JP5680847B2 - マイクロレンズアレイシート - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロレンズアレイシートに関し、特に、液晶表示装置などの透過型表示装置を背面から照明する照明装置に使用されるマイクロレンズアレイシートに関する。
液晶表示装置(LCD)は、他の平板表示装置(FPD)と異なり自発光デバイスではないため、冷陰極線管(CCFL)やLEDなどの照明装置からの光を拡散板によって拡散させ、均一な照明とした後、光源の光の透過率を制御することで、画像を形成している。
近年、LCDTVの低下価格化や薄型化が求められ、光源の数を減らしたり、光源と拡散板及び液晶パネルとの間の距離を短くしたりする結果、従来のように拡散板による拡散のみでは、光源の明暗が縞状に透けて見えてしまう場合がある。
光源の透けを防止するため、拡散板に白ドットや白ストライプを印刷したり、拡散板の曇度(ヘイズ)を大きくしたり、さらに拡散板を追加する方法等がとられている。しかしながら、白ドット/白ストライプを印刷する方法は、光源との位置合わせが必要で、また、拡散板に後加工で印刷する必要があり、製造が複雑化し、コストアップにつながる。一方、拡散板のヘイズを大きくしたり、拡散板を追加する方法は、輝度低下やコストアップにつながる。
また、輝度を向上させるために、透明基板上に凸状の微小なマイクロレンズを複数配置したマイクロレンズアレイシートを、液晶表示装置に用いる方法がある。マイクロレンズアレイシートを用いた液晶表示装置では、光源から照射された光が、拡散板で一旦拡散された後にマイクロレンズアレイシートでコリメートされ、液晶パネルへ入射される。
マイクロレンズアレイシートの例として、以下の特許文献1〜4が挙げられる。特許文献1〜4に記載のマイクロレンズアレイシートは、透明平板に凸状の曲面形状のマイクロレンズが複数配置されている。
一方、引用文献5には、凸状の曲面形状の間に凹状の曲面形状を形成したレンチキュラーレンズシートが記載されているが、一方向に一定断面を有するシリンドリカルレンズが適用されている。
また、特許文献6,7には、光の利用効率を向上させるためにマイクロレンズアレイシートのレンズ形状を非球面形状とすることが開示されている。これらの非球面形状のマイクロレンズは、レンズの裾が凹状の曲面形状に形成されているが、これらの発明は、開口部(受光部)へ導く光の利用率を向上させることが目的のため、これら凹状曲面部においても、マイクロレンズと中心軸を共有する回転対称に形成されている。
特表2008−527627号公報 特表2006−500621号公報 特開2005−55485号公報 特開平3−73954号公報 特開平11−38203号公報 特開2002−122707号公報 特開平4−303801号公報
マイクロレンズアレイシートは、通常、輝度向上のために用いられるが、バックライトのCCFL起因の明暗斑を見えにくくする作用(隠蔽性)については、もっぱら拡散板等にたより、マイクロレンズアレイシートにそのような機能を持たせることは、特許文献1〜7には一切記載されていない。
また、引用文献5に記載のレンチキュラーレンズは、バックライト用ではなく、型からの離型や型寿命を目的としており、隠蔽性に関しては触れられていない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、隠蔽性が向上しバックライトの明暗斑を高いレベルで低減させることが可能なマイクロレンズアレイを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るマイクロレンズアレイは、光を透過する基板と、前記基板の一方面に配置される複数の単位レンズと、を有し、前記単位レンズ同士の間の隙間に凹状の曲面である凹曲面が形成され、当該凹曲面が単位レンズの光軸に沿う中心軸に対して非回転対称に形成され、隣接する前記単位レンズ同士の間に稜線が形成され、隣接する少なくとも3つの単位レンズの間に、当該単位レンズおよび前記稜線によって囲まれる凹領域が形成され、前記単位レンズの中心軸と前記凹領域の最も深い最下部とを通る断面における前記凹曲面の曲率半径が、前記稜線に沿う断面における前記凹曲面の曲率半径よりも大きい、バックライト用のマイクロレンズアレイシートである。
上記のように構成したマイクロレンズアレイによれば、単位レンズ同士の間の隙間に形成される凹曲面が、単位レンズの中心軸に対して非回転対称に形成されているため、単位レンズの中心軸からの方向に応じて異なる幅を有する間隙に対応して、広い範囲に凹曲面を形成することができる。これにより、間隙が平坦であると間隙部から素抜けてしまう光を屈曲させることができ、マイクロレンズアレイシートの隠蔽性を向上させることができる。
液晶表示装置を示す概略図である。 本実施形態に係るマイクロレンズアレイシートを示す平面図である。 本実施形態に係るマイクロレンズアレイシートを示し、(A)は拡大平面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図、(C)は(A)のC−C線に沿う断面図である。 本実施形態に係るマイクロレンズアレイシートの他の例を示す平面図である。 成形型を作製する際を示す部分拡大斜視図である。 本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート内を透過する光を説明するための概略断面図である。 単位レンズおよび凹曲面の断面を幾何学的に示す概略断面図である。 単位レンズが六方配列のマイクロレンズアレイシートの拡大平面図である。 単位レンズが正方配列のマイクロレンズアレイシートの拡大平面図である。 マイクロレンズアレイシートの面積比率に対する相対輝度の関係のシミュレーション結果および実測値を示すグラフである。 本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート内を透過する光を説明するための概略断面図である。 単位レンズがランダム配列されたマイクロレンズアレイシートの平面図である。 大きな単位レンズの間に小さな単位レンズが配列されたマイクロレンズアレイシートの平面図であり、(A)正方配列、(B)は六方配列、(C)はランダム配列を示す。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張される場合があり、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート1は、図1に示すように、液晶表示装置9に使用されるものである。液晶表示装置9は、反射板2と、光源であるバックライト3と、光を拡散させる拡散板4と、拡散板4を通過した光をコリメートするマイクロレンズアレイシート1と、液晶パネル5とを備えている。本実施形態におけるマイクロレンズアレイシート1は、液晶表示装置9の液晶パネル5の背面に配置されており、輝度向上および視野角制御のために使用される。
本マイクロレンズアレイシート1は、図2,3に示すように、基板10と、基板10の一方面に設けられる複数の単位レンズ11とを備えており、基板10および単位レンズ11は、光を透過する材料で形成されている。本実施形態における単位レンズ11は、基板10上に六方配列で配置される。
単位レンズ11は、頂部近傍が略半球形状である凸状の曲面で形成されており、単位レンズ11同士の間の隙間には、凹状の曲面で形成される凹曲面12が形成されている。
基板10は、例えばアクリル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂またはポリオレフィン系樹脂等で形成されるが、材料はこれらに限定されない。
単位レンズ11は、例えばウレタンアクリレート系の紫外線硬化性樹脂で形成されるが、材料はこれらに限定されない。また、基板10と単位レンズ11を同一材料で一体的に作製することもできる。
凹曲面12は、基板における単位レンズ11の間の間隙部13に、平坦な面で形成される平坦部が可能な限り形成されないようにするために、各々の単位レンズ11の光軸方向の中心軸Xに対して、非回転対称に形成されている。このような非回転対称性を備えることで、単位レンズ11の中心軸Xからの方向に応じて異なる幅を有する間隙部13に対応して、広範囲に凹曲面12を形成することができ、間隙部13に生じる平坦部の面積を極力減少させ、望ましくは、マイクロレンズアレイシート1の全体面積に対して1%以下に抑えられる。1%以下であれば、0%の場合と比較しても輝度および隠蔽性にほとんど影響はないと考えられる。
本実施形態では、単位レンズ11が六方配列に配置されているため、図3(A)に示すように、隣接する単位レンズ11同士の間に稜線14が形成され、隣接する3つの単位レンズ11と、当該3つの単位レンズ11の間の3つの稜線14とによって囲まれて、凹領域15が形成される(図3(A)の二点鎖線による斜線部を参照)。凹領域15の中心には、最も深い最下部16が形成される。最下部16は、一点で形成されることが好ましいが、微小な平面の領域(平坦部)で形成されてもよい。また、各々の稜線14の中心にも、最も低い低点17が存在し、この低点17が、上述した凹領域15の最下部16よりも高い位置に形成される。
例えば、図3(A)のB−B線に沿う断面(図3(B)参照)における凹曲面12の曲率半径Rbと、C−C線に沿う断面(図3(B)参照)における凹曲面12の曲率半径Rcとでは、単位レンズ11の中心軸Xからの距離が同じであっても同一とはならない。この場合、C−C断面における曲率半径Rcに対して、B−B断面における曲率半径Rbが大きくなる。すなわち、間隙部13の幅が広い断面において曲率半径を大きく形成することで、間隙部13の広範囲を凹曲面12とすることが可能となっている。
また、本実施形態の他の例として、図4に示すように、単位レンズ11Aが正方配列に配置されてもよい。この場合、隣接する4つの単位レンズ11Aと、当該4つの単位レンズ11Aの間の4つの稜線14Aとによって囲まれて、凹領域15Aが形成され、この凹領域15Aの中心には、最も深い最下部16Aが形成される。また、各々の稜線14Aの中心にも、最も低い低点17Aが存在し、この低点17Aは、凹領域15Aの最下部16Aよりも高い位置に形成される。単位レンズ11Aの中心軸Xと最下部16Aを通る断面における凹曲面12Aの曲率半径Rbは、稜線14Aに沿う曲率半径Rcよりも大きい。
次に、本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート1の製造方法について説明する。
本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート1は、元となる型を作成し、押出成形法、UV硬化成形法等により製造することができる。この際、各々の単位レンズ11の裾部の凹曲面12は、平板状の基板に単位レンズを成形した製造物に後加工で凹面加工を形成することでも製造可能であるが、成形型に予め、マイクロレンズアレイシート1の完成品の形状を転写して施しておくことで、凹曲面12の形状が常に一定となり、光学性能が安定し、かつ凹曲面12の存在によって成形型からの離型が容易となるため好ましい。
このような成形型の製造方法の一例を以下に示す。
まず、銅等の金属からなる平板またはロールに、機械加工、レーザー加工、またはエッチング等の方法により、単位レンズの逆形状(略半球状の窪み)の配列を形成し、平板成形型またはロール成形型を作製する。
次に、平板成形型またはロール成形型の略半球状の窪み21に、図5に示すように、窪み21の開口部側を多少露出させてレジスト22を充填する。これにより、成形型は、平坦な面の縁に鋭角な角部23が形成された凸状平坦部24が、レジスト22から露出した状態となる。次に、この凸状平坦部24の角部23をエッチングにより腐食させ、凸状平坦部24を凸状の滑らかな曲面に加工する。このとき、成形型のレジスト22に覆われている部分は、レジスト22により守られて腐食されない。したがって、3つの窪み21に囲まれて凸状平坦部24の幅が広い部分は、2つの窪みに挟まれる幅が狭い部分よりも腐食されにくく、幅が広い部分の中央部が高く形成される。
この後、レジスト22を除去し、金型表面の保護と形状表面の平滑化のために、成形型の表面にクロムやニッケル等を鍍金する。
エッチング液の濃度、温度または時間等の条件により、腐食度合いを調整し、平坦部の残り具合(面積比率)や、凹面形状の程度を調整することができる。エッチング液には、使用する版の金属種に応じて、酸やアルカリ等を使用する。また、液によるエッチングの代わりに、サンドブラスト等を使用してもよい。この場合、上述の単に平坦面を荒らすことが目的のサンドブラストではなく、仕上がりの面性が鏡面に近い(面粗さが小さい)曲面とするため、目の粗いものから細かいものへ数段階に分けてサンドブラストを行うことが好ましい。
また、凸状平坦部24の角部23を落とす前の母型としては、平板またはフィルムシートの一方の面に接着剤または粘着剤を均一に塗布し、この上に微小球を並べたものから、電鋳などの方法で複版したものを使用してもよい。
本実施形態のように、単一の大きさの単位レンズ11が規則的に配列されている場合、その中でも特に六方配列の場合、間隙部13も極力均一の大きさで極力均一に分布しているため、比較的容易に、均一な凹曲面12を形成できる。
一方、単位レンズが不規則に配列されていたり、単位レンズの大きさが分布を有している場合には、間隙部も不規則なため、面積の広い間隙部に平坦部が残らないようにするために、規則的に配列されたマイクロレンズアレイシート1に比較して、凹曲面を形成するエッチング工程をより多く施さなければならない。この場合、面積の狭い間隙部周辺の単位レンズが削られ過ぎて影響を受ける可能性があるため、このような現象を考慮して作製することが好ましい。
このように加工することで、凹曲面12への加工前の凸状平坦部24の平坦な面が最も残りやすい最下部16に残る平坦部の面積比を、全体の1%以下とすることも可能となる。この平坦部は、レーザー顕微鏡やSEMなどの長深度の顕微鏡で表面を観察したときに、凹面処理がされずに残された部分として観察される。平坦部の面積比を0%とするには、凸状平坦部24の平坦な面が完全に無くなるまで加工する必要があるため、凸状平坦部24を削りすぎる可能性があるが、1%以下と設定することで、レンズへの影響を最低限に抑制できる。
本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート1について更に詳述する。
単位レンズ11の大きさ(直径)は、40から200μm、好ましくは、60から80μmである。32型のフルHD(高精細)TVの画素が約0.37mmである。この画素の大きさは、画面の縦の長さの3倍の距離から観察した際、視力1.0の人の解像限界にほぼ等しい。このとき、それぞれの画素内のRGBを区切るブラックマスク(ブラックマトリックスとも称する。)のピッチは、約0.123mmである。また、PCモニターでは、22型でフルHDのブラックマスクは、約85μmとなっており、単位レンズの大きさ(直径)は、これらよりも小さくする必要がある。一方で、略半球状の単位レンズが規則的に配列された、マイクロレンズアレイの配列周期の異なる(この結果として、単位レンズの直径が変わっている)複数のマイクロレンズアレイシートを作成して、白色の透過光を比較観察したとき、白色光が虹状に色が分解して観察される。この際、マイクロレンズアレイの配列周期が小さいほど虹が強く、配列周期が60μmでも弱いが、なお虹が観察され、80μmでほぼ観察されなくなる。単位レンズの形は、マイクロレンズアレイの配列周期にかかわらず略半球状で相似形であるため、この虹は、光の屈折の色収差によるものではなく回折によるものであると考えられる。この回折による光の散乱のため、配列周期が80μm以下では、たとえ単位レンズの形は相似形であっても、配列周期が小さくなるほど、マイクロレンズアレイシートの輝度向上効果は弱くなる。配列が不規則な場合においても、虹は観察されないが回折がなくなっているわけではなく、回折した光同士が白く混ざっているだけである。従って、マイクロレンズアレイの配列周期は、60から80μmの範囲で、ブラックマスクとのモアレなどを勘案して決めることが好ましい。また、配列が不規則な場合にも、単位レンズの直径が60から80μmで、可能な限り80μmに近くすることが好ましい。なお、単位レンズの配列周期に対する直径の比は、90から95%とすることが望ましい。90%以下では、間隙部13の面積が広すぎ、成形型の凹曲面化工程において、平坦部をなくすことが困難となり、95%以上の場合には、単位レンズ同士の間隔が狭いため、成形型の凹曲面化工程で壁が失われる可能性が高い。
平坦部をサンドブラストなどの方法で粗面化する方法でも、隠蔽性を向上させることが可能であるが、粗面化する方法は、成型時の離型性を悪化させたり、また、輝度低下につながる。これに対して、本発明の凹曲面化する方法は、離型性が悪化することはなく、また、後述するように凹曲面12でも透過する光を曲げることができるため、輝度低下も粗面化する方法に比べて低く抑えることが可能である。
図6に示すように、マイクロレンズアレイシート1の平坦な裏面18から入射した光(入射角ζの光を参照)は、屈折するため、臨界角より大きな光が存在しない。一方、マイクロレンズアレイシート1の単位レンズ11から表側に出射する光(入射角γの光を参照)も、臨界角以上の角度の光は全反射して出られない。略半球形状の単位レンズ11の場合、一度全反射した光は、次の入射面でも全反射し、このレンズから出ることができずに裏面側へ戻ってしまう。屈折率nの材料において、臨界角はsin−1(1/n)となる。単位レンズ11の側面における頂部からの角度をδとすると、δ=γ+ζが成り立つため、入射角ζと入射角γがともに臨界角となるδ=2・sin−1(1/n)より大きな角度の部分を凹曲面12としても、レンズの機能は低下せず、輝度低下は生じない。
また、実際のマイクロレンズアレイシート1の単位レンズ11の形状では、凹曲面12の開始角度(単位レンズ11の側面と接する部位の角度)は、角度δ=2・sin−1(1/n)よりやや小さい角度であっても(頂部方向側まで凹面処理されても)、凹曲面12の単位レンズ11との境界付近の角度は、処理される前とされた後で大きな差はないため、レンズの機能に大きな変化はない。
図7は、単位レンズ11の中心軸Xと凹曲面12の最下部16を通る断面を示す。図7に示すように、単位レンズ11の半径をr、単位レンズ11同士が接すると仮定した際の単位レンズ11の半径をr、rとrの比をα(r=αr、0≦α≦1)、凹曲面12の半径をa、単位レンズ11の中心軸Xと凹曲面12の中心点との距離をβr、単位レンズ11の中心軸Xと凹曲面12の最下部16を通る断面における凹曲面12の高さをhとし、単位レンズ11の中心点Oが最下部16よりb低く、単位レンズ11の高さと単位レンズ11の半径の比をε(0≦ε≦1)とすると、
が成り立つ。また、
となる。凹曲面12の高さhについては、
となる。
規則的な六方最密の配列の場合では、3つの単位レンズ11で囲まれた凹領域15の中央(最下部16)と、単位レンズ11の中心Oの距離Lは、図8の通り、L=2/√3・rとなり、β=2/√3である。
また、規則的な正方配列の場合では、図9の通り、4つの単位レンズ11Aで囲まれた凹領域15Aの中央(最下部16A)と、単位レンズ11Aの中心の距離Lは、L=√2・rとなり、β=√2である。
これを上記の式(1)〜(3)に代入し、比率αを0.75から1まで0.05刻みで、a/r、h/ar、θ及び、レンズの面積の比率(FF)を計算した値を以下の表に示す。なお面積比率(FF)は、単位レンズ11の半径をrとした際に単位レンズ11が占める面積の比率である。
一方、図6で説明した臨界角より、輝度が低下しないθの範囲は、90°−δであるから、要素レンズ11を構成する材料の屈折率がn=1.5〜1.6と考えると、θ=6.4〜12.6°である。これより多少大きな角度でも影響が無いとすると、上記の表より、六方配列においては、a/rは、30%程度以内、h/εrは、25%程度以内とすることが好ましい。
また、図10には、マイクロレンズアレイシートの面積比率に対する相対輝度の関係のシミュレーション結果および実測値を示す。図10では、線によりシミュレーション結果を示し、プロットにより実測値を示している。ここで相対輝度とは、拡散板のみでマイクロレンズアレイシートのない場合における輝度を1とした際の輝度の相対値である。
本シミュレーションでは、Lambert拡散を仮定した拡散板上にマイクロレンズアレイシートを配置した際の、単位レンズの面積の総和がマイクロレンズアレイシート1の面積に占める面積比率(FF)に対する相対輝度を算出した。シミュレーションは、単位レンズのレンズ半径(R)に対するレンズ高さ(H)の比H/Rを1とした場合と、H/Rを0.9とした場合の2通りを行った。
なお、シミュレーションにおける、バックライトの光の再利用効率は、拡散板とバックライトの反射板を組み合わせたものの拡散反射率の測定値である80%を仮定した。
また、相対輝度の実測値は、実際に作成したマイクロレンズアレイシートをバックライト上で拡散板の上に載せた場合の実測値であり、六方配列でH/R=0.95、六方配列でH/R=0.9、四方配列でH/R=0.9の場合の3通りを行った。
結果として、図10に示すとおり、FFの上昇とともに相対輝度も上昇するが、相対輝度の上昇率は、FFが80%を超えたあたりで鈍くなることが確認された。
このように、面積比率(FF)は80%程度あれば、これ以上面積比率(FF)を上げても輝度はそれほど向上しない。そして、面積比率(FF)が80%程度となるのは、上記の表1に示すε=1の場合の計算結果から、六方配列のときはa/rが24%程度、h/rが20%程度のときである。
一方、正方配列の場合は、単位レンズ11A同士が接触する条件のα=1の場合でも面積比率(FF)が80%に達しないが、このαが最大の条件の場合にa/rが50%程度、h/rが33%程度である。
したがって、H/R=1(ε=1)であり、凹領域15の中央に位置する最下部16が、加工前の平坦部を面積が限りなく小さくなるように残している(最下部16の高さがエッチング前の高さと等しい)とすると、凹曲面12の高さhは、単位レンズ11の高さ(半径)rの10〜35%とし、凹曲面12の曲率半径は、単位レンズ11の半径rの10〜50%、より好ましくは15から45%の曲率半径に近似できる凹曲面とすることが好ましい。このような値とすることで、面積比率(FF)を高く保って輝度を維持しつつ、凹曲面12によって隠蔽性を向上させることができる。
なお、H/R=1が望ましいが、実際のマイクロレンズアレイシート1のH/Rが0.9程度とすると、凹曲面12の曲率半径の上限値は10%程度大きくなると考えられる。
表2に示すε=0.95の場合では、面積比率(FF)が80%程度以上となるのは、六方配列のときはa/rが31%程度以下、h/εrが24%程度以下のときであり、これらの条件を満たすことが、輝度の維持および隠蔽性の向上に望ましい。
一方、ε=0.95で正方配列の場合は、単位レンズ11A同士が接触する条件のα=1の場合でも面積比率(FF)が80%に達しないが、このαが最大の条件の場合にa/rが58%程度、h/εrが37%程度である。
また、表3に示すε=0.9の場合では、面積比率(FF)が80%程度以上となるのは、六方配列のときはa/rが38%程度以下、h/εrが27%程度以下のときであり、これらの条件を満たすことが、輝度の維持および隠蔽性の向上に望ましい。
一方、ε=0.9で正方配列の場合は、単位レンズ11A同士が接触する条件のα=1の場合でも面積比率(FF)が80%に達しないが、このαが最大の条件の場合にa/rが66%程度、h/εrが40%程度である。
本実施形態に係るマイクロレンズアレイシート1によれば、単位レンズ11の間に、単位レンズ11の中心軸Xに対して非回転対称の凹曲面12が形成されているため、単位レンズ11の中心軸Xからの方向に応じて異なる幅を有する間隙に対応して、広い範囲に凹曲面12を形成することができる。これにより、図11に示すように、間隙が平坦であると間隙部13から素抜けてしまう光(図11の点線矢印を参照)を屈曲させることができ、マイクロレンズアレイシート1の輝度を確保しつつ隠蔽性を向上させることができる。
実施例として、直径56μmの単位レンズをピッチ60μmで六方配列に配置したマイクロレンズアレイシートを作成した。また、比較例として、単位レンズの直径およびピッチが実施例と同様で間隙部が平坦のもの(比較例1)、および間隙部にサンドブラスト法によりRa=0.3μmのマット処理をしたもの(比較例2)を作成した。
基板の材料はポリエチレンテレフタラートとし、単位レンズの材料はウレタンアクリレート系の紫外線硬化性樹脂とした。
実施例および比較例に係るマイクロレンズアレイシートの光学特性を、JIS K7105−1981、K7374に準拠して計測した。結果を下の表に示す。写像性の計測では、透過法による装置を用い、光学くしの暗部と明部の幅を2.0mmとした。また、隠蔽性は、目視により観察した。なお、相対輝度は、比較例1の結果を1とした場合の相対値である。
実施例のマイクロレンズアレイシートは、凹曲面を備えていない比較例1と比較して輝度が低下することなく、かつ隠蔽性が向上された。また、ヘイズも上昇し、写像性の値も低くなっていることからも、マイクロレンズアレイシートの隠蔽性の機能が向上していることが確認できる。
一方で、サンドブラストにより隠蔽性を向上させた比較例2においては、隠蔽性は、比較例1よりよくなっているものの、実施例のマイクロレンズアレイシートよりも劣り、かつ、相対輝度が低下した。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、本実施形態では、単位レンズ11,11Aは六方配列または正方配列であるが、図12に示すようにランダム配列で単位レンズ11Bが配列されてもよく、配列方法は限定されない。特に、不規則な配列の場合、単位レンズが大きくても、液晶パネルの画素との間で、モアレが生じにくく好ましい。また、多数設けられる単位レンズの大きさが、各々で異なってもよい。また、図13(A)〜(C)に示すように、六方配列、正方配列またはランダム配列の分布を有する大きな単体レンズ11C〜11Eの間に、別の分布を有する小さな単体レンズ11F〜11Hが配列されたマイクロレンズアレイシートの間隙部を凹曲面としてもよい。
1,30 マイクロレンズアレイシート、
2 基板、
11,11A〜11H,31 単位レンズ、
12,12A,32 凹曲面、
13,13A,33 間隙部、
14,14A 稜線、
15,15A 凹領域、
16,16A 最下部、
17,17A 低点、
a 凹曲面の半径、
h 凹曲面の高さ、
r 単位レンズの半径、
Rb 稜線の曲率半径、
Rc 最下点の曲率半径、
X 中心軸。

Claims (4)

  1. 光を透過する基板と、
    前記基板の一方面に配置される複数の単位レンズと、を有し、
    前記単位レンズ同士の間の隙間に凹状の曲面である凹曲面が形成され、当該凹曲面が単位レンズの光軸に沿う中心軸に対して非回転対称に形成され、
    隣接する前記単位レンズ同士の間に稜線が形成され、隣接する少なくとも3つの単位レンズの間に、当該単位レンズおよび前記稜線によって囲まれる凹領域が形成され、
    前記単位レンズの中心軸と前記凹領域の最も深い最下部とを通る断面における前記凹曲面の曲率半径が、前記稜線に沿う断面における前記凹曲面の曲率半径よりも大きい、バックライト用のマイクロレンズアレイシート。
  2. 前記単位レンズの中心軸と前記凹領域の最も深い最下部とを通る断面における前記凹曲面の高さが、前記単位レンズの半径の10%以上であって35%以下である、請求項1に記載のマイクロレンズアレイシート。
  3. 前記単位レンズの中心軸と前記凹領域の最も深い最下部とを通る断面における前記凹曲面の曲率半径が、前記単位レンズの半径の10%以上であって50%以下である、請求項1または2に記載のマイクロレンズアレイシート。
  4. 前記単位レンズの間に存在する平坦部の面積比率が、マイクロレンズアレイシートの全体面積に対して1%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイシート。
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