本実施の形態では、人の死にまつわる各種サービス(以下、総称して「エンディングサービス」とも呼ぶ。)をユーザに提供するサービス支援装置を提案する。このサービス支援装置がサービスを提供する主な対象者は、自分自身でコンピュータ端末を使用できる健康な人、言い換えると、健康な状態で死とは縁遠いと考える人である。サービス支援装置は、ユーザが健康なうちから、ユーザ自身の死にまつわるイベントを予めデザインさせ、ユーザの死後、そのデザインにしたがってイベントが実現されることを支援する。実施の形態のサービス支援装置は、主に以下の2つの技術要素を備える。
技術要素1:ユーザが死亡したことを精度よく検出して、ユーザにより予め指定されていたエンディングサービスの実行を支援する。
技術要素2:ユーザが死亡した場合に、ユーザが予め関係者に残したメッセージを関係者が確認することを可能にし、また、メッセージの内容に改ざんがないことを関係者が確認することを可能にする。メッセージは、テキスト、音声、画像、動画、およびそれらを適宜組み合わせたデジタルデータであってよく、ユーザが関係者に伝えたい事柄を表現するものである。
図1は、エンディングサービスシステムの構成を示す。エンディングサービスシステム100は、サービス支援装置10と、契約者端末12と、対象者端末14で総称される対象者端末14a、対象者端末14b、対象者端末14cと、葬儀社端末16で総称される葬儀社端末16a、葬儀社端末16bを備える。これらの各装置は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網18を介して接続される。
サービス支援装置10は、上記2つの技術要素を備え、エンディングサービスの提供業者(以下、「サービス事業者」とも呼ぶ。)が有する情報処理装置である。サービス支援装置10は、ウェブサーバとしての機能を有し、エンディングサービスに関するウェブページを契約者端末12、対象者端末14および葬儀社端末16へ提供して表示させる。
契約者端末12、対象者端末14、および葬儀社端末16は、ウェブクライアントとして機能する情報処理端末であり、据え置き型であってもよく携帯型であってもよい。前者の例として、デスクトップPCであってもよく、後者の例として、ウェブブラウザが搭載された携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
契約者端末12は、自分自身が死亡した場合にエンディングサービスを実行することをサービス事業者と契約したユーザ(以下、「契約者」と呼ぶ。)により操作される情報処理装置である。対象者端末14は、エンディングサービスの提供先として契約者により指定されたユーザ(以下、「対象者」と呼ぶ。)により操作される情報処理装置である。葬儀社端末16は、サービス事業者と提携した葬儀業者が有する情報処理装置である。
図2は、図1のサービス支援装置10の機能構成を示すブロック図である。サービス支援装置10は、各種データを保持する記憶領域であるデータ保持部20と、各種データ処理・通信処理を実行する制御部40とを備える。なおウェブサーバとしての機能は公知であるため、以下の説明を省略する。
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図2のデータ保持部20は、サービス支援装置10のストレージやメインメモリにより実現されてもよい。また制御部40は、コンピュータプログラムとして記録媒体に格納され、サービス支援装置10のストレージへインストールされてもよい。そして、当該プログラムが起動されると、制御部40の各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがサービス支援装置10のメインメモリへ読み出されてCPUにより実行されることにより、制御部40の各機能が実現されてもよい。
データ保持部20は、サービスマスタ22と、契約者情報保持部24と、対象者情報保持部26と、協力者情報保持部28と、文書フォームマスタ30と、メッセージ保持部32と、葬儀プランマスタ34と、葬儀情報保持部36を備える。
図3は、サービスマスタ22に格納されるデータの構成を示す。サービスマスタ22は、複数種類のエンディングサービスのそれぞれの定義情報を「サービスマスタ情報」として保持する。サービスマスタ情報では、サービスID・サービス名・サービス詳細・サービス実施時期・価格が対応づけられる。このうちサービス実施時期は、契約者が死亡してからエンディングサービスを実施するまでの期間を示す。実施の形態では、契約者が死亡してからサービス実施時期が示す日数が経過したことを条件として、エンディングサービスが対象者へ提供される。なお、契約者が死亡したことの起算日は、後述の協力者によりサービス支援装置10へ通知された契約者の死亡日付であることとする。
図4は、契約者情報保持部24に格納されるデータの構成を示す。契約者情報保持部24は、複数の契約者のそれぞれに関する情報を「契約者情報」として保持する。契約者情報では、契約者ID・契約者名・契約者連絡先・サービスID・確認日付・死亡日付が対応づけられる。このうち契約者連絡先として、少なくとも契約者端末12のメールアドレスが設定される。またサービスIDとして、サービス支援装置10が契約者に提示した複数種類のエンディングサービスの中から、契約者が選択したエンディングサービスのIDが設定される。言い換えれば、契約者が自分自身の死後に対象者へ提供するよう契約したエンディングサービスのIDが設定される。また確認日付として、サービス支援装置10において契約者の生存が確認された最新の日付が設定される。また死亡日付として、サービス支援装置10において確認された契約者の死亡日付、具体的には、後述の協力者によりサービス支援装置10へ通知された契約者の死亡日付が設定される。
図4の契約者ID・契約者名・契約者連絡先は、サービス業者において契約者が登録された時点であり、特定のエンディングサービスは未選択の時点で設定されてもよい。例えば、契約者が記述したサービス業者との契約締結書の内容にもとづいて、サービス事業者による手動もしくはサービス支援装置10による自動で設定されてもよい。また、サービス支援装置10は、契約者をオンライン登録(サインアップ)を受け付ける契約者登録部をさらに備えてもよい。契約者登録部は、契約者情報の入力ページをユーザの端末(すなわち契約者端末12)へ提供し、そのページにおいて登録ボタンが選択された場合、契約者情報を契約者情報保持部24へ格納することにより、ユーザを契約者として登録してもよい。
図5は、対象者情報保持部26に格納されるデータの構成を示す。対象者情報保持部26は、複数の対象者のそれぞれに関する情報を「対象者情報」として保持する。対象者情報では、対象者ID・対象者名・対象者連絡先・契約者ID・サービスID・確認日付が対応づけられる。このうち対象者連絡先として、少なくとも対象者端末14のメールアドレスが設定される。また契約者IDとして、対象者を指定した契約者のIDが設定される。またサービスIDとして、契約者により設定され、対象者へ提供されるエンディングサービスのIDが設定される。また確認日付として、サービス支援装置10において対象者の存在が確認された最新の日付が設定される。
図6は、協力者情報保持部28に格納されるデータの構成を示す。協力者情報保持部28は、契約者の生存確認に協力するユーザとして1以上の対象者の中から契約者が予め指定した特定の対象者(以下、「協力者」とも呼ぶ。)に関する情報を「協力者情報」として保持する。後述するように、協力者は対象者のうち契約者の生存確認に協力するユーザである。協力者情報では、協力者ID・契約者ID・協力者連絡先が対応づけられる。このうち契約者IDとして、協力者を指定した契約者のIDが設定される。また協力者連絡先として、少なくとも協力者の対象者端末14のメールアドレスが設定される。
図7は、文書フォームマスタ30に格納されるデータの構成を示す。文書フォームマスタ30は、契約者から対象者への典型的なメッセージのテンプレートを保持する。実施の形態では、契約者が作成しようとする遺言の形式を特定するための複数種類の選択項目と、遺言のテンプレートとしての複数種類の文書フォームを保持する。また文書フォームマスタ30は、複数種類の選択項目と複数種類の文書フォームを、複数階層にグループ分けして保持する。例えば、大分類「財産相続用遺言」は、中分類「標準形式」と「相続分を指定する形式」を含む。また中分類「標準形式」は、遺言のテンプレートしての「不動産相続用フォーム」と「預貯金相続用フォーム」と「株式相続用フォーム」を含む。その一方、中分類「相続分を指定する形式」は、遺言のテンプレートしての「自己指定用フォーム」と「第三者委託用フォーム」を含む。
図8は、メッセージ保持部32に格納されるデータの構成を示す。メッセージ保持部32は、契約者から対象者へ伝達されるべきメッセージに関する情報を「メッセージ情報」として保持する。メッセージ情報では、メッセージID・契約者ID・対象者ID・暗号化メッセージ・復号キー・ハッシュ値が対応づけられる。このうち契約者IDとして、メッセージを作成した契約者のIDが設定され、また対象者IDとして、メッセージの宛先となる対象者のIDが設定される。また暗号化メッセージとして、契約者の平文のメッセージを暗号化したデータが設定され、復号キーとして、暗号化メッセージを復号するためのキー情報が設定される。またハッシュ値として、契約者の平文のメッセージから生成されたハッシュ値が設定される。なおセキュリティ向上のため、サービス支援装置10は、契約者から受け付けたメッセージを平文の状態では永続的に保持しない。
図9は、葬儀プランマスタ34に格納されるデータの構成を示す。葬儀プランマスタ34は、複数の葬儀業者のそれぞれが提案する葬儀プラン、言い換えれば、契約者が選択可能な葬儀プランの定義情報を保持する。この定義情報では、葬儀プランID・葬儀社情報・プラン詳細が対応づけられる。このうち葬儀社情報として、少なくとも葬儀社の連絡先、例えば葬儀社端末16のメールアドレスが設定される。プラン詳細は、葬儀プランの詳細な内容を示す情報であり、例えば葬儀規模・斎場情報・会食内容・返礼品内容・葬儀の価格(総額および内訳)等を含む。
図10は、葬儀情報保持部36に格納されるデータの構成を示す。葬儀情報保持部36は、契約者がデザインした自分自身の葬儀に関する情報を「葬儀情報」として保持する。葬儀情報では、契約者ID・葬儀プランID・喪主情報・葬儀詳細が対応づけられる。このうち喪主情報として、喪主の連絡先、例えば喪主の対象者端末14のメールアドレスが設定される。また葬儀詳細として、希望する参列者の情報・宗教の指定・希望する戒名の情報・希望する演出の情報・希望する墓地やお墓の情報等を含む。
図2に戻り、制御部40は、サービス実行部42と、関係者登録部48と、契約者確認部50と、警告部52と、協力者確認部54と、サービス指示部56と、対象者確認部58と、契約者通知部60と、サービス選択支援部62を備える。
以下では特に言及しないが、契約者端末12がサービス支援装置10へアクセスする際にサービス支援装置10は契約者端末12に対してログインを要求し、契約者IDの入力を要求するものとする。これにより、サービス支援装置10は、アクセス元の契約者端末12の契約者IDを把握するものとする。また以下では説明の簡明化のため、1人の契約者に対する処理を説明するが、実際には複数の契約者それぞれに対する処理を順次もしくは並行して実行する。
サービス実行部42は、複数種類のエンディングサービスに関する処理、例えば契約者により予め指定された対象者に対して、その契約者により予め指定されたエンディングサービスを提供するための処理を実行する。サービス実行部42は、遺言支援サービスの処理を実行する遺言支援部44と、葬儀支援サービスの処理を実行する葬儀支援部46を含む。遺言支援部44および葬儀支援部46の詳細は後述する。
なおサービス実行部42は、各エンディングサービスの一連のプロセスのうち一部を契約者の生存中に実行してもよい。そして、残りのプロセス、言い換えれば、契約者の死後に実行すべきプロセスを、後述のサービス指示部56の指示を契機に実行する。
サービス選択支援部62は、契約者端末12に対して、サービス実行部42により実行される複数種類のエンディングサービスを提示するウェブページ(以下、「サービス選択ページ」とも呼ぶ。)のデータを提供する。サービス選択ページは、複数種類のエンディングサービスの中から、1つ以上のエンディングサービスを契約者に選択させるためのウェブページであるとも言える。具体的には、サービス選択支援部62は、エンディングサービスの一覧として、サービスマスタ22に保持されたサービスマスタ情報が設定されたサービス選択ページを契約者端末12へ送信して表示させる。
またサービス選択支援部62は、サービス選択ページにおいて契約者により選択されたエンディングサービスを示す情報を契約者端末12から取得して、そのサービスIDを契約者情報保持部24における当該契約者のレコードへ格納する。契約者により選択されたエンディングサービスは、契約者とサービス事業者間において、契約者の死後に提供されることが契約されたサービスであるとも言える。
例えば、遺族年金等の各種の公的サービス・生命保険等の私的サービスの中には契約者の死亡後、所定期間内に手続きを行うべきものもある。それらのサービスを受けるための手続きを行うよう指示する旨のメッセージを対象者へ伝達することを希望する契約者は、上記の所定期間以内の値がサービス実施時期として設定された遺言支援サービスを選択する必要がある。
関係者登録部48は、契約者が対象者および協力者を登録するためのウェブページ(以下、「関係者登録ページ」)のデータを契約者端末12へ送信して表示させる。図11は、関係者登録ページの一例を示す。関係者登録ページ102は、対象者名フィールド104と、連絡先フィールド106と、サービス種類フィールド108と、協力者チェックボックス110と、登録ボタン112を含む。対象者名フィールド104は対象者名の入力フィールドであり、連絡先フィールド106は対象者端末14のメールアドレスを含む対象者の連絡先の入力フィールドである。
サービス種類フィールド108は対象者へ提供すべきエンディングサービスの種類を指定する入力フィールドである。サービス種類フィールド108は、契約者が契約済みのエンディングサービスの中から特定のサービスを選択可能なドロップダウンリストであってもよい。協力者チェックボックス110は、特定の対象者を協力者として指定するためのチェックボックスである。本実施の形態では、協力者としてエンディングサービスに関わらない第三者を指定することはできず、対象者の中から協力者を選択する必要がある。例えば、対象者として妻・子・父・母・友人・会社の同僚・顧問弁護士が指定された場合、協力者として妻・子・友人を指定することができる。
契約者端末12は、関係者登録ページ102において登録ボタン112が選択されると、関係者登録ページ102に入力された対象者情報をサービス支援装置10へ送信する。関係者登録部48は、関係者登録ページ102に入力された対象者情報を契約者端末12から受け付けると、ユニークな対象者IDを採番するとともに、契約者情報保持部24を参照して契約者により指定されたエンディングサービスのIDを特定する。そして、契約者端末12の契約者IDと対応づけて、対象者情報を対象者情報保持部26へ格納する。また関係者登録部48は、協力者チェックボックス110がチェックされた対象者についてはユニークな協力者IDをさらに採番し、その対象者の情報を協力者情報として協力者情報保持部28にも格納する。
図2に戻り、協力者確認部54は、協力者情報保持部28において協力者情報の追加もしくは更新があった場合、その事実を検出する。この場合、協力者確認部54は、協力者情報が追加もしくは更新された協力者の対象者端末14に対して、エンディングサービスが提供される対象者として指定され、かつ、契約者の生存確認に協力すべき協力者として指定された旨の電子メールを送信する。すなわち、契約者により協力者として選定されたユーザに対し、その旨を通知して契約者の生存確認に対する協力を促す。
契約者確認部50は、契約者の生存を確認するための電子メール(以下、「生存確認メール」とも呼ぶ。)を定期的に契約者端末12へ送信する。生存確認メールには、例えば、契約者が存命である場合にサービス支援装置10への返信を求める内容が記載される。契約者確認部50は、契約者が生存している旨の返信、具体的には生存確認メールに対する返信の電子メールを契約者端末12から受け付けると、契約者情報保持部24の契約者情報における確認日付を現在日付へ更新する。現在日付は、典型的にはサービス支援装置10が管理する現在日時の日付であり、いわゆるシステム日付である。
契約者確認部50は、生存確認メールにより契約者の生存確認に成功してから所定の待機期間の経過を検出すると、契約者の生存確認を再度実行する。例えば、契約者情報保持部24の契約者情報における確認日付から所定日数が経過したことを検出すると、新たな生存確認メールを契約者端末12へ送信して、契約者端末12からの返信を再度受け付けて契約者情報保持部24における確認日付を再度更新する。この待機期間は、1人の契約者に対して生存確認を繰り返すべき周期であると言え、先の生存確認から次の生存確認までの間隔であるとも言える。
待機期間は以下のように決定される。すなわち、契約者確認部50は、契約者情報保持部24を参照して契約者が契約済みの1以上のエンディングサービスを特定し、サービスマスタ22を参照して契約済みの各エンディングサービスで規定されたサービス実施時期を特定する。そして、契約済みの各エンディングサービスで規定されたサービス実施時期のうち最も短いサービス実施時期(以下、「基準時期」とも呼ぶ。)に応じて待機期間を決定する。具体的には、基準時期の日数が長いほど待機期間を長く設定し、基準時期の日数が短いほど待機期間を短く設定する。例えば、基準時期が示す日数から2〜3日を減じた日数を待機日数としてもよい。契約者が図3の遺言支援サービスBおよび相続支援サービスBを契約済みの場合、基準時期を遺言支援サービスBで規定された14日と特定して、待機日数を12日と決定してもよい。
警告部52は、契約者確認部50により生存確認メールが契約者端末12へ送信された後、所定期間のうちに生存確認メールへの返信を契約者端末12から受け付けられたか否かを判定する。この所定期間は、数時間から数日等、予め定められた返信猶予期間であってもよい。また警告部52は、契約者情報保持部24に保持された確認日付に対して基準時期を加えた日付が、現在日付と等しくなった場合に、生存確認メールへの返信が期限内に受け付けられなかったと判定してもよい。この場合、基準時期と待機期間の差分が返信猶予期間となる。警告部52は、生存確認メールの送信後の所定期間において、契約者端末12からの返信を未受信であると判定した場合、契約者IDを指定して協力者への確認処理の実行を協力者確認部54へ指示する。
協力者確認部54は、協力者情報保持部28を参照し、警告部52の指示で指定された契約者IDと対応づけられた協力者情報を特定する。協力者確認部54は、契約者の生存を確認するための生存確認メールを対象者端末14へ送信する。この生存確認メールでは、契約者が存命である場合にはその旨の連絡を依頼し、契約者が死亡している場合には契約者の死亡日の連絡を依頼する内容が記載される。
協力者確認部54は、協力者の対象者端末14からの返信内容が契約者の生存を示すものであった場合、契約者情報保持部24の契約者情報における確認日付を現在日付へ更新する。その一方、協力者の対象者端末14からの返信内容が契約者の死亡を示すものであった場合、すなわち返信内容において契約者の死亡日付の記載が検出された場合、協力者確認部54は、その死亡日付を契約者情報保持部24の契約者情報へ記録する。
なお、契約者により複数の協力者が指定された場合、協力者確認部54は複数の協力者それぞれの対象者端末14へ生存確認メールを送信する。そして、協力者確認部54は、複数の協力者それぞれの対象者端末14から返信を受け付けて、それぞれの返信内容に応じて契約者の生死を判定する。複数の協力者が指定された場合の契約者の生死判定には様々なアルゴリズムが考えられる。例えば、協力者確認部54は全ての協力者からの返信内容が一致した場合に、その返信内容にしたがって契約者の生死を確定的に判定してもよい。また、過半数の協力者からの返信内容が一致した場合に、契約者の生死を確定的に判定してもよい。また、各協力者からの返信内容が不整合である場合(例えば一方は契約者の生存を示し、他方は契約者の死亡を示す場合)、再度、複数の協力者それぞれの対象者端末14へ生存確認メールを送信してもよい。
契約者の生死判定において、いずれのアルゴリズムを採用するかは、サービス支援装置10が持つべき性格に応じて設計者により適宜決定されてよい。例えば、契約者の生死判定において正確性を重視すべき場合、全ての協力者からの返信内容が一致した場合に確定的に判定してもよい。また契約者の生死判定において迅速性を重視すべき場合、少なくとも1人の協力者からの返信内容が契約者の死亡を示すものであれば、契約者が死亡したものと判定してもよい。また正確性と迅速性とを両立すべき場合、過半数の協力者からの返信内容が一致した場合に、契約者の生死を確定的に判定してもよい。
サービス指示部56は、契約者情報保持部24の契約者情報に死亡日付が設定された場合、死亡日付が設定された契約者情報に記録されたサービスIDを特定し、契約者IDおよびサービスIDを指定したサービス実行指示をサービス実行部42へ通知する。具体的には、死亡が確認された契約者が契約していたエンディングサービス毎に、死亡日付にサービス実施時期を加算した日付に至ったか否かを判定する。例えば、契約済みのあるエンディングサービスについて、現在日付が、死亡日付に当該サービスのサービス実施時期を加算した日付と等しくなったと判定した場合、サービス実行部42へ当該サービスの提供を指示する。
対象者確認部58は、対象者と連絡が取れることを確認するための電子メール、言い換えれば対象者が生存し、また対象者情報が正しいことを確認するための電子メール(以下、「対象者確認メール」とも呼ぶ。)を定期的に対象者端末14へ送信する。例えば、6ヶ月〜1年に一度、対象者確認メールを送信してもよい。対象者確認部58は、対象者確認メールに対する返信であり、対象者確認メールを正常に受領した旨の返信を対象者端末14から受け付けると、その受付日を対象者情報保持部26の確認日付に設定する。
警告部52は、対象者確認部58により対象者確認メールが対象者端末14へ送信された後、所定期間(例えば1週間等)のうちに対象者確認メールに対する返信を対象者端末14から受け付けたか否かを判定する。所定期間内に受け付けなかった場合、警告部52は、契約者IDを指定して対象者情報を更新すべき旨を契約者通知部60へ通知する。
契約者通知部60は、警告部52から対象者情報を更新すべき旨が通知されると、契約者情報保持部24を参照して、警告部52により指定された契約者IDと対応づけられた契約者情報を特定する。契約者通知部60は、契約者連絡先で特定される契約者端末12に対して、対象者情報を更新すべき旨の電子メールを送信する。この電子メールを受け付けた契約者は、関係者登録画面において対象者および協力者の情報を更新する。
図12は、図2の遺言支援部44の詳細な機能構成を示すブロック図である。遺言支援部44は、メッセージ作成支援部70と、メッセージ受付部72と、暗号化部74と、ハッシュ生成部76と、メッセージ提供部78と、ハッシュ提供部80と、復号キー提供部82を含む。
メッセージ作成支援部70は、遺言支援サービスを選択した契約者に対して、対話形式により対象者宛のメッセージの作成を支援するためのウェブページ(以下、「メッセージ作成ページ」とも呼ぶ。)を提供する。メッセージ作成支援部70は、メッセージの種類を特定するための選択項目と、契約者が選択したメッセージの種類に応じた文書フォームとを文書フォームマスタ30から順次取得する。そして、それらのデータを設定したメッセージ作成ページを契約者端末12へ順次提供する。
図13(a)〜図13(d)は、メッセージ作成ページの一例を示す。図13(a)は、ステップ1として、メッセージの宛先、すなわち遺言支援サービスにおける対象者を指定するメッセージ作成ページ120を示している。対象者名フィールド122は、対象者を指定する入力フィールドであり、契約者により事前に登録された対象者の中から特定の対象者を選択可能なドロップダウンリストであってもよい。契約者により次へボタン124が選択されると、次のステップのメッセージ作成ページ120へ遷移する。
図13(b)は、ステップ2として、メッセージの種類を選択するメッセージ作成ページ120を示している。ラジオボタン126では、図7で示した文書フォームマスタ30におけるメッセージの大分類が選択可能に表示される。契約者により次へボタン124が選択されると、次のステップのメッセージ作成ページ120へ遷移する一方、戻るボタン128が選択されると、一つ前のステップのメッセージ作成ページ120へ遷移する。
図13(c)は、ステップ3として、ステップ2よりも詳細なレベルでメッセージの種類を選択するメッセージ作成ページ120を示している。ラジオボタン130では、図7で示した文書フォームマスタ30におけるメッセージの中分類(ここでは大分類「財産相続用遺言」に対応する中分類)が選択可能に表示される。なお、ラジオボタン130において「標準形式」が選択された状態で次へボタン124が選択されると、ステップ4のメッセージ作成ページとして、「不動産相続用フォーム」・「預貯金相続用フォーム」・「株式相続用フォーム」の選択画面が表示される。
図13(d)は、ステップ5として、不動産相続用フォームが表示されたメッセージ作成ページ120を示している。このメッセージ作成ページ120では、不動産が主たる財産の場合の標準的な遺言書のテンプレートを表示している。契約者は、各入力フィールド132への情報入力を行うことにより標準的な遺言書としてのメッセージを作成することができる。同図のメッセージ作成ページ120において不図示の登録ボタンが選択されると、契約者端末12は、ステップ1で指定された対象者の情報と、不動産相続用フォームへの入力データとを、対象者へのメッセージとしてサービス支援装置10へ送信する。
図12に戻り、メッセージ受付部72は、契約者端末12から送信された対象者へのメッセージを受け付けて、ユニークなメッセージのIDを採番する。暗号化部74は、メッセージ受付部72において受け付けられた平文のメッセージを暗号化する。本実施の形態では共通鍵方式によりメッセージを暗号化し、暗号化部74は、共通鍵として暗号化対象のメッセージ毎にユニークなデータを決定する。例えば、対象者IDと日時情報との組み合わせにもとづいて共通鍵を決定してもよい。暗号化部74は、メッセージのID・メッセージの作成者である契約者のID・メッセージの宛先である対象者のIDと対応づけて、メッセージの暗号化データおよびその復号キー(すなわち上記の共通鍵)をメッセージ保持部32へ格納する。
ハッシュ生成部76は、メッセージ受付部72において受け付けられた平文のメッセージをSHA−1等の所定のハッシュ関数へ入力し、そのハッシュ値を取得する。ハッシュ生成部76は、メッセージのハッシュ値を、暗号化部74により作成されたメッセージ情報と対応づけてメッセージ保持部32へ格納する。
メッセージ提供部78は、メッセージ保持部32に暗号化メッセージが新規に格納されたことを検出すると、遺言支援サービスの対象者へ暗号化メッセージを提供する。具体的には、メッセージ作成ページで指定された対象者のIDで特定される対象者端末14に対して、その対象者宛のメッセージの暗号化データを添付した電子メールを送信する。ハッシュ提供部80は、メッセージ保持部32にハッシュ値が新規に格納されたことを検出すると、遺言支援サービスの対象者へハッシュ値の情報を提供する。具体的には、メッセージ作成ページで指定された対象者のIDで特定される対象者端末14に対して、その対象者宛のメッセージのハッシュ値を示すデータを添付した電子メールを送信する。なお、暗号化メッセージとハッシュ値のデータは単一の電子メールで送信されてもよい。
復号キー提供部82は、サービス支援装置10において契約者の死亡が確認された場合、具体的には、サービス指示部56により遺言支援サービスの提供を指示されたとき、その契約者のIDと対応づけられた対象者IDと復号キーとをメッセージ保持部32から取得する。復号キー提供部82は、対象者IDで特定される対象者端末14に対して復号キーのデータを添付した電子メールを送信する。これにより、対象者端末14において、先にメッセージ提供部78により提供された暗号化メッセージを復号可能となり、対象者は契約者が遺したメッセージを確認することができる。
図14は、図2の葬儀支援部46の詳細な機能構成を示すブロック図である。葬儀支援部46は、葬儀プラン登録部90と、葬儀プラン提示部92と、葬儀情報受付部94と、葬儀情報通知部96を含む。
葬儀プラン登録部90は、葬儀プランの詳細な内容を含む葬儀プランの登録要求を葬儀社端末16から受け付けて、ユニークな葬儀プランIDを採番する。そして、葬儀プランIDと、葬儀社端末16により特定される葬儀社情報と、葬儀プランの詳細な内容を対応づけて葬儀プランマスタ34へ格納する。
葬儀プラン提示部92は、葬儀支援サービスを契約済みの契約者に対して、契約者自身で葬儀の内容を決定することを支援するためのウェブページ(以下、「葬儀支援ページ」とも呼ぶ)を提供する。具体的には、葬儀プランマスタ34に登録済みの葬儀プランの情報を含む葬儀支援ページのデータを契約者端末12へ送信して表示させる。この葬儀支援ページは、契約者が希望する葬儀プランの選択フィールドや、喪主の連絡先を含む喪主情報の入力フィールド、図10の説明で既述した葬儀詳細の入力フィールドを含む。
葬儀情報受付部94は、契約者により葬儀支援ページに入力された葬儀情報を契約者端末12から取得して対象者情報保持部26へ格納する。図10の説明で既述したように、この葬儀情報には、契約者が選択した葬儀プラン、契約者が指定した喪主の情報、葬儀内容に関する希望の詳細(上記の葬儀詳細)が含まれる。
葬儀情報通知部96は、新たな葬儀情報が葬儀情報保持部36に格納されたことを検出すると、契約者が選択した葬儀プランを提案した葬儀社の葬儀社端末16に対して契約者の情報を含む葬儀情報を通知する。また葬儀情報受付部94は、契約者により指定された喪主の対象者端末14に対しても契約者の情報を含む葬儀情報を通知する。なお葬儀情報受付部94は、サービス支援装置10において契約者の死亡が確認された場合、具体的には、サービス指示部56により遺言支援サービスの提供を指示されたときもまた、葬儀社端末16および喪主の対象者端末14に対して葬儀情報を通知してもよい。
以上の構成によるサービス支援装置10の動作を以下説明する。
図15〜図19は、サービス支援装置10の動作を示すフローチャートである。図15は、契約者によるエンディングサービスの契約、および、契約者による関係者の登録に関する動作を示している。自分自身の死について予め備えたいユーザ、具体的には、自身の死後に起こるイベントの内容を生前にデザインしたいユーザは、サービス業者に対して自分自身の情報(すなわち契約者情報)を登録する。これにより、このユーザは契約者として契約者端末12を介してサービス支援装置10へアクセスすることが許可される。
サービス選択支援部62は、契約者が選択可能なサービスの情報提供要求を契約者端末12から受け付けると(S10のY)、サービスマスタ22に格納されたサービスマスタ情報を含むサービス選択ページを契約者端末12へ提供する(S12)。サービス選択ページにおいて特定のエンディングサービスを契約する旨が指定された場合、(S14のY)、サービス選択支援部62は、指定されたエンディングサービスの情報を契約者情報へ格納する(S16)。これにより、契約者の死後に対象者へ提供すべきエンディングサービスが設定される。サービス選択ページにおいて特定のエンディングサービスを契約する旨が未指定である場合(S14のN)、S16をスキップし、契約者が選択可能なサービスの情報提供要求を受け付けなければ(S10のN)、S12〜S16をスキップする。
関係者登録部48は、関係者登録ページの提供要求を契約者端末12から受け付けると、図11で示した関係者登録ページを契約者端末12へ提供する。契約者は、関係者登録ページにおいて、契約済みのエンディングサービス毎に対象者の情報を入力し、さらに対象者の中から1人以上の協力者を指定する。関係者登録部48は、関係者登録ページで指定された関係者の登録要求を契約者端末12から受け付けると(S18のY)、対象者情報保持部26の対象者情報および協力者情報保持部28の協力者情報を更新する(S20)。協力者が登録された場合、協力者確認部54は、協力者の対象者端末14に対して、エンディングサービスの対象者であり、契約者の生存確認への協力者として指定された旨を通知する(S22)。関係者の登録要求を受け付けなければ(S18のN)、S20およびS22をスキップする。
図16は、契約者の生存確認に関する動作を示している。同図の動作は、エンディングサービスを契約済みの契約者毎、言い換えれば、契約者情報保持部24において1以上のサービスIDが設定済みの契約者情報のレコード毎に並行して実行される。契約者確認部50は、契約者が契約済みのエンディングサービスで定められたサービス実施時期に応じて、生存確認における待機期間を決定する(S30)。そして、過去に契約者の生存を確認した日付から待機期間が経過したことを検出すると(S32のY)、契約者に関する生存確認メールを契約者端末12へ送信する(S34)。警告部52は、生存確認メールに対する返信の電子メールが契約者端末12から受け付けられたか否か、また返信内容が契約者が生存していることを示す所定の内容であるか否かに応じて、契約者が生存状態にあるか否かを判定する。警告部52により契約者が生存状態にあると判定されない場合(S36のN)、協力者確認部54は、契約者に関する生存確認メールを協力者の対象者端末14へ送信する(S38)。
協力者確認部54は、生存確認メールに対する協力者の対象者端末14からの返信内容が契約者の生存を示すものか、もしくは契約者の死亡を示すものかを判定する。例えば、返信の中に契約者の死亡日付が記載されていた場合、契約者が死亡したと判定する。協力者確認部54は、契約者が死亡したと判定すると(S40のN)、契約者の死亡日付を契約者情報保持部24の契約者情報へ記録する。サービス指示部56は、契約者が契約済みのエンディングサービス毎にサービス実施時期で定まる日付に至るまで待機する(S42のN)。そして、サービス実施時期で定まる日付に至ったことを検出すると(S42のY)、エンディングサービスの実行をサービス実行部へ指示する(S44)。協力者からの返信により契約者が生存していることが確認された場合(S40のY)、S42およびS44をスキップする。また、契約者からの返信により契約者が生存していることが確認された場合(S36のY)、S38以降をスキップする。また、過去に契約者の生存を確認した日付から待機期間が未経過であれば(S32のN)、S34以降をスキップする。
図15および図16で示したように、実施の形態のサービス支援装置10によれば、契約者の生存確認に協力すべき協力者を、エンディングサービスが提供される対象者の中から選択する必要がある。対象者は契約者とある程度のつながりを有し、契約者の状態を把握するユーザであることが多いと言える。したがって、協力者を対象者の中から設定することにより、契約者の生存確認の精度を高めることができる。
また、協力者は契約者の生存有無を正しく回答する必要があり、また契約者の生存確認に際して一定の責任を負う者であるため、協力者に何のメリットもなければ、協力者として指定されることを受諾しないことも考えられる。サービス支援装置10では、サービスを享受する対象者の中から協力者を指定することにより、契約者の生存確認への協力を取り付けやすい、言い換えれば、協力者としての指定を受諾させるインセンティブを与えることができる。また契約者により協力者が指定されたとき、その旨を協力者として指定されたユーザへ通知することで、将来時点において契約者の生存確認に協力すべき旨を予め伝えておくことができる。
またサービス支援装置10によれば、契約者の死後におけるサービスの実施時期に応じて、言い換えると、契約者の死亡からサービスが対象者へ提供されるまでの期間に応じて、契約者の生存確認を繰り返す周期(すなわち上記の待機期間)が決定される。具体的には、契約者の死亡日から、対象者へのサービス提供日までの期間が長いほど、長い周期を決定する。これにより、予め契約者へ提示したエンディングサービスの実施時期を遵守しつつ、契約者に対する過度の生存確認、言い換えると、契約者にとって負担になる頻度での生存確認を抑制しやすくなる。なお実施の形態では、契約者が複数のエンディングサービスを契約した場合、それらのサービスのうち最も短いサービス実施時期に応じて周期を決定することにより、予め契約者へ提示したエンディングサービスの実施時期を遵守する。
図17は、対象者情報の正誤確認に関する動作を示している。同図の動作は、エンディングサービス提供の対象者毎、言い換えれば、対象者情報保持部26における対象者情報のレコード毎に並行して実行される。対象者確認部58は、過去に対象者情報の正誤を確認した日付から所定日数が経過したことを検出すると(S50のY)、対象者確認メールを対象者端末14へ送信する(S52)。対象者からの返信がないこと、もしくは返信内容が対象者情報の誤りを示すことを警告部52が検出すると(S54のN)、契約者通知部60は、対象者情報に誤りがある旨、また対象者情報の更新を促す旨の電子メールを対象者端末14へ送信する(S56)。対象者からの返信により対象者情報が正しいことが確認された場合(S54のY)、S56をスキップする。また、過去に対象者情報の正誤を確認した日付から所定日数が未経過であれば(S50のN)、S52以降をスキップする。
図17で示したように、実施の形態のサービス支援装置10によれば、対象者情報の正誤を定期的に確認する。エンディングサービスは、契約者による契約後、実際に対象者へ提供されるまで数年〜数10年の間隔が生じうる息の長いサービスであり、対象者の状態も時間の経過とともに変化しうる。サービス支援装置10によれば、対象者の連絡先の変更等、最新の状況を反映して対象者情報を適切に見直すよう契約者を支援できる。
図18は、遺言支援サービスに関する動作を示している。遺言支援部44のメッセージ作成支援部70は、メッセージの作成要求を契約者端末12から受け付けると(S60のY)、メッセージの作成を支援するためのメッセージ作成ページを契約者端末12へ提供する。契約者によりメッセージの種類が選択されると(S64のY)、メッセージ作成支援部70は、その選択結果に応じて結果に応じてメッセージ作成ページの表示内容を順次更新し、最終的にメッセージのテンプレートである文書フォームを表示させる(S66)。メッセージ作成ページにおいてメッセージの種類が選択されなければ(S64のN)、S66をスキップし、メッセージの作成要求を受け付けなければ(S60のN)、S62〜S66をスキップする。なお、契約者はメッセージの種類として図7の自由記述フォームを選択することもでき、その場合、一般的な遺言の形式に制限されない、対象者への思い(例えば臨終の場面での最期の言葉等)を自由に記述することができる。契約者のメッセージは、例えば「いつもありがとう、感謝しています」の一言でもよい。
契約者端末12からアップロードされたメッセージをメッセージ受付部72が受け付けると(S68のY)、暗号化部74はそのメッセージを暗号化し(S70)、ハッシュ生成部76はそのメッセージのハッシュ値を算出する(S72)。そして、メッセージ提供部78は暗号化メッセージを対象者端末14へ提供し、ハッシュ提供部80はハッシュ値のデータを対象者端末14へ提供する(S74)。契約者の死亡が確認されてサービス指示部56によりサービス実行が指示されると(S76のY)、復号キー提供部82は、暗号化メッセージの復号キーを対象者端末14へ提供する(S78)。契約者端末12からのメッセージのアップロードがなければ(S68のN)、S70〜S74をスキップし、契約者の生存が確認されていれば(S76のN)、S78をスキップする。
図18で示したように、実施の形態のサービス支援装置10によれば、契約者が死亡したことを条件として、遺言支援サービスの対象者へ暗号化メッセージの復号キーを提供する。これにより、契約者の死亡後、契約者が遺したメッセージを対象者が確認することができる。またサービス支援装置10は、契約者のオリジナルメッセージのハッシュデータを対象者端末14へ提供する。対象者は、暗号化メッセージを復号後、復号したメッセージから生成したハッシュデータと、サービス支援装置10から提供されたハッシュデータとを照合し、それらの同一性を確認することで、復号したメッセージが改ざんされたものでないことを確認できる。言い換えると、契約者のオリジナルメッセージと、対象者へ提供されたメッセージとの同一性を保証できる。
またサービス支援装置10によれば、メッセージ作成ページにおいて対話形式により契約者が作成を希望する遺言の種類を特定し、その種類に合致する形式の文書フォーム、すなわち予め用意された標準的な遺言のテンプレートを契約者へ提示する。これにより、契約者による遺言状の作成を容易なものとし、また有効な遺言状となるために必要な情報が記載されるよう支援できる。
またサービス支援装置10によれば、契約者のメッセージとして、一般的な遺言の形式に制限されない自由な形式のメッセージを対象者へ提供できる。一般的な遺言とは違った心の通ったメッセージを対象者へ伝えることで、対象者が契約者の臨終の場にいなくても最期の言葉を聞くに等しい状況を提供できる。これにより、契約者の死後、残る者の悲しみを和らげることができる。
またサービス支援装置10によれば、死亡した者に関わる複数の関係者に広く公開される、もしくは遺族の範囲で公開される一般的な遺言と異なり、契約者のメッセージは、契約者が指定した宛先の対象者にのみ公開される。したがって、契約者は対象者毎に違うメッセージを残すことができ、また各対象者へのメッセージは、宛先以外の者には秘密とされる。一般的に契約者は特定の対象者に公開したいが、その他の人には秘匿したい秘密を持つものであり、その秘密を本装置へ委ねることができる。
また、人が突然亡くなった場合、例えば、その人のタンス預金(または「へそくり」)が誰にも気づかれずにそのまま埋もれてしまうこともある。サービス支援装置10により予めその所在を記したメッセージを残せば、このような問題を防止することができる。すなわち、サービス支援装置10が対象者へ伝達する契約者のメッセージは、対象者に対する契約者の思いを伝達するだけのものではなく、「何がどこにある」「何をどうしてほしい」といったメモの伝達機能も有する。
これに関連して、上記の実施の形態では、遺言のテンプレートを契約者へ提供することを例示したが、サービス支援装置10の文書フォームマスタ30は、タンス預金やタンス株券の所在等、典型的に契約者がその生存中においては他人から秘匿する情報項目であり、その死後に対象者へ伝達すべき項目でありながら、その伝達が忘れられやすいと想定される各種項目(以下、「備忘項目」とも呼ぶ。)のリストをさらに保持してもよい。そしてメッセージ作成支援部70は、備忘項目についてメッセージを作成することを促す文章をメッセージ作成ページへ表示させてもよい。また文書フォームマスタ30は、備忘項目を対象者へ伝達するための文書フォーマット(例えばタンス預金伝達用テンプレート、タンス株券伝達用テンプレート等)を保持してもよく、メッセージ作成支援部70は備忘項目の中から契約者の選択項目に応じた文書フォーマットをメッセージ作成ページにおいて表示させてもよい。
また図18では不図示であるが、メッセージ提供部78は、対象者端末14から暗号化メッセージの再送要求を受け付けて、メッセージ保持部32に保持された暗号化メッセージを対象者端末14へ再送してもよい。同様に、メッセージ提供部78は、対象者端末14から暗号化メッセージの再送要求を受け付けて、メッセージ保持部32に保持された暗号化メッセージを対象者端末14へ再送してもよい。本サービスは典型的にメッセージの登録からその公開までの間隔が長期に亘るサービスであり、対象者が暗号化メッセージやハッシュデータを紛失してしまうことも想定される。サービス支援装置10のメッセージ保持部32は、暗号化メッセージおよびハッシュデータのバックアップを保持し、このような対象者を救済できる。
図19は、葬儀支援サービスに関する動作を示している。葬儀支援部46の葬儀プラン登録部90は、葬儀プランの登録要求を葬儀社端末16から受け付けると(S80のY)、その葬儀プランの情報を葬儀プランマスタ34へ格納する(S82)。葬儀プラン提示部92は、葬儀支援サービスの提供要求を契約者端末12から受け付けると(S84のY)、各葬儀プランを紹介するとともに契約者自身の葬儀の希望を葬儀情報として入力させるための葬儀支援ページを契約者端末12へ提供する(S86)。葬儀プランの登録要求を受け付けなければ(S80のN)、S82をスキップし、葬儀支援サービスの提供要求を受け付けなければ(S84のN)、S86をスキップする。
葬儀情報受付部94は、契約者端末12からアップロードされた葬儀情報を受け付けると(S88のY)、その葬儀情報を葬儀情報保持部36に記録する(S90)。それとともに葬儀情報通知部96は、葬儀社端末16および喪主の対象者端末14へ葬儀情報を通知する(S92)。契約者の死亡が確認されてサービス指示部56によりサービス実行が指示されると(S94のY)、葬儀情報通知部96は契約者が死亡した旨や、契約者の葬儀を実施すべき旨を葬儀社端末16および喪主の対象者端末14へ通知する(S96)。契約者端末12からの葬儀情報のアップロードがなければ(S88のN)、S90およびS92をスキップし、契約者の生存が確認されていれば(S94のN)、S96をスキップする。
図19で示したように、実施の形態のサービス支援装置10によれば、葬儀支援ページを契約者へ提供して、契約者自身が希望する葬儀内容を入力させる。そして、その葬儀内容を葬儀社および喪主へ通知する。これにより、契約者が自身の葬儀をデザインすることを支援し、また契約者が希望する態様で葬儀が執り行われることを支援できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
第1の変形例を説明する。上記実施の形態では、契約者確認部50は、契約者が契約したエンディングサービスのサービス実施時期に応じて、契約者の生存確認の周期である待機期間を決定することとした。したがって、契約者はエンディングサービスを選択することにより、待機期間を間接的に指定していた。変形例として、待機期間の値は契約者により直接指定されてもよい。具体的には、サービス支援装置10は、契約者が指定した待機期間の情報を契約者端末12から受け付けて、契約者情報保持部24の契約者情報へ記録する確認周期取得部をさらに備えてもよい。契約者確認部50は、確認周期取得部により取得された待機期間を、契約者の生存確認処理における待機期間として使用する。この変形例によれば、契約者の生存確認周期を契約者自身が希望する期間に設定できる。なお、契約者が契約したエンディングサービスのサービス実施時期と、契約者が指定した待機期間とが不整合の場合(例えばサービス実施時期より待機期間が長い等)、確認周期取得部は、エンディングサービスの提供がサービス実施時期で規定する時期より遅れる可能性がある旨の警告を対象者端末14へ通知し、待機期間の修正を契約者へ促してもよい。
第2の変形例を説明する。上記実施の形態では、対象者確認部58は、契約者により指定された対象者のそれぞれに対象者確認メールを送信することとした。変形例では、関係者登録ページにおいて、対象者情報の正誤を定期的に確認すべき対象者(以下、「第1群対象者」とも呼ぶ。)と、対象者情報の正誤を確認しない対象者(以下、「第2群対象者」とも呼ぶ。)とを契約者が指定可能であってもよい。関係者登録部48は、対象者情報に対して第1群対象者と第2群対象者のいずれであるかを識別するための情報を付加してもよい。対象者確認部58は、第1群対象者に対しては対象者確認メールを定期的に送信する一方、第2群対象者に対しては対象者確認メールを送信しない。この変形例によると、将来サービスが提供される旨を通知しない方がよいと契約者が判断する対象者に対しては対象者確認メールの送信を抑制できる。なお、第2群対象者は第1群対象者と比較して、契約者との関係が密でない(もしくは契約者の状態を正確に把握しにくい)と考えられるため、協力者は第1群対象者の中から指定するよう制限されてもよい。例えば、関係者登録ページにおいて、協力者のチェックボックスが、第1群対象者にのみ設定可能な態様で表示されてもよい。
第3の変形例を説明する。上記実施の形態における遺言支援サービスでは、契約者から対象者へのメッセージが受け付けられたときに、暗号化メッセージおよびハッシュデータを対象者端末14へ提供しておくこととした。しかし、暗号化メッセージおよびハッシュデータの提供タイミングはこれに制限されない。少なくとも復号キーが対象者端末14へ提供される時点で、暗号化メッセージおよびハッシュデータもまた対象者端末14へ提供されればよい。例えば、契約者の死亡が確認されて、遺言支援サービスのサービス実施時期に至った場合に、復号キーとともに、暗号化メッセージおよびハッシュデータが対象者端末14へ提供されてもよい。
第4の変形例を説明する。この変形例では、契約者が対象者宛に作成したメッセージの暗号化およびハッシュデータの取得は契約者端末12において実行される。この変形例における遺言支援部44は、メッセージ作成支援部70と、復号キー取得部と復号キー提供部82を備える。メッセージ作成支援部70は、メッセージ作成ページとともに、平文のメッセージを暗号化するアプリケーションおよび平文のメッセージのハッシュデータを出力するアプリケーションを契約者端末12へ提供する。そして契約者端末12において、契約者が対象者宛に作成したメッセージの暗号化、復号キーの設定、ハッシュデータの取得が実行される。また契約者端末12は、復号キーを対象者端末14へアップロードする一方、暗号化メッセージとハッシュデータを対象者端末14へ直接送信する。
復号キー取得部は、復号キーを対象者端末14から取得する。契約者の死亡が確認されて遺言支援サービスのサービス実施時期に至った場合、復号キー提供部82は復号キーを対象者端末14へ送信する。この変形例によると、サービス支援装置10において対象者のオリジナルメッセージを取り扱わないため、サービス支援装置10においてオリジナルメッセージが改ざんされる可能性を排除することができる。また契約者の死亡後に復号キーを提供することで、契約者の死亡後に契約者が遺したメッセージを対象者に確認させることができる。
第5の変形例を説明する。上記実施の形態では、警告部52は、生存確認メールに対する返信を契約者端末12から受け付けない場合、協力者への確認を行うよう協力者確認部54へ指示することとした。変形例では、警告部52は、生存確認メールに対する返信を契約者端末12から受け付けない場合に、サービス支援装置10の運用者(例えばサービス事業者の担当者)へ協力者への確認を行うべき旨のメッセージを通知してもよい。また、上記実施の形態では、サービス指示部56は、契約者の死亡が確認された場合に、エンディングサービスの提供をサービス実行部42へ指示することとした。変形例では、サービス支援装置10の運用者へエンディングサービスの提供業務を実施するべき旨のメッセージを通知してもよい。これらのメッセージを受け付けた運用者は、サービス支援装置10を操作して協力者への確認処理やエンディングサービスの提供処理を実行させてもよい。
第6の変形例を説明する。この変形例のサービス支援装置10は、対象者の誕生日等、対象者の人生のイベントにあわせて契約者のメッセージを提供する。具体的には、遺言支援部44は、遺言に限られない汎用的なメッセージの配送処理部として機能する。メッセージ作成支援部70は、メッセージ作成ページ内に、メッセージの配送日付を契約者が指定するための入力フィールドをさらに設ける。メッセージ保持部32はメッセージ情報として配送日付をさらに保持し、メッセージ受付部72はメッセージ作成ページで指定された配送日付をメッセージ保持部32へ格納する。サービス指示部56は、メッセージ保持部32に格納された各メッセージについて、その配送日付と現在日付が等しくなったか否かを判定し、配送日付が現在日付と等しくなったメッセージを検出すると、そのメッセージの提供を遺言支援部44へ指示する。
本変形例におけるメッセージの提供態様としては、実施の形態と同様に、配送日付より前に予め暗号化メッセージを対象者端末14へ提供しておき、サービス指示部56の指示に応じて復号キーを対象者端末14へ提供してもよい。また、サービス指示部56の指示に応じて暗号化メッセージと復号キーの両方を一度に対象者端末14へ提供してもよい。さらにまた、サービス指示部56の指示に応じて、暗号化メッセージを復号した平文のメッセージを対象者端末14へ提供してもよい。ハッシュデータの提供タイミングについても配送日付より前に予め対象者端末14へ提供してもよく、サービス指示部56の指示に応じて対象者端末14へ提供してもよい。この変形例によれば、契約者が対象者宛に作成したメッセージを、契約者が希望する任意のタイミングで対象者へ提供できる。
第7の変形例を説明する。この変形例のサービス支援装置10は、契約者に対してメッセージの更新を効果的に促す機能を提供する。具体的には、メッセージ保持部32は、メッセージの更新日付をさらに保持する。警告部52は、メッセージ保持部32に保持された各メッセージの更新日付を参照して、所定期間(例えば1年間)更新されていないメッセージ(以下、「未更新メッセージ」とも呼ぶ。)を検出すると、未更新メッセージの更新を契約者に促すよう契約者通知部60へ指示する。契約者通知部60は、未更新メッセージの更新を促すための電子メールを契約者端末12へ送信する。この電子メールには、例えば、対象者(メッセージの宛先)・未更新メッセージの内容・更新日付(未更新メッセージが登録された日付)を含む文章が記載されてもよい。契約者が対象者へ残したいメッセージは時間の経過とともに変化することが想定されるが、この変形例によると、契約者の最新の思いを対象者へ提供しやすくなる。
なお、1人の契約者について複数の未更新メッセージが検出された場合、契約者通知部60は、更新作業が集中することを避け、作業を分散させることで契約者の負担を低減するよう設計されたアルゴリズムにしたがって更新を促すことが望ましい。例えば、1つの未更新メッセージの更新を促すための電子メールを送信後、所定期間(例えば1週間)が経過するまで待機した上で、別の未更新メッセージの更新を促すための電子メールを送信してもよい。また例えば、警告部52は、1人の契約者について複数の未更新メッセージが検出した場合、そのうち1つの未更新メッセージの更新を促すよう契約者通知部60へ指示してもよい。これにより、メッセージの更新のために契約者に大きな負担(高いストレス)をかけてしまうことを回避でき、また、メッセージの陳腐化を防止することができる。
第8の変形例を説明する。この変形例のサービス支援装置10は、対象者のメッセージの閲覧環境に応じてメッセージの送信態様を変える機能を提供する。具体的には、メッセージ提供部78は、対象者からの通知(例えばウェブページもしくは電子メールを介した通知)に応じて暗号化メッセージを復号する変換部をさらに備える。この通知は、対象者端末14におけるメッセージの閲覧環境を示すものであり、例えば復号機能の有無を示す情報であってもよく、端末の機種の識別情報であってもよく、平文でのメッセージの提供または音声でのメッセージの提供を指定する情報であってもよい。変換部は、対象者からの通知の内容にしたがって、その対象者宛の暗号化メッセージを復号し、もしくは復号後のメッセージの内容を音声データへ変換する。メッセージ提供部78は、変換部により暗号化メッセージが変換された場合は変換後のデータ(平文のメッセージや音声データ)を対象者端末14へ送信し、変換部により暗号化メッセージが未変換であれば暗号化メッセージを対象者端末14へ送信する。この変形例によると、契約者からのメッセージを、確実に対象者へ伝えることができる。
第9の変形例を説明する。この変形例のサービス支援装置10は、契約者の生存確認を抑制する機能を提供する。具体的には、契約者情報保持部24は、契約者に対する生存確認を抑制する期間として生存確認抑止期間をさらに保持する。契約者確認部50は、契約者が旅行や入院等のために生存確認メールに対して応答できない期間(例えば10月1日〜10月20日等)を示す情報を契約者端末12から事前に受け付けて、その期間を生存確認抑止期間として契約者情報保持部24へ格納する。契約者確認部50は、ある契約者について、過去に生存を確認した日付から待機期間が経過したことを検出した場合でも、現在日付が生存確認抑止期間内であれば、その契約者に対する生存確認メールの送信を抑制する。この変形例によると、契約者が旅行や入院等の理由により生存確認メールに応答できないことが予めわかっている場合に、生存確認の実施を抑制できる。これにより、協力者に対して本来不要な死亡確認のメールが送信されてしまい、不要な労力や混乱が生じることを回避できる。
第10の変形例を説明する。この変形例では、協力者を契約者に指定させることに代えて、協力者をシステムが自動で選択する。ここで契約者が協力者として選ぶ人は、通常、家族や親友など契約者と親密な関係にある。親密な関係にあるか否かは、メッセージの更新頻度やメッセージの内容から推定することができる。そこで、メッセージ保持部32は、メッセージの更新頻度、例えば更新回数や更新間隔を示す情報をさらに保持する。制御部40は、特定の契約者が複数の対象者に対して設定した複数のメッセージの更新頻度、および/または、各メッセージの内容にもとづいて、複数の対象者の中から協力者を選択して協力者情報保持部28を設定する協力者選択部をさらに備える。
協力者選択部は、1人の契約者について、その契約者が登録しているメッセージの平均的な更新頻度より高頻度で更新されているメッセージの対象者を協力者として選択してもよい。例えば、平均的な更新回数より多くの回数更新されているメッセージの対象者を協力者として選択してもよく、平均的な更新間隔より短い間隔で更新されているメッセージの対象者を協力者として選択してもよい。また協力者選択部は、他のメッセージよりも重要度が高いと想定されるメッセージの対象者を協力者として選択してもよい。例えば、複数のメッセージの中から、財産相続用遺言のカテゴリの文書フォームを用いて作成されたメッセージを検出し、そのメッセージの対象者を協力者として選択してもよい。
第11の変形例を説明する。上記実施の形態では、契約者が登録したメッセージを一律に暗号化することとしたが、この変形例のサービス支援装置10は、メッセージの内容に応じてメッセージのセキュリティレベルを自立的に変更する。具体的には、文書フォームマスタ30に保持される複数の文書フォームのそれぞれに、重要度高もしくは重要度低のいずれかが予め対応づけられる。例えば、財産相続用遺言カテゴリの各文書フォームには重要度高が対応づけられる一方、それ以外の文書フォームには重要度低が対応づけられてもよい。
暗号化部74は、重要度高の文書フォームを用いて作成されたメッセージは実施の形態と同様に暗号化する一方、重要度低の文書フォームを用いて作成されたメッセージは平文のままメッセージ保持部32へ格納してもよい。メッセージ提供部78は、暗号化メッセージがメッセージ保持部32へ格納された場合は、実施の形態と同様にその暗号化メッセージを直ちに対象者端末14へ提供する。その一方、平文のメッセージがメッセージ保持部32へ格納された場合は、契約者の死亡が検出された時点で、言い換えれば、サービス指示部56から契約者の死亡が通知されたときに平文のメッセージを対象者端末14へ提供する。この変形例によると、重要度低のメッセージは平文のまま対象者端末14へ提供されるため、対象者端末14での復号処理が不要となり、対象者は手軽にメッセージの内容を確認できる。
別の例として、暗号化部74は、キーワード検索によりメッセージの重要度を判定してもよい。例えば、重要度が高いメッセージに含まれると想定される所定のキーワード(「口座番号」「現金」「相続」等)や、正規表現などの文字列パターンを予め保持しておき、それらのキーワードが含まれるメッセージを重要度高のメッセージと判定し、それらのキーワードが含まれないメッセージを重要度低のメッセージと判定してもよい。なお上記の変形例において、メッセージ作成時に契約者により選択された文書フォームの識別情報が、メッセージの登録時に契約者端末12からサービス支援装置10へ通知されてもよく、この通知にもとづきサービス支援装置10はメッセージの重要度を判定してもよい。
第12の変形例を説明する。上記実施の形態のサービス支援装置10は、対象者が暗号化メッセージおよびハッシュデータを紛失した場合に再送可能なように、バックアップとして暗号化メッセージおよびハッシュデータを永続的に保持することとした。変形例では、メッセージ保持部32は、対象者に対して暗号化メッセージおよびハッシュデータを一旦提供した後は、これらのデータを保持することなく、復号キーのみを保持してもよい。例えば、メッセージ提供部78は暗号化メッセージを対象者端末14へ提供後、メッセージ保持部32の暗号化メッセージを削除してもよい。同様に、ハッシュ提供部80はハッシュデータを対象者端末14へ提供後、メッセージ保持部32のハッシュデータを削除してもよい。この変形例によれば、暗号化メッセージやハッシュデータの第三者への漏洩を一層確実に防止できる。
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。