JP5709020B2 - ケイ素錯体、製造方法及び蛍光材料 - Google Patents

ケイ素錯体、製造方法及び蛍光材料 Download PDF

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本発明は、シッフ塩基を配位子とするケイ素錯体、その製造方法及び蛍光材料に関する。
含窒素芳香族複素環と芳香族環とをアゾメチン基(シッフ基)で連結したシッフ塩基を配位子とする有機金属錯体が知られている(非特許文献1)。また芳香族環と芳香族環とをアゾメチン基で連結したシッフ塩基を配位子とする有機金属錯体が知られている(特許文献1)。
非特許文献1では、配位結合に係わる金属はスズであり、錯体は弱い蛍光性を示すことが記載されている。一方特許文献1では、金属は遷移金属、希土類金属、ランタニド、アクチニド等から選ばれる金属であり、錯体は蛍光性を示し、物の認証や識別に有効活用出来ることが開示されている。
また非特許文献2には、シッフ塩基と配位結合する半金属のケイ素原子を使用した錯体が記載されているが構造が異なり、また蛍光性については何ら記載がない。
Takano,K.;Shibahara,T.Chem.Lett.2008,37,70.
Wagler,J.;Gerlach,D.;Roewer,G.Inorg.Chim.Acta.2007,360,1935−1940.
特表2005−507330号公報
本発明は、含窒素芳香族複素環と芳香族環をアゾメチン基で連結するシッフ塩基を配位子とし、金属の代わりに半金属と分類されるケイ素原子と配位結合した新規な構造のケイ素錯体(以下において有機ケイ素錯体と称することもある)を提供することを目的とする。また本発明はこれらの錯体の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明はこれらの錯体からなる蛍光材料を提供することを目的とする。
本発明は、第1には下記式(1)で表されるケイ素錯体を提供する。
Figure 0005709020
(式中、R1、R3は水素原子、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリル基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、メトキシ基置換メチル基、メチル基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
本発明は、第2には式(1)においてR1は水素原子、R2が水素原子、メチル基、メトキシ基、アリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、クロル基又フッ素基を表し、R3は水素原子、R4が水素原子又はクロル基を表し、R5が水素原子又はメチル基を表し、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成してもよい前記第1に記載のケイ素錯体を提供する。
本発明は、第3には式(1)においてR3〜R5が水素原子であり、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成する下記式(2)で表される構造を有する前記第1又は第2に記載のケイ素錯体を提供する。
Figure 0005709020
本発明は、第4には8−アミノキノリン誘導体とサリチルアルデヒド誘導体(1−ヒドロキシ−2−ナフチルアルデヒド誘導体及び2−ヒドロキシ−1−ナフチルアルデヒド誘導体を含む)とから得られる下記式(5)で表されるシッフ塩基とハロゲンが塩素、臭素又は沃素原子から選ばれるハロゲン化ケイ素との反応により得られる下記式(3)で表されるシッフ塩基配位ハロゲン化ケイ素錯体をフッ素原子置換剤と加熱反応させることを特徴とする下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
Figure 0005709020
(式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6〜R10は水素原子を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
Figure 0005709020
式中、R1〜R10は前記と同じであり、Xは塩素、臭素、又は沃素原子から選ばれるハロゲン原子を表す。
Figure 0005709020
(記号は前記と同じ。)。
本発明は、第5には下記式(5)で表されるシッフ塩基、ハロゲンが塩素、臭素又は沃素原子から選ばれるハロゲン化ケイ素及びフッ素原子置換剤を同一反応器において反応させることを特徴とする前記第4に記載の下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
Figure 0005709020
(記号は前記と同じ。)。
Figure 0005709020
(記号は前記と同じ。)。
本発明は、第6にはシッフ塩基配位ハロゲン化ケイ素錯体が下記式(3)で表され、シッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体が式下記式(4)で表されるケイ素錯体であることを特徴とする前記第4及び第5に記載の下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
Figure 0005709020
(式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6〜R10は水素原子を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良く、Xは塩素、臭素、又は沃素原子から選ばれるハロゲン原子を表す。)。
Figure 0005709020
式中、R1〜R10は前記と同じ。)。
本発明は、第7にはフッ素原子置換剤が六フッ化リン酸アンモニウムであることを特徴とする前記第4乃至第6に記載の下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
Figure 0005709020
(式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6〜R10は水素原子を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
本発明は、第8には下記式(1)で表されるケイ素錯体からなる蛍光材料を提供する。
Figure 0005709020
(式中、R1は水素原子、R2が水素原子、メチル基、ニトロ基、塩素原子又はフッ素原子を表し、R3は水素原子、R4が水素原子、メトキシ置換メチル基、メチル基、塩素原子又はフッ素原子を表し、R5が水素原子又はメチル基を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成してもよい。)。
本発明は、第9には式(1)において、R3〜R5が水素原子であり、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成する下記式(2)で表される構造を有する前記第8に記載の有機ケイ素錯体からなる蛍光材料を提供する。
Figure 0005709020
本発明になるケイ素錯体は、シッフ塩基を構成する含窒素複素環の窒素原子、もう一方の芳香族環の置換基であるヒドロキシ基の酸素原子、及びシッフ基の窒素原子とケイ素原子との配位結合により形成されている。またケイ素原子には3つのフッ素原子が結合している。このケイ素錯体は非常に大きな蛍光量子収率を有する化合物群であることを見出した。
本発明のケイ素錯体において、蛍光は特定の置換基の場合に特に顕著に見られ、全ての置換基で同じように見られるものではない。式(1)で置換基R2がアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、R1とR2、又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成する場合などに顕著に観察される。またケイ素に結合するハロゲン原子はCl(塩素)よりF(フッ素)の場合が特に顕著である。
置換基の中で、ヒドロキシ基は分子間で水素結合を形成し蛍光は見られないがエステル結合やエーテル結合により分子修飾し、いろいろの機能性ケイ素化合物を提供することができる。またアリル基は二重結合を利用して高分子鎖にケイ素錯体を結合させて機能性高分子材料を提供し、或いは付加反応により新たな機能性材料を提供することが可能である。
本発明になるケイ素錯体は次のいずれかの方法により合成することができる。第一の方法は、8−アミノキノリン誘導体とサリチルアルデヒド誘導体との反応によりシッフ塩基を生成し、単離したシッフ塩基とハロゲン化ケイ素(ハロゲンは塩素、臭素、又はヨウ素原子)とを反応させてケイ素錯体を得て、得られたケイ素錯体をフッ素置換する方法である。第二の方法は、8−アミノキノリン誘導体、サリチルアルデヒド誘導体及びハロゲン化ケイ素(ハロゲンは塩素、臭素、又はヨウ素原子)を同時に加えて反応させて、その反応系内へフッ素原子置換剤を加えて、ワンポットで最終目的物を製造する方法である。第三の方法は、第一の方法においてハロゲン化ケイ素として四フッ化ケイ素を用いる方法である。
本発明者は、ハロゲン化ケイ素の中で最も強い腐食性、揮発性を有する四フッ化ケイ素を用いることなく、四塩化ケイ素を用いて三塩化ケイ素錯体を合成し、この錯体をフッ素置換処理するか、四塩化ケイ素とフッ素原子置換剤とを共存させて反応させることにより、温和な条件で目的とする三フッ化ケイ素錯体を合成できることを見出した。
また本発明者は、四塩化ケイ素及びフッ素原子置換剤を含む反応系内にシッフ塩基又はシッフ塩基合成原料を加えて数時間加熱反応し、三フッ化ケイ素錯体を直接合成するワンポット法を見出した。フッ素原子置換剤としてはフッ化銀、四フッ化ホウ酸銀や六フッ化リン酸銀、六フッ化リン酸アンモニウム等の六フッ化リン酸塩等が挙げられるが、なかでも六フッ化リン酸アンモニウムが溶解性、価格、取扱、高収率等から好適である。
本発明のケイ素錯体はシッフ塩基を配位子とする三フッ化ケイ素錯体である新規化合物群である。これらの化合物群は光吸収材料として或いは蛍光材料として有用である。特定の幾つかの化合物は特に優れた蛍光特性を有することから、電解発光表示材料、蛍光標識材料、蛍光識別記録材料、レーザ励起発光材料等への応用が期待される。また本発明は、三塩化ケイ素錯体をフッ素置換させることにより温和な条件で目的とする三フッ化ケイ素錯体を製造することのできる方法を提供する。さらにまた本発明はワンポットで最終目的物である三フッ化ケイ素錯体を製造する大量生産に適合する経済的な方法を提供することができる。
本発明の製造方法によれば、シッフ塩基の原料である8−アミノキノリン誘導体とサリチルアルデヒド誘導体(ヒドロキシ置換ナフチルアルデヒドを含む)と四塩化ケイ素をメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピロリドン、ピリジン、塩化メチレン、クロロホルム等の溶媒中で1時間乃至数時間室温又は加熱下に反応させ、三塩化ケイ素錯体の生成を確認し、フッ素原子置換剤を加えて、さらに1時間乃至数時間反応させるか、原料となるシッフ塩基、ハロゲン化ケイ素及びフッ素原子置換剤を一度に混合し、加熱反応させたのち、室温又は冷却下に静置して析出する結晶若しくは固形物を取りだし、常法により精製することにより式(1)で表されるケイ素錯体を得ることができる。8−アミノキノリン誘導体及びサリチルアルデヒド誘導体は、基本的にはどのような置換基を有していても良く、本発明製造方法によれば基本的には置換基の影響を受けることなく、三フッ化ケイ素錯体を製造することが可能である。
<合成例1>
下記式(5)で表されるシッフ塩基(HL1):
1−(8−キノリルアミノメチレン)ナフタレン−2(1H)−オンの合成
(式中、R3〜R10は水素原子を表し、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成)
Figure 0005709020
8−アミノキノリン(432mg、3×10−3mol)、2−ヒドロキシナフチルアルデヒド(540mg、3×10−3mol)をメタノール(5mL)に加え、50℃で2時間加熱後静置する。析出した橙色板状結晶を濾取し、メタノールで洗浄、乾燥し、シッフ塩基879mg(収率98%)を得た。
このシッフ塩基のDMSO中の吸収極大波長はλmax457nm、481nmであった。
元素分析値:実験値(計算値:C2014O)%:C,80.36(80.52);H,4.81(4.73);N,9.40(9.39)。
下記のシッフ塩基も同様にして合成した。DMSO中の吸収極大波長λmax、nm、蛍光極大波長λem、nm、かっこ内はε値(ε/M−1cm−1)を示す。
シッフ塩基(HL2)(R1=R2=H、R5〜R10=H、R3とR4とで縮合ベンゼン環を形成)470nm(24800),496nm(23100)。
シッフ塩基(HL3)(R3=R4=H、R5=CH3、R6〜R10=H、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成)457nm(25600),481nm(27000)。
シッフ塩基(HL4)(R1=R3=H、R2=CH3、R4=−CHO、R5〜R10=H)350nm(26400),504nm(7700)。
シッフ塩基(HL7)(R1=R3=H、R2=R4=Cl、R5〜R10=H)531nm(5290)。
シッフ塩基(HL10)(R1=H、R2=OCH3、R3〜R10=H)355nm(8100)。
[下記式(3)で表されるケイ素錯体の合成]
Figure 0005709020
窒素ガス雰囲気下で、シッフ塩基(HL1)300mgとSiCl 1ml(1mol/Lジクロロメタン溶液)をアセトニトリル10mlに加え、50℃で5時間加熱した後一晩室温放置後析出物をろ過し、三塩化ケイ素錯体である黄色粉末約350mgを得た。このものは、上記式3においてR3〜R10が水素原子であり、R1とR2で縮合ベンゼン環を形成し、Xは塩素原子を表す。
[式3で表される目的物の三フッ化ケイ素錯体の合成]
黄色粉末350mgをMeOH(80ml)に完全に溶かし、暗所でAgPF6(615mg、3倍モル)のMeOH(16ml)溶液を加えた。黄色溶液を加熱(10分、35℃)したのち、室温・暗所数日放置し、析出した褐色板状結晶を濾取し、メタノールで精製し目的物20mgを得た。分子構造の決定はX線構造解析、元素分析により行い、式3に記載の構造であることが確認された。
<合成例2>
[ケイ素錯体(式2)のワンポット合成]
六フッ化リン酸アンモニウム(NH4PF6)(490mg、3.0mmol)をメタノール10mlに溶解し、四塩化ケイ素(1ml、1.0Mジクロロメタン溶液;1.0mmol)を加える。この中にシッフ塩基HL1(320mg、1.0mmol)のメタノール溶液(100ml、オレンジ色)を加え、50℃で3時間加熱撹拌し、生成したオレンジ色粉末を取り出し、メタノールで十分洗浄し、乾燥した。目的物280mg(収率73%)を得た。
上述の六フッ化リン酸塩を用いる反応では、塩素が六フッ化リンで置換された生成物を予測していたが、予想外にも生成物はフッ素置換体であることがX線構造解析で確認され、元素分析、NMR解析もその結果を支持している。
合成例1又は2に記載の合成法に従い又は合成法に準じて、シッフ塩基、目的物のケイ素錯体を合成することができる。
ワンポット合成法は簡便で経済的合成法であり、またシッフ塩基が単離しにくい場合などにも有利な方法である。
<X線構造解析>
ケイ素錯体(式2)の単結晶を用いてX線構造解析により立体構造を明らかにした。
図1は式(2)ケイ素錯体のORTEP図を示す。ケイ素錯体は3座配位のシッフ塩基とメリディオナル(子午線)に配位した3つのフッ化物イオンを持つ六配位八面体型錯体であることが判明した。
結晶データ:
結晶システム モノクリニック、スペースグループ P21/c(#14)
格子パラメータ
a=10.743(2)A, b=10.265(2)A, c=15.031(3)A, β=105.675(3)°
V=1595.9(5)A, Z value=4, Dcalc=1.592g/cm, μ(MoKα)=1.939cm−1
Rl(I>2.00σ(I)=0.0353, R(All reflections)=0.0492, wR2(All reflections)=0.0936
<分光学的特性>
図2はケイ素錯体(式2)の吸収スペクトル、図3は蛍光ペクトルを示す。また表1は式2の錯体及び類似錯体の吸収特性及び蛍光特性を表す。表中、[LSiCl3]は式2のフッ素イオンを塩素イオンに代えた構造、[LSnCl3]はSiをSnに代えた構造である。
Figure 0005709020
[LSiF3](5.10mg、0.0133mmol)をDMSO(100ml)に溶かし、1.33×10−4M溶液とし、更に50倍希釈し2.66×10−6M溶液とした。この溶液を用いて吸収及び蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光量子収率算出時には、1.33×10−4M溶液の励起波長390nmにおける吸光度測定値の1/50の値を使用した。
本発明になるケイ素錯体(式2)は、公知の同族体である[LSnCl3]の蛍光量子収率が0.2であるのに対し、約1.0と想像以上に大きな値を示した。このような理想的大きな蛍光量子収率がシッフ塩基を配位子とするケイ素錯体はこれまでには全く知られていない。このケイ素錯体は今後の応用が期待される。なお、Alq3 のDMF中の蛍光量子収率0.11を基準とした。
また表1より、[LSiF3]は近似の錯体である[LSiCl3]からは予測できない強い蛍光を示すことが分かった。この理由は明らかではないが、ケイ素原子とシッフ塩基との三座配位結合及びケイ素原子とフッ素原子の強い結合による分子骨格のリジッド性(剛直性)が影響しているものと推側される。ケイ素イオンSi4+(イオン半径=0.40Å)は非常に硬いルイス酸であり、塩素イオンよりフッ素イオンとより強く結合する。
本発明になるケイ素錯体は、8−アミノキノリン誘導体やサリチルアルデヒド誘導体の置換基を選択することにより、吸収波長や蛍光波長等を調整することができる。吸収極大波長は、たとえばDMSO中では約480nm〜530nmの範囲で変化させることができ、着色は橙色から赤色を示す。また蛍光極大波長は、吸収極大波長から約50nmから100nm長波長側にシフトし、蛍光色は緑色から黄色さらには赤色を示す。固体での蛍光は溶液中より長波長側に現れている。
はケイ素錯体(化2)のORTEP図である。 はケイ素錯体(化2)の吸収スペクトル図である。 はケイ素錯体(化2)の蛍光スペクトル図である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表されるケイ素錯体。
    Figure 0005709020
    (式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリル基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、メトキシ基置換メチル基、メチル基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
  2. 式(1)においてR1は水素原子、R2が水素原子、メチル基、メトキシ基、アリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基,ホルミル基、クロル基又フッ素基を表し、R3は水素原子、R4が水素原子又はクロル基を表し、R5が水素原子又はメチル基を表し、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成してもよい請求項1に記載のケイ素錯体。
  3. 式(1)においてR3〜R5が水素原子であり、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成する下記式(2)で表される構造を有する請求項1又は2に記載のケイ素錯体。
    Figure 0005709020
  4. 8−アミノキノリン誘導体とサリチルアルデヒド誘導体(1−ヒドロキシ−2−ナフチルアルデヒド誘導体及び2−ヒドロキシ−1−ナフチルアルデヒド誘導体を含む)とから得られる下記式(5)で表されるシッフ塩基とハロゲンが塩素、臭素又は沃素原子から選ばれるハロゲン化ケイ素との反応により得られる下記式(3)で表されるシッフ塩基配位ハロゲン化ケイ素錯体をフッ素原子置換剤と加熱反応させることを特徴とする下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
    Figure 0005709020
    (式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又は メチル基を表し、R6〜R10は水素原子を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
    Figure 0005709020
    式中、R1〜R10は前記と同じであり、Xは塩素、臭素、又は沃素原子から選ばれるハロゲン原子を表す。)。
    Figure 0005709020
    (記号は前記と同じ。)。
  5. 下記式(5)で表されるシッフ塩基、ハロゲンが塩素、臭素又は沃素原子から選ばれるハロゲン化ケイ素及びフッ素原子置換剤を同一反応器において反応させることを特徴とする請求項4に記載の下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
    Figure 0005709020
    (記号は前記と同じ。)。
    Figure 0005709020
    (記号は前記と同じ。)。
  6. シッフ塩基配位ハロゲン化ケイ素錯体が下記式(3)で表され、シッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体が下記式(4)で表されるケイ素錯体であることを特徴とする請求項4及び5に記載の下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
    Figure 0005709020
    (式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6〜R10は水素原子を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良く、Xは塩素、臭素、又は沃素原子から選ばれるハロゲン原子を表す。)。
    Figure 0005709020
    式中、R1〜R10は前記と同じ。)。
  7. フッ素原子置換剤が六フッ化リン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項4乃至6に記載の下記式(4)で表されるシッフ塩基配位三フッ化ケイ素錯体の製造方法。
    Figure 0005709020
    (式中、R1、R3は水素原子、R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、又はハロゲンを表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲンを表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6〜R10は水素原子を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
  8. 下記式(1)で表されるケイ素錯体からなる蛍光材料。
    Figure 0005709020
    (式中、R1は水素原子、R2が水素原子、メチル基、ニトロ基、塩素原子又はフッ素原子を表し、R3は水素原子、R4が水素原子、メトキシ置換メチル基、メチル基、塩素原子又はフッ素原子を表し、R5が水素又はメチル基を表し、R1とR2又はR3とR4とで縮合ベンゼン環を形成しても良い。)。
  9. 式(1)において、R3〜R5が水素原子であり、R1とR2とで縮合ベンゼン環を形成する下記式(2)で表される構造を有する請求項8に記載の有機ケイ素錯体からなる蛍光材料。
    Figure 0005709020
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