JP5715484B2 - 導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法に関し、詳しくは、導電性、耐衝撃性、寸法安定性に優れ、接触・摩擦時の摩耗によるカーボンブラックの脱離の少ない導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法に関する。
近年、電気・電子・OA機器の小型軽量化や高集積化、高精度化が進み、それに伴い、電気電子部品への塵やほこりの付着を極力低減させたいという要求が増えてきている。そもそも、電気電子部品に塵やほこりが付着すると接点不良や読みとりエラー等の問題を起こすため、本来的に、塵やほこりの付着を嫌うものであるが、特に最近の電気電子部品の小型軽量化、高集積化、高精度化により、その要求が一層厳しくなっている。例えば、半導体に使われるウェハー、ICチップ、デジタルカメラ、ビデオカメラに用いられるCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子、コンピューターに使われるハードディスクの内部部品等はその最たる例である。これらの電気電子部品の製造や組立には、通常、塵やほこりの極めて少ない、いわゆるクリーンルーム内で行われており、ここでは塵やほこりの付着は起こらない。しかしながら、電気電子部品の搬送時は、外気にさらされるため塵やほこりの付着が問題となる。この問題を回避するため、電気電子部品の搬送用や保管用の部品(ICやCCDのトレー、ケース、ハウジング等)には、導電性を付与した樹脂材料の使用が求められている。また、これらの部品は、電気電子部品の搬送等に用いられるため、落下等により破損しないような高い耐衝撃性をも必要とされている。
このような電気電子部品の搬送用や保管用の部品には、ポリフェニレンエーテル系樹脂が一般的に用いられている。そして、ポリフェニレンエーテル系樹脂に導電性を付与するためには、導電性カーボンブラックや金属繊維等の導電剤を配合することが広く行われている。導電性カーボンブラックを配合したポリフェニレンエーテル系樹脂としては、特許文献1や2を例示できるが、次の様な欠点がある。
(1)成形品の接触・摩擦時の摩耗によるカーボンブラックの脱離(いわゆる「カーボンブラックの剥落」)が発生し、脱離したカーボンブラックがICやCCDのチップ、ウェハー、コンピューターに使われるハードディスクの内部部品等に付着して誤作動を引き起こす。
(2)耐衝撃性の低下、成形性の低下、カーボンブラックの露出や脱離による成形品外観の悪化を引き起こす。
(3)導電性カーボンブラックと樹脂とをヘンシェルミキサーあるいはタンブラーミキサー等によりブレンドし、その後各種フィーダーにより供給する方法や、定量フィーダーを用いて樹脂成分とカーボンブラックを各々定量的に供給する方法であると、ブレンド段階あるいは押出機へ供給した後に分級し、その結果、樹脂組成物中のカーボンブラックの濃度にバラツキが生じ、導電性のバラツキが少ない安定した導電性を有する樹脂組成物が得られない。
(4)1mmより長い金属繊維を樹脂に配合した場合、金属繊維の絡み合いによる分散不良が生じ易く、導電性のバラツキやゲート詰まりの原因となる。
上記のカーボンブラックによる諸問題や金属繊維の分散不良を解決した導電性樹脂組成物として、1mm以下の金属繊維を配合した樹脂組成物が特許文献3において開示されているが、該特許文献3で使用されている金属繊維でも長さが長く、ゲート詰まりが発生し、成形性低下の問題は解決されていない。
さらに、成形品においても、例えば、IC(integrated circuit)製造工程やIC運搬工程で使用されるICトレーの場合、ICトレーにICチップやウェハー等を入れて、オーブン中で加熱してIC組立物中に含有されているわずかな水分やアルカリイオン、Brイオン、Clイオンのような揮発性不純物を脱気させるベーキング工程がある。
そのため、IC中に水分やガス成分が残ると、ICの精度に致命的な欠陥をもたらすため、ベーキング工程は非常に重要な工程である。このベーキング工程では、ICをICトレーに入れて120℃以上の温度に設定されたベーキング室で水分や不純物を脱揮・除去するが、ベーキング時の熱によりICトレーに反りが発生したり変形したりする。最近では、ICの信頼性向上のため、ベーキング温度が150℃以上と上昇傾向にあり、より高い寸法安定性が求められている。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、電気的特性、耐衝撃性に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られているが、一方で、それ自身単独では流動性が悪く成形が困難であるという欠点を有している。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、重合装置から取り出される製品が、通常パウダー状であり、これは押出し機等のスクリュー表面ですべり易く、計量性が不安定となり、成形加工性の点で不利である。このためポリフェニレンエーテル系樹脂の成形加工性、流動性、耐衝撃性の改良を目的として、ポリスチレン系樹脂を配合した材料が開発され(特許文献4参照)、エンジニアリングプラスチックの一つとして多くの分野に使用されている。
一般的には、熱可塑性樹脂を成形加工する際の原料の形態としては、通常はペレットと呼ばれる小粒の樹脂塊として供される。ポリフェニレンエーテル系樹脂にポリスチレン系樹脂を配合してペレットにするには、ポリフェニレンエーテル系樹脂(通常は粉末状)と、ポリスチレン系樹脂を、押出機に供給し、ストランド状の溶融樹脂として押出し、水槽等で冷却後、ペレタイザーによりカッティングして、ペレットとされる。
しかし、ポリフェニレンエーテル系樹脂粉末にポリスチレン系樹脂を配合して押出機に供給し押出し成形する際には、粉末状の樹脂に同伴して空気が入り込みやすく、このような空気含有粉末は押出し機のスクリュー送り面で滑り易いためスクリューでの送りが不安定になったり、押出機中での滞留時間が長くなり、ポリフェニレンエーテル系樹脂を酸化劣化させ、耐衝撃性等の機械的物性が低下しやすい。
酸化劣化を防止するには、通常、酸化防止剤を原料に添加する方法(特許文献5参照)があるが、これだけでは効果は十分ではなく、また、窒素ガス等の不活性ガスを押出機に供給する方法(特許文献6参照)も行われているが、単に不活性ガスを供給するだけでは効果は不十分である。
また、さらに、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、通常、重合装置から取り出されたままのパウダー品を使用するので、粉状で見かけ密度が低く、押出機に供給した際には、空気が入り込み、押出機のフィーダー部(供給部)での食い込みが悪くなってフィードネックが発生しやすく、また、押出機内のニーディングディスク部等の混練部において、樹脂が溶融される際に、空気が逆流し、樹脂の搬送が妨害されて押出量を低下させ、生産性が一気に低下してしまうという問題がある。
こうした状況下、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂から、導電性、耐衝撃性及び寸法安定性がともに優れ、カーボンブラックの脱離の少ないポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を、効率よく製造する方法の開発が強く望まれていた。
特開平2−175754号公報 特開2004−263016号公報 特開平2−178336号公報 米国特許第3383435号公報 特開2003−246865号公報 特開平6−206216号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂から、導電性、耐衝撃性及び寸法安定性に優れ、カーボンブラック等の導電剤の脱離が少なく、成形品外観が良好なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂として、重合触媒に由来する銅元素を1.5質量ppm以下の割合で含有するポリフェニレンエーテル系樹脂を用い、ポリスチレン系樹脂として特定の平均粒径と見かけ密度を有する樹脂粒子を使用し、これらを特定のスクリュー構成を有する二軸押出機に供給して、加熱、溶融、混練させ、さらに導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリルを、押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側にサイドフィーダーから供給し、ポリフェニレンエーテル系樹脂の超高分子量体を生成させた樹脂組成物を得ることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂本来の諸特性維持し、塵やほこりの付着が少なく安定した導電性を有しており、さらに、耐衝撃性、寸法安定性にも優れ、カーボンブラック等の導電剤の脱離の少ない、導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を効率よく製造することが可能である。本発明の製造方法により得られた導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、特にICやCCD等の電気電子部品の保管容器や搬送用トレー等の成形品製造用に極めて好適である。
本発明で使用する押出機に好ましく使用されるニーディングディスク構成の一例を示す図である。 本発明で使用する押出機に好ましく使用されるニーディングディスクの説明図である。 本発明で使用するストランド押出し工程からストランドカッターに至る工程の全体説明図である。 ストランド搬送工程で使用するガイドローラーの一実施態様を示す部分側面図である。 実施例で作製したICトレーの概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本明細書において、アルキル基等の「基」は、特に述べない限り、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)50〜92質量%とポリスチレン系樹脂(B)50〜8質量%を含む樹脂成分100質量部に対し、導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)3〜30質量部を含有してなる導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造するにあたり、
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)として、重合触媒に由来する銅成分を、銅元素にして、1.5質量ppm以下の割合で含有するポリフェニレンエーテル系樹脂を用い、
ポリスチレン系樹脂(B)として、平均粒径1〜5mm、見かけ密度0.5〜0.7g/cmの粒子を用い、
上記両樹脂を、長さがL/Dで10〜80であり、混練ゾーンを少なくとも2箇所以上有し、混練ゾーンの合計のL/Dが3〜18のスクリュー構成である二軸押出機に供給して、加熱、溶融、混練した後、導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)を、二軸押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側にサイドフィーダーから供給し、分子量500,000以上のポリフェニレンエーテル系樹脂の超高分子量体を、樹脂組成物中に0.015〜0.6質量%の量で生成させたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得ることを特徴とする。
以下、本発明を具体的に説明する。
(1)ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)
本発明で使用するポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「PPE」と略記することもある。)は、下記一般式(1)で表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体の何れであってもよい。
Figure 0005715484
(式中、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基を表わす。Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基を表す。ただし、2つのRが共に水素原子であることはない。)
一般式(1)において、Rがハロゲン原子の場合、塩素原子または臭素原子が好ましい。前記一般式(1)において、Rが第一級アルキル基である場合の好適な例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2,3−ジメチルブチル基、2−、3−若しくは4−メチルペンチル基、またはヘプチル基などの、炭素数1〜10のアルキル基である。Rが第二級アルキル基である場合の好適な例は、イソプロピル基、sec−ブチル基または1−エチルプロピル基などの、炭素数4〜10のアルキル基である。Rがアリール基である場合の好適な例は、フェニル基であり、アミノアルキル基である場合の好適な例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基などの、炭素数1〜5のアルキル鎖を有するアルキルアミノ基である。Rがハロアルキル基である場合の好適な例としては、アルキル基の好適な例として上述した各基の、1以上の水素原子がハロゲン原子に置換されてなる基が挙げられる。アルコキシ基である場合の好適な例としては、アルキル基の好適な例として上述した各基に対応するアルコキシ基が挙げられ、ハロアルコキシ基の例としては、該アルコキシ基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されてなる基が挙げられる。Rとしては、水素原子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基が好ましい。
一般式(1)において、Rが第一級および第二級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基である場合の好適な例としては、Rにおけるのと同様の基が挙げられる。
本発明において、RおよびRとしては、水素原子、第一級若しくは二級アルキル基、アリール基が好ましく、Rはアルキル基またはフェニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、Rは水素原子がより好ましい。
尚、本発明における、PPEは、本発明の性能を損なわない範囲で、分子量を調節したり、溶融粘度や耐衝撃強度等の各種特性を改良するために、一般式(1)で表される構造以外の繰り返し単位を含んでもよい。
好適なPPEとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)等の2,6−ジアルキルフェニレンエーテルの単独重合体が挙げられる。
また、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体等の2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体も好ましい。さらには、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等も好ましい。
これらのPPEの中でも特に好ましいのは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールランダム共重合体である。
PPEの分子量は、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.2〜0.8dl/gのものが好ましく、0.3〜0.6dl/gのものがより好ましい。極限粘度が0.2dl/g未満のものを用いたのでは、得られる樹脂組成物を用いて成形品を製造した場合の耐衝撃性等の機械的物性が低下する傾向にある。逆に0.8dl/gより大きいものを用いると、樹脂組成物の流動性が悪化し、成形加工が困難になる傾向にある。PPEは2種以上を併用してもよく、その際には極限粘度の異なるものを混合して所望の極限粘度となるようにしてもよい。
本発明で使用されるPPEは、末端ヒドロキシル基の数が、フェニレンエーテルユニット100個に対し0.15〜1.5個の範囲であるポリフェニレンエーテルが好ましい。末端ヒドロキシル基量がフェニレンエーテルユニット100個に対して、0.15個未満であると、スチレン系樹脂との相溶性が低下し、得られる樹脂組成物を成形品とした場合に、外観不良や層状剥離が発生することがあり、さらには破断伸びや面衝撃強度が低下しやすく、高温雰囲気下での熱安定性が低下しやすい傾向にある。また1.5個を超えると熱安定性が低下しやすい。より好ましい末端ヒドロキシル基の数は、フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.2〜1.3個である。この末端ヒドロキシル基の存在は、後述する超高分子量体の生成を助けているものとも考えられる。
末端ヒドロキシル基を有するユニットとしては、具体的には、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−プロピル−4−ヒドロキシフェニル基、2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
末端ヒドロキシル基の数が0.15個以上であるPPEを得る方法は、特公昭61−20576号公報にも記載されおり、例えば、2,6−ジメチルキシレノールを、第一銅塩とアミンの化合物を触媒として、トルエン等の溶媒中で酸素存在下に酸化重合反応させ、得られたポリフェニレンエーテル溶液に、銅とキレート化合物を形成する化合物を添加する等の方法で、触媒を失活させた後、酸素の混入を避けた雰囲気下で該ポリフェニレンエーテル溶液を攪拌する等により得ることができる。
また、末端ヒドロキシル基の量の調製法は公知であり、フェノール性化合物を重合する条件と重合停止後のキノン反応の条件によって変化することが知られており、一般に重合して得られたポリフェニレンエーテルにキノン化合物を添加してキノン反応させてヒドロキシル基濃度を高くすることができる。
本発明において、PPE中に重合触媒に由来する成分を、銅元素として1質量ppm以下の割合で存在させる。この重合触媒に由来する成分は、PPEの重合を行った触媒をある程度残存させることによって存在させることが可能であるが、重合触媒成分をPPEに後添加するようにしてもよい。
PPEの酸化重合用の触媒としては、銅、マンガン、コバルト等の金属化合物系のものが知られているが、酸素ガス、あるいは空気を用いて酸化重合をする場合の触媒として、工業的に用いられているものは、CuCl、CuBr、CuSO、CuCl、CuBr、CuSO、CuI等の銅塩等の1種または2種以上が用いられる。また、上記触媒に加えて、モノ及びジメチルアミン、モノ及びジエチルアミン、モノ及びジプロピルアミン、モノ−及びジ−n−ブチルアミン、モノ−及びジ−sec−ジプロピルアミン、モノ及びジベンジルアミン、モノ及びジシクロヘキシルアミン、モノ及びジエタノールアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルジメチルアミン、アリルエチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、モルホリン、メチル−n−ブチルアミン、エチルイソプロピルアミン、ベンジルメチルアミン、オクチルベンジルアミン、オクチルクロロベンジルアミン、メチル(フェニルエチル)アミン、ベンジルエチルアミン、N−n−ブチルジメチルアミン、N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン、ジ(クロロフェニルエチル)アミン、1−メチルアミノ−4−ペンテン、ピリジン、メチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン等を1種または2種以上のアミンが、通常、併用される。
本方法においては、上記重合触媒に由来する成分を存在させ、PPEとポリスチレン系樹脂を、後で詳記するように、押出機内で溶融状態で混練することにより、PPEの超高分子量体の生成(超高分子量化)を図るものである。
超高分子量体とは通常、分子量が数十万程度から数百万程度の重合体を意味するが、本発明においては、確認測定の都合、また慣習上、分子量が500,000以上の重合体の存在量をもって定義することとしている。
従って、以降、超高分子量体は、分子量にして500,000以上のものをいい、分子量500,000以上のポリフェニレンエーテル系樹脂が、樹脂組成物中に0.015〜0.6質量%の量で存在することが本発明の効果を奏する上で好ましい。
従来技術的には、このような超高分子量の重合体はPPEに外部添加することが行われている。例えば、特開2009−255585号等に開示されているが、押出成形加工時の生産性向上、成形品表面の平滑性がよく外観が良いことから、PPEに超高分子量のポリエチレン、超高分子量のポリ4フッ化エチレン等が添加混合して用いられている。
しかしながら、このような超高分子量のポリエチレン等は外部添加すると塊状となりやすく、所謂フィッシュアイと呼ばれる欠陥や、ブツ等と呼ばれる表面欠陥となりやすいことも事実で、その効果が良し悪しであった。
本発明は、このようなPPEへの超高分子量体の添加を外部添加ではなく、PPEとポリスチレン系樹脂の混練時にPPEの超高分子量化を行うことにより、ブツやフィッシュアイになり難い、良好に分散(広がった状体)した超高分子量体(樹脂)を生成させることが出来ることを見出した。
本発明においては、超高分子量体の生成の点で、PPE中に重合触媒由来の成分を存在させることも好ましい。PPE中の重合触媒由来成分の存在量は、触媒の種類にもよるが、銅元素(金属成分)として1.5質量ppm以下である。
重合触媒は前述もしたが、PPEの重合触媒の一部を活性なまま残存させても良いし、後で添加しても良い。
重合触媒は前述したように、塩化銅が一般的であり、従って銅元素の量は、重合触媒の存在量、あるいは重合触媒に由来する成分の量としての意味を有する。重合触媒の存在量として捉える場合、銅元素の量は触媒成分中の銅部分のみの量を示している。
銅元素の量は、超高分子量体を生成させる量にもよるが、通常は銅元素として1.5質量pm以下である。銅元素の含有量が1.5質量ppmを超えると、超高分子量体の生成量が多くなりすぎ、カーボンブラックの脱離が多くなる場合がある。好ましくは1質量ppm以下、より好ましくは0.01〜1質量ppm、特に好ましくは0.1〜1質量ppm、特に好ましくは0.3〜1質量ppm程度残留させる(あるいは添加する)ことで十分である。
銅元素の量の調整は、PPEの重合時の触媒を残存させるには触媒除去の程度を調整したり、触媒を失活させる失活剤の量を調節する等の方法を適用することにより行いうるが、触媒の過剰な残存は変色等の原因となるので、十分な注意が必要である。
簡便には、触媒を除去したPPEに所定量の銅化合物(重合触媒)を添加してやれば良い。
重合触媒を銅元素として1.5質量ppm以下の割合で存在させ、PPEとポリスチレン系樹脂を押出機中で溶融状態で混練することにより、分子量500,000以上の超高分子量体が存在するようになる。
超高分子量体の存在量は、重合触媒の量、混練条件等によりある程度変わるが、通常PPEとポリスチレン系樹脂の合計量に対し、0.015〜0.6質量%であり、好ましくは0.03〜0.4質量%である。
(2)ポリスチレン系樹脂(B)
PPEと併用するポリスチレン系樹脂(以下、「PS」と略記する場合がある。)としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。
本発明で使用するPSとは、芳香族ビニル化合物から誘導される繰り返し単位を50質量%以上含む重合体または共重合体、またはこれらの重合体がゴム変性されたものを意味する。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、ビニルトルエン、o−またはp−ジクロロスチレンなどの核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物以外のモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルおよびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の各種のビニル化合物が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS樹脂)、メチルメタクリレート/スチレン樹脂(MS樹脂)などが挙げられる。また、スチレン系グラフト共重合体としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)、前記ABS樹脂のブタジエンをエチレン−プロピン系ゴムで置換したAES樹脂、アクリロニトリル/アクリレート/スチレン樹脂(AAS樹脂)、メチルメタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(MABS樹脂)、スチレン/IPN型ゴム共重合体等の樹脂等が挙げられる。さらにシンジオタクティクポリスチレン等のように立体規則性を有するものであってもよい。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法または塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
これらポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、上限は、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
ポリスチレン系樹脂(B)としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンが、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の点で好ましい。特に、耐衝撃性が必要な場合は、耐衝撃性ポリスチレンがより好ましい。
本発明において、ポリスチレン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂(B)として、平均粒径1〜5mm、見かけ密度0.5〜0.7g/cmの粒子を使用する。このようなPS粒子をPPE、好ましくは粉末状のPPEに配合し、溶融混練することにより、焼け等の異物の発生を抑制し、外観に優れた成形品を得ることが可能となる。この原因は定かではないが、次の様に考えることができる。即ち、PSのガラス転移温度は100℃であり、PPEのガラス転移温度210℃に比べはるかに低い。よってPSは押出機の固体搬送領域でPPEより早く溶融を開始しやすい(PSとして粉末状のPSを用いた場合は特に早く溶融してしまう)。この溶融したPSがバインダーとなり、固体輸送部の押出機シリンダー壁やスクリューの表面にPPEが付着する。PPEは熱により高分子鎖の転移反応が起こり架橋反応し易い。それにより、焼け等の異物が発生し、製品中に混入する。しかしながら、PSの平均粒径が1mm以上であると、PS粒子の固体搬送領域での溶融が遅くなる、そしてシリンダー壁やスクリュー表面への付着も起こり難くなる。そのために焼け等の異物が発生し難い。
また、平均粒径が5mm以上と大きくなると、押出機へのフィードが困難となる。押出機の手前には通常スクリュー形式のフィーダー(定量供給装置)が設けられているが、大きなペレットを用いるとこのフィーダーのスクリューと壁との間にPSが挟まり、またスクリュー同士の間に挟まり、フィーダーのスクリューを停止させてしまう。
またPSの平均粒径が5mm以上と大きくなると、PPEと分級しやすくなる。PSの見かけ密度が0.5g/cmより小さい場合も0.7g/cmより大きい場合も、PPEと分級が起こりやすくなる。
PS粒子はPPEと良好に相溶化し、PPEの流動性を増し、PPE中に発生する超高分子量物がダマ(凝集した異物)になるのを防止し、PPE中に生成した超高分子量物が伸びて広がった形態でPPE中に分散した状態とするという重要な役をなすと考えられる。
なお、本発明における平均粒径の測定は、以下の様に行った。即ち、粒子をオープニングが1mmの篩に掛け、1mm未満の粒子はレーザー回折式粒度分布測定装置で測定される体積平均で規定した。本発明では、セイシン企業社(Seishin Enterprise Co.Ltd.)製「レーザー回折散乱式粒度分布測定装置Laser Micron Sizer LMS−2000e」を用いて、湿式法(溶媒:イソプロピルアルコール)にて測定を行った。1mm以上の粒子はノギスで測定し、体積平均粒子径を求めた。そして、1mm未満の粒子径と1mm以上の粒子径から粒子全体の平均粒径を求めた。
また、見かけ密度は、JIS K5101(静置法、但しフィルターは用いない)に規定された嵩密度測定から、質量(g)を見かけの体積(cm)で除する(単位:g/cm)ことにより求められる。
本発明における樹脂成分は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)50〜92質量%とポリスチレン系樹脂(B)50〜8質量%を含む。好ましくはポリフェニレンエーテル系樹脂(A)60〜90質量%とポリスチレン系樹脂(B)40〜10質量%を含むものであり、さらに好ましくは、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)70〜90質量%とポリスチレン系樹脂(B)30〜10質量%を含むものである。ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が50質量%未満では荷重撓み温度や耐衝撃性等の機械的物性が低下する傾向にあり、92質量%を越えると流動性が低下し、成形工程が煩雑になる傾向があるので好ましくない。
(3)導電性カーボンブラック(C1)
本発明における導電性カーボンブラック(C1)は、導電性カーボンブラック中の水素含有量を低下させるとともに、結晶サイズを小さくし、且つそのストラクチャーの指標値を大きくすることにより、これを配合した導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の導電性および流動性を向上させるものである。
本発明で用いる導電性カーボンブラックは、次の3条件を満足する必要がある。
(1)24M4DBP吸収量が130cm/100g以上
(2)1500℃、30分間加熱により発生した水素量(脱水素量)が1.2mg/g以下
(3)結晶子サイズLcが10〜17Å
さらに、本発明の導電性カーボンブラックは、次の条件を満足することが好ましい。
(4)窒素吸着比表面積が150〜300m/g
(5)ストークスモード径(Dmod)と24M4DBP吸収量との比(Dmod/24M4DBP)が0.6〜0.9
(6)透過型電子顕微鏡による平均粒径が14〜24nm
(7)セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が120〜220m/g
(8)DBP吸収量が150〜400cm/100g
(9)次式で定義される含酸素官能基密集度が3μmol/m以下
Figure 0005715484
(10)オイルファーネスカーボンブラックである
なお、本発明に係る導電性カーボンブラックの特性評価法は次の通りである。
[24M4DBP吸収量、DBP吸収量]
24M4DBP吸収量およびDBP吸収量は、JIS K6217に準拠して測定する(単位:cm/100g)。
[1500℃、30分間加熱により発生した水素量(脱水素量)]
脱水素量は、カーボンブラックを真空中で1500℃で30分間加熱し、この間に発生したガス中の水素量であり、具体的には次のようにして測定する。
1.カーボンブラックを約0.5g精秤し、アルミナ管に入れ、0.01Torr(1.3Pa)まで減圧した後、減圧系を閉じ、1500℃の電気炉内に30分間保持してカーボンブラックに存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。
2.揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容積のガス捕集管に採取する。
3.圧力と温度からガス量を求めるとともに、ガスクロマトグラフにて組成分析する。これから水素(H)の発生量(mg)を求め、カーボンブラック1g当たりからの水素量に換算した値を計算する(単位:mg/g)。
[結晶子サイズLc]
カーボンブラックの結晶子サイズLc(Å)は、X線回折装置を用い、次の式より求める。
Scherrerの式:結晶子サイズLc=K×λ/β×cosθ
ここで、K:形状因子定数0.9
λ:特性X線の波長 CuKα 1.5418(Å)
β:半価幅(ラジアン)
θ:ピーク位置(度)
具体的な測定装置としては、X線回折装置 RINT−1500型(理学電機社製)を用い、測定条件は管球にCu、管電圧40KV、管電流250mAで実施した。カーボンブラック試料は装置付属の試料板に充填し、測定角度(2θ)10〜60°、測定速度0.5°/分で測定し、ピーク位置と半価幅は装置のシフトにより算出した。測定角度の校正は、X線標準用シリコンを用いた。
[窒素吸着比表面積]
窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K6217に準拠して定義する(単位:m/g)。
[ストークスモード径(Dmod)およびストークスモード半値幅(D1/2)]
ストークスモード径(Dmod)およびストークスモード半値幅(D1/2)は、以下の測定法で求める。
(測定法)
界面活性剤(SIGMA CHEMICAL社製「NONDET P−40」)を3滴加えた20容量%エタノール水溶液に、精秤したカーボンブラックを加えて、カーボンブラック濃度が0.01質量%の試料液を調製した。この試料液を超音波洗浄機(LAKOMANUFACTURNG CO.製「ULTRASONIC STIRRING BATH」)を用いて、20分間分散処理することにより、カーボンブラックスラリーとした。一方、遠心沈降式の粒度分布測定装置(BROOK HAVEN INSTRUMENTS社製「BI−DCP PARTICLSIZER」)にスピン液(純水)10ミリリットルを注入し、さらにバッファー液(20容量%エタノール水溶液)1ミリリットルを注入した後、前記調製したカーボンブラックスラリー各1ミリリットルを注入し、回転数10000rpmで遠心沈降させ真比重1.78g/cmでストークス相当径を計算し、図1に示すように、ストークス相当径に対して相対的な発生頻度のヒストグラムを作る。ヒストグラムのピークAから直線BをY軸に平行に引き、ヒストグラムのX軸との交点をCとする。このときのCでのストークス直径が、ストークスモード径(Dmod)となる。また、直線Bの中点をFとして、Fを通りX軸に平行に直線Gを引く。直線Gは、ヒストグラムの分布曲線と2点DおよびEで交わる。このとき、DおよびEでの各ストークス直径の差の絶対値が、ストークスモード半値幅(D1/2)である。
[平均粒子径]
平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用い、具体的には次のようにして求めた。
1.カーボンブラック試料を150kHz、0.4kWの超音波分散機により、10分間クロロホルムに分散させて分散試料を作成した。
2.次に、上記試料をカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定する。これを透過型電子顕微鏡で撮影し、50,000〜200,000倍に拡大した画像をEndterの装置を用いてランダムに1,000個以上のカーボンブラックの粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
[CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)吸着比表面積]
CTAB吸着比表面積は、JIS K6217に準拠して測定する(単位:m/g)。
[含酸素官能基密集度]
(1500℃×30分)CO発生量(以下、単に「CO発生量」という)および(1,500℃×30分)CO発生量(以下、単に「CO発生量」と言う)は、各々カーボンブラックを真空中で1500℃で30分間加熱し、この間に発生したガス中のCOおよびCO量であり、具体的には次のようにして測定される。
(測定法)
カーボンブラックを約0.5g精秤し、アルミナ管に入れ、0.01Toor(1.3Pa)まで減圧した後、減圧系を閉じ、1500℃の電気炉内に30分間保持してカーボンブラック中に存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容積のガス捕集管に採取する。圧力と温度からガス量を求めるとともに、ガスクロマトグラフにて組成分析する。これから一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO)の発生量(mg)を求め、カーボンブラック1g当たりからのCOおよびCOに換算した値を計算する(単位はmg/g)。
さらに、得られた各ガスの発生量をμmol/gに換算し、次の式により含酸素官能基密集度を求める。
Figure 0005715484
以下に本発明で用いる導電性カーボンブラックの特性値について説明する。
<24M4DBP吸収量>
一般にカーボンブラックは一次粒子が葡萄房状に連なった独特のストラクチャーと称される連鎖体よりなる二次粒子を形成している。この葡萄房状連鎖体の空隙部分等にジブチルフタレート(DBP)が吸収されるので、24M4DBP吸収量や後述のDBP吸収量はカーボンブラックが有する重要な指標値である。
本発明に係る導電性カーボンブラックは、樹脂組成物の導電性および流動性を向上させるために、24M4DBP吸収量が130cm/100g以上、好ましくは140cm/100g以上、より好ましくは145cm/100g以上である。24M4DBP吸収量が130cm/100g未満では、導電性ネットワークを形成しにくくなるため、樹脂組成物とした際に十分な導電性が得られない。ただし、24M4DBP吸収量が高すぎても、樹脂中での分散性が低下する場合があり、また生産時の炉の負荷が大きく、経済的でないので、260cm/100g以下が好ましく、より好ましくは200cm/100g以下、さらに好ましくは160cm/100g以下である。
<1500℃、30分間加熱により発生した水素量(脱水素量)>
本発明では、導電性カーボンブラックの1,500℃で30分間加熱により発生した水素量(以下、「脱水素量」と略す場合がある。)を1.2mg/g以下、好ましくは1.0mg/g以下、より好ましくは0.8mg/g以下にすることにより、樹脂組成物の導電性を高めることができる。脱水素量が1.2mg/gよりも多いと、カーボンブラック表面近傍の結晶発達が不十分で、カーボンブラック造粒、乾燥工程等で酸性官能基が表面に付加しやすくなり、樹脂組成物の導電性が悪くなる。脱水素量は、1.2mg/g以下であれば低い程好ましいが、一般的には工業的な経済性などの理由により、0.1mg/g以上とするのが好ましい。
<結晶子サイズLc>
本発明では、導電性カーボンブラックの結晶子サイズLcを10〜17Åの範囲、好ましくは11〜16Åの範囲とすることで、樹脂組成物の導電性および流動性の双方を高めることができる。結晶子サイズが17Åを超えると、樹脂との混練時に結晶化したグラファイト層でカーボンブラックの切断が起こりやすくなり、ストラクチャーが短くなり、導電性が低下する。また、結晶子サイズが10Åより小さいと十分な導電性が得られない。
<窒素吸着比表面積>
本発明に係る導電性カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、大きいほど樹脂組成物の導電性を向上させるが、300m/gを超えると樹脂中への分散性や流動性が低下する場合がある。導電性カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、150〜300m/gの範囲が好ましく、より好ましくは200〜290m/gの範囲とすることで、樹脂組成物の導電性と流動性のバランスが優れたものとなる。
<ストークスモード径(Dmod)と24M4DBP吸収量との比(Dmod/24M4DBP)>
本発明に係る導電性カーボンブラックは、ストークスモード径(Dmod)と24M4DBP吸収量との比(Dmod/24M4DBP)が0.6〜0.9の範囲にあることが樹脂組成物とした際に導電性と流動性のバランスが優れることから好ましい。Dmod/24M4DBPが0.6より小さいと、樹脂組成物中での分散性低下や流動性低下が起こる場合があり、分散性が悪すぎると導電性が低下する場合もある。また、逆に0.9より大きいと、導電性と流動性、機械的強度のバランスが悪化する場合がある。
<平均粒子径>
樹脂組成物の導電性をさらに向上させるために、透過型電子顕微鏡によるカーボンブラックの平均粒子径は14〜24nmが好ましく、より好ましくは15〜18nmである。平均粒子径が14nm未満では、カーボンブラックの分散性が低下し、24nmを超えても導電性が低下する。
<セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積>
本発明では、導電性カーボンブラックのCTAB吸着比表面積を好ましくは120〜220m/gの範囲、より好ましくは150〜200m/gの範囲にすることにより、樹脂組成物の導電性および流動性を高めることができる。CTAB吸着比表面積が120m/gより小さいと導電性が低下する場合があり、220m/gより大き過ぎると樹脂組成物中での分散性や流動性が低下する場合があるのでいずれも好ましくない。
<DBP吸収量>
導電性カーボンブラックのDBP吸収量は、小さすぎると樹脂組成物とした際に導電性が低下する場合があり、逆に大きすぎると樹脂組成物の流動性が低下する場合がある。本発明で用いる導電性カーボンブラックのDBP吸収量は150cm/100g以上、中でも155cm/100g以上であることが好ましく、400cm/100g以下、中でも250cm/100g以下、さらに230cm/100g以下、特に210cm/100g以下であることが好ましい。
<含酸素官能基密集度>
本発明に係る導電性カーボンブラックは、含酸素官能基密集度が3μmol/m以下であることが好ましい。含酸素官能基密集度とは、カーボンブラック単位表面積当たりの官能基の数を示すものであるため、この数値は低いのが好ましい。この数値が高い場合には、カーボンブラックを含む樹脂組成物の導電性が低下する。なお、この数値は低いほど導電性の観点では好ましいが、あまりに低すぎると分散性が低下して導電性や流動性が却って悪化する恐れがあり、また脱水素量の場合と同様、工業的な経済性などの理由により不利である。従って、含酸素官能基密集度は0.1μmol/m以上とするのが好ましい。
<オイルファーネスカーボンブラック>
本発明に係る導電性カーボンブラックは、上記特性条件を満足するなら、その製造方法は任意であり、例えばオイルファーネス法やアセチレン法、賦活法などが挙げられるが、中でもオイルファーネス法は、安価に、且つ歩留まり良く製造できるので好ましい。
オイルファーネス法によるカーボンブラックの製造方法は、例えば、特開2006−213767号公報に記載の方法を採用することができる。
(4)中空炭素フィブリル(C2)
本発明における中空炭素フィブリルとは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが実質的に同心に配置されている、本質的に円柱状のフィブリルである。さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2〜20nmの範囲のものが好ましい。このような中空炭素フィブリルは、特表昭62−500943号公報や、米国特許第4,663,230号明細書等に詳細に記載されている。その製法は、後者の米国特許明細書に詳細に記載されているように、例えば、アルミナを支持体とする鉄、コバルト、ニッケル含有粒子等の遷移金属含有粒子を、一酸化炭素、炭化水素等の炭素含有ガスと、850〜1,200℃の高温で接触させ、熱分解によって生じた炭素を、遷移金属を起点として、繊維状に成長させる方法が挙げられる。また、この種の中空炭素フィブリルは、ハイペリオン・カタルシス社が、グラファイト・フィブリルという商品名で販売しており、容易に入手することができる。
導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)の含有量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)50〜92質量%と、スチレン系樹脂(B)50〜8質量%からなる樹脂成分100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)の含有量が1質量部より少ないと導電性が不足し、40質量部を越えると樹脂成分中での分散性が低下し、耐衝撃性等の機械的物性や流動性も低下し、成形品外観も悪化するので好ましくない。
(5)溶融混練
本発明においては、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びポリスチレン系樹脂(B)を二軸押出機に供給し、加熱、溶融、混練した後、導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)を、二軸押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側にサイドフィーダーから供給し、導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する。
本発明で使用する二軸押出機は、少なくとも2箇所以上の、分散混合性が強い混練ゾーンを有するものであり、原料供給口とベント口、及びジャケットを備えたバレル、その内部に配され、表面に複数条の溝が刻設され、同方向に回転する二本のスクリュー、並びに押出機先端に取り付けられたダイから、通常、構成され、好ましくは、そのスクリュー途中には、複数枚のニーディングディスクによって構成される混練部が、相互に噛み合う形態又は相互に噛み合わない形態で設けられており、さらに、混練後の材料を搬送する搬送ゾーンを有する。
二軸押出機の中でも同方向回転型の二軸押出機が、両樹脂を良好な混練するのに十分な剪断応力を与えることができ、一方、単軸押出機では、混練するのに十分な剪断応力を与えることができない。
樹脂を良好に混合・相溶化させるには単軸押出機では不十分で、せん断応力の大きい二軸押出機を用いることが好ましい。二軸押出機の種類として主に同方向回転型、異方向回転型があるが、最もせん断応力の大きい同方向回転型二軸を用いるのが好ましい。更に、均質な混練、良好な超高分子量体の生成、均一分散のためにはニ−ディングディスクの設けられた混連ゾ−ンを設けることが好ましい。
本発明で使用する二軸押出機は、少なくとも1箇所以上の、分散混合性が強い混練ゾーンを有するものであり、原料供給口とベント口、及びジャケットを備えたバレル、その内部に配され、表面に複数条の溝が刻設され、同方向に回転する二本のスクリュー、並びに押出機先端に取り付けられたダイから、通常、構成され、好ましくは、そのスクリュー途中には、複数枚のニーディングディスクによって構成される混練部が、相互に噛み合う形態又は相互に噛み合わない形態で設けられており、さらに、混練後の材料を搬送する搬送ゾーンを有する。
また、本発明で使用する二軸押出機は、少なくとも1つのサイドフィーダーから、導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリル(以下、両者あわせて「導電剤」という場合がある。)を、二軸押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側に供給し、分散させる。導電剤を二軸押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側にサイドフィーダーから供給することにより、溶融混練時に、超高分子量体を適切な量生成させることが容易になる。
本発明で使用する二軸押出機のスクリュー全体(全長)のL/Dは10〜80であり、混練ゾーンの合計のL/Dが3〜18である。スクリュー全体のL/Dは、10を下回ると、脱気がしにくくなり、またL/Dが80を超えると、樹脂の滞留時間が長くなって樹脂の劣化を生じやすくなる。
本発明のL/Dとは単位が無次元の長さの意味である。Lとは長さであり、スクリューの長さ、押出機の長さ、混練ゾーンの長さを意味し、Dは、シリンダー直径である。
本発明に用いる最適な二軸同方向回転押出機は混練ゾーンを有するもので、この混練ゾーンで、PPEとPSを強いせん断力を加えて混練することにより超高分子量体が良好に生成する。超高分子量体は生成後ダマ(塊状物)になりやすいが、強いせん断力下に生成させることによりダマにならず、広がった状態の超高分子量体物になるものと思われる。
良好な超高分子量体の生成、及び分散状態を得るための混練ゾーンの長さがL/Dで3〜18である。
本来、超高分子量体の生成は樹脂に加えられたせん断力やせん断力が加えられていた時間によって変化することが考えられるが、せん断力の数値を正確に得ることは難しく、本発明においては強いせん断力を加えることが可能な、二軸押出機を用いることと、混練ゾーンのL/D等で定義することとする。
また、混練ゾーンは複数個あっても構わないが、混練ゾーンの合計のL/Dは、3を下回ると、混練が不足し、PPEとPSが充分相溶化しなかったり、超高分子成分の生成が不足する。また18を超えると、発熱が顕著になり、色調が悪化したり、ブツが発生しやすくなる。
超高分子量体を好ましい量生成し、かつ超高分子量体が「ブツ」になることを抑制するには熱と強い剪断力が必要である。PPEは高温で主鎖の転移反応が起こりやすく、それにより架橋が進行しやすい。また触媒が残存していることも架橋(または重合)を促進すると考えられる。
このPPE架橋体は凝集しブツの原因にもなりうる。これを抑制するには強い剪断力が必要である。すなわち架橋体が凝集する前に攪拌し、凝集を抑制すること、また、凝集してしまった(しそうになった)場合には凝集物を壊す働きのあることが望ましい。
このような強い剪断力を得るためには同方向回転型の二軸押出機が好適である。
更に、この強い剪断力で、両樹脂を良好に混練するには、後述するスクリュー構成(混練ゾーン)も重要なポイントとなる。
混練ゾーンは、両樹脂を均一に混練させるために、スクリュー及びバレルによって、原料に剪断、分配、拡散、伸長流動作用等を与える部分である。混練ゾーン対応するスクリュー部位の長さは、スクリュー全長に対して、L/Dで3〜18の範囲内である。この範囲内であれば、3つ以上に分割しても良い。
二軸押出機用スクリューは、押出機の各部に対応する部位から構成されることが好ましい。すなわち、供給口から先端に向かって原料樹脂を搬送する送りネジからなる部位(供給ゾーン)、供給ゾーンから送られてくる両原料樹脂を溶融、混練するための分散混合性の強いエレメント群(混練を促進するエレメントと昇圧能力のあるエレメント)を有する部位(混練ゾーン)、及び混練部ゾーンで混練した材料を押出機先端へ搬送するための送りネジからなる部位(搬送ゾーン)からなることが好ましい。
押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることが好ましい。
混練を促進するエレメントとしては、
(a)順送りニーディングディスクエレメント、
(b)直交ニーディングディスクエレメント、
(c)幅広ニーディングディスクエレメント、及び
(d)順送りミキシングスクリューエレメント等が挙げられる。
ニーディングディスクによって構成される混練部は、例えば、楕円形状、三角形状、四角形状等のニーディングディスクの複数枚を、二本のスクリュー間で噛み合うように、又は噛み合わないように、規則的に方向をずらせて重列させることにより構成される。
例えば、楕円形状のニーディングディスクの5枚を用いて順送りのディスク構成とした場合について説明すると、図1に示すように、一方のスクリューの各ニーディングディスクをスクリューの送り方向に、図2に示すような楕円形状のニーディングディスクをねじれ角度θ(樹脂流れ方向の上流側から下流側に見て、時計回りの角度)ずつずらして、5枚を重列させ、他方のスクリューの各ニーディングディスクを同じく送り方向に、一方のスクリューに対して位相をずらして5枚を重列させる。
前記(a)順送りニーディングディスクエレメントは、羽根が2枚以上で、かつその羽根ねじれ角度θが10度から75度である。羽根を所定角度ずらして設置していくことにより擬似スクリュー構造を形成し樹脂を送り方向に送り出しつつ強いせん断力を加え、混練を行うゾーンとなる。
順送りニーディングディスクエレメントの羽根の幅La/Dは、0.08〜0.4であり、通常Rニーディングと呼ばれている。ねじれ角度θは、10度より小さくても、75度より大きくても搬送能力は低下する。また羽根の幅La/Dが0.08より小さくても、0.4より大きくても搬送能力は不足する。
なお、本願明細書において、ニィーディングディスクの一枚当たりの羽根の幅La/Dとは、ニィーディングディスクの長さLをスクリュー径Dで割り、更に羽根枚数で割った値である。
(b)直交ニーディングディスクエレメントは、羽根が2枚以上で、かつ羽根のねじれ角度θが75度から105度である。羽根が略90度ずらして設置されているため樹脂を送り出す力は弱いが混練力は強い。
直交ニーディングディスクエレメントの羽根の幅La/Dは、0.08〜0.4であり、通常Nニーディングと呼ばれている。0.08より狭いと混練が弱くなり、0.4より大きいと混練が強すぎ、樹脂の劣化を引き起こす。
(c)幅広ニーディングディスクエレメントは、羽根が3枚か1枚でかつねじれ角度θが−10度から+10度の範囲であり、羽根の幅La/Dは、0.3〜2である。通常幅広ニーディングと呼ばれている。La/Dが、0.3より狭いと混練が弱くなり、2より大きいと混練が強すぎ樹脂の劣化を引き起こす。
また、(d)順送りミキシングスクリューエレメントは、スクリューの山(フライト部)を切り欠いた順ネジのミキシングスクリューである。2条でも1条でもよく、切り欠き数は1スクリューリード当たり5〜15個であることが好ましい。また、ギアタイプのミキシングスクリューを含む。
スクリューエレメント長さL/Dは、0.3〜2であることが好ましい。2より長いと強いせん断力が発生し、樹脂の劣化を引き起こし、0.3より短いとせん断力が小さく、樹脂を充分溶融混練することが出来なくなる。
上述した「混練を促進するエレメント」の下流側には「昇圧能力のあるエレメント」が設けられるのが望ましい。
「昇圧能力のあるエレメント」とは送られてくる樹脂を堰き止めたり、送られてくる樹脂を送り戻す方向に働くエレメントであり、混練を促進するエレメントの下流側に設けることにより樹脂を堰きとめ、強力な混練効果を発揮させるものである。
前記した昇圧能力のあるエレメントとしては、(e)逆送りニーディングディスクエレメント、(f)逆送りスクリューエレメント、(g)逆送りミキシングスクリューエレメントおよび(h)シールリングエレメント等が挙げられる。
(e)逆送りニーディングディスクエレメントは、羽根が2枚以上で、かつ羽のねじれ角度θが−10度から−75度である。羽根の幅La/Dは、0.08〜0.4であり、通常Lニーディングと呼ばれている。羽根の幅La/Dは、0.08より小さくても、0.4より大きくても樹脂の昇圧力は弱まり、混練不足となる。
(f)逆送りスクリューエレメントは、逆ネジと言われ、リード長さは、L/Dで0.4から2が好ましい。リード長さとは、スクリューが360度回転したときのスクリューの長さであり、ピッチと呼ぶこともある。リードが0.4より短いと圧力が立ちすぎ、2より長いと圧力勾配が低下し、混練不足となる。
スクリューエレメント長さL/Dは、0.3〜2であることが良好な昇圧効果を得るために好ましい。
(g)逆送りミキシングスクリューエレメントは、スクリューの山(フライト部)を切り欠いた逆ネジのミキシングスクリューである。2条でも1条でもよく、切り欠き数は1スクリューリード当たり5〜15個であることが好ましい。また、ギアタイプのミキシングスクリューを含む。
スクリューエレメント長さL/Dは、0.3〜2であることが良好な昇圧効果で得るために好ましい。
(h)シールリングエレメントは、スクリューとシリンダーの間隙を狭くして樹脂の流れを堰きとめ、昇圧効果を得るもので、シリンダーに内接するリング状エレメントである。
シールリングエレメントは、スクリューエレメントの長径とバレルの隙間がL/Dで、0.004〜0.1、及びスクリュー長さL/D=0.3〜2である。シールリングと呼ばれている。この隙間が0.004より狭すぎると圧力が立ちすぎ、0.1より広すぎると圧力が立たない。
スクリューエレメント長さL/Dは、2より長いと強いせん断力が発生し、樹脂の劣化を引き起こし、0.3より短いとせん断力が小さく、樹脂を充分溶融混練するころが出来なくなる。
混練ゾーンのスクリュー構成は、上記(a)、(b)、(c)又は(d)の中から1種以上を、各1個以上組み合わせ、かつ、上記(e)、(f)、(g)または(h)の中から1種以上、各1個以上組み合わせ使用することが好ましい。そして(a)、(b)、(c)又は(d)は混練ゾーンの上流側に位置し、(e)、(f)、(g)又は(h)は下流側に位置するのが好ましい。上流側とは、スクリューの根元、つまりスクリュー駆動部に近い側を意味する。
また、本発明において、1つの混練部を構成する前記ニーディングディスクの枚数は、3〜200枚とするのが好ましく、5〜50枚とするのが更に好ましい。そして、それを1ユニットとして、混練部を好ましくは1〜5ユニット程度、更に好ましくは1〜4ユニット程度、特に好ましくは1〜3ユニット程度で構成し、その各ユニット間は、組成物を搬送するための例えばフルフライトスクリューとする。一つの混練部当たりのニーディングディスクの枚数が前記範囲未満では混練効果が小さい傾向となり、一方、前記範囲超過では、剪断による発熱が大きくなって外観不良の原因となるブツ等が発生し易くなったり、色調が悪化し易くなったり、耐衝撃性等の機械的物性が低下し易い傾向となる。
二軸押出機の回転数は、通常100〜1,000rpmである。スクリュー回転数が100rpm未満では樹脂組成物の充分な混練が行われず好ましくない。又、スクリュー回転数が1,000rpmを超えると、剪断発熱が大きくなり色調悪化、分子量低下による機械的物性の低下、ブツの発生が起こりやすくなる。溶融混練の際の温度は、290〜
380℃が好ましく、310〜360℃がより好ましい。このような温度とすることにより、導電剤の分散性が良好となり、樹脂組成物の劣化を抑制し、耐衝撃性等の機械的物性が良好となる傾向にある。
また、本発明においては、少なくとも1つのサイドフィーダーから導電剤を供給し、導電剤を分散させる。ここで、用いるサイドフィーダーとしては、導電剤をバレル内に供給できればものであれば任意のサイドフィーダーを用いることができるが、スクリュー、好ましくは2本のスクリューによりバレル内に供給する方法を用いることが好ましい。また、安定した導電性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得るために、サイドフィーダーのスクリューは予めカーボンの投入速度より高速で投入できるように回転させておき、重量式定量フィーダーを用いて投入することが好ましい。また、PPE及びPSが溶融している状態に導電剤をサイドフィードすることにより、導電剤の分散性が良好となり、成形品外観に優れ、導電剤の脱離がなく、導電性のバラツキがなく、導電性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得ることができる。
また、導電剤は、二軸押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側に供給する。好ましくは、2つの混練ゾーンの間の位置に供給する。このような手法を採用することにより、導電剤の分散性が良好となり、導電性のバラツキ、機械的物性の低下がなく、導電性に優れた樹脂組成物とすることができる。また、超高分子量体も適切な量生成させやすくなる。
また、本発明においては、ベント口から脱揮できる設備を有する押出機を使用することが好ましい。ベント部は、押出機の下流側の混練ゾーンに設けることが好ましい。溶融混練時の真空度は−60kPa以下にすることが好ましく、−80kPa以下がより好ましい。このような真空度で溶融混練することにより、トルエン等の揮発成分がベント部で十分に除去され、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に悪影響を及ぼすことがなく好ましい。
(6)超高分子量体
本発明においては、PPEの超高分子量体を、樹脂組成物中に0.015〜0.6質量%の量生成させることを特徴とする。本発明者は、超高分子量体の生成が主にはPPE単独で又はPPEとPSが重合又は架橋して超高分子量体となることに起因するものと考えているが、PPEのアミノアルキル置換末端基等を介してのPPE分子間の相互縮合の結果として分子量が増大するということも考えられる。未だ原因の究明は十分ではないが、超高分子量体が生成する。
また、PPEを押出機に投入して溶融混練することにより、PPEがPSに相溶化する前にPPE分子同士の架橋が進行し、超高分子量体が形成されることも考えられる。また、PPEの末端ヒドロキシル基濃度がポリフェニレンエーテルユニット100個に対して0.15〜1.5個のPPEを用いることにより、さらに、導電剤を押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側にサイドフィードすることにより、超高分子量体の良好な生成が行われるとも考えられる。
いずれの理由にしろ、超高分子量体は生成しており、このように内部生成した超高分子量体は云うまでも無く、分散性は良好であり、ブツ、ダマと呼ばれる表面欠陥の原因となることは少ない。そして、この超高分子重合体は、優れた耐衝撃性、カーボンブラックの脱離性、寸法安定性を発現するために必要である。この超高分子重合体はポリフェニレンエーテル系樹脂中で高度なネットワークを形成し、耐衝撃性を向上させ、導電剤の浮きなどによる成形品外観の低下を抑制していると考えられる。
分子量500,000以上の超高分子量体の生成量は以下のようにして求めることができる。
ペレット20mgを20mlのクロロホルムに溶解した後、目開き0.45μmのフィルターでろ過し、塊状樹脂、固形混入物等のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかからない大きなものを除去する。このフィルターを通過した溶液を以下のようにGPCにて測定し、500,000以上の超高分子量体の量を求め、元のペレットの質量に対する割合で求めた。
GPCの条件は下記の通りである。
使用装置:東ソー社製HPLC8020
カラム:TSK G5000HHR+G3000HHR
溶媒:クロロホルム
検出器:UV283nm
前処理:試料の20mgを20mlのクロロホルム溶媒に溶解した後、0.45ミクロンのフィルターで濾過して測定した。カラム温度は40℃とした。
分子量計算:ポリスチレン換算、標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し測定した。
標準ポリスチレンの分子量は264、 364、 466、 568、 2,800、 16,700、 18,6000、 1,260,000のものを使用した。
PPEの超高分子量体の量は、樹脂組成物中に0.015〜0.6質量%であるが、0.015質量%を下回ると、耐衝撃性、成形品外観が低下する。また、0.6質量%を超えると、ブツが発生し易くなる。超高分子量体の好ましい量は、樹脂組成物中に0.02〜0.4質量%である。
(7)PS及びPPE
PSとしては、平均粒径(体積平均粒径)1〜5mm、見かけ密度0.5〜0.7g/cmの粒子を使用するが、この粒子は通常の方法によりペレット化したもの、すなわち、ポリスチレン系樹脂を押出機により溶融混練し、ストランド状に押し出し、ペレタイザーにより長さ数mm程度にカットして得たものであることが好ましい。
本発明においては、PPEとして、PPE中のトルエン濃度が0.01〜0.5質量%である粉末をTg以下の温度で圧縮することにより固化し、固化物を必要に応じ粉砕して得られた平均粒径(体積平均粒径)0.1〜10mm、見かけ密度0.35〜0.7g/cm、トルエン濃度が0.01〜0.5質量%の粉末を使用することも好ましい。
本明細書において「粒子」とは、グラニュール、ペレット等と呼ばれる、その物質の密度に近い小径の粒を意味する。また、粉状の微細な粒子を意味している場合もある。
また、「粉末」とは、形状的には粒であるが、粉体を圧縮して固めたものであり、ペレット等よりも粒内の空隙率の大きい粒であってもよい。
更に、本明細書において「成形物」とはスクリュー式押出機等から押し出され、冷却固化されて得られる所謂、成形品、成形体を意味し、その形状、大きさは問わない。具体的にはストランド、ペレットに代表され、フイルム、シート、筒状体等用途に応じ各種の形態のものを意味する。
さらに、本明細書において、「成形物」を「ペレット」または「組成物ペレット」と表記する場合があるが、これは、本発明は主にポリフェニレンエーテル系樹脂の成形用原料ペレットを製造する際に用いられるためであり、「成形物」を代表的なもので表現したものと解されたい。
さらに、本発明においては、粉末状のPPEを用いる場合は、PPE粉末を、PPEのTg以下の温度で圧縮することにより固化し、得られた固化物を、必要に応じ、粉砕して平均粒径0.1〜10mm、見かけ密度0.35〜0.7g/cmに調整した粒状物として使用することも好ましい。
PPE粉末の圧縮は、PPEがTg以上の温度にならないよう、Tg以下の温度で行うのが好ましい。その好ましい温度としては、0℃〜Tg未満、より好ましくは0〜200℃程度で、圧縮時にPPEがTg以上になることなく、加圧が可能であればよい。
圧縮の方法はいかなる方法も採用できる。通常のプレスによっても可能であるが、簡便な方法としては、対向して設けられた一対の加圧ロールの間にPPE粉状体を通過させるロールプレス方法が挙げられる。加圧ロールは表面が平滑なロールでもよく、またロール表面にエンボス加工したものや穴、窪み等を有するものであってもよい。表面が平滑なロールやエンボスロールを用いた場合はPPE粉末が板状、シート状となるが、これを粉砕して所望の粒径に調製すればよい。また、穴や窪みを設けたローラーを使用する場合には穴や窪みの大きさを所望の大きさに調整すれば直接所望の粒径の粒状物を得ることも可能である。
ロールの間隙は1〜3mm程度、ロール回転数は2〜20rpm程度が好ましく、加圧ロールの支持圧力は、0.5〜20MPa程度が好ましく、より好ましくは2〜15MPaである。圧縮の強さにより、得られる粒状物の硬度が変動することが確認された。
固化物の形状としては、用いるローラーの表面形状・構造、粉砕の有無等、ローラー以外の装置の使用等によって種々の形状の固化物となる。例えば平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、球状、円筒状、フレーク状、チップ状、不定形状等、もしくは、顆粒状、チップ状、ペレット状、これらの混合物等、その形態は問わない。また、これらのものが混在したものであってもよく、また粉末等が含まれていてもよい。
本発明では、Tg以下で圧縮・固化して得たPPEの粒状物として、平均粒径が0.1〜10mm、見かけ密度が0.35〜0.7g/cmのものを使用するのが好ましい。
上記した圧縮により得られた固化物の平均粒径や見かけ密度が、上記範囲より大きい場合には粉砕して、粒度や見かけ密度を調整する。
粒状物の形状としては、球状、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、円筒状、チップ状、不定形状等、円筒状、もしくは、顆粒状、チップ状、ペレット状、これらの混合物等、その形状、形態は問わない。
PPE粒状物の平均粒径が、0.1mm未満では、押出し成形時に供給部での食い込みが悪く、空気の巻き込みを起こして、フィードネックを発生しやすく、10mmを超えると、混合するPS樹脂粒子との径が違いすぎ、押出機に供給する際に分級してしまい均一な混合が難しくなるし、取り扱い上も不都合が多い。PPE粒状物の好ましい平均粒子径は0.1〜10mmである。
また、粒状物の見かけ密度は、0.35〜0.7g/cmであることが好ましい。0.35/cm未満では、粒状物中に空気が多く含まれる、すなわち柔らかすぎるため押出機に掛けた際、簡単に崩壊しやすく、PPEの粉末を用いた場合と差がなくなってしまう。0.7g/cmを超えると、硬くなりすぎて、押出機中で溶融する時期が、並存するPS粒子の溶融する時期より遅くなりすぎ、分散不良やPSのみが溶融してスクリュー表面で滑りを起こし押出不良を起こす原因となりやすい。より好ましい見かけ密度は、0.37〜0.68g/cm、特に好ましくは0.39〜0.66g/cmである。PPEの通常の密度は、1.1g/cm程度であるから、本発明においては、嵩高くする、すなわち、粒子内にある程度空隙を形成している、ことを意味する。
また、PPE粒状物は、圧縮強さが40g〜4kgであることが好ましい。圧縮強さが40g未満では、粒状物をフィーダーから押出機にスクリューフィードする際に、砕けて微粉が生じフィードネックを発生しやすく、圧縮強さが4kgを超えると、粒状物フィーダーから押出機にスクリューフィードする際にスクリュー間や内壁との間で粒状物が挟まりスクリュー停止する事態が発生しやすい。好ましい圧縮強さは、500g〜3kg、より好ましくは1kg〜3kgである。
PPE粒状物の圧縮強度をこの範囲とすることにより、並存するPS樹脂粒子との溶融のタイミング・バランスが良くなると考えられる。
すなわち、Tgの高いPPE(Tgは通常210℃)を、ある程度崩壊し易い圧縮固化物とし、PPEより融点の低いPS(Tgは通常100℃)粒子(溶融成形する等して空隙の少ない粒子(ペレット)としたもの)を用いることにより、両者を混合して押出機に供給した場合に、PPE粒状物が崩壊されてスクリューで送られて行く中に、PS粒子(ペレット)がその外表面から溶融されてPPEに混ざり込むこととなる。
このような混合状態とすることにより、溶融温度(押出機中での溶融時点)差のあるPPEとPSが良好な相溶状態となるものと考えられる。
従って、PSを粒子(ペレット)とし、PPEを比較的粉砕されやすい粉体圧縮固化粒状物とすることに意味がある。
さらに、PPE粒状物は、粒径が1,000μm以上の粒子の含有量が50%以上であり、粒径が10〜100μmの粒子の含有量が3〜40%であり、粒径が10μm以下の粒子の含有量が2%以下とされていることが、好ましい。
このような粒径構成とすることにより、粉末状添加剤の分散性を向上させることが出来る。すなわち、粉末状の添加剤は平均粒径にして10〜100μm程度の粒ものが多く用いられるが、これらの粉末状添加剤をPPE粒状物、PS粒子に直接添加すると、その粒径の違いから分級してしまい、押出機のホッパー部分で粒子(粒状体)と粉状体に分かれ、均一な混合が行われず、均質な組成の成形品が得られなくなる。
しかし、PPE粒状物として粒径が10〜100μmの粒子を3〜40質量%存在させることにより、この粒径のPPEに粉末状添加剤がよく混合し、結果的に組成物全体に均一に分散し易くなる。
(8)添加剤
本発明においては、上記PPE及びPSに、必要に応じて他の成分を添加できる。
他の成分としては、例えば、エラストマー、カーボンブラック以外の顔料、染料等の着色剤、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーンオイル等の離型剤、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物および酸化亜鉛等の安定剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル等の難燃剤、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、エポキシ系等の紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、摺動性改良剤、相溶化剤等の添加剤、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体等で、樹脂燃焼時に滴下防止作用のあるフッ素系樹脂、充填材等を配合することができる。これらの添加剤の配合方法は、それらの特性を生かす従来公知の方法で適宜実施することができる。
これらの中でも、本発明においては、主に樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる目的で、エラストマーを配合することが好ましい。
エラストマーとしては、オレフィン系重合体、オレフィン−ビニル系共重合体、及びビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物、からなる群より選ばれる少なくとも1種のエラストマーを用いることができる。
これらのエラストマーは、従来から知られている製造方法によって製造することができる。該エラストマーは、ガラス転移温度が0℃以下であるものが好ましく、−5℃以下がより好ましい。エラストマーのガラス転移温度を0℃以下とすることにより、低温時の耐衝撃性を良好とすることができる。
<オレフィン系重合体>
エラストマーとして用いられるオレフィン系重合体とは、好ましくは炭素数2〜20のオレフィン系単量体を重合して得られる単独重合体又は共重合体である。
オレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。これらの中でもより好ましくは2〜10の直鎖状のオレフィン系単量体であり、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン、1−ブテンである。
オレフィン系共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−ブテン共重合体(EBR)などが挙げられる。
これらのオレフィン系重合体は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<オレフィン−ビニル系共重合体>
エラストマーとして用いられるオレフィン−ビニル系共重合体とは、オレフィン単量体とビニル系単量体を重合してなる共重合体である。
オレフィン系単量体としては、例えば、上記<オレフィン系重合体>で使用されるものと同様の単量体を使用することができる。
ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル基含有化合物、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸及びその金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜20のアルキルエステル等の不飽和カルボン酸エステル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリアルキル酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のビニル芳香族化合物等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、不飽和グリシジル基含有化合物、不飽和カルボン酸である。
上記のオレフィン系単量体及びビニル系単量体は、2種以上を併用してもよい。
オレフィン−ビニル系共重合体の具体例としては、例えば、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−プロピレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリアクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−g−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−g−ポリスチレン共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−g−ポリアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる(なお、「−g−」はグラフト共重合であることを示し、以下同様である)。中でも、靭性の点から、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。
これらのオレフィン−ビニル系共重合体は、2種以上併用することもできる。
<ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物(以下、「ブロック共重合体及びその水素添加物」と略記することがある。)>
エラストマーとして用いられるブロック共重合体とは、前記スチレン系樹脂以外のエラストマーであって、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体である。また、ブロック共重合体の水素添加物とは、ブロック共重合体に水素添加することによりブロックbの脂肪族不飽和基が減少したブロック共重合体を意味する。ブロックa及びブロックbの配列構造は、線状構造、分岐構造等いずれの構造であってもよい。また、これらの構造のうちで、一部にビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とのランダム共重合部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これら構造の中では、線状構造のものが好ましく、a−b−a型のトリブロック構造のものがより好ましい。上記a−b−a型のブロック共重合体中には、a−b型のジブロック構造のものを含んでいてもよい。これらのブロック共重合体及びその水素添加物は2種以上併用してもよい。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成するビニル芳香族化合物としては、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられ、より好ましくは、スチレンである。共役ジエン系化合物ブロックbを構成する共役ジエン系化合物としては、好ましくは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが挙げられる。
ブロック共重合体及びその水素添加物におけるビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合は、10〜70%の範囲が好ましく、10〜40%の範囲がより好ましく、15〜25%の範囲がさらに好ましい。10%未満であると、熱安定性が低下するため、樹脂組成物製造及び成形時に酸化劣化を受けやすくなる。70%を超えると、耐衝撃性が低下する傾向にある。
また、ブロック共重合体の水素添加物における脂肪族鎖部分のうち、共役ジエン系化合物に由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。ビニル芳香族化合物に由来する芳香族性不飽和結合は、水素添加されていてもよいが、水素添加された芳香族性不飽和結合の割合は、25%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体及びその水素添加物としては、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成する単量体がスチレンであり、共役ジエン系化合物重合体ブロックbを構成する単量体である共役ジエン系化合物が、1,3−ブタジエンであるスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)や、共役ジエン系化合物が2−メチル−1,3−ブタジエンであるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等の種々のa−b−a型トリブロック構造のものが市販されており、容易に入手可能である。
これらブロック共重合体の水素添加物の数平均分子量は、好ましくは50,000〜300,000の範囲である。数平均分子量を50,000以上とすることにより、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性と寸法安定性が優れ、さらに、該樹脂組成物から得られる成形品の外観の良好とすることができる。また、数平均分子量を300,000以下とすることにより、最終的に得られる樹脂組成物の流動性が維持され、成形加工が容易になるので好ましい。数平均分子量のより好ましい範囲は55,000〜250,000であり、中でも特に好ましいのは55,000〜220,000ある。
また、本発明においては、上記エラストマーを、変性剤で変性して用いてもよく、さらにラジカル発生剤を変性剤と同時に配合して変性してもよい。
変性剤として用いられる不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はその誘導体としては、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、クロロ(無水)マレイン酸、(無水)シトラコン酸、ブテニル(無水)コハク酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ならびに、これらの酸ハライド、アミド、イミド、炭素数1〜20のアルキル又はグリコールのエステルが挙げられ、具体的には、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等があげられる。ここで「(無水)」とは、無水不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸であることを示す。これらの中で好ましくは不飽和ジカルボン酸又はその酸無水物であり、(無水)マレイン酸又は(無水)イタコン酸がより好ましい。これらの不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はその誘導体は、2種以上併用してもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシオクタン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の中でも特に好ましいのは、寸法安定性や耐衝撃性の点で、10時間での半減期温度が120℃以上のラジカル発生剤である。
また、エラストマーとしては、メチルメタアクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)も好ましく用いることができる。MBSとは、ジエン系ゴム、例えば、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体などのブタジエン系重合体に、メタクリル酸エステル成分および芳香族ビニル成分、さらには所望によりシアン化ビニル成分を、例えば、塊状重合、懸濁重合、塊状・懸濁重合、溶液重合または乳化重合などの方法でグラフト重合させたものである。特に、乳化重合法でグラフト重合させたものが好ましい。ここにブタジエン系重合体の使用量は通常10〜85質量%、好ましくは30〜70質量%であり、ブタジエン系重合体中のブタジエン成分の割合は50質量%以上が好ましい。ブタジエン系重合体の使用量が10質量%未満の場合は、得られる樹脂組成物からの成形品の耐衝撃性が低く、85質量%を超えると樹脂組成物の成形性が低下し好ましくない。
MBSを構成するメタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜4のアルキルエステルが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、ハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが例示されるが、特にスチレンが好ましい。またシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−ハロゲン化アクリロニトリルなどが例示され、特にアクリロニトリルが好適である。
また、MBSは、MBS100質量部に対し、フェノール系熱安定剤とチオエーテル系熱安定剤とを、フェノール系熱安定剤及びチオエーテル系熱安定剤の合計量が0.1〜4質量部、好ましくは0.5〜3質量部、かつ質量比が1/0〜1/1となるよう含有してなるものも好ましい。MBS中でフェノール系熱安定剤の配合率よりチオエーテル系熱安定剤の配合率が高くなると、耐熱着色性、耐熱劣化性が低下する場合がある。
MBSに配合されるフェノール系熱安定剤としては、フェノール系化合物のヒドロキシル基の性質を隠蔽した分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましい。特に、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジターシャリーブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3’−ターシャリーブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
また、MBSに配合されるチオエーテル系熱安定剤としては、例えば、ジアルキル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス[メチレン−3(アルキルチオ)プロピオネート]メタン、ビス[2−メチル−4(3−アルキル−チオプロピオニルオキシ)−5−ターシャリーブチルフェニル]スルフィドが好ましい。
フェノール系熱安定剤とチオエーテル系熱安定剤とを特定量、特定比率で含有してなるMBSが乳化重合法で製造される場合には、これらの熱安定剤を同時に或いは別個に乳化分散させ、重合終了時に投入しても良いし、凝固、脱水或いは乾燥工程中に配合してもよい。
本発明の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が、上述のようなエラストマーを含有する場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びポリスチレン系樹脂(B)を含む樹脂成分100質量部に対して2〜35質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜25質量部がさらに好ましい。エラストマーの含有量を2質量部以上とすることにより耐衝撃性が優れる傾向にあり、35質量部以下とすることにより荷重たわみ温度や硬度の低下を抑制しやすい傾向にある。
着色剤としては、熱可塑性樹脂に一般的に用いられる、染料、無機顔料、有機顔料が挙げられる。
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料、ジフェニルメタン染料、アクリジン染料、シアニン染料、ニトロ染料、ニグロシン等が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン、べんがら、コバルトブルー等の酸化物顔料、アルミナホワイト等の水酸化物顔料、硫化亜鉛、カドミウムイエロー等の硫化物顔料、ホワイトカーボン、タルク等の珪酸塩顔料等が挙げられる。有機顔料としては、ニトロ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が挙げられる。これらの中でも、成形品表面へブリードアウトしにくい点から、無機顔料が好ましい。また、着色剤は、押出時のハンドリング性改良目的のために、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
着色剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びポリスチレン系樹脂(B)を含む樹脂成分100質量部に対し0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましい。また、酸化チタン等の無機顔料は、着色目的以外(例えば、遮光性付与)に使用される場合があり、その場合の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常、5〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。これらの着色剤は2種以上併用してもよい。
本発明における安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、酸化亜鉛等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}
エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。
リン系化合物としては、例えば、ホスホナイト化合物、ホスファイト化合物を用いることが好ましい。
ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、中でも、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(フェニルジアルキルホスファイト)等が挙げられ、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が好ましい。
酸化亜鉛としては、例えば、平均粒子径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒子径が0.08〜0.8μmのものがより好ましい。
これらの安定剤の中でも、モールドテポジットが発生しにくく、変色もしにくい点から、酸化亜鉛が好ましい。
安定剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びポリスチレン系樹脂(B)を含む樹脂成分100質量部に対し、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部である。含有量を0.01質量部以上とすることにより、安定剤としての効果を十分に発揮することができ、5質量部以下とすることにより、耐衝撃性等の機械的物性の低下や成形時のモールドデボジット発生を抑止することができる。これらの安定剤は、2種以上併用してもよい。
本発明における離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和または不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノまたはジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和または不飽和の1価アルコール、飽和または不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価または多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコールまたは多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸および/またはアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリスチルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、オレフィンの単独重合体および共重合体等が挙げられる。オレフィンの単独重合体としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等およびこれらの部分酸化物またはこれらの混合物等が挙げられる。オレフィンの共重合体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1,3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィン等の共重合体、これらのオレフィンと共重合可能なモノマー、例えば、不飽和カルボン酸またはその酸無水物[無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等]、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステルなど]等の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、これらの共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体が含まれる。オレフィン共重合体は、通常、エチレンと、他のオレフィンおよび重合性モノマーから選択された少なくとも1種のモノマーとの共重合体である。これらのポリオレフィンワックスのうち、ポリエチレンワックスが最も好ましい。なお、ポリオレフィンワックスは、線状または分岐構造であってよい。
シリコーンオイルとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンからなるもの、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部または全部がフェニル基、水素原子、炭素数2以上のアルキル基、ハロゲン化フェニル基、フルオロエステル基で置換されたシリコーンオイル、エポキシ基を有するエポキシ変性シリコーンオイル、アミノ基を有するアミノ変性シリコーンオイル、アルコール性ヒドロキシル基を有するアルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル構造を有するポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられ、2種類以上併用してもよい。
離型剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)を含む樹脂成分100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜6質量部がより好ましく、0.1〜3質量部がさらに好ましい。含有量を0.01質量部以上とすることにより離型効果がより発揮されやすく、10質量部以下とすることにより、耐熱性や金型汚染、可塑化不良といった問題が発生しにくくなり好ましい。
充填材としては、有機又は無機の充填材が例示され、具体的には、例えば、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、ステンレスマイクロファイバー等の金属繊維、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等のウィスカー、マイカ、タルク、クレー等の充填材が挙げられる。これらの中でも、寸法安定性の観点から、タルク、マイカを用いることが好ましい。充填材の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)を含む樹脂成分の合計100質量部に対し、好ましくは1〜80質量部であり、より好ましくは5〜60質量部である。
また、本発明においては、高温加熱時に樹脂組成物から発生する、樹脂の熱分解による臭気、添加剤の熱分解または気化による臭気等を低減することを主目的に、合成ゼオライトを配合することができる。本発明で使用される合成ゼオライトは、一般的に、三次元的な骨格構造により構成されるアルミノシリケートであって、下記式(2)で表わされる。
2/nO・Al23・xSiO2・yH2O (2)
(但し、式中、Mはイオン交換可能な1価または2価の金属を表し、nは金属の原子価を表し、xはシリカ係数(SiO2/Al23のモル比)で10〜500の数を示し、yは結晶水の数で、0〜7の数を示す。)
ゼオライトには天然ゼオライトと合成ゼオライトがあり、合成ゼオライトには、シリカ係数の低い(10未満)親水性のゼオライト(例えば、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等)と、シリカ係数の高い(10以上)疎水性のゼオライト(例えば、MFI型ゼオライト)があるが、本発明で使用される上記の合成ゼオライトは、疎水性のゼオライトであって、市場からの入手のしやすさから、中でもMFI型の合成ゼオライトが好ましい。該疎水性のMFI型の合成ゼオライトは、細孔の入口が10員酸素環で形成され、直線状の細孔と、それらと交差するジグザグ状の細孔とからなる3次元網目構造をもっており、例えば、有効細孔径5〜6Åの楕円形で、細孔容積0.15〜0.25mL/g、比表面積300〜550m2/gであるようなものが好ましく、有効細孔径5〜6Åの楕円形で、細孔容積0.15〜0.25mL/g、比表面積300〜450m2/gであるようなものがより好ましい。
本発明で使用される合成ゼオライトは、上記式(2)で示されるものであることが好ましく、シリカ係数xが、より好ましくは20〜60、さらに好ましくは30〜60である。また、式(2)のMはナトリウム、カリウムまたはカルシウムであることが好ましく、ナトリウムであることがより好ましい。式(2)のyの値は低い方が好ましい。さらに、本発明で使用される合成ゼオライトは、温度25℃/相対湿度10%/常圧の条件下での水分吸着能が好ましくは20質量%未満、より好ましくは15質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満の合成ゼオライトである。特に、上記式(2)で示され、シリカ係数xが20〜60で、温度25℃/相対湿度10%/常圧の条件下での水分吸着能が10質量%未満の合成ゼオライトは、耐熱性と疎水性が高く、このような合成ゼオライトの配合された低臭気性樹脂組成物から得られる成形品は、シルバーの発生がなく、外観が極めて優れているという特徴も有する。
本発明に関わる合成ゼオライトの平均1次粒子径は好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは0.2〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜5μmである。合成ゼオライトの平均1次粒子径を0.1μm以上とすることにより、樹脂組成物の溶融粘度が低くなる傾向にあり、20μm以上とすることにより成形品の肌荒れが目立ちにくくなり、外観が向上する傾向にあり好ましい。
合成ゼオライトの含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)を含む樹脂成分100質量部に対し、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部である。含有量が0.1質量部未満では、臭気の低減効果が小さい場合があり、5質量部を越えて配合しても更なる臭気の低減効果は期待できず、また機械的物性も低下する傾向がある。
(9)導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(ペレット)の製造
以下、上記した本発明の樹脂組成物(ペレット)の製造方法の好ましい一実施態様を説明するが、本発明は、以下の実施態様に限定して解釈されるものではないことは勿論である。
(i)重合触媒に由来する成分を、銅元素として0.05〜10質量ppm含有し、好ましくはトルエン含有量が上記量に調整されたPPE(好ましくは粉状体)を製造する。
(ii)上記PPEと、平均粒径1〜5mm、見かけ密度0.5〜0.7g/cmのPS粒子をタンブラー等の混合器で混合し、混合物を、例えば二軸スクリュー式のフィーダー(原料の定量供給機)から二軸押出機、好ましくは二軸同方向回転押出機にフィードする。原料供給口(押出機のホッパー)からは不活性ガスが供給されているのが好ましい。不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等のPPEに対して不活性なガスであって、通常は窒素ガスが用いられる。
導電剤は、少なくとも1つのサイドフィーダーから供給する。導電剤以外の添加剤は、PPEとPSを混合する混合器に添加混合してもよく、押出機バレルの途中にサイドフィーダーを設置して添加してもよい。
(iii)二軸押出機シリンダー内の押出しスクリューは、長さがL/Dで10〜80であり、混練ゾーンを少なくとも1箇所以上有し、混練ゾーンの合計のL/Dが3〜18であり、樹脂原料のスムーズな輸送と、ついで溶融混練を行い、そして最後に吐出ノズルからストランド状に押し出される。導電剤は、上記混練ゾーンに供給し、分散させる。
ここで、用いるサイドフィーダーとしては、導電剤をバレル内に供給できればものであれば任意のサイドフィーダーを用いることができるが、スクリュー、好ましくは2本のスクリューによりバレル内に供給する方法を用いることが好ましい。また、安定した導電性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得るために、サイドフィーダーのスクリューは予めカーボンの投入速度より高速で投入できるように回転させておき、重量式定量フィーダーを用いて投入することが好ましい。また、PPE及びPSが溶融している状態に導電剤をサイドフィードすることにより、超高分子量体を適切な量で生成させることが容易となり、導電剤の分散性が良好となり、成形品外観に優れ、導電剤の脱離がなく、導電性のバラツキがなく、導電性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得ることができる。
また、導電剤は、二軸押出機の上流側の混練ゾーンよりも下流側に供給する。好ましくは、2つの混練ゾーンの間の位置に供給する。このような手法を採用することにより、超高分子量体を適切な量で生成させることが容易となり、導電剤の分散性が良好となり、導電性のバラツキ、機械的物性の低下がなく、導電性に優れた樹脂組成物とすることができる。
混練ゾーンのスクリュー構成は、好ましくは、前記(a)〜(d)等の混練を促進するエレメントを上流側に、前記(e)〜(h)等の昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置される。このような配置とすることにより、樹脂に強力なせん断を加え、混練と超高分子量体の生成を行う。
押出機における設定温度と時間は、樹脂組成や押出機の種類等により、任意に選ぶことができるが、通常混練温度(設定温度)は、200〜350℃、好ましくは220〜320℃、混練時間は、3分以下が好ましい。350℃又は3分を超えると、PPEやPSの熱劣化を防ぎにくく、物性低下と外観不良を生じやすい。
また、押出機には、減圧ベント部が設けられているのが好ましく、PPEに含有されるトルエン等が、ベント部より排気口に向かって常時揮発し、随伴気流を発生させることで、他の揮発成分を良好に吸引除去することができる。従って、揮発成分がベント口近辺で結露することを抑制することができ、それらの劣化物が樹脂組成物に混入するのが抑制されるので、品質の優れた樹脂組成物のペレットを製造することが可能となる。
押出機のベント部における真空度は−60kPa以下にすることが好ましく、−80kPa以下がより好ましい。真空度がかかる範囲であれば、トルエン等の揮発成分がベント部で十分に除去され、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に悪影響を及ぼすことがなく好ましい。
(iv)溶融混練された組成物は、混練押出機先端に設置される吐出ノズルからストランドと呼ばれるひも状に押出される。吐出ノズルのダイの形状は特に制限はなく、公知のものが使用される。吐出ノズルの吐出口の直径は、押出し圧、所望するペレットの寸法にもよるが、通常2〜10mm程度である。
図3は、吐出ノズルから押し出されたストランドをペレットに加工するまでの工程を模式的に示した図である。
図4は、ストランド搬送工程で使用するガイドローラーの一実施態様を示す部分側面図である。
銅元素として0.05〜10質量ppmを含有するポリフェニレンエーテル系樹脂を用いて溶融混練する場合は、樹脂組成物の製造時に目ヤニの発生が多い。この原因は定かではないが、以下の様に考えられる。すなわち、押出中にできたポリフェニレンエーテルの超高分子量体は分子量が数十万以上(目安は500,000以上)であるために、ポリスチレン分子や他のポリフェニレンエーテル分子との相溶性が低く、ポリフェニレンエーテル超高分子量体同士で集合し易い。その集合体があまりに大きくなると凝集物となる。このポリフェニレンエーテル超高分子量体の集合体は、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンの相溶化相のなかで、大きな塊となり剪断流動下でその流れを乱す。その流れの乱れがノズル先端での目ヤニの発生を促進していると考えられる。
このため、本発明では、ポリフェニレンエーテルを押し出す際のストランドに付着する目ヤニを除去する事が好ましい。その手段は種々あるが、簡便には以下のようなガイドローラーを用いることによって達成される。
ストランドSは、引き取りローラー4、4’によって引き取られ、ペレタイザー5によってペレット状に切断されるが、ペレタイザー5に供給される前の搬送経路において冷却されるのが通常である。具体的には図3に示すように、冷却槽2に溜められた冷却媒体(通常は水)W中を搬送されるようにして、冷却される。樹脂の劣化を少なくするために、ストランドSが吐出ノズル1から押し出されてから冷却媒体Wに入るまでの時間は短い方が良い。通常は、吐出ノズル1から押し出されてから1秒以内に冷却媒体Wに入るのが良い。
そのため、吐出ノズル1からほぼ最短距離で冷却媒体Wへ向かうように搬送することが好ましく、また、冷却媒体Wで冷却される時間が長くなるように搬送することが好ましい。このような条件を満たす搬送経路を実現するため、ストランドSの搬送経路には3,3’で示すようなガイドローラーが設けられるのが一般的である。ガイドローラー3,3’の径は通常3〜7cm程度である。
(v)このようなガイドローラー3,3’を利用して、ストランドSの表面に付着した目ヤニを除去することが可能である。
具体的には、ガイドローラー3,3’の少なくとも一方を、ストランドSの走行(搬送)方向aとは逆方向bに回転させるか、ストランドSの走行速度(引取り速度)よりも遅い周速度でストランドSの走行方向aと同じ方向に回転させることである(あるいは、回転させない状態で保持してもよい)。
ガイドローラー3,3’は、通常ストランドSの走行方向と交差する方向を回転軸とした円筒形状を有し、ストランドSが所望の搬送経路で搬送されるよう、複数本が平行して押し出されるストランドSを円筒面(外周面)で支持する。
通常、ガイドローラー3,3’は、図4(a)に示すように、その主軸31の円周上のローラー表面には、周方向に環状(リング状)の溝32が複数設けられる。溝32は走行するストランドSを受け入れて支持し、接近した位置にあるストランドS同士が接触し融着することを防ぐ。
通常、溝32の幅は、ストランドSの太さより若干広めで、溝32の底部は弧状とされていることが安定した支持を行うために好ましい。また、溝32の深さは、通常2〜10mmである。ガイドローラー3,3’の直径は、通常3〜7cm程度である。
更に、溝32のピッチ(隣り合う溝32の間隔)は、通常、ストランドSの間隔(ダイの吐出ノズル1の間隔)に合わせる。ストランドSの径にもよるがピッチは5〜20mmである。溝32の数は押し出されるストランドの数以上であれば良い。
ガイドローラー3,3’は、冷却槽2のストランド走行位置に1本あるいは複数本設けられる。複数本の場合はガイドローラー3,3’間にストランドが掛け渡されて冷却槽2中を走行し冷却される。
ガイドローラー3,3’はストランドSの走行方向aと逆方向bまたは走行方向aと同じ方向に回転可能に支持されており、回転不能に支持されてもよい。ストランドSの走行(搬送)速度に対してガイドローラー3,3’の溝32の移動(回転)速度が相対的に遅くなるようにガイドローラー3,3’を支持することにより、溝32とストランドSとが接する面でストランドSの表面を擦り、ストランドSの表面に付着した目ヤニを擦り取ることができる。なお、ガイドローラーが複数設けられている場合には、その少なくとも一つにおいてストランドSの表面を擦るようにすればよい。
ガイドローラー3,3’をストランドSの走行方向aと逆方向bに回転させるには、ガイドローラー3,3’に駆動装置を設ければ良い。この場合、ストランドSと溝32の表面との抵抗が大きすぎるとストランドSの走行が不安定になる場合が有るので、ストランドSの走行が安定する範囲で回転量を定める。
ガイドローラー3,3’を走行方向aと同じ方向に回転させる場合には駆動装置を設けなくてもよい。ガイドローラー3,3’を回転させるのにある程度の抵抗(少なくとも、走行するストランドSの摩擦力によりストランドSと同じ周速度で回転することがない程度の抵抗)を与えれば良い。これにより、ガイドローラー3,3’はストランドSの走行に追従して回転するが、与えられた抵抗によりストランドSの走行速度より遅く(周速度が遅く)回転し、溝32の表面でストランドSの表面を擦ることが可能になる。駆動装置を設けることも可能であるが、逆回転の場合と異なり、回転に抵抗を与える構成の方が簡便である。
このように、ストランドSは、冷却媒体W中を走行しながらガイドローラー3,3’の表面と接触し、ストランドSの走行速度とガイドローラー3,3’の回転速度(周速度)との差によってストランドSの表面が溝32の表面で擦られ、ストランドSの表面に付着する目ヤニが除去される。また、溝が無いガイドローラーであっても、ストランドがガイドローラー表面で擦られることにより、ある程度の目ヤニ除去効果はある。
この効果は、ストランドSの走行速度と同じ周速度でガイドローラー3,3’を回転させた場合には得られないものである。ストランドSの走行速度とガイドローラー3,3’の周速度を略同速度とした場合には、ストランドSの表面を擦ることが出来ないだけでなく、むしろ溝32の表面によって目ヤニをストランドに張り付けたり、埋め込んだりすることになることも考えられる。
具体的なガイドローラー3,3’の回転(外周面の移動速度)速度Vrは、ストランドの速度Vsに対して、0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係であることが好ましい。上限は、より好ましくは0.5≧Vr/Vsであり、下限は、より好ましくはVr/Vs≧0である。VsはストランドSの引き取り速度とすることができ、Vrは(ガイドローラー3,3’の半径−溝深さ)×2π×1分間の回転数で求まる。Vr/Vsが正の場合、ガイドローラー3,3’がストランド走行方向aと同方向に回転する場合であり、負の場合は、ガイドローラー3,3’がストランド走行方向aと逆方向bに回転する場合である。
ガイドローラー3,3’は、冷却槽2中に1本あるいは複数本設けられるが、複数本の場合は全てのガイドローラー3,3’を上述のような回転とする必要はなく、冷却媒体2中にあり、吐出ノズル1(ダイス)に最も近いガイドローラー(図3では3)を上記のように作動させるのが目ヤニ除去に効果的である。
(vi)ストランドSは、引き取りローラー4、4’からペレタイザー5に送られ、カッティングされて、ペレットとされる。カッティングは、ストランド温度が80〜160℃、特には90〜140℃の範囲にある時に切断するようにすることが望ましい。
この温度は非接触式の温度計によって測定すればよいが、簡便にはカッターによって切断されたペレットを収容する袋や容器中のペレットに温度計を差し込んで測定することによって代用すれば良い。
本発明の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いて成形して得られる成形品、例えば、電気電子部品の保管用容器または搬送用トレーを成形する方法としては、生産性の良さから射出成形法が用いられることが多いが、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂一般に用いられている成形法、例えば、中空成形、押出成形、シート状成形品からの熱成形、回転成形等の成形方法も適用できる。
本発明の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いて成形して得られる成形品としては、(ICやCCDのトレー、ケース、ハウジング等の電気電子部品の保管用容器または搬送用トレーが挙げられるが、特に、ベーキング等の高温で使用されるICやCCDのトレー用に本発明の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
[1.測定・評価方法]
以下の実施例及び比較例において、各測定・評価方法は、次の通りである。
(1)分子量500,000以上のポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量:
前述したとおりの方法で測定した。
(2)PPEの末端基の種類及び数:
13C−核磁気共鳴吸収スペクトルを、日本電子(株)製のJNM−A400を用い、CDClを溶媒、テトラメチルシランを基準物質とし、13C−NMR完全デカップリングモードとして、13C−核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、Macromolecules、1990年、Vol.23、1318〜1329頁に記載の方法により、ヒドロキシル基末端数(フェニレンエーテルユニット100個に対する個数)を求めた。
(3)PPEの極限粘度:
ポリフェニレンエーテル0.5gを溶液として100ml以上(濃度0.5g/dl以下)となるようにクロロホルムで溶解し、30℃においてウベローデ型の粘度計を用いて、異なる濃度における比粘度を測定し、比粘度と濃度との比を、濃度を0に外挿することにより極限粘度を算出した。
(4)PPE中の銅元素含有率:
ポリフェニレンエーテル系樹脂を硝酸で分解した後に、残渣中の銅を原子吸光分析により定量し、ポリフェニレンエーテル系樹脂中の銅元素含有率(質量ppm)を算出した。
(5)PPE中のトルエン濃度:
ポリフェニレンエーテル系樹脂2gをクロロホルム10mlに溶解後、メタノールで析出させ、上澄み液をガスクロマトグラフィーで分析し、トルエン濃度(質量%)を算出した。
(6)PSの平均粒径:
1mm未満の粒子に関しては、レーザー回折・散乱法の粒度分析計であるセイシン企業社(Seishin Enterprise Co.Ltd.)製「レーザー回折散乱式粒度分布測定装置Laser Micron Sizer LMS−2000e」を使用して、湿式法(イソプロピルアルコール溶媒)で測定した。1m粒子はノギスで測定し、体積平均粒径を求めた。1mm未満の粒径と1mm以上の粒径の測定値から、粒子全体の平均粒径を求めた。
(7)PSの見かけ密度:
JIS K5101に準拠して、静置法にてフィルターは使用せずに、測定した。
(8)シャルピー衝撃強度:
下記記載の方法で得られたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレットを、120℃で4時間乾燥後、射出成形機(東芝機械社製、IS150型)で、シリンダー温度320℃、金型温度120℃の条件でISO試験片を成形し、ISO179規格に準拠し、ノッチ付?なし?シャルピー衝撃強度を測定した。
(9)荷重たわみ温度:
上記(8)と同様の方法で得られたISO試験片を用い、ISO75規格に準拠して、1.82MPaの条件で荷重たわみ温度の測定を行い、耐熱性の指標とした。
(10)引張破壊応力、引張破壊歪み:
上記(8)と同様の方法で得られたISO試験片を用い、ISO527規格に準拠して、引張降伏応力及び引張破壊呼び歪みを測定した。
(11)曲げ強度、曲げ弾性率:
上記(8)と同様の方法で得られたISO試験片を用い、ISO178規格に準拠して、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(12)ICトレー反り量:
下記記載の方法で得られたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレットを、120℃で4時間乾燥後、射出成形機(東芝機械社製、IS150型)で、シリンダー温度320℃、金型温度120℃の条件で、図5に示すIC用トレーを成形し、23℃、相対湿度55±3%の室内で48時間状態調節した。その後、トレーを1枚ずつ定盤上に置き、図5に示すa〜iの8箇所を三次元寸法測定器で測定した。同様にして、荷重撓み温度より10℃低い温度で3時間熱処理し、室温で48時間冷却後、未処理反り量の測定と同一方法で熱処理後の反り量を測定した。
(13)カーボンブラックの脱離性:
下記記載の方法で得られたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレットを、120℃で4時間乾燥後、射出成形機(東芝機械社製、IS150型)で、シリンダー温度320℃、金型温度120℃の条件で、50mm×90mm、厚み3.2mmの成形品を成形した。得られた成形品表面にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405A−18)を貼り付け、それをはがした時の剥離状態を目視にて下記基準に基づき判断した。
○:力を入れてこすってもほとんど剥離しない。
△:力を入れてこすれば剥離する。
×:軽くこすっただけでも剥離する。
(14)表面抵抗率:
上記(13)と同様の方法で得られた50mm×90mmで厚み3.2mmの角板成形品を用い、三菱化学(株)製品のロレスタまたはハイレスタにて任意の3ヶ所について測定を行った。表面抵抗率が10Ω以上になるものについてはハイレスタを用い、それ以下になるものについてはロレスタを用いた。
[2.原材料]
次に示す原料を準備した。
(1−1)ポリフェニレンエーテル系樹脂−1(PPE−1);
下記記載の方法で製造して得られたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂
(1−2)ポリフェニレンエーテル系樹脂−2(PPE−2):
下記記載の方法で製造して得られたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂
(1−3)ポリフェニレンエーテル系樹脂−3(PPE−3):
下記記載の方法で製造して得られたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂
(2)ポリスチレン系樹脂(HIPS):
ハイインパクトポリスチレン、PSジャパン社製、商品名「HT478」、平均粒径3.8mm、見かけ密度0.62g/cm、重量平均分子量200,000
(3)導電性カーボンブラック(CB):
三菱化学(株)製、商品名「CCMPB」、24M4DBP吸収量135cm/100g、脱水素量0.77mg/g、結晶子サイズ14.0Å、窒素吸着比表面積288m/g、Dmod/24M4DBP=0.62、平均粒径15nm、CTAB吸着比表面積195m/g、DBP吸収量159cm/100g、含酸素官能基密集度2.06μmol/m
(4)エラストマー(SEBS):
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、クラレ社製、商品名「セプトン8004」、数平均分子量80,000
(5)離型剤:
ポリエチレンワックス、三洋化成工業社製、商品名「サンワックス151P」、密度0.93g/ml、重量平均分子量2,000
(6)安定剤:
酸化亜鉛(試薬1級)、本荘ケミカル社製
(7)充填材:
タルク、松村産業社製、商品名「タルクK−5」
[3.ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造例]
(1)PPE−1
反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを底部に付属させた還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付きオートクレーブ反応器に、1.4881gの酸化第一銅、8.9505gの48%臭化水素水溶液、17.3541gのN,N−ジ−n−ブチルアミン、44.0156gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、3.5846gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(TOM)1.05g及び2908.82gのトルエンを入れ、初期仕込み液を作成した。次いで、反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.109MPaに制御した。
続いて、酸素を窒素で希釈して作った、絶対圧力が0.109MPaでその酸素濃度が70%のガスを、スパージャーより導入し、以後重合中も含めて反応器気相部に窒素を導入しながら、窒素と上記ガスとにより、反応器気相部の絶対圧力が0.109MPaに維持される様に、コントロールバルブを制御した。上記ガスの導入速度は3.46NL/分とした。上記ガスの導入を開始してから直ちに、1155gの2,6−ジメチルフェノールを1109.7gのトルエンに溶かした溶液を、プランジャーポンプを用いて30分で全量を投入し終わる速度で、添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒体を通して調節した。ガス導入開始後約145分で、酸素含有ガスに替えて窒素を導入すると共に、反応器にエチレンジアミン4酢酸ナトリウム(EDTA4ナトリウム)5%の水溶液525gを添加し攪拌した。
その後反応溶液の温度が70℃になる様に熱媒体でコントロールしながら、攪拌を2時間継続した。攪拌を停止した後、静置分離した水溶液を系外に排出し、更に純水260gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。水層を分離した反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。沈殿をろ取し、更に適量のメタノールで洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテル系樹脂を得た。
PPE−1の評価結果を次に示す。
極限粘度:0.48dl/g
末端基の数:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.64個
銅含有率:0.1質量ppm
トルエン濃度:0.112質量%
(2)PPE−2
上記PPE−1の製造方法と同様に製造したが、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.32gを使用すること及びガス導入開始後約155分で酸素含有ガスに替えて窒素の導入を開始したことのみを変更して、粉末状のポリフェニレンエーテル系樹脂を得た。
得られたPPE−2の評価結果を次に示す。
極限粘度:0.48dl/g
末端基の数:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.60個
銅含有率:0.5質量ppm
トルエン濃度:0.115質量%
(3)PPE−3
上記PPE−1の製造方法と同様に製造したが、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.11gを使用すること及びガス導入開始後約155分で酸素含有ガスに替えて窒素の導入を開始したことのみを変更して、粉末状のポリフェニレンエーテル系樹脂を得た。
得られたPPE−3の評価結果を次に示す。
極限粘度:0.48dl/g
末端基の数:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.63個
銅含有率:2.0ppm
トルエン濃度:0.120質量%
[4.ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法]
(実施例1)
PPE−1、PS、SEBS、離型剤、安定剤及び充填材を、表1の割合となるように量りとり、タンブラーで5分間混合した。
混合物をクボタ社製の2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダーCE−W−2に移し、そこから東芝機械社製の二軸同方向回転押出機TEX54αII(長さL/Dで49)で、200kg/hrの速度でフィードし、押出機で混合物を溶融混練した。押出機のスクリュー回転数は300rpmとした。
スクリュー構成は、混練ゾーンがRRRNNLの構成であるスクリュー構成を用いた。
ここで、Rは、Rニーディングディスク(前記した(a))、Nは、Nニーディングディスク(前記(b))、Lは、Lニーディングディスク(前記(e))である。
混練ゾーンを2箇所設け、2箇所の混練ゾーンの合計長さは、L/D=7とした。また、2箇所の混練ゾーンの間に2軸スクリュー式のサイドフィーダーを設け、CBをバレル内に供給した。
混練溶融物を、穴径4mm、11穴のダイスを使って押出し、ストランド状にして、冷却水槽で冷却し、ペレタイザーでカッティングし、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレットを得た。ストランドは、18m/分の速度で引き取り、冷却水槽中の2本のロールA、ロールBに掛けて、水槽で冷却した。この時にロールAの周方向の回転速度は6m/分であった。ロールの周方向速度とストランド速度の比率は0.33であった。ロールAとロールBの間隔を調整し、ペレタイザーに入るストランド温度を115℃にしてカッティングした。カッティング面は綺麗であり、良好な形状のペレットが得られた。得られた樹脂組成物ペレット中の分子量500,000以上の超高分子量体の含有量は、0.020質量%であった。
得られた樹脂組成物ペレットを用い、上記(8)〜(13)の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2、3及び比較例3)
実施例1において、PPEの種類、各成分の配合量を表1、2のようにかえた以外は、実施例1と同様に、樹脂組成物ペレットを製造した。得られた樹脂組成物ペレットを用い、上記(8)〜(13)の評価を行った。評価結果を表1、2に示す。
(比較例1、2、4、5)
実施例1において、PPEの種類、各成分の配合量を表1、2のようにかえ、各成分を量りとり、量りとった全成分をタンブラーで5分間混合した。CBをサイドフィードしない以外は、実施例1と同様の混練条件で樹脂組成物ペレットを製造した。
得られた樹脂組成物ペレットを用い、上記(8)〜(13)の評価を行った。評価結果を表1、2に示す。
(比較例6)
押出機上流側の混練ゾーン上に2軸スクリュー式のサイドフィーダーを設け、上流側の混練ゾーンにCBを供給した以外は、実施例1と同様に、樹脂組成物ペレットを製造した。得られた樹脂組成物ペレットを用い、上記(8)〜(13)の評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0005715484
Figure 0005715484
表1、2の結果からも明らかなように、本発明により得られる導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、導電性、耐衝撃性等の機械的物性、寸法安定性に優れ、導電剤の脱離の少ない優れたものであることがわかる。特に、充填材としてタルクを配合した実施例1及び2は、実施例3に比べ寸法安定性がより優れることがわかる。
これに対し、CBをサイドフィードせず、一括で混練した場合は、超高分子量体の割合が本願発明の範囲を外れ、導電性に劣ることがわかる(比較例1、2、4、5)。
PPE中の銅元素濃度が本願発明の範囲を外れる場合は、超高分子量体の割合が本願発明の上限を超えてしまい、カーボンブラックの剥離が多くなることがわかる(比較例3、4)。
また、CBの供給位置を、押出機の上流側の混練ゾーンにかえた場合は、カーボンブラックの分散が不良となり、導電性に劣ることが分かる(比較例6)。

Claims (15)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)50〜92質量%とポリスチレン系樹脂(B)50〜8質量%を含む樹脂成分100質量部に対し、導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)1〜40質量部を含有してなる導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造するにあたり、
    ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)として、重合触媒に由来する銅成分を、銅元素にして、1.5質量ppm以下の割合で含有するポリフェニレンエーテル系樹脂を用い、
    ポリスチレン系樹脂(B)として、平均粒径1〜5mm、見かけ密度0.5〜0.7g/cm3の粒子を用い、
    上記両樹脂を、長さがL/Dで10〜80であり、混練ゾーンを少なくとも2箇所以上有し、混練ゾーンの合計のL/Dが3〜18のスクリュー構成である二軸押出機に供給して、加熱、溶融、混練した後、導電性カーボンブラック(C1)及び/又は中空炭素フィブリル(C2)を、二軸押出機の2つの混練ゾーンの間の位置にサイドフィーダーから供給し、分子量500,000以上のポリフェニレンエーテル系樹脂の超高分子量体を、樹脂組成物中に0.015〜0.6質量%の量で生成させることを特徴とする、導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  2. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が、フェニレンエーテルユニット100個に対する末端ヒドロキシル基数が0.15〜1.5個のものであることを特徴とする、請求項1に記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  3. 押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  4. 導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を押出機からストランド状に押し出し、冷却媒体中を走行させて冷却し、ストランドカッターにより切断してペレットを得るにあたり、
    溝が形成されたガイドローラーを冷却媒体中に設置し、
    該ストランドを、ガイドローラーの前記溝内に接するようにして引き取るとともに、
    引き取り速度をVs(cm/秒)、ストランドが接するガイドローラー外周面の移動速度をVr(cm/秒)とした場合に、
    0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係を満たすように、前記引き取り速度及び前記移動速度並びにガイドローラーの回転方向を決定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  5. 冷却によりストランドの温度を80〜160℃に調整し、この温度範囲でカッティングすることを特徴とする請求項4に記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  6. ポリスチレン系樹脂(B)が、ポリスチレンまたは耐衝撃性ポリスチレンである、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  7. 導電性カーボンブラック(C1)が、次の(1)〜(3)の特性を全て満足する、請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
    (1)24M4DBP吸収量が130cm3/100g以上
    (2)1500℃、30分間加熱により発生した水素量(脱水素量)が1.2mg/g以下
    (3)結晶子サイズLcが10〜17Å
  8. 導電性カーボンブラック(C1)の窒素吸着比表面積が、150〜300m2/gである、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  9. 導電性カーボンブラック(C1)の透過型電子顕微鏡による平均粒径が、14〜24nmである、請求項1〜のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  10. 導電性カーボンブラック(C1)のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が、120〜220m2/gである、請求項1〜のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  11. 導電性カーボンブラック(C1)のDBP吸収量が、150〜400cm3/100gである、請求項1〜10のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  12. 導電性カーボンブラック(C1)が、オイルファーネスカーボンブラックである、請求項1〜11のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  13. さらに、エラストマーを前記樹脂成分100質量部に対し、2〜35質量部含有するように配合する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法で得られた導電性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなる成形品。
  15. 成形品が電気電子部品搬送用トレーである、請求項14に記載の成形品。
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