JP5664961B2 - 球状酸化タンタルメソ多孔体粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
下記式(1):
で表される界面活性剤の存在下、
水と、メタノールおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも1種の第一のアルコールと、ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコールおよびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種の第二のアルコールとを含有し且つ前記第一のアルコールの含有量と前記第二のアルコールの含有量の合計が30質量%以上90質量%未満である水/アルコール混合溶媒中で、
タンタル原料を反応させて酸化タンタル中に前記界面活性剤が導入された酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を形成させる第一の工程と、
前記酸化タンタル/界面活性剤複合粒子に水熱処理を施して酸化タンタルメソ多孔体粒子中に前記界面活性剤が導入された多孔体前駆体粒子を形成させる第二の工程と、
前記多孔体前駆体粒子中の前記界面活性剤を除去して球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第三の工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
第三の工程で得られた前記球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源を吸着させて該球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源が導入された酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を形成させる第四の工程と、
前記酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を700〜1000℃で30分〜6時間加熱して前記酸化タンタルを結晶化させるとともに前記炭素源を炭化させて結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子中に炭素が導入された結晶化多孔体前駆体粒子を形成させる第五の工程と、
前記結晶化多孔体前駆体粒子中の前記炭素を除去して結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第六の工程と、
をさらに含むことが好ましい。
界面活性剤であるアルキルアミンの存在下、水と第一のアルコールと第二のアルコールとの水/アルコール混合溶媒中で、タンタル原料を反応させて酸化タンタル中に前記界面活性剤が導入された酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を形成させる第一の工程と、
前記酸化タンタル/界面活性剤複合粒子に水熱処理を施して酸化タンタルメソ多孔体粒子中に前記界面活性剤が導入された多孔体前駆体粒子を形成させる第二の工程と、
前記多孔体前駆体粒子中の前記界面活性剤を除去して球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第三の工程と、
を含む方法である。
第一の工程では、界面活性剤であるアルキルアミンの存在下、水と第一のアルコールと第二のアルコールとの水/アルコール混合溶媒中で、タンタル原料を反応させる。その結果、酸化タンタル中に前記界面活性剤が導入された酸化タンタル/界面活性剤複合粒子が形成される。
本発明の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の製造方法における第二の工程では、第一の工程で得られた酸化タンタル/界面活性剤複合粒子に水熱処理を施して酸化タンタルメソ多孔体粒子中に前記界面活性剤が導入された多孔体前駆体粒子を形成させる。これにより、界面活性剤の安定なミセル形成が促進されるため、メソ細孔構造が確実に形成されるとともに、メソ細孔の規則性が向上する。また、タンタル原料の反応も促進される。
本発明の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の製造方法における第三の工程では、第二の工程で得られた多孔体前駆体粒子中の界面活性剤を除去してメソ細孔を形成させ、本発明の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る。
第三の工程で得られた前記球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源を吸着且つ重合させて該球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源が導入された酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を形成させる第四の工程と、
前記酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を加熱して前記酸化タンタルを結晶化させるとともに前記炭素源を炭化させて結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子中に炭素が導入された結晶化多孔体前駆体粒子を形成させる第五の工程と、
前記結晶化多孔体前駆体粒子中の前記炭素を除去して結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第六の工程と、
を含む方法である。
第四の工程では、第三の工程で得られた球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源である有機物を吸着させ、この球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源が導入された酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を形成させる。これにより、酸化タンタルを結晶化させる際の細孔の閉塞を防ぐことが可能となる。
(1)常温で液体であり且つ熱重合性の高いポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、アニリンなど)
(2)炭化水素(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類、二糖類、多糖類など)を含む水溶液と、酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸など)との混合物
(3)不飽和結合を有する重合性のガス(例えば、アセチレン、プロピレンなど)
(4)2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリンなど)
などが挙げられる。
第五の工程では、第四の工程で得られた酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を加熱して前記酸化タンタルメソ多孔体粒子を結晶化させるとともに前記炭素源を炭化させ、結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子中に炭素が導入された結晶化多孔体前駆体粒子を形成させる。酸化タンタルメソ多孔体粒子を結晶化させることにより球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の触媒活性が向上する。
第六の工程では、第五の工程で得られた結晶化多孔体前駆体粒子中の炭素を除去してメソ細孔を形成させる。これにより、本発明の結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子が得られる。
オクタデシルアミン1.65g(6.15mmol)、タンタルエトキシド5.0g(12.3mmol)、メタノール1.5gを混合し、室温で完全に溶解するまで攪拌して界面活性剤/タンタル原料混合溶液を調製した。また、水/メタノール/エチレングリコール混合溶液1000g(30/50/20=w/w/w)を恒温水槽中で25℃に保って攪拌した。その後、この水/メタノール/エチレングリコール混合溶液に前記界面活性剤/タンタル原料混合溶液を添加したところ、直ちに粒子の析出が見られ,溶液が白濁した。この溶液を約5時間攪拌した後、一晩静置して酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を含有する溶液を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/メタノール/エチレングリコール混合溶液1000g(30/40/30=w/w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/メタノール/エチレングリコール混合溶液1000g(30/60/10=w/w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/エタノール/エチレングリコール混合溶液1000g(30/50/20=w/w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/メタノール/n−ブタノール混合溶液1000g(30/50/20=w/w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/メタノール/i−ブタノール混合溶液1000g(30/50/20=w/w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/メタノール/グリセリン混合溶液1000g(30/50/20=w/w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
オクタデシルアミンの代わりにテトラデシルアミン1.31g(6.15mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
オクタデシルアミンの量を2.2g(8.2mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
Chem.Mater.、1996年、第8巻、874−881頁に記載の方法に準じて酸化タンタル多孔体粒子を調製した。すなわち、オクタデシルアミン1.32g(6.15mmol)、タンタルエトキシド5.0g(12.3mmol)、メタノール1gを混合し、室温で完全に溶解するまで攪拌して界面活性剤/タンタル原料混合溶液を調製した。この混合溶液に水25mlを一括で添加したところ、直ちに粒子の析出が見られ、溶液が白濁した。この溶液を室温で5時間攪拌した後、一晩静置して酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を含有する溶液を得た。
Chem.Mater.、2001年、第13巻、1200−1206頁に記載の方法に準じて酸化タンタル多孔体粒子を調製した。すなわち、オクタデシルアミン1.32g(6.15mmol)、タンタルエトキシド5.0g(12.3mmol)、メタノール1gを混合し、室温で完全に溶解するまで攪拌して界面活性剤/タンタル原料混合溶液を調製した。この混合溶液に水をスプレーにより加えたところ、直ちに粒子の析出が見られた。この溶液を室温で5時間攪拌した後、一晩静置して酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を含有する溶液を得た。
Chem.Lett.、2005年、第34巻、第3号、394−395頁に記載の方法に準じて酸化タンタル多孔体粒子を調製した。すなわち、トリブロック共重合体界面活性剤P123(商品名、アルドリッチ社製、化学式:HO(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H)2gにエタノール20gを加え、室温で完全に溶解するまで攪拌した。この溶液に塩化タンタル4.3g(12mmol)を添加し、10分間激しく攪拌した。その後、水0.22ml(12mmol)を添加して1時間以上攪拌した。得られた反応溶液をシャーレに移し、40℃で7日間熟成を行なってゲル化させた。このゲル化物を、大気下、500℃で5時間焼成することにより鋳型を除去した後、乳鉢で粉砕して酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水1000gを用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/メタノール混合溶液1000g(50/50=w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりに水/エチレングリコール混合溶液1000g(80/20=w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子を得た。
前記水/メタノール/エチレングリコール混合溶液(30/50/20=w/w/w)の代わりにメタノール/エチレングリコール混合溶液1000g(80/20=w/w)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化タンタル多孔体粒子の調製を試みたが、粒子が全く析出しなかった。
水/メタノール混合溶液1500g(60/40=w/w)に1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液4.4gを添加して恒温水槽中で25℃に保って攪拌した。その後、この混合溶液にタンタルエトキシド5.0g(12.3mmol)を添加したところ、直ちに粒子の析出が見られ、溶液が白濁した。この溶液を約5時間撹拌した後、一晩静置して酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を含有する溶液を得た。その後、実施例1と同様にして酸化タンタル粒子を得た。
市販の酸化タンタル粉末(和光純薬工業(株)製)を入手した。
実施例1〜9および比較例1〜6で得られた酸化タンタル多孔体粒子、比較例8で得られた酸化タンタル粒子、並びに比較例9の市販の酸化タンタル粉末(以下、これらをまとめて「酸化タンタル粒子」という。)の各特性を以下の方法により測定し、評価した。
酸化タンタル粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を走査型電子顕微鏡((株)明石製作所製「SIGMA−V」)を用いて加速電圧19eVで撮影した。なお、SEM写真を撮影するにあたっては、粒子の形状を明確にするために、予め、粒子を水/エタノール混合溶媒に分散し、得られた分散液をSEM用Cu板に滴下して乾燥した後、Auコーティングを行い、粒子表面にAuを被覆した。図1A〜1Bおよび図2A〜2Fには、それぞれ実施例1〜2および比較例1〜6で得られた酸化タンタル多孔体粒子のSEM写真を示す。また、表1には、SEM写真により観察した実施例1〜9、比較例1〜6および比較例8〜9で得られた酸化タンタル粒子の形状を示す。
酸化タンタル粒子のX線回折パターンを粉末X線回折装置((株)リガク製「RINT−2200」)を用いて測定した。図3には、実施例1〜2、実施例4および実施例7〜8で得られた酸化タンタル多孔体粒子のX線回折パターンを示す。
酸化タンタル粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を透過型電子顕微鏡(日本分光(株)製「Joel−200CX」)を用いて加速電圧200kVで撮影した。図4には、実施例2で得られた酸化タンタル多孔体粒子のTEM写真を示す。
自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル(株)製「Belsorp−mini」)を用い、液体窒素温度(−196℃)条件で定容量式ガス吸着法により酸化タンタル粒子の窒素吸着等温線を求めた。なお、酸化タンタル粒子には測定前に120℃で2時間の真空脱気処理を施した。図5には、実施例1〜2および実施例8で得られた酸化タンタル多孔体粒子の窒素吸着等温線を示す。
前記窒素吸着等温線からBJH法により酸化タンタル多孔体粒子の細孔径分布曲線を求めた。図6には実施例1〜2および実施例8で得られた酸化タンタル多孔体粒子の細孔径分布曲線を示す。
前記窒素吸着等温線からBET法により酸化タンタル粒子の比表面積を算出した。表1には、実施例1〜9、比較例1〜6および比較例8で得られた酸化タンタル粒子の比表面積を示す。
前記窒素吸着等温線から酸化タンタル多孔体粒子の細孔容量を算出した。表1には、実施例1〜9および比較例1〜6で得られた酸化タンタル多孔体粒子の細孔容量を示す。
酸化タンタル粒子のSEM写真において無作為に抽出した粒子の最大径(長径)と最小径(短径)を測定し、その平均値をその粒子の粒子径とした。この粒子径測定を無作為に抽出した50〜200個の粒子について行い、粒子径分布を求めた。また、これらの算術平均値を平均粒子径として以下の基準で判定した。
A:平均粒子径が500nm以下。
B:平均粒子径が500nmより大きい。
酸化タンタル粒子0.3gにイオン交換水12mlを添加し、室温で1分間攪拌した。次に、Pt担持量が0.6質量%となるように、白金−Pソルト硝酸溶液(4.531質量%)を0.0397g(36μl)添加し、室温で1時間攪拌した。得られた分散液を1時間静置した後、上澄み液を除去し、固形物を50℃で30分間、45℃で一晩乾燥させた。その後、さらに40℃で24時間真空乾燥してPt担持酸化タンタル粒子を得た。
テフロン(登録商標)製の容器に、実施例1で得られた酸化タンタル多孔体粒子1.0gと、この酸化タンタル多孔体粒子の細孔容量の1.5倍量のフルフリルアルコール0.66gを入れて均一に混合した。この混合物を150℃で24時間放置してフルフリルアルコールを重合させることにより、酸化タンタル多孔体粒子の細孔内にポリフルフリルアルコールが導入された酸化タンタル多孔体/ポリフルフリルアルコール複合粒子を得た。
実施例10と同様にして得た酸化タンタル多孔体/ポリフルフリルアルコール複合粒子を窒素雰囲気下、250℃で1時間、次いで750℃で1時間加熱して酸化タンタルを結晶化させるとともにポリフルフリルアルコールを炭素化した以外は実施例10と同様にして結晶化酸化タンタル多孔体粒子を得た。
実施例10と同様にして得た酸化タンタル多孔体/ポリフルフリルアルコール複合粒子を窒素雰囲気下、250℃で1時間、次いで800℃で1時間加熱して酸化タンタルを結晶化させるとともにポリフルフリルアルコールを炭素化した以外は実施例10と同様にして結晶化酸化タンタル多孔体粒子を得た。
実施例10と同様にして得た酸化タンタル多孔体/ポリフルフリルアルコール複合粒子を窒素雰囲気下、250℃で1時間、次いで850℃で1時間加熱して酸化タンタルを結晶化させるとともにポリフルフリルアルコールを炭素化した以外は実施例10と同様にして結晶化酸化タンタル多孔体粒子を得た。
実施例10と同様にして得た酸化タンタル多孔体/ポリフルフリルアルコール複合粒子を窒素雰囲気下、250℃で1時間、次いで900℃で1時間加熱して酸化タンタルを結晶化させるとともにポリフルフリルアルコールを炭素化した以外は実施例10と同様にして結晶化酸化タンタル多孔体粒子を得た。
実施例10と同様にして得た酸化タンタル多孔体/ポリフルフリルアルコール複合粒子を窒素雰囲気下、900℃で10時間加熱して酸化タンタルを結晶化させるとともにポリフルフリルアルコールを炭素化した以外は実施例10と同様にして結晶化酸化タンタル粒子を得た。
実施例1で得られた酸化タンタル多孔体粒子の代わりに比較例1で得られた酸化タンタル多孔体粒子1.0gを用いた以外は実施例12と同様にして結晶化酸化タンタル多孔体粒子を得た。
実施例1で得られた酸化タンタル多孔体粒子の代わりに比較例2で得られた酸化タンタル多孔体粒子1.0gを用いた以外は実施例12と同様にして結晶化酸化タンタル多孔体粒子を得た。
Chem.Mater.、2008年、第20巻、5361−5367頁に記載の方法に準じて結晶化酸化タンタル多孔体粒子を調製した。すなわち、比較例3で得られた酸化タンタル多孔体粒子1gとビス−トリメチルシロキシ−メチルシラン(BTMS)3gを混合し、アルゴン雰囲気下、70℃で12時間反応させた。反応溶液をろ過した後、残渣を45℃で一晩乾燥させた後、200℃で1時間真空乾燥させることにより未反応のBTMSを除去して酸化タンタル多孔体/シリカ複合粒子を得た。
比較例8で得られた酸化タンタル粒子を大気下、900℃で2時間加熱することにより結晶化酸化タンタル粒子を得た。
実施例10〜14および比較例11〜13で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子、並びに比較例10および比較例14で得られた結晶化酸化タンタル粒子(以下、これらをまとめて「結晶化酸化タンタル粒子」という。)の各特性を以下の方法により測定し、評価した。
結晶化酸化タンタル粒子のSEM写真を走査型電子顕微鏡((株)明石製作所製「SIGMA−V」)を用いて加速電圧19eVで撮影した。なお、この場合も、粒子の形状を明確にするために予め粒子表面にAuを被覆した。図10A〜10Bには、それぞれ実施例10および12で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子のSEM写真を示す。また、表2には、SEM写真により観察した実施例10〜14および比較例10〜14で得られた結晶化酸化タンタル粒子の形状を示す。
結晶化酸化タンタル粒子の電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真を電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)製「S−5500」)を用いて加速電圧20kVで撮影した。図11A〜11Bには、それぞれ実施例11および14で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子のFE−SEM写真を示す。
結晶化酸化タンタル粒子のX線回折パターンを粉末X線回折装置((株)リガク製「RINT−2200」)を用いて測定した。図12には、実施例10〜14で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子のX線回折パターンを示す。なお、図12には、実施例1で得られた酸化タンタル多孔体粒子のX線回折パターンも示した。
自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル(株)製「Belsorp−mini」)を用い、液体窒素温度(−196℃)条件で定容量式ガス吸着法により結晶化酸化タンタル粒子の窒素吸着等温線を求めた。なお、結晶化酸化タンタル粒子には測定前に120℃で2時間の真空脱気処理を施した。図13には、実施例10〜14で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子の窒素吸着等温線を示す。
前記窒素吸着等温線からBJH法により結晶化酸化タンタル多孔体粒子の細孔径分布曲線を求め、この細孔径分布曲線から結晶化酸化タンタル多孔体粒子の中心細孔直径を算出した。表2には、実施例10〜14および比較例11〜13で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子の中心細孔直径を示す。なお、窒素吸着測定の結果、比較例10、14で得られた結晶化酸化タンタル粒子には細孔構造はみられなかった。
前記窒素吸着等温線からBET法により結晶化酸化タンタル粒子の比表面積を算出した。表2には、実施例10〜14および比較例10〜14で得られた結晶化酸化タンタル粒子の比表面積を示す。
前記窒素吸着等温線から結晶化酸化タンタル多孔体粒子の細孔容量を算出した。表2には、実施例10〜14および比較例11〜13で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子の細孔容量を示す。
結晶化酸化タンタル粒子のFE−SEM写真において無作為に抽出した一次粒子の最大径と最小径を測定し、その平均値をその一次粒子の粒子径とした。この一次粒子径測定を無作為に抽出した50個の一次粒子について行い、これらの算術平均値を平均一次粒子径とした。表2には、実施例10〜14で得られた結晶化酸化タンタル多孔体粒子の平均一次粒子径を示す。
結晶化酸化タンタル粒子のSEM写真において無作為に抽出した二次粒子の最大径(長径)と最小径(短径)を測定し、その平均値をその二次粒子の粒子径とした。この二次粒子径測定を無作為に抽出した50個の二次粒子について行い、二次粒子径分布を求めた。また、これらの算術平均値を平均二次粒子径として以下の基準で判定した。
A:平均二次粒子径が500nm以下。
B:平均二次粒子径が500nmより大きい。
酸化タンタル粒子の代わりに結晶化酸化タンタル粒子0.3gを用いた以外は前記方法と同様にして触媒性能を評価した。図16には、実施例12、実施例14および比較例10〜14で得られた結晶化酸化タンタル粒子にそれぞれPtを担持させた触媒の触媒性能を示す。
実施例11で得られた白色の結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子0.6gを反応器に入れ、アンモニアを400ml/分、アルゴンを200ml/分の流量で反応器に供給しながら、600℃で5時間加熱して黄色の粒子を得た。
実施例11で得られた結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の代わりに実施例12で得られた白色の結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子0.6gを用いた以外は実施例15と同様にして黄色の粒子を得た。
加熱温度を575℃に変更した以外は実施例15と同様にして黄色の粒子を得た。
加熱温度を650℃に、加熱時間を2.5時間に変更した以外は実施例15と同様にして橙色の粒子を得た。
加熱温度を700℃に変更した以外は実施例18と同様にして朱色の粒子を得た。
実施例11で得られた結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の代わりに比較例12で得られた白色且つ不定形の結晶化酸化タンタルメソ多孔体粒子0.6gを用いた以外は実施例15と同様にして黄色の粒子を得た。
実施例11で得られた結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の代わりに比較例13で得られた白色且つ不定形の結晶化酸化タンタルメソ多孔体粒子0.6gを用いた以外は実施例15と同様にして黄色の粒子を得た。
実施例15〜19および比較例15〜16で得られた粒子について、前記方法と同様にして、SEMによる観察、窒素吸着法による中心細孔直径および細孔容量の測定を行なったところ、アンモニア処理の前後で変化はほとんど見られなかった。また、その他の特性について、以下の方法により測定し、評価した。
X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ(株)製「Quantera SXM」)を用いてX線光電子分光(XPS)により粒子のXPSスペクトルを測定した。X線源としてモノクロ化されたAl−Kαを使用した。得られたXPSスペクトルにおいて、Shirley法によりバックグランド処理を行なった後、窒素の1s軌道のピーク面積PN、タンタルの4P3/2軌道のピーク面積PTaおよび酸素の1s軌道のピーク面積POを求めた。これらのピーク面積から次式により感度補正をして窒素原子含有量を求めた。
なお、前記式中のα、β、γは、装置固有の相対感度係数であり、例えば、前記XPS装置におけるαは0.499である。
粒子のX線回折パターンを粉末X線回折装置((株)リガク製「RINT−2200」)を用いて測定した。図17には、実施例17〜19で得られた粒子のX線回折パターンを示す。
8mlの石英試験管に、0.05mMのメチルビオロゲン溶液(メタノール/トリエタノールアミン=5/1(体積比))4mlと、窒素含有結晶化酸化タンタルメソ多孔体粒子10mgを入れ、混合した。この分散液にアルゴンガスを15分間通気して飽和させた後、石英試験管をゴム栓で密閉した。分散液をスターラーで攪拌しながら、メリーゴーラウンド方式の照射装置を用い、Xeランプ(ウシオ電機(株)製)を光源とし、熱線吸収フィルタ(旭硝子(株)製)と紫外線カットフィルタ(40L、シグマ光機製)を通した可視光を10分間照射した。光照射前後の石英試験管内の溶液の色の変化を目視により観察し、以下の基準により判定した。
A:溶液の色が無色透明から濃紺に変化(高還元活性)
B:溶液の色が無色透明から薄い青色に変化(低還元活性)
C:溶液の色は無色透明のまま変化なし(還元活性なし)
表4には、実施例15〜19および比較例15〜16で得られた窒素含有結晶化酸化タンタルメソ多孔体粒子のメチルビオロゲン還元性能を示す。なお、表4には、比較例2で得られた窒素原子を含有しない酸化タンタル多孔体粒子のメチルビオロゲン還元性能も示した。
Claims (11)
- 水/エタノール混合溶媒に分散させ、得られた分散液をCu板に滴下して乾燥した場合に独立した状態で存在する粒子の平均粒子径が50〜500nmであり、前記独立した状態で存在する粒子のアスペクト比の平均値が1.20以下であり、中心細孔直径が1〜25nmであることを特徴とする球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- 前記平均粒子径の±45%の範囲内の粒子径を有する粒子数の割合が全粒子数に対して80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- アモルファス粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- 前記アモルファス粒子の中心細孔直径が1〜5nmであることを特徴とする請求項3に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- 結晶化した粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- 前記結晶化した粒子の平均一次粒子径が1〜30nmであり、平均二次粒子径が50〜500nmであることを特徴とする請求項5に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- 窒素原子を1.0〜49.9原子%の割合で含有することを特徴とする請求項5または6に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子。
- 下記式(1):
で表される界面活性剤の存在下、
水と、メタノールおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも1種の第一のアルコールと、ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコールおよびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種の第二のアルコールとを含有し且つ前記第一のアルコールの含有量と前記第二のアルコールの含有量の合計が30質量%以上90質量%未満である水/アルコール混合溶媒中で、
タンタル原料を反応させて酸化タンタル中に前記界面活性剤が導入された酸化タンタル/界面活性剤複合粒子を形成させる第一の工程と、
前記酸化タンタル/界面活性剤複合粒子に水熱処理を施して酸化タンタルメソ多孔体粒子中に前記界面活性剤が導入された多孔体前駆体粒子を形成させる第二の工程と、
前記多孔体前駆体粒子中の前記界面活性剤を除去して球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第三の工程と、
を含むことを特徴とする球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の製造方法。 - 前記タンタル原料および前記式(1)で表される界面活性剤を含有する溶液と、水と前記第一のアルコールと前記第二のアルコールとを含有する水/アルコール混合溶媒とを混合して前記タンタル原料を反応させることを特徴とする請求項8に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の製造方法。
- 第三の工程で得られた前記球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源を吸着させて該球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の細孔内に炭素源が導入された酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を形成させる第四の工程と、
前記酸化タンタルメソ多孔体/炭素源複合粒子を700〜1000℃で30分〜6時間加熱して前記酸化タンタルを結晶化させるとともに前記炭素源を炭化させて結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子中に炭素が導入された結晶化多孔体前駆体粒子を形成させる第五の工程と、
前記結晶化多孔体前駆体粒子中の前記炭素を除去して結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第六の工程と、
を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の製造方法。 - 前記第六の工程で得られた前記結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子に、窒素源を含有する雰囲気中で加熱処理を施して、窒素原子を含有する結晶化球状酸化タンタルメソ多孔体粒子を得る第七の工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の球状酸化タンタルメソ多孔体粒子の製造方法。
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