はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して以下に示す。なお、必要に応じて各手段の直後に作用、効果等をそれぞれ記載する。
手段1.遊技に関する制御を司る制御基板(主基板273)を、開閉可能な一対のケース体(ケース体271,272)内に収容してなる制御基板装置(主制御装置131)と、該制御基板装置を着脱可能に搭載する台座装置(台座装置210)とを備え、前記一対のケース体の少なくとも一方と前記台座装置とには、結合処理により前記一対のケース体を開放不能とするとともに結合後の結合解除処理により痕跡を残した状態で前記一対のケース体を開放可能とする結合手段を設けた遊技機において、
前記台座装置に対して前記制御基板装置を所定の離脱方向に変位させることで制御基板装置の離脱を可能とする一方、前記結合手段として、一対のケース体の少なくとも一方と台座装置とのそれぞれに、前記離脱方向とは異なる向きに延び且つ制御基板装置の装着時に連通する連通孔部(下孔部251a,上孔部291a)を有する結合体(封印結合部251,291)を形成するとともに、ケース体側の結合体を易破断部(連結部292)にて破断可能に連結し、
前記連通孔部に、ケース体側の結合体にのみ係止状態となる挿通部材(封印ピン部材321)を挿通させることで前記一対のケース体を開放不能とする構成したことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、台座装置に対して制御基板装置を所定の離脱方向に変位させることで制御基板装置の離脱が可能となっている。一対のケース体の少なくとも一方と台座装置とにはそれぞれに、制御基板装置の離脱方向とは異なる向きに延び且つ制御基板装置の装着時に連通する連通孔部を有する結合体が形成されるとともに、ケース体側の結合体が易破断部にて破断可能に連結されている。結合手段で結合処理を行う際には、当該結合手段の連通孔部に、ケース体側の結合体にのみ係止状態となる挿通部材が挿通され、それにより一対のケース体が開放不能とされる。つまり、制御基板装置の離脱方向への変位が挿通部材により規制されることで一対のケース体が開放不能状態となる。また、結合を解除する際には前記易破断部が破断され、当該易破断部により連結されていた結合体がケース体から切除される。これにより、結合体と該結合体に係止状態となっている挿通部材とが一緒にケース体から切除される。ここで、ケース体側の結合体にのみ易破断部が設けられるとともに、同ケース体側の結合体にのみ挿通部材が係止される構成となっているため、結合解除に際し、台座装置側での破断処理がなされることない。つまり、結合処理及びその解除処理が行われたとしても台座装置は同じ状態のままで維持できる。以上により、台座装置の再使用が可能となり、再使用の促進を図ることができる。なお、上記結合手段は、一般に封印手段又はカシメ手段とも称されている。
手段2.手段1において、前記挿通部材は、弾性変形可能な係止部(係止爪部321c)を有することを特徴とする遊技機。
手段2によれば、挿通部材は、弾性変形可能な係止部によって結合体(切除後、ケース体から切除された結合体)に対して係止状態となっており、作業者の指や工具等で係止部を弾性変形させれば、結合体から挿通部材を取り除くことができる。結合解除には、何ら破断等がなされずに結合処理前と同じ状態で挿通部材を取り外すことができるため、この挿通部材を別の結合手段における結合処理に使用することが可能となる。それ故、予備の挿通部材を用意しておくこと、予備の挿通部材用の収容スペースを確保しておくことが不要となる。以上により、構成の簡素化を図ることができる。
手段3.手段2において、前記挿通部材に、遊技機毎の識別情報を付与したことを特徴とする遊技機。
手段3によれば、挿通部材に遊技機毎の識別情報が付与されているため、別の遊技機で使用されていた挿通部材を用いて結合処理を行った場合には、識別情報の不整合が生じる。従って、正規に結合処理が行われなかったことの確認が可能となる。
手段4.手段1乃至手段3のいずれかにおいて、遊技機前面側に開放された筐体(筐体1)を有し、前記台座部材を前記筐体の内側背面部に取付固定したことを特徴とする遊技機。
手段4によれば、台座部材が筐体の内側背面部に取付固定される構成であるため、その取り付け又は取り外しの作業は煩わしいものとなるが、上記のとおり台座装置の再使用が可能となることにより、作業の煩雑さが解消できることにもなる。
手段5.手段1乃至手段4のいずれかにおいて、前記台座装置は、遊技機本体(筐体11)に固定された第1台座部材(固定ベース板211)と、前記制御基板装置を搭載し、前記第1台座部材に対して回動可能に設けられた第2台座部材(可動ベース板212)とを備え、一対のケース体の少なくとも一方と第2台座部材とに前記結合手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段5によれば、第1台座部材は遊技機本体に固定され、制御基板装置を搭載した第2台座部材は第1台座部材に対して回動可能となっている。また、一対のケース体の少なくとも一方と第2台座部材とに結合手段が設けられている。この場合、結合処理を施した状態では、第2台座部材と制御基板装置とが分離しない状態でこれらを回動させることができる。第2台座部材を回動可能とした構成では、当該第2台座部材を例えば透明部材で構成したり、第2台座部材に視認窓を設けたりすることにより制御基板装置の裏面の確認が可能となるという利点もある。
手段6.手段5において、前記遊技機本体として遊技機前面側に開放された筐体(筐体11)を有し、前記台座装置の第1台座部材を、前記筐体の内側背面部に固定したことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、台座装置の第1台座部材が筐体の内側背面部に固定されているため、第2台座部材は制御基板装置と共に筐体の内側背面部に対して回動動作されることとなる。この場合、筐体内の奥まった箇所に制御基板装置が配されるため、制御基板装置に対する不正行為がしにくくなる一方、前記回動動作により筐体背面部から制御基板装置を手前側に引き寄せることができるため、制御基板装置に対する確認作業等を容易に行うことができるようになる。
手段7.手段6において、前記結合手段を、前記第1台座部材と前記第2台座部材とを連結する回動連結部(軸支部216、回動軸部249)の近傍に設けたことを特徴とする遊技機。
手段7によれば、結合手段が、第1台座部材と第2台座部材とを連結する回動連結部の近傍に設けられている。これにより、上記の如く制御基板装置を手前側に引き寄せた状態であっても、結合手段は引き寄せられず、当該結合手段における不正な結合解除が困難となる。その結果、制御基板装置に対する不正等の確認を容易としつつ不正行為に対する抑止力を高め、ひいては制御基板装置を適正に管理することができるようになる。
手段8.手段7において、前記結合手段を、前記回動連結部と前記制御基板との間の領域に設けたことを特徴とする遊技機。
手段8によれば、結合手段が、回動連結部と制御基板との間の領域に設けられるため、これら回動連結部や制御基板に干渉することなく結合手段を配置することができる。
手段9.手段1乃至手段8のいずれかにおいて、前記筐体の前面側にはその左右一側を開閉軸部とする扉体(前面扉12)を設けた遊技機において、前記扉体の開閉軸と同じ側に前記結合手段が配置されるようにして前記台座装置を筐体背面部に固定したことを特徴とする遊技機。
手段9によれば、扉体の開閉軸と同じ側に結合手段が配置されるため、扉体を大きく開放しなければ、結合手段の結合解除が困難なものとなる。故に、不正な結合解除行為に対する抑止力を高めることができる。
手段10.手段1乃至手段9のいずれかにおいて、前記制御基板装置は、遊技者の利益に関与する制御を実施するものであることを特徴とする遊技機。
遊技者の利益に関与する制御を実施する制御基板装置を対象に、適正な管理が実現できるようになる。例えば、大当たり抽選や遊技媒体の払出等を管理するような制御基板装置がこれに相当する。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に図柄列を確定停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に図柄列を確定停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
パチンコ機等の弾球遊技機:遊技盤に区画形成された遊技領域と、該遊技領域に向け遊技球を発射する球発射装置と、前記遊技領域に設けられた1又は複数の入球口と、前記遊技領域の下部に設けられ前記入球口に入球しなかった遊技球が排出されるアウト口と、遊技演出のための遊技演出装置と、特定の入球口に入球したことを検出する検出手段と、その検出手段により前記入球が検出されると前記遊技演出装置を駆動制御する制御手段とを備えた遊技機。
可変表示装置を備えた弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された作動口、可変表示装置及び可変入賞装置とを備え、作動口への遊技球の入球を検知すると可変表示装置に表示される図柄を可変表示し、その停止時の図柄が特定図柄である場合に可変入賞装置を所定態様で開放させるようにした遊技機。
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図3に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61L,61M,61Rに連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。これら各リール42L,42M,42Rは同様の構成をしているため、ここでは左リール42Lを例に挙げて図6に基づいて説明する。なお、図6は左リール42Lの組立斜視図である。
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を露出窓31Lから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
ここで、各リール42L,42M,42Rに付される図柄について説明する。図7には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。各リール42L,42M,42Rに対応して番号が1〜21まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7」図柄(例えば、左ベルト第20番目)と「青年」図柄(例えば、左ベルト19番目)とがある。また、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「BAR」図柄(例えば、左ベルト第14番目)がある。また、リプレイゲームに移行するための第3特別図柄としての「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト第11番目)がある。また、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」図柄(例えば、左ベルト第9番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト第8番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト第4番目)がある。そして、図7に示すように、各リール42L,42M,42Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、主表示部を構成する。但し、可変表示手段はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
ここで、入賞となった場合の各図柄に関する払出枚数について説明する。小役図柄に関し、「スイカ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、「ベル」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には8枚のメダル払出、左リール42Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダル払出が行われる。即ち、中リール42M及び右リール42Rの「チェリー」図柄はメダル払出と無関係である。また、「チェリー」図柄に限っては、他の図柄との組合せとは無関係にメダル払出が行われるため、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払出が行われる。
また、その他の図柄に関しては、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7」図柄又は「青年」図柄が同一図柄にて有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「BAR」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダル払出が行われる。なお、本実施形態においては、例えば「7」図柄と「チェリー」図柄とが同時に成立する場合が生じ得るが、かかる場合におけるメダル払出は15枚である。これは、1回のメダル払出における上限枚数が15枚に設定されているためである。
更に、第3特別図柄の組合せである「リプレイ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われない。その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合には、一切メダル払出は行われない。
遊技パネル30の下方左側には、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー52が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー71の右側には、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、各リール42L,42M,42Rが定速回転となると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、投資価値を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ84によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。すなわち、セレクタ84にはメダル通路切替ソレノイド83が設けられ、そのメダル通路切替ソレノイド83の非励磁時には排出用通路82側とされ、励磁時には貯留用通路81側に切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返還される。
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ84内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ84が機械的に連動して動作され、当該セレクタ84内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダルが存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
スタートレバー71の左側には、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ84により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯蓄されると共に残数表示部35に貯蓄枚数が表示される。この貯留枚数には上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
メダル受け皿18の上方には、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
リールユニット41の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。
主制御装置131は台座装置210を介して筐体11の背板11cに取り付けられるようになっており、以下にはこれら主制御装置131と台座装置210とにより構成される主基板ユニット200について説明する。図8は(a)が主基板ユニット200の平面図、(b)が(a)の下方から見た側面図、図9は同主基板ユニット200を表側から見た斜視図、図10は同主基板ユニット200を裏側から見た斜視図、図11は同主基板ユニット200の分解斜視図である。まずは、これら図8〜図11を用いて主基板ユニット200の概要について説明する。なお以下の主基板ユニット200の説明では、特に指定しない限り図8の状態を基準に左右方向を記述する。
主基板ユニット200において、台座装置210は、筐体11の背板11c内側に固定される固定ベース板211と、この固定ベース板211に回動可能に支持される可動ベース板212とを有している。また、主制御装置131は、表裏一対のケース体271,272を有し、それら各ケース体271,272間に挟まれるようにして主基板273が収容されている。固定ベース板211、可動ベース板212及び各ケース体271,272は何れも、主基板273に合わせるようにして略横長四角状をなし、ポリカーボネート樹脂等の透明な合成樹脂材料により成形されている。なお以下の説明では、表側のケース体271を表ケース体、裏側のケース体272を裏ケース体とも言う。表ケース体271及び裏ケース体272により基板ボックスが構成されている。そして、筐体11の背板11cに台座装置210を組み付け、更に台座装置210の可動ベース板212上に主制御装置131を装着することで、主基板ユニット200が筐体11に取り付けられるようになっている。
台座装置210の構成について図12を用いて詳述する。図12は、台座装置210を構成する固定ベース板211と可動ベース板212とを拡大して示す分解斜視図である。
固定ベース板211において、底板部213には、左端部及び右端部に起立部214,215がそれぞれ形成されている。そのうち左端部側の起立部214には軸支部216が2カ所に設けられ、各軸支部216には上下方向に貫通する軸孔216aが設けられている。各軸支部216の軸孔216aには例えば鋼鉄製の支柱ピン217が組み付けられる構成となっている。右端部側の起立部215には上下2カ所に係止爪部218が設けられている。また、起立部215には鍵取付金具219が取付固定されている。この鍵取付金具219は、図示しないネジ等の固定具により根元部分が固定ベース板211に固定されている。鍵取付金具219の先端部は斜め外方に折り曲げられ、その折り曲げ部に鍵挿通孔219aが形成されている(図17等参照)。
底板部213には縦横に交差するようにして複数のリブ221が形成されており、その複数のリブ221のうち中央部で左右方向に延びるリブ221上には左右両側に離れた2カ所に底孔部222a,222bが形成されている。固定ベース板211を筐体11の背板11cに取り付ける際には、底孔部222a,222bにネジ223が装着されてこのネジ223が筐体11の背板11cにねじ込まれる。更に、底孔部222a,222bには、ネジ223の頭部を覆い隠すようにしてキャップ体224が組み込まれるようになっている。図15に示すように、キャップ体224には、その軸方向に延びる突起部224aと、弾性変形可能な係止爪部224bとが2カ所ずつ形成されている。
底板部213の裏面側には、その中央部に、筐体11の背板11c外側から固定ベース板211を固定するための固定金具225が取り付けられている。固定金具225の取り付け状態は図10を併せ参照されたい。固定金具225は、略四角板状をなしており、左右2カ所で小ネジ226により底板部213に取り付けられる構成となっている。また、固定金具225の中心部にはネジ孔227が形成されている。固定金具225の四隅には、底板部213側に設けられた小突起(図示略)と係合状態となる位置決め孔228が設けられている。また、図10に示すように、底板部213の裏面には、筐体11の背板11cに対する位置決めのための突起部229が複数箇所(本実施の形態では2カ所)に設けられている。
ここで、図17(図8のA−A線端面図)には、筐体11の背板11cに対する固定ベース板211の取付構造を示す。図17に示すように、底板部213の裏面に設けられた突起部229は、筐体11の背板11cに設けられた位置決め孔部231に挿入され、これにより筐体11の背板11cに対して固定ベース板211が位置決めされる。そして、固定ベース板211の表側(すなわち背板11cの内側)から底孔部222a,222bにネジ223が螺着されることで、固定ベース板211が背板11cに固定される。ネジ223の螺着後、底孔部222a,222bにキャップ体224が組み込まれる。このとき、キャップ体224は底板部213の上面から突出することなく、底孔部222a,222b内に没入した状態で保持される。キャップ体224が底孔部222a,222bに組み込まれた状態では、当該キャップ体224の係止爪部224bが底板部213側と係止状態となり、キャップ体224の抜け落ちが防止されるようになっている。これにより、ネジ223を緩めることが困難なものとなっている。
また、筐体11の背板11cには挿通孔232が形成されており、その挿通孔232には背板11c外側からネジ233が挿入され、そのネジ先端部が、固定ベース板211裏側の固定金具225に設けたネジ孔227にねじ込まれる。これにより、仮に背板11c内側から前記ネジ223を取り外すことができたとしても、背板11c外側からもネジ233を取り外さない限りは固定ベース板211を取り外すことができないようになっている。要するに本実施の形態では、固定ベース板211の表側に螺着されたネジ223にキャップ体224を組み込むことで固定ベース板211の取り外しを困難にしているだけでなく、背板11c外側から固定ベース板211をネジ固定することで固定ベース板211の取り外しをより一層困難なものとしている。
一方、可動ベース板212において、底板部241の長辺部(図の上下両端部)には側板部242,243が形成され、短辺部の一側(図の左側)には前記側板部242,243と連なるようにして段差部244が形成されている。これら側板部242,243及び段差部244は主制御装置131に合わせた高さを有する。側板部242,243の先端部には内側に折り曲げ形成された返し部242a,243aが複数箇所(本実施の形態では各6カ所)に設けられている。底板部241の右端部は、主制御装置131をスライド装着するための基板装着口245となっている。この場合、主制御装置131を基板装着口245から装着し、段差部244に当たるまでスライドさせることで、主制御装置131が可動ベース板212上の所定位置に装着されるようになっている。
段差部244には、主制御装置131のスライド方向に開口する開口部246と、その上面部(底板部241に対しての上面部分)に形成された係止孔部247と、係止孔部247を挟むようにして形成された一対の貫通孔248とが設けられている。係止孔部247と貫通孔248とが設けられた段差部244の上面部は、後述する封印シールSの貼付面となっており、その貼付面を囲むようにして囲い枠331が形成されている。
また、可動ベース板212の左端部には回動軸部249が設けられ、その回動軸部249には軸孔249aが形成されている。かかる構成において、前記固定ベース板211の軸支部216と可動ベース板212の回動軸部249とが位置合わせされ、その状態で軸支部216及び回動軸部249の軸孔216a,249aに支柱ピン217が挿通される。これにより、固定ベース板211に対して可動ベース板212が回動可能に支持される。
軸支部216の軸孔216aの孔径(設計寸法)は支柱ピン217の外径よりも僅かに小さく、回動軸部249の軸孔249aの孔径は支柱ピン217の外径よりも僅かに大きくなっており、支柱ピン217を挿通させる際にはこの支柱ピン217が軸支部216の軸孔216aに圧入される。このとき、支柱ピン217の頭部は軸支部216と面一の状態、又は軸孔216a内に没入した状態となり、支柱ピン217の抜き外しが不可能となっている。それ故、可動ベース板212は固定ベース板211に対して回動可能であるが、分離(連結解除)は不可能となっている。但し上記構成とは逆に、回動軸部249の軸孔249aの孔径(設計寸法)を支柱ピン217の外径よりも僅かに小さくして、支柱ピン217を回動軸部249の軸孔249aに圧入する構成であってもよい。回動軸部の構成としては要は、可動ベース板212が固定ベース板211に対して回動可能で、且つ分離不可能(連結解除不可能)となるよう構成すればよい。
底板部241上には、第1封印部を構成する複数(本実施の形態では4個)の封印結合部251が縦一列に並ぶようにして立設されている。封印結合部251は、その底部が底板部241にて塞がれた筒体状をなしており、図の手前側にのみ開口している。この封印結合部251を含む第1封印部の構成については後述する。
可動ベース板212の段差部244付近には、先端部に鍵挿通孔261aを有する鍵取付金具261が取付固定されている。この鍵取付金具261は、図示しないネジ等の固定具により根元部分が可動ベース板212に固定されている。
次に、主制御装置131の構成について詳述する。図13は、主制御装置131を構成する各ケース体271,272と主基板273とを拡大して示す分解斜視図である。
主基板273上には、図示しない配線パターンが施されるとともに、CPUやROM等のICチップ274を含む各種電子部品、入出力コネクタ275、検査用コネクタ276等が実装されている。特に、ICチップ274は、基板面に対してチップが立った状態で実装される、いわゆるZIP(Zigzag In-line Package)タイプ構造又はSIP(Single In-line Package)構造等の縦型素子が採用されており、チップ側面には製造メーカ、品番といった識別情報や固有情報等が印刷されている。主基板273は、隅角部に複数設けた小孔を通じてネジ277により表ケース体271に固定されるようになっている。
表ケース体271は、主基板273上の比較的背の高い電子部品等を収容可能とする主基板収容部を有しており、周縁部には一段低い段部281が形成されている。段部281には、主基板273上の入出力コネクタ275を挿通させるための複数のコネクタ挿通孔282が形成されている。なお、符号283は、主基板273上の検査用コネクタ276に通ずる開口部である。図示は省略するが、表ケース体271の天井部分等には多数の通気孔が形成されている。
また、表ケース体271の長辺部において上下各縁部には、表ケース体271の側壁に沿って直線状に延びる突条部285が設けられ、その突条部285の内側には複数の長孔286が所定間隔で一列に並ぶようにして設けられている。
表ケース体271の左端部(主基板収容部よりも左側)には縦長四角状の切欠角孔部290が設けられており、その切欠角孔部290には、第1封印部を構成する複数(本実施の形態では4個)の封印結合部291が縦一列に並ぶようにして設けられている。その周辺構成を図14に拡大して示す。封印結合部291は筒体状をなし、左右両側の連結部292にて表ケース体271に連結されている。連結部292を切断することにより、封印結合部291を表ケース体271から切除できるようになっている。同じく切欠角孔部290には、前記複数の封印結合部291を挟むようにして、第2封印部を構成する複数(本実施の形態では2個)の封印結合部293が設けられている。封印結合部293は筒体状をなし、連結部294により表ケース体271に連結されている。連結部294を切断することにより、封印結合部293を表ケース体271から切除できるようになっている。
かかる場合、第1,第2封印部を構成する封印結合部291,293は、表ケース体271に形成された切欠角孔部290に設けられているため、基板ケースの側方に張り出すように封印部が設けられる従来一般的な構成とは異なり、封印結合部291,293が側方にはみ出て邪魔になる等の不都合は生じない。また、封印結合部291,293が側方にはみ出ていないため、主制御装置131を単体で取り扱う場合等において、封印結合部291,293をぶつけて破損させてしまう等のおそれも生じない。
表ケース体271の左端部は、主制御装置131を前記可動ベース板212にスライド装着する際の先頭部となっており、当該先端部には係止爪部295が設けられると共に、係止爪部295を挟むようにして一対のネジ孔部296が設けられている。主制御装置131を前記可動ベース板212に装着する際、係止爪部295が前記可動ベース板212に設けた係止孔部247に係止される。また、ネジ孔部296と前記可動ベース板212に設けた貫通孔248との位置が合い、その状態で貫通孔248及びネジ孔部296に小ネジ297が螺入されるようになっている。
表ケース体271の切欠角孔部290の左側には、封印シールSの貼付面を区画形成する囲い枠332が形成されている。主制御装置131を前記可動ベース板212に装着した際には、表ケース体271の囲い枠332と、前記可動ベース板212に形成した囲い枠331とが一体となり、全体として長方形枠状の囲い枠が形成されるようになっている。
図13の説明に戻り、表ケース体271の右端部には、第3封印部を構成する複数(本実施の形態では2個)の封印結合部301が設けられている。封印結合部301は筒体状をなし、連結部302により表ケース体271に連結されている。連結部302を切断することにより、封印結合部301を表ケース体271から切除できるようになっている。
更に、表ケース体271の右端部には鍵取付金具305が取付固定されている。この鍵取付金具305は、図示しないネジ等の固定具により根元部分が表ケース体271に固定されている。鍵取付金具305の先端部は斜め外方に折り曲げられ、その折り曲げ部に鍵挿通孔305aが形成されている(図17等参照)。
一方、裏ケース体272において、底板部311を挟んで図の上下両側部には、基板高さ方向に起立し先端部がL字状に形成された複数の引掛け部312が所定間隔で設けられている。引掛け部312は、前記表ケース体271の長孔286と同じ間隔で設けられており、表ケース体271の長孔286と裏ケース体272の引掛け部312とにより両ケース体271,272の組付が行われるようになっている。
図18(図8のB−B線端面図)には、表ケース体271と裏ケース体272との組付構造を示す。図18に示すように、裏ケース体272の引掛け部312は表ケース体271の長孔286に挿通され、その状態で引掛け部312が表ケース体271側の長孔286に形成された係止部286aに係止される。これにより、裏ケース体272に対して表ケース体271が浮き上がることなく保持される。因みに、図18は主制御装置131が台座装置210に組み付けられ、裏ケース体272に対して表ケース体271を横方向にスライドさせることが不可能な状態を図示しているが、台座装置210に組み付けていない状態を仮定すると、表ケース体271を一旦図18の右方向にスライドさせ、その後上方に持ち上げることで裏ケース体272に対して表ケース体271を分離させることができる(図18中の矢印Pに沿って表ケース体271を移動させる)。
可動ベース板212において、図18の左端部には返し部212aが設けられており、この返し部212aは固定ベース板211の軸支部216の下方(実際には図12に示す孔部216b)に入り込む構成となっている。従って、支柱ピン217が途中で切断されたり、同支柱ピン217が引き抜かれたりしても、それだけでは固定ベース板211に対して可動ベース板212が浮き上がらないようになっている。
再び図13の説明に戻り、裏ケース体272の左端部には、底板部311よりも左方に延出するようにして上下一対の延出部314a,314bが設けられており、その延出部314a,314bにはそれぞれ、第2封印部を構成する封印結合部315が設けられている。封印結合部315は、その底部が前記底板部311と同じ面で塞がれた筒体状をなしており、図の手前側にのみ開口している。延出部314a,314bは上下に分離して設けられており、両延出部314a,314b間のスペースは、前記可動ベース板212に設けた複数の封印結合部251との干渉を避けるための空きスペースとなっている。
図の上側の延出部314aには、先端部に鍵挿通孔316aを有する鍵取付金具316が取付固定されている。この鍵取付金具316は、図示しないネジ等の固定具により根元部分が裏ケース体272に固定されている。
また、裏ケース体272の右端部には、第3封印部を構成する複数(本実施の形態では2個)の封印結合部317が設けられている。封印結合部317は連結部318により裏ケース体272に連結されている。連結部318を切断することにより、封印結合部317を裏ケース体272から切除できるようになっている。
ここで、主制御装置131及び台座装置210の不正な取り外し行為等を抑制するための封印構造について説明する。本実施の形態では、封印構造が各々異なる3種類の封印部が設けられており、便宜上それらを第1封印部、第2封印部、第3封印部と言い分けて順に説明する。図19は図8のC−C線端面図に相当し、第1封印部の断面構造を示す。図20は図8のD−D線端面図であり、第2封印部の断面構造を示す。図21は図8のE−E線端面図であり、第3封印部の断面構造を示す。
先ず第1封印部の構成を図19に基づいて説明する。図19において、(a)は封印前の状態を、(b)は封印状態を、(c)は封印解除の状態を、それぞれ示している。第1封印部は、表ケース体271に設けられた封印結合部291と可動ベース板212に設けられた封印結合部251との結合により封印状態となり得るものであり、便宜上、前者を「差込側結合部291」、後者を「受け側結合部251」と言い換えて説明を進める。
図19(a)に示すように、表ケース体271の差込側結合部291には、その上下方向に貫通する孔部291a(便宜上、上孔部と言う)が形成されており、可動ベース板212の受け側結合部251には、前記上孔部291aに同軸で連通する孔部251a(便宜上、下孔部という)が形成されている。上孔部291aの入口部には段差部291bが設けられ、下孔部251aの入口部には上孔部291aよりも拡径された拡径部251bが設けられている。
符号251c,291cは、受け側結合部251、差込側結合部291にそれぞれ設けられた半円状の返し部であり(返し部251cは主制御装置131のスライド方向前方に、返し部291cは主制御装置131のスライド方向後方に設けられている)、この返し部251c,291cにて各結合部251,291が当接する。返し部251c,291cにより、各結合部251,291の対向接合面が隠されるようになっている。
なお、差込側結合部291を連結する連結部292は、図に隠れ線(点線)で示すように、上側が長く下側が短くなるような略逆台形状をしている。この場合特に、連結部292において差込側結合部291とは逆側の端部は、上側ほど外方に傾くようにして斜めテーパ状に形成されている。
封印処理の実施時においては、図19(b)に示すように、差込側結合部291及び受け側結合部251の各孔部291a,251aに、例えば合成樹脂製で略中空円筒状をなす封印ピン部材321が差し込まれる。封印ピン部材321は、図16に示すように、中空状の筒部321aと、フランジ状の頭部321bと、筒部321aに例えば2カ所設けられ弾性変形可能な係止爪部321cとを有しており、通常状態では係止爪部321cが筒部321aの外周よりも外方に突出し、外力を加えることで係止爪部321cが筒部321a内に没入することができる構造となっている。封印ピン部材321の頭部321bには、主制御装置131毎の識別情報(例えば識別コード)が付されている。
封印ピン部材321の差し込み時には、封印ピン部材321の係止爪部321cが弾性変形し、頭部321bが上孔部入口の段差部291bに当たるまで差し込まれる。このとき、封印ピン部材321の係止爪部321cが下孔部251aの拡径部251bに至ることで、当該係止爪部321cが起き上がり、係止爪部321cの後端面が差込側結合部291の先端面に係止される。これにより、第1封印部の封印が完了し、封印後の封印ピン部材321の抜け落ちが防止される。
主制御装置131の不具合発生時や検査時などに際し、第1封印部の封印を解除する場合には、図19(c)に示すように、差込側結合部291と表ケース体271とを連結する連結部292をニッパ等の工具により切断する。受け側結合部251には封印ピン部材321の先端部が挿入されているだけであり、これら各部材251,321は何ら係止状態にないため、前記連結部292の切断により差込側結合部291と封印ピン部材321とが表ケース体271から容易に切除できる。このとき、図19(a)で説明したとおり連結部292は上側が長く下側が短くなるような略逆台形状をしているため、ニッパ等の工具を差し入れやすい。また、連結部292において差込側結合部291とは逆側の端部は、上側ほど外方に傾くようにして斜めテーパ状に形成されているため、連結部292の切断後において差込側結合部291と封印ピン部材321とが上方に引き抜き易い。
切除された差込側結合部291と封印ピン部材321とは、封印ピン部材321の係止爪部321cを指又は工具等で押さえて弾性変形させることで容易に分離することができる。分離された封印ピン部材321は何ら変形や破壊を伴っていることはなく、同一の封印ピン部材321が次回の封印に用いられる。
前述したとおり封印ピン部材321の頭部321bには主制御装置131毎の識別情報が付されているため、封印ピン部材321の再使用により再度封印処理が行われた後には、前記識別情報を確認することで正規の手順通りに封印処理が行われたかどうかが確認できる。
第1封印部の封印を解除する際、切断(破壊)される箇所は表ケース体271側の連結部292のみであり、封印相手側、すなわちこの場合は可動ベース板212はどこも破壊されない。つまり、表ケース体271と可動ベース板212間の封印処理及びその解除が繰り返し実施されたとしても、可動ベース板212は破壊もされず、封印履歴も残らない。従って、主制御装置131を交換する場合にも、可動ベース板212(すなわち台座装置210)がそのまま再使用できる。
なお、第1封印部において、4つある封印箇所のどれを用いるかは予め順序が決められており、例えば図8において上から順に1つずつ封印が行われる。封印後に切断処理(破壊処理)が施された封印箇所ではその封印履歴が残り、過去に何回の封印処理が行われたかが容易に確認できるようになっている。各封印箇所で封印処理が実施されたことは、表ケース体271の表面部等に貼付された封印記録票に記録される。例えば、封印記録票には、封印箇所毎に、封印処理の実施年月日や封印作業者名などが記録されるようになっている。この封印記録票は、後述する第2封印部、第3封印部についても同様に封印処理記録が残されるものであっても良い。
次に、第2封印部の構成を図20に基づいて説明する。第2封印部は、表ケース体271に設けられた封印結合部293と裏ケース体272に設けられた封印結合部315との結合により封印状態となり得るものであり、便宜上、前者を「差込側結合部293」、後者を「受け側結合部315」と言い換えて説明を進める。
図20に示すように、表ケース体271の差込側結合部293には、その上下方向に貫通する孔部293a(便宜上、上孔部と言う)が形成されており、裏ケース体272の受け側結合部315には、前記上孔部293aに同軸で連通する孔部315a(便宜上、下孔部という)が形成されている。上孔部293aには、後述する封印ネジ323の頭部を収納するための大径部と、それよりも小径な小径部とが形成されている。下孔部315aには雌ネジ部が形成されている。そして、差込側結合部293及び受け側結合部315の各孔部293a,315aに封印ネジ323がねじ込まれることで、第2封印部の封印が完了する。封印ネジ323は、中間部分に破断容易な破断部(縮径部)を有する、いわゆる破断ネジにより構成されており、当該ネジ323をドライバ等の締付け工具によりねじ込む際、所定以上のトルクがかかることで前記破断部が破断される。この破断により、封印ネジ323を一旦孔部293a,315aにねじ込むと、その後は当該ネジ323を緩めることが不可能となるようになっている。
第2封印部の封印を解除するには、差込側結合部293と表ケース体271とを連結する連結部294をニッパ等の工具により切断すると共に(図のX1部)、受け側結合部315の底部をニッパ等の工具により切断する(図のX2部)。つまり、縦方向の切断処理と、それと直交する横方向の切断処理とが行われる。これにより、封印ネジ323を各ケース体271,272から分離させて第2封印部の封印を解くことができる。
次に、第3封印部の構成を図21に基づいて説明する。第3封印部は、表ケース体271に設けられた封印結合部301と裏ケース体272に設けられた封印結合部317との結合により封印状態となり得るものであり、便宜上、前者を「差込側結合部301」、後者を「受け側結合部317」と言い換えて説明を進める。
図21に示すように、表ケース体271の差込側結合部301には、その上下方向に貫通する孔部301a(便宜上、上孔部と言う)が形成されており、裏ケース体272の受け側結合部317には、前記上孔部301aに同軸で連通する孔部317a(便宜上、下孔部という)が形成されている。上孔部301aには、後述する封印ネジ325の頭部を収納するための大径部と、それよりも小径な小径部とが形成されている。下孔部317aには雌ネジ部が形成されている。そして、差込側結合部301及び受け側結合部317の各孔部301a,317aに封印ネジ325がねじ込まれることで、第3封印部の封印が完了する。封印ネジ325は、締付け方向に関してはドライバ等の締付け工具によりねじ込むことができるが、緩め方向に関しては緩めることができない、いわゆる一方向ネジ(ワンウェイネジとも称される)により構成されており、封印ネジ325を一旦孔部301a,317aにねじ込むと、その後は当該ネジ325を緩めることが不可能となるようになっている。
第3封印部の封印を解除するには、差込側結合部301と表ケース体271とを連結する連結部302と、受け側結合部317と裏ケース体272とを連結する連結部318とをまとめてニッパ等の工具により切断する(図のX3部)。これにより、封印ネジ325を各ケース体271,272から分離させて第3封印部の封印を解くことができる。
上記説明では、第2封印部及び第3封印部に関して共に封印処理が行われているような記載をしたが、実際にはこれら各封印部には何れか一方にのみ封印処理が施される。例えば、スロットマシン10の製造に際して基板ボックス(ケース体271,272)内への主基板273の収容時に第2封印部が封印される。そしてその後、検査等のために主制御装置131が回収された時、第2封印部が開封されるとともに、検査等の後に第3封印部が封印される。
一方、図9等に示すように、主基板ユニット200の左側部において、可動ベース板212及び表ケース体271の囲い枠331,332に囲まれたシール貼付面には、可動ベース板212と表ケース体271とに跨るようにして長方形状の封印シールSが貼付されている。封印シールSは、一旦貼付された後に剥がされるとシールラベルから粘着剤が剥がれ、再度貼付することができないものであり、封印シールSが剥がされた場合にはその形跡が残ることから、可動ベース板212から主制御装置131が取り外されたかどうかが確認できるものとなっている。可動ベース板212に主制御装置131を結合させた状態では、可動ベース板212に形成された係止孔部247及び貫通孔248と、表ケース体271に形成された係止爪部295及びネジ孔部296が組み合った状態となり、それらが封印シールSにより覆い隠されるようになっている。
上記のとおり封印シールSは再貼付不可能な構成となっているが、封印シールSを剥がした後に別のシール部材(貼付片)を貼付するような不正行為があり、こうした不正行為を抑制するには、封印シールSの剥がし行為を抑制することが一対策であると考えられる。そこで本実施の形態では、封印シールSの不正剥がし対策として、可動ベース板212の表面と表ケース体271の表面とからなるシール貼付面を囲い枠331,332で囲み、更にその囲い枠331,332の基端部付近、すなわち付け根部付近(シール貼付面の周縁部)を湾曲状に凹ませて形成している。具体的には、封印シールSの長辺部に合わせてテーパ面が形成されることによってシール貼付面が湾曲形成されている。
シール貼付面に封印シールSを貼付した場合、封印シールSの周縁部はシール貼付面の湾曲部に入り込み、封印シールSの周縁部を爪等で引っ掛けたりすることが困難になる。そのため、封印シールSを不正に剥がすことに対する抑止効果が得られる。本実施の形態の構成では、囲い枠331,332で囲んだシール貼付面が封印シールSの大きさにほぼ一致しており、封印シールSを貼付した状態では封印シールSの周縁部には殆ど隙間がない状態となる。それ故、封印シールSの周縁部を爪等で引っ掛けてこれを剥がすことがより一層困難となっている。
図22に示すように、主制御装置131を台座装置210に装着した状態では、可動ベース板212に設けた鍵取付金具261と、主制御装置131の裏ケース体272に設けた鍵取付金具316とが向かい合った状態となり、各鍵取付金具261,316の鍵挿通部261a,316aを通じて南京錠などの鍵部材K1が取り付けられる。更に、固定ベース板211と可動ベース板212とを重ね合わせた状態では、固定ベース板211に設けた鍵取付金具219と、表ケース体271に設けた鍵取付金具305とが向かい合った状態となり、各鍵取付金具219,305の鍵挿通部219a,305aを通じて南京錠などの鍵部材K2が取り付けられる。鍵部材K1,K2の解錠キーは遊技ホール管理者等により管理される。
かかる構成では、鍵部材K2を取り外さない限りは固定ベース板211に対して可動ベース板212を回動させることはできない。また、仮に鍵部材K2を取り外したとしても、鍵部材K1を取り外さない限りは可動ベース板212から主制御装置131を取り外すことができない。従って、適正に管理された解錠キーの所有者でなければ、主制御装置131の取り外しができないようになる。
前述した各封印部は元々切断(破壊)可能な構成となっており、開封履歴を残すことを主たる目的としているため、主制御装置131を持ち去る(盗み取る)ような不正行為に対しては抑止効果が発揮できないが、鍵部材K1,K2を取り付けた上記構成では、主制御装置131の持ち去りに対して抑止効果が発揮できる(主制御装置131の盗難防止対策となり得る)。
なお、鍵取付金具219,305の先端部は、主制御装置131から外に逃げるようにして傾けて設けられている。これにより、表ケース体271の直ぐ横に鍵部材K2が取り付けられるとしても、表ケース体271等に邪魔されることなく鍵部材K2が装着できるようになっている。
次に、主基板ユニット200を筐体11の背板11cに取り付けた状態で主制御装置131を台座装置210から取り外す手順を図23に基づいて説明する。図23の(a)は、固定ベース板211に対して可動ベース板212を重ね合わせた状態(すなわち、通常の使用状態)を示し、(b)は、固定ベース板211に対して可動ベース板212を手前側に回動させた状態を示し、(c)は、可動ベース板212の回動状態で同可動ベース板212から主制御装置131をスライドさせた状態を示す。なお、図23では下側がスロットマシン前方であり、上側がスロットマシン後方である。
(a)の状態では、固定ベース板211と可動ベース板212とが重なった状態となっており、固定ベース板211の係止爪部218が主制御装置131(実際には表ケース体271)の上面に係止されている。便宜上図示は省略しているが、主基板ユニット200には鍵部材K1,K2が前述のとおり取り付けられており、固定ベース板211に対して可動ベース板212が回動不能となっている。このとき、主制御装置131はその表面部分がスロットマシン10の前方側を向いており、主基板表面、すなわちICチップ等の搭載面は前方より視認される。
また、(b)に示す可動ベース板212の回動時には、鍵部材(少なくとも図22の鍵部材K2)が取り外されるとともに、固定ベース板211の係止爪部218の係止が解除され、その状態で固定ベース板211に対して可動ベース板212が図示の如く回動される。このとき、可動ベース板212は支柱ピン217を回動中心として最大90度程度回動され、可動ベース板212とともに主制御装置131の回動先端部側が手前側に引き寄せられる。かかる状態では、主制御装置131の裏面側(すなわち主基板273の裏面)を視認することが可能となり、各種電子部品や電気配線等に異常や不正が無いか等の確認を行うことができる。
(b)の如く可動ベース板212と主制御装置131とを固定ベース板211に対して回動させた時、主制御装置131は真正面側より視認される状態から、斜め横方より視認される状態に移行する。従って、主制御装置131の真正面からは視認しづらい箇所、すなわち主基板273の基板面に概ね垂直となる直立面部に付された情報等であっても、可動ベース板212の回動により視認容易とすることができる。例えば、主基板273上に実装された縦型のICチップ274では、チップ側面に印刷された製造メーカや品番等の情報が容易に視認できるようになる。
なお因みに、実際のスロットマシン10の構成では、図5等に示すように、主制御装置131の前方空間が開放されており、可動ベース板212の前方側への回動動作には何ら支障が生じることはない。仮に前面扉12の裏面にスロットマシン後方に突出する装置や機構が設けられていても、前面扉12の開放に伴い主制御装置131の前方空間が開放され、やはり可動ベース板212の回動動作に支障は生じない。
また、図23の(c)に示す主制御装置131のスライド時には、鍵部材(図22の鍵部材K1)が取り外されるとともに、第1封印部(可動ベース板212と表ケース体271間の封印)が開封される。更に、表ケース体271の左端部に設けた係止爪部295の係止やネジ孔部296でのネジ固定が解除される。そして、その状態で可動ベース板212上を主制御装置131がスライド動作される。これにより、可動ベース板212の回動先端部側(図12の基板装着口245)から主制御装置131を離脱させることが可能となる。
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図24のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路154や、入出力ポート155などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。
主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ75a、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、切換スイッチ80の操作を検出する切換検出センサ80a、各リール42の回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサ55、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、設定キー挿入孔124に設定キーが挿入されたことを検出する設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート155を介してCPU151へ出力されるようになっている。
なお、投入メダル検出センサ75aは実際には複数個のセンサより構成されている。即ち、メダル投入口75からホッパ装置91に至る貯留用通路81は、メダルが1列で通行可能なように構成されている。そして、貯留用通路81には第1センサが設けられるとともに、それよりメダルの幅以上離れた下流側に第2センサ及び第3センサが近接(少なくとも一時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接)して設けられており、これら第1乃至第3の各センサによって投入メダル検出センサ75aが構成されている。主制御装置131は、第1センサから第2センサに至る時間を監視し、その経過時間が所定時間を越えた場合にはメダル詰まり又は不正があったものとみなしてエラーとする。エラーになると、エラー報知が行われるとともにエラー解除されるまでの遊技者による操作が無効化される。また、主制御装置131は第2センサと第3センサとがオンオフされる順序をも監視し、第2,第3センサが共にオフ、第2センサのみオン、第2,第3センサが共にオン、第3センサのみオン、第2,第3センサが共にオフという順序通りになった場合で、かつ各オンオフ切換に移行する時間が所定時間内である場合にのみメダルが正常に取り込まれたと判断し、それ以外の場合はエラーとする。このようにするのは、貯留用通路81でのメダル詰まりの他、メダルを投入メダル検出センサ75a付近で往復動させてメダル投入と誤認させる不正を防止するためである。
また、主制御装置131の入力側には、入出力ポート155を介して電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源基板161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151と入出力ポート155のそれぞれに供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
電源部161aからは出力電圧が22ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、残数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ84に設けられたメダル通路切替ソレノイド83、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が入出力ポート155を介して接続されている。
表示制御装置111は、上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や、クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、図25以降に示される各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。
RAM153は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM153には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
バックアップエリアは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図27参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図28参照)において実行される。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図25〜図34のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図25はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理では、まずステップS101において、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる。続いて、ステップS102では、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする。その後、ステップS103にてRAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。なお、CPU151の使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグのセット処理が可能な場合には、バックアップエリアへの退避および復帰処理を省くことができる。
図26は、主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
先ず、ステップS201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる。ステップS202では停電フラグがセットされているか否かを確認し、停電フラグがセットされているときにはステップS203に進み、停電時処理を実行する。
ここで、停電時処理について図27を用いて説明する。この停電時処理は、タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため、その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って、例えば各種コマンドの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように、それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく、かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお、このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。
ステップS301では、コマンド送信が終了しているか否かを判定する。送信が終了していない場合には、元の図26の処理に復帰する。このように停電時処理の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理終了後に停電時処理を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してROM152の小容量化を図ることができる実益を有する。
ステップS301がYES、すなわちコマンドの送信が完了している場合には、ステップS302に進み、CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後ステップS303では、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポート155における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。ステップS304では、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサム値の2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、ステップS305においてそれ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、電源装置161の電源部161aは、上述したNMI割込み処理及び停電時処理を実行するのに十分な時間、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように構成されている。本実施形態では、30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS202にて停電フラグがセットされていない場合には、ステップS204以降の各種処理を行う。
すなわち、ステップS204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS205では、CPU151自身に対して割込み許可を出す割込み終了宣言処理を行う。ステップS206では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS207では、入出力ポート155に接続された各種センサ(図24参照)の状態を監視するセンサ監視処理を行う。ステップS208では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う。ステップS209では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントするカウンタ処理を行う。
ステップS210では、表示制御装置111へコマンドなどを送信するコマンド出力処理を行う。ステップS211では、残数表示部35、ゲーム数表示部36および獲得枚数表示部37にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS212では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部35〜37に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS213では、入出力ポート155からI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS214では、先のステップS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS215にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
図28は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
先ずステップS401では、初期化処理として、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
これらの初期化処理が終了すると、次にステップS402ではリセットスイッチ123がオン操作されているか否かを判定する。リセットスイッチ123がオン操作されている場合にはステップS403に進み、RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。
ステップS402にてリセットスイッチが操作されていないことを確認した後、またはステップS403にてRAMクリア処理を行った後、ステップS404では設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されているか否かを判定する。設定キーが挿入されている場合にはステップS405に進み設定変更処理を行う。設定変更処理として、先ずRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。そして、予め設定された6段階の設定状態(「設定1」〜「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。
ステップS406では停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされていない、すなわち先のステップS403又はステップS405にてRAM153のデータがクリアされている場合には、後述するステップS407の通常処理に進み、本処理を終了する。
ステップS406において停電フラグがセットされた状態にあるときには、ステップS408以降に示す復電処理に移行する。停電フラグがセットされた状態にあるということは、ステップS403のRAMクリア処理、ステップS405の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていないことを意味する。従って、RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり、復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。
そのためにまず、ステップS408ではRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には、RAM153のチェックサムを調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムが0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合、RAM153のデータは正常であると判定する。
ステップS408においてRAM判定値が異常である、つまりチェックサムの値が0でなかったときには、RAM153のデータが破壊された可能性が高い。そのため、このような場合にはステップS409にてエラー表示処理を行う。エラー表示処理として、先ず割込み処理を禁止し、入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットスイッチ123がON操作されるまでかかる状態を維持する。
ステップS408においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS410に進み、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に、ステップS411において、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後、ステップS412にて遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い、ステップS413にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。以上の処理が終了した後、ステップS414にて停電フラグをリセットし、電源遮断前の番地に戻る。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行されることとなる。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図29のフローチャートに基づき説明する。
先ずステップS501では、メダルがベットされているか否かを判定する。メダルがベットされているときには、続いてステップS502にてスタートレバー71が操作されたか否かを判定する。ステップS501,ステップS502が共にYESの場合には、ステップS503の抽選処理、ステップS504のリール制御処理、ステップS505のメダル払出処理、ステップS506の特別遊技状態処理を順に実行し、ステップS501に戻る。一方、ステップS501にてメダルがベットされていない、またはステップS502にてスタートレバー71が操作されていない場合には、ステップS501に戻る。
次に、ステップS503の抽選処理について、図30のフローチャートに基づき説明する。
ステップS601では、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされたメダルの枚数、小役確率の高低等に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。また、ベットされたメダルの枚数は1〜3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在の出玉率が所定の期待値を下回っているときには小役当選確率が高い乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには小役当選確率が低い乱数テーブルが選択される。
ステップS602では、このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー71が操作されたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う。そしてステップS603にていずれかの役に当選したか否かを判定し、いずれの役にも当選していない場合にはそのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合にはステップS604に進み、その役に応じた当選フラグをセットすると共に図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。続いてステップS605ではリール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納する。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
次に、ステップS504のリール制御処理について、図13のフローチャートに基づき説明する。
リール制御処理では、先ずステップS701においてウエイト処理を行う。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー71を操作したとしても、直ちに各リール42L,42M,42Rが回転しないことがある。ウエイト処理に続いてステップS702のリール回転処理を行い、各リール42L,42M,42Rを回転させる。その後、ステップS703に進み、ストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否かを判定する。停止指令が発生していない場合にはステップS704に進み、予め定められた各リール42L,42M,42Rの最大回転時間(例えば40秒)を経過したか否かを判定する。最大回転時間を経過していない場合にはステップS703に戻り、最大回転時間を経過した場合にはステップS705に進んで回転中の全てのリールを強制的に停止させる強制停止処理を行う。
一方、ステップS703にてストップスイッチ72〜74いずれかが押下操作されて停止指令が発生した場合には、ステップS706に進み、リール停止処理を行う。このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。例えば、下ライン上に「スイカ」図柄が並ぶという役に当選し、「スイカ」図柄が上ラインに停止するタイミングでストップスイッチが押下操作された場合には、下ラインに停止するように図柄2つ分だけリールを滑らせる。但し、滑らせることのできる範囲は予め決められている(例えば最大で図柄4つ分)ため、ストップスイッチを押したタイミングによっては下ライン上に「スイカ」図柄が停止しないこともある。なお、ステップS705の強制停止処理においても、当選フラグがセットされている場合にはこれと同様の処理を行う。
続いて、ステップS707では今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第1停止指令の場合には、ステップS708に進み、スベリテーブル変更処理を行う。このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。ここで、役の複合とは、例えば上ライン上で「スイカ」図柄を揃えようとしたときに左リールにて「チェリー」図柄が下ライン上に現れる場合のように複数の役が同時に発生する場合をいう。なお、スベリテーブル変更処理は役の複合を回避するとき以外にも行われることがある。
一方、ステップS707で今回の停止指令が第1停止指令でないときには、ステップS709に進み、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第2停止指令のときにはステップS710に進み、停止目判定処理を行う。この停止目判定処理では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ14から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。なお、停止目判定処理ではボーナス図柄が2つ揃う以外の別の条件が成立したか否かを判定してもよいし、効果音以外に補助表示部15を用いた演出を行ってもよい。
そして、ステップS705の強制停止処理の後、ステップS708のスベリテーブル変更処理の後、ステップS709にて今回の停止指令が第2停止指令でなかったとき、又はステップS710の停止目判定処理を行った後には、ステップS711にて左、中、右リール42L,42M,42Rのすべての回転が停止したか否かを判定する。ステップS711がNOの場合にはステップS703に戻り、YESの場合には続くステップS712にて払出判定処理を行った後、本処理を終了する。払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに0をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに0をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
次に、ステップS505のメダル払出処理について、図32のフローチャートに基づき説明する。
メダル払出処理では、先ずステップS801にて払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する。払出数と払出予定数とが一致していないときには、ステップS802にて遊技がクレジットモードにて行われているか否かを判定する。クレジットモードであるときには、ステップS803においてクレジットカウンタのカウント値が上限(貯留されているメダル数が50枚)に達しているか否かを判定する。上限に達していないときには、ステップS804にてクレジットカウンタのカウント値及び払出数をそれぞれ1インクリメントする。これにより残数表示部35及び獲得枚数表示部37の枚数がそれぞれ1インクリメントされる。
一方、遊技がダイレクトモードにて行われているとき、またはクレジットカウンタのカウント値が上限に達しているときには、ステップS805にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。このとき、ステップS806ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aのメダル検出信号に応じて払出数を1インクリメントする。これにより獲得枚数表示部37の枚数が1インクリメントされる。そして、ステップS804またはステップS806で払出数を1インクリメントしたあと、再びステップS801に戻る。ステップS801で払出数と払出予定数とが一致したときには、ステップS807にてホッパ装置91のメダル払出用回転板を停止させ、本処理を終了する。なお、払出数や獲得枚数表示部37は、次回スタートレバー71が操作されたときにリセットされる。
次に、ステップS506の特別遊技状態処理について、図33のフローチャートに基づき説明する。
特別遊技状態処理の説明に先立ち、ボーナスゲームについて説明する。レギュラーボーナス(以下「RB」という)ゲームは、12回のJACゲームで構成されている。JACゲームは、1枚ベットのみ許されるゲームであり、JAC図柄(ここではリプレイ図柄で代用)が有効ライン上に揃う確率つまりJAC図柄成立の確率が非常に高いゲームである。JACゲームでJAC図柄が成立すると最大枚数(ここでは15枚)のメダルが払い出される。そして、JAC図柄が8回成立すると、JACゲームが12回に達する前であってもRBゲームが終了する。一方、ビッグボーナス(以下「BB」という)ゲームは、30回の小役ゲームと3回のJACインとから構成されている。小役ゲームとは高確率で小役が当選する(有効ライン上に「ベル」図柄などが揃う)ゲームであり、JACインとは12回のJACゲームに突入することを意味し、小役ゲーム中にJAC図柄が有効ライン上に揃うとJACインが成立する。JACゲームはRBゲームの場合と同様である。また、3回目のJACインによるJACゲームが終了すると小役ゲームが30回に達する前であってもBBゲームは終了し、30回の小役ゲームが終了するとJACインが3回に達する前であってもBBゲームは終了する。
さて、特別遊技状態処理では、先ずステップS901にて遊技状態がボーナスゲーム中か否かを判定する。ボーナスゲーム中でないときにはステップS902に進み、ボーナス図柄判定処理を行う。
このボーナス図柄判定処理では、図34に示すように、まずステップS1001にてRB当選フラグがセットされているか否かを判定し、セットされているときにはステップS1002に進み、今回有効ライン上にRB図柄(例えば「BAR」図柄)が揃ったか否かを判定し、RB図柄が揃っていないときにはそのまま本処理を終了する。一方、今回有効ライン上にRB図柄が揃ったときには、ステップS1003においてRB当選フラグをリセットしRB設定フラグをセットしてボーナスゲームの1種であるRBゲームとし、図35に示すRBゲーム初期設定処理を実行して本処理を終了する。ステップS1001でRB当選フラグがセットされていないときには、ステップS1004にてBB当選フラグがセットされたか否かを判定し、セットされていないときにはそのまま本処理を終了する。BB当選フラグがセットされているときにはステップS1005に進み、今回有効ライン上にBB図柄(例えば図柄「7」)が揃ったか否かを判定し、BB図柄が揃っていないときにはそのまま本処理を終了する。一方、今回有効ライン上にBB図柄が揃ったときには、ステップS1006においてBB当選フラグをリセットしBB設定フラグをセットしてボーナスゲームの1種であるBBゲームとし、図36示すBBゲーム初期設定処理を実行して本処理を終了する。
なお、図35,図36において、残小役ゲームカウンタは小役ゲームの残りゲーム数(残小役ゲーム数ともいう)を表し、残JACインカウンタはJACイン可能な残り回数(残JACイン回数ともいう)を表し、残JAC成立カウンタはJAC図柄が成立可能な残り回数(残JAC成立数ともいう)を表し、残JACゲームカウンタはJACゲームの残りゲーム数(残JACゲーム数ともいう)を表す。残小役ゲーム数や、残JACイン回数や、残JAC成立数、残JACゲーム数は、適宜、ゲーム数表示部36に表示される。ちなみに、役の抽選で小役またはリプレイに当選して小役当選フラグまたはリプレイ当選フラグがセットされたときには、そのゲームで小役図柄またはリプレイ図柄を有効ライン上に揃えられないとこれらの当選フラグはリセットされるが、役の抽選でRBまたはBBに当選してRB当選フラグまたはBB当選フラグがセットされたときには、そのゲームでRB図柄またはBB図柄を有効ライン上に揃えられなかったとしてもこれらの当選フラグは次回に持ち越される。なお、BB又はRB当選フラグを持ち越した次ゲームにおける抽選処理では、小役又はリプレイの当選可否に関する抽選は行われるが、BB又はRBに関する抽選は行われない。また、BB又はRB当選フラグを持ち越した状態で小役又はリプレイに当選した場合には、小役又はリプレイが優先して揃えられるようにスベリテーブルが格納される。
さて、図33に戻り、ステップS901で遊技状態がボーナスゲーム中のときには、ステップS903にてそのボーナスゲームがJACゲームか否かを判定する。JACゲームでないときにはBBゲームの小役ゲーム中であることを意味するため、ステップS904に進み、JAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定する。JAC図柄が有効ライン上に揃ったときには、ステップS905にてJACゲームを開始すると共に図36(b)のBBゲーム中JACゲーム初期設定処理を行い、本処理を終了する。一方、ステップS904でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには、小役ゲームが1ゲーム消化されたことになるため、ステップS906にて残小役ゲーム数を1ディクリメントし、ステップS907にてその残小役ゲーム数が0になったか否かを判定する。残小役ゲーム数が0でないときには本処理を終了し、0のときにはステップS908に進み、各種設定フラグやBB設定フラグや各種カウンタなどを適宜リセットしたりエンディング処理を行ったりする特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。
ステップS903で遊技状態がJACゲームであるときには、ステップS909に進みJAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定し、JAC図柄が有効ライン上に揃ったときにはステップS910にて残JAC成立数を1ディクリメントする。その後、或いはステップS909でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには、JACゲームを1つ消化したことになるため、ステップS911にて残JACゲーム数を1ディクリメントする。続いて、ステップS912では残JAC成立数か残JACゲーム数のいずれかが0になったか否かを判定し、いずれも0になっていないとき、つまりJAC図柄がまだ8回成立しておらずJACゲームも12回消化されていないときには、そのまま本処理を終了する。一方、いずれかが0になっていたとき、つまりJAC図柄が8回成立したかJACゲームが12回消化されたときには、JACインが1回消化されたことになるためステップS913にて残JACイン回数を1ディクリメントし、続くステップS914にてその残JACイン回数が0か否かを判定する。0のときには先に述べたステップS908の特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。ちなみに、当該ボーナスゲームがRBボーナスである場合には、当初の残JACイン回数が1(図35参照)であるからステップS913で0になり、ステップS914で必ず肯定判定され、ステップS908の特別遊技状態終了処理にてRB設定フラグがリセットされる。
一方、ステップS914で残JACイン回数がゼロでないとき、つまりBBゲームでJACインが3回消化されていないときには、ステップS915においてJACゲーム設定フラグをリセットするJACゲーム終了処理を行ったあと、今回JACインしたときに小役ゲームを1ゲーム消化しているためステップS906にて残小役ゲーム数を1ディクリメントし、続いてステップS907にてその残小役ゲーム数が0になったか否かを判定し、残小役ゲーム数が0のときには先に述べたステップS908の特別遊技状態終了処理を行い、本処理を終了する。一方、残小役ゲーム数が0でないときにはBBボーナスにおける小役ゲームが30回に達しておらず且つJACインも3回に達していないため、本処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置131の第1封印部において、封印時に使用される封印ピン部材321は弾性変形可能な係止爪部321cを有し、封印解除時には表ケース体271から切除された差込側結合部291に対して係止状態となる構成とした。この場合、係止爪部321cを弾性変形させることで、何ら破断等がなされずに封印処理前と同じ状態で差込側結合部291から封印ピン部材321を取り外すことができ、この封印ピン部材321を別の封印結合部における封印処理に使用することが可能となる。それ故、予備の封印ピン部材321を用意しておくこと、その収容スペースを確保しておくことが不要となる。以上により、基板ボックスの封印構造を改善し、ひいては構成の簡素化を図ることができるようになる。
封印ピン部材321にスロットマシン10毎の識別情報を付与したため、別のスロットマシンで使用されていた封印ピン部材321を用いて封印処理を行った場合には、識別情報の不整合が生じる。従って、正規に封印処理が行われなかったことの確認が可能となる。
また同じく主制御装置131の第1封印部において、表ケース体271側の封印結合部(差込側結合部291)にのみ易破断部(連結部292)を設けるとともに、封印ピン部材321を、表ケース体271側の封印結合部(差込側結合部291)にのみ係止される構成した。そのため、封印解除に際し、台座装置210側での破断処理がなされることない。つまり、封印処理及びその解除処理が行われたとしても台座装置210は同じ状態のままで維持できる。以上により、台座装置210の再使用が可能となり、再使用の促進を図ることができる。例えば、スロットマシン10の機種変更に際し、筐体11や前面扉12等と共に台座装置210を再使用することで、部品類の再使用が大いに促進される。
例えば、主制御装置131に対して元通りに修復できないほどの不正行為がなされた場合においても、台座装置210を残して主制御装置131だけの交換で対処可能となる。この場合、主制御装置131が新品に交換されることで、第1封印部が全て不正前の封印状態に更新できる。
筐体11の背板11cに取り付けられる主基板ユニット200において、主制御装置131を搭載した可動ベース板212を固定ベース板211に対して回動可能としたため、主制御装置131を手前側に引き寄せることが可能となる。従って、遊技ホールの従業員や管理者等が主制御装置131を確認する際、当該制御装置131を手前側に引き寄せた状態で確認作業等を行うことができる。またこのとき、可動ベース板212の回動時には主制御装置131の裏面(主基板裏面)が開放されため、当該裏面側において各種電子部品や電気配線等に異常や不正が無いか等の確認を行うことができる。その結果、主制御装置131で不正行為が行われていないことなどの確認が可能となり、ひいては主制御装置131を適正に管理することができるようになる。
また、上記の如く主制御装置131を搭載した可動ベース板212を固定ベース板211に対して回動可能とした構成にあって、基板ボックスの封印部(第1封印部)を回動軸部側に設けたため、主制御装置131を引き寄せた状態であっても基板ボックスの封印部は引き寄せられない。従って、基板ボックスの不正な封印解除が困難となり、不正行為に対する抑止力が高められる。
筐体11の前面開放部から見て正面となる基板ボックスの表面部に第1封印部を設置したため、主制御装置131を可動ベース板212と共に回動させる構成にあっても、第1封印部の設置場所が容易に確保できる。またこのとき、可動ベース板212を回動動作させる際の邪魔になりにくいという効果も併せて得られる。また、主制御装置131の表面側には、当該主制御装置131の目視確認を妨げるような他の部材が配されることはないため、基板ボックスの側部(例えば図8におけるボックス上側又は下側)に第1封印部を設ける場合よりも当該封印部の確認が容易となると考えられる。
前面扉12の開閉軸と同じ側に第1封印部が配置されるようにして台座装置210を筐体11の背板11cに固定したため、前面扉12を大きく開放しなければ、第1封印部の封印解除が困難なものとなる。故に、不正な封印解除行為に対する抑止力を高めることができる。
筐体11の内周面のうち背板11cに主基板ユニット200を取り付けたことの効果として、主制御装置131を不正に取り外ししにくい、主制御装置131を装着したままで当該主制御装置131に対する不正作業がしにくい、主制御装置131と筐体11の前面開放部との距離が長くなるため筐体11の前面開放部を介して不正な信号線を主制御装置131に接続するような不正行為がしにくい、前面扉12の開放時には主制御装置131が正面に見えるため基板表面の不正が見つけやすい、筐体11の奥まで手を差し入れなければ封印シールSを剥がすことができない、側板11d,11eよりも横幅寸法が大きいため比較的大型の制御装置でも装着できる、等の効果が得られる。
可動ベース板212を回動させた状態において可動ベース板212上で主制御装置131をスライドさせることにより、当該可動ベース板212の回動先端部側から主制御装置131が着脱可能となるよう構成したため、可動ベース板212の回動先端部を手前側に引き寄せた状態で主制御装置131を容易に装着又は離脱させることができる。従って、主制御装置131の検査時や交換時における作業性を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態では、主基板ユニット200を筐体11の背板11cに取り付ける構成としたが、これに代えて、主基板ユニット200を筐体11の左右何れかの側板11d,11eに取り付ける構成としても良い。筐体11の左右何れかの側板11d,11eに取り付けたとしても、固定ベース板211に対して回動ベース板112を回動可能とすることにより、主制御装置131を手前側(すなわちスロットマシン10の前方)に引き寄せることが可能となり、上述のとおり優れた効果を奏する。
(b)上記実施の形態では、主基板ユニット200において、固定ベース板211と可動ベース板212を主制御装置131(基板ボックス)に合わせてほぼ同じ大きさとしたが、この構成を変更する。例えば、可動ベース板212を主制御装置131(基板ボックス)よりも小さくする。具体的には、可動ベース板212の長手方向の長さを主制御装置131の長さの2/3にする、1/2にする、1/3にする等の構成が考えられる。又は、可動ベース板212の底板部241を中心部を含んで一部切り欠く、底板部241に透視窓を設けるなどの構成であっても良い。何れにしても、可動ベース板212が主制御装置131の裏面が容易に確認できるようにして回動される構成であれば良い。固定ベース板211に関しても、主制御装置131を確実に装着できることを前提に、主制御装置131よりも小さくしたり、或いは大きくしたりしても良い。
(c)上記実施の形態では、固定ベース板211の短辺部に軸支部を設けたが、同固定ベース板211の長辺部に軸支部を設ける構成としても良い。この場合、可動ベース板212の手前側への引き込み量は減るが、スロットマシン前方から見た時の主制御装置131の対面角度が変わることは同じであり、主基板273の確認をやはり好適に実施できる。
(d)上記実施の形態では、台座部材210を構成する固定ベース板211及び可動ベース板212を何れも透明な合成樹脂材料にて成形する構成としたが、固定ベース板211を有色の樹脂材料に変更したり、同固定ベース板211を樹脂材料以外、例えば金属等で成形したりしても良い。また、可動ベース板212は、主制御装置131の裏面を視認できればよいため、例えば可動ベース板212の底板部241に視認窓を設けるなどの構成を付加すれば、有色の樹脂材料に変更したり、樹脂材料以外、例えば金属等に材料変更したりしても良い。
(e)筐体11の内部にランプ等の照明手段を設けておき、固定ベース板211に対して可動ベース板212を回動させた時にランプ等(照明手段)を点灯させるようにする。これにより、主制御装置131や台座装置210に対する不正行為の有無などが容易に確認できるようになる。照明手段は、筐体11に取り付けられるか、或いは台座装置210に取り付けられればよい。
(f)上記実施の形態では、主基板ユニット200の第1封印部を表ケース体271の表面側に設けたが、これに代えて、表ケース体271の側部(例えば図8におけるケース上側又は下側)に設けても良い。但しこの場合、第1封印部の視認を妨げるような他の部材が配されないようにしておくのが望ましい。何れにしても、不正行為に対する抑止力を高める上で、かかる封印部を台座装置210の回動軸側に設けると良い。
(g)上記実施の形態では、主基板ユニット200の第1封印部において、差込側結合部291を表ケース体271に4連で並設すると共に、それに対応させて受け側結合部251を可動ベース板212に4連で並設したが、この構成を変更する。4連の受け側結合部のうち少なくとも1つを裏ケース体272に設ける。この構成としても、適切な封印構造が実現できることに変わりない。また、表ケース体271と可動ベース板212とで行われる封印に代えて、裏ケース体272と可動ベース板212とで行われる封印とする、又は表裏のケース体271,272で行われる封印とすることも可能である。
(h)主制御装置131の第2,第3封印部にかかる構成は他への変更が可能である。各封印部を設ける場所についても、基板ボックス(ケース体271,272)の左右の両短辺部に設ける他に、同基板ボックス(ケース体271,272)の長辺部に設けても良い。また、封印ネジを用いる構成に代えて、封印金具片を封印連結部に差し込む構成等であっても良い。封印部として、少なくとも第1封印部を設けることとし、それ以外の封印部(第2封印部、第3封印部)を省略する構成であっても良い。
(i)上記実施の形態では、主基板ユニット200において、固定ベース板211に対して可動ベース板212を回動可能に設けたが、その台座装置210の回動機能を持たない構成としても良い。この場合、台座装置210は、単に主制御装置131を着脱可能に装着するものとなる。
(j)表裏一対のケース体271,272間で設けられる封印手段として、再使用可能な封印ピン部材(挿通部材)を用いることも可能である。つまり、台座装置は要件でない。この場合にもやはり、予備の封印ピン部材を用意しておくこと、その収容スペースを確保しておくことが不要となる。以上により、基板ボックスの封印構造を改善し、ひいては構成の簡素化を図ることができるようになる。なおかかる場合において、基板ボックスの付随的な構成を簡単に説明すると、一方のケース体のケース面に沿って他方のケース体をスライドさせることで両ケース体の開放が可能となっており、そのスライド方向とは直交する向きに延びるよう結合部(封印部)の連通孔部が形成される。また、一方のケース体の結合体にのみ易破断部が設けられ、且つ挿通部材は易破断部を設けた方の結合体にのみ係止可能とされる。
(k)上記実施の形態では、主基板273を内包した主制御装置131について台座装置に装着する構成としたが、主制御装置131以外の他の制御装置にも同様の構成を設けても良い。
(l)遊技機としては前記スロットマシン以外にも適用が可能である。例えば、パチンコ機等の弾球遊技機、アレンジボール機、雀球等の遊技機や、遊技媒体として遊技球を使用する球使用ベルト式回胴遊技機にも適用できる。