号の出力が開始される。よって、パチンコ機10が復電したにも関わらず貸出指示装置19からの初期設定完了信号の入力の開始が確認されないことで払出側MPU231において新旧の確認を行えないといった不都合の発生を阻止することが可能となる。
また、貸出指示装置19がパチンコ機10から電力が供給される構成に代えて、パチンコ機10以外の電源からのみ電力が供給される構成としてもよい。この場合、単純には、上記のようなパチンコ機10の停電に係る不都合の発生を阻止することができないものの、新旧のパチンコ機10に対応することは可能である。
(4)貸出指示装置19は、カード挿入口19aへ磁気カードを挿入することによって磁気カードに記憶された金額に相当する数の遊技球の貸出を要求することが可能な構成としたが、これに限定されない。例えば、磁気カードではなく磁気メダルを貸出指示装置19に挿入する構成としてもよい。
また、記録媒体ではなく直接現金を貸出指示装置19に投入する構成としてもよい。本構成においては、金額の情報が貸出指示装置19の貸出側RAM273に記憶され、その記憶された情報に基づいて貸出要求信号が出力されることとなる。この場合、貸出指示装置19への動作電力の供給が停止された際に、貸出側RAM273に記憶されている貸出に関する情報が消去されてしまわないようにすべく、貸出指示装置19がバックアップ機能を有する構成とすることが好ましい。
また、貸出指示装置19に現金が投入されたことに基づいて磁気カードや磁気コインといった記録媒体が貸出指示装置19から放出され、その記録媒体が貸出指示装置19に挿入されることで当該貸出指示装置19は記録媒体から金額の情報を読み出す構成としてもよい。この場合、記録媒体の上記放出及び挿入は自動で行われてもよい。また、現金の投入や記録媒体の挿入が行われた場合には、貸出ボタン72が操作されたか否かを判定することなく、貸出指示装置19から貸出要求信号が出力される構成としてもよい。
(5)実際に遊技媒体を払い出すことで遊技媒体の貸出を行うパチンコ機10に対して、新旧対応用の構成を適用したが、これに限定されることはなく、遊技媒体の貸出を仮想的に行う遊技機に対して上記新旧対応用の構成を適用してもよい。また、実際に遊技媒体を払い出す機能と仮想的に遊技媒体を払い出す機能との両方を併せ持つ遊技機に対して上記新旧対応用の構成を適用してもよい。当該遊技機としては、いわゆるスロットマシンが考えられる。
(6)払出側MPU231について、貸出設定処理を新型用貸出設定処理(図42)又は旧型用貸出設定処理(図43)のいずれにて行うかの設定を、新旧確認処理(図35)により行うのではなく他の方法により行う構成としてもよい。例えば、手動操作可能な新旧設定用操作部を、パチンコ機10の内部又は背面部に設け、新旧確認用操作部が遊技ホールの管理者等により手動操作されることにより、貸出設定処理を新型用貸出設定処理(図42)又は旧型用貸出設定処理(図43)のいずれにて行うかの設定が行われる構成としてもよい。
(7)払出側MPU231について、新旧確認処理(図35)をタイマ割込み処理(図22)ではなく、払出側MPU231の動作開始時(すなわち、パチンコ機10の電源投入時)において行うようにしてもよい。具体的には、メイン処理(図21)にて行うようにしてもよい。また、払出側MPU231の処理構成が、複数種の処理を繰り返し実行する通常処理と、当該通常処理に割り込んで複数種の処理を実行するタイマ割込み処理とを実行する処理構成においては、通常処理における複数種の処理の一部として新旧確認処理を実行してもよい。この場合においても、新旧確認の実行タイミングであるか否かが定期的に特定されるため、上記実施の形態と同様に、貸出指示装置19のみにて停電が発生した際に正常な遊技球の貸出が行えなくなるといった不都合の発生を阻止することが可能となる。
(8)貸出指示装置19について、貸出指示処理を新型用貸出指示処理(図39)又は旧型用貸出指示処理(図40)のいずれにて行うかの設定を、メイン処理(図34)にて実行するのではなく、通常処理(図37)にて実行するようにしてもよい。また、手動操作可能な新旧設定用操作部を、貸出指示装置19の内部などに設け、新旧設定用操作部が遊技ホールの管理者等により手動操作されることにより、貸出指示処理を新型用貸出指示処理(図39)又は旧型用貸出指示処理(図40)のいずれにて行うかの設定が行われる構成としてもよい。
(9)新旧確認に際して払出側MPU231から貸出指示装置に向けて出力される信号は、貸出完了信号に限定されることはなく、接続確認信号又は貸出可能信号であってもよい。また、新旧確認専用の信号であってもよい。但し、新旧確認専用の信号を設定すると、旧型の貸出指示装置をそのままパチンコ機10に接続することができなくなるおそれがあるため、旧型の貸出指示装置を接続して遊技球の貸出を実行する上で用いられる信号とすることが好ましい。
(10)新旧確認に際して貸出側MPU271からパチンコ機10に向けて出力される信号は、貸出要求信号に限定されることはなく、貸出確認信号又は初期設定完了信号であってもよい。また、新旧確認専用の信号であってもよい。新旧確認専用の信号を設定すると、旧型のパチンコ機にそのまま貸出指示装置19を接続することができなくなるおそれがあるため、旧型のパチンコ機に接続して遊技球の貸出を実行する上で用いられる信号とすることが好ましい。
(11)上記実施の形態では、新旧確認を開始するための信号の出力をパチンコ機10から開始する構成としたが、これに代えて、貸出指示装置19から開始する構成としてもよい。例えば、貸出指示装置19から貸出確認信号を入力していない状況において、当該貸出指示装置19から貸出側新旧確認用情報(貸出側新旧確認用信号)としての貸出要求信号を複数回入力した場合に、払出側MPU231において貸出指示装置19が新型であると特定するとともに、それに対する応答として、遊技機側新旧確認用情報(遊技機側新旧確認用信号)としての貸出完了信号を出力する構成としてもよい。そして、貸出指示装置19では当該貸出完了信号を払出側MPU231から入力することで、パチンコ機10が新型であると特定するようにする。この場合であっても、パチンコ機10及び貸出指示装置19の両方において新旧確認を行うことは可能である。
(12)上記実施の形態では、払出側MPU231において新型用貸出設定処理(図42)が実行される場合、貸出要求信号の1回の入力に対して払出対象とする遊技球が1個である構成としたが、貸出要求信号の1回の入力に対して払出対象とする遊技球が2個又は3個といったように1個以外の自然数個としてもよい。
(13)遊技ホールにおいては、消費税に応じて単位金額当たりの遊技球の貸出数を増減させたいと考えることが想定される。例えば、消費税が高くなった場合には、単位金額当たりの遊技球の貸出数を減らしたいと考えることが想定され、消費税が低くなった場合には、単位金額当たりの遊技球の貸出数を増やしたいと考えることが想定される。しかしながら、従来の貸出に関する構成では貸出指示装置からパチンコ機に出力される貸出要求信号に対して遊技球の貸出数が定められており、単位金額当たりの貸出数を消費税に合わせて増減させることができなかった。
これに対して、パチンコ機の制御装置及び貸出指示装置の構成をそれぞれ改良することで、単位金額当たりの貸出数を変更可能なものとすることが考えられる。制御装置及び貸出指示装置の構成をそれぞれ改良することで、例えば、消費税によって単位金額当たりの貸出数が端数の生じる数となったとしても、貸出指示装置から制御装置への貸出の要求においては端数が生じないように貸出指示装置側で調整することが可能となり、制御装置においてはそれに対応した貸出数の遊技球が払い出されるように払出モータを駆動制御することが可能となる。
しかしながら、貸出指示装置を上記のように改良されたものとするか否かは、遊技ホール毎に異なっているため、改良された貸出指示装置に対応させて制御装置を改良すると、従来の貸出指示装置を使用している遊技ホールにおいて当該パチンコ機が使用できないといった新たな問題が生じてしまう。
そこで、パチンコ機10における遊技球の貸出に関する構成を、上記実施の形態のようにすることで、単位金額当たりの貸出数を消費税に合わせて変更可能とする上で、良好に対応できるパチンコ機10を提供することが可能となる。なお、貸出指示装置19では、設定操作部275の手動操作などを通じて消費税の情報を登録可能な構成とするとともに、当該消費税の情報に1対1で対応させて単位金額当たりの貸出要求信号の出力回数が予め記憶された構成としてもよい。
(14)上記実施の形態において、払出側RAM233の各エリアを用いた数値のカウントは加算式又は減算式のいずれであってもよい。
(15)貸出用接続端子板143を不具備とし、貸出指示装置19と払出制御基板222とを信号線によって直接接続する構成としてもよい。
(16)払出制御基板222と貸出指示装置19とが電気信号により情報の入出力を行うのではなく、光通信により情報の入出力を行う構成としてもよい。また、有線通信に限定されることはなく、電波や赤外線を用いた無線通信により情報の入出力を行う構成としてもよい。
(17)遊技媒体の貸出の制御を、払出制御基板222において実行するのではなく、主制御基板201などの他の制御基板において実行する構成としてもよく、また貸出専用の制御基板を設けて当該制御基板において実行する構成としてもよい。また、主制御基板201と払出制御基板222とが区別して設けられているのではなく、両基板の機能を併せ持つ制御基板を有する構成においては、当該制御基板において遊技球の貸出の制御を実行する構成としてもよい。これらいずれの構成であっても、上記実施の形態における遊技媒体の貸出に関する処理構成を適用することで、遊技媒体の貸出に関して上記実施の形態と同様の効果を奏する。
(18)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。