次に、本発明の実施形態について説明する。本発明の1つの実施形態(以下「第1実施形態」)の制御装置を備えたハイブリッド車両が図1に示されている。図1において、100は内燃機関、20は動力分配装置、30はインバータ、40はバッテリ、70はハイブリッド車両、71は駆動輪、72は駆動軸、MG1およびMG2は発電電動機をそれぞれ示している。
内燃機関100は、動力分配装置20に接続されている。内燃機関100が運転せしめられると、内燃機関100は、動力分配装置20に動力を出力する。
動力分配装置20は、内燃機関100と、発電電動機MG1(以下この発電電動機を「第1発電電動機」という)と、発電電動機MG2(以下この発電電動機を「第2発電電動機」という)と、駆動軸72とに接続されている。詳細には、動力分配装置20は、遊星歯車機構からなり、そのサンギアが内燃機関100の出力軸(すなわち、クランクシャフト)に接続され、そのプラネタリギアが第1発電電動機MG1の入出力軸に接続され、そのリングギアが第2発電電動機MG2の入出力軸および駆動軸72に接続されている。
動力分配装置20は、内燃機関100からそこに入力された動力を駆動軸72と第1発電電動機MG1と第2発電電動機MG2とのうちの1つ、あるいは、2つ、あるいは、全てに出力可能である。また、動力分配装置20は、第1発電電動機MG1からそこに入力された動力を駆動軸72と内燃機関100と第2発電電動機MG2とのうちの1つ、あるいは、2つ、あるいは、全てに出力可能である。また、動力分配装置20は、第2発電電動機MG2からそこに入力された動力を駆動軸72と内燃機関100と第1発電電動機MG1とのうちの1つ、あるいは、2つ、あるいは、全てに出力可能である。また、動力分配装置20は、駆動軸72からそこに入力された動力を内燃機関100と第1発電電動機MG1と第2発電電動機MG2とのうちの1つ、あるいは、2つ、あるいは、全てに出力可能である。
第1発電電動機MG1は、動力分配装置20に接続されているとともに、インバータ30を介してバッテリ40に接続されている。バッテリ40から第1発電電動機MG1に電力が供給されると、第1発電電動機MG1は、その電力によって駆動せしめられて動力分配装置20に動力を出力する。このとき、第1発電電動機MG1は、電動機として働くことになる。一方、動力分配装置20を介して動力が第1発電電動機MG1に入力されると、第1発電電動機MG1は、その動力によって駆動せしめられて電力を生成する。このとき、第1発電電動機MG1は、発電機として働くことになる。なお、第1発電電動機MG1によって発生された電力は、インバータ30を介してバッテリ40に蓄電される。
第2発電電動機MG2は、動力分配装置20に接続されているとともに、インバータ30を介してバッテリ40に接続されている。バッテリ40から第2発電電動機MG1に電力が供給されると、第2発電電動機MG2は、その電力によって駆動せしめられて動力分配装置20に動力を出力する。このとき、第2発電電動機MG2は、電動機として働くことになる。一方、動力分配装置20を介して動力が第2発電電動機MG2に入力されると、第2発電電動機MG2は、その動力によって駆動せしめられて電力を生成する。このとき、第2発電電動機MG2は、発電機として働くことになる。なお、第2発電電動機MG2によって発生された電力は、インバータ30を介してバッテリ40に蓄電される。
次に、第1実施形態の内燃機関についてより詳細に説明する。第1実施形態の内燃機関が図2に示されている。図2に示されている内燃機関は、火花点火式内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。なお、以下の説明において「機関回転数」は「内燃機関の回転数」を意味する。
図2において、120は内燃機関100の本体(以下これを「機関本体」という)、121はシリンダボア、122はピストン、123はコネクティングロッド、124はクランクシャフト、125は燃焼室、126は点火栓、127はクランクポジションセンサ、128は燃料噴射弁、130は吸気通路、131は吸気弁、132は吸気バルブタイミング変更機構、133は吸気ポート、134は吸気マニホルド、135はスロットル弁、136は吸気管、137はエアクリーナ、140は排気通路、141は排気弁、143は排気ポート、144は排気マニホルド、145は排気管、146は触媒コンバータ、147および148は空燃比センサ、150は排気再循環装置(以下この装置を「EGR装置」という)、151は排気再循環通路(以下この通路を「EGR通路」という)、152は排気再循環制御弁(以下この制御弁を「EGR制御弁」という)、180は電子制御装置、190はアクセルペダル、191はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。
吸気通路130は、吸気ポート133と吸気マニホルド134と吸気管136とから構成されている。排気通路140は、排気ポート143と排気マニホルド144と排気管145とから構成されている。
電子制御装置180は、マイクロコンピュータからなる。また、電子制御装置180は、CPU(すなわち、マイクロプロセッサ)181、ROM(すなわち、リードオンリメモリ)182、RAM(すなわち、ランダムアクセスメモリ)183、バックアップRAM184、および、インターフェース185を有する。これらCPU181、ROM182、RAM183、バックアップRAM184、および、インターフェース185は、双方向バスによって互いに電気的に接続されている。
ピストン122は、シリンダボア121内に配置されている。そして、ピストン122の上壁面とシリンダボア121の内周壁面とシリンダヘッドの壁面との間に燃焼室125が形成されている。また、ピストン122は、コネクティングロッド123を介してクランクシャフト124に接続されている。
点火栓126は、その先端に設けられた放電電極が燃焼室125内に露出するように機関本体120に取り付けられている。また、点火栓126は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。電子制御装置180は、点火栓126に火花を発生させるための指令信号を点火栓126に供給する。電子制御装置180から点火栓126に指令信号が供給されると、点火栓126は火花を発生して燃焼室125内の混合気(すなわち、空気と燃料との混合気)を点火する。
燃料噴射弁128は、その先端に設けられた燃料噴射孔が吸気ポート133内に露出するように機関本体120に取り付けられている。また、燃料噴射弁128は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。電子制御装置180は、燃料噴射弁128に燃料を噴射させるための指令信号を燃料噴射弁128に供給する。電子制御装置180から燃料噴射弁128に指令信号が供給されると、燃料噴射弁128は燃焼室125内に燃料を直接噴射する。燃料噴射弁128から燃焼室125内に噴射された燃料が燃焼すると、ピストン125がシリンダボア121内で往復動せしめられる。そして、ピストン125の往復動がコネクティングロッド123を介してクランクシャフト124に伝達され、これによって、クランクシャフト124が回転せしめられる。
クランクポジションセンサ127は、クランクシャフト124近傍に配置されており、クランクシャフト124の回転位相に対応する信号を出力する。また、クランクポジションセンサ127は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。クランクポジションセンサ127から出力された信号は、電子制御装置180に入力される。電子制御装置180は、この信号に基づいて機関回転数を算出する。
吸気弁131は、機関本体120に配置されている。そして、吸気弁131は、吸気ポート133を開放したり閉鎖したりする。また、吸気弁131には、吸気バルブタイミング変更機構132が接続されている。吸気バルブタイミング変更機構132は、吸気弁131のバルブタイミングを変更することができる。なお、吸気弁のバルブタイミングとは、吸気弁の開弁タイミング(すなわち、吸気弁が吸気ポートを開放するタイミング)と吸気弁の閉弁タイミング(すなわち、吸気弁が吸気ポートを閉鎖するタイミング)との少なくとも一方を意味する。
吸気ポート133は、その一端で燃焼室125に接続され、その他端で吸気マニホルド134に接続されている。吸気マニホルド134は、その一端で吸気ポート133に接続され、その他端で吸気管136に接続されている。吸気管136は、その一端で吸気マニホルド134に接続され、その他端で外気に開放されている。
スロットル弁135は、吸気管136内に配置されている。スロットル弁135の開度が変更されると、スロットル弁135の配置された領域における吸気管136内の流路面積が変わる。これによって、スロットル弁135を通過する空気の量が変わり、ひいては、燃焼室125に吸入される空気の量が変わる。スロットル弁135は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。電子制御装置180は、スロットル弁135を駆動するための制御信号をスロットル弁135に供給する。
エアクリーナ137は、スロットル弁135よりも上流の吸気管136内に配置されている。
排気弁141は、機関本体120に配置されている。そして、排気弁141は、排気ポート143を開放したり閉鎖したりする。
排気ポート143は、その一端で燃焼室125に接続され、その他端で排気マニホルド144に接続されている。排気マニホルド144は、その一端で排気ポート143に接続され、その他端で排気管145に接続されている。排気管145は、その一端で排気マニホルド144に接続され、その他端で外気に開放されている。
触媒コンバータ146は、排気管145に配置されている。また、触媒コンバータ146は、触媒を内蔵している。触媒は、触媒コンバータ146に流入する排気ガス(すなわち、燃焼室から排出された燃焼ガス)中の成分を浄化する機能を有する。
空燃比センサ147は、触媒コンバータ146よりも上流の排気管145に配置されており(以下この空燃比センサを「上流側空燃比センサ」という)、そこに到来する排気ガスの空燃比に対応する出力値を出力する。また、上流側空燃比センサ147は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。上流側空燃比センサ147から出力された出力値は、電子制御装置180に入力される。電子制御装置180は、この出力値に基づいて上流側空燃比センサ147に到来した排気ガスの空燃比を算出する。
空燃比センサ148は、触媒コンバータ146よりも下流の排気再循環機関145に配置されており(以下この空燃比センサを「下流側空燃比センサ」という)、そこに到来する排気ガスの空燃比に対応する出力値を出力する。また、下流側空燃比センサ148は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。下流側空燃比センサ147から出力された出力値は、電子制御装置180に入力される。電子制御装置180は、この出力値に基づいて下流側空燃比センサ148に到来した排気ガスの空燃比を算出する。
EGR装置150は、EGR通路151と、EGR制御弁152と、を有する。EGR装置150は、燃焼室125から排気通路140に排出された排気ガスをEGR通路151を介して吸気通路130に導入することができる。EGR通路151は、その一端で排気通路140(より具体的には、排気マニホルド144)に接続され、その他端で吸気通路130(より具体的には、吸気マニホルド134)に接続されている。すなわち、EGR通路151は、排気通路140を吸気通路130に連結している。
EGR制御弁152は、EGR通路151に配置されている。EGR制御弁152の開度(以下この開度を「EGR制御弁開度」という)が変更されると、EGR制御弁152を通過する排気ガスの量が変わり、ひいては、吸気通路130に導入される排気ガスの量が変わり、ひいては、燃焼室125に導入される排気ガスの量が変わる。EGR制御弁152は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。電子制御装置180は、EGR制御弁152を駆動するための制御信号をEGR制御弁152に供給する。
アクセルペダル190には、アクセルペダル踏込量センサ191が接続されている。アクセルペダル踏込量センサ191は、アクセルペダル190の踏込量に対応する出力値を出力する。また、アクセルペダル踏込量センサ191は、電子制御装置180のインターフェース185に電気的に接続されている。アクセルペダル踏込量センサ191から出力された出力値は、電子制御装置180に入力される。電子制御装置180は、この出力値に基づいて要求トルクを算出する。なお、要求トルクとは、動力分配装置20から駆動軸72に出力されるトルクとして要求されるトルクである。
次に、第1実施形態の内燃機関および発電電動機の制御について説明する。なお、以下の説明において「機関動力」は「内燃機関から動力分配装置に出力される動力」を意味し、「要求機関動力値」は「機関動力として要求される動力の値」を意味し、「第1電動機動力」は「第1発電電動機から動力分配装置に出力される動力」を意味し、「要求第1電動機動力値」は「第1電動機動力として要求される動力の値」を意味し、「第2電動機動力」は「第2発電電動機から動力分配装置に出力される動力」を意味し、「要求第2電動機動力値」は「第2電動機動力として要求される動力の値」を意味し、「バッテリ電力」は「バッテリに蓄電されている電力」を意味し、「要求動力値」は「動力分配装置から駆動軸に出力される動力として要求される動力の値」を意味し、「車速」は「ハイブリッド車両の速度」を意味し、「要求トルク」は「動力分配装置から駆動軸に出力されるトルクとして要求されるトルク」を意味し、「要求機関トルク」は「内燃機関から動力分配装置に出力されるトルクとして要求されるトルク」を意味し、「機関回転数」は「内燃機関の回転数」を意味し、「機関運転」は「内燃機関の運転」を意味し、「機関運転状態」は「内燃機関の運転状態」を意味する。
第1実施形態のハイブリッド車両では、内燃機関および発電電動機の制御モードとして、HVモードが用意されている。ここで、HVモードは、電動機動力を動力装置から駆動軸に出力させつつ、機関動力を動力分配装置から駆動軸に出力させたり出力させなかったりする制御モードである。したがって、HVモードに従って内燃機関および発電電動機が制御される場合、基本的には、第1発電電動機と第2発電電動機との少なくとも一方がバッテリ電力によって駆動せしめられつつ、内燃機関が運転されたり内燃機関の運転が停止されたりする。すなわち、HVモードに従って機関運転が制御される場合、内燃機関を間欠的に運転させる間欠制御が実行されると言える。
また、第1実施形態では、HVモードが選択された場合、要求機関動力値の動力が内燃機関から動力分配装置に出力されるように内燃機関が運転され、要求第1電動機動力値の動力が第1発電電動機から動力分配装置に出力されるように第1発電電動機がバッテリ電力によって駆動され、要求第2電動機動力値の動力が第2発電電動機から動力分配装置に出力されるように第2発電電動機がバッテリ電力によって駆動される。なお、要求機関動力値、要求第1電動機動力値、および、要求第2電動機動力値は、要求動力値に基づいて設定される。また、要求動力値は、要求トルクと車速とに基づいて算出される。
また、機関運転状態に関し、可能な限り高い燃費で内燃機関を運転させることができる要求機関トルクと機関回転数との組合せ(すなわち、内燃機関の最適動作点)が機関動力毎に存在する。そこで、第1実施形態では、内燃機関を運転させるときには、要求機関トルクと機関回転数とによって規定される内燃機関の動作点が要求機関動力値に対応する最適動作点に一致するように、内燃機関が運転せしめられる。ただし、要求機関動力値に対応する最適動作点が存在しない場合には、要求機関動力値に対応する最適動作点に近い最適動作点で内燃機関を運転させる。そして、このときの機関動力が要求機関動力値よりも大きいときには、要求機関動力値に対して過剰な動力は、たとえば、第1発電電動機を駆動させる動力として利用される。この場合、第1発電電動機は、電力を生成することになり、この電力は、バッテリに充電される。これにより、結果的には、動力分配装置から駆動軸に出力される機関動力の値は、要求機関動力値に一致する。一方、このときの機関動力が要求機関動力値よりも小さいときには、要求機関動力値に対して不足する動力は、たとえば、第2発電電動機から出力される。これにより、結果的には、動力分配装置から駆動軸に出力される動力の値は、要求動力値に一致する。
次に、第1実施形態のEGR装置の制御について説明する。なお、以下の説明において「EGR」は「EGR装置による排気通路から吸気通路(ひいては、燃焼室)への排気ガスの導入」を意味し、「EGRガス量」は「EGRによって燃焼室に導入される排気ガスの量」を意味し、「EGR率」は「燃焼室に導入されるガスの総量に対するEGRガス量の比」を意味する。
第1実施形態では、機関運転中、EGRが実行される。したがって、HVモードに従って機関運転が制御される場合、機関運転が開始されるとEGRが開始され、機関運転が停止されるとEGRが停止される。なお、第1実施形態では、要求機関トルクと機関回転数とによって規定される機関運転状態に応じた適切なEGRガス量(または、EGR率)が目標EGRガス量(または、目標EGR率)に設定され、目標EGRガス量(または、目標EGR率)が達成されるようにEGR制御弁開度が制御される。また、第1実施形態では、機関運転が開始されると同時にEGRが開始されてもよいし、機関運転が開始されてから予め定められた時間が経過した時点でEGRが開始されてもよい。なお、この予め定められた時間は、機関運転の開始後に燃焼室内における燃料の燃焼が安定するのに要する時間に設定されることが好ましい。
次に、第1実施形態の吸気弁の制御について説明する。第1実施形態では、間欠制御中(特に、HVモードに従って内燃機関が制御されているときの機関運転中)、要求機関トルクと機関回転数とによって規定される機関運転状態に応じた適切な吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングとして設定される。そして、基本的には、斯くして設定された目標バルブタイミングが達成されるように、吸気バルブタイミング変更機構によって吸気弁のバルブタイミングが変更される。しかしながら、第1実施形態では、間欠制御の開始後(より具体的には、HVモードに従って内燃機関が制御されるときの機関始動後)、少なくとも、EGRが開始されて燃焼室に排気ガスが導入され始まるまで、吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止される。
第1実施形態によれば、間欠制御が開始されたときに内燃機関の燃費を高く維持することができるという効果が得られる。この効果が得られる理由は、以下の通りである。すなわち、間欠制御では、機関運転の開始とその停止とが繰り返し行われる。ここで、間欠制御の実行中において、機関運転が開始された直後は、燃焼室内での燃料の燃焼が安定せず、特に、EGRが始まるまでは、燃焼室内での燃料の燃焼が安定しない。そして、このとき、吸気弁のバルブタイミングを変更可能であったとしても、吸気弁のバルブタイミングを禁止したほうが燃焼室内での燃料の燃焼が安定し、内燃機関の燃費が向上する。ここで、第1実施形態によれば、少なくとも、間欠制御の開始後、EGRが始まるまで、吸気バルブタイミング変更機構による吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止される。したがって、第1実施形態によれば、間欠制御が開始されたときに内燃機関の燃費を高く維持することができるという効果が得られるのである。
なお、第1実施形態において、機関運転が停止されたときには、吸気バルブタイミング変更機構は、たとえば、吸気弁のバルブタイミングを予め定められた特定のバルブタイミングとする状態(特に、吸気弁のバルブタイミングを可能な範囲で最も遅角されたバルブタイミングとする状態)に制御される。
また、第1実施形態において、内燃機関および発電電動機の制御モードとして、HVモードとEVモードとを用意し、これらモードのいずれか1つを要求動力値に応じて選択し、選択されたモードに従って内燃機関および発電電動機を制御するようにしてもよい。ここで、EVモードは、機関動力を動力分配装置から駆動軸に出力させずに電動機動力のみを動力分配装置から駆動軸に出力される制御モードである。したがって、EVモードに従って内燃機関および発電電動機が制御される場合、内燃機関を運転させることなく、第1発電電動機および第2発電電動機の少なくとも一方をバッテリ電力を用いて駆動させることになる。ただし、EVモードが選択された場合において、バッテリに電力を充電する必要があるときに、内燃機関を運転させて機関動力によって、たとえば、第1発電電動機を駆動して第1発電電動機に電力を生成させ、この電力をバッテリに充電するようにしてもよい。
なお、要求動力値に応じた制御モードの選択方法としては、たとえば、要求動力値が比較的大きいときには、HVモードを選択し、要求動力値が比較的小さいときには、EVモードを選択するという方法を採用することができる。
次に、第1実施形態の吸気弁のバルブタイミングの変更の開始とその停止とを実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図3に示されている。なお、このルーチンは、所定周期毎に開始されるルーチンである。
図3のルーチンが開始されると、始めに、ステップ100において、間欠制御中であるか否かが判別される。ここで、間欠制御中であると判別されたときには、ルーチンはステップ101に進む。一方、間欠制御中ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ104に進み、吸気弁のバルブタイミングの変更が停止され、その後、ルーチンが終了する。
ステップ101では、EGRが開始されたか否かが判別される。ここで、EGRが開始されたと判別されたときには、ルーチンはステップ102に進み、吸気弁のバルブタイミングの変更が開始され、その後、ルーチンが終了する。一方、EGRが開始されていないと判別されたときには、ルーチンはステップ103に進む。
ステップ103では、EGR中であるか否かが判別される。ここで、EGR中であると判別されたときには、ルーチンは終了する。一方、EGR中ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ104に進み、吸気弁のバルブタイミングの変更が停止され、その後、ルーチンが終了する。
なお、第1実施形態では、間欠制御の開始後、少なくとも、EGRが開始されて燃焼室に排気ガスが導入され始まるまで、吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止されればよく、たとえば、間欠制御の開始後、燃焼室に排気ガスが導入され始まると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始されてもよいし、間欠制御の開始後、EGRガス量が予め定められたEGRガス量に達するまで、または、間欠制御の開始後、EGRガス率が予め定められたEGR率に達するまで、吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止され、EGRガス量が上記予め定められたEGRガス量に達すると同時に、または、EGRガス率が上記予め定められたEGR率に達すると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始されてもよい。
なお、上記予め定められたEGRガス量は、目標EGRガス量よりも少ない量であってもよいし、目標EGRガス量に等しい量であってもよい。また、上記予め定められたEGR率は、目標EGR率よりも小さい値であってもよいし、目標EGR率に等しい値であってもよい。
また、間欠制御の開始後、燃焼室に排気ガスが導入され始まると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始される場合、吸気弁のバルブタイミングが即座に目標バルブタイミングに変更されてもよいが、EGRガス量が目標EGRガス量に達するまでに、または、EGR率が目標EGR率に達するまでに吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングに到達するように、吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングまで徐々に変更されることが好ましい。より具体的には、図4に示されているように、EGRガス量Aegrが目標EGRガス量Aegrtに達するまで(図4の時刻T2)に、または、EGR率Regrが目標EGR率Regrtに達するまで(図4の時刻T2)に吸気弁のバルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに到達するように、吸気弁のバルブタイミングVTがEGRガス量Aegrの変化またはEGR率Regrの変化に応じて目標バルブタイミングVTtまで徐々に変更されることが好ましい。これによれば、EGRガス量が目標EGRガス量に近づくにつれ、あるいは、EGR率が目標EGR率に近づくにつれ、吸気弁のバルブタイミングの変更量が大きくなることから、燃焼室内における燃料の燃焼がより確実に安定し、内燃機関の燃費を高く維持することが確実となる。なお、図4の時刻T1は、燃焼室に排気ガスが導入され始まった時点である。
また、上記予め定められたEGRガス量が目標EGRガス量よりも少ない量である場合、あるいは、上記予め定められたEGR率が目標EGR率よりも小さい値である場合において、間欠制御の開始後、EGRガス量が上記予め定められたEGRガス量に達すると同時に、または、間欠制御の開始後、EGR率が上記予め定められたEGR率に達すると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始される場合、吸気弁のバルブタイミングが即座に目標バルブタイミングに変更されてもよいが、EGRガス量が目標EGRガス量に達するまでに、または、EGR率が目標EGR率に達するまでに吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングに到達するように、吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングまで徐々に変更されることが好ましい。より具体的には、EGRガス量が目標EGRガス量に達するまでに、または、EGR率が目標EGR率に達するまでに吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングに到達するように、吸気弁のバルブタイミングがEGRガス量の変化またはEGR率の変化に応じて目標バルブタイミングまで徐々に変更されることが好ましい。また、この場合、図4に示されているように、吸気弁のバルブタイミングVTの変更が開始された時点(図4の時刻T2)では、目標EGRガス量Aegrtに対するその時点のEGRガス量(すなわち、上記予め定められたEGRガス量)Aegrpの割合または目標EGR率Regrtに対するその時点のEGR率(すなわち、上記予め定められたEGR率)Regrpの割合に応じて吸気弁バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに向かって一気に変更され、その後、EGRガス量Aegrが目標EGRガス量Aegrtに達するまで(図4の時刻T3)に、または、EGR率Regrが目標EGR率Regrtに達するまで(図4の時刻T3)に吸気弁のバルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに到達するように、吸気弁のバルブタイミングVTがEGRガス量Aegrの変化またはEGR率Regrの変化に応じて目標バルブタイミングVTtまで徐々に変更されることが好ましい。これによれば、EGRガス量が目標EGRガス量に近づくにつれ、あるいは、EGR率が目標EGR率に近づくにつれ、吸気弁のバルブタイミングの変更量が大きくなることから、燃焼室内における燃料の燃焼がより確実に安定し、内燃機関の燃費を高く維持することが確実となる。なお、図4の時刻T1は、燃焼室に排気ガスが導入され始まった時点である。
また、上記予め定められたEGRガス量が目標EGRガス量に等しい量である場合、あるいは、上記予め定められたEGR率が目標EGR率に等しい値である場合において、間欠制御の開始後、EGRガス量が上記予め定められたEGRガス量に達すると同時に、または、間欠制御の開始後、EGR率が上記予め定められたEGR率に達すると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始される場合、吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングまで徐々に変更されてもよいが、図6に示されているように、EGRガス量Aegrが上記予め定められたEGRガス量(すなわち、目標EGRガス量)Aegrtに達すると同時(図6の時刻T2)に、または、EGR率Regrが上記予め定められたEGR率(すなわち、目標EGR率)Regrtに達すると同時(図6の時刻T2)に、吸気弁のバルブタイミングVTが即座に目標バルブタイミングVTtに変更されることが好ましい。これによれば、吸気弁のバルブタイミングが即座にEGRガス量またはEGR率に対応したバルブタイミングに変更されることから、内燃機関の燃費を高く維持することが確実となる。なお、図6の時刻T1は、燃焼室に排気ガスが導入され始まった時点である。
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第2実施形態の構成および制御は、それぞれ、第1実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、以下で説明される第2実施形態の構成および制御に鑑みたときに第1実施形態の構成および制御から当然に導き出される構成および制御である。また、矛盾のない範囲で第2実施形態に第1実施形態を組み合わせることも可能である。
第2実施形態では、間欠制御中(特に、HVモードに従って内燃機関が制御されているときの機関運転中)、要求機関トルクと機関回転数とによって規定される機関運転状態に応じた適切な吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングとして設定される。そして、基本的には、斯くして設定された目標バルブタイミングが達成されるように、吸気バルブタイミング変更機構によって吸気弁のバルブタイミングが変更される。しかしながら、第2実施形態では、間欠制御の開始後(より具体的には、HVモードに従って内燃機関が制御されるときの機関始動後)、少なくとも、EGRが開始されてEGR制御弁が開弁され始まるまで、吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止される。
第2実施形態によれば、間欠制御が開始されたときに内燃機関の燃費を高く維持することができるという効果が得られる。この効果が得られる理由は、以下の通りである。すなわち、上述したように、間欠制御の実行中において、機関運転が開始された直後は、燃焼室内での燃料の燃焼が安定せず、特に、EGRが始まるまでは、燃焼室内での燃料の燃焼が安定しない。そして、この場合、吸気弁のバルブタイミングを変更可能であったとしても、吸気弁のバルブタイミングを禁止したほうが燃焼室内での燃料の燃焼が安定し、内燃機関の燃費が向上する。ここで、第2実施形態によれば、少なくとも、間欠制御の開始後、EGR制御弁が開弁され始まるまで、吸気バルブタイミング変更機構による吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止される。したがって、第2実施形態によれば、間欠制御が開始されたときに内燃機関の燃費を高く維持することができるという効果が得られるのである。
次に、第2実施形態の吸気弁のバルブタイミングの変更の開始とその停止とを実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図7に示されている。なお、このルーチンは、所定周期毎に開始されるルーチンである。
図7のルーチンが開始されると、始めに、ステップ200において、間欠制御中であるか否かが判別される。ここで、間欠制御中であると判別されたときには、ルーチンはステップ201に進む。一方、間欠制御中ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ204に進み、吸気弁のバルブタイミングの変更が停止され、その後、ルーチンが終了する。
ステップ201では、EGR制御弁の開弁が開始されたか否かが判別される。ここで、EGR制御弁の開弁が開始されたと判別されたときには、ルーチンはステップ202に進み、吸気弁のバルブタイミングの変更が開始され、その後、ルーチンが終了する。一方、EGR制御弁の開弁が開始されていないと判別されたときには、ルーチンはステップ203に進む。
ステップ203では、EGR中であるか否かが判別される。ここで、EGR中であると判別されたときには、ルーチンは終了する。一方、EGR中ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ204に進み、吸気弁のバルブタイミングの変更が停止され、その後、ルーチンが終了する。
なお、第2実施形態では、間欠制御の開始後、少なくとも、EGRが開始されてEGR制御弁が開弁され始まるまで、吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止されればよく、たとえば、間欠制御の開始後、EGR制御弁が開弁され始まると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始されてもよいし、間欠制御の開始後、EGRガス量が予め定められたEGRガス量に達するまで、または、間欠制御の開始後、EGRガス率が予め定められたEGR率に達するまで、吸気弁のバルブタイミングの変更が禁止され、EGRガス量が上記予め定められたEGRガス量に達すると同時に、または、EGRガス率が上記予め定められたEGR率に達すると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始されてもよい。
なお、上記予め定められたEGRガス量は、目標EGRガス量よりも少ない量であってもよいし、目標EGRガス量に等しい量であってもよい。また、上記予め定められたEGR率は、目標EGR率よりも小さい値であってもよいし、目標EGR率に等しい値であってもよい。
また、間欠制御の開始後、EGR制御弁が開弁され始まると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始される場合、吸気弁のバルブタイミングが即座に目標バルブタイミングに変更されてもよいが、EGRガス量が目標EGRガス量に達するまでに、または、EGR率が目標EGR率に達するまでに吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングに到達するように、吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングまで徐々に変更されることが好ましい。より具体的には、図8に示されているように、EGRガス量Aegrが目標EGRガス量Aegrtに達するまで(図8の時刻T2)に、または、EGR率Regrが目標EGR率Regrtに達するまで(図8の時刻T2)に吸気弁のバルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに到達するように、吸気弁のバルブタイミングVTがEGRガス量Aegrの変化またはEGR率Regrの変化に応じて目標バルブタイミングVTtまで徐々に変更されることが好ましい。これによれば、EGRガス量が目標EGRガス量に近づくにつれ、あるいは、EGR率が目標EGR率に近づくにつれ、吸気弁のバルブタイミングの変更量が大きくなることから、燃焼室内における燃料の燃焼がより確実に安定し、内燃機関の燃費を高く維持することが確実となる。なお、図8の時刻T1は、EGR制御弁が開弁され始まった時点である。また、図8において、Degrは「EGR制御弁開度」を表し、Degrtは「目標EGR制御弁開度」を表している。
また、上記予め定められたEGRガス量が目標EGRガス量よりも少ない量である場合、あるいは、上記予め定められたEGR率が目標EGR率よりも小さい値である場合において、間欠制御の開始後、EGRガス量が上記予め定められたEGRガス量に達すると同時に、または、間欠制御の開始後、EGR率が上記予め定められたEGR率に達すると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始される場合、吸気弁のバルブタイミングが即座に目標バルブタイミングに変更されてもよいが、EGRガス量が目標EGRガス量に達するまでに、または、EGR率が目標EGR率に達するまでに吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングに到達するように、吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングまで徐々に変更されることが好ましい。より具体的には、EGRガス量が目標EGRガス量に達するまでに、または、EGR率が目標EGR率に達するまでに吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングに到達するように、吸気弁のバルブタイミングがEGRガス量の変化またはEGR率の変化に応じて目標バルブタイミングまで徐々に変更されることが好ましい。また、この場合、図9に示されているように、吸気弁のバルブタイミングVTの変更が開始された時点(図9の時刻T2)では、目標EGRガス量Aegrtに対するその時点のEGRガス量(すなわち、上記予め定められたEGRガス量)Aegrpの割合または目標EGR率Regrtに対するその時点のEGR率(すなわち、上記予め定められたEGR率)Regrpの割合に応じて吸気弁バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに向かって一気に変更され、その後、EGRガス量Aegrが目標EGRガス量Aegrtに達するまで(図9の時刻T3)に、または、EGR率Regrが目標EGR率Regrtに達するまで(図9の時刻T3)に吸気弁のバルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに到達するように、吸気弁のバルブタイミングVTがEGRガス量Aegrの変化またはEGR率Regrの変化に応じて目標バルブタイミングVTtまで徐々に変更されることが好ましい。これによれば、EGRガス量が目標EGRガス量に近づくにつれ、あるいは、EGR率が目標EGR率に近づくにつれ、吸気弁のバルブタイミングの変更量が大きくなることから、燃焼室内における燃料の燃焼がより確実に安定し、内燃機関の燃費を高く維持することが確実となる。なお、図9の時刻T1は、EGR制御弁が開弁され始まった時点である。また、図9において、Degrは「EGR制御弁開度」を表し、Degrtは「目標EGR制御弁開度」を表している。
また、上記予め定められたEGRガス量が目標EGRガス量に等しい量である場合、あるいは、上記予め定められたEGR率が目標EGR率に等しい値である場合において、間欠制御の開始後、EGRガス量が上記予め定められたEGRガス量に達すると同時に、または、間欠制御の開始後、EGR率が上記予め定められたEGR率に達すると同時に吸気弁のバルブタイミングの変更が開始される場合、吸気弁のバルブタイミングが目標バルブタイミングまで徐々に変更されてもよいが、図10に示されているように、EGRガス量Aegrが上記予め定められたEGRガス量(すなわち、目標EGRガス量)Aegrtに達すると同時(図10の時刻T2)に、または、EGR率Regrが上記予め定められたEGR率(すなわち、目標EGR率)Regrtに達すると同時(図10の時刻T2)に、吸気弁のバルブタイミングVTが即座に目標バルブタイミングVTtに変更されることが好ましい。これによれば、吸気弁のバルブタイミングが即座にEGRガス量またはEGR率に対応したバルブタイミングに変更されることから、内燃機関の燃費を高く維持することが確実となる。なお、図10の時刻T1は、EGR制御弁が開弁され始まった時点である。また、図10において、Degrは「EGR制御弁開度」を表し、Degrtは「目標EGR制御弁開度」を表している。
また、上述した実施形態は、吸気弁のバルブタイミングが変更される場合に本発明を適用した実施形態である。しかしながら、本発明は、排気弁のバルブタイミングが変更される場合にも適用可能である。したがって、本発明は、広く、吸気弁または排気弁のバルブタイミングが変更される場合に適用可能である。