JP5702819B2 - 地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置及び落下方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地球上空の宇宙空間の軌道上を周回する宇宙構造物を所望の時期に地球へ向って落下させるための宇宙構造物の地球への落下装置及び落下方法に関するものである。
地球から宇宙へ打ち上げられて、地球上空の宇宙空間の軌道を周回する人工衛星等の宇宙構造物(以下、単に「衛星」とも称する)は、そのミッションが終了した後も地球を周回し続ける。このため、地球上空の宇宙空間を周回するミッション終了済みの衛星の数は年々増加しており、将来的には宇宙空間のゴミとして他の衛星の宇宙利用を妨げる虞れがある。しかしながら、ミッションが終了した衛星を地球へ落下させて消滅させる技術は未だ確立されておらず、将来的には上記虞れが益々増大することが予想される。
そこで本発明は、ミッションが終了した衛星を速やかに地球へ落下させて消滅させることができる宇宙構造物の地球への落下装置及び落下方法を提供することを目的とする。
より詳しくは、次のとおりである。衛星の打ち上げロケットには大量の燃料を要するので、衛星は極力小型軽量化する必要があり、衛星に装備される地球への落下装置も当然に小型軽量化する必要がある。そこで本発明は、より小型軽量化できる地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置及び落下方法を実現することを目的とする。
また地球への落下装置は、衛星打ち上げ後、相当の長年月が経過したミッション終了後に作動させて衛星を地球へ向って落下させるものであるから、打ち上げ後、長年月が経った場合でも確実に作動させることができる高い信頼性が要求される。そこで本発明は、このような高い信頼性を確保できる地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置及び落下方法を実現することを目的とする。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、宇宙構造物に備えられる収納部と、収納部の内部に設けられた中心軸と、それぞれの先端部同士が互いに結合され、且つ中心軸に巻回されて収納部の内部に縮小して収納される薄膜及びコンベックステープと、薄膜及びコンベックステープを収納部から脱出させる脱出手段とを備え、収納部はコンベックステープが自身のバネ力によって伸長するのを防止する伸長防止手段を兼務しており、指令部からの指令により薄膜及びコンベックステープを脱出手段により収納部から脱出させてコンベックステープが自身のバネ力によって伸長することにより、薄膜を宇宙空間に拡げて展開させることを特徴とするものである。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、望ましくは前記脱出手段が、前記薄膜と前記コンベックステープを前記収納部から脱出する方向に移動するように付勢する付勢手段であることを特徴とするものである。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、宇宙構造物に備えられる収納部と、収納部の内部に設けられた中心軸と、それぞれの先端部同士が互いに結合され、且つ中心軸に巻回されて収納部の内部に縮小して収納される薄膜及びコンベックステープと、薄膜とコンベックステープが収納部から脱出する方向に移動するように付勢する付勢手段から成る脱出手段と、付勢手段の付勢力に抗して薄膜及びコンベックステープが収納部から脱出するのを防止する脱出防止手段と、脱出防止手段による脱出防止状態を解除する解除手段とを備え、収納部はコンベックステープが自身のバネ力によって伸長するのを防止する伸長防止手段を兼務しており、指令部からの指令によって解除手段を作動させて脱出防止状態を解除することにより、薄膜及びコンベックステープを付勢手段の付勢力により収納部から脱出させて、コンベックステープの伸長しようとするバネ力により薄膜を宇宙空間に展開させることを特徴とするものである。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、望ましくは前記脱出防止手段が、薄膜及びコンベックステープを上方から押えつけるカバー部材と、カバー部材が前記付勢手段の付勢力により薄膜及びコンベックステープが脱出方向へ移動するのを防止する移動防止手段から成る。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、望ましくは前記移動防止手段が、前記カバー部材に設けられたひもと複数のチャック体であって、ひもでチャック体をしばり付けることにより、前記中心軸の上端部をチャック体によりチャックして前記中心軸が前記付勢手段により前記脱出する方向へ移動するのを防止するものであり、また前記解除手段がひもの切断手段である。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、宇宙構造物に備えられる収納部と、収納部の内部に設けられた中心軸と、収納部の内部にあって中心軸に回転自在に装着された回転体と、回転体の先端の係止部に係合して回転体が収納部の内部において回転するのを阻止するストッパと、それぞれの先端部同士が互いに結合されて回転体を間に挟さんで中心軸に巻回されて縮小された薄膜及びコンベックステープと、収納部の内部にあって上から順に積層された薄膜と回転体とコンベックステープが収納部から脱出する方向に付勢する付勢手段から成る脱出手段と、付勢手段の付勢力により薄膜とコンベックステープが収納部から脱出するのを防止する脱出防止手段と、指令部からの指令によって脱出防止手段を作動させて脱出防止状態を解除し、付勢手段の付勢力により薄膜とコンベックステープを収納部の外へ脱出させてコンベックステープがまっすぐ伸長しようとする自身のバネ力により薄膜を宇宙空間に拡げて展開させる脱出防止状態の解除手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、望ましくは前記回転体が爪車であり、また前記係止部が前記爪車の外周縁に設けられた爪部である。
請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、望ましくは前記脱出防止手段が、中心軸に巻回された薄膜とコンベックステープを押さえつけるカバー部材と、カバー部材に設けられて前記中心軸の上端部をチャックする複数のチャック体と、チャック体による前記中心軸の上端部のチャック状態を保持するようにチャック体をしばり付けるひもから成り、また前記脱出防止状態の解除手段がひもの切断手段である。
請求項記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置は、望ましくは前記コンベックステープは、一固定箇所につき複数枚重ねて固定されることを特徴とする請求項のいずれかに記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
請求項10に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下方法は、請求項の何れかに記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置による地球を周回する宇宙構造物の地球への落下方法であって、宇宙構造物を落下させる時期が到来したならば、指令部からの指令により薄膜とコンベックステープを収納部から脱出手段により脱出させて、コンベックステープが自身のバネ力によって伸長することにより薄膜を宇宙空間に拡げて展開させ、薄膜が受ける宇宙空間に薄く存在する気体の気体抵抗によって宇宙構造物の地球周回速度を次第に低下させて宇宙構造物を地球へ向って落下させ、大気との摩擦熱によって宇宙構造物を燃尽・消滅させることを特徴とするものである。
本発明によれば、衛星のミッションが終了し、所望の時期が到来したならば、指令部からの指令により、縮小されていた薄膜を展開手段により宇宙空間に広く展開し、展開した薄膜が宇宙空間にごく薄く存在する気体の気体抵抗を受けることにより衛星の地球周回速度を次第に低下させて早期に衛星を地球へ向って落下させることができる。しかも本発明によれば重量のあるモータ等のアクチュエータを不要にすることが可能であって、小型軽量で信頼性の高い地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置及び落下方法を実現できる。
本発明の一実施の形態における地球を周回する宇宙構造物の説明図 本発明の一実施の形態における宇宙構造物の外観図 本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の薄膜の展開状態の平面図 本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の内部部分分解斜視図 本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の内部平面図 本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の薄膜が縮小された状態の側断面図 本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の薄膜が展開した状態の側断面図 (a)(b)本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の中心軸の上端部付近の部分拡大断面図 (a)(b)本発明の一実施の形態における宇宙構造物の落下装置の部分説明図 本発明の他の実施の形態におけるコンベックステープの斜視図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、地球1の上空の宇宙空間の軌道上には衛星2が周回している。衛星の地球周回速度は、例えば7.9km/秒程度である。衛星2は地球1から数百km程度上空の宇宙空間を周回しているが、この数百km程度上空の宇宙空間には僅かであるがごく薄い気体が存在している。本発明は、宇宙空間におけるこの僅かな気体の存在に着眼してなしたものである。なお、ここで言う宇宙空間に薄く存在する気体とは、宇宙空間に気体分子、原子等の状態で僅かに存在する物質を意味し、これらによる衛星の運動方向に反して作用する抗力を気体抵抗と称することとする。
衛星2には、落下装置10が装備されている。後述するように、落下装置10には小さく折りたたんで中心軸の周りに巻回することにより縮小された薄膜11やコンベックステープ等が収納されており、薄膜11は地球上の指令部3から発信される指令により宇宙空間に拡がって展開する。衛星2は、図1のAに示す状態(薄膜が縮小されて収納部に収納された状態)で地球1の上空の軌道を周回して気象観測や地理測定などのミッションを実行しているが、ミッションが終了して衛星2が不要になると、図1のBに示すように、上記指令により薄膜11は宇宙空間に瞬時に拡がって展開する。薄膜11の展開状態での形状や大きさは任意に決定できるが、例えばタテヨコ共に2m、面積4m程度の角形である。以下では薄膜が正方形の場合を例に取り上げ、機構の詳細を説明する。
薄膜11が展開した衛星2は、図1のB〜Eに示すように様々な姿勢に変動しながら軌道を周回するが、上記のように衛星が飛行する宇宙空間には僅かながらごく薄い気体が存在する。このため、航行中の薄膜11は僅かながらも気体抵抗を受けて徐々に衛星2の周回速度は低下し、ついには重力によって地球へ向って早期に下降を始め(矢印Z参照)、大気圏突入時に大気との摩擦熱により燃尽・消滅する。これにより衛星2は宇宙空間から除去される。
薄膜11が宇宙空間に展開してから地球へ向って落下して燃尽するまでの期間は、衛星の質量、高度、薄膜の大きさ等によって相違するが、例えば100日間〜数十年程度である。薄膜は公知である(S.Nasir Adeliの論文「Deployment System for the CubeSail nano−Solar Sail Mission」。「Small Satellite Conference 2010,Logan,Utah,USA,210」に掲載)。
ただし、この論文に係る薄膜はSolar Sailシステムに係るものであって、地球から金星などの他の天体へ向って飛行する宇宙構造物において、展開された薄膜が背後から受ける太陽光の光圧によって航行速度を加速させるためのものである。これに対し、本発明の薄膜は、後に詳述するように、衛星の地球周回速度を減速させるためのものであり、その趣旨・目的、効果はこの論文のものとはまったく相違している。薄膜の素材としては、例えばポリイミドフィルムの両面をアルミ蒸着したものが、対原子状酸素耐性および対紫外線耐性を確保できるので望ましい。
次に、落下装置10の詳細を説明する。図2は、衛星2とこれに搭載された落下装置10の外観を示すものである。図2に示すように、落下装置10は衛星2の適所(本例では一面)に装着されており、その内部に縮小して収納された薄膜(後述)は、指令部3(図1参照)から発信される指令によって瞬間的に宇宙空間に大きく拡がって展開する。図3は薄膜11の展開状態の平面図である。その4つの角部にはコンベックステープ(後述)の先端部と結合するための小孔11aが開孔されている。またその中央には中心軸(後述)を挿入するための開孔部11bが形成されている。
図2において、落下装置10は、半円板状の2個のチャック体12を有する。チャック体12は、2つ割りされた円板状のカバー部材31上に設けられている。チャック体は、2個に限らず、複数個でもよい。2個のチャック体12は、ひも13により互いに抱き合うように強くしばり付けられて接合され、両者一体で円板状体になっている。ひも13はチャック体12を一周周回して強く巻き付けられており、その両端部は衛星2に設けられた止部であるピン14に結合されている。ひも13の素材としては、例えば耐高張力性の超高分子量ポリエチレンが適用できる。
2個の接合状態のチャック体12は、ひも13で強くしばり付けられることにより、図6に示すように収納部である有底円筒状のケース20の内部に設けられた中心軸21の上端部をチャックする。図2に示すように、ひも13には電熱線15が接触して配線されている。後述するように、指令部3からの指令によって電熱線15に電流が流れると、その発熱によってひも13は切断され、チャック体12はひも13のしばりによるチャック状態が解除されて互いに離れる方向である側方へスライドして離間し(図7の矢印L)、図7に示すように中心軸21の上端部のチャック体12によるチャック(ロック)状態は解除されて薄膜11は瞬間的に宇宙空間に拡がって展開する。
図4〜図6において、ケース20の内部の底面中央には中心軸21が立設されている。中心軸21の下端部は、ケース20の底面に装着されている。回転体としての爪車22は、取付筒26を介して中心軸21に回転自在に装着されている。図5に示すように、爪車22の先端の外周縁に多数(複数)形成された係止部としての爪部22aは、ケース20の内面に棒状に立設されたストッパ23(図4も参照)に係止され、その矢印M方向への水平回転が阻止されている。ストッパ23は、爪車22がケース20の内部から外部へ脱出する方向(図4、図6、図7では上方)へスライドして移動(上動)するときのスライドガイドを兼務している。なお、落下装置10は、ケース20上にあってチャック体12やカバー部材31を覆う蓋部材(不図示)を備えており、この蓋部材によりチャック体12を上から抑えている。
図4に示すように、爪車22の下面側には複数個(本実施の形態では4個を90度の位相で4か所に1個ずつ)のコンベックステープ25が取付筒26と円板状のコンベックステープガイド27に挟まれる形で巻回して縮小して収納されている。コンベックステープ25の基端部は取付筒26に固定されている。取付筒26には中心軸21に挿入される。また爪車22の上面側には、取付筒26が嵌入される嵌合体28が設けられており、これによりコンベックステープ伸展の際に、取付筒26、爪車22及び嵌合体28は一体となって回転自在となっている。一方、コンベックステープガイド27はケース20に固定されており(すなわち、コンベックステープガイド27はケース20に対して相対的に回転しないようになっており)、これによりコンベックステープ25の伸展方向を所定の向きに制御することが可能となっている。
コンベックステープ25は、鋼板などの強いバネ性を有するテープ状の薄くて細長い長板体であり、巻尺等として広く用いられている公知のものである。巻回して縮小されたコンベックステープ25は、まっすぐになるように伸長しようとする強いバネ力を有している。コンベックステープ25は、必要であれば一か所につき複数個重ねて実装してもよいものであり、このようにすれば各コンベックステープ単体の変形の自由度を維持しつつ、より高い伸展強度の確保が可能となる。
図4において、爪車22の上面には、薄膜11がテープ状に折りたたまれて縮小して巻回されている。図3に示されるような角形の薄膜11を、図4に示すようにテープ状に折りたたんで巻回する方法の説明は省略する。コンベックステープ25と薄膜11は、爪車22をはさんで上下に積層して配設されている。このように上段の薄膜11と下段のコンベックステープ25を爪車22を間に挟んで積層し、中心軸21の周りに巻回してケース20に収納することにより、図4及び図6に示すように薄膜11とコンベックステープ25を小さく縮小した小型コンパクトな形状で収納でき、これにより落下装置10を小型コンパクト化できる。
4個のコンベックステープ25の先端部と角形の薄膜11の先端角部にはそれぞれ小孔25a、11aが形成されており(図3、図4を参照)、小孔25aと小孔11aは結合部としての細ひも29により一体的に結合されている(図6を参照)。なお、図4では細ひも29は省略している。薄膜11は嵌合体28に、またコンベックステープ25は取付筒26に巻回し、縮小状態でケース20に収納するので、収納部であるケース20は巻回されたコンベックステープ25が自身の強いバネ力によりまっすぐ直線状に伸長するのを防止する伸長防止手段を兼務している。
図5において、4本の細ひも29は爪車22の爪部22aのテーパ面に接する。後述するように、爪車22がケース20外に脱出してストッパ23によるその回転阻止状態(ロック状態)が解除されると、爪車22は矢印M方向に回転可能となるが、細ひも29はこの回転を邪魔しない柔軟性を有している。
図6は薄膜11とコンベックステープ25が爪車22を上下から挟んで積層し、中心軸21の周りに巻回されて縮小してケース20に収納された状態を示している。また図7は、薄膜11とコンベックステープ25がケース20から脱出して宇宙空間に展開した状態を示している。図5、図6において、ケース20の内部には付勢手段としてのコイルバネから成るバネ材30が等間隔で複数個(本実施の形態では4個)設けられている。図6に示すように、薄膜11上には押え部材として上述したカバー部材31が設けられている。カバー部材31は付勢手段としてのコイルバネから成るバネ材30を圧縮状態で強く押さえつけ、上述したようにひも13はこの圧縮状態(中心軸21の上端部をしっかりチャックする状態)を保持するように2個のチャック体12を互いにしっかり接合させて互いに離間しないようにしっかりしばり付けてロックしている。
図8(a)(b)において、中心軸21の上端には首細部21aが形成されている。首細部21aの上端と下端はテーパ面bとなっており、チャック体12の前面に形成されたテーパ面aが接合している。ひも13のしばりによる2個のチャック体12の接合状態(チャック状態、ロック状態)が解除されると、バネ材30のバネ力F1によりカバー部材31は上昇し(このとき薄膜11、爪車22、コンベックステープ25もカバー部材31と一体的に上昇する)、テーパ面bからテーパ面aが受ける側方への力F2により、2個のチャック体12は側方(中心軸21の上端部のチャック(ロック)状態を解除する方向。すなわち2個のチャック体12が互いに離れる方向であって、図8(b)の矢印Lで示す方向)へスライドして移動する。
以上のように、図8(a)は、2個のチャック体12がひも13により強くしばり付けられて互いに接合した状態(中心軸21の上端部をロックした状態)を示している。また図8(b)は、ひも13が切断されてチャック体12による中心軸21の上端部のチャック(ロック)状態が解除され、バネ材30のバネ力F1によりカバー部材31が上昇した状態を示している。図9(a)において、電熱線15は、スイッチ部38を介して衛星2に設けられたスイッチ部38、バッテリー39、制御部40に接続されている。
地球上の宇宙基地の指令部3からロック状態解除の指令、すなわち衛星2の地球への落下指令が発信されると、スイッチ部38はONとなってひも13の切断手段である電熱線15に電流が流れ、その電熱によりひも13は切断され、ひも13によるチャック体12のしばり付け状態(チャック状態・ロック状態)が解除される。するとカバー部材31は図5、図8(a)に示す押え付け状態からバネ材30が伸長するバネ力F1によりケース20から脱出する方向(図6、図7では上方)へ瞬時に上昇する。したがって電熱線15は、指令部3(図1)からの指令によって電流が流れて作動することにより、チャック状態(薄膜11、爪車22、コンベックステープ25がケース20から脱出するのを防止する脱出防止状態)を解除する解除手段となっている。
ひも13によるチャック体12のしばり付け状態(チャック状態・ロック状態)が解除されると、カバー部材31はバネ材30が伸長するバネ力F1により瞬時に上昇し、図8(b)及び図9(b)に示すように、2個のチャック体12の前面のテーパ面aが首細部21aのテーパ面bから受ける拡開方向の上記力F2により互いに離間する方向へ移動する(図7、図8(b)、図9(b)の矢印L参照)。これにより薄膜11、爪車22、コンベックステープ25、カバー部材31はバネ材30のバネ力F1により一体的に瞬時に上昇し、図7に示すようにケース20内からケース20外へ飛び出して脱出すると同時に、ケース20内に閉じ込められていた状態から脱したコンベックステープ25は、自身の強いバネ力により瞬時にまっすぐな直線状になるよう伸長する。
するとその角部の小孔11aがコンベックステープ25の先端部の小孔25aと細ひも29により結合された薄膜11は展開し、図1の位置Bに示すように宇宙空間大きく拡がる。したがって、下段のコンベックステープ25は、上段の薄膜11がケース20から脱出した直後にケース20外に脱出して薄膜11を展開させる展開手段になっている。
このようにして薄膜11が展開したならば、宇宙空間に存在する僅かなごく薄い気体の気体抵抗によって衛星2の地球周回速度は次第に低下し、ついには重力により次第に地上へ向って落下し、大気圏突入時に大気との摩擦熱により燃尽、消滅することは、図1を参照して説明したとおりである。
以上の説明から明らかなように、チャック体12とこれをしばり付けるひも13から成るロック手段は、薄膜11やコンベックステープ25が一体化されたカバー部材31が、バネ材30のバネ力F1により上方(ケース20から脱出する方向)へ移動するのを防止する移動防止手段となっている。また薄膜11とコンベックステープ25を上方から押さえつけるカバー部材31と上記移動防止手段は、バネ材30のバネ力F1に抗して薄膜11及びコンベックステープ25がケース20の内部からケース20の外部へ脱出するのを防止する脱出防止手段となっている。また電熱線15は、指令部3から発信される指令によって脱出防止状態を解除する解除手段となっている。
本発明は、要は、地球を周回する衛星のミッションが終了して地球へ落下させるべき時期が到来したならば、縮小された薄膜を宇宙空間に広く展開させることにある。そして、この展開手段として、望ましくはコンベックステープを用いることにある。したがって本発明は上述した一実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲内で様々な設計変更が可能である。例えば、薄膜の展開状態での寸法、平面形状、コンベックステープの個数、コンベックステープの固定箇所の個数等は任意に決定できる。また図10に示すように、コンベックステープ25は、一固定箇所につき必要展開力に応じて複数個(本例では2枚)重ねて、その基端部を取付筒26に固定してもよい。固定方法としては、ビス37が適用できる。図4に示すコンベックステープ25も、これと同様にビス37により取付筒26に固定される。
またひも13は、電熱線15によらずに、抵抗素子のように電気的に発熱して高温になる要素や、電磁石によって突没するカッター等によっても切断することができる。また薄膜やコンベックステープの先端に設けられた結合用の小孔についても、小孔に限らず、細ひも等で結合できる機構であればよい。
またチャック(ロック)状態の解除指令は、衛星に内蔵された指令部としてのタイマーから発信されてもよく、あるいは比較的近くを飛行する指令部としての他の衛星から発信されてもよい。また回転体は爪車に限らず、要はストッパに係止できるものであればよい。もっとも、外周縁に多数の爪部を有する爪車を使用すれば、衛星打ち上げ前に、薄膜を折りたたんで図4に示すようにテープ状にして巻回する際に、コンベックステープに所望の張力を発生させた状態で比較的任意の角度でストッパ23に係止することができる利点がある。またケースや爪車に機械的強度が許す範囲内で孔部を多数形成すれば、より軽量化できる。
本発明によれば、ミッションが終了した宇宙構造部を地球へ速やかに落下燃焼させて、これが宇宙空間のゴミとなるのを解消できるので、特に人工衛星の落下装置、落下方法として有用である。
1 地球
2 衛星(宇宙構造物)
3 指令部
10 落下装置
11 薄膜
12 チャック体
13 ひも
15 電熱線(切断手段、解除手段)
20 ケース(収納部)
21 中心軸
22 爪車(回転体)
22a 爪部
23 ストッパ
25 コンベックステープ(展開手段)
29 細ひも(結合部)
30 バネ材(付勢手段)
31 カバー部材

Claims (10)

  1. 宇宙構造物に備えられる収納部と、収納部の内部に設けられた中心軸と、それぞれの先端部同士が互いに結合され、且つ中心軸に巻回されて収納部の内部に縮小して収納される薄膜及びコンベックステープと、薄膜及びコンベックステープを収納部から脱出させる脱出手段とを備え、収納部はコンベックステープが自身のバネ力によって伸長するのを防止する伸長防止手段を兼務しており、指令部からの指令により薄膜及びコンベックステープを脱出手段により収納部から脱出させてコンベックステープが自身のバネ力によって伸長することにより、薄膜を宇宙空間に拡げて展開させることを特徴とする地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  2. 前記脱出手段が、前記薄膜と前記コンベックステープを前記収納部から脱出する方向に移動するように付勢する付勢手段であることを特徴とする請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  3. 宇宙構造物に備えられる収納部と、収納部の内部に設けられた中心軸と、それぞれの先端部同士が互いに結合され、且つ中心軸に巻回されて収納部の内部に縮小して収納される薄膜及びコンベックステープと、薄膜とコンベックステープが収納部から脱出する方向に移動するように付勢する付勢手段から成る脱出手段と、付勢手段の付勢力に抗して薄膜及びコンベックステープが収納部から脱出するのを防止する脱出防止手段と、脱出防止手段による脱出防止状態を解除する解除手段とを備え、
    収納部はコンベックステープが自身のバネ力によって伸長するのを防止する伸長防止手段を兼務しており、指令部からの指令によって解除手段を作動させて脱出防止状態を解除することにより、薄膜及びコンベックステープを付勢手段の付勢力により収納部から脱出させて、コンベックステープの伸長しようとするバネ力により薄膜を宇宙空間に展開させることを特徴とする地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  4. 前記脱出防止手段が、薄膜及びコンベックステープを上方から押えつけるカバー部材と、カバー部材が前記付勢手段の付勢力により薄膜及びコンベックステープが脱出方向へ移動するのを防止する移動防止手段から成ることを特徴とする請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  5. 前記移動防止手段が、前記カバー部材に設けられたひもと複数のチャック体であって、ひもでチャック体をしばり付けることにより、前記中心軸の上端部をチャック体によりチャックして前記中心軸が前記付勢手段により前記脱出する方向へ移動するのを防止するものであり、また前記解除手段がひもの切断手段であることを特徴とする請求項又はに記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  6. 宇宙構造物に備えられる収納部と、収納部の内部に設けられた中心軸と、収納部の内部にあって中心軸に回転自在に装着された回転体と、回転体の先端の係止部に係合して回転体が収納部の内部において回転するのを阻止するストッパと、それぞれの先端部同士が互いに結合されて回転体を間に挟さんで中心軸に巻回されて縮小された薄膜及びコンベックステープと、収納部の内部にあって上から順に積層された薄膜と回転体とコンベックステープが収納部から脱出する方向に付勢する付勢手段から成る脱出手段と、付勢手段の付勢力により薄膜とコンベックステープが収納部から脱出するのを防止する脱出防止手段と、指令部からの指令によって脱出防止手段を作動させて脱出防止状態を解除し、付勢手段の付勢力により薄膜とコンベックステープを収納部の外へ脱出させてコンベックステープがまっすぐ伸長しようとする自身のバネ力により薄膜を宇宙空間に拡げて展開させる脱出防止状態の解除手段とを備えたことを特徴とする地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  7. 前記回転体が爪車であり、また前記係止部が前記爪車の外周縁に設けられた爪部であることを特徴とする請求項に記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  8. 前記脱出防止手段が、中心軸に巻回された薄膜とコンベックステープを押さえつけるカバー部材と、カバー部材に設けられて前記中心軸の上端部をチャックする複数のチャック体と、チャック体による前記中心軸の上端部のチャック状態を保持するようにチャック体をしばり付けるひもから成り、また前記脱出防止状態の解除手段がひもの切断手段であることを特徴とする請求項またはに記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  9. 前記コンベックステープは、一固定箇所につき複数枚重ねて固定されることを特徴とする請求項のいずれかに記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置。
  10. 請求項の何れかに記載の地球を周回する宇宙構造物の地球への落下装置による地球を周回する宇宙構造物の地球への落下方法であって、
    宇宙構造物を落下させる時期が到来したならば、指令部からの指令により薄膜とコンベックステープを収納部から脱出手段により脱出させて、コンベックステープが自身のバネ力によって伸長することにより薄膜を宇宙空間に拡げて展開させ、薄膜が受ける宇宙空間に薄く存在する気体の気体抵抗によって宇宙構造物の地球周回速度を次第に低下させて宇宙構造物を地球へ向って落下させ、大気との摩擦熱によって宇宙構造物を燃尽・消滅させることを特徴とする地球を周回する宇宙構造物の地球への落下方法。
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