JP5694928B2 - ラジカルスカベンジャー及び抗酸化剤アルファ−1−ミクログロブリンの医薬的使用 - Google Patents
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Description
酸化は、電子の喪失を伴う化学プロセスであり、すなわち、化合物は、1つ以上の電子がそこから除去されると酸化される。逆の化学プロセスは、還元と呼ばれる。ヒト生体における酸化ストレスは、組織における細胞及び分子の望ましくない酸化の増大として規定される(1で概説される)。これは、酸化ストレスのメディエーターである酸化剤と、酸化を妨げるか、酸化剤を解毒化するか又は酸化された分子を修復するかの何れかができる剤である抗酸化剤との間の不均衡により生じる(図1)。ヒト及び動物における最も重要な酸化剤は、活性酸素種(ROS)であり、これは、過酸化水素、スーパーオキシド及びヒドロキシラジカルを含む。後者の2つは、フリーラジカルと呼ばれる化合物群に属する。フリーラジカルは、外側電子殻での不対電子の存在により、非常に反応性が高い化合物である。ROS及びフリーラジカルの形成は、例えば、金属と酸素結合性有機化合物であるヘムとにより誘導できる。ヘムは、ヘモグロビン及びチトクロムの鉄含有成分であり、これらは、酸素の利用に参加するタンパク質である(以下を参照)。ROS、酸化剤及びフリーラジカルは、タンパク質、DNA及びその他の細胞及び組織の分子成分と反応し、このことが、標的分子の望ましくない修飾と、結局は細胞機能の喪失とを導く。
ヘモグロビンは、ヒトの体内で最も一般的なタンパク質の1つである。これは、赤血球において大量に見出され、その機能は、酸素を肺から全ての細胞へ運ぶことである。酸素は、鉄含有ヘム基に結合し、これがヘモグロビン分子に赤色を与える。全てのヘモグロビンは、通常、赤血球の内部に保持され、よって、その他の細胞及び細胞外成分と接触することが妨げられる。このことは重要である。なぜなら、ヘモグロビンは、強い酸化特性のために毒性であるからである。自己免疫性溶血性貧血、鎌状赤血球貧血及びマラリアのような疾患、又は不適合輸血、幹細胞及び実質臓器の移植並びに大手術を含む医原性の状況において赤血球が破壊されると(溶血)、オキシヘモグロビン(ヘモグロビンと酸素)が赤血球から放出される。オキシヘモグロビンは、自己酸化と呼ばれるプロセスにおいて電子を再編成することにより、それ自身と自発的に反応して、フリーラジカルであるスーパーオキシドと、タンパク質の酸化型であるメトヘモグロビンを形成する。メトヘモグロビンは分解を続け、最終的には遊離のグロビン、ヘム及び鉄を形成する。生成物は、上記のように酸化的である。疎水性分子である遊離のヘムは、細胞膜を横切る拡散により、又は膜を溶解して細胞に浸入できる。遊離ヘモグロビン(赤血球の外側にある)は、よって、多くの疾患及びその他の病状の間の組織損傷の誘導剤である。さらに、遊離オキシヘモグロビンは、間接的に血管収縮剤である。なぜなら、これは、小さい血管及び毛管の最も重要な拡張剤の1つである酸化窒素(NO)と強く結合するからである。遊離のオキシヘモグロビンによるNO除去は、NOの消費と、その後の毛管の構築を導き、高血圧をもたらす。
通常、酸化剤の活性は、酸化剤を消去するか又はそれらの酸化反応を妨げる保護因子である抗酸化剤の活性により、均衡が保たれている。しかし、著しく酸化ストレスの条件では、抗酸化剤は圧倒され、分子及び/又は細胞並びに組織に酸化的損傷が導かれることがある。
ABTS、2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾ-チアゾリン-6-スルホン酸)二アンモニウム塩
α1M又はA1M、α1-ミクログロブリン又はアルファ-1-ミクログロブリン
t-α1M;切断型α1-ミクログロブリン又はアルファ-1-糖タンパク質
AGP、α1-酸性糖タンパク質
DTT、ジチオトレイトール
G3DPH、グリセルアルデヒド-3-ホスフェート脱水素酵素
Hb、ヘモグロビン
H2DCFDA、2',7'-ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート
IVF、体外受精
IVH、脳室内出血
NEM、N-エチルマレイミド
PE、妊娠高血圧腎症
PI、ヨウ化プロピジウム
ROS、活性酸素種;
5-IAF、5-ヨードアセトアミド-フルオレセイン
RIA、ラジオイムノアッセイ
MPO、ミエロペルオキシダーゼ
開示される主題を説明し、請求する場合に、以下の用語を、以下に記載する定義に従って用いる。そうでないと定義しない限り、本明細書において用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する当該技術における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。いくつかの場合において、一般的に理解される意味を有する用語は、明瞭にする及び/又は参照を容易にするために本明細書において定義され、そのような定義を本明細書に含めることは、当該技術において通常理解されていることに対して実質的な違いを表すと必ずしも解釈されない。本明細書において説明されるか又は参照される技術及び手順は、当業者により、通常、よく理解され、従来の方法論を用いて一般的に用いられる。適切であれば、市販で入手可能なキット及び試薬の使用を含む手順は、そうでないと記載しない限り、製造業者により規定されたプロトコル及び/またはパラメータに従って、通常は行われる。本明細書に記載されるものと同様又は等しい任意の方法及び材料を本開示の実施又は試験において用いることもできるが、好ましい方法及び材料は、本明細書に記載される。
本発明に関して種々の文法的形態での「治療又は予防」との用語は、(1)障害の有害な影響、(2)障害の進行又は(3)障害の原因物質を妨げ、治癒し、逆行させ、減弱化し、緩和し、改善し、阻害し、最小限にし、抑制し、又は停止することをいう。
A1Mは、肝臓において高速で合成され、血流中に分泌され、血管壁を横切って、全ての器官の血管外区画へ輸送される。このタンパク質は、その他の組織(血液細胞、脳、腎臓、皮膚)でも合成されるが、より低い速度である。サイズが小さいので、遊離のA1Mは、腎臓において血液から迅速にろ過される。AIMは、全般的に、そして特に遊離ヘモグロビンに対して優れた抗酸化特性を有する;この特性により、酸化ストレスを伴うか、又は遊離ヘモグロビンの存在が疾患若しくは状態を誘導又は悪化させる種々の疾患の治療又は予防においてそれを用いることが適切になる。
ヒトA1Mの完全な配列は、Kaumeyerら(5)により最初に報告された。このタンパク質は、183アミノ酸残基からなることが見出された。これ以来、さらに10個のA1M cDNA及び/又はタンパク質が、他の哺乳類、鳥類、両生類及び魚類から検出され、単離され、かつ/又は配列決定されている。A1Mのペプチド鎖の長さは、C末端の変動を主な理由として、種のうちでわずかに異なる。異なる推定アミノ酸配列のアラインメント比較は、同一性のパーセンテージが、げっ歯類又は有蹄動物(ferungulates)とヒトとの間のおよそ75〜80%から、魚類と哺乳類との間のおよそ45%まで変動することを示す。34位の遊離のシステイン側鎖は、保存されている。この基は、レドックス反応(以下を参照)、他の血漿タンパク質との複合体形成、及び黄褐色発色団への結合に関与する。他のリポカリンの既知のX線結晶構造に基づくコンピュータ3Dモデルは、Cys34が溶媒に曝露され、リポカリンポケットの開口部近くにあることを示唆する(図3を参照)。別のリポカリンである補体因子C8γも、34位に不対Cysを有し、これは、活性C8複合体の形成に関与する。
Y22 (チロシン、22位、塩基対64〜66)
C34 (システイン、34位、塩基対100〜102)
K69 (リジン、69位、塩基対205〜207)
K92 (リジン、92位、塩基対274〜276)
K118 (リジン、118位、塩基対352〜354)
K130 (リジン、130位、塩基対388〜390)
Y132 (チロシン、132位、塩基対394〜396)
L180 (ロイシン、180位、塩基対538〜540)
I181 (イソロイシン、181位、塩基対541〜543)
P182 (プロリン、182位、塩基対544〜546)
R183 (アルギニン、183位、塩基対547〜549)
(この書類を通してのアミノ酸及びヌクレオチドの番号付けは、配列番号1及び3を参照する。図3及び6も参照されたい。他の種からの他のA1M、A1Mアナログ又はその組み換え配列を用いるならば、当業者は、活性部位又は酵素活性を担う部位のアミノ酸をどのように同定するかを理解している。)
A1Mは、電荷及びサイズも不均質であり、より茶色に着色されたA1M分子は、より負に荷電されている。この不均質性についての可能性のある説明は、異なる側基が異なるラジカルで種々の程度に修飾されることと、これらの修飾がタンパク質の正味の電荷を変化させることである。共有結合着色物質は、Cys34及びLys92、Lys118及びLys130に局在化し、後者は100〜300 Daの分子質量を有する。トリプトファン代謝生成物であるキヌレニンは、血液透析患者の尿からのA1Mにおいてリジル残基に共有結合していることが見出され、この場合のタンパク質の茶色の原因であるようである(6)。合成ラジカルABTS (2,2'-アジノ-ジ-(3-エチルベンゾチアゾリン)-6-スルホン酸)の酸化フラグメントは、Y22及びY132の側鎖に結合した(10)。
理論的には、以下により詳細に記載するA1Mの独特の酵素的及び非酵素的なレドックス特性を特徴付けるアミノ酸(C34、Y22、K92、K118、K130、Y132、L180、I181、P182、R183)を、別のフレームワーク、例えば同じ全体的な折り畳みを有するタンパク質(別のリポカリン)或いは可塑性ポリマー、ナノ粒子若しくは金属ポリマーのような完全に人工の有機又は無機分子上で類似の三次元構造に組み立てることができる。
よって、反応中心及び上記のようなその周辺を含む構造を含むホモログ、フラグメント又はバリアントが好ましい。
このような変更を行う場合、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮できる。ポリペプチドに対して相互作用の生物学的機能を与えることにおけるアミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、当該技術において通常理解されている。あるアミノ酸を、同様の疎水性親水性指標又はスコアを有する他のアミノ酸に置換でき、同様の生物活性を有するポリペプチドがまだ得られる。それぞれのアミノ酸は、その疎水性及び電荷特性に基づいて、疎水性親水性指標を割り当てられる。これらの指標は、次のとおりである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタメート(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパルテート(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)。
或いは、異なるソフトウェアを、アミノ酸配列及びDNA配列を整列させるために用い得る。2つのアミノ酸配列のアラインメントは、例えば、EMBOSSパッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0からのNeedleプログラムを用いることにより決定される。Needleプログラムは、記載される全体的なアラインメントアルゴリズムを実行する。用いられる置換行列はBLOSUM62であり、ギャップ開始ペナルティは10であり、ギャップ伸長ペナルティは0.5である。
厳密な一致は、二つの配列が、オーバーラップの同じ位置に同一アミノ酸残基を有する場合に生じる。
適切であれば、2つのヌクレオチド配列間の同一性の程度は、同一性テーブル(identity table)及び以下の多重アラインメントパラメータ:ギャップペナルティ10、及びギャップ長ペナルティ10でのLASER-GENE(商標)MEGALIGN(商標)ソフトウェア(DNASTAR, Inc., Madison, Wl)を用いるWilbur-Lipman法により決定できる。対アラインメントパラメータは、Ktuple=3、ギャップペナルティ=3、及びウィンドウ=20である。
以下において、酸化ストレスを伴う疾患及び状態を記載する。A1Mを、以下の記載するいずれの疾患の治療にも用い得ると考えられる。
酸化ストレスは、種々の疾患において報告されている。上記のように、酸化ストレスは、フリーラジカルと保護的抗酸化剤との間の不均衡がある状況である。酸化ストレスは、種々の生物活性因子を放出する広範囲の急性又は長期の生理的反応を誘導できる。次いで、これらは、酸化ストレスなどをさらに加速させるさらなる酸化/フリーラジカル形成を促進できる。よって、生理的反応と酸化ストレスは、歯車として互いに相互作用し、これらは一緒に、酸化ストレス装置をますます速く回転させる(図5)。より重要な歯車のいくつかは、炎症、虚血及び再潅流、血液ヘモグロビン及び環境/食物由来の因子であり、これらについては以下に論じる。
炎症は、全ての種類の感染に対する広範囲の二次免疫反応についての集合的な用語であり、自己免疫疾患のような幾つかのその他の疾患も特徴付ける。体は、細菌感染に対して、白血球(単球及び顆粒球)を感染部位に動員することにより応答する。上記のように、白血球は、スーパーオキシドアニオンと過塩素酸塩とを生成する。鉄を得るために、多くの細菌は溶血性であり、すなわち、これらは、赤血球の破壊とその周囲の(bystander)組織成分へのヘモグロビンの曝露とを誘導する分子を生成する。さらに、炎症は、壊死を特徴とし、すなわち、感染部位にて細胞は、破壊されて死ぬ。このことは、例えば、フリーラジカルを生成するミトコンドリア呼吸酵素の曝露を導く。TNF-アルファのような炎症誘発性サイトカインは、細胞内抗酸化剤、スーパーオキシドジスムターゼ及びグルタチオンペルオキシダーゼを損なう。このようにして、感染及び炎症の間に、多くの因子が酸化ストレスに貢献する。
・ 自己免疫疾患(関節リウマチ、甲状腺疾患など)
・ 感染性疾患
・ 神経変性性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、ハンチントン病及び多発性硬化症MS)
・ 炎症性腸疾患
・ 関節炎
である。
血管が永続的若しくは間欠的に閉塞又は損傷された場合、血流の減少及び低酸素(虚血)に起因する細胞死により、フリーラジカルの形成が増加する。血流が回復したときに(再潅流)、局所酸素供給の急激な上昇が、細胞成分と酸素との反応からのROSの劇的な増加を導く。例えば、DNA代謝の必須で豊富な成分である酵素、キサンチン脱水素酵素は、血液の酸素を用いてスーパーオキシドアニオンを形成する。再潅流が長期間持続する場合、ROSの形成が、内因性抗酸化剤の能力を超え、酸化ストレスが生じる。内皮の傷害は酸化ストレスにより誘導され、これが次いで、血小板を活性化し、血栓形成を誘導し、血管の閉塞のさらなる脅威となる。
・ 動脈硬化症
・ 虚血性心臓疾患
・ 脳卒中及び虚血に対して二次的なその他の状態
・ 高血圧障害
・ 代謝障害(糖尿病、脂質代謝異常、高コレステロール血症)
例えば、透析の種々の方法が、喪失された腎臓機能を置き換えるために行われる。腎臓の非常に複雑な機能は、体の水と塩の均衡を維持することと、有害で毒性の分解生成物を除去することに要約できる。腎臓は、血液の連続的なろ過と、その後の適切な量の水を含むほとんどの成分の能動的再吸収並びに過剰の水、塩及び毒性の分解生成物の排出とにより働く。フリーラジカル及びROS、特に尿酸塩及び3-ヒドロキシ-キヌレニンのような小さい遊離の有機ラジカルは、腎臓により血液から通常は除去される毒性物質の例である。透析は、腎臓の完全な置き換えからは遠く、透析患者は、よって、酸化ストレスに苦しむ。さらに、透析プロセス自体がこれもまた酸化ストレスに寄与する炎症性応答を誘導することが示されている。推測では、透析患者のうちでのアテローム性動脈硬化症のより高い発生率は、よって、腎臓不全及び透析プロセスに関連する酸化ストレスにより説明され得る。
・ 腎臓透析の使用
・ 心臓及び肺の装置の使用
・ 血管手術
・ 細胞及び臓器の移植
以前に記載されるように、遊離ヘモグロビン及びその代謝産物は、最も強い内因性の酸化剤に含まれる。いくつかの保護的抗酸化酵素及びタンパク質系は、酸化を妨げるために天然に存在する。多くの疾患において、出血は、病態生理学の一部であり、酸化ストレスを増進する。医原性の原因も一般的である。出血は、全身又は閉鎖区画内、すなわち、頭蓋内、関節内、胃腸管内及び皮膜に包まれた臓器内のいずれかで生じることができる。
赤血球の制御されない破壊は、ヘモグロビン血症及びヘモグロビン尿症、すなわちそれぞれ血液及び尿中のヘモグロビン濃度の上昇を導き得る。血漿ヘモグロビンは、腎臓の糸球体を通してろ過され、尿細管細胞により再吸収され、ここでこれは、ヘモグロビン過剰の状態の間にヘモジデリンとよばれる沈殿物の形成を導いて、酸化的損傷を引き起こし得る。ヘモグロビン過剰が高すぎて治療ができない場合、腎臓は不可逆的に損傷され、透析又は腎臓移植が必要とされる。
輸血。血液ドナーからの赤血球が患者に輸血される場合に、血液単位の貯蔵は、4℃にて最大で42日間である。これは、プラスチックバッグ内での細胞要素の最適以下の機能及び安定性をもたらす。例えば、輸血される血液成分の最適な質を確実にする規制があるが、細胞からのある程度の量のヘモグロビン漏出は、回避できず、予測される。細胞骨格タンパク質の進行性の酸化と、貯蔵赤血球における変性ヘモグロビンの蓄積も存在する。さらに、損傷された細胞のかなりのパーセンテージが、溶解されるか又は注入の際にレシピエントの血流中から迅速に除去される。よって、血液センターでの交差適合などにより最良の可能な血液型の適合が確実にされたとしても、レシピエントは輸血の後に遊離ヘモグロビンの量の増加に苦しみ、結局はここでもまた酸化ストレスの負の影響に苦しむ。
1) 多くの先進国での今日のヘモビジランス(すなわち血液サーベイランス)システムからの現在の統計は、輸血に伴う最も頻度が高く重篤な事変が血液型に関連することを明確に示している。例えば、これは、UKにおけるSerious Hazards of Transfusion (SHOT)データベースにおける全ての重篤な事変の>80%に当てはまる。さらに、誤ってABO-不適合になった輸血は、血管内溶血と、血漿中の遊離ヘモグロビンの急性過剰及びその全ての下流の影響による致死的な有害反応とを引き起こし得る。この悲劇的な合併症は、全ての輸血関連致死率の50%ほど多くを示すことが示されている。患者がヘモグロビン過剰反応の急性段階をうまく通り抜けたとしても、永続的な腎臓損傷が持続し、後の腎臓移植についての理由になり得るようである。これらの反応は全て、レシピエントのABO血液型に依存する、血漿に存在する天然抗A及び/又は抗B抗体による、この種の溶解の発現の後に取り残された過剰量の遊離ヘモグロビン、ヘム及び細胞膜を取り扱う適切な方法の欠如による。あまり一般的でないとしても、ABO系の外側のその他の不適合血液型組み合わせも、患者を危険にさらす血管内又は血管外の溶血性事象を引き起こし得る。最も重要なことには、血液単位は、今日ではABO及びRhD状態についてのみ適合され、このことは、その他のおよそ300の血液型を適合されないままにする。患者が、これらの構造のいずれかに対する免疫応答を有するか又は開始するならば、輸血プロセスにおいて生じた誤りの必要なく、溶血が生じ得る。
・ 溶血性障害
・ 感染性疾患(マラリア、シゲラ、出血熱など)
・ 代謝性疾患(鎌状赤血球貧血、サラセミア、溶血性尿毒症症候群など、血友病)
・ 輸血
・ 代用血液での処置
・ 抗凝固療法(対処されていない(detta berors ej))
・ 術前及び術後の合併症(対処されていない、治癒を阻害又は長引かせる術前又は術後の出血であり得る(detta berors ej, kan vara per och postoperative blodningar som hindrar eller fordrojer lakning))
紫外(UV)光又は光子の照射は、フリーラジカル及び酸化ストレス、すなわちUV光に曝露された組織(すなわち皮膚)の損傷を誘導することが長い間知られている。この機構は、細胞のDNAのUV照射による直接的な損傷と、酸化的修飾により組織損傷を引き起こすROSの形成による間接的な損傷とを含む。後者は、光酸化ストレスとよばれる。
・ UV光照射
・ 抗感染療法(抗菌、抗ウイルス及び抗寄生体)
・ 細胞増殖抑制剤
・ 放射線療法
・ X線
ヒトの抗酸化能力の大部分は内因性であるが、異なるシステムが、食物摂取により提供されるビタミン及びミネラルのような補因子に依存する。個体の栄養状態は、よって、酸化ストレスに対抗するために重要である。ビタミンC及びEを補充する抗酸化療法は、多くの状況において評価されているが、その効果は、還元された生成物が体から除去されることを必要とするので、高い酸化ストレスの状況(例えば妊娠高血圧腎症)におけるそれらの使用を支持する研究はない。
皮膚は、体の最大の器官であり、ヒトを環境から保護する物理的なバリアを提供する。バリア機能の破壊を伴う病態は、酸素への曝露、UV光照射、微生物侵入などにより炎症を容易に発生する。さらに、皮膚の炎症及びその他の酸化ストレス関連障害は、皮膚のECM成分、例えばコラーゲン繊維の含量が高いので特徴的な特徴を有する。コラーゲンは、酸化損傷に対して特に感受性である。なぜなら、この分子は、非常に遅い代謝回転速度を有するからである。実際に、皮膚のコラーゲン繊維は、生涯持続するように作製される。つまり、皮膚組織における酸化修飾の数は、時間が経つにつれ、年齢とともに増加する。
慢性下腿創傷(leg wounds)及びその他の慢性潰瘍は、糖尿病患者に一般的にみられる損なわれた血流、出血及び/又は微生物感染による持続性の炎症を特徴とする。いくつかの機構が、不完全な治癒を引き起こすと考えられる。赤血球を起源とし、血液から創傷組織へ、そして血管外壊死から遊走するヘモグロビン、ヘム及び遊離イオンは、重要な病原性因子である。ヘモグロビン分解成分により誘導されるROS及びフリーラジカルは、組織損傷及び細胞破壊を導き、よって正常な治癒を妨げる強い酸化ストレスを示す。
・ UV光照射
・ 加齢に関連する修飾
・ 急性の創傷
・ 慢性の皮膚創傷
・ アトピー性皮膚炎
・ 乾癬
女性の生殖管は、酸化ストレスの観点から特に興味深い。通常の月経周期中に、月周期の出血、子宮内膜の排出がある。多くの女性はこのプロセス中に、疼痛、いわゆる月経困難症を経験する。我々は、最近、これらの女性からの血漿中に、高いレベルの酸化ストレスについてのマーカーを検出できた(未発表データ)。
月経困難症は、子宮内膜症の症状であり得、婦人科の分野においてはいまだ謎である。この状態において、異所性の子宮内膜組織が腹腔内に島のように広がっている。これらの島は、全身のホルモンレベル、よって月経中の出血に応答する。腹腔内の血液は疼痛と、後にブリード(bried)形成を引き起こし、帯(strings)が腸管及び卵管を塞いで、不妊症及び胃腸の問題を引き起こし得る。
・ 月経困難症
・ 子宮内膜症
・ 妊娠高血圧腎症
・ 早期分娩
全ての分娩のうちの高いパーセンテージが早期、すなわち妊娠第34週前である。極度の早産(妊娠第23〜28週)は、重篤な臓器損傷としばしば併発される。早産児における主な問題は、高い酸化ストレスを特徴とする状況である肺の損傷、胃腸管の壊死、大脳出血及び感染である。よって、酸化は、損傷性の共通の特徴である。内因性の抗酸化系は、子宮の外側で発生する酸化ストレスを扱うのに十分に発達及び/又は成熟していない。正常妊娠において、乳児の肺、皮膚及び胃腸管は、胎児を内側及び外側から、すなわち皮膚まで取り囲む羊水により全て保護されている。
・ 呼吸困難
・ 脳室内出血
・ 壊死性腸炎(NEC)
・ 感染
・ 溶血
上記の記載から、A1Mが流体、臓器、緩衝液などの中に、同じ生物学的検体中に存在する酸化剤の作用を妨げるか又は阻害するのに十分な時間存在しなければならないことがわかる。一方、A1Mは、浄化の目的のために、すなわち酸化剤又は酸化生成物を除去するために単独の機会に用いることもできる。よって、A1Mの医療的使用は、以下の2つの主要なタイプであり得る:1)規定された期間内で連続的に、又は2)単回/複数回用量。ほとんどの場合、単回用量での使用が、実際的な理由から用いられるが、連続的な投与も、例えば組み換えA1M生成媒体(すなわち細胞)を用いることにより可能である。
A1Mは、医薬組成物の形態で投与するのが好ましい。A1Mのポリペプチドの性質を原因として、好ましい組成物は非経口用に設計されるが、A1Mは、局所的に、例えば創傷の治癒に関連して皮膚上に、関節炎に関連して関節内に、又は脳室内出血を治療する場合には脳室内に用いてもよい。さらに、本明細書の記載から明らかなように、A1Mは、輸血を意図して血液へ、又は対象者へ移植される細胞若しくは臓器に加えることもできる。よって、A1Mは、液体、例えば溶液、分散液、エマルジョン、懸濁液などに処方できるか、又は皮膚への塗布に適する製剤、例えばローション、クリーム、軟膏、懸濁物、エマルジョン、ペースト、粉末、パッチ、プラスター、包帯剤、ソープ、シャンプー、日焼け止めローションなどに含まれ得る。さらに、A1Mは、医療デバイス又は装置に、例えばカテーテル上の放出可能なコーティングなどとして含まれてもよい。
以下に示す例は、単に着想として含まれ、いずれの様式でも限定するとみなされない。
本明細書で論じるその独特の特性を原因として、A1Mは、いくつかの使用における治療として現在知られる代替物よりも著しく優れるだろう。以下の列挙する使用についての主な原理は、A1Mを、酸化ストレスの予想される増加の前、又は高い酸化ストレスの状況の間若しくは後のいずれかに、酸化を平衡させるために、臨床状態に対して与えることである。高い酸化ストレスを特徴とする多くの臨床状態が、上記の黒丸の下に列挙され、選択された疾患のみを以下の例において用いるが、治療原理は全てに当てはまる。概要は、以下の表1に示す。
A1Mは、感染に対する従来の薬物及び抗炎症薬物と組み合わせて、例えばCOPDにおいてみられる酸化ストレスに対抗するために与えることができる。この疾患において、A1Mは、肺洗浄液に加えて、又は吸入エアロゾルとして用いることができる。この応用におけるA1Mの効果は、ラジカルを除去し、肺組織における酸化的修飾を低減/修復することである。処置は、単回又は複数回用量のタイプ並びに局所的並びに予防的及び相互作用的(pro- and interactive)効果のものであり得る。
アテローム性動脈硬化症。上記のように、酸化剤及び酸化ストレスは、アテローム性動脈硬化症の発生における中心であり、LDLの酸化は、アテローム性動脈硬化プラークを導く一般的な中間体である。抗酸化剤のほとんどの研究がこの疾患に対する予防的効果を示すことに失敗しているが、我々は、A1Mを、いくつかの理由から潜在的な治療剤とみている:1)これは、広い範囲の抗酸化的な武器を有する:酸化剤の酵素的及び非酵素的な還元、並びにラジカル除去;2)これは、アテローム性動脈硬化の病変に対して潜在的に重要な酸化修復能力を有する;3) A1Mは、ヘム及びROSによるLDLの酸化を阻害できる(示さず);4) A1Mは、LDLのヘム及びROSにより誘導される酸化的修飾を低減できる(示さず);5) A1Mは、内因性LDL粒子中に存在し(示さず)、このことは、これがすでにLDLにおいて抗酸化剤としての効果を有し、アテローム性動脈硬化症がA1Mの能力を超える異常な酸化の結果であることを示唆する;6) A1Mは、MPOの不活性化に参加する(示さず)。アテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療のためのA1Mの使用は、例えば静脈注入又は高いA1M生成能力を有する細胞性ベクターの移植を用いて連続的及び全体的に行い得る。或いは、治療は、例えば心臓冠動脈への直接注入による単回用量のタイプ及び局所的であってよい。治療は、予防的若しくは相互作用的であり得、LDL酸化及びアテローム性動脈硬化の形成を阻害するか、又はアテローム性動脈硬化プラークを治療的に修復/除去する。
溶血性疾患。上記のように、血管内又は血管外の赤血球の制御されない溶解を特徴とする複数の異なる疾患がある。特に、血管内溶血を伴うものは、この問題が血漿中の遊離ヘモグロビン及びヘムを含むので、A1M療法についての興味のある標的である。これらの疾患は、寒冷IgM媒介タイプの自己免疫溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症及び発作性寒冷ヘモグロビン尿症を含む。治療は、治療的な様式でのA1Mの単回又は複数回(可能であれば連続的)の静脈内投与であることが構想される。これらの患者は、しばしば、残存ハプトグロビンレベルがなく、よって、遊離ヘモグロビンに結合する緩衝性防御がない。
つまり、我々は、A1Mを、患者に、遊離ヘモグロビン及びヘムにより誘導される負の結果及び酸化ストレスに対処するための手段として与えることを提案する。好ましい方法は、事変のできる限りすぐ後(間違いに気付いたとき、又は患者が赤色尿を排泄するか若しくは背中の痛み、発熱、発汗及び吐き気のような症状を訴える場合)にタンパク質を静脈内投与することである。これは、単回又は複数回用量の治療的使用である。ステロイド、アドレナリン及び強制利尿のようなその他の非特異的治療も試みる必要があろう。
標的癌放射線療法。癌は、腫瘍細胞を死滅させることを目的とする照射を用いて処置できる。照射は標的化でき、すなわち腫瘍に多少は焦点をあてることができる。この問題点は、もちろん、健常組織も影響を受けることである。この理由から、線量は低く保たれなければならず、放射線療法の効果を制限する。ここで、A1Mを、周囲の細胞及び組織成分の破壊を妨げ、より高い照射線量を用いることを可能にするために用いることができる。A1Mの使用は、単回用量、局所的及び予防的である。
UV照射。A1Mは、UV照射により誘導される組織損傷を防ぐために用いることができる。損傷のある部分は酸化ストレスにより媒介されるので、A1Mの抗酸化、ラジカル除去、酸化修復及び「ラジカルのシンク」の特性により、このタンパク質は、UV光照射中の組織損傷を最小限にするための独特で強力な物質になる。例えば、A1Mは、皮膚の「日焼け止め」物質として用いて、UV光の急性の影響及び皮膚癌の発生のような長期の影響に対して保護できる。A1Mは、酸化亜鉛のような既存の皮膚保護剤に加えることができる。A1Mの使用は、単回用量、局所的及び予防的である。
全身的又は膣坐剤として周期的な様式でA1Mを投与することにより、月経困難症を治療できる。不妊症は、一般的な問題であり、これは、A1Mを用いる治療について重要な適応症であり得る。これは、周期的な様式で又は介助妊娠、すなわちIVF、受精卵移植、精子注入、ICSIなどにおける補助として行うことができる。
今日では、PEについて対症療法のみが利用可能であり、分娩は唯一の原因療法のままである。遊離の胎児ヘモグロビン(HbF)がPEの指標であり、HbFレベル(又は一般的にはHbレベル)の低減が、疾患のいずれの進行をも低減させるようであるとの本明細書において報告される知見によると、i)遊離のHbの形成を阻害し、ii)遊離のHbと結合し、及び/又はiii)循環遊離Hbの濃度を低減する能力を有する任意の物質が、PEの効果的な治療及び/又は予防のための潜在的な物質であると考えられる。
酸化ストレス装置(図5)の全ての成分は、ほとんどの新生児合併症の病態生理学において示されている。A1Mは、人工呼吸器において用いて、未熟な肺を保護し、代用乳処方において用いて、腸を保護できる。
胎盤潅流モデル
今日では、PE(妊娠高血圧腎症)についての適切な動物モデルが存在しない。遊離ヘモグロビンの影響を研究するために、我々は、2重胎盤潅流モデルを用いる。2重胎盤還流は、インビトロでの胎盤血流を研究するためのよく確立されたモデルである(図18)。最近では、キサンチン及びキサンチンオキシダーゼを用いてROS形成を誘導することにより、PEを模倣するために、このモデルが用いられた。我々自身の非常に最近のデータは、キサンチンで潅流された胎盤が、PE胎盤と同様の遺伝子プロファイルを有することを示し、このことが、このモデルがインビトロでのPEの研究に適切であることを示した。さらに、我々は、赤血球全体を含む媒体で還流した胎盤をプロファイリングした。赤血球の溶血により、遊離ヘモグロビンのレベルは潅流中に増加し、ヘムオキシゲナーゼ及びスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子発現の上方制御により反映される酸化的損傷を引き起こした。最近の実験において、我々は、遊離の胎児ヘモグロビン(2及び4μg/ml)を用いて胎児の回路を潅流させることにより、PEにおいて観察される状況を模倣することを目的とした。興味深いことに、潅流圧力(血圧)は、用量依存的な様式で増加し、ヘモグロビンは、母体の回路中に徐々に漏出した。我々は、ヘモグロビンでの潅流後の遺伝子及びタンパク質の発現を研究し、A1Mの保護的役割を評価するためにこのモデルを使い続ける(図17)。
我々は、妊娠した雌ヒツジ(ewe)に遊離ヘモグロビンを注入することによりPEを模倣するために、雌ヒツジモデルを用いる。パイロット研究において、我々は、妊娠した雌ヒツジに遊離ヘモグロビンを注入し、血圧の上昇傾向を引き起こした。我々は、ヘモグロビンでの潅流を研修し、A1Mの保護的役割を評価するためにこのモデルを使い続ける。
子豚モデルを、A1Mを用いるIVH治療の評価のために用いる。子豚は、ヒトの新生児の脳の研究のために理想的な動物である。ヒト及び子豚の両方の脳において、出生の数週間前から出世以後数週間まで、成長速度は最大である。よって、子豚は、脳の成長の急騰中のヒトの易損性の状態を再現する。
A1Mの生理的役割は、ヘム、ヘモグロビン及びROSにより誘導される損傷に対して細胞及び組織を保護することである(図4)。以下に、この概念を支持する結果について記載する。
1.還元。A1Mは、広い範囲の有機及び無機の基質を有する酵素的な還元酵素及び脱水素酵素の特性を有する。タンパク質は、ヘムタンパク質、遊離の鉄及び合成化合物であるニトロブルーテトラゾリウム(NBT)を、生物学的電子供与体であるアスコルベート及びNADH/NADPHを補因子として用いて還元する(9)。Cys34のチオール基と、K92、K118及びK130の3つのリジン残基は、活性部位にて見出される(9)。A1Mは、合成ラジカルABTSも迅速に還元する(10)。細胞の培養培地に加えられたA1Mは、細胞のサイトゾル及びサイトゾルタンパク質上のチオール基を還元する(示さず)。A1Mは、ヘム、ヘモグロビン、過酸化水素及びヒドロキシラジカルによりコラーゲン、リポタンパク質及び赤血球膜上に形成された酸化生成物も還元する。
細胞における細胞内酸化を測定するために、レドックス感受性プローブH2DCFDAを、無血清培地中の0.5〜1.0×106 K562細胞/mlに、3μMの最終濃度まで加えた。30分後に、細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS、10 mM リン酸Na pH 7.4、125 mM NaCl)で2回洗浄し、新鮮な培地中に懸濁した。ヘム、過酸化水素、アスコルベート、A1M又はAGPを、図10の凡例に記載されるようにして加え、細胞を種々の時間インキュベートした。インキュベーションの後に、懸濁物の蛍光強度を、フローサイトメトリーを用いて定量した(BD FACSAria (商標), BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)。分析は、10000個の細胞に対して、Coherent (登録商標) Sapphire (商標) Solid State Laser (励起:488 nm、発光:バンドパスフィルタ530/30 nm)を用いて行った。
チオール基に対するA1Mの還元能力を測定するために、酸化されたチオールタンパク質を用いて実験を行った。
酸化されたチオールタンパク質の蛍光標識を、K564細胞をPBS中で0.5〜1.0×106細胞/mlで洗浄して懸濁し、ヘム、NH4Fe(SO4)2、過酸化水素、アスコルベート又はA1Mと、図の凡例に記載されているようにしてインキュベートした。可逆的に酸化されたチオールタンパク質を、次いで、文献に記載されるようにしてモニターした。簡単に、還元状態のタンパク質チオールを、100 mMのNEM (N-エチルマレイミド)を含むバッファーに再懸濁し、室温にて15分間インキュベートすることによりブロックした。細胞を溶解させた後に、過剰のNEMを、Micro Bio-Spin (登録商標) 6クロマトグラフィーカラム(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を通して脱塩することにより除去した。酸化されたチオールを、次いで、1 mMのDTT (ジチオトレイトール)を用いて還元し、得られた遊離のタンパク質チオールを、200μMの5-IAFを加えることにより標識した。過剰の5-IAFを、Micro Bio-Spin (登録商標) 6クロマトグラフィーカラムを通して脱塩することにより除去し、60μgのタンパク質を含む試料を、10% SDS-PAGEに泳動させた。ゲル電気泳動は、Laemmli [25]に記載されるようにして、暗所で、200Vの一定電圧を用いて行った。電気泳動の完了後に、ゲルを、Molecular Imager (登録商標) FXを用いて走査した(Bio-Rad、励起:488 nm、発光:530 nm)。酸化されたチオールタンパク質を、Adobe Photoshop CS3を用いて、関係するバンドの画素密度を測定することにより定量した。
ABTSアッセイ:A1Mの還元酵素活性を、以前に記載されたような2,2'-アジノビス-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)-ラジカル(ABTS-ラジカル)との反応により分析した。簡単に、ABTS-ラジカルを、7mMのABTSを水中の2.45 mMの二亜硫酸カリウムで少なくとも5時間、暗所にて酸化することにより調製し、得られたABTS-ラジカル溶液を24時間以内に用いた。ヘム(50μM)を、0.5〜1.0×106 K562細胞とインキュベートし、細胞を洗浄し、次いで、図の凡例に記載されるようにして10μMのA1Mと2時間インキュベートした。上清の一定量(>5μl)を、次いで、25 mMのリン酸、pH 8中のABTS-ラジカルの35μM溶液に加えて、3μMのA1Mの最終濃度を得た。ABTS-ラジカルの吸光度を10秒ごとに735 nmにて、合計で3分間読み取った(図12B)。ABTS-ラジカルの低減の割合は、最初の5点、すなわち時間0の点を含む40秒間の反応の線形回帰により見積もった。
ほとんどのヘム(abs 405 nm)は、タンパク質(abs 280 nm)と共に溶出され、このことは、これがA1Mと結合していることを示す。さらに、A1Mの2量体およびより多量体の凝集物の量の増加が、ヘムなしで細胞とインキュベートしたA1Mと比較して、ヘム結合の後に見られた(図12A)。
この関係において、最大量のラジカルを結合した後のA1Mが、組織成分に対していずれの酸化ストレスも示さないこと、すなわち、ラジカル及びA1Mタンパク質自体がともに、電気的に中性であることが重要である。言い換えると、ROS、ラジカル及びその他の酸化剤は、A1Mにより完全に消去され、よって、比喩的に「ラジカルのシンク」である。
A1Mのヘム除去機構について、タンパク質と細胞結合ヘムとの相互作用を分析することによりさらに研究した。細胞を、10μMのヘムと30分間インキュベートし、過剰のヘムを洗い流し、A1M又は対照タンパク質AGPを、2又は10μMの濃度で加え、2時間インキュベートした。培養培地を取りおき、細胞を洗浄して可溶化し、培地及び可溶化した細胞をともに、分光光度法により(図7A)、そして視覚的(図7B)に分析した。細胞に取り込まれたヘムは、細胞の濃い茶色の着色として観察された;明確でないピークを有する典型的な吸収スペクトルが、400 nm付近で検出された。A1Mを加えると、ヘムは、細胞からほぼ完全に除去され、代りに培地中で見出された。同じモル濃度での対照タンパク質AGPは、細胞と結合したヘムに対してかなりより少ない効果を有した(図7B)。
実施例3.A
A1Mが、HepG2細胞単層の荷電粒子照射により誘導される細胞死の伝播を阻害することも示された。細胞に、低い線量のアルファ粒子を、およそ50μm2の面積で照射した。直接命中した細胞は死滅し、粒子が直接命中していない照射領域の周囲の細胞(=周囲の細胞)は、照射の5日後まで遅延型のゆっくり蓄積する壊死を示した。さらに、アポトーシス、タンパク質カルボニル基及びストレス応答遺伝子であるヘムオキシゲナーゼ-1の発現の著しい増加が、全体の細胞集団において観察された(図8A〜C)。A1Mを加えると、照射細胞における死滅細胞の量がおよそ50%、周囲細胞において100%減少し、照射により誘導されるアポトーシス、カルボニル基の形成およびヘムオキシゲナーゼ-1の上方制御を完全に阻害した(図8A〜C)。照射は、A1Mの内因性の合成及び分泌の上方制御と、培地からのA1Mの摂取の増加とを誘導した。周囲細胞の死滅についての可能性のある機構は、酸化剤生成及びROS生成により、A1Mによる阻害についての可能性のある機構は、抗酸化及びラジカル除去による。
A1Mは、ヘム、過酸化水素及びヒドロキシラジカルによる低密度リポタンパク質(LDL)の酸化、ヒドロキシラジカルによる赤血球膜の酸化、及びヘム及び過酸化水素によるコラーゲン単量体の酸化を阻害した(示さず)。コラーゲン及び低密度リポタンパク質(LDL)の酸化的修飾は、関節炎、糖尿病及び心血管疾患の病因に関与する。コラーゲンは、酸化ストレスに対して特に感受性である。なぜなら、この分子は、非常に遅い代謝回転速度を有し、すなわち、フィブリルが生涯持続できるからである。よって、コラーゲンの酸化は、関節炎、糖尿病及び心血管疾患の病因に関与する。コラーゲンは、血管の基底膜、糸球体ろ過バリア及び血液脳関門の主要な構成成分でもあり、よって、コラーゲンへの酸化的損傷は、これらのバリアの機能に影響する(以下を参照)。
明確な用量依存的細胞死滅が、ほぼ100%まで、500μMのヘムにて観察された(図13B)。ヘム溶媒であるDMSOを対応する量で用いて、効果は見られなかった(示さず)。死滅から細胞を救うA1Mの能力を、A1M (2、5又は10μM)又はAGP (10μM)を細胞に加え、その後、200μMのヘムを加えて4時間インキュベーションすることにより調べた。死滅細胞のおよそ70%を、最高濃度のA1Mを加えることにより救うことができた(図13C)。AGPを用いて、著しい効果は観察されなかった。
細胞内A1Mの役割を調べるために、3つのsiRNA標的A1MヌクレオチドをSigma-Aldrichから購入し、ヒトK562細胞におけるA1M発現を阻害/発現停止させるそれらの能力について評価した。A1M/グリセルアルデヒド-3-ホスフェート脱水素酵素 (G3DPH) mRNA比率のリアルタイムPCR分析(以下を参照)により評価した最良の結果は、A1M siRNA対(NM_001633/1):5'-CCUAUGUGGUCCACACCAA -3'及び5'-UUGGUGUGGACCACAUAGG -3'を用いて得られた。このsiRNA種を、その後、全ての実験において用いた。siRNAの形質移入を、OZ Biosciences (Marseille, France)からのプロトコルに従って行った。簡単に、siRNAを、Lullaby (登録商標)-siRNA形質移入試薬(OZ Biosciences)を含む培養培地中で、5nMの最終濃度まで希釈した。この溶液を、室温にて20分間インキュベートし、2×106細胞のペレットに滴下して加えた。細胞を、次いで、標準的な条件下で培養した。24時間後に、細胞を洗浄し、H2DCFDAを負荷し、ヘムで酸化し、上記のようにしてフローサイトメトリーで分析した。代りに、細胞を、図の凡例に従って、ヘムとともに又はヘムなしで無血清培地中に再懸濁し、リアルタイムPCRで分析した。
K562細胞の蛍光顕微鏡観察を、洗浄し、PBSに0.5〜1.0×106細胞/mlまで懸濁し、図の凡例に記載するようにヒトA1Mとインキュベートした。細胞を洗浄し、氷上に置き、ブロッキング溶液(5.4 mM KCl; 1.2mM KH2PO4; 0.8 mM MgSO4; 5.6 mM D-グルコース; 127 mM NaCl; 10 mM Hepes; 1.8 mM CaCl2; pH 7.3; 1% BSA; 5%ヤギ血清)中に15分間再懸濁した。まず、細胞表面染色を、氷上で15分間、A1Mに対するマウスモノクローナル抗体(5μg/ml)とインキュベートすることにより行った。その後、洗浄し、氷上で15分間、ヤギ抗マウスIgG F(ab')2フラグメント(Alexa Fluor (登録商標) 594; Invitrogen, Eugene, OR, USA)とインキュベートした。洗浄後、細胞の全体的な染色(細胞表面+サイトゾル)を、氷冷Na-培地に懸濁し、1% BD CellFIX (BD Biosciences, Belgium)で氷上にて15分間、及び室温にて45分間固定し、0.02% Triton-X中で透過にし、1% BSA、5%ヤギ血清、0.2% Tween-20中でブロッキングすることにより行った。次いで、細胞を4℃にて1晩、A1Mに対するマウスモノクローナル抗体を5μg/mlで用いて染色した。その後、ヤギ抗マウスIgG F(ab')2フラグメント(Alexa Fluor (登録商標) 488; Invitrogen, Eugene, OR, USA)を室温にて1時間用いた。細胞を、DAPI 含有ProLong Gold退色防止剤(Invitrogen)を用いて顕微鏡に載せた。視覚的検査及び画像の記録を、Hamamatsu C4742-95冷却CCDカメラを備えたNikon Eclipse TE300倒立蛍光顕微鏡を用い、Plan Apochromat 100×対物レンズを用いて行った。
3重の試験からの結果の統計解析を、平均±SDとして示す。統計解析は、コンピュータプログラムOrigin (Microcal Software, Inc., バージョン6)を用いて、群同士をスチューデントのt検定を用いて比較して行った。
実施例4.A
照射HepG2細胞の細胞死は、上記のようにA1Mにより阻害された(図8Aに例示する)。A1Mは、K562細胞のヘム誘導性溶解も阻害した。例えば、200μMのヘムは細胞の50%を死滅させたが、2μMのA1Mを加えることにより、死滅細胞の数を15%に低下させ、すなわちおよそ70%低下させた(図13B、Cに例示)。A1Mは、ROS (過酸化水素及びヒドロキシラジカル)による赤血球の溶解も阻害できる。このことは、図9Aに例示する。フェントン反応により産生したヒドロキシラジカルは、赤血球の溶解を誘導し、溶解はA1Mにより阻害できた。
上記のように、A1Mは、細胞及び分子に対する酸化的修飾を、その形成及び酸化剤の除去(洗浄)の後に低減できる。このことは、還元、ラジカル除去又はその両方の結果によるだろう。例えば、細胞膜を通過できる疎水性分子である遊離ヘムは、細胞に吸収され、ほとんどがサイトゾルで見出され(図7C、D)、ここでこれは酸化を誘導する。A1Mを、ヘム負荷細胞に加えることにより、ヘム(図7C〜D)及びサイトゾル酸化(図7A)が効果的に除去される。
このような回復の別の例として、A1Mは、ヘム及びROSにより誘導されるコラーゲンフィブリル形成の阻害を逆転させる(EMにより測定) (図14)。A1Mは、コラーゲンと結合し(示さず)、我々の結果は、これが、おそらく、酸化に対するフィブリルの生理的保護に関与することを示す。これらの結果は、A1Mを、ヘモグロビン又はROSにより誘導される酸化により損傷された組織を復帰又は修復する治療上の使用に用い得ることも示唆する。
実施例6.A
A1Mの転写制御を調べるために、リアルタイムPCRを用いた。
リアルタイムPCRのために、トータルRNAを、K562細胞から、QIAGEN Sciences (Maryland, USA)により供給される酸性グアニジウムフェノールクロロホルム法を用いて単離した。RNAのOD比率(260 nm/280 nmでの光学密度)は、常に1.8より大きかった。逆転写を、3μgのトータルRNAに対して42℃にて60分間、0.5μgのオリゴ(dT)18プライマー、200Uの逆転写酵素及び20UのRiboLock (商標)リボヌクレアーゼ阻害剤の存在下で、反応バッファー中で行った(RevertAid (商標) H Minus First Strand cDNA合成キット, Fermentas GMBH, St. Leon-Rot, Germany)。リアルタイムPCRを用いて、ヘム、過酸化水素又は(NH4)Fe(SO4)2、過酸化水素及びアスコルベートの混合物に曝露したK562細胞中のA1M及びヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1) mRNAの発現を調べた。ヒトG3DPHを用いて、A1M及びHO-1の発現を標準化し、これらは図中にΔΔCtとして示す。プライマーは、以下のように設計した:A1Mフォワードプライマー5'-CACTCGTTGGCGGAAAGG-3'、リバースプライマー5'-ACTCATCATAGTTGGTGTGGAC-3'、HO-1フォワードプライマー5'-CAACAAAGTGCAAGATTCTG-3'、リバースプライマー5'-AAAGCC-CTACAGCAACTG-3';G3DPHフォワードプライマー5'-TGGTATCGTGGAAGGACTC-3'、リバースプライマー5'-AGTAGAGGCAGGGATGATG-3'。発現は、iQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad)を用いて分析した。増幅は、55℃にて40サイクルを、iCyclerサーマルサイクラー(Bio-Rad)中で行い、データはiCycler iQ Optical Systemソフトウェアを用いて分析した。
A1Mの発現は、肝実質細胞、組織球及び赤血球の株化細胞において、細胞を、ヘモグロビン、ヘム及びROSに曝露することにより増加する。A1Mの上方制御は、ケラチノサイト及び繊維芽細胞においても、ヘモグロビン及びROSに応答して見られる(示さず)。このことは、ケラチノサイトが主な細胞タイプを構成する皮膚における抗酸化防御のために重要であり得る。さらに、内因的に生成されたA1Mは、おそらく分泌及び細胞表面受容体による取り込みの後に、K562細胞の表面上に局在化し(示さず)、外因的に加えたA1Mも、細胞表面上で主に見出される(示さず)。つまり、末梢細胞は、肝臓により生成される血漿A1Mと、局所的に合成されたA1Mとの両方により保護され得る。
新しい結果は、それぞれA1Mの濃度とヘモグロビンの濃度の間、及びA1Mとタンパク質カルボニル基の間の相関関係を、ヒト疾患(PE)において示す。PEは、高血圧及び蛋白尿の臨床症状を示す妊娠の疾患である。PEは、ある程度の酸化ストレスを伴う疾患であることが知られている。我々の結果は、血漿ヘモグロビン濃度と酸化ストレスのバイオマーカーである血漿タンパク質カルボニル基の濃度が、疾患と相関することを示す(示さず)。我々は、血漿及び胎盤組織抽出物中のA1Mの濃度が、PE患者において著しく上昇し、血漿ヘモグロビン及びタンパク質カルボニル基濃度と相関することも見出した(図15及び16A〜D)。これらの結果は、A1Mの合成が、酸化ストレス及びヘモグロビン濃度の上昇を伴う疾患においてインビボで上方制御されることを示す。
上記のように、A1Mは、酸化ストレス中に、コラーゲンに対する保護及び修復の効果を有する。コラーゲンは、例えば基底膜及び皮膚組織における細胞外マトリックス(ECM)の主要な分子成分である。新しい実験結果は、A1Mが、ECM成長に対して正の効果を有することも示す(表3)。ヒト胎盤を、インビトロにてA1M又はバッファーのみで潅流し、次いで、組織を、遺伝子アレイ技術を用いるmRNAレベルの調査(表3)及び電子顕微鏡を用いる超微細構造の調査(図14)のためにサンプリングした。表3に示すように、多くの細胞外マトリックス遺伝子群が、A1M潅流により上方制御された。電子顕微鏡法は、2群のコラーゲン構造において明確な違いを示した。バッファーでの潅流は、コラーゲン繊維束の破壊、より薄いフィブリル、及び多量の散乱した単量体をもたらしたが、A1Mでの潅流は、反対の結果、すなわちフィブリルの厚さ及び数の増加をもたらした(図14)。よって、A1Mがパッチに含まれるか、包帯へ含浸されるか又はローションに含まれる製剤によりA1Mを局所的に用い得ることが考えられる。
ミクログロブリンを全般的に、A1Mを特に炎症性皮膚疾患の治療のために用いることについての可能性を調べるために、皮膚浸透実験を行った。興味対象の皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎及び乾癬のようなバリア機能が損なわれた炎症性疾患である。用いたモデルは、損なわれたバリア機能を考慮しており、U. Jacobi及びK. Engelら「Penetration of Pollen Proteins into the Skin」Skin Pharmacol Physiol 2007;20:297〜の文献に、アトピー性皮膚炎患者における皮膚を通してのタンパク質送達の決定のための適切なモデルとして記載されている。
用いた膜は、家畜のブタの内耳からの皮膚である。その理由は、浸透挙動に小さい変動を生じる長い経験と、ブタのA1Mが、ヒトの対応物から、ラジオイムノアッセイRIAにより分離可能であるということである。膜は、浸透実験の前にそれぞれ25又は50回テープ剥離する(tape-stripped)。
以下の処方例は、単に着想として含まれ、いずれの様式でも限定するとみなされない。処方は、最適な治療及び患者の服薬遵守を支持する任意の様式で使用者により組み合わせ、調節され、用いられ得る。
これらの例は、局所及び粘膜投与用の処方、非経口投与用の処方、並びに代替の投与経路の例を含む。
局所用組成物
以下の成分を含む組成物が作製される。
非経口組成物
以下の成分を含む組成物が作製される。
軟膏、親水性ワセリン
親水性軟膏
非経口投与用の液体(例えば筋肉内、静脈内、皮下又は皮内投与)。濃度範囲は推奨であり、適切であれば超過してよい。
Claims (4)
- アルファ-1-ミクログロブリンと医薬的に許容され得る賦形剤とを含み、前記アルファ-1-ミクログロブリンが、ヒトアルファ-1-ミクログロブリン(配列番号1)又はヒト組換えアルファ-1-ミクログロブリン(配列番号2)である、細胞外マトリックスの保護又は修復に用いるための医薬組成物。
- アルファ-1-ミクログロブリンが、非経口投与される請求項1に記載の医薬組成物。
- アルファ-1-ミクログロブリンが、局所的に、体腔又は皮膚に投与される請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- 前記医薬的に許容され得る賦形剤が、溶媒、pH調整剤、浸透活性剤、共溶媒、可溶化剤、乳化剤、懸濁化剤、界面活性剤、および湿潤剤から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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