JP5700397B2 - ナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法 - Google Patents

ナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノスケールの直径を有する多数の柱状体の少なくとも表面に、ナノ微粒子を担持させたナノ構造体と、その製造方法に関する。本発明は、担持させるナノ微粒子の性質により、燃料電池、光触媒、水素吸蔵装置、ガスセンサーなど、多種類の機能素子に応用することができる。
下記特許文献1によると、基板上に立設されたカーボンナノチューブに金属粒子を担持させたフィールドエミッタが開示されている。また、下記特許文献2、3には、基板上に立設されたカーボンナノウォールに金属粒子を担持させたフィールドエミッタなどのナノ構造体が開示されている。これらのナノ構造体により、フィールドエミッタや燃料電池などの反応電極を構成することが提案されている。
特開2007−095580 特開2007−095579 特開2007−273613
しかしながら、各種の機能素子を開発する場合に、大面積の基板上に、均一、一様な密度で、カーボンナノチューブやカーボンナノウォールを形成することは、未だに、困難である。また、上記特許文献による金属粒子の担持は、基板上に、高密度で、カーボンナノチューブやカーボンナノウォールを形成した後に、金属微粒子を担持させる方法であるので、アスペクト比の大きい柱状体に全側面に、一様、均一に金属微粒子を担持することが困難である。したがって、特許文献の構造では、機能素子の特性を向上させるには、難点がある。
そこで、本発明は、容易に大面積化が可能な、有機材料から成るナノスケールの直径を有する多数の柱状体の表面に、ナノ微粒子を担持させた全く新規な構造のナノ構造体を実現することを目的とする。
また、多数の柱状体の表面にナノ微粒子を担持させた大面積化が可能なナノ構造体の製造方法を確立することである。
明細書には、次のナノ構造体に関する発明も記載されている。基板上に複数立設された、有機材料から成る直径0.5nm以上、20nm以下の柱状体と、前記柱状体の少なくとも表面に担持された、粒径0.2nm以上、10nm以下のナノ微粒子とを有するナノ微粒子を担持したナノ構造体である。
直径がナノスケールである有機材料から成る多数の柱状体の表面に、粒径がナノスケールであるナノ微粒子が、高密度で分散して担持されたナノ構造体は、全く新規な構造である。柱状体の直径が0.5nmより小さいものは、製造し難い。柱状体の直径が20nmを越えると、本発明の柱状体の表面にナノ微粒子を高密度で担持したナノ構造体の機能が顕著でなくなる。したがって、柱状体の直径は、0.5nm以上、20nm以下が望ましい。さらに、望ましい範囲は、1nm以上、10nm以下である。最終的に、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子は、粒径が0.2nmよりも小さいものは製造し難いし、粒径が10nmを越えると、本発明の柱状体の表面にナノ微粒子を高密度で担持したナノ構造体の機能を十分に発揮することができなくなる。したがって、ナノ微粒子の粒径は、0.2nm以上、10nm以下が望ましい。さらに望ましい範囲は、1nm以上、10nm以下である。柱状体の直径及び柱状体の表面に担持されているナノ微粒子の粒径が、上記の範囲に存在することは、得られた本発明のナノ構造体のSEM像で確認されている。また、柱状体を構成する有機材料は、エポキシ、ポリエステル、ポリイミッド、ポリアミド、ポリイミドアミドなど任意である。また、柱状体を形成した後に、炭化されたものであっても良い。また、ナノ微粒子は、柱状体の表面だけでなく、柱状体の内部に取り込まれていても良い。SEM像を見る限り、柱状体の内部にナノ微粒子が取り込まれていることを否定することはできない。
また、前記柱状体は、有機材料から成る平板の上に、前記ナノ微粒子を配設させた後、このナノ微粒子をマスクとして、反応性イオンエッチングにより形成された柱状体であることを特徴とする。
柱状体の直径は、有機材料から成る平板の上に、分散して形成するナノ微粒子の粒径により制御することができる。また、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子の粒径も、有機材料から成る平板の上に分散して形成されるナノ微粒子の粒径により制御することができる。
た、前記基板の面に平行な面における前記柱状体の単位面積当たりの本数密度は、6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014/cm 2 以下であることを特徴とする。
柱状体の直径の範囲は、0.5nm以上、20nm以下であるので、理想状態では、柱状体の形成される周期は1nm以上、40nm以下となる。周期が40nmの場合の柱状体の単位面積当たりの本数密度は6.3×1010/cm 2 となる。また、周期が1nmの場合の柱状体の単位面積当たりの本数密度は1.0×1014/cm 2 となる。したがって、柱状体の単位面積当たりの本数密度は、6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014/cm 2 以下が望ましい範囲である。
また、柱状体の表面の単位面積当たりのナノ微粒子の個数密度は、2.5×1011 cm 2以上、6.3×1014 cm 2以下であることを特徴とする。
最終的に、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子の粒径の範囲は、0.2nm以上、10nm以下であるので、理想状態では、ナノ微粒子の形成される周期は0.4nm以上、20nm以下となる。周期が20nmの場合のナノ微粒子の柱状体の表面の単位面積当たりの個数密度は、2.5×1011/cm 2 となる。また、周期が0.4nmの場合のナノ微粒子の柱状体の表面の単位面積当たりの個数密度は、6.3×1014/cm 2 となる。したがって、柱状体の表面の単位面積当たりのナノ微粒子の個数密度は、2.5×1011/cm 2 以上、6.3×1014/cm 2 以下が望ましい範囲である。
また、前記柱状体のアスペクト比は、5以上、100以下であることを特徴とする。
アスペクト比が5より小さい場合には、本発明のナノ構造体の機能が十分に果たせないし、100を越える場合には柱状体の形成が容易ではない。したがって、柱状体のアスペクト比は、5以上、100以下であることが望ましい。柱状体のアスペクト比が、この範囲に存在することは、得られた本発明のナノ構造体のSEM像で確認されている。
また、前記ナノ微粒子は、Pt,Pd,Li,Au,Ag,Rh,Ru,V,Cu,Al,Co,Ni,Fe, Mg,Ti,Ta,Zr,Hf,W,Mo,Irの少なくとも1種から成る金属、これら金属間の合金、これら金属の少なくとも1種と他の原子との合金、Ni−Mg合金、半導体、TiO2 、又は、誘電体から、選択された少なくとも1種であることを特徴とする。これらの材料は例示であって、得られるナノ構造体の機能によって、ナノ微粒子の材料は選択される。
本発明は、ナノ微粒子を構成する材料を溶解させた超臨界流体を、有機材料から成る平板の面に作用させることにより、平板の上に、粒径0.5nm以上、20nm以下のナノ微粒子を、一様に形成するナノ微粒子形成工程と、ナノ微粒子形成工程により、面上においてナノ微粒子が形成された平板を、ナノ微粒子をマスクとして、反応性イオンエッチングによりエッチングして、複数の柱状体を形成すると共に、そのエッチングにより、その柱状体の頂部及び側面に、粒径0.2nm以上、10nm以下のナノ微粒子を担持させる柱状体形成工程とを有することを特徴とするナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法である。
本発明は、上記のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法に関する。有機材料から成る平板上に、分散されるナノ微粒子の生成方法には、本発明の他、平板上にナノ微粒子を構成する材料の薄膜を蒸着により形成して、加熱再結晶化させることで、平面上にナノ微粒子を分散させることができる。その粒径を0.5nmより小さくすることは、製造上、困難であり、粒径を20nmより大きくすると、エッチングにより形成される柱状体の直径が大きくなり、また、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子の粒径が大きくなり過ぎて、ナノ構造体の機能が十分に発揮できない。したがって、平板上に分散させるナノ微粒子の粒径は、0.5nm以上、20nm以下とすることが望ましい。有機材料から成る平板上に分散されるナノ微粒子の粒径の範囲は、0.5nm以上、20nm以下であるので、理想状態では、ナノ微粒子の形成される周期は1.0nm以上、40nm以下となる。周期が40nmの場合の平板上の単位面積当たりのナノ微粒子の個数密度は、6.3×1010/cm 2 となる。また、周期が1.0nmの場合の平板上の単位面積当たりのナノ微粒子の個数密度は、1.0×1014/cm 2 となる。したがって、平板上に分散されるナノ微粒子の単位面積当たりの個数密度は、6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014/cm 2 以下が望ましい範囲である。
平板上に分散されるナノ微粒子の粒径が上記の範囲に存在するとき、柱状体の直径を0.5nm以上、20nm以下とし、最終的に、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子の粒径を0.2nm以上、10nm以下とすることができる。この方法によると、SEM像で確認されているが、ナノ微粒子は、柱状体の表面には、確実に、担持されているし、柱状体の内部にも担持されている可能性が確認されている。
本発明では、前記ナノ微粒子形成工程は、前記ナノ微粒子を構成する材料を溶解させた超臨界流体を、前記平板の面に作用させることにより、面上に前記ナノ微粒子を、一様に形成する工程であることを特徴とする。
超臨界流体は、多くの元素を溶解させる力が強いため、ナノ微粒子を個性する材料としては、殆ど全ての元素を用いることができる。
また、請求項2の発明は、前記柱状体の直径、又は、前記柱状体に担持される前記ナノ微粒子の粒径は、前記ナノ微粒子形成工程において、前記超臨界流体を、前記平板の面に作用させる時の前記平板の温度により制御することを特徴する。
後述するように、実験から、有機材料から成る平板と超臨界流体とを作用させる時の平板の温度を制御することで、柱状体の直径やナノ微粒子の粒径を制御することができることが、始めて発見された。これにより、得るべき素子の機能に応じて、柱状体の直径とナノ微粒子の粒径を容易に制御することが可能となる。
また、請求項3の発明は、前記柱状体形成工程において、前記柱状体は、直径0.5nm以上、20nm以下に形成されることを特徴とする。
直径の範囲の意義は、請求項1の発明の説明において記載した。
また、請求項4の発明は、前記柱状体形成工程において、前記柱状体を、前記基板の面に平行な面における単位面積当たりの本数密度が6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014 cm 2以下となる範囲に形成することを特徴とする。
本数密度の範囲の意義は、請求項3の発明の説明において記載した。
また、請求項5の発明は、前記柱状体形成工程において、前記ナノ微粒子を、前記柱状体の表面の単位面積当たりの個数密度が、2.5×1011/cm 2 以上、6.3×1014/cm 2 以下となる範囲に形成することを特徴とする。
個数密度の範囲の意義は、請求項4の説明において記載した。
また、請求項6の発明は、前記柱状体形成工程において、前記柱状体のアスペクト比が5以上、100以下となる範囲に、前記柱状体を形成することを特徴とする。
アスペクト比の範囲の意義は、請求項5の説明において記載した。
また、請求項7の発明は、前記微粒子は、Pt,Pd,Li,Au,Ag,Rh,Ru,V,Cu,Al,Co,Ni,Fe, Mg,Ti,Ta,Zr,Hf,W,Mo,Irの少なくとも1種から成る金属、これら金属間の合金、これら金属の少なくとも1種と他の原子との合金、Ni−Mg合金、半導体、TiO2 、又は、誘電体から、選択された少なくとも1種であることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、前記柱状体形成工程の後に、前記柱状体を炭素化する炭素化工程を有することを特徴とする。
柱状体は有機材料から構成されているので、多様な方法により炭素化することができる。例えば、柱状体をエッチングにより形成した後に、Hイオンを注入したり、Hラジカルを照射したりして、有機材料から酸素、水素を抜き取り、柱状体の構成元素を炭素のみとすることができる。また、高温処理、すなわち、アッシングにより、柱状体を炭化することができる。このような方法を採用すると、上記の特許文献1〜3のようにカーボンナノチューブやカーボンナノウォールを形成することなく、炭素を構成元素とする柱状体の表面に、多種類のナノ微粒子を担持したナノ構造体を容易に得ることができる。
本発明により得られるナノ構造体は、有機材料から成る直径がナノスケールの多数の柱状体の少なくとも表面に、粒径がナノスケールのナノ微粒子を担持したナノ構造体である。担持するナノ微粒子を各種の原子や分子とすることで、燃料電池、光触媒、水素吸蔵素子、ガスセンサーなど、各種の機能素子を実現することができる。また、平板状の有機材料から形成されることから、極めてナノ構造体の形成が容易となる。また、有機材料の柱状体を炭化することで、炭素から成る柱状体の表面に、ナノ微粒子を担持した機能素子を実現することができる。また、粒径0.2nm以上、10nm以下のナノ微粒子を用いていることからこの粒子の比表面積を大きくでき、機能素子としての変換効率を向上させることができる。
また、本発明のナノ構造体の製造方法は、有機材料から成る平板に、ナノ微粒子を担持して、反応性イオンエッチングにより、ナノ微粒子をマスクとして、有機材料をエッチングすることで、多数のナノスケールの柱状体と、柱状体の表面にナノ微粒子が担持されたナノ構造体を製造することができる。反応性イオンエッチングにより、柱状体が形成されることらか、大面積のナノ構造体を容易に製造することができる。また、柱状体の直径や、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子の粒径は、有機材料から成る平板とナノ微粒子手の構成原子を溶解させた超臨界流体とを作用させる時の平板の温度で制御できることから、柱状体と、ナノ微粒子の大きさを容易に制御することができる。この結果、このナノ構造体を用いた素子の特性を容易に制御することができる。
本発明のナノ構造体を製造工程の概略を示した工程図。 本発明の具体的な一実施例に係るナノ構造体の製造において、ナノ微粒子の構成元素を溶解させた超臨界流体を用いて、有機膜上にナノ微粒子を、担持させる装置の構成図。 本発明の具体的な一実施例に係るナノ構造体の製造において、有機膜上にナノ微粒子を担持させた状態でのSEM像を示した写真。 本発明の具体的な一実施例に係るナノ構造体の製造において、有機膜を反応性イオンエッチングする装置の構成図。 本発明の実施例1に係るナノ構造体のSEM像を示した写真。 本発明の実施例2に係るナノ構造体のSEM像を示した写真。 本発明の実施例3に係るナノ構造体のSEM像を示した写真。 本発明の実施例4に係るナノ構造体の製造において、有機膜上にナノ微粒子を担持する時の基板温度と、最終的に、柱状体の表面に担持されるナノ微粒子の粒径との関係を測定した得られた特性図。 本発明の実施例4に係るナノ構造体のSEM像を示した写真。 本発明の実施例4に係るナノ構造体のSEM像を示した写真。 本発明の実施例4に係るナノ構造体のSEM像を示した写真。 本発明の実施例4に係るナノ構造体の製造において、有機膜上にナノ微粒子を担持する時の基板温度と、エッチングにより形成される柱状体の直径との関係の測定図。 本発明のナノ微粒子を担持したナノ構造体の模試的な構造を示した説明図。
以下、本発明を具体的な一実施例に基づいて説明する。本発明の以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本実施例に係る、直径がナノスケールの柱状体の表面(上面及び側面)にナノ微粒子を担持させたナノ構造体の概略、及び、その製法を示した概略図である。シリコン基板10の上には、有機膜20が厚さ200nmに形成されている。有機膜20は、SiCOH(有機low-k 膜) から成り、樹脂溶液をシリコン基板10上にスピンコーティングして、400℃で硬化させて、形成されている。
次に、この有機膜20の上面20a上に、Ptから成るナノ微粒子30を次のようにして形成した。図2に示す通り、反応槽100内のマイクロヒータを有するサセプタ110に有機膜20が形成されたシリコン基板10を載置し、反応槽100内を圧力10MPa、100℃の超臨界CO2で満たした。シリコン基板10の温度は、180℃とした。
撹拌槽200は、バルブ210により反応槽100と遮断及び接続が可能となっている。撹拌槽200には、圧力11MPa、50℃の超臨界CO2が充填されている。この攪拌槽200に、1wt%のトリメチルメチルシクロペンタジエニル白金(CH3C5H4)(CH3)3 Pt) のヘキサン溶液を、5mlだけ供給して、それを超臨界CO2に溶解させた。次に撹拌槽200内の圧力を反応槽100内の圧力より大きくしてからバルブ210を開き、撹拌槽200内部の白金化合物を溶解した超臨界CO2を反応槽100に導入した。導入後、30分間放置して、有機膜20の上面20a上に、白金(Pt)から成るナノ微粒子30を析出させた。反応槽100における白金の濃度は、撹拌槽200に供給するトリメチルメチルシクロペンタジエニル白金の供給量により制御することができる。
次に、シリコン基板10を反応槽100から取り出して、有機膜20の上面20aのSEM像を測定した。その結果を図3に示す。直径が2〜5nmのPtから成るナノ微粒子30が形成されていることが分かる。また、有機膜20の上面20aの単位面積当たりのナノ微粒子の個数密度は5×1012/cm2 であることが分かる。したがって、上面20a上のナノ微粒子の個数密度は、6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014/cm 2 以下の範囲に存在している。
次に、ナノ微粒子30が表面に分散された有機膜20を有するシリコン基板10を、図4の反応性イオンプラズマエッチング装置300の中に入れて、有機膜20をエッチングした。図4は、反応性イオンプラズマエッチング装置300の斜視図である。円筒状の筐体310の内部が反応室311である。この反応室311には、基台312が設置されており、この基台312の上に、下部電極314が設けられている。その下部電極314の上に、エッチング対象のシリコン基板10が設置されている。反応室311の上方には、上部電極316(シャワーヘッド)が設けられ、上部電極316と、下部電極314との間に、H2 ガスとN2 ガスが供給されて、この空間において、H2 ,N2 ,H,Nのプラズマが生成される。上部電極316には、整合回路318を介して、電源320から電力が供給される。また、下部電極314には、図示しない別の電源から異なる周波数の電力が供給されている。基台312の中心には、冷却Heが循環するパイプ322が設けられており、冷却Heにより、シリコン基板10は、所定の温度に冷却される。反応室311のガスは、筐体310の側方から、図示しない排気装置により排気されて、反応室311の圧力が制御可能になっている。この装置300は、良く知られている反応性イオンプラズマエッチング装置である。
エッチング条件は、H2 ガスの流量が75sccm、N2 ガスの流量が25sccm、上部電極316に供給する電力は周波数100MHz、450Wとし、下部電極314に供給する電力は周波数2MHz、200Wとし、反応室311の圧力は2.0Pa、シリコン基板10温度は−20℃とし、エッチング時間は120sとした。これにより、有機膜20の上面20aに分散して形成されたナノ微粒子30をマスクとして、有機膜20は、図1の(b)に示す模式図のようにエッチングされて、多数の柱状体22が形成された。ただし、正確には、図1(b)の形状ではなく、次のSEM像で分かるように、柱状体22の直径は、ナノ微粒子30の初期の粒径よりも小さくなり、また、最終的に、柱状体22の表面に担持されるナノ微粒子30も初期の粒径よりも小さくなった。さらに、柱状体22の少なくとも表面、すなわち、柱状体22の頂部及び側面に、多数のナノ粒子が担持されている。
エッチングが完了した後の柱状体22のSEM像を測定した。結果を図5に示す。図5の結果から、シリコン基板10の面に平行な断面の単位面積当たりの柱状体22の本数密度は、1×1012 cm2程度であると思われる。したかって、柱状体22の本数密度は、6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014 cm 2以下に存在することが確認された。ナノ微粒子の粒径は3〜4nmであり、周期も10nm程度であることから、柱状体22の表面の単位面積当たり、ナノ微粒子の個数密度は、1×1012 cm2程度であると思われる。したがって、柱状体22の表面の単位面積当たりのナノ微粒子の個数密度は、2.5×1011 cm 2以上、6.3×1014 cm 2以下の範囲に存在していることが分かる。
図2の装置を用いて、有機膜20の上面に、Ptから成るナノ微粒子を形成する時間、すなわち、Ptが溶解した超臨界CO2に、有機膜20を晒す時間(以下、この時間を「担持時間」という)を、10分、20分、30分と変化させた。その後、実施例1と同一条件で、有機膜20をナノ微粒子30をマクスとして、反応性イオンエッチングした。そして、形成された柱状体22のSEM像を測定した。その結果を、図6に示す。ナノ微粒子の有機膜20上の担持時間に係わらず柱状体22に担持されるナノ微粒子の粒径には、大きな変化がないことが分かる。
ナノ微粒子の有機膜20上に担持する時のPtの濃度を変化させて、実施例1と同様にして、Ptのナノ微粒子が担持された柱状体22を形成した。図2の装置における撹拌槽200に供給するトリメチルメチルシクロペンタジエニル白金の供給量を、2.5mlと、5mlと2つの値に変化させることで、Ptの濃度を変化させた。そして、この条件で担持されたナノ微粒子をマスクとして、有機膜20を、実施例1と同一条件により反応性イオンプラズマエッチングによりエッチングした。そして、得られた柱状体22のSEM像を測定した。その結果を、図7に示す。Ptの濃度に係わらず、柱状体22の表面に担持されているPtから成るナノ微粒子の粒径には、大きな変化が見られないことが分かる。
ナノ微粒子を有機膜20上に分散させる時のシリコン基板10の温度を、150℃から220℃までの範囲で変化させた。トリメチルメチルシクロペンタジエニル白金の供給量は、5ml、Ptナノ微粒子の担持時間は30分とした。反応性イオンプラズマエッチンクの条件は、実施例1と同一条件として、ナノ微粒子をマスクにして、有機膜20をエッチングした。エッチング条件は、柱状体22が、シリコン基板10の面に対して垂直に立設される条件としている。その後、柱状体22のSEM像を、それぞれ、測定した。そのSEM像から、Ptナノ微粒子の粒径を測定した。Ptナノ微粒子の担持温度と、エッチング前のPtナノ微粒子の粒径との関係を図8に示す。図8の測定結果から、Ptを担持する時の温度が低くなる程、担持されるナノ微粒子の粒径は小さくなることが理解される。担持温度が150℃の場合には、柱状体22の表面に担持されるナノ微粒子の粒径は2〜3nm、担持温度が170℃の場合には粒径は3〜4nm、担持温度が190℃の場合には、粒径は4〜5nm、担持温度が200℃の場合には、粒径は8〜11nm、担持温度が220℃の場合には、粒径は16〜17nmであることが分かる。担持温度が190℃において、粒径が急激に小さくなっていることが分かる。このことから、ナノ微粒子の担持温度により、最終的に、柱状体22の表面に担持されるナノ微粒子の粒径を制御できることが分かる。
150℃、170℃、190℃で、Ptナノ微粒子を有機膜20上に分散させ、その後に、Ptナノ微粒子をマスクにして有機膜20を反応性イオンエッチングして、多数の柱状体22を形成した後のSEM像を、図9、10に示す。また、190℃の場合のSEM像の拡大図を図11に示す。エッチング後の柱状体22の直径をSEM像から測定した。Ptナノ微粒子の担持温度と、エッチング後の柱状体22の直径との関係を図12に示す。図12の測定結果からは、エッチング後の柱状体22の直径は、担持温度が低くなる程、小さくなっていることが分かる。また、図8と図12の測定結果の比較から、柱状体22に最終的に担持されるPtナノ微粒子の粒径は、柱状体22の直径よりも、3nmから6nm程、小さくなっていることが分かる。
これは、Ptナノ微粒子もプラズマと反応して、より微細化すると共に、微細化されたPtナノ微粒子が、柱状体22の上面及び側面に均一一様な密度で、分散したものと思われる。Ptナノ微粒子と柱状体22との関係は、模式的に示すと、図13のようになっているものと思われる。Ptナノ微粒子は、柱状体22の表面に担持されていることは確実であるが、柱状体22の内部にも取り込まれている可能性がある。
本発明において、樹脂膜20には、SiCOHを用いたが、この他、ハイドロジェンシルセスキオサン、アルキルシルセスキオキサン、カーボンドープドオキサイド、フッ化珪酸塩ガラス、ダイアモンド状の炭素、パリレン、水素化シリコンオキシカーバイド、B-ステージ状ポリマー、アリルサイクロブテン系材料、ポリフェニレン系材料、ポリアリレンエーテル、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、多孔性シリカ、シリカゼオライトなどの有機樹脂を用いることがてきる。
実施例では、担持するナノ微粒子を白金を例に挙げて説明したが、超臨界流体に溶解し得る金属(有機金属など)や、半導体、誘電体などであれば、上記した考察は、その他の材料に対しても、成立すると考えられる。よって、本件発明における金属は、白金に限定されず、任意の材料でも良い。
超臨界流体は、極性及び非極性の化合物を容易に溶解するので、金属を錯体又は化合物として超臨界流体に溶解させることができる。超臨界流体は、周知のように極めて狭い領域にも浸透するので、有機膜と金属錯体又は金属化合物が接触し、有機膜上に金属が遊離して単結晶化する。超臨界流体と有機膜との接触時間を制御することにより、ナノ微粒子を有機膜上に、均一、一様に分散形成することができる。ナノ微粒子の大きさは、有機膜の温度、接触時間、ナノ微粒子を構成する元素の超臨界流体における濃度などにより制御することができる。
有機膜上にナノ微粒子が形成される原理からして、ナノ微粒子には、Pt,Pd,Li,Au,Ag,Rh,Ru,V,Cu,Al,Co,Ni,Fe, Mg,Ti,Ta,Zr,Hf,W,Mo,Irの少なくとも1種から成る金属を用いることができる。また、ナノ微粒子には、これら金属間の合金、これら金属の少なくとも1種と他の原子との合金、例えば、Ni−Mg合金を用いることができる。また、ナノ微粒子には、半導体、TiO2 、又は、誘電体などを用いることができる。超臨界流体に、ナノ微粒子の構成元素が溶解できるものであれば、超臨界流体を用いることで、有機膜上に、これらの材料から成るナノ微粒子を均一、一様に分散形成することができる。
本発明のナノ構造体は、ナノ微粒子にPtを用いることで、燃料電池用の触媒電極とすることができる。特に、上記の樹脂材料の柱状体を、Hイオン、Hラジカルを照射して、樹脂中のHとOを除去することで、柱状体を炭化することができる。そのように処理することで、炭素から成る多数の直径がナノスケールの柱状体の表面にPtナノ微粒子を担持させて、燃料電池用の触媒電極を得ることができる。この構造の電極では、Ptナノ微粒子の粒径を1nmから2nmとすることができ、比表面積を増大させて、高い発電効率を実現させることができる。
また、ナノ微粒子に、TiO2 を用いることで、本発明のナノ構造体を、有機不純物の分解や、水の水素分解を実現する光触媒とすることができる。この場合にも、粒径が1nm−2nmであることから、ナノ微粒子の比表面積を増大させることができるので、高い分解効率を実現することができる。また、ナノ微粒子を、Ni−Mg合金とすることで、本発明のナノ構造体を水素吸蔵装置とすることができる。この場合にも、粒径が1nm−2nmであることから、ナノ微粒子の比表面積を増大させることができるので、高い水素吸蔵効率を実現することができる。また、ナノ微粒子を、Pt、Pdとすることで、本発明のナノ構造体をガスセンサとすることができる。この場合にも、粒径が1nm−2nmであることから、ナノ微粒子の比表面積を増大させることができるので、高い測定感度を実現することができる。
本発明は、燃料電池、光触媒、水素吸蔵素子、各種センサ、フィルドエミッタなどの機能素子に用いることがてきる。
10…シリコン基板
20…樹脂膜
30…ナノ微粒子
22…柱状体

Claims (8)

  1. ナノ微粒子を構成する材料を溶解させた超臨界流体を、有機材料から成る平板の面に作用させることにより、前記平板の上に、粒径0.5nm以上、20nm以下のナノ微粒子を、一様に形成するナノ微粒子形成工程と、
    ナノ微粒子形成工程により、面上においてナノ微粒子が形成された前記平板を、ナノ微粒子をマスクとして、反応性イオンエッチングによりエッチングして、複数の柱状体を形成すると共に、そのエッチングにより、その柱状体の頂部及び側面に、粒径0.2nm以上、10nm以下のナノ微粒子を担持させる柱状体形成工程と
    を有することを特徴とするナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  2. 前記柱状体の直径、又は、前記柱状体に担持される前記ナノ微粒子の粒径は、前記ナノ微粒子形成工程において、前記超臨界流体を、前記平板の面に作用させる時の前記平板の温度により制御することを特徴する請求項1に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  3. 前記柱状体形成工程において、前記柱状体は、直径0.5nm以上、20nm以下に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  4. 前記柱状体形成工程において、前記柱状体を、前記基板の面に平行な面における単位面積当たりの本数密度が6.3×1010/cm 2 以上、1.0×1014 cm 2以下となる範囲に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  5. 前記柱状体形成工程において、前記ナノ微粒子を、前記柱状体の表面の単位面積当たりの個数密度が、2.5×1011/cm 2 以上、6.3×1014/cm 2 以下となる範囲に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  6. 前記柱状体形成工程において、前記柱状体のアスペクト比が5以上、100以下となる範囲に、前記柱状体を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  7. 前記ナノ微粒子は、Pt,Pd,Li,Au,Ag,Rh,Ru,V,Cu,Al,Co,Ni,Fe, Mg,Ti,Ta,Zr,Hf,W,Mo,Irの少なくとも1種から成る金属、これら金属間の合金、これら金属の少なくとも1種と他の原子との合金、Ni−Mg合金、半導体、TiO2 、又は、誘電体から、選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
  8. 前記柱状体形成工程の後に、前記柱状体を炭素化する炭素化工程を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のナノ微粒子を担持したナノ構造体の製造方法。
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