JP5665694B2 - 無線通信装置 - Google Patents
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Description
(第1の実施形態)
本実施形態では、2つの無線通信装置が、1対1の近接通信システムを構成していると想定する。1対1の通信とは、ある無線通信装置と接続確立後は、接続が切断するまで同じ無線通信装置とのみ通信を行なうことを示す。近接通信は、通信レンジを極端に狭く制限した通信方式である。例えば通信距離が3cmといった、数cmオーダーの通信レンジに存在する無線通信装置が通信可能であるとする。なお、無線通信装置にアンテナを含む場合は、機器同士を接触させることにより通信を行なってもよい。
近接通信システム100は、無線通信装置101及び無線通信装置102を含む。図1の例では、無線通信装置101の通信レンジ151内に無線通信装置102が存在し、無線通信装置102の通信レンジ152内に無線通信装置101が存在するため、無線通信装置101と無線通信装置102との間で無線通信を行なうことができる。
無線通信を行うための接続確立の手順、すなわち通信設定を行なう手順は、無線通信を実現するために必要な互いの情報を把握するため、互いの情報を通知し合う手順である。互いの情報とは、例えば無線通信装置の識別子(IDentifier:ID)、または通信方式として複数のバージョンがある場合は対応するバージョン番号である。さらに、本無線アクセスプロトコル層の上の層での整合性を照らし合わせて、他の無線通信装置を通信相手とするかどうかの判定に用いるために、上位層のパラメータ情報などを含んでもよい。
無線通信装置101は接続要求フレームを無線通信装置102に送信し、無線通信装置102が接続要求フレームを受信する。無線通信装置102は、無線通信装置101を接続相手として受け付ける判定を行なって、接続相手となる旨を通知するための接続受付フレームを無線通信装置101に送信する。
無線通信装置101は、接続受付フレームを受信し、無線通信装置102を接続相手として受け付ける判定を行なって、接続受付フレームに対する応答フレームを通信相手となる無線通信装置102に送信する。この手順により、無線通信装置101と無線通信装置102との接続が確立する。このような接続確立の手順において、接続要求フレームを送信した無線通信装置、すなわちこの例では無線通信装置101がイニシエータに、接続受付フレームを送信した無線通信装置、すなわちこの例では無線通信装置102がレスポンダーになる。
第1の実施形態にかかる無線通信装置200は、アンテナ201、周波数変換部202、PHY(PHYsical)処理部203、パラメータ保持部204、パラメータ選択部205、送受信処理部206および上位処理部207を含む。
なお、PHY処理部203は、フレームを送受信処理部206に送る前には、物理パケットの受信開始の通知信号を、フレームを送受信処理部206に送った後には、物理パケットの受信終了の通知信号をそれぞれ送受信処理部206に送る。さらに、物理パケットのエラー検出の通知や、無線媒体の状況に関する情報についても送受信処理部206に送る。
なお、パラメータ保持部204は、1つのセット(上述の例ではInitIFS、RspIFS及びSIFS)とオフセット値とを保持しておくようにしてもよい。
なお、パラメータ選択部205は、上位処理部207からの指示により、判定手法を変更できるようにしてもよい。すなわち、パラメータ保持部204で保持するセットのどちらを用いるかをパラメータ選択部205が選択し、選択されたセットを送受信処理部206が用いてフレームの送受信を行なうことができればよい。また、送受信処理部206でセットが変更されるタイミングは、データフレームもしくは管理フレームを送信する時点、すなわち無線媒体上でアクセス権を取得する時点である。
送受信処理部206は、1対1近接通信システムで用いられるフレームの種別、データフレーム、制御フレーム及び管理フレームを扱い、パラメータ選択部205から第1セットまたは第2セットのどちらのフレーム間隔を用いるかの指示を受け取る。送受信処理部206は、パラメータ保持部204に保持されるフレーム間隔のセットを参照して、第1セットまたは第2セットのどちらかのフレーム間隔を用いて他の無線通信装置との間で無線リンク(接続)を確立してフレーム交換を行う。
図3に示す無線通信装置のシーケンス300は、イニシエータとレスポンダーとのフレーム交換を時系列で表したものであり、図3中の時間軸の上段がイニシエータとなる無線通信装置の動作を示し、下段がレスポンダーとなる無線通信装置の動作を示す。
InitIFSは、イニシエータがフレーム交換の開始を行う際に空けるフレーム間隔である。RspIFSは、レスポンダーがフレーム交換の開始を行う際に空けるフレーム間隔である。SIFS1は、データフレームあるいは管理フレームに対する送達確認である応答フレームを送信する際に用いられるフレーム間隔である。フレーム交換は例えば、データフレームあるいは管理フレームの送信で開始され、データフレームあるいは管理フレームに対する送達確認である応答フレームの受信を受けて終了する。応答フレームを受信しないとフレーム交換が失敗したとする。
例えば、InitIFSは最小で3.0μsであり、それ以上空いていればよく、RspIFSは最小7.0μsであり、それ以上空いていればよく、SIFS1は最小2.0μsであり最大2.5μsである。
イニシエータは、InitIFS_C303期間が経過した後に、データ(DATA1)304をレスポンダーに送信する。その後、データ304を受信したレスポンダーはSIFS_C306期間経過した後にACK307をイニシエータに送信する。
なお、図3では、イニシエータからデータフレームを送信する場合を説明したが、レスポンダーでも同様にオフセットを設ければよい。例えば、RspIFSに5μsのオフセット期間を付加し、最小期間が7μs+5μs=12μsとなるRspIFS_Cを定義し、RspIFS_Cをフレーム交換の開始時に用いてもよい。
図4は、上段が本実施形態に係る1対1近接通信システムの無線通信装置の動作シーケンスを示し、下段が他システムの無線装置の動作シーケンスを示す。
ステップS401では、イニシエータと他システムの無線通信デバイスとが、キャリアセンスビジー終了(すなわちキャリアセンスがアイドルに戻ったこと)を検出する。ここでキャリアセンスビジーは例えばいずれか一方の無線システムでの送信によるものである。
一方、本実施形態に係る1対1近接通信システムのイニシエータでは、応答フレームの有無の判定は、データフレームDATA1を送信してから5.0μsのオフセット期間を付加したSIFS1_C(最小で7μs)後のスロット時間内(ここではSLOT1と示す)にACK1の有無を判定する。SLOT1は、通常の状態においても干渉対策でフレーム間隔を長く調整する場合においても共通で1.0μsの期間とする。なお、フレーム間隔に係るパラメータの1つとして、干渉対策時には他のフレーム間隔と同様に5.0μsのオフセット期間を付加し、SLOT1_C(1.0μs+5.0μs=6.0μs)と新たに定義して用いるようにしてもよい。図4に示すデータフレームが衝突する例では、イニシエータがACK1を所定の時間内に受信しないため、再度キャリアセンスの状態を確認し、DATA1の再送を行う動作に移行する。
第1の実施形態では、イニシエータとレスポンダーとで、通常のフレーム間隔であるIFSの第1セットと、全てのフレーム間隔に固定長のオフセットを追加したIFSの第2セットとを両方ともそれぞれ保持している。よって、互いに同じフレーム間隔のセットを用いなければ互いのIFSにずれが生じる。第2の実施形態では、イニシエータとレスポンダーとのどちらか一方がフレーム間隔を長く設定するように判定した場合に、もう一方に長いフレーム間隔のセット(セット2)を用いることを通知する。このようにすることで、動的にイニシエータとレスポンダーとで同じフレーム間隔のセットを切り替えながら用いることができる。
図5は、上段がイニシエータの動作シーケンスを、下段がレスポンダーの動作シーケンスを示す。
1対1近接通信システムにおいて、フレーム間隔のセットを変更するタイミングは、データフレームまたは管理フレームを送信するとき、すなわち無線媒体上でアクセス権を取得するときである。よって、受信したデータフレームまたは管理フレームに対する応答フレームを送信するときにフレーム間隔のセットを変更してはならない。具体的には、イニシエータがDATA1をレスポンダーに送信する前は、イニシエータにおいてInitIFSからInitIFS_Cにフレーム間隔を変更してもよい。しかし、レスポンダーでは、DATA1を受信した応答フレームであるACKをイニシエータに送信する際に、SIFSからSIFS_Cにフレーム間隔を変更してはならない。
上段がイニシエータの動作シーケンスを、下段がレスポンダーの動作シーケンスを示す。
ステップS601では、イニシエータが第1セットの通常のフレーム間隔を用いてInitIFS経過後にDATA1をレスポンダーに送信し、レスポンダーがSIFS1経過後にACK1をイニシエータに送信する。ここでは、イニシエータが第1セットのフレーム間隔を用いているため、DATA1中のフレーム間隔のセットを示す通知ビットを「0」と設定する。
ステップS602では、イニシエータが第2セットのフレーム間隔を用い、InitIFS_C経過後にDATA2をレスポンダーに送信する。ここでは、イニシエータが第2セットのフレーム間隔を用いているため、フレーム間隔のセットを示す通知ビットを「1」と設定する。
ステップS603では、レスポンダーがDATA2を受信して、DATA2から通知ビットを抽出すると、値が「1」と設定されていることを把握し、第2セットのフレーム間隔を用いるようにする。その後、SIFS_C経過後にACK1をイニシエータに送信する。
この場合は、最初のセットの切り替えの通知を含めたフレーム交換では1つ前の古いフレーム間隔のセットを使用し、その後のフレーム交換から新しいセットを使用するようにしてもよい。応答フレームでも上述したように例えばフレームヘッダに通知ビットを用意し、用いるフレーム間隔のセットを通知するようにする。
このようにすることで、データフレーム及び管理フレーム送信側の無線通信装置において、受信側の無線通信装置が、まだ応答時間は更新されていなくてもフレーム間隔の変更の認識をしたと把握することができる。よって、この後のフレーム交換では更新したフレーム間隔のセットを用いることができる。また、その後のフレーム交換時にもフレーム間隔のセットに関する通知ビットを常に使用することで、逐次双方の無線通信装置で、フレーム間隔のセットを確認しつつ同一のフレーム間隔のセットを用いて動作することができる。
第1及び第2の実施形態では、第2セットのフレーム間隔は予め定められた値を用いるが、第3の実施形態では、接続確立時に第2セットのフレーム間隔の値に関しても設定可能とする点が上述の実施形態とは異なる。
第1の実施形態と第2の実施形態では、フレーム交換内で用いる全てのフレーム間隔にオフセットを付加していたため、応答フレームの送受の際に接続している無線通信装置間で同じフレーム間隔のセットを用いていないと適切なフレーム送受信の動作が行えない。第4の実施形態では、フレーム交換を開始する際の無線媒体へのアクセス時に用いるフレーム間隔にのみオフセットを付加する点が異なる。
図7は、イニシエータがアクセスしDATA1をイニシエータに送信する場合を想定する。上段がイニシエータの動作シーケンスを示し、下段がレスポンダーの動作シーケンスを示す。
ステップS801では、レスポンダーは、他システムでの競合期間に用いられるフレーム間隔AIFSのデフォルトでの最小値、13μs(AC_VIとAC_VOとでのデフォルト値)と同一となるようなフレーム間隔を設定する。具体的には、レスポンダーは、通常のRspIFS(7μs)に6μsのオフセット期間を付加したRspIFS_C(13μs)を用いて、RspIFS_Cが経過するまで待機する。このように、レスポンダーが用いるアクセス時のフレーム間隔についても他システムの別種のフレーム間隔に合わせることができる。
イニシエータは、図7のようにInitIFS_C(8μs)でレスポンダーにアクセスする。一方、レスポンダーは、まだその時点ではフレーム間隔の変更をする判定に至っていないため、通常のRspIFS(7μs)でイニシエータにアクセスする。この場合は、レスポンダーの方が優先的にアクセスすることができる。しかし、1対1近接通信では、一方の無線通信装置(ここでは、イニシエータ)が他システムと干渉し合う状況を把握できる場合、もう一方の無線通信装置(ここでは、レスポンダー)も当然同様の状況にあると想定される。従って、無線通信装置がそれぞれ使用するフレーム間隔の切り替え判定を適切に行えるとしたら、もう一方の無線通信装置もフレーム間隔の切り替え判定を一定期間内に行なうことになる。よって、上述の例ではレスポンダーもRspIFS_Cを使用する判定を行って図8に示すようなアクセスをすると考えられ、最終的にイニシエータとレスポンダーとでアクセス機会の力関係が保持される。
従って、イニシエータは、W_DATA1の信号をキャリアセンスで検出し、DATA1の再送を延期する。第1の実施形態と同様に、イニシエータのアクセスと他システムでの優先的なフレーム間隔(PIFS)を用いたアクセスとは、最初の媒体へのアクセス時の機会は同等であるものの、リカバリ動作(すなわち再送)では他システム側が圧倒的に有利となる。
1対1近接通信システムでは、ランダムバックオフを行わないため、他システムで媒体アクセス時に用いる固定長のフレーム間隔と同等のフレーム間隔にしても、確率的に1対1近接通信システムにおける無線通信装置のほうがフレーム送信において有利になる。そこで、第5の実施形態では、フレーム間隔を調整する際に他システムでの競合期間で用いるいずれかのフレーム間隔と同等にすることに加えて、さらに他システムでの平均ランダムバックオフ期間を設定する。これにより、他システムでのランダムバックオフ期間を考慮したアクセス機会の公平性を図ることができる。
図10は、イニシエータがアクセスしDATA1をレスポンダーに送信する場合を想定する。上段がイニシエータの動作シーケンスを示し、下段がレスポンダーの動作シーケンスを示す。
その後のイニシエータとレスポンダーとの通信は、第4の実施形態と同様であるのでここでの説明は省略する。
レスポンダーは、第4の実施形態のようにRspIFS(7μs)に、他システムでのデフォルトで最小値となるAIFSと同等になるように6μsのオフセット期間(第1オフセット期間)を加え、さらに上述と同様に第2オフセット期間7.5μsを付加する。従って、RspIFS_Cは20.5μsとなる。その後のイニシエータとレスポンダーとの通信は、第4の実施形態と同様であるのでここでの説明は省略する。
1対1近接通信システムの無線通信装置においてフレーム間隔を長く調整することで、他システムの無線通信装置に無線媒体のアクセス権を譲りやすくしている。しかし、他システムの無線装置、具体的に送信するフレームのアクセスカテゴリによっては、1対1近接通信システムのいずれかの無線通信装置でのフレーム送信要求が続く限り、他システムの無線装置はフレーム送信ができないという状況が発生する場合がある。そこで、第6の実施形態では、一度アクセス権を獲得してから、ある期間連続してアクセス権を獲得し続けた場合には、一旦アクセスの試行を一時休止する。このようにすることで、他の通信システムの無線通信装置も必ず送信機会を得ることができる。
送受信処理部206は、自装置がアクセス権を取得してから連続してアクセス権を取得し続けた期間(以下、連続期間と呼ぶ)を計測する。連続期間が閾値(ここではT_burstの期間)以上となった場合に、パラメータ選択部205に通知する。
パラメータ選択部205は、一定期間アクセス試行を停止するためのフレーム間隔(T_pause)を選択する。送受信処理部206は、パラメータ選択部205から受け取ったフレーム間隔に基づいて、一定期間(T_pause)をフレーム間隔に追加し、フレームの送信を停止する。
図12は上段がイニシエータの動作シーケンスを示し、下段がレスポンダーの動作シーケンスを示す。なお、レスポンダーの場合は、図12に示すInitIFS_CをRspIFS_Cに置き換え、同様の処理を行えばよい。
なお、このT_pause+InitIFS_Cの期間をInitIFS_C_Sとして定義してもよい。
イニシエータ及びレスポンダーのそれぞれで、連続時間を把握及び管理する例を説明したが、このように1対1近接通信システム内で、無線信号がキャリアセンスビジーであると判定できる場合に連続時間を継続するようにできれば、1対1近接通信システム全体としての連続時間を管理及び制御できるようになり、システム間での媒体共有の公平性を図ることができる。
第7の実施形態では、フレーム間隔のセットを期間に応じて切り替える点が他の実施形態と異なる。
第7の実施形態に係る無線通信装置におけるフレーム間隔のセットの切り替え例を図13に示す。
イニシエータとレスポンダーとがそれぞれ、通常時のフレーム間隔である第1セットと他システムとの共存時のフレーム間隔である第2セットとを、一定期間ごとに交互に設定して通信する。ここでは、通常フレーム間隔使用期間1301では第1セットを、共存用フレーム間隔使用期間1302では第2セットをそれぞれ用いる。
あるいは、パラメータ選択部205が、他システムとの共存が必要であると判定した場合に、T_gen及びT_coexの時間管理を行い、T_gen及びT_coexのどちらかの時間が経過すると、パラメータ選択部205が送受信処理部206に対して次に移るフレーム間隔使用期間で使用するフレーム間隔のセットを、パラメータ保持部204から参照させるように指示してもよい。
上述の実施形態では、他システムとして1対1近接通信システムとは別のシステム、例えばCSMA/CAを用いるIEEE802.11無線LANを想定する。第8の実施形態では、同一の1対1近接通信システムが近傍に存在して干渉する場合を想定する点が異なる。CSMA/CAは、媒体つまり周波数チャネル上で他の無線装置が送信しているかを観測するキャリアセンスを行い、その結果他の無線装置が送信していることを把握するとその送信終了からランダム時間待って送信(ランダムアクセス)を行うものである。このランダムアクセスがCarrier Avoidance(CA)に対応した動作である。
ここで他システムとは、他の1対1近接通信システムであると把握した場合であってもよいし、他の1対1近接通信システムの可能性がある場合と判定した場合でもよい。また、他システムの種別を問わないが、その場合は第7の実施形態と同様になる。
通常フレーム間隔使用期間では第1実施形態から第7の実施形態と同様に第1セットのフレーム間隔を用いる。共存フレーム間隔使用期間では、第1の実施形態から第6の実施形態のいずれかに示す第2セットを用いるようにしてもよいし、これに限らない。すなわち、アクセス時のフレーム間隔が第1セットの使用時よりも不利になるように、つまり長くなるように第2セットがなっていればよい。
第2セットをアクセス時のフレーム間隔が第1セットを使用時よりも不利になる、つまりフレーム間隔が長くなるようにする調整し、必要最低限の長さの違いを有するように定義する。例えば送受の切り替え時間中はキャリアセンスをできないことから、その時間より大きな差分があるように定義する。このようにすることで、無駄な無信号期間を抑制しつつ1対1近接通信システム同士の共存に適した状況、つまり効率的な1対1近接通信システム間の共存状態を作りだすことができる。
以上に示した第8の実施形態によれば、自立分散的に各無線通信装置がT_genとT_coexとを切り替えて動作することで、時間軸上で統計的に他システムの無線装置と媒体の共有の公平性を図ることができる。また、現フレームで使用するフレーム間隔のセットを同一のシステム内の一方の無線通信装置から他方に通知して、イニシエータとレスポンダーとでT_genとT_coexとのタイミングを合わせることにより、システム全体として他の1対1近接通信システムと媒体の共有の公平性を図ることができる。
上述の実施形態では、1対1近接通信システムはCSMAするが、少なくとも接続確立後にCarrier Avoidanceは行わないとしている。第9の実施形態では、他システムとの媒体の公平な共有を考慮していない通常動作時はCarrier Avoidanceは行わないが、他システムの干渉がある場合にはCarrier Avoidanceを行う。Carrier Avoidanceは、例えばIEEE802.11無線LANでのランダムアクセスと同様の動作を行えばよい。
パラメータ保持部204は、第1セットのみを保持する。
送受信処理部206は、パラメータ選択部205から他システムとの共存が必要であると指示がある場合、アクセス時には第1セットのアクセス時に用いるフレーム間隔(InitIFSもしくはRspIFS)にさらにランダム関数が生成した値に第1セットのスロット時間(Slot1)をかけた値を追加した時間だけキャリアセンスを行う。
フレーム送信をする前にキャリアセンスがビジーであると検出した場合の動作は、ランダムアクセスを用いる既存システムでの動作を参照すればよい。接続確立時のフレーム送信でランダムアクセスを行うなら、その際用いるランダム関数を利用し、ランダムアクセスする詳細な動作も接続時の方法を用いればよい。送受信処理部206は他システムとの共存が必要であるとの指示がない場合には前述の第1の実施形態から第9の実施形態と同様、第1セットのみを用いる。
第10の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、バッファを備える。このように、バッファを無線通信装置に含める構成とすることにより、送受信フレームをバッファに保持することが可能となり、再送処理や外部出力処理を容易に行うことが可能となる。
第11の実施形態では、第10の実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バス、プロセッサ部、及び外部インターフェース部を備える。プロセッサ部及び外部インターフェース部は、バスを介してバッファと接続される。プロセッサ部ではファームウエアが動作する。このように、ファームウエアを無線通信装置に含める構成とすることにより、ファームウエアの書き換えによって無線通信装置の機能の変更を容易に行うことが可能となる。
第12の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、クロック生成部を備える。クロック生成部は、クロックを生成して出力端子より無線通信装置の外部にクロックを出力する。このように、無線通信装置内部で生成されたクロックを外部に出力し、外部に出力されたクロックによってホスト側を動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側とを同期させて動作させることが可能となる。
第13の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、電源部、電源制御部、及び無線電力給電部を含む。電源制御部は、電源部と無線電力給電部とに接続され、無線通信装置に供給する電源を選択する制御を行う。このように、電源を無線通信装置に備える構成とすることにより、電源を制御した低消費電力化動作が可能となる。
第14の実施形態では、第13の実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、NFC(Near Field Communications)送受信部を追加し、電源制御部及び送受信処理部206と接続したものである。このように、NFC送受信部を無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となるとともに、NFC送受信部をトリガとして電源制御を行うことによって待受け時の低消費電力化を図ることが可能となる。
第15の実施形態では、第13の実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、SIMカードを含む。SIMカードは、送受信処理部206と接続される。このように、SIMカードを無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となる。
第16の実施形態では、第11の実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、動画像圧縮/伸長部を含む。動画像圧縮/伸長部は、バスと接続される。このように、動画像圧縮/伸長部を無線通信装置に備える構成とすることにより、圧縮した動画像の伝送と受信した圧縮動画像の伸長とを容易に行うことが可能となる。
第17の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、LED部を含む。LED部は、送受信処理部206あるいはPHY処理部203と接続される。このように、LED部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
第18の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、バイブレータ部を含む。バイブレータ部は、送受信処理部206あるいはPHY処理部203と接続される。このように、バイブレータ部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
第19の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、複数の異なるPHY処理部203を設け、無線切替部を含む。無線切替部は、複数の異なるPHY処理部203に接続され、異なるPHY処理部203による通信の間を切替える。このように、複数の異なるPHY処理部203を無線通信装置に備える構成とすることにより、状況に応じて適切なPHY処理部203を用いた通信に切替えることが可能となる。
第20の実施形態では、図2の無線通信装置の構成に加えて、複数の異なるPHY処理部203を設け、またこれら各々のPHY処理部203に対応する送受信処理部206を設け、無線切替部を含む。無線切替部は、送受信処理部206を切り替えられるように接続され、異なる送受信処理部206及びPHY処理部203による複数の通信方式の間を切替える。送受信処理部206及びPHY処理部203の対の1つは例えば無線LANに対応する。このように、複数の異なる送受信処理部206及びPHY処理部203のセットを無線通信装置に備える構成とすることにより、状況に応じて適切な送受信処理部206及びPHY処理部203のセットを用いた通信に切替えることが可能となる。また各送受信処理部206に対応させてパラメータ保持部204とパラメータ選択部205も設けるようにしてもよい。このように複数の異なる送受信処理部206、パラメータ保持部204、パラメータ選択部205及びPHY処理部203のセットを無線通信装置に備える構成とすることにより、状況に応じて適切な送受信処理部206、パラメータ保持部204、パラメータ選択部205及びPHY処理部203のセットを用いた通信に切替えることが可能となる。
第21の実施形態では、第19の実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、スイッチ(SW)を含む。スイッチは、アンテナ201、複数の異なるPHY処理部203、無線切替部に接続される。このように、スイッチを無線通信装置に備える構成とすることにより、アンテナ201を共用しながら状況に応じて適切なPHY処理部203を用いた通信に切替えることが可能となる。
第22の実施形態では、第20の実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、スイッチ(SW)を含む。スイッチは、アンテナ201、送受信処理部206、及び無線切替部に接続される。このように、スイッチを無線通信装置に備える構成とすることにより、アンテナを共用しながら状況に応じて適切な送受信処理部206(またパラメータ保持部204とパラメータ選択部205も各送受信処理部206に対応して設ける場合はこれらも含む)及びPHY処理部203のセットを用いた通信に切替えることが可能となる。
通信レンジは主に送信電力とアンテナ利得とで決まる。ある無線通信装置(第1無線通信装置)が、ある送信電力で任意の周波数の無線信号を送信する場合、方向に依存する送信アンテナ利得を持つと想定する。また、この無線信号を受信する他方の無線通信装置(第2無線通信装置)では、方向に依存する受信アンテナ利得を持つと想定する。第1無線通信装置からある距離、ある方向における第2無線通信装置での無線信号の受信電力は、統計的に送信電力、周波数、無線通信装置間の距離、その方向の第1無線通信装置側の送信アンテナ利得及びその方向の第2無線通信装置側の受信アンテナ利得に依存する。
なお、当然この復号処理を行う受信電力の基準値以上では、復号処理が行える変調符号化方式(Modulation and Coding Scheme;MCS)が1つ以上はある、ということを前提とする。すなわち、最低受信感度が当該受信電力の基準値以下となるMCSが1つ以上はあるということが前提である。
一般的に通信システムにおける無線アクセスプロトコル上で扱うフレームは、大別してデータ(data)フレーム、管理(management)フレーム、制御(control)フレームの3種類に分けられる。これらの種別は、通常、フレーム間で共通に設けられるヘッダ部で示される。フレーム種別の表示方法としては、1つのフィールドで3種類を区別できるようにしてあってもよいし、2つのフィールドの組み合わせで区別できるようにしてあってもよい。
接続の切断には、明示的な手法と暗示的な手法とがある。明示的な手法としては、接続している無線通信装置のいずれか一方が切断のためのフレームを送信する。このフレームは管理フレームに分類される。切断のためのフレームは、例えば接続をリリースするという意味でリリースフレームと呼ぶことがある。通常、リリースフレームを送信する側の無線通信装置ではリリースフレームを送信した時点で、リリースフレームを受信する側の無線通信装置ではリリースフレームを受信した時点で、接続の切断と判定する。その後、通信フェーズでの初期状態、例えば通信相手の無線通信装置を探索する状態に戻る。これは、切断のためのフレームを送信する際には、接続先の無線通信装置と通信距離が離れて無線信号が受信不可あるいは復号不可になるといった、物理的な無線リンクが確保できないことがあるからである。
図14に示すように、無線通信装置101の通信レンジ1401と無線通信装置102の通信レンジ1402とには、互いにもう一方の無線通信装置が存在しない。よって、切断のためのフレームを相手の無線通信装置に送信しても、その確認応答を期待できないので、リリースフレーム送信側の無線通信装置では、リリースフレームを送信した時点で接続切断と判定する。
ここでは、2つの無線通信装置は接続確立の手順を経て1対1近接通信システムを構成しているとする。
レスポンダーは、DATA1をイニシエータから受信し、SIFS1経過後に、応答フレーム(ACK1)をイニシエータに送る。
ここで、例えばレスポンダー内でDATA1受信中にデータフレーム(DATA2)の送信要求が発生したとすると、レスポンダーはその後RspIFSの間が空くまで送信を延期する。図15の例では、レスポンダーは、ACK1送信後にイニシエータからの送信がないため、ACK1送信後RspIFSの間待ってからDATA2をイニシエータに送信する。DATA2を受信したイニシエータは、そのSIFS1後に応答フレーム(ACK2)をレスポンダーに送信する。
応答フレームの送信がないと判定した場合は、データフレーム及び管理フレーム送信側の無線通信装置は、再送処理を行う。SIFS1を厳密な固定時間として定義することも考えられるが、その際には正確なフレームの受信終了時刻を把握及び保持しておく必要がある。さらに実際には伝搬遅延や無線信号を受信及び復号して応答フレームを生成するまでの実装上の遅延の揺らぎなどもあることから、多少の誤差は許容する幅を持たせておくことが望ましい。
なお、これらのフレーム間隔において、実装上キャリアセンスを行う受信状態からフレームを送信する送信状態に送受信器を切り替える時間が必要であるということから、厳密には送受の切り替え時間を差し引いた時間しかキャリアセンスアイドルの状態を観測していない(例えば送信の直前の送受切り替え時間内のキャリアセンス状態は把握できない)ことになる。
ここで、イニシエータがデータフレームまたは管理フレームを送信したが、レスポンダーではデータフレームまたは管理フレームの受信に失敗しエラーとなった場合を想定する。イニシエータが応答フレームがないと判定するタイムアウト時間が、データフレームまたは管理フレームの送信後4.0μs以上であるとすると、イニシエータが再送を開始する最小時間は、データフレームまたは管理フレームの送信後から7.0μs以上となる。これは、レスポンダーが、受信エラーとなった後にRspIFS空けたタイミングと同じかそれ以上であり、イニシエータでの再送に優先権を与えることができない。
IEEE802.11無線LANで用いられるフレーム間隔は、distributed coordination function interframe space(DIFS)、arbitration interframe space(AIFS)、point coordination function interframe space(PIFS)、short interframe space(SIFS)、extended interframe space(EIFS)、reduced interframe space(RIFS)の6種類ある。なお、本実施形態に係る1対1近接通信システムでのSIFSと区別するため、ここではSIFSを便宜上SIFS2と表記する。
SIFS2は、応答系の制御フレームの送信時あるいは一旦アクセス権を獲得した後にバーストでフレーム交換を継続する場合に用いることができるフレーム間隔である。IEEE802.11無線LANでのSIFS2は、1対1近接通信システムでのSIFS1の概念を包含し、かつフレーム種別とフレーム交換とのバリエーションが多いために適用範囲が広いといえる。
EIFSはフレーム受信に失敗した場合に発動されるフレーム間隔である。IEEE802.11無線LANでのEIFSと1対1近接通信システムでのERIFSとは類似している。しかし、IEEE802.11無線LANでは接続形態において1対1近接通信でのようなイニシエータ及びレスポンダーという関係は設けないため、全ての無線通信装置で適用される。
ある無線通信装置においてデータフレーム(W_DATA1)の送信要求が発生した際に、キャリアセンスの結果、媒体がビジーである(busy medium)と認識する場合を想定する。この場合、キャリアセンスがアイドルになった時点から固定時間のAIFSを空け、その後ランダム時間(random backoff)空いたところで、データフレームW_DATA1を通信相手に送信する。
Claims (9)
- 1以上の種別のフレーム間隔を含む第1セットと、第1セットに含まれるフレーム間隔の種別と同一種別のフレーム間隔の長さが該第1セットに含まれる同一種別のフレーム間隔以上の長さであり、かつ少なくとも1つの第1種別のフレーム間隔の長さが前記第1セットに含まれる該第1種別のフレーム間隔よりも長い1以上の種別のフレーム間隔を含む第2セットと、を保持する保持部と、
前記第1セット及び前記第2セットのどちらを用いて通信するかを選択する選択部と、
前記選択部の選択結果に応じて、前記第1セットまたは前記第2セットのフレーム間隔を用いて、第1通信方式を用いる第1装置と通信する送受信処理部と、を具備することを特徴とする無線通信装置。 - 前記第1通信方式の最大送信電力とアンテナ利得との和は、第2通信方式の最大送信電力とアンテナ利得との和よりも小さく、前記第2セットは、該第2無線通信方式に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
- 前記選択部は、前記第2通信方式を用いる第2装置による該第1通信方式への影響が第1閾値以上である場合に、前記第2セットを選択することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
- 前記第2セットに含まれる各フレーム間隔は、前記第1セットに含まれる同一種別のフレーム間隔と第1期間との和であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
- 前記第1種別のフレーム間隔は、媒体アクセスを開始する場合に用いるフレーム間隔であり、
フレームへの応答を示す応答フレームの送信の場合に用いられる第1フレーム間隔は、前記第1セットに含まれる、該第1フレーム間隔に対応するフレーム間隔と、前記第2セットに含まれる、該第1フレーム間隔に対応するフレーム間隔とが同一であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信装置。 - 前記第2通信方式における前記第1種別のフレーム間隔は、少なくとも1つの時間幅であるスロット時間から選択される、他装置と競合する期間を示すコンテンション期間と第2フレーム間隔との和であり、
前記第2セットに含まれる前記第1種別のフレーム間隔は、前記第2フレーム間隔と前記スロット時間の半分の期間との和であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の無線通信装置。 - 前記送受信処理部は、媒体アクセス権を取得後にフレームを連続して送信し続ける第2期間を計測し、該第2期間が第2閾値以上となった場合、フレーム送信を休止することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
- 前記選択部は、前記第1セットを用いて通信を行なう第3期間と、前記第2セットを用いて通信を行なう第4期間とを設定し、
前記送受信処理部は、前記第3期間の間前記第1セットで通信し、前記第4期間の間前記第2セットで通信することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線通信装置。 - 前記送受信処理部は、前記第1装置と通信を行なう際に前記第1通信方式を用いる第2装置を含むシステムと干渉する場合に、前記第3期間の間前記第1セットで通信し、前記第4期間の間前記第2セットで通信することを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
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