<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
外枠11の側方には図1に示すように、球貸装置(例えばCRユニット)Yが設けられている。球貸装置Yの前面側にはカード挿入口Hが設けられ、そのカード挿入口Hへのカードの挿入によりカードに記憶された金額に相当する数の遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。なお、遊技球の貸し出しを受ける上で球貸装置Yに挿入されるものはカードに限定されることはなく、現金であってもよく、また現金情報が記憶されたコインであってもよい。
遊技機本体12は、内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の上部には、図2に示すように、前扉枠14が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する前扉枠開放スイッチ(前面体開放検知手段)22が設けられている。前扉枠開放スイッチ22は、樹脂ベース21の前面から出没可能なピンを有しており、内枠13に対して前扉枠14を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠14の閉鎖が検知され、内枠13に対して前扉枠14を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠14の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、前扉枠開放スイッチ22は、前扉枠14が開放状態の場合に後述する主制御装置91に対して前扉枠開放信号としてHIレベル信号を出力し、前扉枠14が閉鎖状態の場合にはLOWレベル信号を出力する。但し、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
樹脂ベース21の中央部には略楕円形状の窓孔23が形成されている。樹脂ベース21には遊技盤24が着脱可能に取り付けられている。遊技盤24は合板よりなり、遊技盤24の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース21の窓孔23を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤24の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤24には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31,可変入賞装置32,上作動口33,下作動口34,スルーゲート35及び可変表示ユニット36等がそれぞれ設けられている。一般入賞口31は、遊技盤24の左側に2個及び遊技盤24の右側に1個の合計3個設けられている。
一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33,34に遊技球が入ると、それが遊技盤24の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。なお、遊技球は鋼球であり、直径が約11mmとなっている。
その他に、遊技盤24の最下部にはアウト口37が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口37を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤24には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘38が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット36には、作動口33,34への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置41が設けられている。また、可変表示ユニット36には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の上部には、第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44が設けられている。また、センターフレーム42の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部45,46が設けられている。下側の保留ランプ部45は、図柄表示装置41及び第1特定ランプ部43に対応しており、遊技球が作動口33,34を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部46は、第2特定ランプ部44に対応しており、遊技球がスルーゲート35を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部43では、作動口33,34への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部44では、遊技球のスルーゲート35への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には下作動口34に付随する電動役物34aが所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤24には、内レール部51と外レール部52とが取り付けられており、これら内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構53から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構53は、図2に示すように、樹脂ベース21における窓孔23の下方に取り付けられており、前扉枠14に設けられた発射ハンドル54が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部61が形成されている。窓部61は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス62が嵌め込まれている。窓部61の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。当該各種ランプ部の一部としてエラー表示ランプ部63が窓部61の上方に設けられている。また、エラー表示ランプ部63の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部64が設けられている。
前扉枠14における窓部61の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部65と下側膨出部66とが上下に並設されている。上側膨出部65には、図1に示すように、球貸操作装置71が配設されている。球貸操作装置71には球貸ボタン72と、返却ボタン73と、度数表示部74とが設けられている。球貸装置Yにカード等を挿入した状態で、球貸操作装置71によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸ボタン72は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン73は、球貸装置Yに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部74はカード等の残額情報を表示するものである。
また、上側膨出部65内側には上方に開口した上皿81が設けられており、下側膨出部66内側には同じく上方に開口した下皿82が設けられている。上皿81は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構53側へ導くための機能を有する。また、下皿82は、上皿81内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
ここで、本パチンコ機10では、前扉枠14に対して窓部61、上皿81、及び下皿82が一体化されている。従来のパチンコ機においては、少なくとも窓部と下皿とがそれぞれ別ユニットとして設けられており、窓部が下皿に対して独立して回動可能となっていたため、パチンコ機の前面部には上記各ユニット間に境界が生じていた。この場合、当該境界から不正具などを挿入して行う不正行為が想定される。また、かかる不正行為を抑制すべく各ユニット間の境界に対して不正抑制構造を設けることもできるが、そうすると構成の複雑化を招いてしまう。さらに、パチンコ機の前面部において境界が生じるのは、デザイン上好ましくない。これに対して、上記のとおり前扉枠14に対して窓部61、上皿81及び下皿82が一体化されているので、窓部61と下皿82との間に境界が生じることはなく、上記不都合が抑制される。
上皿81及び下皿82には、裏パックユニット15の払出装置114(図6参照)から払い出された遊技球が前扉枠14の背面に設けられた通路形成ユニット83を通じて排出される。通路形成ユニット83は、図5に示すように、上皿81に通じる前扉側上皿通路84と、下皿82に通じる前扉側下皿通路85とが形成されている。
前扉側上皿通路84及び前扉側下皿通路85は、それぞれ内枠13に設けられた各内枠側通路(図示略)に連通されている。また、これら各内枠側通路は、裏パックユニット15に設けられた払出装置114に連通されている。この場合に、裏パックユニット15において払出装置114の下流側には後述する遊技球分配部が設けられており、上皿81が満タン状態となり遊技球分配部の位置から上皿81の入口まで遊技球が充填された状態となった場合に、それ以降に払出装置114から払い出された遊技球が遊技球分配部にて下皿82側に振り分けられる。
前扉枠14を内枠13に対して前方に回動させる場合には、前扉側上皿通路84及び前扉側下皿通路85が各内枠側通路から離間されることとなる。この場合に、各内枠側通路は内枠13に設けられた開閉部材86によって閉鎖される。開閉部材86は、図2に示すように、その下端に設けられた支軸87により前後方向に回動可能に支持されており、さらに各内枠側通路を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材86が図示の如く起き上がり、各内枠側通路を閉鎖する。なお、前扉枠14を閉鎖した状態では、前扉枠14の通路形成ユニット83により開閉部材86が付勢力に抗して押し開けられる。
通路形成ユニット83には、図5に示すように、前扉側下皿通路85を通る遊技球を検知するように満タン検知センサ88が設けられている。満タン検知センサ88は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界(又は磁場)の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、満タン検知センサ88は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
満タン検知センサ88は裏パックユニット15の払出制御装置141(図6参照)に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
払出制御装置141では、満タン検知センサ88の検知結果に基づいて下皿82が満タン状態であるか否かを特定し、下皿82が満タン状態であると特定した場合、払出装置114による遊技球の払出を停止する。これにより、下皿82が満タン状態となり、前扉側下皿通路85において満タン検知センサ88の位置まで遊技球が連なった場合には、それ以上の遊技球の払出が停止される。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。なお、以下の説明では、図3に加え図6を適宜参照する。図6は裏パックユニット15の正面図である。
図3に示すように、内枠13(具体的には、遊技盤24)の背面には、主制御装置91及び音声ランプ制御装置92が搭載されている。主制御装置91は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス93に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置92は、主制御装置91からの指示に従い音声やランプ表示、及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス94に収容されて構成されている。
裏パックユニット15は、図6に示すように、裏パック101を備えており、当該裏パック101に対して、払出機構部102及び制御装置集合ユニット103が取り付けられている。裏パック101は透明性を有する合成樹脂により形成されており、音声ランプ制御装置92などを後方から覆うように、後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部104を有している。
払出機構部102は、保護カバー部104を迂回するようにして配設されている。払出機構部102には、裏パック101の最上部に配置され遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク111と、タンク111の下方から下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール112と、タンクレール112の下流側に連結され上下方向に延びるケースレール113と、ケースレール113の最下流部に設けられた払出装置114と、を備えている。
ケースレール113には、当該ケースレール113内の通路を通じてタンク111から払出装置114まで連なった遊技球を検知するように球無検知センサ115が設けられている。球無検知センサ115は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、球無検知センサ115は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
球無検知センサ115は払出制御装置141に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
払出制御装置141では、球無検知センサ115の検知結果に基づいてタンク111が球無状態であるか否かを特定し、タンク111が球無状態であると特定した場合、払出装置114による遊技球の払出を停止する。これにより、タンク111が球無状態であるにも関わらず、払出装置114が動作し続けることが防止される。
また、ケースレール113には、球抜き操作スイッチ116が設けられている。例えば、タンク111に貯留されている遊技球のパチンコ機10外への排出に際して、ケースレール113にある遊技球も全て排出する場合に球抜き操作スイッチ116が押され、ケースレール113及びその下流側に貯留されている遊技球の排出が可能となる。
払出装置114では遊技球の払出が実行される。ここで、払出装置114の構成について図7を用いて説明する。図7は払出装置114内部に形成された通路構造を示す縦断面図である。
払出装置114は合成樹脂製のハウジング121を備えており、当該ハウジング121にはケースレール113から供給される遊技球が通過する払出通路122が形成されている。払出通路122の中間部分には通路幅が左右に広がった収容部123が設けられており、当該収容部123に回転体124が収容されている。回転体124はその中心が払出モータ125の出力軸125aに固定されている。なお、払出通路122において少なくとも収容部123の上流側及び下流側は、通路壁によって周囲が区画されていることにより筒状(又は管状)をなしており、さらには中心軸線(又は通路方向)に対して直交する方向の断面は円形状となっている。
払出モータ125は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸125aは所定方向(図7で見て時計回り方向又は反時計回り方向)に回転駆動される。払出モータ125は、払出制御装置141内に設けられたモータドライバを通じて同じく払出制御装置141内に設けられたMPUによって駆動制御される。具体的には、MPUからモータドライバに1パルスの駆動信号(励磁信号又は励磁パルスとも言う。以下同様)が与えられることにより、払出モータ125の励磁状態が切り換えられ、出力軸125aが1step進む。払出モータ125は、MPUから60パルスの駆動信号が与えられることで出力軸125aが60step進み、当該出力軸125aが1回転するように設定されている。そして、出力軸125aが1回転することで、すなわち払出制御装置141のMPUから60パルスの駆動信号が出力されることにより、回転体124が1回転する。
回転体124の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部124aが形成されている。凹部124aは、曲面状となっておりその曲率は遊技球の曲率と同程度となっている。また、回転体124の周縁における凹部124a間の部位と収容部123の通路壁との間の距離が遊技球の直径寸法よりも短くなっているのに対して、凹部124aと収容部123の通路壁との間の距離は遊技球の直径寸法よりも長くなっている。これにより、払出通路122を流下してきた遊技球が回転体124の凹部124aに到達すると、当該遊技球は回転体124の回転に伴って下流側に導出される。
ここで、上記のとおり払出制御装置141のMPUから60パルスの駆動信号が出力されることにより回転体124が1回転するため、回転体124に180°間隔で2箇所に凹部124aが形成された構成においては、1個の遊技球が回転体124によって下流側に導出されてから払出モータ125に30パルスの駆動信号を与えることにより、次の遊技球が下流側に導出される。なお、回転体124が1回転するのに必要な駆動信号のパルス数や、1個の遊技球が下流側に導出されてから次の遊技球が下流側に導出されるまでに要する駆動信号のパルス数は、上記のものに限定されることはなく任意である。
払出通路122には、収容部123よりも下流側の位置に略平板状をした払出球検知センサ126が設置されている。払出球検知センサ126は、周知の電磁誘導型の近接センサにて構成されており、検知部127の貫通孔127aを遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。払出球検知センサ126は払出制御装置141と電気的に接続されており、払出制御装置141は当該払出球検知センサ126により、回転体124の下流側へと導出された遊技球の数が確認できるようになっている。
払出装置114より払い出された遊技球は、裏パック101に設けられた遊技球分配部128に供給される。遊技球分配部128は、複数の開口部が左右方向に並設されており、内側の開口部が上述した前扉側上皿通路84を介して上皿81に通じており、外側の開口部が上述した前扉側下皿通路85を介して下皿82に通じている。かかる遊技球分配部128によって、払出装置114より払い出された遊技球は、上皿81、下皿82又は排出通路の何れかに分配される。
払出機構部102には、裏パック基板131が設置されている。裏パック基板131には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ132の切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
裏パック101には、その右上部に外部端子板133が設けられている。外部端子板133には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。
また、裏パック101には、外部端子板133よりも外側に、内枠13が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する内枠開放スイッチ134が設けられている。外枠11に対して内枠13を閉じた状態では当該スイッチ134の金属接点が閉じて内枠13の閉鎖が検知され、外枠11に対して内枠13を開いた状態では金属接点が開いて内枠13の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、内枠開放スイッチ134は、内枠13が開放状態の場合に主制御装置91に対して内枠開放信号としてHIレベル信号を出力し、内枠13が閉鎖状態の場合にはLOWレベル信号を出力する。但し、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
裏パック101の下端に制御装置集合ユニット103が取り付けられている。制御装置集合ユニット103は、払出制御装置141と電源及び発射制御装置142と球貸用接続端子板143とを備えている。これら払出制御装置141と電源及び発射制御装置142と球貸用接続端子板143は、払出制御装置141及び球貸用接続端子板143がパチンコ機10後方となり電源及び発射制御装置142がパチンコ機10前方となるように前後に重ねて配置されている。なお、制御装置集合ユニット103には、上述した排出通路が形成されている。
払出制御装置141は、払出装置114を制御する払出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス144に収容されて構成されている。また、払出制御装置141には状態復帰スイッチ145が設けられている。例えば、払出装置114における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ145が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。また、払出制御基板には7セグ表示器146が搭載されており、内枠13を外枠11に対して開放することで、基板ボックス144を通じて7セグ表示器146の表示内容が視認可能となっている。
電源及び発射制御装置142は、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されるとともに遊技者による発射ハンドル54の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御を行う電源及び発射制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス147に収容されて構成されている。また、電源及び発射制御装置142にはRAM消去スイッチ148が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ148を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
球貸用接続端子板143は、球貸装置Y、払出制御装置141及びパチンコ機10前面の球貸操作装置71に電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置141に出力するものである。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図8のブロック図に基づいて説明する。図8では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置91に設けられた主制御基板201には、主制御回路202と停電監視回路203(電断監視回路)とが内蔵されている。主制御回路202には、MPU211が搭載されている。
MPU211には、当該MPU211により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM212(不揮発性記憶手段)と、そのROM212内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM213(揮発性記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、MPU211、ROM212及びRAM213の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置142に設けられた電源及び発射制御基板221から記憶保持用電力が供給されて情報が記憶保持される構成となっている。
MPU211には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。なお、入出力ポートを備え、MPU211において入出力が適宜変更される構成としてもよい。これは、後述する他のMPUにおいても同様である。
MPU211の入力側には、主制御基板201に設けられた停電監視回路203、払出制御装置141に設けられた払出制御基板222及びその他図示しないセンサ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路203には電源及び発射制御基板221が接続されており、MPU211(主制御回路202)には停電監視回路203を介して電力が供給される。また、スイッチ群の一部として、作動口33,34及び可変入賞装置32などといった入球部に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置91のMPU211において入球部への入球判定が行われる。また、MPU211では、入球部のうち、作動口33,34への入球に基づいて大当たり発生判定を実行する。
ここで、MPU211にて大当たり発生判定を行う上での電気的な構成について図9を用いて説明する。
MPU211は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部43の発光色の設定や、図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置41の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部43に表示される色の切り替えを行う期間及び図柄表示装置41における図柄の変動表示時間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、外れ図柄の組み合わせの設定に使用する外れ図柄カウンタC4とを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタC4は、MPU211内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM213の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM213には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納バッファが設けられており、これらの各エリアには、作動口33,34への遊技球の入球履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動口33,34に入球したタイミングでRAM213の保留球格納バッファに格納される。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が作動口33,34に入球したタイミングでRAM213の保留球格納バッファに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が作動口33,34に入球したタイミングでRAM213の保留球格納バッファに格納される。
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。
第1変動種別カウンタCS1によってリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置41の表示態様が決定される。また、第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部43に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。この切替表示時間は、図柄表示装置41の図柄の変動表示時間に相当する。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部43に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置41による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
外れ図柄カウンタC4は、大当たり抽選が外れとなった時に左列図柄、中列図柄、右列図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、所定範囲のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタC4は通常処理内で更新され、外れ図柄カウンタC4の値が、RAM213の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
図8の説明に戻り、MPU211の出力側には、停電監視回路203、払出制御基板222及び中継端子板223が接続されている。払出制御基板222には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板223を介して主制御回路202から音声ランプ制御装置92に設けられた音声ランプ制御基板224に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路203は、主制御回路202と電源及び発射制御基板221とを中継し、また電源及び発射制御基板221から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御回路202に停電信号を送信する。
払出制御基板222は、払出装置114により賞球などの払出制御を行うものである。演算装置であるMPU231は、そのMPU231により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM232と、ワークメモリ等として使用されるRAM233とを備えている。なお、MPU231、ROM232及びRAM233の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
払出制御基板222のMPU231には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU231の入力側には、主制御回路202、電源及び発射制御基板221、及び裏パック基板131が接続されている。また、MPU231の出力側には、主制御回路202及び裏パック基板131が接続されている。
電源及び発射制御基板221は、電入時用電源部221aと発射制御部221bとを備えている。電入時用電源部221aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路202や払出制御基板222等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路202や払出制御基板222等に対して供給する。その概要としては、電入時用電源部221aは、裏パック基板131を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種センサやモータ等を駆動するための+12V電力、ロジック用の+5V電力などを生成し、これら+12V電力、+5V電力を主制御回路202や払出制御基板222等に対して供給する。
発射制御部221bは、遊技者による発射ハンドル54の操作にしたがって遊技球発射機構53の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構53は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板221には、電断時用電源部221cが搭載されている。電断時用電源部221cはコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)に電入時用電源部221aから供給される電力により充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、電断時用電源部221cから放電され主制御基板201のRAM213に対して記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、電断時用電源部221cから記憶保持用電力が供給されている間はRAM213に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
ちなみに、電断時用電源部221cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM213に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、電断時用電源部は、コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
また、電源及び発射制御基板221には、上記電断時用電源部221cとは異なる停電時処理用電源部が設けられている。電源及び発射制御基板221では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用電源部から放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御回路202などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
音声ランプ制御基板224は、エラー表示ランプ部63やスピーカ部64、及び表示制御装置225を制御するものである。演算装置であるMPU241は、そのMPU241により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM242と、ワークメモリ等として使用されるRAM243とを備えている。
音声ランプ制御基板224のMPU241には入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU241の入力側には中継端子板223に中継されて主制御回路202が接続されており、主制御回路202から出力される各種コマンドに基づいて、エラー表示ランプ部63、スピーカ部64、及び表示制御装置225を制御する。表示制御装置225は、音声ランプ制御基板224から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
次に、主制御基板201のMPU211により実行される各制御処理を図10〜図12のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるMPU211の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図10は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路203からMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM213に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグを格納し、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグが格納されていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図11のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34及びスルーゲート35に対して個別に設けられた球検知センサからの信号読み込み処理を実行し、その読み込み結果から各入球部への入球の有無を特定する。具体的には、当該読み込み処理では、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(例えば、LOWレベル信号)を確認し、その後の2回の処理にて遊技球を検知していることに対応した信号(例えば、HIレベル信号)を連続して確認した場合に、その検知センサに対応した入球部において遊技球の入球が発生したと特定する。
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行する。
始動入賞処理では、図12のフローチャートに示すように、先ずステップS301にて、RAM213の作動口フラグ格納エリアに作動口フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口33,34に入賞(始動入賞)したか否かを判定する。遊技球が作動口33,34に入賞したと判定すると、続くステップS302において、第1特定ランプ部43及び図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口33,34への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1加算する。なお、ステップS303の処理後に作動口フラグを消去する。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM213の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、MPU211は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS401では、電源投入に伴う立ち上げ処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板222等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば500msec程度待機する。
続くステップS402では、ステップS401の立ち上げ処理後から許可禁止用期間である1secが経過したか否かを判定する。1sec経過していない場合にはステップS402の処理を再度実行する。この時間の測定は、ステップS402の処理回数をカウントすることにより行われる。例えば、ステップS402にて否定判定してから再度ステップS402の処理を実行するまでに要する時間が0.1msecである場合には、カウント値が10000回となることで、ステップS401の立ち上げ処理後から1sec経過したと判定する。なお、時間の測定の具体的な構成は任意であり、例えばリアルタイムクロックを用いて時間の測定を行うようにしてもよい。ステップS402にて1sec経過したと判定した場合には、ステップS403に進む。
ステップS403では、RAM213のアクセスを許可する。その後、ステップS404では、電源及び発射制御装置142に設けたRAM消去スイッチ148がオンされているか否かを判定し、続くステップS405ではRAM213の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS406ではRAM判定値を算出し、続くステップS407では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ148を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ148が押されていれば、ステップS408〜S409の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS408〜S409の処理に移行する。
ステップS408では、RAM213の使用領域を0にクリアし、ステップS409ではRAM213の初期化処理を実行する。その後、ステップS410にて払出制御基板222に初期コマンドを出力するとともに、ステップS411にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。払出制御基板222のMPU231では主制御基板201から初期コマンドを入力することで、主制御基板201との通信が正常に行われていることを認識する。
一方、RAM消去スイッチ148が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS412にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS410にて初期コマンドを出力するとともにステップS411にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S510の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS511,S512のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。続くステップS502では、外れ図柄カウンタC4の更新を実行する。外れ図柄カウンタC4の更新処理では、先ず外れ図柄カウンタC4の更新を実行し、その更新した外れ図柄カウンタC4の値が、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組み合わせ、前後外れ以外リーチ図柄の組み合わせ、リーチとならない完全外れ図柄の組み合わせのいずれであるかが判定され、それぞれに対応したバッファ内に格納される。
外れ図柄カウンタC4の更新処理の後は、ステップS503にて第1特定ランプ部43に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部43に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置41による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類及び大当たり図柄の組み合わせの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判定された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組み合わせの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されエリア内に格納された図柄の組み合わせを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、第1特定ランプ部43に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部43のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS504にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。
その後、ステップS505では、第2特定ランプ部44に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ部制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部44における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。また、既に取得されている第2特定ランプ乱数カウンタの値に基づいて停止表示する色を設定する。この停止表示される色として所定の色が設定された場合には、その色の停止表示後に、下作動口34に付随する電動役物34aが所定時間開放される。
ステップS505の後は、ステップS506にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板221の発射制御部221bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構53を動作させる。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
ステップS506の後は、ステップS507にて入力状態監視処理を実行し、ステップS508にて払出用出力処理を実行する。これらの処理については後に詳細に説明する。その後、ステップS509にて、RAM213に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS510にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS511では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM213の該当するエリアに格納する。また、ステップS512では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM213の該当するエリアに格納する。
一方、ステップS509にて、停電フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS513以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS513では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS514にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS515にてRAM213のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技球の払出に関する電気的構成>
次に、遊技球の払出に関する電気的構成及び処理構成について詳細に説明する。先ず、電気的構成について、図15のブロック図を参照しながら説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御基板201と払出制御基板222とはハーネスなどの電気配線(信号線)を介して電気的に接続されており、主制御基板201から払出制御基板222に指令情報としてのコマンドが出力されるとともに、払出制御基板222から主制御基板201には各種の電気信号が出力される。
主制御基板201のMPU211は入力ポート211aを備えており、当該入力ポート211aにおいて払出制御基板222から賞球許可信号を含めた各種の電気信号を入力するとともに各種センサ等からの電気信号を入力する。なお、賞球許可信号の詳細については後に説明する。また、MPU211は入力ポート211aにおいて、前扉枠開放スイッチ22及び内枠開放スイッチ134からの電気信号などが入力される。
なお、前扉枠開放スイッチ22及び内枠開放スイッチ134から出力された電気信号は、電源及び発射制御基板221と払出制御基板222とに中継された後に主制御基板201に入力される。この場合、払出制御基板222においては、これら前扉枠開放スイッチ22及び内枠開放スイッチ134からの電気信号を中継するだけであり、払出制御基板222のMPU231には入力されない。これは電源及び発射制御基板221についても同様である。
主制御基板201のRAM213の構成について説明する。
主制御基板201のRAM213には個別に情報を記憶する手段としての賞球用カウンタエリア251が設けられている。賞球用カウンタエリア251には、15個賞球用カウンタエリアと、10個賞球用カウンタエリアと、4個賞球用カウンタエリアと、3個賞球用カウンタエリアとが設けられている。
ここで、本パチンコ機10には既に説明したように、賞球用入球部(又は賞払出用通過部)として、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33及び下作動口34が設けられており、各賞球用入球部ごとに入球に対する賞球個数(払い出される遊技球の個数)が異なっている。具体的には、一般入賞口31に入球した場合の賞球個数は10個であり、可変入賞装置32に入球した場合の賞球個数は15個であり、上作動口33に入球した場合の賞球個数は3個であり、下作動口34に入球した場合の賞球個数は4個である。
当該構成において、15個賞球用カウンタエリアは可変入賞装置32への入球に対する15個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり、10個賞球用カウンタエリアは一般入賞口31への入球に対する10個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり、4個賞球用カウンタエリアは下作動口34への入球に対する4個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり、3個賞球用カウンタエリアは上作動口33への入球に対する3個賞球をあと何回行うかを記憶するものである。各賞球用カウンタエリアは、それぞれ1バイトで構成されており、賞球の未実施回数を最大で255回まで覚えることができる。
なお、上記賞球個数パターンは一例であり、各個数は任意である。また、賞球数のパターンも上記の4種類に限定されることはなく、2種類、3種類又は5種類以上であってもよい。また、各賞球用カウンタエリアは1バイトに限定されることはなく、2バイト又は3バイト以上であってもよい。さらには各賞球用カウンタエリアに記憶可能な賞球の未実施回数は、最大で255回であることは必須ではなく、複数回が記憶可能であれば、255回よりも少なく又は多くてもよい。
主制御基板201のMPU211では、賞球用カウンタエリア251に記憶されている情報(賞情報)に基づいて、入賞発生の有無を判定し、入賞発生有りと判定した場合にはその入賞の種類に対応した賞球コマンドを払出制御基板222に出力する。なお、賞球コマンドは、主制御基板201のROM212のコマンド記憶エリア212aに予め記憶されている。
賞球コマンドとしては、15個賞球コマンドと、10個賞球コマンドと、4個賞球コマンドと、3個賞球コマンドとが設定されている。15個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には15個賞球コマンドが出力され、10個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には10個賞球コマンドが出力され、4個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には4個賞球コマンドが出力され、3個賞球用カウンタエリアに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には3個賞球コマンドが出力される。
各賞球コマンドは2バイトで構成されている。すなわち、各賞球コマンドは上位情報と下位情報とを備えており、それら各情報はそれぞれ1バイトで構成されている。これら上位情報及び下位情報のうち、上位情報には払出制御基板222のMPU231において本コマンドが賞球コマンドであることを特定するための情報が設定されており、下位情報には払出制御基板222のMPU231において本賞球コマンドの賞球数の情報が設定されている。
その他、主制御基板201のRAM213には、前扉枠カウンタエリア252、賞球許可カウンタエリア253及び各種フラグ格納エリア254が設けられている。前扉枠カウンタエリア252は、主制御基板201のMPU211において前扉枠14の開閉の有無を判定する場合に用いられる。また、賞球許可カウンタエリア253は、主制御基板201のMPU211において賞球許可信号に関する処理を実行する上で用いられる。また、各種フラグ格納エリア254は、主制御基板201のMPU211において各種の制御処理を実行する上で用いられる。
払出制御基板222は払出装置114と電気的に接続されており、払出制御基板222のMPU231は、払出モータ125に駆動信号を出力するとともに、払出球検知センサ126から遊技球の検知の有無を示す電気信号を入力する。また、払出制御基板222は球貸用接続端子板143を介して球貸装置Yと電気的に接続されており、払出制御基板222のMPU231は、球貸装置Yとの間で電気信号の入出力を行うことで貸球の制御を実行する。
また、払出制御基板222のMPU231は、満タン検知センサ88及び球無検知センサ115から電気信号を入力し、下皿82が満タン状態となっているか否かの特定や、タンク111が球無状態となっているか否かの特定を行う。これら満タン検知センサ88及び球無検知センサ115のうち満タン検知センサ88から出力された電気信号は、電源及び発射制御基板221に中継された後に払出制御基板222に入力される。なお、払出制御基板222のMPU231は、下皿82が満タン状態となっているか否かの特定結果を主制御基板201のMPU211に出力する。これにより、下皿82が満タン状態となっているか否かを主制御基板201のMPU211において把握することができるようになっている。
払出制御基板222のRAM233の構成について説明する。
払出制御基板222のRAM233には満タンカウンタエリア261が設けられている。満タンカウンタエリア261は、払出制御基板222のMPU231において下皿82が満タン状態であるか否かを特定する上で用いられる。また、払出制御基板222のRAM233には球無カウンタエリア262が設けられている。球無カウンタエリア262は、払出制御基板222のMPU231においてタンク111が球無状態であるか否かを特定する上で用いられる。また、払出制御基板222のRAM233にはコマンド格納エリア263が設けられている。コマンド格納エリア263は、主制御基板201のMPU211から入力した賞球コマンドを一時的に格納しておく上で用いられる。
また、払出制御基板222のRAM233には賞球数記憶エリア264が設けられている。賞球数記憶エリア264は、複数のビット(8ビット)が列状に並べられてなる1バイトで構成されており、各ビットには「0」(データ0又は無情報)又は「1」(データ1又は有情報)が設定される。そして、賞球数記憶エリア264は、払出制御基板222のMPU231において賞球コマンドを解析することで特定した賞球数の情報を記憶しておくための機能を有している。この場合、賞球数の情報(賞球数情報又は賞払出数情報)は、所定の遊技媒体数の範囲内において各ビットのデータ1の設定パターンと遊技媒体数とが1対1で対応した情報である。具体的には、下位のビットから上位のビットに向けて予め定められた順序で各ビットに「1」(データ1又は有情報)が設定され、上位側のビットに「1」が設定されているほど対応する賞球数が大きい数となるように2進数で表される情報である。なお、賞球コマンドから賞球数の情報を特定する場合には、払出制御基板222のROM232に設けられた賞球テーブル記憶エリア232aが参照される。
また、払出制御基板222のRAM233には貸球数記憶エリア265が設けられている。貸球数記憶エリア265は、1バイトで構成されており、払出制御基板222のMPU231において球貸装置Yから入力した貸球数の情報を記憶しておくための機能を有している。また、払出制御基板222のRAM233には払出個数カウンタエリア266が設けられている。払出個数カウンタエリア266は、1バイトで構成されており、払出制御基板222のMPU231において遊技球の払出を実行する上での実行エリアとしての機能を有する。
なお、賞球数記憶エリア264、貸球数記憶エリア265及び払出個数カウンタエリア266は、1バイトに限定されることはなく、2バイト又は3バイト以上であってもよい。また、これら各エリア264〜266が同一のバイト数である必要はない。
その他、払出制御基板222のRAM233には各種フラグ格納エリア267が設けられている。各種フラグ格納エリア267は、払出制御基板222のMPU231において各種の制御処理を実行する上で用いられる。
なお、払出制御基板222のRAM233には、上記各エリア261〜267の他に、主制御基板201のMPU211からコマンドを入力した場合にそのコマンドを一時的に格納しておくためのリングバッファが設けられている。リングバッファは複数の記憶領域を備えているとともに、読み込みポインタと読み出しポインタとが設定されている。読み込みポインタに基づき各記憶領域にコマンドが順次読み込まれていくとともに、読み出しポインタに基づき各記憶領域に記憶されたコマンドが順次読み出されていく。
電源及び発射制御基板221の電入時用電源部221aからの電力は、主制御基板201のMPU211のVCC端子、及び払出制御基板222のMPU231のVCC端子に供給される。VCC端子に供給された電力により、外部電源からの電力供給が行われている状況において、各MPU211,331にて各種制御処理が実行されるとともに、各RAM213,333にて情報の記憶保持が行われる。
また、電源及び発射制御基板221の電断時用電源部221cからの電力は、主制御基板201のMPU211のVBB端子に供給される。つまり、電断時用電源部221cからの電力は、主制御基板201のRAM213に供給されるが、払出制御基板222のRAM233には供給されない。VBB端子に供給された電力により、外部電源からの電力供給が遮断されている状況において、主制御基板201のRAM213にて情報の記憶保持が行われる。なお、既に説明したように、電入時用電源部221a及び電断時用電源部221cから主制御基板201のMPU211に供給される電力は、停電監視回路203にて中継される。また、払出制御基板222のMPU231のVBB端子(図示略)は、アースされている又はいずれの電気配線とも接続されていない。
<遊技球の払出に関する処理構成であって主制御基板201のMPU211における処理構成>
次に、遊技球の払出に関する処理構成について説明する。なお、以下の説明では、主制御基板201のMPU211を主側MPU211といい、払出制御基板222のMPU231を払出側MPU231という。また、主制御基板201のRAM213を主側RAM213といい、払出制御基板222のRAM233を払出側RAM233という。
先ず、主側MPU211における処理構成について説明する。なお、以下の説明において、カウンタエリアの値とは、バイト単位で構成されたカウンタエリアの値を仮想的に10進数で表現した値のことをいう。
<入力状態監視処理>
先ず、通常処理(図14)のステップS507にて実行される入力状態監視処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
入力状態監視処理では、先ずステップS601にて、入力ポート211aから入力情報を取得する。具体的には、主側MPU211に設けられた1バイト単位の汎用レジスタに、入力ポート211aの入力情報を格納する。
続くステップS602では、遊技球の払出に関して異常が発生しているか否かを特定するための払出異常信号監視処理を実行する。詳細には、払出異常信号監視処理では、払出制御基板222から異常信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、払出異常の発生を主制御基板201の主側MPU211において特定する。そして、払出異常の発生を特定した場合には、音声ランプ制御基板224に払出異常コマンド(払出異常情報)を出力し、異常報知を実行させる。
続くステップS603では、下皿82が満タン状態となっているか否かを特定するための満タン信号監視処理を実行する。詳細には、満タン信号監視処理では、払出制御基板222から満タン信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、下皿82が満タン状態であることを主制御基板201の主側MPU211において特定する。そして、下皿82が満タン状態であることを特定した場合には、音声ランプ制御基板224に満タン状態コマンド(満タン状態情報)を出力し、満タン報知を実行させる。
続くステップS604では、内枠13が開放状態となっているか否かを特定するための内枠開放信号監視処理を実行する。詳細には、内枠開放信号監視処理では、内枠開放スイッチ134から内枠開放信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、内枠13が開放状態であることを主制御基板201の主側MPU211において特定する。そして、内枠13が開放状態であることを特定した場合には、音声ランプ制御基板224に内枠開放状態コマンド(本体開放報知用情報)を出力し、本体開放報知を実行させる。
その後、ステップS605にて前扉枠開放信号監視処理を実行するとともに、ステップS606にて賞球許可信号監視処理を実行した後に、本入力状態監視処理を終了する。
<前扉枠開放信号監視処理>
次に、上記ステップS605の前扉枠開放信号監視処理について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。
ここで、前扉枠開放信号監視処理は、(1)前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合の処理、(2)前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理、(3)前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合の処理、(4)前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでの処理、に大別される。そこで、これら状況の処理を個別に説明する。
先ず、上記(1)の前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合の処理について説明する。
先ずステップS701では、前扉枠14が開放状態であることを示す前扉枠開放信号を入力している旨の前扉枠開放情報が汎用レジスタに格納されているか否かを判定する。今回は前扉枠14が閉鎖状態である場合であるため、ステップS701にて否定判定をし、ステップS702に進む。
ステップS702では、主側RAM213の前扉枠カウンタエリア252における第1前扉枠カウンタエリア(開放特定契機把握用手段)に、開放特定基準回数を格納する。具体的には、前扉枠カウンタエリア252に「3」を格納する。第1前扉枠カウンタエリアは、閉鎖状態の前扉枠14が開放状態となった場合に、主側MPU211において前扉枠14が開放状態となったことを特定する場合に用いられるカウンタである。
続くステップS703では、主側RAM213の前扉枠カウンタエリア252における第2前扉枠カウンタエリア(閉鎖特定契機把握用手段)が「0」となっているか否かを判定する。第2前扉枠カウンタエリアは、開放状態の前扉枠14が閉鎖状態となった場合に、主側MPU211において前扉枠14が閉鎖状態となったことを特定する場合に用いられるカウンタである。当該第2前扉枠カウンタエリアは、前扉枠14が閉鎖状態となったことを特定した後は、「0」の状態で維持される。したがって、前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合には、第2前扉枠カウンタエリアは「0」であり、ステップS703にて肯定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
次に、上記(2)の前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理について説明する。
今回は前扉枠14が開放状態である場合であるため、ステップS701に肯定判定をし、ステップS711に進む。ステップS711では、主側RAM213の第2前扉枠カウンタエリアに、閉鎖特定基準値情報を格納する。具体的には、第2前扉枠カウンタエリアに「250」を格納する。
続くステップS712では、第1前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理であるため、前扉枠14が閉鎖状態の場合にステップS702にて第1前扉枠カウンタエリアに格納された開放特定基準値情報が未だ「0」となっていない状態である。したがって、ステップS712にて否定判定をし、ステップS713に進む。
ステップS713では、第1前扉枠カウンタエリアの値を1減算する。続くステップS714では、第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。つまり、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでは、前扉枠開放信号監視処理が実行される度に第1前扉枠カウンタエリアの値が1減算される。また、前扉枠開放信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。また、前扉枠14が閉鎖状態の場合には、ステップS702にて第1前扉枠カウンタエリアに「3」が格納される。したがって、ステップS714では、前扉枠14が開放操作され閉鎖状態から開放状態となった時点(前扉枠開放スイッチ22から前扉枠開放信号が出力された時点)から12msecが経過したか否かを判定していることとなる。
第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」でない場合には、ステップS714にて否定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS714にて肯定判定をし、ステップS715に進む。ステップS715では、主側RAM213の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS716に進む。
ステップS716では、前扉枠開放フラグ格納エリア(前面体開放情報記憶手段)に前扉枠開放フラグ(前面体開放情報)を格納する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が開放状態であることが特定される。続くステップS717では、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグを格納する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が開放状態であることを特定したタイミングであることが特定される。続くステップS718では、前扉枠開放コマンドをセットする。当該前扉枠開放コマンドは、後述する払出用出力処理にて払出制御基板222に出力され、払出側MPU231では前扉枠開放コマンドを入力することで、前扉枠14が開放状態であることを特定する。
その後、ステップS710ではサブコマンド設定処理を実行する。サブコマンド設定処理では、音声ランプ制御基板224に前扉枠開放状態コマンド(前面体開放報知用情報)を出力し、前面体開放報知を実行させる。
次に、上記(3)の前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合の処理について説明する。
今回は前扉枠14が開放状態である場合であるため、ステップS701にて肯定判定をし、ステップS711に進み、主側RAM213の第2前扉枠カウンタエリアに「250」を格納する。続くステップS712では、第1前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合であるため、第1前扉枠カウンタエリアが「0」の状態が維持されている。したがって、ステップS712にて肯定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
次に、上記(4)の前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでの処理について説明する。
今回は前扉枠14が閉鎖状態である場合であるため、ステップS701にて否定判定をし、ステップS702に進み、主側RAM213の第1前扉枠カウンタエリアに「3」を格納する。
続くステップS703では、主側RAM213の第2前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態が特定されるまでの処理であるため、前扉枠14が開放状態の場合にステップS711にて第2前扉枠カウンタエリアに格納された閉鎖特定基準回数が未だ「0」となっていない状態である。したがって、ステップS703にて否定判定をし、ステップS704に進む。
ステップS704では、第2前扉枠カウンタエリアの値を1減算する。続くステップS705では、第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。つまり、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでは、前扉枠開放信号監視処理が実行される度に第2前扉枠カウンタエリアの値が1減算される。また、前扉枠開放信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。また、前扉枠14が開放状態の場合には、ステップS711にて第2前扉枠カウンタエリアに「250」が格納される。したがって、ステップS705では、前扉枠14が閉鎖操作され開放状態から閉鎖状態となった時点(前扉枠開放スイッチ22からの前扉枠開放信号の出力が停止された時点)から1secが経過したか否かを判定していることとなる。
第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」でない場合には、ステップS705にて否定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS705にて肯定判定をし、ステップS706に進む。ステップS706では、主側RAM213の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、ステップS707に進む。
ステップS707では、前扉枠開放フラグ格納エリアに格納されている前扉枠開放フラグを消去する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が閉鎖状態であることが特定される。続くステップS708では、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグを格納する。これにより、主側MPU211において前扉枠14が閉鎖状態であることを特定したタイミングであることが特定される。続くステップS709では、前扉枠閉鎖コマンドをセットする。当該前扉枠閉鎖コマンドは、後述する払出用出力処理にて払出制御基板222に出力され、払出側MPU231では前扉枠閉鎖コマンドを入力することで、前扉枠14が閉鎖状態であることを特定する。
その後、ステップS710ではサブコマンド設定処理を実行する。今回のサブコマンド設定処理では、音声ランプ制御基板224に前扉枠閉鎖状態コマンド(前面体閉鎖報知用情報)を出力し、前面体開放報知を終了させる。その後、本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
なお、ステップS604の内枠開放信号監視処理では、内枠13の開放状態及び閉鎖状態の特定を行うための具体的な処理内容の説明を省略したが、基本的に前扉枠開放信号監視処理と同様の処理を実行する。
<賞球許可信号監視処理>
次に、上記ステップS606の賞球許可信号監視処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず賞球許可信号について説明する。
本パチンコ機10では、既に説明したように、電源及び発射制御基板221の電断時用電源部221cからの電力は、主側RAM213に供給されるが、払出側RAM233には供給されない。当該構成とすることにより、電断時用電源部221cの小容量化が図られ、それに伴ってパチンコ機10のコストの削減が図られる。
但し、当該構成においては、外部電源からのパチンコ機10への電力供給が停止されると、払出側RAM233に記憶されている情報は全て消去されてしまう(破壊されてしまう)。この場合、従来のパチンコ機のように未払出の賞球数の情報を全て払出側RAM233に記憶しておく構成とすると、未払出の賞球数がある状況でパチンコ機10への電力供給が停止された場合にはその未払出の賞球数の全てが払い出されることなく消去されてしまう。そうすると遊技者に多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。
これに対して、本パチンコ機10では、未払出の賞球情報は基本的に主側RAM213の賞球用カウンタエリア251に記憶し、主側MPU211は払出側MPU231から賞球許可信号を入力している場合に当該払出側MPU231に対して賞球コマンドを出力する。そして、払出側MPU231では、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に記憶される賞球数の情報が、最大でも、1回の入賞に対する最大賞球数(15個賞球)と、後述する許可基準数との和となるように賞球許可信号の出力開始タイミング及び出力停止タイミングを設定する。なお、この許可基準数は、1回の入賞に対する最小賞球数又はそれ未満となっている。これにより、未払出の賞球数が多数残っている状況でパチンコ機10への電力供給が停止されたとしても、その際に消去される賞球数を極力少なくすることが可能となる。つまり、賞球許可信号とは、主側MPU211において賞球コマンドの出力タイミングを特定するために、払出側MPU231から主側MPU211に出力される情報である。
さて、賞球許可信号監視処理では先ずステップS801にて、賞球許可信号を入力している旨の賞球許可情報が入力ポート211aに格納されているか否かを判定する。なお、賞球許可信号監視処理に際して、入力ポート211aの情報を主側MPU211の汎用レジスタや専用レジスタに格納する構成としてもよく、この場合、そのレジスタに賞球許可情報が格納されているか否かを判定する構成とする。
賞球許可情報が格納されている場合には、ステップS802にて、主制御基板201のRAM213の賞球許可カウンタエリア(許可契機把握用手段)253に格納されている値が「5」であるか否かを判定する。賞球許可カウンタエリア253とは、入力ポート211aに賞球許可情報が格納されている場合に、それが払出制御基板222から実際に賞球許可信号が出力されていることに起因して格納されたものか、ノイズなどの原因により格納されたものかを主側MPU211において特定するためのものである。
賞球許可カウンタエリア253の値が「5」以上の場合には、ステップS802にて肯定判定をし、そのまま本賞球許可信号監視処理を終了する。一方、賞球許可カウンタエリア253の値が「5」未満の場合には、ステップS802にて否定判定をし、ステップS803に進む。ステップS803では、賞球許可カウンタエリア253の値を1加算した後に、本賞球許可信号監視処理を終了する。
ここで、賞球許可信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。したがって、払出制御基板222から賞球許可信号が出力されており、且つ賞球許可カウンタエリア253の値が「5」未満の場合には、約4msec周期で賞球許可カウンタエリア253の値が1加算される。また、ステップS802の処理が実行されることにより、払出制御基板222からの賞球許可信号の出力が継続されている状況であっても賞球許可カウンタエリア253の値が「5」以上となった場合には、当該賞球許可カウンタエリア253の値の加算処理は実行しない。
また、ステップS802にて、賞球許可情報が格納されていないと判定した場合には、ステップS804にて賞球許可カウンタエリア253の値を「0」クリアした後に、本賞球許可信号監視処理を終了する。つまり、払出制御基板222から賞球許可信号が出力されていない状況では、賞球許可カウンタエリア253の値は「0」に維持される。
<払出用出力処理>
次に、通常処理(図14)のステップS508にて実行される払出用出力処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。払出用出力処理とは、主制御基板201のMPU211から払出制御基板222のMPU231に各種コマンドを出力するための処理である。
払出用出力処理では、先ずステップS901にて、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠状態変化フラグが格納されている場合には、ステップS902にて前扉枠状態変化フラグを消去するとともに、ステップS903にて前扉枠開放コマンド又は前扉枠閉鎖コマンドを払出制御基板222に出力した後に本払出用出力処理を終了する。
一方、ステップS901において、主側RAM213の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグが格納されていない場合には否定判定をし、ステップS904に進む。ステップS904では、主側RAM213の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、そのまま払出用出力処理を終了する。
前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS905にて、主側RAM213の賞球許可カウンタエリア253の値が出力許可基準回数としての「5」となっているか否かを判定する。ここで、上記のとおり、賞球許可カウンタエリア253の値は、払出側MPU231から賞球許可信号が出力されており、且つ賞球許可カウンタエリア253の値が「5」未満の場合には、約4msec周期で1加算される。また、賞球許可カウンタエリア253の値は、払出側MPU231からの賞球許可信号の出力が停止された場合には「0」クリアされる。したがって、ステップS905では、払出側MPU231からの賞球許可信号の出力が継続して出力許可継続期間としての20msecとなったか否かを判定している。
賞球許可カウンタエリア253の値が「5」でない場合には、そのまま本払出用出力処理を終了する。賞球許可カウンタエリア253の値が「5」である場合には、ステップS906にて、主側RAM213の賞球用カウンタエリア251における各種カウンタエリアのいずれかに賞球情報が記憶されているか否かを判定する。いずれにも賞球情報が記憶されていない場合には、そのまま本払出用出力処理を終了する。
各種賞球用カウンタエリアのいずれかに賞球情報が記憶されている場合には、ステップS907にて賞球許可カウンタエリア253の値を「0」クリアする。その後、ステップS908にて賞球コマンド出力処理を実行し、本払出用出力処理を終了する。
ここで、賞球コマンド出力処理について、図20のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1001では、主側RAM213の15個賞球用カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、15個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1002にて、15個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、15個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1001において、15個賞球用カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS1003に進む。ステップS1003では、主側RAM213の4個賞球用カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、4個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1004にて、4個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、4個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1003において、4個賞球用カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS1005に進む。ステップS1005では、主側RAM213の3個賞球用カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、3個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1006にて、3個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、3個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1005において、3個賞球用カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS1007に進む。ステップS1007では、10個賞球コマンドを払出側MPU231に出力するとともに、10個賞球用カウンタエリアの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
以上のように、主側MPU211は、入力ポート211aに賞球許可情報が格納されたとしても、払出制御基板222において賞球コマンドの出力が許可されたと即座に特定することはなく、複数回として設定された出力許可基準回数だけ連続して賞球許可情報が確認された場合、すなわち、出力許可基準期間である20msecに亘って賞球許可信号が出力されている状態が確認された場合に、賞球コマンドの出力が許可されたと特定する(出力許可状態であると特定する)。そして、賞球コマンドの出力が許可されたと特定することで、払出側MPU231に1回の入賞に対応した1個の賞球コマンドを出力する。このように出力許可基準期間が設定されていることにより、既に説明したように、入力ポート211aに賞球許可情報が格納されている場合に、それが払出制御基板222から賞球許可信号が出力されていることに起因して格納されたものか、ノイズなどの原因により格納されたものかを主側MPU211において特定することができる。よって、ノイズなどの原因で賞球許可情報が格納された場合に、それに対して賞球コマンドが出力されてしまうことを阻止することができる。
特に、後述するように払出側RAM233の賞球数記憶エリア264には、予め定められた最大基準数を超える賞球数を記憶することができないようになっている。この場合に、ノイズなどの原因で賞球許可情報が格納され、それに対して賞球コマンドが出力されてしまうと、その賞球コマンドに対応した賞球数は実際に払い出されることなく消去されてしまう。そうすると、遊技者に不利益を及ぼすこととなってしまう。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を防止することができる。
また、払出用出力処理(図19)においてステップS904の処理が実行されることにより、前扉枠14が開放状態の場合には賞球許可信号を入力している期間が出力許可基準期間に達しているとしても賞球コマンドは出力されない。本パチンコ機10では、前扉枠14が開放状態である場合には遊技球の払出は停止される。この場合、前扉枠14が開放状態である場合に賞球コマンドを出力しないようにすることで、遊技球の払出が停止されている状況において新たに賞球コマンドが出力されないようにすることが可能となる。
本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出側RAM233に記憶されている情報は消去されてしまうため、遊技球の払出が停止されている状況において賞球コマンドが出力されると、前扉枠14を開放状態としたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。これに対して本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。なお、前扉枠14が開放状態の場合に賞球コマンドの出力を禁止することは必須の構成ではなく、前扉枠14が開放状態の場合に賞球コマンドを出力するようにしてもよい。
<払出制御基板222のMPU231における処理構成>
次に、払出側MPU231における処理構成について説明する。かかる払出側MPU231の処理としては大別して、主側MPU211からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。入力時割込み処理では、払出側RAM233に設けられたリングバッファにおける読み込みポインタに対応した記憶領域に対して、今回入力したコマンドを記憶させる。以下、メイン処理及びタイマ割込み処理について説明する。
<メイン処理>
メイン処理について、図21のフローチャートを参照しながら説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず、ステップS1101では、電源投入に伴う初期設定を実行する。続くステップS1102では、初期表示処理を実行する。初期表示処理では、払出制御基板222に設けられた7セグ表示器146に初期表示として「0」を表示させる。
続くステップS1103では、RAMアクセスを許可すると共に、ステップS1104で外部割込みベクタの設定を行う。その後、ステップS1105にて払出側RAM233の全領域を「0」にクリアし、ステップS1106にてMPU周辺デバイスの初期設定を行う。続くステップS1107では割込みを許可する。以上のステップS1101〜ステップS1107の一連の処理が払出側MPU231における立ち上げ処理に該当し、当該立ち上げ処理が完了するまでに、例えば300msecを要する。なお、この立ち上げ処理に要する時間は300msecに限定されることはなく、主側MPU211において立ち上げ処理に要する時間よりも短いのであれば任意である。
その後、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで、ステップS1107の処理を繰り返し実行する。なお、このようにステップS1107の割込み許可の設定処理を繰り返し実行することで、仮にノイズ等の影響で割込み許可の設定が解除されて不許可の設定となったとしても、割込み許可の状態に再度設定しなおすことができる。
<タイマ割込み処理>
次に、払出側MPU231により例えば2msec毎に起動されるタイマ割込み処理について、図22のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1201にて状態復帰スイッチ145をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。その後、ステップS1202にてコマンド判定処理を実行し、ステップS1203にて下皿82の満タン状態に関する処理として満タン用処理を実行し、ステップS1204にてタンク111の球無状態に関する処理として球無用処理を実行し、ステップS1205にて賞球数の設定に関する処理として賞球設定処理を実行し、ステップS1206にて貸球の設定に関する処理として貸球設定処理を実行し、ステップS1207にて払出個数の設定に関する処理として払出個数設定処理を実行し、ステップS1208にて遊技球の払出に関する処理として払出制御処理を実行し、ステップS1209にて賞球許可信号の設定に関する処理として賞球許可信号設定処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
以下、ステップS1202のコマンド判定処理、ステップS1203の満タン用処理、ステップS1204の球無用処理、ステップS1205の賞球設定処理、ステップS1206の貸球設定処理、ステップS1207の払出個数設定処理、ステップS1208の払出制御処理及びステップS1209の賞球許可信号設定処理を詳細に説明する。
<コマンド判定処理>
先ずステップS1202のコマンド判定処理について、図23のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、上記のとおり主側MPU211から入力したコマンドは入力時割込み処理が実行されることにより、払出側RAM233に設けられたリングバッファに一時的に記憶されている。コマンド判定処理では、リングバッファの各記憶領域のうちから今回の読み出しポインタに対応した記憶領域に記憶されている情報を読み出し、その読み出した情報に対応した処理を実行する。
さて、コマンド判定処理では、先ずステップS1301にて読み出した情報が初期コマンドか否かを判定する。初期コマンドである場合には、ステップS1302にて初期表示解除処理を実行した後に、本コマンド判定処理を終了する。初期表示解除処理では、7セグ表示器146における初期表示を終了させる。
読み出した情報が初期コマンドでない場合には、ステップS1303にて賞球コマンドか否かを判定する。賞球コマンドである場合には、ステップS1304にてコマンド格納処理を実行した後に、本コマンド判定処理を終了する。コマンド格納処理では、払出側RAM233のコマンド格納エリア263に、賞球コマンドを格納する。
読み出した情報が賞球コマンドでない場合には、ステップS1305にて前扉枠開放コマンドか否かを判定する。前扉枠開放コマンドである場合には、ステップS1306にて払出側RAM233の前扉枠開放フラグ格納エリア(払出側の前面体開放情報記憶手段)に前扉枠開放フラグ(払出側の前面体開放情報)を格納した後に、本コマンド判定処理を終了する。
読み出した情報が前扉枠開放コマンドでない場合には、ステップS1307にて前扉枠閉鎖コマンドか否かを判定する。前扉枠閉鎖コマンドである場合には、ステップS1308にて払出側RAM233の前扉枠開放フラグ格納エリアから前扉枠開放フラグを消去した後に、本コマンド判定処理を終了する。前扉枠開放コマンドでない場合には、そのまま本コマンド判定処理を終了する。
<満タン用処理>
次に、ステップS1203の満タン用処理について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。満タン用処理では、下皿82への前扉側下皿通路85に設けられた満タン検知センサ88の検知結果に基づいて下皿82が満タン状態か否かが判定され各種処理が実行される。そして、満タン検知センサ88にて遊技球が検知されていない場合にはステップS1402以降の処理が実行され、遊技球が検知されている場合にはステップS1409以降の処理が実行される。以下の説明では、便宜上、ステップS1409以降の処理を説明した後にステップS1402以降の処理を説明する。
満タン用処理において先ずステップS1401では、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力しているか否かを判定する。具体的には、払出側MPU231の入力ポートに満タン検知信号を入力している旨を示す満タン検知情報が格納されているか否かを判定する。
満タン検知信号を入力している場合には、ステップS1409にて、払出側RAM233の満タンカウンタエリア261における第2満タンカウンタエリアを「0」クリアする。第2満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ88から満タン検知信号を継続して入力していない期間を計測するためのカウンタである。その後、ステップS1410にて、満タンカウンタエリア261における第1満タンカウンタエリアの値を1加算する。第1満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ88から満タン検知信号を継続して入力している期間を計測するためのカウンタである。
ステップS1410の後は、ステップS1411にて第1満タンカウンタエリアが第1満タン特定基準期間に対応したカウント値としての「850」となっているか否かを特定する。ここで、本満タン用処理はタイマ割込み処理の一部の処理として実行され、タイマ割込み処理は上記のとおり2msec周期で起動される。よって、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力している場合には第1満タンカウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1411では満タン検知信号を約1.7sec(第1満タン特定基準期間)に亘って継続しているか否かを判定している。
第1満タンカウンタエリアが「850」の場合には、下皿82が満タン状態であると特定しステップS1412に進む。つまり、下皿82が満タン状態である場合には前扉側下皿通路85内にて遊技球が並ぶため、満タン検知センサ88によって遊技球が継続して検知され満タン検知信号の出力が継続される。そして、この状態で約1.7secが継続することにより、下皿82が満タン状態であると特定される。このように、下皿82が満タン状態であると特定される期間を1.7secと設定したのは、当該期間が極端に長いと払出装置114の位置まで遊技球が連なり払出モータ125などが故障してしまうおそれがあるからであり、当該期間が極端に短いと下皿82が満タン状態でないにも関わらず満タン状態であると特定されるおそれがあるからである。
ステップS1412では、払出側RAM233の満タンフラグ格納エリア(満タン状態情報記憶手段)に満タンフラグ(満タン状態情報)が格納されているか否かを判定する。満タンフラグが格納されている場合には、そのまま本満タン用処理を終了する。満タンフラグが格納されていない場合には、ステップS1413にて満タンフラグを格納するとともに満タン状態に設定した後に本満タン用処理を終了する。満タン状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211に満タン信号の出力が開始されるとともに、満タン状態が設定されている間は満タン信号の出力状態が維持される。
一方、ステップS1411にて、第1満タンカウンタエリアの値が「850」でない場合には、ステップS1414にて第1満タンカウンタエリアが第2満タン特定基準期間に対応したカウント値としての「400」となっているか否かを判定する。上述したとおり、第1満タンカウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1414では満タン検知信号を継続して約0.8sec(第2満タン特定基準期間)入力しているか否かを判定している。
第1満タンカウンタエリアが「400」でない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。第1満タンカウンタエリアが「400」の場合には、下皿82が満タン状態であるおそれがあると特定し、ステップS1415に進む。ステップS1415では、払出側RAM233の満タン低速フラグ格納エリア(満タン低速情報記憶手段)に満タン低速フラグ(満タン低速情報)を格納する。その後、本満タン用処理を終了する。
満タン低速フラグが格納されることにより、払出側MPU231では後述するように払出モータ125の払出速度の設定を、それまでの通常周期(具体的には、60msec間隔で遊技球を払い出す)から低速周期(具体的には、600msec間隔で遊技球を払い出す)に変更する。
このように払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えるのは以下の理由による。すなわち、満タン検知センサ88は遊技球を検知している間は継続して満タン検知信号を出力する構成であるため、連続して払い出される遊技球の間隔が狭くなると、満タン検知センサ88から見ると、1の遊技球の検知期間の終期が次の遊技球の検知期間の始期よりも後となる。そうすると、下皿82が満タン状態となっていないにも関わらず満タン検知センサ88から継続して満タン検知信号が出力されることとなる。そして、この状態が継続すると下皿82が満タン状態であると特定されてしまう。
これに対して、上記のとおり、払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えることで、前扉側下皿通路85内を連続して通過する各遊技球の間隔が広くなる。より詳細には、この間隔は満タン検知センサ88の検知範囲を越える間隔となる。よって、継続されていた満タン検知信号の出力が途切れるため、下皿82が満タン状態となっていないにも関わらず満タン状態となっていると特定されることを防止することができる。
満タン用処理の説明に戻り、ステップS1401にて満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していない場合には、ステップS1402にて第1満タンカウンタエリアを「0」クリアする。その後、ステップS1403にて、払出側RAM233の満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定する。満タン低速フラグが格納されていない場合には、そのままステップS1405に進み、満タン低速フラグが格納されている場合には、ステップS1404にて満タン低速フラグを消去した後にステップS1405に進む。
満タン低速フラグが消去されることにより、払出側MPU231では基本的に払出モータ125の払出速度の設定を、低速周期から通常周期に変更する。つまり、満タン検知センサ88から継続して満タン検知信号が出力されている状況下において払出モータ125の払出速度を低速周期に変更することで満タン検知信号の出力が途切れた場合には、即座に払出速度が通常周期に復帰する。これにより、払出モータ125の払出速度を必要に応じて低速周期に変更するようにした構成において、遊技球の払出に要する時間が極端に長くなることが防止される。
続くステップS1405では、第2満タンカウンタエリアを1加算する。その後、ステップS1406にて第2満タンカウンタエリアが「250」となっているか否かを判定する。ここで、第2満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していない場合には約2msec周期で1加算される。よって、ステップS1406では満タン検知信号を入力していない状態が継続して約0.5secとなっているか否かを判定している。
第2満タンカウンタエリアが「250」でない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。一方、第2満タンカウンタエリアが「250」である場合には、ステップS1407にて払出側RAM233の満タンフラグ格納エリアに満タンフラグが格納されているか否かを判定する。満タンフラグが格納されていない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。満タンフラグが格納されている場合には、ステップS1408にて満タンフラグを消去するとともに満タン解除状態を設定した後に本満タン用処理を終了する。満タン解除状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211への満タン信号の出力が停止されるとともに、満タン解除状態が設定されている間は満タン信号の出力停止状態が維持される。
ここで、ステップS1406にて満タン検知センサ88からの満タン検知信号の出力が停止されてから約0.5sec経過するのを待ってステップS1408の処理を実行するようにしたことで、ノイズなどの影響で実際には満タン検知センサ88の検知範囲に遊技球が待機しているのに満タン状態が解除されたと判定されないようにことができる。
なお、ステップS1406、ステップS1411及びステップS1414において、それぞれ判定値以上であるか否かを判定する構成としてもよい。
<球無用処理>
次に、ステップS1204の球無用処理について説明する。球無用処理では、ケースレール113に設けられた球無検知センサ115の検知結果に基づいてタンク111に遊技球が貯留されていない状態か否かが判定され各種処理が実行される。
ここで、球無用処理では満タン用処理と類似した処理を実行する。具体的には、球無検知センサ115からの球無検知信号を約10sec(第1球無特定基準期間)に亘って継続して入力している場合に、タンク111に遊技球が貯留されていない状態であると特定する。遊技球が貯留されていない状態であると特定した場合には、払出側RAM233の球無フラグ格納エリア(球無状態情報記憶手段)に球無フラグ(球無状態情報)を格納するとともに球無状態に設定する。球無状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211に払出異常信号の出力が開始されるとともに、球無状態が設定されている間は払出異常信号の出力状態が維持される。
また、球無検知センサ115からの球無検知信号を約10sec未満であって、約1.0sec(第2球無特定基準期間)に亘って継続して入力している場合に、タンク111が球無となるおそれがあると特定し、払出側RAM233の球無低速フラグ格納エリア(球無低速情報記憶手段)に球無低速フラグ(球無低速情報)を格納する。
球無低速フラグが格納されることにより、払出側MPU231では後述するように払出モータ125の払出速度の設定を、それまでの通常周期(具体的には、60msec間隔で遊技球を払い出す)から低速周期(具体的には、600msec間隔で遊技球を払い出す)に変更する。
このように払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えるのは以下の理由による。すなわち、タンク111においては球詰まりが発生することがある。これに対して、タンク111には、上記球詰まりが発生した際に当該球詰まりを解消すべく、タンク111を振動させるための振動モータが設けられている。球詰まりが重度のものでなければ、振動モータによりタンク111を振動させることで当該球詰まりは解消する。そして、この球詰まりの解消は10sec以内に完了するものと考えられる。
当該事情において、球無検知センサ115にて遊技球を検知していない期間が第1球無特定基準期間である約1.0secが経過した時点で、払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えることで、払出装置114の回転体124よりも上流側に待機している遊技球が全てなくなってしまう前のタイミングで球詰まりが解消される可能性が高められる。払出装置114の回転体124よりも上流側に待機している遊技球が全てなくなってしまうと、再度、タンク111側から回転体124に向けて遊技球が補充された際に、その遊技球がケースレール113を通じて落下し回転体124に直接衝突することとなり、回転体124の故障の発生等が懸念される。これに対して、上記のように払出速度を低速周期に切り換えることで、このような不都合が発生する可能性が低減される。
一方、球無検知センサ115から球無検知信号を入力しておらず、その状態が約3.0secに亘って継続した場合、払出側RAM233の球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されている状況においては当該球無低速フラグを消去する。球無低速フラグが消去されることにより、払出側MPU231では基本的に払出モータ125の払出速度の設定を、低速周期から通常周期に変更する。また、球無フラグが格納されている場合には、当該球無フラグを消去するとともに球無解除状態を設定する。球無解除状態が設定されることにより、払出側MPU231から主側MPU211への払出異常信号の出力が停止されるとともに、球無解除状態が設定されている間は払出異常信号の出力停止状態が維持される。
<賞球設定処理>
次に、ステップS1205の賞球設定処理について、図25のフローチャートを参照しながら説明する。賞球設定処理では、主側MPU211から入力した賞球コマンドから賞球数を特定し、その特定した賞球数を払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に加算する処理が実行される。
賞球設定処理では先ずステップS1501にて、払出側RAM233のコマンド格納エリア263に賞球コマンドが格納されているか否かを判定する。賞球コマンドが格納されていない場合には、そのまま本賞球設定処理を終了する。賞球コマンドが格納されている場合には、ステップS1502に進む。
ステップS1502では、賞球数特定処理を実行する。具体的には、ROM232の賞球テーブル記憶エリア232aに記憶されている情報に基づいて、今回入力した賞球コマンドがいずれの賞球数に対応しているかを特定する。この場合、賞球コマンドの下位情報と賞球テーブル記憶エリア232aとが照らし合わされ、賞球数の特定が行われる。ここで特定された賞球数は、賞球コマンドの情報に代えて、払出側MPU231の汎用レジスタに格納される。続くステップS1503では、コマンド格納エリア263に格納されている賞球コマンドを消去する。
続くステップS1504では、賞球数の加算処理を実行する。当該加算処理では、ステップS1502にて特定した賞球数の情報を、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報に加算する。続くステップS1505では、払出側RAM233の賞球低速フラグ格納エリア(賞球低速情報記憶手段)に賞球低速フラグ(賞球低速情報)が格納されているか否かを判定する。賞球低速フラグとは、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が、払出制御基板222のROM232に予め記憶された切換基準数(具体的には、「2」)となった場合に格納され、切換基準数を超えることにより消去されるフラグである。
ここで、本パチンコ機10は、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となった場合には、払出モータ125の払出速度の設定をそれまでの通常周期から低速周期に変更するように構成されている。これは以下の理由による。つまり、賞球数記憶エリア264に賞球数の情報が記憶されていない状況では、払出モータ125の駆動は停止される。この場合に、単発的な入賞が所定の間隔を置いて繰り返し発生すると、払出モータ125の駆動開始及び駆動停止を繰り返し行う必要が生じる。払出モータ125の駆動開始には払出モータ125の駆動状態を維持する場合よりも大きな駆動力を必要とするため、上記のように払出モータ125の駆動開始及び駆動停止が繰り返し行われることは好ましくない。これに対して、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となった場合に、払出モータ125の払出速度を低速周期に切り換えることで、単発的な入賞が所定の間隔を置いて繰り返し発生したとしても、切換基準数の賞球を低速周期で実行している間に次の入賞が発生する可能性が高まり、払出モータ125の駆動開始及び駆動停止が繰り返し行われてしまう可能性が低減される。
なお、払出モータ125の払出速度を常に低速とする構成も考えられるが、この場合、遊技球の払出速度が慢性的に遅くなり、遊技者にとっては入賞が発生したにも関わらずそれに対する賞球を受けるのに相当な時間を要することとなり好ましくない。
ステップS1505にて、賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されていない場合には、そのままステップS1507に進む。一方、賞球低速フラグが格納されている場合には、ステップS1506にて賞球低速フラグ格納エリアから賞球低速フラグを消去した後に、ステップS1507に進む。賞球低速フラグが消去されることで、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となることで低速周期に設定された払出モータ125の払出速度が通常周期に復帰することとなる。
ステップS1507では、エラーフラグの消去処理を実行する。エラーフラグは、例えば、主側MPU211から解析不能なコマンドを入力した場合等に格納されるフラグである。当該エラーフラグは、賞球コマンドを正常に入力し、その賞球コマンドに対する賞球設定処理が実行されることで、ステップS1507にて消去される。ステップS1507にてエラーフラグの消去処理を実行した後は本賞球設定処理を終了する。
<貸球設定処理>
次に、ステップS1206の貸球設定処理について、図26のフローチャートを参照しながら説明する。貸球設定処理では、球貸用接続端子板143を通じて球貸装置Yから入力した貸球要求信号に基づいて貸球数を特定し、その特定した貸球数を払出側RAM233の貸球数記憶エリア265に加算する処理が実行される。
貸球設定処理では先ずステップS1601にて、払出側RAM233の貸球状態フラグ格納エリア(貸球状態情報記憶手段)に貸球状態フラグ(貸球状態情報)が格納されているか否かを判定する。貸球状態フラグは、払出側MPU231において、球貸装置Yからの貸球要求信号の入力待機状態であるか否かを特定する上で用いられるフラグであり、入力待機状態となることで格納され、貸球要求信号を受ける必要がなくなった場合に消去される。
貸球状態フラグが格納されていない場合には、ステップS1602〜ステップS1606の貸球状態設定用処理を実行し、貸球状態フラグが格納されている場合には、ステップS1607〜ステップS1611の貸球状態中処理を実行する。
貸球状態設定用処理では、先ずステップS1602にて、球貸装置Yから接続確認用信号及び貸球待機信号を入力しているか否かを判定する。接続確認用信号は、球貸装置Yにおいて払出制御基板222との間で通信可能な状態を示す信号である。また、貸球待機信号は、球貸装置Yに未払出の貸球の情報が保持されている(具体的には、未払出の貸球の情報が記憶保持されたカードが球貸装置Yに挿入されている)状況において、球貸操作装置71の球貸ボタン72が操作されていることを、払出制御基板222にて把握させるための信号である。なお、接続確認用信号を不具備としてもよい。
接続確認用信号及び貸球待機信号のいずれか一方でも入力していない場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。一方、接続確認用信号及び貸球待機信号の両方を入力している場合には、ステップS1603にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態とは、前扉枠開放状態、下皿満タン状態、タンク球無状態又は払出装置異常状態のいずれかに該当している状態のことである。
当該判定は、前扉枠開放状態については払出側RAM233の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定することで行われ、下皿満タン状態については払出側RAM233の満タンフラグ格納エリアに満タンフラグが格納されているか否かを判定することで行われ、タンク球無状態については払出側RAM233の球無フラグ格納エリアに球無フラグが格納されているか否かを判定することで行われ、払出装置異常状態については払出側RAM233の払出装置異常フラグ格納エリアに払出装置異常フラグが格納されているか否かを判定することで行われる。
払出エラー状態である場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。払出エラー状態でない場合には、ステップS1604にて払出動作中か否かを判定する。具体的には、払出モータ125が停止中か否かを判定する。貸球状態フラグが格納されていない状況であって払出モータ125が動作中である状況は、賞球の払出が実行されている状況であること又は既に1回の貸球操作に基づく貸球の払出が実行されている状況であることを意味する。つまり、ステップS1604では賞球動作中又は1回の貸球操作に基づく貸球動作中であるか否かを判定していると言える。
払出動作中である場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。払出動作中でない場合には、ステップS1605にて貸球許可信号の出力状態を設定する。これにより、払出側MPU231から球貸装置Yに貸球許可信号の出力が開始され、球貸装置Yでは貸球許可信号を入力することで、球貸ボタン72の1回の操作に基づく貸球要求信号の出力を行う。その後、ステップS1606にて払出側RAM233の貸球状態フラグ格納エリアに貸球状態フラグを格納した後に、本貸球設定処理を終了する。なお、球貸装置Yは、貸球待機信号を出力した後に所定の期間(例えば、2sec)に亘って貸球許可信号を入力しなかった場合には、球貸ボタン72の操作がなかったものとして扱う。
ステップS1607〜ステップS1611の貸球状態中処理では、先ずステップS1607にて、球貸装置Yから貸球要求信号を入力しているか否かを判定する。貸球要求信号は球貸装置Yから貸球の払出を要求する場合に出力される信号である。貸球要求信号を入力していない場合には、そのままステップS1609に進む。貸球要求信号を入力している場合には、ステップS1608にて、払出側RAM233の貸球数記憶エリア265への加算処理を実行した後に、ステップS1609に進む。当該加算処理では、100円分に相当する25個に相当する貸球数の情報を貸球数記憶エリア265に加算する。つまり、球貸装置Yは、貸球状態においては球貸操作に応じて貸球要求信号を定期的に出力し、払出側MPU231は貸球要求信号を入力するごとに予め定められた単位数に相当する貸球数の情報を貸球数記憶エリア265に加算する。
ステップS1609では、球貸装置Yから終了信号を入力しているか否かを判定する。終了信号は、一の球貸操作が行われ貸球要求信号が5回出力された場合に出力される信号であり、一の球貸操作に対する貸球要求信号の出力が終了したことを払出側MPU231において認識させるための信号である。終了信号を入力していない場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。終了信号を入力している場合には、ステップS1610にて払出側RAM233の貸球状態フラグ格納エリアから貸球状態フラグを消去するとともに、ステップS1611にて貸球許可信号の出力停止状態を設定した後に、本貸球設定処理を終了する。
以上のように、払出側MPU231は、球貸装置Yから貸球待機信号を入力している状況において、払出エラー状態でなく且つ払出動作中でない場合に、貸球状態に設定される。特に、払出動作中においては貸球状態への設定が行われないようにすることで、賞球の払出が実行されている間は仮に球貸操作装置71において球貸操作が行われたとしても賞球の払出を優先させることができる。
賞球の払出が実行されている状況で球貸操作が行われた場合に当該球貸を優先させる構成を想定すると、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に賞球数の情報が記憶されているにも関わらず、賞球の払出を停止させる必要が生じる。この場合に、パチンコ機10が電源遮断状態となると、既に説明したように払出側RAM233に電断時用電力が供給されないことに伴って、賞球数の情報は消去されてしまう。その一方、球貸装置Yは独自に情報の電断時保持機能を有している(すなわち、未払出の貸球の情報はカードにて記憶保持される)ため、賞球の払出が実行されている状況では球貸装置Yから貸球要求信号を入力しないようにすることで、貸球数の情報は球貸装置Yにて保持され、パチンコ機10が電源遮断状態となったとしても貸球数の情報が消去されることはない。上記事情において、賞球の払出が実行されている状況で球貸操作が行われたとしても賞球の払出を優先させることで、賞球数の情報が実際に払い出されないまま消去されてしまうことが防止される。
<払出個数設定処理>
次に、ステップS1207の払出個数設定処理について、図27のフローチャートを参照しながら説明する。払出個数設定処理では、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264又は貸球数記憶エリア265に記憶されている情報を、遊技球の払出に際しての実行エリアである払出側RAM233の払出個数カウンタエリアに格納する処理が実行される。
払出個数設定処理では先ずステップS1701にて、球抜き動作中か否かを判定する。球抜き動作とは、タンク111に貯留されている遊技球をパチンコ機10外部に排出するための動作のことをいう。
ここで、球抜き動作の手順について説明する。先ず島設備からタンク111への補給を止める。その後、前扉枠14を開放状態とし、可変入賞装置32内に多数の遊技球を手で入れる。その後、前扉枠14を閉鎖状態とすることで、払出側MPU231から主側MPU211に賞球許可信号が出力されるのに応じて主側MPU211から払出側MPU231に賞球コマンドが出力され、払出装置114による遊技球の払出が実行される。
その後、タンク111に貯留されている遊技球が無くなることで、球無検知センサ115から球無検知信号が出力され、払出装置114による遊技球の払出が停止される。この場合に、ケースレール113に設けられた球抜き操作スイッチ116を操作することで、払出側MPU231において球抜き状態に設定される。具体的には、払出側RAM233の球抜き状態フラグ格納エリアに球抜き状態フラグを格納する。これにより、球無検知センサ115から球無検知信号が出力されている状況であっても払出装置114による遊技球の払出が再開され、球抜き操作スイッチ116よりも下流側であって払出装置114の払出モータ125の位置まで連なっている遊技球の排出が行われる。そして、当該遊技球の排出が行われることで、タンク111の球抜きが完了する。この際、球抜き状態の設定が解除される。すなわち、払出側RAM233の球抜き状態フラグ格納エリアに格納されている球抜き状態フラグが消去される。
ステップS1701では、上記球抜き状態が設定されているか否かを判定する。球抜き状態が設定されていない場合には、ステップS1702にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態については既に説明したとおりである。払出エラー状態である場合には、そのまま本払出個数設定処理を終了する。これにより、払出エラー状態において遊技球の払出が実行されることが阻止される。
払出エラー状態でない場合には、ステップS1703にてリトライ動作中か否かを判定する。リトライ動作とは、払出装置114において遊技球の球詰まりが発生した場合などにおいて回転体124を通常とは逆に回転させたりする処理である。リトライ動作中である場合にはそのまま本払出個数設定処理を終了し、リトライ動作中でない場合にはステップS1704に進む。
ステップS1704では、貸球動作中か否かを判定する。貸球動作中とは、払出側RAM233の貸球状態フラグ格納エリアに貸球状態フラグが格納されている状態、又は払出側RAM233の貸球数記憶エリア265に貸球数の情報が記憶されている状態のことをいう。貸球状態フラグが格納されている又は貸球数記憶エリア265に貸球数の情報が記憶されている場合には、ステップS1705にて、貸球数記憶エリア265の情報を払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。
一方、貸球状態フラグが格納されておらず且つ貸球数記憶エリア265に貸球数の情報が記憶されていない場合には、ステップS1706にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264の情報を払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。また、ステップS1701において、球抜き状態が設定されている場合にも、ステップS1706にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264の情報を払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。
<払出制御処理>
次に、ステップS1208の払出制御処理について、図28のフローチャートを参照しながら説明する。払出制御処理では、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266に記憶されている情報に基づいて遊技球の払出を行う処理が実行される。
払出制御処理では先ずステップS1801にて、払出状態設定処理を実行するとともに、続くステップS1802にて、駆動信号出力処理を実行する。ここで、払出状態設定処理及び駆動信号出力処理について説明する。先ず、払出状態設定処理について、図29のフローチャートを参照しながら説明する。
払出状態設定処理では、先ずステップS1901にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態については既に説明したとおりである。払出エラー状態である場合には、ステップS1907にて、払出モータ125の払出動作を停止させるべく、停止状態の設定を行った後に、本払出状態設定処理を終了する。当該停止状態の設定は、払出側RAM233の停止状態フラグ格納エリアに停止状態フラグを格納するとともに、払出側RAM233の通常状態フラグ格納エリア、低速状態フラグ格納エリア及びリトライ状態フラグ格納エリアのいずれかに対応するフラグが格納されている場合にそのフラグを消去することにより行われる。通常状態フラグ及び低速状態フラグについては後に説明する。なお、既に停止状態に設定されている場合にはその状態が維持される。
ステップS1901にて、払出エラー状態でない場合には、ステップS1902にて、RAM233の払出個数カウンタエリア266の値が「0」か否かを判定する。払出個数カウンタエリア266の値が「0」である場合には、払出を実行すべき遊技球が存在しないことを意味するため、ステップS1907にて払出モータ125を停止状態に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。
ステップS1902にて、払出個数カウンタエリア266の値が「0」でない場合には、ステップS1903にて、リトライ状態か否かを判定する。リトライ状態である場合には、払出モータ125にてリトライ専用の動作が実行されるため、それ以降の処理を実行することなく本払出状態設定処理を終了する。リトライ状態でない場合には、ステップS1904にて、払出側RAM233のいずれかの低速フラグ格納エリアに低速フラグが格納されているか否かを判定する。すなわち、満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定し、球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されているか否かを判定し、賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されているか否かを判定する。
いずれの低速フラグも格納されていない場合には、ステップS1906にて、払出モータ125の払出速度を通常周期とすべく、通常状態の設定を行った後に、本払出状態設定処理を終了する。当該通常状態の設定は、払出側RAM233の通常状態フラグ格納エリアに通常状態フラグを格納するとともに、払出側RAM233の停止状態フラグ格納エリア及び低速状態フラグ格納エリアのいずれかに対応するフラグが格納されている場合にそのフラグを消去することにより行われる。なお、既に通常周期に設定されている場合にはその状態が維持される。
一方、いずれかの低速フラグが格納されている場合には、ステップS1905にて、払出モータ125の払出速度を低速周期とすべく、低速状態の設定を行った後に、本払出状態設定処理を終了する。当該低速状態の設定は、払出側RAM233の低速状態フラグ格納エリアに低速状態フラグを格納するとともに、払出側RAM233の停止状態フラグ格納エリア及び通常状態フラグ格納エリアのいずれかに対応するフラグが格納されている場合にそのフラグを消去することにより行われる。なお、既に低速周期に設定されている場合にはその状態が維持される。
次に、駆動信号出力処理について、図30のフローチャートを参照しながら説明する。駆動信号出力処理は、上記払出状態設定処理の結果に基づいて、払出側MPU231からモータドライバに1パルスの駆動信号を出力し、払出モータ125を駆動制御する処理である。
駆動信号出力処理では、先ずステップS2001にて、停止状態か否かを判定する。停止状態である場合には、そのまま本駆動信号出力処理を終了する。停止状態でない場合には、ステップS2002にて、リトライ状態か否かを判定する。リトライ状態でない場合には、ステップS2003にて、通常状態か否かを判定する。
通常状態である場合には、ステップS2004にて1パルスの駆動信号をモータドライバに出力する。ここで、駆動信号出力処理を有する払出制御処理は、タイマ割込み処理(図22)の一部の処理として実行され、当該タイマ割込み処理は2msec周期で起動されるため、駆動信号出力処理における各処理も約2msec周期で起動される。したがって、通常状態に設定されている場合には、1パルスの駆動信号は約2msec周期で出力される。
既に説明したとおり、払出側CPU231から60パルスの駆動信号が出力されることにより回転体124が60step進んで1回転し、当該回転体124が1回転することにより2個の遊技球が下流側へ導出される。つまり、30パルスの駆動信号が出力されることで1個の遊技球が払い出される。通常状態では、上記のとおり1パルスの駆動信号が約2msec周期で出力されるため、払出装置114からは60msec周期で1個の遊技球が払い出されることとなる。
なお、通常状態における駆動信号の出力周期は2msecに限定されることはなく任意である。この場合に、例えば当該出力周期を6msecといったように2msecよりも遅い周期に設定した場合には、ステップS2003にて肯定判定した後に、通常状態用の出力タイミングか否かを判定する構成とするとよい。
ステップS2004にて、1パルスの駆動信号を出力した後は、ステップS2005に進み、払出側RAM233の駆動カウンタエリアの情報を更新する。具体的には、駆動カウンタエリアの値を1加算する。その後、本駆動信号出力処理を終了する。
ステップS2003において、通常状態でない場合には、ステップS2006にて、低速状態用の出力タイミングか否かを判定する。低速状態用の出力タイミングでない場合には、そのまま本駆動信号出力処理を終了し、低速状態用の出力タイミングである場合には、ステップS2004にて1パルスの駆動信号をモータドライバに出力する。
この場合、低速状態用の出力タイミングであるか否かは、低速状態の設定が行われた後に、当該ステップS2006にて否定判定が10回行われたか否かを判定することにより行われる。上記のとおり駆動信号出力処理における各処理は約2msec周期で起動されるため、ステップS2006では実質的に20msec経過したか否かを判定しており、1パルスの駆動信号は約20msec周期で出力される。
既に説明したとおり、払出側MPU231から30パルスの駆動信号が出力されることで1個の遊技球が払い出される。低速状態では、上記のとおり1パルスの駆動信号が約20msec周期で出力されるため、払出装置114からは600msec周期で1個の遊技球が払い出されることとなる。
ステップS2004にて、1パルスの駆動信号を出力した後は、上記のとおりステップS2005に進み、払出側RAM233の駆動カウンタエリアの情報を更新する。その後、本駆動信号出力処理を終了する。
ステップS2002において、リトライ状態である場合には、ステップS2007にてリトライ動作用処理を実行した後に、本駆動信号出力処理を終了する。リトライ動作用処理では、リトライ状態の設定後において、25step/secの速度での逆回転と、50step/secの速度での正回転とが、1secずつ交互に行われることを1セットとして、これが3セット行われるように、払出モータ125に駆動信号を出力する。
払出制御処理(図28)の説明に戻り、ステップS1802にて駆動信号出力処理を実行した後は、ステップS1803に進み、球検知処理を実行する。球検知処理では、払出側RAM233の払出特定用カウンタエリアを用いて、遊技球が払い出されたか否かを判定する。
球検知処理について、以下に具体的に説明する。払出球検知センサ126の検知部127を遊技球が通っていない場合には払出側MPU231の入力ポートには「0」の情報(払出非検知情報)が格納され、遊技球が通っている場合には払出側CPU231の入力ポートには「1」の情報(払出検知情報)が格納される。そして、1個の遊技球が検知部127を通過する場合、「0」の情報が格納された状態から「1」の情報が格納された状態に切り換わり、当該「1」の情報が格納された状態が所定期間に亘って継続した後に、「0」の情報が格納された状態に復帰する。
球検知処理では、「0」の情報が格納された状態から「1」の情報が格納された状態への切り換わりを監視する。そして、「1」の情報が格納された状態へ切り換わったことを特定し、それに基づいて1個の遊技球が払い出されたことを特定する。つまり、払出側MPU231は、払出球検知センサ126において遊技球の検知が開始されたことに基づいて、1個の遊技球が払い出されたことを特定する。
この場合に、球検知処理では、「1」の情報が格納された状態への切り換わりを確認した際に即座に1個の遊技球が払い出されたと特定するのではなく、「1」の情報が格納された状態に切り換わり、さらに「1」の情報が格納された状態を予め定められた所定の回数に亘って確認した場合に1個の遊技球が払い出されたと特定する。具体的には、「0」の情報が格納された状態が確認された後に、「1」の情報が格納された状態が連続して2回確認された場合に、1個の遊技球が払い出されたと特定する。これにより、ノイズなどにより払出側CPU231の入力ポートに払出検知情報が格納された場合、払出側MPU231において1個の遊技球が払い出されたと特定してしまうことが防止される。球検知処理にて1個の遊技球が払い出されたことを特定した場合、払出側RAM233の払出特定フラグ格納エリアに払出特定フラグを格納する。
なお、通常周期においては、「1」の情報が格納された状態から「0」の情報が格納された状態が確認されるまでに、前者の状態が連続して3回以上、具体的には10回確認される。また、低速周期においては、「1」の情報が格納された状態から「0」の情報が格納された状態が確認されるまでに、前者の状態が連続して3回以上、具体的には20回確認される。
球検知処理を実行した後は、ステップS1804にて、球検知処理の処理結果が1個の遊技球の払出を特定した旨の処理結果であるか否かを判定する。具体的には、払出側RAM233に払出特定フラグ(払出特定情報)が格納されているか否かを判定する。払出特定フラグが格納されていない場合には、そのまま本払出制御処理を終了する。
払出特定フラグが格納されている場合には、ステップS1805に進む。なお、ステップS1804にて肯定判定した場合に払出特定フラグを消去する。ステップS1805では、貸球動作中か否かを判定する。貸球動作中でない場合には、ステップS1806〜ステップS1810の賞球用減算処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。一方、貸球動作中である場合には、ステップS1811〜ステップS1812の貸球用減算処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。
賞球用減算処理では、先ずステップS1806にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264の値を1減算し、続くステップS1807にて、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266の値を1減算する。その後、ステップS1808では、賞球数記憶エリア264の値が「2」以下か否かを判定する。「2」以下でない場合には、そのまま本払出制御処理を終了する。「2」以下である場合には、ステップS1809にて、払出側RAM233の賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されているか否かを判定する。賞球低速フラグが格納されている場合にはそのまま本払出制御処理を終了し、賞球低速フラグが格納されていない場合にはステップS1810にて賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグを格納した後に本払出制御処理を終了する。
また、貸球用減算処理では、先ずステップS1811にて、払出側RAM233の貸球数記憶エリア265の値を1減算し、続くステップS1812にて、払出側RAM233の払出個数カウンタエリア266の値を1減算した後に、本払出制御処理を終了する。
<賞球許可信号設定処理>
次に、ステップS1209の賞球許可信号設定処理について、図31のフローチャートを参照しながら説明する。賞球許可信号設定処理では、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力停止及び出力開始の設定を行う処理が実行される。
賞球許可信号設定処理では、先ずステップS2101にて、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下か否かを判定する。4個以上である場合には、ステップS2107にて賞球不許可状態(出力不許可状態)の設定をした後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。
賞球不許可状態の設定について具体的には、払出側RAM233の賞球許可状態フラグ格納エリア(賞球許可情報記憶手段又は出力許可情報記憶手段)に賞球許可状態フラグ(賞球許可情報又は出力許可情報)が格納されている場合に、その賞球許可状態フラグを消去して、賞球許可信号の出力を停止する(賞球許可信号を出力するための出力手段からの賞球許可信号の出力を停止させる)。賞球許可状態フラグが消去されている状態では、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力が停止され、その状態が維持される。
なお、本パチンコ機10では、賞球許可信号が出力されている状態がHIレベル信号の出力状態であるため、賞球許可信号の出力が停止されている状態はLOWレベル信号の出力状態となる。但し、賞球許可信号が出力されている状態がLOWレベル信号の出力状態とした場合には、賞球許可信号の出力が停止されている状態をHIレベル信号の出力状態としてもよい。さらには、賞球許可信号の出力が停止されている状態を、当該信号経路について何ら信号が出力されていない状態としてもよい。
一方、ステップS2101にて、賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下である場合には、ステップS2102にて、球抜き動作中か否かを判定する。球抜き動作中でない場合には、ステップS2103にて、払出エラー状態か否かを判定する。
払出エラー状態である場合には、ステップS2107にて賞球不許可状態を設定した後に本賞球許可信号設定処理を終了する。このように払出エラー状態である場合に賞球不許可状態を設定することで、払出エラー状態では賞球許可信号の出力が停止され、賞球コマンドの出力が禁止される。
既に説明したように、払出エラー状態では遊技球の払出が停止される。また、本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出側RAM233に記憶されている情報は消去されてしまう。したがって、払出エラー状態において賞球コマンドが出力されると、払出エラー状態が継続されたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。つまり、払出エラー状態において賞球コマンドが出力される構成では、それだけ賞球コマンドに対応した賞球が払い出されることなく消去されてしまう可能性が高くなる。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。
ステップS2103において、払出エラー状態でない場合には、ステップS2104にて、払出側RAM233の満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS2105では、払出側RAM233の球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されているか否かを判定する。
満タン低速フラグ又は球無低速フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS2107にて賞球不許可状態を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。このように満タン低速状態又は球無低速状態である場合に賞球不許可状態を設定することで、満タン低速状態又は球無低速状態では賞球許可信号の出力が停止され、賞球コマンドの出力が禁止される。
既に説明したように、満タン低速状態又は球無低速状態は、その後、払出エラー状態となる可能性が高い場合にその前段階として設定される状態である。そして、払出エラー状態では遊技球の払出が停止される。また、本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出側RAM233に記憶されている情報は消去されてしまう。したがって、払出エラー状態において賞球コマンドが出力されると、払出エラー状態が継続されたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。つまり、払出エラー状態において賞球コマンドが出力される構成では、それだけ賞球コマンドに対応した賞球が払い出されることなく消去されてしまう可能性が高くなる。これに対して、本構成のように、払出エラー状態となる可能性が高いと判定した段階で、賞球許可信号の出力を停止して賞球コマンドの出力を禁止することで、払出エラー状態となる前に賞球コマンドの出力を禁止することができ、上記のような不都合が発生する可能性が飛躍的に低減される。
ステップS2104にて満タン低速フラグが格納されておらず、さらにはステップS2105にて球無低速フラグが格納されていない場合には、ステップS2106にて賞球許可状態(出力許可状態)を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。また、ステップS2103にて球抜き動作中である場合にも、ステップS2106にて賞球許可状態を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。
賞球許可状態の設定について具体的には、払出側RAM233の賞球許可状態フラグ格納エリアに賞球許可状態フラグが格納されていない場合に、賞球許可状態フラグを格納し、賞球許可信号の出力を開始する(賞球許可信号を出力するための出力手段からの賞球許可信号の出力を開始させる)。賞球許可状態フラグが格納されている状態では、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力が開始され、その状態が維持される。つまり、球抜き動作中でない状態においては、払出側RAM233の賞球数記憶エリア264に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下であり、さらには払出エラー状態、満タン低速状態及び球無低速状態でない場合に、賞球許可信号の出力が継続される。
<賞球許可信号に対する賞球コマンドの出力の様子について>
次に、賞球許可信号に対する賞球コマンドの出力の様子について、図32のタイムチャートを参照して説明する。なお、図32を用いた説明においては、説明の便宜上、複数種ある入賞のうち4個賞球に対応した入賞のみが発生するものとする。
先ず、単発的に入賞が発生する場合について説明する。
払出側MPU231から主側MPU211に既に賞球許可信号が出力されている状況において、t1のタイミングで入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えること(不許可基準数に達すること)により賞球許可信号の出力が停止されるとともに、遊技球の払出が開始される。
その後、t2のタイミングで1個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。その後、t3のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となる。これにより、払出モータ125の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。その後、t4のタイミングまでに2個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は0個となる。これにより、払出モータ125への駆動信号の出力が停止され、賞球の払出が終了される。
次に、単発的な入賞が発生した後に、払出モータ125の払出速度が低速周期である状況で再度、入賞が発生する場合について説明する。
払出側MPU231から主側MPU211に既に賞球許可信号が出力されている状況において、t5のタイミングで入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えることにより賞球許可信号の出力が停止されるとともに、遊技球の払出が開始される。
その後、t6のタイミングで1個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。その後、t7のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となる。これにより、払出モータ125の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。
その後、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が0個とならない範囲内であるt8のタイミングで、新たな入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えることにより賞球許可信号の出力が停止されるとともに、切換基準数を超えることにより払出モータ125の払出速度が低速周期から通常周期に復帰される。
次に、入賞が連続して発生した場合について説明する。
上記のようにt8のタイミングで、新たな入賞が発生することにより、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は、それまで記憶されていた賞球数に対して新たな賞球数が加算されることで5個となる。
その後、t9のタイミングまでに2個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。この場合に、t9のタイミングまでに入賞が連続して発生しており、主側RAM213には4個賞球の情報が複数記憶されている。その後、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングであるt10のタイミングで、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。また、t11のタイミングで払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となり、賞球許可信号の出力が開始される。その後、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングであるt12のタイミングで、主側MPU211から払出側MPU231に4個賞球コマンドが出力される。
つまり、主側RAM213に既に賞球情報が記憶されている状況において、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となり賞球許可信号の出力が開始された場合には、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングで主側MPU211から払出側MPU231に賞球コマンドが出力され、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数を超えることとなる。
これは以下の理由による。払出モータ125の通常周期による払出速度は60msec間隔で1個の遊技球の払出が実行されるように設定されている。これに対して、払出側MPU231において、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となり賞球許可信号の出力が開始されるまでに要する時間は、タイマ割込み処理の実行時間の範囲内である2msecの範囲内である。また、主側MPU211において、賞球許可信号の入力に基づいて賞球コマンドの出力が許可されていると特定される賞球コマンドが出力されるまでに要する時間は20msec〜24msecの範囲内である。また、払出側MPU231において、主側MPU211から賞球コマンドを入力し、その賞球コマンドに対応した賞球数の情報が払出側RAM233に加算されるまでに要する時間は、タイマ割込み処理の実行時間の範囲内である2msecの範囲内である。その他、賞球許可信号及び賞球コマンドの伝送に要する時間や処理時間の誤差等を含めても、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となってから、その後の賞球コマンドの入力により払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数を超えるまでに要する時間は最大でも40msec程度である。これは1個の遊技球の払出が実行されるまでに要する時間である60msecよりも短い。すなわち、主側RAM213に既に賞球情報が記憶されている状況において賞球許可信号の出力が開始された場合には、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングで賞球コマンドが出力され払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が許可基準数を超えるように、主側MPU211及び払出側MPU231における賞球に関する処理時間が設定されている。
また、以上のような構成において、払出側MPU231から主側MPU211への賞球許可信号の出力開始契機となる許可基準数は、払出モータ125の払出速度を通常周期から低速周期へ切り換える契機となる切換基準数よりも、遊技球1個分多く設定されている。これにより、主側RAM213に賞球情報が複数記憶されている状況においては、それら賞球情報に対応した各賞球コマンドの出力が全て実行されるまでは、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報が切換基準数に達することはない。よって、払出側MPU231から主側MPU211へ賞球許可信号を出力するとともに、それに対して主側MPU211から払出側MPU231へ1回の入賞に対応した1個の賞球コマンドのみを出力するようにした構成において、主側RAM213に賞球情報が記憶されているにも関わらず払出モータ125の払出速度が通常周期から低速周期に切り換えられてしまうことを防止することができ、遊技球の払出を円滑に行うことができる。
図32の説明に戻り、その後、t13のタイミングで払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となり、賞球許可信号の出力が開始される。また、t14のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となり、払出モータ125の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。その後、t15のタイミングで払出側RAM233に記憶されている賞球数の情報は0個となり、払出モータ125への駆動信号の出力が停止され、賞球の払出が終了される。
<満タン状態で電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて>
次に、下皿82が満タン状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて、図33のタイムチャートを参照して説明する。
先ず、主側MPU211において立ち上げ処理後の待機処理がある場合について、図33(a)を参照して説明する。
t1のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211及び払出側MPU231のそれぞれにおいて立ち上げ処理が開始される。その後、t2のタイミングで、払出側MPU231の立ち上げ処理が完了する。この場合、下皿82が満タン状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されているため、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していることが払出側MPU231において特定される。但し、この時点では、満タン検知信号を入力していることを払出側MPU231において特定した段階であるため、賞球許可信号の出力が開始される。
その後、t3のタイミングで、主側MPU211の立ち上げ処理が完了する。但し、主側MPU211ではこの時点から1sec経過するまで各種処理の実行を開始することなく待機する。その後、主側MPU211において各種処理の実行を開始することなく待機している状況であるt4のタイミングで、払出側MPU231において満タン検知信号の出力継続期間が第2満タン特定基準期間である約0.8secに達することで、賞球許可信号の出力が停止される。
その後、t5のタイミングで、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過することで、各種処理の実行を開始する。但し、既に賞球許可信号の出力が停止されているため、主側RAM213に賞球情報が記憶されていたとしても、賞球コマンドの出力は行われず、払出側RAM233への賞球数の情報の記憶は行われない。その後、t6のタイミングで、電源が遮断状態となる。
上記のとおり、本構成によれば、下皿82が満タン状態で電源が投入され、その後の比較的早い段階で電源が遮断されたとしても、賞球コマンドの出力は行われないため、実際に遊技球の払出が実行されないまま賞球情報が消去されてしまうという不都合が発生することが防止される。これは、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過するまで各種処理の実行を開始することなく待機するようにしたことによる。なお、下皿82が満タン状態で電源が投入され、その後の比較的早い段階で電源が遮断される場合や、それが繰り返される場合としては、電源スイッチのON・OFF操作が繰り返し行われる場合や、ノイズにより上記状態が擬似的に発生する場合が考えられる。また、本構成においては、主側MPU211において立ち上げ処理が完了するタイミングを払出側MPU231において立ち上げ処理が開始するタイミングと同一としてもよく、0.2secの範囲内において主側MPU211の方が早く完了する構成としてもよい。
ここで、主側MPU211において上記のような待機処理がない場合について、図33(b)を参照して説明する。
t11のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211及び払出側MPU231のそれぞれにおいて立ち上げ処理が開始される。その後、t12のタイミングで、払出側MPU231の立ち上げ処理が完了する。この場合、下皿82が満タン状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されているため、満タン検知センサ88から満タン検知信号を入力していることが払出側MPU231において特定される。但し、この時点では、満タン検知信号を入力していることを払出側MPU231において特定した段階であるため、賞球許可信号の出力が開始される。
その後、t13のタイミングで、主側MPU211の立ち上げ処理が完了する。この場合、主側MPU211において各種処理の実行が開始される。そして、主側RAM213に賞球情報が記憶されている状況において払出側MPU231から賞球許可信号を入力していることにより、t14のタイミングで、主側MPU211から払出側MPU231に賞球コマンドが出力される。これにより、払出側MPU231では、賞球許可信号の出力を停止するとともに、払出側RAM233に賞球数の情報を記憶させる。
その後、t15のタイミングで、払出側RAM233に賞球数の情報が記憶されている状況において電源が遮断状態となる。そうすると、払出側RAM233には電断時用電力が供給されないため、払出側RAM233に記憶されていた賞球数の情報は実際に遊技球の払出が実行されることなく消去される。そして、t16のタイミングからt17のタイミングのように、t11のタイミングからt15のタイミングの動作が繰り返されることにより、主側RAM213に記憶されていた賞球情報は実際に遊技球の払出が実行されることなく繰り返し消去されていく。この場合、遊技者に多大な不利益を及ぼしてしまう。これに対して、本パチンコ機10では、既に説明したように図33(a)に示す態様であるため、上記のような不都合が発生することが防止されている。
なお、実際に遊技球の払出が実行されることなく賞球情報が繰り返し消去されていってしまうことは、タンク111が球無状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始された場合においても同様に懸念される。これに対して、本パチンコ機10では、主側MPU211において各種処理の実行を開始することなく待機している状況で、払出側MPU231において球無検知信号の出力継続期間が第2球無特定基準期間である約1.0secに達することで、賞球許可信号の出力が停止される。よって、上記のような不都合の発生が防止される。
<前扉枠14が開放状態で電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて>
次に、前扉枠14が開放状態で外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始された場合の賞球情報の取り扱いについて、図34のタイムチャートを参照して説明する。
先ず、主側MPU211において、払出側MPU231の賞球許可信号を入力してから賞球コマンドの出力が許可されていると特定するまでの期間(出力許可基準期間)が、前扉枠開放スイッチ22の前扉枠開放信号を入力してから前扉枠14が開放状態であると特定するまでの期間(開放特定基準期間)よりも長い場合について、図34(a)を参照して説明する。
t1のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211において立ち上げ処理が開始されるとともに立ち上げ処理後には待機処理が実行される。その後、t2のタイミングで、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過することで、各種処理の実行を開始する。この場合、払出側MPU231から既に賞球許可信号が出力されているため、出力許可基準期間の計測が開始される。また、今回は前扉枠14が開放状態で電源投入がなされているため、開放特定基準期間の計測が開始される。
その後、t3のタイミングで、出力許可基準期間及び開放特定基準期間のうち、開放特定基準期間の計測が完了することで、主側MPU211において賞球コマンドの出力不可状態となる。その後、t4のタイミングで、出力許可基準期間の計測が完了する。但し、既にt3のタイミングにおいて賞球コマンドの出力不可状態となっているため、主側RAM213に賞球情報が記憶されていたとしても賞球コマンドの出力は行われず、払出側RAM233への賞球数の情報の記憶は行われない。その後、t5のタイミングで、電源が遮断状態となる。
上記のとおり、本構成によれば、前扉枠14が開放状態で電源が投入され、その後の比較的早い段階で電源が遮断されたとしても、賞球コマンドの出力は行われないため、実際に遊技球の払出が実行されないまま賞球情報が消去されてしまうという不都合が発生することが防止される。これは、出力許可基準期間を開放特定基準期間よりも長く設定したことによる。
ここで、主側MPU211において、出力許可基準期間が開放特定基準期間よりも短い場合について、図34(b)を参照して説明する。
t11のタイミングで、外部電源からパチンコ機10へ電力供給が開始されることで、主側MPU211において立ち上げ処理が開始されるとともに立ち上げ処理後には待機処理が実行される。その後、t12のタイミングで、主側MPU211において立ち上げ処理後から1sec経過することで、各種処理の実行が開始される。この場合、払出側MPU231から既に賞球許可信号が出力されているため、出力許可基準期間の計測が開始される。また、今回は前扉枠14が開放状態で電源投入がなされているため、開放特定基準期間の計測が開始される。
その後、t13のタイミングで、出力許可基準期間及び開放特定基準期間のうち、出力許可基準期間の計測が完了することで、主側MPU211から払出側MPU231へ賞球コマンドが出力される。その後、t14のタイミングで、開放特定基準期間の計測が完了することで、主側MPU211において賞球コマンドの出力不可状態となる。また、この場合、主側MPU211から払出側MPU231へ前扉枠開放コマンドが出力されることで、払出側MPU231において遊技球の払出不可状態となる。したがって、t13のタイミングで出力された賞球コマンドに基づく遊技球の払出は停止され、払出側RAM233において賞球数の情報が記憶された状態が維持される。
その後、t15のタイミングで、払出側RAM233に賞球数の情報が記憶されている状況において電源が遮断状態となる。そうすると、払出側RAM233には電断時用電力が供給されないため、払出側RAM233に記憶されていた賞球数の情報は実際に遊技球の払出が実行されることなく消去される。そして、t16のタイミングからt17のタイミングのように、t11のタイミングからt15のタイミングの動作が繰り返されることにより、主側RAM213に記憶されていた賞球情報は払出側RAM233に賞球数の情報として記憶され、実際に遊技球の払出が実行されることなく繰り返し消去されていく。この場合、遊技者に多大な不利益を及ぼしてしまう。これに対して、本パチンコ機10では、既に説明したように図34(a)に示す態様であるため、上記のような不都合が発生することが防止されている。
<払出装置114の下流側の通路構成について>
次に、払出装置114の下流側の特徴的な通路構成について詳細に説明する。図35(a)は払出装置114の下流側の通路構成を説明するための縦断面図、図35(b)は払出装置114に設けられた払出球検知センサ126の構成を示す平面図、図35(c)は払出装置114の下流側の通路におけるA―A線部分の断面図、図35(d)は払出装置114の下流側の通路におけるB―B線部分の断面図である。なお、払出球検知センサ126、払出装置114の下流側の通路におけるA―A線部分、払出装置114の下流側の通路におけるB―B線部分は鉛直方向にこの順で並んでいるが、図35(b)〜(d)ではそれぞれの左右方向の相対位置を示している。
既に説明したように、払出装置114は払出通路122を備えているとともに、回転体124よりも下流側の位置にて払出通路122を通過する遊技球を検知する払出球検知センサ126を備えている。払出球検知センサ126は、既に説明したように、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、遊技球の通過を検知するための検知部127を備えている。
検知部127には、図35(a)に示すように、払出球検知センサ126の厚み方向に貫通した貫通孔127aが形成されている。貫通孔127aは、貫通方向に対して直交する方向の断面が円形状となるように形成されている。また、貫通孔127aは、その全体に亘って同一方向に延びるように形成されているとともに、その全体に亘って孔の直径が同一又は略同一となっている。当該孔の直径R1は、遊技球の直径と略同一、より詳細には、遊技球の直径よりも若干大きい程度となっている。
具体的には、遊技球の直径が約11mmであるのに対して、貫通孔127aの直径R1は、約12mmとなっている。但し、これに限定されることはなく、貫通孔127aの直径R1は、球詰まりを生じさせないようにさせつつ1個の遊技球を正確に検知するという観点から、約11.1mm〜約20.0mmの範囲のいずれかとしてもよく、好ましくは約12mm〜約15mmの範囲のいずれかである。また、貫通孔127aの断面は円形状に限定されることはなく多角形状であってもよく、この場合、当該断面が遊技球において中心を通る断面の全体を含む大きさであればよい。また、球詰まりを生じさせないようにさせつつ1個の遊技球を正確に検知するという観点から、上記断面の大きさが遊技球の断面よりも約5%〜約80%の範囲のいずれかの割合で大きい構成としてもよく、好ましくは約10%〜約30%の範囲のいずれかの割合で大きい構成としてもよい。
検知部127には、貫通孔127aの外周側に沿うようにして検出コイル126aが内蔵されており、さらには払出球検知センサ126には検出コイルと電気的に接続された発振用コンデンサ、発振回路、検波回路、コンパレータ回路及び出力回路を有するセンサ基板126bが内蔵されている。これにより、貫通孔127a内を遊技球が通過している場合には、検出コイルを磁束が貫くこととなってその旨の信号が払出制御装置141に出力され、既に説明したように、遊技球が払い出されたことが当該払出制御装置141のMPU231にて特定される。
払出球検知センサ126は、払出装置114のハウジング121に形成されたセンサ設置部121aに設置されている。当該センサ設置部121aに払出球検知センサ126が設置されていることにより、検知部127が、払出通路122の途中位置であって回転体124が収容された収容部123よりも下流側に配置されている。この場合に、払出通路122において検知部127よりも下流側の下流側払出領域122aは、鉛直方向(遊技機上下方向)に延びており、通路方向に対して直交する方向の断面が円形となっている。そして、下流側払出領域122aの直径(すなわち、内径)は、払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径と同一となっている。なお、下流側払出領域122aの直径を、払出球検知センサ126の貫通孔127aよりも若干大きくしてもよく、若干小さくしてもよいが、球詰まりの発生を抑制する等といった観点からは、下流側の大きさが上流側の大きさ以上であることが好ましく、より好ましくは下流側の大きさと上流側の大きさとを同一とすることで、貫通孔127aと下流側払出領域122aとの間に段差が生じないようにすることが好ましい。
払出球検知センサ126は、下流側払出領域122aの中心軸線に対して貫通孔127aの中心軸線が同一直線上となるようにしてセンサ設置部121aに設置されており、貫通孔127aと下流側払出領域122aとが連通するとともに両者によって形成される通路領域は全体に亘って通路方向が同一(具体的には、鉛直方向)となっているとともに全体に亘って通路幅が同一となっている。これにより、回転体124により下流側へ導出された遊技球が円滑に流れることとなり、払出球検知センサ126における遊技球の検知を良好に行うことができる。
払出装置114の下方であって遊技球分配部128の上方には、図35(a)に示すように、通路形成ユニット270が設けられている。通路形成ユニット270は、合成樹脂製のハウジング271を備えており、当該ハウジング271内には通路壁272により区画されて連通用通路273が形成されている。この場合、連通用通路273は通路壁272によって周囲が区画されることにより筒状(又は、管状)をなしている。より詳細には、連通用通路273は一部が円筒状をなしており、一部が角筒状をなしている。なお、全体が円筒状をなしていてもよく、全体が角筒状をなしていてもよい。
連通用通路273によって払出装置114の払出通路122と遊技球分配部128が連通されている。そして、遊技球分配部128において並設(詳細には、横方向に並設)された内側開口部128a及び外側開口部128bのうち、基本的に内側開口部128aに向けて連通用通路273から遊技球が排出される。内側開口部128aは上皿81に通じており、内側開口部128aへ排出された遊技球は上皿81に排出される。一方、上皿81が満タン状態となった場合には、内側開口部128aから遊技球が溢れた状態となり、この状態においては外側開口部128bに向けて連通用通路273から遊技球が排出される。外側開口部128bは下皿82に通じており、外側開口部128bへ排出された遊技球は下皿82に排出される。
ここで、上記連通用通路273についてより詳細に説明する。
連通用通路273は、基本的に鉛直方向に延びており、払出装置114の払出通路122から続く上流側の方が、遊技球分配部128へと続く下流側よりも通路幅が狭くなるように形成されている。つまり、連通用通路273は、払出装置114の払出通路122から連続し相対的に通路幅が狭くなった幅狭領域274と、当該幅狭領域274及び遊技球分配部128に連続し相対的に通路幅が広くなった幅広領域275と、を備えている。
幅狭領域274は、図35(c)に示すように、通路壁272によって区画されることで形成されており、通路方向に対して直交する方向の断面が円形となっている。なお、幅狭領域274は、通路壁272により区画された範囲内の領域である。また、幅狭領域274を区画形成するための通路壁272はその断面が円形状である必要はなく、多角形状であってもよい。
幅狭領域274は、通路方向の全体に亘って通路孔の直径(すなわち、内径)が同一又は略同一となっている。当該通路孔の直径R2は、遊技球の直径と略同一、より詳細には、遊技球の直径よりも若干大きい程度となっている。また、当該通路孔の直径R2は、払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径R1及び払出通路122における下流側払出領域122aの直径と同一となっている。
具体的には、遊技球の直径が約11mmであるのに対して、幅狭領域274の直径R2は、約12mmとなっている。但し、これに限定されることはなく、球詰まりを生じさせないようにさせつつ通路幅を狭くするという観点から、約11.1mm〜約20.0mmの範囲のいずれかとしてもよく、好ましくは約12mm〜約15mmの範囲のいずれかである。また、幅狭領域274の断面は円形状に限定されることはなく多角形状であってもよく、この場合、当該断面が遊技球において中心を通る断面の全体を含む大きさであればよい。また、球詰まりを生じさせないようにさせつつ通路幅を狭くするという観点から、上記断面の大きさが遊技球の断面よりも約5%〜約80%の範囲のいずれかの割合で大きい構成としてもよく、好ましくは約10%〜約30%の範囲のいずれかの割合で大きい構成としてもよい。
幅狭領域274は、下流側払出領域122aとの連通箇所である入口部分の位置に対して、幅広領域275との連通箇所である出口部分の位置が横方向、詳細には、左右方向にずれた位置となるように、迂回させて形成されている。換言すれば、上記出口部分の位置が、払出球検知センサ126の貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲から外れた位置となるように、迂回させて形成されている。
具体的には、幅狭領域274は、図35(a)に示すように、鉛直方向に延びる上流側鉛直領域(上流側上下方向領域)281と、当該上流側鉛直領域281に対して下流側において連続しパチンコ機10内側に向けて下り傾斜した傾斜領域282と、当該傾斜領域282に対して下流側において連続し鉛直方向に延びる下流側鉛直領域(下流側上下方向領域)283と、を備えている。
上流側鉛直領域281は、その中心軸線が払出球検知センサ126の貫通孔127a及び下流側払出領域122aの中心軸線と同一直線上となるように形成されている。そして、上流側鉛直領域281と下流側払出領域122aとが連通するとともに両者によって形成される通路領域は、全体に亘って通路方向が同一(具体的には、鉛直方向)となっているとともに全体に亘って通路幅が同一となっている。つまり、上流側鉛直領域281と下流側払出領域122aとの間には段差が形成されていない。これにより、下流側払出領域122aから上流側鉛直領域281への遊技球の導入が通路壁などでの引っ掛かりが生じることなく円滑に行われる。
傾斜領域282は、通路壁272によって通路底部284と通路天井部285とが少なくとも構成されることによって形成されており、上流側鉛直領域281から下流側鉛直領域283に向けて下り傾斜となっている。つまり、傾斜領域282は、その通路方向が払出球検知センサ126の貫通孔127aを含めた上流側の通路領域の通路方向とは異なっている。当該傾斜領域282を通過する遊技球は、通路底部284上に載った状態で下流側鉛直領域283に向けて下ることとなる。当該通路底部284には、その外壁面側に金属板286が固定されており、当該通路底部284が補強されている。なお、金属板286は、通路底部284に沿って湾曲させて形成されているが、これに限定されることはなく、平板状に形成されていてもよい。
傾斜領域282は、下流側鉛直領域283の中心軸線が、上流側鉛直領域281の中心軸線、すなわち払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線と同一直線上に配置されないようにその通路長が設定されている。より詳細には、図35(b)及び図35(c)に示すように、傾斜領域282は、下流側鉛直領域283の中心軸線と払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線との間の距離L1が両者の孔の半径よりも大きくなるように、その通路長が設定されている。さらに言うと、傾斜領域282は、下流側鉛直領域283における払出球検知センサ126の貫通孔127a側の端部と払出球検知センサ126の貫通孔127aにおける下流側鉛直領域283側の端部とが横方向に所定の距離L2だけ離れるように、その通路長が設定されている。これにより、払出球検知センサ126の貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲に、下流側鉛直領域283はその全体が重ならない。換言すれば、払出球検知センサ126の貫通孔127aの通路方向下流側への投影範囲内に下流側鉛直領域283はその全体が含まれていない。
上記のように幅狭領域274が形成されていることにより、払出球検知センサ126の貫通孔127aから下流側払出領域122aへと続く同一の通路幅の通路領域は、幅狭領域274の最下流部まで連続している。また、この通路領域は、1個の遊技球は通過可能だが、複数の遊技球が同時に同一箇所を通過することが不可となる通路幅、詳細には遊技球の直径よりも若干大きい通路幅となっている。これにより、通路領域内における球詰まりの発生が抑えられている。また、この通路領域は、通路方向の断面が円形となっており、断面が多角形状である構成に比べ、通過する遊技球との間に生じる隙間が抑えられている。また、この通路領域は、貫通孔127aの部分を入口部分とするとともに下流側鉛直領域283の最下流部を出口部分とすると、入口部分の中心軸線と出口部分の中心軸線とが同一直線上とならないようにずれた位置に設定されている。
上記幅狭領域274の下流側には、上記のとおり幅広領域275が形成されている。幅広領域275は通路壁272により区画された範囲内の領域である。幅広領域275は、図35(d)に示すように、断面が長方形状をなしており、各辺の長さ寸法X1,X2は幅狭領域274の通路孔の直径R2よりも大きく、さらにはいずれの辺方向にも複数の遊技球が並ぶことが可能なように設定されている。なお、幅広領域275は、長方形状であることに限定されることはなく、正方形状であってもよく、四角形状以外の多角形状であってもよく、円形状であってもよい。
幅広領域275は、既に説明したように、遊技球分配部128と連続している。これにより、幅狭領域274から幅広領域275へと導入された遊技球は、さらに遊技球分配部128へ導入されることとなる。この場合に、幅狭領域274の最下流部(出口部分)の位置は、幅広領域275を挟んで、遊技球分配部128における上皿81へと続く内側開口部128aの鉛直上方の位置となっている。これにより、払出装置114から払い出された遊技球は基本的に上皿81に排出されることとなる。また、幅広領域275は、少なくとも遊技球分配部128において各開口部128a,128bが並設された方向に複数の遊技球が並ぶことが可能な大きさに形成されていることにより、上皿81が満タン状態となった場合における外側開口部128b、すなわち下皿82への遊技球の導出が球詰まりを生じさせることなく行われることとなる。
幅広領域275は、払出球検知センサ126の貫通孔127aを基準として横方向にずらした位置に形成されている。換言すれば、幅広領域275は、払出球検知センサ126の貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲から外れた位置となるように形成されている。
詳細には、幅広領域275における払出球検知センサ126の貫通孔127a側の端部と払出球検知センサ126の貫通孔127aにおける幅広領域275側の端部とが横方向に所定の距離L3だけ離れるように、幅広領域275が形成されている。これにより、払出球検知センサ126の貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲に、幅広領域275はその全体が重なっていない。換言すれば、払出球検知センサ126の貫通孔127aの通路方向下流側への投影範囲内に幅広領域275はその全体が含まれていない。
次に、上記のように連通用通路273が形成されたことによる不正の抑制効果について説明する。なお、以下の説明では、従来のパチンコ機と比較しながら、本パチンコ機10における上記不正の抑制効果について説明する。図36(a)は従来のパチンコ機における払出装置291の下流側部分の構成を示す縦断面図、図36(b)は本パチンコ機10における払出装置114の下流側部分の構成を示す縦断面図である。
従来のパチンコ機においては、回転体の払出動作が行われる際に又は行われている状況で、払出球検知センサ292にて遊技球の検知を正常に行えないようにすることで、実際に払い出すべき遊技球よりも多くの遊技球の払い出しを行わせる不正行為が想定される。
当該不正行為について具体的には、図36(a)に示すように、下皿側などから払出球検知センサ292の下流側に不正具293が配置される。不正具293には、遊技球が通過可能な通過部としての貫通孔294が形成されており、さらにその周囲に沿うようにしてコイルが内蔵されているとともに、当該コイルへ電流を供給するための回路が内蔵されている。この場合、不正具293は、その貫通孔294の中心軸線が払出球検知センサ292の貫通孔292aの中心軸線と同一直線上に位置するようにし、さらに貫通孔294が払出球検知センサ292の貫通孔292aから通じる通路領域と連通されるように配置される。
この状態で、不正具293のコイルに電流を流し磁束を生じさせることで、当該磁束が払出球検知センサ292において貫通孔292aに沿って設けられたコイル内を軸線方向に貫くこととなる。この場合、例えば、貫通孔292aを遊技球が通過途中であることに対応した磁束を不正具293から生じさせることにより、貫通孔292aを遊技球が通過し終えているにも関わらず貫通孔292aの通過途中であると払出球検知センサ292に誤検知させることが可能となる。また、例えば、貫通孔292aに遊技球が入り込んでいないことに対応した磁束を不正具293から生じさせることにより、貫通孔292aを遊技球が通過しているにも関わらず貫通孔292aを遊技球が通っていないと払出球検知センサ292が誤検知することとなる。
払出側MPUは払出球検知センサ292にて遊技球の検知を開始したタイミングの検知信号の変化を確認することに基づいて、1個の遊技球が払い出されたと特定する構成であるため、払出球検知センサ292の検知状態が不正具293により上記のように設定されてしまうと、実際に貫通孔292aを多数の遊技球が通過しているにも関わらず払出側MPUではそれら多数の遊技球の通過を把握することができず、回転体の払出動作が継続されることが懸念され、継続されるとすると、この状態はリトライ動作やその後の払出装置異常状態が実行されるまで継続されることが懸念される。この場合、リトライ動作などが実行されるまでの期間が長く設定されている構成においては、それまでに多数の遊技球が払い出されてしまう。
さらには、不正具293として、払出球検知センサ292にて遊技球の検知を正確に行えないようにする動作状態と検知を正確に行えるようにする非動作状態とに切換設定可能なものが用いられることが想定される。この場合、上記リトライ動作などが実行される前のタイミングで不正具293を動作状態から非動作状態に切り換えることで、リトライ動作などが実行されない。そうすると、不正具293が動作状態から非動作状態に切り換えられたタイミングで払出側MPUでは1個の遊技球の払い出しを特定することが可能であるが、リトライ動作などが実行される直前まで払出球検知センサ292にて遊技球の検知を正常に行えない状態とする行為が実際の遊技球の払出個数分繰り返し行われることとなってしまう。
これに対して、図36(b)に示すように、本パチンコ機10では、払出装置114の下流側の連通用通路273において上述した幅狭領域274が形成されていることにより、遊技球が通過可能な貫通孔294を有する不正具293を払出球検知センサ126の貫通孔127aから続く通路領域に連通させながら配置しようとしても、幅狭領域274の出口部分によってそれよりも上流側への配置が実質的に不可となる。この場合、既に説明したとおり、払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線と幅狭領域274の出口部分の中心軸線とが同一直線上となっていないため、払出球検知センサ126のコイルの中心軸線と不正具293のコイルの中心軸線とが同一直線上に配置されることはなく、不正具293から磁束を生じさせたとしても、それが払出球検知センサ126のコイル内を貫通しづらくなる。特に、払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側(鉛直方向)への投影範囲内に幅狭領域274の出口部分はその全体が含まれていないため、不正具293からの磁束が、払出球検知センサ126のコイル内をより貫通しづらくなる。
さらにまた、図36(b)に示すように、本パチンコ機10では、幅広領域275は、払出球検知センサ126の貫通孔127aに対して当該貫通孔127aの軸線方向に並ばないように形成されているため、幅広領域275内において、払出球検知センサ126のコイルの中心軸線と不正具293のコイルの中心軸線とが同一直線上となるように当該不正具293を配置しようとしてもそれが不可となり、幅広領域275に不正具293を配置してそこから磁束を生じさせたとしても、それが払出球検知センサ126のコイル内を貫通しづらくなる。特に、払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側への投影範囲内に幅広領域275はその全体が含まれていないため、不正具293からの磁束が、払出球検知センサ126のコイル内をより貫通しづらくなる。
以上より、上皿81又は下皿82から不正具293をパチンコ機10内部に挿入し、その挿入した不正具293を用いて払出球検知センサ126に誤検知させて遊技球を不正に得ようとしてもそれを阻止することが可能となる。
また、図36(b)に示すように、幅狭領域274における傾斜領域282の通路底部284に対してはその外壁面側に磁気シールド板としての機能を果たす金属板286が固定されている。したがって、上皿81又は下皿82からではなくパチンコ機10の背面側から払出球検知センサ126の軸線方向下流側側に不正具293を配置して当該不正具293から磁束を生じさせたとしても、当該磁束は金属板286によって遮られ、当該磁束が払出球検知センサ126のコイル内を貫通することが阻止される。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、連通用通路の幅狭領域の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態における連通用通路301の構成について図37を用いて説明する。図37は本実施の形態における払出装置114の下流側部分の構成を示す縦断面図である。
図37に示すように、連通用通路301は、上記第1の実施の形態における連通用通路273と同様に、基本的に鉛直方向に延びており、払出装置114の払出通路122から続く上流側の方が、遊技球分配部128へと続く下流側よりも通路幅が狭くなるように形成されている。つまり、連通用通路301は、払出装置114の払出通路122から連続し相対的に通路幅が狭くなった幅狭領域302と、当該幅狭領域302及び遊技球分配部128に連続し相対的に通路幅が広くなった幅広領域303と、を備えている。
また、幅狭領域302は、その出口部分(最下流部分)における中心軸線が払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線と同一直線上に配置されないように形成されている。詳細には、払出球検知センサ126の貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲に、幅狭領域302の出口部分はその全体が重なっていない。換言すれば、払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側への投影範囲内に幅狭領域302の出口部分はその全体が含まれていない。また、幅広領域303は、払出球検知センサ126の貫通孔127aを基準として横方向にずらした位置に形成されている。詳細には、払出球検知センサ126の貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲に、幅広領域303はその全体が重なっていない。換言すれば、払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側への投影範囲内に幅広領域303はその全体が含まれていない。
上記第1の実施の形態における幅狭領域274の通路孔の直径は、払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径及び下流側払出領域122aの直径と同一となるように設定されていたが、本実施の形態における幅狭領域302の通路孔の直径は、払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径及び下流側払出領域122aの直径よりも大きく設定されている。
但し、幅狭領域302の出口部分には、それよりも上流側の内周面よりも中央側に突出した環状の縮径部304が一体形成されている。この場合、縮径部304は、上流側から下流側に向けて除々に縮径されるようにテーパ状に形成されている。当該縮径部304が形成されていることにより、幅狭領域302の通路孔の直径は出口部分において縮径されている。なお、縮径部304が一体形成されている構成に限定されることはなく、別体で設けられた構成としてもよい。
この出口部分における直径R3は、1個の遊技球は通過可能だが、複数の遊技球が同時に通過することが不可となる寸法、詳細には遊技球の直径よりも若干大きく設定されている。また、この出口部分における直径R3は、払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径R1と同一となっている。
具体的には、遊技球の直径が約11mmであるのに対して、幅狭領域274の直径R3は、約12mmとなっている。但し、これに限定されることはなく、球詰まりを生じさせないようにさせつつ通路幅を狭くするという観点から、約11.1mm〜約20.0mmの範囲のいずれかとしてもよく、好ましくは約12mm〜約15mmの範囲のいずれかである。また、幅狭領域274の断面は円形状に限定されることはなく多角形状であってもよく、この場合、当該断面が遊技球において中心を通る断面の全体を含む大きさであればよい。また、球詰まりを生じさせないようにさせつつ通路幅を狭くするという観点から、上記断面の大きさが遊技球の断面よりも約5%〜約80%の範囲のいずれかの割合で大きい構成としてもよく、好ましくは約10%〜約30%の範囲のいずれかの割合で大きい構成としてもよい。
上記のように幅狭領域302が形成されていることにより、上記第1の実施の形態と同様に、遊技球が通過可能な貫通孔を有する不正具を払出球検知センサ126の貫通孔127aから続く通路領域に連通させながら配置しようとしても、幅狭領域302の出口部分によってそれよりも上流側への配置が実質的に不可となる。この場合、既に説明したとおり、払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線と幅狭領域302の出口部分の中心軸線とが同一直線上となっていないため、払出球検知センサ126のコイルの中心軸線と不正具のコイルの中心軸線とが同一直線上に配置されることはなく、不正具から磁束を生じさせたとしても、それが払出球検知センサ126のコイル内を貫通しづらくなる。特に、払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側(鉛直方向)への投影範囲内に幅狭領域302の出口部分はその全体が含まれていないため、不正具からの磁束が、払出球検知センサ126のコイル内をより貫通しづらくなる。さらにまた、幅広領域303は、上記第1の実施の形態における幅広領域275と同様の構成を有している。したがって、上皿81又は下皿82から不正具をパチンコ機10内部に挿入し、その挿入した不正具を用いて払出球検知センサ126に誤検知させて遊技球を不正に得ようとしてもそれを阻止することが可能となる。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、幅狭領域302の出口部分における構成が、上記第2の実施の形態における出口部分の構成と異なっている。かかる出口部分の構成について図38を用いて説明する。図38は本実施の形態における払出装置114の下流側部分の構成を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、上記第2の実施の形態との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
図38に示すように、幅狭領域302の出口部分には、上記第2の実施の形態における縮径部304の代わりに、板バネ部311が設けられている。当該板バネ部311は、自然状態において、上流側から下流側に向けて傾斜した状態で、通路壁側から通路の軸線側に突出している。この場合、当該板バネ部311が突出した箇所においては、通路幅R4が遊技球の直径よりも小さくなっている。但し、板バネ部311は、幅狭領域302を流下してきた遊技球の重さによって下流側へ撓み可能に形成されており、幅狭領域302の出口部分の通過を阻止しないように形成されている。なお、遊技球の通過に際して下流側へ撓んだ板バネ部311は、遊技球の通過後に自身の弾性力によって自然状態に復帰する。
一方、板バネ部311は、上記のとおり上流側から下流側に向けて傾斜しており、下流側から上流側への変形がしづらくなっている。したがって、遊技球が通過可能な貫通孔を有する不正具を幅狭領域302の出口部分からそれよりも上流側に向けて挿入しようとしても、それが実質的に不可となる。よって、上皿81又は下皿82から不正具をパチンコ機10内部に挿入し、その挿入した不正具を用いて払出球検知センサ126に誤検知させて遊技球を不正に得ようとしてもそれを阻止することが可能となる。
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、幅狭領域302の出口部分における構成が、上記第2の実施の形態における出口部分の構成と異なっている。かかる出口部分の構成について図39を用いて説明する。図39は本実施の形態における払出装置114の下流側部分の構成を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、上記第2の実施の形態との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
図39に示すように、幅狭領域302の出口部分には、上記第2の実施の形態における縮径部304の代わりに、羽根車321が設けられている。当該羽根車321は、回転軸322と、当該回転軸322から放射方向に延びる羽根323が回転軸322の回動方向に等間隔で複数(具体的には、4枚)設けられている。
羽根車321は、回転軸322が通路幅方向に延びるようにして設置されている。この場合、回転軸322の延びる方向に対して直交する方向において当該回転軸322を挟んで対向する通路壁のうち、一方の通路壁324側に回転軸322は偏倚されており、他方の通路壁325との間には距離R5分の間隔が確保されている。当該距離R5分の間隔は、1個の遊技球は通過可能だが、複数の遊技球が同時に通過することが不可となる寸法、詳細には遊技球の直径よりも若干大きく設定されている。
羽根車321の羽根323は、当該羽根車321の回転に伴って上記間隔が確保された空間を通過することとなる。また、羽根車321は、上記間隔が確保された空間を通る遊技球が羽根323に上流側から当たることにより、遊技球導出方向(具体的には、反時計周り)に回転する。これにより、幅狭領域302の出口部分に羽根車321を設けた構成において当該出口部分の遊技球の通過が可能となっている。
一方、羽根車321は、遊技球導出方向とは反対方向(具体的には、時計周り)に回転することが不可となるように逆回転規制構造が設けられている(図示略)。当該逆回転規制構造として具体的には、回転軸322に対してラチェット構造が付与されている。また、羽根車321の回転位置が、上記間隔が確保された空間に一の羽根323が所定量以上入り込む位置となっている場合に、当該一の羽根323の先端と通路壁325との間隔は遊技球の直径よりも小さくなる。したがって、遊技球が通過可能な貫通孔を有する不正具を幅狭領域302の出口部分からそれよりも上流側に向けて挿入しようとしても、それが実質的に不可となる。よって、上皿81又は下皿82から不正具をパチンコ機10内部に挿入し、その挿入した不正具を用いて払出球検知センサ126に誤検知させて遊技球を不正に得ようとしてもそれを阻止することが可能となる。
<第5の実施の形態>
本実施の形態では、連通用通路の幅狭領域302の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態における連通用通路331の構成について図40を用いて説明する。図40は本実施の形態における払出装置114の下流側部分の構成を示す縦断面図である。
図40に示すように、連通用通路331は、上記第1の実施の形態における連通用通路273と同様に、基本的に鉛直方向に延びており、払出装置114の払出通路122から続く上流側の方が、遊技球分配部128へと続く下流側よりも通路幅が狭くなるように形成されている。つまり、連通用通路331は、払出装置114の払出通路122から連続し、相対的に通路幅が狭くなった幅狭領域332と、当該幅狭領域332及び遊技球分配部128に連続し、相対的に通路幅が広くなった幅広領域333と、を備えている。また、幅狭領域332の通路孔の直径は、上記第1の実施の形態における幅狭領域274と同様に、払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径及び下流側払出領域122aの直径と同一となるように設定されている。
但し、本実施の形態における幅狭領域332は、上記第1の実施の形態における幅狭領域274と異なり、出口部分(最下流部分)における中心軸線が払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線と同一直線上に配置されるように形成されている。この場合であっても、幅狭領域332にはその途中位置にU字状の迂回領域334が形成されており、当該迂回領域334における最大迂回部分の中心軸線は払出球検知センサ126の貫通孔127aの中心軸線と同一直線上に配置されていない。詳細には、払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側への投影範囲内に上記最大迂回部分はその全体が含まれていない。さらにまた、幅狭領域332の通路孔の直径はその全体に亘って同一(又は略同一)となっており、上記のとおり、その直径は払出球検知センサ126の貫通孔127aの直径及び下流側払出領域122aの直径と同一となっている。
上記のように幅狭領域332が形成されていることにより、遊技球が通過可能な貫通孔を有する不正具を払出球検知センサ126の直下流側に配置しようとしても、少なくとも上記最大迂回部分よりも上流側に不正具を配置することができない。また、幅広領域333において幅狭領域332の出口部分の直下流側に重ねるようにして不正具を配置したとしても、払出球検知センサ126に対して少なくとも幅狭領域332の高さ寸法離間されているため、不正具から生じさせた磁束が払出球検知センサ126のコイル内を貫通しづらくなる。これにより、上皿81又は下皿82から不正具をパチンコ機10内部に挿入し、その挿入した不正具を用いて払出球検知センサ126に誤検知させて遊技球を不正に得ようとしてもそれを阻止することが可能となる。
なお、図40の二点鎖線で示すように、通路形成ユニット335において幅狭領域332が形成された部位の通路外領域であって迂回領域334によって挟まれた領域に磁気シールド板336を配置してもよい。この場合、磁気シールド板336を払出球検知センサ126の貫通孔127aの軸線方向下流側への投影範囲の全体を含むように磁気シールド板336を配置するとよい。これにより、幅広領域333において幅狭領域332の出口部分の直下流側に重ねるようにして不正具を配置し、当該不正具から磁束を生じさせたとしても、それが払出球検知センサ126のコイル内を貫通しづらくなる。また、磁気シールド板336を、迂回領域334において最大迂回部分へと通じる上流側傾斜領域337の通路底部に対して通路外側から重ね合わせることにより、当該通路底部の補強効果をも奏することができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を単独で上記各実施の形態の構成に適用してもよく、所定の組み合わせで上記各実施の形態の構成に適用してもよい。また、以下の各構成を、その構成の適用対象として例示していない実施の形態に適用してもよい。
(1)上記第1の実施の形態では、幅狭領域274の出口部分よりも上流側への不正具293の挿入が規制されている構成としたが、これに限定されることはなく、例えば、下流側鉛直領域283の途中位置よりも上流側への不正具293の挿入が規制されている構成としてもよく、傾斜領域282の途中位置よりも上流側への不正具293の挿入が規制されている構成としてもよい。但し、不正具293の貫通孔294を払出球検知センサ126の貫通孔127aに向けさせないようにする上では、下流側鉛直領域283の入口部分よりも上流側への不正具293の挿入を規制する構成とすることが好ましい。
(2)上記第1の実施の形態では、不正具293の挿入が規制されることとなる幅狭領域274の出口部分の全体が、払出球検知センサ126の貫通孔127aを当該貫通孔127aの通路方向下流側に延長させた範囲に重ならない構成としたが、これに代えて、上記出口部分の一部が、上記延長させた範囲と重なる構成としてもよい。また、傾斜領域282の途中位置にてそれよりも上流側への不正具293の挿入が規制される構成においては、当該途中位置の全体が、上記延長させた範囲に重ならない構成としてもよく、当該途中位置の一部が、上記延長させた範囲と重なる構成としてもよい。但し、不正具293の貫通孔294を払出球検知センサ126の貫通孔127aに向けさせないようにする上では、上記第1の実施の形態のように、不正具293の挿入が規制されることとなる部分の全体が、上記延長させた範囲に重ならないようにすることが好ましい。
(3)上記第1の実施の形態では、下流側連続領域としての下流側鉛直領域283が払出球検知センサ126の貫通孔127aの通路方向と平行となる構成としたが、これに代えて、当該貫通孔127aの通路方向に対して下流側連続領域の通路方向が傾斜した構成としてもよい。この場合に、不正具293の貫通孔294から生じさせた磁束が払出球検知センサ126のコイル内を通過しないようにする上では、上記第1の実施の形態のように平行とするか、又は下流側連続領域の通路方向の上流側に向けた延長線と貫通孔127aの通路方向の下流側に向けて延長線とが交差しないように、下流側連続領域の通路方向を貫通孔127aの通路方向に対して傾斜させてもよい。
(4)上記第1の実施の形態では、払出球検知センサ126の貫通孔127aの通路方向が鉛直方向である構成としたが、これに代えて、当該通路方向が所定方向に傾斜した構成としてもよい。この場合であっても、連通用通路273に当該貫通孔127aの通路方向とは異なる通路方向に設定された通路領域を形成するとともに、少なくとも当該通路領域の所定の位置よりも上流側に不正具293を挿入しようとしてもそれが不可となる構成とすることで、上皿81又は下皿82から不正具293を払出球検知センサ126側に挿入して行う不正行為を阻止することが可能となる。
また、上記傾斜させた通路領域の下流側に、下流側連続領域を設けるとともに、当該下流側連続領域の通路方向を、当該通路方向の上流側への延長線と貫通孔127aの通路方向の下流側への延長線とが交差しないように設定してもよい。そして、当該下流側連続領域の所定の位置よりも上流側に不正具293を挿入しようとしてもそれが不可となる構成とすることで、上記不正行為を阻止する効果が高められる。さらに、下流側連続領域の全体が貫通孔127aを通路方向下流側に延長させた範囲に重ならない構成とすることで、上記不正行為を阻止する効果が高められる。
(5)上記第1の実施の形態における連通用通路273において下流側鉛直領域283を不具備とし、傾斜領域282が幅広領域275に直接接続された構成としてもよい。この場合、当該傾斜領域282の所定の位置よりも上流側に不正具293を挿入しようとしてもそれが規制される構成とすることで、当該不正具293を用いた不正行為を行いづらくさせることが可能となる。また、少なくとも傾斜領域282と下流側鉛直領域283とを備えているが、上流側鉛直領域281を備えていない構成としてもよく、払出装置114において下流側払出領域122aを不具備とし、払出球検知センサ126の貫通孔127aが連通用通路273に直接接続された構成としてもよい。
また、傾斜領域282や下流側鉛直領域283を直線的に形成するのではなく曲線的に形成する構成としてもよい。曲線的に形成された構成においては、所定の通路領域を通路方向上流側に延長させた範囲とは、その通路領域の入口部分を当該入口部分における接線方向上流側に延長させた範囲のことであり、所定の通路領域を通路方向下流側に延長させた範囲とは、その通路領域の出口部分を当該出口部分における接線方向下流側に延長させた範囲のことである。
また、払出球検知センサが貫通孔127aを有していない電磁誘導型の近接センサであり、当該センサが貫通孔127aに相当する媒体通過領域の通路壁に通路外側から配置されたパチンコ機に対して、上記各実施の形態における特徴的な構成を適用してもよい。また、凹部を有し、当該凹部を遊技球が通過したことによる磁界の変化を検知する払出球検知センサが配置されたパチンコ機に対して、上記各実施の形態における特徴的な構成を適用してもよい。また、電磁誘導型の近接センサ以外を払出球検知センサとして用いたパチンコ機に対しても適用することは可能である。
(6)上記第1の実施の形態において、連通用通路273がその全体に亘って幅狭領域274となっており、幅広領域275が不具備となった構成としてもよい。この場合、例えば、上皿81に向けた通路と下皿82に向けた通路との分岐を前扉枠14側において行う構成としてもよく、また貯留部として上皿81と下皿82とを備えるのではなく単一の貯留部を備えた構成においては当該貯留部の入口部分まで幅狭領域274が連続する構成としてもよい。
(7)上記第1の実施の形態では、下流側鉛直領域283が払出球検知センサ126の貫通孔127aに対して遊技機の左右方向にずれた位置となるよう傾斜領域282を形成したが、これに限定されることはなく、下流側鉛直領域283が払出球検知センサ126の貫通孔127aに対して遊技機の前後方向(奥行き方向)にずれた位置となるように傾斜領域282を形成してもよい。
(8)連通用通路273の幅狭領域274を、傾斜領域282及び下流側鉛直領域283を設けることなく、払出球検知センサ126の貫通孔127aの下流側から当該貫通孔127aの通路方向下流側に延長させて設ける、より具体的には、幅狭領域274の軸線が当該幅狭領域274の全体に亘って貫通孔127aの軸線と同一直線上に配置されるように幅狭領域274を設けるとともに、遊技球の通過を阻止しない不正具を幅狭領域274の出口部分よりも上流側に挿入できない構成とすることも可能であり、この場合、払出球検知センサ126に対して近い位置に払出球検知センサ126を配置することが不可となるため、出力の弱い不正具に対しては不正対策となる。但し、出力の強い不正具に対しては有効な対策とならないおそれがあるため、傾斜領域282や下流側鉛直領域283といった領域を設けることが好ましい。
(9)上記各実施の形態において、磁気検知センサや電波検知センサを別途設ける構成としてもよい。これら磁気検知センサや電波検知センサは、例えば、遊技領域に向けて磁石を近づける行為を発見するために設けられた磁気検知センサ又は遊技領域に向けて不正電波を発信させる行為を発見するために設けられた電波検知センサであってもよい。このように磁気検知センサや電波検知センサが設けられていることにより、不正具から磁束を生じさせる場合にその出力強度が所定以上となった場合には、それを磁気検知センサや電波検知センサにて検知することができる。その一方、上記各実施の形態における連通用通路の構造によって、上記不正具を払出球検知センサ126に近づけることができないため、不正具から出力強度が弱い状態で磁束が生じたとしても、その影響を払出球検知センサ126が受けないようにすることが可能となる。
(10)上記各実施の形態では、払出実行手段として回転体124を有する払出装置114が設けられたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、これに限定されることはなく他のタイプの払出装置が設けられた遊技機に対して本発明を適用してもよい。例えば、払出実行手段として払出通路に対して出没することで遊技球の通過を阻止又は許容する出没片を有する払出装置が設けられた遊技機に対して本発明を適用してもよい。
また、上記各実施の形態では、払出実行手段の下流側に払出球検知センサ126を有する払出装置114が設けられたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、これに限定されることはなく他のタイプの払出装置が設けられた遊技機に対して本発明を適用してもよい。例えば、払出実行手段の上流側に払出球検知センサ126を有する払出装置114が設けられた遊技機に対して本発明を適用してもよい。
また、払出球検知センサ126の検知結果だけでなく、払出実行手段の動作状態、より具体的には回転体124の回転回数などによっても遊技球の払出数を特定する遊技機に対して本発明を適用してもよい。
(11)上記各実施の形態では、貯留部として上皿81と下皿82とを備えたパチンコ機10に本発明を適用したが、これに代えて、単一の外側貯留部を備えたパチンコ機に本発明を適用してもよい。この場合、満タン検知センサ59はその単一の外側貯留部が満タン状態か否かを検知するように設け、外側貯留部が満タン状態であることが特定された場合に遊技球の払出を制限するようにする。
(12)上記各実施の形態において、停電監視装置を主制御装置162とは別に設けることで、主制御基板201は主制御回路202のみの機能を有する構成としてもよい。
(13)上記各実施の形態では、音声ランプ制御装置92が表示制御装置225を制御する構成としたが、これに代えて、表示制御装置225が音声ランプ制御装置92を制御する構成としてもよい。また、音声ランプ制御装置92と表示制御装置225との両機能を有する単一の制御装置を設けてもよい。
(14)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも、本発明を適用できる。この場合、スロットマシンのホッパ装置に対して、上記各実施の形態における連通用通路の構成を適用するとよい。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴1.遊技機前面部(前扉枠14)に設けられた貯留部(上皿81、下皿82)に向けて遊技媒体を導く遊技媒体通路部(払出通路122、連通用通路273、遊技球分配部128など)と、
当該遊技媒体通路部を通じて前記貯留部に向けて遊技媒体を払い出す払出実行手段(回転体124)と、
前記遊技媒体通路部の途中位置に設定された媒体通過領域(貫通孔127a)の遊技媒体の通過を検知する払出検知手段(払出球検知センサ126)と、
を備え、当該払出検知手段の検知結果に基づいて、遊技媒体の払い出しが特定される遊技機において、
前記遊技媒体通路部は、
前記媒体通過領域よりも下流側に設けられ、当該媒体通過領域の通路方向とは異なる通路方向となるように形成された通路方向相違領域(傾斜領域282)と、
前記遊技媒体通路部の遊技媒体の通過を阻止しないようにしつつ、前記払出検知手段に不正を施すためのものであって遊技媒体の通過を阻止しない不正具が少なくとも前記通路方向相違領域の所定の位置よりも上流側へ挿入されることを規制する構造と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、払出検知手段に不正を施すためのものであって遊技媒体の通過を阻止しない不正具を払出検知手段の下流側に配置しようとしても、少なくとも通路方向相違領域の所定の位置よりも上流側への挿入が規制される。これにより、貯留部側から遊技媒体通路部に不正具を挿入し、当該不正具を払出検知手段の直下流側に配置しようとしてもそれが不可となる。
また、少なくとも通路方向相違領域の所定の位置よりも上流側への上記不正具の挿入が規制されているため、媒体通過領域をその通路方向の下流側に延長させた領域において媒体通過領域に対して不正具を対向させようとしてもそれが行いづらくなる。また、仮に対向させることができたとしても、少なくとも通路方向相違領域が設けられている範囲分は媒体通過領域から離間されることとなる。
以上より、上記不正具を用いて払出検知手段に誤検知させて遊技媒体の払い出しを不正に受けようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴2.通路壁によって周囲が区画されて形成されており、遊技機前面部(前扉枠14)に設けられた貯留部(上皿81、下皿82)に向けて遊技媒体を導く遊技媒体通路部(払出通路122、連通用通路273、遊技媒体分配部128など)と、
当該遊技媒体通路部を通じて前記貯留部に向けて遊技媒体を払い出す払出実行手段(回転体124)と、
前記遊技媒体通路部の途中位置に設定された媒体通過領域(貫通孔127a)における磁界の変化を検知することによって、当該媒体通過領域の遊技媒体の通過を検知する払出検知手段(払出球検知センサ126)と、
を備え、当該払出検知手段の検知結果に基づいて、遊技媒体の払い出しが特定される遊技機において、
前記遊技媒体通路部は、前記媒体通過領域よりも下流側に、当該媒体通過領域の通路方向とは異なる通路方向となるように形成された通路方向相違領域(傾斜領域282)を備えているとともに、
当該通路方向相違領域の所定の位置又はそれよりも下流側の所定の通路領域において遊技媒体が通過可能な空間は、前記払出検知手段に不正を施すためのものであって遊技媒体の通過を阻止しない不正具の当該空間よりも上流側への挿入が規制される大きさに設定されていることを特徴とする遊技機。
特徴2によれば、払出検知手段に不正を施すためのものであって遊技媒体の通過を阻止しない不正具を払出検知手段の下流側に配置しようとしても、少なくとも通路方向相違領域の所定の位置よりも上流側への挿入が規制される。これにより、貯留部側から遊技媒体通路部に不正具を挿入し、当該不正具を払出検知手段の直下流側に配置しようとしてもそれが不可となる。
また、上記のように不正具の挿入が規制されているため、媒体通過領域をその通路方向の下流側に延長させた領域において媒体通過領域に対して不正具を対向させようとしてもそれが行いづらくなる。また、仮に対向させることができたとしても、少なくとも通路方向相違領域が設けられている範囲分は媒体通過領域から離間されることとなる。そして、このような規制された位置において不正具から磁界を生じさせたとしても、媒体通過領域はその磁界の影響を受けにくくなる。
さらに、例えば、通路方向相違領域やその下流側に不正具を配置できたとしても、当該通路方向相違領域は通路方向が媒体通過領域の通路方向とは異なっている。したがって、媒体通過領域に対して不正具の出力部などを平行にして対向させようとしてもそれが行いづらくなるため、不正具から磁束を生じさせたとしても、当該磁束が媒体通過領域を通過しづらくなる。
以上より、上記不正具を用いて払出検知手段に誤検知させて遊技媒体の払い出しを不正に受けようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴3.前記通路方向相違領域は少なくとも前記所定の位置が、前記媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲の少なくとも全体とは重ならないように形成されていることを特徴とする特徴1又は2に記載の遊技機。
特徴3によれば、少なくとも通路方向相違領域における所定の位置よりも上流側への払出検知手段の挿入が規制されている構成において、通路方向相違領域は少なくとも所定の位置が、媒体通過領域の出口部分を媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲に対して少なくとも全体とは重なっていないため、媒体通過領域の出口部分をその通路方向の下流側に延長させた範囲において媒体通過領域に対して不正具を対向させようとしてもそれが行いづらくなる。
特徴4.前記遊技媒体通路部は、前記媒体通過領域から少なくとも前記通路方向相違領域の前記所定の位置に亘る領域の通路幅が、遊技媒体の通過を阻止しない範囲において、前記不正具が通過することができない程度で一定の通路幅又は一定と同様の通路幅となるように形成されていることを特徴とする特徴1乃至3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴4によれば、媒体通過領域から少なくとも通路方向相違領域の所定の位置に亘る領域の通路幅を、不正具が通過することができない程度で一定の通路幅又は一定と同様の通路幅となるように設定するという比較的簡素な構成により、上記優れた効果を奏することができる。
また、上記のように通路幅によって不正具の挿入を規制する構成において、媒体通過領域から少なくとも通路方向相違領域の所定の位置に亘る領域の通路幅が一定の通路幅又は一定と同様の通路幅となっているため、当該領域における球詰まりの発生を抑えながら上記優れた効果を奏することができる。
特徴5.前記遊技媒体通路部は、前記通路方向相違領域の前記所定の位置又は当該所定の位置よりも下流側に、それよりも上流側に比べ通路空間を狭める空間規制部(縮径部304、板バネ部311又は羽根車321)を備えており、
当該空間規制部は、遊技媒体の通過を阻止しない範囲内において前記不正具の当該空間規制部が設けられた部位よりも上流側への挿入が規制される程度に前記通路空間を狭めるように形成されていることを特徴とする特徴1乃至3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴5によれば、空間規制部が設けられていることにより、上記優れた効果を奏することができる。
特徴6.前記遊技媒体通路部は、前記通路方向相違領域に対してその下流側において連続する下流側連続領域(下流側鉛直領域283)を備えており、
前記通路方向相違領域は、前記下流側連続領域との連続箇所が、前記媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲の少なくとも全体とは重ならないように形成されており、
前記下流側連続領域は通路方向が、当該通路方向の上流側に向けた延長線と前記媒体通過領域における通路方向の下流側に向けた延長線とが交差しないように形成されており、
前記遊技媒体通路部は、当該遊技媒体通路部の遊技媒体の通過を阻止しないようにしつつ、前記不正具が少なくとも前記下流側連続領域の所定の位置よりも上流側へ挿入されることを規制するように設けられていることを特徴とする特徴1又は2に記載の遊技機。
特徴6によれば、上記不正具を払出検知手段の下流側に配置しようとしても、少なくとも下流側連続領域の所定の位置よりも上流側への挿入が規制される。これにより、貯留部側から遊技媒体通路部に不正具を挿入し、当該不正具を払出検知手段の直下流側に配置しようとしてもそれが不可となる。
また、通路方向相違領域と下流側連続領域との連続箇所が、媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲の少なくとも全体とは重ならない構成であって、少なくとも下流側連続領域における所定の位置よりも上流側への上記不正具の挿入が規制されているため、媒体通過領域をその通路方向の下流側に延長させた範囲において媒体通過領域に対して不正具を対向させようとしてもそれが行いづらくなる。また、仮に対向させることができたとしても、少なくとも通路方向相違領域及び下流側連続領域が設けられている範囲分は媒体通過領域から離間されることとなる。
さらにまた、上記特徴2を備えた構成においては以下の効果を奏する。つまり、下流側連続領域は通路方向が、当該通路方向の上流側に向けた延長線と媒体通過領域における通路方向の下流側に向けた延長線とが交差しないように形成されている。したがって、例えば、下流側連続領域の所定の位置又は当該下流側連続領域に沿った領域であって当該下流側連続領域の所定の位置よりも下流側に不正具を配置できたとしても、媒体通過領域に対して不正具の出力部などを対向させようとしてもそれが行いづらくなり、不正具から磁束を生じさせたとしても、当該磁束が媒体通過領域を通過しづらくなる。
以上より、上記不正具を用いて払出検知手段に誤検知させて遊技媒体の払い出しを不正に受けようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴7.前記通路方向相違領域は、前記下流側連続領域との連続箇所の全体が、前記媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲と重ならないように形成されていることを特徴とする特徴6に記載の遊技機。
特徴7によれば、通路方向相違領域と下流側連続領域との連続箇所の全体が、媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲と重ならない構成であるとともに、下流側連続領域は通路方向が、当該通路方向の上流側に向けた延長線と媒体通過領域における通路方向の下流側に向けた延長線とが交差しないように形成されている。したがって、例えば、下流側連続領域の所定の位置又は当該下流側連続領域に沿った領域であって当該下流側連続領域の所定の位置よりも下流側に不正具を配置できたとしても、媒体通過領域に対して不正具の通過部を対向させようとしてもそれが不可となる。
特徴8.前記下流側連続領域は、その全体が、前記媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲と重ならないように形成されていることを特徴とする特徴6又は7に記載の遊技機。
特徴8によれば、下流側連続領域の全体が、媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲と重ならない構成であるとともに、下流側連続領域は通路方向が、当該通路方向の上流側に向けた延長線と媒体通過領域における通路方向の下流側に向けた延長線とが交差しないように形成されている。したがって、例えば、下流側連続領域の所定の位置又は当該下流側連続領域に沿った領域であって当該下流側連続領域の所定の位置よりも下流側に不正具を配置できたとしても、媒体通過領域に対して不正具の通過部を対向させようとしてもそれが不可となる。
特徴9.前記媒体通過領域は通路方向が遊技機上下方向となるように形成されており、
前記下流側連続領域は通路方向が遊技機上下方向となるように形成されていることを特徴とする特徴6乃至8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴9によれば、媒体通過領域及び下流側連続領域における遊技媒体の通過速度を速めつつ、上記優れた効果を奏することができる。
特徴10.前記遊技媒体通路部は、前記媒体通過領域から少なくとも前記下流側連続領域の前記所定の位置に亘る領域の通路幅が、遊技媒体の通過を阻止しない範囲において、前記不正具が通過することができない程度で一定の通路幅又は一定と同様の通路幅となるように形成されていることを特徴とする特徴6乃至9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴10によれば、媒体通過領域から少なくとも下流側連続領域の所定の位置に亘る領域の通路幅を、不正具が通過することができない程度で一定の通路幅又は一定と同様の通路幅となるように設定するという比較的簡素な構成により、上記優れた効果を奏することができる。
また、上記のように通路幅によって不正具の挿入を規制する構成において、媒体通過領域から少なくとも下流側連続領域の所定の位置に亘る領域の通路幅が一定の通路幅又は一定と同様の通路幅となっているため、当該領域における球詰まりの発生を抑えながら上記優れた効果を奏することができる。
なお、遊技媒体として遊技球が用いられる構成においては、前記媒体通過領域から少なくとも前記下流側連続領域の前記所定の位置に亘る領域の通路方向に対して直交する方向の断面を円形とするとよい。これにより、当該領域を区画する通路壁と当該領域を通過する遊技球の隙間とを少なくすることが可能となり、上記不正具を払出検知手段の直下流側に配置しようとする行為がより行いづらくなる。
また、上記のように断面を円形とした場合、その孔径を遊技球の直径と同一又はそれよりも若干大きい程度とするとよい。これにより、当該領域を区画する通路壁と当該領域を通過する遊技球の隙間とを少なくすることが可能となり、上記不正具を払出検知手段の直下流側に配置しようとする行為がより行いづらくなる。
特徴11.前記遊技媒体通路部は、前記下流側連続領域の前記所定の位置又は当該所定の位置よりも下流側に、それよりも上流側に比べ通路空間を狭める空間規制部(縮径部304、板バネ部311又は羽根車321)を備えており、
当該空間規制部は、遊技媒体の通過を阻止しない範囲内において前記不正具の当該空間規制部が設けられた部位よりも上流側への挿入が規制される程度に前記通路空間を狭めるように形成されていることを特徴とする特徴6乃至9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴11によれば、空間規制部が設けられていることにより、上記優れた効果を奏することができる。
特徴12.前記払出検知手段は、前記媒体通過領域における磁界の変化を検知することによって、当該媒体通過領域の遊技媒体の通過を検知するものであり、
前記遊技媒体通路部は、前記不正具の挿入が規制された位置よりも下流側に、当該規制された位置よりも通路幅が広く設定された幅広領域(幅広領域275)を備えており、
当該幅広領域は、前記媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲の少なくとも全体とは重ならないように形成されていることを特徴とする特徴4〜5,11〜12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴12によれば、幅広領域が形成されていることにより、上記のように不正具の挿入を規制するようにした構成において、遊技媒体通路部において貯留部側の領域において通路幅にゆとりを持たせることができるため、球詰まりなどの発生を好適に抑えることが可能となる。
この場合に、幅広領域が、媒体通過領域の出口部分を媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲の少なくとも全体とは重なっていないため、幅広領域において媒体通過領域の出口部分をその通路方向の下流側に延長させた範囲にて媒体通過領域に対して不正具を対向させようとしてもそれが行いづらくなる。そして、このように対向させづらくすることにより、不正具から磁束を生じさせたとしても、当該磁束が媒体通過領域を通過しづらくなる。よって、幅広領域を備えた構成であっても、上記不正具を用いて払出検知手段に誤検知させようとする行為を行いづらくさせることが可能となる。
特徴13.前記貯留部として上皿(上皿81)と下皿(下皿82)とを備えており、
前記幅広領域は、前記払出実行手段から払い出された遊技媒体を前記上皿又は前記下皿に分配する媒体分配部(遊技球分配部128)を備えていることを特徴とする特徴12に記載の遊技機。
特徴13によれば、幅広領域が形成されていることにより、上皿又は下皿への遊技媒体の分配を良好に行いつつ、上記優れた効果を奏することができる。
特徴14.前記払出検知手段は、前記媒体通過領域における磁界の変化を検知することによって、当該媒体通過領域の遊技媒体の通過を検知するものであり、
前記通路方向相違領域は、前記所定の位置よりも上流側に、前記媒体通過領域の出口部分を当該媒体通過領域の通路方向下流側に延長させた範囲と重なる部位を有しているとともに、少なくとも当該重なる部位に対して電磁シールド手段(金属板286)が付与されていることを特徴とする特徴1乃至13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴14によれば、貯留部側から不正具を挿入して通路方向相違領域を挟んで媒体通過領域と対向する位置に不正具を配置したとしても、媒体通過領域と不正具との間には電磁シールド手段が存在しているため、媒体通過領域は上記不正具から生じさせた磁界の影響を受けにくくなる。さらにまた、貯留部側からではなく遊技媒体通路部の外部から、通路方向相違領域を挟んで媒体通過領域と対向する位置に不正具を配置したとしても、同様に磁界の影響を受けにくくなる。
なお、上記各特徴によれば以下の課題を解決可能である。
遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、例えばパチンコ遊技機内部にて遊技球を貯留するための貯留タンクを備えている。貯留タンクに貯留されている遊技球は、誘導通路部を通じて、遊技機前面部の球受け皿へ誘導される。また、誘導通路部の途中位置には回転体などの払出実行手段が設けられており、誘導通路部により誘導される遊技球は払出実行手段により一旦停止される。
払出実行手段は制御装置と電気的に接続されている。そして、遊技領域に設けられた入球部へ遊技球が入球したこと又はCRユニットといった貸球装置が設けられた構成においては当該貸球装置に対して貸出操作が行われたことに基づいて、制御装置に払出数情報が記憶され、払出動作を実行するように制御装置により払出実行手段が駆動制御されることで、上記一旦停止されていた遊技球は球受け皿に払い出される。
また、払出実行手段よりも下流側に払出球検知センサ(払出検知手段)が設けられており、払出実行手段の払出動作により下流側へ導出された遊技球は払出球検知センサにて検知される。制御装置では当該払出球検知センサの検知結果に基づいて、払い出された遊技球の個数を把握し、上記払出数情報に対応した数の遊技球が払い出された場合に払出実行手段の払出動作を終了させる。
ここで、上記パチンコ遊技機においては、払出実行手段の払出動作が行われる際に又は行われている状況で、払出球検知センサにて遊技球の検知を正常に行えないようにすることで、制御装置に記憶されている払出数情報に対応した個数よりも多くの遊技球の払出を行わせる不正行為が想定される。
当該不正行為について、検知部を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する近接センサが、払出球検知センサとして用いられている場合を例に挙げて説明する。本不正行為では、例えば球受け皿側などから払出球検知センサの位置に不正具を配置する。不正具は磁界を発生させることができるものであり、不正具にて磁界が発生させられることにより、検知部を遊技球が通過しているにも関わらず検知部に遊技球が留まっていると又は通過していないと払出球検知センサが誤検知することとなる。
これに対して、制御装置が、払出球検知センサにて遊技球の検知を開始したタイミングの電気信号の変化(例えば電気信号の立ち上がり)又は払出球検知センサにて遊技球の検知を終了したタイミングの電気信号の変化(例えば電気信号の立ち下り)によって1個の遊技球が払い出されたと特定する構成においては、払出球検知センサの検知状態が不正具により上記のように設定されてしまうと、実際に検知部を多数の遊技球が通過しているにも関わらず制御装置ではそれら多数の遊技球の通過を把握することができず、払出実行手段の払出動作が継続されることとなる。
なお、以上の課題は、パチンコ遊技機に限定されることはなく、払出実行手段を通じて遊技媒体の払出が行われるとともにその遊技媒体が払出検知手段により検知される他の遊技機においても同様のものである。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。