以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。図4は内枠12及び遊技盤30等の構成を示す正面図である。図5はパチンコ機10の背面図であり、図6は内枠12及び裏パックユニット203等を開放した状態を示す斜視図である。但し、図3では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137等を省略して示している。
図3等に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。
外枠11は、図6等に示すように、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている(図1参照)。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。そして、外枠11の内側に形成される空間部に内枠12等が収容される。
また、右辺枠構成部11dには、その幅方向後端部近傍から外枠11内側へ向け突出した延出壁部83が形成されている。延出壁部83は、内枠12の右側部背面側に設けられる施錠装置600(図6参照)に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆っている(図5参照)。加えて、図3に示すように、延出壁部83の前面側には、施錠装置600の係止部材が係止される上下一対の受部84,85が設けられている。また、下側の受部85には、後述する内枠開放検知スイッチ92に当接する押圧部86が、外枠11内側に向けて突設されている。
さらに、下辺枠構成部11bには樹脂製の幕板飾り87が取着されている。幕板飾り87の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
図3に示すように、内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
図1に示すように、前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。加えて、下皿15の左部には、LEDが内蔵された演出ボタン125が設けられており、演出ボタン125を押圧操作することで、後述する装飾図柄表示装置42等において対応する演出が行われたり、演出内容が変更されたりする。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する発射手段としての遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)60の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19が遊技球で一杯になった状態では、払出される遊技球は下皿15へと案内される。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技ホール等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
さらに、上皿19には、球抜きボタン123が設けられている。球抜きボタン123が押圧操作されることで、上皿19の球案内路の下流側に設けられ、下皿15に連通する連通孔(図示略)が開口し、上皿19に貯留されていた遊技球が下皿15へと案内される(落下する)。つまり、遊技者は、球抜きボタン123を操作することで、上皿19にある遊技球をいつでも下皿15に移すことができる。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅といった発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられている。また、該環状電飾部102の両側部には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。尚、環状電飾部102のうち各エラー表示ランプ104の上方部位には、前面枠セット14の背面に設けられるスピーカSP(図3参照)に対応して細かな透孔が多数形成されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対をなして別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図4を参照して説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側において遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の前面下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、発射装置60及び当該発射装置60より発射された直後の遊技球を案内する発射レール61が取付けられている。本実施形態では、発射装置60としてソレノイド式発射装置を採用している。また、発射装置60の上方には、上皿19から案内される遊技球を、内蔵された駆動手段(例えばソレノイド)の駆動により、1球ずつ発射装置60の発射位置へと案内する球送り装置63が設けられている。
次に、遊技盤30の構成について図4を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応ユニット(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通孔に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応ユニット33などの各種入賞口に遊技球が入球(入賞)すると、後述する各種検出スイッチにより検出され、上皿19(又は下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、一般入賞口31等の各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
第1契機対応ユニット33は、上入賞口33a及び下入賞口33bを備えるとともに、下入賞口33bに対応して一対の開閉部材33cを備えている。これにより、上入賞口33aが遊技球が常時入球可能な開状態となっているのに対し、下入賞口33bは、開閉部材33cが所定条件の成立に応じて開閉動作することにより、遊技球が入球不能な閉状態と、遊技球が入球可能な開状態とに切換わる。例えば、下入賞口33bは、通常モード時には開閉部材33cが開状態となり規定時間(例えば0.2秒)の経過した場合又は規定個数(例えば1個)の遊技球の入球があった場合に閉状態となる。この開閉処理は、通常モード時においては1回だけ行われる。また、上記構成に代えて、下入賞口33bが、遊技球が入球困難な閉状態と、遊技球が前記閉状態より入球容易な開状態とに切換わる構成としてもよい。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応ユニット33(上入賞口33a又は下入賞口33b)への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で切換表示(変動表示)する。そして、その変動表示が「○」図柄(当選図柄)で数秒間停止した場合には、第1契機対応ユニット33が所定時間だけ作動状態となる。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。
また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の右側方に設けられ、赤、緑、青の発光色を有する三色発光ダイオード(三色LED)により構成されている。そして、遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞する毎に色換え表示(変動表示)が行われ、変動表示が停止したときの点灯態様(点灯色)により、大当たりか否かが確定的に表示される。
より詳しくは、第1契機対応ユニット33に対し遊技球が入賞すると、特別表示装置43は、3色LEDを赤→緑→青→赤→・・・という具合に高速で色換え表示(変動表示)し、所定時間が経過すると、いずれかの色に決定表示する。高速の色換え表示とは、例えば4msec毎に赤、緑、青を順番に表示するという具合である。大当たり抽選に当選した場合には、この際、赤又は緑で決定表示(例えば数秒間停止)され、特別遊技状態が発生する。特に、赤は、大当たり終了後の遊技モードが高確率モードであることを示す表示であり、緑は、大当たり終了後の遊技モードが時間短縮モードであることを示す表示である。なお、この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。
また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262及び表示制御装置45によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞可能な開状態とされる。具体的には、規定時間(例えば29秒)の経過又は規定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンド(特賞状態)として、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、内レール構成部51と外レール構成部52とからなり、発射装置60から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は発射レール61及びレール50を通じて、遊技盤30とガラスユニット137との間に形成される遊技領域内に案内される。
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技領域へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、窓部101の下方において、球通路ユニット70が設けられている。球通路ユニット70は、後述する払出機構部352から下皿15の排出口16へ繋がる下皿連通路71と、払出機構部352から上皿19へ繋がる上皿連通路73と備えている。また、内枠12に設けられた発射レール61とレールユニット50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、球通路ユニット70には、前記隙間より落下した遊技球を下皿15へと案内するファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置60から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72を介して下皿15に排出される。
また、図3及び図4中の符号67は後述する払出機構部352により払出された遊技球を内枠12の前方に案内するための払出通路であり、上皿連通路73(上皿19)に通じる通路と、下皿連通路71(下皿15)に通じる通路とに分かれている。払出通路67の下方にはシャッタ68が設けられており、前面枠セット14を開放した状態では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が前方に突出して払出通路67の出口をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態では、下皿連通路71の入口側後端部によってシャッタ68が押し開けられるようになっている。尚、下皿連通路71及び上皿連通路73の入口(球流入部)が隣接するとともに、前面枠セット14の閉状態において当該各入口と払出通路67とが所定距離だけ離間しており、両者間の隙間を遊技球が通過可能となっている。このため、上皿19及び上皿連通路73が遊技球で満杯となると、払出される遊技球が下皿連通路71側に流れ(下皿連通路71の入口側に溢れ)、下皿連通路71を通って下皿15に払出されることとなる。
加えて、球通路ユニット70には、下皿連通路71内に位置する遊技球を検知する満杯検知スイッチ(図示略)が設けられている。当該満杯検知スイッチの存在により、下皿15が遊技球で満杯になっていること(下皿15が遊技球で満杯となり、下皿連通路71において遊技球が滞留していること)を把握することができる。本実施形態では、満杯検知スイッチによって所定時間継続して遊技球が検知されることに基づき、発射装置60の打出しを禁止するといった制御が行われる。尚、下皿連通路71における遊技球の滞留が解消され、満杯検知スイッチにより遊技球が検知されなくなると(所定時間継続して検知されなくなると)発射装置60の打出しが許容される。
次に、パチンコ機10の背面構成について図5、図6等を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。払出機構及び保護カバーは1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。図6に示すように、遊技盤30中央の貫通孔に対応して配設された可変表示装置ユニット35(図4参照)の背面側には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。また、フレームカバー213の背面側には、フレームカバー213の開口部から前方に臨む液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42、表示制御装置45及びサブ制御装置262が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
装飾図柄表示装置42は、当該装飾図柄表示装置42の表示部(液晶画面)をパチンコ機10の前面側に露出させるための開口部が形成された収容ボックス42aに収容されてフレームカバー213の背面側に固定されている。表示制御装置45は基板ボックス45aに収容されて装飾図柄表示装置42(収容ボックス42a)の背面側に固定されている。サブ制御装置262は基板ボックス262aに収容されて表示制御装置45(基板ボックス45a)の背面側に固定されている。尚、フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板等が配設されている。また、収容ボックス42a及び基板ボックス45a,262aは透明樹脂材料等により構成され、内部が視認可能となっている。
フレームカバー213の下方には裏枠セット215が、一般入賞口31、可変入賞装置32及び第1契機対応ユニット33等を背後から覆うようにして遊技盤30に取付けられている。裏枠セット215は、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている(図示略)。この球回収機構により回収された遊技球は、後述する排出通路部217に案内され、排出通路部217の排出シュートからパチンコ機10外部に排出される。
主制御装置261は透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。基板ボックス263は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備え、これらボックスベースとボックスカバーとが連結手段によって連結されている。連結手段によって連結された基板ボックス263は、所定の痕跡を残さなければ開封できない構成となっている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。尚、基板ボックス263の詳細については後述する。
また、本実施形態では、裏枠セット215が主制御装置261の取付台として機能し、主制御装置261を搭載した基板ボックス263が、裏枠セット215に対し回動可能に軸支され、後方に開放可能となっている。また、裏枠セット215には、主制御装置261と裏枠セット215との間に形成される隙間を埋めるスペーサー(図示略)が回動可能に設けられている。
また、遊技盤30には、入球手段としての一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入球した遊技球を検出する入球検出スイッチ(入球検出手段)が設けられている。具体的には、図4に示すように、一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチ223が設けられている。また、第1契機対応ユニット33には、上入賞口33a及び下入賞口33bそれぞれに対応して第1契機対応ユニットスイッチ224a,224bが設けられている。さらに、第2契機対応口34に対応する位置には第2契機対応口スイッチ225が設けられている。
また、図示は省略するが、裏枠セット215には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、第2契機対応口スイッチ225、主制御装置261との電気的な接続を中継する第1盤面中継基板(図示略)、遊技盤30の下部に設けられる電飾部材のLED基板とサブ制御基板262との電気的な接続を中継する電飾中継基板(図示略)、及び、第1契機対応ユニット33の周縁部に配置され、前記電飾中継基板に接続されるLED基板が設けられている。この第1盤面中継基板は、入賞口スイッチ221等と、制御手段としての主制御装置261とを中継するものであり、ケーブルコネクタを介して主制御装置261と電気的に接続されている。
これに対し、第1契機対応ユニット33(上入賞口33a又は下入賞口33b)への入球を検出する第1契機対応スイッチ224a,224bは中継基板を経ることなくコネクタケーブルを介して直接主制御装置261に接続されている。
各種入球検出スイッチにて各々検出された検出結果は、主制御装置261に取り込まれる。そして、該主制御装置261よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信され、該払出制御装置311からの出力信号に基づき所定数の遊技球の払出しが実施される(第2契機対応口スイッチ225により検出された場合を除く。)
この他、遊技盤30の裏面には、図示は省略するが、可変入賞装置32にて大入賞口を開放する大入賞口用ソレノイドが設けられ、第1契機対応ユニット33にて一対の開閉部材33cを開閉駆動する下入賞口用ソレノイドが設けられている。また、裏枠セット215には、これらソレノイドと主制御装置261とを中継する第2盤面中継基板(図示略)も設けられている。尚、裏枠セット215に搭載される検知スイッチ等は背面側から着脱可能となっており(第1盤面中継基板は取外し不可としてもよい)、裏枠セット215を遊技盤30から取外さなくてもかかる検知スイッチ等のメンテナンスや交換等を行うことができる。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。図5に示すように、裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と、遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。また、裏パックユニット203は、内枠12の左側部(図5では右側)に対して開閉可能に支持されており、上下方向に沿って延びる開閉軸線を軸心として後方に開放できるようになっている。加えて、裏パックユニット203の左上部(図5では右上部)には外部中継端子板240が設けられている。
外部中継端子板240は、遊技ホールのホールコンピュータなどへの各種情報送信を中継するためのものであり、複数の外部接続端子が設けられている。便宜上、符号は付さないが、例えば現在の遊技状態(大当たり状態や高確率状態等)に関する情報を出力するための端子、後述する開放検知スイッチ91,92によって検出される前面枠セット14や内枠12の開放に関する情報を出力するための端子、入球エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、払出制御装置311から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などが設けられている。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機10の後方に突出して略直方体形状をなす保護カバー部354を備えている。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉塞され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくともフレームカバー213を覆うのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、保護カバー部354が基板ボックス263の上部及び右部(図5では左側の部位)も合わせて覆う構成となっている。これにより、裏パックユニット203の閉鎖状態において、主制御装置261の上縁部に沿って設けられた端子部(受側コネクタ)が覆われることとなる。
払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払出された遊技球は上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
裏パックユニット203(基板ボックス263)の下方には、内枠12の左側部(図5では右側)にて軸支され、後方に開放可能な下枠セット251が設けられている。図6に示すように、下枠セット251には、上述した球回収機構により回収された遊技球が流入する排出通路部217が形成され、排出通路部217の最下流部には、遊技球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート(図示略)が形成されている。つまり、一般入賞口31等の各入賞口に入賞した遊技球は、裏枠セット215の球回収機構を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュートを通じてパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュートを介してパチンコ機10外部に排出される。尚、本実施形態では、裏パックユニット203と下枠セット251とが別体として構成され、それぞれ独立して開閉可能であるが、裏パックユニット203と下枠セット251とが一体的に形成されることとしてもよい。
また、図5に示すように、下枠セット251の背面側には、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
発射制御装置312及び電源装置313は基板ボックス313aに収容されて下枠セット251の背面側に固定されている。尚、発射制御装置312及び電源装置313は、便宜上それぞれ独立した制御装置として説明するが、実際には1つの基板(プリント基板)により構成される。
また、払出制御装置311は、基板ボックス311aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。尚、払出制御装置311が収容される基板ボックス311aには、上述した主制御装置261が収容される基板ボックス263と同様に連結手段が設けられ、基板ボックス311aの開封された痕跡が残るようになっている(当該基板ボックス263に関しては後に詳述する)。
加えて、カードユニット接続基板314は、基板ボックス314aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。
なお、上記各基板ボックス311a,313a,314aは透明樹脂材料等により構成されており、内部が視認可能となっている。
また、払出制御装置311には基板ボックス311aから外方に突出する状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
さらに、電源装置313には基板ボックス313aから外方に突出するRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技ホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
また、図6に示すように、内枠12の右側部背面側には施錠装置600が設けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。
尚、上記のように、外枠11の右辺枠構成部11dには、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆う延出壁部83が形成されている(図5参照)。これにより、外枠11の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により施錠装置600を操作することが困難となる。結果として、防御性能の向上を図ることができる。さらに、延出壁部83は、裏パックユニット203及び下枠セット251の右端部(図5では左側の端部)を背面側から覆う構成となっており、内枠12の閉状態においては、裏パックユニット203及び下枠セット251を開放できない構成となっている。
また、図4に示すように、内枠12の前面側右下部(発射装置60の右側)には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ91が設けられ、図5に示すように、内枠12の背面側右下部(図5では左下)には、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ92が設けられている。前面枠開放検知スイッチ91及び内枠開放検知スイッチ92は、それぞれスイッチ本体部に対して出没可能な検知部を備えており、前面枠開放検知スイッチ91は検知部が前方に向くように設けられ、内枠開放検知スイッチ92は検知部が後方へ向くように設けられる。そして、検知部がスイッチ本体部から突出した状態にある場合にはオン信号を主制御装置261に出力し、検知部がスイッチ本体部側に押圧され、スイッチ本体部に没入した状態ではオフ信号を主制御装置261に出力する構成となっている。つまり、前面枠開放検知スイッチ91は前面枠セット14の閉鎖時において検知部が前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、前面枠セット14の開放時には、検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。同様に、内枠開放検知スイッチ92は内枠12の閉鎖時において検知部が外枠11の受部85に一体形成された押圧部86によって押圧されてオフ状態となり、内枠12の開放時には検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。
さて、本実施形態では、制御基板としての主制御装置261を収容する基板ボックス263に特徴がある。以下、かかる構成について、図面を参照しつつ説明する。図7は裏枠セット215への取付前の状態にある基板ボックス263の斜視図であり、図8は取付け前の状態にある基板ボックス263の斜視図であり、図9は基板ボックス263の正面図(背面図)であり、図10は基板ボックス263の分解斜視図である。図11はねじ収容部406を示す背面図であり、図12は結合部471を示す分解斜視図である。図13(a)はベース側連結部408及びカバー側連結部442を示す部分斜視図であり、図13(b)は基板ボックス263の連結部位を示す断面図であり、図13(c)は図13(b)のJ−J線断面図である。図14、図15は切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断して、カバー本体441を別離させた状態にある基板ボックス263を示す斜視図である。
図10等に示すように、基板ボックス263は、制御基板としての主制御装置261の前面及び周縁部を覆うボックスベース263aと、ボックスベース263aに収容された主制御装置261の背面側を覆う内蓋264と、ボックスベース263aの開口部を覆い、ボックスベース263aとの間に内蓋264を収容するボックスカバー263bとを備え、全体として左右に長い略直方体形状をなしている。
(ボックスベース263a)
図10に示すように、ボックスベース263aは、主制御装置261の前面と略当接する底板401と、底板401の外周縁部から後方に延びる周壁部402とを備えている。本実施形態では、主制御装置261は、大小二枚の制御基板261a、261bにより構成されており、ボックスベース263aの背面側には、左側(図10では右側)において、大きい方の制御基板261aが収容される枠状の第1基板収容部403が設けられ、右下部(図10では左下)において、小さい方の制御基板261bが収容される枠状の第2基板収容部404が設けられている。尚、各基板収容部403、404と周壁部402との間には若干の隙間が形成されている。
加えて、ボックスベース263aの背面側には、主制御装置261(制御基板261a、261b)が配置されない部位であるボックスベース263aの右上部(図10では左上)において、未使用の破断ねじ405を収容しておくための部材収容部としてのねじ収容部406が設けられている。図11に示すように、ねじ収容部406には、破断ねじ405を係止するねじ係止部407が設けられている。ねじ係止部407は可撓性を有しており、ねじ係止部407に係止された状態でねじ収容部406に収容されている破断ねじ405を比較的容易に取出すことができる。尚、詳しくは後述するが、かかる破断ねじ405は、基板ボックス263を一度開封した後、基板ボックス263を再度封印する際に使用される。また、ねじ係止部407の構成は特に限定されるものではなく、種々の形状を採用することができる。
尚、破断ねじ405は、ドライバー(工具)の先端と係合する十字穴(工具係合部)が形成された部位を取り除くことのできるねじであり、螺着後、十字穴が形成された部位が取り除かれることで、ドライバーにより破断ねじ405を取外すことが不可能となる。
さて、周壁部402を構成する上辺部及び下辺部には、後述するカバー側連結部442と連結されるベース側連結部408が設けられている(図10参照)。図13に示すように、ベース側連結部408は、周壁部402の後端部近傍(図13(a)、図13(c)では左側の部位)から周壁部402外周側(図13(a)、図13(c)では上方)に延出する延出壁部411と、延出壁部411のうち周壁部402の内外周方向(上下方向)中間位置から後方(図13(a)、図13(c)では左方)に延出する土台部412と、土台部412に対して周壁部402の周方向(左右方向)に沿って所定間隔毎に設けられた係止部413とを備えている。尚、以下の説明では、周壁部402のうち延出壁部411よりも後方に突出した部位を隔壁部416と称し、延出壁部411のうち土台部412よりも周壁部402外周側に突出した部位を当接部417と称する。
図13(a)、図13(b)に示すように、各係止部413は、土台部412から後方に延出する基部414と、基部414の先端部から左方(背面視では右方)に突出する爪部415とを備え、全体として略L字状をなしている。また、図13(a)、図13(c)に示すように、土台部412の後面は、周壁部402の内周側に向けて前方傾斜する傾斜面となっている。このため、前後方向において、土台部412のうち周壁部402外周側の端縁は隔壁部416の後端部と同じ位置となっているが、土台部412のうち周壁部402内周側の端縁は、隔壁部416の後端部よりも前方に位置している。
加えて、図10に示すように、周壁部402を構成する左辺部(図10では右側の辺部)には、上下方向略中央部において左方(図10では右方)に突出するベース側板状部409が設けられている。
(内蓋264)
図10等に示すように、内蓋264は、前方に開口する箱状の内蓋本体421と、内蓋本体421の前縁部から内蓋本体421の開口部外周側に突出する断面略L字状の縁壁部422(図13(c)参照)とを備えている。内蓋264は、第1基板収容部403及び第2基板収容部404の外周形状に対応した形状をなしており、内蓋264をボックスベース263aに取付けることで、主制御装置261が覆われる構成となっている。但し、ねじ収容部406に関しては内蓋264に覆われない構成となっている(図14参照)。また、内蓋264とボックスベース263aとの取付状態においては、図13(c)に示すように、基板収容部403、404のうち周壁部402外周側の面及び後端部と、断面略L字状の縁壁部422とが略当接状態とされている。但し、内蓋264と周壁部402との間には隙間が形成されている。
また、図10、図14に示すように、縁壁部422には、コーナー部に対応して前後に貫通する取付孔423が設けられている。一方、図10に示すように、ボックスベース263aには、取付孔423に対応して、ねじ穴を有するボス410が後方に突出して設けられている。そして、内蓋264(縁壁部422)の内側に基板収容部403、404を嵌入させるようにして、ボックスベース263aと内蓋264とを組み付けることで、取付孔423とボス410とが位置合わせされ、取付孔423及びボス410に対してねじ425が螺着される。これにより、ボックスベース263aに対して内蓋264が取付けられている。尚、ボックスベース263aと内蓋264との固定に使用されるねじ425は、十字穴やすりわり等の形成された一般的なねじ(例えば木ねじ)であり、内蓋264はボックスベース263aに対して着脱自在となっている。
また、本実施形態では、取付孔423のうちの一つ(本例では背面視で左上のコーナー部に形成される取付孔423)に対応して、当該取付孔423を囲うようにして後方に突出して設けられる筒状部424が設けられている。
尚、詳しくは後述するが、基板ボックス263を開封する前の状態においては、筒状部424が設けられた取付孔423に対して一般的なねじ425が螺着されているが、基板ボックス263を一度開封した後、基板ボックス263を再度封印する際には、筒状部424が設けられた取付孔423に対し、ねじ425に代えて破断ねじ405が螺着される。また、筒状部424が設けられた取付孔423に対し、上記ねじ収容部406に収容されている破断ねじ405が螺着され、破断ねじ405から十字穴の形成されている部位が除去された場合、破断ねじ405の頭部が筒状部424の内側に位置した状態(没入状態)となる。さらに、破断ねじ405(の頭部)の外径と筒状部424の内径とがほぼ同じになっており、破断ねじ405(の頭部)と筒状部424の内周壁部との間にはほとんど隙間がなくなる。このため、破断ねじ405の端部をプライヤー等で挟んで回転させ、破断ねじ405を取外すといった行為を防止することができる。
加えて、内蓋本体421には、主制御装置261に設けられた受側コネクタ265に対して、それぞれ電源装置313や払出制御装置311等と電気的に接続された各ケーブルの差込側コネクタ(図示略)を接続するための蓋側コネクタ開口部426、及び、主制御装置261から発せられる熱を基板ボックス263の外部に逃がすための蓋側放熱孔427が形成されている。尚、内蓋264には、蓋側コネクタ開口部426に対応して、蓋側コネクタ開口部426の周縁部と受側コネクタ265との間に形成される隙間をなくすための閉塞部材428が取付けられている。
また、図10に示すように、内蓋264には、ボックスベース263aに設けられたベース側板状部409に対応して、内蓋本体421から左方(図10では右方)に突出する蓋側板状部429が設けられている。当該蓋側板状部429、及び上記ベース側板状部409には、それぞれ厚み方向(前後方向)に貫通するねじ孔が形成されている。内蓋264とボックスベース263aとの取付状態においては、蓋側板状部429とベース側板状部409とが前後に重なるとともに、前後に連通する両板状部409、429のねじ孔に対してねじが着脱自在に螺着されている。
加えて、本実施形態では、前後に重ねられたベース側板状部409及び蓋側板状部429に対し、図10に示す略矩形状の封印シール431が、両板状部409、429を跨ぐようにして折り曲げられて貼付けられている。尚、両板状部409、429のねじ孔に螺着されたねじは、封印シール431により覆われている。
封印シール431は、裏面側に接着剤が塗布されるとともに、当該裏面に対してアンテナ付きICチップ432が貼り付けられている。尚、アンテナ付きICチップ432は封印シール431の裏面に貼り付けられているため、本来、図10に示す方向から封印シール431を見てもアンテナ付きICチップ432を視認することができないが、便宜上、アンテナ付きICチップ432を視認することができるものとして図10に図示する。
アンテナ付きICチップ432は、ICチップ及びアンテナ部により構成されており、長尺状のアンテナ部の中央付近にICチップが配置されている。ICチップは集積回路として構成されるものであり、制御部及びメモリー領域を有する。メモリー領域には、識別情報としてのID情報が格納されている。
ICチップのID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部から発信され、アンテナ部から発信されたID情報をリーダー/ライターとして構成されるスキャナー(読取体)で受信して読み取ることができる。詳細には、スキャナーからは周波数の微弱な電波で呼び出しが行われるようになっており、この電波で誘導電磁界が形成される。そして誘導電磁界内にアンテナ部が位置する程度に、スキャナーをアンテナ部に近接させると、アンテナ部に電磁誘導で起電力が発生する。ICチップではこの起電力を電源として、メモリー領域に格納されているID情報を制御部で呼び出してアンテナ部から送信することができ、このように発信されたID情報をスキャナーで受信して読み取ることができる。
さらに、アンテナ付きICチップ432(アンテナ部)は、封印シール431(封印シール本体)の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。そして、封印シール431が両板状部409、429に跨って貼り付けられているのに伴って、アンテナ部も両板状部409、429に跨っている。
また、封印シール431には、アンテナ部の長手方向に沿って等間隔で並ぶ多数のアンテナ用切込み部436が形成されている。そして、両板状部409、429から封印シール431を剥がすと所定のアンテナ用切込み部436に対して集中的に応力がかかり、当該部位において封印シール本体、ひいてはアンテナ部が分断されるようになっている。アンテナ部が分断されるとID情報がアンテナ部から送信されなくなるので、ID情報をスキャナーで読み取ることができなくなる。よって、封印シール431を両板状部409、429からきれいに剥がして基板ボックス263を開封し、主制御装置261に対して不正を行った後に、基板ボックス263を封印して封印シール431を、接着剤等を用いて再度きれいに貼ったとしても、当該不正行為を容易に発見することができる。
さらに、封印シール431が貼り付けられたベース側板状部409及び蓋側板状部429に対し、封印シール431を覆う(保護する)シールカバー438が装着されている。
(ボックスカバー263b)
図10等に示すように、ボックスカバー263bは、前方に開口する略箱状のカバー本体441と、カバー本体441の開口部周縁に沿って設けられた縁取り部450とを備えている。
カバー本体441は、ボックスベース263aの周壁部402に対応した形状に構成され、基板収容部403、404、及びねじ収容部406を背面側から覆うことのできる形状に構成されている。
図13(a)、(c)に示すように、縁取り部450は、カバー本体441の開口部周縁から外方(図13(a)、(c)では上方)に向けて延びる裾壁部451と、裾壁部451の先端縁から後方(図13(a)、(c)では左方)に向けて延びる折返し壁部452と、折返し壁部452の先端縁からカバー本体441の開口部外周側に向けて延びる係止壁部453と、係止壁部453の先端縁から前方(図13(a)、(c)では右方)に向けて延びるガイド壁部454とを備えている。
そして、図13(c)に示すように、カバー本体441の内側に、ボックスベース263aに取付けられた内蓋264(内蓋本体421)を嵌入させるようにしてボックスカバー263bとボックスベース263aとを組み付ける(取付ける)ことで、裾壁部451の前面と、縁壁部422の後面とが略当接状態とされ、係止壁部453の前面と、隔壁部416及び土台部412の後端部とが略当接状態とされ(土台部412については図13(b)参照)、ガイド壁部454のカバー本体441の開口部内周側の面及び前端部と、土台部412の周壁部402外周側の面及び当接部417の後面とが略当接状態とされる。尚、ボックスカバー263aの左辺部(図10では右側の辺部)のうち上下方向中間位置に関しては、内蓋264の蓋側板状部429の挿通を許容するべく、縁取り部450が形成されていない。
また、折返し壁部452と係止壁部453とのコーナー部には、カバー本体441(の開口部)の周方向に沿って所定間隔毎に切除用スリット455が形成されている。尚、本実施形態では、切除用スリット455により破断部が構成され、詳しくは後述するが、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断することにより、基板ボックス263が開封される構成となっている。
尚、本実施形態では、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの取付状態において、互いに対向する折返し壁部452と隔壁部416(周壁部402)とが若干離間している。これにより、隔壁部416よりも周壁部402内周側(図13(c)では下側)において係止壁部453を延在させるとともに、当該部位に対して切除用スリット455を形成することができる。従って、切除用スリット455に沿って折返し壁部452ではなく係止壁部453を破断することができ、破断後、カバー本体441を基板ボックス263から比較的スムースに除去する(抜き取る)ことができる。また、互いに隣接する切除用スリット455間の部位と、周壁部402との間に若干の隙間が形成されることにより、互いに隣接する切除用スリット455間の部位を切断して基板ボックス263を開封する際に、切除用スリット455にニッパーやカッター等の工具の先端部を挿入しやすくなり、作業性の向上を図ることができる。さらに、内蓋264(縁壁部422)は、折返し壁部452(切除用スリット455の形成位置)よりも基板ボックス263(周壁部402)の内周側に位置していることから、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断し、カバー本体441を基板ボックス263から除去することで、確実に内蓋264を基板ボックス263から取外すことが可能な状態となる。
さて、係止壁部453のうちガイド壁部454との境界部位には、前後方向(図13(a)、(c)では左右方向)に貫通し、係止部413を挿通可能な係止孔456が形成されている。係止孔456は、ボックスベース263a(ベース側連結部408)に設けられた複数の係止部413と個別に対応するようにして係止部413と同じ数だけ設けられている。尚、係止部413は、ボックスベース263aの上辺部及び下辺部に対応して設けられているため、係止孔456に関しても、縁取り部450のうちボックスカバー263bの上辺部及び下辺部に対応する部位にのみ設けられている。
また、係止壁部453には、係止孔456の左縁部(図13(a)では紙面手前側の縁部、図13(b)では下側の縁部)に隣接して、前方(図13では右側)に凹む凹部が形成されている。以下、当該凹部の底壁部を支持部457と称する。尚、当該凹部と係止孔456とは連通しているため、支持部457は、係止孔456及び凹部からなる1つの開口部の左側(背面視では右側)の部位を閉塞するようにして、当該開口部の内周側に突出した格好となる。また、支持部457の前後幅は、係止部413の爪部415と土台部412の後端部との間の距離とほぼ同じに(若干短く)構成されている(図13(b)参照)。
本実施形態では、複数の係止部413をそれぞれに対応する係止孔456に挿通させるようにしてボックスベース263a(土台部412、隔壁部416、及び当接部417)とボックスカバー263b(係止壁部453(支持部457)、及びガイド壁部454)とを突き合せることで、係止孔456に挿通された係止部413の爪部415が支持部457よりも後方に位置することとなる。さらに、かかる状態から、ボックスベース263aに対してボックスカバー263bを爪部415の突出方向とは反対向きに相対変位させることで、各係止部413の爪部415が支持部457に係止される(爪部415の前面と支持部457の後面とが当接する)こととなる。これにより、ボックスベース263aとボックスカバー263bとが組み付けられる構成となっている。
本実施形態では、カバー本体441の上辺部及び下辺部に対応する縁取り部450のうち、係止孔456の形成された係止壁部453及び当該係止壁部453から延びるガイド壁部454によりカバー側連結部(以下、カバー側連結部442と称する)が構成されている。尚、本実施形態では、ベース側連結部408の係止部413が、カバー側連結部442の係止孔456に挿通され、係止部413の爪部415が支持部457に係止される構成となっているが、支持部457を省略し、爪部416が係止壁部453の後面側に係止される構成としてもよい。
また、図10等に示すように、カバー本体441には、主制御装置261の受側コネクタ265に差込側コネクタ(図示略)を接続するためのカバー側コネクタ開口部444、及び、主制御装置261から発せられる熱を基板ボックス263の外部に逃がすためのカバー側放熱孔445が形成されている。カバー側コネクタ開口部444は、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの組付け状態において、蓋側コネクタ開口部426と対応する位置(前後方向において一致する位置)に設けられており、カバー側コネクタ開口部444及び蓋側コネクタ開口部426を介して、受側コネクタ265と差込側コネクタ(図示略)とが接続されている。一方、カバー側放熱孔445に関しては、前後方向において蓋側放熱孔427からずれた位置に設けられている。当該構成により、カバー側放熱孔445と蓋側放熱孔427とを介して基板ボックス263の外部から基板ボックス263に収容された主制御装置261を直接視認することが不可能(カバー側放熱孔445及び蓋側放熱孔427を介して主制御装置261に接触を図ることが事実上不可能)となっている。
(硬化性樹脂層461)
さて、本実施形態では、ベース側連結部408とカバー側連結部442とにかけて硬化性樹脂層461が形成されることにより、基板ボックス263が封印状態とされている。以下、かかる構成について詳しく説明する。尚、本実施形態では、ベース側連結部408、カバー側連結部442、及び硬化性樹脂層461が連結手段を構成する。
上記のように、ベース側連結部408に設けられた係止部413をカバー側連結部442に設けられた係止孔456に挿通させるようにしてボックスベース263aとボックスカバー263bとを組付けた後、ボックスベース263aに対してボックスカバー263bを係止部413の爪部415の突出方向に沿って相対変位させることで、爪部415と支持部457とが係止状態とされ、ボックスベース263aとボックスカバー263bとが組み付けられることとなる(図13(b)参照)。
当該組付け状態においては、図13(b)に示すように、係止部413の基部414と支持部457とが当接するとともに、係止部413の爪部415と支持部457とが前後に重なり合う。従って、爪部415を包含する係止部413を挿通可能な大きさを有する係止孔456のうち当該係止孔456に挿通された係止部413の右側(背面視では左側、図13(b)では上側)には空間(隙間)が形成される。本実施形態では、ボックスベース263aとボックスカバー263bとを組付けた状態で係止孔456にできる空間に対し、レーザ光等の光を照射することで硬化する光硬化性樹脂を充填した後、硬化させることで硬化性樹脂層461を形成している。
ここで、硬化性樹脂層461についてより詳しく説明する。尚、硬化性樹脂層461は、製造工場において主制御装置263を収容してボックスベース263aとボックスカバー263bとを組付けた後、ボックスカバー263bの後面が上向き(ボックスベース263aの前面が下向き)となるように基板ボックス263を設置し、係止孔456に対して光硬化性樹脂を注入し、硬化させることで形成される。但し、以下の説明では、上述してきた通り、基板ボックス263がパチンコ機10に取付けられた姿勢にあるものとして説明する。
図13(c)に示すように、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの組付け状態においては、このため、延出壁部411、隔壁部416、土台部412、及び係止壁部453の内側に空間が形成されることとなる。以下、延出壁部411、隔壁部416、土台部412、及び係止壁部453によって囲まれる空間を充填部462と称する。また、上記のように、係止部413が突設された土台部412の後面は、周壁部402の内周側に向けて前方に傾斜して延びている。このため、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの組付け状態において、係止孔456から後方に臨む土台部412の後面と、カバー側連結部442の係止壁部453との間には隙間が形成されている。以下、土台部412と係止壁部453との間に形成される隙間(空間)を連通部463と称する。当該連通部463により、係止孔456と充填部462とが連通され、係止孔456に光硬化性樹脂を注入することにより、連通部463を介して充填部462に光硬化性樹脂が充填されることとなる。尚、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの組付け状態において、土台部412(及び当接部417)とガイド壁部454とが略当接状態とされていることから、係止孔456に充填された光硬化性樹脂が土台部412(及び当接部417)とガイド壁部454の間から外部に流出してしまうといった事態が抑止される。
そして、充填部462、連通部463、及び係止孔456に光硬化性樹脂を充填し、硬化させることにより、充填部462、連通部463、及び係止孔456に対して硬化性樹脂層461が形成されている。このように硬化性樹脂層461が形成されることにより、係止部413の係止孔456から抜け出す動作、ひいては、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの相対変位が規制される。以上のようにして、ボックスベース263aとボックスカバー263bとが連結されることで、基板ボックス263が封印状態とされる(主制御装置261が封印される)。
尚、係止孔456の上下幅は、係止部413の上下幅とほぼ同じとなっており、充填部462において形成された硬化性樹脂層461は、係止孔456の開口側から見て、係止壁部453の奥側に位置している。
(結合部471)
また、本実施形態では、基板ボックス263は、裏枠セット215に固定された接続部材としての接続金具281を介して裏枠セット215に取付けられている。より詳しくは、図7、図8に示すように、遊技盤30の背面に固定される裏枠セット215の右部(図8では左側の部位)には、前方に開口する略箱状の台座部271が形成されている。また、台座部271には、台座部271の背面に固定される略コ字状の固定部285と、台座部271から後方に突出する固定部285の両端部に対して回動可能に取付けられる差込部286とを具備する接続金具281が取付けられている。
これに対し、基板ボックス263には、接続金具281の差込部286と連結される結合部471が設けられている。図12に示すように、結合部471は、ボックスカバー263b(カバー本体441)のうちボックスベース263aのねじ収容部406と対向する前面右上部に形成されたベース部472と、ベース部472の前面側に取付けられるベースカバー473とを備えている。尚、図12では、便宜上、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断した後のボックスカバー263b(カバー本体441)を図示している。
ベース部472は、前方に開口する略箱状をなしており、上壁部、右壁部、及び後壁部はカバー本体441により構成されている。ベース部472の右壁部には、接続金具281の差込部286を挿通可能な挿通孔481(図8参照)が形成されている。当該挿通孔481の上下幅は、差込部286(差込部286の先端側の部位)の上下幅とほぼ同じとなっている。また、ベース部472の左壁部及び下壁部には、嵌合孔483を有する嵌合片482が設けられている。
図10、図12に示すように、ベースカバー473は、後方及び右方(図10では左側)に開口する略箱状をなし、左壁部及び下壁部には、外側(図12では左方又は下方)に突出する嵌合凸部491が設けられている。そして、ベース部472の内側にベースカバー473を嵌め込むことで、嵌合凸部491が嵌合片482の嵌合孔483に嵌合し、これによって、ベースカバー473がベース部472に取付けられている。尚、嵌合片482は、ほとんど可撓性がなく、嵌合凸部491を嵌合孔483に嵌め込むと、基本的に(嵌合片482や嵌合凸部491を破壊しない限り)ベースカバー473をベース部472から取外せなくなる。
また、ベース部472にベースカバー473が取付けられることで、ベース部472とベースカバー473との間に、接続金具281の差込部286を挿通可能な中空部が形成されることとなる。かかる中空部の内側には、1枚の金属板を折り曲げ形成することで構成された係止金具493が埋設されている。尚、ベースカバー473は右方に開口していることから、結合部471の組付け状態(ベースカバー473のベース部472への取付状態)において、係止金具493が設置される中空部と、ベース部472に形成された挿通孔481とが連通する。
図12に示すように、係止金具493は、板状の金具ベース494と、金具ベース494の右縁部から後方に延びる折返し部495と、折返し部495の上辺部及び下辺部から左方に向けて互いの距離を次第に広げるようにして水平方向に対し傾斜しつつ延びる一対の規制片部496とを備えている。尚、係止金具493が金属製であることにより、規制片部496は適度な可撓性、弾性、及び剛性を有している。
ここで、ベース部472及びベースカバー851のうち係止金具493の取付けに関連する構成について説明する。
図12に示すように、ベース部472の後壁部前面には、左壁部472aから金具ベース494の横幅と同じ長さだけ離間した位置において上下方向に延びる支持片部485が設けられている。また、ベース部472の後壁部前面には、支持片部485の上方及び下方において左右方向に延びるリブ486が設けられている。支持片部485の上方及び下方に設けられたリブ486間の距離は、係止金具493の金具ベース494の上下幅とほぼ同じとなっている。結合部471の組付け状態においては、係止金具493の金具ベース494が、支持片部485と、左壁部472aと、リブ486とで囲まれる領域に嵌め込まれ、折返し部495と支持片部485の左面とが面当接する。加えて、リブ486の前方への突出長は支持片部485の突出長よりも短く、規制片部496と当接しない構成となっている。
一方、図10に示すように、ベースカバー473には、結合部471の組付け状態において、ベース部472の支持片部485と左壁部472aとの間に位置し、折返し部495の左面、及び、金具ベース494の前面と略当接する押え部498が設けられている。当該押え部498の存在により、折返し部495及び金具ベース494の変形、位置ずれが抑制される。
次に、結合部471と接続金具281との接続について説明する。
図8に示すように、接続金具281の差込部286の先端部には、上部及び下部から差込部286の延出方向側に突出する上下一対の鉤部287が設けられている。上下一対の鉤部287の先端部には、互いに対向する向きに突出する鉤爪部287aが形成されている。
そして、接続金具281の差込部286を、挿通孔481を介して結合部471の内側に差込む(挿通させる)と、接続金具281の一対の規制片部496がそれぞれ鉤部287の先端部に押されて互いの距離を狭めるようにして傾倒する。さらに、差込部286をベースカバー473の左壁部(背面視では右側の壁部)に略当接するまで差し込むと、差込部286の鉤爪部287aが規制片部496よりも左方(背面視では右方)に位置し、一対の規制片部496が自身の弾性力により拡開する。これにより、鉤爪部287aが規制片部496に係止され、結合部471(基板ボックス263)が接続金具281(裏枠セット215)に取付けられる。
尚、挿通孔481の周縁部と、挿通孔481に挿通された接続金具281の差込部286との間には隙間がほとんど形成されない構成となっている。さらに、接続金具281の鉤部287(鉤爪部287a)を係止する係止金具493(規制片部496)が結合部471の内側に設けられている。これらの構成により、係止状態にある鉤部287及び係止金具493への外部からの接触を困難又は不可能とすることができ、基板ボックス263を接続金具281から取外すといった行為を防止することができる。従って、基板ボックス263を取外して不正な主制御装置261を搭載した基板ボックス263を取付けてしまうといった不正行為を抑止することができる。
ここで、基板ボックス263の開封作業について説明する。
先ず、受側コネクタ265から差込側コネクタを取外した後、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断する。当該作業により、図14、図15に示すように、ボックスカバー263bのうち切除用スリット455の内周側の部位(カバー本体441)を基板ボックス263から別離させる(除去する)ことができる。また、結合部471は、基板ボックス263から別離する部位(カバー本体441の後壁部)に設けられているため、結合部471についても基板ボックス263から別離する。すなわち、基板ボックス263は、接続金具281、ひいては裏枠セット215(パチンコ機10)から別離することとなる。一方、カバー本体441は接続金具281に接続された状態でパチンコ機10(の本体側)に残されることとなる。尚、カバー側連結部442は、ベース側連結部408と連結された状態のまま、基板ボックス263側に残存する。
尚、切除用スリット455は、カバー本体441の開口部の周方向に沿って基本的に所定間隔毎に形成されているのであるが、基板ボックス263と接続金具281とが接続された状態において、切除用スリット455と接続金具281とが近接していると、隣接する切除用スリット455間の部位が接続金具281に覆われ、当該部位を破断することが困難又は不可能になってしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、接続金具281によって覆われる部位に形成される切除用スリット455がその他の切除用スリット455よりも長く形成され、ニッパー等の工具を挿通させやすいようになっている。従って、上記不具合を回避することができ、開封作業性の向上を図ることができる。尚、本実施形態では、接続金具281により2つの切除用スリット455(図8、図9参照)が覆われる構成となっているが、ボックスカバー263bのうち接続金具281により覆われる部位に形成される切除用スリット455に関しては、切れ目なく一続きに形成されていること(接続金具281により1つの切除用スリット455が覆われるだけであり、互いに隣接する切除用スリット455の間の部位が接続金具281で覆われることのない構成)としてもよい。
また、図14に示すように、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bが破断され、カバー本体441が基板ボックス263から除去されることで、基板ボックス263(ボックスカバー263b)には、内蓋264及び主制御装置261を挿通可能な開口部(取出開口部500)が形成される。これにより、内蓋264を基板ボックス263から取外し、主制御装置261を取出すことができる状態、すなわち、ボックスベース263aとボックスカバー263bとの封印状態が解除された状態(基板ボックス263が開封された状態)となる。
さらに、取出開口部500が形成されることで、ねじ収容部406も後方に露出する。このため、ねじ収容部406に収容されている破断ねじ405を容易に取出すことができる。尚、内蓋264を基板ボックス263から取外す際には、封印シール431を剥がすとともに、取付孔423及びボス410に螺着されたねじ425と、両板状部409、429に螺着されたねじとを取外す。
次に、基板ボックス263を再度封印する作業について説明する。
先ず、ボックスベース263aと内蓋264とを組み付けて主制御装置261を内側に収容し、内蓋264に設けられた取付孔423及びボックスベース263aに設けられたボス410に対してねじ425を螺着する。但し、筒状部424が設けられた取付孔423に対応しては、一回目の封印状態のときに使用されていたねじ425に代えて、ねじ収容部406に収容されていた破断ねじ405を螺着する。これにより、ボックスベース263aと内蓋264とが取外し不可能に連結され、基板ボックス263が再度封印状態とされる(主制御装置261が再度封印される)。尚、本実施形態では、内蓋264及び破断ねじ405が封印手段を構成し、破断ねじ405が封印部材を構成する。
ちなみに、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断することで一度開封された基板ボックス263は、再度接続金具281と連結することは不可能である。このため、本実施形態では、基板ボックス263は、受側コネクタ265と接続された差込側コネクタに接続されているケーブルによってぶら下げられた状態とされる。また、破断ねじ405によって封印状態とされた基板ボックス263は、破断ねじ405が取付けられている部位(取付孔423の周縁部及びボス410の周縁部を含む部位)を基板ボックス263(内蓋264及びボックスベース263a)から除去することで、開封することができる。尚、本実施形態では、複数の取付孔423のうち一つに対応して筒状部424が設けられているが、複数の取付孔423に対応して筒状部424を設け、基板ボックス263を再度封印状態とする際に、筒状部424が設けられた各取付孔423に破断ねじ405を螺着することとしてもよい。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図16は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。但し、CPU、ROM及びRAMが1チップ化されておらず、それぞれの機能毎にチップ化されている構成であってもよい。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバス等で構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
その他、便宜上、各種中継基板等の図示は省略するが、入出力ポート505には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、第1契機対応ユニットスイッチ224a,224b、第2契機対応口スイッチ225などの各種検出スイッチや、各種基板などの各種電気部品が接続されている。つまり、主制御装置261には、各種ケーブルコネクタのコネクタを接続するための複数の端子部(基板側コネクタ)が設けられているが、これら端子部等により、入出力ポート505が構成される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、演出ボタン125、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出装置358により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、コマンド判定処理により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出装置358等がそれぞれ接続されている。
カードユニット接続基板314は、パチンコ機10前面の貸球操作部(球貸しボタン121及び返却ボタン122)と、遊技ホール等にてパチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)とにそれぞれ電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれをカードユニットに出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
発射制御装置312は、発射装置60による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置60は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置60が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、バスライン530を介して、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行う。
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。同様に、各種スイッチやモータ等には、これらが接続される制御装置を介して動作電源が供給されることとなる。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
以上詳述したように、本実施形態では、ベース側連結部408とカバー側連結部442とにかけて硬化性樹脂層461が形成されており、ベース側連結部408とカバー側連結部442との連結状態を解除することができない構成となっている。従って、基板ボックス263を2つ用意したとしても、開封の痕跡のない(無傷の)ボックスベース263a及びボックスカバー263bを得ることは不可能となる。その結果、取り替えたことが分からないように主制御装置261やROM502等を不正に交換するといった行為を防止することができ、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とすることができる。
また、本実施形態では、基板ボックス263を開封するためには、ボックスカバー263bのうち主制御装置261を収容する内部空間を構成する部位(カバー本体441)を基板ボックス263から除去する必要がある。このため、開封の痕跡が非常に目立つこととなり、不正開封を早期発見することができる。
さらに、切除用スリット455がボックスカバー263bに形成され、カバー本体441が基板ボックス263から除去される構成であることにより、基板ボックス263の前面側を確認しなければ(パチンコ機10の背面に回動可能に取付けられている基板ボックス263を回動させてみないと)、開封の痕跡を発見することができないといった事態を回避することができ、不正開封を早期発見するといった上記作用効果が一層確実に奏される。
また、遊技ホール等において基板ボックスを開封し、基板ボックス263から主制御装置261を取出して点検や交換を行った後、破断ねじ405を用いて内蓋264をボックスベース263aに固定することにより、基板ボックス263を再度封印することができる。かかる破断ねじ405及び内蓋264は、基板ボックス263の開封前の状態(連結部408、442及び硬化性樹脂層461による基板ボックス263の封印状態)において、基板ボックス263の内部に未使用の状態で収容されている。従って、基板ボックス263を再度封印する際に部材(内蓋264や破断ねじ405)を別途用意する必要がなく、作業性の向上等を図ることができる。また、内蓋264や破断ねじ405を紛失してしまうといった事態を防止することができる。
さらに、ボックスカバー263bに設けられたカバー側放熱孔445と、内蓋264に蓋側放熱孔427とが互いにずれた位置に設けられている。このため、カバー側放熱孔445と蓋側放熱孔427とを介して線材等を基板ボックス263の内部に侵入させ、主制御装置261に誤作動を働きかけるといった不正行為を防止することができる。
また、ベース側連結部408とカバー側連結部442とを連結する硬化性樹脂層461は、係止部413の係止孔456への挿通方向において互いに対向するベース側連結部408(延出壁部411)とカバー側連結部442(係止壁部453)との間に形成される充填部462と、充填部462と係止孔456とを連通させる連通部463と、係止部413が挿通状態とされた係止孔456とに形成されている。特に、充填部462に形成された硬化性樹脂層461は、延出壁部411と、隔壁部416と、土台部412と、係止壁部453とに囲まれ(係止孔456の開口側からみて係止壁部453の奥側に位置し)、除去することが非常に困難(事実上不可能)となっている。従って、硬化性樹脂層461を除去して基板ボックス263を不正開封するといった事態を確実に防止することができる。
加えて、接続金具281と連結される結合部471は、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bが破断されることで、基板ボックス263から除去されることとなるカバー本体441に設けられている。従って、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bを破断して基板ボックス263を開封すると、結合部471が基板ボックス263から別離するため、その後、基板ボックス263を、元の姿勢で(連結部408、442及び硬化性樹脂層461によって封印状態とされていたときの基板ボックス263と変わりなく)パチンコ機10に取付けることが不可能となる。結果として、基板ボックス263が開封されたことを早期発見することができるといった作用効果が一層確実に奏される。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)基板ボックス263を封印する構成は特に限定されるものではなく、基板ボックス263を少なくとも二回封印することができ、かつ、一回目の封印状態を解除する際に、ボックスベース263a及びボックスカバー263bのうち主制御装置261を収容する内部空間を形成する部位(本体部)に開封の痕跡を残さなければ、二回目の封印を行うことができない構成となっていればよい。
例えば、上記実施形態では、光硬化性樹脂を用いてベース側連結部408とカバー側連結部442とを連結しているが、その他の樹脂により硬化性樹脂層461を形成してもよい。つまり、当初液状又はペースト状をなし、充填後、硬化する性質を有する樹脂であればよい。例えば、紫外線を照射することで硬化する紫外線硬化性樹脂や、基板ボックス263に悪影響を与えないものであれば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を採用してもよい。
尚、上記実施形態では言及しなかったが、「光硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ系、オキセタン系等が挙げられる。また、「紫外線硬化性樹脂」としては、硬化機構が紫外線にのみよるものに限られるものではなく、空気中の湿度による硬化、金属イオンによる嫌気性硬化、若干の加熱による硬化、硬化触媒による硬化などの複合硬化によるものであってもよい。加えて、熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、アクリル、ABS等が挙げられる。
また、ベース側連結部408とカバー側連結部442との連結に関し、螺着後に工具係合部(十字穴等)が形成された部位を除去することのできる破断ねじや、取外す方向に回すことのできないワンウェイねじを用いることとしてもよい。
以下、図17に示す態様例について説明する。図17(a)は一回目の封印状態にある基板ボックス263を示す断面図であり、図17(b)は二回目の封印状態にある基板ボックス263を示す断面図である。
図17(a)に示すように、基板ボックス263は、前壁部701とベース側周壁部702とを備え、後方(図17では左方)に開口する箱状のボックスベース263aと、後壁部711とカバー側周壁部712とを備え、前方に開口する箱状のボックスカバー263bとを備えている。
ボックスベース263aには、ベース側周壁部702の内周側において、枠状の基板収容部704が設けられている。当該基板収容部704の内側に、主制御装置261が嵌合状態で設置されている。また、ボックスベース263aの上辺部及び下辺部には、ベース側周壁部702の後縁部からベース側周壁部702の外周側に延出するベース側連結部706が設けられている。さらに、ベース側周壁部702には、ベース側周壁部702の内外周方向に貫通するねじ孔(図示略)が形成されている。
ボックスカバー263bの上辺部及び下辺部には、カバー側周壁部712の前縁部からカバー側周壁部712の外周側に延出するカバー側連結部714が設けられている。当該カバー側連結部442は、ベース側連結部408と突き合わされた状態で、破断ねじ721によりベース側連結部408と固定されている。
また、ボックスカバー263bには、後壁部711から後方に突出する枠部716が設けられている。枠部716は、カバー側周壁部712よりも一回り小さく構成されている。また、ボックスベース263aのベース側周壁部702と基板収容部704との間には隙間が形成されており、基板ボックス263の組付け状態においては、枠部716は、基板ボックス263を前後方向に見て、ベース側周壁部702と基板収容部704との間に位置している。さらに、枠部716の後方への突出長は、基板ボックス263の組付け状態において、ボックスベース263aの前壁部701と、ボックスカバー263bの後壁部711との間の距離と同じ、又は、それよりも長くなっている。加えて、枠部716には、枠部716の内外周方向において貫通するねじ孔(図示略)が形成されている。
さらに、カバー側周壁部712のうち、後壁部711との境界部には、カバー側周壁部712の周方向に沿って切除用スリット718が所定間隔毎に形成されている。また、
当該基板ボックス263の一回目の封印は、上記のように、ベース側連結部706及びカバー側連結部714に対して破断ねじ721を螺着することにより行われる。
また、基板ボックス263の開封は、切除用スリット718に沿ってボックスカバー263bを破断することにより行われる。
さらに、基板ボックス263を再度封印する場合、図17(b)に示すように、まず、枠部716をボックスベース263aの内側に挿通させるようにして、ボックスベース263aとボックスカバー263bとを突き合せる。これにより、枠部716の先端部が、ベース側周壁部702と基板収容部704との間に位置し、枠部716の外側面とベース側周壁部702の内側面とが略当接状態とされる。また、ベース側周壁部702に形成されたねじ孔と、枠部716に形成されたねじ孔とが位置合わせされ、両ねじ孔に対して破断ねじ731が螺着される。これにより、基板ボックス263が再度封印される。尚、破断ねじ731は、当初、基板ボックス263の内側に収容されていることとしてもよい。
以上のような構成(基板ボックス263を再度封印するための封印手段(枠部716)がボックスカバー263bと一体的に形成されているタイプ)を採用する場合、基板ボックス263を開封すると主制御装置261を収容する内部空間を構成する部位が一旦除去され、再度基板ボックス263を封印する場合には、基板ボックス263の外観が大きく変化するため、上記実施形態と同様に、不正開封を早期発見することができるといった作用効果が奏される。また、本態様例によれば、内蓋264を別途製造する必要がないため、製造作業性の向上が図られる。但し、パチンコ機10の背面側に基板ボックス263の設置スペース(前後のスペース)をそれ程確保できない場合、基板ボックス263の大型化を抑制するべく、上記実施形態のように内蓋264を設けることが望ましい。
(b)上記実施形態では、基板ボックス263に関し、全部で2回封印状態とすることができる構成となっているが、3回以上封印状態とすることのできる構成としてもよい。
(c)上記実施形態では、破断部としての切除用スリット455がボックスカバー263bに形成されているが、ボックスベース263aに切除用スリット455を形成することとしてもよい。また、ベース側連結部408及びカバー側連結部442の両方に切除用スリット455を形成することとしてもよい。
また、上記実施形態では、結合部471をボックスカバー263bに設けているが、ボックスベース263aに設けることとしてもよい。
(d)上記実施形態において、内蓋264の背面に対し、作業者が保持することのできるつまみ部を設けることとしてもよい。例えば、図18に示すように、内蓋264の背面に対して左右一対の凹部801を形成し、切除用スリット455を破断し、基板ボックス263からカバー本体441を別離させた後、一対の凹部801に指を入れて、凹部801間の部位をつまんで内蓋264を取外すことのできる構成としてもよい。このような構成を採用する場合、基板ボックス263に対して内蓋264を着脱する際の作業性の向上を図ることができる。
また、主制御装置261に対して、後方に突出するつまみ部を設けることとしてもよい。この場合、基板ボックス263に対して主制御装置261を着脱する際の作業性の向上を図ることができる。
(e)上記実施形態において、切除用スリット455に沿ってボックスカバー263bが破断されることで接続金具281に接続することができなくなった基板ボックス263を、パチンコ機10本体の所定部位において保持可能な保持手段を設けることとしてもよい。例えば、図19に示すように、ボックスカバー263bの破断後において接続金具281に接続された状態で残されるカバー本体441の背面下部に対し、略L字状の引っ掛け部851を左右一対で設け、基板ボックス263の下部を左右一対の引っ掛け部851の内側に嵌め込むことで、基板ボックス263がカバー本体441及び接続金具281を介して裏枠セット215に支持されるといった構成を採用してもよい。このような構成を採用する場合、コネクタケーブルを介して基板ボックス263をぶら下げるような場合に比べ、受側コネクタ265、差込側コネクタ、ケーブル、及び主制御装置261(制御基板261a、261b)への負担を抑制することができる。また、基板ボックス263の位置決めを行うことができ、内枠12を開閉する際に基板ボックス263がばたついて内枠12と衝突し、衝突音が発生したり、基板ボックス263、ひいては主制御装置261が損傷したりしてしまうといった事態を抑制することができる。さらに、基板ボックス263の位置決めを行うことができることにより、基板ボックス263によって内枠12の開閉動作が阻害されてしまったり、遊技ホール等におけるパチンコ機10の背面側のメンテナンスが行い難くなってしまったりする等の不具合を防止することができる。加えて、引っ掛け部851はカバー本体441に設けられていることから、基板ボックス263以外の部材の形状を変更する必要がなく、結果的に、構成の簡素化が図られる。
尚、保持手段の構成は特に限定されるものではなく、例えば、ねじ収容部406に前後に貫通する引っ掛け孔を設けるとともに、カバー本体441に対して略L字状の引っ掛け部を設け、ねじ係止部407から破断ねじ405を取外すことで後方に露出する引っ掛け孔に対し、引っ掛け部を挿通させて引っ掛けることができる構成としてもよい。
(f)上記実施形態では、ボックスベース263a及びボックスカバー263bを前後に重なるようにして衝き合せた後、ボックスベース263aに対してボックスカバー263bを左右方向にスライドさせることでボックスベース263aとボックスカバー263bとが組付けられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、ボックスベース263a及びボックスカバー263bを突き合せてから上下方向に相対変位させることで組付けたり、ボックスベース263a及びボックスカバー263bを前後に重ねて押付けることで組付けたり、ボックスベース263aに対してボックスカバー263bの一側部側を軸支させてから回動させることで組付けたりすることとしてもよい。
(g)上記実施形態では、接続金具281の差込部286を結合部471に挿通させることで、結合部471内に設けられた係止金具493に差込部286の鉤部287(鉤爪部287a)が係止される。これにより、接続金具281(裏枠セット215)に基板ボックス263が取付けられるのであるが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、接続金具281の先端部に略箱状のケース体を設けるとともに、ケース体の内部に係止金具493を設け、一方、基板ボックス263に対して、前記係止金具493に係止される鉤部を有する結合部としての差込部を設けてもよい。この場合、差込部を接続金具281のケース体に挿通させることで、接続金具281(裏枠セット215)に基板ボックス263が取付けられることとなる。
また、上記実施形態では、基板ボックス263が裏枠セット215に対して開閉可能に構成されているが、基板ボックス263を裏枠セット215に対して開閉不能に取付けることとしてもよい。
(h)上記実施形態では特に言及しなかったが、例えば、有色透明の光硬化性樹脂を使用し、硬化性樹脂層461の色を、基板ボックス263の本体部と同じく無色透明な材料により構成されるベース側連結部408及びカバー側連結部442の色と異ならせることとしてもよい。この場合、ベース側連結部408及びカバー側連結部442と、硬化性樹脂層461との境界部が明確に表れるため、例えば、不正行為者が硬化性樹脂層461を除去した際に連結部408、442が削れた場合、再度、光硬化性樹脂を注入しても、光硬化性樹脂が連結部408、442の削れた部位に入り込むこととなる。従って、このような部位の有無を確認することにより、不正開封を把握することができる。また、硬化性樹脂層461と連結部408、442との色が異なり、かつ、連結部408、442が透明であることから、封印部材401の内部空間421に対して確実に光硬化性樹脂が充填されているか否かを連結部408、442越しに目視で確認することができる。
(i)主制御装置261を収容する基板ボックス263のみならず、その他の制御装置を収容する基板ボックスに関しても、基板ボックス263と同様の構成を具備することとしてもよい。
(j)上記実施形態において、ベース側連結部408及びカバー側連結部442のうち少なくとも一方(両方が望ましい)から充填部462の内側に突出するストッパーを設けることとしてもよい。以下、図20に示す態様例を説明する。尚、図20(a)では、図示された係止部413が挿通・係止される係止孔456の図示を省略している。
図20(a)に示すように、ベース側連結部408には、隔壁部416と土台部412とを連結するようにしてベース側ストッパー901が設けられ、カバー側連結部442には、係止壁部453から前方(ベース側連結部408側)に突出するカバー側ストッパー902が設けられている。カバー側ストッパー902は、基板ボックス263の組付け状態において、延出壁部411、土台部412、及び隔壁部416により囲まれる空間(充填部462)の内側に挿通される。また、ベース側ストッパー901及びカバー側ストッパー902は、左右方向(ボックスカバー263bのスライド方向)において互いに離間しており、本態様例では、ベース側ストッパー901は係止部413の左側(背面視では右側)に位置し、カバー側ストッパー902は係止部413の右側(背面視では左側)に位置している。これにより、ベース側ストッパー901とカバー側ストッパー902との間に位置する充填部462が係止孔456と連通し、係止孔456に光硬化性樹脂を注入することで、当該充填部462に光硬化性樹脂が充填されることとなる。そして、かかる光硬化性樹脂を硬化させることで、図20(b)に示すように、ベース側ストッパー901とカバー側ストッパー902との間に位置する充填部462において硬化性樹脂層461が形成されることとなる。
このような構成を採用する場合、ボックスベース263aに対し、ボックスカバー263bを右側にずらすようにして、ボックスカバー263bを取外し方向(図20の矢印方向)に相対変位させようとすると、カバー側ストッパー902の変位が、充填部462に形成された硬化性樹脂層461により規制されるとともに、当該硬化性樹脂層461の変位が、ベース側ストッパー901により規制されることとなる。このため、係止孔456に形成された硬化性樹脂層461が除去され、ボックスカバー263bに対して取外し方向に無理やり力が加えられることで、充填部462に形成された硬化性樹脂層461が破断され、ベース側連結部408及びカバー側連結部442の連結状態が解除されてしまうといった事態を防止することができる。従って、より確実に、充填部462に形成された硬化性樹脂層461を除去しない限り、ベース側連結部408及びカバー側連結部442の連結状態を解除することができない構成とすることができ、封印状態の安定化を図ることができる。尚、上記のように、充填部462に形成された硬化性樹脂層461を除去することは事実上不可能であり、当該硬化性樹脂層461を除去するためには、基板ボックス263(ベース側連結部408及びカバー側連結部442)に所定の痕跡を形成しなければならない。
(k)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、回胴式遊技機としてのスロットマシンや、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
[付記]
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPU(中央処理装置)や、遊技に関わる制御プログラムが記憶されたROM等の電子部品(制御手段)が実装された制御基板を備えており、当該制御基板に設けられた各制御手段によって一連の遊技が制御されている。
この種の遊技機においては、不正な利益を得ることを目的として、制御基板を不正に取り外して当該基板のROM(CPUやROMが1チップ化されている場合は当該チップ)
を交換し遊技内容を変更したり、リード線等により外部から不正な電気信号を制御基板に入力させたりする等、制御手段や制御基板に対しての不正行為が数多く報告されており、各種の不正対策が検討されている。例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を持たせて、基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴(開封の痕跡)を残すようにする等の不正対策が採用されている(例えば特許文献1参照)。
一般的に、封印構造を備える基板ボックスは、制御基板を収容するボックスベースと、ボックスベースの開口部を閉塞するボックスカバーと、ボックスベースに設けられたベース側連結部と、ボックスカバーに設けられたカバー側連結部とを備えている。そして、ボックスベースとボックスカバーとを組付けると、ベース側連結部に形成された係止凹部とカバー側連結部に形成された係止孔とが位置合わせされ、係止孔及び係止凹部に対して、ピンやねじ等により構成されるカシメ部材を差込む(圧入する、螺着する)ことで、ボックスベースとボックスカバーとが連結される構成となっている。
さらに、係止孔及び係止凹部に差込まれたカシメ部材は、ベース側連結部及びカバー側連結部のうち少なくとも一方側を破壊(除去)しない限り取外し不可能に構成されている。つまり、基板ボックスを開封する際には、基板ボックスに対して所定の痕跡が形成されることから、不正開封を発見することができる。
しかしながら、上記の構成を有する基板ボックスを2つ用意し、そのうちの一方の基板ボックスに関しては、カバー側連結部を破壊することで当該基板ボックスを開封し、他方の基板ボックスに関しては、ベース側連結部を破壊することで当該基板ボックスを開封した場合、それぞれ無傷の(開封に起因する痕跡のない)ボックスベース及びボックスカバーを得ることができてしまう。従って、上記のようにして得たボックスベース及びボックスカバーに不正な制御基板(例えば、ROMが取替えられた制御基板)を収容し、基板ボックスごと交換するといった不正行為が行われた場合には、外観上、制御基板が取り替えられたことが分からなくなるため、当該不正行為の発見が非常に困難になってしまうおそれがある。
また、一般に、従来の封印構造は、基板ボックスの外周部に対して付随的に設けられている。このため、基板ボックスが不正開封され、開封の痕跡が形成されたとしても、開封の痕跡の発見を目的として基板ボックスの検査を行わなければ、かかる開封の痕跡を見逃してしまうおそれがある。
なお、上記課題は、パチンコ機に限らず、同様の基板ボックス構造を有する他の遊技機にも該当する問題である。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、基板ボックスを備えた遊技機において、制御基板に関する不正行為をより確実かつ早期に把握することのできる遊技機を提供することにある。
手段1.各種制御手段を具備する制御基板を収容するボックスベースと、
前記ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーと、
前記ボックスベースと前記ボックスカバーとを連結して制御基板を封印する連結手段と、
前記連結手段による前記基板ボックスの封印状態が解除された後、再度、制御基板を封印するための封印手段とを具備する基板ボックスを備え、
前記連結手段は、前記ボックスベース及び前記ボックスカバーに対して取外し不可能に設けられ、前記連結手段を用いて、前記ボックスベースと前記ボックスカバーとを連結状態とすると、当該連結状態を解除不可能となり、
前記ボックスベース及び前記ボックスカバーのうち、制御基板を収容する内部空間を形成する本体部の一部を前記基板ボックスから除去することで、前記連結手段による前記基板ボックスの封印状態が解除される(前記基板ボックスが開封される)ことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、連結手段によるボックスベースとボックスカバーとの連結状態を解除することができない構成となっている。従って、基板ボックスを2つ用意したとしても、開封の痕跡のない(無傷の)ボックスベース及びボックスカバーを得ることは不可能となる。その結果、取り替えたことが分からないように制御基板やROM等の制御手段を不正に交換するといった行為を防止することができ、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とすることができる。
さらに、本手段では、連結手段による封印状態を解除する(基板ボックスを開封する)ためには、基板ボックスの本体部の一部を基板ボックスから除去する必要がある。このため、開封の痕跡が非常に目立つこととなり、不正開封を早期発見することができる。
また、封印手段の存在により、遊技ホール等において、連結手段による基板ボックスの封印状態を解除し、基板ボックスから制御基板を取出して点検や交換を行った後、封印手段によって基板ボックスを再度封印することができる。
尚、「連結状態を解除不可能」とあるのは、基板ボックスに所定の痕跡を形成しなければ連結状態を解除することができないといった意味を含む趣旨である。また、制御手段としては、制御プログラムや固定値データを記憶したROM、ROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM、及び各種回路等を内蔵した1チップマイコンとしてのCPU等が挙げられる。
手段2.前記本体部には、破断することによって、前記本体部に対し、制御基板を取出すことのできる取出開口部が形成される破断部が設けられていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、破断部が設けられていることにより、連結手段による封印状態を解除する際の作業性の向上を図ることができる。尚、破断部は、連結手段による基板ボックスの封印状態を解除する際に(基板ボックスを開封する際に)、工具を用いて切断したり、手で折り取ったりすることができるように、基板ボックスに予め形成される部位である。
手段3.前記破断部は、前記基板ボックスのうち、当該基板ボックスの遊技機本体への取付状態(遊技機本体の背面側にセットされた状態)において、前記遊技機本体と対向する対向面とは反対側の面に形成されていることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段3によれば、基板ボックスの対向面側を確認しなければ、開封の痕跡を発見することができないといった事態を回避することができ、不正開封を早期発見するといった上記作用効果が一層確実に奏される。
手段4.前記封印手段は、前記連結手段による前記基板ボックスの封印状態において、未使用の状態(非封印状態)で前記基板ボックスに搭載されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、基板ボックスを再度封印する際に封印手段を別途用意する必要がなく、作業性の向上等を図ることができる。
手段5.各種制御手段を具備する制御基板を収容するボックスベースと、
前記ボックスベースに収容された制御基板を覆う内蓋と、
前記ボックスベースの開口部を覆い、前記ボックスベースとの間に前記内蓋を収容するボックスカバーと、
前記ボックスベースと前記ボックスカバーとを連結して制御基板を封印する連結手段と、
前記連結手段による前記基板ボックスの封印状態が解除された後、前記ボックスベースと前記内蓋とを連結して、再度、制御基板を封印するための封印部材とを具備する基板ボックスを備え、
前記連結手段は、前記ボックスベース及び前記ボックスカバーに対して取外し不可能に設けられ、前記連結手段を用いて、前記ボックスベースと前記ボックスカバーとを連結状態とすると、当該連結状態を解除不可能となる構成であって、
前記基板ボックスには、破断することによって、制御基板を収容する内部空間を形成する本体部に対し、前記内蓋及び制御基板を取出すことのできる取出開口部が形成される破断部が設けられ、
前記破断部を破断して前記本体部の一部を前記基板ボックスから除去することで、前記連結手段による前記基板ボックスの封印状態が解除される(前記基板ボックスが開封される)ことを特徴とする遊技機。
手段5によれば、基本的に上記手段1及び手段2と同様の作用効果が奏される。また、内蓋の存在により、確実に制御基板を再度封印することができる。尚、手段4では、内蓋及び封印部材が上記手段1の封印手段に相当する。
手段6.前記破断部は、前記基板ボックスのうち、当該基板ボックスの遊技機本体への取付状態(遊技機本体の背面側にセットされた状態)において、前記遊技機本体と対向する対向面とは反対側の面に形成されていることを特徴とする手段5に記載の遊技機。
手段6によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
手段7.前記基板ボックスは、前記連結手段による前記基板ボックスの封印状態において、未使用の前記封印部材を収容しておく部材収容部を備えていることを特徴とする手段5又は6に記載の遊技機。
手段7によれば、基板ボックスを再度封印する際に封印部材を別途用意する必要がなく、作業性の向上等を図ることができる。また、封印部材は基板ボックスに収容されていることから、封印部材を紛失してしまうといった事態を防止することができる。
手段8.前記ボックスカバー及び前記内蓋には、制御基板に設けられた受側コネクタに差込側コネクタを接続するためのカバー側コネクタ開口部及び蓋側コネクタ開口部と、制御基板から発せられる熱を前記基板ボックスの外部に逃がすためのカバー側放熱孔及び蓋側放熱孔とが設けられ、
前記蓋側コネクタ開口部は、前記カバー側コネクタ開口部に臨む位置に設けられ、
前記蓋側放熱孔は、前記基板ボックスを前記カバー側放熱孔の開口側から見て、前記ボックスカバーを構成する壁部の奥側に設けられていることを特徴とする手段5乃至7のいずれかに記載の遊技機。
手段8によれば、ボックスカバー及び内蓋にそれぞれ設けられたコネクタ開口部の位置が一致しているため、確実にコネクタ接続を行うことができる。また、ボックスカバー及び内蓋にそれぞれ設けられた放熱孔が互いにずれた位置に設けられているため、カバー側放熱孔と蓋側放熱孔とを介して線材等を基板ボックスの内部に侵入させ、制御基板に誤作動を働きかけるといった不正行為を防止することができる。尚、「前記カバー側放熱孔と前記蓋側放熱孔とを介して前記基板ボックスに収容されている制御基板を視認することが困難又は不可能となっていること」としてもよい。
手段9.前記内蓋は、前記ボックスカバーとの対向面において、作業者が保持可能なつまみ部を備えていることを特徴とする手段5乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段9によれば、基板ボックスに対して内蓋を着脱する際の作業性の向上を図ることができる。尚、制御基板に関しても、ボックスカバーとの対向面においてつまみ部を備えていることとしてもよい。この場合、基板ボックスに対して制御基板を着脱する際の作業性の向上を図ることができる。
手段10.前記連結手段は、前記ボックスベースに設けられたベース側連結部と、前記ボックスカバーに設けられたカバー側連結部と、前記ベース側連結部と前記カバー側連結部とにかけて形成される硬化性樹脂層とを備え、
前記ベース側連結部及び前記カバー側連結部のうち一方側には、他方側に向けて突出し、略先端部において爪部が形成された係止部が設けられ、他方側には、前記係止部を挿通可能な係止孔と、前記係止孔に挿通状態とされた前記係止部の前記爪部と係止状態とされる支持部とが設けられ、
前記係止部を前記係止孔に挿通させるようにして前記ボックスベースと前記ボックスカバーとを突き合せた後、前記爪部の突出方向に沿って前記ボックスベースに対して前記ボックスカバーを相対変位させることで、前記係止部の前記爪部が前記支持部に係止され、前記ボックスベースと前記ボックスカバーとが組み付けられる構成であって、
前記硬化性樹脂層は、前記ボックスベースと前記ボックスカバーとの組付け状態において、前記係止部が挿通状態とされた前記係止孔に対して硬化性樹脂を注入(充填)し、硬化させることにより形成されていることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の遊技機。
手段10によれば、硬化性樹脂を用いて、比較的容易にボックスベース及びボックスカバーを取外し不可能に連結することができる。
尚、開封の痕跡が残らないように破断部を破断することなく基板ボックスを開封するためには、硬化性樹脂層を除去し、係止部と支持部との係止状態を解除する必要がある。しかしながら、係止孔の内側に形成された硬化性樹脂層をきれいに除去することは非常に困難である。従って、連結手段の連結状態を解除するといった不正行為を抑止することができるとともに、開封の痕跡が残らないように基板ボックスが開封されてしまうといった事態をより確実に防止することができる。
尚、硬化性樹脂とあるのは、当初液状又はペースト状をなし、充填後、硬化する性質を有する樹脂をいう。硬化性樹脂としては、
(1)光硬化性樹脂…レーザ光等の光を照射することで硬化する樹脂、
(2)紫外線硬化性樹脂…紫外線を照射することで硬化する樹脂、
(3)その他…基板ボックスに悪影響を与えないものであれば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。「光硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ系、オキセタン系等が挙げられる。「紫外線硬化性樹脂」としては、硬化機構が紫外線にのみよるものに限られるものではなく、空気中の湿度による硬化、金属イオンによる嫌気性硬化、若干の加熱による硬化、硬化触媒による硬化などの複合硬化によるものであってもよい。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、アクリル、ABS等が挙げられる。
手段11.前記ボックスベースと前記ボックスカバーとの組付け状態においては、前記係止部の前記係止孔への挿通方向において互いに対向する前記ベース側連結部と前記カバー側連結部との間に形成される充填部と、前記充填部と前記係止孔とを連通させる連通部とが形成され、
前記係止孔に対して硬化性樹脂を注入することにより、硬化性樹脂が前記連通部を介して前記充填部に充填されるとともに、当該硬化性樹脂が硬化されることにより、前記充填部、前記連通部、及び前記係止孔のうち少なくとも前記充填部に対して前記硬化性樹脂層が形成されることを特徴とする手段10に記載の遊技機。
手段11によれば、充填部に形成された硬化性樹脂層を除去することが非常に困難(事実上不可能)となる。従って、上記手段10の作用効果が一層確実に奏される。
手段12.前記基板ボックスは、遊技機本体に取付けられた接続部材と連結される結合部を備え、
前記結合部は、前記連結手段による封印状態を解除する際に、前記破断部が破断されることで、前記基板ボックスから除去される部位に設けられていることを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の遊技機。
手段12によれば、破断部を破断して基板ボックスを開封すると、結合部が基板ボックスから別離する。このため、封印手段により封印状態とされた基板ボックスを、元の姿勢で(連結手段によって封印状態とされていたときの基板ボックスと変わりなく)遊技機本体に取付けることが不可能となる。従って、基板ボックスが開封されたことを早期発見することができるといった作用効果が一層確実に奏される。尚、「前記破断部は周状に設けられ、前記結合部は前記破断部の内周側に設けられていること」としてもよい。
手段13.前記破断部が破断されて前記接続部材から別離した状態にある前記基板ボックスを、遊技機本体の所定部位において保持可能な保持手段を備えていることを特徴とする手段12に記載の遊技機。
手段13によれば、コネクタケーブルを介して基板ボックスを遊技機本体にぶら下げるような場合に比べ、コネクタケーブルや制御基板への負担を抑制することができる。また、基板ボックスの位置決めを行うことができ、遊技機本体(内枠等)を開閉する際に基板ボックスがばたついて遊技機本体と衝突し、衝突音が発生したり、基板ボックス、ひいては制御基板が損傷したりしてしまうといった事態を抑制することができる。さらに、基板ボックスの位置決めを行うことができることにより、基板ボックスによって遊技機本体の開閉動作が阻害されてしまったり、遊技ホール等における遊技機(背面側)のメンテナンスが行い難くなってしまったりする等の不具合を防止することができる。
尚、「前記基板ボックスのうち、前記破断部が破断されることで前記基板ボックスから別離する部位に係止部が設けられ、前記破断部が破断されることで前記接続部材から別離する部位に被係止部が設けられていること」としてもよい。この場合、遊技機の基板ボックス以外の部材の形状を変更する必要がなく、結果的に、構成の簡素化が図られる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。