本発明の第1実施形態の多重回転子形電動機について、図1および図3〜図5を参考にして説明する。図1は、第1実施形態の多重回転子形電動機1の構成を概念的に説明する断面図である。第1実施形態の多重回転子形電動機1は、固定子2、第1回転子3、第2回転子4、第1モータユニット5、第2モータユニット6、第3モータユニット7、および電源部8などで構成されている。多重回転子形電動機1は、軸線AXを中心とする概ね軸対称形状であり、固定子2および第1回転子3は図1で軸線AXの片側半分のみが示されている。
固定子2、第1回転子3、および第2回転子4は、半径方向の外側から内側へと記載した順序で同軸配置されている。固定子2は、図略のケースの内面に固定されている。固定子2は略円筒状であり、電磁鋼板を積層したコア21により形成されている。
第1回転子3は、固定子2の内径側に第1空隙39を介して対向配置され、図略の軸受け部により固定子2と相対回転可能に軸承されている。第1回転子3も略円筒状であり、電磁鋼板を積層した外径側の外側コア31と、同じく電磁鋼板を積層した内径側の内側コア37と、外側コア31と内側コア37とを磁気的に分離する磁気分離部34と、により形成されている。磁気分離部34は、例えば、非磁性材料を用いて形成することができる。あるいは、外側コア31および内側コア37のヨーク幅を十分広くして相互の磁気漏洩を抑制するように構成してもよい。
第2回転子4は、第1回転子3の内径側に第2空隙49を介して対向配置され、図略の軸受け部により第1回転子3と相対回転可能に軸承されている。第2回転子4は略円柱状であり、電磁鋼板を積層したコア41と、コア41の軸線AXに貫設されて一体的に回転する出力軸45とにより形成されている。
第1モータユニット5は、第2回転子4に設けられた誘導形の第1部分、および第1回転子3に設けられた第1要素を含んで構成され、三相誘導電動機になっている。第1部分は、第2回転子4のコア41にロータバーが埋め込まれて形成されたかご形回転子55である。また、第1要素は、第1回転子3の内側コア37に形成された凸状のティース38に巻回形成された第1電機子巻線51である。
第2モータユニット6は、第1回転子3に設けられた第2部分、および固定子2に設けられた第2要素を含んで構成され、三相同期電動機になっている。第2部分は、第1回転子3の外側コア31に永久磁石のN極とS極が周方向に交互に配置されて形成された磁石形回転子65(界磁体)である。また、第2要素は、固定子2のコア21に形成された凸状のティース22に巻回形成された第2電機子巻線61である。
第3モータユニット7は、第1回転子3に設けられた第3要素、および固定子2に設けられた第3部分を含んで構成され、三相同期発電機になっている。第3要素は、第1回転子3の外側コア31に形成された凸状のティース32に巻回形成された第3電機子巻線71である。また、第3部分は、固定子2のコア21に永久磁石のN極とS極が周方向に交互に配置されて形成された界磁固定子75(界磁体)である。後で詳述するように、第3電機子巻線71は、第1回転子3上で第1モータユニット5の第1電機子巻線51に電気接続されている。
なお、第1回転子3の磁気分離部34により、第1モータユニット5と、第2および第3モータユニット6、7との間の電磁的な相互干渉が抑制され、互いに独立して動作するようになっている。また、多重回転子形電動機1が安定して動作するためのトルク条件を満たすように第1〜第3モータユニット5〜7が設定されている。トルク条件とは、固定子2と第1回転子3との間に発生する第2トルクが、第1回転子3と第2回転子4との間に発生する第1トルク以上となる条件である。仮にトルク条件が満たされないと、第2回転子4が回転する際に第1回転子3が踏ん張りきれずに後転してしまい、出力軸45で所望する出力回転数が得られなくなる。
電源部8は、固定子2に設けられた第2モータユニット6の第2電機子巻線61に交流電流を通電する装置である。電源部8は、直流電源装置81、インバータ装置82、インバータ制御部83などにより構成されている。直流電源装置81には、例えばバッテリを用いることができ、その出力端子をインバータ装置82に接続して直流電圧を供給する。インバータ装置82は、直流電圧を三相交流電圧に変換して出力し、第2電機子巻線61に交流電流を通電する。インバータ装置82の出力電圧の大きさ、周波数、および位相は、インバータ制御部83で可変に制御される。
次に、第1実施形態と同等の動作をする第2実施形態の多重回転子形電動機10について説明する。図2は、第2実施形態の多重回転子形電動機10の構成を概念的に説明する断面図である。第2実施形態の多重回転子形電動機10は、第2モータユニット60および第3モータユニット70が軸長方向に分離配置されている点で第1実施形態と異なり、他の部分は類似している。
第2実施形態で、固定子20、第1回転子30、および第2回転子4は、半径方向の外側から内側へと記載した順序で同軸配置されている。固定子20は、軸長方向に並べて同軸配置された第2コア212および第3コア213により形成されている。第1回転子30は、固定子20の内径側に第1空隙39を介して対向配置されている。第1回転子30は、外径側で固定子20の第2コア212に対向する第2外側コア312と、外径側で固定子20の第3コア213に対向する第3外側コア313と、内径側の内側コア37と、第2外側コア312および第3外側コア313と内側コア37とを磁気的に分離する磁気分離部34と、により形成されている。
また、第2モータユニット60は、第1回転子30の第2外側コア312に設けられた磁石形回転子650、および固定子2の第2コア212設けられた第2電機子巻線610を含んで構成され、三相同期電動機になっている。第3モータユニット70は、第1回転子30の第3外側コア313に設けられた第3電機子巻線710、および固定子20の第3コア213に設けられた界磁固定子750を含んで構成され、三相同期発電機になっている。第3電機子巻線710は、第1モータユニット5の第1電機子巻線51に電気接続されている。
なお、第2実施形態で、第2回転子4、第1モータユニット5、および電源部8の構成は、第1実施形態と同じである。第2実施形態では、第2および第3モータユニット60、70間の電磁的な相互干渉を考慮する必要性が低いので、各モータユニットを設計する際の自由度が大きい。
第2実施形態の多重回転子形電動機10で、電源部8から第2電機子巻線610に交流電流を通電すると、第2モータユニット60は電動機として機能し、第1回転子30を回転駆動するとともに第3モータユニット70を発電機として駆動する。第3モータユニット70は発電機として機能し、第3電機子巻線710に交流電圧を誘起し、第1モータユニット5の第1電機子巻線51に交流電力を供給する。これにより、第1モータユニット5は電動機として機能し、第2回転子4を第1回転子30に対して回転駆動することができる。
図1に戻り、第1実施形態では、固定子2および第1回転子3が半径方向に並べて同軸配置され、第2モータユニット6と第3モータユニット7の大部分が軸長方向で互いに重なっている。また、第2モータユニット6の第2電機子巻線61の極数P2に対して、第3モータユニット7の第3電機子巻線71の極数P3は2倍になっている(P3=2×P2)。これにより、第2電機子巻線61および磁石形回転子65と、第3電機子巻線71および界磁固定子75との間の電磁的な相互干渉が抑制される。したがって、軸長方向で構造的に重なっていても、第2モータユニット6および第3モータユニット7の電磁作用は独立しており、互いに独立して動作する。つまり、第1実施形態の多重回転子形電動機1は第2実施形態と同等に動作して、第1回転子3を回転駆動し、さらに、第2回転子4を第1回転子3に対して回転駆動することができる。
次に、第1実施形態の第1〜第3モータユニット5〜7の構成についてさらに詳述する。図3は、第1実施形態で、第2モータユニット6の電気角360°に相当する第1〜第3モータユニット5〜7の構成を直線状に展開して示す軸線方向視図である。図3で、上側は外径側、下側は内径側であり、左右方向は周方向の電気角360°分の円弧状部分を直線状に展開表示したものである。第1実施形態で、第1〜第3モータユニット5〜7の第1〜第3電機子巻線51、61、71はそれぞれ、分布巻きで三相結線され、各相複数個のコイルで構成されている。また、第2モータユニット6の第2電機子巻線61の極数P2に対して、第3モータユニット7の第3電機子巻線71の極数P3ならびに第1モータユニット5の第1電機子巻線51の極数P1は2倍になっている(P3=P1=2×P2)。したがって、第2モータユニット6の電気角360°は、第3および第1モータユニット7、5の電気角720°に相当する。以降では、混乱を避けるために第2モータユニット6の電気角360°のみを用いて説明を進める。
図3で、最も外径側に配置される固定子2のコア21には、電気角360°中に12個の内向き凸状のティース22が形成されている、このティース22に第2モータユニット6の第2電機子巻線61が巻回形成されている。第2電機子巻線61は、内径側から順に、U相巻線(図中実線)、V相巻線(図中破線)、およびW相巻線(図中一点鎖線)から成っている。各相巻線は、電気角360°中に2個のコイルを有している。図3では、U相巻線の2個のU相コイル61U1、61U2がちょうど電気角360°中に収まっている。2個のU相コイル61U1、61U2はそれぞれティース22を5個分周回して、間に1個の空いたティース22Aが配されている。
2個のV相コイル61V1、61V2は、U相よりもティース22の4個分だけ図中の右方に配列され、U相コイル61U1、61U2と同様に巻回形成されている。さらに、2個のW相コイル61W1(2個目は図略)は、V相よりもティース22の4個分だけ図中の右方に配列され、U相コイル61U1、61U2と同様に巻回形成されている。つまり、コイル構成は各相で同じであり、配列はU相、V相、W相の順番に周方向にティース321の4個分ずつシフトしている。
また、固定子2のコア21のヨーク部23には、第3モータユニット7の界磁固定子75として二対4個の永久磁石75N1、75S1、75N2、75S2が埋め込まれている。永久磁石75N1、75S1、75N2、75S2は、N極とS極が周方向に交互に配置されており、周方向の長さはティース22の3個分よりもやや小さめとされている。
固定子2の内径側には、第1空隙39を介して第1回転子3が配置されている。第1回転子3は、電気角360°中に24個の外向き凸状のティース32が形成された外径側の外側コア31、24個の内向き凸状のティース38が形成された内径側の内側コア37、および両コア31、37の間に配置された磁気分離部34の三層構造になっている。外側コア31のティース32に第3モータユニット7の第3電機子巻線71が巻回形成されている。第3電機子巻線71の各相コイルはそれぞれティース32を5個分周回して巻回形成されている。すなわち、外径側から順に、U相巻線(図中実線)を構成する4個のU相コイル71U1〜71U4、V相巻線(図中破線)を構成する4個のV相コイル71V1〜71V4、W相巻線(図中一点鎖線)を構成する4個のW相コイル71W1〜71W3(4個目は図略)が配置されている。
また、第1回転子3の外側コア31のヨーク部33には、第2モータユニット6の磁石形回転子65として一対2個の永久磁石65N、65Sが埋め込まれている。永久磁石65N、65Sは周方向に配置されており、周方向の長さはティース32の12個分よりもやや小さめとされている。
一方、内側コア37のティース38に第1モータユニット7の第1電機子巻線51が巻回形成されている第1電機子巻線51は、外径側の第3電機子巻線71に対して同一のコイル構成で内外対称に配置され、各相コイルの周方向の相の配列順、および同相の周方向中心位置が全て一致している。すなわち、内径側から順に、U相巻線(図中実線)を構成する4個のU相コイル51U1〜51U4、V相巻線(図中破線)を構成する4個のV相コイル51V1〜51V4、W相巻線(図中一点鎖線)を構成する4個のW相コイル51W1〜51W3(4個目は図略)が配置されている。
第1回転子3の内径側には、第2空隙49を介して第2回転子4が配置されている。第2回転子4のコア41内には、第1モータユニット5の第1部分55としてのかご形回転子を構成するロータバーが埋め込まれている。
次に、第1〜第3電機子巻線51、61、71の結線方法ならびに電気接続について、図4を参考にして説明する。図4は、第1実施形態における第1〜第3電機子巻線51、61、71の結線方法ならびに電気接続を説明する図であり、(1)は三相Y結線を示し、(2)は三相Δ結線を示している。第1実施形態では、三相Y結線および三相Δ結線のどちらを用いてもよい。図4(1)では、第1〜第3電機子巻線51、61、71はそれぞれ、中性点51N、61N、71Nを有して三相Y結線されている。第2電機子巻線61のU相端子61UT、V相端子61VT、およびW相端子61WTは、電源部8のインバータ装置82に電気接続されている。第2電機子巻線61と第3電機子巻線71との間は、機械的な結合を介してエネルギが伝達される。
また、第3電機子巻線71と第1電機子巻線51との間は、接続リードにより任意の二相が入れ替えられて電気接続されている。図4(1)の例では、第3電機子巻線71のU相端子71UTが第1電機子巻線51のV相端子51VTに電気接続され、第3電機子巻線71のV相端子71VTが第1電機子巻線51のU相端子51UTに電気接続され、W相端子71WT、51WT同士が電気接続されている。二相を入れ替えることにより、第2電機子巻線61および第1電機子巻線51が形成するそれぞれの回転磁界の回転方向が一致する。これにより、第1回転子3および第2回転子4を同じ回転方向に駆動できる。
また、図4(2)では、第1〜第3電機子巻線51、61、71はそれぞれ、三相Δ結線されている。この結線方法は一般的であり詳述しないが、第3電機子巻線71と第1電機子巻線51との間では任意の二相が入れ替えられて電気接続されている。
図5は、三相Y結線された第1〜第3電機子巻線51、61、71の電気角360°分のコイル構成を例示説明する図である。図中の上段の第2電機子巻線61では、U相巻線が例示されている。すなわち、U相端子61UTから出た導体は、第1のU相コイル61U1でティース22を5個分所定回数だけ時計回りに周回したのち、第2のU相コイル61U2に渡ってティース22を5個分所定回数だけ反時計回りに周回して中性点61Nに達することを示している。図略の他相のV相巻線およびW相巻線も、周方向にティース32の4個分ずつ順番にシフトして配置され、同じコイル構成となっている。
また、図中の中段の第3電機子巻線71でも、U相巻線が例示されている。すなわち、U相端子71UTから出た導体は、第1のU相コイル71U1でティース32を5個分所定回数だけ時計回りに周回したのち、同様に第2のU相コイル71U2で反時計回りに周回し、第3のU相コイル71U3で時計回りに周回し、第4のU相コイル71U2で反時計回りに周回して中性点71Nに達することを示している。さらに、下段の第1電機子巻線51のコイル構成は第3電機子巻線71と同じで、第1〜第4のV相コイル51V1〜51V4の直列接続が例示されている。そして、第3電機子巻線71と第1電機子巻線51とで二相を入れ替えて電気接続するために、第3電機子巻線71のU相端子71UTと第1電機子巻線51のV相端子51VTとが電気接続されている。
次に、上述のように構成された第1実施形態の多重回転子形電動機1の動作について説明する。電源部8のインバータ装置82から第2モータユニット6の第2電機子巻線61に周波数f2の三相交流電流を通電したときの同期回転数n2は、極数P2を用いて
同期回転数n2=f2/P2
で示される。また、第2モータユニット6ですべりs2が発生し得る一般的な場合を想定すると、第2モータユニット6の実際の回転数N2は、
実際の回転数N2=n2×(1−s2)
で示される。この回転数N2で、第2モータユニット6は第1回転子3を固定子2に対して回転駆動する。
これにより、第3モータユニット7の第3電機子巻線71が固定子2側の界磁固定子75に対して回転駆動され、電磁誘導作用により第3電機子巻線71に交流電圧が誘起される。この交流電圧が印加された第1モータユニット5の第1電機子巻線51は回転磁界を形成し、回転磁界の同期回転数n1は、第3および第1モータユニットの極数P3、P1を用いて、
同期回転数n1=N2×(P3/P1)
=n2×(1−s2)×(P3/P1)
で示される。したがって、第1モータユニット5の実際の回転数N1は、すべりs1を用いて、
実際の回転数N1=n1×(1−s1)
=n2×(1−s2)×(P3/P1)×(1−s1)
で示される。この回転数N1で、第1モータユニット6は第2回転子4を第1回転子3に対して回転駆動する。
このため、固定子2に対する第2回転子4の出力回転数Noutは、実際の回転数N2と回転数N1を加算した値となり、
出力回転数Nout=N2+N1
=n2×(1−s2)×{1+(P3/P1)×(1−s1)}
で示される。本第1実施形態では、第2モータユニット6は三相同期電動機として機能するのでs2=0と考えることができ、また極数P3=P1であり、これらを代入すると、
出力回転数Nout=n2×(2−s1)
となる。つまり、本第1実施形態によれば、周波数f2で駆動される単一形の電動機の2倍までの出力回転数Noutを得ることができる。また、上述の動作は、第2実施形態の多重回転子形電動機10でも同様である。
以上説明したように、第1および第2実施形態の多重回転子形電動機1、10によれば、単一形の電動機の2倍までの高速回転化が可能である。また、複数のモータユニット5、6(60)、7(70)を別々に設けるのではなく複合一体化しているので、多重回転子形電動機1、10を小型化でき、製造コストは低廉になる。さらに、第2モータユニット6と第3モータユニット7の大部分が軸長方向で互いに重なっており、固定子2および第1回転子3のコンパクト化が可能になり、多重回転子形電動機1をより一層小型化できる。加えて、第3モータユニット7から第1モータユニット5に非接触で交流電力を供給するので摺動形の回転給電部が不要となり、メンテナンスフリーを実現でき、ランニングコストも低廉になる。また、電源部8は、周波数f2を可変とする単一のインバータ装置82で実現できることから、製造コストは一層低廉になる。
また、第2モータユニット6は、第2部分を磁石形回転子65とした三相同期モータであり、第2および第3モータユニット6、7の極数P2、P3が互いに異なるので、両モータユニット6、7間の電磁的な相互干渉が抑制され、動作が安定化する。一方、第3モータユニット7の第3部分は、永久磁石75N1、75S1、75N2、75S2により形成された界磁固定子75とされており、小型化および製造コスト低廉化の効果が顕著になる。さらに、第1〜第3電機子巻線51、61、71をそれぞれ三相結線しているので、従来の三相交流電動機や電源部8としてのインバータ装置82の技術を応用でき、多重回転子形電動機1、10の動作が安定し、コスト面でも優れる。
また、第1および〜第3電機子巻線51、71をそれぞれ構成する各相コイルの周方向の相の配列順が全て一致し、各相コイルの同相の周方向中心位置が一致している。さらに、各相コイルが三相Y結線または三相Δ結線されており、かつ第1電機子巻線51と第3電機子巻線71との間でU相とV相が入れ替えられて電気接続されている。これにより、第1回転子3上の2つの電機子巻線51、71内のコイル構成やコイル間の接続方法が統一されて分かりやすくかつ製造作業も容易となり、加えて電機子巻線51、71間の電気接続の作業が容易になって製造コストを削減できる。また、電機子巻線51、71間の電気接続の方法を定めたことにより、確実に第2回転子4の回転方向を適正化できる。
次に、第3実施形態の多重回転子形電動機について説明する。第3実施形態の多重回転子形電動機は、第1実施形態の第1回転子3上の第1電機子巻線51および第3電機子巻線71に代えトロイダルコイル群9を有して構成され、他の部位は第1実施形態と同じである。図6は、第3実施形態の多重回転子形電動機11の固定子2、第1回転子300、および第2回転子4の電気角360°分の構成を直線状に展開して示す軸線方向視図である。図6で、上側は外径側、下側は内径側であり、左右方向は第2モータユニット6の周方向の電気角360°分の円弧状部分を直線状に展開表示したものである。トロイダルコイル群9は、電気角360°の範囲で24個のトロイダルコイルにより構成されている。
図6を図3と比較するとわかるように、第3実施形態では、第3電機子巻線71を構成する4個のU相コイル71U1〜71U4および第1電機子巻線51を構成する4個のV相コイル51V1〜51V4に代えて、8個のU−V相トロイダルコイル9UV1〜9UV8(図中実線)が設けられている。同様に、第3電機子巻線71を構成する4個のV相コイル71V1〜71U4および第1電機子巻線51を構成する4個のU相コイル51U1〜51U4に代えて、8個のV−U相トロイダルコイル9VU1〜9VU8(図中破線)が設けられている。また、第3電機子巻線71を構成する4個のW相コイル71W1〜71W3(4個目は図略)および第1電機子巻線51を構成する4個のW相コイル51W1〜51W3(4個目は図略)に代えて、8個のW−W相トロイダルコイル9WW1〜9WW8(図中一点鎖線)が設けられている。
各トロイダルコイル9UV1〜9WW8は、第1回転子300の外側コア31および内側コア37の両方に鎖交するように磁気分離部34を跨って巻回形成されている。第1のU−V相トロイダルコイル9UV1は、第3電機子巻線71の第1のU相コイル71U1が巻回されていた外側コア31の一方のティース間311と、第1電機子巻線51の第1のV相コイル51V1が巻回されていた内側コア47の一方のティース間371との間に巻回形成されている。第2のU−V相トロイダルコイル9UV2は、第3電機子巻線71の第1のU相コイル71U1が巻回されていた外側コア31の他方のティース間312と、第1電機子巻線51の第1のV相コイル51V1が巻回されていた内側コア37他方のティース間372との間に巻回形成されている。
同様に、第3および第4のU−V相トロイダルコイル9UV3、9UV4はそれぞれ、第3電機子巻線71の第2のU相コイル71U2が巻回されていた外側コア31の一方および他方のティース間と、第1電機子巻線51の第2のV相コイル51V2が巻回されていた内側コア37の一方および他方のティース間との間に巻回形成されている。第5〜第8のU−V相トロイダルコイル9UV5〜9UV8も、同様に巻回形成されている。なお、第8のU−V相トロイダルコイル9UV8は、紙面の制約から360°ずれた位置に示されている。結局、各U−V相トロイダルコイル9UV1〜9UV8は、外側コア31よりも内側コア37で周方向に4ティース分だけ図中の右方向にシフトするように巻回形成されている。
同様に、8個のV−U相トロイダルコイル9VU1〜9VU8はそれぞれ、第3電機子巻線71のV相コイル71V1〜71V4が巻回されていた外側コア31のティース間と、第1電機子巻線51のV相コイル51V1が巻回されていた内側コア47のティース間との間に巻回形成されている。なお、第8のV−U相トロイダルコイル9VU8は、紙面の制約から360°ずれた位置に示されている。結局、各V−U相トロイダルコイル9VU1〜9VU8は、外側コア31よりも内側コア37で周方向に4ティース分だけ図中の左方向にシフトするように巻回形成されている。
また、8個のW−W相トロイダルコイル9WW1〜9WW8はそれぞれ、第3電機子巻線71のW相コイル71W1〜71W3(4個目は図略)が巻回されていた外側コア31のティース間と、第1電機子巻線51のW相コイル51W1〜51W3(4個目は図略)が巻回されていた内側コア47のティース間との間に巻回形成されている。なお、第6〜第8のW−W相トロイダルコイル9WW6〜9WW8は、紙面の制約から360°ずれた位置に示されている。結局、各W−W相トロイダルコイル9WW1〜9WW8は、外側コア31と内側コア37との間で概ね径方向に巻回形成されている。
図6に示されるように3相のトロイダルコイルは互いに交差しており、1ターン長が長いトロイダルコイルがコアに近い内側に配置され、1ターン長が短いトロイダルコイルがコアから遠い外側に配置されている。例えば、1ターン長が長いU−V相トロイダルコイル(9UV4、9UV5)またはV−U相トロイダルコイル(9VU4、9VU5)がコア31、37に近い最も内側に配置され、1ターン長が短いW−W相トロイダルコイル(9WW2、9WW3)がコア31、37から遠い最も外側に配置されている。これにより、各相のトロイダルコイルのコイル線長の差が低減されて特性が揃い、多重回転子形電動機としての動作を安定化できる。
次に、トロイダルコイル群9の機能について説明する。固定子2の界磁固定子75の永久磁石75N1〜75S2から出た磁束は、固定子2のコア21から第1回転子3の外側コア31に到達し、各トロイダルコイル9UV1〜9WW8に鎖交する。ここで、第1回転子3が回転すると鎖交している磁束が変化するので、各トロイダルコイル9UV1〜9WW8に交流電圧が誘起されて交流電流が流れる。この交流電流により、内側コア37に磁束が発生し、第1電機子巻線51と同様の回転磁界を形成することができる。したがって、各トロイダルコイル9UV1〜9WW8は、第1実施形態の第1電機子巻線51および第3電機子巻線71と同等の機能を有する。
次に、トロイダルコイル群9の配置を変形した第3実施形態のバリエーションについて説明する。図6に示される第3実施形態では、トロイダルコイルが互いに交差して重なっているので、多重回転子形電動機が軸線方向に大形化してしまう。この対応策として、トロイダルコイル群9を巻回形成する引き回しルートを変更するバリエーションが考えられる。図7は、第3実施形態の多重回転子形電動機のバリエーションの電気角360°分の構成を直線状に展開して示す軸線方向視図である。図示されるように、W−W相トロイダルコイル9WW1〜9WW8を避けるように、U−V相トロイダルコイル9UV1〜9UV8およびV−U相トロイダルコイル9VU1〜9VU8を屈曲させて引き回すことができる。これにより、コイル相互の交差をなくして軸線方向の大形化を避けることができる。
次に、トロイダルコイル群9の結線方法について、図8を参考にして説明する。図8は、第3実施形態およびそのバリエーションでの第2電機子巻線61およびトロイダルコイル群9の結線方法および電気接続を説明する図であり、(1)は三相Y結線を示し、(2)は三相Δ結線を示している。第3実施形態では、三相Y結線および三相Δ結線のどちらを用いてもよい。図8(1)および(2)で、第2電機子巻線61が三相Y結線または三相Δ結線され、インバータ装置82に電気接続される点は第1実施形態と同じである。
一方、トロイダルコイル群9では、まず、同相の8個のトロイダルコイルが順次直列接続される。つまり、第1〜第8のU−V相トロイダルコイル9UV1〜9UV8が直列接続されてU−V相コイル群9UVMが構成され、第1〜第8のV−U相トロイダルコイル9VU1〜9VU8が直列接続されてV−U相コイル群9VUMが構成され、第1〜第8のW−W相トロイダルコイル9WW1〜9WW8が直列接続されてW−W相コイル群9WWMが構成される。そして、図8(1)の三相Y結線では、端子点9Tと中性点9Nの間に3つのコイル群9UVM、9VUM,9WWMが並列に結線される。また、図8(2)の三相Δ結線では、3つのコイル群9UVM、9VUM,9WWMが環状に結線される。
図9は、第2回転子4から固定子2および第1回転子3を見た場合の、三相Y結線された第2電機子巻線61およびトロイダルコイル群9の電気角360°分のコイル構成を説明する図である。図中の上段の第2電機子巻線61のコイル構成は、図5で説明した第1実施形態と同じである。トロイダルコイル群9のコイル構成は錯綜して見えにくいので、図10〜図12に分けて再掲する。
図10は、第2回転子4から固定子2および第1回転子3を見た場合の、三相Y結線されたトロイダルコイル群9中のU−V相コイル群9UVMのコイル構成を説明する図である。図示されるように、端子点9Tから出た導体は、第1のU−V相トロイダルコイル9UV1で所定回数だけ反時計回りに周回したのち、第2のU−V相トロイダルコイル9UV2に渡って所定回数だけ時計回りに周回し、第3のU−V相トロイダルコイル83に渡る。以降同様に、導体は、第3〜第8のU−V相トロイダルコイル9UV3〜9UV8を所定回数だけ周回したのち、中性点9Nに達する。
図11に示されるV−U相コイル群9VUMのコイル構成、および図12に示されるW−W相コイル群9WWMのコイル構成も、図10のU−V相コイル群9UVMと概ね同様である。図10〜図12で、紙面の制約から一部のトロイダルコイルは360°ずれた位置に示されている。なお、図10〜図12に示す第3実施形態では、ひとつの同相トロイダルコイル群9UVM、9VUM、9WWMに周回方向(時計回り、反時計回り)の異なるコイルが混在している場合が例示されており、コイルの周回方向を統一しコイル間の繋ぎ方を変更することにより対処してもよい。
上述のように構成された第3実施形態の多重回転子形電動機の動作は、トロイダルコイル群9が第1電機子巻線51および第3電機子巻線71と同じ機能を果たすので、第1実施形態と同様になる。また、第1実施形態と同等の効果に加えてさらに、トロイダルコイル9UV1〜9WW8が外側コア31および内側コア37に跨って巻回されることにより保持強度が向上するので、耐遠心力強度の確保が容易となり、製造コストを低減できる。
次に、車両の走行駆動源に用いる第4実施形態の多重回転子形電動機11について説明する。図13は、ハイブリッド車両に搭載された第4実施形態の多重回転子形電動機11の構成を概念的に説明する断面図である。第4実施形態の多重回転子形電動機11の主要部は第1実施形態と同じであり、次の点が異なる。すなわち、第1回転子3はワンウェイクラッチ191を介してエンジン出力軸192に連結され、第2回転子4の出力軸45は変速機入力軸193に直結されて駆動輪を駆動できるように構成されている。また、電源部80の直流電源装置81には車載バッテリ810が用いられ、インバータ装置820は双方向の電力変換機能を有している。
上述の構成で、走行駆動源として電動機11のみを用いてハイブリッド車両を走行させることができる。このとき、ワンウェイクラッチ191の作用によりエンジン出力軸192が遊転するのでエンジンが余分な負荷にならない。また、走行駆動源として電動機11とエンジンを併用することができる。このとき、インバータ制御部83からの制御を調整することで、電動機11はエンジン出力軸192よりも高い回転数を変速機入力軸193に出力でき、またトルクを付加してアシストすることができる。さらに、インバータ装置820を停止したエンジン単独駆動時には、電動機11はエンジン出力軸192よりも大きな回転数で小さなトルクを変速機入力軸193に出力する。
一方、多重回転子形電動機11を発電機として用い、車載バッテリ810を充電することができる。エンジン出力軸192から第1回転子3を回転駆動すると、前述したように第3モータユニット7が発電機となり第1モータユニット5が電動機となって出力軸45を高速回転駆動できる。これに並行して第2モータユニット6を発電機として用い、第2電機子巻線61からインバータ装置820に交流電力を出力して車載バッテリ810を充電することができる。
また、駆動輪に制動力が要求されるときには、走行エネルギを回生することにより車載バッテリ810を充電することができる。このとき、電動機11およびエンジンはトルクを出力せず、第1モータユニット5は駆動輪から駆動される発電機となり、第1電機子巻線51に誘起された交流電圧が第3電機子巻線71に印加される。これにより、第3モータユニット7は電動機となって第1回転子3を回転駆動し、第2モータユニット6が発電機となって、第2電機子巻線61からインバータ装置820に交流電力を出力して車載バッテリ810を充電する。
次に、第5実施形態の多重回転子形電動機1Aについて説明する。図14は、第5実施形態の多重回転子形電動機1Aの構成を概念的に説明する断面図である。第5実施形態の多重回転子形電動機1Aにおいて、固定子2A、第1回転子3A、および第2回転子4Aは略同径に形成され、記載した順番で軸長方向に同軸配置されている。多重回転子形電動機1Aは、軸線AYを中心とする概ね軸対称形状であり、図14には軸線AYの片側半分のみが示されている。
固定子2Aは、図略のケースの内面に固定されている。第1回転子3Aは、固定子2の隣(図中右側)に第1空隙39Aを介して同軸配置され、図略の軸受け部により固定子2Aと相対回転可能に軸承されている。第2回転子4Aは、第1回転子3Aの隣(図中右側)に第2空隙49Aを介して同軸配置され、図略の軸受け部により第1回転子3Aと相対回転可能に軸承されている。また、第2回転子4Aの軸心には、出力軸45Aが貫設されている。
第1モータユニット5Aは、第2回転子4Aに設けられた誘導形の第1部分55A、および第1回転子3Aに設けられた第1要素51Aを含んで構成されている。第2モータユニット6Aは、第1回転子3Aに設けられた第2部分65A、および固定子2Aに設けられた第2要素61Aを含んで構成されている。第3モータユニット7Aは、第1回転子3に設けられた第3要素71A、および固定子2に設けられた第3部分75Aを含んで構成されている。第3要素71Aは、第1回転子3A上で第1モータユニット5Aの第1要素51Aに電気接続されている。電源部8は、固定子2Aに設けられた第2モータユニット6Aの第2要素61Aに交流電流を通電する装置であり、その構成は第1実施形態と同じである。
なお、第1〜第3要素51A、61A,71Aおよび第1〜第3部分55A、65A、75Aには、巻線や界磁体を適宜組み合わせて用いることができる。また、第1回転子3Aの磁気分離部34Aにより、第1モータユニット5Aと、第2および第3モータユニット6A、7Aとの間の電磁的な相互干渉が抑制され、互いに独立して動作するようになっている。さらに、多重回転子形電動機1Aが安定して動作するためのトルク条件を満たすことは、第1実施形態と同様である。
第5実施形態では、第2モータユニット6Aと第3モータユニット7Aの大部分が固定子2Aの径方向で互いに重なっているが、第2要素61Aと第3要素71Aとを互いに異なる極数とすることで相互干渉を抑制できる。したがって、固定子2Aおよび第1回転子3Aの小径化による多重回転子形電動機1Aの小型化が可能となる。また、高速回転化やメンテナンスフリー、コスト低減の効果は第1実施形態と同様である。
次に、概念的に説明した第1実施形態の多重回転子形電動機1の実態構成を実施例で説明する。図15は、第1実施形態の多重回転子形電動機1の実態構成の同軸内外配置例14を説明する断面図である。同軸内外配置例14では、第2および第3モータユニット6、7が軸線方向で互いに重なって配置され、その内径側に第1モータユニット5が配置されている。また、図16は、第1実施形態とはモータユニット50、6、7の配置が異なる多重回転子形電動機の実態構成のタンデム配置例15を説明する断面図である。タンデム配置例15では、第2および第3モータユニット6、7が軸線方向で互いに重なって配置され、その軸線方向に並んで第1モータユニット50が配置されている。
図15に示される同軸内外配置例14で、第2電機子巻線61および界磁固定子75が配設された固定子2は、ケース194の内面に固定されている。固定子2の内径側に、第1回転子3が配置されている。第1回転子3の外径側には磁石形回転子65および第3電機子巻線71が配設され、内径側には第1電機子巻線51が配設されている。また、第1回転子3は、軸線方向両側に延びる円筒状の中間軸3Mを有している。中間軸3Mは、軸線AX方向の両側で縮径され、縮径された両側の端部3M2、3M3の外周面とケース194との間に一対の軸受け部3M4、3M5が配設されている。軸受け部3M4、3M5により、中間軸3Mはケース194に回転自在に軸承されている。第1回転子3の内径側に、第2回転子4が配置されている。
第2回転子4にはかご形回転子55が配設され、また出力軸45が貫設されている。出力軸45は軸線方向両側に延在し、その両側の端部451、452はケース194の外部に突出している。出力軸45の各端部451、452寄りの外周面と中間軸3Mの端部3M2、3M3の内周面との間に一対の軸受け部453、454が配設されている。軸受け部453、454により、出力軸45は中間軸3Mに回転自在に軸承されている。なお、電源部8は、図15では省略されている。
図15の同軸内外配置例では、軸受け部3M4、3M5には第1回転子3の回転数が作用し、軸受け部453、454には第2回転子4と第1回転子3との相対回転数が作用する。つまり、軸受け部3M4、3M5、453、454に作用する回転数は、出力軸45のケース194に対する出力回転数よりも小さくなり、受けるストレスが小さくなって信頼性が向上する。
図16に示されるタンデム配置例15で、第2電機子巻線61および界磁固定子75が配設された固定子200はケース194の内面に固定されている。固定子200の内径側に、第1回転子301が配置されている。第1回転子301の固定子200に対向する位置の外側コア31に、磁石形回転子65および第3電機子巻線71が配設されている。また、第1回転子301の中心には中間軸3Nが貫設されている。中間軸3Nの軸線方向の一側(図中左側)は延在し、その一端部3N1がケース194の外部に突出している。中間軸3Nの一端部3N1寄りの外周面とケース194との間に軸受け部3N3が配設されている。また、中間軸3Nの軸線方向の他側は拡径されて有底円筒部3N2となっている。有底円筒部3N2の内周面に内側コア37および第1電機子巻線51が配置されている。本実施例では、第1回転子301の外側コア31と内側コア37との間は十分に離隔しており、磁気分離部は不要である。
第1回転子301の内側コア37の内径側に、第2回転子4が配置されている。第2回転子4にはかご形回転子55が配設され、また中心には出力軸45が貫設されている。出力軸45の軸線方向の一側(図中右側)は延在し、その一端部451がケース194の外部に突出している。出力軸45の一端部451寄りの外周面とケース194との間に軸受け部453が配設されている。出力軸45は軸線方向の他側(図中左側)にも延在しており、その他端部452と中間軸3Nの有底円筒部3N2との間に軸受け部454が配設されている。中間軸3Nおよび出力軸45は、軸受け部3N3、453、454の協働により、ケース194に回転自在に軸承されている。なお、電源部8は、図16では省略されている。
図16のタンデム配置例15では、軸受け部3N3には第1回転子301の回転数が作用し、軸受け部454には第2回転子4と第1回転子301との相対回転数が作用する。そして、軸受け部453にはケース194に対する第2回転子4の出力回転数、すなわち大きな回転数が作用する。したがって、特に出力回転数を大きくしたい場合には、潤滑用のオイルを直接噴射するなどの方策により、軸受け部453の性能向上、および信頼性向上を図ることが好ましい。
なお、各実施形態および実施例で、第1回転子3、30、300、301および出力軸45の回転位相を検出する回転角度センサを設け、インバータ制御部73で回転位相を参照しつつ制御を行うことが好ましい。また、第1〜第3モータユニット5〜7の第1〜第3要素および第1〜第3部分を同軸内外に配置した例を示したが、これに限定されず、各要素と各部分を軸線方向に並べた構造のモータユニットであってもよい。