JP5711108B2 - 舶用推進装置 - Google Patents

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本発明は、動力を伝達する垂直軸を中心に水平なプロペラ軸を旋回させて推進方向を設定する所謂アジマススラスターに係り、また主機関の他にモータジェネレータを連結することにより、モータジェネレータ単体でのモータ推進と、主機関単体での推進と、主機関の出力にモータジェネレータによるアシストを加えたハイブリッド推進が可能な舶用推進装置に関するものであって、特にモータ推進からハイブリッド推進に切り替える際のクラッチ嵌合時に回転数が円滑に上昇するために優れた操作性を得ることができるようにしたことを特徴とするものである。
曳船等の作業船では、作業時に要求される出力に合わせて主機関を選定するため、作業時以外の移動時や待機時等には主機関の負荷率が低くなり、燃費や保守管理上好ましい状態ではない。また沖合にて待機する場合は、海象条件に応じて位置を保つために低速での移動が必要となるが、作業船は固定ピッチプロペラを使用することが多いため、主機関の回転数がアイドル回転数以下の場合にはクラッチによるスリップ制御で速度の制御を行っている。このため、出力ロスやスリップによる発熱ロスが発生して効率が悪くなり、さらに温室効果ガスの排出量が得られる出力に比較して多くなってしまう。
一方、近年増加している電気推進による可変速制御では、低速移動時のスリップ制御は不要となるが、曳船等の作業船では作業時に必要とされる出力が大きいために、電気推進による伝達ロスを考慮すると、必要とされる発電機関の容量やモータの出力が大きくなり、現在の船型に収めることが困難であるという問題点がある。
このような問題を解決するために、環境配慮技術として主機関とモータの2つの動力源を持ち、主機関の効率の悪い低負荷ではモータのみで駆動し、高負荷になると主機関がベースロードとなってこれをモータでアシストし、主機関とモータのそれぞれ効率の良好な範囲で使用するハイブリッドシステムが普及しつつある。例えば下記特許文献1に開示された舶用推進装置は、このようなハイブリッドシステムに関するものであり、状況に応じてコントローラよりモータ推進とハイブリッド推進の切替えを可能としている。
特開2004−257294号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のハイブリッドシステムによれば、クラッチ嵌合動作を行なう場合は、まずモータの回転数と主機関の回転数を同期させ、回転数が切替回転数を超えてクラッチ嵌合が開始されると、同文献の図11のt3 〜t4の時間範囲において、クラッチ嵌合が完了するまでの間、モータ回転数と主機関回転数が停滞してしまうため、クラッチ嵌合の際の回転数上昇に遅れが発生し、ハンドルの操作と実際の駆動状態に不連続性が生じて操作性に違和感があるという問題があった。
本発明は、上述した従来の問題点を解決することを目的としており、動力を伝達する垂直軸を中心にプロペラ軸を旋回させて推進方向を設定するとともに、モータ単体でのモータ推進と、主機関とモータによるハイブリッド推進が切り替え可能な所謂アジマススラスタータイプの舶用推進装置において、モータ推進からハイブリッド推進に切り替える際に行なうクラッチの嵌合時に、回転数が停滞することを防止することにより違和感のない円滑な切り替えを行なうことができる舶用推進装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載された舶用推進装置は、
主機関からの駆動力を伝達する伝達軸に設けられたクラッチと、前記クラッチを介して前記伝達軸にその一端側が接続された水平な入力軸と、前記入力軸の他端側に接続されたモータジェネレータと、前記入力軸に第1の変向機構を介してその一端側が連結された垂直軸と、前記垂直軸の他端側に第2の変向機構を介してその一端側が連結された水平なプロペラ軸と、前記プロペラ軸の他端側に取り付けられたプロペラとを有し、前記垂直軸を中心として前記プロペラ軸及び前記プロペラを旋回させることにより前記船舶の推進方向を設定するとともに、前記クラッチを離脱させた状態で行う前記モータジェネレータによるモータ推進と前記クラッチを嵌合させた状態で行う前記主機関及び前記モータジェネレータによるハイブリッド推進とを切り替えて船舶を推進させる舶用推進装置において、
前記モータ推進における前記モータジェネレータの回転数及び前記ハイブリッド推進における前記主機関の回転数を時間に対する増加率が相対的に大きい第1のランプ関数で制御するとともに、前記モータ推進から前記ハイブリッド推進に切り替えるために前記クラッチを嵌合させながら前記モータジェネレータの回転数及び前記主機関の回転数を同期させて上昇させる際に前記モータジェネレータの回転数及び前記主機関の回転数を時間に対する増加率が相対的に小さい第2のランプ関数で制御するコントローラを備えたことを特徴としている。
請求項2に記載された舶用推進装置は、請求項1記載の舶用推進装置において、
前記コントローラは、前記モータ推進から前記ハイブリッド推進に切り替える際に、前記主機関の回転数を前記モータジェネレータの回転数よりも大きくした状態で前記クラッチの嵌合を行い、前記クラッチが嵌合した後に前記主機関の回転数を前記モータジェネレータの回転数と同じにするように制御することを特徴としている。
請求項3に記載された舶用推進装置は、請求項1又は2に記載の舶用推進装置において、
前記クラッチが離脱する離脱回転数を、前記クラッチが嵌合を開始する嵌合開始回転数よりも低い回転数に設定することにより、前記クラッチの嵌合と離脱のハンチングを防止したことを特徴としている。
請求項1に記載された舶用推進装置によれば、モータ推進におけるモータジェネレータの回転数と、ハイブリッド推進における主機関の回転数を、時間に対する増加率が相対的に大きい第1のランプ関数で制御するとともに、モータ推進からハイブリッド推進に切り替えるためにクラッチを嵌合させながらモータジェネレータの回転数と主機関の回転数を同期させて上昇させる際には、モータジェネレータの回転数と主機関の回転数を時間に対する増加率が相対的に小さい第2のランプ関数で制御するようにした。このため、クラッチ嵌合動作中に切替え回転数を緩やかに上昇させることが可能となり、回転数停滞が解消されて円滑な回転数上昇の中でクラッチの嵌合を行なうことが可能になり、連続的で違和感のない動作モードの切り替えを行なうことができる。また、ハイブリッド推進の目標回転数に到達するに要する時間も短縮化することができる。
請求項2に記載された舶用推進装置によれば、モータ推進からハイブリッド推進に切り替える際に、負荷の移行による回転数減少を考慮し、クラッチ嵌合の際、主機関の回転数をモータジェネレータの回転数より一時的に高くしているので、モータジェネレータから主機関に負荷が移行することによって起こる回転数の減少を防ぐことができる。
請求項3に記載された舶用推進装置によれば、クラッチが離脱する離脱回転数を、クラッチが嵌合を開始する嵌合開始回転数(主機関のアイドル回転数) とは異なる低い回転数に設定しているので、クラッチ嵌合・離脱付近の回転数でのハンチングを防ぐことができる。
本発明の実施形態に係る舶用推進装置における推進機構部の要部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置の全体構成を模式的に示す構成図である。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置の各運転状態中、運航時のモータ推進領域とハイブリッド推進領域におけるプロペラ回転数とプロペラ出力の関係を示す図である。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置が運航時のハイブリッド推進領域で制御されている場合において、舶用三乗特性と、モータジェネレータのアシストを受けた場合の曳船作業時の出力特性と、独航時の出力特性とを、主機関回転数と主機関出力の関係で示した図である。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置の全体構成において、特に制御システムの構成を示した制御系統図である。 本発明と同様の基本構造を有する舶用推進装置において、クラッチ嵌合動作を含む所定の動作範囲で本発明とは異なる従来の制御を行なった場合の時間と回転数の関係を示す図であって、(a)はモータジェネレータの実際の回転数上昇を理想の回転数上昇とともに示す図であり、(b)は主機関の実際の回転数上昇を理想の回転数上昇とともに示す図である。 本発明と同様の基本構造を有する舶用推進装置において、主機関の操作系統を機能ブロックで示す図と、主機関を前記操作系統によって従来の制御手法で制御した場合の時間と回転数の関係を示す図であって、(a)はランプ関数がない場合のハンドル信号と回転数上昇を示す図であり、(b)は実際に行なわれているランプ関数がある場合のハンドル信号と回転数上昇を示す図である。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置において、クラッチ嵌合動作を含む所定の動作範囲で制御を行なった場合の時間と回転数の関係を示す図であって、(a)はモータジェネレータの回転数上昇をハンドル信号とともに示す図であり、(b)は主機関の回転数上昇をハンドル信号とともに示す図である。 (a)は本発明の実施形態に係る舶用推進装置において、主機関とモータジェネレータとクラッチのハンドルによる制御機能をブロック図で示したものであり、(b)は(a)で示した制御機能によって行なうクラッチ切り替えとこれに伴う主機関及びモータジェネレータのランプ関数の切り替え制御の手順を示す流れ図である。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置において、クラッチ嵌合動作を含む所定の動作範囲で制御を行なった場合の時間と回転数の関係を示す図であって、クラッチ嵌合後にモータジェネレータを速度制御からトルク制御に切り替えて回転数を主機関と同期させる制御を行うことを示している。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置において、クラッチ嵌合動作を含む所定の動作範囲で制御を行なった場合の時間と回転数の関係を示す図であって、(a)はモータジェネレータの回転数上昇を示す図であり、(b)は主機関の回転数上昇を示す図であるが、ともにクラッチ嵌合によってモータジェネレータから主機関に負荷が移行することによる一時的な回転数低下を示している。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置において、クラッチ嵌合動作を含む所定の動作範囲で制御を行なった場合の時間と回転数の関係を示す図であって、(a)はモータジェネレータの回転数上昇を示す図であり、(b)は主機関の回転数上昇を示す図であるが、クラッチ嵌合によってモータジェネレータから主機関に負荷が移行することによる一時的な回転数低下を防止するために、主機関の回転数をモータジェネレータの回転数よりも大きくした状態でクラッチの嵌合を行うことを示している。 本発明の実施形態に係る舶用推進装置の各運転状態中、作業時の主機関推進領域とハイブリッド推進領域におけるプロペラ回転数とプロペラ出力の関係を示す図である。 従来の舶用推進装置における推進機構部の要部を示す断面図である。
実施形態の舶用推進装置は、動力を伝達する垂直軸を中心に水平なプロペラ軸を旋回させて推進方向を設定するアジマススラスターであり、特にアジマススラスターの水平な入力軸の両端に、主機関とモータジェネレータをそれぞれ連結することにより、モータジェネレータ単体での推進と、主機関単体での推進と、主機関の出力にモータジェネレータによるアシストを加えたハイブリッド推進を可能としたものである。
(1) 舶用推進装置の構成(図1及び図2)
図1に示すように、実施形態の舶用推進装置1を搭載した船舶2の船尾には、舶用推進装置1のアジマススラスター17の基台部となる台床3が、その底部に固定されている。この台床3の上面側にはギアケース4が取り付けられており、このギアケース4の内部には、図2に示す主機関5に接続されて駆動力を伝達する水平な伝達軸6と、伝達軸6が入力側に接続されたクラッチ7と、クラッチ7の出力側に一端側が接続された水平な入力軸8と、入力軸8の略中央部分に設けられた第1の変向機構である上部ベベルギア9が収納されている。
さらに図1に示すように、台床3の下面側には、船舶2の下方で旋回可能となるようにストラット18とケーシング10が取り付けられている。ストラット18及びケーシング10は図示しない旋回駆動機構で旋回させることができる。そして、台床3の上面に設けられたギアケース4中の前記上部ベベルギア9には、垂直軸11の一端側(上端側)が連結されており、この垂直軸11は台床3及び船舶2の船底を貫通してストラット18及びケーシング10内に配設されている。そして、前記垂直軸11の他端側(下端側)には、第2の変向機構である下部べベルギア12を介して水平なプロペラ軸13の一端側が連結されている。このプロペラ軸13の他端側はケーシング10の外に突出しており、ケーシング10の外に突出したプロペラ軸13の他端側にはプロペラ14が取り付けられている。プロペラ14は固定ピッチプロペラである。なお、ケーシング10にはプロペラ14を囲んで略円筒形のダクト15が取り付けられている。
さらに図1に示すように、電力を与えられた場合にはモータとして働き、外力を受けて駆動された場合にはジェネレータ(発電機)として電力を発生するモータジェネレータ20(又はM/G20)が、前記台床3の上面側に台床3と一体に取り付けられている。このモータジェネレータ20は、カップリング21を介して入力軸8の他端側に直接接続されている。
本実施形態によれば、クラッチ7を脱離状態とし、モータジェネレータ20をモータとして駆動することによりプロペラ14を駆動して船舶2を推進するモータ推進を行なうことができ、さらに、クラッチ7を接続状態とし、主機関5による駆動を行いつつモータジェネレータ20をモータ又は発電機として使用するハイブリッド推進を行なうことができる。なお、いずれの推進形態においても、垂直軸11を中心としてプロペラ軸13及びプロペラ14が設けられたケーシング10を旋回させることにより、船舶2の推進方向を任意に設定することができるのは従来のアジマススラスターと同様である。
このように、本実施形態によれば、アジマススラスタータイプの舶用推進装置において、水平に配置された入力軸8の一端側にクラッチ7を介して主機関5を連動連結するとともに、同入力軸8の他端側にモータジェネレータ20を直接連動連結することにより、主機関5とモータジェネレータ20を入力軸8の両端に接続して一軸上に配置し、共通の入力軸8の両端側から主機関5とモータジェネレータ20の各駆動力をそれぞれ伝達することができる。従って、主機関とプロペラの間に減速機を連結したコンベンショナルタイプの舶用推進装置にモータを加えてハイブリッド化する場合に比べ、はるかに簡単で動力ロスのない効率的な構造でハイブリッドアジマススラスターを実現することができる。さらに、モータジェネレータ20を台床3に一体に取り付けたコンパクトな構造であるため、取り付け作業にあたっては、本装置を船舶2に搭載して主機関5と連結するだけの作業でよく、取り付け時にモータジェネレータ20を別途船舶2内の要所に据え付け作業する手間が省ける。
従来型の曳船用推進システムでは、作業時に必要な出力に合わせて主機関の出力を決めていたが、本実施形態のようなハイブリッド推進システムでは、モータジェネレータ20をモータとして使用することにより、主機関5とモータ双方の出力を利用することができるため、主機関5は従来型推進システムよりも小出力でよい。また、主機関5の出力を従来型推進システムよりも小出力とすれば、主機関5からの出力が加わる伝達軸6等の外径をより小さくすることが可能となるため、製造コストを低減させることができる。
図2は、上述したようなアジマススラスター17を備えた舶用推進装置1の全体構成を模式的に示す構成図である。同図に示すように、本実施形態の船舶は、アジマススラスター17と駆動制御システムからなる舶用推進装置1を2組有しており、これらは船舶の船尾の左右にそれぞれ配備されている。そして、制御システムの詳細については後述するが、左右各組の舶用推進装置1ごとに設けられた操船手段によって、別々に制御できるようになっている。
図2に示す舶用推進装置1は、前述した主機関5の他に発電機関22を有しており、この発電機関22で発電機23を駆動して発電を行い、その電力で船内負荷24とモータ推進に必要な電力を供給する。モータ推進用の電力は、発電機23に接続された船内母線25から、変圧器26を通じて双方向インバータ27へ導かれ、双方向インバータ27による回転数制御又はトルク制御によってモータジェネレータ20をモータとして可変速制御する。
また、図2に示すように、双方向インバータ27には蓄電放電機構30が接続されており、発電機23からの交流を直流に変換して蓄電することができるとともに、モータジェネレータ20が発電機として働いた場合には、モータジェネレータ20から供給される交流を直流に変換して蓄電することもできる。蓄電放電機構30は、モータジェネレータ20をモータとして駆動する際に、発電機関22に駆動された発電機23からの供給に加えて電力をモータジェネレータ20に供給することができるが、何らかの事情で発電機23からの給電が期待できない場合には単独で電力をモータジェネレータ20に供給することもできる。また停泊時や陸電受電時には、蓄電放電機構30は充電される。
このように、駆動源としては主機関5とモータジェネレータ20を有し、電源としては発電機関22及び発電機23並びに蓄電放電機構30を備えているハイブリッド化した構成により、仮に主機関5もしくは発電機関22のどちらかに不具合があって運転できない場合でも、運転できる方の機関を利用して支障なく船舶2を運航させることができる。
(2) 舶用推進装置1の各運転状態における制御動作について(図3及び図4)
本実施形態の舶用推進装置1では、運航時、停泊時、陸電受電時、緊急時の各運転状態において、入力軸8の回転数、主機関5の運転状態、クラッチ7の状態、モータジェネレータ20の運転状態、発電機関22の運転状態、蓄電放電機構30の状態等の各項目を、各運転状態に最も適した状態となるように制御している。
上記各運転状態のうち、運航時における制御動作について説明する。
図3は、運航時における舶用推進装置1のプロペラ回転数とプロペラ出力の関係を示している。図3に示すように、プロペラ14の回転数が、主機関5のアイドル回転数を越える所定の切替回転数になったところで、モータとして駆動されるモータジェネレータ20のみによるモータ推進(図3中、モータ推進領域)から、主機関5とモータジェネレータ20のモータアシストによるハイブリッド推進(図3中、ハイブリッド領域)に自動的に切り替えるように構成されている。この切り替えが行なわれる切替回転数は、設計上の都合乃至操船者の使用上の都合等により、任意に設定することができる。なお、このモータ単独のモータ推進領域とハイブリッド領域の切り替えは、クラッチ7が嵌合の動作領域に入った場合に後述するコントローラによって自動的に行なわれる。
まず、図4に示すモータ推進領域においては、クラッチ7を脱離状態としてモータジェネレータ20をモータとして速度制御し、モータとしてのモータジェネレータ20により入力軸8を回転させて推進を行う。なお、このモータ推進領域において回生が発生した場合には、蓄電放電機構30が電力を蓄える。
従来のアジマススラスターによれば、プロペラ回転数が主機関5のアイドル回転数以下となる領域では、前述したようにクラッチによるスリップ制御を行っていたが、このような制御手法ではアイドル回転数以下の全域でプロペラ軸を回転させることはできなかった。
ところが、本実施形態のハイブリッド推進システム用のアジマススラスター17では、切替回転数以下の全域を速度制御されたモータ(モータジェネレータ20)により駆動するため、静止から切替回転数の間の全域でプロペラ軸13を回転させることができ、モータによる微妙な操船が可能になる。
この場合、主機関5はアイドル状態とすることも、機関停止とすることも可能である。主機関5を停止した場合は、ランニングコストと温室効果ガス排出量を低減でき、環境負荷低減に寄与できる。主機関5をアイドル状態とした場合でも、クラッチ7でのスリップ制御に伴う損失が発生しないため、省エネ効果が得られる。
次に、図4に示すハイブリッド領域においては、クラッチ7を接続状態として、主機関5による高効率な推進を行う。このハイブリッド領域では、モータジェネレータ20は、比較的大きな出力が必要とされる場合にはモータとして作動することにより主機関5による推進をアシストし、又は比較的小さな出力しか必要とされない場合にはジェネレータとして作動して発電を行なう。
ハイブリッド領域における制御についてさらに具体的に説明する。一般的な舶用の主機関は、その出力が、その回転数の3乗に比例する舶用3乗特性を有している。このような舶用3乗特性を有する主機関5の出力に対し、図4に示す曳船作業時の出力特性例のように負荷が高い場合には、モータをトルク制御して主機関5の出力をアシストする。主機関5の出力がアシストされた場合には、プロペラ14としての回転数に変化がなくても、トルクはアシストされた分だけ増大している。また図4に示す独航時の出力特性例のように負荷が舶用3乗特性に対して低い場合には、蓄電放電機構30の充電深度が充電を許容する場合にはモータジェネレータ20を発電機として使用し蓄電放電機構30へ充電を行なう。
このように、加速時など主機関5への負荷が高い場合にはモータジェネレータ20をモータとして駆動することによってアシストを行い、巡航時や減速時など主機関5への負荷が低い場合には蓄電放電機構30を充電して余剰エネルギーの回収を行うことができる。
(3) 制御システムの構成及び基本的作用(図5)
本実施形態の舶用推進装置1における制御システムを図5に示す。本項では、この制御システムの構成と、基本となる作用について説明する。
同図に示すように、前述したようなモータ推進とハイブリッド推進を適宜切り替えて行なうことができる制御手段として、本実施形態の舶用推進装置1は、操船用のハンドル35と、コントローラ40を備えている。なお、図2を参照して先に説明したように、本実施形態では、アジマススラスター17と駆動制御システムを備えた舶用推進装置1を船舶2の船尾の左右にそれぞれ備えているが、ハンドル35及びコントローラ40も左右の舶用推進装置1ごとにそれぞれ設けられており、左右各組の舶用推進装置1は別々のハンドル35によって互いに独立に制御することができる。
図5に示すように、コントローラ40は、操船者が操作するハンドル35からのハンドル指令信号と、主機関5の負荷情報及び回転数情報と、モータジェネレータ20の負荷情報及び回転数情報と、クラッチからのクラッチ嵌合信号等を常時取得しており、これらの情報に基づいて判断した結果に応じて各機器に制御信号を送り、主機関5及びモータジェネレータ20の回転数や、クラッチ7の嵌合及び離脱、モータ推進とハイブリッド推進の切り替え等を制御している。
ハンドル指令信号は、操船者がプロペラ14の回転数を指示するためにハンドル35を操作することにより、指示しようとするプロペラ14の回転数に対応して出力される。主機関5の回転数情報としては、主機関5に設けられたガバナ36からのガバナ回転数情報が使用できる。主機関5の負荷情報としては、主機関5に設けられたガバナ36からのガバナラック位置情報又は主機関5とクラッチ7の間に設けられた動力計37が出力する負荷トルク情報を使用することができる。負荷情報としては、上に例示した2種類の情報のうち、少なくとも1種類があればよく、また主機関5の負荷を示す情報であれば、これ以外の情報でもよい。モータジェネレータ20の負荷情報としては、双方向インバータ27が出力するM/G負荷情報が使用でき、モータジェネレータ20の回転数情報としては、双方向インバータ27が出力するM/G回転数情報が使用できる。クラッチからのクラッチ嵌合信号は、クラッチ7を作動させる油圧系統の油圧に基づいてクラッチ7の嵌合状態(ON)又は脱離状態(OFF)を検知する情報が使用できる。
コントローラ40は、ハンドル指令信号を始めとする前記各信号乃至情報を基に演算・判断を行い、その結果から、以下に説明する各種制御信号を舶用推進装置1の各部に適切なタイミングで出力する。
まず、コントローラ40は、モータジェネレータ20の制御モードを速度制御モード又はトルク制御モードに設定する電動機制御モード切替信号と、選択された制御モードでモータジェネレータ20を駆動するためのインバータ指令信号を、双方向インバータ27へ出力する。また次項にて本実施形態の特徴の一つとして詳細に説明するが、コントローラ40では、入力されたハンドル指令信号に対し、指定されたランプ関数に対応した増加率又は減少率のランプ関数出力を算出し、さらにこれに対応した回転数指令をモータジェネレータ20及び主機関5に与えるが、クラッチ7の嵌合の状態に応じてこのランプ関数を切り替える切り替え制御を行う。また、コントローラ40は、主機関5の回転数を指令するためのガバナ速度指令信号を主機関5のガバナ36に出力する。また、コントローラ40は、前述したランプ関数の切り替え制御に伴ってクラッチ7を嵌合状態(ON)又は脱離状態(OFF)とするためのクラッチON/OFF信号を電子コントローラ50に与え、電子コントローラ50はクラッチ7を作動させる油圧系統の電磁弁をクラッチON/OFF信号に基づき制御してクラッチのON/OFF制御を行なう。
モータ推進領域では、コントローラ40は、双方向インバータ27に速度制御の制御モード信号を出力し、クラッチ7にはクラッチをOFFとするクラッチON/OFF信号を出力してクラッチを脱離状態とする。この状態において、ハンドル35の操作に伴うハンドル指令信号の変化に対応して、双方向インバータ27には回転数上昇を指示するインバータ指令信号を出力し、主機関5のガバナ36には適当なガバナ速度指令信号を出力することにより、主機関5をアイドル運転乃至は停止し、モータジェネレータ20をモータとして単独で運転するモータ推進制御を行う。
モータ推進領域では、速度制御のためにハンドル35を操作すると、その操作量に比例してプロペラ軸13の回転数が変化する。ハンドル35からのハンドル指令信号に対応するプロペラ14の回転数が所定の切替回転数に達した場合は、コントローラ40から主機関5のガバナ36に切替回転数となるようなガバナ速度指令信号を出力し、主機関5とモータが同一速度となったことを確認してから、クラッチをONとするクラッチON/OFF信号をクラッチ7に出力してクラッチを接続させ、トルク制御の制御モード信号を双方向インバータ27に出力し、モータ推進領域からハイブリッド領域へ制御領域の切り替えを行う。
なお、このクラッチ7を嵌合させて行なうモータ推進からハイブリッド推進への切り替えに際して、モータジェネレータ20及び主機関5の回転数を同期させる際には、それぞれの回転数の増加率を規定するランプ関数を適宜に切り替えることにより回転数の停滞が起きないように制御しており、これが本実施形態の特徴の一つであるため、次項にて詳細に説明する。
ハイブリッド領域では、速度制御のために操船者がハンドル35を操作すると、その操作量に比例したハンドル指令信号がコントローラ40に入力され、コントローラ40はハンドル指令信号に対応して主機関5のガバナ36に回転数上昇を指令するガバナ速度指令信号を出力する。このように、ハンドル35からの操作量に比例して主機関5の回転数を変化させてプロペラ14の回転数を制御することができる。
コントローラ40は、双方向インバータ27に対しては、コントローラ40で演算したトルク指令のためのインバータ指令信号を出力し、そのトルク指示値によってモータジェネレータ20にアシストもしくは発電をさせることができる。
このように、コントローラ40が主機関5と双方向インバータ27を統合制御するので、モータ推進領域でのモータによる推進からハイブリッド領域での主機関5を中心とした推進にスムーズに移行することができる。また主機関5を効率の良い比較的高い回転数の領域で運転できるので、燃費低減が図れる。
(4) クラッチ嵌合時における回転数停滞の解消について(図3、図6〜図11)
以上説明した実施形態の機械的構成において、モータ推進からハイブリッド推進に移行する際の主機関5及びモータジェネレータ20の制御を、本発明とは異なる従来の制御手法で行なった場合について説明する。
図6は、このような従来の制御における主機関5とモータジェネレータ20の時間と回転数の関係を示す図である。このクラッチ嵌合制御では、主機関5とモータジェネレータ20の回転数を同期させてクラッチ7の嵌合を行なうため、モータジェネレータ20による単独のモータ推進においては、主機関5はアイドル回転数で待機させておく。そして、モータジェネレータ20の回転数がアイドル回転数を超えると、コントローラがクラッチ嵌合指令を電子コントローラ50に送り、電子コントローラ50が電磁弁51を作動させて作動油をクラッチ7に供給し、クラッチピストン52を移動させてクラッチを嵌合させる(クラッチ7の構造及びその駆動機構については図10参照)。この時、クラッチピストン52が作動してクラッチ7を嵌合させている間、主機関5とモータジェネレータ20の回転数が停滞してしまい、回転数の上昇がスムーズに行かない場合があった。
このように回転数の上昇が停滞すると、操船者としてはハンドル35を大きく上昇側に押し倒している意識があるのに、実際には回転数がそのレバー操作に対応して直ちに上昇してくれないため、操船者としては反応が遅いと感じる操船時の違和感を持ってしまう。このようなハンドル操作に対応する反応性はタグボートのような細かい動きが要求される船舶の操船においては特に重要である。
そこで、本実施形態では、このような回転数の上昇の停滞を解消するため、次に説明するような制御手法を採用している。
図3に示すように、回転数が0〜切替回転数以下となるモータ推進領域では、クラッチ7は離脱状態にしている。この時ハンドル35を操作すると、ハンドル35の操作量に応じてコントローラ40がモータジェネレータ20を速度制御し、入力軸8を介してプロペラ軸13を回転させる。また、従来の制御手法を示す図6(a)と同様に、クラッチ7の嵌合前には主機関5を起動してアイドル回転数で待機させておく。
図7に示す従来の主機の制御方法では、コントローラ40は、同図(a)のようにハンドル35の操作に対して同等の傾きをもって回転数をリニアに上昇させるのではなく、同図(b)のようにハンドル35の操作に対してより小さな傾きにより時間経過に対して回転数が一定量だけ上昇するようなランプ関数で制御しているのが通常である。これは、同図(a)のようにハンドル35の操作量を示すハンドル信号に対して同等の傾きをもって回転数をリニアに上昇させると、主機関5がこのような急激な制御に追従できないため、黒煙が発生してしまうことがあるからであり、このために同図(b)のようにハンドル35の操作に対してより小さな増加率で回転数を上昇させるようにすることが望まれるからである。
図8に示す実施形態の制御方法では、モータ推進からハイブリッド推進に移行する際、クラッチ7を嵌合制御する行程における回転数の停滞を防止するために、クラッチ7の嵌合制御とその前後における制御とで異なる2種類のランプ関数を使い分け、モータジェネレータ20と主機関5の両方を制御している。
すなわち、図8に示すように、モータ単独のモータ推進におけるモータジェネレータ20の制御(この時、主機関5はアイドル回転数である)と、ハイブリッド推進における主機関5の制御(この時、モータジェネレータ20はトルク制御に切り替えられている。)では、時間に対する回転数の増加率が相対的に大きい第1のランプ関数Aで制御を行なう。また、クラッチ嵌合指令後、クラッチ嵌合終了までの嵌合制御期間t中は、主機関5とモータジェネレータ20の制御を、時間に対する回転数の増加率が相対的に小さい第2のランプ関数Bで行なう。図8の回転数−時間のグラフにおけるランプ関数Bの傾きがランプ関数Aよりも小さいのは、クラッチ嵌合開始(主機関アイドル回転数)からクラッチ嵌合終了までの従来制御において回転数が停滞していた時間を考慮したものである。
次に、上述したようなハンドル35の操作により主機関5やM/G20の制御を行なう際にランプ関数の切り替えを行なう制御手法について、図9を参照してさらに詳細に説明する。
図9は、コントローラ40の内部でソフトウェアによって行われる機能を示すための図であって、ハンドル35からのハンドル指令信号を受けて行なう主機関5とモータジェネレータ20とクラッチ7の制御機能をブロック図と流れ図で示したものである。図9(a)に示すように、ハンドル35を操作した場合、ハンドル35の操作角度で示されるハンドル指令信号が、ハンドル入力部60で電気信号のハンドル指令信号に変換され、このハンドル指令信号は、ランプ関数A/B設定部61において設定されているランプ関数に応じたランプ関数出力となり、主機関制御やM/G制御に使用される。すなわち、主機関制御及びM/G制御では、このランプ関数出力と回転数指令の関係を定めた図示のような各所定の演算特性に応じて回転数指令信号が主機関5(ガバナ)やM/G20(インバータ)に出力される。ランプ関数切替制御部62は、クラッチ嵌合開始のタイミング又はクラッチ嵌合信号の入力によってランプ関数A/Bの切替フラグをランプ関数A/B設定部61出力し、これによって主機関5とM/G20の制御に必要なランプ関数A又はBへの切替制御が行なわれる。
図9に示すクラッチ7のクラッチ制御において、クラッチをON又はOFFさせるクラッチ指令は、ランプ関数出力が相対的に小さいクラッチ離脱開始(2) とランプ関数出力が相対的に大きいクラッチ嵌合開始(1) において出力される。クラッチ嵌合の場合は、ランプ関数Aの状態でハンドル操作を行い、ランプ関数出力がクラッチ嵌合指令(1) に達して回転数が切り替え回転数を上回り、ランプ関数A/B設定部61に設定されるランプ関数がランプ関数AからBに切り替えられた場合に、クラッチがONとなる。クラッチ離脱の場合は、ハンドル操作によりランプ関数出力がクラッチ離脱開始(2) となり、回転数が切り替え回転数を下回り、ランプ関数A/B設定部61に設定されるランプ関数がランプ関数BからAに切り替えられてM/G20がランプ関数Aで単独運転を始めた場合にクラッチがOFFとなる。なお、詳細は後に「(6) クラッチ離脱について」で説明するが、実施形態では、クラッチ離脱回転数をクラッチ嵌合回転数より低い回転数に設定してヒステリシスを設けることによりハンチングの発生を防止している。
図9(a)に示すように、「M/G制御」でモータジェネレータ20の回転数指令がランプ関数Aで上昇して主機関5のアイドル回転数に達すると、クラッチ嵌合開始(1) となり、「M/G制御」におけるモータジェネレータ20の回転数はランプ関数Bによって上昇し、また同時に「主機関制御」では主機関5の回転数もランプ関数Bによって上昇し、主機関5とモータジェネレータ20の回転数は同期して緩やかに上昇していく。クラッチ嵌合完了(3) になると、「M/G制御」ではモータジェネレータ20は速度制御からトルク制御に切り替えられ、速度指令から速度リミットとなって主機関5と回転数を同期させることができるようになり、また同時に「主機関制御」では主機関5の回転数がランプ関数Aに切り替えられ、ハイブリッド状態でモータジェネレータ20とともに回転数を上昇させていく。
図9(b)及び図10に示すように、このようにアイドル回転数においてクラッチ嵌合開始になると、主機関5とモータジェネレータ20の制御がランプ関数Bに切り替えられる。時間の経過により切替回転数に達し、クラッチが嵌合完了(3) となってクラッチ嵌合信号が出力されると、主機関5の制御がランプ関数Aに切り替えられるとともに、図9(b)中には示していないがモータジェネレータ20は速度制御からトルク制御に切り替えられ、機関全体としてハイブリッド状態で回転数を上昇させていく。
以上説明したように、実施形態によれば、クラッチ嵌合を開始する主機関アイドル回転数に達し、クラッチ嵌合開始と同時にランプ関数を増加率の大きいランプ関数Aから増加率の低いランプ関数Bに切り替え、可及的滑らかな連続性をもって回転数を緩やかに上昇させることができるので、クラッチピストン52がクラッチ7のプレート同士を接触させるまでの回転数停滞が解消され、スムーズな回転数上昇の中でのクラッチ嵌合が可能になる。また、クラッチ嵌合の動作中にも回転数は緩やかながら上昇を続けるので、クラッチ嵌合終了時には、従来の制御動作の場合に比べて回転数はより高くなっているので、ハイブリッド推進の目標回転数に到達するに要する時間も従来よりは短縮化することができる。
(5) クラッチ嵌合後の回転数減少の解消について(図11及び図12)
クラッチ7が嵌合しモータ単独領域からハイブリッド領域に切り替わる際、ハイブリッド領域ではモータジェネレータ20から主機関5にベースロードが変わるために、モータジェネレータ20から主機関5に負荷が移行する。このモータ単独領域からハイブリッド領域への切り替えにおいて、クラッチ7がスリップクラッチであれば、嵌合の際にスリップ領域があるために負荷移行がスムーズに行なわれるので問題はない。
しかし、ON/OFFクラッチの場合にはスリップ領域がないため、クラッチ7を嵌合するとモータジェネレータ20から主機関5に負荷が移行し、モータジェネレータ20が持っていたプロペラ慣性マスが主機関5に加わる。そのため、図11に示すように、クラッチ嵌合終了後には回転数が低下してしまう。
このような回転数の低下を防止するための実施形態の制御方法について下記に説明する。
図12に示すように、モータジェネレータ20の回転数が上昇して主機関アイドル回転数を超えると主機関5とモータジェネレータ20の回転数を同期させて回転数を上昇させていく。この時、クラッチ嵌合指令と同時に、モータジェネレータ20から主機関5への負荷の移行による回転数低下を考慮して、主機関5の回転数をモータジェネレータ20の回転数より高く設定して回転数差を設ける。これによって、モータジェネレータ20から主機関5に負荷が移行することによる回転数の低下が抑えられる。モータジェネレータ20の回転数に対し主機関5の回転数を少なくとも約5%増やすことでクラッチ嵌合時の回転数低下を防ぐ実質的な効果があることが本願発明者の実験から判明している。クラッチ嵌合完了にはモータジェネレータ20より回転数を高く変更した主機関5の回転数をモータジェネレータ20の回転数と同一回転数に戻す。その他の制御内容は前記「(3) 制御システムの構成及び基本的作用」及び「(4) クラッチ嵌合時における回転数停滞の解消について」で説明した内容と同一である。
(6) クラッチ離脱について
実施形態において、ハイブリッド領域からモータ単独領域になるようにハンドル35を操作すると回転数が低下し、回転数がクラッチ離脱回転数を下回るとクラッチ7の離脱が始まる。クラッチ離脱回転数をクラッチ嵌合開始回転数(主機関アイドル回転数)と同じに設定し、ハンドル35をクラッチ嵌合開始回転数又はクラッチ離脱回転数付近で動かすと、クラッチ嵌合・クラッチ離脱指令がハンチングしてしまう。
このため、クラッチ離脱回転数はクラッチ嵌合回転数と異なる回転数とし、さらに具体的にはクラッチ離脱回転数をクラッチ嵌合回転数より低い回転数に設定してヒステリシスを設けることでハンチングを防止することとした。クラッチ離脱回転数を主機アイドル回転数の約85%から95%の範囲内に設定することでハンチングを起こさないことが本願発明者の実験から判明している。
1…船舶推進装置
2…船舶
3…基台部としての台床
4…ギアケース
5…主機関
6…伝達軸
7…クラッチ
8…入力軸
9…第1の変向機構としての上部ベベルギア
10…ケーシング
11…垂直軸
12…第2の変向機構としての下部ベベルギア
13…プロペラ軸
14…プロペラ
17…アジマススラスター
20…モータジェネレータ(M/G)
40…コントローラ

Claims (3)

  1. 主機関からの駆動力を伝達する伝達軸に設けられたクラッチと、前記クラッチを介して前記伝達軸にその一端側が接続された水平な入力軸と、前記入力軸の他端側に接続されたモータジェネレータと、前記入力軸に第1の変向機構を介してその一端側が連結された垂直軸と、前記垂直軸の他端側に第2の変向機構を介してその一端側が連結された水平なプロペラ軸と、前記プロペラ軸の他端側に取り付けられたプロペラとを有し、前記垂直軸を中心として前記プロペラ軸及び前記プロペラを旋回させることにより前記船舶の推進方向を設定するとともに、前記クラッチを離脱させた状態で行う前記モータジェネレータによるモータ推進と前記クラッチを嵌合させた状態で行う前記主機関及び前記モータジェネレータによるハイブリッド推進とを切り替えて船舶を推進させる舶用推進装置において、
    前記モータ推進における前記モータジェネレータの回転数及び前記ハイブリッド推進における前記主機関の回転数を時間に対する増加率が相対的に大きい第1のランプ関数で制御するとともに、前記モータ推進から前記ハイブリッド推進に切り替えるために前記クラッチを嵌合させながら前記モータジェネレータの回転数及び前記主機関の回転数を同期させて上昇させる際に前記モータジェネレータの回転数及び前記主機関の回転数を時間に対する増加率が相対的に小さい第2のランプ関数で制御するコントローラを備えたことを特徴とする舶用推進装置。
  2. 前記コントローラは、前記モータ推進から前記ハイブリッド推進に切り替える際に、前記主機関の回転数を前記モータジェネレータの回転数よりも大きくした状態で前記クラッチの嵌合を行い、前記クラッチが嵌合した後に前記主機関の回転数を前記モータジェネレータの回転数と同じにするように制御することを特徴とする請求項1記載の舶用推進装置。
  3. 前記クラッチが離脱する離脱回転数を、前記クラッチが嵌合を開始する嵌合開始回転数よりも低い回転数に設定することにより、前記クラッチの嵌合と離脱のハウリングを防止したことを特徴とする請求項1又は2に記載の舶用推進装置。
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