JP5665548B2 - クロストリジウム・ディフィシレの検出 - Google Patents

クロストリジウム・ディフィシレの検出 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年2月8日に出願された米国特許仮出願第61/027,154号の優先権を主張する。
技術分野
本発明は、微生物診断学に関し、より詳しくは、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)の検出に関する。
背景
クロストリジウム・ディフィシレは、最も一般的に特定される抗生物質関連の下痢の原因であり、原因の15%〜25%を占める(Bartlett、1994、Clin. Infect. Dis.、18(増刊4):S265-272)。C.ディフィシレ感染(CDI)には、単純な下痢から有意な罹病率および死亡率を伴う偽膜性腸炎までの広範な臨床的症候群が包含される。近年および2001年には、CDIの発生数および重症度において顕著な増大があり、米国では、短期間入院して退院するCDIの診断が42%増加した。さらに、2003年から2004年の間に25%増加し、2005年には、さらに10%増加した。この増加は>64歳の患者で最も大きく、米国のほとんどの地理上の区域で生じた。米国人口100万人あたりのC.ディフィシレ関連死亡率は、1999年の5.7から2004年には23.7に上昇し、1999年から2004年の間でCDIによる死亡は26,642例と推定された。
2000年では、より重症な形態のCDIが米国およびカナダ、また欧州において確認された。この重症な形態のCDIの症例の多くは、制限酵素解析(REA)により「BI」、パルスフィールドゲル電気泳動により「NAP1」(North American Pulsed Field Type 1)、およびPCRリボタイピングにより「027」と特徴付けされたC.ディフィシレの「伝染性」菌株によって引き起こされたことが示された。また、これは、「毒素遺伝子変異型(toxinotype)III」(毒素遺伝子のREAにより)と特徴付けされた。以前の年では、C.ディフィシレの「非伝染性」病院内菌株の大多数が毒素遺伝子変異型0に属していた。このBI/NAP1/027「伝染性」菌株は、伝染性菌株の毒性増大の主な原因であり得る毒素AおよびBの過剰生成体であることが示された。「伝染性」菌株の病原性遺伝子座内のtcdC遺伝子は、毒素AおよびB生成の負の調節因子のようである。
概要
本発明は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による生物学的試料中のクロストリジウム・ディフィシレ核酸の同定方法を提供する。本発明により、C.ディフィシレを検出するためのプライマーおよびプローブが提供され、かかるプライマーおよびプローブを含むキットも提供される。本発明の方法は、C.ディフィシレ感染の診断用の被検物からC.ディフィシレ核酸を迅速に同定するために使用され得る。特定のプライマーおよびプローブを使用し、該方法は、増幅および蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を用いた特異的増幅産物の発生のモニタリングを含む。
一局面において、本発明は、個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレの存在または非存在の検出方法を提供する。かかる方法は、一般的に、増幅工程とハイブリダイズ工程を含む少なくとも1回のサイクル工程を行なうことを含む。典型的には、増幅工程は、試料をtcdCプライマーペアと接触させることを含み、tcdC核酸分子が試料中に存在する場合はtcdC増幅産物が生成され、ハイブリダイズ工程は、試料をtcdCプローブペアと接触させることを含む。tcdCプローブペアの構成員は、一般的に、互いの5ヌクレオチド以下の範囲内(例えば、互いの2ヌクレオチド以下、互いの1ヌクレオチド以下)でハイブリダイズし、tcdCプローブペアの第1のtcdCプローブは、ドナー蛍光部分で標識され、一方、tcdCプローブペアの第2のtcdCプローブは、対応するアクセプター蛍光部分で標識される。かかる方法はまた、第1のtcdCプローブのドナー蛍光部分と第2のtcdCプローブのアクセプター蛍光部分間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の存在または非存在を検出することを含み、FRETの存在は試料中のC.ディフィシレの存在を示し、FRETの非存在は試料中のC.ディフィシレの非存在を示す。
一般的に、tcdCプライマーペアは第1のtcdCプライマーと第2のtcdCプライマーを含み、第1のtcdCプライマーは、配列5’-ACC TCA TCA CCA TCT TCA ATA AC-3’(配列番号:1)を含むか、または該配列からなり、第2のtcdCプライマーは、配列5’-TCAAAA TGAAAG ACG ACG AAA-3’(配列番号:2)を含むか、または該配列からなる。一般的に、第1のtcdCプローブは、配列5’-TTC AGC CTT TTTAGC TTC TTC AGC-3’(配列番号:3)を含むか、または該配列からなり、第2のtcdCプローブは、配列5’-TTA CGT TGATTT TCA GCT TCAATA GC-3’(配列番号:4)を含むか、または該配列からなる。
代表的なドナー蛍光部分はフルオレセインであり、代表的な対応するアクセプター蛍光部分としては、LC-Red 640、LC-Red 705、Cy5、およびCy5.5が挙げられる。典型的には、検出工程は、ドナー蛍光部分によって吸収される波長で試料を励起する工程、ならびに対応するアクセプター蛍光部分によって発光された波長を可視化および/または測定する工程を含む。いくつかの態様において、該検出はFRETの定量を含む。いくつかの態様において、検出工程は、各サイクル工程後に行なわれる。特定の態様において、検出工程はリアルタイムで行なわれる。
本明細書に開示した方法は、さらに、tcdCプローブの一方または両方とtcdC増幅産物間の融解温度を測定する工程を含み得る。本明細書に記載のように、融解温度により、C.ディフィシレの存在または非存在が確認される。特定の場合において、該測定により、野生型C.ディフィシレを示す2つの別々の融解温度がもたらされる。他の場合において、該測定により、tcdC核酸配列内に遺伝子欠失(例えば、18bp欠失または39bp欠失)を含むC.ディフィシレ変異型を示す1つだけの融解温度がもたらされる。
いくつかの態様において、本明細書に開示した方法は、さらに、夾雑核酸の増幅を抑制する工程を含む。特定の場合において、かかる抑制工程は、ウラシルの存在下で増幅工程行ない、次いで、第1の増幅工程前に試料をウラシル-DNAグリコシラーゼで処理することを含む。
代表的な生物学的試料としては、限定されないが、便試料、肛門周囲の試料、または直腸の試料が挙げられる。本明細書に記載の方法(すなわち、サイクル工程)は、対照試料に対して行なわれ得る。いくつかの態様において、対照試料はtcdC核酸分子の一部分を含む。他の態様において、サイクル工程では、tcdCプライマーおよびtcdCプローブ以外の対照プライマーペアおよび対照プローブペアが使用される。これらの状況下において、増幅工程では対照増幅産物が生成され、対照プローブは対照増幅産物にハイブリダイズする。
別の局面において、本発明は、個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレの存在または非存在を検出するための方法を提供する。かかる方法は、一般的に、典型的には増幅工程とハイブリダイズ工程を含む少なくとも1回のサイクル工程を行なうことを含む。一般的に、増幅工程は、試料をtcdCプライマーペアと接触させることを含み、tcdC核酸分子が試料中に存在する場合はC.ディフィシレtcdC増幅産物が生成され、ハイブリダイズ工程は、試料を、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で標識されたtcdCプローブ接触させることを含む。また、かかる方法は、tcdCプローブのドナー蛍光部分とアクセプター蛍光部分間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の存在または非存在を検出する工程を含み、蛍光の存在または非存在は、試料中のC.ディフィシレの存在または非存在を示す。
これらの方法のいくつかの態様において、増幅では、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素が使用され得、第2の蛍光部分は消光物質であり得る。他の態様において、tcdCプローブには、二次構造の形成を許容する核酸配列が含まれ得、該二次構造の形成により、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分との空間的近接がもたらされ、第2の蛍光部分は消光物質であり得る。本明細書に記載の方法によれば、第1および第2の蛍光部分は、典型的には、プローブ上の互いの5ヌクレオチド以下の範囲内である。
さらに別の局面において、本発明は、個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレの存在または非存在の検出方法を提供する。かかる方法は、一般的に、増幅工程と色素結合工程を含む少なくとも1回のサイクル工程を行なうことを含む。典型的には、増幅工程は試料をtcdCプライマーペアと接触させることを含み、tcdC核酸分子が試料中に存在する場合はtcdC増幅産物が生成され、色素結合工程は、tcdC増幅産物を二本鎖DNA結合色素と接触させることを含む。また、かかる方法は、増幅産物内への二本鎖DNA結合色素の結合の存在または非存在を検出することを含み、結合の存在は、試料中のC.ディフィシレの存在を示し、結合の非存在は、試料中のC.ディフィシレの非存在を示す。代表的な二本鎖DNA結合色素は臭化エチジウムである。また、かかる方法は、tcdC増幅産物と二本鎖DNA結合色素間の融解温度を測定する工程を含み得、融解温度により、C.ディフィシレの存在または非存在が確認される。
別の局面において、本発明は、tcdCプライマーペア;tcdCプローブペア;ならびにドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分を含む製造品を提供する。典型的には、tcdCプライマーペアは第1のtcdCプライマーと第2のtcdCプライマーを含み、第1のtcdCプライマーは、配列5’-ACC TCA TCA CCA TCT TCA ATA AC-3’(配列番号:1)を含むか、または該配列からなり、第2のtcdCプライマーは、配列5’-TCAAAA TGAAAG ACG ACG AAA-3’(配列番号:2)を含むか、または(of)該配列からなる。典型的には、tcdCプローブペアは、第1のtcdCプローブと第2のtcdCプローブを含み、第1のtcdCプローブは、配列5’-TTC AGC CTT TTTAGC TTC TTC AGC-3’(配列番号:3)を含むか、または該配列からなり、第2のtcdCプローブは、配列5’-TTA CGT TGA TTT TCA GCT TCAATA GC-3’(配列番号:4)を含むか、または該配列からなる。
特定の態様において、製造品内で第1のtcdCプローブはドナー蛍光部分で標識され、第2のtcdCプローブは対応するアクセプター蛍光部分で標識されている。また、本明細書に記載の製造品は、試料中のC.ディフィシレの存在または非存在を検出するためにtcdCプライマーペアおよびtcdCプローブペアを使用するための使用説明書を有する添付文書を有する。
特に規定のない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、適当な方法および材料は以下に記載するものである。また、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定を意図しない。本明細書で挙げたすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。矛盾する場合は、定義を含む本明細書に支配される。
本発明の1つ以上の態様の詳細を添付の図面および以下の説明に示す。本発明の他の特徴、目的および利点は、図面および詳細説明ならびに特許請求の範囲から自明であろう。
図1は、「野生型」菌株(欠失は存在しない)および欠失が存在した菌株の融解温度パターンを示すC.ディフィシレtcdC遺伝子のLIGHTCYCLER PCRの結果を示すグラフである。
詳細説明
既存のアッセイよりも高感度で特異的な生物学的試料中のクロストリジウム・ディフィシレを検出するためのリアルタイムアッセイを本明細書において記載する。C.ディフィシレ感染を検出するためのプライマーおよびプローブならびにかかるプライマーおよびプローブを含む製造品が本発明によって提供される。他の方法と比べてC.ディフィシレの検出のためのリアルタイムPCRの感度が増大していること、ならびに試料夾雑物を含むリアルタイムPCRおよび増幅産物のリアルタイム検出の特徴が改善されていることにより、この技術を臨床検査室においてC.ディフィシレ感染の常套的な診断のために実施することが実現可能になる。
C.ディフィシレの核酸およびオリゴヌクレオチド
本発明は、例えばtcdC核酸の一部分を増幅することによりC.ディフィシレを検出するための方法を提供する。C.ディフィシレ由来のtcdC核酸配列は、例えば、公のデータベースにおいて入手可能である。例えば、tcdC遺伝子の配列のGenBank受託番号DQ363256、ならびにGenBank受託番号NC_009089およびAM 180355参照。
具体的には、C.ディフィシレ核酸分子を増幅および検出するためのプライマーおよびプローブが本発明によって提供される。本明細書に例示したもの以外のC.ディフィシレ核酸もまた、試料中のC.ディフィシレを検出するために使用され得る。本明細書に例示したもの以外のC.ディフィシレ核酸(例えば、機能性バリアント)は、当業者により、限定されないが本明細書に例示した方法などの常套的な方法を用いて評価され得る(例えば、特異性および/または感度について)。代表的な機能性バリアントとしては、例えば、本明細書に開示した核酸における欠失、挿入および/または置換が挙げられる。
C.ディフィシレ核酸分子、例えば、C.ディフィシレを増幅させるプライマーは、例えば、OLIGO(Molecular Biology Insights,Inc.、Cascade、CO)などのコンピュータプログラムを用いて設計され得る。増幅プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドを設計する際の重要な特徴としては、限定されないが、検出(例えば、電気泳動により)を容易にするのに適切なサイズの増幅産物、プライマーペアの構成員の類似した融解温度、および各プライマーの長さ(すなわち、プライマーは、配列特異性を伴ってアニーリングして合成を開始するのに充分長いが、オリゴヌクレオチド合成中に忠実度が低下するほど長くないことが必要である)が挙げられる。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは15〜30(例えば、16、18、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長である。
ハイブリダイゼーションプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と類似した様式で行なわれ得るが、プローブペアの構成員は、好ましくは、同じ鎖上の互いの5ヌクレオチド以下の範囲内の増幅産物に、FRETが起こり得るようにアニーリングする(例えば、互いの1、2、3または4ヌクレオチド以下)。この最小限度の隔離により、典型的には、それぞれの蛍光部分が、FRETが起こるように充分に近接する。しかしながら、蛍光部分が互いに対してFRETが起こり得るように適切に位置していれば(例えば、リンカーアームにより)、他の間隔(例えば、6ヌクレオチド以上)での隔離も可能であることは理解されよう。また、プローブは、多型または変異を含む標的にハイブリダイズし、それにより、識別すべき特定のC.ディフィシレ菌株に対応する異なるプローブペアの絶対ハイブリダイゼーション、または例えばプローブペアの構成員と識別すべきC.ディフィシレ菌株に対応する各増幅産物間の識別的融解温度のいずれかに基づいてC.ディフィシレ菌株の識別的検出が可能になるように設計され得る。オリゴヌクレオチドプライマーの場合のように、オリゴヌクレオチドプローブは、通常、類似した融解温度を有し、各プローブの長さは、配列特異的ハイブリダイゼーションが起こるのに充分でなければならないが、合成中に忠実度が低下するほど長くはない。オリゴヌクレオチドプローブは、一般的に、15〜30(例えば、16、18、20、21、22、23、24または25)ヌクレオチド長である。
本発明の構築物は、C.ディフィシレ核酸分子(例えば、配列番号:1、2、3または4)を含むベクターを含む。本発明の構築物は、例えば、対照鋳型核酸分子として使用され得る。本発明における使用に適当なベクターは市販されている、および/または当該技術分野において常套的な組換え核酸技術方法によって作製される。C.ディフィシレ核酸分子は、例えば、化学合成、C.ディフィシレからの直接クローニング、またはPCR増幅によって得られ得る。C.ディフィシレ核酸分子またはその断片は、プロモーターまたはC.ディフィシレ核酸分子の発現を調節するエンハンサー配列などの他の調節エレメント、応答エレメントもしくは誘導エレメントに作動可能に連結され得る。本明細書で使用するように、作動可能に連結されるとは、プロモーターおよび/または他の調節エレメントをC.ディフィシレ核酸分子に、C.ディフィシレ核酸分子の発現を可能にする、および/または調節するような様式で連結することをいう。通常C.ディフィシレの発現を指令しないプロモーターは、例えば、ウイルスポリメラーゼ、細菌ポリメラーゼ、または真核生物RNAポリメラーゼIIを使用し、C.ディフィシレ核酸の転写を指令するために使用され得る。あるいは、C.ディフィシレ核酸の転写を指令するのにC.ディフィシレ天然プロモーターが使用され得る。また、作動可能に連結されるとは、C.ディフィシレプロモーターまたは調節エレメントと非相同コード配列(すなわち、非C.ディフィシレコード配列、例えば、レポーター遺伝子)間における該非相同コード配列の発現が可能になるような適切な連結をいうことがあり得る。
本発明の方法における使用に適当な構築物は、典型的には、C.ディフィシレ核酸分子(例えば、配列番号:1、2、3または4の1つ以上の配列を含む核酸分子)に加えて、所望の構築物および/または形質転換体を選択するための選択可能マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)をコードする配列ならびに複製起点を含む。ベクター系の選択は、通常、いくつかの要素、例えば限定されないが、宿主細胞の選択、複製効率、選択性、誘導性、および回収の容易性に依存する。
C.ディフィシレ核酸分子を含む本発明の構築物は宿主細胞内で増殖され得る。本明細書で使用するように、宿主細胞という用語は、原核生物および真核生物(酵母、植物および動物細胞など)を含むことを意図する。原核生物宿主としては、大腸菌、ネズミチフス菌、セラチア・マルセッセンスおよび枯草菌が挙げられ得る。真核生物宿主としては、S. セレビシエ、分裂酵母、ピキア・パストリスなどの酵母、COS細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞、昆虫細胞、ならびにシロイヌナズナおよびタバコなどの植物細胞が挙げられる。本発明の構築物は、当業者に一般に知られた任意の技術を用いて宿主細胞内に導入され得る。例えば、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、熱ショック、リポフェクション、マイクロインジェクション、およびウイルス媒介性核酸導入が、宿主細胞内への核酸導入のための一般的な方法である。また、ネイキッドDNAは、細胞内に直接送達され得る(例えば、米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号参照)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、同第4,800,159号および同第4,965,188号には、従来のPCR技術が開示されている。PCRでは、典型的には、選択された核酸鋳型(例えば、DNAまたはRNA)に結合する2種類のオリゴヌクレオチドプライマーが使用される。本発明において有用なプライマーとしては、C.ディフィシレ核酸配列(例えば、配列番号:1、2、3または4)内での核酸合成の開始点として作用し得るオリゴヌクレオチドが挙げられる。プライマーは、従来の方法によって制限消化により精製され得るか、または合成により作製され得る。プライマーは、好ましくは、増幅における最大効率のために単鎖であるが、プライマーは二本鎖であってもよい。二本鎖プライマーはまず変性させる、すなわち、鎖が分離するように処理される。二本鎖核酸の変性方法の1つは、加熱によるものである。
用語「熱安定ポリメラーゼ」は、熱安定性であるポリメラーゼ酵素、すなわち、鋳型に相補的なプライマー伸長産物の形成を触媒し、二本鎖鋳型核酸の変性が行なわれるのに必要な時間、高温に供されたとき不可逆的に変性しない酵素をいう。一般的に、合成は、各プライマーの3’末端において開始され、鋳型鎖に沿って5’から3’への方向に進行する。熱安定ポリメラーゼは、Thermus flavus、T. ruber、T. thermophilus、T. aquaticus、T. lacteus、T. rubens、Bacillus stearothermophilus、およびMethanothermus fervidusから単離されている。とはいえ、PCRアッセイでは、熱安定性でないポリメラーゼもまた、該酵素を補給するのであれば使用することができる。
鋳型核酸が二本鎖である場合、これは、PCRにおいて鋳型として使用され得る前に2つの鎖を分離することが必要である。鎖分離は、物理的、化学的または酵素的手段などの任意の適当な変性方法によって行なわれ得る。核酸鎖の分離方法の1つは、核酸を大部分が変性する(例えば、50%、60%、70%、80%、90%または95%より多くが変性する)まで加熱することを伴う。鋳型核酸の変性に必要な加熱条件は、例えば、緩衝塩濃度ならびに変性させる核酸長さおよびヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、温度および核酸の長さなどの反応の特徴に応じた時間で約90℃〜約105℃の範囲である。変性は、典型的には、約30秒〜4分間(例えば、1分〜2分30秒、または1.5分)行なわれる。
二本鎖鋳型核酸を熱によって変性させた場合、反応混合物を、各プライマーのそのC.ディフィシレ核酸上の標的配列へのアニーリングが促進される温度まで冷却させる。アニーリングのための温度は、通常、約35℃〜約65℃(例えば、約40℃〜約60℃;約45℃〜約50℃)である。アニーリング時間は、約10秒〜約1分(例えば、約20秒〜約50秒;約30秒〜約40秒)であり得る。次いで、反応混合物は、ポリメラーゼの活性が促進または最適化される温度、すなわち、アニーリングされたプライマーから伸長が起こり、鋳型核酸に相補的な産物が生成されるのに充分な温度に調整される。該温度は、核酸鋳型にアニーリングした各プライマーから伸長産物が合成されるのに充分であるべきだが、相補鋳型から伸長産物が変性するほど高くてはならない(例えば、伸長のための温度は、一般的に約40〜80℃の範囲である(例えば、約50℃〜約70℃;約60℃)。伸長時間は、約10秒〜約5分(例えば、約30秒〜約4分;約1分〜約3分;約1分30秒〜約2分)であり得る。
PCRアッセイでは、RNAまたはDNA(cDNA)などのC.ディフィシレ核酸が使用され得る。鋳型核酸は精製する必要はない;これは、ヒト細胞内に含まれたC.ディフィシレ核酸などの複雑な混合物の微量画分であり得る。C.ディフィシレ核酸は生物学的試料から、Diagnostic Molecular Microbiology:Principles and Applications(Persing et al.(編)、1993、American Society for Microbiology、Washington D. C.)に記載されたものなどの常套的な技術によって抽出され得る。核酸は、プラスミドなどの任意の数の供給源、または天然供給源、例えば、細菌、酵母、ウイルス、細胞小器官あるいは植物もしくは動物などの高等生物から得られ得る。
オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、配列番号:1または2)をPCR試薬と、プライマー伸長が誘導される反応条件下で合わせる。例えば、鎖伸長反応液には、一般的に、50mMのKCl、10mMのTris-HCl(pH8.3)、15mMのMgCl2、0.001%(w/v)ゼラチン、0.5〜1.0μgの変性鋳型DNA、50pmolの各オリゴヌクレオチドプライマー、2.5UのTaqポリメラーゼ、および10%DMSO)が含まれる。反応液は、通常、150〜320μMの各dATP、dCTP、dTTP、dGTP、またはその1種類以上のアナログを含む。
新たに合成された鎖は二本鎖分子を形成し、これは次の反応工程で使用され得る。鎖分離、アニーリングおよび伸長の工程は、標的C.ディフィシレ核酸分子に対応する所望の量の増幅産物が生成させるのに必要なだけ多く反復され得る。該反応における律速要素は、反応液中に存在するプライマー、熱安定酵素、およびヌクレオシド三リン酸の量である。サイクル工程(すなわち、変性、アニーリング、および伸長)は、好ましくは少なくとも1回反復される。検出における使用のためには、サイクル工程数は、例えば、試料の性質に依存する。試料が核酸の複雑な混合物である場合、検出に充分な標的配列が増幅されるためには、より多くのサイクル工程が必要とされる。一般的に、サイクル工程は少なくとも約20回反復されるが、40、60、さらには100回もの多数回反復されることもあり得る。
蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)
FRET技術(例えば、米国特許第4,996,143号、同第5,565,322号、同第5,849,489号、および同第6,162,603号参照)は、ドナーおよび対応するアクセプター蛍光部分が互いの一定の間隔以内に位置すると、該2つの蛍光部分間で、可視化あるいは検出および/または定量することができるエネルギー転移が起こるという概念に基づく。各々が蛍光部分を含む2種類のオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、配列番号:3または4)は、C.ディフィシレ標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される特定の位置で増幅産物にハイブリダイズし得る。オリゴヌクレオチドプローブが適切な位置で増幅産物核酸にハイブリダイズすると、FRETシグナルが生成される。ハイブリダイゼーション温度は、約10秒〜約1分間(例えば、約20秒〜約50秒;約30秒〜約40秒)で約35℃〜約65℃(例えば、約40℃〜約60℃;約45℃〜約55℃;約50℃)の範囲であり得る。
蛍光解析は、例えば、光子計数落射蛍光顕微鏡システム(特定の範囲の蛍光発光をモニターするための適切な2色性ミラーおよびフィルターを含む)、光子計数光電子増倍管システムまたは蛍光計を用いて行なわれ得る。エネルギー転移を開始させるための励起は、アルゴンイオンレーザー、高強度水銀(Hg)アークランプ、光ファイバー光源、または所望の範囲の励起のために適切にフィルタリングされた他の高強度光源を用いて行なわれ得る。
ドナーおよび対応するアクセプター蛍光部分に関して本明細書で使用する場合、「対応する」は、ドナー蛍光部分の励起スペクトルと重複する発光スペクトルを有するアクセプター蛍光部分をいう。アクセプター蛍光部分の発光スペクトルの最大波長は、ドナー蛍光部分の励起スペクトルの最大波長よりも少なくとも100nm大きいべきである。したがって、両者間に効率的な非放射性エネルギー転移が生じ得る。
蛍光ドナーおよび対応するアクセプター部分は、一般的に、(a)高効率フォースターエネルギー転移;(b)大きな最終ストロークシフト(>100nm);(c)可視スペクトル赤部分内へのできるだけ遠くまでの発光のシフト(>600nm);および(d)ドナー励起波長での励起によって生じるRaman 水蛍光発光よりも高い波長への発光のシフトのために選択される。例えば、レーザーライン(例えば、ヘリウム-カドミウム442nmまたはアルゴン488nm)に近い最大励起、高い減衰係数、高い量子収量、および蛍光発光と対応するアクセプター蛍光部分の励起スペクトルとの良好なオーバーラップを有するドナー蛍光部分が選択され得る。対応するアクセプター蛍光部分は、高い減衰係数、高い量子収量、ドナー蛍光部分の励起と発光との良好なオーバーラップ、および可視スペクトルの赤部分内での発光(>600nm)を有するものが選択され得る。
FRET技術において種々のアクセプター蛍光部分とともに使用され得る代表的なドナー蛍光部分としては、フルオレセイン、Lucifer Yellow、B-フィコエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、Lucifer Yellow VS、4-アセトアミド-4’-イソチオ-シアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシンイミジル1-ピレンブチレート、および4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸誘導体が挙げられる。代表的なアクセプター蛍光部分としては、使用されるドナー蛍光部分によるが、LCTM-Red 640、LCTM-Red 705、Cy5、Cy5.5、LissamineローダミンB塩化スルホニル、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリトロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミン五酢酸またはランタン系列元素のイオン(例えば、ユーロピウムもしくはテルビウム)の他のキレートが挙げられる。ドナーおよびアクセプター蛍光部分は、例えば、Molecular Probes(Junction City、OR)またはSigma Chemical Co.(St. Louis、MO)から得られ得る。
ドナーおよびアクセプター蛍光部分は、リンカーアームを介して適切なプローブオリゴヌクレオチドに結合され得る。各リンカーアームの長さは、リンカーアームによってドナーとアクセプター蛍光部分間の間隔が影響されるため重要である。本発明の目的のためのリンカーアームの長さは、ヌクレオチド塩基から蛍光部分までのオングストローム(Å)単位の間隔である。一般に、リンカーアームは約10〜約25Å(例えば、約15Å〜約20Å)である。リンカーアームは、WO 84/03285に記載の種類のものであり得る。また、WO 84/03285には、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に結合させるための方法、また、蛍光部分をリンカーアームに結合させるための方法も開示されている。
LCTM-Red 640-NHS-エステル などのアクセプター蛍光部分を、C6-ホスホルアミダイト(ABI(Foster City、CA)またはGlen Research(Sterling、VA)から入手可能)と結合し、例えば、LCTM-Red 640-ホスホルアミダイトを作製してもよい。フルオレセインなどのドナー蛍光部分をオリゴヌクレオチドにカップリングさせるために高頻度に使用されるリンカーとしては、チオ尿素リンカー(FITC由来、例えば、 Glen ResearchもしくはChemGene(Ashland、MA)製のフルオレセイン-CPG)、アミド-リンカー(フルオレセイン-NHS-エステル由来、BioGenex(San Ramon、CA)製のフルオレセイン-CPG)、またはオリゴヌクレオチド合成後にフルオレセイン-NHS-エステルのカップリングを必要とする3’-アミノ-CPGが挙げられる。
C.ディフィシレの検出
種々の組織細胞株に対する便の細胞毒性(CTX)は、C.ディフィシレを検出するために使用された最初の方法であり、一部で「ゴールデンスタンダード」とみなされている(Musher et al、2007、J. Clin. Micro.、45:2737-9)。しかしながら、このアッセイは、技術者による細胞毒性の主観的解釈に依存しており、特異的抗血清を用いる中和工程が必要とされ、処理の所要時間が長く、市販されていない。したがって、今日では、CTXは診断臨床検査にはほとんど使用されていない。
選択的および識別的培地(CCFA)での便の嫌気性培養物は、CTXよりも高感度であるが、複雑であり、時間がかかり、別の方法による分離菌の毒素産生性の確認が必要とされる(PetersonおよびKelly、1993、Infect. Diseases Clinics of North America、7:277-93)。
商業的に製造されている種々のEIAによる毒素A、Bまたは両方の抗原の直接検出は迅速で単純であり、現在、臨床検査で最も広く使用されている方法である。いくつかの試験では、CTXと比較したときEIAの≧90%感度が報告された。後者は、培養時の感度がほんの70%〜80%(「リアルゴールドスタンダード」)だが、EIAの真の感度は90%よりもずっと低く、70%もの低い感度が報告された。
C.ディフィシレの「共通抗原」として知られるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)を検出するさらなる市販のアッセイが、一部で代理培養方法とみなされている。しかしながら、このアッセイでは毒素産生性菌株と非毒素産生性菌株が識別されず、したがって、CDI用の単独の診断試験として適当でない。
いくつかの研究で、CDIの診断のために便被検物に対してリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法を直接使用することが報告されている。これらのアッセイでは、毒素B(tcdB)または毒素AとB(tcdAおよびtcdB)の両方と関連する遺伝子を標的とし、CTX培養物または毒素産生性培養物のいずれかでの結果との高い一致性が示された。しかしながら、これらのアッセイはいずれも、C.ディフィシレの「伝染性」またはBI菌株の存在を同時に同定することは可能ではなかった。
しかしながら、市販のリアルタイムPCR機器(例えば、LIGHTCYCLERTM、Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)を使用することにより、PCR増幅と増幅産物の検出を単一の密閉キュベット内で併合することができ、サイクル時間が劇的に短縮された。検出が増幅と同時に行なわれるため、リアルタイムPCR法では、増幅産物の操作の必要がなくなり、増幅産物間の交差夾雑のリスクが低減される。リアルタイムPCRによって処理の所要時間が大きく短縮され、臨床検査における従来のPCR技術の魅力的な代替法である。
本発明は、個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレの存在または非存在を検出するための方法を提供する。本発明によって提供される方法により、試料の夾雑、偽陰性、および偽陽性の問題が回避される。該方法は、患者がC.ディフィシレに対する治療を必要としているかどうかを調べるために使用され得る。陽性の場合、患者には、適切な投薬物(例えば、メトロニダゾールまたはバンコマイシン)が時宜を得た様式で投与され得る。
該方法は、difficileプライマーペアを用いて試料由来のC.ディフィシレ核酸分子の一部分を増幅することを含む少なくとも1回のサイクル工程を行なうことを含む。各C.ディフィシレプライマーは、C.ディフィシレ核酸分子内または該分子に隣接する標的に、各増幅産物の少なくとも一部分がC.ディフィシレに対応する核酸配列を含むようにアニーリングする。より重要なことには、増幅産物には、C.ディフィシレプローブに相補的な核酸配列が含まれているはずである。C.ディフィシレ核酸が存在している限り、C.ディフィシレ増幅産物が生成される。各サイクル工程は、さらに、試料をC.ディフィシレプローブペアと接触させることを含む。本発明によれば、各C.ディフィシレプローブペアの一方の構成員はドナー蛍光部分で標識され、他方は対応するアクセプター蛍光部分で標識される。C.ディフィシレプローブがC.ディフィシレ増幅産物にハイブリダイズすると、第1のC.ディフィシレプローブのドナー蛍光部分と第2のC.ディフィシレプローブの対応するアクセプター蛍光部分間のFRETの存在または非存在が検出される。
各サイクル工程は増幅工程とハイブリダイゼーション工程を含み、各サイクル工程の後には、通常、FRET検出工程が行なわれる。多数回のサイクル工程が、好ましくは、サーモサイクラーにおいて行なわれる。本発明の方法はC.ディフィシレプライマーおよびプローブセットを用いて行なわれ得、C.ディフィシレの存在が検出される。C.ディフィシレ反応でのFRETの検出は、C.ディフィシレの存在を示す。
本明細書で使用するように、「増幅」は、鋳型核酸分子(例えば、C.ディフィシレ核酸分子)の一方または両方の鎖に相補的な核酸分子が合成されるプロセスいう。核酸分子の増幅は、典型的には、鋳型核酸の変性、プライマーの融解温度より低い温度での鋳型核酸へのプライマーのアニーリング、およびプライマーからの酵素的伸長による増幅産物の生成を含む。増幅は、典型的には、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、DNAポリメラーゼ酵素(例えば、PLATINUM(登録商標)Taq)ならびに適切なバッファーおよび/またはポリメラーゼ酵素の最適活性のための補因子(例えば、MgCl2および/またはKCl)の存在を必要とする。
C.ディフィシレ核酸の増幅が起こり、増幅産物が生成される場合、ハイブリダイズ工程により、プローブペアの構成員間のFRETに基づいて検出可能なシグナルがもたらされる。本明細書で使用するように、「ハイブリダイズ」は、増幅産物へのプローブのアニーリングをいう。ハイブリダイゼーション条件としては、典型的には、プローブの融解温度より低いが、プローブの非特異的ハイブリダイゼーションは回避される温度が挙げられる。
一般的に、FRETの存在は試料中のC.ディフィシレの存在を示し、FRETの非存在は試料中のC.ディフィシレの非存在を示す。しかしながら、不充分な被検物の回収、輸送の遅延、不適切な輸送条件、または特定の収集スワブ(例えば、アルギン酸カルシウムスワブまたはアルミニウムシャフトスワブ)の使用はすべて、成功および/または試験結果の精度に影響を及ぼしえる条件である。本明細書に開示した方法を使用し、45サイクル工程以内でのFRETの検出はC.ディフィシレ感染を示す。
本発明の方法はまた、C.ディフィシレワクチン有効性試験または疫学試験のために使用され得る。例えば、C.ディフィシレワクチンは、接種材料が個体内になお存在している期間中に、本発明の方法を用いて検出され得る。かかるワクチン有効性試験では、本発明の方法は、例えば、ワクチンに使用したC.ディフィシレの弱毒化菌株の残留を調べるために使用され得るか、またはかかるワクチンに対する個体の免疫応答をモニターするために血清学的アッセイなどのさらなるアッセイと一緒に実施され得る。また、本発明の方法は、例えば、C.ディフィシレの大発生の起源または深刻さの疫学試験のために、あるC.ディフィシレ菌株を別の菌株と識別するために使用され得る。また、C.ディフィシレがどれだけ長く感染患者内に残存するかをモニターすることにより、病院内感染防御チームが院内感染を制限し、可能な限り低減することが可能になる。
本発明の方法の実施に使用され得る代表的な生物学的試料としては、限定されないが、便試料、肛門周囲の試料、または直腸の試料が挙げられる。生物学的試料の収集および保存方法は当業者に公知である。生物学的試料は、C.ディフィシレ核酸が放出されるように処理され得(例えば、当該技術分野で公知の核酸抽出方法および/またはキットによって)、あるいは、いくつかの場合において、生物学的試料をPCR反応成分および適切なオリゴヌクレオチドと直接接触させてもよい。
融解曲線解析は、サイクルプロフィールに含まれ得るさらなる工程である。融解曲線解析は、DNA二本鎖の半量が単鎖に分離する温度と定義される融解温度(Tm)と称される特性温度でDNAが融解するという事実に基づく。DNAの融解温度は、主に、そのヌクレオチド組成に依存する。したがって、GおよびCヌクレオチドを多く含むDNA分子は、多量のAおよびTヌクレオチドを有するものよりも高いTmを有する。シグナルがなくなる温度を検出することにより、プローブの融解温度が測定され得る。同様に、シグナルが生成する温度を検出することにより、プローブのアニーリング温度が測定され得る。tcdC増幅産物からのtcdCプローブの融解温度(1つまたは複数)により、試料中のC.ディフィシレの存在または非存在が確認され得る。本明細書に開示した配列番号:3および4を有するプローブを使用し、野生型tcdC遺伝子は、融解温度解析で56±2.9℃および64±2.0℃における二重ピークによって確認されるが、欠失(例えば、18bpまたは39bp欠失)を含むtcdC遺伝子は、融解温度解析で64±2.0℃における単一のピークによって確認される。
各サーモサイクラーの作動中、対照試料のサイクルも同様に行なう。陽性対照試料では、C.ディフィシレ核酸対照鋳型(例えば、C.ディフィシレ以外)が、例えば、対照プライマーと対照プローブを用いて増幅され得る。また、陽性対照試料では、例えば、C.ディフィシレ核酸分子を含むプラスミド構築物が増幅され得る。かかるプラスミド対照は、内的に(例えば、試料中で)、または別々の試料での実施において患者の試料と並行して増幅され得る。また、各サーモサイクラーの作動には、例えば、C.ディフィシレ鋳型DNAを含まない陰性対照を含めるべきである。かかる対照は、増幅、ハイブリダイゼーションおよび/またはFRET反応の成功または不成功のインジケータである。したがって、対照反応により、例えば、配列特異性を伴ってアニーリングし、伸長を開始させるプライマーの能力、ならびに配列特異性を伴ってハイブリダイズし、FRETを起こすプローブの能力が容易に測定され得る。 一例として、ATCC受託番号9689は野生型C.ディフィシレを表す。
一態様において、本発明の方法は夾雑を回避する工程を含む。例えば、ウラシル-DNAグリコシラーゼを使用し、サーモサイクラーの作動と次の作動間の夾雑を低減または排除する酵素的方法が、米国特許第5,035,996号、同第5,683,896号および同第5,945,313号に記載されている。また、標準的な研究所内封じ込めの実践および手順は、本発明の方法を行なう場合に望ましい。封じ込めの実践および手順としては、限定されないが、方法の異なる工程に対する別々の作業場、封じ込めフード、バリアフィルターピペットチップおよび専用排出ピペットが挙げられる。診断検査室内での臨床的試料の取り扱いにおける正確性のためには、作業者による一貫した封じ込めの実践および手順が必要である。
従来のPCR法はFRET技術と一緒に、本発明の方法を実施するために使用され得る。一態様において、LIGHTCYCLERTM機器が使用される。LIGHTCYCLERTMSystemおよびリアルタイムおよびオンラインのPCRのモニタリングの詳細説明は、ワールドワイドウェブ上のbiochem.roche.com/lightcyclerに見られ得る。以下の特許出願には、LIGHTCYCLERTM技術において使用されたリアルタイムPCRが記載されている:WO 97/46707、WO 97/46714およびWO 97/46712。LIGHTCYCLERTM機器は、高品質の光学機器が使用された微少容量蛍光計と組み合わせた迅速なサーマルサイクラーである。この迅速な熱サイクル技術では、反応槽として薄いガラスキュベットが使用されている。反応チャンバの加熱および冷却は、加熱空気と周囲空気を交互にすることによって制御される。空気量が少なく、キュベットの容積に対する表面積の比率が高いため、LIGHTCYCLERTM熱チャンバ内で非常に迅速な温度交換速度が達成され得る。選択された蛍光色素を反応成分に加えると、PCRをリアルタイムおよびオンラインでモニターすることが可能になる。さらに、キュベットは、シグナルを収集するための光学素子としての機能を果たし(ガラス繊維光学機器と同様)、シグナルがキュベットの上面に集中する。効果は、効率的な照明および微容量試料の蛍光モニタリングである。
キュベットを収容するLIGHTCYCLERTM回転ラックは、機器から外すことができる。したがって、試料を、機器の外側で装填することができる(例えば、PCRクリーンルーム内で)。また、この特徴により、試料回転ラックを容易に清掃および滅菌することが可能になる。LIGHTCYCLERTM装置の一部である蛍光計には光源が収容されている。放射光をフィルタリングし、落射照明レンズによってキュベットの上面に集光する。次いで、試料からの放射蛍光を同じレンズによって集光し、2色性ミラーを通過させ、適切にフィルタリングし、データ収集フォトハイブリッド上に集光する。LIGHTCYCLERTM機器(Roche Molecular Biochemicals、カタログ番号2 011 468)に現在利用可能な光学ユニットは3帯域フィルター(530nm、640nm、および710nm)を含み、3色検出およびいくつかの蛍光取得オプションを提供する。データ収集オプションとしては、サイクル工程毎に1回のモニタリング、融解曲線解析のための完全に連続的な単一試料の取得、連続試料採取(試料採取の頻度は試料数に依存性である)および/または規定の温度間隔後のすべての試料の段階的測定が挙げられる。
LIGHTCYCLERTMは、PCワークステーションを用いて操作され得、Windows NTオペレーティングシステムが使用され得る。該装置がキャピラリーを光学ユニット上に連続的に配置するにつれて、試料からシグナルが得られる。ソフトウェアにより、各測定直後、蛍光シグナルがリアルタイムで表示され得る。蛍光取得時間は10〜100ミリ秒(msec)である。各サイクル工程後、すべての試料について、サイクル数に対する蛍光の定量的表示が継続的に更新され得る。得られたデータは、さらなる解析のために格納され得る。
FRETの代替法として、増幅産物は、蛍光DNA結合色素(例えば、SYBRGREEN I(登録商標)またはSYBRGOLD(登録商標)(Molecular Probes))などの二本鎖DNA結合色素を用いて検出され得る。二本鎖核酸と相互作用すると、かかる蛍光DNA結合色素は、適当な波長の光での励起後に蛍光シグナルを発する。核酸介在色素などの二本鎖DNA結合色素もまた使用され得る。二本鎖DNA結合色素が使用される場合、増幅産物の存在の確認のために、通常、融解曲線解析が行なわれる。
本明細書に記載のように、増幅産物はまた、FRET技術を利用した標識ハイブリダイゼーションプローブを用いて検出され得る。FRET技術の一般的な形式では2種類のハイブリダイゼーションプローブが使用される。各プローブは異なる蛍光部分で標識され得、一般的に、標的DNA分子(例えば、増幅産物)内で互いに近接してハイブリダイズするように設計される。ドナー蛍光部分、例えば、フルオレセインは、LIGHTCYCLERTM Instrumentの光源により470nmで励起される。FRETの際、フルオレセインは、そのエネルギーを、LIGHTCYCLERTM-Red 640(LCTM-Red 640)またはLIGHTCYCLERTM-Red 705(LCTM-Red 705)などのアクセプター蛍光部分に転移させる。次いで、アクセプター蛍光部分がより長い波長の光を発し、これは、LIGHTCYCLERTM機器の光学検出系によって検出される。効率的なFRETは、蛍光部分が局所で直に近接している場合、およびドナー蛍光部分の発光スペクトルがアクセプター蛍光部分の吸光スペクトルと重複する場合にのみ起こり得る。発光シグナルの強度は、最初の標的核酸分子の数(例えば、C.ディフィシレゲノムの数)と相関し得る。
別のFRET形式では、TAQMAN(登録商標)技術を用いて増幅産物の存在または非存在が検出され、したがって、C.ディフィシレの存在または非存在が検出される。TAQMAN(登録商標)技術では、2つの蛍光部分で標識された1種類の単鎖ハイブリダイゼーションプローブが使用される。第1の蛍光部分が適当な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーは、FRETの原理に従って第2の蛍光部分に転移される。第2の蛍光部分は、一般的に消光物質分子である。PCR反応のアニーリング工程中、標識ハイブリダイゼーションプローブは標的核酸(すなわち、増幅産物)に結合し、続く伸長期の間にTaqポリメラーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性によって分解される。その結果、励起された蛍光部分と消光物質部分は互いに空間的に離れた状態になる。その結果、消光物質の非存在で第1の蛍光部分が励起されると第1の蛍光部分からの蛍光放射が検出され得る。一例として、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Foster City、CA)にはTAQMAN(登録商標)技術が使用され、C.ディフィシレを検出するために本明細書に記載の方法を行なうのに適している。ABI PRISM(登録商標)770システムを用いたPCR増幅および検出に関する情報は、ワールドワイドウェブ上のappliedbiosystems.com/productsにおいて見られ得る。
分子ビーコンと一緒にFRETを使用し、本発明のリアルタイムPCR法を使用することによっても増幅産物の存在が検出され得る。分子ビーコン技術では、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分で標識されたハイブリダイゼーションプローブが使用される。第2の蛍光部分は一般的に消光物質であり、蛍光標識は、典型的にはプローブの各末端に位置する。分子ビーコン技術では、二次構造の形成(例えば、ヘアピン)を可能にする配列を有するプローブオリゴヌクレオチドが使用される。プローブの二次構造の形成の結果、該プローブが溶液中にある場合、両方の蛍光部分が空間的に近接する。標的核酸(すなわち、増幅産物)へのハイブリダイゼーション後、プローブの二次構造が破壊され、蛍光部分が互いに分離するため、適当な波長の光での励起後、第1の蛍光部分の発光が検出され得る。
本発明は、1種類以上の市販の機器の構成に制限されないことは理解されよう。
製造品/キット
さらに、本発明は、C.ディフィシレを検出するための製造品を提供する。本発明による製造品には、C.ディフィシレを検出するために使用されるプライマーおよびプローブとともに、適当なパッケージ材料が含まれ得る。C.ディフィシレの検出のための代表的なプライマーおよびプローブは、tcdC核酸分子にハイブリダイズし得るものである。プライマーおよびプローブの設計方法を本明細書において開示しており、tcdC核酸分子を増幅し、tcdC核酸分子にハイブリダイズするプライマーおよびプローブの代表例を示す。
また、本発明の製造品には、プローブを標識するための1つ以上の蛍光部分が含まれ得るか、あるいはまた、キットに備えられたプローブは標識され得る。例えば、製造品には、それぞれ、tcdCプローブの一方を標識するためのドナー蛍光部分と、他方のtcdCプローブを標識するためのアクセプター蛍光部分が含まれ得る。適当なFRETドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分の例は、上記に示している。
また、本発明の製造品には、添付文書または試料中のC.ディフィシレを検出するためのtcdCプライマーおよびプローブを使用するための使用説明書を有するパッケージラベルが含まれ得る。さらに、製造品には、本明細書に開示した方法を実施するための試薬(例えば、バッファー、ポリメラーゼ酵素、補因子、夾雑を防ぐための薬剤)が含まれ得る。かかる試薬は、本明細書に記載の市販の機器の1つに特異的なものであり得る。
以下の実施例に、本発明をさらに説明する。実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定しない。当業者には、上記の種々のさらなる特徴は、一緒に、または個々にのいずれかで、該方法および/または製造品/キットに組み込まれ得ることが理解されよう。
実施例
実施例1−LIGHTCYCLERTM PCRアッセイ
試験プロトコルはMayo施設内倫理委員会によって承認されたものであった。LIGHTCYCLERTM(「LC」、Roche Diagnostics)PCRにより、C.ディフィシレのtcdC遺伝子ならびにtcdC遺伝子内に見られる18bpおよび39bp欠失の存在が検出される。この遺伝子は、毒素Aおよび毒素Bの遺伝子とともに付属遺伝子、毒素発現をコードするtcdCおよびtcdDを含む病原性遺伝子座(PaLoc)の一部である。LIGHTCYCLERTMを用いてtcdC遺伝子を増幅し、検出した。1×LIGHTCYCLERTM FastStart DNA Master Hybridization Probes(Taq DNAポリメラーゼ、反応バッファー、dTTPをdUTPに代えたdNTP混合物および10mMのMgCl2)、3mMのMgCl2、ならびに1×LC CDD Primer-Probe Set(Kit #296、TIB MolBiol、LLC、Adelphia、NJ)を含む15マイクロリットルの「ホットスタート」反応混合物を、LCキュベットに添加した(表1)。5マイクロリットルの抽出DNAを添加し、反応液をLIGHTCYCLERTM内に入れた。サイクルパラメータは;95℃で10分間の鋳型変性、95℃で10秒、55℃で10秒(単独取得)、72℃で15秒を45サイクルでの鋳型の増幅、ならびに95℃で0秒、59℃で20秒、45℃で20秒(傾斜0.2℃/秒)および85℃で0秒(傾斜0.2℃/秒、連続取得)の融解解析による生成物の検出とした。毒素含有菌株と欠失を有する毒素菌株との識別は融解曲線解析によって行なった(図1)。
実施例2−PCRのための便の処理
スワブを便の種々の位置に挿入し、1mlの滅菌水(およそ1:10の便希釈物)を入れたチューブ内でかき混ぜ、沈降させた。200マイクロリットルの上清みを、MagNA Pure LC Total Nucleic Acid Isolation Kitを有するMagNA Pureシステムを用いてDNA抽出用試料カートリッジ内に入れた。
実施例3−LIGHTCYCLER PCRの検証
合計50個の菌株をtcdC遺伝子の存在について試験した。11個はATCC C.ディフィシレ菌株であり、7個はC.ディフィシレの臨床的分離菌であり、26個は他のClostridium種の臨床的分離菌であった。また、CDCによって提供された2種類のC.ディフィシレ分離菌も含めた;一方の分離菌は18bp欠失を有する毒素遺伝子変異型IIIであり、他方の分離菌は39bp欠失毒素遺伝子変異型V分離菌であった。さらに、2種類の代表的なBI菌株および2種類の非毒素産生性菌株の4種類の分離菌をDale Gerding博士(Hines VA Hospital、Hines IL and Loyola University Medical Center、Maywood、IL)から提供して頂いた。また、Clinical Microbiology Laboratory at Mayo Clinicに提出し、抗原検出アッセイ(PremierTM Toxins A&B、Meridian Scientific)によりC.ディフィシレ毒素について陽性であった被検物も、LIGHTCYCLERTM PCRアッセイの性能の評価に使用した。また、これらの抗原陽性便試料に対して従来のPCRも行ない、表1に記載のプライマーを用いて全(約700bp)tcdC遺伝子を増幅した(Spigaglia & Mastrantonio、2002、J. Clin Micro.、40:3470-5)。すべてのtcdCゲル陽性被検物をABI 3730 DNA配列決定装置において配列決定し、SequencherTM 4.2ソフトウェアを用いて解析した。Bioedit Sequence Alignment Editorソフトウェアを用いて配列の整列を行なった。
LIGHTCYCLERTM PCRアッセイにプローブを入れると、2つの異なる融解温度パターンの生成が可能になる。一方の融解ピークによりtcdC遺伝子内に欠失を含むC.ディフィシレ分離菌が同定され、他方の融解ピークにより非欠失野生型が同定される(図1)。C.ディフィシレ分離菌の毒素融解温度パターンが正しいかどうかを調べるため、tcdC全遺伝子プライマー(Spigaglia & Mastrantonio、前掲)を用いて抗原陽性、LIGHTCYCLERTMPCR陽性分離菌に対して配列決定を行なった。配列決定の結果は、tcdC遺伝子陽性野生型(欠失なし)と塩基対欠失を有するtcdC遺伝子陽性とが識別された融解温度の結果と相関していた。
実施例4−従来のPCR
従来のPCRによる全(約700bp)tcdC遺伝子(Spigaglia & Mastrantonio、前掲)の増幅を、260個の抗原陽性便試料に対して先に記載のようにして行なった。サイクルパラメータは、94℃で5分間の変性、94℃で1分、50℃で1分および72℃で1分からなる30サイクルの増幅とした。増幅産物の存在は、アガロースゲル検出によって確認した。すべてのtcdCゲル陽性被検物(122/260)をABI 3730 DNA配列決定装置において配列決定し、SequencherTM 4.2ソフトウェアを用いて解析した。Bioedit Sequence Alignment Editorソフトウェアを用いて配列の整列を行なった。
実施例5−融解温度パターンの確認
全tcdC遺伝子の配列決定を、61個の抗原陽性およびLIGHTCYCLERTM PCR陽性分離菌に対して行ない、C.ディフィシレ分離菌で得られた毒素融解温度パターンが正しいかどうかを調べた。上記のtcdC遺伝子全体の増幅後、すべてのtcdCゲル陽性被検物をABI 3730 DNA配列決定装置において配列決定し、SequencherTM4.2ソフトウェアを用いて解析した。Bioedit Sequence Alignment Editorソフトウェアを用いて配列の整列を行なった。配列試料には、この試験での200個の便被検物由来のC.ディフィシレ分離菌とともに、さらに17個の試料が含まれた。欠失を有する22個のtcdC遺伝子陽性被検物(18個は18-bp欠失を有し、4個は39bp欠失を有した)は64℃±2℃の融解温度を有し、欠失のない39個のtcdC遺伝子陽性被検物は、2つの突出部を示し、融解温度は59.5℃±2℃であった。配列決定の結果は、試験したすべての試料の融解温度の結果と100%相関していた。
実施例6−臨床用被検物
C.ディフィシレ毒素の検出のためにClinical Microbiology Laboratory at Mayo Clinicに提出した200個の便被検物を、試験方法の比較に使用した。この試験における使用のための被検物の基準は、軟便または液状便、患者1人あたり1つの被検物、および48時間以内に採取した新鮮または凍結便とした。PremierTM Toxins A&Bは研究所内で行なわれる常套的な試験であり、この結果が臨床担当医に報告されるため、これを最初に行なった。他のすべての方法は、最初の試験の24時間以内に行なった。
実施例7−EIA、ImmunoCard、および高速スクリーニングアッセイ
PremierTM Toxins A&B(Meridian Bioscience Inc.、Cincinnati、OH)、ImmunoCard(登録商標)Toxins A&B(Meridian Bioscience Inc.、Cincinnati、OH)、Xpect(登録商標)C.difficile Toxin A/B(Remel Inc.、Lenexa、KS)、およびTriage(登録商標)C.difficile Panel試験(Biosite Diagnostics、San Diego、CA)を、製造業者の使用説明書に従って200個の比較試験被検物に対して行なった。
実施例8−C.ディフィシレの培養
被検物を予備還元Fastidious Anaerobic Agar with Sheep Blood(FAASB)およびTaurocholate、Cycloserine、Cefoxitin、Fructose Agar(TCCFA)上にぷテーティングすることにより、200個の試験被検物の便に対して嫌気性培養を行なった。TCCFAプレートに新鮮便を接種した。FAASBには、アルコールショック(便に等容量の95%エタノール)後の10μlの便試料を接種した。35℃で2日間の嫌気性インキュベーション後、生化学的特性および形態学的特性と、16S配列決定(Applied Biosystems MicroSeq(登録商標))との両方によって推定C.ディフィシレコロニーを同定した。
実施例9−嫌気性培養物の寒天希釈液MIC試験
寒天希釈液によるモキシフロキシン感受性試験を、すべてのC.ディフィシレ培養陽性分離菌に対して行なった。継代培養プレートからの増殖物を予備還元Schaedlerブイヨン中に、McFarland 0.5濁度まで懸濁した。モキシフロキシンプレートへの最低希釈液から最高希釈までの播種には、Steersレプリケーターシードブロックを使用した。接種培地を嫌気性条件下で48時間インキュベートした後、エンドポイント測定値を読み取った。CLSI文書M11-A7に規定のようにして試験を行ない、解釈した。
実施例(Examle)10−毒素産生の確認
すべてのC.ディフィシレ培養陽性被検物を、毒素A(tcdA)および毒素B(tcdB)の遺伝子に特異的なプライマーを使用し、LIGHTCYCLERTM PCRおよび従来のPCRによって、以前に記載されたようにして毒素の存在について試験した(Spigaglia & Mastrantonio、前掲)。増幅に使用したプライマーの配列は表1に示したものであり、サイクルパラメータは、tcdC遺伝子全体の増幅で上記のものと同じとした。2つのPCR法間に完全な一致がみられ、したがって、培養分離菌による毒素産生の検出のためのLIGHTCYCLERTM PCR法の使用が検証された。
実施例11−二元毒素の存在
C.ディフィシレLIGHTCYCLERTM PCR 陽性被検物を、アクチン特異的ADP-リボシルトランスフェラーゼまたは二元毒素の産生について調べた。プライマー配列を表1に示す。サイクルパラメータおよび反応混合物は、以前に記載のものに従った(Terhes et al、2004、J. Clin. Micro.、42:4316-4318)。
実施例12−結果
合計200個の便被検物を比較法によって試験した。C.ディフィシレを培養によって49個の被検物から分離し、LIGHTCYCLERTM PCRアッセイならびに毒素AおよびBの遺伝子を検出する別のアッセイを用いて、これらのうち44個が毒素産生性(「毒素産生性培養物」)と確認された。毒素産生性培養物を「ゴールドスタンダード」として使用し、アッセイのそれぞれ感度、特異性、陽性および陰性予測値は、:PremierTM Toxins A&B 48%、98%、88、87%;ImmunoCard(登録商標)Toxins A&B 48%、99%、91%、87%;Xpect(登録商標)C.difficile Toxin A/B 48%、84%、46%、85%;Triage C.difficile Panel(毒素Aの場合)33%、100%、100%. 85%;LC PCR 86%、97%、90%、96%(表2)とした。
PCRアッセイを「ゴールドスタンダード」として使用した場合、毒素イムノアッセイの感度は、PremierTMおよびImmunoCard(登録商標)の両方で52%;Xpect(登録商標)で50%;およびTriage、毒素Aで33%であった。特異性は84%〜100%であった。したがって、PCRまたは毒素産生性培養物のいずれかとの比較において、毒素イムノアッセイの感度は非常に低かった。しかしながら、特異性は完全に許容可能であった。LIGHTCYCLERTM PCR tcdC アッセイは、毒素産生性培養物との比較において感度がよく、かつ特異的であり、予測値はともに>90%であった。PCR陽性である被検物が4個あったが、培養によって検出されなかった。これらの場合、グラフプロット上でベースライン曲線より上部の点を交差することにより検出可能なアンプリコンはなかった融解曲線解析のみによる検出によって示されるように、遺伝子標的の濃度は非常に低かった。そのため、培養によって検出するための存在生物が少なすぎる場合、おそらく、非常に感度のよい分子アッセイによって低濃度の標的核酸を検出することができた。Triage GDHアッセイでは、わずかに67%(49のうち33)の培養陽性C.ディフィシレ分離菌および79%(42のうち33)の毒素産生体である培養陽性分離菌が検出された。そのため、この試験では、GDHアッセイは、C.difficil培養に対する感度のよい代替法ではなかった。
18または39bpのtcdC遺伝子内の塩基対(bp)欠失(配列解析によって確認)は、13個のLIGHTCYCLERTMPCR欠失陽性被検物のうち12個において検出された(表3)。該欠失を有する試料の1つは配列が不充分であったため、欠失の型を調べることができなかった。9個の試料は18bp欠失を有し、3個が39bp欠失を有した。生成した配列は、Dale N. Gerdingの研究所(Hines VA Hospital、Hines and Loyola University Medical Center、Maywood、IL;私信)での制限酵素解析によってBI菌株と同定された分離菌のものと類似しており、また、CDCによって提供された2つのC.ディフィシレ分離菌と相関していた;一方の分離菌は18bp欠失を有する毒素遺伝子変異型IIIであり、他方の分離菌は39bp欠失毒素遺伝子変異型V分離菌であった。
49個の被検物が培養によるC.ディフィシレについて陽性であり、そのうち44個がtcdCに関するLIGHTCYCLERTMPCRアッセイによって確認される毒素産生を有した。本明細書に記載のLIGHTCYCLERTMPCRによって、これらの培養分離菌による毒素産生が正確に検出されていることを確認するため、これらの被検物49個すべてを、毒素A(tcdA)および毒素B(tcdB)に特異的な第2のPCRアッセイによって試験した。44個のLIGHTCYCLERTM PCR 毒素陽性培養分離菌はすべて、tcdAおよびtcdB遺伝子について陽性であった(36個は毒素AとBの両方、5個は毒素Aのみ、3個は毒素Bのみ)。tcdCについてLIGHTCYCLERTM PCR 陰性であった5個の培養分離菌は、tcdAおよびtcdB遺伝子についても陰性であった。これらの結果は、tcdC陰性調節因子の遺伝子のPCR検出が、毒素Aおよび/またはBの存在の実証に関して、tcdAおよびtcdB遺伝子の検出と同等であることを示す。
この49個の培養陽性被検物に対して行なった他の実験は、従来のPCRによる二元毒素遺伝子検出および寒天希釈液によるモキシフロキシン感受性試験であった(表3)。14個のC.ディフィシレ培養陽性、LIGHTCYCLERTM PCR 陽性被検物は、二元毒素遺伝子を含んでおり、30個は二元毒素遺伝子陰性であった。tcdC内に欠失を有する13個のうち11個(85%)の被検物は二元毒素の遺伝子を含んでいたが、欠失のない被検物では9%のみが二元毒素遺伝子を含んでいた。寒天希釈液によるモキシフロキシンの感受性試験は、49個のC.ディフィシレ培養陽性分離菌すべてに対して行なった。培養陽性分離菌のうち32個(65%)は、≦2μg/mLでモキシフロキシンに対して感受性であり、2個(4%)は4μg/mLで中間であり、13個(26%)は≧8μg/mLでモキシフロキシンに耐性であった。試験した200個の被検物中、tcdC遺伝子欠失を有する被検物はわずか13個であったが、これらのうち46%はモキシフロキシンに耐性を示した。
実施例13−結果のまとめおよび解釈
要約すると、比較法として毒素検出とともに培養を使用すると(表1)、毒素検出イムノアッセイは感度不足であった(32%〜48%)が、LIGHTCYCLERTMPCRは感度がよく(86%)かつ特異的であった(97%)。比較法としてLIGHTCYCLERTM PCRを使用すると(表2)、イムノアッセイの感度は33%〜52%であったが、培養物(毒素確認あり)は感度がよく(90%)かつ特異的であった(96%)。
49個の便被検物は、従来の培養ではC.ディフィシレについて陽性であり、また、16S配列解析では、これらの便のうち44個が、分離コロニーのブイヨン培養物からのPCRによって毒素陽性と確認され; 5個の分離菌はC.ディフィシレ非毒素産生体であった。
また、44個の毒素陽性便を毒素AおよびBを検出する従来のPCRによって試験した:36個は毒素AとBの両方に陽性であり;5個は毒素Aのみに陽性であり;3個は毒素Bのみに陽性であった。
42個の便被検物はLIGHTCYCLERTM PCR陽性およびC.ディフィシレ培養物/毒素陽性であり:6個の便はLIGHTCYCLERTM PCR-陰性および培養物/毒素陽性であり(便阻害は調べなかった);4個の便はLIGHTCYCLERTM PCR陽性および培養物/毒素陰性であった。LIGHTCYCLERTM PCR陽性は融解温度でのみ陽性であり、便中の核酸の濃度が非常に低いことを示す。また、LIGHTCYCLERTM PCR陽性/毒素陽性被検物のうち13個はtcdC遺伝子内に18または39bp欠失を含んでおり、過剰産生毒素菌株の存在を示した。
Triage C.ディフィシレパネルでは「共通抗原」および毒素Aの存在が検出される。「共通抗原」と毒素Aの両方の存在は、この目的の陽性結果とみなした。「共通抗原」結果のみを見ると、Triageは、C.ディフィシレの検出に関して、培養(毒素検出なし)と比べて感度がよく(79%)特異的であった(98%)。
LIGHTCYCLERTM PCRは、C.ディフィシレ関連の下痢(CDAD)および偽膜性腸炎(PMC)の診断に対する迅速な方法である。該試験は、培養では48時間以上であるのと比べ、4時間以内で完了し得る(抽出および検出を含めて)。また、LIGHTCYCLERTM PCRは、市販の酵素イムノアッセイと比較すると、CDADおよびPMCの診断に対して感度がよく、特異的である。また、LIGHTCYCLERTMPCRは、C.ディフィシレ毒素過剰産生と関連する塩基対欠失を有する13個の菌株がLIGHTCYCLERTM PCRを用いて検出されたため、C.ディフィシレ毒素過剰産生菌株を検出する能力を有する。
C.ディフィシレ(毒素検出あり)の培養は、陽性被検物の検出に関して、LIGHTCYCLERTMPCRと最もよく相関していたことに注目されたい。EIA、Immunocard、およびRapidアッセイは、培養(毒素検出あり)およびLIGHTCYCLERTMPCRと比較すると、性能が変動性であり、感度不足であった。Triage共通抗原アッセイは、培養(毒素検出なし)と比べてC.ディフィシレの検出に特異的であった。
他の態様
本発明をその詳細説明とともに記載したが、前述の記載は説明を意図し、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定しないことは理解されよう。他の局面、利点および変形性は以下の特許請求の範囲に含まれる。

Claims (12)

  1. 個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレ(C. Difficile)の存在または非存在を検出するための方法であって、前記方法は、
    少なくとも1回のサイクル工程を行なう工程、ここで、前記サイクル工程は増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、前記増幅工程は前記試料をtcdCプライマーペアと接触させることを含み、ここで、tcdC核酸分子が前記試料中に存在する場合はtcdC増幅産物が生成され、前記ハイブリダイズ工程は前記試料をtcdCプローブペアと接触させることを含み、前記tcdCプローブペアを構成するメンバーは、互いの5ヌクレオチド以下の範囲内でハイブリダイズし、前記tcdCプローブペアの第1のtcdCプローブは、ドナー蛍光部分で標識され、前記tcdCプローブペアの前記第2のtcdCプローブは、対応するアクセプター蛍光部分で標識されている;ならびに
    前記第1のtcdCプローブの前記ドナー蛍光部分と前記第2のtcdCプローブの前記アクセプター蛍光部分の間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の存在または非存在を検出する工程
    を含み、ここで、FRETの存在は前記試料中のC.ディフィシレの存在を示し、FRETの非存在は前記試料中のC.ディフィシレの非存在を示し、前記tcdCプライマーペアは、第1のtcdCプライマーおよび第2のtcdCプライマーを含み、前記第1のtcdCプライマーが、配列5’-ACC TCA TCA CCA TCT TCA ATA AC-3’(配列番号:1)を含み、前記第2のtcdCプライマーが、配列5’-TCA AAA TGA AAG ACG ACG AAA-3’(配列番号:2)を含み、前記第1のtcdCプローブが、配列5’-TTC AGC CTT TTT AGC TTC TTC AGC-3’(配列番号:3)を含み、前記第2のtcdCプローブが、配列5’-TTA CGT TGA TTT TCA GCT TCA ATA GC-3’(配列番号:4)を含む、方法。
  2. 前記tcdCプローブペアを構成するメンバーが、互いの2ヌクレオチド以下または1ヌクレオチド以下の範囲内でハイブリダイズする、請求項1記載の方法。
  3. 前記ドナー蛍光部分がフルオレセインであり、前記対応するアクセプター蛍光部分が、LC-Red 640、LC-Red 705、Cy5、およびCy5.5からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  4. 前記検出工程がリアルタイムで行なわれる、請求項1記載の方法。
  5. さらに、前記tcdCプローブの一方または両方と前記tcdC増幅産物の間の融解温度を測定する工程を含み、ここで、前記融解温度により、前記C.ディフィシレの前記存在または前記非存在が確認され、
    (1)前記測定で2つの融解温度がもたらされた場合、C.ディフィシレは野生型であり、
    (2)前記測定で1つの融解温度がもたらされた場合、C.ディフィシレは、遺伝子欠失を含む変異型であり、ここで、遺伝子欠失がtcdC核酸配列における18bp欠失または39bp欠失である、請求項1記載の方法。
  6. 前記生物学的試料が便試料からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  7. 前記サイクル工程が対照試料において行なわれ、前記対照試料が前記tcdC核酸分子の部分を含み、前記サイクル工程で対照プライマーペアおよび対照プローブペアが使用され、前記対照プライマーおよび前記対照プローブが、前記tcdCプライマーおよびtcdCプローブ以外であり、前記増幅工程で対照増幅産物が生成され、前記対照プローブが前記対照増幅産物にハイブリダイズする、請求項1記載の方法。
  8. 個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレ(C. Difficile)の存在または非存在を検出するための方法であって、前記方法は、
    少なくとも1回のサイクル工程を行なう工程、ここで、前記サイクル工程は増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、前記増幅工程は前記試料をtcdCプライマーペアと接触させることを含み、ここで、tcdC核酸分子が前記試料中に存在する場合はC.デフィシレ tcdC増幅産物が生成され、前記ハイブリダイズ工程は前記試料をtcdCプローブと接触させることを含み、tcdCプローブは、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で標識されている;ならびに
    前記tcdCプローブの前記ドナー蛍光部分と前記アクセプター蛍光部分の間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の存在または非存在を検出する工程
    を含み、ここで、蛍光の存在または非存在は、前記試料中のC.ディフィシレの存在または非存在を示し、前記tcdCプライマーペアは、第1のtcdCプライマーおよび第2のtcdCプライマーを含み、前記第1のtcdCプライマーが、配列5’-ACC TCA TCA CCA TCT TCA ATA AC-3’(配列番号:1)を含み、前記第2のtcdCプライマーが、配列5’-TCA AAA TGA AAG ACG ACG AAA-3’(配列番号:2)を含み、前記tcdCプローブが、配列5’-TTC AGC CTT TTT AGC TTC TTC AGC-3’(配列番号:3)および配列5’-TTA CGT TGA TTT TCA GCT TCA ATA GC-3’(配列番号:4)を含む、方法。
  9. 前記増幅で、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素が使用され、前記tcdCプローブが二次構造の形成を可能にする核酸配列を含み、前記二次構造の形成により、前記ドナー蛍光部分と対応するアクセプター蛍光部分との空間的近接がもたらされ、前記対応するアクセプター蛍光部分が消光物質である、請求項8記載の方法。
  10. tcdCプライマーペア;
    tcdCプローブペア;ならびに
    ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分
    を含む製造品であって、前記tcdCプライマーペアは、第1のtcdCプライマーおよび第2のtcdCプライマーを含み、前記第1のtcdCプライマーが、配列5’-ACC TCA TCA CCA TCT TCA ATA AC-3’(配列番号:1)を含み、前記第2のtcdCプライマーが、配列5’-TCA AAA TGA AAG ACG ACG AAA-3’(配列番号:2)を含み、前記tcdCプローブペアが、第1のtcdCプローブおよび第2のtcdCプローブを含み、前記第1のtcdCプローブが、配列5’-TTC AGC CTT TTT AGC TTC TTC AGC-3’(配列番号:3)を含み、前記第2のtcdCプローブが、配列5’-TTA CGT TGA TTT TCA GCT TCA ATA GC-3’(配列番号:4)を含む、製造品。
  11. 前記第1のtcdCプローブが前記ドナー蛍光部分で標識され、前記第2のtcdCプローブが前記対応するアクセプター蛍光部分で標識されている、請求項10記載の製造品。
  12. 個体由来の生物学的試料中のC.ディフィシレ(C. Difficile)の存在または非存在を検出するための方法であって、前記方法は、
    少なくとも1回のサイクル工程を行なう工程、ここで、前記サイクル工程は増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、前記増幅工程は前記試料をtcdCプライマーペアと接触させることを含み、ここで、tcdC核酸分子が前記試料中に存在する場合はtcdC増幅産物が生成され、前記ハイブリダイズ工程は前記試料をtcdCプローブペアと接触させることを含み、前記tcdCプローブペアを構成するメンバーは、互いの5ヌクレオチド以下の範囲内でハイブリダイズし、前記tcdCプローブペアの第1のtcdCプローブは、ドナー蛍光部分で標識され、前記tcdCプローブペアの前記第2のtcdCプローブは、対応するアクセプター蛍光部分で標識されている;ならびに
    前記第1のtcdCプローブの前記ドナー蛍光部分と前記第2のtcdCプローブの前記アクセプター蛍光部分の間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の存在または非存在を検出する工程
    を含み、ここで、FRETの存在は前記試料中のC.ディフィシレの存在を示し、FRETの非存在は前記試料中のC.ディフィシレの非存在を示し、前記第1のtcdCプローブが、配列5’-TTC AGC CTT TTT AGC TTC TTC AGC-3’(配列番号:3)を含み、前記第2のtcdCプローブが、配列5’-TTA CGT TGA TTT TCA GCT TCA ATA GC-3’(配列番号:4)を含み、前記tcdCプライマーペアが、第1のtcdCプライマーおよび第2のtcdCプライマーを含み、前記第1のtcdCプライマーが、配列5’-ACC TCA TCA CCA TCT TCA ATA AC-3’(配列番号:1)を含み、前記第2のtcdCプライマーが、配列5’-TCA AAA TGA AAG ACG ACG AAA-3’(配列番号:2)を含む、方法。
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