以下、図面と共に通信システム、移動通信装置、移行制御装置、移行制御方法及び移行制御プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る通信システム5の全体構成図である。図1に示すように、通信システム5は、移動通信装置1(移動通信装置)と移行制御装置2(移行制御装置)とSM(Subscription Manager)3(接続情報管理サーバ)と移動体通信網4とを含んで構成される。移動通信装置1は、移動体通信を行う装置であり、具体的には、携帯電話機等に相当する。移動通信装置1には、移動体通信を行う上で必要なeSIM(加入者認証モジュール)が装着されている。このように、eSIMを装着することで移動体通信を行うことができるため、移動通信装置1は携帯電話機に限らず、例えば建設重機やコピー機等、携帯電話機以外の装置であってもよい。移動通信装置1に装着されているeSIMは、その内容を遠隔制御にて書き換えることができる。具体的には、移動通信装置1に装着されているeSIM内に、遠隔制御にて、オペレーショナルプロファイル(Operational Profile、OP、第1の接続情報)やプロビジョニングプロファイル(Provisioning Profile、PP、第2の接続情報)を書き込んだり、削除(あるいは無効化)したりすることができる。
ここで、OPとは、移動体通信網4での移動体通信を行うために必要となる情報である。OPには、移動体通信事業者から提供された契約情報である電話番号やIMSI(International Mobile Subscriber Identity)が含まれる。移動通信装置1は、eSIM内に記憶されたOPを利用することで、対応する移動体通信網4での移動体通信を行うことができる。ここで「対応する移動体通信網4」とは具体的には、OPに含まれている電話番号などの契約情報を提供している移動体通信事業者が管理運営する移動体通信網4である。移動体通信網4は複数あり、移動通信装置1は、それぞれの移動体通信網4においてその移動体通信網4に対応すると共にeSIM11に記憶されているOPを利用することで移動体通信を行うことができる。通常eSIM11には1つあるいは特定の数の移動体通信網4に対応するOPが記憶されている。eSIM11に記憶されていないOPに対応する移動体通信網4とは移動体通信を行うことができない。OPは、移動体通信事業者が管理するサーバ(本実施形態では移行制御装置2)で管理され、適宜、後述のSM3に配布される。
PPとは、移動通信装置1と後述のSM3との間で通信を行うために必要となる情報である。PPには、移動通信装置1とSM3との間の認証鍵が含まれる。移動通信装置1は、eSIM内に記憶されたPPを利用することで、対応するSM3との通信を行うことができる。ここで「対応するSM3」とは具体的には、PPに含まれる認証鍵で通信を行うことができるSM3のことである。なお、SM3は複数あり、それぞれのSM3と移動通信装置1との間の認証鍵が基本的には異なり、SM3と移動通信装置1とは1対1の関係であるため、各SM3に対応する認証鍵を含むPPを利用しないと、当該SM3とは通信を行うことができない。移動通信装置1は、eSIM内に記憶されたPPを利用してSM3との通信を行い、当該通信を介してSM3からOPを取得してeSIM内に記憶し、当該OPを利用して対応する移動体通信網4において移動体通信を行う。なお、PPには移動通信装置1とSM3との間の認証鍵が含まれると説明したが、これに限るものではない。例えば、PPには移動通信装置1とSM3との間の認証鍵が含まれず、PPを送受信等する際にPPと共に当該認証鍵をセットで送受信等して、同様に処理を行ってもよい。
移行制御装置2は、移動体通信事業者が管理するサーバ装置である。移行制御装置2は、移動通信装置1が移動体通信を行う後述の移動体通信網4の移行を制御する。具体的には、図1において、移動体通信網4aにおいて移動体通信を行っている移動通信装置1が、移動体通信網4aとは異なる移動体通信網4bにおいて移動体通信を行えるように、移行制御装置2が移動通信装置1の移行を制御する。本実施形態では、移動体通信事業者Aが移行制御装置2を管理しているものとする。
SM3は、移動体通信網4に応じて設けられ、移動通信装置1が当該移動体通信網4において移動体通信を行うために必要な接続情報を管理する接続情報管理サーバである。SM3は、具体的には、接続情報として、各移動体通信事業者から提供されるOPを格納し、管理する。それぞれのSM3は、予めOPを管理する移動体通信網4が定められており、それらの移動体通信網4と接続されている。SM3と移動体通信網4との間の接続は、移動体通信網4を集約するサーバ装置(例えば、SM3を管理する事業者やそれと提携する事業者によって設けられる)を介して行われてもよい。また、SM3は、移動通信装置1と通信を確立し、移動通信装置1に対してOPの書き込みや削除や無効化を指示する。例えば、SM3は、移動体通信事業者とは異なる事業者や団体(一例として、eSIM製造販売業者)が管理運営を行うが、特定の移動体通信事業者が管理運営を行ってもよい。SM3と移動通信装置1との間の通信は、上述したようにPPが用いられて移動体通信網4を介して行われる。移動通信装置1は、SM3との通信の際に移動体通信網4に接続されるが、SM3との通信のみが許可され、例えば他の移動通信装置1との間の通信等の移動体通信網4から提供される通常の移動体通信機能を利用することができない。また、SM3と移動通信装置1とが通信される際に経由される移動体通信網4は、SM3と接続された任意の移動体通信網4でもよいし、例えばPPにおいて指定された移動体通信網4でもよい。また、SM3は、移行制御装置2と専用線などのネットワークによって接続されており、移行制御装置2との間でOPなどの送受信が可能である。SM3は、具体的にはeSIM規格におけるSM(Subscription Manager)に相当する。図1に示す全体構成図では、SM3aとSM3bの2つの接続情報管理サーバが存在している。なお、異なるSM3は対立するアライアンスであるケースが多く、双方で柔軟な情報共有が行われないことが多い(そのため、異なるSM3間でPPを共通したり融通されたりすることはない)。
移動体通信網4は、移動通信装置1が移動体通信を行うネットワークである。移動通信装置1が移動体通信網4において移動体通信を行うには、当該移動体通信網4に対応するSM3から、通信に必要なOPを取得し、当該OPを利用する必要がある。なお、本実施形態では、SM3に格納されているOPを利用して移動体通信が可能な移動体通信網4を、SM3に属する移動体通信網4と呼ぶ。SM3に属する移動体通信網4は1つ以上あってもよく、それぞれの移動体通信網4は異なる移動体通信事業者が管理していてもよいし、そのうちの一部又は全てを同じ移動体通信事業者が管理していてもよい。図1に示す全体構成図では、SM3a及びSM3bにはそれぞれ4つの移動体通信網4が属している。本実施形態では、移動体通信事業者Aが移動体通信網4a及び移動体通信網4bを管理しているものとする。
以上、通信システム5の全体構成について説明した。なお、本実施形態における以降の説明では、図1に示す通り、移動通信装置1が移行元の移動体通信網4aから移行先の移動体通信網4bに移行を行う際の場面を想定している。なお、ここで言う移行とは、eSIM11に記憶されて移動通信装置1による移動体通信に用いるOPを移動体通信網4a用のものから、移動体通信網4b用のものに変更することを言う。また、移行元の移動体通信網4aに対応するSM3aと、移行先の移動体通信網4bに対応するSM3bとは互いに異なるものである。この場合、eSIM11には、移動体通信網4b用のOPは記憶されておらず、また、SM3bと通信を行うためのPPは記憶されていない。
この場面の具体例としては、移動体通信事業者Aが移動体通信網4aを提供しており、同じく移動体通信事業者Aが移動体通信網4aとは機能が異なる移動体通信網4bを提供しており、移動体通信網4aを利用している移動通信装置1のユーザが、移動体通信網4bを利用したい場合が挙げられる。その他の具体例としては、移動体通信網4aのサービス提供地域Mと移動体通信網4bのサービス提供地域Nが物理的に離れており(例えば異なる国)、移動通信装置1のユーザがサービス提供地域Mからサービス提供地域Nに移動した際に、移動先のサービス提供地域Nにおいても移動体通信事業者Aが提供するサービスを受けたい場合が挙げられる。
続いて、移動通信装置1、移行制御装置2及びSM3の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る移動通信装置1、移行制御装置2及びSM3の構成を示す機能ブロック図である。図2に示す通り、移動通信装置1は、装着部10(装着手段)、eSIM11、移行要求送信部12(移行要求送信手段)、PP受信部13(第1の受信手段)、OP削除部14(接続情報削除手段)、及びOP受信部15(第2の受信手段)を含んで構成される。また、移行制御装置2は、移行要求入力部20(移行要求入力手段)、PP送信部21(第1の送信手段)、OP削除指示部22、OP取出指示部23、OP送信部24(第2の送信手段)、及びOP登録指示部25を含んで構成される。SM3は、OP削除指示部30、OP取出部31、OP受信部32、及びOP登録指示部33を含んで構成される。
移動通信装置1、移行制御装置2及びSM3の各構成について説明する前に、移動通信装置1が移行元の移動体通信網4aから移行先の移動体通信網4bに移行を行う際の処理の流れの概要について簡単に説明する。移動体通信網4a用のOPを利用して移動体通信を行っている移動通信装置1が、移動体通信網4bに移行する際に、まず現在の移動体通信網4aを介して移動体通信網4b用のPPを受信する。そして移動体通信網4a用のOPを削除(あるいは無効化)し、受信した移動体通信網4b用のPPを用いてSM3bと通信を行い、SM3bから移動体通信網4b用のOPを受信し、受信した移動体通信網4b用のOPを利用して移動体通信網4bにて移動体通信を行う。
まず、移動通信装置1の各構成について説明する。
装着部10は、後述のeSIM11を装着する手段である。装着部10は、eSIM11を物理的に取り外すことができるように着脱可能な仕組みで装着してもよいし、eSIM11を物理的に取り外せないように、移動通信装置1に埋め込むなど着脱不可能な仕組みで装着してもよい。
eSIM11は、その内容を遠隔制御にて書き換えることができる加入者認証モジュールである。eSIM11は、移動体通信網4に応じた当該移動体通信網4による移動体通信を行うために必要であるOP、及び移動体通信網4に応じて設けられると共にOPの書き換え制御を行うSM3との間で通信を行うために必要なPPを記憶する。なお、PPは移動体通信事業者が提供するものであり、PPを利用した通信は、当該移動体通信事業者が提供する移動体通信網4を利用する。
移行要求送信部12は、移動通信装置1が移動体通信を行う移動体通信網4の移行の要求に関する情報である移行要求を、移行制御装置2に送信する手段である。移行要求送信部12が送信する移行要求には、例えば、移行の主体である当該移動通信装置1に装着されたeSIM11の識別情報(番号)、移行元の移動体通信網4の識別情報、及び移行先の移動体通信網4の識別情報を含む。移行要求に含まれる情報は移動通信装置1に予め記憶されていても良いし、移動通信装置1のユーザが適宜入力しても良い。移行要求送信部12が送信する移行要求は、移動通信装置1のユーザが指定して作成しても良いし、移動通信装置1あるいは移動通信装置1内にて起動しているアプリケーションなどが作成しても良い。移行要求送信部12は、移行要求の送信先である移行制御装置2を決定する際に、例えば、移動通信装置1が現在移動体通信を行っている移動体通信網4を管理する移動体通信事業者をOPなどを参照することで特定し、移動通信装置1内に予め記憶された移動体通信事業者ごとの移行制御装置2の宛先リストを参照することで、送信先を決定する。移行要求送信部12は、移動通信装置1が現在移動体通信を行っている移動体通信網4を介して、後述の移行制御装置2の移行要求入力部20に移行要求を送信する。
PP受信部13は、装着部10によって装着されたeSIM11に記憶されたOPに係る移動体通信網4を介して、当該移動体通信網4とは異なる移行先の移動体通信網4に応じたSM3に係るPPを受信して、当該eSIM11に記憶させる。図1の構成図の例を元に具体的に説明すると、PP受信部13は、装着部10によって装着されたeSIM11に記憶されたOPに係る移動体通信網4aを介して、移行先の移動体通信網4bに応じたSM3bに係るPPを受信して、当該eSIM11に記憶させる。なお、PP受信部13が受信するPPの送信元は、後述の移行制御装置2のPP送信部21である。また、PP受信部13は、移行要求送信部12による移行要求の送信の応答として、PPを受信しても良い。PP受信部13がPPを受信した時点では、PPは非アクティブの状態(当該PPを用いてSM3との通信が行えない状態)であり、受信後に、PP受信部13がPPをアクティブの状態(当該PPを用いてSM3との通信が行える状態)に変更する。なお、SM3aに属する移動体通信網4aのOPが格納されている状態(アクティブ状態)では、SM3aとは異なるSM3bのPPを通常PPを格納する領域に記憶できない場合がある。その場合は、eSIM11において移動体通信事業者が自由に読み書き可能な領域(自由領域)に記憶されたプロファイル情報の中にSM3bに係るPPに記憶させることとしてもよい。また、PP受信部13は、移行先の移動体通信網4bに応じたSM3bに係るPPをeSIM11に記憶させる際に、すでにeSIM11に記憶していた移行元の移動体通信網4aに応じたSM3aに係るPPを削除してもよいし、無効化して記憶しておいてもよい。
OP削除部14は、eSIM11に記憶されたOPの削除を指示する情報である削除指示を受信し、当該OPを削除する手段である。なお、OP削除部14は、eSIM11に記憶されたOPに係る移動体通信網4を介して、当該OPの送信元であるSM3のOP削除指示部30から送信された削除指示を受信する。また、OP削除部14は、実際にはOPを削除せずに、無効化して記憶しておいてもよい。
OP受信部15は、PP受信部13によって受信されて装着部10によって装着されたeSIM11に記憶されたPPを用いて、移行先の移動体通信網4に応じたSM3と通信を行って、当該移行先の移動体通信網4に係るPPを受信して、当該eSIM11に記憶させる手段である。図1の構成図の例を元に具体的に説明すると、OP受信部15は、eSIM11に記憶された、SM3bに接続するためのPPを用いて、SM3bと通信を行って、移動体通信網4bに係るPPを受信して、eSIM11に記憶させる。これにより、移動通信装置1は、eSIM11に記憶された移動体通信網4bに係るPPを用いて移動体通信網4bにおける移動体通信を行うことが可能となる。
以上、移動通信装置1の各構成について説明した。続いて、移行制御装置2の各構成要素について説明する。
移行要求入力部20は、移動通信装置1が移動体通信を行う移動体通信網4の移行要求を入力する手段である。移行要求入力部20は、移行制御装置2の管理者などが指定した移行要求を入力しても良いし、移動通信装置1の移行要求送信部12や外部のサーバなどから送信された移行要求を入力しても良い。本実施形態では、移行要求入力部20は、移動通信装置1の移行要求送信部12から送信された移行要求を入力するものとする。この場合、移行要求入力部20は、移動通信装置1の移行要求送信部12が移行要求を送信する際に利用した、移動通信装置1が現在移動体通信を行っている移動体通信網4を介して、移行要求を入力する。移行要求入力部20により入力された移行要求に含まれる情報、すなわち移行の主体である当該移動通信装置1に装着されたeSIM11の識別情報、移行元の移動体通信網4の識別情報、及び移行先の移動体通信網4の識別情報などは、移行制御装置2内に記憶され、移行制御装置2に含まれる各構成要素の後続の処理において適宜参照されてeSIM11、移行元の移動体通信網4及び移行先の移動体通信網4の特定に利用される。また、これらの情報については、適宜SM3等との間で送受信される情報に含められ、SM3においても同様にeSIM11、移行元の移動体通信網4及び移行先の移動体通信網4の特定が行われる。なお、移行制御装置2と移動通信装置1との間の通信等に基づき特定できる情報がある場合(例えば、移行元の移動体通信網4)には、必ずしも移行要求に情報を含める必要はない。また、移行制御装置2では、移動体通信網4とSM3との対応関係を把握しており、移動体通信網4から当該移動体通信網4に対応するSM3を特定することができる。あるいは、移行元の移動体通信網4及び移行先の移動体通信網4にそれぞれ対応するSM3の識別情報が、移行要求に含めるようにしておき、識別情報からそれぞれのSM3を特定することとしてもよい。
PP送信部21は、移行要求入力部20によって入力された移行要求の送信元である移動通信装置1(eSIM11)に対して、移行元の移動体通信網4を介して、移行先の移動体通信網4に応じたSM3に係るPPを送信する。図1の構成図の例を元に具体的に説明すると、PP送信部21は、移動通信装置1(eSIM11)に対して、移動体通信網4aを介して、移動体通信網4bに応じたSM3bに係るPPを送信する。PP送信部21が送信するSM3bに係るPPは、例えば、予め移行制御装置2においてSM3ごとに記憶されており、移行要求入力部20によって特定された移行先の移動体通信網4に対応するSM3に基づいてPP送信部21により決定される。
OP削除指示部22は、移動通信装置1のeSIM11に記憶された移行元の移動体通信網4aに対応するOPを削除する指示情報である削除指示を送信する手段である。OP削除指示部22は、PP送信部21によって送信されたPPが、移動通信装置1のPP受信部13によって受信され、当該移動通信装置1のeSIM11に記憶されたのを判定した(例えば、当該記憶が無事完了した旨のACKを移動通信装置1から受信した)後に、削除指示を送信する。OP削除指示部22は、後述のSM3(SM3a)のOP削除指示部30に削除指示を送信する。OP削除指示部22は、PP送信部21が送信したPPの宛先である移動通信装置1(eSIM11)に対して、削除指示を送信する。
OP取出指示部23は、SM3で管理されているeSIM11用の移行元の移動体通信網4aに対応するOPを移行制御装置2側に取り出す指示情報である取出指示を、後述のSM3のOP取出部31に送信する手段である。OP取出指示部23が送信する取出指示には、取り出すOPの識別情報又はeSIM11の識別情報が含まれている。OP取出指示部23は、取出指示を送信した応答として、SM3からOPを受信し、移行制御装置2内に記憶させる。
OP送信部24は、移行要求入力部20によって入力された移行要求に係る移動通信装置1(eSIM11)についての移行先の移動体通信網4に係るOPを生成して、移行先の移動体通信網4に応じたSM3に送信する手段である。図1の構成図の例を元に具体的に説明すると、OP送信部24は、移動体通信網4bに係るeSIM11用のOPを生成して、SM3bに送信する。OP送信部24は、OP取出指示部23によって移行制御装置2内に記憶されたOPに基づいて、移動体通信網4に係るOPを生成する。また、OP送信部24は、生成したOPを、後述のSM3のOP受信部32に送信する。なお、OPの生成については従来技術を用いて行う。
OP登録指示部25は、移動通信装置1のeSIM11に対して、SM3に格納されているOPを登録する(OPをeSIM11に記憶させる)指示情報である登録指示を送信する手段である。具体的には、OP登録指示部25は、OP送信部24によって送信されたOPを受信したSM3における後述のOP登録指示部33に、当該OPを登録する旨の登録指示を送信する。登録指示には、OPの登録先である移動通信装置1のeSIM11の識別情報と、登録するOPの識別情報が含まれる。なお、OP登録指示部25は、登録指示に含まれる登録先の移動通信装置1を、移行要求入力部20によって入力された移行要求に含まれるeSIM11の識別情報に基づいて決定する。
以上、移行制御装置2の各構成について説明した。なお、移行制御装置2は、上述の各構成の一部処理を代行する制御部(不図示)を備えてもよい。続いて、SM3の各構成要素について説明する。
OP削除指示部30は、移行制御装置2のOP削除指示部22によって送信された削除指示を受信し、受信した削除指示に含まれるeSIM11の識別情報に基づいて宛先である移動通信装置1を判定し、受信した削除指示を当該移動通信装置1のOP削除部14に送信する。
OP取出部31は、移行制御装置2のOP取出指示部23によって送信された取出指示を受信し、受信した取出指示に含まれるOPの識別情報が示すOP、又は受信した取出指示に含まれるeSIM11の識別情報に対応するOPを、各OPを記憶管理しているSM3の記憶部(不図示)から削除し、当該OPを取出指示の送信元である移行制御装置2に送信する手段である。なお、SM3にはeSIM11の識別情報と当該eSIM11に記憶されているOPとの対応表が記憶されており、OP取出部31は当該対応表を参照することで、eSIM11の識別情報から対応するOPを抽出することができる。
OP受信部32は、移行制御装置2のOP送信部24から送信されたOPを受信し、上述のSM3の記憶部に記憶する手段である。
OP登録指示部33は、移行制御装置2のOP登録指示部25から送信された登録指示を受信し、登録指示に含まれるOPの識別情報に対応するOPを上述の記憶部から取得し、取得したOPを、登録指示に含まれるeSIM11の識別情報に対応する移動通信装置1のOP受信部15に対して送信する。
以上、SM3の各構成について説明した。続いて、移動通信装置1、移行制御装置2及びSM3のハードウェア構成について説明する。
図3に移動通信装置1のハードウェア構成を示す。図3に示すように、移動通信装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、入力デバイスである操作部104、データ送受信デバイスである無線通信部105、出力デバイスであるディスプレイ106、及びアンテナ107等のハードウェアにより構成されている。なお、移動通信装置1は、ハードウェアとして、上述の通り、装着部10及びeSIM11も備える。また、ディスプレイ106は必須構成要素ではない。これらの構成要素が動作することにより、図2に示した移動通信装置1の各構成要素の機能が発揮される。
図4に移行制御装置2のハードウェア構成を示す。図4に示すように、移行制御装置2及びSM3は、CPU201、主記憶装置であるRAM202及びROM203、データ送受信デバイスである通信モジュール204、及び記憶デバイスである補助記憶装置205等のハードウェアにより構成されている。なお、これらの構成要素が動作することにより、図2に示した移行制御装置2及びSM3の各構成要素の機能が発揮される。
SM3のハードウェア構成は、図4に示す移行制御装置2のハードウェア構成と同様のため説明を省略する。移行制御装置2と同様に、ハードウェアの構成要素が動作することにより、図2に示したSM3の各構成要素の機能が発揮される。
続いて、図5のシーケンス図を用いて、本実施形態に係る通信システム5で実行される処理(移行制御方法)を説明する。図5に示すシーケンスを進めていく前提として、図1に示す全体構成図において、移動通信装置1のeSIM11には移動体通信網4a用のOPが記憶されており、移動通信装置1は当該OPを利用して移動体通信網4aにて移動体通信を行っており、これから移動体通信網4bに移行する場面を想定している。
まず、移動通信装置1の移行要求送信部12により、移動体通信網4bへの移行要求が移行制御装置2に送信され、送信された移行要求が、移行制御装置2の移行要求入力部20により入力(受信)される(S1、移行要求入力ステップ)。次に、PP送信部21により、移動通信装置1の移行先である移動体通信網4bに応じたSM3b用のPPを移動通信装置1に送信し(第1の送信ステップ)、送信されたSM3b用のPPが、移動通信装置1のPP受信部13により受信される(S2、第1の受信ステップ)。次に、移動通信装置1のPP受信部13により、受信されたSM3b用のPPがeSIM11に記憶(登録)される(S3)。S3にてSM3b用のPPの登録が完了すると、PP受信部13により、登録が完了した旨のACKが移行制御装置2に送信される(S4)。
次に、移行制御装置2のOP削除指示部22により、移動通信装置1のeSIM11に記憶されている移動体通信網4a用のOPの削除指示がSM3aに送信され(S5)、SM3aのOP削除指示部30により、当該削除指示が移動通信装置1のOP削除部14に送信される(S6)。次に、移動通信装置1のOP削除部14により、受信した削除指示にて指定された移動体通信網4a用のOPがeSIM11から削除される(S7)。S7にて移動体通信網4a用のOPの削除が完了すると、OP削除部14により、削除が完了した旨のACKがSM3aを介して移行制御装置2に送信される(S8及びS9)。また、S7にて移動体通信網4a用のOPの削除が完了すると、移動通信装置1のeSIM11内にて、S3にて登録されたSM3b用のPPがアクティブ状態となり、SM3bとの通信を行えるようになる(S10)。
次に、移行制御装置2のOP取出指示部23により、移動体通信網4a用のOPの取出指示がSM3aに送信される(S11)。送信された取り出し指示は、SM3aのOP取出部31により受信され、SM3aのOP取出部31により、SM3aの記憶部に記憶されている移動体通信網4a用のOPが取り出され(S12)、移行制御装置2に送信され、送信された移動体通信網4a用のOPが移行制御装置2のOP取出指示部23により受信される(S13)。次に、移行制御装置2のOP送信部24により、S13にて受信された移動体通信網4a用のOPに基づいて移動体通信網4b用のOPが生成され、SM3bに送信される(S14、第2の送信ステップ)。次に、SM3bのOP受信部32は、送信された移動体通信網4b用のOPを受信し、SM3bの記憶部に記憶(登録)する(S15)。
次に、移行制御装置2のOP登録指示部25により、移動体通信網4b用のOPの登録指示がSM3bに送信される(S16)。次に、SM3bのOP登録指示部33により、S16にて送信された登録指示を受信し、登録指示に基づいて記憶部から移動体通信網4b用のOPを取得し、移動通信装置1に送信する(S17)。次に、移動通信装置1のOP受信部15により、S17にて送信された移動体通信網4b用のOPが受信され、移動通信装置1のeSIM11に記憶(登録)される(S18、第2の受信ステップ)。S18にて移動体通信網4b用のOPの登録が完了すると、OP受信部15により、登録が完了した旨のACKがSM3bを介して移行制御装置2に送信される(S19及びS20)。以上が図5に示すシーケンスの説明である。
上述したように、本実施形態では、移行要求に基づいて、移動通信装置1のPP受信部13により、装着部10によって装着されたeSIM11に記憶されたOPに係る移動体通信網4aを介して、移動体通信網4aとは異なる移行先の移動体通信網4bに応じたSM3bに係るPPが受信され、eSIM11に記憶される。そして、移動通信装置1のOP受信部15により、当該PPを用いてSM3bと通信が行われ、移行先の移動体通信網4bに係るOPが受信され、eSIM11に記憶される。つまり、移動通信装置1は、移行元の移動体通信網4aを介して、予め移行先の移動体通信網4bに応じたSM3bと通信を行うためのPPを取得し、当該PPを用いて対応するSM3bと通信を行い、移行先の移動体通信網4bで移動体通信を行うためのOPを受信する。それにより、移動通信装置1は移行先の移動体通信網4bで移動体通信を行うことができるようになる。このように、ユーザの特別な介入を伴うことなく、SMスワップをより効率的に行うことができる。
移動通信装置1は、移動体通信を行う移動体通信網4の移行要求を送信する移行要求送信部12をさらに備え、移行制御装置2の移行要求入力部20は、移動通信装置1の移行要求送信部12によって送信された移行要求を入力することとしてもよい。この構成によれば、移動通信装置1側の移行要求に基づいて移行を行うことが可能となるため、移動通信装置1側の任意のタイミングで移行を行うことができる。
移動通信装置1は、装着部10によって装着されたeSIM11に記憶されたOPを削除するOP削除部14をさらに備えることとしてもよい。この構成によれば、例えば、OPに係る移動体通信網4での移動体通信が不要になった際に、当該OPを確実に削除することができる。
引き続いて、上述した一連の移動通信装置1による処理をコンピュータに実行させるための移行制御プログラム70を説明する。図6に示すように、移行制御プログラム70は、コンピュータに挿入されてアクセスされる、あるいはコンピュータが備える記録媒体60に形成されたプログラム格納領域61内に格納される。より具体的には、移行制御プログラム70は、移動通信装置1が備える記録媒体60に形成されたプログラム格納領域61内に格納される。
移行制御プログラム70は、移行要求送信モジュール700と、PP受信モジュール701と、OP削除モジュール702と、OP受信モジュール703とを備えて構成される。移行要求送信モジュール700と、PP受信モジュール701と、OP削除モジュール702と、OP受信モジュール703とを実行させることにより実現される機能は、上述した移動通信装置1の移行要求送信部12と、PP受信部13と、OP削除部14と、OP受信部15との機能とそれぞれ同様である。
なお、移行制御プログラム70は、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記録(インストールを含む)される構成としてもよい。また、移行制御プログラム70の各モジュールは、1つのコンピュータでなく、複数のコンピュータのいずれかにインストールされてもよい。その場合、当該複数のコンピュータによるコンピュータシステムよって上述した一連の移行制御プログラム70の処理が行われる。
続いて、上述した一連の移行制御装置2による処理をコンピュータに実行させるための移行制御プログラム90を説明する。図7に示すように、移行制御プログラム90は、コンピュータに挿入されてアクセスされる、あるいはコンピュータが備える記録媒体80に形成されたプログラム格納領域81内に格納される。
移行制御プログラム90は、移行要求入力モジュール900と、PP送信モジュール901と、OP削除指示モジュール902と、OP取出指示モジュール903と、OP送信モジュール904と、OP登録指示モジュール905とを備えて構成される。移行要求入力モジュール900と、PP送信モジュール901と、OP削除指示モジュール902と、OP取出指示モジュール903と、OP送信モジュール904と、OP登録指示モジュール905とを実行させることにより実現される機能は、上述した移行制御装置2の移行要求入力部20と、PP送信部21と、OP削除指示部22と、OP取出指示部23と、OP送信部24と、OP登録指示部25との機能とそれぞれ同様である。
なお、移行制御プログラム90は、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記録(インストールを含む)される構成としてもよい。また、移行制御プログラム90の各モジュールは、1つのコンピュータでなく、複数のコンピュータのいずれかにインストールされてもよい。その場合、当該複数のコンピュータによるコンピュータシステムよって上述した一連の移行制御プログラム90の処理が行われる。