JP5690197B2 - 開閉装置およびその防食方法 - Google Patents

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本発明は、水没して設置されるゲート等を開閉する開閉装置に係り、水面から露出する開閉軸を備えた開閉装置およびその防食方法に関するものである。
水路あるいは水槽内に水没させて設置されるゲートやバルブがあり、そのゲートやバルブを開閉する開閉装置がある。
図4は密閉状の水路に設置される開閉装置の一従来例を示す。水路Sと隣接区画を隔てる隔壁51の下部には通水管52が貫通し、水路Sに位置する通水管52の先端には通水流量を制御する制水弁53が取り付けられている。開閉装置54は、水位の上方に設置される開閉機55と、開閉機55に連結した上端側が水位から露出し、制御対象である制水弁53に連結した下端側が水位下に位置する開閉軸56と、を備える。開閉機55はスラブ57の上面に設置されており、開閉機55の手動ハンドル58またはモータ59の駆動により開閉軸56が軸心回りに回転し、制水弁53が通水管52を開閉する。この開閉軸56は強度等の関係から金属性のものが使用されている。
開閉装置のその他の制御対象としては、例えば制水扉等であり、その一従来例として特許文献1に記載のものが挙げられる。
特開平8−302654号公報
水路S内の水位WLは制水弁53の開閉及び流入変化により変動し、前記開閉軸は水路S内の水との接触と、水路S内の空気との接触を繰り返すことになる。また、密閉状の水路の場合、水面から揮発した水分を含んだ空気と、水面から露出した開閉軸が接触することなる。これによりその開閉軸が酸化され腐食が促進されるという問題点があった。
本発明はこのような問題を解決するために創作されたものであり、開閉軸の防食効果に優れる開閉装置およびその防食方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決するため、本発明は、水位の上方に設置される開閉機と、前記開閉機に連結した上端側が水位から露出し、制御対象に連結した下端側が水位下に位置する開閉軸と、を備えた開閉装置において、前記開閉軸の少なくとも水位から露出した軸周りを覆い、内部が外部から遮蔽された保護カバーを備え、前記保護カバーの内部に水を充填する充填手段を備えることを特徴とする。
当該開閉装置によれば、開閉軸の水位からの露出部が保護カバーによって外部から遮蔽されるため、水位変動による気液接触や水分を含んだ空気との接触が防止され、開閉軸の腐食が抑制される。
そして、当該開閉装置によれば、水を充填する充填手段を備えるので、開閉軸が水没することにより、空気中の酸素と接触するのを防止して、開閉軸の腐食が効果的に抑制される。
た、本発明にかかる開閉装置における前記充填手段は、水を前記保護カバーの内部に送水する水中ポンプを備えることを特徴とする。
この開閉装置によれば、簡単な構造で充填手段を実現できる。
また、本発明は、水位の上方に設置される開閉機と、前記開閉機に連結した上端側が水位から露出し、制御対象に連結した下端側が水位下に位置する開閉軸と、を備えた開閉装置において、前記開閉軸の少なくとも水位から露出した軸周りを覆い、内部が外部から遮蔽された保護カバーを設け、該保護カバーの内部に水を随時充填することを特徴とする。
当該開閉装置の防食方法によれば、水を充填する充填手段を備えるので、開閉軸が水没することにより、空気中の酸素と接触するのを防止して、開閉軸の腐食が効果的に抑制される。
本発明によれば、開閉軸の水位からの露出部が保護カバーによって外部から遮蔽されるため、露出部が水位変動による水と空気の接触を防止でき、また、水分を含んだ空気との接触が防止できるので、水と空気による金属性開閉軸の錆等の腐食が抑制される。
本発明に係る開閉装置の側面図である。 本発明における充填手段の第1の形態を示す部分側面図である。 本発明における充填手段の第2の形態を示す部分側面図である。 従来の開閉装置の側面図である。
図1において、本発明に係る開閉装置1は密閉状の水路Sに設けられる。水路Sとしては水の流れを伴うものであれば特に限定されるものではなく、貯水槽等の水槽や沈澱池等の上下水施設、工業用水路などが挙げられる。図1に示した水路Sは例えば浄水施設の水路であり、水位が最高水位HWLと最低水位LWLとの間で変動する場合を示している。最高水位HWLおよび最低水位LWLはそれぞれ通常の稼動状態において想定した最高水位、最低水位である。
水路Sと隣接区画を隔てる隔壁21の下部には通水管22が貫通し、水路Sに位置する通水管22の先端には通水流量を制御するバタフライ弁等の制水弁23が取り付けられている。開閉装置1は、水位の上方に設置される開閉機2と、開閉機2に連結した上端側が水位から露出し、制御対象である制水弁23に連結した下端側が水位下に位置する開閉軸3と、を備えて構成される。
開閉機2はスラブ24の上面に設置される。開閉機2には手動ハンドル2Aおよびモータ2Bが備えられている。開閉軸3は鉛直に延設され、その上端側はスラブ24の貫通孔24Aを通って開閉機2内で手動ハンドル2Aおよびモータ2Bの各駆動機構部(図示せず)と連結している。図1では2つの軸継手4、5を介して開閉軸3を3分割に構成した態様を示している。上方の軸継手4は最低水位LWLよりも上方に位置し、下方の軸継手5は最低水位LWLよりも下方に位置している。以上により、開閉機2の手動ハンドル2Aの手動操作またはモータ2Bの駆動によって開閉軸3が軸心回りに回転し、制水弁23が通水管22を開閉する。
以上の開閉装置1において、本発明は、開閉軸3の少なくとも水位から露出した軸周りを覆い、内部が外部から遮蔽された保護カバー6を備えることを主な特徴とする。本実施形態のように水位が変動する場合には、開閉軸3の少なくとも最低水位LWLから露出した軸周りを覆うように保護カバー6を設けることが好ましい。保護カバー6の材質は合成樹脂材や金属材等である。
水路Sが例えば、上水施設で塩素を含む水の場合、開閉軸3の最低水位LWLからの露出部が保護カバー6によって遮蔽されるので、水位が変動しても水路Sの塩素を含む水と接触することがない。また、水路S内の空気(塩素を含む雰囲気)から遮蔽されるため、塩素を含む水から揮発した塩素を含む水分を含有する空気からも遮蔽されることになり、腐食が抑制される。
図1は、保護カバー6を上部カバー7と下部カバー8とに上下2分割に構成した例を示している。上部カバー7および下部カバー8は例えば上下が開口した円筒状の部材であり、それぞれの上下端にフランジ9が形成されている。図2に示すように、上部カバー7の下端のフランジ9と下部カバー8の上端のフランジ9とは軸受支持板18を間に挟んでボルト10およびナット11により互いに締結される。上部カバー8の上端のフランジ9は、取付座12を介してスラブ24の貫通孔24A周りの下面にあてがわれて、水路Sの天井であるスラブ24にボルト類により締結固定される。図2では開閉機2の固定用のボルト13としてねじ部の長いものを用い、このボルト13とナット14とにより上部カバー7をスラブ24に固定した態様を示している。
以上の保護カバー6は開閉軸3と同心状に設けられる。保護カバー6の上端がスラブ24の下面に固定されることにより、開閉機2の内部も水路Sの空気から遮蔽されることになり、水分を含んだ空気が接触しないので、開閉機2の内部の腐食も抑制される。
下部カバー8の下部開口は、水位(本実施形態では最低水位LWL)よりも下方に位置する。下部カバー8の下部開口は、中央に開閉軸3を通すための軸通し孔が形成された底板15により閉塞されている。底板15は下部カバー8の下端のフランジ9にボルト16およびナット17により取り付けられる円板状の部材である。底板15の軸通し孔と開閉軸3との間の隙間Cは適宜な距離に設定されるが、この隙間Cを塞ぐように、開閉軸3の回転摺動を許容するシール部材を設けてもよい。
軸受支持板18は円板形状の部材であってその中央には軸受19用の取付孔が形成されている。軸受19は、アウタケース側が軸受支持板18の前記取付孔に嵌合して取り付けられ、インナケース側が開閉軸3に取り付けられる。これにより、保護カバー6は軸受19を介して開閉軸3に支持され、保護カバー6の鉛直姿勢が保持される。
また、開閉装置1は、簡単な構成で効果的に腐食を抑制する手段として、保護カバー6の内部に空気或いは水を充填する充填手段25を備える。この場合の充填する空気とは、水路S内の空気以外の気体が良く、水路Sの外気などが挙げられる。また、この場合の水とは、水路Sの水を充填しても良い。図1には充填手段25として2つの形態が示されている。第1の形態は、外気を保護カバー6の内部に送気するコンプレッサ26を設けるものであり、第2の形態は、水路Sの水を保護カバー6の内部に送水する水中ポンプ27を設けるものである。
「充填手段25の第1の形態」
コンプレッサ26は例えば地表のスラブ24上に載置される。図2に示すように、開閉機2のハウジングには送気孔2Cが形成され、この送気孔2Cに接続した送気管28を介してコンプレッサ26からの外気が開閉機2の内部に流入する。開閉機2の内部と保護カバー6の内部とは連通しているので、コンプレッサ26からの外気は保護カバー6の内部に充填されることとなる。なお、軸受支持板18には、保護カバー6の内部全体に外気が行きわたるように貫通孔18Aが複数形成されている。
以上により、保護カバー6の内部に外気が送気されると保護カバー6の内部に水路の水や水分の含んでいる空気が進入できなくなり、開閉軸3の腐食が抑制される。
コンプレッサ26から送気する際の保護カバー6内の空気の逃げとして前記隙間Cから空気を逃がすことができる。
また、外気は連続的に送気する必要はなく、適宜な時間を空けて間欠に送気すれば足りる。この場合、送気していない状態のときには、隙間Cを通して水路Sの水が最低水位LWLの位置まで保護カバー6の内部に流入しないように、カバー内の気圧を維持するのが良い。
「充填手段25の第2の形態」
水中ポンプ27は例えば水路Sの底部に載置される。図3に示すように、上部カバー7の上端寄りの周面には送水孔7Aが形成され、この送水孔7Aに接続した送水管29を介して水中ポンプ27から送水された水が保護カバー6の内部に流入して充填される。開閉機2の内部への水の流入を防ぐため、開閉機2の内部には、開閉軸3の回転摺動を許容するパッキン31を有するシール手段30が適宜に設けられる。
以上により、保護カバー6の内部に水が送水されると保護カバー6の内部が水で満たされることにより開閉軸3が水没するので、空気と接触することがないため、開閉軸3の腐食が抑制される。
水中ポンプ27から送水する際の保護カバー6内の水の逃げとして前記隙間Cから水を逃がすことができ、水を循環させても良い。水中ポンプ27の送水は連続的に行ってもよいし、適宜な時間を空けて間欠に送水してもよい。また、水中ポンプの水は、隙間Cから流入しても良い。
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。説明した実施形態では制御対象を制御弁としたが、その他の制御対象としては制水扉等が挙げられる。その他、本発明は図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能である。
1 開閉装置
2 開閉機
3 開閉軸
6 保護カバー
7 上部カバー
8 下部カバー
19 軸受
23 制水弁(制御対象)
25 充填手段
26 コンプレッサ
27 水中ポンプ
C 隙間
S 水路

Claims (3)

  1. 水位の上方に設置される開閉機と、前記開閉機に連結した上端側が水位から露出し、制御対象に連結した下端側が水位下に位置する開閉軸と、を備えた開閉装置において、
    前記開閉軸の少なくとも水位から露出した軸周りを覆い、内部が外部から遮蔽された保護カバーを備え
    前記保護カバーの内部に水を充填する充填手段を備えることを特徴とする開閉装置。
  2. 前記充填手段は、水を前記保護カバーの内部に送水する水中ポンプを備えることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
  3. 水位の上方に設置される開閉機と、前記開閉機に連結した上端側が水位から露出し、制御対象に連結した下端側が水位下に位置する開閉軸と、を備えた開閉装置において、
    前記開閉軸の少なくとも水位から露出した軸周りを覆い、内部が外部から遮蔽された保護カバーを設け、
    該保護カバーの内部に水を随時充填することを特徴とする開閉装置の防食方法。
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