JP5721433B2 - 核酸と直接的または間接的に会合するタンパク質因子の単離 - Google Patents

核酸と直接的または間接的に会合するタンパク質因子の単離 Download PDF

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Description

本発明は、核酸配列、特にゲノムDNAおよびクロマチンと会合するタンパク質およびポリペプチド因子についてのアッセイに関する。さらに、本アッセイにより同定された新規なクロマチン会合因子が提供される。
エピジェネティクス(後成学)は、細胞もしくは多細胞生物からその子孫への情報の伝播であって、その情報が遺伝子のヌクレオチド配列内でコード化されない伝播に関する。後成学的メカニズムは、DNAの化学修飾を通して、またはDNAと会合しているタンパク質およびポリペプチドへの翻訳後修飾を通して機能することができる。
真核細胞のゲノム内では、DNAは、遺伝子発現の調整、DNAのパッケージングおよび複製の制御を支援するタンパク質複合体と会合している。ゲノムと会合している無数のタンパク質は、大多数の真核細胞の核内に存在する、クロマチンと命名されている核物質に関与する。細胞周期における相違する時点には、ゲノムDNAのパッケージング(または凝縮)のレベルは、例えばDNAの複製中(S期)などの低パッケージ化状態とゲノムが染色体内にパッケージ化される細胞分割中(M期)などの高凝縮状態とで相違する可能性がある。高度に発現した遺伝子もまた低パッケージング状態(いわゆる真正染色質状態)で存在する傾向があるが、他方不活性化された遺伝子は高パッケージング状態(いわゆる異質染色質状態)で存在する。凝縮、凝縮状態の維持、およびヘテロクロマチン(異質染色質)からユークロマチン(真正染色質)への移行の相対状態は、ほとんどが複数の特殊タンパク質およびポリペプチド複合体によって媒介されると考えられている。
基礎レベルでは、クロマチンの大多数の「オープン」形もしくは真正染色質形は、一緒にヌクレオソームを形成する1オクテットのヒストンタンパク質が巻き付けられている短い区間のゲノムDNAを含んでいる。ヌクレオソームは、一列に配列されて数珠玉(beads−on−a−string)構造を形成している。隣接ヌクレオソーム間の相互作用は、より高度に規則的なクロマチン構造の形成を可能にする。ヒストンの翻訳後修飾を触媒する酵素、または物理的に相互作用してこれらのヒストンを一緒に固定することに役立つ構造的タンパク質によって媒介され得るのは、これらの相互作用である。
クロマチンの組織化および安定性への後成的制御は、細胞が正常かつ健常に機能するために不可欠である。異常な後成的修飾およびクロマチン安定性の低下は、老化細胞、アポトーシス細胞もしくは罹患細胞、特にがん細胞において見られることが多い。後成的活性を示すことのできる多数のタンパク質およびポリペプチド、ならびにクロマチンおよびクロマチン会合タンパク質と相互作用できる因子を同定して特性付けることは相当に重要である。さらにまた、特にクロマチン生物学を全体としてより明確に理解することを促進するために、新規なクロマチン会合因子を同定して特性付けることには極めて重要な価値がある。
従来法では、クロマチンに会合したタンパク質の単離は、クロマチン免疫沈降法(ChIP)を実施することによって達成されてきた。典型的なChIPアッセイでは、クロマチン結合タンパク質は、インビボ(生体内)でホルムアルデヒドを用いてDNAへ架橋結合させられる。その後クロマチンは、小さなフラグメントにせん断され、精製される。精製されたクロマチンフラグメントは、免疫沈降法によって複合体を単離できるように、公知の標的クロマチン結合タンパク質に特異的である抗体を用いて精査される。沈降したクロマチンは、それによって配列分析のためにDNAを遊離させるように、架橋結合を逆転させるために処理される。架橋結合によってプルダウン(pull down)された付随的会合タンパク質を調査することは可能であるが、この方法は1つのゲノム領域には限定されず、このためには最適化されていない。ChIPを実施するためのプロトコールは、Nelson et al.(Nature Protocols(2006)1:179−185)およびCrane−Robinson et al.(Meth.Enzym.(1999)304:533−547)に開示されている。
ChIPに基づく技術に関する重要な欠点は、所与の配列については、その配列に会合した少なくとも1つの特定タンパク質が既知でなければならないことである。したがって、規定の標的核酸配列と直接的または間接的に会合するタンパク質因子を単離する方法が必要とされる。実質的に、抗原によって駆動されるのではなく核酸配列によって駆動されるクロマチン会合タンパク質またはポリペプチドを単離する方法が必要である。さらに、ChIPでは、免疫沈降の欠如は必ずしも被験因子の欠如を反映する訳ではないので、この技術を用いた場合には常に偽陰性の結果が生じる危険性が存在する。
本発明は、当分野におけるこれらの欠点を、所与の標的核酸配列と直接的または間接的に会合するタンパク質因子を単離するための新規な方法を提供することによって克服する。詳細には、本発明の方法は、新規なクロマチン結合タンパク質およびポリペプチドを単離することに関する上述の問題を克服する。
本発明の第1態様では、標的核酸配列と会合している1つ以上のポリペプチドを単離するための方法であって、
(a)標的核酸配列と、該標的核酸配列と会合している1つ以上のポリペプチドとを含むサンプルを入手するステップと、
(b)該サンプルと、該標的核酸配列の少なくとも一部分に相補的でありハイブリダイズすることのできる配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブとを接触させるステップと、ここで、該オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つのロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つの親和性標識をさらに含み、
(c)該少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブと該標的核酸配列とがプローブ−標的ハイブリッドを形成できるように相互にハイブリダイズさせるステップと、
(d)該少なくとも1つの親和性標識に対して結合する分子を介して該プローブ−標的ハイブリッドを固定化することによって、該プローブ−標的ハイブリッドを該サンプルから単離するステップと、
(e)該標的核酸配列と会合している該1つ以上のポリペプチドを溶出させるステップとを含む方法を提供する。
核酸配列は他の遺伝子座から特異的クロマチン遺伝子座を識別する普遍的手段を提供するものであるので、本発明は、核酸ハイブリダイゼーションアプローチを精製戦略のための基礎として利用してきた。よって、クロマチンに適用された場合は、本方法は、特異的クロマチン領域の単離およびそれらの遺伝子座に結合したタンパク質のその後の同定を可能にする。重要なタンパク質−タンパク質およびタンパク質−核酸相互作用が精製手順中に維持されるため、本発明者らは、完全クロマチンのプロテオミクス(PICh)としてのクロマチンとともに使用するために適用した場合の本発明の極めて広汎な態様について言及してきている。
典型的に、標的核酸配列は、真核または原核細胞核酸(例えば、RNAもしくはDNA)を含んでいる。適切には、真核細胞DNAは哺乳動物DNAであり、場合により標的核酸配列はクロマチン内に含まれている。後者の場合には、有益にも、本発明の方法は、個別に、または多因子複合体の一部として、DNAと会合しているポリペプチドを単離することができる。
本発明の方法の特定の実施形態では、標的核酸配列と会合している該1つ以上のポリペプチドは、該1つ以上のポリペプチドの架橋結合を生じさせる条件に曝される。この架橋ステップは、オリゴヌクレオチドプローブにサンプルを曝露させるステップの前(すなわち、ステップ(b)の前)に行われ、その架橋結合は、該1つ以上のポリペプチドを溶出させるステップの前(すなわち、ステップ(e)の前)に脱架橋される。場合により、本発明の方法は、該溶出された1つ以上のポリペプチドの同一性を決定するために分析するステップをさらに追加する。分析は、当分野において公知の、任意の数の技術によって行うことができるが、典型的に、高スループットのプロテオミクス分析は質量分析法の構成要素、または抗体マイクロアレイ・スクリーンを含む。
本発明の第2態様は、以下に記載する一般式I:
(式中、Aは長さがn原子のスペーサー基CによってヌクレオチドXに連結された1つ以上の親和性標識を含み;Aはハプテンもしくは免疫タグを含み、ヌクレオチドXは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチドおよびロックされたリボヌクレオチド(LNA)から適切に選択される)に一致する少なくとも1つの基を含むオリゴヌクレオチドプローブを提供する。適切には、ハプテンは、ビオチンもしくはそのアナログ(例えばデスチオビオチン)、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、および/またはジニトロフェノールなどから選択される。本発明の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、本発明の第1および第2基を含むが、該第1基は第1親和性標識Aを含み、該第2基は第2親和性標識A’を含み、このときAおよびA’は同一ではない。
本発明の第3態様は、以下に記載する一般式II:
(式中、Bはn原子の直鎖を含むスペーサー基Cによってオリゴヌクレオチド配列Yに連結された親和性標識であり、該オリゴヌクレオチド配列Yは、10%以上がロックされた核酸ヌクレオチド、典型的にはヌクレオチドの少なくとも25%がロックされた核酸ヌクレオチド、場合によりヌクレオチドの100%までがロックされた核酸ヌクレオチドである少なくとも10個のヌクレオチドを含む)に一致するオリゴヌクレオチドプローブを提供する。場合により、該炭素スペーサー基は、オリゴヌクレオチドプローブの5’ヌクレオチドに結合されている。
本発明の第4態様は、以下に記載する一般式III:
(式中、BおよびB’は長さがn原子のスペーサー基CおよびC’によって各ヌクレオチドZおよびWへ連結された同一もしくは相違する親和性標識を含み、該ヌクレオチドZおよびWは、長さがpヌクレオチドのオリゴヌクレオチド鎖Vによって分離され、このときpは0〜40であり、ヌクレオチドZ、WおよびVは、同一または相違し、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチドおよびロックされたリボヌクレオチド(LNA)から適切に選択される)に一致する基を含むオリゴヌクレオチドプローブを提供する。適切には、該親和性標識は、ビオチンもしくはビオチンもしくはそのアナログ(例えばデスチオビオチン)、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、および/またはジニトロフェノールなどから選択される。本発明の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、ヌクレオチドZが該オリゴヌクレオチドプローブ内の5’ヌクレオチドを表すような一般式IIIの基を含んでいる。
本発明の第5態様は、真核細胞のゲノム内のクロマチンの特異的領域と会合するポリペプチドを同定する方法であって、
(a)該真核細胞内のクロマチンの該特異的領域内に存在する標的核酸配列を同定するステップと、
(b)該特異的領域内に局在するDNA配列の少なくとも一部分と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ配列を構築するステップと、
(c)クロマチンの該特異的領域と会合している1つ以上のポリペプチドを単離できるように上述した方法において該オリゴヌクレオチドプローブを利用するステップと、
(d)クロマチンの該特異的領域と会合するポリペプチドを同定できるように該1つ以上の単離されたポリペプチドを分析するステップとを含む方法を提供する。
本発明の特定の実施形態では、クロマチンの特異的領域はテロメア、セントロメア、ユークロマチン、ヘテロクロマチン、遺伝子間領域、遺伝子、反復配列、異種挿入配列、および統合ウイルスゲノムのうちの1つ以上を含んでいる。典型的には、クロマチンの特異的領域と会合するポリペプチドは、酵素活性についてさらにスクリーニングされる。適切には、クロマチンの特異的領域と会合するポリペプチドは、該標的が何らかの形態の酵素活性を示す場合は、前途有望な薬物標的であると同定される。
本発明のまた別の態様は、後成的活性の調節因子についてのスクリーニング法であって、
上述の方法にしたがって真核細胞のゲノム内でクロマチンの特異的領域と会合すると同定されるポリペプチドを単離するステップと、
該単離されたポリペプチドを化合物のライブラリー由来の1つ以上の化合物と接触させるステップと、
該単離されたポリペプチドに結合してポリペプチドの活性を調節する化合物を後成的活性の調節因子であると同定するステップとを含む方法を提供する。
本発明の特定の実施形態では、該単離されたポリペプチドは、Hint2、GMPシンターゼ、Pri2、Fen1、USP7、TIF1−β、Pin−1、AuroraキナーゼB、USP1およびMTA1のうちの1つから選択される。これらの特異的標的については、以下でより詳細に記載する。
本発明のまた別の態様は、ポリペプチドの生物活性を特性付ける方法であって、
上述の方法にしたがって真核細胞のゲノム内でクロマチンの特異的領域と会合すると同定されるポリペプチドを単離するステップと、
該ポリペプチドについての核酸配列を入手するステップと、
該ポリペプチドについての該核酸配列の全部もしくは一部に相補的であるアンチセンス核酸配列を生成するステップと、
該真核細胞内の該ポリペプチドの発現を減少させられるように該アンチセンス核酸配列を真核細胞内へ導入するステップと、
該ポリペプチドの該生物活性を決定できるように、該真核細胞の表現型を分析するステップとを含む方法を提供する。
適切には、該アンチセンス核酸配列はsiRNAオリゴヌクレオチド(またはshRNAなどの前駆体)を含むことができる。該真核細胞は、哺乳動物細胞であってよい。適切には、該アンチセンス核酸配列を真核細胞内へ導入するステップは、該真核細胞内の該ポリペプチドの発現を減少させるためである。これは、該アンチセンス核酸配列をコードする異種配列を該真核細胞のゲノム内へ挿入し、それによって当分野において公知である組換え技術(例えば、遺伝子ターゲティング/相同組換え)によってトランスジェニック細胞を生成することによって達成できる。場合により、真核細胞は、例えば真核幹細胞などの多能性幹細胞である。そのような方法は、「ノックアウト」マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物の産生を可能にする。
本発明の方法の1つの実施形態の図である。 2つの相違するタイプのがん細胞間で一般に保持されている、本発明の方法によって同定された新規なテロメアクロマチン会合ポリペプチド因子の比率を示すグラフ表示である。円の中の数は規定細胞タイプにおいて同定された新規なテロメアクロマチン会合ポリペプチド因子の数を示している。 形質変換されたヒト線維芽細胞系において新規なテロメアクロマチン会合因子であるCOUP−TF2をノックダウンする実験の結果を示す図である。PML抗体(PML)は、細胞内のPML体の場所を示している。RAP1抗体は、細胞内のテロメアの場所を示している。マージ画像は、テロメア(RAP1)がCOUP−TF2 shRNAの存在下ではPML体(PML)の位置を局在化しないことを示している。
本明細書で言及した全ての参考文献は、全体として参照して組み込まれる。他に規定しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解している意味と同一の意味を有する。本発明は、例えばSambrook et al.(Sambrook et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual;CSHL Press,USA)などの標準の参考書において見いだすことのできる、ある範囲の従来型の分子生物学技術の使用を含んでいる。
本発明の詳細な説明を記載するに当たって、本発明の理解に役立つ多数の用語の定義を提供する。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、自然に生成されたか、または合成手段によってインビトロ(試験管内)で生成されたかに関わらず、ペプチド結合によって結び付けられたアミノ酸残基のポリマーを意味する。長さがおよそ12アミノ酸残基未満のポリペプチドは、典型的に「ペプチド」と呼ばれている。本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、天然型ポリペプチド、前駆体形もしくは前駆タンパク質の産物を意味する。ポリペプチドは、さらにまたグリコシル化、タンパク質分解性切断、脂質化、シグナルペプチド切断、プロペプチド切断、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化、アセチル化、メチル化などを含むことができるがそれらに限定されない成熟もしくは翻訳後修飾もまた受ける。「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。
本明細書で使用する「ポリペプチド複合体」は、一緒に集合して因子の会合単位を形成するタンパク質およびポリペプチドを説明することが意図されている。ポリペプチド複合体のメンバーは、非共有もしくは共有結合によって相互作用することができる。典型的には、ポリペプチド複合体のメンバーは協働して、DNAまたは既にDNAと会合もしくは結合しているポリペプチドおよびタンパク質(すなわち、クロマチン)のいずれかへの結合を可能にする。クロマチン会合ポリペプチド複合体は、細胞状態および細胞周期内での位置に依存して、各々がその複合体と永続的に会合できる、または一時的に会合できる他のポリペプチドと相互作用するために機能する複数のタンパク質および/またはポリペプチドを含むことができる。したがって、特定のポリペプチド複合体は、様々な生理学的条件に応答して、または細胞周期の因子として、様々な発達段階でそれらの構成メンバーが変動する可能性がある。例えば、動物では、公知のクロマチンリモデリング活性を備えるポリペプチド複合体には、Polycomb(ポリコーム)群遺伝子サイレンシング複合体ならびにTrithorax群遺伝子活性化複合体が含まれる。
用語「単離された」は、核酸もしくはポリペプチド配列に適用される場合は、その天然起源生物から取り除かれている配列である。典型的には、単離されたポリペプチドもしくはポリヌクレオチド/核酸分子は、それが産生された環境から取り除かれているが、必ずしも精製されている訳ではない。つまり、単離されたポリペプチドもしくはポリヌクレオチドは、必ずしも100%純粋ではなく、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%純粋であってよい。精製されて単離されたポリペプチドもしくはポリヌクレオチドは、有益には少なくとも80%純粋であり、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%純粋(例えば、99%純粋)である。本発明の状況では、用語「単離された」は、ポリペプチドに適用される場合は、それが天然形、変性形、二量体/多量体形、グリコシル化形、結晶化形、または誘導体化形のいずれであろうと、また別の物理的形態にある同一ポリペプチドを含むことが意図されている。有益には、本発明の核酸分子/ポリヌクレオチド/オリゴヌクレオチド(例えば、核酸プローブ、RNAi分子など)、およびポリペプチド/ペプチド(例えば、抗体またはそれらのフラグメント)は単離され、より有益には精製される。
クロマチンは、大多数の真核細胞の核内に存在するゲノムDNAの凝縮構造である。クロマチンはDNAおよび複数のDNA結合タンパク質ならびに所定のRNAを含んでいる。用語「クロマチン(染色質)」は、この細胞物質が所定の化学染料を用いた染色を維持する容易さ(クロマティシティ)に由来する。クロマチンは主として、塩基性ヌクレオソーム構造を一緒に形成するヒストンタンパク質と会合しているDNAから構成される。ヌクレオソームは、その周囲に長さが146bpの一続きの二本鎖DNAが巻き付けられている1オクテットのヒストンタンパク質を含んでいる。ヒストンH2A、H2B、H3およびH4はヌクレオソームの一部であるが、ヒストンH1は、より高次の構造へ隣接ヌクレオソームと一緒に結合するように作用することができる。より高次の構造への組立ては、DNAのより大きなパッキング、または凝縮を許容する。クロマチンは、凝縮されていない能動的に転写されたDNAおよび凝縮されたDNA各々に対応する2つの主要な状態として、ユークロマチンおよびヘテロクロマチンがみられることがしばしば言及されている。その他の多数のポリペプチドおよびタンパク質複合体は、ユークロマチンおよびヘテロクロマチン状態間の移行を媒介するためにヌクレオソームおよびヒストンと相互作用する。これらの極めて重要なクロマチン会合タンパク質および複合体の多くの同一性および機能的活性は、現時点では未知である。
エピジェネティクス(後成学)は、細胞もしくは多細胞生物からその子孫への情報の伝播であって、その情報が遺伝子のヌクレオチド配列内でコード化されない伝播に関する。後成学的制御は、典型的に、DNAまたはクロマチン構造の化学修飾によって確立される。遺伝子発現は、一部の場合には、DNAと会合している、またはDNAに結合することのできるポリペプチドへの化学基の共有結合によって調節することができる。例えば、ヒストン類のメチル化、SUMO化、リン酸化、ユビキチン化および/またはアセチル化は、これらの後成的修飾が発生しているゲノムの領域内での遺伝子発現の活性化または不活性化をもたらすことができる。後成的修飾は、生物の正常発達における様々な時点に、さらにまた正常細胞からがん性細胞への形質変換中にも発生する可能性がある。そのような修飾は、所定の遺伝子の不活性化もしくは活性化を生じさせることが多い。がんでは、腫瘍細胞の大多数が異常なDNAの後成的インプリントを提示することが明確に証明されている(Feinberg AP & Vogelstein B,(1983)Nature 1(5895):89−92)。
本明細書で使用する用語「がん」は、新生物内に所在する、または新生物に関連する特性を備える組織または細胞を意味する。新生物は、典型的に正常組織および正常細胞からそれらを識別する特性を有している。特にそのような特性には、一定の退生、細胞形態の変化、形状の不規則性、細胞付着性の減少、転移する能力、血管形成のレベル上昇、細胞侵襲性の増大、細胞アポトーシスのレベル減少、および細胞悪性度の全般的増加が含まれるがそれらに限定されない。「がん」に関連する、同義であることの多い用語には、肉腫、がん腫、腫瘍、上皮腫、白血病、リンパ腫、ポリープ、形質転換、新生物などが含まれる。
本発明の1つの実施形態は、特定標的クロマチン部位、遺伝子もしくは一続きの核酸、例えばDNAと会合するタンパク質、ポリペプチドおよびタンパク質複合体を同定するための方法の開発にある。本方法は、プローブ−標的がハイブリダイズした配列の単離を可能にする親和性タグを用いて標識された高特異性核酸プローブを利用する。当該のタンパク質が特異的ゲノム領域に局在するかどうかを決定するために、標準アプローチは、固定された核上で免疫染色法およびDNA蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーション(イムノ−FISH)法を結合してきた。しかし、従来型DNA捕捉/FISHプローブおよび標準FISH試薬を使用して標的クロマチンを回収しようとする以前の試みは、常に極めて低い収率および非特異的タンパク質による高度の汚染に悩まされてきた。本発明の方法は、標的部位に存在する可能性がある、または可能性がないタンパク質のいずれかについての予備知識の必要を伴わずに、規定標的部位での任意および全てのDNAおよび/またはクロマチン会合タンパク質の同定を可能にするという利点を示す。そこで、本発明の方法は、既にDNAに結合している公知のタンパク質抗体標的の存在に依存する、例えばChIPなどの免疫沈降法に基づく技術に比して相当に大きな利点をさらに示す。また、まれであるが、抗体が架橋結合した抗原を定量的に沈降させる場合は、ChIPは、目的のタンパク質を含有する遺伝子座の混合物以外の単一遺伝子座の精製を許容しない。本発明の方法はさらに、クロマチン/DNA会合タンパク質複合体における変化を様々な細胞状態下で同様に監視することもまた可能にする。
図1には本発明の特定の実施形態を概説する。手短には、細胞を固定し、クロマチンを可溶化し、特異的プローブをクロマチンにハイブリダイズさせ、次にハイブリダイズしたクロマチンを磁気ビーズ上で捕捉し、ハイブリッドを溶出させ、タンパク質を同定する。例えばホルムアルデヒドなどの物質を用いた広汎な架橋結合を使用すると、タンパク質−DNAおよびタンパク質−タンパク質相互作用を維持することができる。抗体抗原親和性に基づく戦略とは相違して、核酸ハイブリダイゼーションはイオン性洗剤の存在に非感受性であるので、汚染を制限するために全体を通してこれらの洗剤の使用を可能にする。プローブ−クロマチン相互作用の安定性を増加させるためには、オリゴヌクレオチドを含有するロックされた核酸(LNA)をプローブとして使用するが、これは、LNA残基は塩基のスタッキング(積み重ね)に好都合であり、それによってそれらの融点を有意に増加させる変化したバックボーンを有しているためである(Vester,B.,and Wengel,J.(2004)Biochemistry 43,13233−13241)。クロマチンの固定化後に観察される立体障害(収率にとって有害)を最小限に抑えるために、固定化タグとLNAプローブとの間は極めて長いスペーサー基である。適切なスペーサーには、長鎖脂肪族基が含まれる、またはスペーサーは、例えばMorocho,A.M.et al.(Methods Mol Biol(2005)288,225−240)によって記載されたようなメトキシオキサルアミドおよびスクシンイミド前駆体から合成することができる。最後に、非特異的因子の共溶出は、アビジンに対してより弱い親和性を備えるビオチンアナログであり、ビオチンを用いた競合的な穏和な溶出を許容するデスチオビオチンを用いることによって限定される。
本発明のまた別の特定の実施形態では、テロメラーゼ陽性がん細胞およびALT(テロメアの選択的伸長)がん細胞タイプにおけるテロメア配列と会合しているタンパク質複合体が本発明の方法によって同定された。テロメア配列中に存在して会合していると予想されるタンパク質およびタンパク質複合体に加えて、驚くべき、そして予想外の数の追加のポリペプチドが同定された。一部のポリペプチドは以前にクロマチンと会合すると予想されていなかった公知のタンパク質を含んでいたが、他の公知のクロマチン会合タンパク質はテロメアに局在すると新規に同定された。そこで本発明は、新規なクロマチン会合活性を備えるポリペプチドの同定および単離をさらに提供する。
したがって、本発明はさらに、クロマチン会合活性を有すると新規に同定される、したがって新規な後成的因子として作用する可能性があるサブセットのポリペプチドを提供することにある。本発明は、また別の後成的因子の同定、および重要にも、公知のポリペプチドにおける新規な後成的活性の同定を促進する。
特定の実施形態では、本発明は、それによりゲノム内の規定部位でクロマチンと会合しているポリペプチドおよびタンパク質複合体の構成要素を特性付けることのできる方法を提供する。本発明の方法は、単にDNA結合しているポリペプチドには限定されず、例えばヒストン結合活性を備えるポリペプチドなどの会合したポリペプチドを含むことに留意されたい。
より詳細には、本発明の方法は、親和性標識された核酸プローブ配列が当該のクロマチン標的を含むサンプルの染色体材料の標本に特異的にハイブリダイズする第1ステップを含むことができる。このプローブは、DNA内の規定標的配列とハイブリダイズするように設計される。標的配列は、適切には固有の遺伝子配列、反復配列、またはより高次の構造形成における役割を有することが公知の配列を含むことができる。プローブ配列は、ゲノムDNA内の標的配列だけが結合されるような濃度およびストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で導入される。
プローブは、1つ以上の適切な親和性タグで標識される。親和性タグは、免疫タグもしくはハプテンを含むことができる。例えば、プローブ配列内に含有された1つ以上のヌクレオチドは、(ビオチンもしくは例えばデスチオビオチンなどの適切なビオチンアナログのいずれかを用いて)ビオチン化することができる。また別の親和性標識には、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノールもしくはフルオレセイン、ならびに例えばポリヒスチジン、FLAG、HAおよびMycタグなどの抗原性ペプチド「タグ」を含むことができる。当該のサンプル中において高いコピー数で存在する標的配列については、プローブは、典型的には単一タイプの親和性標識しか含まない。例えば生物のゲノム内の単一コピー配列などの低濃度の標的に対しては、場合により本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、1つより多いタイプのタグを含むことができる。例えば、本発明の1つの実施形態では、真核細胞内の単一コピープロモーター領域に向けられたオリゴヌクレオチドプローブは、デスチオビオチンおよびジゴキシゲニンの両方で標識されたLNAヌクレオチドを含んでいる。本発明のプローブ内への1つより多い親和性タグの包含は、低コピー数標的のためのプロセスの感受性を大きく増加させることができる。
ハイブリダイゼーションステップの前に、分解能を増加させ、プローブ−標的配列ハイブリッドの「プルダウン(pull−down)」を包含している本方法の次のステップを促進するために、クロマチンは、部分的に酵素的に消化されることができる。または、クロマチンは、例えば超音波処理などの物理的方法によって、もしくは物理的および酵素的アプローチの組み合わせによって断片化することができる。
「プルダウン」ステップは、親和性タグに係合し、ハイブリダイズした配列を単離することを可能にする結合成分の使用によって促進される。ビオチン化プローブ配列の場合には、ハイブリダイズした配列の単離は、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロビーズにハイブリダイズした配列を曝露するステップによってインビトロで実行することができる。この方法で、ハイブリダイズした配列はビーズに結合し、単純な微量高速遠心ステップによって溶液から沈降させることができる。または、マイクロビーズが磁場への曝露によってビーズを固定化することを可能にする磁気成分を含むことができる(図1を参照されたい)。また別の単離戦略には、例えばマイクロアレイ支持体もしくはディップスティック(計量棒)などの固体基質上にプローブを含有するLNAの固定化が含まれる。この方法では、「プルダウン」は、表面上の特定領域への局在化によって促進され、これは後に会合したポリペプチドの表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間形質量分析(SELDI−TOF−MS)において使用するために適するように適切に適応させることができる。
精製された、もしくは「プルダウン」されたハイブリダイズした配列は、標的配列に結合している任意の会合したクロマチンポリペプチド、タンパク質およびポリペプチド複合体と一緒に標的配列にハイブリダイズした親和性標識プローブを含んでいる。これらの会合したクロマチンポリペプチド、タンパク質およびポリペプチド複合体は、プルダウン材料から標準のタンパク質沈降ステップによって単離することができ、そして必要であれば電気泳動法(例えば、SDS−PAGE)またはクロマトグラフィー技術(例えば、HPLC)によって分離することができる。
クロマチン会合タンパク質およびポリペプチドは、ペプチド質量フィンガープリンティング(PMF)の質量分析法に基づく技術を適切に含む、例えば高スループットポリペプチド同定プロトコールなどによって分析すると、それらの同一性を決定することができる。または、公知のクロマチン会合複合体の組成における質的変化は、当該の複合体の構成メンバーに向けられる抗体アレイ技術を用いて監視することができる。
本発明の方法は、特定タイプのゲノムDNAには限定されないこと、そして会合したタンパク質およびポリペプチドプロファイルを同定するためにゲノム内の実質的にあらゆる標的配列に向けることができることが理解される。さらに、任意の所与の配列については、本方法は発達、細胞周期または細胞の外部刺激への曝露後の様々な時点に使用することができる。したがって、本発明の方法は、特異的標的配列と会合しているタンパク質およびポリペプチドにおける変化の詳細なプロファイリングを監視することを許容できる。さらに、本発明の方法は、新規なDNAおよびクロマチン会合タンパク質およびポリペプチド因子の同定を可能にするが、それらの多くはこれまで後成的活性、DNA結合もしくはクロマチン会合活性を有するとは考えられていなかった公知のタンパク質であってよい。遺伝子座に結合したタンパク質の同一性に関する情報を提供することに加えて、本発明は、別個の細胞タイプにおける所与の配列へ結合した豊富なタンパク質の相対レベルに関する情報を提供する。例えば、テロメアについて使用するための本発明の方法を開発する経過において、本発明者らは、HeLa−1.2.11細胞由来のテロメア標本に比較してHeLa−S3細胞由来のテロメア標本における方がヒストンの数が少ないことに気付いた。
本発明の特定の実施形態では、ヒトがん細胞中の特定のテロメア反復配列と会合しているタンパク質およびポリペプチドが同定された。脊椎動物では、配列(TTAGGG)nは、染色体のテロメア領域(ヒトでは約5〜15kb)内で繰り返され、ゲノム全体のおよそ0.01〜0.03%を表すことができる。この反復配列は、相対的に高い濃度、したがって核酸プローブを用いてターゲティングすることの相対的容易さのために選択された。核酸プローブはビオチン−アナログ標識ヌクレオチドを含んで、さらに標的テロメア反復配列に対するプローブの特異性を実質的に増加させるように機能したロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドもまた組み込んでいた。複数のタンパク質およびペプチドが、テロメアを損傷から保護すると考えられているタンパク質のshelterin(シェルテリン)ファミリーのメンバーなどの公知の候補を含めて、標的配列と会合していると同定された。公知のテロメア会合タンパク質およびポリペプチドに加えて、以前には染色体のテロメア領域と結合する、もしくは会合することが公知ではなかった驚くべき数のポリペプチドおよびタンパク質が同定された。これらの新規なテロメア会合因子は、今後の研究のための、特に創薬標的として前途有望な標的を表す。表1〜3は、本発明の方法によって同定された新規なテロメア会合クロマチン因子を示している。同定された因子の幾つかは、翻訳後修飾のための標的であることが公知であることを見て取ることができる。
本発明のまた別の実施形態では、低存在度の標的が考察される。例えば、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster:ミバエ)では、Fab−7領域はAbdominal−Bという名称のホメオティック遺伝子の転写状態の維持に責任を負っている単一コピークロマチンフラグメントを表している。このフラグメントはPolycomb応答エレメントという名称を付けられ、遺伝子のPolycombおよびTrithorax(トリソラックス)グループの因子を動員する。キイロショウジョウバエにおけるFab−7部位の機能に関する理解は、高等真核生物における後成的状態の維持を理解するために極めて重要であるが、それは基本的なクロマチン調節は典型的にマウスおよびヒトなどの高等生物において保存されているからである。Fab−7に結合する複合体内に含まれるクロマチン会合ポリペプチドおよびタンパク質は、幹細胞療法の有効性を改良するために極めて重要であると考えられ、数種のがんにおいては異常調節される可能性がある。Fab−7は、高度に反復性であるテロメアに比較して標的にとってより複雑な配列である。その結果として、Fab−7は、重複法もしくは連続法でその領域を被覆するためには数種の別個のプローブの使用を必要とするが、これは標的領域の全長に沿って単一プローブがハイブリダイズできるテロメアとは相違している。
本発明のまた別の実施形態は、感染したヒトT細胞系のゲノム内に統合されているHIVプロモーター(プロウイルスのLTR内に所在する)を標的とする。このプロモーターの調節に関する理解は、HIV/AIDSの病因学および分子学的メカニズムを決定する際に極めて重要である。詳細には、プロウイルスはある期間にわたってサイレントのままでいられることは公知であり、感染細胞の保菌者が療法から漏れる理由を理解することが極めて重要であるが、それはそれらの細胞がいわゆる「休眠」ウイルスを含有しているからである。関連する後成的成分およびHIV LTRプロモーターの領域内でのクロマチンの状態を決定することができれば、疾患のメカニズムに関する詳細な洞察を可能にし、それによりHIV療法のための新規な候補薬物標的を同定する。本発明は、休眠性または活性の2つの状態をモデリングするヒトT細胞系内のHIV LTR領域でのクロマチン組成間の比較を可能にし、これはさらにHIV/AIDSのための新規な薬物療法を設計する際に有用である重要なデータを提供する。
本発明のプローブ核酸配列は、有益にも1つ以上のロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドを含むことができる。LNAヌクレオチドは、リボース成分内に2’−O,4’−Cメチレン架橋を含有する二環式RNAアナログである。メチレン架橋はリボフラノース環の柔軟性を制限し、この構造を合成C3−endo立体配置内へ「ロック」する。この方法でヌクレオチドの立体配置を変化させることによって、結果として生じるオリゴマー/ポリマープローブは、強化されたハイブリダイゼーション性能および生体内安定性を示す。長さが約15ヌクレオチド未満であるオリゴマープローブ配列は、適切には100%までLNAを含むことができる。典型的に、長いプローブ配列は、LNAおよび従来型RNAもしくはDNAヌクレオチドの混合物を含んでいる。LNA含有プローブ配列は、ISH適用(Silahtoroglu et al.(2004)Cytogenet Genome Res 107:32−37)およびTolstrup et al.(Nucleic Acids Res.2003 July 1;31(13):3758−3762)に記載されたプローブ配列設計のための技術のための特別な適合性を証明した。
本発明の特定の実施形態におけるオリゴヌクレオチドプローブは、以下に記載する一般式I:
(式中、Aは長さがn原子のスペーサー基CによってヌクレオチドXに連結された親和性標識を含んでいる)に一致する少なくとも1つの基を含んでいる。典型的には、Aは、ハプテンを含んでいる。本発明の特定の実施形態では、Aは、ビオチン、または例えばデスチオビオチン分子などのそのアナログを含んでいる。ヌクレオチドXは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチドおよびロックされたリボヌクレオチド(LNA)から適切に選択することができる。スペーサー基の長さは、nが適切には約40〜約170原子、より適切には約75〜約130原子、より典型的に約90〜約120原子、適切には約100〜約110原子であるような長さである。
本発明の特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、以下に記載する一般式II:
(式中、Bはn原子の直鎖を含むスペーサー基Cによってオリゴヌクレオチド配列Yに連結されている免疫タグもしくはハプテンである)に一致する。オリゴヌクレオチド配列Yは、10%以上がロックされた核酸ヌクレオチド、典型的にはヌクレオチドの少なくとも25%がロックされた核酸ヌクレオチド、場合によりヌクレオチドの100%までがロックされた核酸ヌクレオチドである少なくとも10個のヌクレオチドを含んでいる。本発明の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは長さが25ヌクレオチドであり、およそ50%のLNAおよび50%のDNAヌクレオチドを含んでいる。スペーサー基Cの長さは、nが適切には約40〜約170原子、より適切には約70〜約130原子、より典型的には約90〜約120原子、適切には約100〜約110原子であるような長さである。場合により、スペーサー基はオリゴヌクレオチドYの5’ヌクレオチドに結合され、5’ヌクレオチドは場合によりロックされた核酸ヌクレオチドである。
本発明のまた別の特定の実施形態は、以下に記載する一般式III:
(式中、BおよびB’は長さがn原子のスペーサー基CおよびC’によって各ヌクレオチドZおよびWへ連結された同一もしくは相違する親和性標識を含み、該ヌクレオチドZおよびWは長さがpヌクレオチドのオリゴヌクレオチド鎖Vによって分離され、このときpは0〜40であり、ヌクレオチドZ、WおよびVは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチドおよびロックされたリボヌクレオチド(LNA)から適切に選択される)に一致する基を含むオリゴヌクレオチドプローブを提供する。本発明の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、ヌクレオチドZが該オリゴヌクレオチドプローブ内の5’ヌクレオチドを表すように、一般式IIIの基を含んでいる。式IIIの基を含むプローブは、例えば単一コピー数配列などの低発生頻度を有するクロマチン内の配列(例えば、特定遺伝子)をターゲティングするために特に適合する。ヌクレオチドZとWとの間の分離は、通例は長さがほぼ0〜40ヌクレオチド、好ましくは1〜30ヌクレオチドである介在オリゴヌクレオチド鎖Vによって証明される。典型的に、少なくともヌクレオチドZおよびWはロックされたリボヌクレオチドである。適切には、スペーサー基CおよびC’は、長さが同一であっても相違していてもよい。本発明の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、式IIIの1つ以上の基を含むことができる。
プローブ核酸配列は、例えばゲノムDNA内で出現する任意の配列に向けることができる。有益にも、本発明は、コーディング配列もしくは非コーディング配列に限定されず、さらにまたゲノムの真正染色質領域とともに使用することにも限定されない。標的配列が例えばテロメア反復配列などの反復配列を含む場合は、プルダウンを実行するためには単一プローブ種で十分であることが多い。固有もしくは低頻度の反復配列が標的とされる場合には、標的遺伝子座の連続する、重複する、もしくは密接して位置する領域へ結合する2つより多いプローブの組合わせを使用することが必要になる場合がある。本発明の使用実施例では、マウス挟動原体ヘテロクロマチンの精製は、標的配列のおよそ25%までとハイブリダイズする3種のプローブオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いて達成される。しかし、プルダウン反応を最適化するためには、プローブによってより多くの標的配列がカバーされるほど、収率が大きくなる。
規定標的配列と会合することが見いだされたタンパク質およびポリペプチド因子の同定は、多数の経路を通して達成することができる。典型的には、タンパク質およびポリペプチドは、従来型タンパク質抽出技術によってプローブ−標的配列ハイブリッドから分離される。次にタンパク質/ポリペプチドは、適切には分子量にしたがって大まかに精製される。分離されたタンパク質は、ウエスタンブロッティングを含む、同一性を決定するための数種の方法によって分析できる。しかし、本発明の方法の成果が1つ以上の新規な因子を解明することである場合は、タンパク質同定のための質量分析法に基づく技術が適切に利用される。例えば、タンパク質サンプルはSDS−PAGEから抽出することができ、その後に場合により、例えばシステインアミノ酸残基のジスルフィド架橋カルボキシメチル化の減少や、別の化学修飾を受けさせられる。次にタンパク質/ポリペプチドは、例えばトリプシンなどの適切なタンパク質分解酵素を用いて幾つかのフラグメントに切断させられる。タンパク質分解ステップは、典型的に一晩にわたって実施され、次に結果として生じる切断したペプチドはアセトニトリルで抽出され、真空下で乾燥させられる。次にペプチドは、少量の蒸留水中に溶解させられ、これで質量分析法による分析の準備が整う。質量分析法は、MALDI−TOF質量分析法による精製されたペプチド切断フラグメントのアリコートについて実施できる。次にMALDI−TOFからの成果は、典型的にバイオインフォーマティクスの分析技術を使用してインシリコ(コンピュータ内)で分析され、新規な因子についての配列情報を同定および提供するためにGenBankもしくはSwissProtなどのオンラインのタンパク質データベースにクエリー(問い合わせ)するために使用される(例えば、Griffin et al.(1995)Rapid Commun.Mass Spectrom.9(15):1546−51;and Courchesne & Patterson(1999)Methods Mol.Biol.112:487−511を参照されたい)。
典型的には、ポリペプチド同定のための質量分析法に基づく技術は、Pappin et al.(Curr Biol.(1993)Jun 1;3(6):327−32)の後にはポリペプチド質量フィンガープリンティング(「PMF」)法と呼ばれている。PMFは、インシリコでペプチドについて生成された理論的ペプチド質量へ構成フラグメントの分子量(ペプチド質量)をマッチさせることによってタンパク質を同定することができる。PMFの前提は、各ポリペプチドが固有のペプチド質量を各々備える固有セットのペプチドフラグメントを有することである。所与のポリペプチドの同定は、PMF配列データベース内に存在する理論的質量へ入手したペプチド質量をマッチさせるステップによって遂行される。PMFの同定は、その質量が正確に公知である所与のタンパク質から入手した幾つかのペプチドフラグメントが存在する場合に最適化される。したがって、MALDI−TOF質量分析法は、これらのペプチドフラグメント各々の質量を決定するための特に精度の高い手段を提供する。プロテオミックアプローチを使用すると、質量分析法によって同定されたペプチドおよびタンパク質から構成されるタンパク質複合体の性質を決定することができる(例えば、Gingras et al.,Nat Rev Mol Cell Biol.(2007)Aug;8(8):645−54を参照されたい)。
用語「調節因子」は、標的分子(例えば、遺伝子、酵素など)の活性を変化させる分子(例えば、化学物質/実体)を意味する。活性の変化は、調節因子の非存在下、さもなければ類似の条件下では活性の正常もしくはベースラインレベルに比例し、正常/ベースライン活性の増加または減少を表す場合がある。調節因子は、例えば低分子薬、抗体もしくは核酸などの本明細書で記載する任意の分子であってよい。本発明の状況では、標的は、本発明のスクリーニング法によって同定されている新規なクロマチン会合因子である。クロマチン会合因子の調節は、当業者には公知の任意の手段によって、例えば、クロマチン会合因子によって調節される遺伝子の発現における変化を同定するステップによって評価することができる。
本発明は、本発明の方法によって同定された1つ以上の新規なクロマチン会合因子の修飾された発現に関連する疾患を治療するための方法および組成物にさらに関する。
規定のクロマチン会合因子の発現および/または生物活性を阻害するための試薬には、アンチセンス核酸分子、siRNA(もしくはshRNA)、リボザイム、低分子、および抗体またはそれらの抗原結合部分が含まれるがそれらに限定されない。核酸をベースとする技術を調査するためには、例えば、Kurreck,J.(2003)「Antisense technologies−Improvement through novel chemical modifications」,Eur.J.Biochem.270:1628−1644を参照されたい。クロマチン会合因子を阻害するための試薬は、発現および/または生物活性へ、例えば遺伝子発現に影響を及ぼす、または新規なクロマチン会合因子の生物活性を修飾もしくは阻害する因子に作用することによって、間接的に影響を及ぼすことができる。有益にも、本明細書で同定される新規なクロマチン会合因子の1つの阻害剤として使用するための試薬は、クロマチン会合因子に直接的に作用して、mRNAレベル(例えば転写もしくはmRNA安定性)、またはタンパク質レベル(例えば、翻訳もしくは生物活性)での遺伝子発現に影響を及ぼす。
所与のmRNAと相補的であり、インビボでハイブリダイズするアンチセンス核酸配列を設計することができる。アンチセンス核酸配列は、規定のクロマチン会合因子のためのmRNAの配列の全部もしくは一部へハイブリダイズする一本鎖DNAもしくはRNA分子の形態にあってよい。典型的には、アンチセンス分子は、長さが少なくとも12ヌクレオチドであり、選択された標的ヌクレオチド配列に対して少なくとも90%、93%、95%、98%、99%もしくは100%相補的である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば12、15、18、20、30、40、50、100、200ヌクレオチド以上などの任意の合理的長さであってく、有益にもその対応する標的ヌクレオチド配列と上述の相補性を有する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば天然ヌクレオチドであるA、C、G、TおよびUに似ているが、化学修飾されているヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチド(もしくはヌクレオチド誘導体)を含有していてよい。化学修飾は、例えば、インビボでのオリゴヌクレオチドの半減期を増加させるために内因性エキソおよび/またはエンドヌクレアーゼによる分解に改良された抵抗性を提供すること、標的細胞もしくは膜へのオリゴヌクレオチドの送達を強化すること、またはオリゴヌクレオチドの生体内利用率を増加させることに有益な可能性がある。典型的には、アンチセンス分子は、修飾および天然ヌクレオチドの混合物を含有し、および特に、5’最末端および/または3’最末端ヌクレオチド(例えば、鎖の各末端での最外側の2つのヌクレオチド)はインビボでのアンチセンス分子の半減期を増加させるように修飾することができる。さらに、または、アンチセンス分子のバックボーンは、例えばヌクレアーゼによる分解に対する耐性を増加させるために、化学修飾することができる。典型的なバックボーン修飾は、1つ以上のホスホジエステル結合からホスホロチオエート結合への変化である。アンチセンス分子は、適切にはさらにヌクレアーゼの存在下でアンチセンス分子の半減期を増加させるように作用する、5’キャップ構造および/またはポリA3’テールをさらに含むことができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、インビボの標的組織および細胞内で本発明の方法によって同定された1つ以上のクロマチン会合因子の発現を阻害するために使用できる。または、そのような分子は、エクスビボ(生体外)処置、またはインビトロ診断試験において使用することができる。
特異的標的遺伝子に対するアンチセンス分子を(その対応するRNA配列によって)設計および合成するための要件、細胞内にアンチセンス分子を導入して発現させるための方法、そしてそのようなアンチセンス分子を修飾するための適切な手段は、当業者には公知である。
例えば、療法において使用するためのアンチセンス分子は、腫瘍の部位で(例えば、腫瘍の細胞塊内への注射によって)直接的に患者へ投与することができる、または腫瘍細胞内へトランスフェクトされるベクターから転写させることができる。遺伝子療法ベクターを用いた腫瘍細胞のトランスフェクションは、例えば、適切なリポソーム送達系もしくはウイルスベクターを用いて達成できる(Hughes,2004,Surg.Oncol.,85(1):28−35)。
例えばクロマチン会合因子遺伝子などの標的遺伝子を特異的にダウンレギュレートするまた別の手段は、RNA干渉(RNAi)を使用することである。当然ながら、RNAiは、典型的には、長い二本鎖RNA分子によって開始され、この分子はDicer酵素によって5’および3’末端で2本のヌクレオチドオーバーハングを有する21〜23ヌクレオチド長のdsRNA内へと処理される。結果として生じる短いdsRNA分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)として公知である。次にこれらの短鎖dsRNA分子は、標的RNAを分解するための内因性ヌクレアーゼのためのガイドとして作用するタンパク質−RNA複合体であるRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)内へ組み込まれると考えられる。
短鎖(例えば、19〜23bp)dsRNA分子(siRNA)はRNAiを開始することができること、そしてそのような分子は、例えばElbashir et al.(2001,Nature,411:494−498)に記載されたように、インビボでの遺伝子機能の選択的不活性化を可能にすることが証明されている。そこで、この技術は、インビボでの細胞内のクロマチン会合因子をコードするmRNAの効果的および特異的なターゲティングおよび分解のための手段を提供する。したがって、本発明は、siRNA分子、および本発明の方法によって同定された1つ以上のクロマチン会合因子の細胞内での発現を特異的に減少または排除するためのそれらの使用を提供する。
アンチセンスおよびリボザイム技術の場合と同様に、インビボ使用のためのsiRNAもしくはshRNA分子は、有益にも1つ以上の化学修飾ヌクレオチドおよび/または1つ以上の修飾バックボーン連鎖を含有している。
本発明の医薬製剤は、規制基準に適合するように調製され、経口、静脈内、局所、またはその他の標準的経路によって投与することができる。本医薬製剤は、錠剤、ピル剤、ローション剤、ジェル剤、液剤、散剤、坐剤、懸濁剤、リポソーム、微粒子または当分野において公知の他の適切な調製物の形態にあってよい。
そこで、本発明は、疾患を治療するために本発明の新規なクロマチン会合因子の活性または発現を調節もしくは変調することのできる分子の使用を含んでいる。典型的にクロマチン会合因子の異常な活性もしくは発現に関連する疾患には、がん、早期老化、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス誘導性疾患ならびに感染症および不妊症が含まれる。
本発明の方法によって同定された新規なクロマチン会合因子(ポリペプチドもしくはそのフラグメント)は、薬物スクリーニングにおいて使用するためのトランスジェニック細胞系および精製因子を作製するために、個別に、または組合わせて組換え発現させることができる。クロマチン会合因子もしくはそのフラグメントを過剰発現する細胞系は、例えば、化合物(例えば「低分子」)、抗体もしくはその他の生物学的物質のライブラリーに対する高スループットスクリーニング法において使用できる。これらのスクリーニングアッセイは、適切には規定の表現型変化が(GPCR−FLIPRスクリーニングにおけるカルシウムシグナリングに類似して)同定されるセルベース・アッセイであってよい、または例えば放射性リガンド結合および蛍光偏光などの親和性ベースのスクリーンにおいて使用するための高レベルの精製タンパク質源として機能することができる。
本発明の特定の実施形態では、新規なタンパク質およびポリペプチドクロマチン会合因子は、ALTテロメア配列単独、HeLaテロメア配列単独または両方に局在すると同定された(表1〜3を参照されたい)。これは、この技術が様々な細胞環境間を識別できることを証明している。テロメア組成における変化は、がんの進行および発達において重要であると考えられ、テロメア会合のような本アッセイにおいて同定された様々なタンパク質セットは、様々ながんタイプにおける有用な治療的介入点を形成する標的および経路の同定をもたらすことができる。サブセットのこれらの因子についての詳細な精査は、酵素活性を有するタンパク質の同定をもたらした。酵素機能を有する因子は、創薬における前途有望な将来性を示せることは理解される。本発明の範囲を限定せずに、新規なテロメアクロマチン会合因子の選択について、それらの公知の酵素活性と一緒に下記でより詳細に記載する。明らかに、本発明はそれらを潜在的薬物標的として一層より重要にさせるこれらの既知のタンパク質の生物活性に関する追加の情報を提供することができる。
<ALT細胞のみ>
このセクションで同定された酵素は、ALTテロメア維持経路が活性化されている患者における腫瘍学標的としての将来性を有することができ、そして非ALT、すなわち同一患者における非がん細胞に関するある程度の選択性を達成するためのメカニズムを提供することができる。
Pri−2
Hint2
MTA1
Pin−1
LSD1
<PRI−2>
これは、ヒトにおけるPRIM2Aとしても公知であるDNAプライマーゼの大きなサブユニット(58kDa、p58)である。このタンパク質は、小さなサブユニットであるp49の存在下では酵素的にのみ活性であると考えられる。
<Hint2>
Hint2は、以前は機能が不明確であったアデノシンモノホスファート・リシンヒドロラーゼである。Martin et al.(Gastroenterology(2006)130:2179−2188)は、これが腫瘍学における潜在的薬物候補ではないことを示唆する多数の観察所見を報告したが、それはHint2レベルが肝細胞がん腫においてはダウンレギュレートされ、HepG2細胞におけるHint2のノックダウンはアポトーシス性刺激への感受性の低下をもたらすからである。同一系におけるHint2の過剰発現は逆作用を有し、HepG2異種移植片におけるHint2の過剰発現は腫瘍サイズの減少をもたらす。本出願に提示したデータは、Hint2のテロメア局在がその細胞機能において重要であることを示唆している。
<MTA1>
MTA1は、ヌクレオソームのリモデリングおよび脱アセチル化(NuRD)複合体の構成要素であり、その発現は少なくとも一部にはc−Mycによって転写レベルで制御される(Zhang et al.,PNAS,2005,Vol.102,13968−13973)。MTA1は、さらにまたエストロゲン受容体コリプレッサーであることも公知である(Martin et al.,Breast Cancer Res Treat,2006,Vol.95,7−12)。MTA1は、HDAC1およびHDAC2を備える複合体内で作用する(Yao & Yang,J Biol Chem,2003,Vol.278,42560−42568)。
転移関連遺伝子1(MTA1)は、胸腺腫(Sasaki et al.,Cancer Lett 2001,Vol.174,159−163)および前立腺がん(Hofer et al.,Cancer Res,2004,Vol.64,825−829)を含む多数の腫瘍の侵襲性、ならびに不死化角化細胞(Mahoney et al.,Oncogene,2002 Vol.21,2161−2170)およびPANC−1膵臓がん細胞(Hofer et al.,Br J Cancer,2004,Vol.90,455−462)の移動および侵襲と相関することが証明されている。相当に高度のMTA1発現を伴うヒトMDA−MB−231乳がん細胞では、ノックダウンは増殖および侵襲の阻害を生じさせた(Nicolson et al.,Clin Exp Metastasis 2003,Vol.20,19−24)。MTA1の高発現レベルは、肝細胞がんにおける相当に不良な予後と関連すると報告されてきた(Hamatsu et al.,Oncol Rep,2003,Vol.10,599−604)。リンパ節転移陰性乳がんでは、MTA1の高発現には高い再発リスクが結び付いているが、そのような腫瘍は例えばタモキシフェンもしくはアントラサイクリン系などの全身性療法に感作される可能性がある(Martin et al.,Breast Cancer Res Treat,2006,Vol.95,7−12)。
MTA1が乳腺を標的として過剰発現させられたトランスジェニックマウスでは、不適切な乳腺発達および腫瘍形成が観察された(Bagheri−Yarmand et al.,Development,2004,Vol.131,3469−3479)。
MTA1が腫瘍侵襲性に影響を及ぼす可能性がある1つのメカニズムは、Hif−1αの転写活性およびタンパク質安定性の両方を増強することによる。タンパク質の安定化は、増加したHDAC1発現を通しての増加したHif−1α脱アセチル化による(Yoo et al.,EMBO J,2006,Vol.25,1231−1241)。これは、乳がんにおける上昇したMTA1レベルと腫瘍内微小血管密度との関係と一致している(Jang et al.,Cancer Sci 2006,Vol.97,374−379)。
<LSD1>
LSD1は、同定された最初のヒストンデメチーゼラであり(Shi et al.,Cell,2005,Vol.122,654−658)、ヒストンH3リシン4およびリシン9からモノメチルおよびジメチル修飾を選択的に取り除く。LSD1は、アンドロゲン受容体と相互作用してアンドロゲン受容体依存性転写を刺激する(Metzger et al.,Nature,2005,Vol.437,436−439)。LSD1レベルは、高リスクの前立腺がんではアップレギュレートされる(Kahl et al.,Cancer Res,2006,Vol.66,11341−11347)。LSD1は、細胞増殖のために必要とされ、このタンパク質の欠乏症は部分的細胞周期停止および外部刺激による増殖抑制への感作をもたらす(Scoumanne & Chen,J Biol Chem,2007,Vol.282,15471−15475)。これらの特徴は全部がLSD1を腫瘍学にとって魅力的な標的にさせる。これまでには報告されていないテロメアとの関連についての理由は、調査のための有益な領域を表している。
<Pin−1>
Pin−1は、多数の発がん経路および細胞シグナリング経路の異性化に含まれるペプチジルプロピルイソメラーゼである(He et al.,Lung Cancer,2007,Vol.56,51−58において精査されている)。Pin−1の過剰発現は非小細胞肺がん(He et al.,Lung Cancer,2007,Vol.56,51−58)、およびB型肝炎コーディングHBxがん遺伝子と相乗作用的に機能する可能性がある肝細胞がん(Pang et al.,Gastroenterology,2007,Vol.132,1088−1103)を含む多数のがんにおいて報告されてきた。Pin−1によるStat−3の活性化は、乳がん細胞における上皮細胞から間葉細胞への転移増加を引き起こす(Lufei et al.,Oncogene,2007,Jun 11、印刷出版に先行した電子出版)。マウスモデルでは、Pin−1およびp53の二重除去は胸腺肥大の加速をもたらす(Takahashi et al.,Oncogene,2007,Vol.26,3835−3845)。
したがってPin−1は、創薬のための魅力的な腫瘍学標的である。しかし、Pin−1の活性はアルツハイマー病の病因に関係するとされたアミロイド発生経路において重要な保護的役割を果たすと思われる(例えば、Nowotny et al.,Neurosci Lett,2007,Vol.419,15−17;Wang et al.,J Alzheimers Dis,2007,Vol.11,13−23;Balastik et al.,Biochim Biophys Acta,2007,Vol.1772,422−429を参照されたい)。このため、血液脳関門を越えないPin−1阻害剤を発生させることが必要になる可能性がある。
<HeLa細胞のみ>
一部のテロメア関連タンパク質は、HeLa細胞においてのみ検出され、ALT−陽性細胞系においては検出されなかった。これは、ALTテロメア維持系の使用が所定のタンパク質のテロメアへの局在化を誘導するだけではなく、これがさらにその他の会合も防止することを意味する可能性がある(HeLaテロメアは、テロメラーゼによって維持されるので、したがって例えばGAR1もしくはBAT1などのALTにおいて見いだされないテロメラーゼ会合タンパク質を予測することができる)。これは、さらにがんの療法における患者を階層化するためのメカニズムを提供できる。
Aurora B
USP1
<Aurora B>
AuroraキナーゼBは、内部セントロメアタンパク質およびスルビビンと複合体を形成する染色体パッセンジャータンパク質である(Sistayanarain et al.,Anticancer Res 2006,Vol.26,3585−3593によって精査された)。本発明者らのスクリーニング中に検出されたHeLa細胞におけるテロメアとの会合は、全く予想外である。異常なAurora Bの活性は、肺(Hayama et al.,Cancer Res,2007,Vol.67,4113−4122;Vischioni et al.,Mol Cancer Ther 2006,Vol.5,2905−2013)、口腔扁平上皮細胞がん(Qi et al.,Virchows Arch,2007,Vol.450,297−302)、乳がん(Tchatchou et al.,Cancer Lett,2007,Vol.247,266−272)、前立腺がん(Lee et al.,Cancer Res,2006,Vol.66,4996−5002)、神経膠芽細胞腫(Zeng et al.,J Clin Pathol,2007,Vol.60,218−221)および中皮腫(Lopez−Rios et al.,Cancer Res,2006,Vol.66,2670−2679)を含む多数のがんにおいて重要であると考えられる。腎腫瘍の動物モデルでは、Aurora Bの発現はエストロゲン応答性である(Hontz et al.,Cancer Res,2007,Vol.67,2957−2963)。
Aurora Bの低分子阻害は中皮腫細胞を放射性増感させ(Kim et al.,Int J Radiat Biol Phys,2007,Vol.67,1519−1525)、阻害剤はそれら自体が抗増殖性である(Girdler et al.,J Cell Sci,2006,Vol.119,3664−3675)。
<USP1>
USP1は、モノ−ユビキチン化PCNAを脱ユビキチン化するシステインプロテアーゼである。モノ−ユビキチン化PCNAは、損傷したDNAの病巣内合成のために必要とされる。USP1の阻害は、この形態のタンパク質の蓄積をもたらす(Huang et al.,Nat Cell Biol 2006,Vol.8,339−347)。
<ALTおよびHeLa細胞の両方>
所定のタンパク質は、ALTおよび非ALT細胞両方のテロメアと会合することが見いだされた。これは、これらの細胞条件のための所定の特異的タンパク質に加えて、病理−生理学的両方の状況においてテロメアと会合するより小さな群のタンパク質が存在する。以前にはテロメアと会合することが既知ではないタンパク質の選択は、以前には予測することのできなかった新規な治療介入点を示す可能性がある。
GMPシンターゼ
Fen1
USP7
PRMT1
転写中間因子1β
<GMPシンターゼ>
GMPシンターゼは、グルタミンおよびATPの存在下でGMPを形成するためのキサントシン5’−モノホスフェートのアミノ化を触媒するアミドペプチダーゼである(Nakamura et al.,JBC,1995,Vol.270,23450−23455)。このため、GMPシンターゼはグアニンヌクレオチドの新規合成における重要な酵素である。迅速に分割する細胞におけるヌクレオチドのための要件を前提にすると、ヌクレオチド合成経路における酵素は、創薬のための前途有望な標的となる可能性がある。最もよく知られていて臨床的に最も有用な例は、チミジル酸シンターゼ阻害剤である5−FUである。より近年には、GMPシンターゼは、キイロショウジョウバエにおいてUsp7(下記参照)と相互作用してヒストンH2B脱ユビキチン化を刺激することが証明されている(van der Knaap et al.,Mol Cell,2005,Vol.17,695−707)。
<Fen1>
Fen1は、多ヌクレオチドDNA合成を含むロング・パッチベースの切除修復(Prasad et al.,J Biol Chem,2000,Vol.275,4460−4466)およびOkazakiフラグメント再生に関係する構造特異的フラップエンドヌクレアーゼである。この酵素はアニーリングしていない5’末端を備える基質を切断し、その活性はPCNAとの会合によって5〜50倍に増加する(Tom et al.,J Biol Chem,2000,Vol.275,10498−10505)。
Fen1のノックアウトはマウスにおいては胚で致死性であるが、Fen1およびApc1についての二重ヘテロ接合体は腺がんの数の増加および生存率の減少を発生させる(Kucherlapati et al.,PNAS,2002,Vol.99,9924−9929)。Fen1(−/−)未分化胚芽細胞は、γ線照射に対して極めて感受性であり、広汎なアポトーシスを示す(Larsen et al.,Mol Cell Biol,2003,Vol.23,5346−5353)。ニワトリDT40細胞系では、細胞はFen1の非存在下で生育性であるが、おそらくは高率の細胞死に起因して生長遅滞表現型を有し、スルホン酸メチルメタンおよび過酸化水素に対して高感受性であるが、UV照射、X線およびエトポシドに対しては高感受性ではない(Matsuzaki et al.,Nucleic Acids Res,2002,Vol.30,3273−3277)。正常マウス胎児線維芽細胞では、Fen1レベルはUV照射に応答して増加し、この作用はp53依存性である(Christmann et al.,Oncogene,2005,Vol.24,8403−8413)。
Fen1のレベルは肺がんではアップレギュレートされると報告され(Sato et al.,2003,Oncogene,Vol.22,7243−7246)、この遺伝子はさらにまた5−FU耐性HCT116結腸がん細胞系においてもまたアップレギュレートされる(de Angelis et al.,Int J Oncology,2004,Vol.24,1279−1288)。ヒトのがんにおけるFen1の突然変異は同定され、これらの突然変異を抱いているトランスジェニックマウスは、自己免疫、慢性炎症およびがんに罹患する傾向を示した(Zheng et al.,Nat Med,2007 June 24、印刷出版に先行した電子出版)。
<USP7>
USP7システインプロテアーゼは、大多数の哺乳動物細胞中に存在するPML(前骨髄球性白血病)核小体の成分である(Muratani et al.,Nat Cell Biol,2002,Vol.4,106−110)。USP7は、少なくとも2つのウイルスタンパク質であるHSVタイプのICPOおよびEBVのEBNA1の標的である(Holowaty et al.,J Biol Chem,2003,Vol.278,47753−47761)。EBNA1は、USP7のp53と同一領域へ結合するが、他方ICPOは相違する領域へ結合する。
USP7とICPOの相互作用は、ウイルスタンパク質を自己ユビキチン化から保護し、これによりそれを安定化する(Canning et al.,J Biol Chem 2004,Vol.279,38160−38168)。ICPOは、溶菌感染および潜伏からの再活性化を刺激する前初期調節タンパク質である。
初期の報告書は、USP7は脱ユビキチン化活性を有し、過剰なMdm2の存在下においてさえp53の強力な安定剤であると主張した(Li et al.,Nature,2002,Vol.416,648−653)。しかし、同一グループからの後期の研究は、RNAiによる内因性USP7レベルの部分的減少によってp53を不安定化すると、ほぼ完全な除去がp53安定化をもたらすという動的に決定された作用を提案した。この研究者らは、これは、USP7がMdm2安定化のためにも必要とされ、結果としてUSP7除去細胞中では、自己ユビキチン化Mdm2が極めて不安定になり、p53安定化および活性化をもたらすと主張している(Li et al.,Mol Cell,2004,Vol.13,879−886)。
Cummins and Vogelsteinからの研究は、USP7欠損性マウスにおいてはMdm2が不安定になり、p53レベルが上昇することを証明することによって、USP7の最も重要な相互作用は脱ユビキチン化することであり、そこでMdm2を安定化させ、減少したレベルのp53をもたらすという主張を支持した(Cummins & Vogelstein,CellCycle,2004,Vol.3,689−692)。USP7は、Mdm2調節性/調節タンパク質Mdmxによってp53のより複雑な制御レベルにも関係している(Meulmeester et al.,Mol Cell,2005,Vol.18,565−576)。さらに調節複合性のレベルには、ATMタンパク質キナーゼの作用が加わり、これはMdm2およびMdmxをリン酸化することによって、USP7に対するそれらの親和性を弱化させる(Meulmeester et al.,Cell Cycle,2005,Vol.4,1166−1170)。
近年には、USP7の主要な作用の1つはミトコンドリアでアポトーシス性に活性な非ユビキチン化p53を生成することであると推測されてきた(Marchenko et al.,EMBO J.2007,Vol.26,923−934)。
USP7は、その他の細胞ユビキチン化標的を有すると思われる。GMPシンターゼとの複合体(上記参照)では、USP7は、少なくともキイロショウジョウバエの胚中では、ヒストンH2Bの脱ユビキチン化を触媒するが、H2Aの脱ユビキチン化を触媒しない(van der Knaap et al.,Mol Cell,2005,Vol.17,695−707)。USP7はさらに、その転写活性を負に調節するFOXO(van der Horst et al.,Nat Cell Biol,2006,Vol.8,1064−1073)およびチェックポイントタンパク質であるChfr(Oh et al.,Biochem Biophys Res Commun 2007,Vol.357,615−619)を脱ユビキチン化する。
おそらく驚くべきことに、USP7のレベルはNSCLCを有する患者131人中59人において減少したが、これはp53発現の減少と関連していた(Masuya et al.,J Pathol,2006,Vol.208,724−732)。USP7を標的とすることは、造血系腫瘍にとって実行可能なアプローチとなる可能性がある。
<PRMT1>
PRMT1は、その標的にヒストンH4、GRIP1およびPPARγコアクチベーター1α(Lee et al.,Mol Endocrinol,2007,Vol.21,1381−1393において精査された)、DNAポリメラーゼβ(El−Andaloussi et al.,FASEB J,2007,Vol.21,26−34)およびRIP140(Mostaqul Huq et al.,EMBO J,2006,Vol.25,5094−5104)が含まれるアルギニンメチルトランスフェラーゼである。PRMT1は、hCAF1によって調節される(Robin−Lespinasse et al.,J Cell Sci,2007,Vol.120,638−647)。ヒストンH4メチル化は、エストロゲン受容体媒介性遺伝子調節における早期の重要な事象である(Wagner et al.,J Biol Chem,2006,Vol.281,27242−27250)。インターフェロンα/β−媒介性遺伝子転写の誘導は、さらにPRMT1の活性、この場合にはStat1によって作用することによって厳密に決定される(Mowan et al.,Cell,2001 Vol.104,731−741)。PRMT1の活性の阻害は、大規模に遺伝子発現に影響を及ぼす能力を有している。
<転写中間因子1β>
TRIM28としても公知であるTIF−1βは、転写調節複合体の構成要素として同定されてきた(Friedman et al.,Genes Dev 1996,Vol.10,2067−2078;Moosmann et al.,Nucleic Acids Res 1996 Vol.24,4859−4867)。DNA自体に結合するとは考えられていないが、TRIM28はKRABリプレッサー(Kim et al.,Proc Natl Acad Sci USA,1996 Vol.93,15299−15304)、ヒストン結合タンパク質HP1、SETDB1(ESET)、およびp53の重要な調節因子であるMDM2(Wang et al.,Embo J 2005 Vol.24 3279−3290)を含む多種多様な各因子と相互作用することは公知である。
TRIM28は、遺伝子発現の抑制およびヘテロクロマチンの安定化において典型的に機能する数種のより大きな多因子複合体のメンバーであると考えられる(Sripathy et al.,Mol.Cell.Biol.2006 Vol.26,8623−8638)。TRIM28の配列分析は、補因子認識および相互作用に関係すると考えられるN末端RINGおよびコイルドコイルドメイン(Peng et al.,J.Mol.Biol.2000 Vol.295,1139−62)、ならびに例えばHP1およびSETDB1などの転写リプレッサーと相互作用すると考えられるC末端PHDおよびブロモドメインを含む数種の認識可能なドメインの存在を示唆している。
このため、本発明の方法に由来する情報は、細胞内でのこれらの因子のためのクロマチン活性の正確な同定を可能にすることは明らかである。これらの様々な因子のための細胞状況、ならびに潜在的補因子に関する情報を提供することによって、本発明は、創薬および標的選択へより焦点を合わせたアプローチを可能にする。当該のゲノム領域と相互作用するタンパク質の同定は、ゲノム生物学を理解するためにも極めて重要である。これらの課題は、以前には遺伝学、可溶性複合体の生化学的特性解析、構造研究、クロマチン免疫沈降法、および細胞生物学を用いて研究されていた。特異的遺伝子座で結合した因子の「クロマチン公式」を確立することによって、本発明の方法は、染色体の特性解析を有意に前進させる。例えば、テロメアを試験するために本発明の方法を使用する際には、本発明者らは単一実験において以前から公知である大多数の因子を同定し、現在ではテロメア生物学に関連すると考察される複数の新規なタンパク質を見いだした。各クラスのテロメアで見いだされた驚くべき多数(約200)のタンパク質は、この遺伝子座で発生する事象の多様性を強調している。明らかに、本発明の方法は、遺伝学がどこか別の場所では極めて重要な役割を果たす、または冗長であるために遺伝学を用いて明白にすることが困難である因子(例えば、オーファン受容体)を同定する能力を有する。
以下では、本発明を下記の非限定的な実施例によって詳細に説明する。
[実施例]
本発明者らは、標的遺伝子座でのタンパク質およびポリペプチドの同定を可能にする十分な純度で会合した結合因子を備えるクロマチンを単離する技術を考案した。例えば、哺乳動物クロマチン中に存在する中間反復エレメントと会合しているタンパク質が、質量分析法を用いて直接的に精製および同定されている。この技術をヒトテロメアに適用すると、低レベル発現を示すタンパク質を含めて、以前にテロメアに結合することが証明された全タンパク質の92%が同定された。以下の実施例では、HeLaテロメアがALTテロメアと比較され、ALTテロメアに特異的に結合する複数の因子が同定された。これによって、それらのテロメアの配列内の変化によって様々なタンパク質がクロマチンに結合すると推測される。
本技術は、ほんの数例を挙げると、ウイルス統合部位、特異的ノックアウト細胞、および薬物療法後変化を含む様々な実験状況に適応させることができる。本発明の方法は、有益にも、既にその標的部位と会合している可能性があるタンパク質に関する事前の知識を全く必要とせずに、標的クロマチン部位と会合しているタンパク質複合体における変化の同定を可能にする。
1.クロマチン鋳型の調製
出発細胞はHeLa S3細胞(ヒトがん細胞系)であった。懸濁液から、スピナーフラスコ内の細胞(0.5〜1×106cells/mLの密度で20Lの培養)を室温で10分間、2,500gでの遠心分離によってペレット化し、その直後に架橋溶液(1010cellsに対して200mL;架橋溶液:3%ホルムアルデヒド/1×PBS(ホルムアルデヒド37%、メタノール安定化溶液から調製))中に再懸濁させた。付着性細胞については、媒質を最初に廃棄し、直ちにプレートへ架橋溶液を加えた(10mL/15cmプレート)。細胞は、室温で30分間にわたり架橋溶液中でインキュベートした。
懸濁液中の細胞は4℃で10分間にわたり3,200gで遠沈させ、上清を廃棄した。この物質を4本のFalcon試験管内へ等分した(通例は8mLペレット/試験管)。付着性細胞については、架橋溶液を廃棄し、プレートを1×PBS溶液(1mM PMSFが補給された標準リン酸緩衝食塩液)で2回洗浄した。さらにプレート1枚当たり3mLの細胞廃棄溶液(1×PBS;0.05%Tween−20)を加え、細胞は氷上のFalcon試験管内にプールした。
次に細胞は1×PBS溶液中に細胞ペレットを再懸濁させることによってPBS中で4回洗浄し、容量を50mL/試験管にさせ、次に4℃で10分間にわたり3,200gで遠沈させた。上清を毎回廃棄し、最終洗浄ペレットをスクロース溶液中に再懸濁させた(容量を試験管1本に付き50mLにさせる)。この溶液を4℃で10分間にわたり3,200gで遠沈させ、上清を廃棄し、ペレットをスクロース溶液により40mLの容量にさせた。
この混合液を氷上の40mLのDounce(ダンス)型ホモジナイザーへ移し、緊密に適合する乳棒を用いて20回すりつぶした。すりつぶした混合物を新鮮Falcon(ファルコン)試験管内へ移し、4℃で10分間にわたり3,200gで遠沈させた。上清を廃棄し、ペレットを50mLのグリセロールバッファー中に再懸濁させた。このステップを1回繰り返し、ペレットの量と等量のグリセロールバッファー中へペレットを再懸濁させた(つまり、ペレット容量が7.5mLである場合は、7.5mLのグリセロールバッファーを加えた)。この調製物は1.5mL容量(つまり、1.5mLのエッペンドルフ試験管当たり約0.5×109cell当量)へ等分することができ、次に液体窒素で急速冷凍して−80℃で保存するか、標的プルダウンのために次のステップへ取り出す。テロメア配列プルダウンのために、6本の1.5mLのエッペンドルフ試験管の調製物と同等の3.109×cell当量を使用する。
上記のクロマチン調製プロトコールは、真核細胞、特に哺乳動物細胞とともに使用するために適合する。しかし、本発明の方法が単に真核細胞ゲノムDNAおよびクロマチンと会合しているタンパク質およびポリペプチド因子の同定には限定されないことは理解される。核酸+会合因子を精製するためのプロトコールは、さらに原核細胞ならびにウイルスにおいても公知である。
2.ハイブリダイゼーションステップのためのクロマチン鋳型の最適化
次のステップは、出発点において単一の1.5mLアリコートのクロマチン鋳型調製物を参照しながら記載する。
卓上型遠心分離器を使用して、クロマチン鋳型調製物を室温で2分間にわたり2,000gで遠沈させた。ペレットを1.5mLの1×PBS−Triton溶液(1×PBS;0.5%Triton−X100)中に再懸濁させ、15μLの濃RNAseA(Qiagen、100mg/mL)を加えた。この溶液は(エッペンドルフ型サーモミキサーを1,400rpmで使用して)攪拌しながら室温で60分間にわたり、次にさらに12〜16時間にわたり4℃で(攪拌せずに)インキュベートした。このRNAseステップは、クロマチンと会合している、または会合していない(例えば、不活性X染色体上のXist被覆クロマチンドメイン)リボヌクレオタンパク質複合体を精製することを目的とするのであれば、省略できる。
RNAse処理した(または必要であれば未処理の)混合物は、50mLのFalcon試験管内で他の処理アリコートともにプールし、1×PBSを用いて50mLの容量にする。プールした混合物(現在では出発時6アリコートに対応する)を4℃で10分間にわたり3,200gで遠沈させ、上清を廃棄する。洗浄ステップは、存在する可能性がある微量のRNAseAを希釈するために6回まで繰り返すことができる。次にペレットを室温で50mLの新鮮LB3JDバッファー(10mM HEPES−NaOH(pH7.9);100mMのNaCl;2mMのEDTA(pH8);1mMのEGTA(pH8);0.2%のSDS;0.1%Sarkosyl;新しく作製し、室温で維持し、1mMの最終濃度になるようにPMSFを加える)中に再懸濁させた。この溶液は、約4.5mLの典型的容量のペレットを生じさせるために、4℃で10分間にわたり3,200gで遠沈させた。このペレットに、再懸濁させるために2.5mLのLB3JDバッファーを加えた。結果として生じる粘性溶液は、15mLのFalcon試験管中の2つの3.5mLアリコートに分割した。この溶液を4℃の低温室において氷上で超音波処理した(マイクロチップを備えるMisonix3000超音波処理機)。超音波処理パラメータは:電源設定7、15秒間の一定パルス、45秒間の休止、7分間の総処理時間であった。これらの条件は、通常はその後のハイブリダイゼーションおよびプルダウンステップのために適切なサイズである長さ約2〜4kbのクロマチンフラグメントを与える。超音波処理溶液を1mLのアリコートに分割し、室温で15分間にわたり16,000gで遠沈させた。上清を15mLのFalcon試験管中へプールした。超音波処理クロマチン溶液の400μLのアリコートは、溶液中の塩濃度を減少させることができるように、S−400−HRゲル濾過スピンカラム(Microspin(商標)、GE Healthcare社)上で2分間にわたり800gで各々処理した。
カラムからの溶出液を15mLのFalcon試験管中にプールし、5分間にわたり58℃でインキュベートしたが、これは可溶性クロマチン調製物中に存在する内因性でビオチン化されたタンパク質を曝露させるために役立つ。プール溶液を室温へ冷却した。0.5mLのUltralinkストレプトアビジン・ビーズスラリーを平衡化させ、10mLのLB3JDLSバッファー(10mM HEPES−NaOH(pH7.9);30mMのNaCl;2mMのEDTA(pH8);1mMのEGTA(pH8);0.2%のSDS;0.1%Sarkosyl;新しく作製し、室温で維持し、1mMの最終濃度にあんるようにPMSFを加える)を用いて2回洗浄し、2分間にわたり3,200gで遠沈させた。上清を廃棄すると、約0.5mLの容量のスラリーペレットが残留した。洗浄したストレプトアビジン・ビーズをプールした可溶性クロマチン溶液に加え、この混合物を室温の旋回装置上で2時間にわたりインキュベートした。この溶液を室温で10分間にわたり3,200gで遠沈させると内因性ビオチン化タンパク質の大部分が除去され、これにより後のステップにおけるバックグラウンドが減少した。上清を保存したが、上清は「透明な」可溶性クロマチン溶液を含有している。
こうして、クロマチン溶液は、ハイブリダイゼーションの準備が整った。クロマチン溶液は、以下の分光測光特性を有していた。
DNA濃度(O.D.260):2〜2.5mg/mL
O.D.260/O.D.280=1.30〜1.45.
O.D.比の数値が高いほど、初期のRNAseA処理は十分に有効ではないこと、そして精製された材料は非クロマチンRNA−タンパク質複合体によって汚染される可能性があることを意味する。これらの数値は、LB3JDLSバッファーが「ブランク」溶液として使用される場合に入手された。
可溶化して清浄化したクロマチン溶液は、4℃で保存することができる。
3.ハイブリダイゼーションおよび標的配列捕集(プルダウン法)
先行ステップにおいて得られた可溶化クロマチンサンプルは、室温の16,000gで15分間にわたり遠沈させた。約5mLのクロマチンサンプルを生じさせるためにアリコートを一緒にプールし、これに最終濃度0.02%(クロマチンサンプルの1/1,000の容量)まで20%SDSを加えた。
このクロマチン溶液に30μLの所望のオリゴヌクレオチドプローブ配列(100μMのストック溶液から、プローブの詳細については「4.」を参照されたい)を加えた。スクランブルもしくはランダム化配列を有するプローブを含有するコントロール反応もまた並行してランした。
このハイブリダイゼーション反応液をハイブリダイゼーションステップのためにサーモサイクラー内に配置したおよそ34×150μLのアリコートに分割した(HYBAID Px2、Thermo Fisher社)。
ハイブリダイゼーションプログラムは、以下のとおりであった。
25℃で3分間
70℃で6分間
38℃で60分間
60℃で2分間
38℃で60分間
60℃で2分間
38℃で120分間
最終温度25℃
ハイブリダイズしたサンプルを元の1.5mLのエッペンドルフ試験管内へプールし、ハイブリダイゼーションステップ中に形成された可能性がある任意の沈降物を除去できるように室温で15分間にわたり16,000gで遠沈させた。
2.4mLのMyONE−C1磁気ストレプトアビジン・ビーズ(Invitrogen社)を15mLのFalcon試験管中に配置し、それらを平衡させるためにこれに7.6mLのLB3JDバッファーを加えた。これらのビーズは磁気スタンド上に固定化し、上清を廃棄した。ビーズは10mLのLB3JDバッファー中で洗浄し、再び固定化し、総量が2.4mLのLB3JDバッファー内へ再懸濁させた。
遠沈させたハイブリダイズしたクロマチンサンプルからの上清を2本の15mLのFalcon試験管中へ移した。各試験管へ3.5mLのmilliQ水を加え、次に1.2mLのC1磁気ビーズ溶液を加えた。この混合物を室温で12時間にわたり旋回させた。
この混合物の容量は、LB3JDバッファーを用いて各試験管内で10mLまでにさせた。次に磁気ビーズを磁気スタンド上で固定した。上清(およそ10mL)は、ハイブリダイズしていない分画を表し、後の個別分析のために保存することができる。ペレットは、プルダウンした、ハイブリダイズしたクロマチン標的を表す。ペレットは、10mLのLB3JDバッファーを用いて7回洗浄した。各洗浄後に、ビーズは旋回によって穏やかに再懸濁させた。洗浄ステップ後、ビーズは試験管1本に付き2.4mLのLB3JDバッファー中に再懸濁させ、2本のエッペンドルフ(1.5mL)低結合試験管へ移し、遠沈させた。
次に磁気ビーズをエッペンドルフ磁気スタンドを用いて固定した。上清を廃棄し、ビーズを1mLのLB3JDバッファー中に再懸濁させた。これらの試験管を42℃のサーモミキサー内で(1,000rpmで攪拌しながら)5分間インキュベートし、次にビーズはエッペンドルフ磁気スタンドを用いて再び固定化した。このステップを繰り返し、最後にビーズを0.6mLのLB3JDバッファー中に再懸濁させた。各ハイブリダイゼーションからのビーズ(テロメアおよびコントロール、各2本の試験管)を1本の試験管/反応液内にプールし、エッペンドルフ磁気スタンド上で固定化した。ペレットを室温で1mLの溶出バッファー(12.5mM ビオチン(Invitrogen社);7.5mMのHEPES−NaOH(pH7.9);75mMのNaCl;1.5mMのEDTA(pH8);0.75mMのEGTA(pH8);0.15%SDS;0.075%Sarkosyl)中に再懸濁させ、室温のサーモミキサー内で(1,000rpmで攪拌しながら)60分間にわたりインキュベートした。60分間にわたりインキュベートした後、温度を65℃へ上昇させ、これらの混合液は、遠沈したクロマチン標的配列の溶出を実行するために10分間にわたりインキュベートした。
これらの試験管は、残留した磁気ビーズおよび溶出液を固定化できるようにエッペンドルフ磁気スタンド上に再び配置し、新鮮1.5mLのエッペンドルフ試験管へ移した。プローブが磁気ビーズから溶出させられていることを検証するために、溶出液のOD260をチェックした(15〜25ng/μLでなければならない)。
溶出液各々に、230μLの100%TCAを加え、これらの試験管を氷上で10分間にわたりインキュベートした。次にプルダウンしたクロマチン溶液を室温で15分間にわたり16,000gで遠沈させ、約1.1mLをピペッティングによって注意深く除去した。これらの試験管は−20℃の低温アセトンを用いて1.5mLにさせ、10秒間にわたり攪拌し、次に室温で10分間にわたり16,000gで遠沈させた。上清を廃棄すると、小さな白色ペレットが視認できた。ペレットをさらにもう1回低温アセトンで洗浄し、室温で10分間にわたり16,000gで遠沈させた。上清を廃棄し、ペレットは風乾させた。
プルダウンした標的クロマチンを含有するペレットは、50μLの架橋逆転溶液(250mMのTris(pH8.8);2%SDS;0.5Mの2−メルカプトエタノール)中に再懸濁させた。次にこの溶液を25分間にわたり99℃でインキュベートし、SDS−PAGEゲル上に装填するか、またはその後の分析のため(例えば、質量分析法による)に待機中は−80℃で保存した。
スクロースバッファー
0.3Mスクロース;10mMのHEPES−NaOH(pH7.9);1%TritonX−100;3mMのCaCl2;2mMのMgOAc(酢酸マグネシウム)
グリセロールバッファー
25%グリセロール;10mMのHEPES−NaOH(pH7.9);0.1mMのEDTA;0.1mMのEGTA;5mMのMgOAc(酢酸マグネシウム)
4.オリゴヌクレオチドプローブの設計
プローブは、LNAおよびDNA残留物の混合物から構成され、長さ25ヌクレオチドであった。さらに、それらをそれらの5’末端でのデスチオビチンであるビオチンアナログで標識したが、この標識は典型的に長さ20〜95炭素原子からなる極めて長いスペーサー基によってプローブ配列に結合している。デスチオビオチンは、ビオチンに比較してより穏和な溶出条件を使用できるように、親和性標識として選択された。極めて長いスペーサーは相当に重要であるが、それはクロマチン固定化戦略が立体障害問題によって損なわれる可能性があるためである(例えば、Sandaltzopoulos R,Blank T,Becker PB.EMBO J.1994を参照されたい)。適切な極めて長いスペーサー技術は、Morocho et al.(Nucleos.Nucleot.Nuc.Acids.(2003)22(5−8):1439−41およびMethods Mol Biol.(2005);288:225−40)に記載されている。
上述した実施例では、テロメア標的化プローブ配列は、
5’ TtAgGgTtAgGgTtAgGgTtAgGgt 3’[配列番号1]
であった。
ランダム化/スクランブル化コントロールプローブ配列は、
5’ GaTgTgGaTgTggAtGtGgAtgTgg 3’[配列番号2]
であった。
このとき大文字はLNA残基を表し、小文字はDNA残基であった。オリゴヌクレオチドプローブを含有するデスチオビオチン化LNAは、Fidelity Systems社(米国メリーランド州ゲーサーズバーグ)による発注のために合成された。上記のプローブにおいて利用された分子スペーサーは、長さが108炭素原子であった。
5.プルダウンしたタンパク質の精製
プルダウンしたタンパク質はBis−Trisの12%アクリルアミドミニゲル(Invitrogen社)上に装填し、泳動用色素がゲルから抜け出るまで100Vで泳動した。次にこのゲルを、製造業者の取扱説明書にしたがってコロイダルブルー(Invitrogen社)により染色して固定した。15〜25のバンドを全レーンに沿って切り取った(全レーンを被覆する)。これらのサンプルは、分析およびタンパク質同定のためにTaplin Harvard質量分析施設(THMS)に提出された(例えば、http://gygi.med.harvard.edu/facility/#Introを参照。Taplin生物学質量分析施設、ハーバード医科大学、C棟517号室、ロングウッドアベニュー240、米国マサチューセッツ州ボストン02115)。
典型的に、この分析は以下のステップを含んでいる。
a.ゲルバンド/スポットのゲル内消化
b.マイクロキャピラリーLC/MS/MS分析
c.タンパク質データベース検索
6.データ分析およびデータのウェブベース報告
これらの結果は、民間アクセスのウェブサイトデータベースの形態にあるTHMSによって提供される。
圧縮されたデータリンクは、それらがマッチする対応するタンパク質と一緒にサンプルから同定されたペプチドを示した。データベース内に列挙された他のタンパク質内で見いだされたペプチド配列には、カラム内で「赤色」標識された数(すなわち、+3)が割り当てられた(冗長性)。圧縮されたデータリンク内の情報は、Sequestデータベースの検索から入手されたデータをソーティングおよびフィルタリングすることによって作製された。
これらのタンパク質は、データの手動検査によって補強されたデータベース−検索プログラムによってそれにマッチされた2つ以上の強力なスコアリングペプチドの要件を備える各サンプルを用いて列挙された。唯一のマッチングペプチドを有していた列挙されたタンパク質が情報のために列挙されたが、1つのマッチングペプチドしか有していなかったタンパク質が正確であるかどうかは、典型的にはその後の確証によって(例えば、ウエスタンブロットによって)検証される。
同定された新規なテロメアクロマチン会合因子は、表1に規定した。
出発細胞は、形質変換ヒト胚肺線維芽細胞系WI38 VA13(Castellani et al.(1986)J.Cell.Biol.103:1671−1677)であった。実施例1において使用したHeLa細胞系とは相違して、WI38 VA13は、ALT細胞タイプである非テロメアである。ALTテロメア配列と会合しているタンパク質およびポリペプチド因子は、実施例1に記載した方法によって単離した。
同定された新規なALTテロメアクロマチン会合因子は、表2に規定した。図2は、実施例1および2によって同定された新規なクロマチン会合因子のグラフによる比較を示している。この図は、所定の因子がテロメラーゼおよびALT細胞タイプ両方においてテロメア配列と一般に関連している重複の領域が明白であることを示している。両方のテロメラーゼ細胞(HeLa)およびALT細胞(WI38 VA13)に一般的なクロマチン会合因子の同一性は、表3に示した。
<本発明の方法により同定された新規なクロマチン会合因子の特性解析>
本発明の方法によって同定された候補が機能的に重要であることを証明する実験を実施した。ALT細胞系WI38 VA13は、COUP−TF2遺伝子を標的とする2つのshRNA構築体(SIGMA、Mission shRNAコレクション)を用いてトランスフェクトした。COUP−TF2は、実施例2における新規なクロマチン会合因子であると同定されたオーファン核受容体である(表2においてボールド体で表示した)。細胞は、トランスフェクトに成功していた細胞を同定するために緑色蛍光タンパク質構築体をコトランスフェクトした。トランスフェクションの96時間後、細胞を固定し、テロメアを検出するための抗rap1抗体(ウサギポリクローナルab4181、AbCam社)およびPML体を同定するための抗PML抗体(マウスモノクローナルPGM3、Santa Cruz社)を用いて二重染色した。局在化シグナルは、ロバ抗ウサギ−Cy3およびロバ抗マウス−Cy5ポリクローナル抗体(Jackson Labs社)により示された。
図3に示したように、PMLおよびRap1シグナルは、未トランスフェクト細胞内では共局在化する(GFP染色の欠如によって同定された)。しかし、GFP陽性細胞内では、2つのシグナルはもはや共局在化しない。これは、COUP−TF2がALT細胞内でテロメアをPML体へ局在化するために必要とされることを証明している。PML体は、転写、DNA修復、ウイルス防御、ストレス、細胞周期調節、タンパク質分解およびアポトーシスを含む多数の核機能と関連付けられてきた。したがって、がん細胞内でのPML体へのテロメアの局在化を阻害する能力は、がん療法へ重要な経路を提供することができる。
TR4遺伝子(本明細書で同定されたまた別の新規な因子)に対して特異的なshRNAを用いるその後のノックダウン実験は、COUP−TF2と類似の結果を示した。これらの結果は、COUP−TF2および/またはTR4は、インビボでPML体へのテロメア局在化の極めて重要なメディエーターとして機能できることを示唆している。
また別の実験(本明細書に示していない)は、COUP−TF2もしくはTR4のノックダウンは、Saos−2骨肉腫ALT細胞系においてWI38VA13細胞内と同一作用を正確に有するので、細胞系特異的ではないことを証明した。
テロメア配列と会合するポリペプチドおよびタンパク質を標的とするために本発明の方法を使用することは、有意な数の会合タンパク質の同定を生じさせた。それでも、本発明の方法は、より小数のタンパク質を同定できると予想される場合は、単一コピー配列を標的とするために適応させた場合もまた有用性を証明する。これらの場合には、本発明の方法はシステム生物学フレームワーク内で新規な仮説を作り上げる、したがって遺伝子制御経路の大多数の化学的に従順な構成要素を同定するために使用できる相互作用経路の同定をもたらす。
<超音波処理によるクロマチン鋳型の調製>
本実施例は、実施例1に記載したクロマチンフラグメントを調製するための代替方法を提供する。
以下の容量および数は、1回の精製のために提供する(すなわち、約3.109cell当量):細胞を室温で2分間にわたり2,000gで遠心分離し、ペレットを同一容量の1×PBS−0.5%TritonX−100中に再懸濁させ、90μLのRNaseA(Qiagen、100mg/mL)を加えた。細胞は、攪拌しながら室温で60分間にわたり、次に4℃で12〜16時間にわたりインキュベートした。細胞は、PBS中で6回洗浄した。細胞はLBJD溶液(10mMのHEPES−NaOH(pH7.9);100mMのNaCl;2mMのEDTA(pH8);1mMのEGTA(pH8);0.2% SDS;0.1%Sarkosyl、プロテアーゼ阻害剤)中で平衡化し、ペレットはペレット量が55%のLBJD溶液中に再懸濁させた。サンプルは、以下のパラメータを用いて超音波処理した(Micro−tip、Misonix 3000)。電源設定7(36〜45ワット)、15秒間の一定パルス、および45秒間の休止で7分間の総処理時間であった。サンプルは、室温で15分間にわたり16,000gでの遠心分離によって収集した。次にクロマチンサンプルは、SephacrylのS−400−HRスピンカラムへ適用し、58℃で5分間にわたりインキュベートした。
LBJDLS(10mMのHEPES−NaOH(pH7.9);30mMのNaCl;2mMのEDTA(pH8);1mMのEGTA(pH8);0.2%SDS;0.1%Sarkosyl、プロテアーゼ阻害剤)で事前に平衡化したストレプトアビジン・ビーズを加え(Pierce Ultralinkストレプトアビジン、0.5mL)、サンプルを室温で2時間にわたりインキュベートした。ビーズを廃棄し、上清を保存した。
本発明の特定の実施形態を本明細書で詳細に開示してきたが、これは例として、そして例示する目的でのみ実施されたものである。上記の実施形態は、以下の添付の特許請求項の範囲に関して限定することは意図されていない。本発明者らは、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な置換、変更、および修飾を加えられることを企図している。

Claims (37)

  1. 標的核酸配列と会合している1つ以上のポリペプチドを単離するための方法であって、
    (a)標的核酸配列と、前記標的核酸配列と会合している1つ以上のポリペプチドとを含むサンプルを入手するステップと、
    (b)前記サンプルと、前記標的核酸配列の少なくとも一部分に相補的であり、ハイブリダイズすることのできる配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを接触させるステップと、ここで、前記オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つのロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも1つの親和性標識をさらに含み、前記親和性標識は、90〜170原子の長さを有するスペーサー基によってオリゴヌクレオチドプローブに共役結合しており、
    (c)前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブおよび前記標的核酸配列がプローブ−標的ハイブリッドを形成できるように相互にハイブリダイズさせるステップと、
    (d)前記少なくとも1つの親和性標識に対して結合する分子を介して前記プローブ−標的ハイブリッドを固定化することによって、前記プローブ−標的ハイブリッドを前記サンプルから単離するステップと、
    (e)前記標的核酸配列と会合している前記1つ以上のポリペプチドを溶出させるステップと
    を含む方法。
  2. 前記標的核酸配列は、真核細胞DNAを含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記標的核酸配列は、RNAを含む請求項1に記載の方法。
  4. 前記標的核酸配列は、原核細胞DNAを含む請求項1に記載の方法。
  5. 前記真核細胞DNAは、哺乳動物DNAを含む請求項2に記載の方法。
  6. 前記標的核酸配列は、哺乳動物DNAに組み込まれたウイルス由来配列を含む請求項1に記載の方法。
  7. 前記標的核酸配列は、クロマチン内に含まれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記標的核酸配列と会合している前記1つ以上のポリペプチドは、クロマチン会合ポリペプチドである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記親和性標識は、ビオチンまたはそのアナログ、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、ジニトロフェノールおよび免疫タグからなる群から選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記ビオチンアナログは、デスチオビオチンである請求項9に記載の方法。
  11. 前記プローブ−標的ハイブリッドは、前記少なくとも1つの親和性標識に結合する分子を通して固定化され、前記分子は固体支持体に付着している請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記固体支持体は、マイクロビーズを含む請求項11に記載の方法。
  13. 前記マイクロビーズは、溶液から磁気的に分離することができる請求項12に記載の方法。
  14. 前記オリゴヌクレオチドプローブ配列は、複数のLNAヌクレオチドを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記オリゴヌクレオチドプローブは、約50%のLNAヌクレオチド残基を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記標的核酸配列と会合している前記1つ以上のポリペプチドは、前記サンプルを前記オリゴヌクレオチドプローブに曝露するステップの前に、前記1つ以上のポリペプチドの架橋結合を生じる条件に曝露され、次いで前記架橋結合ステップは、前記1つ以上のポリペプチドを溶出するステップの前に脱架橋される請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. (f)前記1つ以上のポリペプチドの同一性を決定するために、前記溶出された1つ以上のポリペプチドを分析するステップをさらに含む請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記分析は、質量分析法を含む請求項17に記載の方法。
  19. 以下に規定する一般式I:
    (式中、Aは長さがn原子のスペーサー基によってヌクレオチドXに固定された1つ以上の親和性標識を含み、nは90〜170の整数であり、Aはハプテンもしくは免疫タグを含み、ヌクレオチドXはリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチドおよびロックされたリボヌクレオチド(LNA)から選択される)に一致する少なくとも1つの基を含むオリゴヌクレオチドプローブ。
  20. 前記ハプテンは、ビオチンまたはそのアナログ、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、およびジニトロフェノールからなる群から選択される請求項19に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  21. 前記ビオチンアナログは、デスチオビオチンである請求項20に記載のプローブ。
  22. 以下に規定する一般式II:
    (式中、Bはn原子の直鎖を含むスペーサー基によってオリゴヌクレオチド配列Yに連結されている親和性標識であり、nは90〜170の整数であり、前記オリゴヌクレオチド配列Yは、10%以上がロックされた核酸ヌクレオチドである少なくとも10個のヌクレオチドを含んでいる)に一致するオリゴヌクレオチドプローブ。
  23. 前記ヌクレオチドの少なくとも25%は、ロックされた核酸ヌクレオチドである請求項22に記載のプローブ。
  24. 前記オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも25ヌクレオチドであり、およそ50%のLNAおよび50%のヌクレオチドを含んでいる請求項22または23に記載のプローブ。
  25. 前記スペーサー基は、前記オリゴヌクレオチドプローブの5’ヌクレオチドに結合されている請求項22〜24のいずれか1項に記載のプローブ。
  26. 以下に規定する一般式III:
    (式中、BおよびB’は長さがn原子のスペーサー基CおよびC’によって各ヌクレオチドZおよびWへ連結された同一もしくは相違する親和性標識を含み、nは90〜170の整数であり、前記ヌクレオチドZおよびWは長さがpヌクレオチドのオリゴヌクレオチド鎖Vによって分離され、このときpは0〜40であり、ヌクレオチドZ、WおよびVは同一または相違し、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチドおよびロックされた核酸(LNA)から適切に選択される)に一致する基を含むオリゴヌクレオチドプローブ。
  27. 前記親和性標識は、ビオチンまたはそのアナログ(例えばデスチオビオチンなど)、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、および/またはジニトロフェノールから選択される請求項26に記載のプローブ。
  28. 前記オリゴヌクレオチドプローブは、一般式IIIの基を含み、式中、ヌクレオチドZが前記オリゴヌクレオチドプローブ内の5’ヌクレオチドを表す請求項26または27に記載のプローブ。
  29. 真核細胞のゲノム内のクロマチンの特異的領域と会合するポリペプチドを同定する方法であって、
    (a)前記真核細胞内のクロマチンの前記特異的領域内に存在する標的核酸配列を同定するステップと、
    (b)前記特異的領域内に局在するDNA配列の少なくとも一部分と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ配列を構築するステップと、ここで、前記オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも1つのロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドと少なくとも1つの親和性標識とを含み、前記親和性標識は、90〜170原子の長さを有するスペーサー基によってオリゴヌクレオチドプローブに共役結合しており、
    (c)クロマチンの前記特異的領域と会合している1つ以上のポリペプチドを単離するために、前記オリゴヌクレオチドプローブを利用するステップと、
    (d)クロマチンの前記特異的領域と会合するポリペプチドを同定するために、前記1つ以上の単離されたポリペプチドを分析するステップと
    を含む方法。
  30. クロマチンの前記特異的領域は、テロメア、セントロメア、ユークロマチン、ヘテロクロマチン、遺伝子、反復配列、異種挿入配列および組み込まれたウイルスゲノムからなる群から選択される領域の1つ以上を含む、請求項29に記載の方法。
  31. クロマチンの特異的領域と会合する前記ポリペプチドは、酵素活性についてさらにスクリーニングされる、請求項29または30に記載の方法。
  32. クロマチンの特異的領域と会合する前記ポリペプチドは、薬物標的として同定される請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 後成的活性の調節因子についてのスクリーニング法であって、
    請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法にしたがって、真核細胞のゲノム内でクロマチンの特異的領域と会合するものとして同定されたポリペプチドを単離するステップと、
    前記単離されたポリペプチドを化合物のライブラリー由来の1つ以上の化合物と接触させるステップと、
    前記単離されたポリペプチドに結合して前記単離されたポリペプチドの活性を調節する化合物を後成的活性の調節因子として同定するステップと
    を含む方法。
  34. 前記単離されたポリペプチドは、Hint2、GMPシンターゼ、Pri2、Fen1、USP7、PRMT1、Pin−1、オーロラキナーゼB、USP1およびMTA1からなる群から選択される請求項33に記載の方法。
  35. ポリペプチドの生物活性を特性付ける方法であって:
    請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法にしたがって真核細胞のゲノム内でクロマチンの特異的領域と会合するものとして同定されたポリペプチドを単離するステップと、
    前記ポリペプチドについての核酸配列を入手するステップと、
    前記ポリペプチドについての前記核酸配列の全部もしくは一部に相補的であるアンチセンス核酸配列を生成するステップと、
    前記真核細胞内の前記ポリペプチドの発現を減少させるために、前記アンチセンス核酸配列を真核細胞内へ導入するステップと、
    前記ポリペプチドの前記生物活性を決定するために、前記真核細胞の表現型を分析するステップと、を含む方法。
  36. 前記アンチセンス核酸配列は、siRNAオリゴヌクレオチドを含む請求項35に記載の方法。
  37. 前記真核細胞は、哺乳動物である請求項33〜36のいずれか1項に記載の方法。
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